JP6127169B2 - 睡眠改善剤 - Google Patents

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Description

本発明は、ラクトバチルス・ヘルベティカス MIKI−020(Lactobacillus helveticus MIKI−020)株を含む乳酸菌、前記乳酸菌による発酵物および前記乳酸菌の菌体破砕物を含む睡眠改善剤に関する。
睡眠は、ヒトなどの高等動物にとって重要な生理機能のひとつである。現代人は、ストレスの増加や生活習慣の変化から睡眠に対する満足度が減少し、5人に1人が睡眠に対して何らかの不満を持っているとされる。この傾向は今後も増加傾向にあるとされる。したがって、当該分野には、快眠を促す睡眠改善剤に対する要求がある。
睡眠改善剤の1つとして、ベンゾジアゼピン系またはバルビツレート系の化合物を含む睡眠薬が開発されている。しかし、これらの薬物は、薬物依存、昼間の眠気、記憶喪失、および他の物質、顕著にはアルコールとの相互作用などのその二次的作用のために、医師の管理下で投与されなければならず、手間がかかる。睡眠改善剤に関して、食用としても安全で気軽に摂取可能な睡眠改善剤に対する要求もある。
特許第4891069号(特許文献1)は、特定の乳酸菌を含む組成物が睡眠を改善させ得ることを開示している。特許第5112706号(特許文献2)は、特定の乳酸菌の発酵物を含む組成物が睡眠を改善させ得ることを開示している。
乳酸菌による整腸作用は古くから知られており、乳酸菌による一部の腸内細菌の増殖抑制がその一要因とされている。腸内細菌により産生される生理活性物質(例えば、ガンマアミノ酪酸(GABA)、ポリアミン、短鎖脂肪酸など)は神経系に直接的、間接的に作用する(例えば、非特許文献1参照)。これは、腸と脳との間の双方向的情報のネットワーク(脳腸相関)として知られている。
乳酸菌(死菌体)により、サーカディアンリズム及び睡眠リズムが改善されることが知られている(非特許文献2)。乳酸菌の死菌体による自律神経系に対する効果は、腸内で生成されたセロトニンを介したものであることが示唆されている(非特許文献3および非特許文献4)。
乳酸菌の発酵物には、乳酸菌の代謝産物と乳酸菌自体が含まれる。したがって、乳酸菌の菌体摂取と同様の効果が奏されることが期待される。乳酸菌の菌体成分であるリポ多糖を腸管内腔に投与することにより、腸管神経叢が活性化することが知られている(非特許文献5)。健常な高齢者に対して発酵乳を3週間摂取させる試験で、睡眠効率が改善し、(中途)覚醒時間が減少する結果が得られている(非特許文献6)。
特許第4891069号 特許第5112706号
腸内細菌学雑誌 19:25-29,2005 Life Sciences 111 (2014)47-52 Neuroscience Letters 539 (2013)32-37 Journal of Applied Microbiology 116,1274-1281(2014) Journal of Cellular Physiology 208:47-54(2006) European Journal of Clinical Nutrition(2009)63,100-105
当該分野には、依然として、食用として安全で改善された睡眠を提供しうる睡眠改善剤に対する要求がある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、様々な状態の乳酸菌について検討した結果、乳酸菌(菌体)と、その発酵物と、その菌体破砕物との組合せを含む組成物が、改善された睡眠を提供しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
本明細書において、前記組合せを「トリニティ配合」ともいう。トリニティ配合は前記した乳酸菌の3つの形態(菌体、発酵物および粉砕物)からなる配合を意味する。トリニティ配合を含む組成物は、本明細書の実施例により実証されたように、改善された睡眠を提供しうる。
すなわち、本発明は、以下の態様に係る剤および該剤の製造方法を提供する。
本発明の第1の態様は、ラクトバチルス・ヘルベティカス LBH MIKI−020株を含む乳酸菌、前記乳酸菌による発酵物および前記乳酸菌の菌体破砕物を含む、睡眠改善剤を提供する。本発明の第2の態様は、第1の態様にかかる睡眠改善剤を製造する方法を提供する。
本発明により、食用として安全で、改善された睡眠を提供しうる睡眠改善剤が提供される。
以下の発明の詳しい説明および具体的な実施例は、本発明の好ましい実施形態を示すものであるが、単なる例示を目的とするものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
(発明の詳しい説明)
本明細書において、「乳酸菌」は、ラクトバチルス・ヘルベティカス MIKI−020(Lactobacillus helveticus MIKI−020。以下「LBH MIKI−020」ともいう。)株を含む。この菌株は、受託番号「FERM P−13678」のもと、独立行政法人 製品評価技術基板機構 バイオテクノロジーセンター 特許微生物寄託センター(NPMD)に寄託されている。
1つの実施形態において、乳酸菌は、LBH MIKI−020株を1種単独であってもよいが、他の乳酸菌との組合せであってもよい。LBH MIKI−020株以外の乳酸菌としては、限定するものではないが、例えばストレプトコッカス属、ラクトコッカス属、ラクトバチルス属、ビフィドバクテリウム属に属する乳酸菌が挙げられる。1つの実施形態において、乳酸菌は、LBH MIKI−020株を含む。他の実施形態において、乳酸菌は、実質的にLBH MIKI−020株からなる。実質的にLBH MIKI−020株からなる乳酸菌は、乳酸菌重量あたり、75〜100重量%、85〜100重量%、90〜100重量%のLBH MIKI−020株を含む。特定の実施形態において、乳酸菌は、LBH MIKI−020株からなる。
前記乳酸菌は、乳酸菌を培養するための公知の培養培地を用い、通常使用される条件下で培養することができる。培養により増殖させた後に、乳酸菌を、公知の方法、例えば遠心分離により回収することができる。そのような培養培地は、限定するものではないが、炭素源、窒素源、無機塩類、ビタミン類などを含有し、天然培地、合成培地のいずれを用いてもよい。炭素源としては、限定するものではないが、例えばラクトース、グルコース、フルクトース、ガラクトースを使用することができる。窒素源としては、限定するものではないが、例えば乳カゼイン加水分解物、ホエータンパク質加水分解物、大豆タンパク質加水分解物、酵母エキス、乾燥酵母、肉エキスなどの有機窒素含有物を使用することができる。無機塩類としては、限定するものではないが、例えばリン酸塩、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、亜鉛などを使用することができる。乳酸菌の培養に適した培地としては、限定するものではないが、例えばMRS液体培地、GAM培地、BL培地、Briggs Liver Broth、獣乳、脱脂粉乳、ミルクホエーなどが挙げられる。1つの実施形態において、培養培地は、MRS液体培地である。
培養は、限定するものではないが、例えば温度20℃〜50℃、30℃〜45℃または約37℃にて行われる。培養温度は、恒温槽、例えばマントルヒーターなどにより調整することができる。培養は、限定するものではないが、例えば静置培養、振とう培養、またはタンク培養により実施してよい。乳酸菌は、限定するものではないが、例えばpH4.5〜7.0または5.0〜6.5にて、例えば1日〜7日、1日〜4日、または1〜2日培養される。1つの実施形態において、乳酸菌LBH MIKI−020株は、食品グレードの乳酸菌用培地(MRS液体培地)に植菌され、37℃で24時間培養される。
得られた乳酸菌培養物は、そのまま乳酸菌の菌体として使用してもよい。乳酸菌培養物は、必要に応じて、濃縮し、濃縮液として使用することができる。乳酸菌培養物は、乾燥させ、乾燥粉末として使用することができる。乳酸菌培養物は、限定するものではないが、例えば遠心分離による粗精製および/または濾過による固液分離を行って、濃縮液または乾燥粉末としてもよい。
1つの実施形態において、乳酸菌は、乳酸菌培養物を遠心分離にかけて菌体を回収し、賦形剤と共に乾燥させてよい。賦形剤としては、限定するものではないが、例えばラクトースおよびデンプンが挙げられる。賦形剤は、限定するものではないが、例えば菌体に対して5〜20重量%または10〜15重量%添加される。乳酸菌の菌体は、生菌および死菌のいずれか又はその両方であってもよい。乳酸菌の菌体は、限定するものではないが、例えば熱風乾燥により死菌としてよい。1つの実施形態において、乳酸菌は、湿潤菌体であっても又は乾燥菌体であってもよい。特定の実施形態において、乳酸菌は、菌体をフリーズドライすることにより製造される乾燥菌体であってよい。1つの実施形態において、乾燥形態の乳酸菌(菌体)は、7μm以上、7μm〜10μmまたは7μm〜9μmの平均粒子径を有する。平均粒子径は、レーザー回折・散乱法により測定される。
本明細書において、「乳酸菌発酵物」または「乳酸菌による発酵物」は、LBH MIKI−020株を含む乳酸菌によって発酵された発酵物を意味する。発酵は、乳酸菌LBH MIKI−020株を1種単独で、又はそれ以外の乳酸菌を含めた少なくとも2種の乳酸菌を、発酵原料に植菌して行われる。発酵原料としては、乳が用いられる。乳としては、限定するものではないが、例えば獣乳(牛乳、山羊乳、羊乳など)、植物乳(豆乳など)、又はこれらの加工乳が挙げられる。加工乳としては、限定するものではないが、例えば脱脂乳、還元乳、粉乳、コンデンスミルクが挙げられる。発酵原料としては、限定するものではないが、前記した乳に、例えば前記加工乳に、さらに、酵母エキス、ビタミン類(アスコルビン酸など)、アミノ酸(システインなど)、塩類(塩化ナトリウムなど)、糖類(グルコース、ラクトース、シュークロース、ラフィノース、スタキオースなど)、安定剤(ゼラチンなど)、またはフレーバーを適宜添加したものを使用することができる。糖類は、限定するものではないが、例えば前記した乳に10〜5重量%または5重量%添加することができる。発酵原料は、発酵前に高温加熱殺菌してもよい。これらの発酵原料は、混合物として使用してもよい。
発酵は、限定するものではないが、例えば温度20〜50℃、30℃〜45℃または約37℃にて行なわれる。発酵開始時のpHは、限定するものではないが、例えば4.5〜7.0または5.0〜6.5であってよい。発酵時間は、発酵原料の種類、pH、発酵温度、植菌する菌体数などにより適宜選択することができる。発酵時間は、発酵の進行状況に応じて適宜変更されてよい。必要に応じて、エアレーションや脱酸素処理を行ってよい。発酵は、静置培養または攪拌培養により行なうことができる。植菌する乳酸菌は、前培養した活性の高い菌体であってよい。植菌する菌体数は、培養する規模や培養時間などの培養条件によって適宜設定される。
発酵工程において、炭水化物や蛋白質を、資化剤として添加してもよい。資化剤としての炭水化物としては、限定するものではないが、例えば市販のブドウ糖、ショ糖、廃糖蜜を、培地あたり1〜10重量%、2〜5重量%、約3重量%で使用してもよい。資化剤としての蛋白質としては、限定するものではないが、例えば米ぬかを、培地あたり1〜5重量%で使用してもよい。資化剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
得られた発酵物は、限定するものではないが、例えば濃縮液または乾燥粉末としてもよい。前記発酵物は、限定するものではないが、例えば乾燥機により水分量が10重量%以下となるようにしてよい。乾燥方法としては、限定するものではないが、例えば噴霧乾燥、ドラム乾燥、真空乾燥、凍結乾燥などが挙げられ、これらは単独で又は組み合わせて実施されてよい。乾燥工程では、必要に応じて通常用いられる担体又は賦形剤を添加してもよい。担体または賦形剤は、例えば、発酵物に対して10〜50重量%、10〜30重量%、または15〜25重量%添加することができる。賦形剤としては、限定するものではないが、例えばデキストリンが挙げられる。乾燥物は、必要に応じて公知の滅菌処理を行ってよい。前記発酵物は、限定するものではないが、例えば遠心分離による粗精製を行って、濃縮液または乾燥粉末としてよい。1つの実施形態において、乳酸菌発酵物は、発酵液をフリーズドライまたはスプレードライにより製造される。
本明細書において、「菌体破砕物」または「乳酸菌の菌体破砕物」は、LBH MIKI−020株を含む乳酸菌を破砕して得られた物を意味する。菌体破砕物は、限定するものではないが、菌体の細胞膜を破壊する方法、例えば物理的破砕または化学的破砕のいずれかにより得ることができる。菌体破砕物は、例えば、菌体に添加物、マルチトールおよびエリスリトールなどの糖類を、例えば菌体と等量加えた混合物を破砕することによって得ることもできる。菌体破砕物は、細胞膜が維持された生菌または死菌と比べ、その内包物を容易に摂取することが可能な形態である。物理的破砕は、限定するものではないが、例えば湿式(菌体懸濁液の状態で処理)又は乾式(菌体粉末の状態で処理)のいずれで実施してもよく、高圧ホモジェナイザー、フレンチプレス、ブレンダーミル、超音波破砕機、ジェットミル粉砕機、オートクレーブによる加熱、凍結融解、ガンマ線処理を用いることができる。化学的破砕は、限定するものではないが、例えば酵素処理(リゾチウムなど)、有機溶媒、界面活性剤、酸を用いることができる。1つの実施形態において、菌体破砕物は、4μm未満、1μm〜4μmまたは2〜4μmの平均粒子径を有する。平均粒子径は、レーザー回折・散乱法により測定される。
菌体破砕物は、限定するものではないが、例えば乾燥して粉状物または粒状物としてもよい。乾燥処理としては、限定するものではないが、例えば噴霧乾燥、ドラム乾燥、真空乾燥、凍結乾燥を用いることができ、これらは単独で又は組み合わせて実施してもよい。乾燥処理の際、必要に応じて、公知の担体または賦形剤を添加してもよい。
1つの実施形態において、菌体破砕物は、前記乳酸菌を水性媒体中で破砕して得られた液を、例えば凍結乾燥により乾燥して得ることができる。他の実施形態において、菌体破砕物は、前記乳酸菌をジェットミルなどにより破砕することで得ることができる。
本明細書において、「睡眠改善剤」は、LBH MIKI−020を含む乳酸菌、前記乳酸菌の発酵物および前記乳酸菌の菌体破砕物の組み合わせを含む組成物を意味する。前記組成物は、前記乳酸菌と、前記乳酸菌発酵物と、前記菌体破砕物とを、必要に応じて、経口上許容される添加剤とともに混合することにより調製することができる。前記組成物の形態は、限定するものではないが、経口摂取できる形態、例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、粉剤、シロップ剤、ドライシロップ剤、液剤、懸濁剤であってよい。前記組成物は、限定するものではないが、経口上許容される添加剤、例えば賦形剤、崩壊剤、結合剤、湿潤剤、安定剤、緩衝剤、滑沢剤、保存剤、界面活性剤、調味料(例えば甘味料)、矯味剤、香料、酸味料、着色剤をさらに含んでよい。賦形剤としては、限定するものではないが、例えばマルチトール、マルトースなどの糖類、デキストリン、デンプンなどが挙げられる。前記組成物は、公知の製造方法に従って、特定の形態とすることができる。1つの実施形態において、前記睡眠改善剤は錠剤である。
1つの実施形態において、LBH MIKI−020を含む乳酸菌、前記乳酸菌の発酵物、および前記乳酸菌の菌体破砕物の睡眠改善剤における配合量は、剤の形態に応じて適宜設定される。1つの実施形態において、睡眠改善剤は、例えばそれぞれ粉末形態の、前記乳酸菌、前記発酵物および前記菌体破砕物を、菌体粉末の混合割合(質量比)として、1:1〜50:0.1〜10(前記乳酸菌:前記発酵物:前記菌体破砕物)となるよう、好ましくは、1:5〜25:0.5〜5となるよう配合する。
1つの実施形態において、睡眠改善剤は、その全量を100質量%として、例えばそれぞれ粉末形態の菌体粉末ベースで、前記乳酸菌を0.1〜10質量%、前記発酵物を1〜50質量%、および前記菌体破砕物を0.1〜10質量%含む。特定の実施形態において、睡眠改善剤は、好ましくは、その全量を100質量%として、例えばそれぞれ粉末形態の菌体粉末ベースで、前記乳酸菌を0.5〜5質量%、前記発酵物を5〜25質量%、および前記菌体破砕物を0.5〜5質量%含む。
1つの実施形態において、睡眠改善剤は、1日あたり摂取量が、例えばそれぞれ粉末形態の菌体粉末ベースで、前記菌体を10mg〜1,000mg、前記発酵物を0.2g〜10g、および前記菌体破砕物を10mg〜1,000mgとなるよう、好ましくは前記菌体を50mg〜500mg、前記発酵物を0.5g〜2.5g、および前記菌体破砕物を50mg〜500mgとなるよう摂取される。
1つの実施形態において、前記睡眠改善剤は、哺乳動物により経口から摂取される。哺乳動物は、限定するものではないが、例えばヒト、霊長類(サル、チンパンジーなど)、家畜動物(ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジなど)、ペット用動物(イヌ、ネコなど)であり、好ましくはヒトである。睡眠の改善が期待される量は対象哺乳動物の状態または状況、所望される効果により大きく変動しうる。前記睡眠改善剤の摂取回数は特に限定されず、例えば1日分を1回で摂取してもよく、または数回に分けて摂取してもよい。
本発明の他の態様は、第1の態様に係る睡眠改善剤を含む睡眠改善用の製品に関する。1つの実施形態において、睡眠改善用の製品は、睡眠改善剤の摂取量などを記載した説明書、および本発明に係る睡眠改善剤を含む容器を含む。他の実施形態において、睡眠改善剤は、その摂取量などを記載したラベルが付された容器に収容されている。睡眠改善剤に関する特徴は上記したとおりである。
前記睡眠改善剤は、飲食品に添加して使用することができる。前記睡眠改善剤を飲食品に添加して使用する場合、飲食品(機能性食品等)の形態としては、限定するものではないが、例えばチーズ、バター、ヨーグルト、アイスクリーム、プディングなどの乳製品、飲むヨーグルトなどの乳製品乳酸菌飲料、または乳酸菌飲料であってよい。飲食品中の前記睡眠改善剤の含量は、限定するものではないが、例えば上記した1日あたりの摂取量となる含量である。
本明細書において、「睡眠改善」は、後述するOSA睡眠調査票MA版を用いた睡眠評価試験において、起床時眠気(因子I)および/または入眠と睡眠維持(因子II)に関して、睡眠改善剤を4週間摂取した後の睡眠評価が睡眠改善剤を摂取する前の睡眠評価より有意に改善することを意味する。本発明に係る睡眠改善剤により奏され得る睡眠改善効果により、熟睡感が増し睡眠中の覚醒が起こりにくくなり、目覚めの状態が良くなるという実感を得ることが期待される。
[乳酸菌の調製]
乳酸菌LBH MIKI−020株を前培養した。前培養したLBH MIKI−020株を、MRS液体培地(pH6.5)に植菌し、37℃で18〜24時間、静置培養した。培養液を遠心分離機にかけ、上清を破棄してLBH MIKI−020株を回収した。回収した乳酸菌に賦形剤を加え、凍結乾燥することで、粉末形態の乳酸菌(菌体)を調製した。
[乳酸菌発酵物の調製]
糖類を添加した豆乳を殺菌して、基本発酵培地とした。前培養したLBH MIKI−020株を、前記基本発酵培地に1%植菌し、37℃で24時間、発酵させた。発酵物をホモジナイザーにより均質化して、発酵液を調製した。この発酵液に賦形剤を適量添加して混合した。その混合液をスプレードライヤーにより粉末化して、粉末形態の乳酸菌発酵物を調製した。
[乳酸菌破砕物の調製]
上記のように調製した乳酸菌の菌体粉末と等量の糖類とを混合した後、乾式ジェットミル破砕機(コンパクトジェットミルなど)において、供給速度0.01〜10000g/min(例えば1.0g/min)、吐出圧力1〜1000kg/cm(例えば6kg/cm)にて、1〜10回(例えば1回)処理することで、乳酸菌破砕物を得た。得られた乳酸菌破砕物の菌体粉末をレーザー回折/散乱式粒度分布装置(LA−920,Horiba)にて測定した。乳酸菌破砕物の平均粒子径は4μm未満であった。
[配合物の調製]
上記のように調製した乳酸菌、乳酸菌発酵物および/または菌体破砕物を、表1で示した成分とともに下記配合量にて混合して、ロータリー打錠機で圧縮成型し、錠剤(1g/錠)の形態の配合物1〜4を調製した。配合物1は、乳酸菌(菌体)と乳酸菌発酵物と菌体破砕物との組合せ(トリニティ配合)を含む。配合物2〜4は乳酸菌(菌体)、乳酸菌発酵物および菌体破砕物のいずれか1つを含む。
Figure 0006127169
[睡眠評価試験]
上記のように調製した配合物について、睡眠評価試験を行った。12名のパネラーを4つのグループに分けた。各グループには配合物1〜4のいずれかをそれぞれ割り当てた。パネラーは、割り当てられた配合物を1日あたり9g、4週間摂取するように依頼された。各パネラーは、自己の睡眠に対する自己評価を睡眠評価試験開始前(0週)と終了時(4週)の2回、OSA睡眠調査票MA版(山本由華吏, 田中秀樹, 高瀬美紀, 山崎勝男, 阿住一雄, 白川修一郎: 中高年・高齢者を対象としたOSA睡眠調査票(MA版)の開発と標準化. 脳と精神の医学 10: 401-409, 1999.)を用いて調査された。OSA睡眠調査票MA版による睡眠評価は、表2で示す質問項目に対して両極4件法で回答することにより実施された。
Figure 0006127169
表2の各質問項目は各々、以下の5つの睡眠間構成要素、因子I(起床時眠気)、因子II(入眠と睡眠維持)、因子III(夢み)、因子IV(疲労回復)または因子V(睡眠時間)に割り当てられている。各因子は、質問項目の点数の平均値で示される。
睡眠評価試験前(0週)と試験終了後(4週)の各スコアの変化(=[各因子のスコア(4週)]−[各因子のスコア(0週)])を表3に示す。
Figure 0006127169
表3において、実施例1(実施例1−1〜実施例1−3)は配合物1が割り当てられたグループの結果を示し、比較例1(比較例1−1〜比較例1−3)は配合物2が割り当てられたグループの結果を示し、比較例2(比較例2−1〜比較例2−3)は配合物3が割り当てられたグループの結果を示し、比較例3(比較例3−1〜比較例3−3)は配合物4が割り当てられたグループの結果を示す。
因子I(起床時眠気)に関して、実施例1は平均値1.8を示した。比較例1は平均値−8.8であり、比較例2は平均値−1.5、および比較例3は平均値−0.77であった。因子II(入眠と睡眠維持)に関して、実施例1は平均値−0.067を示した。比較例1は平均値−7.1、比較例2は−1.2、および比較例3は平均値−5.1であった。因子III(夢み)に関して、実施例1は平均値4.3を示した。比較例1は平均値−2.3、比較例2は平均値−2.5、および比較例3は平均値−8.8であった。因子IV(疲労回復)に関して、実施例1は平均値−2.2を示した。比較例1は平均値−11、比較例3は平均値−4.5、および比較例3は平均値−1.5であった。因子V(睡眠時間)に関して、実施例1は平均値−6.6を示した。比較例1は平均値2.0、比較例2は平均値0.17、および比較例3は平均値2.0であった。
配合物1の4週間摂取により、因子IおよびIII(起床時眠気および夢み)に関して、比較例1〜3それぞれと比べて、改善の傾向が示された。因子IIに関しては、比較例1〜3それぞれと比べて、改善もしくは現状維持の傾向が示された。
より詳細に配合物1による睡眠に対する影響を調べるために、さらに27名のパネルに対して、前記睡眠評価試験を行った。表4はその結果を示す。
Figure 0006127169
実施例1(実施例1−1〜実施例1−30)の因子I〜V各々の睡眠評価試験開始前(0週)と試験終了後(4週)の平均値±標準偏差(S.D.)をそれぞれ算出し、t検定を行なった(表5)。
Figure 0006127169
配合物1を4週間摂取した実施例1では、因子I(起床時眠気)と因子II(入眠と睡眠維持)において、試験開始前(0週)に比べて、試験終了後(4週)に有意な改善がみられた(表5)。
日本睡眠学会(Japanese Society of Sleep Research)によれば、「不眠症」は、(1)入眠障害、(2)中間覚醒、(3)熟眠障害、(4)早朝覚醒などのいずれかに該当することである(http://jssr.jp/kiso/syogai/syogai01.html)。ここで、入眠障害は、夜間なかなか入眠できず、寝つくのに普段より2時間以上かかることを示す。中間覚醒は、一旦寝ついても夜中に目が醒めやすく2回以上目が醒めることを示す。熟眠障害は、朝起きたときにぐっすり眠った感じの得られないことを示す。早朝覚醒は、朝普段よりも2時間以上早く目が醒めてしまうことを示す。
因子I(起床時眠気)と因子II(入眠と睡眠維持)は、不眠症における(1)入眠障害、(2)中間覚醒および(3)熟眠障害と関係が深い項目であると考えられる。因子Iおよび因子IIにおいて改善の徴候を示した配合物1によれば、改善された睡眠を提供できると考えられる。
LBH MIKI−020株(菌体)を含む配合物2、LBH MIKI−020株による発酵物を含む配合物3、LBH MIKI−020株の破砕物を含む配合物4がそれぞれ、因子IおよびIIに関して、前記菌体と前記発酵物と前記破砕物とを含む配合物1と比較して顕著な改善を示すものではなかったことに鑑みれば(表4)、配合物1により奏された効果(表5)は驚くべきものであった。
本明細書に開示された実施例および実施形態はすべて例示であって制限的なものではなく、添付する特許請求の範囲に記載の発明をいかようにも限定するものではない。本明細書に記載の具体的な材料、組成物および方法から容易に認識される均等物、または変更、改変もしくは変形が本発明の範囲内にあることが意図される。

Claims (6)

  1. ラクトバチルス・ヘルベティカス LBH MIKI−020株(以下、「LBH MIKI−020株」という)を含む乳酸菌、前記乳酸菌による発酵物および前記乳酸菌の菌体破砕物を含む、睡眠改善剤であって、
    前記睡眠改善が起床時眠気の改善および/または睡眠維持と入眠の改善を含み、
    前記乳酸菌を0.1〜10質量%、前記発酵物を1〜50質量%、および前記菌体破砕物を0.1〜10質量%含み、
    前記乳酸菌、前記発酵物および前記乳酸菌の各菌体粉末の混合比(質量比)が1:5〜25:0.5〜5である、睡眠改善剤。
  2. 錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、粉剤、シロップ剤、ドライシロップ剤、液剤、または懸濁剤である、請求項1に記載の睡眠改善剤。
  3. 錠剤である、請求項1に記載の睡眠改善剤。
  4. 前記乳酸菌を0.5〜5質量%を含み、前記発酵物を5〜25質量%、および前記菌体破砕物を0.5〜5質量%含む、請求項に記載の睡眠改善剤。
  5. LBH MIKI−020株を含む乳酸菌、
    前記乳酸菌による発酵物、
    前記乳酸菌の菌体破砕物、および
    賦形剤、崩壊剤、結合剤、湿潤剤、安定剤、緩衝剤、滑沢剤、保存剤、界面活性剤、調味料、矯味剤、香料、酸味料および着色剤から選択される少なくとも1つの添加剤を混合すること含み、
    前記工程において、前記乳酸菌、前記発酵物および前記乳酸菌が、各菌体粉末の混合比(質量比)1:5〜25:0.5〜5で混合される、請求項1〜のいずれか一項に記載の睡眠改善剤を製造する方法。
  6. 前記睡眠改善剤が、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、粉剤、シロップ剤、ドライシロップ剤、液剤、または懸濁剤である、請求項5に記載の製造方法。
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