以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
[1.第1の実施の形態]
[1−1.紙幣整理装置の構成]
まず第1の実施の形態について説明する。図1及び図2に、紙幣整理装置1の構成を示す。この紙幣整理装置1は、紙幣を計数し、所定枚数毎に結束して整理するものである。
因みに、この紙幣整理装置1は、例えば金融機関の現金センタ等に設置され、金融機関の職員等(以下作業者と呼ぶ)の操作に従い、紙幣の整理を実行するようになっている。
紙幣整理装置1は、筐体2の内部に種々の機構が組み込まれており、これらを制御部3により統括制御するようになされている。制御部3は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、図示しないROMやフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、紙幣の計数処理や結束処理等を行うようになされている。
筐体2の上部後方には、各種画面を表示するLCD(Liquid Crystal Display)と、作業者の入力操作を受け付けるタッチパネルとが一体化された操作表示部4が取り付けられている。操作表示部4は、所定の操作画面を表示しながら、動作モードの指定や、計数すべき紙幣の金種、集積順序等の設定作業を作業者に行わせ、その設定内容を制御部3へ通知するようになされている。
因みに、以下では、作業者が対峙する正面へ向かう方向を前方向と定義し、その反対を後方向と定義して、さらに当該紙幣整理装置1の前側に対峙して見たときの左右方向及び上下方向をそれぞれ定義して説明する。
筐体2の前面上方には、紙幣を取り込む紙幣取込部5が設けられている。この紙幣取込部5は、作業者により紙幣が載置されて操作ボタン6が操作されると、載置された紙幣を1枚ずつ分離して内部へ取り込み、搬送部7に受け渡すようになっている。
搬送部7は、搬送ベルト、ローラ及び紙幣ガイド等の組み合わせにより各部の間を結ぶ搬送路を形成しており、制御部3の制御に基づき、この搬送路に沿って紙幣を各部へ搬送するようになっている。
搬送部7は、紙幣取込部5から紙幣を受け渡されると、これを鑑別部8へ搬送する。鑑別部8は、その内部で紙幣を搬送しながら当該紙幣の金種、真偽、表裏及び損傷の程度等を鑑別し、その鑑別結果を制御部3へ通知する。
これに応じて制御部3は、取得した鑑別結果に基づいて当該紙幣の搬送先を決定すると共に、当該紙幣を計数する。このとき制御部3は、金種を特定できなかった紙幣や搬送異常を検出したことにより異常と判別した紙幣を搬送部7によりリジェクトポケット9へ搬送させる。
リジェクトポケット9は、筐体2における紙幣取込部5の上方に一部を露出させるように配置されており、搬送部7により搬送されてきた紙幣を集積し、作業者に取り出させるようになっている。
また制御部3は、正常と判別した紙幣を搬送部7により表裏反転部10へ搬送させる。表裏反転部10は、鑑別部8における判別結果が「表」又は「裏」のいずれか一方であった紙幣の表裏を反転させることにより、全ての紙幣の表裏を統一して再度搬送部7に受け渡す。
続いて制御部3は、正常と判別されたものの結束処理(後述する)の対象外となる紙幣を外部集積部11へ搬送させる。外部集積部11は、筐体2の上部における操作表示部4とリジェクトポケット9との間に一部を露出させるように前後方向に並んで2個配置されている。
この外部集積部11も、リジェクトポケット9と同様、搬送部7により搬送されてきた紙幣を集積し、作業者に取り出させるようになっている。
因みに、結束処理の対象とする紙幣の種類等については、操作表示部4を介して設定できるようになっている。
また、制御部3は、正常と判別され、且つ結束処理の対象となる紙幣を集積部12へ搬送する。集積部12は、上下方向に並べて配置された4個の一時集積部12A〜12Dを有していて、搬送部7から受け渡された紙幣を上下方向に搬送して当該一時集積部12A〜12Dのいずれかに受け渡し、集積するようになっている。
実際上、集積部12は、制御部3の制御に基づき、鑑別部8における鑑別結果に応じて紙幣を一時集積部12A〜12Dのいずれかに集積する。この結果、集積部12の一時集積部12A〜12Dには、金種等の予め設定された条件ごとに分類された紙幣がそれぞれ集積されることになる。
一方、制御部3は、集積部12の一時集積部12A〜12Dそれぞれについて、集積された紙幣の枚数を計数しており、この枚数が予め設定された結束単位、例えば100枚に到達すると、移送部13に紙幣の移送を指示する。
移送部13は、集積部12の後方に配置されており、一時集積部12A〜12Dに集積された紙幣の束(以下これを紙幣束BBと呼ぶ)を後方へ取り出し、さらに下方へ移動させることにより、当該集積部12の下方に配置された紙幣結束部14に受け渡す。
紙幣結束部14は、移送部13により移送されてきた紙幣束を帯状のテープによって結束して(詳しくは後述する)、これを放出口15へ送り出す。
放出口15は、筐体2の前面下部に設けられており、結束された紙幣束を作業者に取り出させるようになっている。
このように紙幣整理装置1は、紙幣取込部5に載置された紙幣を1枚ずつ取り込み、金種等に応じて分類した上で100枚等の結束単位ごとに結束して紙幣束を順次生成するようになっている。
[1−2.紙幣結束部の構成]
次に、図3を用いて、紙幣結束部14の構成について説明する。尚、この図3では、図中右側から左側への方向を前方向、図中左側から右側への方向を後方向、図中手前側から奥側への方向を左方向、図中奥側から手前側への方向を右方向と定義する。
紙幣結束部14は、結束制御部20により全体を制御するようになされている。この結束制御部20は、制御部3と同様、図示しないCPUを中心に構成されており、図示しないROMやフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、紙幣の結束処理を行うようになされている。
また紙幣結束部14内には、上寄りの箇所に、紙幣束BBを搬送する搬送部21が設けられている。搬送部21は、紙幣束BBを搬送すべき搬送路Wの上下に配置された上側搬送部21A及び下側搬送部21Bにより構成されている。
上側搬送部21Aは、一直線上に離散配置された複数のローラの周囲にベルトが巻き付けられた構成となっている。上側搬送部21Aは、図示しないアクチュエータからローラに駆動力が伝達されることにより、ベルトを走行させる。また上側搬送部21Aは、前端側のローラを支点として、後端側を上方へ回動させる(すなわち持ち上げる)ことにより、搬送路Wの間隔を部分的に拡大し得るようになされている。
下側搬送部21Bは、上側搬送部21Aと同様に、一直線上に離散配置された複数のローラの周囲にベルトが巻き付けられている。また下側搬送部21Bは、上側搬送部21Aと同様、図示しないアクチュエータからローラに駆動力が伝達されることにより、ベルトを走行させる。ただし下側搬送部21Bは、上側搬送部21Aと異なり、紙幣結束部14内における位置が固定されている。
かかる構成により搬送部21は、後方の移送部13(図2)から供給される紙幣束BBを、上側搬送部21A及び下側搬送部21Bの間に挟み、短手方向を進行方向として搬送路Wに沿って搬送するようになされている。
紙幣結束部14の下部には、テープ23が巻回されたロール24が配置されている。テープ23は、樹脂が染み込んだ紙により構成されており、その幅が紙幣における長辺の長さよりも十分に短くなっている。ロール24は、直径方向が水平(厳密に水平でなくても良い)となるように寝かせた状態で配置されている。
このロール24から前方に引き出されたテープ23は、図示しないガイドにより上方に導かれた後、ロール24の前方斜め上に位置するローラ25へと供給されて、このローラ25により後方に折り返され、ローラ25の後方に位置するローラ26へと供給される。
続いてテープ23は、ローラ26により後方斜め上に折り曲げられ、ローラ26の後方斜め上に位置するローラ27を経由して、このローラ27の後方斜め上に位置するローラ28に供給される。
そしてテープ23は、このローラ28により前方斜め上に折り曲げられ、ローラ28の前方斜め上に位置する保持部30へと供給される。保持部30は、テープ23の先端近傍を保持し、紙幣束BBの周囲に巻き付けるようになされている(詳しくは後述する)。
また、テープ23のローラ25と26との間に位置する部分の上側には、印字部31が設けられている。印字部31は、結束制御部20の制御に基づき、テープ23の上面に金融機関の名称及び日付等を表す文字や記号等を印字するようになされている。
ローラ27とローラ28との間には、テープ23を切断するカッタ32が設けられている。カッタ32は、結束制御部20の制御に基づき、所定のタイミングでテープ23を切断するようになされている。
さらに保持部30の下方には、ヒータ33が設けられている。ヒータ33は、供給される電流に応じて発熱する発熱素子を内蔵しており、結束制御部20の制御に基づいてこの発熱素子を発熱させ、温度を高めるようになされている。
ヒータ移動部34は、ヒータ33を、搬送路Wから離れた退避位置PRと、搬送路Wの近傍となる溶着位置PMとの間を、移動経路Vに沿って移動させる。またヒータ移動部34は、溶着位置PMの近傍において、ヒータ33を搬送路Wに沿うように、すなわち搬送路W上に紙幣束BBが位置する場合における該紙幣束BBの下面に沿うように、前後方向へも移動させ得るようになされている。
[1−3.保持部の構成]
保持部30は、図4(A)に拡大図を示すように、保持部品41及び42、柱状部43並びにストッパ44とにより構成されている。
保持部品41は、板面を左右に向けた円板状の基部41Aと、この基部41Aの下側に接続された細長い角柱状の挟持子41Bと、基部41Aの前方に突出した突出部41Cとにより構成されている。
基部41Aの中心には、左右方向に貫通する丸孔が穿設されている。挟持子41Bは、基部41Aの下端近傍から下方へ向けて延設されており、途中から右方向へ向けて屈曲されている。
保持部品42は、保持部品41と同様、板面を左右に向けた円板状の基部42Aと、この基部42Aの下側に接続された細長い角柱状の挟持子42Bとにより構成されている。
基部42Aは、基部41Aの左側に位置しており、該基部41Aと互いの板面を対向させている。また基部42Aの中心には、左右方向に貫通する丸孔が穿設されている。
挟持子42Bは、挟持子41Bと同様、基部42Aの下端近傍から下方へ向けて延設されており、途中から右方向へ向けて屈曲され、該挟持子41Bの後側に隣接するように右方向へ延長されている。
基部41Aの丸孔及び基部42Aの丸孔には、細長い円柱状の柱状部43が挿通されている。基部42Aは、柱状部43に対し固定されている。基部41Aは、丸孔と柱状部43との間に僅かな隙間を形成している。このため保持部品41は、柱状部43に対し自在に回転することができる。
また挟持子41Bは、例えばトーションスプリングでなる付勢手段(図示せず)により、挟持子42Bに向けて、すなわち矢印R2方向へ付勢されている。このため保持部30は、この付勢手段の作用により、挟持子41Bを挟持子42Bに押し付ける。
柱状部43は、左側に配置された駆動部50に支持されている。この駆動部50は、内部にアクチュエータやギア等が組み込まれており、結束制御部20の制御に基づき、柱状部43に対して回転方向(すなわち図中の矢印R1方向及び矢印R2方向)の駆動力及び左右方向への駆動力を伝達するようになされている。
このため駆動部50は、柱状部43に回転方向の駆動力を伝達することにより、該柱状部43の中心軸を中心として保持部30を回転させることができる。また駆動部50は、柱状部43に左右方向への駆動力を伝達することにより、保持部30を、すなわち挟持子41B及び42Bを左右方向へ移動させることができる。
また保持部品41における突出部41Cの下方には、ストッパ44が設けられている。ストッパ44は、保持部30が左右方向における所定箇所に位置し、且つ挟持子41Bが基部41Aのほぼ真下を向いているときに、突出部41Cの下面を当該ストッパ44の上面と当接させるような位置に配置されている。
かかる構成により結束制御部20は、保持部30によりテープ23を保持する際、まず駆動部50を制御して柱状部43を矢印R2方向へ回転させることにより、当該柱状部43及び保持部品42を矢印R2方向へ回転させる。
このとき保持部品41は、付勢手段の作用により保持部品42と共に矢印R2方向へ回転しようとするものの、突出部41Cの下面がストッパ44の上面に当接することによりその回転が規制される。この結果、図4(B)に示すように、保持部品42の挟持子42Bは、保持部品41の挟持子41Bから引き離される。
ここで結束制御部20は、ローラ28(図3)からテープ23を供給させることにより、その先端近傍を挟持子41B及び42Bの間に位置させる。
続いて結束制御部20は、駆動部50を制御して柱状部43を矢印R1方向へ回転させることにより、当該柱状部43及び保持部品42を矢印R1方向へ、挟持子42Bが挟持子41Bと当接する位置まで回転させる。
このとき挟持子41Bは、付勢手段の作用によって挟持子42Bに押し付けられ、図4(C)に示すように、両者の間にテープ23の先端近傍を挟み込む。この結果、保持部30は、挟持子41B及び挟持子42Bの間にテープ23の先端近傍を挟持するようにして、該テープ23を保持することができる。
このように保持部30は、挟持子41B及び42Bの間にテープ23の先端近傍を挟持すると共に、駆動部50により柱状部43を中心に回転し、また左右方向へ移動するようになされている。
[1−4.紙幣結束処理]
次に、結束制御部20の制御に基づいた紙幣結束部14による紙幣結束処理について、図5、図6及び図11のフローチャートを用いて説明する。
結束制御部20は、一時集積部12A〜12D(図2)のいずれかにおいて集積された紙幣の枚数が結束単位(すなわち100枚)に到達すると、移送部13にこの紙幣(すなわち紙幣束BB)の移送を指示すると共に、図5に示す紙幣結束処理手順RT1を開始してステップSP1へ移る。
ステップSP1において結束制御部20は、後述する巻付処理手順をサブルーチンとして実行することにより、紙幣束BBの周囲にテープ23を巻き付ける巻付処理を行い、次のステップSP2へ移る。
ステップSP2において結束制御部20は、後述する溶着処理手順をサブルーチンとして実行することにより、テープ23を溶着して紙幣束BBを結束する溶着処理を行い、次のステップSP3へ移る。
ステップSP3において結束制御部20は、結束された紙幣束BBを搬送部21により前方へ搬送して放出口15へ送り出し、次のステップSP4へ移って紙幣結束処理手順RT1を終了する。
次に、ステップSP1において紙幣結束部14により紙幣束BBの周囲にテープ23を巻き付ける巻付処理手順について説明する。結束制御部20は、ステップSP1において図6に示す巻付処理手順SRT2を開始し、ステップSP11へ移る。
ステップSP11において結束制御部20は、印字部31によりテープ23に所定の文字や記号を印字し、次のステップSP12へ移る。
ステップSP12において結束制御部20は、保持部30の挟持子41B及び42Bの間隔を一時的に広げ、ローラ28からテープ23を供給した後、挟持子41B及び42Bの間隔を再び狭めることにより、図7に示すようにテープ23の先端近傍を保持し、次のステップSP13へ移る。
ステップSP13において結束制御部20は、ローラ28からテープ23を供給させながら、駆動部50によって保持部30を図7における時計方向に半回転させることにより、図8に示すように、テープ23の先端近傍を搬送路Wの上側に位置させて、次のステップSP14へ移る。
因みにこのとき紙幣結束部14内には、移送部13から移送されてきた紙幣束BBが搬送部21の後端近傍に位置している。また搬送部21の上側搬送部21Aは、後端が上方に持ち上げられ、搬送路Wの間隔を広げた状態となっている。
ステップSP14において結束制御部20は、ローラ28から十分な長さのテープ23を供給させながら、搬送部21の下側搬送部21Bのベルトを走行させることにより、図9に示すように、移送部13から移送されてきた紙幣束BBを前方へ搬送し、次のステップSP15へ移る。
ステップSP15において結束制御部20は、ローラ28からテープ23を供給させながら、駆動部50によって保持部30を図9における時計方向にさらに半回転させることにより、図10に示すように、テープ23の先端近傍を搬送路Wの下側に位置させて、次のステップSP16へ移る。これによりテープ23は、紙幣束BBの周囲を一周した状態となる。
またこのとき結束制御部20は、上側搬送部21Aの後端を下方へ移動させ、紙幣束BBを該上側搬送部21Aと下側搬送部21Bとの間に挟んだ状態とする。
ステップSP16において結束制御部20は、搬送部21の上側搬送部21A及び下側搬送部21Bのベルトをそれぞれ走行させることにより、図10に示したように、紙幣束BBを僅かに後方へ搬送し、次のステップSP17へ移る。これにより保持部30の挟持子41B及び42Bは、紙幣束BBにおける前後の中心近傍に位置することになる。
ステップSP17において結束制御部20は、テープ23をある程度巻き戻すことにより弛みを解消した後、カッタ32によりテープ23を切断し、次のステップSP18へ移って巻付処理手順SRT2を終了する。このときテープ23は、図示しないワンウェイローラ(片方向のみに回転するローラ)と紙幣束BBとの間に挟まれることにより、緩まないようになされている。
次に、ステップSP2において紙幣結束部14によりテープ23を溶着する溶着処理手順について説明する。結束制御部20は、ステップSP2において図11に示す溶着処理手順SRT3を開始し、ステップSP21へ移る。
ここで本実施形態では、図12(A)に示すように、紙幣束BBの周囲に巻き付けられたテープ23のうち、該テープ23が重複した部分、すなわち紙幣束BBの下側における挟持子42Bよりも後ろ側の部分を、溶着範囲MRとしている。
ステップSP21において結束制御部20は、ヒータ移動部34によりヒータ33を退避位置PRから溶着位置PMへ移動させる。このとき結束制御部20は、図12(B)に示すように、ヒータ移動部34によってヒータ33を溶着範囲MRのほぼ中央に位置させると共に、該ヒータ33をテープ23に押し付け、次のステップSP22へ移る。
因みに搬送部21は、上側搬送部21A及び下側搬送部21Bにより紙幣束BBを上下から挟持している(図10)。このため上側搬送部21Aは、ヒータ33がテープ23を押し付ける力を上側搬送部21Aにより受け止め、該ヒータ33がテープ23に当接した状態を維持させる。
ステップSP22において結束制御部20は、溶着範囲MRのほぼ中央に位置させたヒータ33を加熱することによりテープ23を溶着させ、該ヒータ33の加熱を停止した後、次のステップSP23へ移る。
このとき結束制御部20は、溶着範囲MRのほぼ中央に位置するヒータ33を、従来よりも長時間に渡って加熱する。これによりヒータ33は、テープ23の重畳部分における周囲の部分、すなわち溶着範囲MRの前端及び後端にまで、ある程度の熱を予熱として加える。
ステップSP23において結束制御部20は、ヒータ移動部34によってヒータ33を溶着範囲MRの後端へ移動させてから前端へ移動させることにより、当該溶着範囲MRのほぼ全域に渡ってテープ23を溶着する。因みにヒータ33は、既に加熱を停止しているものの、余熱によりテープ23を溶着することができる。
その後結束制御部20は、図12(C)に示すように、ヒータ33を溶着範囲MRの前端で、すなわち挟持子41B及び42Bによるテープ23の保持箇所の近傍で静止させ、該ヒータ33からテープ23の重畳部分に対し余熱を加えると共に力を加えたままとして、次のステップSP24へ移る。
ステップSP24において結束制御部20は、溶着範囲MRの前端を溶着している途中で、図12(D)に示すように、駆動部50によって保持部30の挟持子41B及び42Bを左方向へ引き抜かせることにより、結束された紙幣束BBを完成させ、次のステップSP25へ移る。
このときテープ23は、挟持子41B及び42Bの近傍でヒータ33により重畳部分に押し付けられているため、該挟持子41B及び42Bに引きずられること無く、紙幣束BBに巻き付いた状態を保ち続ける。またヒータ33は、駆動部50による保持部30の挟持子41B及び42Bの引抜作業が終了する頃には、溶着範囲MRの前端に対する溶着を完了している。
ステップSP25において結束制御部20は、ヒータ移動部34によってヒータ33を溶着位置PMから退避位置PRへ移動させることにより紙幣束BBに加えられていた力を開放した後、次のステップSP26へ移って溶着処理手順SRT3を終了する。
[1−5.動作及び効果]
以上の構成において、第1の実施の形態による紙幣結束部14の結束制御部20は、紙幣束BBに巻き付けられたテープ23の重畳部分にヒータ33を当接させ加熱して溶着した後(図12(B))、ヒータ33をテープ23の重畳部分に押し付けたまま、ヒータ移動部34により保持部30の挟持子41B及び42Bによる挟持箇所の近傍へ移動させる(図12(C))。
続いて結束制御部20は、ヒータ33により紙幣束BBに対しテープ23を押さえ付けた状態で、駆動部50により保持部30の挟持子41B及び42Bを引き抜き(図12(D))、その後ヒータ33を退避位置PRへ移動させる。
従って紙幣結束部14は、テープ23が挟持子41B及び42Bに伴って左右方向に引き出されて乱れた状態になる可能性や、テープ23の溶着された箇所を引き剥がしてしまう可能性を格段に低減できる。この結果、紙幣結束部14は、テープ23が乱れることなく端正に巻き付いた状態で、紙幣束BBを結束することができる。
特に結束制御部20は、従来からテープ23に当接させて加熱するべく構成されているヒータ33を、溶着範囲MR内で移動させるだけで、挟持子41B及び42Bによる挟持箇所の近傍において紙幣束BBに対しテープ23を押し付けた状態に維持することができる。
このため結束制御部20は、テープ23を押し付けるための他の部品を別途設ける必要なく、既存のヒータ33を移動させるタイミングを変更するだけで、紙幣束BBに対しテープ23を押し付けることができる。
またヒータ33は、本来の目的としてテープ23に密着して熱を確実に伝達する必要があるため、溶着の際、該テープ23に対し比較的強い力を加えるようにして当接される。このため紙幣結束部14は、ヒータ33を溶着範囲MR内でほぼ水平方向に、すなわち紙幣束BBの紙面とほぼ平行に移動させるだけで、テープ23の適切な箇所に対し押し付ける力を加えることができる。
さらに結束制御部20は、ヒータ33を溶着範囲MRの中央に押し付けてテープ23を溶着させる際に、従来よりも長い時間に渡って加熱し、その周囲の部分にまで予熱を加えるようにした。
このため紙幣結束部14は、その後にヒータ33を溶着範囲MRの前端部分及び後端部分に移動させた際に、テープ23を最初から加熱する場合よりも短い時間で必要な温度に上昇させて溶着することができるので、溶着範囲MR全体を溶着するのに要する時間を従来よりも短縮することができる。
ところで従来の紙幣結束部では、加熱によるテープ23の溶着後、このテープ23が剥がれる恐れがあるため、当該テープ23の溶着箇所が自然冷却され固まるまでは保持部30の挟持子41B及び42Bを引き抜くことができず、ある程度の時間待機する必要があった。
これに対し本実施形態による紙幣結束部14は、ヒータ33を溶着範囲MRの前端に移動させた直後の余熱による加熱中に、すなわち溶着されたテープ23が自然冷却されて固まる前であっても、当該ヒータ33によってテープ23を押し付けているため、テープ23を剥がすことなく保持部30の挟持子41B及び42Bを引き抜くことができる。これにより紙幣結束部14は、従来と比較して、紙幣結束処理に要する時間を短縮することが可能となる。
さらにヒータ33は、内蔵する発熱素子が通電時のみ発熱し、非通電時には発熱せず自然冷却されて温度が低下する。このためヒータ33は、テープ23に長時間押し付けられたとしても、結束制御部20により適切なタイミングで加熱されることにより、テープ23や紙幣束BBを過剰に加熱して溶解や切断させてしまう恐れがない。
以上の構成によれば、第1の実施の形態による紙幣結束部14の結束制御部20は、紙幣束BBに巻き付けられたテープ23の重畳部分にヒータ33を当接させ加熱して溶着した後、ヒータ33をテープ23の重畳部分に押し付けたまま、保持部30の挟持子41B及び42Bによる挟持箇所の近傍へ移動させ、ヒータ33により紙幣束BBに対しテープ23を押さえ付けた状態で、保持部30の挟持子41B及び42Bを引き抜く。従って紙幣結束部14は、テープ23が挟持子41B及び42Bに伴って左右方向に引き出されて乱れた状態になる可能性や、テープ23の溶着された箇所を引き剥がしてしまう可能性を格段に低減でき、テープ23が乱れることなく端正に巻き付いた状態で、紙幣束BBを結束することができる。
[2.第2の実施の形態]
第2の実施の形態による紙幣結束部114(図3)は、第1の実施の形態による紙幣結束部14と比較して、結束制御部20に代わる結束制御部120を有する点が相違するものの、他の部分については同様に構成されている。
結束制御部120は、紙幣結束処理を行う際、第1の実施の形態と同様に紙幣結束処理手順RT1(図5)を行う。このとき結束制御部120は、ステップSP2において、溶着処理手順SRT3に代わる溶着処理手順SRT4(図13)をサブルーチンとして実行するようになされている。
すなわち結束制御部120は、ステップSP2において溶着処理手順SRT4を開始し、ステップSP31へ移る。ステップSP31、SP32、SP33及びSP34において結束制御部120は、溶着処理手順SRT3(図11)のステップSP21、SP22、SP23及びSP24とそれぞれ同様の処理を行う。
これにより結束制御部120は、ヒータ33を溶着範囲MRのほぼ中央でテープ23に押し付け(図12(B))、ヒータ33を加熱しテープ23を溶着しながら溶着範囲MRの中央から後端を経て前端へ移動させ(図12(C))、ヒータ33をテープ23に押し付けたまま保持部30の挟持子41B及び42Bを左方向へ引き抜く(図12(D))。
続いて結束制御部120は、ステップSP35へ移り、図14に示すように、溶着範囲MRの前端に位置していたヒータ33をヒータ移動部34によってさらに前方へ移動させる。これにより結束制御部120は、ヒータ33の余熱により、保持部30の挟持子42Bを引き抜いた跡の箇所(以下これを引抜箇所PEと呼ぶ)、すなわちテープ23が重畳されている箇所のうち溶着されていなかった箇所も溶着して、次のステップSP36へ移る。
ステップSP36において結束制御部120は、溶着処理手順SRT3(図11)のステップSP25と同様に、ヒータ移動部34によってヒータ33を溶着位置PMから退避位置PRへ移動させることにより紙幣束BBに加えられていた力を開放した後、次のステップSP37へ移って溶着処理手順SRT4を終了する。
以上の構成において、第2の実施の形態による紙幣結束部114の結束制御部120は、紙幣結束処理において、第1の実施の形態と同様にヒータ33をテープ23に当接させて溶着した後、ヒータ33をテープ23に押し付けたまま保持部30の挟持子41B及び42Bを引き抜かせる。
続いて結束制御部120は、ヒータ33をテープ23の引抜箇所PE、すなわちテープ23における保持部30の挟持子42Bを引き抜いた跡の箇所に移動させて、余熱により溶着させる。
これにより紙幣結束部114は、第1の実施の形態と比較して、より広い範囲でテープ23を溶着することができる。換言すれば、結束制御部120は、テープ23を溶着する範囲である溶着範囲MRを、第1の実施の形態よりも拡大することができる。
また紙幣結束部114は、テープ23が折り返されている箇所の近傍まで溶着することができるため、結束後にテープ23が折り返されている箇所の近傍で膨らんでしまうといった外観の悪化を未然に防止することができる。
さらに紙幣結束部114は、紙幣束BBの周囲に巻き付けられたテープ23をより強固に溶着することができるので、この紙幣束BBに外力等が加わった際にもテープ23が不用意に引き剥がされてしまう危険性を格段に低減することができる。
このとき結束制御部120は、ヒータ33を溶着範囲MRの前端から僅かに前方へ移動させるだけで、該ヒータ33を引抜箇所PEに位置させることができ、溶着することができるので、別途溶着用のヒータを設ける必要が無く、またヒータ33を複雑に移動させるよう制御する必要も無い。
その他の点においても、紙幣結束部114は、第1の実施の形態による紙幣結束部14と同様の作用効果を奏し得る。
以上の構成によれば、第2の実施の形態による紙幣結束部114の結束制御部120は、紙幣束BBに巻き付けられたテープ23の重畳部分にヒータ33を当接させ加熱して溶着した後、ヒータ33をテープ23の重畳部分に押し付けたまま、保持部30の挟持子41B及び42Bによる挟持箇所の近傍へ移動させ、ヒータ33によりテープ23を押さえ付けた状態で保持部30の挟持子41B及び42Bを引き抜き、さらにヒータ33を引抜箇所PEへ移動させて溶着する。従って紙幣結束部114は、テープ23が挟持子41B及び42Bに伴って左右方向に引き出されて乱れた状態になる可能性や、テープ23の溶着された箇所を引き剥がしてしまう可能性を格段に低減でき、テープ23が乱れることなく端正に巻き付き、且つ広い範囲にわたり強固に溶着された状態で紙幣束BBを結束することができる。
[3.第3の実施の形態]
第3の実施の形態による紙幣結束部214(図3)は、第1の実施の形態による紙幣結束部14と比較して、結束制御部20及び保持部30に代わる結束制御部220及び保持部230を有する点が相違するものの、他の部分については同様に構成されている。
保持部230は、図4(A)と対応する図15に斜視図を示し、また図16に右側面図及び後側面図を示すように、保持部30と同様の保持部品42及び柱状部43に加えて、保持部品41に代わる保持部品241と、支持板244と、アクチュエータ245と、ギア246とにより構成されている。
保持部品241は、挟持子241Bが保持部品41の挟持子41Bと同様に構成されているものの、基部241Aが基部41Aと一部異なっており、該基部241Aの周側面における上側の一部に歯車が形成されている。
また保持部品42の挟持子42Bは、第1の実施の形態と同様、例えばトーションスプリングでなる付勢手段(図示せず)により、挟持子241Bに向けて付勢されている。
支持板244は、左右方向に板面を向けた薄板状に形成されており、左右方向から見て上下方向に長い長方形の下側部分を保持部品42における基部42Aの外形に合わせて半円状に切り落とされたような形状となっている。
また支持板244は、基部42Aの丸孔と対応する位置に同様の形状でなる丸孔が穿設されており、さらにこの丸孔の上方に小さな丸孔が別途穿設されている。この支持板244は、保持部品42の基部42Aにおける左側に取り付けられ、一体化されている。
支持板244の左側面における上方には、アクチュエータ245が取り付けられている。アクチュエータ245は、支持板244の小さな丸孔から右方向へ向けて出力軸245Aを挿通させている。
このアクチュエータ245は、結束制御部220の制御に基づき、出力軸245Aを双方向へ回転させ得るようになされている。
出力軸245Aの右端には、ギア246が取り付けられている。ギア246は、周側面に歯が形成された平歯車となっており、この歯を基部241Aの周側面に形成された歯と噛み合わせている。
このため保持部230は、結束制御部220の制御に基づきアクチュエータ245が出力軸245Aを回転させることにより、柱状部43を中心として、保持部品42に対し保持部品241を回転させることができる。これにより保持部230は、挟持子42Bに対し挟持子241Bを引き離し、或いは近接させることができる。
かかる構成により保持部230は、挟持子241B及び挟持子42Bの間にテープ23の先端近傍を挟持する際、アクチュエータ245を動作させ、一時的に挟持子241Bを挟持子42Bから引き離し、その後再び近接させることにより、第1の実施の形態と同様、該テープ23の先端近傍を保持することができる(図4(B)及び(C))。
また保持部230は、第1の実施の形態と同様、駆動部50から柱状部43に対し回転方向又は左右方向への駆動力が伝達されることにより、その中心軸を中心として回転し、また左右方向へ移動することができる。
一方、結束制御部220は、紙幣結束処理を行う際、第1の実施の形態と同様に紙幣結束処理手順RT1(図5)を行う。このとき結束制御部220は、ステップSP1において、保持部30に代わる保持部230を用いて巻付処理を行う。また結束制御部220は、ステップSP2において、溶着処理手順SRT3に代わる溶着処理手順SRT5(図17)をサブルーチンとして実行するようになされている。
すなわち結束制御部220は、ステップSP2において図17に示す溶着処理手順SRT5を開始し、ステップSP41へ移る。ステップSP41、SP42及びSP43において結束制御部220は、溶着処理手順SRT3(図11)のステップSP21、SP22及びSP23とそれぞれ同様の処理を行う。
これにより結束制御部220は、ヒータ33を溶着範囲MRのほぼ中央でテープ23に押し付け(図12(B))、ヒータ33を加熱しテープ23を溶着しながら、ヒータ移動部34によって溶着範囲MRの中央から後端を経て前端へ移動させる(図12(C))。
続くステップSP44において結束制御部220は、保持部230のアクチュエータ245を回転させることにより挟持子241Bを僅かに前方へ移動させ、該挟持子241Bを挟持子42Bから引き離してテープ23の挟持を取りやめ、次のステップSP45へ移る。
ステップSP45において結束制御部220は、ステップSP24と同様に、ヒータ33をテープ23に押し付けたまま、駆動部50によって保持部230の挟持子241B及び42Bを左方向へ引き抜き(図12(D))、次のステップSP46へ移る。
このときテープ23は、挟持子241B及び42Bの近傍でヒータ33により重畳部分に対し力が加えられており、且つ互いに引き離された挟持子241B及び挟持子42Bにより挟持されていない状態となっている。このためテープ23は、挟持子241B及び42Bに引きずられること無く、紙幣束BBに巻き付いた状態を保ち続ける。
ステップSP46において結束制御部220は、溶着処理手順SRT3(図11)のステップSP25と同様に、ヒータ移動部34によってヒータ33を溶着位置PMから退避位置PRへ移動させることにより紙幣束BBに加えられていた力を開放した後、次のステップSP47へ移って溶着処理手順SRT5を終了する。
以上の構成において、第3の実施の形態による紙幣結束部214は、保持部230においてアクチュエータ245を回転させることにより挟持子241Bを挟持子42Bに対し引き離し、或いは近接させるようにした。
紙幣結束部214の結束制御部220は、結束処理において、第1の実施の形態と同様にヒータ33をテープ23に当接させて溶着した後、ヒータ33をテープ23に押し付けたままとする。
続いて結束制御部220は、保持部230の挟持子241Bを挟持子42Bから引き離してテープ23を挟持から開放した後、ヒータ33をテープ23に押し付けたまま、駆動部50によって挟持子241B及び42Bを引き抜かせる。
このため紙幣結束部214は、第1の実施の形態と比較して、テープ23から挟持子241B及び42Bをより円滑に引き抜くことができる。
これにより紙幣結束部214は、結束された紙幣束BBにおいてテープ23が挟持子241B及び42Bに伴って左右方向に引き出されて乱れた状態になる可能性や、テープ23の溶着された箇所を引き剥がしてしまう可能性を、第1の実施の形態よりも一段と低減することができる。
その他の点においても、紙幣結束部214は、第1の実施の形態による紙幣結束部14と同様の作用効果を奏し得る。
以上の構成によれば、第3の実施の形態による紙幣結束部214の結束制御部220は、紙幣束BBに巻き付けられたテープ23の重畳部分にヒータ33を当接させ加熱して溶着した後、ヒータ33をテープ23の重畳部分に押し付けたまま保持部230の挟持子241B及び42Bによる挟持箇所の近傍へ移動させ、挟持子241Bを挟持子42Bから引き離してから、ヒータ33によりテープ23を押さえ付けた状態で挟持子241B及び42Bを引き抜く。従って紙幣結束部214は、テープ23が挟持子241B及び42Bに伴って左右方向に引き出されて乱れた状態になる可能性や、テープ23の溶着された箇所を引き剥がしてしまう可能性をさらに低減でき、テープ23が乱れることなく端正に巻き付いた状態で紙幣束BBを結束することができる。
[4.第4の実施の形態]
第4の実施の形態による紙幣結束部314(図3)は、第1の実施の形態による紙幣結束部14と比較して、保持部30に代わる保持部330を有する点が相違するものの、他の部分については同様に構成されている。
保持部330は、図4(A)と対応する図18に斜視図を示し、また図19に平面図及び右側面図を示すように、保持部30と同様の柱状部43に加えて、保持部品41及び42に代わる保持部品341及び342を有している。
保持部品341は、保持部品41と比較して、基部41Aと同様の基部341Aを有すると共に、挟持子41Bと一部異なる挟持子341Bを有している。
挟持子341Bは、右端近傍における挟持子342B(後述する)と対向する箇所、すなわちテープ23を挟持する箇所に、所定形状の孔部が形成されている。この孔部には、回転挟持体345が部分的に入り込んでいる。
回転挟持体345は、板面を上下方向に向けた円板状に構成されており、その周側面のうち最も後ろ側の部分を、挟持子341Bの後側面よりも後方へ突出させている。また回転挟持体345は、その中心が回転軸346により上下方向に貫通されている。
回転軸346は、中心軸を上下方向に向けた細長い円柱状に形成されている。また回転軸346は、その上端及び下端が挟持子341Bの上面及び下面にそれぞれ回転可能に支持されている。これにより回転挟持体345は、挟持子341Bに対し、回転軸346を中心として自在に回転することができる。
保持部品342は、保持部品42と比較して、基部42Aと同様の基部342Aを有すると共に、挟持子42Bと一部異なる挟持子342Bを有している。
挟持子342Bは、挟持子341Bとほぼ前後対称に形成されており、テープ23を挟持する箇所に所定形状の孔部が形成され、この孔部に回転挟持体347が取り付けられている。回転挟持体347は、回転挟持体345と同等の円板状に構成されており、その周側面のうち最も前側の部分を、挟持子342Bの前側面よりも前方へ突出させている。
また回転挟持体347は、回転軸346と同等の回転軸348によりその中心が上下方向に貫通されている。これにより回転挟持体347は、回転挟持体345と同様、挟持子342Bに対し、回転軸348を中心として自在に回転することができる。
さらに挟持子342Bは、第1の実施の形態による挟持子42Bと同様、例えばトーションスプリングでなる付勢手段(図示せず)により、挟持子341Bに向けて付勢されている。
このため保持部330は、この付勢手段の作用により、挟持子341Bを挟持子342Bに押し付け、回転挟持体345を回転挟持体347に当接させる。このとき保持部330では、回転軸346と、回転挟持体345及び347の当接点と、回転軸348とが前後方向にほぼ一直線上に並ぶことになる。
さらに保持部330は、第1の実施の形態と同様、駆動部50から柱状部43に対し回転方向又は左右方向への駆動力が伝達されることにより、柱状部43の中心軸を中心として回転し、また左右方向へ移動することができる。
以上の構成において、第4の実施の形態による紙幣結束部314の保持部330は、挟持子341B及び挟持子342Bの間にテープ23の先端近傍を挟持する際、外力を印加して挟持子342Bから挟持子341Bを一時的に引き離し、その後再び近接させることにより、回転挟持体345及び347の間にテープ23の先端近傍を保持する。
このとき保持部330では、回転軸346と、回転挟持体345の最後部であってテープ23と当接する箇所と、回転挟持体347の最前部であってテープ23と当接する箇所と、回転軸348とを一直線上に配置することになる。
このため保持部330は、回転挟持体345及び347の間で互いに作用する力を、回転軸346及び348により受け止めることができ、テープ23を回転挟持体345及び347の間に挟持するように保持することができる。
一方、結束制御部20は、保持部30に代えて保持部330を用いながら、第1の実施の形態と同様、図5に示す紙幣結束処理手順RT1を行い、ステップSP2において、サブルーチンとして溶着処理手順SRT3(図11)を実行する。
溶着処理手順SRT3のステップSP24において、結束制御部20は、駆動部50によって、回転挟持体345及び347の間にテープ23を挟持している挟持子341B及び342Bを左方向へ引き抜く。このとき挟持子341B及び342Bは、静止しているテープ23との摩擦により回転挟持体345及び347をそれぞれ回転させながら、左方向へ引き抜かれる。
また保持部330は、挟持箇所の前後に回転軸346及び348がそれぞれ位置しているため、回転挟持体345及び347によりテープ23を挟持する際に、当該回転挟持体345及び347に作用する力をこの回転軸346及び348により逃がすことなく受け止めることができる。
これにより紙幣結束部314は、回転挟持体345及び347の間にテープ23を挟持して力を加えていながら、テープ23に対し摩擦に伴う左右方向への力を殆ど作用させることなく、回転挟持体345及び347を回転させることより、挟持子341B及び342Bを極めて円滑に引き抜くことができる。
この結果、紙幣結束部314は、結束された紙幣束BBにおいて、テープ23が挟持子341B及び342Bに伴って左右方向に引き出されて乱れた状態になる可能性や、テープ23の溶着された箇所を引き剥がしてしまう可能性を、第1の実施の形態よりも一段と低減することができる。
その他の点においても、紙幣結束部314は、第1の実施の形態による紙幣結束部14と同様の作用効果を奏し得る。
以上の構成によれば、第4の実施の形態による紙幣結束部314の結束制御部20は、紙幣束BBに巻き付けられたテープ23の重畳部分にヒータ33を当接させ加熱して溶着した後、ヒータ33をテープ23の重畳部分に押し付けたまま保持部330の挟持子341B及び342Bによる挟持箇所の近傍へ移動させ、ヒータ33によりテープ23を押さえ付けた状態で、回転挟持体345及び347を回転させながら挟持子341B及び342Bを引き抜く。従って紙幣結束部314は、テープ23が挟持子341B及び342Bに伴って左右方向に引き出されて乱れた状態になる可能性や、テープ23の溶着された箇所を引き剥がしてしまう可能性をさらに低減でき、テープ23が乱れることなく端正に巻き付いた状態で紙幣束BBを結束することができる。
[5.他の実施の形態]
なお上述した第1の実施の形態においては、溶着処理手順SRT3(図11)のステップSP23において、ヒータ移動部34によってヒータ33を溶着範囲MRの前端へ、すなわち保持部30の挟持子41B及び42Bによる挟持箇所の近傍へ移動させ、該ヒータ33によりテープ23を押し付けた状態としてから、挟持子41B及び42Bを引き抜くようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば溶着範囲MRの中央や後端など、種々の箇所においてヒータ33によりテープ23を押し付けた状態としてから、挟持子41B及び42Bを引き抜くようにしても良い。この場合、少なくともテープ23が重畳された箇所であれば良く、保持部30の挟持子41B及び42Bによる挟持箇所にできるだけ近いことが望ましい。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
また上述した第1の実施の形態においては、溶着処理手順SRT3(図11)のステップSP23において、テープ23に対するヒータ33の当接箇所を、溶着範囲MRの中央から後端を経て前端へ向かうように移動させる場合について述べた(図12)。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば溶着範囲MRの前端から後端へ向けて一直線状に移動させ、或いは例えば溶着範囲MRの後端から前端へ向けて一直線状に移動させる等、種々の順序でヒータ33を移動させても良い。この場合、最後に溶着する箇所が保持部30の挟持子41B及び42Bによる挟持箇所にできるだけ近い箇所となるような順序とすることにより、溶着後にヒータ33を挟持箇所の近傍まで移動させるのに要する時間を短縮することができる。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、ヒータ33を溶着範囲MRの中央に押し付けてテープ23を溶着させる際に、従来よりも長い時間に渡って加熱し、その周囲の部分にまで予熱を加えるようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、ヒータ33を溶着範囲MRの中央に押し付けてテープ23を溶着させる際に、従来と同程度の時間に渡って加熱し、その周囲の部分に予熱を加えないようにしても良い。この場合、ヒータ33を溶着範囲MRの前端や後端に位置させた際に、ヒータ33を加熱することにより、或いは余熱を持っているヒータ33を長時間当接させることにより、テープ23を必要な温度まで高めて溶着すれば良い。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、溶着処理手順SRT3(図11)のステップSP23において、最初に溶着範囲MRの中央を溶着するときのみヒータ33を加熱し、その後は加熱せず余熱により溶着範囲MR内の各箇所を溶着するようにした場合について述べた(図12)。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば溶着範囲MRの中央を溶着した後に他の箇所を溶着するとき等、種々のタイミングでヒータ33を連続的に又は断続的に加熱するようにしても良い。第2〜第4の実施の形態についても同様である。特に第2の実施の形態においては、ヒータ33を引抜箇所PEへ移動させた後に加熱するようにしても良い。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、溶着処理手順SRT3(図11)のステップSP24において、ヒータ33を溶着範囲MRの前端へ移動させた直後に、テープ23溶着している途中で駆動部50によって保持部30の挟持子41B及び42Bを左方向へ引き抜かせるようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えばヒータ33を溶着範囲MRの前端へ移動させ、十分な時間をかけてテープ23を溶着させた後に駆動部50によって保持部30の挟持子41B及び42Bを左方向へ引き抜かせるようにしても良い。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、溶着後のヒータ33を前後方向へのみ移動させて、挟持子41B及び42Bによる挟持箇所の近傍においてテープ23を押し付けるようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば溶着後のヒータ33を一度下方向へ移動させてテープ23から引き離し、その後前方へ移動させてから上方向へ移動させてテープ23を押し付けるようにしても良い。この場合、ヒータ33とテープ23との摩擦によりテープ23を前方へ引っ張ってしまうことを未然に防止することができる。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、ヒータ33を加熱させることにより、テープ23を重畳した箇所において当該テープ23同士を溶着するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば超音波を利用してテープ23同士を溶着する等、種々の溶着手法を利用することにより、テープ23の重畳箇所において当該テープ23同士を溶着するようにしても良い。この場合、溶着処理においてヒータ33に代わる所定の溶着ヘッドをテープ23に押し付けるように当接させるものであれば、溶着後に前方へ移動させるだけで、挟持子41B及び42Bによる挟持箇所の近傍でテープ23を押し付けることができる。またテープ23については、この溶着手法に対応したものを用いれば良い。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、テープ23を紙に樹脂を染みこませた構成とする場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えばテープ23を樹脂のみにより構成し、或いは樹脂に所定の繊維材料を織り込んだ構成とする等、種々の構成としても良い。この場合、要はヒータ33等によりテープ23の重畳箇所において該テープ23同士を溶着して紙幣束BBを結束することができれば良い。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、保持部30の挟持子41B及び42Bにより、テープ23の先端近傍を挟持するように保持する場合について述べた(図4)。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば1本の棒状部材の先端付近に粘着性を持たせ、この粘着性によりテープ23の先端近傍を保持し、或いは1本の棒状部材の先端付近に磁力を持たせると共にテープ23に磁性材料を配合して磁力の作用によりテープ23の先端近傍を保持する等、種々の手法によりテープ23の先端近傍を保持し、この保持されたテープ23を巻付処理において紙幣束BBの周囲に巻き付けるようにしても良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、結束制御部20により紙幣結束部14の各部を制御すると共に、紙幣結束処理手順RT1(図5)、巻付処理手順SRT2(図6)及び溶着処理手順SRT3(図11)を実行するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば制御部3(図2)のみにより、或いは制御部3及び結束制御部20の協働により、紙幣結束部14の各部を制御すると共に各処理手順を実行するようにしても良い。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、紙幣結束処理手順RT1(図5)、巻付処理手順SRT2(図6)及び溶着処理手順SRT3(図11)を実行するためのプログラムを結束制御部20のROMやフラッシュメモリ(図示せず)に予め記憶させておく場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えばこれらのプログラムを図示しない通信手段を介して外部のサーバ等からダウンロードし、或いはUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の外部記憶媒体から転送する等して取得し、実行するようにしても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、紙幣を計数し、所定枚数毎に結束して整理する紙幣整理装置1の紙幣結束部14において、結束単位である100枚の紙幣を集積した紙幣束BBをテープ23により結束するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、99枚以下又は101枚以上の任意数の紙幣を集積して紙幣束BBとしても良い。また本発明は、金券や証券等の種々の紙葉状の媒体や、本及び通帳のような冊子状の媒体等、種々の形状の媒体を集積して結束する種々の媒体結束装置に適用しても良い。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
さらに本発明は、上述した各実施の形態と、上述した他の実施の形態とに限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
さらに上述した第1の実施の形態においては、保持部としての挟持子41B及び42Bと、巻付部としての保持部30、駆動部50及び搬送部21と、溶着部としてのヒータ33と、押付部としてのヒータ移動部34と、引抜部としての駆動部50とによって媒体結束装置としての紙幣結束部14を構成する場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる保持部と、巻付部と、溶着部と、押付部と、引抜部とによって媒体結束装置を構成するようにしても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、集積部としての集積部12と、保持部としての挟持子41B及び42Bと、巻付部としての保持部30、駆動部50及び搬送部21と、溶着部としてのヒータ33と、押付部としてのヒータ移動部34と、引抜部としての駆動部50とによって媒体整理装置としての紙幣整理装置1を構成する場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる集積部と、保持部と、巻付部と、溶着部と、押付部と、引抜部とによって媒体整理装置を構成するようにしても良い。