JP2018128276A - 光学センサ及び光学式エンコーダ - Google Patents

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寿明 小口
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Abstract

【課題】装置の小型化が可能な光学センサ及び光学式エンコーダを提供する。【解決手段】偏光方向が回転により変化する光学スケール11と、光源41が発する光が光学スケール11を介して入射する入射光を検出する検出部35と、を有する。光学スケール11は、光源41が発する光を偏光方向に分離しつつ透過する第1透過領域11Aと、光源41が発する光を偏光方向に分離しつつ第1透過領域11Aとは異なる透過率で透過する第2透過領域11Bと、を有する。光学スケール11において入射光が透過する領域は、光学スケール11が回転することにより、第1透過領域11A及び第2透過領域11Bの一方から他方へ変化する。【選択図】図2

Description

本発明は、光学スケールを用いて角度を検出する光学センサ及び光学式エンコーダに関する。
エンコーダは、各種機械装置において、可動要素の位置や角度を測定するために用いられている。エンコーダには光学式と磁気式とがあるが、光学式エンコーダは光学スケールに異物等が存在すると、検出光量が変動して位置や角度の測定値が変動しやすい。特許文献1には、回転偏光板に対向して設けられた第1の固定偏光板と、第1の固定偏光板の偏光面に対して45°異なる偏光面を有する第2の固定偏光板と、を備えた光学式エンコーダが開示されている。
特開2008−241453号公報
エンコーダは、相対的な角度を検出するエンコーダと、絶対的な角度(以下、絶対角度という)を検出するエンコーダがある。絶対角度を検出するエンコーダは、アブソリュートエンコーダとも呼ばれる。光学式エンコーダにおいて、絶対角度の検出を可能とするためには、光学スケールの回転角度を検出するセンサ以外に別のセンサを設ける必要があり、装置の小型化が難しいという課題がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、装置の小型化が可能な光学センサ及び光学式エンコーダを提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る光学センサは、光源と、偏光方向が回転により変化する光学スケールと、前記光源が発する光が前記光学スケールを介して入射する入射光を検出する検出部と、を有し、前記光学スケールは、前記光源が発する光を前記偏光方向に分離しつつ透過する第1透過領域と、前記光源が発する光を前記偏光方向に分離しつつ、前記第1透過領域とは異なる透過率で透過する第2透過領域と、を有し、前記光学スケールにおいて前記入射光が透過する領域は、前記光学スケールが回転することにより、前記第1透過領域及び前記第2透過領域の一方から他方へ変化する。これによれば、検出部は、光学スケールの回転に応じて光強度が変化する入射光を受光することができる。
本発明の望ましい態様として、前記検出部は、前記入射光のうち第1偏光方向に分離された光の強度を検出する第1検出部と、前記入射光のうち前記第1偏光方向とは異なる第2偏光方向に分離された光の強度を検出する第2検出部と、前記入射光のうち前記第1偏光方向及び前記第2偏光方向とはそれぞれ異なる第3偏光方向に分離された光の強度を検出する第3検出部と、前記入射光のうち前記第1偏光方向、前記第2偏光方向及び前記第3偏光方向とはそれぞれ異なる第4偏光方向に分離された光の強度を検出する第4検出部と、を有し、前記光学スケールの回転軸の方向からみて、前記光学スケールが回転して前記第1透過領域と前記第2透過領域との境界線が前記第2検出部及び前記第4検出部と重なるときに、前記第1検出部が前記第1透過領域と重なるとともに前記第3検出部が前記第2透過領域と重なる、又は、前記第3検出部が前記第1透過領域と重なるとともに前記第1検出部が前記第2透過領域と重なる。
本発明の望ましい態様として、前記光学スケールの回転軸の方向からみて、前記光学スケールの回転軸は前記光学スケールの中心部と一致し、前記第1透過領域と前記第2透過領域との境界線は前記中心部を通る線分であってもよい。これによれば、光学スケールが回転する際に、境界線は回転軸まわりに回転することができる。
本発明の望ましい態様として、前記光学スケールの回転軸の方向からみて、前記第1透過領域と前記第2透過領域とが同一面積であってもよい。これによれば、入射光が第1透過領域を透過するときの回転角度の範囲と、入射光が第2透過領域を透過する回転角度の範囲とを、互いに同じ角度幅とすることが容易である。
本発明の望ましい態様として、前記光学スケールは、前記第1透過領域と前記第2透過領域とをそれぞれ1つずつ有してもよい。これによれば、第1透過領域と第2透過領域との境界線の本数を1本にすることができる。
本発明の別の態様に係る光学式エンコーダは、光源と、偏光方向が回転により変化する光学スケールと、前記光源が発する光が前記光学スケールを介して入射する入射光を検出する検出部と、を有する光学センサと、前記検出部による前記入射光の検出信号から、前記検出部と前記光学スケールとの相対位置を演算する演算装置と、を含み、前記光学スケールは、前記光源が発する光を前記偏光方向に分離しつつ透過する第1透過領域と、前記光源が発する光を前記偏光方向に分離しつつ、前記第1透過領域とは異なる透過率で透過する第2透過領域と、を有し、前記光学スケールにおいて前記入射光が透過する領域は、前記光学スケールが回転することにより、前記第1透過領域及び前記第2透過領域の一方から他方へ変化し、前記検出部は、前記入射光のうち第1偏光方向に分離された光の強度を検出する第1検出部と、前記入射光のうち前記第1偏光方向とは異なる第2偏光方向に分離された光の強度を検出する第2検出部と、前記入射光のうち前記第1偏光方向及び前記第2偏光方向とはそれぞれ異なる第3偏光方向に分離された光の強度を検出する第3検出部と、前記入射光のうち前記第1偏光方向、前記第2偏光方向及び前記第3偏光方向とはそれぞれ異なる第4偏光方向に分離された光の強度を検出する第4検出部と、を有し、前記演算装置は、前記検出信号の強度に応じて動径が変化するリサージュパターンの偏角と、前記リサージュパターンの動径、又は、前記第1検出部、前記第2検出部、前記第3検出部及び前記第4検出部がそれぞれ検出する検出信号の総和と、に基づいて前記相対位置を演算する。これによれば、光学式エンコーダは、光学スケールの回転角度が0°以上360°未満の範囲で、絶対角度θAを検出することができる。
本発明の望ましい態様として、前記リサージュパターンの動径又は前記検出信号の総和が予め設定した値の範囲にあるときは、前記演算装置は、前記第2検出部及び前記第4検出部がそれぞれ検出する検出信号の和から前記第1検出部及び前記第3検出部がそれぞれ検出する検出信号の和を減算した値、に基づいて前記相対位置を演算してもよい。これによれば、絶対角度θAをさらに高精度に検出することができる。
本発明の望ましい態様として、前記リサージュパターンの動径又は前記検出信号の総和が予め設定した値の範囲にあるときは、前記演算装置は、前記第1検出部及び前記第3検出部がそれぞれ検出する検出信号の和を前記検出信号の総和で除算した値、に基づいて前記相対位置を演算してもよい。これによれば、絶対角度θAをさらに高精度に検出することができる。
本発明によれば、装置の小型化が可能な光学センサ及び光学式エンコーダを提供できる。
図1は、本実施形態に係る光学センサの構成例を示す断面図である。 図2は、光学スケール及び検出部の配置の一例を示す図である。 図3は、本実施形態に係る光学式エンコーダの構成例を示すブロック図である。 図4は、本実施形態に係る光学スケールの一例を示す図である。 図5は、本実施形態に係る検出部の一例を示す平面図である。 図6は、本実施形態に係る第1検出部の構成例を示す断面図である。 図7は、本実施形態に係る第2検出部の構成例を示す断面図である。 図8は、本実施形態に係る第3検出部の構成例を示す断面図である。 図9は、本実施形態に係る第4検出部の構成例を示す断面図である。 図10は、本実施形態に係る光学スケールによる偏光成分の分離を説明するための図である。 図11は、本実施形態に係る光学スケールによる偏光成分の分離を説明するための図である。 図12は、本実施形態に係る光学スケールによる偏光成分の分離を説明するための図である。 図13は、本実施形態に係る光学センサの機能ブロック図である。 図14は、本実施形態に係る光学スケールの回転角度と、第1から第4検出部の検出信号との関係を示す図である。 図15は、本実施形態に係る光学スケールの回転角度と差動信号との関係を示す図である。 図16は、本実施形態に係るリサージュパターンの一例を示す図である。 図17は、光学スケールの回転軸の方向からみた、光学スケールと検出部との位置関係の一例を示す図である。 図18は、光学スケールの回転軸の方向からみた、光学スケールと検出部との位置関係の一例を示す図である。 図19は、光学スケールの回転軸の方向からみた、光学スケールと検出部との位置関係の一例を示す図である。 図20は、光学スケールの回転軸の方向からみた、光学スケールと検出部との位置関係の一例を示す図である。 図21は、本実施形態に係る演算装置の構成例を示すブロック図である。 図22は、絶対角度の検出手順を示すフローチャートである。 図23は、光学スケールの回転角度と、光強度の和との関係を示す図である。 図24は、光学スケールの回転角度と、特定の演算式による光強度の演算値との関係を示す図である。 図25は、本実施形態に係る光学スケールの製造方法を示す断面図である。 図26は、本実施形態の変形例1に係る光学スケールの回転角度と光強度の演算値との関係を示す図である。 図27は、本実施形態の変形例2に係る光学スケールのパターンを示す図である。 図28は、本実施形態の変形例2に係るリサージュパターンを示す図である。 図29は、本実施形態の変形例3に係る光学スケールのパターンを示す図である。 図30は、本実施形態の変形例3に係るリサージュパターンを示す図である。 図31は、本実施形態の変形例4に係る光学スケールの製造方法を示す断面図である。 図32は、本実施形態の変形例5に係る光学センサを示す図である。
本発明を実施するための形態(実施形態)について、図面を参照しつつ詳細に説明する。本実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組合せることが可能である。
図1は、本実施形態に係る光学センサの構成例を示す断面図である。図2は、光学スケール及び検出部の配置の一例を示す図である。図3は、本実施形態に係る光学式エンコーダの構成例を示すブロック図である。図4は、本実施形態に係る光学スケールの一例を示す図である。
図1に示すように、光学センサ31は、モータ等の回転機械に連結されたシャフト12を有するロータ10と、ステータ20と、信号パターンを読み取り可能な検出部35と、光源41とを有する。図2に示すように、ロータ10は、円板形状(又は多角形形状)の部材である光学スケール11を有する。光学スケール11は、例えば、シリコン、ガラス、高分子材料などで形成されている。光学スケール11は円輪状もしくは中空であってもよい。図4に示すように、光学スケール11は、信号トラックT1を一方の板面に有する。
また、光学スケール11は、光源41が発する光を偏光方向Pmに分離しつつ透過する第1透過領域11Aと、光源41が発する光を偏光方向Pmに分離しつつ第1透過領域11Aとは異なる透過率で透過する第2透過領域11Bと、を有する。例えば、第1透過領域11Aよりも第2透過領域11Bの方が光の透過率が低い。透過率とは、光学スケール11の光源41と向かい合う面に入射した光が、その反対側の面まで透過できる割合のことであり、例えば、光学スケール11に入射する光の強度と、光学スケール11から出射する光の強度との比率で示される。本実施形態では、例えば、第1透過領域11Aと第2透過領域11Bの透過率の比は、第1透過領域11Aの透過率を1としたとき、第2透過領域11Bの透過率は0.9となっている。
また、信号トラックT1は、第1透過領域11Aと第2透過領域11Bの両方にそれぞれ形成されている。光学スケール11が有する偏光子の偏光方向Pmと、第1透過領域11Aと第2透過領域11Bとの境界線11Cの方向は、平行となっている。
図1に示すように、ステータ20は、筒状のカバー21と、センサ基板23と、蓋部材29とを備える。筒状のカバー21はロータ10とは独立にセンサ基板23の側面を覆うように固定されており、ロータ10はステータ20に対して相対回転することができる。カバー21は遮光性の部材で形成されており、軸受26a、26bと、シャフト12と、シャフト12の端部に取り付けられた光学スケール11と、検出部35とを側方から囲んでいる。このため、カバー21の内部は、外来の光ノイズを抑制できる。カバー21は、筒状であれば、円筒であってもよいし、外径が三角、四角、六角、八角などの角筒であってもよい。
カバー21は、軸受26a、26bを介してシャフト12を回転可能に支持する。カバー21の内周が軸受26a、26bの外輪に固定されており、シャフト12の外周が軸受26a、26bの内輪に固定されている。モータ等の回転機械からの回転によりシャフト12が回転すると、シャフト12に連動して光学スケール11は回転軸Zrを中心として回転する。検出部35は、センサ基板23に固定されている。ロータ10が回転すると、光学スケール11の信号トラックT1が検出部35に対して相対的に移動する。
図1に示すように、光学センサ31は、フレキシブル基板23FPに固定されたコネクタCNTを有する。コネクタCNTは、入出力端子である。また、フレキシブル基板23FPの表面又は内部には、導電体である配線25が設けられている。コネクタCNTは、フレキシブル基板23FPの表面又は内部に設けられた配線25に電力を供給することができ、検出部35からの検出信号をプリアンプAMPを介して外部に出力することができる。
プリアンプAMPは、パッケージ品のアンプ上に直接に検出部35を積層している。プリアンプAMPはカバー21内部に内蔵されるので、プリアンプAMP及びその上に積層される検出部35の耐久性を高めることができる。また、プリアンプAMPは、パッケージ品ではなくベアチップ品でもよい。その場合は、ベアチップ品のアンプ上に受光素子と増幅回路とが搭載されていてもよい。また、プリアンプAMPは、受光素子と増幅回路とともに、半導体プロセスで一体的に形成されていてもよい。
センサ基板23の表面及び内部には、配線25に接続される配線及び回路が設けられている。配線25は、直接又は配線25に接続される配線若しくは回路を介して、カバー21の内側に沿って設けられた配線24の一端と電気的に接続している。これにより、コネクタCNT、プリアンプAMP、検出部35及び光源41は、センサ基板23と配線24、25とによって適宜接続されている。
なお、蓋部材29はカバー21の下端側に取り付けられる。蓋部材29の上面側にはセンサ基板23や検出部35が配置されるため、蓋部材29は遮光性の絶縁体であることが好ましい。
上述したロータ10のシャフト12が回転すると、図2に示すように、光学スケール11は、光学スケール11の円周方向Rに回転し、検出部35に対して相対的に移動する。図4に示すように、光学スケール11は、面内における偏光子の偏光方向Pmが所定の方向を向いている。光学スケール11が円周方向Rに回転すると、この回転により偏光方向Pmは変化する。検出部35は、光源41の光源光71が光学スケール11を透過して入射する入射光(透過光)73を受光して、光学スケール11の信号トラックT1を読み取ることができる。
また、図4に示すように、光学スケール11は、第1透過領域11Aと第2透過領域11Bとを有する。第1透過領域11Aにおける偏光子の偏光方向Pmと、第2透過領域11Bにおける偏光子の偏光方向Pmは、同じ方向である。
光学スケール11が円周方向Rに回転すると、この回転によって、第1透過領域11Aと検出部35との位置関係、及び、第2透過領域11Bと検出部35との位置関係がそれぞれ変化する。例えば、光学スケール11において検出部35と向かい合う領域は、光学スケール11が円周方向Rに回転することによって、第1透過領域11Aから第2透過領域11Bへ、又は、第2透過領域11Bから第1透過領域11Aへ変化する。つまり、光学スケール11において、入射光73が透過する領域は、第1透過領域11Aから第2透過領域11Bへ、又は、第2透過領域11Bから第1透過領域11Aへ変化する。その結果、検出部35に入射する入射光73の強度が変化する。検出部35は、光学スケール11を介して入射してきた入射光73を受光して、その光強度を検出することができる。
図1に示すように、光源41は光源基板42の表面に固定されている。光源基板42には、貫通する孔部42Hが設けられている。この孔部42Hにシャフト12が挿通されている。センサ基板23と光源基板42は、光学スケール11を挟んで、対向するように配置されている。また、光源41は、例えば発光ダイオード又は半導体レーザ光源である。なお、本実施形態に係る光学センサ31は、光源41の光量を一定に制御するオートパワーコントロール(APC)を備えている。
図3に示すように、光学式エンコーダ2は、上述した光学センサ31と、演算装置3と、を備える。光学センサ31と演算装置3は接続されている。演算装置3は、例えばモータ等の回転機械の制御部5に接続されている。
光学センサ31は、光源光71が光学スケール11を透過して入射してくる入射光73を検出部35で検出する。検出部35は、入射光73を光電変換して検出信号を出力する。演算装置3は、検出部35の検出信号から光学センサ31のロータ10と検出部35との位置関係を演算し、位置関係の情報を制御信号として、モータ等の回転機械の制御部5へ出力する。
演算装置3は、パーソナルコンピュータ(PC)等のコンピュータであり、入力インターフェース4aと、出力インターフェース4bと、CPU(Central Processing Unit)4cと、ROM(Read Only Memory)4dと、RAM(Random Access Memory)4eと、内部記憶装置4fと、を含んでいる。入力インターフェース4a、出力インターフェース4b、CPU4c、ROM4d、RAM4e及び内部記憶装置4fは、内部バスで接続されている。なお、演算装置3は、専用の処理回路で構成してもよい。
入力インターフェース4aは、光学センサ31の検出部35からの入力信号を受け取り、CPU4cに出力する。出力インターフェース4bは、CPU4cから制御信号を受け取り、制御部5に出力する。
ROM4dには、BIOS(Basic Input Output System)等のプログラムが記憶されている。内部記憶装置4fは、例えばHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等であり、オペレーティングシステムプログラムやアプリケーションプログラムを記憶している。CPU4cは、RAM4eをワークエリアとして使用しながらROM4dや内部記憶装置4fに記憶されているプログラムを実行することにより、種々の機能を実現する。
記憶手段である内部記憶装置4fには、光学スケール11における偏光軸と検出部35の検出信号とを対応付けたデータベースが記憶されている。
図4に示す信号トラックT1は、ワイヤーグリッドパターンとよばれる金属細線(ワイヤー)gの配列が図1に示す光学スケール11に形成されている。光学スケール11は、信号トラックT1として、隣り合う金属細線gを平行に直線的に配置している。このため、光学スケール11は、光源光71が照射される位置によらず同じ偏光軸となり、面内における偏光子の偏光方向が一方向を向いている。
また、ワイヤーグリッドパターンとよばれる金属細線gを有する光学スケール11は、光誘起の偏光板に比較して、光学スケール11は耐熱性を高めることができる。また、光学スケール11は、局所的にも、交差するような部分のないラインパターンとなっているため、精度が高く誤差の少ない光学スケールとすることができる。また、光学スケール11は、一括した露光又はナノインプリント技術により安定して製造することもできるため、精度が高く誤差の少ない光学スケールとすることができる。なお、光学スケール11は、光誘起の偏光板としてもよい。
複数の金属細線gは、交差せず配置されている。隣り合う金属細線gの間は、光源光71の全部又は一部が透過可能な透過領域dである。金属細線gの幅及び隣り合う金属細線gの間隔、つまり金属細線gの幅及び透過領域dの幅が、光源41の光源光71の波長より十分小さい場合、光学スケール11は、光源光71の入射光73を偏光分離することができる。このため、光学スケール11は、面内における偏光方向(偏光軸)Pmが一様な偏光子を有する。光学スケール11は、回転する周方向において、検出部35へ入射する入射光73の偏光軸を光学スケール11の回転に応じて変化させる。本実施形態において、偏光軸の変化は、光学スケール11の1回転に対して2回の増減を繰り返すことになる。
光学スケール11は、偏光方向の異なるセグメントを細かくする必要がない。そして、光学スケール11は、一様な偏光軸Pmを有するため、偏光軸Pmの異なる領域の境界がなく、この境界による入射光73の偏光状態の乱れを抑制できる。本実施形態の光学式エンコーダ2は、誤検出又はノイズを生じさせる可能性を低減することができる。
なお、光学スケール11が偏光分離素子として機能するために、光学スケール11は回転軸Zrと直交するX−Y平面に対して平行に配置されていることが好ましい。但し、光学スケール11がX−Y平面に対して傾斜している場合でも、その傾斜角度が小さい場合には、光学スケール11は偏光分離素子として機能する。
また、光学スケール11の第2透過領域11Bには、第1透過領域11Aよりも光の透過率を低くするための光変調層fが設けられている。光変調層fは、紫外線硬化型樹脂(UV樹脂)、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂などの各種樹脂で構成されていてもよいし、銅(Cu)、クロム(Cr)などの各種金属薄膜で構成されていてもよい。
光変調層fは、隣り合う金属細線gの間の透過領域d上にのみ設けられていてもよいし、金属細線g上にのみ設けられていてもよい。また、光変調層fは、透過領域dと金属細線gの両方を覆うように、第2透過領域11Bの基体上に設けられていてもよい。
第2透過領域11Bにおける光の透過率は、光変調層fの厚さで調整することができる。光変調層fの厚さが厚いほど光の透過率は低くなり、光変調層fの厚さが薄いほど光の透過率は高くなる。また、第2透過領域11Bにおける光の透過率は、光変調層fの被覆率で調整することもできる。光変調層fの被覆率は、例えば、平面視で第2透過領域11Bの全面積に対する光変調層fの面積の割合で示される。光変調層fの被覆率が大きいほど光の透過率は低くなり、光変調層fの被覆率が小さいほど光の透過率は高くなる。なお、光変調層fを含む光学スケール11の製造方法は、後で図25等を参照しながら説明する。
図5は、本実施形態に係る検出部の一例を示す平面図である。図5に示すように、検出部35は、第1検出部35Aと、第2検出部35Bと、第3検出部35C及び第4検出部35Dを有する。
第1検出部35Aは、入射光73のうち第1偏光方向に分離された光の強度を検出する。第1検出部35Aは、第1偏光層PP1と第1受光素子PD1とを有する。第1偏光層PP1は、第1受光素子PD1の受光面側に配置され、入射光73を第1偏光方向に分離する。第1偏光層PP1は、入射光73を第1偏光方向に偏光する偏光子が形成された、ガラス基板又は樹脂基板で構成されている。第1受光素子PD1は、入射光73のうち、第1偏光層PP1を透過して第1偏光方向に分離された光を受光する。
第2検出部35Bは、入射光73のうち第2偏光方向に分離された光の強度を検出する。第2検出部35Bは、第2偏光層PP2と第2受光素子PD2とを有する。第2偏光層PP2は、第2受光素子PD2の受光面側に配置され、入射光73を第2偏光方向に分離する。第2偏光層PP2は、入射光73を第2偏光方向に偏光する偏光子が形成された、ガラス基板又は樹脂基板で構成されている。第2受光素子PD2は、入射光73のうち、第2偏光層PP2を透過して第2偏光方向に分離された光を受光する。
第3検出部35Cは、入射光73のうち第3偏光方向に分離された光の強度を検出する。第3検出部35Cは、第3偏光層PP3と第3受光素子PD3とを有する。第3偏光層PP3は、第3受光素子PD3の受光面側に配置され、入射光73を第3偏光方向に分離する。第3偏光層PP3は、入射光73を第3偏光方向に偏光する偏光子が形成された、ガラス基板又は樹脂基板で構成されている。第3受光素子PD3は、入射光73のうち、第3偏光層PP3を透過して第3偏光方向に分離された光を受光する。
第4検出部35Dは、入射光73のうち第4偏光方向に分離された光の強度を検出する。第4検出部35Dは、第4偏光層PP4と第4受光素子PD4とを有する。第4偏光層PP4は、第4受光素子PD4の受光面側に配置され、入射光73を第4偏光方向に分離する。第4偏光層PP4は、入射光73を第4偏光方向に偏光する偏光子が形成された、ガラス基板又は樹脂基板で構成されている。第4受光素子PD4は、入射光73のうち、第4偏光層PP4を透過して第4偏光方向に分離された光を受光する。
Z軸方向からみて、第1偏光方向(偏光軸)と、第2偏光方向(偏光軸)、第3偏光方向(偏光軸)及び第4偏光方向(偏光軸)は、例えば、相対的に45°ずつ異なる。すなわち、第1偏光方向と第2偏光方向は相対的に45°異なり、第2偏光方向と第3偏光方向は相対的に45°異なり、第3偏光方向と第4偏光方向は相対的に45°異なる。第1偏光方向と第3偏光方向は相対的に90°異なり、第2偏光方向と第4偏光方向は相対的に90°異なる。この構成により、演算装置3のCPU4cは、偏光角度の演算を容易とすることができる。
第1偏光層PP1、第2偏光層PP2、第3偏光層PP3及び第4偏光層PP4は、例えば、単一の板体として一体に形成されて複合偏光層30を構成している。図5に示すように、複合偏光層30の平面視による形状は、例えば矩形(正方形)である。複合偏光層30の一対の線分30A、30Aによって区分けされた領域に第1偏光層PP1、第2偏光層PP2、第3偏光層PP3及び第4偏光層PP4がそれぞれ配置されている。複合偏光層30は、第1偏光層PP1、第2偏光層PP2、第3偏光層PP3及び第4偏光層PP4における隣接する2つの側面部51Bから54Bを連結させて、一体化している。
具体的には、第1偏光層PP1は、直角に形成された角部51Aと、角部51Aを挟む側面部51B、51Bとを備えた正方形状に形成されている。同様に、第2偏光層PP2は、直角の角部52Aと、角部52Aを挟む側面部52B、52Bとを備えた正方形状に形成されている。第3偏光層PP3は、直角の角部53Aと、角部53Aを挟む側面部53B、53Bとを備えた正方形状に形成されている。第4偏光層PP4は、直角の角部54Aと、角部54Aを挟む側面部54B、54Bとを備えた正方形状に形成されている。そして、第1偏光層PP1、第2偏光層PP2、第3偏光層PP3及び第4偏光層PP4は、それぞれ角部51Aから54Aを突き合わせると共に、隣り合った側面部51Bから54B同士を連結させて一体化されている。
この構成によれば、偏光方向が互いに異なる第1偏光層PP1、第2偏光層PP2、第3偏光層PP3及び第4偏光層PP4を相互に連結して複合偏光層30を形成している。これにより、光学センサ31は、各偏光層の偏光方向の相対的なズレの発生を防止することができるので、回転角度の検出精度の向上を実現することができる。さらに、本実施形態によれば、第1偏光層PP1、第2偏光層PP2、第3偏光層PP3及び第4偏光層PP4をそれぞれ正方形に形成し、各偏光層における隣り合った側面部51Bから54B同士を連結させて一体化されているため、各偏光層を容易、かつ、正確に連結することができる。これにより、第1偏光層PP1、第2偏光層PP2、第3偏光層PP3及び第4偏光層PP4は製造が容易であり、量産性にも優れる。
本実施形態では、第1偏光層PP1、第2偏光層PP2、第3偏光層PP3及び第4偏光層PP4の平面視による各形状は、例えば同一である。また、第1偏光層PP1、第2偏光層PP2、第3偏光層PP3及び第4偏光層PP4の平面視による各面積も、例えば同一である。このため、図5に示すように、第1偏光層PP1、第2偏光層PP2、第3偏光層PP3及び第4偏光層PP4における隣り合った側面部51Bから54Bを突き合わせることで形成される線分30A、30Aの交点が複合偏光層30の中心S0となる。第1偏光層PP1と第3偏光層PP3は、中心S0を介して点対称の位置に配置されている。また、第2偏光層PP2と第4偏光層PP4は、中心S0を介して点対称の位置に配置されている。
また、図5に示すように、第1受光素子PD1、第2受光素子PD2、第3受光素子PD3及び第4受光素子PD4も、平面視で中心S0から等距離に配置されている。そして、第1受光素子PD1と第3受光素子PD3は、中心S0を介して点対称の位置に配置されている。第2受光素子PD2と第4受光素子PD4も、中心S0を介して点対称の位置に配置されている。
本実施形態では、第1受光素子PD1、中心S0及び第3受光素子PD3を通過する複合偏光層30上の仮想軸をX軸とし、第2受光素子PD2、中心S0及び第4受光素子PD4を通過する複合偏光層30上の仮想軸をY軸としたとき、X軸とY軸は複合偏光層30の表面上で直交している。また、図2に示すように、光源41の出射面と、中心S0との距離をLとする。X軸とY軸とによるXY平面は、光源41の出射面と中心S0とを結ぶZ軸と直交している。
図6は、本実施形態に係る第1検出部の構成例を示す断面図である。図7は、本実施形態に係る第2検出部の構成例を示す断面図である。図8は、本実施形態に係る第3検出部の構成例を示す断面図である。図9は、本実施形態に係る第4検出部の構成例を示す断面図である。
図6に示すように、第1検出部35Aは、第1導電型の半導体基板34と、半導体基板34上に積層された第2導電型の半導体層37と、半導体層37上に積層された第1偏光層PP1とを備える。例えば、第1導電型はn型であり、第2導電型はp型である。また、第1導電型はp型で、第2導電型はn型であってもよい。第1導電型の半導体基板34と第2導電型の半導体層37とにより、PN接合で形成されたフォトダイオードを構成することができる。また、半導体基板34及び半導体層37を構成する各半導体材料は、例えばシリコン、又はガリウムヒ素等の化合物半導体である。半導体基板34及び半導体層37は、互いに同一種類の半導体材料で構成されていてもよいし、異なる種類の半導体材料で構成されていてもよい。
また、図7に示すように、第2検出部35Bは、第1導電型の半導体基板34と、半導体基板34上に積層された第2導電型の半導体層37と、半導体層37上に積層された第2偏光層PP2とを備える。また、図8に示すように、第3検出部35Cは、第1導電型の半導体基板34と、半導体基板34上に積層された第2導電型の半導体層37と、半導体層37上に積層された第3偏光層PP3とを備える。図9に示すように、第4検出部35Dは、第1導電型の半導体基板34と、半導体基板34上に積層された第2導電型の半導体層37と、半導体層37上に積層された第4偏光層PP4とを備える。
図10、図11及び図12は、本実施形態に係る光学スケールによる偏光成分の分離を説明するための図である。図10に示すように、光学スケール11の信号トラックT1により偏光方向Pmに偏光された入射光が入射する。図10において、センシング範囲には、異物D1及び異物D2がある。入射光の偏光方向Pmは、一方の偏光方向の成分の光強度PI(−)と、他方の偏光方向の成分の光強度PI(+)と、で表現することができる。これら一方の偏光方向と他方の偏光方向とは、上述した第1偏光方向及び第3偏光方向、または、第2偏光方向及び第4偏光方向のように、90°異なる方向であることが好ましく、基準方向に対して例えば+45°成分と−45°成分のようになっている。図10、図11及び図12において、ワイヤーグリッドの軸方向は、紙面に対して平行に示されているが、紙面に対して同一の角度で傾斜していても傾斜角度が小さい場合には偏光分離の機能に影響がない。すなわち、光学スケール11は、回転軸に対して傾斜していても、偏光分離素子として機能する。
第1受光素子PD1は、図11に示すように、入射光を第1偏光方向に分離する第1偏光層PP1を介して検知するため、一方の偏光方向の成分の光強度PI(−)を検知する。第3受光素子PD3は、図12に示すように、入射光を第3偏光方向に分離する第3偏光層PP3を介して検知するため、他方の偏光方向の成分の光強度PI(+)を検知する。同様に、第2受光素子PD2は、図11に示すように、入射光を第2偏光方向に分離する第2偏光層PP2を介して検知するため、一方の偏光方向の成分の光強度PI(−)を検知する。第4受光素子PD4は、図12に示すように、入射光を第4偏光方向に分離する第4偏光層PP4を介して検知するため、他方の偏光方向の成分の光強度PI(+)を検知する。
図13は、本実施形態に係る光学センサの機能ブロック図である。図14は、本実施形態に係る光学スケールの回転角度と、第1から第4検出部の検出信号との関係を示す図である。図14の横軸は光学スケール11の回転角度[deg]を示し、図14の縦軸は検出部35で検出される光強度[a.u.]を示す。図15は、本実施形態に係る光学スケールの回転角度と差動信号との関係を示す図である。図15の横軸は光学スケール11の回転角度[deg]を示し、図15の縦軸は差動演算回路DSで算出された差動信号の強度[a.u.]を示す。図16は、本実施形態に係るリサージュパターンの一例を示す図である。図16の横軸は差動信号Vcを示し、図16の縦軸は差動信号Vsを示す。また、図16中のθは、リサージュパターンの偏角を示す。なお、図14及び図15の縦軸の目盛りは、検出部35で検出される入射光73の光強度の最大値を「1」として正規化したものである。
図13において、光源41は基準信号に基づいた発光を行い、光学スケール11に光源光71を照射する。光学スケール11を透過した入射光73は、第1検出部35A、第2検出部35B、第3検出部35C及び第4検出部35Dの各受光素子で受光される。第1検出部35A、第2検出部35B、第3検出部35C及び第4検出部35Dは、各受光素子で受光した光の強度を検出信号として出力する。検出信号はプリアンプAMPで増幅され、差動演算回路DSに出力される。
差動演算回路DSは、検出部35の検出信号である、一方の偏光方向の成分(第1分離光)の光強度PI(−)と、他方の偏光方向の成分(第2分離光)の光強度PI(+)とを取得する。この光強度PI(−)と、光強度PI(+)とに対応する、第1受光素子PD1、第2受光素子PD2、第3受光素子PD3及び第4受光素子PD4のそれぞれの出力は、例えば、図14のように、光学スケール11の回転に応じて、位相がずれた光強度I1、I2、I3及びI4である。
差動演算回路DSは、下記式(1)及び下記式(2)に従って、一方の偏光方向の成分の光強度PI(−)及び他方の偏光方向の成分の光強度PI(+)から、光学スケール11の回転に依存した差動信号Vc及びVsを演算する。
Vc=(I1−I3)…(1)
Vs=(I2−I4)…(2)
このように、差動演算回路DSは、光強度I1及び光強度I3に基づいて、光強度の差[I1−I3]を演算し、差動信号Vcを算出する。また、差動演算回路DSは、光強度I2及び光強度I4に基づいて、光強度の差[I2−I4]を演算し、差動信号Vsを算出する。図15に示すように、差動信号Vcと差動信号Vsは、位相が90°ずれた同一波形の信号である。
図13に示すように、差動信号Vc及びVsは、フィルター回路NRに入力され、ノイズ除去される。逓倍回路APでは、差動信号Vc、Vsの周波数をそれぞれ逓倍にした逓倍信号を生成する。演算装置3は、差動信号Vc及びVs、又はそれらの逓倍信号から、図16に示すリサージュパターンを演算し、初期位置から回転したロータ10の回転角度の絶対角度を特定することができる。差動信号Vc及びVsは、λ/4位相がずれた差動信号であるので、差動信号Vcのコサインカーブを横軸へ、差動信号Vsのサインカーブを縦軸にとったリサージュパターンを演算し、回転角度に応じて、リサージュパターンの偏角θが定まることになる。
また、図16に示すように、本実施形態に係るリサージュパターンは、ロータ10が1回転すると2周する。つまり、検出部35に対して光学スケール11が1回転すると、リサージュパターンは2周する。本実施形態に係るリサージュパターンは動径が異なる2重ループであり、例えば、1周目のリサージュパターンCL1と、1周目のリサージュパターンCL1よりも動径が短い2周目のリサージュパターンCL2とを有する。1周目のリサージュパターンCL1の動径r1と、2周目のリサージュパターンCL2の動径r2との違いは、入射光73が第1透過領域11Aを透過して検出部35に入射したか、それとも、第2透過領域11Bを透過して検出部35に入射したかの違いによる。なお、動径r1、r2の大きさは、例えば、(Vc+Vs1/2、でそれぞれ算出される。
図17から図20は、光学スケールの回転軸の方向からみた、光学スケールと検出部との位置関係の一例を示す図である。図17は検出部35に対する光学スケール11の回転角度が0°の場合を示し、図18は回転角度が90°の場合を示し、図19は回転角度が180°の場合を示し、図20は回転角度が270°の場合を示している。なお、本実施形態では、例えば、図17に示す光学スケール11の位置を回転角度の基準位置とする。
図17、図18、図19の順で示すように、光学スケール11が検出部35に対して0°から180°まで回転すると、差動信号Vc及びVsは1周目のリサージュパターンCL1を描く。このとき、光学スケール11の回転角度が0°又はその近傍値である場合(図17参照)と、180°又はその近傍値である場合(図19参照)とを除き、第1検出部35A、第2検出部35B、第3検出部35C及び第4検出部35Dは光学スケール11の第1透過領域11Aと平面視で重なる。その結果、光学スケール11を透過率「1」で透過した光が、第1検出部35A、第2検出部35B、第3検出部35C及び第4検出部35Dにそれぞれ入射する。このため、第1検出部35A、第2検出部35B、第3検出部35C及び第4検出部35Dでそれぞれ検出される光強度I1、I2、I3及びI4の最大値もそれぞれ「1」に近い値となり(図14参照)、1周目のリサージュパターンCL1の動径r1も「1」に近い値となる(図16参照)。
一方、図19、図20、図17の順で示すように、光学スケール11が検出部35に対して180°から360°まで回転すると、差動信号Vc及びVsは2周目のリサージュパターンCL2を描く。このとき、光学スケール11の回転角度が180°又はその近傍値である場合(図19参照)と、360°又はその近傍値である場合(図17参照)とを除き、第1検出部35A、第2検出部35B、第3検出部35C及び第4検出部35Dは光学スケール11の第2透過領域11Bと平面視で重なり、光学スケール11を透過率「0.9」で透過した光が、第1検出部35A、第2検出部35B、第3検出部35C及び第4検出部35Dにそれぞれ入射する。このため、第1検出部35A、第2検出部35B、第3検出部35C及び第4検出部35Dでそれぞれ検出される光強度I1、I2、I3及びI4の最大値もそれぞれ「0.9」に近い値となり(図14参照)、2周目のリサージュパターンCL2の動径r2も「0.9」に近い値となる(図16参照)。
このように、光学スケール11が第1透過領域11Aと第2透過領域11Bとを有し、光学スケール11の回転角度に応じて入射光73が第1透過領域11A又は第2透過領域11Bを透過する。これにより、リサージュパターンは光学スケール11の回転角度に応じて動径が異なる2重ループを形成する。したがって、演算装置3は、2重ループを形成したリサージュパターンの動径から、光学スケール11の基準位置からの回転角度が0°以上180°未満の範囲にあるのか、それとも、180°以上から360°未満の範囲にあるのかを検出することができる。例えば、演算装置3は、リサージュパターンの動径が「1」であれば光学スケール11の回転角度が0°以上180°未満の範囲にあると判定し、リサージュパターンの動径が「0.9」であれば光学スケール11の回転角度が180°以上360°未満の範囲にあると判定することができる。これにより、演算装置3は、0°以上360°未満の範囲で、光学スケール11の絶対的な回転角度(絶対角度)を算出することができる。つまり、光学式エンコーダ2を、0°以上360°未満の範囲で絶対角度を検出することができるアブソリュートエンコーダとすることができる。
ところで、図16に示すリサージュパターンには、1周目のリサージュパターンCL1と2周目のリサージュパターンCL2とが交差する交差領域CLaが存在する。交差領域CLaでは、1周目のリサージュパターンCL1の動径r1と2周目のリサージュパターンCL2の動径r2との違いがゼロ又はごく小さい。つまり、交差領域CLaでは、r1≒r2である。このため、演算装置3は、光学スケール11の回転角度が0°以上180°未満の範囲にあるか、それとも、180°以上360°未満の範囲にあるかを、リサージュパターンの動径から検出することが難しい場合がある。
そこで、本実施形態では、演算装置3が、検出部35の出力信号(光強度)I1、I2、I3及びI4に基づいて、特定の演算式による演算を行い、その演算値又は曲線の傾きから光学スケール11の回転角度の範囲(以下、角度ブランチともいう。)を同定してもよい。光学式エンコーダ2を、より高精度に絶対角度を検出することができるアブソリュートエンコーダとすることができる。
図21は、本実施形態に係る演算装置の構成例を示すブロック図である。図22は、絶対角度の検出手順を示すフローチャートである。図23は、光学スケールの回転角度と、光強度の和との関係を示す図である。図23の横軸は光学スケール11の回転角度[deg]を示し、図23の縦軸は光強度の和[a.u.]を示す。図24は、光学スケールの回転角度と、特定の演算式による光強度の演算値との関係を示す図である。図24の横軸は光学スケール11の回転角度[deg]を示し、図24の縦軸は光強度の演算値[a.u.]を示す。
図21に示すように、演算装置3は、その機能として、情報取得部131と、偏角検出部132と、角度ブランチ検出部133と、絶対角度検出部134と、記憶部135と、情報出力部136と、を有する。なお、信号取得部131と、偏角検出部132と、角度ブランチ検出部133と、絶対角度検出部134及び情報出力部136の各機能は、例えば、演算装置3が備える入力インターフェース4aと、出力インターフェース4b及びCPU4c(図3参照)によって実現される。また、記憶部135の機能は、例えば、演算装置3が備えるROM4dと、RAM4e及び内部記憶装置4f(図3参照)によって実現される。あるいは、演算装置3の上記した各機能は、演算装置3が備える専用の処理回路で実現されてもよい。
まず、情報取得部131が、光学センサ31から光強度に関する情報と、差動信号Vc、Vsに関する情報とを取得する(ステップS1)。ステップS1で取得される光強度に関する情報は、第1検出部35Aが検出した光強度I1、第2検出部35Bが検出した光強度I2、第3検出部35Cが検出した光強度I3及び第4検出部35Dが検出した光強度I4に関する情報を含む。情報取得部131は光強度に関する情報をプリアンプAMPから取得してもよいし、光学センサ31にプリアンプAMPが設けられていない場合は検出部35から直接取得してもよい。また、情報取得部131は、差動信号Vc、Vsに関する情報を差動演算回路DSから直接取得してもよいし、差動演算回路DSからフィルター回路NR及び逓倍回路AP等を介して取得してもよい。
次に、偏角検出部132が、差動信号Vc、Vsに基づいてリサージュパターンの偏角θを検出する(ステップS2)。本実施形態では、図16に示した2重ループのリサージュパターンの情報、つまり、光学スケール11が0°以上360°未満の範囲で回転するときの差動信号Vc、Vsに関する情報が、参照データとして記憶部135に予め格納されている。偏角検出部132は記憶部135から参照データを読み出し、読み出した参照データと差動信号Vc、Vsとに基づいて、差動信号Vc、Vsに対応したリサージュパターンの偏角θを検出する。次に、角度ブランチ検出部133が、光学スケール11の回転角度の範囲、つまり角度ブランチを検出する(ステップS3からS10)。
具体的には、角度ブランチ検出部133が、光強度の和ΣI(=I1+I2+I3+I4)を算出する(ステップS3)。次に、角度ブランチ検出部133は、算出した光強度の和ΣIが、予め設定した上限閾値より大きいか否かを判定する(ステップS4)。図23に示すように、光強度の和ΣIには上限閾値u1と下限閾値u2とが予め設定されており、例えば上限閾値u1は1.93であり、下限閾値u2は1.87である。上限閾値u1及び下限閾値u2に関する情報は、記憶部135に予め格納されている。
なお、上限閾値u1及び下限閾値u2の設定方法に特に制限はないが、例えば、次に説明する第1の方法又は第2の方法で設定することができる。
第1の方法は、図23において、例えば回転角度180°を中心位置とし、この中心位置を中心に所定角度の範囲が後述の第3領域となるように、上限閾値u1及び下限閾値u2をそれぞれ設定する方法である。所定角度として、光学センサ31の角度分解能の数倍から十倍、又は、数倍から百倍程度が例示される。例えば、回転角度180°の位置から、回転角度のプラス方向とマイナス方向とにそれぞれ、角度分解能の5から10倍程度の範囲が第3領域となるように、上限閾値u1及び下限閾値u2を設定してもよい。
第2の方法は、後述する図24の点Pmax1、Pmax2、Pmin1及びPmin2に対応するように、上限閾値u1及び下限閾値u2を設定する方法である。例えば、図24の点Pmax1、Pmax2となるときの光強度の和ΣIを上限閾値u1に設定し、図24の点Pmin1、Pmin2となるときの光強度の和ΣIを下限閾値u2に設定してもよい。
本実施形態では、図23に示すように、光強度の和ΣIが上限閾値u1以上となる角度ブランチを第1領域と称する。光強度の和ΣIが下限閾値u2以下となる角度ブランチを第2領域と称する。光強度の和ΣIが下限閾値u2よりも大きく、上限閾値u1よりも小さい角度ブランチを第3領域と称する。
角度ブランチ検出部133は、記憶部135から上限閾値u1を読み出し、読み出した上限閾値u1と算出した光強度の和ΣIとを比較して、光強度の和ΣIが上限閾値u1より大きい場合(ステップS4;Yes)、角度ブランチ検出部133は角度ブランチを第1領域に同定する(ステップS5)。
図23に示す第1領域は、図16に示した1周目のリサージュパターンCL1に対応している。すなわち、図23に示す第1領域では、第1検出部35A、第2検出部35B、第3検出部35C及び第4検出部35Dは、光学スケール11の第1透過領域11Aと重なって透過率「1」の光が入射し、光強度の和ΣIは上限閾値u1以上の値となっている。このため、図23に示す第1領域では、差動信号Vc、Vsは、図16に示した2重ループのリサージュパターンのうち、動径が大きい1周目のリサージュパターンCL1の関係にある。
一方、光強度の和ΣIが上限閾値u1以下の場合(ステップS4;No)、角度ブランチ検出部133は、記憶部135から下限閾値u2を読み出し、読み出した下限閾値u2と算出した光強度の和ΣIとを比較して、光強度の和ΣIが下限閾値u2より小さいか否かを判定する(ステップS6)。光強度の和ΣIが下限閾値u2より小さい場合(ステップS6;Yes)、角度ブランチ検出部133は角度ブランチを第2領域に同定する(ステップS7)。第2領域では、差動信号Vc、Vsは図16に示した2周目のリサージュパターンCL2の関係にある。
図23に示す第2領域は、図16に示した2周目のリサージュパターンCL2に対応している。すなわち、図23に示す第2領域では、第1検出部35A、第2検出部35B、第3検出部35C及び第4検出部35Dは、光学スケール11の第2透過領域11Bと重なって透過率「0.9」の光が入射し、光強度の和ΣIは下限閾値u2以下の値となっている。このため、図23に示す第2領域では、差動信号Vc、Vsは、図16に示した2重ループのリサージュパターンのうち、動径が小さい2周目のリサージュパターンCL2の関係にある。
光強度の和ΣIが下限閾値u2以上の場合(ステップS6;No)、角度ブランチ検出部133は角度ブランチを第3領域に同定する(ステップS8)。
図23に示す第3領域は、図16に示した1周目のリサージュパターンCL1と2周目のリサージュパターンCL2とが交差する交差領域CLaに対応している。すなわち、図23に示す第3領域では、検出部35は光学スケール11の第1透過領域11Aと第2透過領域11Bとの境界線11Cと重なる。例えば、第1検出部35A及び第3検出部35Cの一方は光学スケール11の第1透過領域11Aと重なって透過率「1」の光が入射し、第1検出部35A及び第3検出部35Cの他方は光学スケール11の第2透過領域11Bと重なって透過率「0.9」の光が入射し、光強度の和ΣIは、下限閾値u2よりも大きく、上限閾値u1よりも小さい値となっている。このため、図23に示す第3領域では、差動信号Vc、Vsは、図16に示した2重ループのリサージュパターンのうち、動径が大から小、又は、小から大へ変化する交差領域CLaの関係にある。
角度ブランチの第1から第3領域への同定は、角度ブランチ検出部133が光強度の和ΣIと上限閾値u1、下限閾値u2とを比較することで行うことができ、光強度の和ΣIの値が判定材料となる。ただし、角度ブランチが第3領域であると同定された場合は、さらに詳細な角度の同定が必要となる。つまり、角度ブランチが0°若しくは360°付近にあるのか、又は、180°付近にあるのかを同定する必要がある。そこで、角度ブランチが第3領域であると同定された場合は、角度ブランチ検出部133は光学スケール11に制御信号を送信して、光学スケール11を現在の位置から微小回転させる(ステップS9)。
微小回転の方向は、現在の位置から回転角度のプラス方向でもよいし、現在の位置から回転角度のマイナス方向でもよい。また、角度ブランチ検出部133は、光学スケール11を現在の位置からプラス方向とマイナス方向の両方にそれぞれ微小回転させてもよい。微小回転の角度について、一例を挙げると、光学センサ31の角度分解能が0.005°のとき、プラス方向に0.01°以上0.05°以下、マイナス方向に0.01°以上0.05°以下である。あるいは、微小回転の角度は、光学センサ31の角度分解能の数倍程度でもよい。つまり、角度ブランチ検出部133は、プラス方向及びマイナス方向の少なくとも一方に、角度分解能の数倍程度の角度だけ、光学スケール11を微小回転させてもよい。
また、この微小回転の際に、情報取得部131は光強度I1、I2、I3及びI4に関する情報を取得する。角度ブランチ検出部133は、情報取得部131が取得した光強度I1、I2、I3及びI4に関する情報を、特定の演算式に当てはめて演算処理を行い、演算値を得る。特定の演算式を下記式(3)に示す。第3領域における単位角度当たりの値の変化率は、リサージュパターンの動径の差r1−r2や、光強度の和ΣIよりも、特定の演算式による演算値の方が大きい。
I2+I4−(I1+I3)…(3)
光学スケール11の回転角度と、式(3)による演算値との関係は、例えば図24に示すような曲線となる。図24に示す曲線は、演算値が極大となる2つの点Pmax1、Pmax2と、演算値が極小となる2つの点Pmin1、Pmin2とが存在する。なお、図24に示す曲線に、点Pmax1、Pmax2、Pmin1、Pmin2が存在する理由は後述する。
本実施形態では、角度ブランチ検出部133が、微小回転による式(3)の演算値の変化の割合、つまり、式(3)の演算値の傾きを検出する。そして、角度ブランチ検出部133は、検出した演算値の傾きに基づいて、角度ブランチを0°若しくは360°付近、又は、180°付近に同定する(ステップS10)。例えば、図24の傾きBで示すように、微小回転を行った回転角度範囲における演算値の傾きがマイナスであれば、角度ブランチ検出部133は、角度ブランチを180°付近に同定する。また、図24の傾きB’で示すように、微小回転を行った回転角度範囲における演算値の傾きがプラスであれば、角度ブランチ検出部133は、角度ブランチを0°若しくは360°付近に同定する。
次に、絶対角度検出部134は、偏角検出部132が検出したリサージュパターンの偏角θと、角度ブランチ検出部133が検出した角度ブランチとに基づいて、光学スケール11の絶対角度θAを0°以上360°未満の範囲で検出する(ステップS11)。角度ブランチが、第1領域又は0°若しくは360°付近の場合、絶対角度θA[°]は下記式(4)で示される。
θA=1/2×θ…(4)
また、角度ブランチが、第2領域又は180°付近の場合、絶対角度θAは下記式(5)で示される。
θA=1/2×θ+180°…(5)
上記式(4)及び上記式(5)において、θ[°]はリサージュパターンの偏角である。偏角θの範囲は、0°≦θ<360°、である。
情報出力部136は、絶対角度検出部134が検出した絶対角度θAに関する情報を、モータ等の回転機械の制御部5へ出力する。
次に、図24に示す曲線に、点Pmax1、Pmax2、Pmin1、Pmin2が存在する理由を説明する。演算値が極大となる点Pmax1は、第1検出部35A、第2検出部35B及び第4検出部35Dにそれぞれ入射する入射光73よりも、第3検出部35Cに入射する入射光73の方が強度が小さいことが理由で生じる。例えば、光学スケール11の回転が図17から図18に移行する過程で、第1検出部35A、第2検出部35B及び第4検出部35Dは第1透過領域11Aと重なり、第3検出部35Cは第2透過領域11Bと重なり、第1検出部35A、第2検出部35B及び第4検出部35Dにそれぞれ入射する入射光73の強度よりも、第3検出部35Cに入射する入射光73の強度の方が小さくなるタイミングがある。このときに、演算値が極大となる点Pmax1が生じる。
第1検出部35Aの第1偏光方向と、第2検出部35Bの第2偏光方向と、第3検出部35Cの第3偏光方向と、第4検出部35Dの第4偏光方向は、それぞれ45°ずつ異なる。このため、第1検出部35A、第2検出部35B、第3検出部35C及び第4検出部35Dに入射する入射光73の強度が互いに同じであれば、第1検出部35A及び第3検出部35Cの光強度の和である[I1+I3]と、第2検出部35B及び第4検出部35Dの光強度の和である[I2+I4]は、同じ値となる。つまり、式(3)の演算値は0となる。しかし、点Pmax1のように、第3検出部35Dに入射する入射光73の強度のみが小さい場合、[I1+I3]の値は[I2+I4]の値よりも小さくなるため、上記式(3)の演算値は極大となる。
同様に、演算値が極大となる点Pmax2は、第2検出部35B、第3検出部35C及び第4検出部35Dにそれぞれ入射する入射光73よりも、第1検出部35Aに入射する入射光73の方が強度が小さいことが理由で生じる。例えば、光学スケール11の回転が図18から図19に移行する過程で、第2検出部35B、第3検出部35C及び第4検出部35Dは第1透過領域11Aと重なり、第1検出部35Aは第2透過領域11Bと重なり、第2検出部35B、第3検出部35C及び第4検出部35Dにそれぞれ入射する入射光73の強度よりも、第1検出部35Aに入射する入射光73の強度の方が小さくなるタイミングがある。このときに、演算値が極大となる点Pmax2が生じる。
演算値が極小となる点Pmin1は、第1検出部35A、第2検出部35B及び第4検出部35Dにそれぞれ入射する入射光73よりも、第3検出部35Cに入射する入射光73の方が強度が大きいことが理由で生じる。例えば、光学スケール11の回転が図19から図20に移行する過程で、第1検出部35A、第2検出部35B及び第4検出部35Dは第2透過領域11Bと重なり、第3検出部35Cは第1透過領域11Aと重なり、第1検出部35A、第2検出部35B及び第4検出部35Dにそれぞれ入射する入射光73の強度よりも、第3検出部35Cに入射する入射光73の強度の方が大きくなるタイミングがある。このときに、演算値が極小となる点Pmin1が生じる。
演算値が極小となる点Pmin2は、第2検出部35B、第3検出部35C及び第4検出部35Dにそれぞれ入射する入射光73よりも、第1検出部35Aに入射する入射光73の方が強度が大きいことが理由で生じる。例えば、光学スケール11の回転が図20から図17に移行する過程で、第2検出部35B、第3検出部35C及び第4検出部35Dは第2透過領域11Bと重なり、第1検出部35Aは第1透過領域11Aと重なり、第2検出部35B、第3検出部35C及び第4検出部35Dにそれぞれ入射する入射光73の強度よりも、第1検出部35Aに入射する入射光73の強度の方が大きくなるタイミングがある。このときに、演算値が極小となる点Pmin2が生じる。以上が、図24に示す曲線に、点Pmax1、Pmax2、Pmin1、Pmin2が存在する理由である。
次に、光変調層fを含む光学スケール11の製造方法を説明する。図25は、光学スケールの製造方法を示す断面図である。図25において、製造装置は、まず、光学スケール11の基体111を用意し、基体111の表面111a上に金属薄膜112と、レジストパターン113とを順次形成する(ステップS21)。例えば、基体111は、例えば、ガラス、アクリル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、シクロオレフィンポリマー、ポリイミド等の材料で構成されている。金属薄膜112は、例えば、Cr、NiCr、Ni、Ti等の単体金属のいずれか1以上で形成されている。または、金属薄膜112は、例えば、基体111上に密着層としてCr、NiCr、Ni、Ti、Al、SiO、SiNのいずれか1以上が成膜された後、密着層上にAu、Al、Cu、Si、Pt等の金属のいずれか1以上が成膜されることで形成されてもよい。金属薄膜112は、例えば、30nm以上40nm以下の膜厚であり、基体111上にスパッタリング、蒸着、メッキ等の成膜処理が施されることにより形成される。レジストパターンは、金属薄膜112上にレジストを塗布し、パターニング用マスクを用いて露光、現像処理することで、形成される。
次に、製造装置は、レジストパターン113で覆われていない金属薄膜112をエッチングして除去する(ステップS22)。次に、製造装置は、レジストパターン113を除去する。図25では、基体111に残された金属薄膜112のパターンが、図4に示した金属細線gである(ステップS23)。
次に、製造装置は、第2透過領域11Bとなる基体111の表面111a上に樹脂層114を形成する(ステップS24)。樹脂層114は、例えばUV樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂などの各種樹脂である。製造装置は、基体111の第2透過領域11Bに樹脂を塗布又は印刷することで、樹脂層114を形成する。印刷の方法としては、例えばオフセット印刷法又はグラビア印刷法などが挙げられる。また、製造装置は、第2透過領域11Bに樹脂フィルムを貼付することで樹脂層114を形成してよい。
製造装置は、第2透過領域11Bの表面111a側ではなく、第2透過領域11Bの裏面111b側に樹脂層114を形成してもよい。さらに、製造装置は、第2透過領域11Bの表面111a側と裏面111b側の両方に樹脂層114を形成してもよい。図25では、樹脂層114が、図4に示した光変調層fである。
以上説明したように、本実施形態に係る光学センサ31は、光源41と、偏光方向が回転により変化する光学スケール11と、光源41が発する光源光71が光学スケール11を介して入射する入射光73を検出する検出部35と、を有する。光学スケール11は、光源41が発する光を偏光方向Pmに分離しつつ透過する第1透過領域11Aと、光源41が発する光を偏光方向Pmに分離しつつ第1透過領域11Aとは異なる透過率で透過する第2透過領域11Bと、を有する。光学スケール11において入射光73が透過する領域は、光学スケール11が回転することにより、第1透過領域11A及び第2透過領域11Bの一方から他方へ変化する。
これによれば、検出部35は、光学スケール11の回転に応じて光強度が変化する入射光73を受光することができ、光強度I1、I2、I3及びI4を出力することができる。また、この検出信号から、光学スケール11の回転角度に応じて偏角θが変化するリサージュパターンを演算することが可能である。また、このリサージュパターンの動径は入射光73の光強度の影響を受けるため、リサージュパターンの動径から光学スケール11の回転角度の範囲(角度ブランチ)を同定することが可能である。
例えば、第1リサージュパターンCL1の動径r1と、第2リサージュパターンCL2の動径r2の差から、光学スケール11の角度ブランチを同定することが可能である。または、検出信号の総和である光強度の和ΣIから、角度ブランチを同定することも可能である。したがって、リサージュパターンの偏角θと、リサージュパターンの動径又は光強度の和ΣIとに基づいて、光学スケール11の絶対角度θAを検出することが可能である。また、絶対角度θAを検出するために、受光素子等のセンサの数を増やす必要はない。このため、光学センサ31は、装置の小型化が可能である。
また、光学センサ31において、検出部35は、入射光73のうち第1偏光方向に分離された光の強度を検出する第1検出部35Aと、入射光73のうち第2偏光方向に分離された光の強度を検出する第2検出部35Bと、入射光73のうち第3偏光方向に分離された光の強度を検出する第3検出部35Cと、入射光73のうち第4偏光方向に分離された光の強度を検出する第4検出部35Dと、を有する。第1偏光方向、第2偏光方向、第3偏光方向及び第4偏光方向は、互いに異なる方向である。そして、光学スケール11の回転軸Zrの方向からみて、光学スケール11が回転して第1透過領域11Aと第2透過領域11Bとの境界線が第2検出部35B及び第4検出部35Dと重なるときに、第1検出部35Aは第1透過領域11A及び第2透過領域11Bの一方と重なり、第3検出部35Cは第1透過領域11A及び第2透過領域11Bの他方と重なる。
これによれば、光学スケール11が例えば図17に示す基準位置にあるときに、第1検出部11Aは第1透過領域11Aを透過した入射光73を受光することができ、第3検出部11Cは第2透過領域11Bを透過した入射光73を受光することができる。また、光学センサ31は、光学スケール11が基準位置付近で回転する際に、第1検出部35Aが境界線11Cと重なるタイミングと、第3検出部35Cが境界線11Cと重なるタイミングとをずらすことができる。また、光学センサ31は、第2検出部35Bが境界線11Cと重なるタイミングと、第4検出部35Dが境界線11Cと重なるタイミングとを揃えることができる。これにより、光学スケール11が基準位置付近で回転する際に、第1検出部35Aが境界線11Cと重なるタイミングと、第3検出部35Cが境界線11Cと重なるタイミングとを、光強度I1、I2、I3及びI4から演算される演算値に反映させることができる。例えば、図24に示した曲線において、光強度の演算値0からPmin2までの変化は、第1検出部35Aが境界線11Cと重なるタイミングを反映している。また、図24に示した曲線において、光強度の演算値Pmax1から0からまでの変化は、第3検出部35Cが境界線11Cと重なるタイミングを反映している。
また、光学センサ31において、光学スケール11の回転軸Zrの方向からみて、回転軸Zrは光学スケール11の中心部と一致し、第1透過領域11Aと第2透過領域11Bとの境界線11Cは光学スケール11の中心部を通る線分である。これによれば、光学スケール11が回転する際に、境界線11Cは回転軸Zrまわりに回転することができる。
また、光学センサ31において、光学スケール11の回転軸Zrの方向からみて、第1透過領域11Aと第2透過領域11Bとが同一面積である。これによれば、例えば図23に示した第1領域及び第2領域を、互いに同じ角度幅とすることが容易である。
また、光学センサ31において、光学スケール11は、第1透過領域11Aと第2透過領域11Bとをそれぞれ1つずつ有する。これによれば、第1透過領域11Aと第2透過領域11Bとの境界線11Cの本数を1本にすることができ、光学スケール11が1回転するときに、検出部35が境界線11Cと重なる回数を最小限に抑えることができる。
本実施形態に係る光学式エンコーダ2は、光学センサ31と、検出部35による入射光73の検出信号から、検出部35と光学スケール11との相対位置を演算する演算装置3と、を含む。演算装置3は、検出信号の強度に応じて動径が変化するリサージュパターンの偏角θと、リサージュパターンの動径又は光強度の和ΣIとに基づいて、絶対角度θAを演算する。これによれば、光学式エンコーダ2は、リサージュパターンの偏角θと、リサージュパターンの動径又は光強度の和ΣIとに基づいて、光学スケール11の絶対角度θAを検出することができる。光学式エンコーダ2は、絶対角度θAを検出するために受光素子等のセンサの数を増やす必要はない。このため、光学式エンコーダ2は、装置の小型化が可能である。
また、光強度の和ΣIが図23に示した下限閾値u2以上、上限閾値u1以下の範囲にあるときは、演算装置3は、式(3)の演算値に基づいて絶対角度θAを演算する。あるいは、リサージュパターンの動径の差r1−r2が予め設定した値よりも小さいときは、演算装置3は、式(3)の演算値に基づいて絶対角度θAを演算する。例えば、演算装置3は、式(3)の演算値の傾きB、B’に基づいて、絶対角度θAを演算する。これにより、光学式エンコーダ2は、絶対角度θAをさらに高精度に検出することができる。
本実施形態において、光強度I1が第1検出部35Aが検出する検出信号に対応し、光強度I2が第2検出部35Bが検出する検出信号に対応し、光強度I3が第3検出部35Cが検出する検出信号に対応し、光強度I4が第4検出部35Dが検出する検出信号に対応する。また、本実施形態において、光強度の和ΣIが検出信号の総和に対応する。また、本実施形態において、図23に示した下限閾値u2以上、上限閾値u1以下の範囲が、予め設定した値の範囲に対応する。予め設定した値の範囲は、下限閾値u2より大きく、かつ上限閾値u1より小さい範囲としてもよい。本実施形態において、絶対角度θAが、検出部35と光学スケール11との相対位置に対応する。
なお、上記の実施形態では、図22のステップS9で、微小回転で得られた光強度I1、I2、I3及びI4を、特定の演算式である式(3)に当てはめて演算処理を行い、傾きの演算値を得ることについて説明した。しかしながら、図22のステップS9で用いる特定の演算式は、例えば下記式(6)でもよい。
I1+I3/(I1+I2+I3+I4)…(6)
図26は、本実施形態の変形例1に係る光学スケールの回転角度と光強度の演算値との関係を示す図である。図26の横軸は光学スケール11の回転角度[deg]を示し、図26の縦軸は光強度の演算値[a.u.]を示す。光学スケール11の回転角度と、式(6)による演算値との関係は、例えば図26に示すような曲線となる。図26に示す曲線にも、図24に示した曲線と同様に、演算値が極大となる2つの点Pmax1、Pmax2と、演算値が極小となる2つの点Pmin1、Pmin2とが存在する。
変形例1では、角度ブランチ検出部133が、微小回転による式(6)の演算値の変化の割合、つまり、上記式(6)の演算値の傾きを検出する。そして、図22のステップS10において、角度ブランチ検出部133は、検出した演算値の傾きに基づいて、角度ブランチを0°若しくは360°付近、又は、180°付近に同定する。例えば、図26の傾きBで示すように、微小回転を行った回転角度範囲における演算値の傾きがプラスであれば、角度ブランチ検出部133は、角度ブランチを180°付近に同定する。また、図26の傾きB’で示すように、微小回転を行った回転角度範囲における演算値の傾きがマイナスであれば、角度ブランチ検出部133は、角度ブランチを0°若しくは360°付近に同定する。
このように、変形例1では、光強度の和ΣIが図23に示した下限閾値u2以上上限閾値u1以下の範囲にあるときは、演算装置3は、上記式(6)の演算値に基づいて、絶対角度θAを演算する。例えば、演算装置3は、上記式(6)の演算値の傾きB、B’に基づいて、絶対角度θAを演算する。これにより、図22のステップS11において、光学式エンコーダ2は、光学スケール11の絶対角度を0°以上360°未満の範囲で検出することができる。
また、上記の実施形態では、図4に示したように、光学スケール11が有する偏光子の偏光方向Pmと、第1透過領域11Aと第2透過領域11Bとの境界線11Cの方向とが平行となっている場合について説明した。しかしながら、本実施形態において、偏光方向Pmと境界線11Cの方向は平行でなくてもよい。
図27は、本実施形態の変形例2に係る光学スケールのパターンを示す図である。図28は、本実施形態の変形例2に係るリサージュパターンを示す図である。図28の横軸は差動信号Vcを示し、図28の縦軸は差動信号Vsを示す。また、図28中のθは、リサージュパターンの偏角を示す。
図27に示すように、偏光方向Pmと境界線11Cの方向は、光学スケール11の回転軸Zrの方向からみて、直交していてもよい。偏光方向Pmと境界線11Cの方向とが直交している場合は、図4に示した場合と比べて、境界線11Cと検出部35とが重なるタイミングが、光学スケール11の回転角度で90°ずれる。このため、図28に示すように、リサージュパターンの交差領域CLaは、光学スケール11の回転角度の90°付近又は270°付近となる。図28では、1周目のリサージュパターンCL1は光学スケール11の回転角度の90°以上270°未満に対応し、2周目のリサージュパターンCL2は光学スケール11の回転角度の0°以上90°未満と、270°以上360°未満とに対応している。
変形例2においても、図22に示すステップS2において、偏角検出部132は差動信号Vc、Vsに基づいてリサージュパターンの偏角θを検出することができる。また、図22に示すステップS3からステップS10によって、角度ブランチ検出部133は、情報取得部131が取得する光強度I1、I2、I3及びI4に関する情報に基づいて、図28に示すリサージュパターンの角度ブランチを検出することができる。そして、図22のステップS11において、絶対角度検出部134は、偏角検出部132が検出したリサージュパターンの偏角θと、角度ブランチ検出部133が検出した角度ブランチとに基づいて、光学スケール11の絶対角度を0°以上360°未満の範囲で検出することができる。
図29は、本実施形態の変形例3に係る光学スケールのパターンを示す図である。図30は、本実施形態の変形例3に係るリサージュパターンを示す図である。図30の横軸は差動信号Vcを示し、図30の縦軸は差動信号Vsを示す。また、図30中のθは、リサージュパターンの偏角を示す。
図29に示すように、偏光方向Pmと境界線11Cの方向は、光学スケール11の回転軸Zrの方向からみて、0°より大きく90°より小さい角度で交差していてもよい。例えば、偏光方向Pmと境界線11Cの方向は、光学スケール11の回転軸Zrの方向からみて、15°で交差していてもよい。偏光方向Pmと境界線11Cの方向とが15°で交差している場合は、図4に示した場合と比べて、境界線11Cと検出部35とが重なるタイミングが、光学スケール11の回転角度で15°ずれる。このため、図30に示すように、リサージュパターンの交差領域CLaは、光学スケール11の回転角度の15°付近又は90°付近又は270°付近となる。
図30では、1周目のリサージュパターンCL1は光学スケール11の回転角度の15°以上215°未満に対応し、2周目のリサージュパターンCL2は光学スケール11の回転角度の0°以上90°未満と、270°以上360°未満とに対応している。変形例2と同様、変形例3においても、演算装置3は、光学スケール11の絶対角度を0°以上360°未満の範囲で検出することができる。
上記の実施形態では、光変調層fとして、樹脂層114を形成する場合について説明した(図25参照)。しかしながら、本実施形態では、光変調層fとして、樹脂層114ではなく、金属薄膜を形成してもよい。例えば、図25では、ステップS24で、製造装置は、マスク蒸着法で、第2透過領域11B上にのみ金属薄膜を形成してもよい。これにより、第2透過領域11B上にのみ、金属薄膜からなる光変調層fを形成することができる。
また、光変調層fは、金属細線gと基体との間の層に設けられていてもよい。図31は、本実施形態の変形例4に係る光学スケールの製造方法を示す断面図である。図31に示すように、まず、製造装置は、ガラス、石英(SiO)、シリコン、プリント基板又はフィルム材料からなる基体を用意する(ステップS41)。基体141は、表面にシード層142を介して、ポリメチルメタクリレート(PMMA:Poly methyl methacrylate)、ポリイミド樹脂等のレジスト層143が塗布されている。シード層142は、例えば、基体111の上にCr層、Cu層の順に成膜された多層膜である。
次に、製造装置は、金属製の金型144をレジスト層143に押しつけて、金型144に刻み込んだ寸法が50nm〜500nmの凹凸をレジスト層143に転写して、微細パターン143aを形成する(ステップS42)。ステップS42では、レジスト層143に熱を加える熱ナノインプリントと称される形成プロセス、又はレジスト層143にUV光を照射するUVナノインプリントと称される形成プロセスを用いてもよい。次に、製造装置は、金型144をレジスト層143から離す(ステップS43)。金型144の凹凸が転写されたレジスト層143は、微細パターン143aと、残膜143bとになっている。次に、製造装置は、残膜143bを反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)で除去する(ステップS44)。
次に、製造装置は、シード層142に対して、電気メッキにより金属145を成長させる(ステップS45)。これにより、微細パターン143aの間には、金属145が形成される。金属145は、例えば、Ni、Cr、Al、Mo、Cu、Au又はこれらのうち1つ以上の合金等である。次に、製造装置は、レジストからなる微細パターン143aを除去する(ステップS46)。微細パターン143aの除去後も、金属145のパターンは残る。
次に、製造装置は、第1透過領域11Aにおいて、金属145のパターン下から露出しているシード層142のみを除去する(ステップS47)。ステップS47では、第2透過領域11Bのシード層142は除去せずに残しておく。例えば、第2透過領域11Bをレジスト(図示せず)で覆い、第1透過領域11Aはレジストで覆わない状態で、シード層142をエッチングする。これにより、第1透過領域11Aにおいて、金属145のパターン下から露出しているシード層142のみを除去することができる。図31に示す変形例4では、金属145のパターンが図4に示した金属細線gである。第2透過領域11Bにおいて、金属145のパターン下から露出しているシード層142が、図4に示した光変調層fである。
図32は、本実施形態の変形例5に係る光学センサを示す図である。図32に示すように、変形例5に係る光学センサ31は、例えば、光学スケール11の裏面側、つまり、複合偏光層30と対向する面の反対側に設けられた、光反射層13を有する。光反射層13は複合偏光層30の裏面と接触していてもよいし、離れていてもよい。変形例5に係る光学センサ31では、光源41が発する光源光71が光学スケール11を透過してその裏面側にある光反射層13で反射し、この反射した反射光が再び光学スケール11を透過して、入射光72として第1受光素子PD1、第2受光素子PD2、第3受光素子PD3及び第4受光素子PD4がそれぞれ受光する。
この変形例5でも、光学スケール11は、第1透過領域11Aと第2透過領域11Bとを有する。そして、光学スケール11において入射光72が透過する領域は、光学スケール11が回転することによって、第1透過領域11A及び第2透過領域11Bの一方から他方へ変化する。これにより、変形例5に係る光学センサ31は、上記の実施形態と同様の効果を奏する。
また、上記の実施形態では、光学センサ31は、光源41の光量を一定に制御するオートパワーコントロール(APC)を備える場合について説明した。しかしながら、光学センサ31において、APCは必ずしも必要ではない。光学センサ31がAPCを備えていない場合は、差動演算回路DSは、次に示す式(1)’及び式(2)’に従って、光学スケール11の回転に依存した差動信号Vc及びVsを演算してもよい。
Vc=(I1−I3)/(I1+I3)…(1)’
Vs=(I2−I4)/(I2+I4)…(2)’
このように、本実施形態の変形例では、差動演算回路DSは、光強度I1及び光強度I3に基づいて、光強度の和[I1+I3]と、光強度の差[I1−I3]を演算し、光強度の差[I1−I3]を光強度の和[I1+I3]で除した差動信号Vcを演算してもよい。また、差動演算回路DSは、光強度I2及び光強度I4に基づいて、光強度の和[I2+I4]と、光強度の差[I2−I4]を演算し、光強度の差[I2−I4]を光強度の和[I2+I4]で除した差動信号Vsを演算してもよい。式(1)’及び式(2)’により演算した差動信号Vc及びVsには、光源光71の光強度の影響を受けるパラメータが含まれておらず、光学センサ31の出力は、検出部35と光学スケール11との距離、光源41の光強度のばらつき等の影響を低減することができる。
以上、本発明の実施形態とその変形例について説明したが、本発明は、上記実施形態とその変形例に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、光学式エンコーダ2が演算装置3を備える構成として説明したが、演算装置3は光学センサ31の内部に設けられていてもよい。
2 光学式エンコーダ
3 演算装置
5 制御部
10 ロータ
11 光学スケール
11A 第1透過領域
11B 第2透過領域
11C 境界線
12 シャフト
20 ステータ
31 光学センサ
35A 第1検出部
35B 第2検出部
35C 第3検出部
35D 第4検出部
41 光源
71 光源光
72、73 入射光
CL1 1周目のリサージュパターン
CL2 2周目のリサージュパターン
r1、r2 動径

Claims (8)

  1. 光源と、
    偏光方向が回転により変化する光学スケールと、
    前記光源が発する光が前記光学スケールを介して入射する入射光を検出する検出部と、を有し、
    前記光学スケールは、
    前記光源が発する光を前記偏光方向に分離しつつ透過する第1透過領域と、
    前記光源が発する光を前記偏光方向に分離しつつ、前記第1透過領域とは異なる透過率で透過する第2透過領域と、を有し、
    前記光学スケールにおいて前記入射光が透過する領域は、前記光学スケールが回転することにより、前記第1透過領域及び前記第2透過領域の一方から他方へ変化する、光学センサ。
  2. 前記検出部は、
    前記入射光のうち第1偏光方向に分離された光の強度を検出する第1検出部と、
    前記入射光のうち前記第1偏光方向とは異なる第2偏光方向に分離された光の強度を検出する第2検出部と、
    前記入射光のうち前記第1偏光方向及び前記第2偏光方向とはそれぞれ異なる第3偏光方向に分離された光の強度を検出する第3検出部と、
    前記入射光のうち前記第1偏光方向、前記第2偏光方向及び前記第3偏光方向とはそれぞれ異なる第4偏光方向に分離された光の強度を検出する第4検出部と、を有し、
    前記光学スケールの回転軸の方向からみて、前記光学スケールが回転して前記第1透過領域と前記第2透過領域との境界線が前記第2検出部及び前記第4検出部と重なるときに、前記第1検出部が前記第1透過領域と重なるとともに前記第3検出部が前記第2透過領域と重なる、又は、前記第3検出部が前記第1透過領域と重なるとともに前記第1検出部が前記第2透過領域と重なる、請求項1に記載の光学センサ。
  3. 前記光学スケールの回転軸の方向からみて、前記光学スケールの回転軸は前記光学スケールの中心部と一致し、前記第1透過領域と前記第2透過領域との境界線は前記中心部を通る線分である、請求項1又は請求項2に記載の光学センサ。
  4. 前記光学スケールの回転軸の方向からみて、前記第1透過領域と前記第2透過領域とが同一面積である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の光学センサ。
  5. 前記光学スケールは、前記第1透過領域と前記第2透過領域とをそれぞれ1つずつ有する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の光学センサ。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の光学センサと、
    前記検出部による前記入射光の検出信号から、前記検出部と前記光学スケールとの相対位置を演算する演算装置と、を含み、
    前記検出部は、
    前記入射光のうち第1偏光方向に分離された光の強度を検出する第1検出部と、
    前記入射光のうち前記第1偏光方向とは異なる第2偏光方向に分離された光の強度を検出する第2検出部と、
    前記入射光のうち前記第1偏光方向及び前記第2偏光方向とはそれぞれ異なる第3偏光方向に分離された光の強度を検出する第3検出部と、
    前記入射光のうち前記第1偏光方向、前記第2偏光方向及び前記第3偏光方向とはそれぞれ異なる第4偏光方向に分離された光の強度を検出する第4検出部と、を有し、
    前記演算装置は、
    前記検出信号の強度に応じて動径が変化するリサージュパターンの偏角と、前記リサージュパターンの動径、又は、前記第1検出部、前記第2検出部、前記第3検出部及び前記第4検出部がそれぞれ検出する検出信号の総和と、に基づいて前記相対位置を演算する、光学式エンコーダ。
  7. 前記リサージュパターンの動径又は前記検出信号の総和が予め設定した値の範囲にあるときは、
    前記演算装置は、前記第2検出部及び前記第4検出部がそれぞれ検出する検出信号の和から前記第1検出部及び前記第3検出部がそれぞれ検出する検出信号の和を減算した値、に基づいて前記相対位置を演算する、請求項6に記載の光学式エンコーダ。
  8. 前記リサージュパターンの動径又は前記検出信号の総和が予め設定した値の範囲にあるときは、
    前記演算装置は、前記第1検出部及び前記第3検出部がそれぞれ検出する検出信号の和を前記検出信号の総和で除算した値、に基づいて前記相対位置を演算する、請求項6に記載の光学式エンコーダ。
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