JP2015216820A - モータ構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】構造の簡素化を図ると共に、モータの振動を抑制できるモータ構造体を提供する。【解決手段】モータ軸13を有するモータ1と、モータ軸13と一体で回転する外形円柱状のギヤ軸311を有する変速機3と、モータ1及び変速機3を収容すると共に、一端側からモータ軸13の内部に臨む延出部71aを有するケース本体7と、径方向においてモータ軸13の一端側の内周面と延出部71aとの間に介在する第1軸受6aと、モータ軸13の他端側に設置される第2軸受6bと、ギヤ軸311の他端側に設置される第3軸受6cと、を備え、ギヤ軸311の一端付近はモータ軸13にスプライン結合し、ギヤ軸311のうち軸方向で第2軸受6bに対応する箇所はモータ軸13に嵌合している。【選択図】図2

Description

本発明は、モータを備えるモータ構造体に関する。
動力源としてモータを備える車両において、モータの動力は、ロータに固定されたモータ軸等を介して変速機に伝達され、さらにディファレンシャル装置を介して車輪に作用する。また、モータの駆動に伴って振動が発生するが、このような振動を抑制するための技術として以下に示すものが開示されている。
例えば、特許文献1には、内燃エンジンからの動力を入力する入力軸と、この入力軸に対して一軸上に配置され駆動輪に連動する出力軸と、前記した一軸上に配置される第1の電気モータ及び第2の電気モータと、を備えるハイブリッド駆動装置について記載されている。なお、それぞれの電気モータが有するロータの径方向内側には円筒状のロータシャフトが設置され、このロータシャフトが複数の軸受によって回転自在に軸支されている。
特許文献2には、円筒状を呈するプロペラシャフト内において、軸方向の所定位置にダイナミックダンパを圧入固定することが記載されている。
特許文献3には、ロータの内周面に固定されると共に軸方向においてロータから突出しているシャフトを、軸受によって回転自在に軸支することが記載されている。なお、シャフトの両端に設置される各軸受は、このシャフトの外周面に設置されている。
特許第4059876号公報 特開2004−150543号公報 特開2013−207930号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、径方向においてロータシャフトを挟むように軸受が設置されると共に、軸方向においてロータシャフトの両端にそれぞれ軸受が設置されている。つまり、ロータシャフトを回転自在に軸支するために4個の軸受を要する。このように軸受の個数が多くなるため、製造コストの増加を招くという問題がある。
また、特許文献2には、プロペラシャフトにダイナミックダンパを設置する構成について記載されているものの、モータの振動を抑制するための構成については記載されていない。
また、特許文献3に記載の技術では、シャフトの両端を軸支する各軸受が、このシャフトの外周面に設置されている。したがって、軸受を設置するためにロータからシャフトが突出させる長さを確保する必要があり、軸方向における回転電機の幅が大きくなってしまうという問題がある。
そこで本発明は、構造の簡素化を図ると共に、モータの振動を抑制できるモータ構造体を提供することを課題とする。
前記した課題を解決するための手段として、本発明に係るモータ構造体は、円筒状のロータと、前記ロータの径方向外側に配置されるステータと、前記ロータの内周面に固定される外形円柱状のモータ軸と、を有するモータと、前記モータ軸と一体で回転する外形円柱状のギヤ軸を有し、前記ロータとの間で動力の伝達を行う動力伝達装置と、前記モータ及び前記動力伝達装置を収容すると共に、前記モータ軸の一端側の内部に臨む延出部を有するケース本体と、径方向において前記モータ軸の前記一端側の内周面と前記延出部との間に介在し、前記モータ軸を回転自在に軸支する第1軸受と、前記ケース本体に固定されると共に前記モータ軸の他端側に設置され、前記モータ軸及び前記ギヤ軸を回転自在に軸支する第2軸受と、前記ケース本体に固定されると共に前記ギヤ軸の前記他端側に設置され、前記ギヤ軸を回転自在に軸支する第3軸受と、を備え、前記ギヤ軸の前記一端付近は、前記モータ軸にスプライン結合し、前記ギヤ軸のうち軸方向で前記第2軸受に対応する箇所は、前記モータ軸に嵌合していることを特徴とする。
このような構成によれば、ギヤ軸の一端付近はモータ軸にスプライン結合している。したがって、モータ軸及びギヤ軸の一方が回転した場合、この一方の動力を他方に伝達することができる。
また、ギヤ軸のうち軸方向で第2軸受に対応する箇所は、モータ軸に嵌合している。前記したスプライン結合のみでは径方向でモータ軸とギヤ軸との間に微少な隙間が発生する可能性があるが、ギヤ軸がモータ軸に嵌合することで径方向のガタつきをなくすと共にモータの振動を増幅させない。
また、モータ軸の内周面(つまり、モータ軸の内部)に第1軸受を設置することで、モータ軸の外周面に第1軸受を設置する場合と比較してモータ軸の軸方向の幅を短くし、モータ構造体のコンパクト化を図ることができる。
さらに、第2軸受によってモータ軸及びギヤ軸を軸支することで、これらを別々の軸受で軸支する場合と比較して軸受の個数を削減でき、構造の簡素化を図ることができる。
また、第2軸受によってギヤ軸の一端側を軸支し、第3軸受によってギヤ軸の他端側を軸支する。このようにギヤ軸を両持ちで軸支することで、ギヤ軸の径方向のたわみを抑制できる。
また、前記モータ軸は、円筒状を呈し、前記延出部に設置され、前記モータの振動を抑制する制振部材を備えることが好ましい。
このような構成によれば、モータ軸を円筒状とすることで、モータ軸が中実の場合や肉抜き用の凹部を設ける場合と比較して、モータ軸の軽量化を図ることができる。また、制振部材を延出部に設置することで、モータの振動を抑制できる。
また、前記制振部材は、前記一端側が前記第1軸受に当接することで、前記第1軸受の前記他端側への移動を規制することが好ましい。
このような構成によれば、制振部材の一端側が第1軸受に当接することで、第1軸受の他端側への移動を規制し、ひいては第1軸受が延出部から脱落することを防止できる。
また、前記制振部材は、外形柱状の錘であることが好ましい。
このような構成によれば、外形柱状の錘によってモータの振動を抑制できる。
また、前記制振部材は、ダイナミックダンパであることが好ましい。
このような構成によれば、ダイナミックダンパによってモータの振動を抑制できる。
また、前記ギヤ軸は、前記モータ軸の内側に差し込まれることで、前記モータ軸に対して前記スプライン結合及び前記嵌合し、前記モータ軸は、前記第2軸受の前記一端側に当接するモータ側当接部を有し、前記ギヤ軸は、前記第2軸受の前記他端側に当接するギヤ側当接部を有することが好ましい。
このような構成によれば、ギヤ軸は、第2軸受の他端側に当接するギヤ側当接部を有している。したがって、ギヤ軸に作用する軸方向の力(第2軸受に向かう力)を第2軸受に作用させることができる。また、ギヤ軸はモータ軸の内側に差し込まれ、モータ軸は第2軸受の一端側に当接するモータ側当接部を有している。したがって、モータ軸に作用する軸方向の力(第2軸受に向かう力)を第2軸受に作用させることができる。つまり、ギヤ軸からの軸方向の力が第1軸受に作用しないため、第1軸受として荷重許容量の小さいものを用いることができる。
本発明によれば、構造の簡素化を図ると共に、モータの振動を抑制するモータ構造体を提供できる。
本発明の第1実施形態に係るモータ構造体を備える車両のシステム構成図である。 モータ構造体の縦断面図である。 本発明の第2実施形態に係るモータ構造体の縦断面図である。 本発明の第3実施形態に係るモータ構造体の縦断面図である。
≪第1実施形態≫
本実施形態に係るモータ構造体S(図2参照)の説明に先立って、このモータ構造体Sを備える車両Vについて簡単に説明する。図1に示す車両Vは、パラレル式のハイブリッド車であり、モータ1と、エンジン2と、変速機3と、ISG4(Integrated Starter Generator)と、PDU51,52(Power Drive Unit)と、を備えている。
モータ1は、駆動輪Wを回転させるための第1の動力源であり、PDU51を介して供給される交流電力で駆動する。なお、回生制動時にはモータ1によって発電を行うようになっている。
エンジン2は、駆動輪Wを回転させるための第2の動力源であり、燃料を燃焼させることで動力が取り出される。
変速機3(動力伝達装置)は、モータ1又はエンジン2から取り出される動力を所定の変速比でドライブシャフトDに伝達する装置である。その他、図1では図示を省略したが、車両Vは、モータ1と変速機3とを断接するクラッチ、エンジン2と変速機3とを断接するクラッチ等を有している。
ISG4は、PDU52を介して入力される交流電力によって、エンジン2の起動時にスタータモータとして機能する。また、バッテリBの残量等に応じてエンジン用ECU(Electric Control Unit:図示せず)がエンジン2を駆動することで、ISG4を発電機として機能させるようになっている。
PDU51は、インバータ、コンバータ、ECU等を有し、バッテリBからの直流電力を交流電力に変換し、この交流電力によってモータ1を駆動する。また、回生制動時には、モータ1の発電電力(交流電力)をPDU51によって直流電力に変換し、バッテリBを充電する。
PDU52は、エンジン2の起動時にバッテリBからの直流電力を交流電力に変換し、この交流電力によってISG4を駆動する。また、ISG4が発電機として機能する場合、PDU52はISG4の発電電力(交流電力)を直流電力に変換し、バッテリBを充電する。なお、バッテリBは、充放電可能な二次電池であり、PDU51,52に接続されている。
<モータ構造体の構成>
図2に示すモータ構造体Sは、モータ1で発生した動力を変速機3に伝達したり、回生制動時に駆動輪Wの動力を変速機3を介してモータ1(発電機)に伝達したりするものである。
モータ構造体Sは、モータ1と、変速機3と、第1軸受6aと、第2軸受6bと、第3軸受6cと、ケース本体7と、ブラケット8と、を備えている。
(モータ)
モータ1は、インナロータ型のモータであり、PDU51から供給される交流電力によって駆動する。モータ1は、円筒状のロータ11と、ロータ11の径方向外側に配置されるステータ12と、ロータ11の内周面に固定される円筒状のモータ軸13と、を有している。
ロータ11は、前記したように円筒状を呈しており、その中心軸線X上には、モータ軸13が差し込まれる差込孔h1が形成されている。ロータ11の外周面近傍には、ステータ12との間で電磁力(回転力)を発生させる磁石(図示せず)が埋設されている。
ステータ12は、円筒状を呈しており、ロータ11の径方向外側に配置されている。ステータ12の内周面側には、配線Cが巻回されるティース(図示せず)が形成されている。そして、PDU51から配線Cを介して交流電力を供給することで電磁力を発生させ、ロータ11が回転するようになっている。
モータ軸13は、円筒状を呈しており、ロータ11の内周面に固定されている。つまり、モータ軸13は、ロータ11と一体で回転するようになっている。また、軸方向においてモータ軸13の両端は、ロータ11から突出している。このようにロータ11から突出している箇所のうち、右端(一端)付近の内周面には後記する第1軸受6aが設置され、左端(他端)付近の外周面には後記する第2軸受6bが設置されている。
モータ軸13は、軸方向において第1軸受6aの外輪61aに当接する当接部13aと、後記するギヤ軸311に嵌合する嵌合部13bと、第2軸受6bの内輪62bに当接する当接部13cと、入力ギヤ31とスプライン結合する結合部13dと、を有している。
当接部13aは、モータ軸13の右端付近の内周面から径方向内側に延びており、第1軸受6aの外輪61aの左壁面に当接している。これによって、第1軸受6aの左向きの移動を規制し、第1軸受6aの脱落を防止できる。
嵌合部13bは、モータ軸13の左端付近に設けられ、ギヤ軸311と嵌合している。つまり、嵌合部13bの内側にギヤ軸311の嵌合部311bが嵌め込まれている。また、嵌合部13bの外周面には第2軸受6bが設置されている。
当接部13c(モータ側当接部)は、第2軸受6bに当接することでモータ軸13の左向きの移動を規制するものであり、嵌合部13bの右側に連なっている。当接部13cは、その外径が嵌合部13bの外径よりも大きく、第2軸受6bの内輪62bの右壁に当接している。
結合部13dは、モータ軸13の左端付近のうち、前記した嵌合部13bよりも右側に設けられている。結合部13dの内周壁には、ギヤ軸311にスプライン結合するためのスプラインが形成されている。スプラインは、径方向内側に突出すると共に軸方向に沿って延びる歯が、周方向で複数設けられた構成になっている。
(変速機)
変速機3は、入力ギヤ31と、この入力ギヤ31に歯合するカウンタギヤ32と、を有している。
入力ギヤ31は、モータ1及びカウンタギヤ32の一方から他方に動力を伝達するギヤであり、モータ1の左側に設置されている。入力ギヤ31は、モータ軸13に差し込まれるギヤ軸311と、このギヤ軸311から径方向外側に延びカウンタギヤ32に歯合する歯合部312と、を有している。
ギヤ軸311は、円筒状(外形円柱状)を呈しており、その右側がモータ軸13に差し込まれており、モータ軸13と同軸に配置されている。ギヤ軸311は、第2軸受6bに当接する当接部311aと、モータ軸13に嵌合する嵌合部311bと、モータ軸13とスプライン結合する結合部311cと、第3軸受6cに当接する当接部311dと、を有している。
当接部311a(ギヤ側当接部)は、入力ギヤ31が右向きに移動しようとする力を第2軸受6bに作用させるものであり、ギヤ軸311の外周面から径方向外側に延びている。当接部311aは、その外周縁がモータ軸13の嵌合部13bの外周面よりも外側に位置し、第2軸受6bの内輪62bの左壁面に当接している。
なお、当接部311aを第2軸受6bに確実に当接させるために、モータ軸13の左端は、入力ギヤ31の当接部311aに対して僅かに離間している。
嵌合部311bは、当接部311aの右側に連なっており、モータ軸13の嵌合部13bの内側に嵌合している。嵌合部311bの外径は、モータ軸13の嵌合部13bの内径に略等しく、嵌合部13b,311bは径方向で近接している。このように嵌合部13b,311bの径方向の隙間が非常に小さいため、結合部13d,311cのスプライン結合に関して径方向で若干の隙間があったとしても、径方向におけるモータ軸13及びギヤ軸311のガタつきをなくし、モータ1の振動が増幅することを防止できる。
結合部311cは、ギヤ軸311の右端付近に設けられ、その外周壁にはモータ軸13とスプライン結合するためのスプラインが形成されている。スプラインは、径方向外側に突出すると共に軸方向に沿って延びる歯が、周方向で複数設けられた構成になっている。ギヤ軸311の結合部311cと、モータ軸13の結合部13dと、がスプライン結合することによって、入力ギヤ31はモータ軸13と一体で回転するようになっている。
なお、入力ギヤ31の右端には、モータ1側への潤滑油を浸入を防ぐための円板状のキャップFが設置されている。キャップFは、入力ギヤ31の右側の開口を塞ぐように設置され、その外周縁付近はモータ軸13の内壁面に当接している。
当接部311dは、入力ギヤ31が左向きに移動しようとする力を第3軸受6cに作用させるものであり、ギヤ軸311の左端付近の外周面から径方向外側に延びている。当接部311dは、第3軸受6cの内輪62cの右壁面に当接している。なお、軸方向における部品公差を吸収するために、当接部311dと第3軸受6cとの間にC字状のシムEが設置されている。
歯合部312は、軸方向において当接部311aと当接部311dとの間に設けられ、ギヤ軸311から径方向外側に延びている。歯合部312の外周面には、カウンタギヤ32に歯合するギヤ歯(例えば、ヘリカルギヤ)が形成されている。
なお、歯合部312がヘリカルギヤである場合、モータ軸13に対してギヤ歯が斜め方向に延びているため、モータ1の駆動時又は発電時(回生時)、入力ギヤ31に対して軸方向の力が作用する。例えば、モータ1の駆動時には入力ギヤ31に右向きの力が作用し、モータ1の発電時には入力ギヤ31に左向きの力が作用する。入力ギヤ31に右向きの力が作用した場合、当接部311aから第2軸受6bに対して右向きの力が作用する。一方、入力ギヤ31に左向きの力が作用した場合、当接部311dから第3軸受6cに対して左向きの力が作用する。
カウンタギヤ32は、入力ギヤ31の下側に設置されると共に、この入力ギヤ31に歯合している。カウンタギヤ32は、軸受R1,R2によって回転自在に軸支されている。
(第1軸受)
第1軸受6aは、径方向においてモータ軸13の右端側の内周面と、後記する第1ケース部材71の延出部71aとの間に介在し、モータ軸13を回転自在に軸支している。このようにモータ軸13の内周面に第1軸受6aを設置することで、モータ軸13の外周面に軸受を設置する場合と比較して、軸方向におけるモータ構造体Sの幅を小さくすることができる。
第1軸受6aは、外輪61aと、外輪61aの径方向内側に配置される内輪62aと、外輪61aと内輪62aとの間に転動自在に配置される複数のボール63aと、を有している。第1軸受6aの外径はモータ軸13の内径に略等しく、第1軸受6aの内径は第1ケース部材71の延出部71aの径に略等しい。第1軸受6aは、圧入等によってモータ軸13の内周面に固定されている。つまり、モータ軸13の回転に伴って、第1軸受6aの外輪61aが回転するようになっている。なお、外輪61aとモータ軸13とが一体で回転する必要はなく、両者間にすべりがあってもよい。
第1軸受6aの外輪61aは、前記したように、モータ軸13の当接部13aに当接している。また、第1軸受6aの内輪62aは、第1ケース部材71の当接部71bに当接している。これによって、第1軸受6aの軸方向の移動を規制し、第1軸受6aが脱落することを防止できる。
(第2軸受)
第2軸受6bは、ケース本体7に固定されると共にモータ軸13の左端側の外周面に設置され、モータ軸13及び入力ギヤ31を回転自在に軸支している。このように第2軸受6bによってモータ軸13及び入力ギヤ31を軸支することで、モータ軸13の左端付近、及びギヤ軸311の右端付近をそれぞれ別個の軸受で軸支する場合と比較して、軸受の個数を削減できる。なお、第2軸受6bの構成は、第1軸受6aと同様である。
第2軸受6bは、第2ケース部材72に嵌め込んで固定できるように外径が設定され、圧入等によって第2ケース部材72の内壁面に固定されている。また、第2軸受6bは、その内径がモータ軸13の外径に略等しく、モータ軸13の嵌合部13bの外周面に設置されている。つまり、モータ軸13の回転に伴って第2軸受6bの内輪62bが回転するようになっている。
前記したように、第2軸受6bはモータ軸13の嵌合部13bの外周面に設置され、嵌合部13b,311bは互いに嵌合している。したがって、ケース本体7に固定された第2軸受6bと、嵌合部13b,311bと、によって、径方向でモータ軸13と入力ギヤ31との相対位置を強固に固定し、モータ1の径方向の振動を抑制できる。
(第3軸受)
第3軸受6cは、ケース本体7に固定されると共に入力ギヤ31の左端側の外周面に設置され、入力ギヤ31を回転自在に軸支している。図2に示すように、第2軸受6b及び第3軸受6cによって入力ギヤ31を両持ちで支持することで、第3軸受6cを右側のみの片持ちで支持する場合と比較して入力ギヤ31の径方向のたわみを抑制できる。なお、第3軸受6cの構成は、第1軸受6aと同様である。
第3軸受6cは、第3ケース部材73に嵌め込んで固定できるように外径が設定され、圧入等によって第3ケース部材73の内壁面に固定されている。また、第3軸受6cは、その内径がギヤ軸311の外径に略等しく、ギヤ軸311の外周面に設置されている。つまり、入力ギヤ31の回転に伴って第3軸受6cの内輪62cが回転するようになっている。
(ケース本体)
ケース本体7は、モータ1及び変速機3を収容する金属部材であり、第1ケース部材71と、第2ケース部材72と、第3ケース部材73と、を有している。
第1ケース部材71は、後記する第2ケース部材72と共にモータ1を収容するケースであり、有底円筒状を呈している。第1ケース部材71は、モータ軸13の右側の内部に臨む延出部71aと、第1軸受6aの内輪62aに当接する当接部71bと、を有している。
延出部71aは、第1ケース部材71の右壁(底壁)の一部を構成し、その外形は円柱状を呈している。延出部71aは、径方向においてモータ軸13の内側に配置されると共に、モータ1の中心軸線Xと同軸上に配置されている。この延出部71aの外周面に、第1軸受6aが設置されている。
当接部71bは、延出部71aの右側に連なり、径方向外側に延びている。当接部71bは、第1軸受6aの内輪62aの右壁面に当接している。
第2ケース部材72は、第1ケース部材71と共にモータ1を収容し、後記する第3ケース部材73と共に変速機3を収容するケースである。第2ケース部材72のうちモータ1の中心軸線Xに対応する箇所には、モータ軸13を貫通させるための孔h4が形成されている。
径方向において孔h4の周面とモータ軸13の外周面との間には、環状のシール部材Gが設置されている。シール部材Gは、孔h4の周面に接着され、モータ軸13に摺接している。つまり、第2ケース部材72及びシール部材Gによって、ケース本体7の内部空間がモータ1側と変速機3側とに区画されている。これによって、変速機3側の潤滑油がモータ1側に浸入することを防止できる。
第2ケース部材72は、第2軸受6bの外輪61bの右壁面に当接する当接部72aを有している。入力ギヤ31からの右向きの力は、当接部311a及び第2軸受6bを介して、第2ケース部材72の当接部72aに作用する。また、第2ケース部材72には、カウンタギヤ32を回転自在に軸支するための軸受R1,R2が設置されている。
第3ケース部材73は、第2ケース部材72と共に変速機3を収容するケースである。第3ケース部材73には、第3軸受6cと、カウンタギヤ32を回転自在に軸支するための軸受R1,R2と、が設置されている。
(ブラケット)
ブラケット8は、モータ1及び変速機3等が収容されたケース本体7を車体に固定するための部材である。図2に示す例では、ケース本体7の右壁の上側にブラケット8が固定されている。
<効果>
本実施形態によれば、モータ軸13の内周面に第1軸受6aを設置することで、モータ軸13の外周面に第1軸受6aを設置する場合と比較してモータ軸13の軸方向の幅を小さくし、モータ構造体Sのコンパクト化を図ることができる。
また、モータ軸13を円筒状とすることで、モータ軸13が中実の場合や、肉抜き用の凹部を設ける場合と比較して、モータ軸13の軽量化を図ることができる。同様に、ギヤ軸311を円筒状とすることで、ギヤ軸311の軽量化を図ることができる。
また、入力ギヤ31には、モータ1の駆動又は発電(回生)に伴って、この入力ギヤ31が軸方向・径方向に移動しようとする力が発生する。ここで、入力ギヤ31の当接部311aが第2軸受6bに当接し、当接部311dが第3軸受6cに当接している。したがって、入力ギヤ31からの軸方向の力は第2軸受6b及び第3軸受6cに作用する。さらに、互いに嵌合している嵌合部13b,311bの径方向外側に第2軸受6bが設置されている。したがって、ギヤ軸311の外周面に第3軸受6cが設置されているため、入力ギヤ31からの径方向の力も第2軸受6b及び第3軸受6cに作用する。
このように入力ギヤ31からの径方向・軸方向の力は、第2軸受6b及び第3軸受6cに作用し、第1軸受6aには作用しない。したがって、第1軸受6aとして荷重許容量の小さいものを用いることができる。つまり、第1軸受6aの小型化を図ることができ、ひいてはモータ構造体Sの製造コストを低減できる。
また、モータ軸13の嵌合部13bとギヤ軸311の嵌合部311bとは径方向で非常に近接しており、さらに、嵌合部13bの外周面に第2軸受6bが設置されている。したがって、ケース本体7に固定された第2軸受6bと、嵌合部13b,311bと、によって、径方向でモータ軸13と入力ギヤ31との相対位置を強固に固定し、モータ軸13及びギヤ軸311のガタつきをなくすと共にモータ1の振動が増幅することを防止できる。
また、第2軸受6bによって、モータ軸13の左側と、入力ギヤ31の右側と、が軸支されている。したがって、モータ軸13の左側と、入力ギヤ31の右側と、を別々の軸受で軸支する場合と比較して軸受の個数を削減でき、構造の簡素化を図ることができる。
また、第2軸受6bによって入力ギヤ31の右側が軸支され、第3軸受6cによって入力ギヤ31の左側が軸支されている。このように入力ギヤ31を両持ちで支持することで、入力ギヤ31の径方向のたわみを抑制できる。
<第2実施形態>
第2実施形態は、第1ケース部材71の延出部71c(図3参照)の形状が異なる点と、制振用の錘91を備える点と、が第1実施形態と異なるが、その他の構成については第1実施形態と同様である。したがって、第1実施形態と異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
図3に示すように、第1ケース部材71の延出部71cは、円柱状を呈しており、その先端(左端)は第1軸受6aよりも左側に延びている。延出部71cの基端(右端)付近には、第1軸受6aが設置されている。なお、延出部71cのうち先端側(左側)は、基端側(右側)よりも小径に形成されており、その段差面と錘91の右端面との間には軸方向で若干の隙間Qが設けられている。
錘91(制振部材)は、モータ1の径方向の振動を抑制する外形円柱状の金属部材(例えば、鉄製)である。錘91の右端面には、前記した延出部71cの形状に対応する凹部u1が形成されている。延出部71cが、凹部u1に対して焼嵌め又は圧入されることで、錘91が延出部71cに固定される。また、第1軸受6aの内周面に延出部71cが嵌め込まれた状態において、延出部71c及び錘91はモータ1の中心軸線Xと略同軸になっている。
なお、ステータ12の振動は、第1ケース部材71を介して錘91に伝播する。また、モータ構造体S全体の固有振動数が可聴域を超えるように錘91の質量等が設定されている。したがって、錘91によってモータ構造体Sの固有振動数を調整すると共に、モータ構造体Sの振動を抑制できる。
また、錘91は、第1軸受6aの内輪62aの左壁面に当接している。このように錘91を内輪62aに当接させるために、前記したように、錘91と延出部71cとの間に軸方向の隙間Qが設けられている。これによって、第1軸受6aの左向きの移動を規制できる。つまり、錘91は、ステータ12の径方向の振動を抑制すると共に、第1軸受6aの抜止めの機能や第1軸受6aの空転止めの機能も果たしている。
<効果>
本実施形態によれば、分割ケース8Aに固定された錘91によってモータ1の振動を抑制できる。また、錘91の質量を適宜設定することでモータ構造体Sの固有振動数を、例えば、可聴域を超えるように調整できる。したがって、モータ1の駆動に伴い乗員にとって耳障りな音が発生することを防止できる。
また、錘91を第1軸受6aの内輪62aに当接させることで、第1軸受6aの脱落を防止できると共に、内輪6aの摺動(クリープ現象)による磨耗も防止できる。
<第3実施形態>
第3実施形態は、第1ケース部材71の延出部71d(図4参照)の形状が異なる点と、錘91(図3参照)に代えてダイナミックダンパ92を備える点と、が第2実施形態と異なるが、その他の構成については第2実施形態と同様である。したがって、第2実施形態と異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
図4に示す第1ケース部材71の延出部71dは、ダイナミックダンパ92を設置するために径を小さくした点を除いて、第2実施形態で説明した延出部71c(図3参照)と同様の構成になっている。
ダイナミックダンパ92(制振部材)は、その外形が円柱状を呈しており、モータ1の中心軸線Xと同軸上に配置されている。ダイナミックダンパ92は、カラー92aと、カラー92aの径方向外側に設置される弾性体92bと、弾性体92bの径方向外側に設置される金属部材92cと、を有している。
カラー92aは、肉厚の比較的薄い円筒状を呈しており、延出部71dの外周面に固定されている。カラー92aは、その右端付近に当接部921aを有している。当接部921aは、径方向外側に延びており、その外周縁付近が第1軸受6aの内輪62aの左壁面に当接している。また、延出部71dのうち先端側(左側)は、基端側(右側)よりも小径に形成されており、その段差面と当接部921aとの間には軸方向で若干の隙間Qが設けられている。つまり、当接部921aによって第1軸受6aの左向きの移動を規制し、第1軸受6aの抜止めや第1軸受6aの空転止めを行うようになっている。
弾性体92bは、カラー92aの外周面に設置され、円筒状を呈している。弾性体92bは、モータ構造体Sの振動を減衰させると共に、後記する金属部材92cと共にモータ構造体Sの固有振動数を調整する機能を有している。
金属部材92cは、弾性体92bの外周面に設置されており、円筒状を呈している。なお、振動を抑制するのに適した重量を確保するために、金属部材92cを構成する材料として比重の比較的大きいもの(例えば、鉄製)を用いることが好ましい。なお、カラー92a、弾性体92b、及び金属部材92cは、略一体になっている。
<効果>
本実施形態によれば、ダイナミックダンパ92が備える金属部材92cの質量等を適宜設定することでモータ構造体Sの固有振動数を、例えば、可聴域を超えるように調整できる。また、ダイナミックダンパ92によってモータ1の径方向の振動を減衰させることができ、モータ1の振動を効果的に抑制できる。
また、ダイナミックダンパ92の当接部921aが第1軸受6aの内輪62aに当接することで、第1軸受6aの脱落を防止できると共に、内輪6aの摺動(クリープ現象)による磨耗も防止できる。
≪変形例≫
以上、本発明に係るモータ構造体Sについて各実施形態により説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
例えば、各実施形態では、ギヤ軸311をモータ軸13に差し込み、ギヤ軸311の嵌合部311b及び結合部311cが、モータ軸13の嵌合部13b及び結合部13dよりも径方向内側に配置される構成について説明したが、モータ軸13をギヤ軸311に差し込む構成としてもよい。すなわち、モータ軸13の外周壁がギヤ軸311の内周壁にスプライン結合し、モータ軸13のうち軸方向で第2軸受6bに対応する箇所がギヤ軸311の内側に嵌合する構成にしてもよい。
この場合でも、ギヤ軸311の当接部311aが第2軸受6bの内輪62bの左壁に当接し、ケース本体7の当接部72aが第2軸受6bの外輪61bの右壁に当接しているため(図2参照)、入力ギヤ31からの軸方向・径方向の力を第2軸受6bに作用させることができる。
また、各実施形態では、モータ軸13(図2参照)が円筒状を呈する場合について説明したが、これに限らない。すなわち、モータ軸13は、その外形が円柱状を呈していればよく、例えば、延出部71a及びギヤ軸311の設置箇所に対応して両端に凹部を設けるようにしてもよい。
また、各実施形態では、入力ギヤ31がヘリカルギヤである場合について説明したが、これに限らない。すなわち、入力ギヤ31として平行ギヤや遊星ギヤ等、他の種類のギヤを用いてもよい。
また、各実施形態では、第1軸受6a、第2軸受6b、及び第3軸受6cが玉軸受である場合について説明したが、ころ軸受等、他の種類の軸受を用いてもよい。
また、第2実施形態では、錘91(図3参照)の右端面が第1軸受6aの内輪62aに当接する構成について説明したが、第1軸受6aに対して錘91が離間していてもよい。この場合でも、モータ軸13の当接部13aによって第1軸受6aの抜止めを行うことができる。同様に、第3実施形態においてダイナミックダンパ92から当接部921aを省略してもよい。
また、第2実施形態では、錘91(図3参照)の外形が円柱状である場合について説明したが、これに限らない。例えば、錘91として、外形が六角柱状や八角柱状のものを用いてもよい。
また、各実施形態では、モータ構造体Sがパラレル式のハイブリッド車に搭載される場合について説明したが、これに限らない。例えば、シリーズ式のハイブリッド車、電気自動車、燃料電池車等、他の種類の車両に搭載してもよい。また、四輪車の他、二輪車、三輪車等の移動体や、定地式のシステムにモータ構造体Sを設置してもよい。
S モータ構造体
1 モータ
11 ロータ
12 ステータ
13 モータ軸
13a 当接部
13b 嵌合部
13c 当接部(モータ側当接部)
13d 結合部
3 変速機(動力伝達装置)
31 入力ギヤ
311 ギヤ軸
311a 当接部(ギヤ側当接部)
311b 嵌合部
311c 結合部
311d 当接部
6a 第1軸受
6b 第2軸受
6c 第3軸受
61a,61b,61c 外輪
62a,62b,62c 内輪
7 ケース本体
71a,71c,71d 延出部
71b 当接部
91 錘(制振部材)
92 ダイナミックダンパ(制振部材)
32 カウンタギヤ
X 中心軸線
h2 孔

Claims (6)

  1. 円筒状のロータと、前記ロータの径方向外側に配置されるステータと、前記ロータの内周面に固定される外形円柱状のモータ軸と、を有するモータと、
    前記モータ軸と一体で回転する外形円柱状のギヤ軸を有し、前記ロータとの間で動力の伝達を行う動力伝達装置と、
    前記モータ及び前記動力伝達装置を収容すると共に、前記モータ軸の一端側の内部に臨む延出部を有するケース本体と、
    径方向において前記モータ軸の前記一端側の内周面と前記延出部との間に介在し、前記モータ軸を回転自在に軸支する第1軸受と、
    前記ケース本体に固定されると共に前記モータ軸の他端側に設置され、前記モータ軸及び前記ギヤ軸を回転自在に軸支する第2軸受と、
    前記ケース本体に固定されると共に前記ギヤ軸の前記他端側に設置され、前記ギヤ軸を回転自在に軸支する第3軸受と、を備え、
    前記ギヤ軸の前記一端付近は、前記モータ軸にスプライン結合し、
    前記ギヤ軸のうち軸方向で前記第2軸受に対応する箇所は、前記モータ軸に嵌合している
    ことを特徴とするモータ構造体。
  2. 前記モータ軸は、円筒状を呈し、
    前記延出部に設置され、前記モータの振動を抑制する制振部材を備える
    ことを特徴とする請求項1に記載のモータ構造体。
  3. 前記制振部材は、
    前記一端側が前記第1軸受に当接することで、前記第1軸受の前記他端側への移動を規制する
    ことを特徴とする請求項2に記載のモータ構造体。
  4. 前記制振部材は、外形柱状の錘である
    ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のモータ構造体。
  5. 前記制振部材は、ダイナミックダンパである
    ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のモータ構造体。
  6. 前記ギヤ軸は、前記モータ軸の内側に差し込まれることで、前記モータ軸に対して前記スプライン結合及び前記嵌合し、
    前記モータ軸は、
    前記第2軸受の前記一端側に当接するモータ側当接部を有し、
    前記ギヤ軸は、
    前記第2軸受の前記他端側に当接するギヤ側当接部を有する
    ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のモータ構造体。
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