本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係るエンコーダユニットの構成図である。図2は、光学スケール及び光学センサユニットの配置の一例を説明する説明図である。図3は、実施形態1に係るエンコーダのブロック図である。図4は、実施形態1に係る光学スケールのパターンの一例を示す説明図である。エンコーダユニット1は、モータ等の回転機械に連結されたシャフト29と、ステータ20と、ロータ10と、信号パターンを読み取り可能な光学センサユニット31とを有している。
ロータ10は、円板形状の部材である光学スケール11を有している。光学スケール11は例えば、シリコン、ガラス、高分子材料などで形成されている。光学スケール11は、信号トラックT1を一方の板面に有している。また、ロータ10には、光学スケール11の取り付けられた板面に対し他方の板面にシャフト29が取り付けられている。光学スケール11は、傾斜していても傾斜角度が小さい場合には偏光分離の機能に影響がない。すなわち、光学スケール11は、回転中心Zrと直交する平面に対して傾斜していても、偏光分離素子として機能する。
ハウジング20Aの一部となる、またはハウジング20Aに固定されるステータ20と、ロータ10とは独立に固定され、ロータ10がステータ20に対して相対回転できる。ハウジング20Aは、軸受部21を有し、ハウジング20Aは、軸受部21を介してシャフト29を回転可能に支持する。シャフト29がモータからの回転により回転すると、シャフト29に連動してロータ10が回転中心Zrを軸中心として回転する。光学センサユニット31は、ステータ20を介してハウジング20Aに固定されている。ロータ10が回転すると、光学スケール11の信号トラックT1が光学センサユニット31に対して相対的に移動する。
図2に示すように、上述したロータ10が回転すると、光学スケール11の信号トラックT1が、例えばR方向に光学センサユニット31に対して相対的に移動する。光学センサユニット31は、光学スケール11の信号トラックT1を読み取り可能な光学センサユニット31と、光源41とを含む。光源41の光源光71が光学スケール11の信号トラックT1に反射し、この反射した反射光72を入射光として光学センサユニット31が検知する。実施形態1に係るエンコーダユニット1は、上述した反射型の光学スケール及び光学センサの配置に限られず、後述する実施形態のように透過型の光学スケール及び光学センサユニットの配置であってもよい。光源41は、例えば発光ダイオード、半導体レーザ光源である。
光学式エンコーダ2は、上述したエンコーダユニット1と、演算装置3と、を備えており、図3に示すように、エンコーダユニット1の光学センサユニット31と、演算装置3とが接続されている。演算装置3は、モータ等の回転機械の制御部5と接続されている。
光学式エンコーダ2は、光学スケール11に光源光71が透過又は反射して入射する反射光72を光学センサユニット31で検出する。演算装置3は、光学センサユニット31の検出信号からエンコーダユニット1のロータ10と光学センサユニット31との相対位置を演算し、相対位置の情報を制御信号として、モータ等の回転機械の制御部5へ出力する。
演算装置3は、パーソナルコンピュータ(PC)等のコンピュータであり、入力インターフェース4aと、出力インターフェース4bと、CPU(Central Processing Unit)4cと、ROM(Read Only Memory)4dと、RAM(Random Access Memory)4eと、内部記憶装置4fと、を含んでいる。入力インターフェース4a、出力インターフェース4b、CPU4c、ROM4d、RAM4e及び内部記憶装置4fは、内部バスで接続されている。なお、演算装置3は、専用の処理回路で構成してもよい。
入力インターフェース4aは、エンコーダユニット1の光学センサユニット31からの入力信号を受け取り、CPU4cに出力する。出力インターフェース4bは、CPU4cから制御信号を受け取り、制御部5に出力する。
ROM4dには、BIOS(Basic Input Output System)等のプログラムが記憶されている。内部記憶装置4fは、例えばHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等であり、オペレーティングシステムプログラムやアプリケーションプログラムを記憶している。CPU4cは、RAM4eをワークエリアとして使用しながらROM4dや内部記憶装置4fに記憶されているプログラムを実行することにより、種々の機能を実現する。
記憶手段である内部記憶装置4fには、光学スケール11における後述する偏光軸と光学センサユニット31のセンサの出力とを対応付けたデータベースが記憶されている。また、内部記憶装置4fには、後述するパラメータ方位角φ及び傾斜角度(天頂角)θの値と、光学スケール11の位置情報とを対応付けたデータベースが記憶されている。または、内部記憶装置4fには、後述する距離Dの値と、光学スケール11の位置情報とを対応付けたデータベースが記憶されている。
図4に示す信号トラックT1は、ワイヤーグリッドパターンとよばれる金属細線(ワイヤー)gの配列が図1に示す光学スケール11に形成されている。光学スケール11は、信号トラックT1として、隣り合う金属細線gを平行に直線的に配置している。このため、光学スケール11は、光源光71が照射される位置によらず同じ偏光軸となり、面内における偏光子の偏光方向が一方向を向いている。
また、ワイヤーグリッドパターンとよばれる金属細線gを有する光学スケール11は、光誘起の偏光板に比較して、光学スケール11は耐熱性を高めることができる。また、光学スケール11は、局所的にも、交差するような部分のないラインパターンとなっているため、精度を高く誤差の少ない光学スケールとすることができる。また、光学スケール11は、一括した露光またはナノインプリント技術により安定して製造することもできるため、精度を高く誤差の少ない光学スケールとすることができる。なお、光学スケール11は、光誘起の偏光板としてもよい。
複数の金属細線gは、交差せず配置されている。隣り合う金属細線gの間は、光源光71の全部又は一部が透過可能な透過領域wである。金属細線gの幅及び隣り合う金属細線gの間隔、つまり金属細線gの幅及び透過領域wの幅は、光源41の光源光71の波長より十分小さくする場合、光学スケール11は、光源光71の反射光72を偏光分離することができる。このため、光学スケール11は、面内における偏光軸が一様な偏光子を有している。光学スケール11は、回転する周方向において、光学センサユニット31へ入射する入射光の偏光軸が光学スケール11の回転に応じて変化する。実施形態1において、偏光軸の変化は、光学スケール11の1回転に対して2回の増減を繰り返すことになる。
光学スケール11は、偏光方向の異なるセグメントを細かくする必要がない。そして、光学スケール11は、一様な偏光軸を有しているため、偏光軸の異なる領域の境界がなく、この境界による反射光72の偏光状態の乱れを抑制できる。実施形態1の光学式エンコーダ2は、誤検出またはノイズを生じさせる可能性を低減することができる。
図5は、実施形態1に係る光学センサユニットの一例を説明するための説明図である。図6−1は、実施形態1に係る角度センサの偏光層付第1受光部の一例を説明するための説明図である。図6−2は、実施形態1に係る角度センサの偏光層付第2受光部の一例を説明するための説明図である。図2及び図5に示すように、光学センサユニット31は、ユニット基板30の表面上に、光源41と、偏光層付第1受光部PP(−)と、偏光層付第2受光部PP(+)と、光強度受光部PDx(+)と、光強度受光部PDx(−)と、光強度受光部PDy(+)と、光強度受光部PDy(−)と、を含む。
図2に示すように、光源41から照射される光源光71は、上述した光学スケール11で反射され、反射光72として、偏光層付第1受光部PP(−)、偏光層付第2受光部PP(+)、光強度受光部PDx(+)、光強度受光部PDx(−)、光強度受光部PDy(+)、光強度受光部PDy(−)に入射する。
また、図5に示すように、光学センサユニット31は、光強度受光部PDx(+)、光強度受光部PDx(−)、光強度受光部PDy(+)及び光強度受光部PDy(−)のそれぞれが光源41の周囲に配置されている。光源41の発光中心をOとした場合、光強度受光部PDx(+)、光強度受光部PDx(−)、光強度受光部PDy(+)及び光強度受光部PDy(−)のそれぞれから発光中心Oまでの距離を等しくすることが好ましい。この構造により、演算手段であるCPU4cの演算負荷を軽減することができる。
また、光強度受光部PDx(+)が発光中心Oを介して光強度受光部PDx(−)と点対称の位置に配置され、光強度受光部PDy(+)が発光中心Oを介して光強度受光部PDy(−)と点対称の位置に配置されている。実施形態1では、光強度受光部PDx(+)、発光中心O及び光強度受光部PDx(−)を通過するユニット基板30の表面上の仮想軸をX軸とし、光強度受光部PDy(+)、発光中心O及び光強度受光部PDy(−)を通過するユニット基板30の表面上の仮想軸をY軸とする。図5において、X軸はY軸とユニット基板30の表面上で直交している。
図5に示すように、光学センサユニット31は、偏光層付第1受光部PP(−)と、偏光層付第2受光部PP(+)とのそれぞれが光源41の周囲に配置されている。光源41の発光中心をOとした場合、偏光層付第1受光部PP(−)と、偏光層付第2受光部PP(+)とのそれぞれから発光中心Oまでの距離を等しくすることが好ましい。この構造により、演算手段であるCPU4cの演算負荷を軽減することができる。
図6−1に示すように、偏光層付第1受光部PP(−)は、シリコン基板34と、受光部37と、第1偏光層39aとを含む。また、図6−2に示すように、偏光層付第2受光部PP(+)は、シリコン基板34と、受光部37と、第2偏光層39bとを含む。例えば、シリコン基板34はn型半導体であり、受光部37はp型半導体であり、シリコン基板34と受光部37とによりPN接合で形成されたフォトダイオードを構成することができる。第1偏光層39a及び第2偏光層39bは、光誘起の偏光層、または金属細線を平行に配列したワイヤーグリッドパターン等で形成することができる。第1偏光層39aは、図2に示す光学スケール11に光源光71が反射して入射する入射光を第1の偏光方向に分離し、第2偏光層39bは、上記入射光を第2の偏光方向に分離する。これら第1の分離光の偏光軸と、第2の分離光の偏光軸とは、相対的に90°異なることが好ましい。この構成により、演算装置3のCPU4cは、偏光角度の演算を容易とすることができる。
図7−1、図7−2及び図7−3は、実施形態1に係る角度センサの偏光成分の分離を説明するための説明図である。図7−1のように、光学スケール11の信号トラックT1により偏光方向Pmに偏光された入射光が入射する。図7−1において、センシング範囲には、異物D1及び異物D2がある。入射光の偏光方向Pmは、上述した第1の偏光方向の成分の光強度PI(−)と、第2の偏光方向の成分の光強度PI(+)と、で表現することができる。上述したように、第1の偏光方向と、第2の偏光方向とは、90°異なる方向であることが好ましく、基準方向に対して例えば+45°成分と−45°成分のようになっている。図7−1、図7−2及び図7−3において、ワイヤーグリッドの軸方向は、紙面に対して平行に示されているが、紙面に対して同一の角度で傾斜していても傾斜角度が小さい場合には偏光分離の機能に影響がない。すなわち、光学スケール11は、回転軸に対して傾斜していても、偏光分離素子として機能する。
偏光層付第1受光部PP(−)は、図7−2に示すように、入射光を第1の偏光方向に分離する第1偏光層39aを介して検知するため、第1の偏光方向の成分の光強度PI(−)を検知する。偏光層付第2受光部PP(+)は、図7−3に示すように、入射光を第2の偏光方向に分離する第2偏光層39bを介して検知するため、第2の偏光方向の成分の光強度PI(+)を検知する。
図8は、実施形態1に係る光学スケールの回転角度と角度センサの偏光成分の変化を説明するための説明図である。上述した図3に示す演算装置3のCPU4cは、光学センサユニット31の検出信号である、第1の偏光方向の成分(第1分離光)の光強度PI(−)と、第2の偏光方向の成分(第2分離光)の光強度PI(+)とを取得する。光学スケール11の回転角度と光学スケールの偏光軸の回転角度は、光学スケール11が傾斜していても傾斜角が小さい場合、値は等しく、この値を本実施形態ではβで表す。すなわち、βは、光学スケール11の回転角度を示すとともに、光学スケールの偏光軸の回転角度を示す。そして、演算装置3は、下記式(1)に従って、第1の偏光方向の成分の光強度PI(−)及び第2の偏光方向の成分の光強度PI(+)から、光学スケール11の回転に依存した差動信号Vを演算する。
このように、演算装置3は、第1の偏光方向の成分の光強度PI(−)及び第2の偏光方向の成分の光強度PI(+)に基づいて、光強度の和[PI(+)+PI(−)]と、光強度の差[PI(+)−PI(−)]を演算し、光強度の差[PI(+)−PI(−)]を光強度の和[PI(+)+PI(−)]で除した差動信号Vを演算する。式(1)により演算した差動信号Vには、光源光71の光強度の影響を受けるパラメータが含まれておらず、光学式エンコーダ2は、光学センサユニット31と光学スケール11との距離、光源41の光強度のばらつき等の影響を低減することができる。そして、式(1)に示すように、差動信号Vは、光学スケール11の回転角度となる光学スケール11の偏光軸の回転角度(以下、偏光角という)βの関数となる。
また、光学式エンコーダ2は、光学スケール11が傾斜しているため、光学センサユニット31と光学スケール11との距離が光学スケール11の回転に伴って変化するが、光学センサユニット31と光学スケール11との距離が差動信号Vに及ぼす影響はない。
また、光学式エンコーダ2は、図7−1に示すように、異物D1及び異物D2により、入射光の光強度が減じられても、光学式エンコーダ2は、異物D1及び異物D2に対して影響を低減した状態で、上述した偏光方向Pmの変化を差動信号Vで検出することができる。
演算手段であるCPU4cは、第1の偏光方向の成分(第1分離光)の光強度PI(−)と、第2の偏光方向の成分(第2分離光)の光強度(+)と、から光学スケール11と角度センサとの相対的な移動量を示す差動信号Vを演算できるが、差動信号Vが偏光軸の回転角度に応じて、光学スケール11の1回転に対して2回の増減を繰り返す。このため、演算手段であるCPU4cは、光学スケール11の回転角度が、0°以上180°未満の領域、または180°以上360°未満の領域のうち、いずれかの領域であるかを特定した上で、絶対角度を演算する必要がある。
図9は、実施形態1に係る光学式エンコーダの演算装置が演算するフローチャートである。上述したように、演算装置3のCPU4cは、偏光角の演算を行う(ステップS1)。次に、CPU4cは、光学スケール11の面法線の演算を行う(ステップS2)。
図10−1、図10−2及び図10−3は、実施形態1に係る光学スケールの面法線を説明するための説明図である。図10−1には、上述したX軸と、Y軸と、光源41の発光中心Oを通過し、X軸及びY軸に直交し、回転中心Zrと平行なZ軸が示されている。そして、光源41の発光中心Oを(0,0,0)、光強度受光部PDx(+)の座標を(a,0,0)、光強度受光部PDx(−)の座標を(−a,0,0)、光強度受光部PDy(+)の座標を(0,a,0)、光強度受光部PDy(−)の座標を(0,−a,0)、Z軸と光学スケール11の平面Σが交差する座標をO’(0,0,D)とした場合、CPU4cは、光源41と光学スケール11との最短位置Pの面法線ベクトル(面法線方向)ηを演算する。傾斜角度(天頂角)θは、光源41の光源光が光学スケール11に到達する最短位置Pと光源41とを結ぶ仮想線と、上述した光強度受光部PDx(+)、光強度受光部PDx(−)、光強度受光部PDy(+)、光強度受光部PDy(−)を含む基準面(X−Y平面)に垂直な軸のうち光源41の発光中心Oを含む垂直軸(Z軸)とのなす角である。パラメータ方位角(方位角)は、上述した基準面内の光源41の発光中心Oを含み、任意に基準線として定めた方位角基準線(例えば、X軸)と、基準面へ射影した最短位置Pと光源41の発光中心Oとを結ぶ射影仮想線とのなす角である。距離Dは、垂直軸(Z軸)と光学スケール11との交点を座標O’の基準交点として、基準面(X−Y平面)から座標O’の基準交点までの距離である。光学スケール11の傾斜角度(天頂角)θが微小、かつa<<Dの場合、面法線ベクトルηは、下記式(2)で求めることができる。ここで、式(2)では、パラメータ方位角をφ、傾斜角度(天頂角)θ、光源41から光学スケール11の回転軸と平行な方向(回転中心Zrと平行な方向)に延ばした仮想線(Z軸)が光学スケール11に到達する位置までの距離をDとする。ここで、パラメータ方位角φは、上述した偏光角度βと等しい。
図10−2は、Z軸をX軸回りに回転させた座標軸をξx軸として前述した最短位置PとX軸を含むX−ξx平面の断面を示している。図10−2では、X軸と光学スケール11との交点O’’xから発光中心Oまでの距離がη3D/η1である。また、図10−2では、前述した最短位置Pから発光中心Oまでの距離がη3Dである。そして、図10−2では、ξx軸と光学スケール11との交点から発光中心Oまでの距離がdxである。
図10−3は、Z軸をY軸回りに回転させた座標軸をξy軸として、前述した最短位置PとX軸を含むY−ξy平面の断面を示している。図10−3では、Y軸と光学スケール11との交点O’’yから発光中心Oまでの距離がη3D/η2である。また、図10−3では、前述した最短位置Pから発光中心Oまでの距離がη3Dである。そして、図10−3では、ξy軸と光学スケール11との交点から発光中心Oまでの距離がdyである。
図10−2及び図10−3から分かるように、距離Dは、下記式(3)で求めることができる。CPU4cは、光源41から光学スケール11の回転軸と平行な方向(回転中心Zrと平行な方向)に延ばした仮想線が光学スケール11に到達する位置までの距離(光学スケール11の移動距離)Dの演算を行うことができる。
以上説明した前提条件の下で、CPU4cは、図10−2及び図10−3に示す、光学スケール11の傾斜角αx、光学スケール11の傾斜角αyを演算することで、面法線ベクトルηを演算することができる。
図11は、ステップS2の詳細なフローチャートである。図11に示すように、光強度受光部PDx(+)、光強度受光部PDx(−)、光強度受光部PDy(+)、光強度受光部PDy(−)は、それぞれ光強度Ix +、Ix −、Iy +、Iy −を検出する(ステップS21)。
次に、ステップS22において、CPU4cは、光強度Ix +、Ix −、Iy +、Iy −から光強度の平均値Iavを下記式(4)により演算する。
次に、ステップS22において、CPU4cは、光強度Ix +、Ix −から光強度受光部PDx(+)、光強度受光部PDx(−)の差動電圧Vxを下記式(5)により演算する。
次に、ステップS22において、CPU4cは、光強度Iy +、Iy −から光強度受光部PDy(+)、光強度受光部PDy(−)の差動電圧Vyを下記式(6)により演算する。
CPU4cは、得られた差動電圧Vx及び差動電圧Vyを使って、式(7)のQ値を演算する。
CPU4cは、光強度の平均値Iav、差動電圧Vx、差動電圧Vy及びQ値を演算した後、図11に示すステップS23に処理を進める。
次に、ステップS23において、CPU4cは、光強度の平均値Iav、差動電圧Vx、差動電圧Vy及びQ値からパラメータ方位角φを下記式(8)により演算する。
次に、ステップS23において、CPU4cは、光強度の平均値Iav、差動電圧Vx、差動電圧Vy及びQ値から傾斜角度(天頂角)θを下記式(9)により演算する。
次に、ステップS23において、CPU4cは、光強度の平均値Iav、差動電圧Vx、差動電圧Vy及びQ値から距離Dを下記式(10)により演算する。例えば、光学スケール11の回転のぶれがない場合、パラメータ方位角φの値により、ステップS3以降の処理を進めることができる。光学スケール11の回転のぶれがある場合、パラメータ方位角φの値と、傾斜角度(天頂角)θ又は距離Dの値とにより、ステップS3以降の処理を進めることができる。
CPU4cは、パラメータ方位角φ、傾斜角度(天頂角)θ又は距離Dのいずれか1つ以上を演算した後(ステップS24)、図9に示すステップS2の処理を終了し、ステップS3に処理を進める。
CPU4cは、パラメータ方位角φ、傾斜角度(天頂角)θ又は距離Dのいずれか1つ以上の値に基づいて、光学スケール11の回転領域を演算することができる。パラメータ方位角φは、基準位置からの光学スケール11のO’(0,0,D)が回転する偏光角度βと同じである。CPU4cは、パラメータ方位角φが光学スケール11の回転角度の0°以上180°未満の領域に存在すると演算する場合(ステップS3、Yes)、CPU4cは、上述した偏光角度βを絶対角度として演算する(ステップS41)。例えば、パラメータ方位角φ、傾斜角度(天頂角)θ又は距離Dのいずれか1つ以上の値を記憶手段である内部記憶装置4のデータベースに照会し、光学スケール11の回転領域が0°以上180°未満の領域であることを導くことができる。
CPU4cは、パラメータ方位角φ、傾斜角度(天頂角)θ又は距離Dのいずれか1つ以上の値に基づいて、光学スケール11の回転領域を演算することができる。パラメータ方位角φは、基準位置からの光学スケール11のO’(0,0,D)が回転する偏光角度βと同じである。CPU4cは、パラメータ方位角φが0°以上180°未満の領域ではない(パラメータ方位角φが光学スケール11の回転角度の180°以上360°未満の領域にある)と演算する場合(ステップS3、No)、CPU4cは、上述した偏光角度β+180°を絶対角度として演算する(ステップS42)。例えば、CPU4cは、パラメータ方位角φ、傾斜角度(天頂角)θ又は距離Dのいずれか1つ以上の値を記憶手段である内部記憶装置4のデータベースに照会し、のデータベースに照会し、光学スケール11の回転領域が180°以上360°未満の領域にあることを導くことができる。
以上説明したように、実施形態1に係る光学式エンコーダ2は、光源41と、光学スケール11と、偏光層付第1受光部PP(−)と偏光層付第2受光部PP(+)とを含む角度センサと、光強度受光部PDx(+)、光強度受光部PDx(−)、光強度受光部PDy(+)、光強度受光部PDy(−)を含む位置センサと、演算手段である演算装置3のCPU4cとを含む。
光学スケール11は、面内における偏光子の偏光方向が一方向を向いており、かつ面法線が回転により変化するように傾斜している。演算装置3のCPU4cは、前述した位置センサの光強度受光部PDx(+)、光強度受光部PDx(−)、光強度受光部PDy(+)、光強度受光部PDy(−)が検出する光強度Ix +、Ix −、Iy +、Iy −から、光学スケール11における前述した光学スケール11の回転領域を演算する。そして、演算装置3のCPU4cは、光学スケール11の回転領域に基づいて、前述した角度センサで検出する第1分離光の光強度PI(−)と、第2分離光の光強度PI(+)と、から光学スケール11と光学センサユニット31の角度センサとの相対的な移動量を演算して、光学スケール11の絶対角度を演算することができる。
この構成により、角度センサは、ロータ10の回転角度を、反射光72を偏光分離した偏光状態で検出する。このため、入射光の光強度を直接検出する場合に比較して、光学式エンコーダ2は、異物D1、D2等による検出光量の変動の影響を低減することができる。これにより、異物の許容範囲が広くなるため使用環境を広げることができる。
(実施形態2)
図12及び図13は、実施形態2に係る光学センサユニットの一例を説明するための説明図である。なお、上述した実施形態1と同じ部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。実施形態2に係る光学センサユニット31は、図12に示す位置センサ31Aと、図13に示す角度センサ31Bとを含む。
位置センサ31Aは、上述した光学センサユニット31の角度センサに相当する偏光層付第1受光部PP(−)と、偏光層付第2受光部PP(+)とがユニット基板30の表面上になく、ユニット基板30とは別のユニット基板30aの表面上に配置される。また、角度センサ31Bは、ユニット基板30とは別のユニット基板30bの表面上に配置される。この構造により、角度センサ31Bを位置センサ31Aと異なる位置に配置することができる。
位置センサ31Aは、上述した光学センサユニット31と同様に、ユニット基板30aの表面上に、光源41と、光強度受光部PDx(+)と、光強度受光部PDx(−)と、光強度受光部PDy(+)と、光強度受光部PDy(−)と、を含む。位置センサ31Aは、光強度受光部PDx(+)、光強度受光部PDx(−)、光強度受光部PDy(+)及び光強度受光部PDy(−)のそれぞれが光源41の周囲に配置されている。光源41の発光中心をOとした場合、光強度受光部PDx(+)、光強度受光部PDx(−)、光強度受光部PDy(+)及び光強度受光部PDy(−)のそれぞれから発光中心Oまでの距離が等しく配置されている。角度センサ31Bは、上述した光学センサユニット31と同様に、ユニット基板30bの表面上に、偏光層付第1受光部PP(−)と、偏光層付第2受光部PP(+)と、を含む。
図14は、実施形態2に係るエンコーダユニットの構成図である。図15は、実施形態2に係る光学スケール及び光学センサユニットの配置の一例を説明する説明図である。図14に示すように、光源41から照射される光源光71は、上述した光学スケール11で反射され、反射光72として、光強度受光部PDx(+)、光強度受光部PDx(−)、光強度受光部PDy(+)、光強度受光部PDy(−)に入射する。そして、図15に示すように、角度センサ31Bは、光学スケール11を介して、光源41と対向する位置に配置されている。この構成により、光源41から照射される光源光71は、上述した光学スケール11を透過し、透過光73として、偏光層付第1受光部PP(−)、偏光層付第2受光部PP(+)に入射する。
偏光層付第1受光部PP(−)及び偏光層付第2受光部PP(+)は、実施形態1と同様に、第1偏光層39a及び第2偏光層39bを含む。そして、第1偏光層39aは、図15に示す光学スケール11に光源光71が透過して入射する入射光を第1の偏光方向に分離する第1偏光層であり、第2偏光層39bは、上記入射光を第2の偏光方向に分離する。これら第1の分離光の偏光軸と、第2の分離光の偏光軸とは、相対的に90°異なることが好ましい。この構成により、演算装置3のCPU4cは、偏光角度βの演算を容易とすることができる。
上述した角度センサ31Bは、ロータ10の回転角度を、透過光73を偏光分離した偏光状態で検出する。このため、入射光の光強度を直接検出する場合と比較して、光学式エンコーダ2は、異物等による検出光量の変動の影響を低減することができる。これにより、異物の許容範囲が広くなるため使用環境を広げることができる。以上説明したように、光学式エンコーダ2は、入射光が第1分離光と第2分離光とに偏光分離される。その結果、CPU4cは、第1の偏光方向と第2の偏光方向とに分離された各偏光成分の光強度から、透過光73の偏光角度の変化による、光学スケール11と角度センサ31Bとの相対的な移動量を演算することができる。
(実施形態3)
図16は、実施形態3に係る光学センサユニットの一例を説明するための説明図である。図17は、実施形態3に係る光学センサユニットの光強度受光部の配置例を説明するための説明図である。図18は、実施形態3に係る光学スケールの面法線を説明するための説明図である。実施形態3に係る光学センサユニット31Cは、実施形態1に係る光学センサユニット31よりも1つ光強度受光部が少ない。なお、上述した実施形態1と同じ部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図16に示すように、光学センサユニット31Cは、光強度受光部PD1、光強度受光部PD2及び光強度受光部PD3のそれぞれが光源41の周囲に配置されている。光源41の発光中心をOとした場合、光強度受光部PD1、光強度受光部PD2及び光強度受光部PD3のそれぞれから発光中心Oまでの距離を等しくすることが好ましい。この構造により、演算手段であるCPU4cの演算負荷を軽減することができる。実施形態3において、光強度受光部PD1、光強度受光部PD2及び光強度受光部PD3のいずれか1つの位置をakとし、akに平行な軸をk軸とする。
図18は、Z軸をK軸回りに回転させた座標軸をξk軸として前述した最短位置Pとk軸を含むk−ξk平面の断面を示している。図18では、k軸と光学スケール11との交点O’’kから発光中心Oまでの距離がη3D/ηkである。また、図18では、前述した最短位置Pから発光中心Oまでの距離がη3Dである。そして、図18では、ξk軸と光学スケール11との交点から発光中心Oまでの距離がdkである。
以上説明した前提条件の下で、CPU4cは、図17に示す発光中心Oから光強度受光部PD1、光強度受光部PD2及び光強度受光部PD3の各方向において、傾斜角度αk(kは3以上)を求めることができれば、最短位置Pの面法線ベクトル(面法線方向)ηを演算することができる。
図19は、実施形態3に係るステップS2の詳細なフローチャートである。CPU4cは、先ず図9に示すステップS1の処理を行った後、ステップS2の処理を開始する。そして、図19に示すように、光強度受光部PD1、光強度受光部PD2及び光強度受光部PD3は、それぞれ光強度I1、I2、I3を検出する(ステップS201)。
次に、ステップS202において、CPU4cは、光強度I1、I2、I3から光強度の平均値Iavを下記式(11)により演算する。
次に、ステップS202において、CPU4cは、光強度I1、I2、I3から光強度受光部PD1、光強度受光部PD2及び光強度受光部PD3におけるX軸成分の差動電圧Vxを下記式(12)により演算する。
次に、ステップS202において、CPU4cは、光強度I1、I2、I3から光強度受光部PD1、光強度受光部PD2及び光強度受光部PD3におけるY軸成分の差動電圧Vyを下記式(13)により演算する。
CPU4cは、得られた差動電圧Vx及び差動電圧Vyを使って、式(14)のQ値を演算する。
CPU4cは、光強度の平均値Iav、差動電圧Vx、差動電圧Vy及びQ値を演算した後(ステップS202)、図19に示すステップS203に処理を進める。
次に、ステップS203において、CPU4cは、光強度の平均値Iav、差動電圧Vx、差動電圧Vy及びQ値からパラメータ方位角φを下記式(15)により演算する。
次に、ステップS203において、CPU4cは、光強度の平均値Iav、差動電圧Vx、差動電圧Vy及びQ値から傾斜角度(天頂角)θを下記式(16)により演算する。
次に、ステップS203において、CPU4cは、光強度の平均値Iav、差動電圧Vx、差動電圧Vy及びQ値から距離Dを下記式(17)により演算する。
CPU4cは、パラメータ方位角φ、傾斜角度(天頂角)θ又は距離Dのいずれか1つ以上を演算した後(ステップS204)、図9に示すステップS2の処理を終了し、ステップS3に処理を進める。
CPU4cは、パラメータ方位角φ、傾斜角度(天頂角)θ又は距離Dのいずれか1つ以上の値に基づいて、光学スケール11の回転領域を演算することができる。パラメータ方位角φは、基準位置からの光学スケール11のO’(0,0,D)が回転する偏光角度βと同じである。CPU4cは、パラメータ方位角φが光学スケール11の回転角度の0°以上180°未満の領域にあると演算する場合(ステップS3、Yes)、CPU4cは、上述した偏光角度βを絶対角度として演算する(ステップS41)。
CPU4cは、パラメータ方位角φ、傾斜角度(天頂角)θ又は距離Dのいずれか1つ以上の値に基づいて、光学スケール11の回転領域を演算することができる。パラメータ方位角φは、基準位置からの光学スケール11のO’(0,0,D)が回転する偏光角度βと同じである。CPU4cは、パラメータ方位角φが光学スケール11の回転角度の0°以上180°未満の領域にない(パラメータ方位角φが光学スケール11の回転角度の180°以上360°未満の領域にある)と演算する場合(ステップS3、No)、CPU4cは、上述した偏光角度β+180°を絶対角度として演算する(ステップS42)。
以上説明したように、実施形態3に係る光学式エンコーダ2は、光源41と、光学スケール11と、偏光層付第1受光部PP(−)と偏光層付第2受光部PP(+)とを含む角度センサと、光強度受光部PD1、光強度受光部PD2、光強度受光部PD3を含む位置センサと、演算手段である演算装置3のCPU4cとを含む。光学スケール11は、面内における偏光子の偏光方向が一方向であって、かつ面法線が回転により変化するように傾斜している。演算装置3のCPU4cは、前述した位置センサの光強度受光部PD1、光強度受光部PD2、光強度受光部PD3が検出する光強度I1、I2、I3から、光学スケール11の回転領域を演算する。そして、演算装置3のCPU4cは、光学スケール11の回転領域に基づいて、前述した角度センサで検出する第1分離光の光強度PI(−)と、第2分離光の光強度PI(+)と、から光学スケール11と光学センサユニット31Cの角度センサとの相対的な移動量を演算して、光学スケール11の絶対角度を演算することができる。
(実施形態4)
図20は、実施形態4に係る角度センサを説明するための説明図である。図21−1は、実施形態4に係る偏光層付第1受光部及び偏光層付第2受光部を説明するための説明図である。なお、上述した実施形態1と同じ部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図20に示す角度センサユニット31BBは、角度センサ35がそれぞれ、図21−1に示す偏光層付第1受光部36Aと、偏光層付第2受光部36Bとを含む。偏光層付第1受光部36Aは、電極基部36KAと、第1受光部36aと、を含み、第1の偏光方向の光強度を検出することができる。第1受光部36aは、上述した入射光を第1の偏光方向に分離する第1偏光層39aを備えており、この第1偏光層39aで分離した第1分離光を受光する。
偏光層付第2受光部36Bは、電極基部36KBと、第2受光部36bと、を含み、第2の偏光方向の光強度を検出することができる。第2受光部36bは、上述した入射光を第2の偏光方向に分離する第2偏光層39bを備えており、この第2偏光層39bで分離した第2分離光を受光する。実施形態4に係る角度センサユニット31BBは、第1の分離光の偏光軸が−45°であり、第2の分離光の偏光軸が+45°である。このように、第1の分離光の偏光軸と、第2の分離光の偏光軸とは、相対的に90°異なることが好ましい。そして、図21−1に示すように、第1受光部36aと第2受光部36bとは、互いに一定距離を隔てて噛み合う櫛歯状に形成されている。なお、電極基部36KA、電極基部36KBは、Au等の導電体で構成され、第1受光部36a及び第2受光部36bにそれぞれ通電可能としている。電極基部36KA及び電極基部36KBが遮光体である場合、ノイズをより抑制することができる。
(実施形態4の変形例1)
図21−2は、実施形態4に係る偏光層付第1受光部及び偏光層付第2受光部の変形例1を説明するための説明図である。角度センサ35は、偏光層付第1受光部36Aと、偏光層付第2受光部36Bとを含む。偏光層付第1受光部36Aは、電極基部36KAと、電極基部36KAと接続するセンサ基部36Kaと、第1受光部36aと、を含み、第1の偏光方向の光強度を検出することができる。第1受光部36aは、上述した入射光を第1の偏光方向に分離する第1偏光層39aを備えており、この第1偏光層39aで分離した第1分離光を受光する。
偏光層付第2受光部36Bは、電極基部36KBと、電極基部36KBと接続するセンサ基部36Kbと、第2受光部36bと、を含み、第2の偏光方向の光強度を検出することができる。第2受光部36bは、上述した入射光を第2の偏光方向に分離する第2偏光層39bを備えており、この第2偏光層39bで分離した第2分離光を受光する。実施形態4の変形例1に係る角度センサユニット31BBは、第1の分離光の偏光軸が−45°であり、第2の分離光の偏光軸が+45°である。このように、第1の分離光の偏光軸と、第2の分離光の偏光軸とは、相対的に90°異なることが好ましい。そして、図21−2に示すように、第1受光部36aと第2受光部36bとは、互いに一定距離を隔てて噛み合う櫛歯状に形成されている。なお、電極基部36KA、電極基部36KBは、Au等の導電体で構成され、第1受光部36a及び第2受光部36bにそれぞれ通電可能としている。
図22−1、図22−2及び図22−3は、実施形態4に係る角度センサの偏光成分の分離を説明するための説明図である。図22−1のように、角度センサ35のセンシング範囲の信号トラックT1では、光源光71を光学スケール11により偏光方向Pmに偏光された入射光が入射する。図22−1において、センシング範囲には、異物D1及び異物D2がある。入射光の偏光方向Pmは、上述した第1の偏光方向の成分の光強度PI(−)と、第2の偏光方向の成分の光強度PI(+)と、で表現することができる。第1の偏光方向と、第2の偏光方向とは、90°異なる方向であることが好ましく、第1の偏光方向と、第2の偏光方向とは、基準方向に対して例えば−45°成分と+45°成分とのようになっている。
図22−2に示すように、偏光層付第1受光部36Aは、入射光を第1の偏光方向に分離する第1偏光層39aを介して検知するため、第1の偏光方向の成分の光強度PI(−)を検知する。図22−3に示すように、偏光層付第2受光部36Bは、入射光を第2の偏光方向に分離する第2偏光層39bを介して検知するため、第2の偏光方向の成分の光強度PI(+)を検知する。
上述した演算装置3は、角度センサ35の検出信号である、第1の偏光方向の成分の光強度PI(−)と、第2の偏光方向の成分の光強度PI(+)とを取得する。そして、演算装置3は、上述した式(1)に従って、第1の偏光方向の成分の光強度PI(−)及び第2の偏光方向の成分の光強度PI(+)から差動信号Vを演算する。
図22−4は、実施形態4に係る角度センサの検出光量の変動低減を説明するための説明図である。図22−4に示すように、異物D3が、センシング範囲の一部を遮蔽したとしても、第1受光部36aと第2受光部36bとは、同程度に遮蔽される確率が高まり、どちらか一方が極端に信号強度を下げてしまう可能性を低減することができる。このため、異物D3により入射光の光強度が減じられても、光学式エンコーダ2は、異物D3に対して影響を低減した状態で、偏光方向Pmの変化を差動信号Vで検出することができる。
(光学センサの製造方法)
図23は、実施形態4に係る光学センサの製造工程を説明するためのフローチャートである。図24−1から図24−6は、実施形態4に係る光学センサの製造工程を説明するための説明図である。なお、図24−1から図24−6は、図21−1のG−G断面の製造過程を説明するための部分断面図である。図21−1、図23、図24−1から図24−6を参照して、光学センサの製造工程を説明する。
図23に示すように、まず、製造装置は、図24−1に示すn型のシリコン基板34を準備する(ステップS11)。次に、製造装置は、シリコン基板34に対して、B又はIn等の元素をドープするドープ工程を行う(ステップS12)。図24−2に示すように、シリコン基板34には、P型半導体の受光部37が形成される。
次に、図23に示すように、製造装置は、図21−1に示すような櫛歯状のパターニングとなるように、シリコン基板34に対してフォトレジストでマスクし、エッチングを行うエッチング工程を行う(ステップS13)。エッチングは、物理的エッチングであっても、化学的エッチングであってもよい。または、ステップS13の製造装置は、図21−1に示すような櫛歯状のパターニングとなるように、シリコン基板34に対して形成したレジストパターンでマスクし、エッチングを行うエッチング工程を行ってもよい。図24−3に示すように、シリコン基板34の表面には、エッチングにより凹部38aが形成される。これにより、図21−1に示す偏光層付第1受光部36Aと、偏光層付第2受光部36Bとは分離される。
次に、図23に示すように、製造装置は、スパッタリング処理により、凹部38aをアルミナ等の絶縁体で覆う絶縁工程を行う(ステップS14)。これにより、図24−4に示すように、図24−3に示すシリコン基板34の凹部38aが絶縁体38bで埋められる。絶縁工程において、受光部37が露出するように、表面を平坦化することがより好ましい。
次に、図23に示すように、製造装置は、図21−1に示す第1受光部36aとなる位置に第1偏光層39aを形成する第1の偏光層形成工程を行う(ステップS15)。第1偏光層39aは、光誘起の偏光層、または金属細線を平行に配列したワイヤーグリッドパターン等で形成することができる。これにより、図24−5に示すように、一つおきの受光部37上に第1偏光層39aが形成される。
次に、図23に示すように、製造装置は、図21−1に示す第2受光部36bとなる位置に第2偏光層39bを形成する第2の偏光層形成工程を行う(ステップS16)。第2偏光層39bは、光誘起の偏光層、または金属細線を平行に配列したワイヤーグリッドパターン等で形成することができる。これにより、図24−6に示すように、一つおきの受光部37上に第2偏光層39bが形成される。そして、図21−1に示す電極基部36KA、電極基部36KBが、Au等の導電体で形成され、第1受光部36a及び第2受光部36bにそれぞれ通電可能となるようにする。
図24−6に示す、角度センサ35は、第1受光部36aと第2受光部36bとは、互いに一定距離を隔てて噛み合う櫛歯状に形成されている。そして、第1受光部36aは、入射光を第1の偏光方向に分離する第1偏光層39aを備えており、この第1偏光層39aで分離した第1分離光をPN接合で形成されたフォトダイオードで受光することができる。また、第2受光部36bは、上述した入射光を第2の偏光方向に分離する第2偏光層39bを備えており、この第2偏光層39bで分離した第2分離光をPN接合で形成されたフォトダイオードで受光することができる。なお、受光は、PN接合で形成されたフォトダイオードに限られず、フォトトランジスタ等を用いてもよい。
以上説明した角度センサ35は、入射光を第1分離光と第2分離光とに偏光分離する。その結果、演算装置3は、第1の偏光方向と第2の偏光方向とに分離された各偏光成分の信号強度から、反射光72又は透過光73の偏光角度を演算することができる。角度センサユニット31BBは、角度センサ35を複数備えて冗長化し、CPU4cがそれぞれの角度センサ35に基づく偏光角度を演算し、平均値をとることで、異物D1、D2の影響を低減することができる。また、偏光層付第1受光部36Aと偏光層付第2受光部36Bとは、異物D3により同程度に遮蔽されてどちらか一方が極端に信号強度を下げてしまう可能性を低減することができる。このため、異物により入射光の光強度が減じられても、角度センサ35は、異物D3に対して影響を低減した状態で、透過光73又は反射光72の偏光方向の変化を検出することができる。また、光源41に分布が存在する場合でも偏光層付第1受光部36Aと偏光層付第2受光部36Bとが櫛歯状であれば、光源41の分布に対して影響を低減した状態で、偏光方向の変化を検出することができる。また、第1の偏光方向と第2の偏光方向とは、相対的に90°異なる方向であることがより好ましい。これにより、演算装置3は、偏光角度βの演算を容易とすることができる。
(実施形態4の変形例2)
図25−1は、実施形態4に係る偏光層付第1受光部及び偏光層付第2受光部の変形例2を説明するための説明図である。なお、上述した実施形態2と同じ部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
実施形態4の変形例2に係る角度センサユニット31BBは、図20に示す角度センサユニット31BBの角度センサ35の位置に、角度センサ135がそれぞれ配置されている。角度センサ135は、図25−1に示す偏光層付第1受光部36Aと、偏光層付第2受光部36Bとを含む。偏光層付第1受光部36Aは、電極基部36KAと、第1受光部136aと、を含み、第1の偏光方向の光強度を検出することができる。第1受光部136aは、上述した入射光を第1の偏光方向に分離する第1偏光層39aを備えており、この第1偏光層39aで分離した第1分離光を受光する。
偏光層付第2受光部36Bは、電極基部36KBと、第2受光部136bと、を含み、第2の偏光方向の光強度を検出することができる。第2受光部136bは、上述した入射光を第2の偏光方向に分離する第2偏光層39bを備えており、この第2偏光層39bで分離した第2分離光を受光する。実施形態4の変形例2に係る角度センサユニット31BBは、第1の分離光の偏光軸が0°であり、第2の分離光の偏光軸が+90°である。このように、第1の分離光の偏光軸と、第2の分離光の偏光軸とは、相対的に90°異なることが好ましい。そして、図25−1に示すように、第1受光部136aと第2受光部136bとは、互いに一定距離を隔てて噛み合う櫛歯状に形成されている。なお、電極基部36KA、電極基部36KBは、Au等の導電体で構成され、第1受光部136a及び第2受光部136bにそれぞれ通電可能としている。電極基部36KA及び電極基部36KBが遮光体である場合、ノイズをより抑制することができる。
(実施形態4の変形例3)
図25−2は、実施形態4に係る偏光層付第1受光部及び偏光層付第2受光部の変形例3を説明するための説明図である。角度センサ135は、偏光層付第1受光部36Aと、偏光層付第2受光部36Bとを含む。偏光層付第1受光部36Aは、電極基部36KAと、電極基部36KAと接続するセンサ基部136Kaと、第1受光部136aと、を含み、第1の偏光方向の光強度を検出することができる。第1受光部136aは、上述した入射光を第1の偏光方向に分離する第1偏光層39aを備えており、この第1偏光層39aで分離した第1分離光を受光する。
偏光層付第2受光部36Bは、電極基部36KBと、電極基部36KBと接続するセンサ基部136Kbと、第2受光部136bと、を含み、第2の偏光方向の光強度を検出することができる。第2受光部136bは、上述した入射光を第2の偏光方向に分離する第2偏光層39bを備えており、この第2偏光層39bで分離した第2分離光を受光する。実施形態4の変形例3に係る角度センサユニット31BBは、第1の分離光の偏光軸が+90°であり、第2の分離光の偏光軸が0°である。このように、第1の分離光の偏光軸と、第2の分離光の偏光軸とは、相対的に90°異なることが好ましい。そして、図25−2に示すように、第1受光部136aと第2受光部136bとは、互いに一定距離を隔てて噛み合う櫛歯状に形成されている。なお、電極基部36KA、電極基部36KBは、Au等の導電体で構成され、第1受光部136a及び第2受光部136bにそれぞれ通電可能としている。
(実施形態5)
図26は、実施形態5に係る光学センサユニットの一例を説明するための説明図である。なお、上述した実施形態1〜4及びこれらの変形例と同じ部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。図26に示すように、光学センサユニット31Dは、ユニット基板30の表面上に、光源41と、第1角度センサと、第2角度センサと、光強度受光部PDx(+)と、光強度受光部PDx(−)と、光強度受光部PDy(+)と、光強度受光部PDy(−)と、を含む。第1角度センサは、偏光層付第1受光部PP1(−)と、偏光層付第2受光部PP1(+)とを含む。第2角度センサは、偏光層付第1受光部PP2(−)と、偏光層付第2受光部PP2(+)とを含む。
上述した実施形態1と同様に、図2に示す光源41から照射される光源光71は、上述した光学スケール11で反射され、反射光72として、偏光層付第1受光部PP1(−)と、偏光層付第1受光部PP2(−)と、偏光層付第2受光部PP1(+)と、偏光層付第2受光部PP2(+)と、光強度受光部PDx(+)と、光強度受光部PDx(−)と、光強度受光部PDy(+)と、光強度受光部PDy(−)とに入射する。
また、図26に示すように、光学センサユニット31Dは、偏光層付第1受光部PP1(−)と、偏光層付第1受光部PP2(−)と、偏光層付第2受光部PP1(+)と、偏光層付第2受光部PP2(+)とが、それぞれ光源41の周囲に配置されている。光源41の発光中心をOとした場合、偏光層付第1受光部PP1(−)、偏光層付第1受光部PP2(−)、偏光層付第2受光部PP1(+)及び偏光層付第2受光部PP2(+)のそれぞれから発光中心Oまでの距離を等しくすることが好ましい。この構造により、演算手段であるCPU4cの演算負荷を軽減することができる。
また、図26に示すように、偏光層付第1受光部PP1(−)が発光中心Oを介して偏光層付第2受光部PP1(+)と点対称の位置に配置されている。また、偏光層付第1受光部PP2(−)が発光中心Oを介して偏光層付第2受光部PP2(+)と点対称の位置に配置されている。
偏光層付第1受光部PP1(−)及び偏光層付第1受光部PP2(−)は、図6−1に示す偏光層付第1受光部PP(−)と同様に、シリコン基板34と、受光部37と、第1偏光層39aとを含む。また、偏光層付第2受光部PP1(+)及び偏光層付第2受光部PP2(+)は、図6−2に示す偏光層付第2受光部PP(+)と同様に、シリコン基板34と、受光部37と、第2偏光層39bとを含む。偏光層付第1受光部PP1(−)及び偏光層付第1受光部PP2(−)は、第1偏光層39aの偏光軸が異なる。また、偏光層付第2受光部PP1(+)及び偏光層付第2受光部PP2(+)は、第2偏光層39bの偏光軸が異なる。このため、第1角度センサは、偏光層付第1受光部PP1(−)における第1の分離光の偏光軸が0°であり、偏光層付第2受光部PP1(+)における第2の分離光の偏光軸が+90°である。このように、第1角度センサは、第1の分離光の偏光軸と、第2の分離光の偏光軸とが相対的に90°異なることが好ましい。第2角度センサは、偏光層付第1受光部PP2(−)における第1の分離光の偏光軸が−45°であり、偏光層付第2受光部PP2(+)における第2の分離光の偏光軸が+45°である。このように、第2角度センサは、第1の分離光の偏光軸と、第2の分離光の偏光軸とが相対的に90°異なることが好ましい。
また、図26に示すように、光学センサユニット31Dは、光強度受光部PDx(+)、光強度受光部PDx(−)、光強度受光部PDy(+)及び光強度受光部PDy(−)のそれぞれが光源41の周囲に配置されている。光源41の発光中心をOとした場合、光強度受光部PDx(+)、光強度受光部PDx(−)、光強度受光部PDy(+)及び光強度受光部PDy(−)のそれぞれから発光中心Oまでの距離を等しくすることが好ましい。この構造により、演算手段であるCPU4cの演算負荷を軽減することができる。
また、光強度受光部PDx(+)が発光中心Oを介して光強度受光部PDx(−)と点対称の位置に配置され、光強度受光部PDy(+)が発光中心Oを介して光強度受光部PDy(−)と点対称の位置に配置されている。実施形態5では、光強度受光部PDx(+)、発光中心O及び光強度受光部PDx(−)を通過するユニット基板30の表面上の仮想軸をX軸とし、光強度受光部PDy(+)、発光中心O及び光強度受光部PDy(−)を通過するユニット基板30の表面上の仮想軸をY軸とする。図26において、X軸はY軸とユニット基板30の表面上で直交している。
上述した図3に示す演算装置3のCPU4cは、光学センサユニット31Dの検出信号である、第1角度センサにおける、第1の偏光方向の成分の光強度PI(−)と、第1角度センサにおける、第2の偏光方向の成分の光強度PI(+)とを取得する。光学スケール11の回転角度と光学スケール11の偏光軸の回転角度は、光学スケール11が傾斜していても傾斜角が小さい場合、値は等しく、この値を本実施形態ではβで表す。すなわち、βは、光学スケール11の回転角度を示すとともに、光学スケール11の偏光軸の回転角度を示す。そして、演算装置3は、上述した式(1)に従って、第1角度センサにおける第1の偏光方向の成分の光強度PI(−)及び第1角度センサにおける第2の偏光方向の成分の光強度PI(+)から、光学スケール11の回転に依存した差動信号Vを第1差動信号VCOSとして演算する。
同様に、図3に示す演算装置3のCPU4cは、光学センサユニット31Dの検出信号である、第2角度センサにおける、第1の偏光方向の成分の光強度PI(−)と、第2角度センサにおける、第2の偏光方向の成分の光強度PI(+)とを取得する。光学スケール11の回転角度と光学スケール11の偏光軸の回転角度は、光学スケール11が傾斜していても傾斜角が小さい場合、値は等しく、この値を本実施形態ではβで表す。すなわち、βは、光学スケール11の回転角度を示すとともに、光学スケール11の偏光軸の回転角度を示す。そして、演算装置3は、上述した式(1)に従って、第2角度センサにおける第1の偏光方向の成分の光強度PI(−)及び第2角度センサにおける第2の偏光方向の成分の光強度PI(+)から、光学スケール11の回転に依存した差動信号Vを第2差動信号VSINとして演算する。図27は、実施形態5に係る第1角度センサの差動信号と第2角度センサの差動信号との関係を説明する説明図である。図28は、実施形態5に係る回転角度を説明する説明図である。
図27に示す第1差動信号VCOSと、第2差動信号VSINとは、λ=180°、かつλ/4位相がずれた差動信号Vである。図3に示す演算装置3のCPU4cは、図28に示すように、第1差動信号VCOSを横軸に、第2差動信号VSINを縦軸にとったリサージュパターンをとると、リサージュ角度に応じて、回転角度βが演算できる。
(実施形態5の変形例1)
図29は、実施形態5の変形例1に係る光学センサユニットの一例を説明するための説明図である。なお、上述した実施形態1〜4及びこれらの変形例と同じ部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。実施形態5の変形例1に係る光学センサユニット31Eにおいて、第1角度センサは、偏光層付第1受光部PP1(−)と、偏光層付第2受光部PP1(+)とを複数組(例えば2組)含む。第2角度センサは、偏光層付第1受光部PP2(−)と、偏光層付第2受光部PP2(+)とを複数組(例えば2組)含む。この構造により、実施形態5の変形例1に係る光学センサユニット31Eは、冗長性をたかめることができる。このため、実施形態5の変形例1に係る光学センサユニット31Eは、異物による出力低下の可能性が低減される。
光源41の発光中心をOとした場合、偏光層付第1受光部PP1(−)、偏光層付第1受光部PP2(−)、偏光層付第2受光部PP1(+)及び偏光層付第2受光部PP2(+)のそれぞれから発光中心Oまでの距離を等しくすることが好ましい。この構造により、演算手段であるCPU4cの演算負荷を軽減することができる。また、図29に示すように、偏光層付第1受光部PP1(−)は、発光中心Oを通る仮想直線を挟んで偏光層付第2受光部PP1(+)と線対称の位置に配置されている。また、偏光層付第1受光部PP2(−)は、発光中心Oを通る仮想直線を挟んで偏光層付第2受光部PP2(+)と線対称の位置に配置されている。なお、偏光層付第1受光部PP1(−)が、発光中心Oに対して偏光層付第2受光部PP1(+)と点対称の位置に配置され、偏光層付第1受光部PP2(−)が、発光中心Oに対して偏光層付第2受光部PP2(+)と点対称の位置に配置されていてもよい。
(実施形態5の変形例2)
図30は、実施形態5の変形例2に係る光学センサユニットの一例を説明するための説明図である。なお、上述した実施形態1〜5及びこれらの変形例と同じ部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。実施形態5の変形例2に係る光学センサユニット31Fは、第1角度センサとして上述した角度センサ135と、第2角度センサとして、上述した角度センサ35とを少なくとも1つ備える。角度センサ135が、発光中心Oに対して点対称の位置に配置され、角度センサ35が、発光中心Oに対して点対称の位置に配置されている。光源41の発光中心をOとした場合、角度センサ135、角度センサ35のそれぞれから発光中心Oまでの距離を等しくすることが好ましい。この構造により、演算手段であるCPU4cの演算負荷を軽減することができる。
角度センサ135は、図25−1に示す偏光層付第1受光部36Aと、偏光層付第2受光部36Bとを含む。偏光層付第1受光部36Aは、電極基部36KAと、第1受光部36aと、を含み、第1の偏光方向の光強度を検出することができる。偏光層付第2受光部36Bは、電極基部36KBと、第2受光部136bと、を含み、第2の偏光方向の光強度を検出することができる。第2受光部136bは、上述した入射光を第2の偏光方向に分離する第2偏光層39bを備えており、この第2偏光層39bで分離した第2分離光を受光する。実施形態5の変形例2に係る第1角度センサは、第1の分離光の偏光軸が0°であり、第2の分離光の偏光軸が+90°である。この構造により、異物が、センシング範囲の一部を遮蔽したとしても、第1受光部136aと第2受光部136bとは、同程度に遮蔽される確率が高まり、どちらか一方が極端に信号強度を下げてしまう可能性を低減することができる。
角度センサ35は、図21−1に示す偏光層付第1受光部36Aと、偏光層付第2受光部36Bとを含む。偏光層付第1受光部36Aは、電極基部36KAと、第1受光部36aと、を含み、第1の偏光方向の光強度を検出することができる。偏光層付第2受光部36Bは、電極基部36KBと、第2受光部36bと、を含み、第2の偏光方向の光強度を検出することができる。第2受光部36bは、上述した入射光を第2の偏光方向に分離する第2偏光層39bを備えており、この第2偏光層39bで分離した第2分離光を受光する。実施形態5の変形例2に係る第2角度センサは、第1の分離光の偏光軸が−45°であり、第2の分離光の偏光軸が+45°である。この構造により、異物が、センシング範囲の一部を遮蔽したとしても、第1受光部36aと第2受光部36bとは、同程度に遮蔽される確率が高まり、どちらか一方が極端に信号強度を下げてしまう可能性を低減することができる。
以上説明したように、実施形態5の変形例2に係る光学センサユニット31Fは、冗長性をたかめることができる。このため、実施形態5の変形例2に係る光学センサユニット31Fは、異物による出力低下の可能性が低減される。
(実施形態6)
図31は、実施形態6に係る光学センサユニットの一例を説明するための説明図である。上述した実施形態1〜4及びこれらの変形例と同じ部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。実施形態6に係る光学センサユニット31は、図12に示す位置センサ31Aと、図31に示す角度センサ31Gとを含む。
角度センサ31Gは、ユニット基板30とは別のユニット基板30bの表面上に配置される。この構造により、角度センサ31Gを位置センサ31Aと異なる位置に配置することができる。図31に示すように、光学センサユニット31Gは、ユニット基板30bの表面上に、光源41と、第1角度センサと、第2角度センサとを含む。第1角度センサは、偏光層付第1受光部PP1(−)と、偏光層付第2受光部PP1(+)とを含む。第2角度センサは、偏光層付第1受光部PP2(−)と、偏光層付第2受光部PP2(+)とを含む。
また、図31に示すように、光学センサユニット31は、偏光層付第1受光部PP1(−)と、偏光層付第1受光部PP2(−)と、偏光層付第2受光部PP1(+)と、偏光層付第2受光部PP2(+)とが、それぞれ光源41の周囲に配置されている。光源41の発光中心をOとした場合、偏光層付第1受光部PP1(−)、偏光層付第1受光部PP2(−)、偏光層付第2受光部PP1(+)及び偏光層付第2受光部PP2(+)のそれぞれから発光中心Oまでの距離を等しくすることが好ましい。この構造により、演算手段であるCPU4cの演算負荷を軽減することができる。
また、図31に示すように、偏光層付第1受光部PP1(−)が発光中心Oを介して偏光層付第2受光部PP1(+)と点対称の位置に配置されている。また、偏光層付第1受光部PP2(−)が発光中心Oを介して偏光層付第2受光部PP2(+)と点対称の位置に配置されている。
偏光層付第1受光部PP1(−)及び偏光層付第1受光部PP2(−)は、図6−1に示す偏光層付第1受光部PP(−)と同様に、シリコン基板34と、受光部37と、第1偏光層39aとを含む。また、偏光層付第2受光部PP1(+)及び偏光層付第2受光部PP2(+)は、図6−2に示す偏光層付第2受光部PP(+)と同様に、シリコン基板34と、受光部37と、第2偏光層39bとを含む。偏光層付第1受光部PP1(−)及び偏光層付第1受光部PP2(−)は、第1偏光層39aの偏光軸が異なる。また、偏光層付第2受光部PP1(+)及び偏光層付第2受光部PP2(+)は、第2偏光層39bの偏光軸が異なる。このため、第1角度センサは、偏光層付第1受光部PP1(−)における第1の分離光の偏光軸が0°であり、偏光層付第2受光部PP1(+)における第2の分離光の偏光軸が+90°である。このように、第1角度センサは、第1の分離光の偏光軸と、第2の分離光の偏光軸とが相対的に90°異なることが好ましい。第2角度センサは、偏光層付第1受光部PP2(−)における第1の分離光の偏光軸が−45°であり、偏光層付第2受光部PP2(+)における第2の分離光の偏光軸が+45°である。このように、第2角度センサは、第1の分離光の偏光軸と、第2の分離光の偏光軸とが相対的に90°異なることが好ましい。
実施形態5と同様に、図3に示す演算装置3のCPU4cは、光学センサユニット31の検出信号である、第2角度センサにおける、第1の偏光方向の成分の光強度PI(−)と、第2角度センサにおける、第2の偏光方向の成分の光強度PI(+)とを取得する。光学スケール11の回転角度と光学スケール11の偏光軸の回転角度は、光学スケール11が傾斜していても傾斜角が小さい場合、値は等しく、この値を本実施形態ではβで表す。すなわち、βは、光学スケール11の回転角度を示すとともに、光学スケール11の偏光軸の回転角度を示す。そして、演算装置3は、上述した式(1)に従って、第2角度センサにおける第1の偏光方向の成分の光強度PI(−)及び第2角度センサにおける第2の偏光方向の成分の光強度PI(+)から、光学スケール11の回転に依存した差動信号Vを第2差動信号VSINとして演算する。
図27に示す第1差動信号VCOSと、第2差動信号VSINとは、λ=180°、かつλ/4位相がずれた差動信号Vである。図3に示す演算装置3のCPU4cは、図28に示すように、第1差動信号VCOSを横軸に、第2差動信号VSINを縦軸にとったリサージュパターンをとると、リサージュ角度に応じて、回転角度βが演算できる。
(実施形態6の変形例1)
図32は、実施形態6の変形例1に係る光学センサユニットの一例を説明するための説明図である。なお、上述した実施形態1〜5及びこれらの変形例と同じ部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。実施形態6の変形例1に係る光学センサユニット31Hにおいて、第1角度センサは、偏光層付第1受光部PP1(−)と、偏光層付第2受光部PP1(+)とを複数組(例えば2組)含む。第2角度センサは、偏光層付第1受光部PP2(−)と、偏光層付第2受光部PP2(+)とを複数組(例えば2組)含む。この構造により、実施形態6の変形例1に係る光学センサユニット31Hは、冗長性を高めることができる。このため、実施形態6の変形例1に係る光学センサユニット31Hは、異物による出力低下の可能性が低減される。
(実施形態6の変形例2)
図33は、実施形態6の変形例2に係る光学センサユニットの一例を説明するための説明図である。なお、上述した実施形態1〜5及びこれらの変形例と同じ部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。実施形態6の変形例2に係る光学センサユニット31Iは、第1角度センサとして上述した角度センサ135と、第2角度センサとして、上述した角度センサ35とを少なくとも1つ備える。角度センサ135が、発光中心Oに対して点対称の位置に配置され、角度センサ35が、発光中心Oに対して点対称の位置に配置されている。光源41の発光中心をOとした場合、角度センサ135、角度センサ35のそれぞれから発光中心Oまでの距離を等しくすることが好ましい。この構造により、演算手段であるCPU4cの演算負荷を軽減することができる。また、実施形態5の変形例2と同様に、実施形態6の変形例2に係る光学センサユニット31Iは、冗長性を高めることができる。このため、実施形態6の変形例2に係る光学センサユニット31Iは、異物による出力低下の可能性が低減される。
(実施形態7)
図34は、実施形態7に係る電動パワーステアリング装置の構成図である。なお、上述したものと同じ部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。本実施形態では、上述した光学式エンコーダ2をトルクセンサ91aの回転検出手段として用いられている。
電動パワーステアリング装置80は、操舵者から与えられる力が伝達する順に、ステアリングホイール81と、ステアリングシャフト82と、操舵力アシスト機構83と、ユニバーサルジョイント84と、ロアシャフト85と、ユニバーサルジョイント86と、ピニオンシャフト87と、ステアリングギヤ88と、タイロッド89とを備える。また、電動パワーステアリング装置80は、ECU(Electronic Control Unit)90と、トルクセンサ91aと、車速センサ91vとを備える。なお、上述した演算装置3は、ECU90として機能してもよく、またECU90とは別に設けられていてもよい。
ステアリングシャフト82は、入力軸82aと、出力軸82bとを含む。入力軸82aは、一方の端部がステアリングホイール81に連結され、他方の端部がトルクセンサ91aを介して操舵力アシスト機構83に連結される。出力軸82bは、一方の端部が操舵力アシスト機構83に連結され、他方の端部がユニバーサルジョイント84に連結される。本実施形態では、入力軸82a及び出力軸82bは、鉄等の磁性材料から形成される。
ロアシャフト85は、一方の端部がユニバーサルジョイント84に連結され、他方の端部がユニバーサルジョイント86に連結される。ピニオンシャフト87は、一方の端部がユニバーサルジョイント86に連結され、他方の端部がステアリングギヤ88に連結される。
ステアリングギヤ88は、ピニオン88aと、ラック88bとを含む。ピニオン88aは、ピニオンシャフト87に連結される。ラック88bは、ピニオン88aに噛み合う。ステアリングギヤ88は、ラックアンドピニオン形式として構成される。ステアリングギヤ88は、ピニオン88aに伝達された回転運動をラック88bで直進運動に変換する。タイロッド89は、ラック88bに連結される。
操舵力アシスト機構83は、減速装置92と、ブラシレスモータ101とを含む。減速装置92は、出力軸82bに連結される。ブラシレスモータ101は、減速装置92に連結され、かつ、補助操舵トルクを発生させる電動機である。なお、電動パワーステアリング装置80は、ステアリングシャフト82と、トルクセンサ91aと、減速装置92とによりステアリングコラムが構成されている。ブラシレスモータ101は、ステアリングコラムの出力軸82bに補助操舵トルクを与える。すなわち、本実施形態の電動パワーステアリング装置80は、コラムアシスト方式である。
トルクセンサ91aの回転角度検出には、上述した実施形態で説明した光学式エンコーダ2を用いることができる。トルクセンサ91aは、ステアリングホイール81を介して入力軸82aに伝達された運転者の操舵力を操舵トルクとして検出する。車速センサ91vは、電動パワーステアリング装置80が搭載される車両の走行速度を検出する。ECU90は、ブラシレスモータ101と、トルクセンサ91aと、車速センサ91vと電気的に接続される。ブラシレスモータ101は、ブラシ付きモータでもよく、回転電動機であればよい。
ECU90は、ブラシレスモータ101の動作を制御する。また、ECU90は、トルクセンサ91a及び車速センサ91vのそれぞれから信号を取得する。すなわち、ECU90は、トルクセンサ91aから操舵トルクTを取得し、かつ、車速センサ91vから車両の走行速度Vbを取得する。ECU90は、イグニッションスイッチ98がオンの状態で、電源装置(例えば車載のバッテリ)99から電力が供給される。ECU90は、操舵トルクTと走行速度Vbとに基づいてアシスト指令の補助操舵指令値を演算する。そして、ECU90は、その演算された補助操舵指令値に基づいてブラシレスモータ101へ供給する電力値Xを調節する。ECU90は、ブラシレスモータ101から誘起電圧の情報を動作情報Yとして取得する。
ステアリングホイール81に入力された操舵者(運転者)の操舵力は、入力軸82aを介して操舵力アシスト機構83の減速装置92に伝わる。この時に、ECU90は、入力軸82aに入力された操舵トルクTをトルクセンサ91aから取得し、かつ、走行速度Vbを車速センサ91vから取得する。そして、ECU90は、ブラシレスモータ101の動作を制御する。ブラシレスモータ101が作り出した補助操舵トルクは、減速装置92に伝えられる。
出力軸82bを介して出力された操舵トルク(補助操舵トルクを含む)は、ユニバーサルジョイント84を介してロアシャフト85に伝達され、さらにユニバーサルジョイント86を介してピニオンシャフト87に伝達される。ピニオンシャフト87に伝達された操舵力は、ステアリングギヤ88を介してタイロッド89に伝達され、操舵輪を転舵させる。
上述したように、電動パワーステアリング装置80は、上述したトルクセンサ91aの第1回転軸と第2回転軸とをステアリングシャフト82に取り付けて、操舵トルクを検出することができる。
この構成により、上述した光学センサユニット31は、異物に対して影響を低減した状態で、透過光又は反射光の偏光方向の変化を検出することができる。これにより、電動パワーステアリング装置の信頼性を高めることができる。