以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、本実施の形態は本発明を限定するものではない。
[第1の実施の形態]
図1〜図3に示すように、本実施の形態の放射線画像撮影装置10は、被検者Wが立った立位状態において、被検者Wの乳房Nを被写体として放射線(例えば、X線)により撮影する装置であり、例えば、マンモグラフィである。なお、以下では、撮影の際に放射線画像撮影装置10に被検者Wが対面した場合の被検者Wに近い手前側を放射線画像撮影装置10の装置前方側として説明する。また、放射線画像撮影装置10に被検者Wが対面した場合の被検者Wから離れた奥側を放射線画像撮影装置10の装置後方側として説明する。また、放射線画像撮影装置10に被検者Wが対面した場合の被検者Wの左右方向を放射線画像撮影装置10の装置左右方向として説明する。放射線画像撮影装置10の装置前方側、装置後方側、及び差内左右方向については、いずれも図1及び図2の各矢印参照。
また、放射線画像撮影装置10の撮影対象は、乳房Nに限られず、例えば、人体の他の部位や、人間以外の生物や物体(無機物)であってもよい。また、放射線画像撮影装置10としては、被検者Wがイス(車イスを含む)等に座った座位状態において、その被検者Wの乳房Nを撮影する装置であってもよく、少なくとも被検者Wの上半身が立位した状態でその被検者Wの乳房Nが左右別個に撮影可能な装置であればよい。
放射線画像撮影装置10は、図1に示すように、装置前方側に設けられた側面視略C字状の測定部12と、測定部12を装置後方側から支える基台部14と、を備える。
測定部12は、立位状態にある被検者Wの乳房Nと当接する平面状の撮影面20が形成された撮影台22と、乳房Nを撮影台22の撮影面20との間で圧迫するための圧迫板26と、撮影台22及び圧迫板26を支持する保持部28と、を備える。なお、圧迫板26には、放射線を透過する部材が用いられる。保持部28の内部には、圧迫板26の撮影台22(特に、撮影面20)に対する相対位置を検出する図示を省略したセンサが設けられている。放射線画像撮影装置10はこのセンサにより乳房の厚みを検出することができる。
また、測定部12は、管球等の放射線源30(図4参照)及び放射線照射部24と、支持部29と、を備えている。放射線照射部24は、放射線源30から撮影面20に向けて検査用の放射線を照射する。支持部29は、保持部28とは分離され放射線照射部24を支持する。
また、測定部12には回動軸16が設けられており、測定部12が基台部14に対して回動をすることが可能である。回動軸16は、支持部29に対して固定されており、回動軸16と支持部29とは一体に回動する。
回動軸16及び保持部28にそれぞれギアが設けられ、このギア同士の噛合状態と非噛合状態とを切替えることにより、保持部28と回動軸16とが連結されて一体に回動する状態と、回動軸16が保持部28と分離されて空転する状態とに切り替えることができる。
なお、回動軸16の回動力の伝達・非伝達の切り替えは、このギアに限らず、種々の機械要素を用いることができる。
保持部28は、撮影面20と放射線照射部24とを所定の間隔離して撮影台22と放射線照射部24とを支持する。また、保持部28は、圧迫板26も保持しており、圧迫板26が保持部28をスライド移動することにより、圧迫板26と撮影面20との間隔が変化する。
乳房Nが当接する撮影面20は、放射線の透過性や強度の観点から、例えば、カーボンで形成されている。撮影台22の内部には、乳房N及び撮影面20を通過した放射線を検出する放射線検出器42が配置されている。放射線画像撮影装置10は、放射線検出器42が検出した放射線に基づいて放射線画像を示す画像情報を生成し、後述する画像処理部(図4参照)により放射線画像を生成する。なお、放射線画像の生成の詳細な説明については後述する。
本実施の形態の放射線画像撮影装置10は、被写体としての乳房Nに対して、放射線検出器42の検出面に対する入射角度を所定の範囲内で異ならせて(変化させて)放射線を照射し、異なる入射角度毎の撮影を行うことができる装置である。ここで、入射角度とは、放射線検出器42の検出面の法線と、放射線軸とがなす角度をいう。また、ここでは、放射線検出器42の検出面は、撮影面20に略平行な面とする。
放射線画像撮影装置10は、図2及び図3に示すように、乳房Nに対して、放射線検出器42の検出面に対する入射角度を所定の範囲内で異ならせて放射線を照射し、複数回の撮影を行なう、いわゆるトモシンセシス撮影が行える装置である。以下では、トモシンセシス撮影における入射角度を異ならせる所定の範囲を「入射角度範囲」という。入射角度範囲の具体的一例としては、放射線検出器42の検出面の法線に対して±10度や±20度の範囲が挙げられる。
なお、本実施の形態では、図3に示すように角度αから所定角度θずつ放射線照射部24の位置を移動させて、放射線照射部24の位置がP1〜Pnのn箇所(撮影箇所)で撮影が行われる。なお、以下では、放射線検出器42の検出面の法線方向に対する放射線の入射角度を「入射角度」という。
各撮影箇所での撮影は、放射線照射部24を連続的に移動させながら撮影してもよい。連続的に移動させる撮影方法としては、例えば、放射線照射部24を移動させながら、停止することなく、各撮影箇所に達した際に、放射線照射部24から放射線を乳房Nに対して照射してもよい。また、放射線照射部24を断続的に移動させながら撮影してもよい。断続的に移動させる撮影方法としては、例えば、放射線照射部24を各撮影箇所まで移動させた後、一旦停止し、放射線照射部24から放射線を乳房Nに対して照射するのを繰り返してもよい。また、放射線照射部24を移動させながら各撮影箇所に達した際に、放射線照射部24から放射線を乳房Nに対して照射し、一旦停止後、再び放射線照射部24を移動させるのを繰り返してもよい。
また、本実施の形態の放射線画像撮影装置10では、2種類の入射角度範囲でトモシンセシス撮影を行う。以下では、2種類の入射角度範囲のうち開示の技術の第1の入射角度範囲の一例である、小さい(狭い)入射角度範囲を「小入射角度範囲」という。また、開示の技術の第2の入射角度範囲の一例である大きい(広い)入射角度範囲を「大入射角度範囲」という。入射角度範囲等の値は、例えば、制御部46内のメモリ43Bに予め格納されている。本実施の形態において、小入射角度範囲及び大入射角度範囲のいずれも、所定の入射角度に対して左右対称となる範囲であり、小入射角度範囲及び大入射角度範囲の所定の入射角度は同一としている。そのため、小入射角度範囲は、大入射角度範囲に含まれる。また、本実施の形態では、具体的一例として、所定の入射角度を放射線検出器42の検出面の法線方向の角度としている。また、小入射角度範囲は、大入射角度範囲に含まれる。
図2及び図3は、それぞれ、トモシンセシス撮影を行う場合における放射線画像撮影装置10の姿勢及び放射線照射部24の位置を示している。図2及び図3に示すように、トモシンセシス撮影は、放射線照射部24を支持する支持部29を傾けることにより行われる。
なお、一般に、トモシンセシス撮影を行なう場合、被検者Wの乳房Nに対して複数(n)回放射線を照射する。そのため、被曝量を抑制するため、1回分の放射線の線量を低くして、例えば、n回の総合で通常の2次元撮影(放射線源30を移動させないで固定位置から放射線を被写体に照射して撮影する通常の撮影)と同じ程度の線量の放射線が照射される。
また、本実施の形態の放射線画像撮影装置10は、乳房Nに対して、CC(Cranio & Caudal:頭尾方向)撮影とMLO(Mediolateral-Oblique:内外斜位方向)撮影との両者を行うことができる装置である。CC撮影を行う場合では、撮影面20を地面に対して鉛直方向を向けて保持部28の姿勢が調整され、かつ、放射線照射部24が撮影面20の法線に対して垂直方向(つまり0度)の位置に支持部29の姿勢が調整される。これにより、立位状態の被検者Wの頭側から足側に向かって、放射線照射部24から乳房Nへ放射線が照射されて、CC撮影がなされる。また、MLO撮影を行う場合では、一般的に、CC撮影を行う場合に比べて撮影台22を45°以上90°未満回転させた状態に保持部28の姿勢が調整され、撮影台22の装置前方側の側壁角部22Aに被検者Wの腋窩をあてた状態にポジショニングされる。これにより、被検者Wの胴体の軸中心側から外側へ向かって、放射線照射部24から乳房Nへ放射線が照射されて、MLO撮影がなされる。
なお、撮影台22の装置前方側の面には、撮影を行う場合において、被検者Wの乳房Nよりも下方の胸部分を当接させる胸壁面25が形成されている。胸壁面25は平面状に形成されている。
図4には、本実施の形態の放射線画像撮影システム6の構成の一例のブロック図を示す。
本実施の形態の放射線画像撮影システム6は、放射線画像撮影装置10、画像処理装置50、及び表示装置80を備える。
放射線画像撮影装置10は、放射線照射部24、放射線検出器42、操作パネル44、制御部46、及び通信I/F(インターフェイス)部48を含む。
制御部46は、放射線画像撮影装置10全体の動作を制御する機能を有する。制御部46は、CPU(Central Processing Unit)43Aと、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含むメモリ43Bと、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等から成る不揮発性の記憶部43Cと、を備える。本実施の形態の放射線画像撮影装置10では、制御部46内に画像処理部45及び関心部位検出部47を含み、例えば、画像処理部45や関心部位検出部47はこのCPU43A、メモリ43B、及び記憶部43C等の中に部分的に入っている。また、制御部46には、放射線照射部24、放射線検出器42、操作パネル44、及び通信I/F部48が接続されている。
制御部46は、指示入力部84に表示された曝射スイッチによりオペレータから照射指示を受け付けると、指示された曝射条件に基づいて設定された撮影メニューに従って、放射線照射部24に設けられた放射線源30から撮影面20に対して放射線を照射させる。なお、本実施の形態において、放射線源30は、コーンビームの放射線(例えば、円錐状のX線ビーム)を照射する。
放射線画像生成部41は、被写体を透過した放射線に基づいて、被写体の放射線画像を生成する機能を有する。本実施の形態では、放射線画像生成部41は、放射線検出器42と画像処理部45とを含む。放射線検出器42は、画像情報を担持する放射線の照射を受けて画像情報を記録し、記録した画像情報を出力するものである。放射線検出器42の具体例としては、放射線感応層を配置し、放射線をデジタルデータに変換して出力するFPD(Flat Panel Detector)が挙げられる。放射線感応層は撮影面20に略平行に配置することができる。放射線検出器42は、放射線が照射されると、放射線画像を示す画像情報を制御部46の画像処理部45へ出力する。本実施の形態の放射線画像撮影装置10では、放射線検出器42によって、乳房Nを透過した放射線の照射を受けて放射線画像を示す画像情報が得られる。そして、画像処理部45は、放射線検出器42によって得られた画像情報に対して、ゲイン補正、オフセット補正、及び欠陥画素補正等の必要な処理を行って放射線画像を生成する。なお、画像処理部45の設けられている位置は本実施の形態に限らない。例えば、画像処理部45は、放射線検出器42内に設けられていてもよい。また、画像処理部45は、後述する様に画像処理装置50内に設けられていてもよい。
また、関心部位検出部47は、画像処理部45によって生成された放射線画像から、関心部位を検出する機能を有する。本実施の形態において関心部位とは、医師等のユーザが放射線画像を観察等する際に、関心を有する部位をいい、例えば、病変等による変異部位が挙げられる。変異部位の具体例としては、石灰化と疑われる変異部位や腫瘤と疑われる変異部位等が挙げられる。なお、関心部位を検出するための情報は、制御部46のメモリ43B等に記憶されている。
なお、本実施の形態では、画像処理部45及び関心部位検出部47は、ネットワーク49を介すことなく高速に処理を行うために制御部46の一部として、制御部46内に備えるものとして説明するが、これに限るものではない。画像処理部45及び関心部位検出部47は制御部46とは別のハードウエア構成でもよい。別のハードウエア構成にした場合は、例えば、画像処理部45及び関心部位検出部47を画像処理装置50側に設けてもよい。画像処理装置50側に設ける場合には、関心部位検出部47によって変異部位を検出するための情報は、画像処理装置50のROM54等に記憶してもよい。また、画像処理部45及び関心部位検出部47はハードウエア構成としてもよいし、CPU43Aがプログラムを実行することによって行うソフトウエア構成としてもよい。その場合は、放射線画像撮影装置10全体を制御するソフトウエアが実行されるコンピュータと同一のコンピュータにて実行されるソフトウエアとしてもよいし、別のコンピュータにて実行されるソフトウエアでもよい。
指示入力部84は、撮影条件を含む各種の操作情報、各種の操作指示等が設定される機能を有する。なお、撮影前に技師が患者の乳房Nを挟みながら圧迫板26を上下したり、CC撮影やMLO撮影等をするために支持部29(つまり、放射線照射部24)を傾けたりする機能は、操作パネル44にも設けられている。操作パネル44は、例えば、放射線画像撮影装置10の撮影台22に複数のスイッチとして設けられている。なお、操作パネル44は、タッチパネルとして設けられてもよい。
指示入力部84で設定される撮影条件には、管電圧、管電流、照射時間を含む曝射条件、及び姿勢情報等の放射線画像の撮影に関する情報が含まれている。指示入力部84で指定される姿勢情報には、乳房Nに対して複数の入射角度で放射線を入射させて撮影を行う場合の撮影位置(入射角度及び入射角度範囲を含む)を表す情報が含まれている。なお、本実施の形態では、一例として、指示入力部84が開示の技術の表示部として機能するが、これに限らず、例えば、操作パネル44を表示部として機能させてもよい。
なお、これらの曝射条件や姿勢情報等の各種の操作情報及び各種の操作指示等は、指示入力部84によりオペレータが設定してもよいし、他の制御装置(例えばRIS:Radiology Information System)等から得てもよいし、また、予め制御部46内の記憶部に記憶させておいてもよい。
指示入力部84により各種情報が設定されると、制御部46は、設定された各種情報に基づいて設定された撮影メニューに従って、放射線照射部24から放射線を被検者Wの撮影部位(乳房N)に照射させて放射線画像の撮影を実行する。制御部46は、乳房Nに対してトモシンセシス撮影を行う場合には、撮影面20が上方を向いた状態に保持部28の姿勢を調整すると共に放射線照射部24が撮影面20に対して上方に位置する状態に支持部29の姿勢を調整する。そして、制御部46は、図3に示すように、撮影条件に基づいて、支持部29を回動させて放射線照射部24を円弧状に角度αから角度θずつ移動させ、放射線照射部24に設けられた放射線源30から放射線を照射させる。これにより放射線の入射角度が各々異なるn枚の放射線画像が得られる。
通信I/F部48は、放射線画像撮影装置10と画像処理装置50との間で、撮影された放射線画像や各種情報等を、ネットワーク49を介して送受信するための機能を有する通信インターフェイスである。
画像処理装置50は、放射線画像撮影装置10から取得した放射線画像から再構成した断層画像を生成する機能(断層画像生成部68)を有する。また、画像処理装置50は、医師等が断層画像や以下に説明する投影画像等を表示装置80で観察するための画像処理を行う機能(図示せず)を有する。なお、以下では、医師等、撮影された放射線画像や生成された断層画像の観察や、関心部位等の観察や診断等を行う者を「ユーザ」という。また、放射線画像撮影装置10においてトモシンセシス撮影により放射線検出器42が放射線を検出することにより得られた放射線画像を「投影画像」という。
画像処理装置50は、CPU52、ROM54、RAM56、HDD58、通信I/F部60、画像表示指示部62、指示受付部64、断層画像生成部68、及び記憶部74を備える。これらは、コントロールバスやデータバス等のバス75により互いに接続されている。
CPU52は、画像処理装置50全体の制御等を行う機能を有する。具体的には、CPU52は、ROM54に格納されている各種プログラム55を実行することにより制御を行っている。なお、本実施の形態の画像処理装置50では、プログラム55が、予め格納されている場合を示しているがこれに限らず、プログラム55をCD−ROMやリムーバブルディスク等の記録媒体等に記憶しておき記録媒体からROM54等にインストールしてもよい。また、プログラム55をインターネット等の通信回線を介して外部装置からROM54等にインストールしてもよい。RAM56は、CPU52でプログラム55を実行する際の作業用の領域を確保する機能を有する。HDD58は、各種データを記憶して保持する機能を有する。なお、本実施の形態では、断層画像生成部68が画像処理装置50の一部として画像処理装置50内に備えられているものとして説明するが、これに限るものではない。断層画像生成部68は画像処理装置50とは別のハードウエア構成でもよい。
通信I/F部60は、画像処理装置50と、放射線画像撮影装置10と、の間で撮影された放射線画像や各種情報等を、ネットワーク49を介して送受信するための機能を有する通信インターフェイスである。
画像表示指示部62は、放射線画像を表示させるために表示装置80のディスプレイ82に指示する機能を有する。なお、本実施の形態では、画像表示指示部62が画像処理装置50に備えられている場合について説明するが、画像表示指示部62の機能の一部もしくは全部が、制御部46に組み込まれていてもよい。
本実施の形態の表示装置80は、撮影された放射線画像の表示を行う機能を有し、放射線画像が表示されるディスプレイ82及び指示入力部84を備える。指示入力部84は、例えば、タッチパネルや、キーボード、及びマウス等であってもよい。指示入力部84により、ユーザは、放射線画像の表示に関する指示や上述した撮影条件等を入力することができる。また、ユーザは指示入力部84から撮影開始の指示をすることもできる。ディスプレイ82及び指示入力部84をタッチパネルとする場合は、ディスプレイ82及び指示入力部84を共通化することができる。指示受付部64は、表示装置80の指示入力部84により入力されたユーザからの指示を受け付ける機能を有する。
断層画像生成部68は、複数の投影画像を再構成して、所定のスライス間隔で撮影面20に平行な断層画像を生成する機能を有する。なお、本実施の形態では、「平行」としているが、設計上の誤差である略平行も含むものとする。
なお、上述したように、本実施の形態の放射線画像撮影装置10では、乳房Nが撮影台22の撮影面20に当接した状態で圧迫板26により圧迫されて固定される。このため、本実施の形態の放射線画像撮影装置10では、撮影面20に平行な面とされている放射線検出器42の検出面の法線方向に対する放射線の入射角度と、乳房Nの断層画像の断層面の法線方向に対する放射線の入射角度と、が等しくなる。
断層画像生成部68は、放射線照射部24(放射線源30)をP1、P2、P3、・・・、Pnの位置に移動して各位置で撮影された複数の投影画像から所定のスライス間隔の断層画像を生成する。なお、放射線の撮影面20に対する入射角度によって、関心部位が投影画像上に投影される位置が異なる。そこで、断層画像生成部68は、放射線画像撮影装置10から投影画像を撮影した際の撮影条件を取得する。そして断層画像生成部68は、撮影条件に含まれる放射線の入射角度に基づいて、複数の投影画像間における関心部位の移動量を算出して、シフト加算法等、公知の再構成方法に基づいて断層画像の再構成を行う。
なお、再構成方法としては、シフト加算法の外、従来公知のCT(Computed Tomography)再構成法を用いることができる。例えば、CT再構成方法としては、代表的な手法であるFBP法(Filtered Back Projection法)を用いることができる。FBP法は、断層撮影の平行平面式断層走査をコーンビームCT走査の一部として捉え、フィルタ逆投影法を拡張した再構成手法である。更にまた、特開2011−125698号公報に記載の、反復再構成法を用いることもできる。この反復再構成法もCT用の再構成法ではあるが、FBP法と同様に、トモシンセシス撮影を行う場合の再構成にも適用できる。
また、断層画像生成部68は、ハードウエア、例えば、一般的な電子回路や、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、あるいはFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウエア等により実現することができる。
なお、断層画像生成部68は、1回のトモシンセシス撮影により得られた投影画像から分解能が異なる断層画像を生成することができる。断層画像生成部68により生成される断層画像は、投影画像を撮影した際の、入射角度範囲の大きさ(広さ)により、分解能の上限が定まる。なお、本実施の形態において分解能とは、断層の法線方向(深さ方向)における分解能であり、放射線検出器42の検出面の法線方向の分解能のことをいう。入射角度範囲が大きい(広い)ほうが、断層画像の分解能の上限が高くなり、分解能を高くすることができる。入射角度範囲が大きい(広い)ほうが、投影画像上のより多くの異なる位置に、関心部位を投影させることができるため、分解能を高くできる。
同じ高さ(断層の深さ法線方向の位置)における同じ厚みの断層画像を比較すると、高分解能の断層画像では、その厚みの中に含まれるのが、必要とされる高さに応じた画像情報、すなわち、必要な画像情報になる。そのため、再構成された断層画像は、見かけがシャープな画像となる。一方、低分解能の断層画像では、その厚みの中に含まれるのが、必要とされる高さ及びその高さの周囲の画像情報となり、すなわち、余分な画像情報が含まれることになる。そのため、再構成された断層画像は、高分解能の断層画像を重ね合わせた場合と同様に、見かけがぼやっとした画像になる。
なお、断層画像生成部68では、撮影された投影画像のうち一部の投影画像のみを用いて断層画像を生成することにより、断層画像の分解能を低くすることができる。例えば、断層画像の分解能を全ての投影画像を使用する場合に比べて低くすることができる。
記憶部74は、放射線画像撮影装置10で撮影した投影画像、断層画像生成部68で生成された断層画像の各々を表わす画像情報等を記憶する機能を有している。記憶部74の具体例としては、ハードディスク等の大容量記憶装置が挙げられる。また、本実施の形態では、記憶部74には、放射線画像撮影装置10で放射線画像の撮影を行った撮影条件(放射線の入射角度等)も記憶されている。
続いて、放射線検出器42の具体的な構成の一例について説明する。図5は、放射線検出器42の第1構成例を示す図である。
放射線検出器42は、被写体を通過した放射線を受けて被写体の放射線画像を示す画像情報を出力する。図5に示すように、放射線検出器42は、放射線を受けて光を発するシンチレータ(図示せず)と、シンチレータで発生した光を受けて電荷を発生するセンサ部S及びセンサ部Sにて蓄積された電荷を読み出すスイッチング素子Trを含む複数の画素21を有する。スイッチング素子Trの具体例としては、薄膜トランジスタ等が挙げられる。以下では、スイッチング素子Trを「トランジスタTr」という。
放射線検出器42は、さらに、いずれも図示を省略したチャージアンプ、A/D(アナログ/デジタル)コンバータ、及び読み出し制御IC(Integrated Circuit)等を含む。なお、本実施の形態の放射線検出器42では、シンチレータによって放射線に応じて変換された光がセンサ部Sに照射されて電荷を発生する間接変換型の放射線検出器であるが、これに限定されない。直接変換型の放射線検出器の場合は、放射線を受けて電荷を発生する電荷発生層(例えば、主成分がSeの層)と、電荷発生層で蓄積された電荷を読み出すスイッチング素子を含む複数の画素21とを有する。
複数の画素21は、一方向(図5の横方向に対応する制御配線方向、以下「行方向」という)及び行方向に対する交差方向(図5の縦方向に対応する信号配線方向、以下「列方向」という)にマトリクス状に配置されている。図5では、画素21の配列を簡略化して示しているが、例えば、画素21は行方向及び列方向に1024個×1024個配置される。
また、放射線検出器42には、複数の制御配線G(図5では、G1〜G4)と、複数の信号配線D(図5では、D1〜D4)と、が互いに交差して設けられている。制御配線Gは、トランジスタTrのオン/オフを制御するためのものである。信号配線Dは、センサ部Sに蓄積された電荷を読み出すために画素21の列毎に備えられている。信号配線Dから流れてきた各画素21の電荷は、図示を省略したチャージアンプ及びA/Dコンバータ等を経て、デジタルデータ(即ち、放射線画像を示す画像情報の一例)となり、画像処理部45に出力される。なお、各制御配線G、Mには、読み出し制御IC(図示省略)により制御信号が流れる。
なお、各画素21のセンサ部Sには、半導体層及び半導体層にバイアス電圧を与えるバイアス電極が設けられている。各画素のバイアス電極が共通配線90に接続される。共通配線90を介して電源92からバイアス電圧が印加される。
制御配線Gには、各トランジスタTrをスイッチング(オン/オフ)するための制御信号が流れる。このように制御信号が各制御配線Gに流れることによって、各トランジスタTrがスイッチング(オン/オフ)される。
信号配線Dには、各画素21のトランジスタTrのスイッチング状態(オン/オフ状態)に応じて、各画素21に蓄積された電荷量に応じた電気信号がトランジスタTrを介して流れる。
次に、放射線検出器42の他の構成例について説明する。図6は、放射線検出器42の第2構成例を示す図である。
図6に示す放射線検出器42は、画素領域が六角形状の複数の画素21が互いに隣接しながら2次元状にハニカム状に配列され、全体として略矩形状の領域を形成している点を除いては図5に示した放射線検出器42の構成と同じである。各画素21は、シンチレータにより変換された光を受けて電荷を発生するセンサ部98と、センサ部98で発生した電荷を蓄積する電荷蓄積容量5と、電荷蓄積容量5に蓄積された電荷を読み出すための薄膜トランジスタ(以下、「トランジスタ」という)4と、を含む。
なお、各画素21をハニカム状に配置するとは、第1の画素行と、第2の画素行とを、列方向(図6の垂直方向)と交差する方向に交互に配列すると共に、上記第2の画素行の画素21が、上記第1の画素行の隣接する画素間に対応して配置され、上記第1の画素行の各画素21の配列ピッチの1/2だけ行方向にずらして配置されることである。なお、第1の画素行には、画素領域が六角形状の同じ大きさの画素21が行方向(図6の水平方向)に複数配列されている。第2の画素行には、第1の画素行の画素21と同じ大きさの、画素領域が六角形状の画素21が行方向に複数配列されている。
放射線検出器42は、各画素行に対応して配置された第1の制御配線G1〜G4を備える。第1の制御配線G1〜G4を総称する場合は「制御配線G」という。制御配線Gには、各画素21内に設けたトランジスタ4のゲート電極が接続され、制御配線Gを流れる信号に応じてトランジスタ4のオン/オフが制御される。
放射線検出器42は、各画素21内のセンサ部98で発生し、電荷蓄積容量5に蓄積された電荷を読み出すための複数の信号配線D1〜D3と、共通接地(共通グランド)配線31と、を複数備える。信号配線D1〜D3を総称する場合は「信号配線D」という。信号配線Dから流れてきた各画素21の電荷は、図示を省略したチャージアンプ及びA/Dコンバータ等を経て、デジタルデータ(即ち、放射線画像を示す画像情報の一例)となり、画像処理部45に出力される。
放射線検出器42では、信号配線D1〜D3の各々に、画素行毎に各画素21に対応する電荷信号が流れる。これにより、放射線検出器42に照射された放射線により放射線画像を示す画像情報を得ることができる。
ところで、トモシンセシス撮影では、入射角度範囲を大きく(広く)することにより、上述したように高分解能の断層画像を得ることができる。一方で、入射角度範囲が広がるので、撮影時間が増加して被検者Wへの負担が大きくなる。放射線照射部24が入射角度を異ならせて複数回撮影するのに掛かる全体の時間に影響を及ぼすので、この時間が大きくなると被検者Wへの負担が大きくなる。
そこで、本実施の形態に係る制御部46は、トモシンセシス撮影の前に2次元画像の撮影を行う。また、制御部46は、得られた放射線画像から関心部位の有無を関心部位検出部47により解析して検出する。制御部46は、解析結果に基づいて、入射角度範囲を含むトモシンセシス撮影の撮影条件を決定する。そして、制御部46が、決定した撮影条件にてトモシンセシス撮影を行うことにより、的確な撮影条件でトモシンセシス撮影を行える。
詳細には、本実施の形態の放射線画像撮影装置10では、制御部46の関心部位検出部47が、トモシンセシス撮影の前に2次元画像の撮影をして得られた放射線画像をCAD(Computer Aided Diagnosis)等の解析技術を用いて解析を行うことにより関心部位を検出する。また、関心部位の有無に応じて、制御部46がトモシンセシス撮影の撮影条件を決定する。
制御部46(関心部位検出部47)における関心部位の検出は、例えば、特開2011−120747号公報に記載の技術が採用される。撮影によって得られる放射線画像に基づいて、乳房中の異常陰影候補(関心部位)を検出する際に、上記公報に記載のように、アイリスフィルタ処理等を用いた手法(特開平10−97624号公報も参照)や、モフォロジーフィルタを用いた手法(特開平8−294479号公報も参照)を用いることにより、異常陰影候補(関心部位)を検出することができる。なお、関心部位の検出に用いられる技術及び手法は、これらに限定されないことはいうまでもない。
本実施の形態では、制御部46(関心部位検出部47)によって関心部位が検出されない場合は、制御部46が入射角度範囲を小入射角度範囲とした第1の条件でトモシンセシス撮影を行わせる制御を行う。一方、関心部位が検出された場合は、制御部46が入射角度範囲を大入射角度範囲とした第2の条件でトモシンセシス撮影を行わせる制御を行う。なお、以下では、第1の条件で行われたトモシンセシス撮影を「第1のトモシンセシス撮影」といい、第2の条件で行われたトモシンセシス撮影を「第2のトモシンセシス撮影」といい、両者を総称する場合は、「トモシンセシス撮影」という。
なお、本実施の形態では、制御部46の関心部位検出部47が関心部位を検出するものとして説明するが、例えば、制御部46の関心部位検出部47の処理能力が低い場合には、画像処理装置50に関心部位検出部47の機能を設けてもよい。また、本実施の形態にてトモシンセシス撮影をする際の撮影条件のうち、曝射条件の決定方法については、例えば以下の様にすればよい。すなわち、トモシンセシス撮影前に先立って撮影した2次元画像の濃淡を制御部46で解析する。そして、トモシンセシス撮影で得られる投影画像の濃淡が所定の範囲内に収まる照射線量に、トモシンセシス撮影における1回の照射線量を決定すればよい。
続いて、放射線画像撮影システム6における動作について説明する。図7は、本実施の形態に係る放射線画像撮影システム6における制御部46で行われる処理の流れ(放射線画像撮影方法)の一例を示すフローチャートである。
まず、ユーザは、放射線画像撮影装置10の撮影面20に被検者Wの乳房Nを当接させる。この状態でユーザから圧迫開始の操作指示が行われると、ステップS100で、放射線画像撮影装置10の制御部46が、圧迫板26を撮影面20に向けて移動させ、乳房Nを圧迫する。
続いて、ステップS102で制御部46は、後述するトモシンセシス撮影に先立って、乳房Nの2次元画像(放射線画像)を取得する第1の撮影を行う。第1の撮影は、放射線照射部24を乳房Nに対して所定の入射角度にして行う。具体的には、放射線照射部24を撮影台22に対して垂直位置(図2の中央位置)にした状態で、放射線画像撮影装置10で検出された乳房Nの厚みに応じて決められた放射線量にて、乳房Nの撮影を行う。一般的に、乳房Nの厚みが大きくなると、放射線検出器42に到達する(乳房Nを透過する)放射線の線量は減る。そこで、本実施の形態の放射線画像撮影装置10では、所定の入射角度や、乳房Nの厚みと照射する放射線量との対応関係を予め制御部46内のメモリ43Bに格納してある。放射線検出器42より得られる乳房Nの画像情報に対して、画像処理部45がゲイン補正、オフセット補正、及び欠陥画素補正等の必要な処理を行って乳房Nの放射線画像を生成する。なお、ここで生成される放射線画像のフォーマットは、例えば、RAWフォーマット(Raw image format)が適用される。第1の撮影結果に基づいて、以降で行うトモシンセシス撮影の撮影条件等が決定される。
次のステップS104で制御部46の関心部位検出部47が、画像処理部45によって生成された放射線画像に対して、上述したように解析を行い、関心部位の検出を行う。
次のステップ106で制御部46の関心部位検出部47は、関心部位が有ったか(検出されたか)否かを判定する。関心部位が検出された場合は、ステップS108へ進む。一方、関心部位が検出されなかった場合は、ステップS110へ進む。
ステップS108で制御部46は、トモシンセシス撮影の撮影条件として、大入射角度範囲を設定する。すなわち、乳房Nの投影画像取得における入射角度範囲を大入射角度範囲に設定する制御を、制御部46が行う。このように、関心部位が検出された場合には、大入射角度範囲でトモシンセシス撮影を行うことにより、関心部位の観察等に必要な投影画像及び高分解能の断層画像を得ることが可能となる。制御部46がトモシンセシス撮影条件を設定した後、ステップS112へ進む。
一方、ステップS110で制御部46は、トモシンセシス撮影の撮影条件として、小入射角度範囲を設定する。詳細には、乳房Nの投影画像取得における入射角度範囲を小入射角度範囲にする制御を、制御部46が行う。トモシンセシス撮影を行う場合の入射角度範囲を小入射角度範囲で撮影することにより、大入射角度範囲で撮影する場合よりも撮影時間が短縮される。従って、関心部位が検出されない場合には、乳房Nの圧迫による被検者Wの負担を軽減した撮影を行うことが可能となる。制御部46がトモシンセシス撮影条件を設定した後、ステップS112へ進む。
ステップS112で放射線画像撮影装置10は、設定されたトモシンセシス撮影の撮影条件に従ってトモシンセシス撮影を行う。すなわち、放射線画像撮影装置10は、設定された入射角度範囲の最大角度まで支持部29を動かしてトモシンセシス撮影を開始し、例えば、1度ずつ支持部29を移動させながら撮影を行うことによって、設定された入射角度範囲分の複数の投影画像を撮影する。各位置における放射線画像の撮影を詳細に説明すると、放射線検出器42によって得られる画像情報に対して、画像処理部45がゲイン補正、オフセット補正、及び欠陥画素補正等の必要な処理を行って、RAWフォーマット等の放射線画像(投影画像)を生成する。トモシンセシス撮影が終了すると、ステップS114へ進む。
ステップS114で制御部46は、圧迫板26による乳房Nの固定を解除する。乳房Nの固定の解除は、例えば、圧迫板26が撮影面20から離れる方向に移動することにより行われる。
次のステップS116で制御部46は、撮影した放射線画像を画像処理装置50へ出力する。
次のステップS118で画像処理装置50の断層画像生成部68は、制御部46により出力された投影画像に基づいて、上述したFBP法等の画像処理を行い、断層画像を生成する。なお、本実施の形態の断層画像生成部68は、関心部位が検出されず、第1のトモシンセシス撮影を行った場合は、低分解能の断層画像を生成する。また、断層画像生成部68は、関心部位が検出され、第2のトモシンセシス撮影を行った場合は、高分解能(第1のトモシンセシス撮影による断層画像に比べて分解能が高い)の断層画像を生成する。
なお、断層画像生成部68が生成する断層画像のスライス厚は、特に限定されず、記憶部74やRAM56等に記憶させておいた初期値を用いてもよいし、指示入力部84等によりユーザが指示した値を用いてもよい。
次のステップS120で画像表示指示部62が、生成した断層画像を表示装置80のディスプレイ82に表示させた後、本処理を終了する。
図8A及び図8Bに、ディスプレイ82に表示される断層画像の具体例を示す。図8Aには、第2のトモシンセシス撮影により得られた高分解能の断層画像の具体例を示す。なお、図8Aには、関心部位画像が含まれる断層画像を示したが、断層の位置(高さ)によっては、関心部位が含まれない断層画像となる。図8Bには、第1のトモシンセシス撮影により得られた低分解の断層画像の具体例を示す。
なお、画像表示指示部62による断層画像の表示方法は、特に限定されず、高さ(深さ)方向に順次、ディスプレイ82に表示させてもよいし、関心部位が検出された場合は、関心部位を含む断層画像を最初に表示させてもよい。また、複数の断層画像(同一の被写体の高さ方向の位置が異なる断層画像)を並べて表示させてもよい。また、どのように表示させるかについては、指示入力部84によりユーザが指示してもよい。
以上説明したように、放射線画像撮影装置10は、乳房Nのたった1回の圧迫により、2次元画像の撮影から関心部位の検出、検出結果に応じた撮影条件の設定、及びトモシンセシス撮影を可能とするインテリジェントな装置である。
放射線画像撮影装置10では、トモシンセシス撮影の前に撮影した放射線画像(すなわち、第1の撮影により得られた乳房Nの2次元画像)から関心部位検出部47により関心部位を検出して、検出結果に基づいて、撮影条件を決定してトモシンセシス撮影を行う。関心部位が検出されなかった場合は、放射線の入射角度範囲を小入射角度範囲に設定して第1のトモシンセシス撮影を行う。さらに、画像処理装置50の断層画像生成部68が、撮影された投影画像から低分解能の断層画像を生成し、画像表示指示部62が断層画像を表示装置80に表示する。放射線画像撮影装置10は、入射角度範囲が小さい(狭い)ため、撮影に要する時間を短くすることができ、被検者Wへの負担を軽減することができる。
一方、関心部位が検出された場合は、放射線の入射角度範囲を大入射角度範囲に設定して第2のトモシンセシス撮影を行う。さらに、画像処理装置50の断層画像生成部68が、撮影された投影画像から高分解能の断層画像を生成し、画像表示指示部62により断層画像を表示装置80に表示させる。放射線画像撮影装置10は、高分解能の断層画像が表示されるため、ユーザが関心部位を観察等するために的確な放射線画像を得ることができる。
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態に係る放射線画像撮影システム6と同様の部分については、同一符号を付して、詳細な説明を省略する。本実施の形態の放射線画像撮影システム6では、断層画像の生成及び表示が、第1の実施の形態と異なる。
放射線画像撮影システム6の構成は、第1の実施の形態の放射線画像撮影システム6(図1〜図6参照)と同様のため、説明を省略する。
本実施の形態の放射線画像撮影システム6における動作について説明する。図9は、本実施の形態に係る放射線画像撮影システム6で行われる処理の流れ(放射線画像撮影方法)の一例を示すフローチャートである。
ステップS100〜S116の各ステップの処理は、第1の実施の形態の制御部46で行われる処理(図7参照)と同様であるため、詳細な説明を省略する。
ユーザから圧迫開始の操作指示が行われると、ステップS100で制御部46が、圧迫板26により乳房Nを圧迫する。次のステップS102で制御部46は、乳房Nの厚さに応じた線量により、乳房Nを撮影し、2次元画像を取得する。次のステップS104で制御部46の関心部位検出部47が、画像処理部45によって生成された放射線画像に対して、解析を行い、関心部位の検出を行う。次のステップ106で制御部46の関心部位検出部47が、関心部位が有ったか(検出されたか)否かを判定する。関心部位が検出された場合は、ステップS108へ進み、制御部46は、トモシンセシス撮影の撮影条件として、大入射角度範囲を設定する。一方、関心部位が検出されなかった場合は、ステップS110へ進み、制御部46は、トモシンセシス撮影の撮影条件として、小入射角度範囲を設定する。ステップS108またはS110により撮影条件が設定されると、ステップS112へ進む。ステップS112で放射線画像撮影装置10は、設定された撮影条件に従ってトモシンセシス撮影を行う。トモシンセシス撮影が終了すると、次のステップS114で制御部46は、乳房Nの固定を解除する。次のステップS116で制御部46は、撮影した放射線画像を画像処理装置50へ出力する。
本実施の形態の放射線画像撮影システム6では、ステップS116の後、ステップS120へ進む。ステップS120で画像処理装置50の断層画像生成部68は、同一の被検者Wの左右の乳房Nをトモシンセシス撮影したか否かを判定する。いずれか一方の乳房Nのトモシンセシス撮影しか行っていない場合は、ステップS100に戻り、撮影が行われていない他方の乳房Nのトモシンセシス撮影を行うためにステップS100〜S116の処理を繰り返す。一方、左右両方の乳房Nをトモシンセシス撮影した場合は、ステップS122へ進む。
ステップS122で画像処理装置50の断層画像生成部68が、関心部位が検出されたか否かを判定する。上記ステップS104の処理により、左右の乳房Nともに、関心部位が検出されなかった場合は、ステップS124へ進む。
ステップS124で断層画像生成部68が、制御部46より出力された投影画像に基づいて、上述したFBP法等の画像処理を行い、断層画像を生成する。なお、断層画像生成部68は、関心部位が検出されずに第1のトモシンセシス撮影が行われたため、左右の乳房Nともに、低分解能の断層画像を生成する。
次のステップS126で画像表示指示部62が、生成した左右の乳房Nの断層画像を表示装置80のディスプレイ82に表示させる。図10には、左右の乳房Nともに、関心部位が検出されなかった場合のディスプレイ82に表示される低分解能の断層画像の具体例を示す。断層画像の表示方法については、第1の実施の形態のステップS120と同様にすればよい。なお、左右の乳房Nの断層画像を表示させる場合は、左右の高さ(深さ方向の位置)を揃えることが好ましい。
次のステップS128で画像表示指示部62が、開示の技術の予め定められた印の一例であるボタン99を表示装置80の指示入力部84に表示させる。なお、本実施の形態では、ディスプレイ82と指示入力部84とを共通化しているため、実質的には、ボタン99は、断層画像とともに、ディスプレイ82に表示される。
本実施の形態において断層画像と共にディスプレイ82に表示されるボタン99は、表示されている断層画像の分解能を切り替えることが可能であるか否か、及び表示されている断層画像の分解能が高分解能及び低分解能のいずれであるかの2種類の情報を表示する機能を有する。ボタン99が活性状態の場合は、表示されている断層画像の分解能を切り替えることが可能であることを意味している。また、ボタン99が不活性状態の場合は、表示されている断層画像の分解能を切り替えることが不可能であることを意味している。ボタン99が不活性状態の場合は、ユーザがボタン99を操作しても放射線画像撮影システム6は、特に反応しない。また、本実施の形態では、ボタン99の色により、表示されている断層画像の分解能が高分解能及び低分解能のいずれであるかを表している。また、本実施の形態では、ボタン99の線の太さにより、ボタン99が活性状態か不活性状態かを表している。例えば、ボタン99の線が太い場合は活性状態を表し、ボタン99の線が細い場合は不活性状態を表す。なお、ボタン99により、2種類の情報を表示する方法としては、本実施の形態に限らず、ボタン99の大きさ、点滅、及び色の濃淡等を適宜組み合わせて表示してもよい。例えば、ボタン99の色が分解能を表し、色の濃淡が活性または不活性状態を表してもよい。また、本実施の形態では、1つのボタン99により2種類の情報を表示しているが、それぞれの情報ごとに表示するボタン等を異ならせてもよい。
本ステップS128で指示入力部84に表示される、左右の乳房Nの各々に対するボタン99は、ともに、不活性状態、かつ低分解能であることを表している。
次のステップS130で画像表示指示部62は、本処理を終了するか否かを判定する。左右の乳房Nとも、関心部位が検出されなかった場合は、両方共に、低分解能の断層画像であるため、断層画像の切り替えは行われない。そのため、本処理を終了しない場合は、待機状態となり、断層画像及びボタン99の表示を継続する。一方、ユーザが指示入力部84により終了を指示した場合等は、本処理を終了する。
一方、ステップS122において、左右の乳房Nともに、関心部位が検出された場合は、ステップS132へ進む。
ステップS132で断層画像生成部68が、制御部46より出力された投影画像に基づいて、上述したFBP法等の画像処理を行い、断層画像を生成する。なお、断層画像生成部68は、関心部位が検出されて第2のトモシンセシス撮影が行われたため、左右の乳房Nともに、高分解能の断層画像を生成する。
次のステップS134で画像表示指示部62が、生成した左右の乳房Nの断層画像を表示装置80のディスプレイ82に表示させる。図11には、左右の乳房Nともに、関心部位が検出された場合のディスプレイ82に表示される高分解能の断層画像の具体例を示す。なお、断層画像の表示方法については、ステップS126と同様にすればよい。
次のステップS136で画像表示指示部62が、ボタン99を表示装置80の指示入力部84に表示させる。指示入力部84に表示される左右の乳房Nの各々に対するボタン99は、ともに、不活性状態、かつ高分解能であることを表している。
次のステップS138で画像表示指示部62は、本処理を終了するか否かを判定する。左右の乳房Nとも、関心部位が検出された場合は、両方共に、高分解能の断層画像であるため、断層画像の切り替えは行われない。そのため、本処理を終了しない場合は、待機状態となり、断層画像及びボタン99の表示を継続する。一方、ユーザが指示入力部84により終了を指示した場合等は、本処理を終了する。
一方、ステップS122において、左右の乳房Nのいずれか一方に、関心部位が検出された場合は、ステップS140へ進む。
ステップS140で断層画像生成部68が、制御部46より出力された投影画像に基づいて、上述したFBP法等の画像処理を行い断層画像を生成する。なお、関心部位が検出されなかった方の乳房Nについては、第1のトモシンセシス撮影が行われたため、断層画像生成部68は、低分解能の断層画像のみを生成する。一方、関心部位が検出された方の乳房Nについては、第2のトモシンセシス撮影が行われたため、断層画像生成部68は、高分解能の断層画像と、低分解能の断層画像と、両方を生成する。低分解能の断層画像を生成する場合は、第2のトモシンセシス撮影により得られた投影画像から、小入射角度範囲における投影画像を選択し、選択した投影画像により断層画像を生成すればよい。
次のステップS142で画像表示指示部62が、生成した左右の乳房Nの低分解能の断層画像を表示装置80のディスプレイ82に表示させる。図12には、一方(具体例として右の乳房N)に、関心部位が検出された場合のディスプレイ82に表示される断層画像の具体例を示す。図12(1)は、左右の乳房Nの画像ともに、低分解能の断層画像を表示させた場合を示している。なお、断層画像の表示方法については、ステップS126と同様にすればよい。
次のステップS144で画像表示指示部62が、ボタン99を表示装置80の指示入力部84に表示させる。指示入力部84に表示される、左の乳房Nに対するボタン99は、不活性状態、かつ低分解能であることを表している。また、右の乳房Nに対するボタン99は、活性状態、かつ低分解能であることを表している。右の乳房Nに対するボタン99が活性状態を表しているため、ユーザは、断層画像の分解能が切り替え可能であることを認識することができる。そのため、切り替えを行いたい場合、ユーザは、ボタン99により切り替えの指示を行う。なお、本実施の形態での表示装置80では、指示入力部84をタッチパネルとし、ディスプレイ82と共通化しているため、ボタン99自身(ディスプレイ82の画面)をユーザが指示(タッチ操作)しているが、これに限らない。例えば、ボタン99には、上述した2種類の情報のみを行い、ディスプレイ82と別個に設けられたキーボード等の指示入力部84からユーザが切替指示を行ってもよい。例えば、関心部位の観察等を行いたいため、高分解能の断層画像を観察したい場合等は、ユーザにより切替指示が行われる。
次のステップS146で指示受付部64が、指示入力部84により、切替指示が有ったか否かを判定する。切替指示が無い場合は、ステップS154へ進む。一方、切替指示が有った場合は、ステップS148へ進む。
ステップS148で画像表示指示部62が、右の乳房Nの高分解能の断層画像を表示装置80のディスプレイ82に表示させる。図12(2)は、左の乳房Nの画像が低分解能の断層画像、右の乳房Nの画像が高分解能の断層画像である場合を示している。
次のステップS150で画像表示指示部62が、ボタン99を表示装置80の指示入力部84に表示させる。指示入力部84に表示される右の乳房Nに対するボタン99は、活性状態、かつ高分解能であることを表している。右の乳房Nに対するボタン99が活性状態を表しているため、上記と同様に、ユーザは、断層画像の分解能が切り替え可能であることを認識することができる。そのため、切り替えを行いたい場合、ユーザは、ボタン99により切り替えの指示を行う。例えば、左右の乳房Nの比較を行うため、両方の断層画像の画質を揃えたい場合等は、ユーザにより切替指示が行われる。
次のステップS152で指示受付部64が、指示入力部84により、切替指示が有ったか否かを判定する。切替指示が無い場合は、ステップS154へ進む。一方、切替指示が有った場合は、ステップS142に戻り、上記処理を繰り返す。
ステップS154で画像表示指示部62は、本処理を終了するか否かを判定する。本処理を終了しない場合は、ステップS152に戻り、待機状態となり、断層画像及びボタン99の表示を継続する。一方、ユーザが指示入力部84により終了を指示した場合等は、本処理を終了する。
以上説明したように本実施の形態の放射線画像撮影装置10も、第1の実施の形態の放射線画像撮影装置10と同様に、放射線画像(2次元画像)から関心部位検出部47が関心部位を検出し、関心部位が検出されなかった場合は、放射線の入射角度範囲を小入射角度範囲として設定する。また、関心部位が検出された場合は、放射線の入射角度範囲を大入射角度範囲として設定して、トモシンセシス撮影を行う。
従って、本実施の形態の放射線画像撮影装置10は、第1の実施の形態の放射線画像撮影装置10と同様に、被検者Wへの負担を軽減しつつ的確な放射線画像を得ることができる。
また、本実施の形態の放射線画像撮影システム6では、左右の乳房Nの両方に関心部位が検出された場合は、左右の乳房Nともに、高分解能の断層画像を生成して表示し、左右の乳房Nの両方に関心部位が検出されなかった場合は、左右の乳房Nともに、低分解能の断層画像を生成して表示する。また、左右の乳房Nの一方に関心部位が検出された場合は、関心部位が検出された一方の乳房Nの低分解能及び高分解能の断層画像を生成し、関心部位が検出されなかった他方の乳房Nの低分解能の断層画像を生成し、左右の乳房Nの低分解能の断層画像を表示する。
乳房Nのトモシンセシス撮影では、ユーザは、左右の乳房Nの断層画像の比較を行いたい場合がある。断層画像の分解能が異なると、画質や、画像の見え方が異なってしまう場合がある。
本実施の形態の放射線画像撮影システム6では、左右の乳房Nの断層画像の分解能を揃えて表示するため、左右の乳房Nの比較を行いやすくすることができる。
また、本実施の形態の放射線画像撮影システム6では、分解能が異なる断層画像への表示の切り替えが可能であるか否かと、表示されている断層画像が高分解能及び低分解能のいずれであるかを表すボタン99を断層画像と共に表示装置80のディスプレイ82に表示させる。本実施の形態の放射線画像撮影システム6では、関心部位が検出された場合は、高分解能の断層画像も生成しており、分解能が異なる断層画像への表示の切り替えが可能であるか否かを表すボタン99を表示する。
関心部位が検出された場合は、ユーザは、高分解能の断層画像により、関心部位の観察等を行いたい場合がある。
本実施の形態の放射線画像撮影システム6では、ボタン99に応じてユーザから入力された指示に応じて、高分解能の断層画像に表示を切り替えるため、関心部位の観察等に適した断層画像の表示を行うことができる。
[第3の実施の形態]
次に、第3の実施の形態について説明する。なお、上記各実施の形態に係る放射線画像撮影システム6と同様の部分については、同一符号を付して、詳細な説明を省略する。本実施の形態の放射線画像撮影システム6では、左右の乳房Nの両方ともに、関心部位が検出された場合の断層画像の生成及び表示が、第2の実施の形態と異なる。
放射線画像撮影システム6の構成は、第1の実施の形態の放射線画像撮影システム6(図1〜図6参照)と同様のため、説明を省略する。
本実施の形態の放射線画像撮影システム6における動作について説明する。図13は、本実施の形態に係る放射線画像撮影システム6で行われる処理の流れ(放射線画像撮影方法)の一例を示すフローチャートである。
ステップS100〜S116の各ステップの処理は、第1の実施の形態の制御部46で行われる処理(図7参照)と同様であるため、詳細な説明を省略する。
ユーザから圧迫開始の操作指示が行われると、ステップS100で制御部46が、圧迫板26により乳房Nを圧迫する。次のステップS102で制御部46は、乳房Nの厚さに応じた線量により、乳房Nを撮影し、2次元画像を取得する。次のステップS104で関心部位検出部47が、画像処理部45によって生成された放射線画像に対して、解析を行い、関心部位の検出を行う。次のステップ106で関心部位検出部47が、関心部位が有ったか(検出されたか)否かを判定する。関心部位が検出された場合は、ステップS108へ進み、制御部46は、トモシンセシス撮影の撮影条件として、大入射角度範囲を設定する。一方、関心部位が検出されなかった場合は、ステップS110へ進み、制御部46は、トモシンセシス撮影の撮影条件として、小入射角度範囲を設定する。ステップS108またはS110により撮影条件が設定されると、ステップS112へ進む。ステップS112で放射線画像撮影装置10は、設定された撮影条件に従ってトモシンセシス撮影を行う。トモシンセシス撮影が終了すると、次のステップS114で制御部46は、乳房Nの固定を解除する。次のステップS116で制御部46は、撮影した放射線画像を画像処理装置50へ出力する。
ステップS116の後は、第2の実施の形態と同様に、ステップS120へ進み、同一の被検者Wの左右の乳房Nをトモシンセシス撮影したか否かを判定し、左右両方の乳房Nをトモシンセシス撮影した場合は、ステップS122へ進む。ステップS122で断層画像生成部68が、関心部位が検出されたか否かを判定する。
上記ステップS104の処理により、左右の乳房Nともに、関心部位が検出されなかった場合は、第2の実施の形態のステップS124〜S130(図9参照)と同様の処理を行う。
ステップS124で断層画像生成部68が、投影画像に基づいて、上述したFBP法等の画像処理を行い、断層画像を生成する。なお、断層画像生成部68は、左右の乳房Nともに、低分解能の断層画像を生成する。次のステップS126で画像表示指示部62が、生成した左右の乳房Nの断層画像をディスプレイ82に表示させる(図10参照)。次のステップS128で画像表示指示部62が、不活性状態、かつ低分解能であることを表しているボタン99を指示入力部84に表示させる。次のステップS130で画像表示指示部62は、本処理を終了するか否かを判定し、本処理を終了しない場合は、断層画像及びボタン99の表示を継続する。一方、ユーザが指示入力部84により終了を指示した場合等は、本処理を終了する。
一方、ステップS122において、左右の乳房Nのいずれか一方に、関心部位が検出された場合は、第2の実施の形態のステップS140〜S154(図9参照)と同様の処理を行う。
ステップS140で断層画像生成部68が、投影画像に基づいて、上述したFBP法等の画像処理を行い、断層画像を生成する。なお、関心部位が検出されなかった方の乳房Nについては、断層画像生成部68は、低分解能の断層画像のみを生成する。一方、関心部位が検出された方の乳房Nについては、断層画像生成部68は、高分解能の断層画像と、低分解能の断層画像と、両方を生成する。次のステップS142で画像表示指示部62が、生成した左右の乳房Nの低分解能の断層画像をディスプレイ82に表示させる(図12参照)。次のステップS144で画像表示指示部62が、ボタン99を指示入力部84に表示させる。指示入力部84に表示される、左の乳房Nに対するボタン99は、不活性状態、かつ低分解能であることを表している。また、右の乳房Nに対するボタン99は、活性状態、かつ低分解能であることを表している。切り替えを行いたい場合、ユーザは、ボタン99により切替指示を行う。次のステップS146で指示受付部64が、切替指示が有ったか否かを判定し、切替指示が無い場合は、ステップS154へ進む。一方、切替指示が有った場合は、ステップS148へ進む。ステップS148で画像表示指示部62が、右の乳房Nの高分解能の断層画像を表示装置80のディスプレイ82に表示させる。次のステップS150で画像表示指示部62が、ボタン99を指示入力部84に表示させる。指示入力部84に表示される右の乳房Nに対するボタン99は、活性状態、かつ高分解能であることを表している。切り替えを行いたい場合、ユーザは、ボタン99により切り替えの指示を行う。例えば、左右の乳房Nの比較を行うため、両方の断層画像の画質を揃えたい場合等に、ユーザにより切替指示が行われる。次のステップS152で指示受付部64が、切替指示が有ったか否かを判定し、切替指示が無い場合は、ステップS154へ進む。一方、切替指示が有った場合は、ステップS142に戻り、上記処理を繰り返す。ステップS154では、本処理を終了するか否かを判定する。本処理を終了しない場合は、ステップS152に戻り、断層画像及びボタン99の表示を継続し、一方、ユーザが指示入力部84により終了を指示した場合等は、本処理を終了する。
一方、ステップS122において、左右の乳房Nともに、関心部位が検出された場合は、本実施の形態では、ステップS200へ進む。
ステップS200で断層画像生成部68が、制御部46により出力された投影画像に基づいて、上述したFBP法等の画像処理を行い、断層画像を生成する。なお、左右の乳房Nともに、関心部位が検出されて、第2のトモシンセシス撮影が行われたため、断層画像生成部68は、左右の乳房Nともに、高分解能の断層画像と、低分解能の断層画像と、両方を生成する。低分解能の断層画像を生成する場合は、第2のトモシンセシス撮影により得られた投影画像から、小入射角度範囲における投影画像を選択し、選択した投影画像により断層画像を生成すればよい。
次のステップS202で画像表示指示部62が、生成した左右の乳房Nの低分解能の断層画像を表示装置80のディスプレイ82に表示させる。図14には、左右の乳房Nに、関心部位が検出された場合のディスプレイ82に表示される断層画像の具体例を示す。図14(1)は、左右の乳房Nの画像ともに、低分解能の断層画像を表示させた場合を示している。なお、断層画像の表示方法については、ステップS126と同様にすればよい。
次のステップS204で画像表示指示部62が、ボタン99を表示装置80の指示入力部84に表示させる。指示入力部84に表示される左右の乳房Nに対するボタン99は、ともに、活性状態、かつ低分解能であることを表している。ボタン99が活性状態を表しているため、ユーザは、断層画像の分解能が切り替え可能であることを認識することができる。そのため、切り替えを行いたい場合、ユーザは、ボタン99により切替指示を行う。
次のステップS206で指示受付部64が、指示入力部84により、切替指示が有ったか否かを判定する。切替指示が無い場合は、ステップS214へ進む。一方、切替指示が有った場合は、ステップS208へ進む。
ステップS208で画像表示指示部62が、左右の乳房Nの高分解能の断層画像を表示装置80のディスプレイ82に表示させる。図14(2)は、左右の乳房Nの画像ともに、高分解能の断層画像を表示させた場合を示している。
次のステップS210で画像表示指示部62が、ボタン99を表示装置80の指示入力部84に表示させる。指示入力部84に表示される、左右の乳房Nに対するボタン99は、活性状態、かつ高分解能であることを表している。ボタン99が活性状態を表しているため、上記と同様に、ユーザは、断層画像の分解能が切り替え可能であることを認識することができる。そのため、切り替えを行いたい場合、ユーザは、ボタン99により切替指示を行う。
次のステップS212で指示受付部64が、指示入力部84により、切替指示が有ったか否かを判定する。切替指示が無い場合は、ステップS214へ進む。一方、切替指示が有った場合は、ステップS202に戻り、上記処理を繰り返す。
ステップS214で画像表示指示部62は、本処理を終了するか否かを判定する。本処理を終了しない場合は、ステップS212に戻り、待機状態となり、断層画像及びボタン99の表示を継続する。一方、ユーザが指示入力部84により終了を指示した場合等は、本処理を終了する。
なお、ここでは、左右の乳房Nともに、同時に断層画像の分解能を切り替えているが、これに限らず、指示された一方のみを切り替えてもよい。
また、図14では、左右の乳房Nとも、関心部位画像が含まれている断層画像を表示させた場合を示しているが、これに限らない。左右の乳房Nで関心部位の深さ方向の位置が異なる場合は、一方を関心部位の画像が含まれる断層画像とし、他方は、一方の深さ方向の位置と同じ位置の断層画像としてもよい。
以上説明したように本実施の形態の放射線画像撮影装置10も、第1の実施の形態の放射線画像撮影装置10と同様に、放射線画像(2次元画像)から関心部位検出部47が関心部位を検出し、関心部位が検出されなかった場合は、放射線の入射角度範囲を小入射角度範囲として設定する。また、関心部位が検出された場合は、放射線の入射角度範囲を大入射角度範囲として設定して、トモシンセシス撮影を行う。
従って、本実施の形態の放射線画像撮影装置10では、第1の実施の形態の放射線画像撮影装置10と同様に、被検者Wへの負担を軽減しつつ的確な放射線画像を得ることができる。
また、本実施の形態の放射線画像撮影システム6では、左右の乳房Nの両方に関心部位が検出された場合は、左右の乳房Nともに、低分解能及び高分解能の断層画像を生成し、左右の乳房Nの低分解能の断層画像を表示する。左右の乳房Nの両方に関心部位が検出されなかった場合は、左右の乳房Nともに、低分解能の断層画像を生成して表示する。また、左右の乳房Nの一方に関心部位が検出された場合は、関心部位が検出された一方の乳房Nの低分解能及び高分解能の断層画像を生成し、関心部位が検出されなかった他方の乳房Nの低分解能の断層画像を生成し、左右の乳房Nの低分解能の断層画像を表示する。
このように、本実施の形態の放射線画像撮影システム6では、いずれの場合においても、まず、左右の乳房Nの低分解能の断層画像を表示する。従って、第2の実施の形態の放射線画像撮影システム6と同様に、本実施の形態の放射線画像撮影システム6では、左右の乳房Nの比較を行いやすくすることができる。
また、本実施の形態の放射線画像撮影システム6では、関心部位が検出された場合は、分解能が異なる断層画像への表示の切り替えが可能であることを表す活性状態のボタン99を表示し、関心部位が検出されなかった場合は、分解能が異なる断層画像への表示の切り替えが不可能であることを表す不活性状態のボタン99を表示する。従って、ボタン99が活性状態及び不活性状態のいずれであるかにより、関心部位が検出されたか否かをユーザに認識させることができる。例えば、関心部位が含まれない高さの断層画像をディスプレイ82に表示している場合であっても、その乳房Nについて関心部位が検出されたか否かを容易に認識することができる。
[第4の実施の形態]
次に、第4の実施の形態について説明する。なお、上記各実施の形態に係る放射線画像撮影システム6と同様の部分については、同一符号を付して、詳細な説明を省略する。本実施の形態の放射線画像撮影システム6では、ユーザに対して、第1のトモシンセシス撮影及び第2のトモシンセシス撮影のいずれを行うかを推奨する推奨表示を行う点で、第1の実施の形態と異なる。
放射線画像撮影システム6の構成は、第1の実施の形態の放射線画像撮影システム6(図1〜図6参照)と同様のため、説明を省略する。
本実施の形態の放射線画像撮影システム6における動作について説明する。図15は、本実施の形態に係る放射線画像撮影システム6で行われる処理の流れ(放射線画像撮影方法)の一例を示すフローチャートである。
本実施の形態の制御部46で行われる処理では、第1の実施の形態の処理のステップS108及びS110(図7参照)に替えて、ステップS107〜S111が設けられている。
ステップS100〜S106の各ステップの処理は、第1の実施の形態の制御部46で行われる処理(図7参照)と同様であるため、詳細な説明を省略する。
ユーザから圧迫開始の操作指示が行われると、ステップS100で制御部46が、圧迫板26により乳房Nを圧迫する。次のステップS102で制御部46は、乳房Nの厚さに応じた線量により、乳房Nを撮影し、2次元画像を取得する。次のステップS104で関心部位検出部47が、画像処理部45によって生成された放射線画像に対して、解析を行い、関心部位の検出を行う。次のステップ106で関心部位検出部47が、関心部位が有ったか(検出されたか)否かを判定する。
本実施の形態では、ステップ106で関心部位が検出された場合は、ステップS107へ進み、画像処理装置50の画像表示指示部62が、撮影条件として大入射角度範囲でトモシンセシス撮影を行う、第2のトモシンセシス撮影を推奨する表示(以下、「推奨表示」という)を表示装置80のディスプレイ82に表示させる。
図16A及び図16Bには、第2のトモシンセシス撮影を推奨する場合の、推奨表示の具体例を示す。図16Aは、指示入力部84がタッチパネル等の場合に行う推奨表示の具体例である。図16Aでは、関心部位が検出されたこと、及び推奨するトモシンセシス撮影の種類(第2)を表示するとともに、「はい」または「いいえ」の選択ボタンを表示する。ユーザは、推奨表示を参照して、指示入力部84により、いずれかを選択する。具体的には、ディスプレイ82(画面)上の「はい」または「いいえ」のいずれかを操作する。
また、図16Bは、指示入力部84がキーボード等の場合に行う推奨表示の具体例である。図16Bでは、関心部位が検出されたこと、及び推奨するトモシンセシス撮影の種類(第1または第2)を表示するとともに、選択を行うために「1」または「2」の入力を促す表示を行う。ユーザは、推奨表示を参照して、指示入力部84により、いずれかを操作する。具体的には、キーボードやテンキー等の「1」または「2」のいずれかを操作する。
一方、ステップ106で関心部位が検出されなかった場合は、ステップS109へ進み、画像処理装置50の画像表示指示部62が、撮影条件として小入射角度範囲でトモシンセシス撮影を行う、第1のトモシンセシス撮影の推奨表示を表示装置80のディスプレイ82に表示させる。この場合の推奨表示は、関心部位が検出されなかったたこと、及び推奨するトモシンセシス撮影の種類(第1)を表示すればよい。例えば、上記図16に示した推奨表示において、「関心部位が検出されました」を「関心部位が検出されませんでした」に変更し、推奨する(お勧めする)トモシンセシス撮影の種類を第1に変更すればよい。
なお、推奨表示は、図16に示した具体例に限らない。推奨するトモシンセシス撮影の種類(第1または第2)を表示し、ユーザに、いずれのトモシンセシス撮影を行うかの選択を促すものであればよい。
ステップS107、またはステップS109の推奨表示に応じて、ユーザは、第1または第2のトモシンセシス撮影のいずれかを選択して、指示入力部84により指示する。そこで、次のステップS111で指示受付部64が受け付けた指示に応じて、制御部46は、トモシンセシス撮影の撮影条件を設定する。第1のトモシンセシス撮影が指示された場合は、撮影条件として小入射角度範囲を設定し、第2のトモシンセシス撮影が指示された場合は、撮影条件として大入射角度範囲を設定する。
次のステップS112〜S120の各ステップの処理は、第1の実施の形態の制御部46で行われる処理(図7参照)と同様であるため、詳細な説明を省略する。
ステップS112で制御部46は、設定された撮影条件に従ってトモシンセシス撮影を行う。トモシンセシス撮影が終了すると、次のステップS114で制御部46は、乳房Nの固定を解除する。次のステップS116で、制御部46は撮影した放射線画像を画像処理装置50へ出力する。次のステップS118で画像処理装置50の断層画像生成部68は、投影画像に基づいて、上述したFBP法等の画像処理を行い、断層画像を生成する。次のステップS120で画像表示指示部62が、生成した断層画像を表示装置80のディスプレイ82に表示させた後、本処理を終了する。
なお、本実施の形態で画像表示指示部62が実行する推奨表示について、第1の実施の形態に限らず、第2及び第3の実施形態と組み合わせて行ってもよい。
また、本実施の形態では、推奨表示を表示装置80のディスプレイ82に行う場合について説明したがこれに限らず、放射線画像撮影装置10の操作パネル44に行ってもよい。その場合は、操作パネル44が、開示の技術の表示部として機能する。
また、本実施の形態では、関心部位の検出の有無にかかわらず、推奨表示を行う場合について説明したがこれに限らず、いずれか一方の場合にのみ推奨表示を行ってもよい。
以上説明したように本実施の形態の放射線画像撮影装置10も、第1の実施の形態の放射線画像撮影装置10と同様に、放射線画像(2次元画像)から関心部位検出部47が関心部位を検出し、関心部位が検出されなかった場合は、放射線の入射角度範囲を小入射角度範囲として設定する。また、関心部位が検出された場合は、放射線の入射角度範囲を大入射角度範囲として設定して、トモシンセシス撮影を行う。
従って、本実施の形態の放射線画像撮影装置10は、第1の実施の形態の放射線画像撮影装置10と同様に、被検者への負担を軽減しつつ的確な放射線画像を得ることができる。
また、本実施の形態の放射線画像撮影システム6では、第1のトモシンセシス撮影(小入射角度範囲)及び第2のトモシンセシス撮影(大入射角度範囲)のいずれかを推奨する推奨表示を行う。また、関心部位が検出されなかった場合は、第1のトモシンセシス撮影を推奨し、関心部位が検出された場合は、第2のトモシンセシス撮影を推奨する。
これにより、ユーザは、関心部位の有無に応じて、適切なトモシンセシス撮影の実行を選択することができる。
なお、上記各実施の形態の放射線画像撮影システム6では、トモシンセシス撮影の入射角度範囲を2種類に切換可能な例を説明したが、これに限るものではなく、3種類以上としてもよい。3種類以上に切換可能な構成の場合には、トモシンセシス撮影の撮影条件を更にきめ細かに設定することが可能となる。例えば、関心部位検出部47により、関心部位の大きさや、関心部位の大きさから推定した病変の種類(石灰化や腫瘤等)を検出し、検出した大きさや種類等に応じて、入射角度範囲を異ならせてもよい。
なお、上記各実施の形態で説明した放射線画像撮影システム6で行われる処理の各ステップを実行させるためのプログラムは、プログラム55としてもよい。また、例えば、放射線画像撮影装置10及び画像処理装置50の各々で行われる処理毎に、各装置内のメモリ43BやROM54に分散させて記憶させておいてもよい。
また、上記各実施の形態における放射線は、特に限定されるものではなく、X線やγ線等を適用することができる。
その他、上記各実施の形態で説明した放射線画像撮影システム6、放射線画像撮影装置10、及び放射線検出器42等の構成及び動作等は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更可能であることはいうまでもない。
日本出願2014−070318の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。