本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係るセンサ31の構成図である。図2は、実施形態1に係るセンサ31の外観斜視図である。図1は、図2の断面模式図である。図3は、発生部41、光学スケール11及び検出部35の配置の一例を説明する説明図である。図4は、実施形態1に係る光学式エンコーダ2のブロック図である。図5は、実施形態1に係る光学スケール11のパターンの一例を示す説明図である。センサ31は、電磁波(例えば光)からなる検出対象を発生させる発生部41と、被検出領域を挟んで発生部41により発生した検出対象を検出する検出部35と、発生部41及び検出部35が設けられる基板50と、を備える。実施形態1では、センサ31は、さらに、モータ等の回転機械に連結されたシャフト12及び当該シャフト12の端部に取り付けられて被検出領域で回転可能に設けられる回転体(光学スケール11)を有するロータ10と、ステータ20とを有している。なお、被検出領域とは、発生部41と検出部35との間の領域である。
図6は、基板50の一例を示す斜視図である。図7は、折り曲げられる前の基板50の一例を示す平面図である。基板50は、発生部41が設けられる第1部分51と検出部35が設けられる第2部分52とが一体である。図8は、ステータ20のボディ21及びボディ21に設けられている構成の一例を示す斜視図である。図9は、ステータ20のシャシ22に設けられている構成の一例を示す斜視図である。図10は、回路実装前の基板の一例を示す平面図である。図11は、被検出領域に光学スケール11を設けるためのステータ20の組み立ての一例を示す図である。例えば図6、図7に示すように、基板50は、半円弧状の第1部分51、円状の第2部分52を含む一つの基板である。基板50は、例えばフレキシブルプリント基板(Flexible printed circuits:FPC)からなり、発生部41及び検出部35を含む各種の回路(例えば図6に示す回路60〜62等)が実装されている。より具体的には、FPCは、例えばポリイミド膜又はフォトソルダーレジスト膜からなる絶縁体をベースフィルムとして、ベースフィルム上に接着層及び導体層を形成し、導体層のうち端子部(はんだ付け部を含む)を除く部分を絶縁体で被覆した可撓性を有する配線基板である。導体層は、銅等の電気伝導体からなり、導体層のパターンにより各種の回路等の部品に接続される信号線及び電力線が設けられる。本発明に採用可能なフレキシブル基板の具体的構成は、これに限られるものでなく適宜変更可能である。回路60〜62は、例えば後述する図18に示すプリアンプAMP、差動演算回路DS、フィルター回路NR、逓倍回路AP等を構成する。
基板50は、第1部分51と第2部分52とを接続する接続部53を有する。具体的には、例えば図6、図7に示すように、接続部53は、第1部分51と第2部分52との間で、第1部分51の円弧の外周部と第2部分52の円弧の外周部とを接続するよう設けられている。
接続部53は、発生部41(又は検出部35)に接続される配線を有する。実施形態1では、接続部53は、発生部41に接続される信号線及び電力線を具備する。具体的には、接続部53の配線は、例えばFPCに実装された信号線及び電力線として設けられている。なお、実施形態1の接続部53には回路が設けられていないが、接続部53に回路等の部品を設けることもできる。
図6、図7に示すように、実施形態1の接続部53は、第1部分51及び第2部分52に比して、第1部分51と第2部分52との間での接続部53の延設方向に直交する方向であって基板50の板面に沿う方向の幅が小さい。
基板50は、発生部41及び検出部35に接続される配線を含むハーネス部54を備える。具体的には、例えば図6、図7に示すように、ハーネス部54は、第1部分51から接続部53の反対側に延出されるよう設けられている。ハーネス部54は、発生部41、検出部35及び基板50に設けられた各種の回路に接続される信号線及び電力線を具備する。具体的には、ハーネス部54の配線は、例えばFPCに実装された信号線及び電力線として設けられている。実施形態1では、発生部41の配線は、第1部分51、接続部53及びハーネス部54に設けられている。また、検出部35の配線は、第2部分52及びハーネス部54に設けられている。
また、ハーネス部54は、例えば図1に示すように、コネクタCNTと接続されている。コネクタCNTは、センサ31と他の装置(例えば演算装置3)とを接続するインターフェースである。センサ31は、コネクタCNTを介して演算装置3と接続されている。すなわち、ハーネス部54は、基板50に設けられた各種の回路と他の装置(例えば演算装置3)とを接続する配線として機能する。なお、ハーネス部54に回路等の部品を設けてもよい。
基板50は、第1部分51と第2部分52とが平行になるよう設けられる。具体的には、基板50は、図1、図6に示すように、発生部41と検出部35とが対向する形状(コの字状)に折り曲げられる。実施形態1では、基板50は、第1部分51と接続部53との境目55a及び第2部分52と接続部53との境目55bで折り曲げられる。すなわち、実施形態1の基板50は、接続部53に対して第1部分51及び第2部分52が直角になるよう折り曲げられ、かつ、第1部分51と第2部分52とが対向する位置に存する。これにより、第1部分51と第2部分52とが平行に設けられて、発生部41と検出部35とが対向する。
第1部分51において発生部41が設けられる側の面と、第2部分52において検出部35が設けられる側の面とは、基板50における同一の面である。発生部41が設けられる側の面と検出部35が設けられる側の面とが対向するよう設けられることで、発生部41と検出部35との位置関係は、図3等に示すように、発生部41により発生した検出対象(例えば光)が検出部35により検出可能な位置関係になる。また、対向する発生部41と検出部35の間の領域が被検出領域になる。
第1部分51又は第2部分52の一方は、接続部53により中空に支持され、一方は、他方よりも小さい。具体的には、例えば図6に示すように、発生部41が設けられた第1部分51は、接続部53により中空に支持されている。また、図6、図7に示すように、第1部分51は、第2部分52よりも小さい。より具体的には、実施形態1における円弧状の第1部分51の径は、円状の第2部分52の径と略同一である。ただし、第1部分51は半円弧状であり、半円状のFPCの内周側に半円状の切欠部51aが設けられている。このため、基板50に占める第1部分51の面積は、第2部分52の面積よりも小さい。
検出部35は、被検出領域における物理量の変化により生じる検出対象(例えば光等の電磁波)の変化を検出する。物理量の変化は、例えば被検出領域に存する回転体の回転による。具体的には、例えば図1〜図3に示すように、被検出領域にはロータ10の光学スケール11が設けられる。実施形態1に係るセンサ31は、回転体としての光学スケール11の回転による検出対象の検出結果の変化に応じた出力を行うセンサである。すなわち、実施形態1に係るセンサ31は、ロータ10に回転動作を伝達するよう接続された回転駆動体の角位置を検出するロータリエンコーダとして機能する。
ロータ10は、図5に示す円板形状(又は多角形形状)の部材である光学スケール11を有している。光学スケール11は例えば、シリコン、ガラス、高分子材料などで形成されている。光学スケール11は円輪状もしくは中空であってもよい。図5に示す光学スケール11は、信号トラックT1を一方の板面に有している。また、ロータ10には、光学スケール11の取り付けられた板面に対し他方の板面にシャフト12が取り付けられている。光学スケール11は、傾斜していても傾斜角度が小さい場合には偏光分離の機能に影響がない。すなわち、光学スケール11は、回転中心Zrと直交する平面に対して傾斜していても、偏光分離素子として機能する。
ステータ20は、軸受26a,26bと、シャフト12と、シャフト12の端部に取り付けられた光学スケール11と、検出部35とを囲む、遮光性の部材でできている。このため、ステータ20の内部では、外来の光ノイズを抑制できる。図8、図9に示すように、ステータ20は、ボディ21と、シャシ22と、カバー23とを備えている。ボディ21は、軸受26a,26bを介してシャフト12を回転可能に支持する。ボディ21の内周が軸受26a,26bの外輪に固定されており、シャフト12の外周が軸受26a,26bの内輪に固定されている。シャフト12がモータ等回転機械からの回転により回転すると、シャフト12に連動して光学スケール11が回転中心Zrを軸中心として回転する。ボディ21は、基板50が設けられたシャシ22をボディ21に取り付けるための開口部21aを有する。シャシ22は、基板50の第2部分52のうち、検出部35が設けられた側の反対側の面(裏面)の少なくとも一部分と当接して基板50を支持する。具体的には、基板50の裏面には、センサを構成する部品としての集積回路(例えばQFNパッケージのIC)が設けられている。シャシ22は、裏面の集積回路を外側から覆うとともに基板50の裏面の外周部と当接して基板50を支持する。コの字状に折り曲げられた基板50の接続部53は、シャシ22に支持された第2部分52から立設するように位置する。このように、実施形態1では、基板50は、シャシ22に固定されている。カバー23は、ステータ20の円筒状の外周面の一部を形成する部材である。カバー23は、ボディ21の開口部21a側、すなわち、シャシ22からハーネス部54が延出される切欠部21bの反対側に設けられる。ボディ21とシャシ22とが組み付けられた状態で、さらにカバー23が開口部21aを覆うように組み付けられることで、ボディ21、シャシ22及びカバー23は円筒状のステータ20を形成し、ステータ20の内部を外部の光ノイズから遮光する。
上述したロータ10のシャフト12が回転すると、図3に示すように、光学スケール11が、例えばR方向に検出部35に対して相対的に移動する。これにより、光学スケール11の信号トラックT1が検出部35に対して相対的に移動する。光学スケール11は、面内における偏光子の偏光方向Pmが所定の方向を向いており、かつ偏光方向Pmが回転により変化する。検出部35は、発生部41の光源光71が光学スケール11に透過して入射する入射光(透過光)73を受光して、図5に示す光学スケール11の信号トラックT1を読み取ることができる。
光学式エンコーダ2は、上述したセンサ31と、演算装置3と、を備えており、図4に示すように、センサ31と、演算装置3とが接続されている。演算装置3は、例えばモータ等の回転機械の制御部5と接続されている。
光学式エンコーダ2は、光学スケール11に光源光71が透過して入射する入射光73を検出部35で検出する。演算装置3は、検出部35の検出信号からセンサ31のロータ10と検出部35との相対位置を演算し、相対位置の情報を制御信号として、モータ等の回転機械の制御部5へ出力する。
演算装置3は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)等のコンピュータであり、入力インターフェース4aと、出力インターフェース4bと、CPU(Central Processing Unit)4cと、ROM(Read Only Memory)4dと、RAM(Random Access Memory)4eと、内部記憶装置4fと、を含んでいる。入力インターフェース4a、出力インターフェース4b、CPU4c、ROM4d、RAM4e及び内部記憶装置4fは、内部バスで接続されている。なお、演算装置3は、専用の処理回路で構成してもよい。
入力インターフェース4aは、センサ31の検出部35からの入力信号を受け取り、CPU4cに出力する。出力インターフェース4bは、CPU4cから制御信号を受け取り、制御部5に出力する。
ROM4dには、BIOS(Basic Input Output System)等のプログラムが記憶されている。内部記憶装置4fは、例えばHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等であり、オペレーティングシステムプログラムやアプリケーションプログラムを記憶している。CPU4cは、RAM4eをワークエリアとして使用しながらROM4dや内部記憶装置4fに記憶されているプログラムを実行することにより、種々の機能を実現する。
内部記憶装置4fには、光学スケール11による偏光方向Pmと検出部35の出力とを対応付けたデータベースが記憶されている。または、内部記憶装置4fには、後述する距離Dの値と、光学スケール11の位置情報とを対応付けたデータベースが記憶されている。
図5に示す信号トラックT1は、ワイヤーグリッドパターンとよばれる金属細線(ワイヤー)gの配列が図1に示す光学スケール11に形成されている。光学スケール11は、信号トラックT1として、隣り合う金属細線gを平行に直線的に配置している。このため、光学スケール11は、光源光71が照射される位置によらず同じ偏光軸となり、面内における偏光子の偏光方向が一方向を向いている。
また、ワイヤーグリッドパターンとよばれる金属細線gを有する光学スケール11は、光誘起の偏光板に比較して、耐熱性を高めることができる。また、光学スケール11は、局所的にも、交差するような部分のないラインパターンとなっているため、高精度で誤差の少ない光学スケール11とすることができる。また、光学スケール11は、一括した露光またはナノインプリント技術により安定して製造することもできるため、高精度で誤差の少ない光学スケール11とすることができる。なお、光学スケール11は、光誘起の偏光板としてもよい。
複数の金属細線gは、交差せず配置されている。隣り合う金属細線gの間は、光源光71の全部又は一部が透過可能な透過領域dである。金属細線gの幅及び隣り合う金属細線gの間隔、つまり金属細線gの幅及び透過領域dの幅は、発生部41の光源光71の波長より十分小さくする場合、光学スケール11は、光源光71の入射光73を偏光分離することができる。このため、光学スケール11は、面内における偏光方向Pmが一様な偏光子を有している。光学スケール11は、回転する周方向において、検出部35へ入射する入射光73の偏光軸が光学スケール11の回転に応じて変化する。実施形態1において、偏光軸の変化は、光学スケール11の1回転に対して2回の増減を繰り返すことになる。
光学スケール11は、偏光方向の異なるセグメントを細かくする必要がない。そして、光学スケール11は、一様な偏光方向Pmを有しているため、偏光方向Pmの異なる領域の境界がなく、この境界による入射光73の偏光状態の乱れを抑制できる。実施形態1の光学式エンコーダ2は、誤検出またはノイズを生じさせる可能性を低減することができる。
図12は、実施形態1に係る検出部35の一例を説明するための説明図である。図13は、実施形態1に係る検出部35の第1受光部PD1の一例を説明するための説明図である。図14は、実施形態1に係る検出部35の第3受光部PD3の一例を説明するための説明図である。図3及び図12に示すように、検出部35は、ユニット基材30の表面30b上に、偏光層PP1を有する第1受光部PD1と、偏光層PP2を有する第2受光部PD2と、偏光層PP3を有する第3受光部PD3と、偏光層PP4を有する第4受光部PD4とを含む。図12に示すように、平面視で第1受光部PD1、第2受光部PD2、第3受光部PD3及び第4受光部PD4は、ユニット基材30の表面30bの配置中心S0から等距離に配置されている。
発生部41は、例えば発光ダイオード、半導体レーザ光源である。図3に示すように、発生部41から照射される光源光71は、上述した光学スケール11を透過して、入射光73として、偏光層PP1、偏光層PP2、偏光層PP3及び偏光層PP4を透過し、第1受光部PD1、第2受光部PD2、第3受光部PD3及び第4受光部PD4に入射する。
図3に示すように、第1受光部PD1、第2受光部PD2、第3受光部PD3及び第4受光部PD4のそれぞれから配置中心S0までの距離を等しくすることが好ましい。この構造により、演算手段であるCPU4cの演算負荷を軽減することができる。
また、第1受光部PD1が配置中心S0を介して第3受光部PD3と点対称の位置に配置され、第2受光部PD2が配置中心S0を介して第4受光部PD4と点対称の位置に配置されている。第1受光部PD1が配置中心S0を介して第3受光部PD3と距離W離して配置されており、第2受光部PD2が配置中心S0を介して第4受光部PD4と距離W離して配置されている。なお、第1受光部PD1、第3受光部PD3、第2受光部PD2及び第4受光部PD4が有する幅wがあり、距離Wは、幅2wより小さくならない制約がある。実施形態1では、第1受光部PD1、配置中心S0及び第3受光部PD3を通過するユニット基材30の表面30b上の仮想軸をx軸とし、第2受光部PD2、配置中心S0及び第4受光部PD4を通過するユニット基材30の表面30b上の仮想軸をy軸とする。図12において、x軸はy軸とユニット基材30の表面30b上で直交している。図3に示すように、発生部41の出射面と、配置中心S0との距離をDとする。x軸とy軸とによるxy平面は、発生部41の出射面と配置中心S0とを結ぶz軸と直交している。
図3に示すように、z軸方向から平面視でみると、第1受光部PD1、第2受光部PD2、第3受光部PD3及び第4受光部PD4のそれぞれが発生部41の周囲に配置されている。第1受光部PD1、第2受光部PD2、第3受光部PD3及び第4受光部PD4のそれぞれから配置中心S0までの距離を等しくすることが好ましい。この構造により、演算手段であるCPU4cの演算負荷を軽減することができる。
図13に示すように、第1受光部PD1は、シリコン基板34と、受光部37と、第1偏光層39aとを含む。また、図14に示すように、第3受光部PD3は、シリコン基板34と、受光部37と、第2偏光層39bとを含む。例えば、シリコン基板34はn型半導体であり、受光部37はp型半導体であり、シリコン基板34と受光部37とによりPN接合で形成されたフォトダイオードを構成することができる。第1偏光層39a及び第2偏光層39bは、光誘起の偏光層、または金属細線を平行に配列したワイヤーグリッドパターン等で形成することができる。第1偏光層39aは、図3に示す光学スケール11に光源光71から入射する入射光73を第1の偏光方向に分離し、第2偏光層39bは、上記入射光73を第2の偏光方向に分離する。これら第1の分離光の偏光軸と、第2の分離光の偏光軸とは、相対的に90°異なることが好ましい。この構成により、演算装置3のCPU4cは、偏光角度の演算を容易とすることができる。
同様に、図13及び図14を用いて説明すると、第2受光部PD2は、シリコン基板34と、受光部37と、第1偏光層39aとを含む。また、図14に示すように、第4受光部PD4は、シリコン基板34と、受光部37と、第2偏光層39bとを含む。例えば、シリコン基板34はn型半導体であり、受光部37はp型半導体であり、シリコン基板34と受光部37とによりPN接合で形成されたフォトダイオードを構成することができる。第1偏光層39a及び第2偏光層39bは、光誘起の偏光層、または金属細線を平行に配列したワイヤーグリッドパターン等で形成することができる。第1偏光層39aは、図3に示す光学スケール11に光源光71から入射する入射光73を第1の偏光方向に分離し、第2偏光層39bは、上記入射光73を第2の偏光方向に分離する。これら第1の分離光の偏光軸と、第2の分離光の偏光軸とは、相対的に90°異なることが好ましい。この構成により、演算装置3のCPU4cは、偏光角度の演算を容易とすることができる。
第1受光部PD1、第2受光部PD2、第3受光部PD3及び第4受光部PD4は、入射光73をそれぞれ異なる偏光方向に分離する偏光層PP1、PP2、PP3及びPP4を介して受光する。このため、偏光層PP1が分離する偏光軸と、偏光層PP2が分離する偏光軸とは、相対的に45°異なることが好ましい。偏光層PP2が分離する偏光軸と、偏光層PP3が分離する偏光軸とは、相対的に45°異なることが好ましい。偏光層PP3が分離する偏光軸と、偏光層PP4が分離する偏光軸とは、相対的に45°異なることが好ましい。偏光層PP4が分離する偏光軸と、偏光層PP1が分離する偏光軸とは、相対的に45°異なることが好ましい。この構成により、演算装置3のCPU4cは、偏光角度の演算を容易とすることができる。
図15、図16及び図17は、実施形態1に係る光学スケール11による偏光成分の分離を説明するための説明図である。図15のように、光学スケール11の信号トラックT1により偏光方向Pmに偏光された入射光が入射する。図15において、センシング範囲には、異物D1及び異物D2がある。入射光の偏光方向Pmは、上述した第1の偏光方向の成分の光強度PI(−)と、第2の偏光方向の成分の光強度PI(+)と、で表現することができる。上述したように、第1の偏光方向と、第2の偏光方向とは、90°異なる方向であることが好ましく、基準方向に対して例えば+45°成分と−45°成分のようになっている。図15、図16及び図17において、ワイヤーグリッドの軸方向は、紙面に対して平行に示されているが、紙面に対して同一の角度で傾斜していても傾斜角度が小さい場合には偏光分離の機能に影響がない。すなわち、光学スケール11は、回転軸に対して傾斜していても、偏光分離素子として機能する。
第1受光部PD1は、図16に示すように、入射光を第1の偏光方向に分離する第1偏光層39aを介して検知するため、第1の偏光方向の成分の光強度PI(−)を検知する。第3受光部PD3は、図17に示すように、入射光を第2の偏光方向に分離する第2偏光層39bを介して検知するため、第2の偏光方向の成分の光強度PI(+)を検知する。同様に、第2受光部PD2は、図16に示すように、入射光を第1の偏光方向に分離する第1偏光層39aを介して検知するため、第1の偏光方向の成分の光強度PI(−)を検知する。第4受光部PD4は、図17に示すように、入射光を第2の偏光方向に分離する第2偏光層39bを介して検知するため、第2の偏光方向の成分の光強度PI(+)を検知する。
図18は、実施形態1に係る光学式エンコーダ2の機能ブロック図である。図19は、実施形態1に係る光学スケール11の回転角度と各受光部の偏光成分の光強度変化を説明するための説明図である。図18に示すように、発生部41は、基準信号に基づいた発光を行い、光学スケール11に光源光71を照射する。透過光である入射光73は、検出部35に受光される。差動演算回路DSは、検出部35から出力されてプリアンプAMPにより増幅された検出信号を用いた差動演算処理を行う。検出部35の出力の大きさに応じてプリアンプAMPは省略可能である。
差動演算回路DSは、検出部35の検出信号である、第1の偏光方向の成分(第1分離光)の光強度PI(−)と、第2の偏光方向の成分(第2分離光)の光強度PI(+)とを取得する。この光強度PI(−)と、光強度PI(+)とに対応する、第1受光部PD1、第2受光部PD2、第3受光部PD3及び第4受光部PD4のそれぞれの出力は、例えば、図19のように、光学スケール11の回転に応じて、位相がずれた光強度I1、I2、I3及びI4である。
差動演算回路DSは、式(1)及び式(2)に従って、第1の偏光方向の成分の光強度PI(−)及び第2の偏光方向の成分の光強度PI(+)から、光学スケール11の回転に依存した差動信号Vc及びVsを演算する。
Vc=(I1−I3)/(I1+I3)…(1)
Vs=(I2−I4)/(I2+I4)…(2)
このように、差動演算回路DSは、光強度I1及び光強度I3に基づいて、光強度の和[I1+I3]と、光強度の差[I1−I3]を演算し、光強度の差[I1−I3]を光強度の和[I1+I3]で除した差動信号Vcを演算する。また、差動演算回路DSは、光強度I2及び光強度I4に基づいて、光強度の和[I2+I4]と、光強度の差[I2−I4]を演算し、光強度の差[I2−I4]を光強度の和[I2+I4]で除した差動信号Vsを演算する。式(1)及び式(2)により演算した差動信号Vc及びVsには、光源光71の光強度の影響を受けるパラメータが含まれておらず、センサ31の出力は、検出部35と光学スケール11との距離、発生部41の光強度のばらつき等の影響を低減することができる。差動信号Vc及びVsは、光学スケール11の回転角度となる光学スケール11の偏光軸の回転角度(以下、偏光角という)βの関数となる。ただし、発生部41に設けられた光源の光量を一定に制御するオートパワーコントロール(APC)を備えている場合は、上述の除算は不要である。
図18に示すように、差動信号Vc及びVsは、フィルター回路NRに入力され、ノイズ除去される。次に、逓倍回路APでは、差動信号Vc及びVsから図20に示すリサージュパターンを演算し、初期位置から回転したロータ10の回転角度の絶対角度を特定することができる。差動信号Vc及びVsは、λ/4位相がずれた差動信号であるので、差動信号Vcのコサインカーブを横軸へ、差動信号Vsのサインカーブを縦軸にとったリサージュパターンを演算し、回転角度に応じて、リサージュ角が定まることになる。例えば、図20に示すリサージュパターンは、ロータ10が1回転すると2周する。演算装置3は、光学スケール11の回転位置が0°以上180°未満の範囲にあるか、180°以上360°未満の範囲にあるかを記憶する機能を有する。これにより、光学式エンコーダ2は、ロータ10の絶対位置が演算できるアブソリュートエンコーダとすることができる。
図21は、実施形態1に係る発生部41を説明するための図である。図21に示す発生部41は、発光ダイオード、垂直共振器面発光レーザ等のレーザ光源、フィラメント等の発光デバイス41Uをパッケージしたものである。発光デバイス41Uは、面発光型光源を用いている。発生部41は、ベース基板41Fと、スルーホールSHに埋め込まれた貫通導電層41Hと、貫通導電層41Hと電気的に接続された外部電極41Pと、ベース基板41Fに搭載された発光デバイス41Uと、発光デバイス41Uと貫通導電層41Hとを導通接続するボンディングワイヤ41Wと、発光デバイス41Uを保護する封止樹脂41Mと、遮光膜41Rとを備えている。
発生部41の遮光膜41Rは、発光デバイス41Uが放射する光源光71を出射面41Tの範囲に絞る光源光71の絞りの機能を奏している。出射面41Tにはレンズ面がなく、光源光71の配光分布は、出射面41Tの断面に対して所定角度2θoの配光分布を示す。図23は、実施形態1に係る検出部35の発生部41からの光の配光分布が一様な範囲以内にある受光部の位置を説明するための説明図である。配光分布の角度θoは、発生部41に依存する。角度θoは、例えば45°であるが、これより角度を大きくすることも小さくすることもできる。
実施形態1に係るセンサ31は、レンズのついていない発生部41を使用することができる。発生部41の出射面と、配置中心S0(検出部35)との距離Dを接近させることでSN比を向上させることができる。第1受光部PD1、第2受光部PD2、第3受光部PD3及び第4受光部PD4のそれぞれまでの距離Wは、発生部41の拡散する光の影響を減じて受光できる範囲に配置可能となる。このためセンサ31及び光学式エンコーダ2は、測定精度が向上する。無論、レンズのついた発生部41を使用してもよい。
次に、センサ31の製造方法について説明する。まず、発生部41が設けられる第1部分51と、検出部35が設けられる第2部分52とが一体である基板50を形成する。具体的には、例えば図10に示すように、半円弧状の第1部分51と、円状の第2部分52と、第1部分51と第2部分52とを接続する接続部53と、第1部分51から接続部53の反対側に延出されたハーネス部54とを有するFPCを形成する。この工程で、後の工程で基板50に実装される各種の回路に接続される信号線及び電力線等の配線が当該FPCに形成される。
次に、基板50にセンサを構成する各種の回路を設ける。具体的には、図7に示すように、基板50の第1部分51に発生部41を設け、基板50の第2部分52に検出部35を設ける。この他、前の工程で設けられた配線に応じて、センサを構成する各種の部品をこの工程で設ける。
次に、発生部41と検出部35とを対向させるように基板50を折り曲げる。具体的には、例えば図6に示すように、第1部分51と第2部分52とが平行になるようにコの字状に折り曲げられる。
その後、被検出領域で物理量を変ずる構成に応じた工程を経る。実施形態1に係るセンサ31の場合、例えば所定の平面を基準として、折り曲げられた基板50の第1部分51及び第2部分52並びに光学スケール11の板面が当該所定の平面に沿うようにする。この状態で、基板50及び光学スケール11を有するステータ20の少なくとも一方を当該所定の平面に沿う方向に移動させることで、被検出領域に光学スケール11が設けられるようにする。具体的には、例えばステータ20の円柱状の外周面のうち光学スケール11が設けられた位置において、光学スケール11の板面に沿った方向に基板50を挿入可能な開口部を設け、当該開口部に基板50が進入することで被検出領域に光学スケール11が設けられるようにする。この場合、基板50は、開口部に対してハーネス部54側から挿入されることで進入する。また、光学スケール11のうちロータ10が延出している側に半円弧状の第1部分51が進入し、光学スケール11のうちロータ10が延出していない側に円状の第2部分52が進入する。より具体的には、図11に示すように、第2部分52が固定されたシャシ22と、ロータ10が回転可能に設けられたボディ21とを、第1部分51及び第2部分52並びに光学スケール11が略平行となり、かつ、光学スケール11が第1部分51と第2部分52との間の被検出領域に位置する位置関係とする。すなわち、第1部分51及び第2部分52並びに光学スケール11が所定の平面に沿う位置関係とする。この位置関係で、ボディ21の開口部21aからシャシ22が入り込むよう、所定の平面に沿ってボディ21とシャシ22とを近接、当接させてボディ21とシャシ22とを組み立てる。これにより、被検出領域に光学スケール11が設けられる。ハーネス部54は、ボディ21の開口部21aと反対側に設けられた切欠部21bから延出する。その後、ボディ21の開口部21aを覆うようにカバー23を取り付ける。なお、図11では、検出部35等の一部の回路の図示を省略しているが、実際には既に検出部35を含む各種の回路が実装済みである。なお、シャシ22とカバー23とは一体であってもよい。
以上説明したように、実施形態1によれば、発生部41が設けられる第1部分51と検出部35が設けられる第2部分52とが分離しないので、基板50を折り曲げる又は湾曲させる等の簡易な作業により発生部41と検出部35との位置決めを行うことができる。このように、実施形態1によれば、発生部41と検出部35との位置決めがより容易になる。
また、第1部分51と第2部分52とが平行になるよう設けられることで、第1部分51に設けられた発生部41と第2部分52に設けられた検出部35との位置関係を平行に設けられた第1部分51と第2部分52との関係に基づいて調整することができる。このため、発生部41が指向性を有する場合に発生部41による検出対象の発生領域内に検出部35を収めるための位置調整ならびに発生部41及び検出部35を基板に設ける際の位置角度に関する設計がより容易になる。
また、接続部53により第1部分51と第2部分52との間の領域を設けることができる。このため、発生部41と検出部35との間の被検出領域をより容易に設けることができる。
また、接続部53が発生部41に接続される配線を有することで、発生部41に接続される配線と接続部53とを一体化することができる。このため、接続部53及び当該配線を有する基板をよりコンパクトにすることができる。
また、第1部分51及び第2部分52に比して接続部53の幅が小さいことで、接続部53を挟んだ第1部分51と第2部分52とを含む基板の幅を一様にした場合に比して基板の面積をより小さくすることができる。このため、基板をより軽量化することができる。
また、基板が第1部分51と接続部53との境目55a及び第2部分52と接続部53との境目55bで折り曲げられることで、基板の折り曲げにより発生部41と検出部35との間に被検出領域を設けることができる。また、折り曲げ箇所を明確にすることができる。
また、第1部分51が接続部53により中空に支持され、第1部分51が第2部分52よりも小さいことで、接続部53により基板単独で第1部分51を中空で支持して発生部41と検出部35との間の被検出領域を設けることができる。また、第1部分51が第2部分52よりも小さいことで、第1部分51の重量をより軽くすることができる。このため、接続部53に求められる強度等の要件をより易しい要件にすることができることに加えて、基板全体の重心を土台である第2部分52側により近づけることができる。よって、接続部53による支持をより容易に実現することができる。
また、基板が発生部と検出部とが対向する形状(例えばコの字状)に折り曲げられることで、ステータ20内の平面(例えばシャシ22の平面部等)に基板50の一部(例えば第2部分52等)を沿わせることができる等、センサを筐体内に設ける場合の取り扱いがより容易になる。
また、基板がフレキシブル基板であることで、第1部分51及び第2部分52が同一平面に存する状態で発生部41及び検出部35を含む部品を基板に実装した後に発生部41と検出部35との間に被検出領域を設けるために基板を加工するという一連の作業をより容易に行うことができる。
また、基板が発生部41及び検出部35に接続される配線を含むハーネス部54を備えることで、基板に発生部41及び検出部35を含むセンサ31の構成に接続される配線を纏めて設けることができる。すなわち、ハーネス部54を備えることで、配線が必要な部品(回路等)から個別に配線を引き出す必要がない。このため、基板と配線とを別個に取り扱う必要がなくなり、より容易にセンサを取り扱うことができる。
また、検出部35が被検出領域における物理量の変化により生じる検出対象の変化を検出することで、物理量の変化を生じる対象物をセンサによるセンシングの対象にすることができる。
また、検出対象が電磁波(例えば光)であることで、電磁波の変化により被検出領域における変化を検出することができる。
また、物理量の変化が被検出領域に存する回転体(例えば光学スケール11)の回転によることで、回転体の回転運動をセンサによるセンシングの対象にすることができる。
また、センサがロータリエンコーダとして機能することで、当該センサに連結された回動動作体の回動角度等の角位置を検出することができる。
なお、第1部分51と第2部分52の位置関係は逆でもよい。すなわち、シャシ22側に発生部41及び第1部分51があり、被検出領域を挟んで接続部53により中空で支持されている側に検出部35及び第2部分52があってもよい。
また、第1部分51と第2部分52とが平行でなくてもよい。第1部分51と第2部分52との関係は、発生部41と検出部35との間に被検出領域を設けることができ、第1部分51に設けられた発生部41により発生した検出対象を第2部分52に設けられた検出部35により検出することができる関係であればよく、第1部分51及び第2部分52の詳細な配置については適宜変更可能である。
接続部53は、配線を具備していなくてもよい。この場合、接続部53は、例えば第1部分51又は第2部分52のいずれか一方を中空に支持する。また、当該一方が他方よりも小さいことは必須でない。第1部分51と第2部分52は同じ大きさであってもよいし、接続部53により支持される側が大きくてもよい。また、ステータ20等が接続部53及び実施形態1における第1部分51の少なくとも一方を支持するための支持部を有していてもよい。また、係る支持部に接続部53及び実施形態1における第1部分51の少なくとも一方を固定するための構成(例えば接着剤やテープ、突起等の係止部等)を設けてもよい。
基板50の折り曲げ位置は、第1部分51と接続部53との境目55a及び第2部分52と接続部53との境目55bに限らない。例えば、第1部分51と第2部分52との間に折り目を含む接続部53を別途設けてもよい。また、基板50の折り曲げは必須でない。例えば、基板50をU字状に湾曲させるようにして発生部41と検出部35とを対向させるようにしてもよい。
基板50はフレキシブル基板に限らない。本発明における基板は、発生部41と検出部35との間に被検出領域を設けることができ、第1部分51に設けられた発生部41により発生した検出対象を第2部分52に設けられた検出部35により検出することができ、かつ、第1部分51と第2部分52とが一体である基板であればよい。例えば、加熱等の処理により処理部分を折り曲げ又は湾曲可能な素材で構成された基板を採用し、第1部分と第2部分との間の部分(例えば接続部等)に当該処理を加えて折り曲げ又は湾曲させて第1部分と第2部分とを対向させるようにしてもよい。また、リジッドフレキシブル基板のように、変形しにくい部分と変形しやすい部分の両方を有する基板を採用してもよい。この場合、変形しにくい部分を第1部分と第2部分に用いると共に変形しやすい部分を第1部分と第2部分との間の部分(例えば接続部等)に用いることで、第1部分と第2部分とを対向させることができる。
ハーネス部54は、適宜省略してもよい。また、ハーネス部として機能する延出部は、二つ以上であっても構わない。
光学スケール11の信号トラックT1の具体的なパターン及び検出部35に設けられる偏光層PP1〜PP4のパターンは適宜変更可能である。係るパターンは、被検出領域に設けられて偏光を生じさせる構成(例えば光学スケール11)のパターンと、検出に際して光を通過させる構成(例えば偏光層)パターンとの関係を考慮して決定される。
被検出領域に設けられる構成は、偏光を生じさせる光学スケール11に限られない。例えば、光学スケール11に代えて、ロータ10の回動角度に応じて選択的に光を通過又は透過させる孔又は透過部が設けられた板状の部材が設けられてもよい。この場合、ロータ10の回動角度の変化は、検出部により光が検出される位置やタイミングの変化として現れる。係る検出部は、偏光層PP1〜PP4を有しなくてもよい。センサから光が検出される位置を示す信号が出力されることで、シャフト12に連結された回転機械の角位置を検出することができる。
また、検出対象としての電磁波は、発光ダイオードからの光やレーザ光に限られない。検出対象としての電磁波は、赤外線や紫外線等の不可視光、X線等であってもよい。また、検出対象は磁力であってもよい。この場合、発生部は、磁力による磁場、磁界を発生させる。検出部は、被検出領域における物理量の変化(例えば物体の通過等)により生じる磁力に係る変化を検出することで、センシングを行う。検出対象が磁力であることで、磁力の変化により被検出領域における変化を検出することができる。また、検出対象は、電磁波や磁力の他に、超音波を含む音波、プラズマ等のイオン、陰極線(電子線)等であってもよい。検出対象は、被検出領域に設けられる構成の物理量の変化により変化が生じるものであればよい。
物理量の変化は、被検出領域に存する直動体の直動によってもよい。この場合、直動体の直動をセンサによるセンシングの対象にすることができる。また、センサは、リニアエンコーダとして機能することができる。具体的には、第1部分51及び第2部分52に対して相対的に被検出領域内を直動する構成(例えばスケール等)により生じる検出対象の変化を検出部が検出することでリニアエンコーダとして機能するセンサは、当該構成の直動に関するセンシングを行う。従って、本発明によりエンコーダに連結された直動体の動作の有無及び動作位置を検出することができる。
また、物理量の変化は、被検出領域に存する気体、液体又は固体の濃度又は量の変化によってもよい。この場合、センサは、これらの濃度又は量(例えば被検出領域を通過する通過量、流量等)を検出するセンサとして機能する。なお、固体の濃度又は量は、例えば被検出領域を通過する粒子、粉じん、小片等の微小物の単位空間体積あたりの濃度又は量である。また、固体の濃度又は量は、液体中に含まれる微小物の量又は濃度であってもよい。この場合、検出対象には例えば光等の電磁波が用いられる。このように、本発明は、被検出領域に存する気体、液体又は固体の濃度又は量の変化をセンサによるセンシングの対象にすることができる。
(実施形態2)
センサは、トルクセンサであってもよい。すなわち、本発明によりトルクを計測することができる。以下、トルクセンサとして機能する実施形態2について説明する。図22は、実施形態2に係るトルクセンサ101の主要構成部品を説明するための分解斜視図である。図23は、実施形態2に係るトルクセンサ101の発生部41AT,41BT、光学スケール11AT,11BT及び検出部の配置を説明する説明図である。図24は、実施形態2に係るトルクセンサの光学スケール及び検出部の配置を模式的に説明する説明図である。図22から図24を用いて、トルクセンサ101について詳細に説明する。
トルクセンサ101は、ハウジング120内に、第1の回転軸110Aと、第2の回転軸110Bと、トーションバー129と、光学スケール11ATと、検出部35ATと、光源41ATと、光学スケール11BTと、検出部35BTと、光源41BTとを含む。トルクセンサ101は、アキシャル型トルクセンサとよばれる。
トーションバー129は、一端部が第1の回転軸110Aに、他端部(第1の回転軸110Aに取り付けられる側の端部とは反対側の端部)が第2の回転軸110Bに取り付けられる。つまり、トーションバー129の一端部には第1の回転軸110Aが設けられ、他端部には第2の回転軸110Bが設けられる。第1の回転軸110Aは、例えば入力軸に連結される。また、第2の回転軸110Bは、出力軸に連結される。第1の回転軸110A及び第2の回転軸110Bは、ハウジング120に、軸受126A、軸受126Bを介して回転可能に支持される。
なお、トルクセンサ101は、第1の回転軸110Aを入力軸と一体に、第2の回転軸110Bを出力軸と一体に形成してもよい。上記構成により入力軸と、第1の回転軸110Aと、トーションバー129と、第2の回転軸110Bと、出力軸とは同軸に配置される。実施形態2において、第1の回転軸110Aとトーションバー129の一端部とは回転不動に結合され、また、トーションバー129の他端部と第2の回転軸110Bとは回転不動に結合される。トーションバー129は、トルクが入力されることでねじれが発生する。つまり、第1の回転軸110Aを介して入力されたトルクによって、第1の回転軸110Aと、第2の回転軸110Bとの間に回転変位が生じ、トーションバー129にねじれが発生する。
第1の回転軸110Aは、略円筒形状の部材である。第1の回転軸110Aは、光学スケール11ATが外周部に形成される。実施形態2では、光学スケール11ATは、第1の回転軸110Aの外周から突出し第1の回転軸110Aの周方向に向かって円環状に配置されている。
第2の回転軸110Bは、略円筒形状の部材である。第2の回転軸110Bは、光学スケール11BTが外周部に形成される。実施形態2では、光学スケール11BTは、第2の回転軸110Bの外周から突出し第2の回転軸110Bの周方向に向かって円環状に配置されている。
図22〜図24に示すように、第1の回転軸110A及び第2の回転軸110Bの外側には、第1の回転軸110A及び第2の回転軸110Bの回転軸Zr方向に向かって、少なくとも2組の、発生部として機能する光源41AT、41BT及び検出部として機能するセンサ31AT、31BTが配列されて設けられる。実施形態2では、2組の発生部及び検出部として2組の光源41AT(41BT)及び光学センサ35AT(35BT)が設けられるが、光源及び光学センサの数はこれに限定されるものではない。光源41AT、41BT及び光学センサ35AT、35BTは、例えば同一光源及び光学センサが組み合わされて対を構成し、ハウジング120内に配置される。
各組の光源及び光学センサは、一つの基板に設けられる。すなわち、センサ31ATの基板50ATは、発生部として機能する光源41ATが設けられる第1部分51ATと検出部として機能する光学センサ35ATが設けられる第2部分52ATとが一体である。また、センサ31BTの基板50BTは、発生部として機能する光源41BTが設けられる第1部分51BTと検出部として機能する光学センサ35BTが設けられる第2部分52BTとが一体である。光源41ATと光学センサ35ATとの間の被検出領域には、光学スケール11ATが位置する。光源41BTと光学センサ35BTとの間の被検出領域には、光学スケール11BTが位置する。
基板50ATは、第1部分51ATと第2部分52ATとを接続する接続部53ATを有する。基板50BTは、第1部分51BTと第2部分52BTとを接続する接続部53BTを有する。基板50ATは、接続部53ATが光学スケール11ATの外周より外側に位置し、第1部分51ATに設けられた光源41ATと第2部分52ATに設けられた光学センサ35ATとが被検出領域で光学スケール11ATを挟むことができる位置に設けられる。基板50BTは、接続部53BTが光学スケール11BTの外周より外側に位置し、第1部分51BTに設けられた光源41BTと第2部分52BTに設けられた光学センサ35BTとが被検出領域で光学スケール11BTを挟むことができる位置に設けられる。接続部53AT,53BTは、上記の実施形態1と同様に、発生部又は検出部に接続される配線を有していてもよい。その他、基板50AT,50BTに係る具体的構成は、上記の実施形態1における基板50と同様であってよい。すなわち、基板50AT,50BTは、基板50と同様であってよい。また、第1部分51AT,51BTは、第1部分51と同様であってよい。また、第2部分52AT,52BTは、第2部分52と同様であってよい。また、接続部53AT,53BTは、接続部53と同様であってよい。基板50AT,50BTの各部の具体的形状等、本発明の発明特定事項を満たす範囲内でのより具体的な構成は、実施形態1における基板50の具体的な構成と異なっていてもよい。
トルクセンサ101は、トーションバー129で連結された第1の回転軸110Aと第2の回転軸110Bとの相対的な変位(回転変位)を、光学スケール11ATを読み取るセンサ31AT又は光学スケール11BTを読み取るセンサ31BTの検出変化に反映させて検出するものである。
光学スケール11AT、11BTは例えば、シリコン、ガラス、高分子材料などで形成されている。光学スケール11AT、11BTは、信号トラックT1を一方または両方の板面に有している。そして、図23及び図24に示すように、光源41ATは、光学スケール11ATを介して、光学センサ35ATと対向する位置に配置されている。また、光源41BTは、光学スケール11BTを介して、光学センサ35BTと対向する位置に配置されている。
図25は、実施形態2に係るトルクセンサの光学スケール及び光学センサの配置を説明する説明図である。図25に示す光学センサ35ATは、光学スケール11ATの信号トラックT1を読み取り可能であり、光源41ATは、光学スケール11ATを介して、光学センサ35ATと対向する位置に配置されている。この構成により、光源41ATの光源光71ATが光学スケール11ATの信号トラックT1を透過し、この透過した透過光73ATを入射光として光学センサ35ATが検知する。光学センサ35BTと、光学スケール11BTと、光源41BTとの関係も光学センサ35ATと、光学スケール11ATと、光源41ATとの関係と同じである。この構成により、光源41BTの光源光71BTが光学スケール11BTの信号トラックT1を透過し、この透過した透過光73BTを入射光として光学センサ35BTが検知する。
第1の回転軸110Aが回転すると、光学スケール11ATの信号トラックT1が光学センサ35ATに対して相対的に移動する。また、第2の回転軸110Bが回転すると、光学スケール11BTの信号トラックT1が光学センサ35BTに対して相対的に移動する。
図26は、実施形態2に係るトルク検出装置のブロック図である。トルク検出装置200は、上述したトルクセンサ101と、演算装置3Aと、を備えており、図26に示すように、トルクセンサ101の光学センサ35AT、光学センサ35BT、及び演算装置3Aが接続されている。演算装置3Aは、モータ等の回転機械の制御部5Aと接続されている。
トルク検出装置200は、光学スケール11AT、光学スケール11BTに光源光71AT、71BTが透過して入射する透過光73AT、73BTを光学センサ35AT、光学センサ35BTで検出する。演算装置3Aは、光学センサ35ATの検出信号からトルクセンサ101の第1の回転軸110Aとセンサ31ATとの相対位置を演算する。演算装置3Aは、光学センサ35BTの検出信号からトルクセンサ101の第2の回転軸110Bとセンサ31BTとの相対位置を演算する。
演算装置3Aは、RAM4E及び内部記憶装置4Fにトーションバー129におけるねじれの弾性係数を記憶している。トルクは、トーションバー129におけるねじれの弾性係数に比例する。このため、演算装置3Aは、ねじれを求めるために、第1の回転軸110Aの回転角度と第2の回転軸110Bの回転角度の回転変位(ずれ量)を演算する。そして、演算装置3Aは、トーションバー129の弾性係数と、第1の回転軸110A及び第2の回転軸110Bの相対位置の情報からトルクを演算することができる。演算装置3Aは、制御信号として、回転機械(モータ)等の制御部5Aへ出力する。
演算装置3Aは、パーソナルコンピュータ(PC)等のコンピュータであり、入力インターフェース4Aと、出力インターフェース4Bと、CPU(Central Processing Unit)4Cと、ROM(Read Only Memory)4Dと、RAM(Random Access Memory)4Eと、内部記憶装置4Fと、を含んでいる。入力インターフェース4A、出力インターフェース4B、CPU4C、ROM4D、RAM4E及び内部記憶装置4Fは、内部バスで接続されている。なお、演算装置3Aは、専用の処理回路で構成してもよい。
入力インターフェース4Aは、トルクセンサ101の光学センサ35AT及び光学センサ35BTからの入力信号を受け取り、CPU4Cに出力する。出力インターフェース4Bは、CPU4Cから制御信号を受け取り、制御部5Aに出力する。
ROM4Dには、BIOS(Basic Input Output System)等のプログラムが記憶されている。内部記憶装置4Fは、例えばHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等であり、オペレーティングシステムプログラムやアプリケーションプログラムを記憶している。CPU4Cは、RAM4Eをワークエリアとして使用しながらROM4Dや内部記憶装置4Fに記憶されているプログラムを実行することにより、種々の機能を実現する。
内部記憶装置4Fには、例えば光学スケール11AT及び光学スケール11BTによる偏光方向と光学センサ35AT、35BTの出力とを対応付けたデータベース等が記憶されている。
図27は、実施形態2に係る光学スケール11AT,11BTのワイヤーグリッドパターンの一例を示す説明図である。図27に示す信号トラックT1は、実施形態1に係る光学スケール11の信号トラックT1と同様である。すなわち、光学スケール11AT,11BTは、信号トラックT1として、隣り合う金属細線gを平行に直線的に配置している。ただし、実施形態2に係る光学スケール11AT,11BTは、トーションバー129を挿通させるための孔をさらに有する点で、実施形態1に係る光学スケール11と異なる。
実施形態2に係る発生部(光源41AT,41BT)及び検出部(光学センサ35AT,35BT)は、例えば実施形態1に係る発生部41及び検出部35と同様の構成であるが、一例であってこれに限られるものでない。例えば、実施形態2に係る光学センサ35AT,35BTは、実施形態1に係る検出部35の一部分を用いた構成であってもよい。具体的には、例えば実施形態2に係る光学センサ35AT,35BTは、図12に示す構成のうち偏光層PP1を有する第1受光部PD1及び偏光層PP3を有する第3受光部PD3が省略された構成であってもよい。また、実施形態2に係る光学センサ35AT,35BTは、図12に示す構成のうち、偏光層PP2を有する第2受光部PD2及び偏光層PP4を有する第4受光部PD4が省略された構成であってもよい。
トルク検出装置200は、トーションバーのねじれを利用してトルクを検出するものである。第1の回転軸110A及び第2の回転軸110Bは、トルクが入力されることでねじれが発生するトーションバー129で連結されている。そして、トルク検出装置200は、第1の回転軸110A及び第2の回転軸110Bのそれぞれの回転に対応して連動する光学スケール11AT及び光学スケール11BTと、光学スケール11AT及び光学スケール11BTと対をなし、かつ光学スケール11AT及び光学スケール11BTに照射される光源光が透過する位置によって変化する透過光の偏光状態を検出する光学センサ35AT及び35BTとを含む。トルク検出装置200は、演算手段である演算装置3Aが、光学スケール11ATと光学センサ35ATとの相対的な回転角度を演算しかつ光学スケール11BTと光学センサ35BTとの相対的な回転角度を演算し、第1の回転軸110A及び第2の回転軸110Bの回転変位を演算する。
この構成により、光学センサは、第1の回転軸及び第2の回転軸のそれぞれの回転に対応して連動する複数の光学スケールの回転角度を、透過光を偏光分離した偏光状態で検出する。このため、透過光の光強度を直接検出する場合に比較して、トルク検出装置は、光学式トルクセンサを用いても異物等による検出光量の変動の影響を低減することができる。これにより、異物の許容範囲が広くなるため使用環境を広げることができる。また、トルク検出装置は、実施形態2に係るトルクセンサのように光学式のトルクセンサを用いても光路(光学スケールから光学センサまでの距離)の精度による検出光量の変動の影響を低減することができる。その結果、光源及び光学センサの配置に自由度を与えることができる。これにより、トルク検出装置のトルクセンサは、小型とすることもできる。また、トルク検出装置は、磁気式トルクセンサに比較して、分解能を高くすることができる。
上記で説明したトルクセンサでは、ハーネス部の図示が省略されているが、配線に応じて第1部分51AT(51BT)、第2部分52AT(52BT)及び接続部53AT(53BT)の少なくともいずれか一部分から延出するようにしてもよい。
トルクセンサにおける光学センサ35AT,35BTは、別の形態であってもよい。図28は、実施形態2に係る光学センサの変形例を説明するための説明図である。図29は、実施形態2に係る光学センサの変形例を説明するための説明図である。図28に示すように、光学センサは、第1の光学センサ36Aと、第2の光学センサ36Bとを含む。第1の光学センサ36Aは、電極基部36KAと、電極基部36KAと接続するセンサ基部36Kaと、第1受光部36aと、を含み、第1の偏光方向の光強度を検出することができる。第1受光部36aは、入射光を第1の偏光方向に分離する第1偏光層を備えており、この第1偏光層で分離した第1分離光を受光する。
第2の光学センサ36Bは、電極基部36KBと、電極基部36KBと接続するセンサ基部36Kbと、第2受光部36bと、を含み、第2の偏光方向の光強度を検出することができる。第2受光部36bは、上述した入射光を第2の偏光方向に分離する第2偏光層を備えており、この第2偏光層で分離した第2分離光を受光する。そして、図28に示すように、第1受光部36aと第2受光部36bとは、互いに一定距離を隔てて噛み合う櫛歯状に形成されている。なお、電極基部36KA、電極基部36KBは、Au等の導電体で構成され、第1受光部36a及び第2受光部36bにそれぞれ通電可能としている。第1の偏光方向と第2の偏光方向とは、相対的に90°異なる方向であることがより好ましい。これにより、偏光角度の演算がより容易になる。
トルクセンサにおける光学センサ35AT,35BTは、外形が矩形だけでなく、図29に示すように、外径が円弧に沿った形状であってもよい。例えば、入射する入射光が円形である場合、第1受光部36aと第2受光部36bとは、入射光に対して同程度受光することができる。
なお、トルクセンサにおいて被検出領域に設けられる構成についても、ロータリエンコーダの場合と同様、偏光を生じさせる光学スケール11AT,BTに限られず、適宜変更可能である。例えば、光学スケール11AT,BTに代えて、第1の回転軸110A、第2の回転軸110Bの回動角度に応じて選択的に光を通過又は透過させる孔又は透過部が設けられた板状の部材が設けられてもよい。この場合、回動角度の変化は、検出部により光が検出される位置やタイミングの変化として現れる。係る検出部は、偏光層を有しなくてもよい。