JP2013082852A - 水性分散液及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属複合酸化物粒子を含有し、高透明性であり、長期保存しても安定性の高い水性分散液を提供すること。
【解決手段】本発明の水性分散液は、ランタノイド又はイットリウムとアルミニウムとを含む複合酸化物からなる粒子を含む。該粒子の最大粒径Dmaxが100nm以下であり、該水性分散液のpHが8.5〜13である。この水性分散液の可視光の波長領域(400〜800nm)における透過率は好適には80%以上である。前記粒子の体積換算平均粒径D50が1〜70nmであることも好適である。
【選択図】なし

Description

本発明は、ランタノイド又はイットリウムとアルミニウムとを含有する複合酸化物を含む水性分散液及びその製造方法に関する。本発明の水性分散液は、これを塗膜にして乾燥させることで、各種光学材料に有用な薄膜を形成するための原料として好適に用いられる。
希土類アルミニウムガーネットやイットリウムアルミニウムガーネット等のランタノイド又はイットリウムとアルミニウムとを含む複合酸化物は、可視光の波長領域を含む紫外光から赤外光の波長領域において屈折率及びアッベ数が高い材料であることが知られている。これらの特性を生かし、前記の複合酸化物は光学材料として種々の分野で利用されている。
例えば特許文献1には、レーザー用発振子等の原料として用いられるイットリウムアルミニウムガーネット微粉体が記載されている。この微粉体は、アルカリ性の炭酸塩水溶液中に、イットリウム塩とアルミニウム塩とをガーネット組成となるように混合した鉱酸塩水溶液を添加してイットリウムとアルミニウムとの水不溶性塩を晶出させ、この塩を焼成することで得られる。この微粉体の一次粒子の平均粒径は0.01〜0.2μmであると、同文献には記載されている。この微粉体は金型によって所定の形状を有する成形体にプレス成形され、次いで焼結されることで、所定の形状を有する光学製品となる。
特許文献2には、希土類元素としてY、Yb、Er又はNd等の希土類元素を含む希土類元素・アルミニウムガーネット粉末が記載されている。この粉末は、平均粒径D50が1.8μm以下であると、同文献には記載されている。この粉末も特許文献1に記載の微粉体と同様に、金型によって所定の形状を有する成形体にプレス成形され、次いで焼結されることで、所定の形状を有する光学製品となる。
特開平10−101411号公報 特開2001−158620号公報
特許文献1及び2に記載の技術はいずれも、粉体をプレス成形して得られた成形体を焼結することで、光学製品を製造することを目的としている。したがって、これらの文献に記載の技術を用いて薄い光学製品を製造することは容易ではない。薄い光学製品を製造するためには、例えば原料となる粉体を液体に分散させた分散液となし、該分散液を基板上に塗布することが考えられる。しかし、これらの文献に記載の粉体はその粒径が比較的大きいので、該粉体を用いて分散液を調製すると、分散液中での粒子の分散性が良好とは言えず、また分散液に沈殿の生成が生じやすい。
したがって本発明の課題は、光学材料分野に有用な薄膜などを容易に形成することができる水性分散液を提供することにある。
本発明は、ランタノイド又はイットリウムとアルミニウムとを含有する複合酸化物からなる粒子を含む水性分散液であって、該粒子の最大粒径Dmaxが100nm以下であり、該水性分散液のpHが8.5〜13であることを特徴とする水性分散液を提供するものである。
また本発明は、前記の水性分散液の好適な製造方法として、
ランタノイド又はイットリウムとアルミニウムとを含む複合酸化物からなり、BET比表面積が10〜300m2/gである粒子を水性媒体に分散させ、かつpHを8.5〜13に調整することを特徴とする水性分散液の製造方法を提供するものである。
本発明の水性分散液は、粒子の分散性が高く、かつ長期保存しても沈殿の生成が生じづらい安定性の高いものであり、更に透明性の高いものでもある。
図1は、実施例1〜6で得られたランタノイド又はイットリウムとアルミニウムとを含有する複合酸化物粒子のXRD回折図である。 図2は、実施例1の水性分散液についての可視の透過曲線を示す図である。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。本発明の水性分散液には、分散質としてランタノイド又はイットリウムとアルミニウムとを含む複合酸化物(以下、金属複合酸化物とも言う。)粒子が含まれている。本発明において用いることができるランタノイドとしては、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuが挙げられる。本発明においては、1種又は2種以上のランタノイド又はイットリウムとアルミニウムとを組み合わせて用いることができる。また本発明においては、1種又は2種以上のランタノイドとイットリウムとアルミニウムとを組み合わせて用いることもできる。金属複合酸化物に1種又は2種以上のランタノイドとイットリウムとを含有させる場合、ランタノイド及びイットリウムの好ましい組み合わせとしては、例えばイットリウムとルテチウムとの組み合わせ、イットリウムとイッテルビウムとの組み合わせ、イットリウムとガドリニウムとルテチウムとの組み合わせ等が挙げられる。更に、金属複合酸化物として、ランタノイドの中から選択される1種又は2種以上の元素とアルミニウムとの組み合わせを用いることができる。ランタノイドの好ましい組み合わせとしては、ガドリニウムとルテチウムとの組み合わせや、イッテルビウムとガドリニウムとの組み合わせが挙げられる。特に好ましく用いられる組み合わせは、光学材料としての特性が高いことから、LuとAlとの組み合わせやYとAlの組み合わせである。
本発明に用いられる金属複合酸化物は、可視光の波長領域における高透過率、高屈折率及び低波長分散性の観点から、ガーネット組成又はペロブスカイト組成を有することが好ましい。本発明においてガーネット組成とはA3512(式中、Aは三価の金属元素を表し、Bは三価の金属元素を表す。)で表される組成をいう。また本発明においてペロブスカイト組成とはABO3(式中、Aは三価の金属元素を表し、Bは三価の金属元素を表す。)で表される組成をいう。ガーネット組成を有する金属複合酸化物としては、例えばLu3Al512、Y3Al512、La3Al512、Yb3Al512、Er3Al512、Ho3Al512、Tb3Al512、Gd3Al512、Eu3Al512等が挙げられる。これらの中でも、Lu3Al512、Y3Al512、La3Al512を用いることが好ましい。ペロブスカイト組成を有する金属複合酸化物としては、例えばLuAlO3、YAlO3、LaAlO3、CeAlO3、PrAlO3、NdAlO3、SmAlO3、EuAlO3、GdAlO3、TbAlO3、HoAlO3等が挙げられる。これらの中でも、LuAlO3、YAlO3、LaAlO3を用いることが好ましい。ガーネット組成又はペロブスカイト組成を有する金属複合酸化物は、例えば後述する製造方法によって好適に得ることができる。
本発明に用いられる金属複合酸化物は、結晶構造を有するものであってもよく、あるいはアモルファスであってもよい。金属複合酸化物が結晶構造を有する場合には、その結晶構造としては、例えば立方晶構造が挙げられる。立方晶構造としては、ガーネット構造又はペロブスカイト構造が挙げられる。ガーネット構造を有する金属複合酸化物としては、上述のガーネット組成である金属複合酸化物として例示したものが挙げられる。ペロブスカイト構造を有する金属複合酸化物としては、上述のペロブスカイト組成である金属複合酸化物として例示したものが挙げられる。ガーネット構造又はペロブスカイト構造を有する金属複合酸化物は、例えば後述する製造方法によって好適に得ることができる。
本発明に用いられる金属複合酸化物は、アルミニウムを除く13族の三価の金属元素(以下「13族金属元素」ともいう。)を含有していてもよい。これらの金属元素を含有することにより、金属酸化物粒子の構造が安定化するからである。このような金属元素としては、Ga、In及びTlが挙げられる。これらの金属元素は1種又は2種以上を用いることができる。金属複合酸化物におけるこれらの13族金属元素の含有量は、該金属複合酸化物が例えばA3xAl5-x12(式中、Aはランタノイド又はイットリウムを表し、Bは13族金属元素を表す)で表されるガーネット組成を有するときには、式中のxが0.001≦x≦2.5、特に0.01≦x≦2を満たすような量であることが好ましい。また金属複合酸化物が例えばABxAl1-x3(式中、Aはランタノイド又はイットリウムを表し、Bは13族金属元素を表す)で表されるペロブスカイト組成を有するときには、式中のxが0.001≦x≦0.5、特に0.01≦x≦0.4を満たすような量であることが好ましい。13族金属元素を含有する金属酸化物粒子は、後述する製造方法によって好適に得ることができる。
後述するとおり、本発明の水性分散液は透明性の高いものであるところ、該水性分散液を透明なものとするためには、該水性分散液に含まれる金属複合酸化物粒子の最大粒径Dmaxが重要となる。詳細には、金属複合酸化物粒子の最大粒径Dmaxを100nm以下とすることが必要であり、好ましくは90nm以下、更に好ましくは80nm以下、一層好ましくは70nm以下、特に好ましくは50nm以下とする。最大粒径Dmaxが100nmを超えると、可視光の散乱によって水性分散液の透明性が低下する。最大粒径Dmaxの下限値に特に制限はなく、小さければ小さいほど好ましいが、20nm程度に最大粒径Dmaxが小さくなれば、水性分散液の透明性は十分に高くなる。金属複合酸化物粒子の最大粒径Dmaxは、光子相関法を利用した動的光散乱法によって測定される。例えばマルバーン社製ゼータサイザーナノZSや日機装株式会社製のナノトラック粒度分布測定装置を用いて測定される。
水性分散液に含まれる金属複合酸化物粒子の最大粒径Dmaxは上述のとおりであるところ、該粒子の体積換算平均粒径D50は好ましくは1〜70nm、更に好ましくは1〜40nm、一層好ましくは5〜40nm、特に好ましくは10〜35nmである。最大粒径Dmaxが上述の範囲であることに加えて、平均粒径D50がこの範囲であることによって、水性分散液の透明性が一層向上する。平均粒径D50は、最大粒径Dmaxと同様の方法で測定される。
水性分散液に含まれる金属複合酸化物粒子の濃度は、1〜50重量%、特に1〜30重量%であることが好ましい。この濃度範囲に調整することで、金属複合酸化物粒子が高度に分散し、長期間保存しても沈殿の生成等が認められなくなる。
水性分散液は、金属複合酸化物粒子に加え、高屈折率を有する金属酸化物の粒子を更に含んでいてもよい。そのような金属酸化物としては、例えばMg、Ca、Ti、Zn、Zr、Ta、Nb、Ga、Ge、Sn、In、Hf、Y、ランタノイド(La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu)などの金属の酸化物が挙げられる。これらの金属酸化物は、1種又は2種以上を用いることができる。これらの金属酸化物は、水性分散液に含まれる固形分としての粒子全体に対して、0.1〜50重量%程度用いることができる。
本発明の水性分散液は、長期間保存したときの安定性が高いものであることによっても特徴づけられる。水性分散液の安定性を高めるために、本発明においては水性分散液のpHを8.5〜13に設定し、好ましくは9〜13、更に好ましくは9〜12に設定する。水性分散液のpHが13超の場合には、金属複合酸化物粒子が溶解してしまうおそれがある。また、本発明の水性分散液は、pHが8.5未満の場合のうちpH7〜8付近において、金属複合酸化物粒子を高度に分散させることが容易でなく、直ちに又は長期間保存すると沈殿を生じる。この理由は、本発明で用いている金属複合酸化物粒子の等電点が、pH7〜8付近にあるからである。事実、本発明者らは、ガーネット構造のルテチウムアルミニウム複合酸化物粒子の等電点pHが7.4であり、ペロブスカイト構造のガドリニウムアルミニウム複合酸化物粒子の等電点pHが8.2であることを確認している。なお、前記の水性分散液のpHは、水性分散液の保存中又は使用時における温度での値のことである。
水性分散液のpHを上述の範囲内に調整するためには、水性分散液にpH調整剤を添加すればよい。pH調整剤としては、例えば、各種のアルカリを用いることができる。水性分散液にpH調整剤として添加するアルカリとしては、例えばエチルアミン、イソプロピルアミン等のモノアルキルアミン類;ジメチルアミン、ジエチルアミン等のジアルキルアミン類;トリエチルアミン、トリプロピルアミン等のトリアルキルアミン類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム等の一価のカチオンの水酸化物の水溶液;ヘキサメタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸アンモニウム等のヘキサメタリン酸塩;ピロリン酸カリウム等のピロリン酸塩;アンモニア水等が挙げられる。これらのうち、ヘキサメタリン酸塩や一価のカチオンの水酸化物の水溶液、とりわけヘキサメタリン酸ナトリウムや水酸化ナトリウムを用いることが好ましい。特に、ヘキサメタリン酸ナトリウムは、分散対象である粒子を改質させにくく、安定した分散液が得られる。水性分散液へのpH調整剤の添加量は、水性分散液のpHが上述の範囲となるような量とすればよい。
水性分散液は、水性液を媒体とするものである。水性液としては、水そのものの他、水に水溶性有機溶媒を添加したものを用いることができる。水溶性有機溶媒としては、例えばアルコール類や、ポリオール類、セロソルブ、カルビトール、ケトン類を用いることができる。これらの有機溶媒は、2種以上混合して使用してもよい。アルコール類としては、例えばメタノール、エタノール、ブタノール、プロパノール、ペンタノールが挙げられる。ポリオール類としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、グリセロール、ヘキサントリオール、ブタントリオール、ペトリオール、グリセリンが挙げられる。セロソルブとしては、例えばメトキシエタノール、エトキシエタノール、プロポキシエタノール、ブトキシエタノールが挙げられる。カルビトールとしては、例えばメトキシエトキシエタノール、エトキシエトキシエタノール、プロポキシエトキシエタノール、ブトキシエトキシエタノールが挙げられる。ケトン類としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコールが挙げられる。これらの有機溶媒は、水性液全体に対して、0.1〜50重量%程度添加することができる。
本発明の水性分散液は、可視光の波長領域(400〜800nm)において高透明性であることによって特徴づけられる。詳細には、可視光の波長領域における透過率が好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上という高透明性のものである。このように透明性の高い水性分散液を用いて塗膜を形成すると、乾燥後の塗膜の透明性が極めて高くなる。したがって、本発明の水性分散液は、可視光の波長領域において高屈折率及び低波長分散性を有する透明膜の製造に非常に有用である。可視光の波長領域において高屈折率及び低波長分散性を有する透明膜は、例えばシート状レンズを始めとして、光学レンズの薄型化に寄与する。水性分散液の透明性は、例えば(株)日立ハイテクノロジーズ社製の分光光度計U−4000によって測定することができる。
高透明性を有することに加え、本発明の水性分散液は、長期保存しても安定性が高いものである。例えば、室温下に1ヶ月間保存しても沈殿が生じない程度の安定性を有している。
次に、本発明の水性分散液の好適な製造方法について説明する。本製造方法は、(i)金属複合酸化物粒子の製造工程及び(ii)水性分散液の製造工程に大別される。これら両工程についてそれぞれ説明する。
まず、(i)の金属複合酸化物粒子の製造工程について説明する。金属複合酸化物粒子は、ランタノイド又はイットリウム及びアルミニウムを含む水溶液とアルカリ(塩基)とを混合して中和を行い、ランタノイド又はイットリウムとアルミニウムとを含む共沈物を生成させ、該共沈物を焼成することで得られる。ランタノイド又はイットリウムとアルミニウムとを含む水溶液を調製するためには、ランタノイド源として例えば水溶性のランタノイド化合物を用いる。またイットリウム源として水溶性イットリウム化合物を用いる。更にアルミニウム源として水溶性のアルミニウム化合物を用いる。これら水に溶解することで、目的とする水溶液が得られる。別の調製方法として、塩酸等の鉱酸に溶解するランタノイド化合物又はイットリウム化合物及びアルミニウム化合物を、鉱酸に溶解することでも、目的とする水溶液が得られる。いずれの方法を採用する場合であっても、水溶液中でのランタノイドイオン及びイットリウムイオンの濃度は、0.001〜1mol/リットル、特に0.01〜0.5mol/リットルとすることが好ましい。水溶液中でのアルミニウムイオンの濃度は、0.001〜2mol/リットル、特に0.02〜1mol/リットルとすることが好ましい。
目的とする金属複合酸化物がガーネット組成又はペロブスカイト組成を有するようにするためには、前記の水溶液中でのランタノイドイオン又はイットリウムイオンとアルミニウムイオンとのモル比が、ガーネット組成又はペロブスカイト組成となるように、これらの元素の添加量を適宜調整すればよい。
目的とする金属複合酸化物が立方晶構造を有するためには、前記の水溶液中でのランタノイドイオン又はイットリウムイオンとアルミニウムイオンとのモル比を適宜調整して立方晶構造の酸化物が生成するようにすればよい。
目的とする金属複合酸化物に13族金属元素を含有させるためには、上述のランタノイド又はイットリウムとアルミニウムとを含む水溶液に、更に13族金属元素を含有させればよい。例えば、上述のランタノイド又はイットリウムとアルミニウムを含む水溶液を調製するときに、前記のランタノイド化合物又はイットリウム化合物及び前記のアルミニウム化合物に加えて、13族金属元素の水溶性化合物を用いればよい。13族金属元素の化合物の使用量は、金属複合酸化物粒子中の13族金属元素の含有量が上述の範囲となるように適宜調整すればよい。
ランタノイド又はイットリウムとアルミニウムとを含む水溶液に添加するアルカリ(塩基)としては、例えばアンモニア水;水酸化ナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物の水溶液;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム等の炭酸塩;などが挙げられる。アルカリの添加量は、水溶液のpHが5〜14、特に8〜10となるような量とすることが好ましい。pHの値をこの範囲とすることによって、ランタノイド又はイットリウムとアルミニウムとを含む共沈物を首尾良く得ることができる。
ランタノイド又はイットリウムとアルミニウムとを含む水溶液の中和は、アルカリの水溶液中にランタノイド又はイットリウムとアルミニウムとを含む水溶液を添加することで行うことが、共沈物を首尾良く得ることができる点から好ましい。ランタノイド又はイットリウムとアルミニウムとを含む水溶液の添加は、一括添加でもよく、逐次添加でもよい。添加は加熱下に行ってもよいが、通常は室温(例えば25℃)下に行えば十分である。
前記の中和によって、ランタノイド又はイットリウムとアルミニウムとを含む共沈物が液中に生じる。この共沈物を、本発明者らがXRD測定したところ、アモルファス状態のものであることが判明した。したがって、この共沈物の詳細については現在のところ十分に明らかになっていない。この共沈物を用い、次に述べる焼成操作によって目的とする金属複合酸化物を得る。したがって、以下の説明では、この共沈物のことを「前駆体」と呼ぶこととする。
前駆体は、常法に従い固液分離された後、1回又は複数回水洗される。水洗は、液の導電率が例えば2000μS/cm以下になるまで行うことが好ましい。前駆体の固液分離を例えばデカンテーションで行う場合には、前駆体を効率的に沈殿させる観点から、液にアンモニア水を少量添加してもよい。
水洗された前駆体は、乾燥に付され水分が除去された後、解砕工程に付される。前駆体の解砕には、簡易的には例えば乳鉢を用いることができる。解砕は、解砕物の大きさが目開き100μmメッシュの篩を通過する程度とすることが好ましい。
解砕された前駆体は、次いで焼成工程に付される。これによって、金属複合酸化物粒子が得られる。焼成工程は、最終的に得られる金属複合酸化物粒子を水性液に分散させたときに、水性分散液の透明性を高める点から重要な工程である。詳細には、焼成工程によって得られる金属複合酸化物粒子のBET比表面積が好ましくは10〜300m2/g、更に好ましくは20〜300m2/g、一層好ましくは20〜250m2/gとなるように焼成を行うことで、透明性の高い水性分散液が容易に得られる。この範囲のBET比表面積を有する金属複合酸化物粒子を得るための好適な焼成条件としては、例えば大気雰囲気下、温度が400〜1200℃、特に400〜1000℃で、時間が1〜24時間、特に1〜10時間である。なお、BET比表面積は、例えば島津製作所社製の「フローソーブ2300」を用い、N2吸着法で測定することができる。本明細書では、測定粉末の量を0.3gとし、予備脱気条件は大気圧下、120℃で10分間とした。
上述の条件で焼成されることによって、上述の好適な範囲のBET比表面積を有する金属複合酸化物粒子が得られる。この金属複合酸化物粒子の比表面積換算粒径は、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下、一層好ましくは40nm以下、特に好ましくは20nm以下である。この金属複合酸化物粒子は、前駆体と異なり、XRD測定すると、金属複合酸化物に由来する回折ピークが観察され、結晶構造を有していることが確認される(後述する実施例1参照)。焼成条件によっては、XRD測定による回折ピークが明確に観察されない場合もある(後述する実施例2〜4参照)。
次に、(ii)の水性分散液の製造工程について説明する。本工程においては、まず焼成によって得られた金属複合酸化物粒子を粉砕する。粉砕は、乾式でも湿式でもよいが、湿式粉砕することが、水性分散液を簡便に得る点から好ましい。湿式粉砕を行う場合には、金属複合酸化物粒子と水性液とを混合してスラリーとなし、ビーズミル等のメディアミルによって粉砕を行う。水性液としては、水又は水に水溶性有機溶媒を添加したものが用いられる。使用するビーズとしては、例えばジルコニアビーズやアルミナビーズ等が挙げられる。この場合、各種のpH調整剤をスラリーに添加して粉砕操作を行うことで、金属複合酸化物を単分散状態に近づけやすくなる。pH調整剤としては、液のpHを好ましくは8.5〜13、更に好ましくは9〜13、特に好ましくは9〜12に調整できるものを用いることが好ましい。そのようなpH調整剤としては、例えば、先に述べた各種のアルカリを用いることができ、特に好ましいものはヘキサメタリン酸ナトリウムである。
上述のpH調整剤は、これを湿式粉砕時にスラリーに添加することに代えて、湿式粉砕して得られた水性分散液に添加してもよい。pH調整剤を水性分散液に添加する場合、その添加量は、水性分散液のpHが、好ましくは8.5〜13、更に好ましくは9〜13、特に好ましくは9〜12となるようにする。
湿式粉砕後、液とビーズとを分離することで、目的とする水性分散液が得られる。このようにして得られた水性分散液は無色透明であり、可視光の透過率が高いものである。また、長期間保存しても沈殿の生じない安定なものである。
このようにして得られた水性分散液は、それに含まれる金属複合酸化物が有する高屈折率及び低波長分散性や、水性分散液が有する可視光に対する透明性を利用して、各種の光学材料や電子材料に用いることができる。例えば、レンズ等の光学系部品、反射防止膜、赤外線透過膜等に用いることができる。具体的には、水性分散液を各種の基板、例えば透明基板やレンズ等の表面に塗布して塗膜を形成し、該塗膜を乾燥させることで、高透明性、高屈折率及び低波長分散性を有する薄膜を形成することができる。乾燥後の薄膜を、必要に応じて不活性雰囲気下、大気等の酸化性雰囲気下又は弱還元性雰囲気下(例えば爆発限界濃度以下の含水素雰囲気下)に焼成してもよい。この薄膜は、レンズの屈折率を更に高めるために、あるいは薄型レンズそのものとして有用である。更に本発明の水性分散液は、それに含まれる金属複合酸化物粒子が樹脂中に分散されてなる樹脂レンズの原料としても好適に用いられる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り、「%」は「重量%」を意味する。
〔実施例1〕
(1)ルテチウムアルミニウム複合酸化物粒子の製造
ガラス容器に380gの水をはかり取り80℃に加熱した。この中へ、35%塩酸(和光純薬株式会社製)13.5gを添加した。更に、Lu23(日本イットリウム株式会社製)7.0g及びAlCl3・六水和物(和光純薬株式会社製)14.2gを添加し、これを完全に溶解させた。その後、冷却し液温を25℃とした。この水溶液を水溶液Aという。
別のガラス容器に370gの水をはかり取り、炭酸水素アンモニウム(和光純薬株式会社製)31.15gを添加し、溶解させた。この水溶液に前記の水溶液Aを逐次添加し、添加終了後10分間のエージングを行った。添加は25℃で行った。この操作によって、液中に沈殿物が生成した。反応終了後のpHは5.2であった。この液を、上澄みの導電率が100μS/cm以下になるまでデカンテーション洗浄した。
洗浄終了後、減圧濾過によって固液分離を行い、ケーキを得た。このケーキを大気中で120℃・5時間乾燥し、水分を除去した。このようにして得られた乾燥ケーキを乳鉢で解砕し、次いで目開き75μmのメッシュで分級し、前駆体粒子を得た。この前駆体粒子をXRD回折測定したところ、アモルファスであることが確認された。
この前駆体を大気中で950℃・3時間焼成し、目的とするルテチウムアルミニウム複合酸化物粒子を得た。このルテチウムアルミニウム複合酸化物粒子のXRD回折図を図1に示す。同図から明らかなように、このルテチウムアルミニウム複合酸化物粒子はLu3Al512に由来する回折ピークを示すものであり、ガーネット構造を有するものであった。このルテチウムアルミニウム複合酸化物粒子のBET比表面積を測定したところ、38m2/gであった。このルテチウムアルミニウム複合酸化物粒子の比表面積換算粒径は24nmであった。
(2)水性分散液の製造
50mLの樹脂製容器に、前記の(1)で得られたルテチウムアルミニウム複合酸化物粒子2.5gと、予め調整した2%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液30gとを入れてスラリーを調整した。更に0.1mmφのジルコニアビーズを入れ、容器を密栓した後、ペイントシェーカーによって湿式粉砕を行った。湿式粉砕は3時間行った。最後に液を0.2μmのメンブレンフィルターに通し粗粒を除去して、目的とするルテチウムアルミニウム複合酸化物粒子の水性分散液(ゾル)を得た。この水性分散液のpHは10.2であった。得られた水性分散液は無色透明であり、これに赤色レーザー(波長650nm)を照射したところ、チンダル現象が観察され、ルテチウムアルミニウム複合酸化物粒子が高度に分散していることが確認された。
得られた水性分散液をコロジオン膜にすくい取り、透過型電子顕微鏡(TEM)観察したところ、ルテチウムアルミニウム複合酸化物粒子の一次粒子径は15nmであった。また、マルバーン社製ゼータサイザーナノZSを用いてその最大粒径Dmax及び体積換算平均粒径D50を測定した。その結果、最大粒径Dmaxは81nmであり、体積換算平均粒径D50は26nmであった。
この水性分散液を少量はかり取り、200℃で乾燥させた後のルテチウムアルミニウム複合酸化物粒子の固形分濃度は11.2%であり、ガラス質の透明な固形分が残存することが確認された。また、水性分散液の可視光に対する透明性を(株)日立ハイテクノロジーズ社製分光光度計U−4000によって測定したところ、可視光の波長領域(波長400nm〜800nm)における光路長1cmのセルで測定した透過率は84%以上(最低値がλ=400nmで84%)であった。この水性分散液についての可視光の透過曲線を図2に示す。透過率測定結果を示す。
更に、この水性分散液を常温(25℃)で1ヶ月保存して保存安定性を調べたところ、沈殿の生成は観察されず、高分散状態が維持されていることが確認された。
〔実施例2〕
(1)イットリウムアルミニウム複合酸化物粒子の製造
ガラス容器に380gの水をはかり取り80℃に加熱した。この中へ、35%塩酸(和光純薬株式会社製)31.5gを添加した。更に、Y23(和光純薬株式会社製)9.5g及びAlCl3・六水和物(和光純薬株式会社製)34.0gを添加し、これを完全に溶解させた。その後、冷却し液温を25℃とした。この水溶液を水溶液Bという。
別のガラス容器に300gの水をはかり取り、炭酸アンモニウム(関東化学社製)57.7gを添加し、溶解させた。この水溶液に前記の水溶液Bを逐次添加し、添加終了後10分間のエージングを行った。添加は25℃で行った。この操作によって、液中に沈殿物が生成した。反応終了後のpHは7.8であった。この液を、上澄みの導電率が100μS/cm以下になるまでデカンテーション洗浄した。
洗浄終了後、実施例1と同様にして、前駆体粒子を得た。この前駆体粒子をXRD回折測定したところ、アモルファスであることが確認された。
この前駆体を大気で1000℃・3時間焼成し、目的とするイットリウムアルミニウム複合酸化物粒子を得た。図1にこのイットリウムアルミニウム複合酸化物粒子のXRD回折図を示す。同図から明らかなように、このイットリウムアルミニウム複合酸化物粒子はY3Al512に由来する回折ピークを示すものであり、ガーネット構造を有するものであった。
(2)水性分散液の製造
実施例1で得られたルテチウムアルミニウム複合酸化物粒子2.5gの代わりに、前記の(1)で得られたイットリウムアルミニウム複合酸化物粒子2.5gを用いた以外は実施例1と同様にして、目的とするイットリウムアルミニウム複合酸化物粒子の水性分散液(ゾル)を得た。この水性分散液のpHは9.7であった。得られた水性分散液は無色透明であり、これに赤色レーザー(波長650nm)を照射したところ、チンダル現象が観察され、イットリウムアルミニウム複合酸化物粒子が高度に分散していることが確認された。
得られた水性分散液をコロジオン膜にすくい取り、透過型電子顕微鏡(TEM)観察したところ、イットリウムアルミニウム複合酸化物粒子の一次粒子径は18nmであった。また、この水性分散液を少量はかり取り、200℃で乾燥させた後のイットリウムアルミニウム複合酸化物粒子の固形分濃度は10.9%であり、ガラス質の透明な固形分が残存することが確認された。
前記(1)で得られたイットリウムアルミニウム複合酸化物粒子及び前記(2)で得られた水性分散液について、実施例1と同様の測定を行った。その結果を表1に示す。なお、水性分散液の最低透過率はλ=400nmにおける透過率であった。また、前記(2)で得られた水性分散液を常温(25℃)で1ヶ月保存して保存安定性を調べたところ、沈殿の生成は観察されず、高分散状態が維持されていることが確認された。
〔実施例3〕
(1)ガドリニウムアルミニウム複合酸化物粒子の製造
ガラス容器に365gの水をはかり取り80℃に加熱した。この中へ、35%塩酸(和光純薬株式会社製)16.1gを添加した。更に、Gd23(関東化学社製)7.8g及びAlCl3・六水和物(和光純薬株式会社製)10.38gを添加し、これを完全に溶解させた。その後、冷却し液温を25℃とした。この水溶液を水溶液Cという。
別のガラス容器に370gの水をはかり取り、炭酸水素アンモニウム(和光純薬株式会社製)29.25gを添加し、溶解させた。この水溶液に、前記の水溶液Cを逐次添加し、添加終了後10分間のエージングを行った。添加は25℃で行った。この操作によって、液中に沈殿物が生成した。反応終了後のpHは6.6であった。この液を、上澄みの導電率が100μS/cm以下になるまでデカンテーション洗浄した。
洗浄終了後、実施例1と同様にして、前駆体粒子を得た。この前駆体粒子をXRD回折測定したところ、アモルファスであることが確認された。
この前駆体を大気中で1000℃・3時間焼成し、目的とするガドリニウムアルミニウム複合酸化物粒子を得た。図1にこのガドリニウムアルミニウム複合酸化物粒子のXRD回折図を示す。同図から明らかなように、このガドリニウムアルミニウム複合酸化物粒子はGdAlO3に由来する回折ピークを示すものであり、ペロブスカイト構造を有するものであった。
(2)水性分散液の製造
実施例1で得られたルテチウムアルミニウム複合酸化物粒子2.5gの代わりに、前記の(1)で得られたガドリニウムアルミニウム複合酸化物粒子2.5gを用いた以外、実施例1と同様にして、目的とするガドリニウムアルミニウム複合酸化物粒子の水性分散液(ゾル)を得た。この水性分散液のpHは10.5であった。得られた水性分散液は無色透明であり、これに赤色レーザー(波長650nm)を照射したところ、チンダル現象が観察され、ガドリニウムアルミニウム複合酸化物粒子が高度に分散していることが確認された。
得られた水性分散液をコロジオン膜にすくい取り、透過型電子顕微鏡(TEM)観察したところ、ガドリニウムアルミニウム複合酸化物粒子の一次粒子径は11nmであった。また、この水性分散液を少量はかり取り、200℃で乾燥させた後のガドリニウムアルミニウム複合酸化物粒子の固形分濃度は11.0%であり、ガラス質の透明な固形分が残存することが確認された。
前記(1)で得られたガドリニウムアルミニウム複合酸化物粒子及び前記(2)で得られた水性分散液について、実施例1と同様の測定を行った。その結果を表1に示す。なお、水性分散液の最低透過率はλ=400nmにおける透過率であった。また、前記(2)で得られた水性分散液を常温(25℃)で1ヶ月保存して保存安定性を調べたところ、沈殿の生成は観察されず、高分散状態が維持されていることが確認された。
〔実施例4〕
(1)ランタンアルミニウム複合酸化物粒子の製造
ガラス容器に365gの水をはかり取り、80℃に加熱した。この中へ、35%塩酸(和光純薬株式会社製)17.6gを添加した。更に、La23(関東化学社製)7.7g及びAlCl3・六水和物(和光純薬株式会社製)11.35gを添加し、これを完全に溶解させた。その後、冷却し液温を25℃とした。この水溶液を水溶液Dという。
別のガラス容器に370gの水をはかり取り、炭酸水素アンモニウム(和光純薬株式会社製)31.9gを添加し、溶解させた。この水溶液に前記の水溶液Dを逐次添加し、添加終了後10分間のエージングを行った。添加は25℃で行った。この操作によって、液中に沈殿物が生成した。反応終了後のpHは6.9であった。この液を、上澄みの導電率が100μS/cm以下になるまでデカンテーション洗浄した。
洗浄終了後、実施例1と同様にして、前駆体粒子を得た。この前駆体粒子をXRD回折測定したところ、アモルファスであることが確認された。
この前駆体を大気中950℃で3時間焼成し、目的とするランタンアルミニウム複合酸化物粒子を得た。図1にこのランタンアルミニウム複合酸化物粒子のXRD回折図を示す。同図から明らかなように、このランタンアルミニウム複合酸化物粒子はLaAlO3に由来する回折ピークを示すものであり、ペロブスカイト構造を有するものであった。
(2)水性分散液の製造
実施例1で得られたルテチウムアルミニウム複合酸化物粒子2.5gの代わりに、前記の(1)で得られたランタンアルミニウム複合酸化物粒子2.5gを用いた以外は、実施例1と同様にして、目的とするランタンアルミニウム複合酸化物粒子の水性分散液(ゾル)を得た。この水性分散液のpHは10.1であった。得られた水性分散液は無色透明であり、これに赤色レーザー(波長650nm)を照射したところ、チンダル現象が観察され、ランタンアルミニウム複合酸化物粒子が高度に分散していることが確認された。
得られた水性分散液をコロジオン膜にすくい取り、透過型電子顕微鏡(TEM)観察したところ、ランタンアルミニウム複合酸化物粒子の一次粒子径は17nmであった。また、この水性分散液を少量はかり取り、200℃で乾燥させた後のランタンアルミニウム複合酸化物粒子の固形分濃度は10.7%であり、ガラス質の透明な固形分が残存することが確認された。
前記(1)で得られたランタンアルミニウム複合酸化物粒子及び前記(2)で得られた水性分散液について、実施例1と同様の測定を行った。その結果を表1に示す。なお、水性分散液の最低透過率はλ=400nmにおける透過率であった。また、前記(2)で得られた水性分散液を常温(25℃)で1ヶ月保存して保存安定性を調べたところ、沈殿の生成は観察されず、高分散状態が維持されていることが確認された。
〔実施例5〕
(1)ルテチウムアルミニウム複合酸化物粒子の製造
前駆体の焼成温度を600℃とした以外は実施例1と同様にして、ルテチウムアルミニウム複合酸化物粒子を得た。図1にこのルテチウムアルミニウム複合酸化物粒子のXRD回折図を示す。同図から明らかなように、得られた粒子はアモルファスであった。元素分析の結果から、得られた粒子はLu3Al512で表されるガーネット組成を有することが確認された。
(2)水性分散液の製造
50mLの樹脂製容器に、前記の(1)で得られた粒子2.5gと0.5%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液20gとを入れてスラリーを得た。更に0.1mmφのジルコニアビーズを入れ、容器を密栓した後、ペイントシェーカーによって湿式粉砕を行った。湿式粉砕は3時間行った。最後に液を0.2μmメンブレンフィルターに通し粗粒を除去して、目的とする水性分散液を得た。この水性分散液のpHは9.2であった。得られた水性分散液は無色透明であり、これに赤色レーザー(波長650nm)を照射したところ、チンダル現象が観察され、粒子が高度に分散していることが確認された。
前記(1)で得られたルテチウムアルミニウム複合酸化物粒子及び前記(2)で得られた水性分散液について、実施例1と同様の測定を行った。その結果を下記の表1に示す。なお、水性分散液の最低透過率はλ=400nmにおける透過率であった。また、前記(2)で得られた水性分散液を常温(25℃)で1ヶ月保存して保存安定性を調べたところ、沈殿の生成は観察されず、高分散状態が維持されていることが確認された。
〔実施例6〕
50mLの樹脂製容器に、実施例3で得られたガドリニウムアルミニウム複合酸化物粒子2.5gと2%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液18gを入れてスラリーを得、次いで水酸化ナトリウム水溶液を使用し該スラリーのpHを12.5に調整した。更に0.1mmφのジルコニアビーズを入れ、容器を密栓した後、ペイントシェーカーによって湿式粉砕を行った。湿式粉砕は3時間行った。最後に液を0.2μmメンブレンフィルターに通し粗粒を除去して、目的とする水性分散液を得た。この水性分散液のpHは12.0であった。得られた水性分散液は無色透明であり、これに赤色レーザー(波長650nm)を照射したところ、チンダル現象が観察され、粒子が高度に分散していることが確認された。
〔比較例1〕
50mLの樹脂製容器に、実施例1で得られたルテチウムアルミニウム複合酸化物粒子2.5gと純水30gとを入れてスラリーを調整した。この時のpHは7.0であった。更に0.1mmφのジルコニアビーズを入れ、容器を密栓した後、ペイントシェーカーによって湿式粉砕を行った。湿式粉砕は3時間行った。最後に液を0.2μmメンブレンフィルターに通し粗粒を除去して、目的とする水性分散液を得た。この水性分散液のpHは7.3であった。得られた水性分散液について、実施例1と同様の測定を行った。その結果を表1に示す。得られた水性分散液は白濁しており、直ちに沈殿が観察され、安定性が悪いものであることが確認された。
表1に示す結果から明らかなとおり、各実施例で得られた水性分散液は、透明性が高く、かつ1ヶ月保存しても沈殿の生成が観察されず、高分散状態が維持されていることが判る。比較例1で得られた水性分散液では粒子を分散させることができなかった。

Claims (8)

  1. ランタノイド又はイットリウムとアルミニウムとを含有する複合酸化物からなる粒子を含む水性分散液であって、該粒子のDmaxが100nm以下であり、該水性分散液のpHが8.5〜13であることを特徴とする水性分散液。
  2. 可視光の波長領域における透過率が80%以上である請求項1に記載の水性分散液。
  3. 前記粒子の体積換算平均粒径D50が1〜70nmである請求項1又は2に記載の水性分散液。
  4. 前記粒子がガーネット組成又はペロブスカイト組成を有する請求項1ないし3のいずれか一項に記載の水性分散液。
  5. 前記粒子が更にアルミニウムを除く13族の三価の金属元素を含有する請求項1ないし4のいずれか一項に記載の水性分散液。
  6. 請求項1記載の水性分散液の製造方法であって、ランタノイド又はイットリウムとアルミニウムとを含む複合酸化物からなり、BET比表面積が10〜300m2/gである粒子を水性媒体に分散させ、かつpHを8.5〜13に調整することを特徴とする水性分散液の製造方法。
  7. ランタノイド又はイットリウムとアルミニウムとを含む水溶液に塩基を添加して該水溶液のpHを5〜14に調整することでランタノイド又はイットリウムとアルミニウムとを含む沈殿物を生成させ、
    該沈殿物を大気雰囲気下に焼成して前記の粒子を得る請求項6に記載の製造方法。
  8. 請求項1に記載の水性分散液を基板の表面に塗布して塗膜を形成し、該塗膜を乾燥させることを特徴とする透明薄膜の製造方法。
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