JP6127016B2 - モータ構造体 - Google Patents
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Description
また、ギヤ軸のうち軸方向で第2軸受に対応する箇所は、モータ軸に嵌合している。前記したスプライン結合のみでは径方向でモータ軸とギヤ軸との間に微少な隙間が発生する可能性があるが、ギヤ軸がモータ軸に嵌合することで径方向のガタつきをなくすと共にモータの振動を増幅させない。
さらに、第2軸受によってモータ軸及びギヤ軸を軸支することで、これらを別々の軸受で軸支する場合と比較して軸受の個数を削減でき、構造の簡素化を図ることができる。
本実施形態に係るモータ構造体S(図2参照)の説明に先立って、このモータ構造体Sを備える車両Vについて簡単に説明する。図1に示す車両Vは、パラレル式のハイブリッド車であり、モータ1と、エンジン2と、変速機3と、ISG4(Integrated Starter Generator)と、PDU51,52(Power Drive Unit)と、を備えている。
エンジン2は、駆動輪Wを回転させるための第2の動力源であり、燃料を燃焼させることで動力が取り出される。
変速機3(動力伝達装置)は、モータ1又はエンジン2から取り出される動力を所定の変速比でドライブシャフトDに伝達する装置である。その他、図1では図示を省略したが、車両Vは、モータ1と変速機3とを断接するクラッチ、エンジン2と変速機3とを断接するクラッチ等を有している。
PDU52は、エンジン2の起動時にバッテリBからの直流電力を交流電力に変換し、この交流電力によってISG4を駆動する。また、ISG4が発電機として機能する場合、PDU52はISG4の発電電力(交流電力)を直流電力に変換し、バッテリBを充電する。なお、バッテリBは、充放電可能な二次電池であり、PDU51,52に接続されている。
図2に示すモータ構造体Sは、モータ1で発生した動力を変速機3に伝達したり、回生制動時に駆動輪Wの動力を変速機3を介してモータ1(発電機)に伝達したりするものである。
モータ構造体Sは、モータ1と、変速機3と、第1軸受6aと、第2軸受6bと、第3軸受6cと、ケース本体7と、ブラケット8と、を備えている。
モータ1は、インナロータ型のモータであり、PDU51から供給される交流電力によって駆動する。モータ1は、円筒状のロータ11と、ロータ11の径方向外側に配置されるステータ12と、ロータ11の内周面に固定される円筒状のモータ軸13と、を有している。
当接部13aは、モータ軸13の右端付近の内周面から径方向内側に延びており、第1軸受6aの外輪61aの左壁面に当接している。これによって、第1軸受6aの左向きの移動を規制し、第1軸受6aの脱落を防止できる。
当接部13c(モータ側当接部)は、第2軸受6bに当接することでモータ軸13の左向きの移動を規制するものであり、嵌合部13bの右側に連なっている。当接部13cは、その外径が嵌合部13bの外径よりも大きく、第2軸受6bの内輪62bの右壁に当接している。
変速機3は、入力ギヤ31と、この入力ギヤ31に歯合するカウンタギヤ32と、を有している。
入力ギヤ31は、モータ1及びカウンタギヤ32の一方から他方に動力を伝達するギヤであり、モータ1の左側に設置されている。入力ギヤ31は、モータ軸13に差し込まれるギヤ軸311と、このギヤ軸311から径方向外側に延びカウンタギヤ32に歯合する歯合部312と、を有している。
なお、当接部311aを第2軸受6bに確実に当接させるために、モータ軸13の左端は、入力ギヤ31の当接部311aに対して僅かに離間している。
なお、入力ギヤ31の右端には、モータ1側への潤滑油を浸入を防ぐための円板状のキャップFが設置されている。キャップFは、入力ギヤ31の右側の開口を塞ぐように設置され、その外周縁付近はモータ軸13の内壁面に当接している。
第1軸受6aは、径方向においてモータ軸13の右端側の内周面と、後記する第1ケース部材71の延出部71aとの間に介在し、モータ軸13を回転自在に軸支している。このようにモータ軸13の内周面に第1軸受6aを設置することで、モータ軸13の外周面に軸受を設置する場合と比較して、軸方向におけるモータ構造体Sの幅を小さくすることができる。
第2軸受6bは、ケース本体7に固定されると共にモータ軸13の左端側の外周面に設置され、モータ軸13及び入力ギヤ31を回転自在に軸支している。このように第2軸受6bによってモータ軸13及び入力ギヤ31を軸支することで、モータ軸13の左端付近、及びギヤ軸311の右端付近をそれぞれ別個の軸受で軸支する場合と比較して、軸受の個数を削減できる。なお、第2軸受6bの構成は、第1軸受6aと同様である。
第3軸受6cは、ケース本体7に固定されると共に入力ギヤ31の左端側の外周面に設置され、入力ギヤ31を回転自在に軸支している。図2に示すように、第2軸受6b及び第3軸受6cによって入力ギヤ31を両持ちで支持することで、第3軸受6cを右側のみの片持ちで支持する場合と比較して入力ギヤ31の径方向のたわみを抑制できる。なお、第3軸受6cの構成は、第1軸受6aと同様である。
ケース本体7は、モータ1及び変速機3を収容する金属部材であり、第1ケース部材71と、第2ケース部材72と、第3ケース部材73と、を有している。
第1ケース部材71は、後記する第2ケース部材72と共にモータ1を収容するケースであり、有底円筒状を呈している。第1ケース部材71は、モータ軸13の右側の内部に臨む延出部71aと、第1軸受6aの内輪62aに当接する当接部71bと、を有している。
当接部71bは、延出部71aの右側に連なり、径方向外側に延びている。当接部71bは、第1軸受6aの内輪62aの右壁面に当接している。
ブラケット8は、モータ1及び変速機3等が収容されたケース本体7を車体に固定するための部材である。図2に示す例では、ケース本体7の右壁の上側にブラケット8が固定されている。
本実施形態によれば、モータ軸13の内周面に第1軸受6aを設置することで、モータ軸13の外周面に第1軸受6aを設置する場合と比較してモータ軸13の軸方向の幅を小さくし、モータ構造体Sのコンパクト化を図ることができる。
また、モータ軸13を円筒状とすることで、モータ軸13が中実の場合や、肉抜き用の凹部を設ける場合と比較して、モータ軸13の軽量化を図ることができる。同様に、ギヤ軸311を円筒状とすることで、ギヤ軸311の軽量化を図ることができる。
第2実施形態は、第1ケース部材71の延出部71c(図3参照)の形状が異なる点と、制振用の錘91を備える点と、が第1実施形態と異なるが、その他の構成については第1実施形態と同様である。したがって、第1実施形態と異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
本実施形態によれば、分割ケース8Aに固定された錘91によってモータ1の振動を抑制できる。また、錘91の質量を適宜設定することでモータ構造体Sの固有振動数を、例えば、可聴域を超えるように調整できる。したがって、モータ1の駆動に伴い乗員にとって耳障りな音が発生することを防止できる。
また、錘91を第1軸受6aの内輪62aに当接させることで、第1軸受6aの脱落を防止できると共に、内輪6aの摺動(クリープ現象)による磨耗も防止できる。
第3実施形態は、第1ケース部材71の延出部71d(図4参照)の形状が異なる点と、錘91(図3参照)に代えてダイナミックダンパ92を備える点と、が第2実施形態と異なるが、その他の構成については第2実施形態と同様である。したがって、第2実施形態と異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
金属部材92cは、弾性体92bの外周面に設置されており、円筒状を呈している。なお、振動を抑制するのに適した重量を確保するために、金属部材92cを構成する材料として比重の比較的大きいもの(例えば、鉄製)を用いることが好ましい。なお、カラー92a、弾性体92b、及び金属部材92cは、略一体になっている。
本実施形態によれば、ダイナミックダンパ92が備える金属部材92cの質量等を適宜設定することでモータ構造体Sの固有振動数を、例えば、可聴域を超えるように調整できる。また、ダイナミックダンパ92によってモータ1の径方向の振動を減衰させることができ、モータ1の振動を効果的に抑制できる。
また、ダイナミックダンパ92の当接部921aが第1軸受6aの内輪62aに当接することで、第1軸受6aの脱落を防止できると共に、内輪6aの摺動(クリープ現象)による磨耗も防止できる。
以上、本発明に係るモータ構造体Sについて各実施形態により説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
例えば、各実施形態では、ギヤ軸311をモータ軸13に差し込み、ギヤ軸311の嵌合部311b及び結合部311cが、モータ軸13の嵌合部13b及び結合部13dよりも径方向内側に配置される構成について説明したが、モータ軸13をギヤ軸311に差し込む構成としてもよい。すなわち、モータ軸13の外周壁がギヤ軸311の内周壁にスプライン結合し、モータ軸13のうち軸方向で第2軸受6bに対応する箇所がギヤ軸311の内側に嵌合する構成にしてもよい。
この場合でも、ギヤ軸311の当接部311aが第2軸受6bの内輪62bの左壁に当接し、ケース本体7の当接部72aが第2軸受6bの外輪61bの右壁に当接しているため(図2参照)、入力ギヤ31からの軸方向・径方向の力を第2軸受6bに作用させることができる。
また、各実施形態では、第1軸受6a、第2軸受6b、及び第3軸受6cが玉軸受である場合について説明したが、ころ軸受等、他の種類の軸受を用いてもよい。
また、第2実施形態では、錘91(図3参照)の外形が円柱状である場合について説明したが、これに限らない。例えば、錘91として、外形が六角柱状や八角柱状のものを用いてもよい。
1 モータ
11 ロータ
12 ステータ
13 モータ軸
13a 当接部
13b 嵌合部
13c 当接部(モータ側当接部)
13d 結合部
3 変速機(動力伝達装置)
31 入力ギヤ
311 ギヤ軸
311a 当接部(ギヤ側当接部)
311b 嵌合部
311c 結合部
311d 当接部
6a 第1軸受
6b 第2軸受
6c 第3軸受
61a,61b,61c 外輪
62a,62b,62c 内輪
7 ケース本体
71a,71c,71d 延出部
71b 当接部
91 錘(制振部材)
92 ダイナミックダンパ(制振部材)
32 カウンタギヤ
X 中心軸線
h2 孔
Claims (5)
- 円筒状のロータと、前記ロータの径方向外側に配置されるステータと、前記ロータの内周面に固定される円筒状のモータ軸と、を有するモータと、
前記モータ軸と一体で回転する外形円柱状のギヤ軸を有し、前記ロータとの間で動力の伝達を行う動力伝達装置と、
前記モータ及び前記動力伝達装置を収容すると共に、前記モータ軸の一端側の内部に臨む延出部を有するケース本体と、
径方向において前記モータ軸の前記一端側の内周面と前記延出部との間に介在し、前記モータ軸を回転自在に軸支する第1軸受と、
前記ケース本体に固定されると共に前記モータ軸の他端側に設置され、前記モータ軸及び前記ギヤ軸を回転自在に軸支する第2軸受と、
前記ケース本体に固定されると共に前記ギヤ軸の前記他端側に設置され、前記ギヤ軸を回転自在に軸支する第3軸受と、
前記延出部に設置され、前記モータの振動を抑制する制振部材と、を備え、
前記ギヤ軸の前記一端付近は、前記モータ軸にスプライン結合し、
前記ギヤ軸のうち軸方向で前記第2軸受に対応する箇所は、前記モータ軸に嵌合している
ことを特徴とするモータ構造体。 - 前記制振部材は、
前記一端側が前記第1軸受に当接することで、前記第1軸受の前記他端側への移動を規制する
ことを特徴とする請求項1に記載のモータ構造体。 - 前記制振部材は、外形柱状の錘である
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のモータ構造体。 - 前記制振部材は、ダイナミックダンパである
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のモータ構造体。 - 前記ギヤ軸は、前記モータ軸の内側に差し込まれることで、前記モータ軸に対して前記スプライン結合及び前記嵌合し、
前記モータ軸は、
前記第2軸受の前記一端側に当接するモータ側当接部を有し、
前記ギヤ軸は、
前記第2軸受の前記他端側に当接するギヤ側当接部を有する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のモータ構造体。
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