JP6128799B2 - 光学材料及びその製造方法並びに水性分散液 - Google Patents

光学材料及びその製造方法並びに水性分散液 Download PDF

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Description

本発明は、希土類リン酸塩を含む粒子を有する光学材料、該光学材料を含む水性分散液及び該光学材料の製造方法に関する。
一般的な光学材料であるガラスや樹脂にはない異常分散性を有する光学材料を用いて、諸収差を補正することが知られている。特に、異常分散性を有する光学材料は、デジタルカメラ、カメラ付き携帯電話等の撮像用光学系を小型化する場合に、諸収差(特に軸上色収差及び倍率色収差などの色収差)の発生が多くなるという問題を解決することが可能な材料として注目されている。異常分散性を有する光学材料としては、異常分散ガラスのほか、樹脂中に、負の異常分散性を有する微粒子を均一に分散させた有機無機材料が知られている。例えば、特許文献1には、インジウムと酸化スズの複合酸化物であるITOに関し、スズのドーピングによるフリーキャリアの発生等によって部分分散比θg,Fが他の無機酸化物よりも小さくなることが記載されている。また、ITO微粒子を樹脂に分散させることで、負の異常分散性を有する有機無機複合材料が得られることも記載されている。しかし、ITO微粒子は、可視光において着色を有するため、これを用いた光学材料の用途には制限がある。
特許文献1の他にも、樹脂に金属酸化物、例えばリンをドープした酸化スズ粒子等を添加することで、異常分散性を調整した光学材料が提案されている(特許文献2参照)。しかし、従来の光学材料の光学特性は十分なものではなかった。
特開2004−145273号公報 特開2011−153185号公報
したがって本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る光学材料を提供することにある。
本発明は、希土類リン酸塩を含む粒子を有する光学材料であって、
前記粒子のアッベ数をνdとし、部分分散比をθg,Fとしたとき、νdが30〜100であり、かつ以下の式(1)で定義されるΔθg,Fが−0.10〜−0.01である光学材料を提供するものである。
Δθg,F=θg,F−(−1.665×10-7νd 3+5.213×10-5νd 2−5.656×10-3νd+0.7278)・・・(1)
また本発明は、希土類リン酸塩を含む粒子を有する水性分散液であって、
前記粒子のアッベ数をνdとし、部分分散比をθg,Fとしたとき、νdが30〜100であり、かつ前記式(1)で定義されるΔθg,Fが−0.10〜−0.01である水性分散液を提供するものである。
更に本発明は、前記の光学材料の好適な製造方法として、
希土類元素源を含む水性原料液と、オルトリン酸を含む水溶液とを混合して、希土類リン酸塩を含む沈殿を生成させ、次いで該沈殿を大気雰囲気下に焼成工程に付す光学材料の製造方法を提供するものである。
本発明の光学材料は、大きな負の異常分散性を有し、各種光学機器の原料として有用である。
図1は、実施例及び参考例で得られた希土類リン酸塩の粒子の部分分散比とアッべ数との関係を示すグラフである。 図2(a)及び(b)はそれぞれ、実施例1及び2で得られた希土類リン酸塩の粒子の反射率を示す図である。 図3(a)ないし(c)はそれぞれ、参考例1ないし3で得られた希土類リン酸塩の粒子の反射率を示す図である。
以下本発明の光学材料を、その好ましい実施形態に基づき説明する。本発明の光学材料は、希土類リン酸塩を含む粒子(以下、希土類リン酸塩含有粒子ともいう)を有している。希土類リン酸塩はLnPO4(Lnは希土類元素のうちの少なくとも1種を表す。以下「Ln」というときには、この意味で用いられる。)で表される。オルトリン酸塩には正塩、リン酸水素塩及びリン酸二水素塩が知られているところ、本発明で用いられる希土類リン酸塩はオルトリン酸の正塩である。
本発明の光学材料は、大きな負の異常分散性を有し、各種光学系の設計、例えば各種光学系における諸収差の補正に有用である。通常の光学材料は分散(アッベ数νd)と部分分散比(θg,F)の間に一定の関係があることが知られている。この関係は、下記式(2)によって表される。図1に示す曲線は、この式(2)を表したものである。
θg,F=−1.665×10-7νd 3+5.213×10-5νd 2−5.656×10-3νd+0.7278・・・(2)
これに対し、負の異常分散性(異常部分分散性)を有するとは、部分分散比(θg,F)が、前記式(2)によって求められるθg,Fの標準値を下回ることをいう。異常分散性を示す指標であるΔθg,Fは、以下の式(1)に示されるとおり、部分分散比(θg,F)から、当該標準値を引くことによって求められる。Δθg,Fは、負であり、その絶対値が大きいほど、波長に対して直線的に屈折率が変化していることを意味する。直線的に屈折率が変化することは光学設計に有利である。
Δθg,F=θg,F−(−1.665×10-7νd 3+5.213×10-5νd 2−5.656×10-3νd+0.7278)・・・(1)
本発明で用いる希土類リン酸塩含有粒子は、アッベ数νdが30〜100であり、かつ異常分散性の指標であるΔθg,Fの値が、−0.10〜−0.01であるという特異な光学特性、特に大きな負の異常分散性を有する。本発明の光学材料の光学特性を一層望ましいものとする観点から、前記粒子のアッベ数νdは、更に好ましくは30〜90であり、一層好ましくは30〜80である。また、これらのアッベ数νdの各数値範囲において、前記Δθg,Fの値は、更に好ましくは−0.09〜−0.01であり、一層好ましくは、−0.08〜−0.02である。
前記アッベ数νdは、下記式によって求められる。
νd=(nd−1)/(nF−nC)
また、前記部分分散比θg,Fは、下記式によって求められる。
θg,F=(ng−nF)/(nF−nC)
式中、nd、nC、ng、nFはそれぞれ、前記粒子におけるフラウンフォーファ線のd線(587.6nm)、C線(656.3nm)、g線(435.8nm)、F線(486.1nm)に対する屈折率である。
前記屈折率nd、nC、ng、nFは、以下の(1)ないし(3)の手順によって求めることができる。
(1)本発明の光学材料を水に分散させ、水性分散液(固形分濃度:5〜50質量%)を得る。該水性分散液の温度を25℃に設定し、フラウンフォーファ線のd線、C線、g線、F線に対する屈折率をそれぞれ測定する。各屈折率の測定には、例えば、カルニュー社製精密屈折計KPR−2000を用いることができる。
(2)水性分散液と同pH及び同温度に調整した純水をブランクとして、(1)の屈折率の測定と同じ測定器を用い、フラウンフォーファ線のd線、C線、g線、F線に対する屈折率をそれぞれ測定する。水性分散液においてpH調整剤を使用した場合、純水のpH調整は、水性分散液と同じpH調整剤を使用する。
(3)有効媒質理論を用いて、(1)及び(2)で得られた値から、前記粒子のnd、nC、ng、nFを算出する。
先に背景技術の項で述べたITO微粒子が可視光の波長領域において着色していることとは対照的に、本発明で用いる希土類リン酸塩含有粒子は可視光の波長領域において着色を有していない。このことは、デジタルカメラやカメラ付き携帯電話等の撮像用光学機器の原料として本発明の光学材料を用いる場合に特に有利である。前記希土類リン酸塩含有粒子は、可視光の波長領域において吸収がないことが好ましく、具体的には、可視光の波長領域である400〜800nmにわたって、反射率が好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上である。前記希土類リン酸塩含有粒子の反射率は、例えば後述する実施例記載の測定機器によって測定される。
LnPO4で表される希土類リン酸塩における希土類元素には、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuがある。希土類リン酸塩含有粒子に含まれる希土類元素は1種であってもよく、2種以上であってもよい。
本発明の光学材料の光学特性を望ましいものとする観点、特に負の異常分散性を大きくする観点から、前記希土類リン酸塩は、単斜晶の結晶構造をとることが好ましい。同様の観点から、前記希土類リン酸塩における希土類元素は、リン酸塩が単斜晶のモナザイト構造をとるLa、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu及びGdから選ばれる少なくとも1種であることが更に好ましく、Gd及びLaのうちの少なくとも1種であることが一層好ましい。
本発明で用いる希土類リン酸塩含有粒子は、BET比表面積が、10〜200m2/gであることが好ましい。これによって、該粒子を含む水性分散液において、該粒子を高濃度で高分散させることができる。水性分散液において前記粒子を高濃度で高分散可能であることは、該水性分散液の塗布によって例えば光学レンズを製造する場合に、塗布の回数を少なくしても所望の厚みを有する薄膜を形成できる点から有利である。特に希土類リン酸塩含有粒子が後述するように微粒である場合、粒子を高濃度で高分散させることは容易ではないところ、この範囲内のBET比表面積を有する希土類リン酸塩含有粒子を用いることで、該粒子が微粒であっても該粒子を高濃度で安定的に高分散させることができる。該粒子を一層高濃度で一層安定的に高分散させる観点から、該粒子のBET比表面積は、好ましくは20〜200m2/g、更に好ましくは20〜180m2/g、更に一層好ましくは25〜180m2/g、とりわけ好ましくは25〜100m2/gである。
本発明において前記のBET比表面積は、例えば島津製作所社製の「フローソーブ2300」を用い、N2吸着法で測定することができる。測定粉末の量は0.3gとし、予備脱気条件は大気圧下、120℃で10分間とする。
本発明で用いる希土類リン酸塩含有粒子は最大粒径Dmaxが100nm以下であることが好ましく、更に好ましくは90nm以下、一層好ましくは85nm以下である。最大粒径Dmaxが100nm以下とすることにより、前記水性分散液において、可視光の散乱による水性分散液の透明性の低下を防止することができる。最大粒径Dmaxの下限値に特に制限はなく、小さければ小さいほど好ましいが、20nm程度に最大粒径Dmaxが小さくなれば、水性分散液の透明性は十分に高くなる。希土類リン酸塩含有粒子の最大粒径Dmaxは、光子相関法を利用した動的光散乱法によって測定される。例えば日機装株式会社製のナノトラック粒度分布測定装置を用いて測定される。
本発明で用いる希土類リン酸塩含有粒子は、希土類リン酸塩のみを含んで構成されていていることが好ましいが、希土類リン酸塩に加えて他の成分を含んで構成されていてもよい。他の成分は、前記粒子中に5質量%以下、特に1質量%以下の割合で含まれていることが好ましい。他の成分としては、希土類リン酸塩の調製の過程で不可避的に混入する不純物や、希土類リン酸塩含有粒子の表面改質のために施される表面処理剤などが挙げられる。
本発明の光学材料は、希土類リン酸塩含有粒子は、希土類リン酸塩のみを含んで構成されていていることが好ましいが、該粒子に加えて他の成分を含んで構成されていてもよい。他の成分としては、例えば、高屈折率を有する金属酸化物の粒子が挙げられる。そのような金属酸化物としては、例えばMg、Ca、Ti、Zn、Zr、Ta、Nb、Ga、Ge、Sn、In、Hf、Y、ランタノイド(La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu)などの金属の酸化物が挙げられる。これらの金属酸化物は、1種又は2種以上を用いることができる。これらの金属酸化物は、希土類リン酸塩含有粒子100質量部に対して、0.1〜50質量部程度用いることができる。
本発明の光学材料に含有することができる更に他の成分としては、重合性モノマー、該モノマーを含むオリゴマーやポリマー等が挙げられる。ここで、ポリマーとしては、例えば、アクリル系ポリマー、メタクリル酸系ポリマー、ビニル系ポリマー、エポキシ系ポリマー、ウレタン系ポリマー、ウレタンアクリレート系ポリマー、シクロオレフィン系ポリマー、シリコーン系ポリマー及びポリカーボネートなどが挙げられる。これらに加え、前記の他の成分として、各種の重合開始剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤を用いることもできる。これら他の成分は、1種又は2種以上を用いることができる。本発明の光学材料におけるこれら他の成分の割合は、該光学材料の用途に応じて適宜定めることができる。また、本発明の光学材料が樹脂を含んでいる場合には、樹脂に対する希土類リン酸塩含有粒子の量を調整することで、該光学材料の屈折率や分散度等の光学特性を調整できる。
上述した希土類リン酸塩含有粒子を水に分散させることで、光学材料として有用な水性分散液を得ることができる。例えば、この水性分散液を物体の表面に塗布して塗膜を形成することで、薄膜からなる光学材料を得ることができる。この観点から、この水性分散液は、水を媒体とし、1種又は2種以上の希土類リン酸塩含有粒子を媒質とし、必要に応じてpH調整剤を含有する以外、1種又は2種以上の希土類リン酸塩含有粒子以外の成分を極力含んでいないことが望ましい。特に、希土類リン酸塩含有粒子以外の固形成分を含んでいないことが望ましい。
前記水性分散液は、少ない塗布回数によって所望の厚みを有する薄膜を形成させる観点から、希土類リン酸塩含有粒子の濃度が5〜50質量%という高濃度のものであることが好ましい。更に好ましい濃度は5〜40質量%であり、一層好ましい濃度は5〜30質量%であり、更に一層好ましい濃度は5〜20質量%であり、特に好ましい濃度は7〜15質量%である。上述したBET比表面積を有する希土類リン酸塩含有粒子を用いた場合、このような高濃度の分散液が得られやすい。
前記水性分散液は、長期間保存したときの安定性を高めるために、水性分散液のpHを酸性側の特定の範囲又はアルカリ性側の特定の範囲に設定することが好ましい。酸性側については、水性分散液のpHを1以上5未満に設定することが好ましく、更に好ましくは2以上5未満、一層好ましくは2以上4以下に設定する。酸性側における水性分散液のpHをこの範囲内に設定することで、希土類リン酸塩含有粒子の溶解を効果的に防止できる。また希土類リン酸塩含有粒子を媒体中に高度に分散させることが容易となる。アルカリ性側については、水性分散液のpHを9.1以上14以下に設定することが好ましく、更に好ましくは9.1以上13.5以下、一層好ましくは9.1以上13以下に設定する。アルカリ性側における水性分散液のpHをこの範囲内に設定することで、希土類リン酸塩含有粒子を媒体中に高度に分散させることが容易となる。また、水酸化物イオンとの反応により粒子表面が変質することを効果的に防止できる。これらのpHは、水性分散液の保存中又は使用時における温度での値のことである。
水性分散液のpHを上述の範囲内に調整するためには、水性分散液にpH調整剤を添加すればよい。酸性側で用いられるpH調整剤としては、例えば各種の有機酸や無機酸を用いることができる。有機酸としては例えば酢酸、ギ酸及びプロピオン酸などが挙げられる。無機酸としては、例えばフッ酸、硝酸、塩酸及び硫酸などが挙げられる。これらの有機酸や無機酸は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。アルカリ性側で用いられるpH調整剤としては、各種の水酸化物、アルキルアミン及びアンモニア水等を用いることができる。水酸化物としては例えば水酸化テトラメチルアンモニウム等の水酸化テトラアルキルアンモニウム、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物が挙げられる。アルキルアミンとしては、pH調整のしやすさに応じてモノアルキルアミン、ジアルキルアミン及びトリアルキルアミンのいずれをも用いることができる。アルキルアミンにおけるアルキル基としては、例えば同一の又は異なる、炭素数1〜4の低級アルキル基(メチル基やエチル基等)を用いることができる。これら水酸化物、アルキルアミン及びアンモニア水等は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。以上の各種のpH調整剤の水性分散液への添加量は、水性分散液のpHが上述の範囲となるような量とすればよい。
次に、本発明の光学材料における希土類リン酸塩含有粒子の好適な製造方法について説明する。この希土類リン酸塩含有粒子は、1種又は2種以上の希土類元素源を含む水性原料液と、オルトリン酸を含む水溶液とを混合して、1種又は2種以上の希土類リン酸塩を含む沈殿を生成させ、次いで該沈殿を大気雰囲気下に焼成工程に付すことによって得られる。なお、以下の説明においてはオルトリン酸のことを単にリン酸と称する。
希土類元素源を含む水性原料液と、リン酸を含む水溶液との混合には、以下の(a)及び(b)の態様がある。
(a)希土類元素源を含む水性原料液中に、リン酸を含む水溶液を添加する。
(b)リン酸を含む水溶液中に、希土類元素源を含む水性原料液を添加する。
いずれの態様であっても、混合後は、熟成を行うことが好ましい。熟成時間は5〜300分とすれば十分である。
希土類元素源を含む水性原料液としては、該水性原料液中における希土類元素の濃度が、0.01〜1.5mol/リットル、特に0.01〜1mol/リットル、とりわけ0.01〜0.5mol/リットルのものを用いることが好ましい。この水性原料液中において希土類元素は三価のイオンの状態になっているか、又は三価のイオンに配位子が配位した錯イオンの状態になっている。希土類元素源を含む水性原料液を調製するためには、例えば硝酸水溶液に希土類酸化物(例えばLn23等)を添加してこれを溶解させればよい。
リン酸を含む水溶液としては、該水溶液中におけるリン酸化学種の合計の濃度を、0.01〜3mol/リットル、特に0.01〜1mol/リットル、とりわけ0.01〜0.5mol/リットルとすることが好ましい。また、pH調整のために、アルカリ種を添加することもできる。アルカリ種としては、例えばアンモニア、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、エチルアミン、プロピルアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を用いることができる。
希土類元素源を含む水性原料液とリン酸を含む水溶液は、リン酸イオン/希土類元素イオンのモル比が0.5〜10、特に1〜10、とりわけ1〜5となるように混合することが、効率よく沈殿生成物が得られる点から好ましい。
反応系のpHは、後述する理由によって、沈殿生成物の形態へ影響を及ぼす。上述した混合方法(a)及び(b)と、反応系のpHとの関係は以下のとおりである。(a)の態様で反応を行った場合、反応溶液は低いpHで推移しやすい。この理由は、希土類元素源を含む水性原料液がpH<1の酸性のためである。一方、(b)の態様で反応を行った場合、反応溶液のpHはリン酸を含む水溶液のpHに依存し、アンモニアをpH調整剤として用いた場合、0.1〜10のpH範囲で調整が可能である。
永長久彦著「溶液を反応場とする無機合成」培風館(2000年)によると、リン酸イオンはpHによって形態が変化する。また希土類元素イオンとの反応において、リン酸イオンの形態は沈殿生成物へ影響を及ぼす。例えばアンモニアをpH調整剤として用いた場合、pH<4ではH2PO4 -の存在が支配的になる。pHが4〜8では、H2PO4 -及びHPO4 2-の存在が支配的になる。pH>8ではHPO4 2-及びPO4 3-の存在が支配的になる。希土類元素イオンとリン酸イオンとの反応において、低pHで生じるH2PO4 -と希土類元素イオンとの反応ではLnHPO4が生成しやすい。一方、高pHで生じるPO4 3-と希土類元素イオンとの反応ではLnPO4が生成しやすいと記載されている。
また沈殿生成物は、混合時の温度によっても変化する。この観点から、反応温度は好ましくは20〜100℃である。一般的な傾向として、反応温度が高くなると、結晶性の希土類リン酸塩が得られやすくなり、かつその結晶性が高くなる。
以上のようにして希土類リン酸塩が得られたら、これを常法に従い固液分離した後、1回又は複数回水洗する。水洗は、液の導電率が例えば2000μS/cm以下になるまで行うことが好ましい。水洗のために例えばデカンテーションを行うことができる。
沈殿生成物は、これを結晶性のものにするために大気中等の含酸素雰囲気で焼成を行う。焼成条件は、焼成温度が好ましくは300〜1000℃であり、更に好ましくは400〜1000℃である。この温度範囲を採用することで、上述したBET比表面積を有する希土類リン酸塩含有粒子を容易に得ることができる。焼成温度が過度に高くなると、焼結が進行して粒子のBET比表面積が低下する傾向にある。焼成時間は、焼成温度がこの範囲内であることを条件として、好ましくは1〜20時間、更に好ましくは1〜10時間である。
このようにして得られた希土類リン酸塩含有粒子を用いて水性分散液を調製することができる。この調製工程においては、希土類リン酸塩含有粒子と水とを混合してスラリーとなし、ビーズミル等のメディアミルによって湿式粉砕を行う。使用するビーズとしては、例えばジルコニアビーズやアルミナビーズ等が挙げられる。この場合、各種のpH調整剤をスラリーに添加して粉砕操作を行うことで、希土類リン酸塩含有粒子を単分散状態に近づけやすくなる。pH調整剤としては、液のpHを好ましくは1以上5未満、更に好ましくは2以上5未満、一層好ましくは2以上4以下に調整できるものを用いることが好ましい。そのようなpH調整剤としては、例えば、先に述べた有機酸や無機酸を用いることができる。また、液のpHを好ましくは9.1以上14以下、更に好ましくは9.1以上13.5以下、一層好ましくは9.1以上13以下に調整できるものを用いることが好ましい。そのようなpH調整剤としては、例えば、先に述べた各種の水酸化物を用いることが好ましい。
上述のpH調整剤は、これを湿式粉砕時にスラリーに添加することに代えて、湿式粉砕して得られた水性分散液に添加してもよい。pH調整剤を水性分散液に添加する場合、その添加量は、水性分散液のpHが、好ましくは上述の範囲内となるようにする。なお、湿式粉砕によって希土類リン酸塩含有粒子に新たな表面が生じ、該表面が酸又はアルカリと反応する結果、液のpHが変動することがある。したがって、湿式粉砕時にpH調整剤を添加する場合には、湿式粉砕におけるpHの変動を見越してpH調整剤の添加量を決定することが好ましい。
湿式粉砕後、液とビーズとを分離し、更にメンブランフィルターによって粗粒を除去することで、目的とする水性分散液が得られる。このようにして得られた水性分散液は無色透明であり、可視光の透過率が高いものである。また、長期間保存しても沈殿の生じない安定なものである。
このようにして得られた光学材料及び水性分散液は、希土類リン酸塩含有粒子の負の異常分散性を利用して、各種光学素子、例えば、光学レンズ、回折光学素子などのほか、反射防止膜等の光学薄膜の形成に好適に用いることができる。また、本発明の光学材料によって形成した光学素子は、例えば、デジタルカメラ、ビデオカメラ、望遠鏡、双眼鏡、顕微鏡、プロジェクター、複写機、テレビ電話、照明器具、携帯電話、赤外線カメラなどの光学機器における各種光学系に使用することができる。例えば、光学材料に対して、上述したとおり樹脂を含有させ、該樹脂中に希土類リン酸塩含有粒子を分散させることによって、そのままレンズ等の光学素子に成形することができる。また、水性分散液は、それを各種の基板、例えば透明基板やレンズ等の表面に塗布して塗膜を形成し、該塗膜を乾燥させることで、異常分散性を有する薄膜を形成することができる。乾燥後の薄膜を、必要に応じて不活性雰囲気下、大気等の酸化性雰囲気下又は弱還元性雰囲気下(例えば爆発限界濃度以下の含水素雰囲気下)に焼成してもよい。この薄膜は、レンズに特定の光学特性を持たせるために、あるいは薄型レンズそのものとして有用である。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り、「%」は「質量%」を意味する。
〔実施例1〕
以下の1)〜12)の工程に従いリン酸ガドリニウム粒子を製造した。この工程は、先に述べた(a)に相当するものである(以下、実施例2及び参考例1ないし3も同様である。)。
(1)リン酸ガドリニウム粒子の製造
1) ガラス容器に水380gを計量し、80℃に加温した。
2) 1)へ85%硝酸水溶液(和光純薬製)15.0gを添加した。
3) 2)へGd23(日本イットリウム製)7.2gを添加し、完全に溶解させ室温(25℃)まで冷却した。
4) 別のガラス容器に水390g、25%リン酸水溶液5.5g、25%アンモニア水9.7gを添加した。この水溶液のpHは9.3であった。
5) 3)の溶液中へ4)の溶液を25℃にて漸次添加した。反応液のpHは1.3〜2.1であった。反応によって沈殿物が生成した。
6) 添加終了後25℃のまま10分間エージングを行った。
7) 沈殿物をデカンテーション洗浄により、上澄みの導電率が100μS/cm以下になるまで洗浄を行った。
8) 洗浄終了後、減圧濾過で固液分離した。
9) 8)を大気中で120℃×5時間乾燥させ、白色粉末を得た。
10) 9)を大気中800℃×5時間焼成した。
11) 10)で得られた焼成粉末のXRD測定を行ったところ、単斜晶のGdPO4のピークが確認された。
12) 10)で得られた焼成粉末のBET比表面積を上述した方法によって測定した。また、10)で得られた焼成粉末の可視光に対する反射率を測定したところ、反射率が波長400〜800nmにわたって89%以上であり、可視光領域において吸収がないことを確認した。反射率の測定結果を図2(a)に示す。測定には、日立ハイテクノロジーズ社製分光光度計U−4000を用いた。
(2)水性分散液の製造
50mlの樹脂製容器に、(1)で得られた焼成粉末であるGdPO4粒子1.8gと、2%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液21gを添加してスラリーのpHを12.8に調整した。更に、0.1mmΦジルコニアビーズ100gを入れ、ペイントシェーカーによって湿式粉砕を行った。湿式粉砕は3時間行った。最後に液を0.2μmのメンブランフィルターに通し粗粒を除去して、目的とするリン酸ガドリニウム粒子の水性分散液(ゾル)を得た。これに赤色レーザ(波長650nm)を照射したところ、チンダル現象が観察され、リン酸ガドリニウム粒子が高度に分散していることが確認された。
得られた水性分散液におけるリン酸ガドリニウム粒子の最大粒径Dmaxを、日機装株式会社製のナノトラック粒度分布測定装置を用いて測定した。その結果を表1に示す。また、この水性分散液を少量はかり取り、200℃で乾燥させたときのリン酸ガドリニウム粒子の固形分濃度は5.5%であり、ガラス質の透明な固形分が残存していた。
得られた水性分散液及びブランクの純水の屈折率(d線、C線、F線、g線)を、上述した方法で、カルニュー社製精密屈折計KPR−2000にて測定した。その際、ブランクの純水のpHは、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を用いて該水性分散液と同じ12.4とした。得られた測定値に基づき、上述した方法によって、水性分散液中に含まれるリン酸ガドリニウム粒子の屈折率(nd、nC、nF、ng)を算出した。算出したnd、nC、nF及びngの各値から、上述した方法によって、リン酸ガドリニウム粒子のνd及びθg,Fの値を算出した。更に、得られたνd、θg,Fの値から上述した方法によって、Δθg,Fの値を算出した。それらの結果を表1及び図1に示す。なお図1中の曲線は、上述した式(2)である。
〔実施例2〕
(1)リン酸ランタン粒子の製造
1) ガラス容器に水380gを計量し、80℃に加温した。
2) 1)へ85%硝酸水溶液(和光純薬製)16.3gを添加した。
3) 2)へLa23(和光純薬製)7.0gを添加し、完全に溶解させ室温(25℃)まで冷却した。
4) 別のガラス容器に水390g、25%リン酸純薬6.0g、25%アンモニア水10.5gを添加した。この水溶液のpHは9.6であった。
5) 3)の溶液中へ4)の溶液を25℃にて漸次添加した。反応液のpHは1.2〜2.1であった。反応によって沈殿物が生成した。
6) 添加終了後25℃のまま10分間エージングを行った。
この後、6)で得られた沈殿物について、実施例1における7)ないし10)と同様の工程を行い、焼成粉末を得た。得られた焼成粉末のXRD測定を行ったところ、単斜晶のLaPO4ピークが確認された。また、得られた焼成粉末のBET比表面積を実施例1と同じ方法で測定した。その結果を表1に示す。更に、得られた焼成粉末の可視光に対する反射率を、実施例1と同様に測定したところ、反射率が波長400〜800nmにわたって86%以上であり、可視光領域において吸収がないことを確認した。反射率の測定結果を図2(b)に示す。
(2)水性分散液の製造
50mlの樹脂製容器に、(1)で得られた焼成粉末であるLaPO4粒子1.8gと、2%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液21gを添加してスラリーのpHを12.8に調整した。実施例1と同様の方法によって、このスラリーから、目的とするリン酸ランタン粒子の水性分散液(ゾル)を得た。これに赤色レーザ(波長650nm)を照射したところ、チンダル現象が観察され、リン酸ランタン粒子が高度に分散していることが確認された。
実施例1と同様にして、得られた水性分散液におけるリン酸ランタン粒子の最大粒径Dmaxを測定した。その結果を表1に示す。また、この水性分散液を少量はかり取り、200℃で乾燥させたときの固形分濃度は5.7%であり、ガラス質の透明な固形分が残存していた。
実施例1と同様にして、得られた水性分散液の屈折率を測定することによって、リン酸ランタン粒子のnd、nC、nF、ng、νd、θg,F及びΔθg,Fの各値を得た。なおブランクの純水のpHは、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を用いて該水性分散液と同じ12.8とした。その結果を表1及び図1に示す。
〔参考例1〕
(1)リン酸ルテチウム粒子の製造
1) ガラス容器に水370gを計量し、80℃に加温した。
2) 1)へ85%硝酸水溶液(和光純薬製)14.4gを添加した。
3) 2)へLu23(日本イットリウム製)7.4gを添加し、完全に溶解させ室温(25℃)まで冷却した。
4) 別のガラス容器に水390g、25%リン酸水溶液5.26g、25%アンモニア水9.30gを添加した。この水溶液のpHは11.1であった。
5) 3)の溶液中へ4)の溶液を25℃にて漸次添加した。反応液のpHは0.8〜1.6であった。反応によって沈殿物が生成した。
6) 添加終了後、25℃で10分間エージングを行った。
この後、6)で得られた沈殿物について、実施例1における7)ないし10)と同様の工程を行い、焼成粉末を得た。得られた焼成粉末のXRD測定を行ったところ、正方晶のLuPO4ピークが確認された。また、得られた焼成粉末のBET比表面積を実施例1と同じ方法で測定した。その結果を表1に示す。更に、得られた焼成粉末の可視光に対する反射率を、実施例1と同様に測定したところ、反射率が波長400〜800nmにわたって96%以上であり、可視光領域において吸収がないことを確認した。反射率の測定結果を図3(a)に示す。
(2)水性分散液の製造
50mlの樹脂製容器に、(1)で得られた焼成粉末であるLuPO4粒子3.0gと、2%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液21gを添加してスラリーのpHを12.8に調整した。実施例1と同様の方法によって、このスラリーから、目的とするリン酸ルテチウム粒子の水性分散液(ゾル)を得た。これに赤色レーザ(波長650nm)を照射したところ、チンダル現象が観察され、リン酸ルテチウム粒子が高度に分散していることが確認された。
実施例1と同様にして、得られた水性分散液におけるリン酸ルテチウム粒子の最大粒径Dmaxを測定した。その結果を表1に示す。また、この水性分散液を少量はかり取り、200℃で乾燥させた後のリン酸ルテチウム粒子の固形分濃度は11.1%であり、ガラス質の透明な固形分が残存することが確認された。
実施例1と同様にして、得られた水性分散液の屈折率を測定することによって、リン酸ルテチウム粒子のnd、nC、nF、ng、νd、θg,F及びΔθg,Fの各値を得た。なお、ブランクの純水のpHは、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を用いて該水性分散液と同じ10.2とした。その結果を表1及び図1に示す。
〔参考例2〕
(1)リン酸イッテルビウム粒子の製造
1) ガラス容器に水380gを計量し、80℃に加温した。
2) 1)へ85%硝酸水溶液(和光純薬製)14.4gを添加した。
3) 2)へYb23(日本イットリウム社製)7.5gを添加し、完全に溶解させ、室温(25℃)まで冷却した。
4) 別のガラス容器に水390g、25%リン酸水溶液5.26g、25%アンモニア水9.30gを添加した。この水溶液のpHは9.6であった。
5) 3)の溶液中へ4)の溶液を25℃に漸次添加した。反応液のpHは1.2〜2.3であった。反応によって沈殿物が生成した。
6) 添加終了後25℃のまま10分間エージングを行った。
この後、6)で得られた沈殿物について、実施例1における7)ないし10)と同様の工程を行い、焼成粉末を得た。得られた焼成粉末のXRD測定を行ったところ、正方晶のYbPO4ピークが確認された。また、得られた焼成粉末のBET比表面積を実施例1と同じ方法で測定した。その結果を表1に示す。更に、得られた焼成粉末の可視光に対する反射率を、実施例1と同様に測定したところ、反射率が波長400〜800nmにわたって94%以上であり、可視光領域において吸収がないことを確認した。反射率の測定結果を図3(b)に示す。
(2)水性分散液の製造
50mlの樹脂製容器に、(1)で得られた焼成粉末であるYbPO4粒子3.0gと、2%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液21gを添加してスラリーのpHを12.2に調整した。実施例1と同様の方法によって、このスラリーから、目的とするリン酸イッテルビウム粒子の水性分散液(ゾル)を得た。これに赤色レーザ(波長650nm)を照射したところ、チンダル現象が観察され、リン酸イッテルビウム粒子が高度に分散していることが確認された。
実施例1と同様にして、得られた水性分散液におけるリン酸イッテルビウム粒子の最大粒径Dmaxを測定した。その結果を表1に示す。また、この水性分散液を少量はかり取り、200℃で乾燥させたときのリン酸イッテルビウム粒子の固形分濃度は11.1%であり、ガラス質の透明な固形分が残存していた。
実施例1と同様にして、得られた水性分散液の屈折率を測定することによって、リン酸イッテルビウム粒子のnd、nC、nF、ng、νd、θg,F及びΔθg,Fの各値を得た。なお、ブランクの純水のpHは、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を用いて該水性分散液と同じ11.8とした。その結果を表1及び図1に示す。
〔参考例3〕
(1)リン酸イットリウム粒子の製造
1) ガラス容器に水370gを計量し、80℃に加温した。
2) 1)へ85%硝酸水溶液(和光純薬製)20.4gを添加した。
3) 2)へY23(関東化学製)6.1gを添加し、完全に溶解させ室温(25℃)まで冷却した。
4) 別のガラス容器に水380g、25%リン酸水溶液7.5g、25%アンモニア水13.2gを添加した。この水溶液のpHは8.9であった。
5) 3)の溶液中へ4)の溶液を25℃にて漸次添加した。反応液のpHは1.5〜1.9であった。反応によって沈殿物が生成した。
6) 添加終了後25℃のまま10分間エージングを行った。
この後、6)で得られた沈殿物について、実施例1における7)ないし10)と同様の工程を行い、焼成粉末を得た。得られた焼成粉末のXRD測定を行ったところ、正方晶のYPO4ピークが確認された。また、得られた焼成粉末のBET比表面積を実施例1と同じ方法で測定した。その結果を表1に示す。更に、得られた焼成粉末の可視光に対する反射率を、実施例1と同じ測定機器を用いて測定したところ、反射率が波長400〜800nmにわたって94%以上であり、可視光領域において吸収がないことを確認した。反射率の測定結果を図3(c)に示す。
(2)水性分散液の製造
50mlの樹脂製容器に、得られた焼成粉末であるYPO4粒子3.0gと、2%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液21gを添加してスラリーのpHを12.8に調整した。実施例1と同様の方法によって、このスラリーから、目的とするリン酸イットリウム粒子の水性分散液(ゾル)を得た。これに赤色レーザ(波長650nm)を照射したところ、チンダル現象が観察され、リン酸イットリウム粒子が高度に分散していることが確認された。
実施例1と同様にして、得られた水性分散液におけるリン酸イットリウム粒子の最大粒径Dmaxを測定した。その結果を表1に示す。また、この水性分散液を少量はかり取り、200℃で乾燥させたときのリン酸イットリウム粒子の固形分濃度は12.7%であり、ガラス質の透明な固形分が残存していた。
実施例1と同様にして、得られた水性分散液の屈折率を測定することによって、リン酸イットリウム粒子のnd、nC、nF、ng、νd、θg,F及びΔθg,Fの各値を得た。なお、ブランクの純水のpHは、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を用いて該水性分散液と同じ12.6とした。

Figure 0006128799
表1及び図1に示す結果から明らかなとおり、各実施例で得られた粒子は、大きな負の異常分散性を有するのに対し、各参考例で得られた粒子は、式(1)の曲線に近い値を示し、負の異常分散性を有していないことが判る。

Claims (7)

  1. 希土類リン酸塩を含む粒子を有する光学材料であって、
    前記粒子のアッベ数をνdとし、部分分散比をθg,Fとしたとき、νdが30〜100であり、かつ以下の式(1)で定義されるΔθg,Fが−0.10〜−0.01であり、
    Δθg,F=θg,F−(−1.665×10-7νd 3+5.213×10-5νd 2−5.656×10-3νd+0.7278)・・・(1)
    前記希土類リン酸塩が、単斜晶の結晶構造をとるものである光学材料
  2. 前記希土類リン酸塩が、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu及びGdから選ばれる少なくとも1種の希土類元素のリン酸塩である請求項1に記載の光学材料。
  3. 前記粒子は、波長400〜800nmにわたって反射率が70%以上である請求項1又は2に記載の光学材料。
  4. 前記粒子のBET比表面積が10〜200m2/gである請求項1ないしのいずれか1項に記載の光学材料。
  5. 前記粒子の最大粒径Dmaxが100nm以下である請求項1ないしのいずれか1項に記載の光学材料。
  6. 水性分散液である、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の光学材料。
  7. 請求項1に記載の光学材料の製造方法であって、
    希土類元素源を含む水性原料液と、オルトリン酸を含む水溶液とを混合して、希土類リン酸塩を含む沈殿を生成させ、次いで該沈殿を大気雰囲気下に焼成工程に付す光学材料の製造方法。
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