本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組合せることが可能である。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る光学式エンコーダユニットの構成図である。図3は、実施形態1に係る光学式エンコーダユニットの外観斜視図である。図2は、実施形態1に係る光学式エンコーダユニットの分解斜視図である。図1は、図3の断面模式図である。図4は、光学スケール及び光学センサユニットの配置の一例を説明する説明図である。図5は、実施形態1に係る光学式エンコーダのブロック図である。図6は、実施形態1に係る光学スケールのパターンの一例を示す説明図である。光学式エンコーダユニット31は、モータ等の回転機械に連結されたシャフト12を有するロータ10と、ステータ20と、信号パターンを読み取り可能な光学センサユニット35とを有している。
ロータ10は、図6に示す円板形状もしくは図2に示す多角形形状(図2においては8角形)の部材である光学スケール11を有している。光学スケール11は例えば、シリコン、ガラス、高分子材料などで形成されている。光学スケール11は円輪状もしくは中空であってもよい。図6に示す光学スケール11は、信号トラックT1を一方の板面に有している。また、ロータ10には、光学スケール11の取り付けられた板面に対し他方の板面にシャフト12が取り付けられている。光学スケール11は、傾斜していても傾斜角度が小さい場合には偏光分離の機能に影響がない。すなわち、光学スケール11は、回転中心Zrと直交する平面に対して傾斜していても、偏光分離素子として機能する。
図3に示すように、ステータ20は、円筒状のカバー21と、センサ基板23とを備えている。円筒状のカバー21は、ロータ10とは独立にセンサ基板23の側面を覆うように固定され、ロータ10がステータ20に対して相対回転できる。カバー21は、軸受26と、シャフト12と、シャフト12の端部に取り付けられた光学スケール11と、光学センサユニット35とを囲む、遮光性の部材でできている。このため、カバー21の内部は、外来の光ノイズを抑制できる。カバー21は、円筒に限られず、筒状であれば、外径が三角、四角、六角、八角などの角柱であってもよい。
カバー21は、軸受26を介してシャフト12を回転可能に支持する。カバー21の内周が軸受26の外輪に固定されており、シャフト12の外周が軸受26の内輪に固定されている。軸受26の構造については、後述する。シャフト12がモータ等回転機械からの回転により回転すると、シャフト12に連動して光学スケール11が回転中心Zrを軸中心として回転する。光学センサユニット35は、センサ基板23に固定されている。ロータ10が回転すると、光学スケール11の信号トラックT1が光学センサユニット35に対して相対的に移動する。
図1及び図2に示すように、光学式エンコーダユニット31は、フレキシブル基板23FPに固定された、入出力端子であるコネクタCNTを有している。コネクタCNTは、フレキシブル基板23FPの表面又は内部に設けられた導電体の配線25に電力を供給し、光学センサユニット35からの検出信号をプリアンプAMPを介して外部に出力することができる。
プリアンプAMPは、パッケージ品のアンプ上に直接に光学センサユニット35を積層している。プリアンプAMPがカバー21内部に内蔵されるので、耐久性を高めることができる。プリアンプAMPは、ベアチップ上に受光素子と増幅回路とを搭載してもよい。また、プリアンプAMPは、受光素子と増幅回路とを半導体プロセスで一体的に形成してもよい。
センサ基板23の表面及び内部には、配線25に接続される配線及び回路が配線されており、配線25と直接又は配線25に接続される配線及び回路を介して、カバー21の内側に沿って設けられた配線24の一端が電気的に接続されている。このため、センサ基板23の表面又は内部に設けられた導電体の配線25と、カバー21の内側に沿って設けられた配線24とは、コネクタCNT、プリアンプAMP、光学センサユニット35及び光源41を適宜接続している。
なお、光学式エンコーダユニット31は、フレキシブル基板23FPを保護するため、蓋部材29を裏面側より取り付けてもよい。蓋部材29は、遮光性の絶縁体であるとより好ましい。
上述したロータ10のシャフト12が回転すると、図4に示すように、光学スケール11が、例えばR方向に光学センサユニット35に対して相対的に移動する。光学スケール11は、面内における偏光子の偏光方向Pmが所定の方向を向いており、かつ偏光方向Pmが回転により変化する。光学センサユニット35は、光源41の光源光71が光学スケール11に透過して入射する入射光(透過光)73を受光して、図6に示す光学スケール11の信号トラックT1を読み取ることができる。
実施形態1に係る光学式エンコーダユニット31は、光源41を光源基板42の表面に固定している。光源基板42は、シャフト12が貫通する孔部42Hが開けられており、センサ基板23と光学基板42とが光学スケール11を挟んで、対向するように、後述する配線24、24、24D、24Dに支持されている。また、光源41は、例えば発光ダイオード、半導体レーザ光源であり、詳細に後述する。
光学式エンコーダ2は、上述した光学式エンコーダユニット31と、演算装置3と、を備えており、図5に示すように、光学式エンコーダユニット31と、演算装置3とが接続されている。演算装置3は、例えばモータ等の回転機械の制御部5と接続されている。
光学式エンコーダ2は、光学スケール11に光源光71が透過して入射する入射光73を光学センサユニット35で検出する。演算装置3は、光学センサユニット35の検出信号から光学式エンコーダユニット31のロータ10と光学センサユニット35との相対位置を演算し、相対位置の情報を制御信号として、モータ等の回転機械の制御部5へ出力する。
演算装置3は、パーソナルコンピュータ(PC)等のコンピュータであり、入力インターフェース4aと、出力インターフェース4bと、CPU(Central Processing Unit)4cと、ROM(Read Only Memory)4dと、RAM(Random Access Memory)4eと、内部記憶装置4fと、を含んでいる。入力インターフェース4a、出力インターフェース4b、CPU4c、ROM4d、RAM4e及び内部記憶装置4fは、内部バスで接続されている。なお、演算装置3は、専用の処理回路で構成してもよい。
入力インターフェース4aは、光学式エンコーダユニット31の光学センサユニット35からの入力信号を受け取り、CPU4cに出力する。出力インターフェース4bは、CPU4cから制御信号を受け取り、制御部5に出力する。
ROM4dには、BIOS(Basic Input Output System)等のプログラムが記憶されている。内部記憶装置4fは、例えばHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等であり、オペレーティングシステムプログラムやアプリケーションプログラムを記憶している。CPU4cは、RAM4eをワークエリアとして使用しながらROM4dや内部記憶装置4fに記憶されているプログラムを実行することにより、種々の機能を実現する。
記憶手段である内部記憶装置4fには、光学スケール11における後述する偏光軸と光学センサユニット35のセンサの出力とを対応付けたデータベースが記憶されている。又は、内部記憶装置4fには、図4に示す距離Dの値と、光学スケール11の位置情報とを対応付けたデータベースが記憶されている。
図6に示す信号トラックT1は、ワイヤーグリッドパターンとよばれる金属細線(ワイヤー)gの配列が図1に示す光学スケール11に形成されている。光学スケール11は、信号トラックT1として、隣り合う金属細線gを平行に直線的に配置している。このため、光学スケール11は、光源光71が照射される位置によらず同じ偏光軸となり、面内における偏光子の偏光方向が一方向を向いている。
また、ワイヤーグリッドパターンとよばれる金属細線gを有する光学スケール11は、光誘起の偏光板に比較して、光学スケール11は耐熱性を高めることができる。また、光学スケール11は、局所的にも、交差するような部分のないラインパターンとなっているため、精度を高く誤差の少ない光学スケールとすることができる。また、光学スケール11は、一括した露光又はナノインプリント技術により安定して製造することもできるため、精度を高く誤差の少ない光学スケールとすることができる。なお、光学スケール11は、光誘起の偏光板としてもよい。
複数の金属細線gは、交差せず配置されている。隣り合う金属細線gの間は、光源光71の全部又は一部が透過可能な透過領域glである。金属細線gの幅及び隣り合う金属細線gの間隔、つまり金属細線gの幅及び透過領域glの幅は、光源41の光源光71の波長より十分小さくする場合、光学スケール11は、光源光71の入射光73を偏光分離することができる。このため、光学スケール11は、面内における偏光方向(偏光軸)Pmが一様な偏光子を有している。光学スケール11は、回転する周方向において、光学センサユニット35へ入射する入射光の偏光軸が光学スケール11の回転に応じて変化する。実施形態1において、偏光軸の変化は、光学スケール11の1回転に対して2回の増減を繰り返すことになる。
光学スケール11は、偏光方向の異なるセグメントを細かくする必要がない。そして、光学スケール11は、一様な偏光軸Pmを有しているため、偏光軸Pmの異なる領域の境界がなく、この境界による入射光73の偏光状態の乱れを抑制できる。実施形態1の光学式エンコーダ2は、誤検出又はノイズを生じさせる可能性を低減することができる。
図7は、実施形態1に係る光学センサユニットの一例を説明するための説明図である。図8は、実施形態1に係る光学センサの第1受光部の一例を説明するための説明図である。図9は、実施形態1に係る光学センサの第3受光部の一例を説明するための説明図である。図4及び図7に示すように、光学センサユニット35は、ユニット基材30の表面30b上に、偏光層PP1を有する第1受光部PD1と、偏光層PP2を有する第2受光部PD2と、偏光層PP3を有する第3受光部PD3と、偏光層PP4を有する第4受光部PD4とを含む。図7に示すように、平面視で第1受光部PD1、第2受光部PD2、第3受光部PD3及び第4受光部PD4は、ユニット基材30の表面30bの配置中心S0から等距離に配置されている。
図4に示すように、光源41から照射される光源光71は、上述した光学スケール11を透過して、入射光73として、偏光層PP1、偏光層PP2、偏光層PP3及び偏光層PP4を透過し、第1受光部PD1、第2受光部PD2、第3受光部PD3及び第4受光部PD4に入射する。
図4に示すように、第1受光部PD1、第2受光部PD2、第3受光部PD3及び第4受光部PD4のそれぞれから配置中心S0までの距離を等しくすることが好ましい。この構造により、演算手段であるCPU4cの演算負荷を軽減することができる。
また、第1受光部PD1が配置中心S0を介して第3受光部PD3と点対称の位置に配置され、第2受光部PD2が配置中心S0を介して第4受光部PD4と点対称の位置に配置されている。第1受光部PD1が配置中心S0を介して第3受光部PD3と距離W離して配置されており、第2受光部PD2が配置中心S0を介して第4受光部PD4と距離W離して配置されている。なお、第1受光部PD1、第3受光部PD3、第2受光部PD2及び第4受光部PD4が有する幅wがあり、距離Wは、幅2wより小さくならない制約がある。実施形態1では、第1受光部PD1、配置中心S0及び第3受光部PD3を通過するユニット基材30の表面30b上の仮想軸をx軸とし、第2受光部PD2、配置中心S0及び第4受光部PD4を通過するユニット基材30の表面30b上の仮想軸をy軸とする。図7において、x軸はy軸とユニット基材30の表面上で直交している。図4に示すように、光源41の出射面と、配置中心S0との距離をDとする。x軸とy軸とによるxy平面は、光源41の出射面と配置中心S0とを結ぶz軸と直交している。
図4に示すように、z軸方向から平面視でみると、第1受光部PD1、第2受光部PD2、第3受光部PD3及び第4受光部PD4のそれぞれが光源41の周囲に配置されている。第1受光部PD1、第2受光部PD2、第3受光部PD3及び第4受光部PD4のそれぞれから配置中心S0までの距離を等しくすることが好ましい。この構造により、演算手段であるCPU4cの演算負荷を軽減することができる。
図8に示すように、第1受光部PD1は、シリコン基板34と、受光部37と、第1偏光層39aとを含む。また、図9に示すように、第3受光部PD3は、シリコン基板34と、受光部37と、第2偏光層39bとを含む。例えば、シリコン基板34はn型半導体であり、受光部37はp型半導体であり、シリコン基板34と受光部37とによりPN接合で形成されたフォトダイオードを構成することができる。第1偏光層39a及び第2偏光層39bは、光誘起の偏光層、又は金属細線を平行に配列したワイヤーグリッドパターン等で形成することができる。第1偏光層39aは、図2に示す光学スケール11に光源光71から入射する入射光73を第1の偏光方向に分離し、第2偏光層39bは、上記入射光を第2の偏光方向に分離する。これら第1の分離光の偏光軸と、第2の分離光の偏光軸とは、相対的に90°異なることが好ましい。この構成により、演算装置3のCPU4cは、偏光角度の演算を容易とすることができる。
同様に、図8及び図9を用いて説明すると、第2受光部PD2は、シリコン基板34と、受光部37と、第1偏光層39aとを含む。また、図9に示すように、第4受光部PD4は、シリコン基板34と、受光部37と、第2偏光層39bとを含む。例えば、シリコン基板34はn型半導体であり、受光部37はp型半導体であり、シリコン基板34と受光部37とによりPN接合で形成されたフォトダイオードを構成することができる。第1偏光層39a及び第2偏光層39bは、光誘起の偏光層、又は金属細線を平行に配列したワイヤーグリッドパターン等で形成することができる。第1偏光層39aは、図2に示す光学スケール11に光源光71から入射する入射光73を第1の偏光方向に分離し、第2偏光層39bは、上記入射光を第2の偏光方向に分離する。これら第1の分離光の偏光軸と、第2の分離光の偏光軸とは、相対的に90°異なることが好ましい。この構成により、演算装置3のCPU4cは、偏光角度の演算を容易とすることができる。
第1受光部PD1、第2受光部PD2、第3受光部PD3及び第4受光部PD4は、入射光73をそれぞれ異なる偏光方向に分離する偏光層PP1、PP2、PP3及びPP4を介して受光する。このため、偏光層PP1が分離する偏光軸と、偏光層PP2が分離する偏光軸とは、相対的に45°異なることが好ましい。偏光層PP2が分離する偏光軸と、偏光層PP3が分離する偏光軸とは、相対的に45°異なることが好ましい。偏光層PP3が分離する偏光軸と、偏光層PP4が分離する偏光軸とは、相対的に45°異なることが好ましい。偏光層PP4が分離する偏光軸と、偏光層PP1が分離する偏光軸とは、相対的に45°異なることが好ましい。この構成により、演算装置3のCPU4cは、偏光角度の演算を容易とすることができる。
図10、図11及び図12は、実施形態1に係る角度センサの偏光成分の分離を説明するための説明図である。図10のように、光学スケール11の信号トラックT1により偏光方向Pmに偏光された入射光が入射する。図10において、センシング範囲には、異物D1及び異物D2がある。入射光の偏光方向Pmは、上述した第1の偏光方向の成分の光強度PI(−)と、第2の偏光方向の成分の光強度PI(+)と、で表現することができる。上述したように、第1の偏光方向と、第2の偏光方向とは、90°異なる方向であることが好ましく、基準方向に対して例えば+45°成分と−45°成分のようになっている。図10、図11及び図12において、ワイヤーグリッドの軸方向は、紙面に対して平行に示されているが、紙面に対して同一の角度で傾斜していても傾斜角度が小さい場合には偏光分離の機能に影響がない。すなわち、光学スケール11は、回転軸に対して傾斜していても、偏光分離素子として機能する。
第1受光部PD1は、図11に示すように、入射光を第1の偏光方向に分離する第1偏光層39aを介して検知するため、第1の偏光方向の成分の光強度PI(−)を検知する。第3受光部PD3は、図12に示すように、入射光を第2の偏光方向に分離する第2偏光層39bを介して検知するため、第2の偏光方向の成分の光強度PI(+)を検知する。同様に、第2受光部PD2は、図11に示すように、入射光を第1の偏光方向に分離する第1偏光層39aを介して検知するため、第1の偏光方向の成分の光強度PI(−)を検知する。第4受光部PD4は、図12に示すように、入射光を第2の偏光方向に分離する第2偏光層39bを介して検知するため、第2の偏光方向の成分の光強度PI(+)を検知する。
図13は、実施形態1に係る光学式エンコーダの機能ブロック図である。図14は、実施形態1に係る光学スケールの回転角度と各受光部の偏光成分の光強度変化を説明するための説明図である。図13に示すように、光源41は、基準信号に基づいた発光を行い、光学スケール11に光源光71を照射する。透過光である入射光73は、受光部である光学センサユニット35に受光される。図13に示すように、プリアンプAMPで増幅された受光信号は、差動演算回路DSで差動演算処理を行う。
差動演算回路DSは、光学センサユニット35の検出信号である、第1の偏光方向の成分(第1分離光)の光強度PI(−)と、第2の偏光方向の成分(第2分離光)の光強度PI(+)とを取得する。この光強度PI(−)と、光強度PI(+)とに対応する、第1受光部PD1、第2受光部PD2、第3受光部PD3及び第4受光部PD4のそれぞれの出力は、例えば、図14のように、光学スケール11の回転に応じて、位相がずれた光強度I1、I2、I3及びI4である。
差動演算回路DSは、式(1)及び式(2)に従って、第1の偏光方向の成分の光強度PI(−)及び第2の偏光方向の成分の光強度PI(+)から、光学スケール11の回転に依存した差動信号Vc及びVsを演算する。
このように、差動演算回路DSは、光強度I1及び光強度I3に基づいて、光強度の和[I1+I3]と、光強度の差[I1−I3]を演算し、光強度の差[I1−I3]を光強度の和[I1+I3]で除した差動信号Vcを演算する。また、差動演算回路DSは、光強度I2及び光強度I4に基づいて、光強度の和[I2+I4]と、光強度の差[I2−I4]を演算し、光強度の差[I2−I4]を光強度の和[I2+I4]で除した差動信号Vsを演算する。式(1)及び式(2)により演算した差動信号Vc及びVsには、光源光71の光強度の影響を受けるパラメータが含まれておらず、光学式エンコーダユニット31の出力は、光学センサユニット35と光学スケール11との距離、光源41の光強度のばらつき等の影響を低減することができる。そして、式(1)に示すように、差動信号Vcは、光学スケール11の回転角度となる光学スケール11の偏光軸の回転角度(以下、偏光角という)βの関数となる。ただし、光源の光量を一定に制御するオートパワーコントロール(APC)を備えている場合は、上述の除算は不要である。
図13に示すように、差動信号Vc及びVsは、フィルター回路NRに入力され、ノイズ除去される。次に、逓倍回路APでは、差動信号Vc及びVsから図15に示すリサージュパターンを演算し、初期位置から回転したロータ10の回転角度の絶対角度を特定することができる。差動信号Vc及びVsは、λ/4位相がずれた差動信号であるので、差動信号Vcのコサインカーブを横軸へ、差動信号Vsのサインカーブを縦軸にとったリサージュパターンを演算し、回転角度に応じて、リサージュ角が定まることになる。例えば、図15に示すリサージュパターンは、ロータ10が1回転すると2周する。演算装置3は、光学スケール11の回転位置が0°以上180°未満の範囲にあるか、180°以上360°未満の範囲にあるかを記憶する機能を有する。このように、光学式エンコーダ2は、光学スケール11の回転位置が0°以上180°未満の範囲にあるか、180°以上360°未満の範囲にあるかを記憶装置に記憶し、起動時に読み出す演算手段を有し、光学スケール11と光学センサユニット35との絶対的な移動量を演算する。これにより、光学式エンコーダ2は、ロータ10の絶対位置が演算できるアブソリュートエンコーダとすることができる。図13に示す構成以外にも、光学式エンコーダユニット31は、光学センサユニット35とプリアンプAMPまでを含んだ構成としてもよい。
図16は、実施形態1に係る光源を説明するための平面図である。図16に示す光源41は、発光ダイオード、垂直共振器面発光レーザ等のレーザ光源、フィラメント等の発光デバイス41Uをパッケージしたものである。発光デバイス41Uは、面発光型光源を用いている。
光源41は、ベース基板41Fと、スルーホールSHに埋め込まれた貫通導電層41Hと、貫通導電層41Hと電気的に接続された外部電極41Pと、ベース基板41Fに搭載された発光デバイス41Uと、発光デバイス41Uと貫通導電層41Hとを導通接続するボンディングワイヤ41Wと、発光デバイス41Uを保護する封止樹脂41Mと、遮光膜41Rとを備えている。
光源41の遮光膜41Rは、発光デバイス41Uが放射する光源光71を出射面41Tの範囲に絞る光源光71の絞りの機能を奏している。出射面41Tにはレンズ面がなくてもあってもよい。実施形態1に係る光学式エンコーダユニット31は、レンズのついていない光源41を使用することができる。光源41の出射面と、光学センサユニット35との距離を接近させることでSN比を向上させることができる。第1受光部PD1、第2受光部PD2、第3受光部PD3及び第4受光部PD4のそれぞれまでの距離は、光源41の拡散する光の影響を減じて受光できる範囲に配置可能となる。このため光学式エンコーダユニット31及び光学式エンコーダ2は、測定精度が向上する。
図17は、実施形態1に係る配線を説明するためにカバーがない状態で光源基板側から模式的にみた組み立て状態の斜視図である。図18は、実施形態1に係る配線を説明するためにカバーがない状態でセンサ基板側から模式的にみた組み立て状態の斜視図である。図17及び図18に示すように、光源41を片側面に搭載する光源基板42と、光学センサユニット35を片側面に搭載するセンサ基板23とが対向するように、4つの配線24、24、24D、24Dで固定されている。
配線24、24は、三角柱、四角柱、六角柱、八角柱などの角柱又は円柱である金属の柱状体である。配線24、24は、導電性を有する鉄、鉄合金、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金などの金属を線引き加工して直線状の柱状体としている。配線24D、24Dは、三角柱、四角柱、六角柱、八角柱などの角柱又は円柱である金属の柱状体である。配線24、24、24D、24Dは、導電性を有する鉄、鉄合金、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金などの金属を線引き加工して直線状の柱状体としている。
配線24、24は、センサ基板23の表面又は内部の配線に半田付けなどの金属接合により、電気的に接続されるように、接合部23Mで固定されている。配線24、24は、同様に、光源基板42の表面又は内部の配線に半田付けなどの金属接合により、電気的に接続されるように、接合部42Mで固定されている。光源基板42の表面又は内部の配線は、光源41と電気的に接続されている。フレキシブル基板23FPから給電された電力は、フレキシブル基板23FPの配線25、センサ基板23の表面又は内部の配線24、24、光源基板42の表面又は内部の配線を通じて、光源41へ供給される。このように、配線24、24は、センサ基板23(第1基板)に固定され、光源基板42(第2基板)を支持し、光源41が発光するための電力を供給する。
配線24D、24Dは、センサ基板23に半田付けなどの金属接合により、接合部23Mで固定されている。配線24D、24Dは、同様に、光源基板42に半田付けなどの金属接合により、電気的に接続されるように、接合部42Mで固定されている。配線24D、24Dは、光源41への電力供給に寄与しないダミー配線である。
なお、センサ基板23(第1基板)と、光源基板42(第2基板)との上下関係を入れ替えた場合は、配線24、24、24D、24Dは、光源基板42(第2基板)に固定され、センサ基板23(第1基板)を支持し、光源41が発光するための電力を供給することもできる。この場合、配線24D、24Dは、光学センサユニット35の検出信号の伝達配線とする。
光源基板42は、円環状の板部材であるので、配線24、24だけでは、傾きを生じる可能性がある。配線24、24、24D、24Dは、同じ長さの柱状体であるので、光学スケール11の回転中心Zrから等距離に配置され、隣り合う柱状体が回転中心Zrとなす角度が等しくなるようにされていることにより、配線24、24、24D、24Dにかかる光源基板42の荷重が均等となり、バランスがよくなる。これにより、光源41からの出射光の方向の精度を高めることができる。配線24、24は、光源41を点灯させるだけの本数であればよい。
(軸受)
図19は、実施形態1に係る軸受を説明する断面図である。光学式エンコーダユニット31は、シャフト12の回転軸のガタ、回転振れが検出精度に影響する。例えば、上述したように、カバー21は、軸受26を介してシャフト12を回転可能に支持する。軸受26は、カバーの内周面に固定されているので、軸受26がシャフト12の傾きに対して、抑制する機構を取り付けるスペースがない。さらに、上述した光学式エンコーダユニット31は、小型にすることができるが、軸受26に予圧をかける通常機構(ナット、ばね等)が使用しにくい。
そこで、図2及び図19に示すように、軸受26は、第1軸受26A及び第2軸受26Bを備える。第1軸受26A及び第2軸受26Bは、回転中心Zrと平行な方向を軸方向として、軸方向にシャフト12を支持する位置を異ならせて配置されている。図19に示すように、第1軸受26Aは、内輪26Aa、外輪26Ab、転動体26ARをそれぞれ備え、回転中心Zrを中心として環状に組み立てられている。第2軸受26Bは、内輪26Ba、外輪26Bb、転動体26BRをそれぞれ備え、回転中心Zrを中心として環状に組み立てられている。
シャフト12は、直径を小さくして一定直径の小径部12Aを備え、小径部12Aと大径部との境目の段差により、突当面12uを有している。なお、シャフト12は、中実材料を例示したが、これに限られず、光学スケール11の反対側の端面に凹部を備えた中空シャフトでもよく、この凹部の中空内周に雌ねじを切ってもよい。また、シャフト12は、筒状であって、軸方向に貫通する貫通孔を有する貫通シャフトでもよい。シャフト12の外周には、雄ねじ又はスプラインなどの加工を施してもよい。このように、シャフト12は、別部材との連結を容易にする加工が施されていてもよい。
第1軸受26Aの内輪26Aaは、突当面12uに軸方向に接するように挿入される。第1軸受26Aの外輪26Abは、円環状に径方向に突出する鍔状の鍔部26Atを備える。第2軸受26Bの外輪26Bbは、円環状に径方向に突出する鍔状の鍔部26Btを備える。第1軸受26Aと第2軸受26Bとを軸方向に対向させ、鍔部26Atと鍔部26Btとの間に、円筒状のスペーサ26Sを嵌め込む。この構造により、第1軸受26A、第2軸受26B及びスペーサ26Sの芯合わせが容易となる。スペーサ26Sの外周は、嵌め込まれた場合、鍔部26At、鍔部26Btの径方向の外周と同じ直径となるようすることで、軸受26の外周に凹凸を少なくすることができ、図2に示すカバー21への挿入がしやすくなる。また、スペーサ26Sは、鍔部26At、鍔部26Bt、外輪26Abの外周26Au、外輪26Bbの外周26Buで接着剤で固定される場合、接着面積が増え、第1軸受26Aと第2軸受26Bとの接着強度が補強される。
実施形態1に係る軸受26は、内輪26Aaと内輪26Baとの間に隙間26nが生じるようになる。図19では、カバー21の図示を省略しているが、カバー21及びシャフト12の軸方向の位置を治工具で固定した状態で、及び第2軸受26Bの外輪26Bbは、第1軸受26A及び第2軸受26Bを固定する。カバー21と、外輪26Ab及び外輪26Bbとの間は、接着又は圧入で固定される。接着固定には、エポキシ接着剤、ねじ固定用の接着剤、熱硬化接着剤、UV硬化接着剤などを使用できる。そして、接着プロセスにより、シャフト12は、ガタのない安定な回転軸になる。
小径部12Aは、内輪26Aa及び内輪26Baが嵌め合わされ、接着又は圧入で固定される。例えば接着される場合、小径部12Aと、内輪26Aa及び内輪26Baとの間に接着剤が介在するようにしている。なお、接着固定には、エポキシ接着剤、ねじ固定用の接着剤、熱硬化接着剤、UV硬化接着剤などを使用できる。さらに、実施形態1に係る軸受26は、第2軸受26Bの内輪26Baが軸方向に突当面12uに向けて、図19に示すP方向へ押圧され、内輪26Aaが突当面12uから反力を図19に示すPB方向に受ける。これにより、外輪26Ab及び外輪26Bbがスペーサ26Sで軸方向に拘束されているので、隙間26nが小さくなるように、第1軸受26Aと第2軸受26Bとが予圧を受け、シャフト12の軸方向に予圧される。実施形態1に係る軸受26は、予圧された状態で、小径部12Aと、内輪26Aa及び内輪26Baとの間にある接着剤を固め、固定される。接着剤により固定された軸受26を用いることで、シャフト12(回転軸)を有する各種センサ、小型エンコーダの組み立てを容易にできる。なお、接着固定には、エポキシ接着剤、ねじ固定用の接着剤、熱硬化接着剤、UV硬化接着剤などを使用できる。そして、接着プロセスにより、シャフト12は、ガタのない安定な回転軸になる。
この構造により、軸受26は、カバー21の内周面に固定されていても、軸受26がシャフト12の傾きを抑制することができる。さらに、カバー21の外径を直径2mm以上20mm以下のように小さくし、シャフトの直径が0.6mm以上5mm以下程度となって、光学式エンコーダユニット31を小型にすることができる。また、軸受26に予圧をかける通常機構(ナット、ばね等)が不要になる。
図20は、実施形態1の変形例に係る軸受を説明する斜視図である。図21は、実施形態1の変形例に係る軸受を説明する断面図である。図20及び図21に示すように、スペーサ26Sは、第1軸受26A及び第2軸受26Bの軸方向の厚みより大きくすることができる。この構造により、軸受26は、カバー21の内周面に固定されていても、軸受26がシャフト12の傾きを抑制することができる。また、内輪26Aaと内輪26Baとの間にある隙間26Nは、上述した隙間26nよりも大きくなっており、隙間26Nの内部に、光源、光学スケール、光学センサユニット35等を配置することもできる。
このように、実施形態1の変形例に係る軸受26は、第2軸受26Bの内輪26Baが軸方向に突当面12uに向けて、図21に示すP方向へ押圧され、内輪26Aaが突当面12uから反力を図21に示すPB方向に受ける。これにより、外輪26Ab及び外輪26Bbがスペーサ26Sで軸方向に拘束されているので、隙間26Nが小さくなるように、第1軸受26Aと第2軸受26Bとが予圧を受け、シャフト12の軸方向に予圧される。
以上説明したように実施形態1に係る光学式エンコーダユニット31は、光源41と、光学スケール11と、光源41からの光源光が光学スケール11に透過した入射光を検出する光学センサユニット35と、光学スケール11が取り付けられるシャフト12と、シャフト12を回転自在に支持する、第1軸受26A及び第2軸受26Bを備える。第1軸受26A及び第2軸受26Bは、内輪、外輪、転動体をそれぞれ備え、第1軸受26Aの内輪及び第2軸受26Bの内輪は、シャフト12の軸方向に予圧されている。この構造により、光学式エンコーダユニット31は、シャフトの回転軸を安定的に回転できる。回転軸を安定的に回転できるので、実施形態1に係る光学式エンコーダユニット31は、軸の振れまわり、又は並行移動を抑制できる。また、光学式エンコーダユニット31は、軸受に予圧をかける通常機構(ナット、ばね等)を低減し、小型にすることができる。
(第2実施形態)
図22は、実施形態2に係る軸受を説明する斜視図である。図23は、実施形態2に係る軸受を説明する断面図である。なお、上述したものと同じ部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。実施形態2に係る軸受26は、外輪26Ab及び外輪26Bbが実施形態1で説明した鍔部26At、鍔部26Btを備えない。このため、安価な第1軸受26A及び第2軸受26Bを用いることができる。
実施形態2に係る軸受26は、第1軸受26Aの外輪26Ab及び第2軸受26Bの外輪26Bb同士の軸方向の対向面には、外輪側スペーサ26Pbが挟まれている。外輪側スペーサ26Pbは、シャフト12(小径部12A)の中心の周りを囲む環状かつ板状の部材であり、軸方向の厚みは、0.02mm以上1.0mm以下である。
実施形態2に係る軸受26は、第1軸受26Aの内輪26Aa及び第2軸受26Bの内輪26Ba同士の軸方向の対向面には、内輪側スペーサ26Paが挟まれている。内輪側スペーサ26Paは、シャフト12(小径部12A)の中心の周りを囲む環状かつ板状の部材であり、軸方向の厚みは、0.01mm以上0.8mm以下であり、外輪側スペーサ26Pbの厚みに対して10%以上80%以下の厚みとなる。
シャフト12は、直径を小さくして一定直径の小径部12Aを備え、小径部12Aと大径部との境目の段差により、突当面12uを有している。第1軸受26Aの内輪26Aaは、突当面12uに軸方向に接するように挿入される。小径部12Aは、内輪26Aa及び内輪26Baが嵌め合わされ、接着又は圧入で固定される。さらに、実施形態2に係る軸受26は、第2軸受26Bの内輪26Baが軸方向に突当面12uに向けて、図23に示すP方向へ押圧され、内輪26Aaが突当面12uから反力を図23に示すPB方向に受ける。これにより、外輪26Ab及び外輪26Bbが外輪側スペーサ26Pbで軸方向に拘束されているので、内輪側スペーサ26Paが軸方向に圧縮されるように塑性変形し、第1軸受26Aと第2軸受26Bとが予圧を受け、シャフト12の軸方向に予圧される。内輪側スペーサ26Paの厚みは、外輪側スペーサ26Pbの厚みよりも小さい(薄肉である)と、第1軸受26Aと第2軸受26Bとが予圧を維持しやすくなる。実施形態2に係る軸受26は、外輪側スペーサ26Pbと内輪側スペーサ26Paとの厚みの差により、予圧量を管理でき、製造工程の管理が容易になる。
図24は、実施形態2の変形例に係る軸受を説明する断面図である。実施形態2の変形例に係る軸受26は、実施形態2に係る軸受26と異なり、第1軸受26Aの内輪26Aa及び第2軸受26Bの内輪26Ba同士の軸方向の対向面に、内輪側スペーサ26Paが挟まれていない。これにより、内輪26Aaと内輪26Baとの間に隙間26nが生じるようになる。実施形態2の変形例に係る軸受26は、第2軸受26Bの内輪26Baが軸方向に突当面12uに向けて、図24に示すP方向へ押圧され、内輪26Aaが突当面12uから反力を図24に示すPB方向に受ける。これにより、外輪26Ab及び外輪26Bbが外輪側スペーサ26Pbで軸方向に拘束されているので、隙間26nが小さくなるように、第1軸受26Aと第2軸受26Bとが予圧を受け、シャフト12の軸方向に予圧される。
(第3実施形態)
図25は、実施形態3に係る軸受を説明する斜視図である。図26は、実施形態3に係る軸受を説明する断面図である。なお、上述したものと同じ部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
実施形態3に係る軸受26は、外輪26Ab及び外輪26Bbが実施形態1で説明した鍔部26At、鍔部26Btを備えない。このため、安価な第1軸受26A及び第2軸受26Bを用いることができる。
実施形態3に係る軸受26は、第1軸受26Aの外輪26Ab及び第2軸受26Bの外輪26Bb同士の軸方向の対向面には、外輪側スペーサ26Pbが挟まれている。外輪側スペーサ26Pbは、シャフト12(小径部12A)の中心の周りを囲む筒状の部材である。図26に示すように、外輪側スペーサ26Pbは、第1軸受26A及び第2軸受26Bの軸方向の厚みより大きくすることができる。
実施形態3に係る軸受26は、第1軸受26Aの内輪26Aa及び第2軸受26Bの内輪26Ba同士の軸方向の対向面には、内輪側スペーサ26Paが挟まれている。内輪側スペーサ26Paは、シャフト12(小径部12A)の中心の周りを囲む筒状の部材である。内輪側スペーサ26Paの軸方向の長さは、外輪側スペーサ26Pbの軸方向の長さより0.01mm以上0.2mm以下分小さくなっている。図26に示すように、内輪側スペーサ26Paは、第1軸受26A及び第2軸受26Bの軸方向の厚みより大きくすることができる。
シャフト12は、直径を小さくして一定直径の小径部12Aを備え、小径部12Aと大径部との境目の段差により、突当面12uを有している。第1軸受26Aの内輪26Aaは、突当面12uに軸方向に接するように挿入される。小径部12Aは、内輪26Aa及び内輪26Baが嵌め合わされ、接着又は圧入で固定される。さらに、実施形態3に係る軸受26は、第2軸受26Bの内輪26Baが軸方向に突当面12uに向けて、図26に示すP方向へ押圧され、内輪26Aaが突当面12uから反力を図26に示すPB方向に受ける。これにより、外輪26Ab及び外輪26Bbが外輪側スペーサ26Pbで軸方向に拘束されているので、内輪側スペーサ26Paが軸方向に圧縮されるように塑性変形し、第1軸受26Aと第2軸受26Bとが予圧を受け、シャフト12の軸方向に予圧される。内輪側スペーサ26Paの厚みは、外輪側スペーサ26Pbの厚みよりも小さいと、第1軸受26Aと第2軸受26Bとが予圧を維持しやすくなる。実施形態3に係る軸受26は、外輪側スペーサ26Pbと内輪側スペーサ26Paとの厚みの差により、予圧量を管理でき、製造工程の管理が容易になる。
図27は、実施形態3の変形例に係る軸受を説明する断面図である。実施形態3の変形例に係る軸受26は、実施形態3に係る軸受26と異なり、第1軸受26Aの内輪26Aa及び第2軸受26Bの内輪26Ba同士の軸方向の対向面に、内輪側スペーサ26Paが挟まれていない。これにより、内輪26Aaと内輪26Baとの間に隙間26Nが生じるようになる。実施形態3の変形例に係る軸受26は、第2軸受26Bの内輪26Baが軸方向に突当面12uに向けて、図27に示すP方向へ押圧され、内輪26Aaが突当面12uから反力を図27に示すPB方向に受ける。これにより、外輪26Ab及び外輪26Bbが外輪側スペーサ26Pbで軸方向に拘束されているので、隙間26Nが小さくなるように、第1軸受26Aと第2軸受26Bとが予圧を受け、シャフト12の軸方向に予圧される。
(第4実施形態)
図28は、実施形態4に係る軸受を説明する斜視図である。図29は、実施形態4に係る軸受を説明する断面図である。なお、上述したものと同じ部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
実施形態4に係る軸受26は、実施形態3の変形例で説明した軸受に加え、カバー26Cを備えている。このため、実施形態4に係る軸受26は、実施形態3の変形例に係る軸受26と同様に、第2軸受26Bの内輪26Baが軸方向に突当面12uに向けて、図29に示すP方向へ押圧され、内輪26Aaが突当面12uから反力を図29に示すPB方向に受ける。これにより、外輪26Ab及び外輪26Bbが外輪側スペーサ26Pbで軸方向に拘束されているので、隙間26Nが小さくなるように、第1軸受26Aと第2軸受26Bとが予圧を受け、シャフト12の軸方向に予圧される。
カバー26Cの材料は、機械構造用炭素鋼、等の鉄、ステンレス鋼、アルミニウム合金、ポリカーボネート等の合成樹脂等を用いることができる。実施形態4に係る軸受26の外輪26Ab、外輪26Bbは、カバー26Cで支持される。このため、実施形態4に係る軸受26は、シャフト12に組み付けた後で、図2に示すカバー21に挿入される。カバー21は、カバー26Cと同じ材料でもよいが、カバー26Cよりも剛性の小さい材料を使用することができる。カバー21は、遮光性を有し、光学スケール11及び光学センサユニット35を遮光できればよい。カバー26Cの内周と外輪26Ab、外輪26Bbの各外周とが接着剤で固定される場合、実施形態4に係る軸受26は、接着面積が増え、第1軸受26Aと第2軸受26Bとの接着強度が補強される。
以上説明したように、実施形態4に係る光学式エンコーダユニット31は、光学センサユニット35、光学スケール11を囲む、図2に示す第1筒体であるカバー21と、図28に示す第2筒体であるカバー26Cを備え、カバー26Cは、カバー21の内周に配置され、外輪側スペーサを覆う。カバー26Cは、第1筒体のカバー21の内周に固定されていてもよいが、センサ基板23上に搭載され位置決めされていてもよい。これにより、外輪26Ab、外輪26Bbの位置決めは、簡素となり、実施形態4に係る光学式エンコーダユニット31の組み立て性を高めることができる。
(実施形態5)
図30は、実施形態5に係る光学式エンコーダユニットの構成図である。図22は、実施形態5に係る光学式エンコーダユニットの外観斜視図である。実施形態5に係る光学式エンコーダユニットの軸受26は、上述した実施形態1から4及びこれらの変形例の軸受26を用いることができる。実施形態5に係るセンサ基板23は、カバー21に覆われるものではなく、カバー21を表面上に固定する。また、光学式エンコーダユニット31は、センサ基板23に固定された、入出力端子であるコネクタCNTと、増幅器であるプリアンプAMPとを備える。また、センサ基板23の表面又は内部に設けられた導電体の配線25と、カバー21の内側に沿って設けられた配線24とは、コネクタCNT、プリアンプAMP、光学センサユニット35及び光源41を適宜接続している。
(実施形態6)
図32は、実施形態6に係る光学スケール及び光学センサユニットの配置の一例を説明する説明図である。図33は、実施形態6に係る光学式エンコーダユニットの構成図である。実施形態6に係る光学式エンコーダユニット31は、光源41の光源光71が光学スケール11に反射し、この反射した反射光を入射光72として第1受光部PD1、第3受光部PD3、第2受光部PD2及び第4受光部PD4を有する光学センサユニット35Aが検知する。光源41の出射面と、配置中心S0(光学センサユニット35)との距離Dは、鏡面反射として、上述した実施形態1の半分になる。なお、図33に示すように、実施形態6に係る光学式エンコーダユニット31は、円環状の遮光板27を有している。これにより、遮光板17が不要な反射を抑制できるため、測定精度を向上することができる。
図34は、実施形態6の変形例に係る光学式エンコーダユニットの構成図である。実施形態6の変形例に係る光学式エンコーダユニット31は、実施形態6と同じ反射型の光学スケール及び光学センサの配置であるが、実施形態6と異なり、センサ基板23は、カバー21に覆われるものではなく、カバー21を表面上に固定する。また、光学式エンコーダユニット31は、センサ基板23に固定された、入出力端子であるコネクタCNTと、増幅器であるプリアンプAMPとを備える。
以上説明したように光学式エンコーダユニット31は、光源41と、光学スケール11と、光源41からの光源光が光学スケール11に反射した入射光を検出する光学センサユニット35と、光学スケール11が取り付けられるシャフト12と、シャフト12を回転自在に支持する、実施形態1から実施形態4で説明した軸受26のいずれかの第1軸受26A及び第2軸受26Bを備える。第1軸受26A及び第2軸受26Bは、内輪、外輪、転動体をそれぞれ備え、第1軸受26Aの内輪及び第2軸受26Bの内輪は、シャフト12の軸方向に予圧されている。
本発明のより望ましい態様として、前記第1軸受の外輪及び前記第2軸受の外輪は、筒状の外輪側スペーサを備えることが好ましい。この構成により、第1軸受が支持するシャフトの位置と第2軸受が支持するシャフトの位置との距離が大きくなり、シャフトの傾斜を抑制できるので、シャフトの回転が安定し、光学式エンコーダユニットは、測定精度を高めることができる。