JP6130600B2 - トリサイクリックベンズオキサボロール化合物、その製造方法および用途 - Google Patents

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Description

本発明は、新規なトリサイクリックベンズオキサボロール誘導体、その製造方法およびこれを有効成分として含有する抗生剤の用途に関し、好ましくは、グラム陰性細菌に対する抗生剤の用途に関する。
グラム陰性菌細菌の治療剤は、1960年〜1980年代まで多くの開発が行われてきたが、1990年代以降、メチシリン耐性黄色ブドウ状球菌(Methicillin−resistant Staphylococcus aureus、MRSA)による感染の社会的な問題により、グラム陽性菌に対する関心が増幅され、グラム陰性菌に対する多くの研究がなされていなかった。2000年代後半から多剤耐性グラム陰性菌の治療剤の不在に対する警告の声が高まるにつれ、最近再び大きな関心を受けている。
現在、グラム陰性菌による感染症の治療に使用されている薬物は多数あるものの、多剤耐性グラム陰性菌に対して効果的でない。多剤耐性グラム陰性菌を含むグラム陰性菌に効果的な薬物の需要が増加するに伴って、多くの製薬会社で関心を見せているが、最近まで開発中の抗生剤はそれほど多くなく、既存の抗生剤に耐性を示すことによって治療が不可能になった耐性菌株が多くなっていることから、深刻な社会的な問題とされている。そこで、新たな広いスペクトルを有する抗生剤の開発が必要になった。
バクテリアの蛋白質合成過程中、アミノ酸は、ATPによってaminoacyl−AMPに活性化した後、aminoacyl t−RNA synthetaseに結合し、t−RNAにアミノ酸が伝達されてt−RNA chargingが起こるが、この時、酵素aminoacyl t−RNA synthetaseは抗生剤のタケットになり得る。
2010年、新規機序として、Leucyl t−RNA synthetaseのOBORT(Oxaborole t−RNA trapping)機序が報告された。これは、オキサボロール化合物がLeucyl t−RNA synthetaseのediting domainに結合し、t−RNA末端A76と共有結合してt−RNAをtrappingする新規メカニズムである。真核生物とバクテリアのediting domainの構造に差があるので、選択性がある。したがって、Leucyl t−RNA synthetase抑制剤は、グラム陰性菌に効果的な薬物として開発され得る。
ベンズオキサボロール(Benzoxaborole)化合物は、発酵産物でない新たな合成抗生剤であって、多様な構造の誘導体が知られている。オキサボロールのようなボロンを含む化合物は、US2006/0234981およびUS2007/0155699に有用な抗生物質として記述されている。また、ベンズオキサボロール誘導体は、WO2008/157726、WO2009/140309、WO2011/060196およびWO2012/033858およびWO2013/093615に記述されている。
WO2008/157726には、トリサイクリックベンズオキサボロールの7,8番位置に置換基を有さない誘導体(Compound A)だけが具体的に言及されており、例えば、(7,8−ジヒドロ−2H−1,6,9−トリオキサ−9a−ボラベンゾ[cd]アズレン−2−イル)メタンアミンが開示されている。前記トリサイクリックベンズオキサボロール化合物は、多数のグラム陰性菌で弱い抗菌力を示すだけでなく、アシネトバクターバウマニ、特にカルバペネム耐性を有するアシネトバクターバウマニにはほとんど抗菌力を示さない。
WO2013/093615は、トリサイクリックベンズオキサボロールの8番位置に置換基を有する化合物、および7番位置にヒドロキシメチル基が置換された化合物のみを具体的な合成例に提示しているだけである。
したがって、グラム陰性菌に選択的に結合して作用的活性を示し、副作用を最小化させることができる新規なベンズオキサボロール化合物、およびこれを用いて、最近大きな脅威とされているグラム陰性菌、特に多剤耐性グラム陰性細菌による感染症の治療剤が切実に必要な状態である。
本発明の目的は、新規なトリサイクリックベンズオキサボロール化合物を提供することである。
また、本発明の目的は、前記新規なトリサイクリックベンズオキサボロール化合物の製造方法を提供することである。
さらに、本発明の目的は、前記新規なトリサイクリックベンズオキサボロール化合物を有効成分として含む多剤耐性グラム陰性菌を含むグラム陰性菌に対する抗生剤を提供することである。本発明の化合物は、グラム陰性菌に選択的に結合して作用的活性を示し、副作用を最小化させることができる。本発明のさらなる目的は、本発明に係るトリサイクリックベンズオキサボロール化合物を用いたグラム陰性菌の抗菌、滅菌または殺菌方法に関する。
本発明のさらなる目的は、本発明に係るトリサイクリックベンズオキサボロール化合物を対象に治療学的有効量で投与する段階を含む、グラム陰性菌による感染症を予防または治療する方法を提供することである。
本発明の目的は、本発明に係るトリサイクリックベンズオキサボロール化合物を用いたグラム陰性菌の抗菌、滅菌または殺菌の用途に関する。
本発明のさらなる目的は、本発明に係るトリサイクリックベンズオキサボロール化合物を含む、グラム陰性菌による感染症を予防または治療するための用途を提供することである。
本発明は、下記化学式1で表されるトリサイクリックベンズオキサボロール化合物、その異性体、またはその薬学的に許容可能な塩を提供する。
Figure 0006130600
本発明の他の実施形態は、前記化学式1の化合物、その異性体、またはそれらの薬学的に許容される塩を有効成分として含むグラム陰性細菌に対する抗生剤用薬学的組成物を提供する。好ましくは、前記グラム陰性細菌は、Acinetobacter baumannii、Citrobacter freundii、Escherichia coli、Enterobacter cloacae、Enterobacter aerogenes、Klebsiella pneumoniae、Klebsiella oxytoca、Morganella morganii、Pseudomonas aeruginosa Proteus vulgaris、Proteus mirabilis、Neisseria gonorrhoeae、またはSerratia marcescensであってもよい。前記グラム陰性細菌は、カルバペネム(carbapenem)耐性グラム陰性細菌であってもよい。
本発明者らは、細菌感染に対する治療効果を有するベンズオキサボロール化合物について研究する過程で、従来知られた物質よりin vitroで同等またはそれ以上の抗菌効果を有し、in vivoでグラム陰性菌に対する抗菌効果に優れた化合物を製造し、これをグラム陰性菌感染治療剤としてさらに有用に使用できることを確認し、本発明を完成した。
具体的には、本発明の化合物は、従来知られた(8−メチル−7,8−ジヒドロ−2H−1,6,9−トリオキサ−9a−ボラベンゾ[cd]アズレン−2−イル)メタンアミンヒドロクロライドと比較して、in vitro結果から、多数のグラム陰性菌、特にカルバペネム耐性アシネトバクターバウマニなどに対して強い抗菌力を示すだけでなく、in vivo薬効評価モデルにおいても優れた細菌感染治療効果を示すことを確認することができた。また、本発明の化合物は、周知の((2S,8R)−2−(アミノメチル)−7,8−ジヒドロ−2H−1,6,9−トリオキサ−9a−ボラベンゾ[cd]アズレン−8−イル)メタノールヒドロクロライドと比較して、アシネトバクターバウマニを含む主要病原性細菌に対して強いin vitro抗菌力を示し、in vivo薬効モデルの評価においても優れた細菌感染治療効果を示すことを確認することができた。
そこで、本発明者らは、グラム陰性菌に選択的に結合して作用的活性を示し、副作用を最小化させることができる新規なベンズオキサボロール化合物およびこれを用いてアシネトバクターバウマニを含むグラム陰性菌などによる抗生剤および/または細菌感染症の治療剤を提供する。
以下、本明細書で使われた用語について簡略に説明する。
本明細書で使われた用語「薬学的に許容可能な塩(pharmaceutically acceptable salt)」は、化合物が投与される有機体に深刻な刺激を誘発せず、化合物の生物学的活性と物性を損なわない化合物の塩形態を意味するもので、本発明の場合、化学式1の化合物の生物学的有効性および特性を同等に保有し、薬剤学的、生物学的または他の特性の観点で好ましい任意の塩を総称することができる。前記薬学的に許容可能な塩は、薬学的に許容される陰イオンを含有する無毒性酸付加塩を形成する酸、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸などのような無機酸;酒石酸、ギ酸、クエン酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、グルコン酸、安息香酸、乳酸、マンデル酸、フマル酸、マレイン酸、サリチル酸などのような有機カルボン酸;またはメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などのようなスルホン酸などによって形成された酸付加塩であってもよい。具体例として、遊離塩基形態の化合物と、化学量論的量の適切な酸と反応させて、一実施形態の化合物の酸付加塩を得ることができる。
この時、前記反応は、水、有機溶媒、またはそれらの混合物中で行われてもよく、具体的には、エーテル、エチルアセテート、エタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリルなどの非水性媒質中で行われてもよい。その他にも、薬剤学的に許容される塩の形態に応じて、当業者に自明な通常の反応によって各形態の塩を得ることができる。また、前記薬学的に許容可能な塩は、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどによって形成されたアルカリ金属塩またはアルカリ土金属塩;リシン、アルギニン、グアニジンなどのアミノ酸塩;またはジシクロヘキシルアミン、N−メチル−D−グルカミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、ジエタノールアミン、コリン、トリエチルアミンなどの有機塩などであってもよい。
本明細書で使われた用語「異性体」は、同一の化学式または分子式を有するが、光学的または立体的に異なる化合物またはその塩を意味する。このような異性体、その塩、および異性体の混合物(racemic mixture)も本発明の範囲に含まれる。
本発明に係るトリサイクリックベンズオキサボロール化合物は、前記化合物のラセミ体、鏡像異性体、部分立体異性体、鏡像異性体の混合物、または部分立体異性体の混合物であってもよい。
具体的には、前記化学式1で表される化合物は、不斉炭素中心を有してもよく、不斉炭素中心を有する時、それぞれの光学異性体、部分光学異性体、またはラセミ体として存在し得、これらを含む全ての形態の異性体も発明の一実施形態に係る化合物の範疇に含まれる。
本発明に係る化学式1の化合物または薬学的に許容可能な塩は、多型(polymorphism)を示してもよく、溶媒和物(例えば、水和物など)として存在し得る。そして、各化合物は、個別立体異性体またはその混合物を含む。
本明細書で使われた用語「薬学的有効量(pharmaceutically effective amount)」は、目的の薬学的効果が得られる有効成分の量を意味し、場合によっては、目的の薬学的効果発揮のための薬学組成物内の有効成分の濃度または投与量を意味することができる。
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明の一例において、下記化学式1の化合物、その異性体、またはそれらの薬学的に許容可能な塩が提供される。
Figure 0006130600
本発明において、前記異性体は、同一の化学式または分子式を有するが、光学的または立体的に異なる化合物またはその塩を意味する。このような異性体、その塩、および異性体の混合物(racemic mixture)も本発明の範囲に含まれる。
具体的には、本発明の異性体は、前記トリサイクリックベンズオキサボロール化合物は、前記化合物のラセミ体、鏡像異性体、部分立体異性体、鏡像異性体の混合物、または部分立体異性体の混合物であってもよい。
本発明の一例において、前記異性体は、前記化学式1の化合物の光学異性体、立体異性体、または前記異性体の混合物(ラセミ混合物)であってもよい。前記光学異性体として前記化合物上の任意の不斉炭素原子は、(R)−、(S)−、または(R,S)−配位のいかなる形態でも存在し得、好適には、それぞれの分離された形態の(R)−または(S)−配位で存在し得る。
前記トリサイクリックベンズオキサボロール環の2番炭素および7番位置の炭素からなる群より選択された少なくとも1つ以上の不斉炭素が光学異性体であってもよいし、例えば、(2S)異性体、(2R)異性体、(7S)異性体、(7R)異性体、(2S,7S)異性体、(2S,7R)異性体、(2R,7S)異性体、または(2R,7R)異性体であってもよいが、これに制限されるわけではない。
本発明の一具体例において、本発明の異性体は、下記化学式2で表される(2S)異性体であってもよい。
Figure 0006130600
本発明の他の具体例において、本発明の異性体は、下記化学式3で表される(2S,7R)異性体であってもよい。
Figure 0006130600
本発明に係る一例として、前記化学式1の化合物またはその異性体は、下記化合物からなる群より選択されるものであってもよい:
1)(7−メチル−7,8−ジヒドロ−2H−1,6,9−トリオキサ−9a−ボラベンゾ[cd]アズレン−2−イル)メタンアミンヒドロクロライド;
2)((2S)−7−メチル−7,8−ジヒドロ−2H−1,6,9−トリオキサ−9a−ボラベンゾ[cd]アズレン−2−イル)メタンアミンヒドロクロライド;
3)((2S,7R)−7−メチル−7,8−ジヒドロ−2H−1,6,9−トリオキサ−9a−ボラベンゾ[cd]アズレン−2−イル)メタンアミンヒドロクロライド;
4)((2S,7R)−7−メチル−7,8−ジヒドロ−2H−1,6,9−トリオキサ−9a−ボラベンゾ[cd]アズレン−2−イル)メタンアミン;および
5)((2S,7S)−7−メチル−7,8−ジヒドロ−2H−1,6,9−トリオキサ−9a−ボラベンゾ[cd]アズレン−2−イル)メタンアミンヒドロクロライド。
本発明の一例において、化学式1で表される本発明のトリサイクリックベンズオキサボロール化合物は、薬学的に許容可能な塩の形態で使用でき、塩としては、薬学的に許容可能な遊離酸(free acid)によって形成された酸付加塩が有用である。遊離酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸などのような無機酸;酒石酸、ギ酸、クエン酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、グルコン酸、安息香酸、乳酸、マンデル酸、フマル酸、マレイン酸、サリチル酸などのような有機カルボン酸;またはメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などのようなスルホン酸が挙げられるが、これに制限されるわけではない。例えば、本発明のトリサイクリックベンズオキサボロール化合物は、薬学的に許容可能な酸付加塩は、塩酸塩であってもよい。
また、本発明の前記化学式1で表されるトリサイクリックベンズオキサボロール化合物は、薬学的に許容される塩だけでなく、通常の方法によって製造できる全ての塩、水和物、および溶媒和物を全て含む。
本発明に係る付加塩は、通常の方法で製造することができ、例えば、化学式1の化合物を、水混和性有機溶媒、例えば、アセトン、メタノール、エタノール、またはアセトニトリルなどに溶かし、過剰の有機酸を加えたり無機酸の酸水溶液を加えた後、沈殿させたり結晶化させて製造することができる。次に、この混合物から溶媒や過剰の酸を蒸発させた後、乾燥させて付加塩を得たり、または析出された塩を吸引ろ過させて製造することができる。
また、本発明は、化学式1のトリサイクリックベンズオキサボロール化合物の製造方法を提供する。本発明のトリサイクリックオキサボロール誘導体は、立体異性体の種類によって多様な方法で製造できるが、下記例示した方法によって製造できる。下記提示された製造方法は例示に過ぎず、目的の化合物に応じて当業者によって容易に変形できることは自明であるので、下記例示した方法が、本発明に係るトリサイクリックベンズオキサボロール化合物を製造する方法を限定するものではない。
本発明に係る化学式1の化合物を製造する方法は、
化学式4の化合物と化学式5の化合物とをカップリングして、化学式6の化合物を製造する段階;
Figure 0006130600
化学式6の化合物をボリレーション反応させて、化学式7の化合物を製造した後に、シアン化して、化学式8のシアノベンズオキサボロール化合物を製造する段階;
Figure 0006130600
化学式8の化合物を還元しながらシアノ基をアミノ基に置換したアミノベンズオキサボロールの化学式9の化合物を製造する段階;
Figure 0006130600
化学式9の化合物のアミノ基に保護基(PG)を導入して、化学式10の化合物を製造し、化学式10の化合物を縮合反応させて保護基(PG)を除去し、環化反応を行って、化学式11のトリサイクリックベンズオキサボロール化合物を製造する段階;および
Figure 0006130600
化学式11の化合物のアミノ基を脱保護化(PG)して、化学式1の化合物を製造する段階を含むことができる。
また、本発明に係る化学式1の化合物を製造する方法は、化学式4の化合物と化学式5の化合物とをカップリングして、化学式6の化合物を製造する段階;
Figure 0006130600
化学式6の化合物をニトロ化したり、あるいはキラルリガンドまたはキラル触媒を用いて、化学式12の化合物またはその異性体を製造し、化学式12の化合物を還元しながらニトロ基をアミノ基に置換した化学式13の化合物を製造する段階;
Figure 0006130600
化学式13の化合物のアミノ基に保護基(PG)を導入して、化学式14の化合物を製造し、化学式14の化合物をボリレーション反応させて、化学式10のベンズオキサボロール化合物を製造する段階;
Figure 0006130600
化学式10の化合物を縮合反応させて保護基(PG)を除去し、環化反応を行って、化学式11のトリサイクリックベンズオキサボロール化合物を製造する段階;および
Figure 0006130600
化学式11の化合物のアミノ基を脱保護化して、化学式1の化合物を製造する段階を含むことができる。
前記化学式4〜14において、
PGおよびPGは、活性基を保護する保護基(Protecting Group)であって、それぞれ独立に、ベンジル、t−ブチル、Boc(tert−butyloxycarbonyl)、pmb(4−methoxybenzyl)、Fmoc(Fluorenylmethyloxycarbonyl)、Ts(tosylate)、MOM(methoxymethyl)、THP(tetrahydropyranyl)、TBDMS(tert−butyldimethylsilyl)、またはTBDPS(tert−butyldiphenylsilyl)であり、
LGは、縮合反応で脱落する脱離基(Leaving Group)であって、ハロゲン、パラ−トルエンスルホニル基、またはメタンスルホニル基であり、
Xは、水素、ハロゲン、またはトリフルオロメタンスルホニルである。
Yは、水素またはPGである。
本発明の一具体例において、前記ボリレーション反応は、ビス(ピナコラト)ジボロンまたは2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロランを用いて行われてもよいが、これに制限されるわけではない。
本発明の他の例において、前記化学式1の化合物、その異性体、およびそれらの薬学的に許容可能な塩からなる群より選択された1種以上を有効成分として含む薬学組成物、特にグラム陰性菌抗生剤用薬学的組成物を提供する。
本発明の一実施形態は、本発明に係るトリサイクリックベンズオキサボロール化合物を、グラム陰性菌による感染に関連する疾病の予防および/または治療が必要な対象に治療学的有効量で投与する段階を含む、グラム陰性菌による感染症を予防または治療する方法を提供する。前記投与段階の前に、グラム陰性菌による感染に関連する疾病の予防および/または治療を必要とする患者の確認段階が追加的に含まれていてもよい。
本発明のさらなる実施形態において、前記化学式1の化合物、その異性体、およびそれらの薬学的に許容可能な塩からなる群より選択された1種以上を有効成分として含むグラム陰性細菌の抗生剤の用途、またはグラム陰性細菌による感染症を予防および/または治療するための用途に関する。
本発明に係る薬学的組成物、治療方法および用途に使用される前記化学式1の化合物、その異性体、およびそれらの薬学的に許容可能な塩については、上述した通りである。
本発明に係る新規なトリサイクリックベンズオキサボロール化合物は、グラム陰性菌に対する抗菌スペクトルが広く、特に多薬剤耐性(multi−drug resistance)を示すグラム陰性細菌、例えば、アシネトバクターバウマニ菌に優れた抗菌力を示すため、新規抗生物質として有用に使用できる。前記グラム陰性細菌は、好ましくはカルバペネム耐性グラム陰性細菌である。グラム陰性細菌の具体例は、A.baumannii、C.freundii、E.coli、E.cloacae、E.aerogenes、K.pneumoniae、K.oxytoca、M.morganii、P.aeruginosa、P.vulgaris、P.mirabilis、N.gonorrhoeae、またはS.marcescensであってもよい。最も好ましくは、カルバペネム耐性アシネトバクターバウマニ(A.baumannii)に対する抗生剤用薬学的組成物に関する。
前記化学式1の化合物、その異性体またはそれらの薬学的に許容可能な塩を有効成分として含有する薬学組成物は、通常の医薬品製剤の形態に製剤化されて使用できる。例えば、前記医薬品製剤は、経口投与または非経口投与のための様々な製剤に製造でき、前記製剤の形態は、使用方法、投与方法、投与目的などに応じて多様に決定できる。
経口投与または非経口投与のための様々な製剤に製造される場合、通常使用される充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤などの希釈剤、賦形剤などからなる群より選択された1種以上を用いて製剤化することができる。
経口投与のための固形製剤として、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などが含まれていてもよいし、このような固形製剤は、前記有効成分と少なくとも1つ以上の賦形剤、例えば、デンプン、カルシウムカーボネート(calcium carbonate)、スクロース(sucrose)、ラクトース(lactose)、ゼラチンなどからなる群より選択された1つ以上を混合して製造することができる。また、単純な賦形剤のほか、マグネシウムスチレートタルクのような潤滑剤も使用できる。さらに、経口投与のための液状製剤としては、懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤などが含まれていてもよい。前記液状製剤に製剤化する場合、通常使用される単純希釈剤の水、および/またはリキッドパラフィンなどが使用でき、任意に、その他様々な賦形剤、例えば、湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などからなる群より選択された1つ以上が追加的に含まれていてもよい。
非経口投与は、静脈投与、筋肉内投与、皮下投与、腹腔内投与、鼻腔内投与、経皮投与などの経路によって行われるものであってもよい。前記非経口投与のための製剤には、滅菌された水溶液、非水性溶液、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、坐剤などが含まれる。非水性溶液製造のための非水性溶剤、または懸濁剤製造のための懸濁溶剤としては、プロピレングリコール(propylene glycol)、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物性油、エチルオレートのような注射可能なエステルなどが挙げられる。坐剤の基剤としては、ウィテプゾール(witepsol)、マクロゴール、トゥイーン(tween)61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロゼラチンなどが挙げられる。
前記薬学組成物内の前記化学式1の化合物、その異性体およびそれらの薬学的に許容可能な塩からなる群より選択された1種以上の有効成分の含有量は、例えば、0.001〜99.9重量%、0.01〜90重量%、または0.1〜50重量%であってもよいが、これに制限されず、製剤の形態、投与方法、投与目的などに応じて適宜調節可能である。
これとともに、本発明の前記化学式1の化合物、その異性体および/またはそれらの薬学的に許容される塩を有効成分として含有する薬学組成物の薬学的有効量は、前記有効成分の量を基準として、約0.1〜約1,000mg/lの範囲であってもよい。前記薬学的有効量は、患者の体重、年齢、性別、健康状態、食事、投与時間、投与方法、排泄率、疾患の重症度などを考慮して、1日1回から数回に分けて投与または服用できるが、これに制限されず、多様な投与用量および方法で投与可能である。
また、本発明のトリサイクリックベンズオキサボロール誘導体が経口投与用の場合、本発明の化学式1の化合物またはその薬学的に許容される塩は、製剤内の1〜95重量%含有され、好ましくは1〜70重量%含有されてもよい。
前記患者は、哺乳類、例えば、ヒトを含む霊長類、マウス、ラットなどを含むげっ歯類などであってもよいし、具体的には、ヒトであってよい。例えば、前記患者は、本発明に係る化合物の投与によって症状または疾病が予防、改善、および/または治療可能な対象である哺乳類、例えば、ヒトであってよい。
本発明に係るトリサイクリックベンズオキサボロール化合物は、耐性菌に対する抗菌スペクトルが広く、毒性が低く、グラム陰性細菌に関する優れた抗菌活性を有し、特に抗生剤耐性を有するグラム陰性菌、例えば、アシネトバクターバウマニなどの微生物を含む人間および各種動物の病原菌に強い抗菌効果を示し、グラム陰性菌抗生剤またはその感染に関連する疾患の予防、改善、および/または治療に有用に使用できる。
以下、本発明の理解のために好ましい実施例および実験例を提示する。しかし、下記の実施例および実験例は、本発明をより容易に理解するために提供されるものに過ぎず、実施例によって本発明の内容が限定されるものではない。
以下に使用された試薬は、特別な言及がない限り、Aldrich Korea、Acros、Lancaster、TCI、Alfa aesarなどから購入したものであり、1H NMRは、Varian 400MHz、600MHzを使用した。
[実施例1](7−メチル−7,8−ジヒドロ−2H−1,6,9−トリオキサ−9a−ボラベンゾ[cd]アズレン−2−イル)メタンアミンヒドロクロライドの合成
Figure 0006130600
[段階1]1−(ベンジルオキシ)プロパン−2−オールの合成
Figure 0006130600
1,2−プロパンジオール(5g、65.7mmol)、NaH(3.29g、82.0mmol)を、N,N−ジメチルホルムアミド(70mL)に溶かした後、ベンジルブロミド(7.82mL、65.7mmol)を0℃で加えて、2時間室温で撹拌した。反応が終わった後、水とエチルアセテートで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過、濃縮して得られた残留物をカラムクロマトグラフィーで精製して、表題化合物(4.45g、41%)を得た。
H−NMR(CDCl,Varian 400MHz):δ1.15(3H,d,J=6.4Hz),2.37(1H,brs),3.28(1H,dd,J=9.4,8.2Hz),3.47(1H,dd,J=9.4,3.0Hz),3.98−4.02(1H,m),4.56(2H,s),7.25−7.38(5H,m)。
[段階2]1−(ベンジルオキシ)プロパン−2−イルメタンスルホネートの合成
Figure 0006130600
段階1で製造された1−(ベンジルオキシ)プロパン−2−オール(4.5g、27.1mmol)を、ピリジン(50mL)に溶かした後、0℃でメタンスルホニルクロライド(2.32ml、29.8mmol)を加えて、3時間室温で撹拌した。反応が終わった後、水とエチルアセテートで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過、濃縮して得られた残留物をカラムクロマトグラフィーで精製して、表題化合物(6.00g、91%)を得た。
H−NMR(CDCl,Varian 400MHz):δ1.25(3H,d,J=6.4Hz),3.01(3H,s),3.51−3.61(2H,m),4.56(2H,d,J=2.0Hz),4.89−4.94(1H,m),7.26−7.37(5H,m)。
[段階3]3−((1−(ベンジルオキシ)プロパン−2−イル)オキシ)−2−ブロモベンズアルデヒドの合成
Figure 0006130600
段階2で製造された1−(ベンジルオキシ)プロパン−2−イルメタンスルホネート(3.65g、14.9mmol)と2−ブロモ−3−ヒドロキシベンズアルデヒド(3.00g、14.9mmol)を、N,N−ジメチルホルムアミド(50mL)に溶かした後、KCO(4.13g、29.8mmol)を加えて、100℃で16時間還流撹拌した。反応物の温度を常温に下げ、水とエチルアセテートで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過、濃縮して得られた残留物をカラムクロマトグラフィーで精製して、表題化合物(4.06g、78%)を得た。
H−NMR(CDCl,Varian 400MHz):δ1.40(3H,d,J=6.4Hz),3.65(1H,dd,J=10.0,4.0Hz),3.75(1H,dd,J=10.4,6.4Hz),4.61−4.65(3H,m),7.23(1H,dd,J=8.2,1.4Hz),7.28−7.35(6H,m),7.52(1H,dd,J=8.2,1.0Hz),10.43(1H,d,J=0.4Hz)。
[段階4]3−((1−(ベンジルオキシ)プロパン−2−イル)オキシ)−2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンズアルデヒドの合成
Figure 0006130600
段階3で製造された3−((1−(ベンジルオキシ)プロパン−2−イル)オキシ)−2−ブロモベンズアルデヒド(3.00g、8.59mmol)を、ジオキサン(60mL)に溶かした後、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンジクロロパラジウム(314mg、0.43mmol)、ポタシウムアセテート(1.68g、17.2mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(4.36g、17.2mmol)を加えて、100℃で1時間還流撹拌した。反応物の温度を常温に下げ、水とエチルアセテートで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過、濃縮して得られた残留物をカラムクロマトグラフィーで精製して、表題化合物(700mg、20%)を得た。
H−NMR(CDCl,Varian 400MHz):δ1.35(3H,d,J=6.0Hz),1.43(12H,s),3.64(1H,dd,J=10.0,5.2Hz),3.69(1H,dd,J=10.0,5.6Hz),4.55(2H,d,J=3.2Hz),4.60(1H,dd,J=12.0,5.6Hz),7.18(1H,d,J=8.0Hz),7.27−7.34(5H,m),7.38(1H,d,J=6.4Hz),7.43(1H,t,J=7.8Hz),9.92(1H,s)。
[段階5]7−((1−(ベンジルオキシ)プロパン−2−イル)オキシ)−1−ヒドロキシ−1,3−ジヒドロベンゾ[c][1,2]オキサボロール−3−カルボニトリルの合成
Figure 0006130600
段階4で製造された3−((1−(ベンジルオキシ)プロパン−2−イル)オキシ)−2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンズアルデヒド(700mg、1.76mmol)を、水(1ml)とテトラヒドロフラン(1ml)に溶かした後、常温でシアン化ナトリウム(87mg、1.78mmol)を加えた。常温で1時間撹拌後、2N塩酸で反応物がpH1となるように加えた後、反応を終え、エチルアセテートで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過、濃縮して得られた残留物をカラムクロマトグラフィーで精製して、表題化合物(500mg、88%)を得た。
H−NMR(CDCl,Varian 400MHz):δ1.21−1.24(3H,m),3.59−3.70(2H,m),4.30−4.42(1H,m),4.43−4.52(1H,m),4.66−4.77(2H,m),5.79(1H,s),5.82(1H,s),7.01(1H,d,J=8.0Hz),7.25−7.39(5H,m),7.53(1H,td,J=7.7,1.9Hz),8.13(1H,s),8.26(1H,s)。
[段階6]t−ブチル((7−((1−(ベンジルオキシ)プロパン−2−イル)オキシ)−1−ヒドロキシ−1,3−ジヒドロベンゾ[c][1,2]オキサボロール−3−イル)メチル)カルバメートの合成
Figure 0006130600
段階5で製造された7−((1−(ベンジルオキシ)プロパン−2−イル)オキシ)−1−ヒドロキシ−1,3−ジヒドロベンゾ[c][1,2]オキサボロール−3−カルボニトリル(500mg、1.55mmol)を、無水テトラヒドロフラン(10ml)に溶解した後、これに、1Mボランテトラヒドロフラン複合体(3.1ml)試薬を常温で徐々に加える。以降、反応物を3時間還流撹拌した後、徐々に冷却して反応物の温度を常温に下げる。メタノール(10ml)を反応物に徐々に加えた後、減圧濃縮で共沸蒸留する。メタノール(10ml)を3回用いて前記過程を3回繰り返した後、濃縮された反応物をテトラヒドロフラン(10ml)に溶解する。反応物にトリエチルアミン(0.42ml)とジ−t−ブチルジカーボネート(0.35ml)を順に加えた後、常温で4時間撹拌する。2N塩酸で反応物を酸性にした後、エチルアセテート(50ml)で2回抽出した後、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過、濃縮して得られた残留物をカラムクロマトグラフィーで精製して、表題化合物(340mg、51%)を得た。
H−NMR(CDCl,Varian 400MHz):δ1.22(3H,d,J=6.4Hz),1.42(9H,s),2.98−3.08(1H,m),3.58−3.69(2H,m),3.82−3.95(1H,m),4.36−4.43(1H,m),4.64−4.76(1H,m),4.96−5.08(1H,m),5.19−5.24(1H,m),6.89(1H,d,J=7.6Hz),7.09(1H,d,J=7.6Hz),7.31−7.46(6H,m),7.53(1H,s),7.60(1H,s)。
[段階7]t−ブチル((7−メチル−7,8−ジヒドロ−2H−1,6,9−トリオキサ−9a−ボラベンゾ[cd]アズレン−2−イル)メチル)カルバメートの合成
Figure 0006130600
段階6で製造されたt−ブチル((7−((1−(ベンジルオキシ)プロパン−2−イル)オキシ)−1−ヒドロキシ−1,3−ジヒドロベンゾ[c][1,2]オキサボロール−3−イル)メチル)カルバメート(200mg、0.439mmol)と、パラジウムヒドロキシド(12.3mg、0.088mmol)を、メタノール(5ml)に溶かした後、水素反応しながら1時間撹拌した。反応液をエチルアセテートを用いてセライトでフィルタした後、ろ液を減圧ろ過して、表題化合物(140mg、89%)を得た。
H−NMR(CDCl,Varian 400MHz):δ1.42(9H,s),1.47(3H,d,J=6.8Hz),2.98−3.08(1H,m),3.80−3.93(1H,m),4.22(2H,s),4.18−4.42(1H,m),4.90−5.18(1H,m),5.30−5.37(1H,m),6.85(1H,d,J=8.0Hz),6.98(1H,d,J=7.2Hz),7.42(1H,t,J=7.8Hz)。
[段階8](7−メチル−7,8−ジヒドロ−2H−1,6,9−トリオキサ−9a−ボラベンゾ[cd]アズレン−2−イル)メタンアミンヒドロクロライドの合成
Figure 0006130600
段階7で製造されたt−ブチル((7−メチル−7,8−ジヒドロ−2H−1,6,9−トリオキサ−9a−ボラベンゾ[cd]アズレン−2−イル)メチル)カルバメート(140mg、0.439mmol)を、ジオキサン(5ml)に溶かした後、0℃で塩酸溶液(4Nジオキサン溶液、3.29ml、13.1mmol)を加えた。反応液を室温で16時間撹拌し、減圧濃縮して溶媒を除去し、エチルエーテルに溶かして生成された固体をフィルタして、表題化合物(92.0mg、96%)を得た。
H−NMR(CDOD,Varian 400MHz):δ1.43(3H,s),2.91−2.99(1H,m),3.58(1H,td,J=13.0,2.7Hz),4.15−4.42(3H,m),5.46(1H,t,J=10.4Hz),6.88(1H,d,J=8.0Hz),7.03(1H,d,J=7.2Hz),7.47(1H,t,J=7.8Hz)。
[実施例2]((2S)−7−メチル−7,8−ジヒドロ−2H−1,6,9−トリオキサ−9a−ボラベンゾ[cd]アズレン−2−イル)メタンアミンヒドロクロライドの合成
Figure 0006130600
[段階1]1−(ベンジルオキシ)プロパン−2−イルメタンスルホネートの合成
Figure 0006130600
出発物質1−(ベンジルオキシ)プロパン−2−オール(36g、217mmol)とジイソプロピルエチルアミン(39.2g、303mmol)を、トルエン(540mL)に溶かした後、0℃でメタンスルホニルクロライド(2.32ml、29.8mmol)を加えて、2時間撹拌した後、室温で1時間さらに撹拌した。反応が終わった後、水(500ml)とトルエン(200ml、2回)を加えて抽出した。有機層を飽和アンモニウムクロライド水溶液(200ml)と飽和塩化ナトリウム水溶液(200ml)で抽出して拭き取った後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過、濃縮して得られた残留物を乾燥して、表題化合物(53g)を得た。
H−NMR(CDCl,Varian 400MHz):δ1.40(3H,d,J=6.4Hz),3.01(3H,s),3.52−3.61(2H,m),4.55&4.57(2H,ABq,JAB=11.8Hz),4.88−4.96(1H,m),7.26−7.38(5H,m)。
[段階2]3−((1−(ベンジルオキシ)プロパン−2−イル)オキシ)ベンズアルデヒドの合成
Figure 0006130600
出発物質3−ヒドロキシベンズアルデヒド(26.5g、217mmol)と炭酸ポタシウム(36.0g、261mmol)を、ジメチルホルムアミド(540mL)に溶かした後、0℃で30分間撹拌する。実施例1の段階1の方法で製造された1−(ベンジルオキシ)プロパン−2−イルメタンスルホネート(53g、217mmol)を徐々に加えた後、100℃で10時間撹拌した後、反応物を常温で徐々に冷ます。反応物に氷水(1L)とヘプタン(500ml、2回)を加えて抽出した後、有機層を0.02N水酸化ナトリウム水溶液(200ml、2回)、0.01N塩酸水溶液(200ml)、飽和塩化ナトリウム水溶液(200ml)で抽出して拭き取った後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過、濃縮して得られた残留物を乾燥して、表題化合物(46g、78%)を得た。
H−NMR(CDCl,Varian 400MHz):δ1.35(3H,d,J=6.0Hz),3.68(1H,dd,J=10.4,6.0Hz),3.59(1H,dd,J=10.0,4.4Hz),4.59(2H,s),4.63−4.71(1H,m),7.18−7.21(1H,m),7.28−7.36(5H,m),7.40−7.46(3H,m),9.95(1H,s)。
[段階3](1S)−1−(3−((1−(ベンジルオキシ)プロパン−2−イル)オキシ)フェニル)−2−ニトロエタン−1−オールの合成
Figure 0006130600
酢酸銅一水和物(0.739g、3.70mmol)と(1R)−1,7,7−トリメチル−N−(ピリジン−2−イルメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−アミン(0.994g、4.07mmol)を、エタノール(110mL)に溶かした後、常温で1時間撹拌する。ニトロメタン(22.6g、370mmol)を反応物に徐々に加えた後、反応物を−30℃まで下げて30分間撹拌する。段階1で製造された3−((1−(ベンジルオキシ)プロパン−2−イル)オキシ)ベンズアルデヒド(20g、74mmol)をエタノール(40ml)に希釈して、これを、−30℃を維持している反応物に約1時間以上徐々に加える。撹拌されている−30℃の反応物にジイソプロピルエチルアミン(1.29ml、7.40mmol)を入れて、同じ温度で24時間以上撹拌した後、反応物の温度を常温に徐々に上昇させる。反応物に1N塩酸水溶液(300ml)とジクロロメタン(300ml)を加えて抽出した後、水層をジクロロメタン(80ml、2回)でさらに抽出する。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(100ml)で抽出して拭き取った後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過、濃縮して得られた残留物を乾燥して、表題化合物(25.3g)を得た。
H−NMR(CDCl,Varian 400MHz):δ1.33(3H,m),2.90(1H,brs),3.54−3.59(1H,m),3.61−3.69(1H,m),4.45(1H,m),4.50−4.62(4H,m),5.38(1H,m),6.86−6.99(3H,m),7.24−7.38(6H,m)。
[段階4](1S)−2−アミノ−1−(3−((1−(ベンジルオキシ)プロパン−2−イル)オキシ)フェニル)エタン−1−オールの合成
Figure 0006130600
段階3で製造された(1S)−1−(3−((1−(ベンジルオキシ)プロパン−2−イル)オキシ)フェニル)−2−ニトロエタン−1−オール(25.3g、76.0mmol)を、エタノール(381mL)に溶かした後、触媒として5%パラジウム/活性炭(4.06g、1.91mmol)と5%白金/活性炭(1.01g、0.259mmol)を入れる。常温(約25℃)で50〜60psiの圧力で水素反応を9時間以上進行させた後、セライトを用いてろ過してパラジウムと白金を除去する。ろ液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過、濃縮して得られた残留物を乾燥して、表題化合物(22.2g、97%)を得た。
[段階5](1S)−1−(3−((1−(ベンジルオキシ)プロパン−2−イル)オキシ)フェニル)−2−(ジベンジルアミノ)エタン−1−オール塩酸塩の合成
Figure 0006130600
段階4で製造された(1S)−2−アミノ−1−(3−((1−(ベンジルオキシ)プロパン−2−イル)オキシ)フェニル)エタン−1−オール(22.2g、73.6mmol)を、エタノール(245ml)に溶かし、炭酸ポタシウム(22.4g、162mmol)を追加した後、常温で約15時間撹拌する。反応物にメチル第3ブチルエーテル(100ml)を入れて、温度を0℃に下げた後、30分間撹拌する。以降、生成された固体沈殿物をセライトを用いてろ過した後、ろ液に飽和塩酸溶液(12.3ml、147mmol)を入れて、30分間撹拌する。以降、濃縮してメチル第3ブチルエーテルおよび過剰の塩酸を除去した後、イソプロパノール(100ml)を用いて共沸蒸留で残っている水を除去する。この共沸蒸留を2、3回繰り返し実施して水を除去した後、残りの固体にイソプロパノール(45ml)を入れて、60℃で2時間撹拌して固体を全て溶かす。再び常温に徐々に温度を下げた後、2時間撹拌し、固体が生成され始める時、常温でメチル第3ブチルエーテル(400ml)を1時間徐々に加えた後、追加的に常温で2時間撹拌する。この時生成された白色固体をろ過した後、ろ過した固体をメチル第3ブチルエーテル(50ml)で拭き取る。こうして得られた固体を減圧乾燥して、白色固体の表題化合物(20.4g、54%)を得た。
H−NMR(CDCl,Varian 400MHz):δ1.28(3H,d,J=6.0Hz),2.98−3.03(1H,m),3.13−3.22(1H,m),3.53(1H,dd,J=10.2,4.6Hz),3.59−3.64(1H,m),4.15−4.18(1H,m),4.34(1H,dd,J=13.2,5.2Hz),4.46−4.55(3H,m),4.57(2H,s),5.07(1H,d,J=9.6Hz),5.42(1H,s),6.62(1H,d,J=6.6Hz),6.75(1H,brs),6.80(1H,dd,J=8.0,2.4Hz),7.15(1H,t,J=7.8Hz),7.26−7.35(5H,m),7.44−7.51(6H,m),7.61−7.63(2H,m),7.67−7.72(2H,m),12.06(1H,brs)。
[段階6](3S)−7−((1−(ベンジルオキシ)プロパン−2−イル)オキシ)−3−((ジベンジルアミノ)メチル)ベンゾ[c][1,2]オキサボロール−1(3H)−オールの合成
Figure 0006130600
段階4で製造された(1S)−1−(3−((1−(ベンジルオキシ)プロパン−2−イル)オキシ)フェニル)−2−(ジベンジルアミノ)エタン−1−オール塩酸塩(10g、19.3mmol)を、窒素充填されたフラスコ(イ)で無水トルエン(77ml)に溶かす。完全に溶け込んでいない状態の反応物を、窒素充填状態を維持しながら40−45℃に温度を上昇させた後、ノルマルブチルリチウム(2.5Mヘキサン溶液、8.49ml、21.2mmol)を約1時間かけて徐々に加える。1時間撹拌した後、反応物の温度を−30℃に下げて撹拌した後、窒素充填状態を維持しながら用いて、ノルマルブチルリチウム(2.5M核酸溶液、37.82ml、94.3mmol)を約1時間かけて徐々に加える。この時、反応物の温度は−20℃以上にならないようにする。他のフラスコ(ロ)に、2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(31.2ml、154mmol)を、テトラヒドロフラン(9ml)と無水トルエン7(7ml)を用いて溶解した後、−40℃に温度を下げて撹拌する。それぞれの反応物の温度を維持しながら、(イ)フラスコの反応物を(ロ)フラスコの反応液に約2時間徐々に滴加する。同じ温度で1時間さらに撹拌した後、反応物の温度を1時間かけて徐々に10℃まで上げた後、撹拌されている反応物に5%炭酸水素ナトリウム水溶液(150ml)を滴加する。懸濁液になった反応物をろ過し、酢酸エチル(50ml)でろ過物を洗う。ろ液中の水層を酢酸エチル(100ml)で2回抽出した後、全ての有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(100ml)で洗った後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過、濃縮して得られた残留物をカラムクロマトグラフィーで精製して、表題化合物(6.03g、62%)を得た。
H−NMR(CDCl,Varian 400MHz):δ1.21(3H,d,J=6.4Hz),2.67(1H,dd,J=14.0,7.6Hz),2.99(1H,dd,J=14.4,3.6Hz),3.56(1H,dd,J=10.0,2.8Hz),3.63(1H,dd,J=10.0,8.0Hz),3.74(2H,d,J=13.6Hz)3.90(2H,d,J=13.6Hz),4.36−4.42(1H,m),4.65&4.72(2H,ABq,JAB=12.4Hz),5.35−5.38(1H,m),6.76−6.83(2H,m),7.19−7.38(16H,m)。
[段階7]((2S)−7−メチル−7,8−ジヒドロ−2H−1,6,9−トリオキサ−9a−ボラベンゾ[cd]アズレン−2−イル)メタンアミンヒドロクロライドの合成
Figure 0006130600
段階6の(3S)−7−((1−(ベンジルオキシ)プロパン−2−イル)オキシ)−3−((ジベンジルアミノ)メチル)ベンゾ[c][1,2]オキサボロール−1(3H)−オール(5.56g、11.0mmol)を、1N塩酸水溶液(13.2ml、13.2mmol)とメタノール(110ml)混合溶液を用いて常温で溶解した後、5%パラジウム/活性炭触媒を反応物に加える。反応物の温度を50℃に上げて撹拌しながら、50〜60psiの圧力で水素ガスを充填する。10時間以上前記状態を維持して反応後、セライトを用いて反応物をろ過してパラジウムを除去する。ろ過したセルライト層をメタノール(10ml)を用いて洗った後、ろ液を濃縮する。イソプロパノール(50ml)をろ過物に入れて、共沸蒸留して水を除去する。共沸蒸留を2−3回さらに行って水を除去した後、得られた固体にイソプロパノール(7ml)を入れて、5時間以上撹拌した後、懸濁液をろ過し、得られた固体をイソプロパノール(3ml)で洗う。ろ過した固体を集めて減圧乾燥して、表題化合物(2.4g、86%)を得た。
H−NMR(DMSO−d6,Varian 400MHz):δ1.40(3H,s),2.82−2.93(1H,m),3.45−3.57(1H,m),4.14−4.30(3H,m),5.50−5.60(1H,m),6.79−6.83(1H,m),7.10−7.15(1H,m),7.48(1H,t,J=7.8Hz),8.40(3H,brs)。
[実施例3]((2S,7R)−7−メチル−7,8−ジヒドロ−2H−1,6,9−トリオキサ−9a−ボラベンゾ[cd]アズレン−2−イル)メタンアミンヒドロクロライドの合成
Figure 0006130600
[段階1](S)−1−(ベンジルオキシ)プロパン−2−イルメタンスルホネートの合成
Figure 0006130600
出発物質(S)−1−(ベンジルオキシ)プロパン−2−オール(36g、217mmol)とジイソプロピルエチルアミン(39.2g、303mmol)を、トルエン(540mL)に溶かした後、0℃でメタンスルホニルクロライド(2.32ml、29.8mmol)を加えて、2時間撹拌した後、室温で1時間さらに撹拌した。反応が終わった後、水(500ml)とトルエン(200ml、2回)を加えて抽出した。有機層を飽和アンモニウムクロライド水溶液(200ml)と飽和塩化ナトリウム水溶液(200ml)で抽出して拭き取った後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過、濃縮して得られた残留物を乾燥して、表題化合物(53g)を得た。
H−NMR(CDCl,Varian 400MHz):δ1.40(3H,d,J=6.4Hz),3.01(3H,s),3.52−3.61(2H,m),4.55&4.57(2H,ABq,JAB=11.8Hz),4.88−4.96(1H,m),7.26−7.38(5H,m)。
[段階2](R)−3−((1−(ベンジルオキシ)プロパン−2−イル)オキシ)ベンズアルデヒドの合成
Figure 0006130600
出発物質3−ヒドロキシベンズアルデヒド(26.5g、217mmol)と炭酸ポタシウム(36.0g、261mmol)を、ジメチルホルムアミド(540mL)に溶かした後、0℃で30分間撹拌する。反応物に、段階1で製造された(S)−1−(ベンジルオキシ)プロパン−2−イルメタンスルホネート(53g、217mmol)を徐々に加えた後、100℃で10時間撹拌した後、反応物を常温で徐々に冷ます。反応物に氷水(1L)とヘプタン(500ml、2回)を加えて抽出した後、有機層を、0.02N水酸化ナトリウム水溶液(200ml、2回)、0.01N塩酸水溶液(200ml)、飽和塩化ナトリウム水溶液(200ml)で抽出して拭き取った後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過、濃縮して得られた残留物を乾燥して、表題化合物(46g、78%)を得た。
H−NMR(CDCl,Varian 400MHz):δ1.35(3H,d,J=6.0Hz),3.68(1H,dd,J=10.4,6.0Hz),3.59(1H,dd,J=10.0,4.4Hz),4.59(2H,s),4.63−4.71(1H,m),7.18−7.21(1H,m),7.28−7.36(5H,m),7.40−7.46(3H,m),9.95(1H,s)。
[段階3](S)−1−(3−(((R)−1−(ベンジルオキシ)プロパン−2−イル)オキシ)フェニル)−2−ニトロエタン−1−オールの合成
Figure 0006130600
酢酸銅一水和物(0.739g、3.70mmol)と(1R)−1,7,7−トリメチル−N−(ピリジン−2−イルメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−アミン(0.994g、4.07mmol)を、エタノール(110mL)に溶かした後、常温で1時間撹拌する。ニトロメタン(22.6g、370mmol)を反応物に徐々に加えた後、反応物を−30℃まで下げて30分間撹拌する。段階2で製造された(R)−3−((1−(ベンジルオキシ)プロパン−2−イル)オキシ)ベンズアルデヒド(20g、74mmol)をエタノール(40ml)に希釈して、これを、−30℃を維持している反応物に約1時間以上徐々に加える。撹拌されている−30℃の反応物にジイソプロピルエチルアミン(1.29ml、7.40mmol)を入れて、同じ温度で24時間以上撹拌した後、反応物の温度を常温に徐々に上昇させる。反応物に1N塩酸水溶液(300ml)とジクロロメタン(300ml)を加えて抽出した後、水層をジクロロメタン(80ml、2回)でさらに抽出する。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(100ml)で抽出して拭き取った後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過、濃縮して得られた残留物を乾燥して、表題化合物(25.3g)を得た。
H−NMR(CDCl,Varian 400MHz):δ1.33(3H,d,J=6.4Hz),2.82(1H,brs),3.56(1H,dd,J=10.4,4.4Hz),3.66(1H,dd,J=10.2,6.2Hz),4.45(1H,dd,J=13.4,3.0Hz),4.51−4.60(2H,m),4.58(2H,s),5.39(1H,dd,J=9.6,2.8Hz),6.89−6.99(3H,m),7.26−7.37(6H,m)。
[段階4](S)−2−アミノ−1−(3−(((R)−1−(ベンジルオキシ)プロパン−2−イル)オキシ)フェニル)エタン−1−オールの合成
Figure 0006130600
段階3で製造された(S)−1−(3−(((R)−1−(ベンジルオキシ)プロパン−2−イル)オキシ)フェニル)−2−ニトロエタン−1−オール(25.3g、76.0mmol)を、エタノール(381mL)に溶かした後、触媒として5%パラジウム/活性炭(4.06g、1.91mmol)と5%白金/活性炭(1.01g、0.259mmol)を入れる。常温(約25℃)で50〜60psiの圧力で水素反応を9時間以上進行させた後、セライトを用いてろ過してパラジウムと白金を除去する。ろ液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過、濃縮して得られた残留物を乾燥して、表題化合物(22.2g、97%)を得た。
H−NMR(CDCl,Varian 400MHz):δ1.32(3H,d,J=6.0Hz),2.39(3H,brs),2.79(1H,dd,J=12.6,7.8Hz),2.97(1H,dd,J=13.0,3.8Hz),3.55(1H,dd,J=8.2,3.0Hz),3.66(1H,dd,J=10.2,5.8Hz),4.58(2H,s),4.56−4.63(2H,m),6.83(1H,dd,J=8.2,1.8Hz),6.90(1H,d,J=7.6Hz),6.95−6.96(1H,m),7.23(1H,t,J=7.8Hz),7.35−7.25(5H,m)。
[段階5](S)−1−(3−(((R)−1−(ベンジルオキシ)プロパン−2−イル)オキシ)フェニル)−2−(ジベンジルアミノ)エタン−1−オール塩酸塩の合成
Figure 0006130600
段階4で製造された(S)−2−アミノ−1−(3−(((R)−1−(ベンジルオキシ)プロパン−2−イル)オキシ)フェニル)エタン−1−オール(22.2g、73.6mmol)を、エタノール(245ml)に溶かし、炭酸ポタシウム(22.4g、162mmol)を追加した後、常温で約15時間撹拌する。反応物にメチル第3ブチルエーテル(100ml)を入れて、温度を0℃に下げた後、30分間撹拌する。以降、生成された固体沈殿物をセライトを用いてろ過した後、ろ液に飽和塩酸溶液(12.3ml、147mmol)を入れて、30分間撹拌する。以降、濃縮してメチル第3ブチルエーテルおよび過剰の塩酸を除去した後、イソプロパノール(100ml)を用いて、共沸蒸留で残っている水を除去する。この共沸蒸留を2、3回繰り返し実施して水を除去した後、残りの固体にイソプロパノール(45ml)を入れて、60℃で2時間撹拌して固体を全て溶かす。再び常温に徐々に温度を下げた後、2時間撹拌し、固体が生成され始める時、常温でメチル第3ブチルエーテル(400ml)を1時間徐々に加えた後、追加的に常温で2時間撹拌する。この時生成された白色固体をろ過した後、ろ過した固体をメチル第3ブチルエーテル(50ml)で拭き取る。こうして得られた固体を減圧乾燥して、白色固体の表題化合物(20.4g、54%)を得た。
H−NMR(CDCl,Varian 400MHz):δ1.28(3H,d,J=6.0Hz),2.98−3.02(1H,m),3.15−3.21(1H,m),3.53(1H,dd,J=10.2,4.6Hz),3.62(1H,dd,J=10.4,6.0Hz),4.17(1H,dd,J=13.4,6.2Hz),4.33(1H,dd,J=13.2,5.2Hz),4.47−4.55(3H,m),4.57(2H,s),5.07(1H,d,J=9.6Hz),5.42(1H,s),6.62(1H,d,J=6.6Hz),6.75(1H,brs),6.80(1H,dd,J=8.0,2.4Hz),7.15(1H,t,J=7.8Hz),7.26−7.35(5H,m),7.45−7.50(6H,m),7.62−7.64(2H,m),7.69−7.71(2H,m),12.06(1H,brs)。
[段階6](S)−7−(((R)−1−(ベンジルオキシ)プロパン−2−イル)オキシ)−3−((ジベンジルアミノ)メチル)ベンゾ[c][1,2]オキサボロール−1(3H)−オールの合成
Figure 0006130600
段階5で製造された(S)−1−(3−(((R)−1−(ベンジルオキシ)プロパン−2−イル)オキシ)フェニル)−2−(ジベンジルアミノ)エタン−1−オール塩酸塩(10g、19.3mmol)を、窒素充填されたフラスコ(イ)で無水トルエン(77ml)に溶かす。完全に溶け込んでいない状態の反応物を、窒素充填状態を維持しながら40−45℃に温度を上昇させた後、ノルマルブチルリチウム(2.5M核酸溶液、8.49ml、21.2mmol)を約1時間かけて徐々に加える。1時間撹拌した後、反応物の温度を−30℃に下げて撹拌した後、窒素充填状態を維持しながら用いて、ノルマルブチルリチウム(2.5M核酸溶液、37.82ml、94.3mmol)を約1時間かけて徐々に加える。この時、反応物の温度は−20℃以上にならないようにする。他のフラスコ(ロ)に、2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(31.2ml、154mmol)を、テトラヒドロフラン(9ml)と無水トルエン(77ml)を用いて溶解した後、−40℃に温度を下げて撹拌する。それぞれの反応物の温度を維持しながら、(イ)フラスコの反応物を(ロ)フラスコの反応液に約2時間徐々に滴加する。同じ温度で1時間さらに撹拌した後、反応物の温度を1時間かけて徐々に10℃まで上げた後、撹拌されている反応物に5%炭酸水素ナトリウム水溶液(150ml)を滴加する。懸濁液となった反応物をろ過し、酢酸エチル(50ml)でろ過物を洗う。ろ液中の水層を酢酸エチル(100ml)で2回抽出した後、全ての有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(100ml)で洗った後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過、濃縮して得られた残留物をカラムクロマトグラフィーで精製して、表題化合物(6.03g、62%)を得た。
H−NMR(CDCl,Varian 400MHz):δ1.21(3H,d,J=6.4Hz),2.67(1H,dd,J=14.0,7.6Hz),2.99(1H,dd,J=14.4,3.6Hz),3.56(1H,dd,J=10.0,2.8Hz),3.63(1H,dd,J=10.0,8.0Hz),3.74(2H,d,J=13.6Hz)3.89(2H,d,J=13.6Hz),4.36−4.41(1H,m),4.65&4.72(2H,ABq,JAB=12.4Hz),5.35−5.38(1H,m),6.78−6.83(2H,m),7.20−7.39(16H,m)。
[段階7]((2S,7R)−7−メチル−7,8−ジヒドロ−2H−1,6,9−トリオキサ−9a−ボラベンゾ[cd]アズレン−2−イル)メタンアミンヒドロクロライドの合成
Figure 0006130600
段階6の(S)−7−(((R)−1−(ベンジルオキシ)プロパン−2−イル)オキシ)−3−((ジベンジルアミノ)メチル)ベンゾ[c][1,2]オキサボロール−1(3H)−オール(5.56g、11.0mmol)を、1N塩酸水溶液(13.2ml、13.2mmol)とメタノール(110ml)混合溶液を用いて常温で溶解した後、5%パラジウム/活性炭触媒を反応物に加える。反応物の温度を50℃に上げて撹拌しながら、50〜60psiの圧力で水素ガスを充填する。10時間以上前記状態を維持して反応後、セライトを用いて反応物をろ過してパラジウムを除去する。ろ過したセライト層をメタノール(10ml)を用いて洗った後、ろ液を濃縮する。イソプロパノール(50ml)をろ過物に入れて、共沸蒸留して水を除去する。共沸蒸留を2−3回さらに行って水を除去した後、得られた固体にイソプロパノール(7ml)を入れて、5時間以上撹拌した後、懸濁液をろ過し、得られた固体をイソプロパノール(3ml)で洗う。ろ過した固体を集めて減圧乾燥して、表題化合物(2.4g、86%)を得た。
H−NMR(DMSO−d6,Varian 400MHz):δ1.41(3H,d,J=6.4Hz),2.87(1H,dd,J=13.2,9.2Hz),3.52(1H,dd,J=13.2,2.4Hz),4.15−4.26(2H,m),4.41(1H,brs),5.54−5.59(1H,m),6.88(1H,d,J=8.4Hz),7.14(1H,d,J=7.2Hz),7.49(1H,t,J=7.8Hz),8.40(3H,brs)。
[実施例4]((2S,7R)−7−メチル−7,8−ジヒドロ−2H−1,6,9−トリオキサ−9a−ボラベンゾ[cd]アズレン−2−イル)メタンアミンの合成
Figure 0006130600
実施例3の段階7の((2S,7R)−7−メチル−7,8−ジヒドロ−2H−1,6,9−トリオキサ−9a−ボラベンゾ[cd]アズレン−2−イル)メタンアミンヒドロクロライド(1g、11.0mmol)を、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(80ml)に中和して溶かした後、酢酸エチル(100ml)で1回抽出して除去した後、再び水層をメタノール(20ml)とジクロロメタン(100ml)混合溶媒で抽出して有機層を得る。この有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過、濃縮して得られた残留物を真空乾燥して、表題化合物(400mg)を得た。
H−NMR(CDOD,Varian 400MHz):δ1.41(3H,brs),2.95−2.98(1H,m),3.26−3.29(1H,m),4.19(2H,brs),4.42(1H,brs),5.41−5.45(1H,m),6.84−6.86(1H,m),7.01(1H,brs),7.44(1H,brs)。
[実施例5]((2S,7S)−7−メチル−7,8−ジヒドロ−2H−1,6,9−トリオキサ−9a−ボラベンゾ[cd]アズレン−2−イル)メタンアミンヒドロクロライドの合成
Figure 0006130600
[段階1](R)−1−(ベンジルオキシ)プロパン−2−イルメタンスルホネートの合成
Figure 0006130600
実施例2の段階1における出発物質1−(ベンジルオキシ)プロパン−2−オールの代わりに、(R)−1−(ベンジルオキシ)プロパン−2−オール(20g、120mmol)を出発物質として、同じ方法で表題化合物(27.96g)を得た。
H−NMR(CDCl,Varian 400MHz):δ1.40(3H,d,J=6.4Hz),3.01(3H,s),3.52−3.61(2H,m),4.55&4.57(2H,ABq,JAB=11.8Hz),4.88−4.96(1H,m),7.26−7.38(5H,m)。
[段階2](S)−3−((1−(ベンジルオキシ)プロパン−2−イル)オキシ)ベンズアルデヒドの合成
Figure 0006130600
実施例2の段階2における出発物質1−(ベンジルオキシ)プロパン−2−イルメタンスルホネートの代わりに、出発物質として(R)−1−(ベンジルオキシ)プロパン−2−イルメタンスルホネート(27.96g)を用いて、同じ方法で表題化合物(19.14g)を得た。
H−NMR(CDCl,Varian 400MHz):δ1.35(3H,d,J=6.0Hz),3.68(1H,dd,J=10.4,6.0Hz),3.59(1H,dd,J=10.0,4.4Hz),4.59(2H,s),4.63−4.71(1H,m),7.18−7.21(1H,m),7.28−7.36(5H,m),7.40−7.46(3H,m),9.95(1H,s)。
[段階3](S)−1−(3−(((S)−1−(ベンジルオキシ)プロパン−2−イル)オキシ)フェニル)−2−ニトロエタン−1−オールの合成
Figure 0006130600
実施例2の段階3における出発物質3−((1−(ベンジルオキシ)プロパン−2−イル)オキシ)ベンズアルデヒドの代わりに、出発物質として(S)−3−((1−(ベンジルオキシ)プロパン−2−イル)オキシ)ベンズアルデヒド(19.14g)を用いて、実施例2の段階3と同じ方法で表題化合物(20g)を得た。
H−NMR(CDCl,Varian 400MHz):δ1.33(3H,d,J=6.4Hz),2.90(1H,brs),3.57(1H,dd,J=10.4,4.4Hz),3.66(1H,dd,J=10.2,6.2Hz),4.45(1H,dd,J=13.4,3.0Hz),4.51−4.60(2H,m),4.58(2H,s),5.39(1H,dd,J=9.6,2.8Hz),6.89−6.99(3H,m),7.24−7.38(6H,m)。
[段階4](S)−2−アミノ−1−(3−(((S)−1−(ベンジルオキシ)プロパン−2−イル)オキシ)フェニル)エタン−1−オールの合成
Figure 0006130600
実施例2の段階4における出発物質(1S)−1−(3−((1−(ベンジルオキシ)プロパン−2−イル)オキシ)フェニル)−2−ニトロエタン−1−オールの代わりに、(S)−1−(3−(((S)−1−(ベンジルオキシ)プロパン−2−イル)オキシ)フェニル)−2−ニトロエタン−1−オール(20g、60.4mmol)を出発物質として、表題化合物(13g)を得た。
H−NMR(CDCl,Varian 400MHz):δ1.31(3H,d,J=6.0Hz),1.88(3H,brs),2.77(1H,dd,J=12.6,7.8Hz),2.96(1H,dd,J=13.0,3.8Hz),3.54(1H,dd,J=8.2,3.0Hz),3.65(1H,dd,J=10.2,5.8Hz),4.57(2H,s),4.56−4.62(2H,m),6.82(1H,dd,J=8.2,1.8Hz),6.90(1H,d,J=7.6Hz),6.95−6.96(1H,m),7.22(1H,t,J=7.8Hz),7.35−7.25(5H,m)。
[段階5](S)−1−(3−(((S)−1−(ベンジルオキシ)プロパン−2−イル)オキシ)フェニル)−2−(ジベンジルアミノ)エタン−1−オール塩酸塩の合成
Figure 0006130600
実施例2の段階5における出発物質(1S)−2−アミノ−1−(3−((1−(ベンジルオキシ)プロパン−2−イル)オキシ)フェニル)エタン−1−オールの代わりに、(S)−2−アミノ−1−(3−(((S)−1−(ベンジルオキシ)プロパン−2−イル)オキシ)フェニル)エタン−1−オール(10.48g、34.8mmol)を出発物質として、同じ方法で白色固体の表題化合物(10.4g)を得た。
H−NMR(CDCl,Varian 400MHz):δ1.27(3H,d,J=6.0Hz),2.98−3.03(1H,m),3.15−3.21(1H,m),3.53(1H,dd,J=10.2,4.6Hz),3.61(1H,dd,J=10.4,6.0Hz),4.18(1H,dd,J=13.4,6.2Hz),4.35(1H,dd,J=13.2,5.2Hz),4.48−4.55(3H,m),4.56(2H,s),5.22(1H,d,J=9.6Hz),5.34(1H,brs),6.64(1H,d,J=6.6Hz),6.72(1H,brs),6.79(1H,dd,J=8.0,2.4Hz),7.14(1H,t,J=7.8Hz),7.25−7.35(5H,m),7.43−7.50(6H,m),7.62−7.66(2H,m),7.67−7.71(2H,m),11.78(1H,brs)。
[段階6](S)−7−(((S)−1−(ベンジルオキシ)プロパン−2−イル)オキシ)−3−((ジベンジルアミノ)メチル)ベンゾ[c][1,2]オキサボロール−1(3H)−オールの合成
Figure 0006130600
実施例2の段階6における出発物質(1S)−1−(3−((1−(ベンジルオキシ)プロパン−2−イル)オキシ)フェニル)−2−(ジベンジルアミノ)エタン−1−オール塩酸塩の代わりに、(S)−1−(3−(((S)−1−(ベンジルオキシ)プロパン−2−イル)オキシ)フェニル)−2−(ジベンジルアミノ)エタン−1−オール塩酸塩(7g)を出発物質として用いて、同じ方法で表題化合物(700mg)を得た。
H−NMR(CDCl,Varian 400MHz):δ1.19(3H,d,J=6.4Hz),1.60(1H,brs),2.70(1H,dd,J=14.0,7.6Hz),3.00(1H,dd,J=14.4,3.6Hz),3.56(1H,dd,J=10.0,2.8Hz),3.63(1H,dd,J=10.0,8.0Hz),3.75(2H,d,J=13.6Hz)3.88(2H,d,J=13.6Hz),4.37−4.41(1H,m),4.66&4.72(2H,ABq,JAB=12.4Hz),5.34−5.38(1H,m),6.70−6.84(2H,m),7.20−7.39(16H,m)。
[段階7]((2S,7S)−7−メチル−7,8−ジヒドロ−2H−1,6,9−トリオキサ−9a−ボラベンゾ[cd]アズレン−2−イル)メタンアミンヒドロクロライドの合成
Figure 0006130600
実施例2の段階7における出発物質(3S)−7−((1−(ベンジルオキシ)プロパン−2−イル)オキシ)−3−((ジベンジルアミノ)メチル)ベンゾ[c][1,2]オキサボロール−1(3H)−オールの代わりに、(S)−7−(((S)−1−(ベンジルオキシ)プロパン−2−イル)オキシ)−3−((ジベンジルアミノ)メチル)ベンゾ[c][1,2]オキサボロール−1(3H)−オール(700mg)を出発物質として用いて、同じ方法で表題化合物(250mg)を得た。
H−NMR(DMSO−d6,Varian 400MHz):δ1.38(3H,s),2.82−2.91(1H,m),3.44(1H,d,J=9.2Hz),4.14−4.24(2H,m),4.42(1H,brs),5.49−5.53(1H,m),6.85(1H,d,J=5.2Hz),7.11(1H,d,J=4.8Hz),7.46(1H,t,J=5.2Hz),8.40(3H,brs)。
表題化合物のキラル分析は、下記の条件として行った。
Figure 0006130600
実験例1:試験管内の抗菌活性の測定
前記実施例1〜5で合成された新規誘導体の抗菌力を測定するために、試験管内の抗菌活性検査を、NCCLS(National Committee for Clinical Laboratory Standards.2000.Methods for dilution antimicrobial susceptibility tests for bacteria that grow aerobically.Approved standard,NCCLS document M7−A5、5th ed,vol20,no.2.National Committee for Clinical Laboratory Standards,Wayne,PA.)に従って、ミューラー−ヒントン寒天培地(Mueller−Hinton agar)を用いた寒天稀釈法で実施した。試験菌株は、2010年から2013年まで韓国国内の総合病院の患者から分離された臨床分離菌であって、カルバペネム耐性アシネトバクターバウマニ(A.baumannii)、カルバペネム耐性緑膿菌(P.aeruginosa)と大腸菌(E.coli)、肺炎桿菌(K.pneumonia)を含む主要グラム陰性細菌に対して評価し、抗菌力は、最小発育阻止濃度(MIC、ug/ml)で表1に示した。
Figure 0006130600
製造例1:(7,8−ジヒドロ−2H−1,6,9−トリオキサ−9a−ボラベンゾ[cd]アズレン−2−イル)メタンアミン(compound A)の製造
Figure 0006130600
対照物質としては、トリサイクリックベンズオキサボロールの7、8番位置に置換基を有さない誘導体の表題化合物compound Aを、先行技術文献の特許WO2013/093615の実施例(example)24に提示された方法を用いて、1.7gを得た。
H−NMR(DMSO−d,Varian 400MHz):δ2.87−2.92(1H,m),3.42−3.58(1H,m),4.15−4.42(3H,m),4.62−4.76(1H,m),5.45−5.87(1H,m),6.92(1H,d,J=8.0Hz),7.15(1H,d,J=7.2Hz),7.50(1H,dd,J=8.0,7.6Hz),8.26(3H,brs)。
製造例2:(8−メチル−7,8−ジヒドロ−2H−1,6,9−トリオキサ−9a−ボラベンゾ[cd]アズレン−2−イル)メタンアミンヒドロクロライド(compound B)の製造
Figure 0006130600
特許WO2013/093615の実施例(example)9に提示された方法を用いて、compound Bの表題化合物45.0mgを得た。
H−NMR(CDOD,Varian 400MHz):δ1.24−1.36(3H,m),2.88−3.00(1H,m),3.55−3.64(1H,m),4.14−4.23(1H,m),4.46−4.57(2H,m),5.42−5.48(1H,m),6.86−6.96(1H,m),7.06(1H,d,J=6.8Hz),7.48(1H,t,J=7.8Hz)。
製造例3:((2S,8R)−2−(アミノメチル)−7,8−ジヒドロ−2H−1,6,9−トリオキサ−9a−ボラベンゾ[cd]アズレン−8−イル)メタノールヒドロクロライド(compound C)の製造
Figure 0006130600
先行技術文献の特許WO2013/093615の実施例(example)3に提示された方法を用いて、compound Cの表題化合物50mgを得た。
H−NMR(DMSO−d,Varian 400MHz):δ2.90−2.96(1H,m),3.52−3.79(3H,m),4.03−4.36(2H,m),4.72−4.75(1H,m),5.01−5.18(1H,m),5.49(1H,brs),6.93(1H,d,J=7.6Hz),7.20(1H,d,J=7.2Hz),7.50(1H,t,J=7.8Hz),8.12(3H,brs)。
製造例4:(2−(アミノメチル)−7,8−ジヒドロ−2H−1,6,9−トリオキサ−9a−ボラベンゾ[cd]アズレン−7−イル)メタノールヒドロクロライド(compound D)の製造
Figure 0006130600
先行技術文献の特許WO2013/093615の実施例(example)11に提示された方法を用いて、compound Dの表題化合物12mgを得た。
H−NMR(CDOD,Varian 400MHz):δ2.97(1H,dd,J=12.8,8.8Hz),3.52−3.62(1H,m),3.72−3.92(2H,m),4.18−4.28(2H,m),4.42−4.52(1H,m),5.46−5.52(1H,m),6.95(1H,d,J=8.4Hz),7.05(1H,d,J=7.2Hz),7.49(1H,t,J=7.8Hz)。
実験例2:試験管内の抗菌活性の測定
製造例1〜4で製造された化合物とカルバペネム(carbapenem)系抗菌剤のメロペネム(meropenem、MEPM)を用いて、実験例1と同様の方法で抗菌活性を測定し、グラム陰性菌に対する抗菌力(MIC、μg/ml)の測定結果を、表2に示した。
Figure 0006130600
表1と表2に示されているように、本発明に係るトリサイクリックベンズオキサボロール化合物は、多数のグラム陰性菌に対して、対照群のcompound A、compound B、compound Cと同等以上の優れたMIC結果を示した。本発明の化合物に類似しているが、7番炭素のメチルの代わりにヒドロキシメチル基を有するcompound Dの化合物に比べて、本発明に係るトリサイクリックベンズオキサボロール化合物は、多数のグラム陰性菌に対してはるかに優れたMIC結果を示した。
さらに、病原感染の代表的な原因菌のアシネトバクターバウマニに対しては、本発明の化合物が、メロペネムだけでなく、compound A、compound B、およびcompound D対比でも優れたMICを示し、compound C対比でも同等以上のMICを示しており、特に、実施例2、3および4の化合物は、compound C対比で優れたMICを示した。現在、カルバペネム耐性のアシネトバクターバウマニによる感染症には効果的な抗菌剤が無くて治療剤の選択に制限があるため、本発明のトリサイクリックベンズオキサボロール化合物は、このような細菌感染症に対して非常に効果的な治療剤となり得る。
実験例3:実験動物感染モデルにおける治療効果の測定
本発明に係る新規化合物の細菌感染に対するin vivo治療効果を測定するために、S.Choi et al(Antimicrob.Agents Chemother56(9)4713−4717.2012)に記述された方法により実験を実施した。
試験菌株は、カルバペネムに対して耐性を有するアシネトバクターバウマニBAA−1605を用い、試験菌株のマウス腹腔内注射を通して全身感染を誘発した。試験菌株に感染したマウスに、感染1時間後、本発明の実施例1、2、3、5の化合物、または対照物質を経口投与した。以降、7日間、用量別の生存率を観察し、50%生存に必要な新規化合物の用量(ED50)を算出し、アシネトバクターバウマニBAA−1605に対する結果を、表3に示した。
Figure 0006130600
表3に示されているように、カルバペネムに耐性を有するアシネトバクターバウマニBAA−1605によるマウス全身感染に対して、本発明の新規化合物の経口投与は、Compound A、Compound B、およびCompound C対比で優れた治療効果を示した。本発明の実施例1、実施例2と実施例5の化合物のED50値は、Compound C対比、それぞれ5.18、6.69、6.69倍良いED50値を示した。本発明の実施例3の化合物は、Compound C対比で9.98倍も優れたED50値を示した。
上記の実験結果に基づいて、カルバペネム耐性アシネトバクターバウマニに対する新規化合物の抗菌治療効果は、試験管内においてより、動物生体内ではるかに優れていることを確認することができ、これによって、耐性を有する細菌感染症に対して非常に効果的な治療剤となり得ることが分かった。

Claims (14)

  1. 下記化学式1で表されるトリサイクリックベンズオキサボロール化合物、その異性体、またはその薬学的に許容可能な塩。
    Figure 0006130600
  2. 前記異性体は、下記化学式2で表されるものである、請求項1に記載のトリサイクリックベンズオキサボロール化合物、その異性体、またはその薬学的に許容可能な塩。
    Figure 0006130600
  3. 前記異性体は、下記化学式3で表されるものである、請求項1に記載のトリサイクリックベンズオキサボロール化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩。
    Figure 0006130600
  4. 下記化合物からなる群より選択される、請求項1に記載の化合物、その異性体、またはそれらの薬学的に許容される塩:
    1)(7−メチル−7,8−ジヒドロ−2H−1,6,9−トリオキサ−9a−ボラベンゾ[cd]アズレン−2−イル)メタンアミンヒドロクロライド;
    2)((2S)−7−メチル−7,8−ジヒドロ−2H−1,6,9−トリオキサ−9a−ボラベンゾ[cd]アズレン−2−イル)メタンアミンヒドロクロライド;
    3)((2S,7R)−7−メチル−7,8−ジヒドロ−2H−1,6,9−トリオキサ−9a−ボラベンゾ[cd]アズレン−2−イル)メタンアミンヒドロクロライド;
    4)((2S,7R)−7−メチル−7,8−ジヒドロ−2H−1,6,9−トリオキサ−9a−ボラベンゾ[cd]アズレン−2−イル)メタンアミン;および
    5)((2S,7S)−7−メチル−7,8−ジヒドロ−2H−1,6,9−トリオキサ−9a−ボラベンゾ[cd]アズレン−2−イル)メタンアミンヒドロクロライド。
  5. 前記薬学的に許容可能な塩は、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、酒石酸、ギ酸、クエン酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、グルコン酸、安息香酸、乳酸、マンデル酸、フマル酸、マレイン酸、サリチル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、およびp−トルエンスルホン酸からなる群より選択される酸によって形成されたものである、請求項1に記載のトリサイクリックベンズオキサボロール化合物、その異性体、またはその薬学的に許容可能な塩。
  6. 化学式4の化合物と化学式5の化合物とをカップリングして、化学式6の化合物を製造する段階;
    化学式6の化合物をボリレーション反応させて、化学式7の化合物を製造し、シアン化して、化学式8のシアン化ベンズオキサボロール化合物を製造する段階;
    化学式8の化合物を還元しながらシアノ基をアミノ基に置換した化学式9のアミノベンズオキサボロール化合物を製造する段階;
    化学式9の化合物のアミノ基に保護基(PG)を導入して、化学式10の化合物を製造し、化学式10の化合物を縮合反応させて保護基(PG)を脱保護化しながら環化反応を行って、化学式11のトリサイクリックベンズオキサボロール化合物を製造する段階;および
    化学式11の化合物のアミノ基を脱保護化して、化学式1の化合物を製造する段階を含む、化学式1のトリサイクリックベンズオキサボロール化合物またはその薬学的に許容可能な塩の製造方法:
    Figure 0006130600
    Figure 0006130600
    Figure 0006130600
    Figure 0006130600
    Figure 0006130600
    Figure 0006130600
    Figure 0006130600
    Figure 0006130600
    Figure 0006130600
    前記化学式4〜11において、
    PGおよびPGは、それぞれ独立に、ベンジル、t−ブチル、Boc(tert−butyloxycarbonyl)、pmb(4−methoxybenzyl)、Fmoc(Fluorenylmethyloxycarbonyl)、Ts(tosylate)、MOM(methoxymethyl)、THP(tetrahydropyranyl)、TBDMS(tert−butyldimethylsilyl)、またはTBDPS(tert−butyldiphenylsilyl)であり、
    LGは、ハロゲン、パラ−トルエンスルホニル基、またはメタンスルホニル基であり、
    Xは、水素、ハロゲン、またはトリフルオロメタンスルホニルであり、
    Yは、水素またはPGである。
  7. 化学式4の化合物と化学式5の化合物とをカップリングして、化学式6の化合物を製造する段階;
    化学式6の化合物をニトロ化したり、あるいはキラルリガンドまたはキラル触媒を用いて、化学式12の化合物またはその異性体を製造し、化学式12の化合物を還元しながらニトロ基をアミノ基に置換した化学式13の化合物を製造する段階;
    化学式13の化合物のアミノ基に保護基(PG)を導入して、化学式14の化合物を製造し、化学式14の化合物をボリレーション反応させて、化学式10のベンズオキサボロール化合物を製造する段階;
    化学式10の化合物を縮合反応させて保護基(PG)を脱保護化しながら環化反応を行って、化学式11のトリサイクリックベンズオキサボロール化合物を製造する段階;および
    化学式11の化合物のアミノ基を脱保護化して、化学式1の化合物を製造する段階を含む、化学式1のトリサイクリックベンズオキサボロール化合物の製造方法:
    Figure 0006130600
    Figure 0006130600
    Figure 0006130600
    Figure 0006130600
    Figure 0006130600
    Figure 0006130600
    Figure 0006130600
    Figure 0006130600
    Figure 0006130600
    前記化学式4〜6および10〜14において、
    PGおよびPGは、それぞれ独立に、ベンジル、t−ブチル、Boc(tert−butyloxycarbonyl)、pmb(4−methoxybenzyl)、Fmoc(Fluorenylmethyloxycarbonyl)、Ts(tosylate)、MOM(methoxymethyl)、THP(tetrahydropyranyl)、TBDMS(tert−butyldimethylsilyl)、またはTBDPS(tert−butyldiphenylsilyl)であり、
    LGは、ハロゲン、パラ−トルエンスルホニル基、またはメタンスルホニル基であり、
    Xは、水素、ハロゲン、またはトリフルオロメタンスルホニルであり、
    Yは、水素またはPGである。
  8. 前記ボリレーション反応は、ビス(ピナコラト)ジボロンまたは2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロランを用いるものである、請求項6または7に記載の製造方法。
  9. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物、その異性体、またはそれらの薬学的に許容される塩を有効成分として含む、グラム陰性細菌に対する抗生剤用薬学的組成物。
  10. 前記グラム陰性細菌は、多剤耐性(multi−drug resistance)グラム陰性細菌である、請求項9に記載の抗生剤用薬学的組成物。
  11. 前記グラム陰性細菌は、カルバペネム(carbapenem)系抗生剤耐性グラム陰性細菌である、請求項10に記載の抗生剤用薬学的組成物。
  12. 前記グラム陰性細菌は、A.baumannii、C.freundii、E.coli、E.cloacae、E.aerogenes、K.pneumoniae、K.oxytoca、M.morganii、P.aeruginosa、P.vulgaris、P.mirabilis、N.gonorrhoeae、またはS.marcescensである、請求項9に記載の抗生剤用薬学的組成物。
  13. 前記グラム陰性細菌は、多剤耐性(multi−drug resistance)グラム陰性細菌である、請求項12に記載の抗生剤用薬学的組成物。
  14. 前記グラム陰性細菌は、カルバペネム(carbapenem)系抗生剤耐性グラム陰性細菌である、請求項13に記載の抗生剤用薬学的組成物。
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