JP6126888B2 - 有機el装置及び有機el装置の製造方法 - Google Patents
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また、有機EL素子は、一方又は双方が透光性を有する2つの電極を対向させ、この電極の間に有機化合物からなる発光層を積層したものである。有機EL装置は、電気的に励起された電子と正孔との再結合のエネルギーによって発光する。
有機ELパネルは、自発光デバイスであり、発光層の材料を適宜選択することにより、種々の波長の光を発光させることができる。また、白熱灯や蛍光灯に比べて厚さが極めて薄く、且つ面状に発光するので、設置場所の制約が少ない。
特許文献1の照明装置(有機EL装置)は、陽極と陰極の間に有機層を介在しており、陽極の近傍及び/又は陰極の近傍で電圧降下をさせることによって有機発光層に印加される電圧を小さくし、輝度むらを無くしている。
特に窓枠照明では、インテリア性を高める観点から、光透過性を有する領域を駆動時に発光する発光領域が囲むように位置することが好ましい。
そこで、本発明者は、有機EL装置の中央側に厚み方向に光を透過可能な透明領域を形成しその周りに発光領域が囲む位置関係とすることで、上記した機能を充足できる有機EL装置の開発を試みた。
すなわち、本発明は、面状に広がりを有する透明基板上に、第1電極層、有機発光層、第2電極層が積層した積層体を有する断面構造を備え、かつ、透明基板を平面視したときに、実際に発光する発光領域と、発光しない非発光領域を有する有機EL装置において、前記非発光領域は、発光領域の内側に位置する内側給電領域と、発光領域の外側に位置する外側給電領域と、積層体の積層方向に光を透過可能な透明領域を有し、前記発光領域は、内側給電領域を囲むように周方向に連続しており、前記外側給電領域は、前記発光領域を囲むように周方向に連続しており、前記透明領域は、前記内側給電領域の内側に位置しており、外部電源から内側給電領域の第1電極層を経由して、発光領域の第1電極層又は第2電極層のうち一方の電極層に給電可能であり、外部電源から外側給電領域の第1電極層を経由して、発光領域の第1電極層又は第2電極層のうち、他方の電極層に給電可能である。
また、本発明の構成によれば、外部電源から内側給電領域の第1電極層を経由して、発光領域の第1電極層又は第2電極層のうち一方の電極層に給電可能であり、外部電源から外側給電領域の第1電極層を経由して、発光領域の第1電極層又は第2電極層のうち、他方の電極層に給電可能である。
例えば、外部電源の正極を外側給電領域の第1電極層を介して発光領域の第1電極層に給電した場合は、外部電源の負極を内側給電領域の第1電極層を介して発光領域の第2電極層に給電することが可能である。
本発明の有機EL装置は、このような構成を有することによって、内外方向に発光領域を囲むように内側給電領域と外側給電領域が位置しており、当該内側給電領域と外側給電領域のそれぞれの第1電極層を経由して発光領域の両電極層に給電可能であるため、発光領域の積層体に対して周方向に均等に電圧を印加することができる。それ故に、周方向において発光領域の有機発光層を輝度むらなく発光することができる。
本発明の構成によれば、透明領域が発光領域に囲まれた内側給電領域の内側(中央側)に位置しているため、光源としての機能に加えて光透過性の機能が付加されており、顕微鏡光源等のような光源においても使用することができる。
さらに、本発明の構成によれば、1枚の透明基板上に積層体を積層して形成されているため、複数の有機EL装置を組み合わせずとも形成することができ、コストを低減できる。
この構成によれば、第2導電フィルムは、絶縁フィルムを挟んで第1導電フィルム上に積層されており、当該積層部位は、少なくとも発光領域に位置している。すなわち、発光領域内の積層体の上方には、絶縁フィルムを介して第1導電フィルムと第2導電フィルムが積層されているため、導電性基材によって、積層方向における発光領域内の積層体への水等の進入が防止されているため、封止性が高く、信頼性が高い。
この構成によれば、絶縁性を有した内側硬質樹脂壁によって、導電体たる第1導電フィルムと第2導電フィルムが物理的に接続されている。そのため、第1導電フィルムと第2導電フィルムの位置が内側硬質樹脂壁によって保持されており、第1導電フィルムに第2導電フィルムが接触することによる短絡を防止することができる。
本発明に関連する発明は、前記第2電極層と第1導電フィルムの間に封止層及び軟質樹脂層が介在しており、前記第2電極層側からみて軟質樹脂層は、封止層の外側に位置しており、当該封止層及び軟質樹脂層は、ともに発光領域全域に位置している有機EL装置である。
しかしながら、本発明の有機EL装置は、発光領域が周方向に連続しているため、上記したマスクによってパターニングする方法は使用できない。すなわち、マスクを被覆するにあたって、発光領域を避けてマスクを設置しなければならないが、マスクを着脱するためにはマスクの一部が外部で固定されている必要があり、マスクの一部が面方向において外部まで延びていないといけない。つまり、発光領域を避けてマスクを設置することができない。すなわち、本発明の有機EL装置を製造するには、新たなパターニング方法が必要となる。
そこで、本発明者は、新たなパターニング方法を模索するにあたって、有機EL装置に内蔵する有機発光層が有機物でできており、溶媒に溶かすことが可能であることに注目した。
本発明の有機EL装置の製造方法によれば、容易に透明領域を形成することができる。
なお、以下の説明において、特に断りがない限り、有機EL装置1の上下の位置関係は、図1の姿勢を基準に説明する。また、図面は、理解を容易にするために全体的に実際の大きさ(長さ、幅、厚さ)に比べて極端に描写している。なお、下記に記載する物性は、特に断りの無い限り、標準状態での物性を表す。
本実施形態の有機EL装置1は、図1,図2のように円盤状の透明絶縁基板2(透明基板)上に有機EL素子10(積層体)を積層し、その上から無機封止層7(封止層)を積層して、封止している。有機EL装置1は、さらに無機封止層7の上に導電性基材20を載置し、軟質接着層8(軟質樹脂層)、外側硬質接着層11、内側硬質接着層12(内側硬質樹脂壁)、並びに、導電性接着材13,14で接着させたものである。
有機EL素子10は、図2のように透光性を有した透明絶縁基板2側から順に第1電極層3と、機能層5(有機発光層)と、第2電極層6が積層されたものである。
本実施形態の有機EL装置1では、透明絶縁基板2側から光を取り出す、いわゆるボトムエミッション方式を採用している。
発光領域30は、図2のように第1電極層3と、機能層5と、第2電極層6の重畳部位にあたる領域であり、図4のように透明絶縁基板2の周方向に連続した円環状の領域である。すなわち、発光領域30は、駆動時において実際に発光する領域である。
非発光領域31は、駆動時において発光しない領域であり、図4のように、発光領域30の有機EL素子10への給電する際に、陽極機能を担う外側給電領域33と、陰極機能を担う内側給電領域32と、光を透過する透明領域34から形成されている。
外側給電領域33の第1電極層3は、図2のように発光領域30内の第1電極層3と電気的に接続されている。外側給電領域33は、透明絶縁基板2の全周に沿って位置している。
透明領域34は、厚み方向において光を透過する領域であり、透光性を有する物質のみで形成された領域である。
外側給電領域33の幅(内周縁から外周縁までの距離)は、透明絶縁基板2の直径の1パーセント以上10パーセント以下であることが好ましい。
内側給電領域32及び外側給電領域33が上記した範囲であれば、極めて挟額縁の有機EL装置となり、発光領域30に対して内側給電領域32及び外側給電領域33が目立ちにくく、使用者に違和感を与えにくい。
透明領域34の直径は、透明絶縁基板2の直径の50パーセント以上80パーセント以下であることが好ましく、60パーセント以上75パーセント以下であることがより好ましい。
透明領域34が上記した範囲であれば、顕微鏡等の光源として好適である。
有機EL装置1は、上記したように透明絶縁基板2(透明基板)上に有機EL素子10の大部分が積層されており、少なくとも発光領域30の有機EL素子10を覆うように無機封止層7(封止層)を積層している。すなわち、無機封止層7は、図2のように発光領域30全域に位置しており、発光領域30の有機EL素子10を封止している。
具体的には、有機EL装置1は、透明絶縁基板2の中心側から順に、図6のように部分的に第1電極層3を除去した第1電極分離溝21と、図8のように部分的に機能層5を除去した電極接続溝22を有しており、これらの溝によって複数の区画に分離されている。
第1電極分離溝21は、図6のように透明絶縁基板2の中央を中心として円環状に形成されており、内側(中心側)に円形島状の第1電極層3(以下、第1分離部15ともいう)が形成されている。
また、第1電極分離溝21内には、図2のように発光領域30と内側給電領域32に跨った機能層5の一部が進入しており、機能層5は第1電極分離溝21の底部で透明絶縁基板2と直接接触している。すなわち、面方向において発光領域30内の第1電極層3と内側給電領域32の第1電極層3(第1分離部15)を機能層5によって電気的に切り離している。つまり、第1分離部15は、他の第1電極層3と物理的にも切り離されている。
第1電極分離溝21の溝幅は、30μm以上80μm以下であり、40μm以上70μm以下であることが好ましく、45μm以上60μm以下であることが特に好ましい。
このような範囲であれば、確実に第1分離部15と他の第1電極層3を分離できる。
電極接続溝22は、図8のように第1電極分離溝21の内側であって、透明絶縁基板2の中央を中心として円環状に形成されており、第1電極分離溝21と同心円弧上に形成されている。
また、電極接続溝22内には、図2のように発光領域30から内側給電領域32に跨がった第2電極層6の一部が進入しており、第2電極層6は、電極接続溝22の底部で第1電極層3(第1分離部15)と直接接触している。すなわち、発光領域30の第2電極層6と第1分離部15は電気的に接続されている。
電極接続溝22の溝幅は、30μm以上80μm以下であり、40μm以上70μm以下であることが好ましく、45μm以上60μm以下であることが特に好ましい。
このような範囲であれば、第2電極層6と第1電極層3(第1分離部15)間に十分な接触面積を確保できる。
また、軟質接着層8は、図3のようにドーナツ状となっている。
内側硬質接着層12は、図2,図15のように無機封止層7の内周縁に沿って設けられており、有機EL素子10の内外方向の内側端面を覆うように形成されている。すなわち、内側硬質接着層12は、有機EL素子10の各層間の隙間に無機封止層7の中央側(内側)から水等が進入することを防止するものである。
導電性基材20の一方の面(透明絶縁基板2と逆側)には、図3のように第1導電フィルム26が露出した第1露出部60と第2導電フィルム28が露出した第2露出部61が存在する。
第1露出部60は、外部電源と電気的に接続するにあたって一方の電極との接続端子を担う部位であり、第2露出部61は、外部電源と電気的に接続するにあたって他方の電極との接続端子を担う部位である。面方向において第2露出部61は、第1露出部60に対して内側(中央側)に位置しており、第1露出部60と第2露出部61の間には、所定の間隔が設けられている。
第3露出部62は、導電性接着材13を介して第1電極層3と接続可能な部位であり、第4露出部63は、導電性接着材14を介して第1電極層3(第1分離部15)と接続可能な部位である。
面方向において第4露出部63は、第3露出部62に対して内側に位置しており、第3露出部62と第4露出部63の間には、所定の間隔が設けられている。
内側硬質接着層12は、内側給電領域32に位置しており、導電性接着材14は、内側給電領域32にあって内側硬質接着層12のさらに内側に位置している。
また、外側硬質接着層11は、無機封止層7を介して発光領域30の有機EL素子10の外側側面(外側端面)に沿って形成されている。
また、内側硬質接着層12は、無機封止層7を介して発光領域30の有機EL素子10の内側側面(内側端面)に沿って形成されている。
そのため、導電性基材20は、第1導電フィルム26及び第2導電フィルム28の均熱機能によって発光領域30全体の熱を均等にすることができ、発光領域30内の有機EL素子10の輝度むらを防止することができる。また、導電性基材20は、各導電フィルム26,27が内側給電領域32及び外側給電領域33(非発光領域31)まで延在しているため、外部と、発光領域30内の有機EL素子10との距離を遠くすることができ、発光領域30内の有機EL素子10内への水等の進入を効果的に防止することができる。
有機EL装置1は、図示しない真空蒸着装置及びCVD装置によって成膜し、図示しないパターニング装置、本実施形態では、レーザースクライブ装置を使用してパターニングを行い、製造される。
具体的には、スパッタ法やCVD法によって透明絶縁基板2の全面に第1電極層3を成膜し、その後、図6のようにレーザースクライブ装置によって第1電極分離溝21を形成する。
このとき、第1電極分離溝21は、第1電極層3の外周と平行に形成されている。第1電極分離溝21は、図2のように有機EL装置1が形成された際に内側給電領域32と発光領域30との境界部位に形成されており、第1電極分離溝21によって他の第1電極層3から第1分離部15が形成されている。
このとき、第1電極分離溝21内に機能層5が積層されて、第1電極分離溝21内が機能層5で充填される。
このとき、電極接続溝22は、機能層5の外周と平行に形成されている。電極接続溝22は、図2のように有機EL装置1が形成された際に内側給電領域32に形成されている。
このとき、電極接続溝22を介して第1分離部15上に第2電極層6が接触した状態で固着し、第1分離部15と第2電極層6が電気的に接続される。また、電極接続溝22内に第2電極層6が積層されて、電極接続溝22内が第2電極層6で充填される。
このとき形成される領域分離溝23は、図2,図10のように第1電極分離溝21の外側に形成されている。
領域分離溝24は、電極接続溝22の内側に形成されており、第1電極分離溝21と平行に形成されており、いずれも同心円弧上に形成されている。
以上が、有機EL素子形成工程である。
まず、上記した工程によって形成された基板の全面に、CVD装置によって、無機封止層7の一部たる第1無機封止層47を成膜する。
このとき、第1無機封止層47は、少なくとも発光領域30の第2電極層6上を覆っており、さらに、領域分離溝23,24の部材厚方向の投影面上まで延びている。すなわち、領域分離溝23,24内に、第1無機封止層47が積層されて満たされる。そのため、封止機能を十分に確保することができる。
このとき、第1無機封止層47上の全面を第2無機封止層48が覆っている。
このようにして、図11のように第1無機封止層47上に第2無機封止層48が積層されて無機封止層7が形成される。
上記した工程によって形成された基板に、図12のようにレーザースクライブ装置によって溶媒導入溝55,56,57を形成する。
このとき、溶媒導入溝55,56,57は、いずれも後述する溶媒を機能層5に晒すために導入する導入部として機能する溝であり、機能層5の一部と連続している。
溶媒導入溝55,56,57は、いずれも基板の中心と同心円弧上に形成されており、各溶媒導入溝55,56,57は、それぞれ内外方向に平行である。
溶媒導入溝55,56,57の溝幅は、30μm以上80μm以下であり、40μm以上70μm以下であることが好ましく、45μm以上60μm以下であることが特に好ましい。この範囲であれば、溶媒の進入が良好であり、かつ、照射するレーザーのパワーも大きすぎない。
溶媒導入溝55は、領域分離溝23の外側に位置しており、溶媒導入溝56は、領域分離溝24の内側に位置しており、溶媒導入溝57は、溶媒導入溝56のさらに内側に位置している。また、溶媒導入溝57は、基板のほぼ中心に位置しているのに対して、溶媒導入溝55は、外周縁近傍に位置している。
このとき、溶媒に透明領域34及び外側給電領域33に位置する機能層5の一部が溶解し、第1電極層3上の層が取り除かれる。具体的には、外側給電領域33においては、径方向(内外方向)において、溶媒導入溝55からの溶媒の進入によって、領域分離溝23の外側に位置する機能層5の一部が溶媒に溶解して取り除かれる。また、径方向(内外方向)において、溶媒導入溝56,57からの溶媒の進入によって、領域分離溝24の内側に位置する機能層5の一部(有機発光層)が溶媒に溶解して取り除かれる。端的にいうと、無機封止層7によって封止された機能層5以外の機能層5の一部(有機発光層)が溶解し、第1電極層3上の層が取り除かれることとなる。一方、無機封止層7によって封止された機能層5には、溶媒の進入が無機封止層7によって妨げられるので、溶解しない。
このとき、用いられる溶媒としては、機能層5の一部(有機発光層)を溶解できるものであれば、特に限定されるものではなく、有機物やイオン液体などが採用できる。
特に有機物としては、ジクロロメタン又はアセトン等を用いることができる。
導電性基材接着工程では、軟質接着層8を形成するとともに、無機封止層7に導電性基材20を接着する。
具体的には、図14のように無機封止層7上に軟質接着層8を貼り合わせて、図15のように内側硬質接着層12及び外側硬質接着層11の原料をディスペンサーによって塗布する。そして、第1導電フィルム26、絶縁フィルム27、第2導電フィルム28を取り付けていき、導電性接着材13,14によって、図16のように導電性基材20と第1電極層3を一体化させる。
このとき、第1導電フィルム26は、図2のように外側給電領域33において、発光領域30から延びた第1電極層3と電気的に接続されており、第2導電フィルム28は、内側給電領域32において、第1分離部15と電気的に接続されている。
上記したように有機EL装置1は内外に向けて電流が流れて発光領域30が発光する。具体的には、図17に示すように、外部電源端子40を有機EL装置1に接続した場合、外部電源端子40の第1電極端子38から供給された電流は、第1露出部60から導電性基材20の第1導電フィルム26を伝わり、第3露出部62から導電性接着材13を介して外側給電領域33の第1電極層3に伝わる。外側給電領域33の第1電極層3に伝わった電流は、第1電極層3内で拡散して発光領域30内の第1電極層3に伝わり、発光領域30内で機能層5を通過して第2電極層6に至る。このとき、発光領域30の機能層5の有機発光層が発光し、透明絶縁基板2側から光が取り出される。
発光領域30の第2電極層6に至った電流は、第2電極層6内を拡散して内側給電領域32の第2電極層6に至り、電極接続溝22を介して内側給電領域32の第1電極層3(第1分離部15)に伝わる。内側給電領域32の第1電極層3に伝わった電流は、導電性接着材14を介して第4露出部63から第2導電フィルム28に伝わり、第2導電フィルム28の第2露出部61から外部電源端子40の第2電極端子39に戻る。
このように、有機EL装置1は、図18のように周方向に無数の内外の導電経路を有しており、導電経路に電流が流れることによって発光領域30全体が発光する。そのため、有機EL装置1は、輝度むらがなく、均一に発光することが可能である。
透明絶縁基板2は、面状に広がりをもっている。具体的には、透明絶縁基板2の形状は、多角形状、円形状、又は、楕円形状をしており、四角形又は円形であることが好ましい。本実施形態では、円形状のガラス基板を採用している。
また、第2電極層6の電気伝導率及び熱伝導率は、第1電極層3よりも大きい。言い換えると、第2電極層6は、第1電極層3よりも電気伝導性及び熱伝導性が高い。
また、無機封止層7は、所定の条件で有機EL素子10と離反する方向に圧縮応力が発生する層であることが好ましい。
ここでいう「所定の条件」とは、有機EL素子10の熱膨張などに起因して発生する押圧力を受けた場合などである。
具体的には、無機封止層7は、図2のように有機EL素子10側から乾式法によって形成される第1無機封止層47と、湿式法によって形成される第2無機封止層48がこの順に積層されて形成されている。
なお、ここでいうポリシラザン誘導体は、珪素−窒素結合を持つポリマーであり、Si−N、Si−H、N−H等からなるSiO2、Si3N4、及び両者の中間固溶体SiOxNy等のセラミック前駆体ポリマーである。また、このポリシラザン誘導体は、Siと結合する水素部分が一部アルキル基等で置換された誘導体も含む。
ポリシラザン誘導体の中でも特に側鎖が全て水素であるペルヒドロポリシラザンや、珪素と結合する水素部分が一部メチル基に置換された誘導体が好ましい。
無機封止層7の一部を担う第1無機封止層47の厚みは、1μmから5μmであることが好ましく、1μmから2μmであることがより好ましい。
また、無機封止層7の一部を担う第2無機封止層48の厚みは、好ましくは1μmから5μmであることが好ましく、1μmから3μmであることがより好ましい。
JIS K 6253に準じた軟質接着層8のショア硬さは、ショア硬さがA30以上A70以下であり、A40以上A65以下であることが好ましく、A45以上A63以下であることがより好ましい。
軟質接着層8のショア硬さがA70より大きい場合、軟質接着層8の剛性が大きすぎて、膨らみや衝撃が十分吸収できない。また、導電性基材20として例えばフィルム等の剛性が低いものを採用する際に、軟質接着層8のショア硬さがA30より小さい場合には、導電性基材20の形状を維持できない。
軟質接着層8の曲げ弾性率は、3MPa以上30MPa以下であることが好ましく、3MPa以上25MPa以下であることがより好ましく、3.9MPa以上23MPa以下であることが特に好ましい。
また、軟質接着層8は、接着性を有しており、複数部材を互いに接着可能となっている。本実施形態の軟質接着層8は、上記したようにシート状又は板状の部材であり、表面に粘着性加工を施されている。
具体的には、外側硬質接着層11、内側硬質接着層12は、いずれも、JIS K 6253に準じたショア硬さ(及び対応する曲げ弾性率の概算値)は、ショアA80以上、即ち、ショアD30以上(25MPa以上)であることが好ましく、より高信頼性の有機EL装置とする観点からショアD55以上(250MPa以上)、ショアD95以下(6000MPa以下)とすることがより好ましく、ショアD80以上(1500MPa以上)、ショアD90以下(4000MPa以下)とすることがさらに好ましい。
外側硬質接着層11、内側硬質接着層12の具体的な材質としては、例えば、エポキシ樹脂などが採用できる。なお、本実施形態の外側硬質接着層11、内側硬質接着層12では、いずれもエポキシ樹脂(エポキシ接着材)を採用している。
導電性基材20は、上記したように箔状の絶縁フィルム27の両面を箔状の第1導電フィルム26及び箔状の第2導電フィルム28で覆ったものである。
絶縁フィルム27の表面は、第1導電フィルム26及び第2導電フィルム28によってあらかじめラミネート加工されていてもよい。
第1導電フィルム26と絶縁フィルム27と第2導電フィルム28のそれぞれの厚みは、上記した導電性基材20の平均厚みの範囲内であれば、特に限定されない。
第1導電フィルム26と第2導電フィルム28の厚みの組み合わせとしては、例えば、2μm以上20μm以下の厚みの第1導電フィルム26と、10μm以上100μm以下の厚みの第2導電フィルム28を併用することが可能である。
また、導電性基材20(第1導電フィルム26と絶縁フィルム27と第2導電フィルム28)のトータル厚みが、この範囲(2μm以上200μm以下)であればよいため、複数の絶縁部材等を介在させて3以上の導電部材から構成することもでき、1つの導電部材から構成することもできる。
絶縁フィルム27の平均厚みは、5μm以上100μm以下であり、10μm以上50μm以下であることが好ましい。
2 透明絶縁基板(透明基板)
3 第1電極層
5 機能層(有機発光層)
6 第2電極層
7 無機封止層(封止層)
8 軟質接着層(軟質樹脂層)
12 内側硬質接着層(内側硬質樹脂壁)
20 導電性基材
26 第1導電フィルム
27 絶縁フィルム
28 第2導電フィルム
30 発光領域
31 非発光領域
32 内側給電領域
33 外側給電領域
34 透明領域
Claims (9)
- 面状に広がりを有する透明基板上に、第1電極層、有機発光層、第2電極層が積層した積層体を有する断面構造を備え、かつ、透明基板を平面視したときに、実際に発光する発光領域と、発光しない非発光領域を有する有機EL装置において、
前記非発光領域は、発光領域の内側に位置する内側給電領域と、発光領域の外側に位置する外側給電領域と、積層体の積層方向に光を透過可能な透明領域を有し、
前記発光領域は、内側給電領域を囲むように周方向に連続しており、
前記外側給電領域は、前記発光領域を囲むように周方向に連続しており、
前記透明領域は、前記内側給電領域の内側に位置しており、
外部電源から内側給電領域の第1電極層を経由して、発光領域の第1電極層又は第2電極層のうち一方の電極層に給電可能であり、
外部電源から外側給電領域の第1電極層を経由して、発光領域の第1電極層又は第2電極層のうち、他方の電極層に給電可能であり、
発光領域の第2電極層に電気的に接続される内側給電領域の第1電極層又は外側給電領域の第1電極層が、発光領域の第1電極層と電気的に接続していないことを特徴とする有機EL装置。 - 前記第1電極層は、透明導電性酸化物によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の有機EL装置。
- 外部電源と電気的に接続可能な導電性基材を有し、
当該導電性基材は、第1導電フィルムを備え、
前記積層体の積層方向上方に当該第1導電フィルムが位置しており、
前記外側給電領域は、透明基板の全周に沿って位置しており、
外部電源から第1導電フィルムを介して前記外側給電領域の第1電極層に給電可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機EL装置。 - 前記第1導電フィルムは、前記発光領域全域に位置することを特徴とする請求項3に記載の有機EL装置。
- 前記発光領域の積層体を封止する封止層と、表面に粘着性加工が施された軟質樹脂層を有し、
前記第2電極層側からみて軟質樹脂層は、封止層の外側に位置しており、
前記封止層及び前記軟質樹脂層は、透明基板を平面視したときに、ともに発光領域全域に位置していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の有機EL装置。 - 前記透明領域は、透明基板の外形と相似形状であって、かつ、透明基板の中央に位置していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の有機EL装置。
- 前記透明領域の面積は、透明基板の面積の50パーセント以上80パーセント以下であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の有機EL装置。
- 請求項1乃至7のいずれかに記載の有機EL装置の製造方法であって、
前記透明領域の有機発光層を溶媒によって溶解して除去する除去工程を含むことを特徴とする有機EL装置の製造方法。 - 前記除去工程の前の工程に、
発光領域の積層体を封止する封止層を形成する封止層形成工程と、
透明領域に位置する少なくとも有機発光層及びそれより上の層をレーザースクライブにより除去する工程を含むことを特徴とする請求項8に記載の有機EL装置の製造方法。
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