JP4686667B2 - 光学式エンコーダ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、極小型モータに使用される光学式エンコーダに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の多機能化や省スペース化に伴い、電子機器内部に設置される部品の小型・軽量化が望まれている。これは、電子機器内部でモータの回転数、回転方向、回転位置等を測定するエンコーダ部においても、例外ではない。エンコーダは、一般的には(a)リラクタンス式、(b)光学式、(c)磁気記録式などがあるが、小型モータに対しては、光学式が用いられることが多く、特に図4(b)のインクリメンタル型と呼ばれるものが用いられている。
【0003】
光学式エンコーダは、図4(b)に概要を示すように、モータ110の回転軸に直結し、スリットパターンを有する回転板103と、該回転板103に対向配置され、開口スリットを有する固定板104と、これら回転板103および固定板104とを挟んで互いにほぼ対向して配置される発光素子101および受光素子102とを備えている。
【0004】
そして、この光学式エンコーダ100は、発光素子101と受光素子102とが、固定板104および回転板103に設けられた各スリットの開閉を検出することに基づいて、モータ110の回転数、回転方向、回転位置などの測定を行っている。上記構成の光学式エンコーダ100の外形形状は、通常、モータ110の外径とほぼ同径の円筒形状となっていた。
【0005】
しかしながら、現在のモータにおいては、外径が5mm以下の小径小型モータが開発されているが、該小径小型モータに光学式エンコーダを上記構成のままで設けたとしても、設計上、発光素子および受光素子の取付スペースの制約により、光学式エンコーダの外径を小型モータの外径とほぼ同径にするのは事実上困難であった。
【0006】
一方、機器筐体側において小型モータおよびエンコーダが設置される場所は、必ずしも円筒内空間であることは少なく、ほとんどの場合、あるギャップを有し、奥行き方向に広がった空間部分であることが多い。
【0007】
そこで、本発明者らは、光学式エンコーダの外形を円筒形状でなく、略直方体形状とし、少なくとも小型モータの回転軸に垂直な断面の一組の対向する辺が、小型モータの外径寸法と略同等とすることを考案した。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述した観点から光学式エンコーダを小型化するにあたって、例えば、図3に示すような構成の光学式エンコーダ201が提案された。
【0009】
この光学式エンコーダ201には、2枚の板状のプリント配線基板301、302(例えば、ガラスエポキシ樹脂基板等)が、小型モータ220の回転軸221の反出力側に取り付けられる回転板202と、該回転板202に対向するように配置される固定板203とを挟むように対向配置されている。この両プリント配線基板301、302はジャンパー線209,…を介して、互いに電気伝導可能に接続されている。
【0010】
プリント配線基板301には、A相の位相を検出するための発光素子204と受光素子206とが互いに対向するように設置されるとともに、他方のプリント配線基板302には、B相の位相を検出するための発光素子205と受光素子207とが互いに対向するように設置されている。また、プリント配線基板301には、各発光素子および各受光素子に電力供給するための電源線211,211や、各素子に対して信号を入出力するための信号線210,210,…や、チップ抵抗212などが備えられている。
【0011】
このような構成であれば、少なくとも回転軸221にほぼ垂直な断面の互いに対向する一組の辺(図3に示すL寸法)が、小型モータ220の外径とほぼ同等の直方体形状の光学式エンコーダ201、つまり設置空間を小さくした光学式エンコーダを提供することができる。
【0012】
しかしながら、上記構成の光学式エンコーダ201であると、プリント基板301、302に各部品(ジャンパー線209,…、チップ抵抗212、電源線211,211、信号線210,210,…、発光素子204,205、受光素子206,207)を半田接続しなければならないため工数が多くなってしまう。また、上記各部品をプリント基板301、302に固定するため、半田付け個所も多くなってしまい、それに伴って、半田不良、繰り返し応力による半田割れ、剥離等が生じる確率が増加し、品質的に不利な面があった。
【0013】
また、ジャンパー線209,…や電源線211、211、信号線210、210,…を配置する空間(図3に示すS×L×Dの基板ハッチング部分間の空間)が必要となってしまうため、光学式エンコーダの小型化の弊害となっていた。
【0014】
本発明の課題は、小型化を向上させながらも、製造工程を簡略化でき、さらには品質の向上をも可能とする光学式エンコーダを提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明では、例えば図1に示すような光学式エンコーダ1であって、スリットパターンが形成された回転板2と、該回転板を挟んで互いにほぼ対向して配置される発光素子4、5および受光素子6、7と、該発光素子および受光素子とが設置される配線基板10とを備え、前記配線基板が、薄葉状のフレキシブルな基板にプリント配線を設けたものとされ、かつ、前記回転板の周囲の異なる位置に該回転板とほぼ直角となるように配置される少なくとも二つの素子取付平面部(例えば、下面部13、上面部14)と、これら素子取付平面部同士を繋ぐ接続平面部15とを互いに連続した状態に備え、前記発光素子および受光素子が前記素子取付平面部に取り付けられるとともに、前記受光素子が少なくとも二つ備えられ、かつ、二つの受光素子がそれぞれ異なる素子取付平面部に取り付けられることとした。
【0016】
この請求項1記載の発明によれば、フレキシブルな配線基板が、少なくとも二つの素子取付平面部と、これら素子取付平面部同士を繋ぐ接続平面部とを連続した状態で備えているので、離間する素子取付平面部同士をジャンパー線等によって接続しなくとも、プリント配線により、二つの素子取付平面部と接続平面部の三者を互いに電気伝導が可能な状態にすることができる。つまり、従来提案された光学式エンコーダで必要であったジャンパー線などを配置する場所も不要となるため、光学式エンコーダをさらに小型化することが可能となる。
【0017】
しかもジャンパー線が不要となることから部品点数は減り、それに伴って配線基板に対する半田付けも削減でき、製造過程の工数を大幅に低減することができる。なおかつ、半田箇所が削減されることにより、半田付けに起因した品質不良を抑制することができる。
【0018】
また、一体型の配線基板10がコネクタを備え、該配線基板10が信号線や電源線の機能を兼ね備えているので、個別の電源線や信号線なども不要となり、部品点数をさらに減少させることができる。これに伴い配線基板に対する半田付けも減少するため、製造過程の工数あるいは半田付けに起因した品質不良を大幅に低減することができる。
【0019】
つまり、従来では必要であった複数本のジャンパー線、電源線、信号線などを配置する場所(図3に示すS×L×Dの基板ハッチング部分間の空間)が不要となるため、光学式エンコーダをさらに小型化することが可能となる。しかもジャンパー線、電源線、信号線が不要となることから部品点数は減り、それに伴って配線基板に対する半田付けも大幅に削減でき、製造過程の工数あるいは半田付けに起因した品質不良を低減することができる。
【0020】
さらに、受光素子が少なくとも二つ備えられ、かつ、二つの受光素子がそれぞれ異なる素子取付平面部に取り付けられているので、各受光素子がある程度の大きさであっても、互いが邪魔とならない位置に容易に配置することができる。また、発光素子側は、仮に発光が平行光であれば、ある程度の大きさのものを一つ配置とすることも可能である。そして、フレキシブルな基板によって配線基板が形成されているので、配線基板を上記のような構成に容易に形成することができる。
【0021】
ここで、発光素子とは、光を発光するものであり、例えば、発光ダイオード、レーザダイオードなどが挙げられる。また受光素子とは、光を受光した際に信号を出力するものであり、例えば、フォトトランジスタ、フォトICなどが挙げられる。
【0022】
また請求項2記載の発明では、請求項1記載の光学式エンコーダにおいて、前記回転板2が小型モータ20の回転軸21の反出力軸側に接続された状態で、これを囲む前記配線基板となる二つの素子取付平面部と、該素子取付平面部同士を繋ぐ接続平面部とを内包する直方体のエンコーダ構成空間部の寸法形状が、前記回転軸に垂直な面で見たとき、断面形状が長方形であり、該長方形の少なくとも前記素子取付平面部が配置された一組の対向する辺の長さが、前記小型モータの外径寸法と等しいかもしくは近似する長さであることとした。
【0023】
この請求項2記載の発明によれば、前記配線基板を内包する直方体のエンコーダ構成空間部の寸法形状が、前記回転軸に垂直な面で見たとき、断面形状が長方形であり、長方形の少なくとも前記素子取付平面部が配置された一組の対向する辺の長さが、前記小型モータの外径寸法と等しいかもしくは近似する長さとなるので、小型モータの外径とほぼ等しい寸法の間隔の設置場所に、配置することができる。
【0024】
つまり、前記断面は、対向する二辺間のうち少なくとも一つの間隔が、小型モータの外径と等しいかもしくは近似する長さとなる長方形状、または正方形状に形成することができる。したがって、前記光学式エンコーダおよび小型モータを設置する場所が、例えば、小型モータの外径寸法と同じ寸法か、それよりも僅かに長い幅寸法を有する隙間であれば、該隙間に前記光学式エンコーダおよび小型モータを配置し入れ込むことができる。
【0025】
さらに請求項3記載の発明では、請求項2記載の光学式エンコーダにおいて、前記断面の少なくとも前記素子取付平面部が配置された一組の対向する辺の長さが、5mm以下であることとした。
【0026】
この請求項3記載の発明によれば、前記断面の少なくとも前記素子取付平面部が沿った一組の対向する辺の長さが5mm以下であるので、外径が5mm程度もしくはそれ以下、実質的に外径4〜2mmの小型モータに対しても、請求項1や請求項2と同等の効果を有する光学式エンコーダとすることができる。
【0027】
また請求項4記載の発明では、請求項1から3記載のいずれか一つに記載の光学式エンコーダにおいて、前記配線基板等の部品を支持する構造体22を備え、一枚の前記配線基板10が、それぞれ先端部に素子取付平面部を有する少なくとも二つの股部11、12に分岐した二股形状を有し、平面を折り曲げた連続した二つの素子取付平面部13、14がほぼ対向配置されるように前記配線基板の各素子取付平面部が構造体に固定され、所定形状に保持されていることとした。
【0028】
この請求項4記載の発明によれば、二股形状に分岐した股部から先の素子取付平面部を構造体に位置決め固定して所定形状とすることで、配線が接続された状態で容易に素子取付平面部を対向配置することができる。また、股部先端側が構造体に固定されることにより、素子取付平面部及び配線基板は所定形状に保持され、光学式エンコーダの外形形状を保ち続けることができる。
【0029】
さらに請求項5または請求項6記載の発明では、請求項1〜4記載のいずれかに記載の光学式エンコーダを備えたマイクロモータ、あるいは加えて減速機構が設けられたマイクロモータとした。
【0030】
この請求項5または請求項6記載の発明によれば、小径小型の光学式エンコーダ付きマイクロモータとして適用でき、さらに減速機構を加えて、より高精度な制御を必要とするエンコーダ付きマイクロモータとすることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図1および図2の図面を参照しながら説明する。
【0032】
本発明の構成は、2相信号を出力する光学式エンコーダにおいて適用が可能であり、以下本実施の形態では、この2相信号を出力する光学式エンコーダに適用した場合について詳細に説明する。
【0033】
この実施の形態の光学式エンコーダ1は、図1に示すように、外径が5mm以下、実際にはハウジング外径4mmの小型モータ20の反出力軸側に連接されており、その外方を薄厚の絶縁用ケース(図示省略)によって覆われている。
【0034】
光学式エンコーダ1は、その外形が略直方体形状であり、小型モータ20の回転軸21と垂直な断面の少なくとも一組の対向する辺の長さが、小型モータ20の外径と等しいかもしくは近似する長さを有する略長方形形状に設定されている。なお、前記断面は略正方形状でもよい。
【0035】
この光学式エンコーダ1には、小型モータ20の回転軸21の反出力軸側に取り付けられる円板状の回転板2と、該回転板2と対向するように配置された固定板3と、該回転板2および固定板3を挟んで互いにほぼ対向して配置される発光素子4、5および受光素子6、7と、これら発光素子4、5および受光素子6、7が設置される素子取付平面部13、14を含む配線基板10(概略全体をハッチングで示す)と、該配線基板10を固定する構造体22とが備えられている。
【0036】
回転板2は、小型モータ20の回転軸21に対して垂直同軸となるように、該回転軸21に取り付けられている。この回転板2には、発光素子4、5からの光を小型モータ20の回転と同期するように遮断/透過させるための複数のスリットパターン(図示省略)が外周に沿って等間隔で設けられている。
【0037】
固定板3には、回転板2のスリットを介して入射された光を選択的に受光素子6、7へと透過させる二つの開口スリット3a、3bが設けられており、一方のスリット3aに対して、他方のスリット3bが回転軸21を中心に90度ずれる位置に配置されている。
【0038】
発光素子4、5は、固定板3のスリット3a、3bのそれぞれに対向するように二つ設けられており、該スリット3a,3bに向かって発光している。
【0039】
受光素子6、7は、発光素子4、5が発光する光を回転板2のスリットパターンおよび固定板3の開口スリット3a、3bを介して受光し、該受光に基づいて信号を出力するものである。この二つの受光素子の一方がA相の位相を検出するためのものであり、また、他方がB相の位相を検出するためのものである。
【0040】
配線基板10は、薄葉状のフレキシブルな基板に配線を設けたものであり、例えば、可撓性を有するプラスチックフィルム(ポリイミド、ポリエステル)の上に導体パターンを形成したフレキシブルプリント基板(FPC:Flexible Printed Circuit)などが挙げられ、このフレキシブルプリント基板は折り曲げや屈曲、可動部配線を可能にしている。
【0041】
この配線基板10は、図2に示すように、小型モータの外径と等しいかもしくは近似する寸法帯幅を有する帯状のフレキシブルプリント基板によって形成されている。この配線基板10は、長手方向先端に向けてかぎ裂き状の切り込み16が設けられており、該切り込み16によって先端部が二つに分岐した二股形状となっている。また、この配線基板10の後端側には、コネクタ(二重線で図示省略)が備えられており、各素子の電源線や信号線を個々に取り付けなくとも、プリント配線により、ソケット式で発光素子4、5や受光素子6、7に対する電力や信号の送受を可能としている。
【0042】
切り込み16は、配線基板10の所定の位置に設けられた円孔部17と、該円孔部17から先方に向かって逆L字状に切り込まれた第一切り込み部18と、該第一切り込み部18の端部から先方に向かってさらにL字状に切り込まれた第二切り込み部19とから構成されている。そして、切り込み16よりも先方の部分は、配線基板の幅を小さく形成されている。
【0043】
この切り込み16によって分岐した部分(股部11、12)の両先端部にはそれぞれ各素子(発光素子4、5、受光素子6、7)が接続される各素子接続孔8,…が設けられている。そしてこの二股両先端部は、それぞれ長方形状となっており、一方の股部11の長方形状部分を、A相検出用の発光素子5および受光素子7を設置する下面部(素子取付平面部)13とし、もう一方の股部12の長方形状部分を、B相検出用の発光素子4および受光素子6を設置する上面部(素子取付平面部)14としている。
【0044】
つまり、下面部13と上面部14は、これら以外の部分(接続平面部15、およびコネクタまでの省略部分)によって一つの平面を折り曲げた連続した状態で繋がれることとなり、互いに電気伝導可能な状態となる。
【0045】
そして、図1に示すように、配線基板10のY軸方向に設けられているコネクタ部(図示省略)から続く股部11、12、及び接続平面部15に対して、下面部13および上面部14が略垂直となるように、図2に示す破線A、B箇所にてZ軸方向に折り曲げると、下面部13および上面部14は、互いに対向した面配置となり、その全体の外形形状は、図1に示すハッチング部のようになる。このとき、少なくともX軸と平行な一組の対向する辺が、小型モータ20の外径寸法と等しいかもしくは近似する長さの略直方体形状に形成される。つまり、この配線基板10のX軸方向の寸法幅によって光学式エンコーダ1の目的とする最小寸法はほぼ決定する。
【0046】
要するに配線基板10は、下面部13および上面部14が、回転板2および固定板3に対して略垂直となるように小型モータ20の反出力軸側に設置される。よって下面部13および上面部14は、外形が形成する回転軸に垂直な断面の辺に沿って配置され、該下面部13および上面部14が沿うX軸と平行な辺の長さは、配線基板10の帯幅と同等、すなわち小型モータ20の外径と等しいかもしくは近似する長さとなる。
【0047】
図1に仮想的に二点鎖線で示す構造体22は、配線基板10の下面部13および上面部14を固定し、股部11、12の外形を略直方体形状から続くコネクタ接続方向に形状を保ち続けるものである。また、この構造体22は、発光素子4、5および受光素子6、7を所定の位置で保持固定し、該発光素子4、5および受光素子6、7の光軸ズレを防止している。
【0048】
以上のように、本実施の形態の光学式エンコーダ1によれば、配線基板10が、回転板2の周囲の異なる位置に該回転板2とほぼ直角となるように配置される下面部(素子取付平面部)13および上面部(素子取付平面部)14と、これら下面部13および上面部14同士を繋ぐ接続平面部15とを連続した状態で備えているので、離間する下面部13および上面部14同士をジャンパー線等によって接続しなくとも、下面部13と上面部14と接続平面部15との三者を互いに電気伝導が可能な状態にすることができる。
【0049】
つまり、従来例では必要であった複数本のジャンパー線、電源線、信号線を配置する場所(図3のS×D×L空間)が不要となるため、光学式エンコーダをさらに小型化することが可能となる。しかも多数のジャンパー線が不要となることから部品点数は減り、それに伴って配線基板に対する半田付けも大幅に削減でき、製造過程の工数を低減することができる。
【0050】
また、配線基板10がコネクタを備え、該配線基板10自身が信号線や電源線の機能を兼ね備えているので、電源線や信号線などの配線も不要となり、部品点数をさらに減少させることができる。これに伴い配線基板に対する半田付けも減少するために、製造過程の工数を大幅に低減することができる。
【0051】
なおかつ、半田箇所が削減されることにより、半田付けに起因した品質不良を抑制することができ、半田付け部の総表面積も削減され、ハウジングケースに対する電気絶縁も向上させることができる。従って、光学式エンコーダ自体の品質を向上できる。
【0052】
さらに、A相の検出を行う発光素子5および受光素子7と、B相の検出を行う発光素子4および受光素子6とがそれぞれ異なる素子取付平面部(下面部13、上面部14)に取り付けられているので、各受光素子および発光素子がある程度の大きさであっても、互いが邪魔とならない位置に配置することができる。そして、フレキシブルプリント基板によって配線基板10が形成されているので、配線基板10を上記のような構成形態に容易に形成することができる。
【0053】
また構造体22に下面部13および上面部14を固定することにより、下面部13および上面部14が所定位置に保持固定されるとともに、下面部13および上面部14が対向配置されつつ、光学式エンコーダの外形形状を保ち続けることができる。また、フレキシブルプリント基板に切り込み16を入れて曲げる構成としているので、容易に下面部13と上面部14とを所定の距離をおいて対向配置することができる。
【0054】
なお、本実施の形態では、固定板3を設け、この固定板3の開口スリットによって発光素子4、5からの光を選択的に受光素子6、7へと透過させる構成としたが、固定板3を設けなくてもよく、例えば、回転板のスリットパターンの数を減らすとともに、発光範囲の狭い発光素子を用いることで、回転板のスリットパターンによって選択的に受光素子へと光を透過させる構成としてもよい。
【0055】
また、本実施の形態では、A相およびB相の位相を検出するために、受光素子および発光素子を互いに二つずつ設ける構成としたが、発光素子側を一つとして受光素子側を二つとしてもよい。
【0056】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図されることは言うまでもない。
【0057】
【発明の効果】
本発明(請求項1)によれば、離間する素子取付平面部同士をジャンパー線等によって接続しなくとも、二つの素子取付平面部と接続平面部の三者を互いに電気伝導が可能な状態にすることができる。つまり、従来提案された光学式エンコーダでは必要であったジャンパー線などを配置する基板上の場所も不要となるため、光学式エンコーダをさらに小型化することが可能となる。しかもジャンパー線、電源線、信号線が不要となることから部品点数は減り、それに伴って配線基板に対する半田付けも削減でき、製造過程の工数を低減することができる。
【0058】
また、半田箇所が削減されることにより、半田付けに起因した品質不良を抑制することができる。さらに、各受光素子がある程度の大きさであっても、互いが邪魔とならない位置に上下方向から容易に配置することができる。そして、フレキシブルな基板によって配線基板が形成されているので、配線基板を上記図1のような構成に容易に形成することができる。
【0059】
本発明(請求項2)によれば、請求項1と同様の効果が得られる他、光学式エンコーダおよび小型モータを設置する場所が、例えば、小型モータの外径よりも僅かに長い長さの幅を有する隙間であれば、該隙間に前記光学式エンコーダおよび小型モータをそこに入れ込むことができる。
【0060】
本発明(請求項3)によれば、請求項2と同様の効果が得られる他、外径が5mm程度もしくはそれ以下、実際には外径4〜2mmの小径小型モータに対しても、請求項1や請求項2と同等の効果を有する光学式エンコーダを取り付けることができる。
【0061】
本発明(請求項4)によれば、請求項1〜3の何れか一つと同様の効果が得られる他、配線が接続された状態で容易に素子取付平面部を対向配置することができ、また、光学式エンコーダの外形形状を保ち続けることができる。
【0062】
本発明(請求項5または請求項6)によれば、小径小型の光学式エンコーダ付きマイクロモータとして適用でき、さらに減速機構を加えて、より高精度な制御を必要とするエンコーダ付きマイクロモータとすることができる。
【0063】
このように、本発明によれば、機器筐体内にモータ径とほぼ同程度のギャップ(隙間)を有する設置スペースがあれば、簡単に光学式エンコーダを搭載した極小型モータを機器内に設置することができ、小型・薄型・省スペース化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した実施の形態の光学式エンコーダを示す斜視概略図である。
【図2】図1の光学式エンコーダに備わる帯状配線基板の一例を示す展開概略図である。
【図3】従来の光学式エンコーダの一例を示す斜視概略図である。
【図4】各種エンコーダの主要構成を示す説明概略図である。
【符号の説明】
1、100、201 光学式エンコーダ
2、103、202 回転板
3、104、203 固定板
4、5、101、204、205 発光素子
6、7、102、206、207 受光素子
8 素子接続孔
10 配線基板
11、12 股部
13 下面部(素子取付平面部)
14 上面部(素子取付平面部)
15 接続平面部
20、110、220 小型モータ
21、221 回転軸
22 構造体

Claims (6)

  1. スリットパターンが形成された回転板と、該回転板を挟んで互いにほぼ対向して配置される発光素子および受光素子と、該発光素子および受光素子とが設置される配線基板とを備え、
    前記配線基板が、フレキシブルな平面基板に配線を設けたものとされ、かつ、前記回転板の周囲の異なる位置に該回転板とほぼ直角となるように配置される少なくとも二つの素子取付平面部と、これら素子取付平面部同士を繋ぐ接続平面部とを、互いに一つの平面を折り曲げた連続した状態に備え、
    前記発光素子および受光素子が前記素子取付平面部に取り付けられるとともに、前記受光素子が少なくとも二つ備えられ、かつ、二つの受光素子がそれぞれ異なる前記素子取付平面部に取り付けられることを特徴とする光学式エンコーダ。
  2. 請求項1記載の光学式エンコーダにおいて、
    前記回転板が小型モータの回転軸の反出力軸側に接続された状態で、これを囲む前記配線基板となる二つの素子取付平面部と、該素子取付平面部同士を繋ぐ接続平面部とを内包する直方体のエンコーダ構成空間部の寸法形状が、前記回転軸に垂直な面で見たとき、断面形状が長方形であり、該長方形の少なくとも前記素子取付平面部が配置された一組の対向する辺の長さが、前記小型モータの外径寸法と等しいかもしくは近似する長さであることを特徴とする光学式エンコーダ。
  3. 請求項2記載の光学式エンコーダにおいて、
    前記断面の少なくとも前記素子取付平面部が配置された一組の対向する辺の長さが、5mm以下であることを特徴とする光学式エンコーダ。
  4. 請求項1〜3記載のいずれか一つに記載の光学式エンコーダにおいて、
    前記配線基板等の部品を支持する構造体を備え、
    一枚の前記配線基板が、それぞれ先端部に素子取付平面部を有する少なくとも二つの股部に分岐した二股形状を有し、平面を折り曲げた連続した二つの素子取付平面部がほぼ対向配置されるように前記配線基板の素子取付平面部が構造体に固定され、所定形状に保持されていることを特徴とする光学式エンコーダ。
  5. 請求項1〜4記載のいずれかに記載の光学式エンコーダを備えたことを特徴とするマイクロモータ。
  6. 減速機構が設けられたことを特徴とする請求項5記載のマイクロモータ。
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