JP6129474B2 - X線診断装置 - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、X線診断装置及びX線診断方法に関する。
X線診断装置は、患者などの被検体に対してX線を照射し、その被検体を透過したX線を検出し、検出したX線の線量分布データ(X線透過データ)をデータ収集装置により収集する。その後、X線診断装置は、線量分布データに対して再構成処理を行い、被検体のスライス画像(断層画像)を生成する。このX線診断装置としては、例えば、被検体を間にしてX線照射器とX線検出器とを対向配置し、それらを被検体の体軸まわりに回転させながら撮像を行うX線CT装置(X線コンピュータ断層撮像装置)が開発されている。
このようなX線診断装置では、通常、マルチスライススキャンやヘリカルスキャンなどの撮像前にスキャン範囲(撮像範囲)を設定するため、X線照射器及びX線検出器を回転させずに撮像を行い、スキャノ画像(位置決め画像)を収集する。このX線診断装置の中には、そのスキャノ画像を用いて部位ごとの厚みを水等価厚に変換し、指定したSD(標準偏差)により管電流値(mA)を決定するAEC(Auto Exposure Control)を搭載した製品が既に存在している。
このAECでは、スキャノ画像から被検体の各部位の体厚に合ったX線量を自動的に計算し、その後、X線照射器及びX線検出器の回転ごとにX線量、すなわち管電流を細かく制御する。これにより、高画質を維持しつつ不要な被曝を抑え、被曝低減を実現している。
特開平7−124152号公報
しかしながら、前述のような技術では、被検体の大きさ(体厚)に応じて管電流が調整されるが、その調整により決定された管電流は、装置性能上の最大値及び最小値の範囲内で調整されたものである。このため、オーバーフローアーチファクト(例えば、データ収集装置内で扱えるカウントの最大値を超え、再構成画像上に現れるアーチファクト)やダークバンドアーチファクト(例えば、X線の線量不足、つまり生データカウント不足による再構成画像上に現れるアーチファクト)などのアーチファクトが発生することがあり、断層画像などのX線画像の画質が低下してしまう。
本発明が解決しようとする課題は、X線画像の画質を向上させることができるX線診断装置及びX線診断方法を提供することである。
実施形態に係るX線診断装置は、被検体の位置決め画像を撮像する場合の管電流を設定する管電流設定部と、管電流設定部により設定された位置決め画像を撮像する場合の管電流に基づいて被検体に対してX線を出射するX線管と、X線管により出射されて被検体を過したX線を検出するX線検出器と、X線検出器により検出されたX線の透過データを収集するデータ収集部と、データ収集部により収集された透過データから位置決め画像を生成する画像処理部と、画像処理部により生成された位置決め画像又は画像処理部により位置決め画像を生成する途中に生じる第1データから、X線の線量分布を示す第2データを生成するデータ生成部と、データ生成部により生成された第2データに対して閾値を設定する閾値設定部と、データ生成部により生成された第2データ内のX線量と閾値設定部により設定された閾値との比較に応じ、被検体の断層画像を撮像する場合の管電流を調整する管電流調整部とを備える。
実施形態に係るX線診断方法は、被検体の位置決め画像を撮像する場合の管電流を設定する工程と、設定した位置決め画像を撮像する場合の管電流に基づいて被検体に対して出射され、被検体を透過したX線を検出する工程と、検出したX線の透過データを収集する工程と、収集した透過データから位置決め画像を生成する工程と、生成した位置決め画像又は位置決め画像を生成する途中に生じる第1データから、X線の線量分布を示す第2データを生成する工程と、生成した第2データに対して閾値を設定する工程と、生成した第2データ内のX線量と設定した閾値との比較に応じ、被検体の断層画像を撮像する場合の管電流を調整する工程とを有する。
実施の一形態に係るX線診断装置の概略構成を示す図である。 X線診断装置が備える制御部の概略構成を示す図である。 X線診断装置が行う断層画像撮像用の管電流調整処理の流れを示すフローチャートである。 平面のスキャノ画像(AP方向のスキャノ画像)を説明するための説明図である。 側面のスキャノ画像(LR方向のスキャノ画像)を説明するための説明図である。 平面のスキャノ画像の一ラインを説明するための説明図である。 図6に示す一ラインに対する生データを示すグラフである。 図6に示す一ラインに対する生データ及びその生データに対する純生データを示すグラフである。 純生データに対する閾値の設定を説明するためのグラフである。 閾値に基づく管電流の調整を説明するためのグラフである。 管電流の調整実施を報知するメッセージを説明するための説明図である。 閾値に基づく管電流の調整の他の一例を説明するためのグラフである。
実施の一形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態に係るX線診断装置1は、患者などの被検体Pが横たわる寝台2と、その寝台2上の被検体Pに対して撮像を行う撮像装置3と、それらの寝台2及び撮像装置3を制御する制御装置4とを備えている。このX線診断装置1としては、例えば、X線CT装置(X線コンピュータ断層撮像装置)が挙げられる。
寝台2は、被検体Pを載せる長方形状の天板2aと、その天板2aを支持して水平方向及び鉛直方向(昇降方向)に移動させる天板駆動部2bとを備えている。天板駆動部2bは、天板2aを移動させるための移動機構やその移動のための駆動力を供給する駆動源などを有している。この寝台2は、天板駆動部2bにより天板2aを所望の高さまで移動させ、さらに、その天板2aを水平方向に移動させて、天板2a上の被検体Pを所望位置まで移動させる。
撮像装置3は、筐体となるCT架台内に回転可能に設けられた回転体3aと、その回転体3aを回転させる回転駆動部3bと、X線を照射するX線照射器3cと、そのX線照射器3cに高電圧を供給する高電圧発生部3dと、天板2a上の被検体Pを透過したX線を検出するX線検出器3eと、そのX線検出器3eにより検出されたX線をX線量分布データ(X線透過データ)として収集するデータ収集部3fとを備えている。
回転体3aは、X線照射器3cやX線検出器3eなどを支持して回転する円環状の回転枠である。この回転体3aにX線照射器3c及びX線検出器3eが設けられおり、それらのX線照射器3c及びX線検出器3eは天板2a上の被検体Pを間にし、その被検体Pの周囲を被検体Pの体軸周りに回転する。
回転駆動部3bは、撮像装置3のCT架台内に設けられている。この回転駆動部3bは、制御装置4による制御に応じて、回転体3aの回転駆動を行う。例えば、回転駆動部3bは、制御装置4から送信された制御信号に基づいて、一方向に所定の回転スピードで回転体3aを回転させる。
X線照射器3cは、X線を出射するX線管3c1と、そのX線管3c1から出射されたX線を絞るコリメータなどの絞り器3c2とを備えており、回転体3aに固定されている。このX線照射器3cは、X線管3c1によりX線を出射し、そのX線を絞り器3c2により絞って、天板2a上の被検体Pに対しコーン角を持つファンビーム形状、例えば、角錐形状のX線を照射する。
ここで、絞り器3c2としては、様々なタイプの絞り器を用いることが可能である。例えば、鉛のような二枚のX線遮断板を互いに接離方向に移動させ、それらのX線遮断板により形成される隙間の大きさを適宜変更する絞り器を用いても良い。その隙間の部分がX線の通過領域となり、その隙間以外の部分がX線を遮断する遮断領域となる。このような絞り器3c2によってX線の照射野(照射範囲)を調整することが可能である。
高電圧発生部3dは、撮像装置3のCT架台内に設けられている。この高電圧発生部3dは、X線照射器3cのX線管3c1に供給する高電圧を発生させる装置であり、制御装置4から与えられた電圧を昇圧及び整流し、その電圧をX線管3c1に供給する。なお、制御装置4は、X線管3c1により所望のX線を発生させるため、高電圧発生部3dに与える電圧の波形、すなわち振幅やパルス幅などの各種条件を制御する。
X線検出器3eは、X線照射器3cに対向するように回転体3aに固定されている。このX線検出器3eは、天板2a上の被検体Pを透過したX線を電気信号に変換してデータ収集部3fに送信する。X線検出器3eは、多列多チャンネルのX線検出器であり、X線を検出するX線検出素子が格子状に配列されて構成されている。なお、チャンネル列はX線検出素子がチャンネル方向(被検体Pの体軸周り方向)に複数(例えば、数百から数千程度)並んでいる列であり、そのチャンネル列が列方向(被検体Pの体軸方向)に沿って複数列(例えば、16列や64列など)配置されている。
ここで、X線検出器3eとしては、フォトン(光子)をカウントする光子計数(フォトンカウンディング)方式のX線検出器を用いているが、これに限るものではなく、X線を直接電気信号に変換する直接変換方式(例えば、平面検出器)であっても、あるいは、X線を光学情報に変換してその光学情報を電気信号に変換する間接変換方式であっても良い。
データ収集部3fは、撮像装置3のCT架台内に設けられている。このデータ収集部3fは、X線検出器3eから送信された電気信号をデジタル信号に変換し、デジタルデータであるX線透過データ(X線量分布データ)を収集し、そのX線透過データを制御装置4に送信する。
制御装置4は、各部を制御する制御部4aと、X線透過データに対して各種画像処理を行う画像処理部4bと、各種プログラムや各種データなどを記憶する記憶部4cと、ユーザ(利用者)により入力操作される操作部4dと、画像を表示する表示部4eとを備えている。これらの制御部4a、画像処理部4b、記憶部4c、操作部4d及び表示4eはバスライン4fにより電気的に接続されている。
制御部4aは、記憶部4cに記憶された各種プログラムや各種データに基づいて寝台2の天板駆動部2b、撮像装置3の回転駆動部3b及び高電圧発生部3dなどの各部を制御する。加えて、制御部4aは、X線照射器3cの絞り器3c2も制御し、さらに、表示部4eにX線画像などの各種画像を表示する表示制御も行う。この制御部4aとしては、例えば、CPU(Central Processing Unit)などを用いることが可能である。
画像処理部4bは、データ収集部3fから送信されたX線透過データを投影データとする前処理やその投影データに対して画像再構成を行う画像再構成処理、さらに、スキャノ画像を生成するスキャノ画像生成処理などの画像処理を行う。この画像処理部4bとしては、例えばアレイプロセッサなどを用いることが可能である。
記憶部4cは、各種プログラムや各種データなどを記憶する記憶装置であり、例えば、各種データとしてスキャノ画像(位置決め画像)やスライス画像(断層画像)を記憶する。この記憶部4cとしては、例えば、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)に加え、ハードディスク(磁気ディスク装置)やフラッシュメモリ(半導体ディスク装置)などを用いることが可能である。
操作部4dは、ユーザによる入力操作を受け付ける入力部であり、例えば、撮像指示や画像表示、画像の切り替え、各種設定などの様々な入力操作を受け付ける。この操作部4dとしては、例えば、キーボードやマウス、レバーなどの入力デバイスを用いることが可能である。
表示部4eは、被検体Pのスキャノ画像や断層画像、操作画面などの各種画像を表示する表示装置である。この表示部4eとしては、例えば、液晶ディスプレイやCRT(ブラウン管)ディスプレイなどを用いることが可能である。
ここで、前述のX線診断装置1では、各種の撮像モードがあり、例えば、スキャノ画像を撮像するスキャノ撮像モードやスライス画像を撮像する断層撮像モードなどがある。この断層撮像モードとしては、例えば、通常のマルチスライススキャンモード(ノーマルCT)やヘリカルスキャンモード(ヘリカルCT)、ボリュームスキャンモード(ボリュームCT)などが挙げられる。
スキャノ撮像モードは、断層撮像モードによる撮像に先立って、位置決めやスキャン範囲(撮像範囲)を設定するためのスキャノ画像を撮像するモードである。例えば、スキャン計画では、事前にスキャノ画像を撮像し、そのスキャノ画像を表示部4eにより表示し、作業者はそのスキャノ画像を確認し、操作部4dを入力操作してスキャン範囲を設定する。
スキャノ画像の撮像では、X線照射器3cとX線検出器3eとを所定位置、すなわち所定のビュー角度(例えば、0度や90度)で固定し、寝台2の天板2aを被検体Pの体軸方向に所定位置まで移動させ、X線照射器3cによりX線を照射して天板2a上の被検体Pを透過したX線をX線検出器3eにより検出し、X線透過データの収集を行う。その後、収集したX線透過データを画像処理部4bにより処理してスキャノ画像を生成し、その生成したスキャノ画像を記憶部4cに保存し、加えて、表示部4eに表示する。
一方、断層画像の撮像では、X線照射器3cとX線検出器3eとを回転させ、寝台2の天板2aを被検体Pの体軸方向に移動させながら、X線照射器3cによりX線を照射して天板2a上の被検体Pを透過したX線をX線検出器3eにより検出し、X線透過データの収集を行う。その後、収集したX線透過データを画像処理部4bにより処理して断層画像を生成し、その生成した断層画像を記憶部4cに保存し、加えて、表示部4eに表示する。
ここで、前述の制御部4aについて詳しく説明する。
図2に示すように、制御部4aは、被検体Pのスキャノ画像を撮像する場合の管電流を設定する管電流設定部11と、スキャノ画像から生データを求め、その生データから純生データ(X線検出器3eがスキャノ画像撮像時に実際に受けたX線の線量分布を示すX線量分布データ)を生成する純生データ生成部12と、純生データに対して閾値を設定する閾値設定部13と、純生データ内のX線量と前述の閾値との比較に応じ、被検体Pの断層画像を撮像する場合の管電流を調整する管電流調整部14とを備えている。
これらの管電流設定部11、純生データ生成部12、閾値設定部13及び管電流調整部14は、電気回路などのハードウエアで構成されても良く、あるいは、これらの機能を実行するプログラムなどのソフトウエアで構成されても良い。また、ハードウエア及びソフトウエアの両方の組合せにより構成されても良い。
次に、前述のX線診断装置1が行う断層画像撮像用の管電流調整処理について説明する。制御部4aは各種プログラム及び各種データに基づき、管電流設定部11、純生データ生成部12、閾値設定部13及び管電流調整部14などの各部を用いて断層画像撮像用の管電流調整処理を実行する。
図3に示すように、まず、操作部4dに対するユーザの入力操作に応じて、管電流が設定される(ステップS1)。このステップS1では、例えば、ユーザが操作部4dを入力操作してSD(標準偏差)を設定した場合には、AEC(Auto Exposure Control)により自動的に管電流値が設定される。あるいは、ユーザが操作部4dを操作して管電流を直接入力した場合には、その入力値が管電流値として設定される。このように管電流値が設定されると、その設定された管電流値に関する管電流情報が記憶部4cに記憶される。
ステップS1の処理後、設定された管電流に基づいてスキャノ画像が撮像される(ステップS2)。このステップS2では、例えば、スキャノ画像が0度(平面位置)と90度(側面位置)のビュー角度位置で撮像され、記憶部4cに記憶される。このとき、照射野は最大(例えば、512ピクセル×512ピクセル)にされている。
0度の平面位置では、天板2a上の被検体Pの上面にX線が照射されてその被検体Pを透過したX線が検出され、図4に示すように、被検体Pの平面のスキャノ画像として平面画像G1が撮像される。この平面画像G1は、AP方向(前後方向)のスキャノ画像と呼ばれる。また、90度の側面位置では、天板2a上の被検体Pの側面にX線が照射されてその被検体Pを透過したX線が検出され、図5に示すように、被検体Pの側面のスキャノ画像として側面画像G2が撮像される。この側面画像G2は、LR方向(左右方向)のスキャノ画像と呼ばれる。
図3に戻り、ステップS2の処理後、記憶部4cから管電流情報が読み込まれて取得され(ステップS3)、その後、スキャノ画像から生データが生成される(ステップS4)。このステップS4では、図6に示すように、ステップS2で撮像されたスキャノ画像(平面画像G1)の一ラインL1ごとに、生データであるX線量分布データが生成される。
例えば、一ラインごとにスキャノ画像データが逆変換され、さらに、ピクセルスケール(例えば、512ピクセル)がX線検出器3eのチャンネルスケール(例えば、900)に戻され、図7に示すような生データD1、すなわちX線量分布データ(カウント数分布データ)が生成される。このように、一ラインごとにピクセルごとのCT値がチャンネルごとのX線量(カウント数)に変換され、スキャノ画像から生データD1が生成される。なお、スキャノ画像としては、平面画像G1及び側面画像G2のどちらか一方又は両方を用いることが可能である。
図3に戻り、ステップS4の処理後、生成された生データから純生データが生成される(ステップS5)。このステップS5では、ステップS3で取得された管電流情報及びスキャン条件(例えば、管電圧や回転スピード、FOV(有効視野)など)が用いられ、純生データが生成される。
例えば、図8に示すように、生データD1が3倍されて純生データD2が生成される。このときの係数は、管電流情報及びスキャン条件に基づいて、X線検出器3eがスキャノ画像撮像時に実際に受けたX線の線量分布を示す純生データD2が得られるように決定される。
図3に戻り、ステップS5の処理後、生成された純生データに対する閾値が設定される(ステップS6)。このステップS6では、図9に示すように、閾値としてオーバーフローアーチファクトが出る下限値A1が設定される。このとき、下限値A1は、例えば、データ収集部3fのカウント容量(積算容量)の最大値である30000に設定される。この下限値A1はデータ収集部3fのカウント容量から自動的に設定されるが、これに限るものではなく、例えば、操作部4dに対するユーザの入力操作に応じて予め設定されていても良い。
図3に戻り、ステップS6の処理後、純生データ内のX線量(カウント数)及び前述の閾値に基づいて、管電流が調整される(ステップS7)。このステップS7では、図10に示すように、純生データD2内のX線量(カウント数)が前述の下限値A1より小さくなるように純生データD2が変更されると、これに応じて管電流が調整される。この純生データD2の変更処理は前述の一ラインごとに行われる。
例えば、ステップS5において生成された純生データD2内のX線量(カウント数)は前述の下限値A1を超えているため(図9参照)、ステップS7では、純生データD2内のX線量が前述の下限値A1より小さくなるように係数が3倍から2.5倍に変更される(図10参照)。これに応じて、管電流値も自動的に変更される。例えば、最初、係数が3であり、管電流値は一度300mAとされるが、係数が3倍から2.5倍に変更されると、これに応じて250mAに変更される。これにより、断層画像を撮像する場合には、前述のような調整後の管電流値で撮像が行われるため、オーバーフローアーチファクトが発生することがなく、画質が良い断層画像を得ることができる。
図3に戻り、ステップS7の処理後、管電流を変更した旨を報知するメッセージが表示される(ステップS8)。このステップS8では、図11に示すように、「mAを最適化しました。設定mA値を確認してください。」という内容を示すメッセージM1が表示部4eにより表示される。これにより、ユーザはメッセージM1を見て、管電流が自動調整により最適化されたことを認識することができる。なお、自動調整が行われた際に前述のようなメッセージM1が表示されない場合には、ユーザは一度設定した管電流値が勝手に変わってしまったという認識を持つことになる。このため、ユーザは、再度、管電流値を設定したり、あるいは、装置故障が発生したと考えたりしてしまう。
ここで、ステップS6において、閾値としては、他のアーチファクト、例えば、図12に示すように、ダークバンドアーチファクトが出る上限値A2が設定されても良い。この上限値A2は、操作部4dに対するユーザの入力操作に応じて予め設定されている。ダークバンドアーチファクトが出る上限値A2が設定された場合、ステップS7では、前述と逆に、純生データD2内のX線量(カウント数)が前述の上限値A2より大きくなるように純生データD2が変更される(図1中の二点鎖線が変更前の純生データD2であり、実線が変更後の純生データD2である)。
なお、ステップS6では、閾値として、オーバーフローアーチファクト及びダークバンドアーチファクトのどちらか一方の閾値(下限値A1又は上限値A2)が設定されれば良い。これは、純生データの波形が、オーバーフローアーチファクト及びダークバンドアーチファクトのどちらか一方の発生に偏るためである。
また、ステップS7において、管電流の自動調整を実行しない、すなわち純生データの変更を実行しないような場合には、純生データ内のX線量(カウント数)が下限値A1以上であるとき(図9参照)、オーバーフローアーチファクトが発生する可能性がある旨を報知する警告メッセージを表示部4eにより表示するようにしても良い。これにより、ユーザは警告メッセージを見て、オーバーフローアーチファクトが発生する可能性があることを認識し、管電流を変更することができる。
また、ステップS6において、ダークバンドアーチファクトが出る上限値A2を設定し、ステップS7において、管電流の自動調整を実行しない、すなわち純生データの変更を実行しないような場合には、純生データ内のX線量(カウント数)が上限値A2以下であるとき(図12参照)、ダークバンドアーチファクトが発生する可能性がある旨を報知する警告メッセージを表示部4eにより表示するようにしても良い。これにより、前述と同様に、ユーザは警告メッセージを見て、ダークバンドアーチファクトが発生する可能性があることを認識し、管電流を変更することができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、スキャノ画像(例えば、平面画像G1や側面画像G2など)から、X線の線量分布を示す純生データが生成され、その生成された純生データに対して閾値が設定される。さらに、生成された純生データ内のX線量と前述の閾値との比較に応じ、被検体Pの断層画像を撮像する場合の管電流が調整される。これにより、管電流は、装置性能上の最大値及び最小値の範囲内で調整されたものではなく、アーチファクトが発生しない範囲内で調整されたものとなる。このため、オーバーフローアーチファクトやダークバンドアーチファクトなどのアーチファクトの発生を抑え、断層画像の画質を向上させることができる。
また、被検体Pの断層画像を撮像する場合の管電流を調整したことを報知するメッセージを表示することによって、ユーザはメッセージを見て、管電流が自動的に変更されて最適化されたことを認識することができる。例えば、ユーザが、一度設定した管電流値が勝手に変わってしまったと思い、再度、管電流値を設定したり、あるいは、装置故障が発生したと考えたりするようなことを防止することが可能である。
また、閾値としてオーバーフローアーチファクトが出る下限値A1を設定し、純生データ内のX線量がその下限値A1より小さくなるように、被検体Pの断層画像を撮像する場合の管電流を調整することから、オーバーフローアーチファクトの発生を抑えることが可能となるので、断層画像の画質を確実に向上させることができる。
また、閾値としてダークバンドアーチファクトが出る上限値A2を設定し、純生データ内のX線量がその上限値A2より大きくなるように、被検体Pの断層画像を撮像する場合の管電流を調整することから、ダークバンドアーチファクトの発生を抑えることが可能となるので、断層画像の画質を確実に向上させることができる。
なお、前述の実施形態においては、画像処理部4bにより生成されたスキャノ画像から純生データを生成しているが、これに限るものではなく、画像処理部4bによりスキャノ画像を生成する途中に生じる生データから直接、純生データを生成するようにしても良い。このとき、生データはスキャノ画像を生成する途中に記憶部4cに記憶されており、純生データを生成する際に、その記憶部4bから読み出されて用いられる。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1 X線診断装置
3c1 X線管
3e X線検出器
3f データ収集部
4b 画像処理部
4e 表示部
11 管電流設定部
12 純生データ生成部
13 閾値設定部
14 管電流調整部
A1 下限値
A2 上限値
D2 純生データ
G1 平面画像
G2 側面画像
M1 メッセージ

Claims (6)

  1. 被検体の位置決め画像を撮像する場合の管電流を設定する管電流設定部と、
    前記管電流設定部により設定された前記位置決め画像を撮像する場合の管電流に基づいて前記被検体に対してX線を出射するX線管と、
    前記X線管により出射されて前記被検体を透過したX線を検出するX線検出器と、
    前記X線検出器により検出された前記X線の透過データを収集するデータ収集部と、
    前記データ収集部により収集された前記透過データから位置決め画像を生成する画像処理部と、
    前記画像処理部により生成された前記位置決め画像又は前記画像処理部により前記位置決め画像を生成する途中に生じる第1データから、X線の線量分布を示す第2データを生成するデータ生成部と、
    前記データ生成部により生成された前記第2データに対して閾値を設定する閾値設定部と、
    前記データ生成部により生成された前記第2データ内のX線量と前記閾値設定部により設定された前記閾値との比較に応じ、前記被検体の断層画像を撮像する場合の管電流を調整する管電流調整部と、
    を備えることを特徴とするX線診断装置。
  2. 前記管電流調整部により前記被検体の断層画像を撮像する場合の管電流を調整したことを報知するメッセージを表示する表示部を備えることを特徴とする請求項1記載のX線診断装置。
  3. 前記閾値設定部は、前記閾値としてアーチファクトが出る下限値を設定し、
    前記管電流調整部は、前記データ生成部により生成された前記第2データ内のX線量が、前記閾値設定部により設定された前記下限値より小さくなるように、前記被検体の断層画像を撮像する場合の管電流を調整することを特徴とする請求項1又は2記載のX線診断装置。
  4. 前記閾値設定部は、前記閾値としてアーチファクトが出る上限値を設定し、
    前記管電流調整部は、前記データ生成部により生成された前記第2データ内のX線量が、前記閾値設定部により設定された前記上限値より大きくなるように、前記被検体の断層画像を撮像する場合の管電流を調整することを特徴とする請求項1又は2記載のX線診断装置。
  5. 前記閾値設定部は、前記閾値として第1のアーチファクトが出る下限値及び第2のアーチファクトが出る上限値を設定し、
    前記管電流調整部は、前記データ生成部により生成された前記第2データ内のX線量が、前記閾値設定部により設定された前記下限値より小さく、又は、前記閾値設定部により設定された前記上限値より大きくなるように、前記被検体の断層画像を撮像する場合の管電流を調整することを特徴とする請求項1又は2記載のX線診断装置。
  6. 前記第2データは、純生データであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のX線診断装置。
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