JP6124623B2 - 有機el装置 - Google Patents

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Description

本発明は、薄いガラス基板を使用したとしても反りが生じない有機EL(Electro Luminescence)装置に関するものである。
近年、白熱灯や蛍光灯に代わる照明装置として有機EL装置が注目され、多くの研究がなされている。
ここで、有機EL装置は、ガラス基板等の基材に、有機EL素子を積層したものである。
また、有機EL素子は、一方又は双方が透光性を有する2つの電極を対向させ、この電極の間に有機化合物からなる発光層を積層したものである。有機EL装置は、電気的に励起された電子と正孔との再結合のエネルギーによって発光する。
有機EL装置は、自発光デバイスであり、発光層の材料を適宜選択することにより、種々の波長の光を発光させることができる。また、白熱灯や蛍光灯に比べて厚さが極めて薄く、且つ面状に発光するので、設置場所の制約が少ない。
ところで、有機EL装置は、有機EL素子への水分や酸素(以下、水等ともいう)の進入を防止するために有機EL素子を外部の雰囲気から遮断する封止構造を備えている。しかしながら、有機EL素子の封止機能が不十分な場合には、有機EL装置を長期間使用すると、ダークスポットと呼ばれる非発光点が発生する。このダークスポットについて詳説すると、有機EL素子の封止が不十分な場合、水等が封止構造内に進入し、有機EL素子が水等に曝された状態となる。この状態で使用(点灯)すると、有機EL素子を構成する電極あるいは電極界面付近の有機化合物層の一部が酸化され、表面に絶縁性の酸化被膜が形成される。この酸化被膜が形成されると、形成箇所は部分的に絶縁化されるため、点灯時に当該箇所が発光せず、ダークスポットが形成される。
すなわち、有機EL装置のダークスポットの形成を防止するためには、有機EL素子への水等の進入を確実に防止することが必要となる。
そこで、有機EL素子への水等の進入を防ぐ技術として、特許文献1がある。特許文献1に記載の有機EL装置は、基材上に順次、第1電極(電極)と有機化合物層(発光層)と第2電極(電極)とを積層した構造を有する有機EL素子を有している。また、特許文献1に記載の有機EL装置は、第2電極の上に、無機防湿層と、金属製の導電性封止部材を設け、当該無機防湿層と導電性封止部材との間に絶縁性接着材層を介在させることで、水等の進入を防止している。さらに、この特許文献1に記載の有機EL装置は、封止性能(バリア性)に優れている導電性封止材料を用い、この導電性封止材料の伝熱性を活用して有機EL素子の均熱性を向上させている。
特開2010−245026号公報
上記したように有機EL装置には、白熱灯や蛍光灯に比べて厚さが極めて薄いという特長を有する。そこで、本発明者は、この特長を最大限に活かすために、特許文献1に記載の有機EL装置を参考に、ガラス基板の厚みが薄い有機EL装置を試作した。本発明者が試作した有機EL装置200を図31に示す。
この試作した有機EL装置200は、平均の厚みが1mmのガラス基板202上に透明電極層203と有機発光層205と金属電極層206からなる有機EL素子210を積層し、この有機EL素子210をシリコン合金層211によって封止した。さらに、シリコン合金層211上に熱硬化性エポキシ接着剤212を介して平均厚み50μmのアルミニウム箔213を接着した。こうすることで、発明者は、たとえガラス基板202の厚さが薄くても、特許文献1と同様の封止性を確保できると考えた。ところが、試作した有機EL装置200は、十分な封止性を確保することができなかった。
有機EL装置200の製造過程では、熱硬化性エポキシ接着剤212を硬化させるために、摂氏90度程度まで加熱する必要がある。ガラス基板202は、低線膨張率(例えば、ソーダ石灰ガラス:8.6ppm/K、OA−10:3.8ppm/K、無アルカリガラス:3.7〜4.8ppm/K)であり、アルミニウム箔213は、ガラス基板202に比べてかなり高い線膨張率(23ppm/K)である。
そのため、加熱した際に、アルミニウム箔213がガラス基板202に対して相対的に離反する方向に撓む。この撓みは、従来であれば、ガラス基板202の厚みが十分に厚いため、ガラス基板202の剛性によって、アルミニウム箔213の形状を維持することができる。
しかしながら、試作した有機EL装置200では、従来に比べてガラス基板202を薄くしたため、図31(b)及び図32のように、アルミニウム箔213の撓みに起因してガラス基板202がアルミニウム箔213と一体となって変形し、弓なりに反ってしまうという問題が生じていた。
また、ガラス基板202が反らなかったとしても、有機EL装置の点灯時と非点灯時の繰り返すと、熱膨張及び熱収縮によって、アルミニウム箔213が撓み、この撓みによって熱硬化性エポキシ接着剤212に亀裂等が入るおそれがある。この場合、この亀裂等は、接着不良を引き起こし、封止性を著しく低下させるおそれがあった。
さらに、試作した有機EL装置200は、初期不良や環境、外的要因等の原因によって、有機EL素子210の一部が膨張したり、破損して飛散したりした場合に、その外側を覆うシリコン合金層211がさらに外側に押し出されてアルミニウム箔213側に向かう方向に力が働く。ところが、全面に熱硬化性エポキシ接着剤212を塗布して硬化しているため、硬質の熱硬化性エポキシ接着剤212の剛性によって、アルミニウム箔213側に向かったシリコン合金層211が有機EL素子210側に押し返されてしまう。
そのため、シリコン合金層211が有機EL素子210の膨張部位を圧迫し、透明電極層203と金属電極層206との距離が近接するため、新たな短絡を引き起こすことがわかった。
そこで、本発明は、上記した問題点を解決するものであり、たとえ薄いガラス基板を使用した場合であっても、ガラス基板が点灯時又は製造時に反りにくい有機EL装置を提供するものである。
上記の課題を解決するための請求項1に記載の発明は、ガラス基板上に第1電極層と、有機発光層と、第2電極層を備えた積層体と、前記積層体の全部又は一部を封止する封止層を有する断面構造を備え、ガラス基板を平面視した際に点灯時に実際に発光する発光領域と、点灯時に発光しない非発光領域を有する有機EL装置において、前記封止層は、前記発光領域内の積層体上を覆っており、当該封止層上に5μm以上40μm以下の平均厚みを有した均熱シートを有し、当該均熱シートは、300Kにおける面内での線膨張率が−2ppm/K以上25ppm/K以下であって、かつ、熱伝導率が10W/m・K以上であり、前記封止層と前記均熱シートとの間に軟質樹脂層が介在しており、当該軟質樹脂層の少なくとも一部は、少なくとも発光領域内の積層体上に位置し、当該軟質樹脂層は、平均厚みが2μm以上100μm以下であって、かつ、JIS K 6253に準じたショア硬さがA30以上A70以下であることを特徴とする有機EL装置である。
本発明に関連する発明は、ガラス基板上に第1電極層と、有機発光層と、第2電極層を備えた積層体と、前記積層体の全部又は一部を封止する封止層を有する断面構造を備え、ガラス基板を平面視した際に点灯時に実際に発光する発光領域と、点灯時に発光しない非発光領域を有する有機EL装置において、前記封止層は、前記発光領域内の積層体上を覆っており、当該封止層上に5μm以上40μm以下の平均厚みを有した均熱シートを有し、当該均熱シートは、300Kにおける面内での線膨張率が−2ppm/K以上25ppm/K以下であって、かつ、熱伝導率が10W/m・K以上であり、均熱シートは、平面視した際に、均熱シートの周端部から内側の5mm以内の環状領域を有し、均熱シートには、ガラス基板と対向する面であって、かつ、前記環状領域内を環状領域全周に亘って接着材層が設けられており、当該接着材層は0.1mm以上5mm以下の幅であって、熱硬化性樹脂又ははんだ合金によって形成されており、接着材層の一部又は全部は、非発光領域内のガラス基板及び/又は第1電極層と、前記均熱シートを接着している有機EL装置である。
上記の構成によれば、接着材層を熱硬化性樹脂又ははんだ合金によって形成している。そのため、上記したように、接着材層を形成する際に熱を加えて加熱しなければならず、従来と同様、50μm以上の平均厚みのアルミニウム箔を使用すると、高温時のガラス基板とアルミニウム箔の線膨張率の差によって、アルミニウム箔が撓み、全体が所定の方向に反ってしまう場合がある。
そこで、上記の構成によれば、封止層上に300Kにおける面内での線膨張率が−2ppm/K以上25ppm/K以下、好ましくは3ppm/K以上18ppm/K以下であって、かつ、熱伝導率が10W/m・K以上である均熱シートを載置し、その平均厚みを5μm以上40μm以下、好ましくは8μm以上20μm以下としている。すなわち、ガラス基板に対して線膨張率が近い値であって、且つ熱伝導率が高い値を有する均熱シートを採用している。そのため、線膨張率の差が小さく、均熱シートがガラス基板に対して相対的に離反したり近接したりしにくく撓みにくい。すなわち、均熱シートが丸まったり、反ったりしにくい。また、均熱シートの熱伝導率が10W/m・K以上であり、熱抵抗が小さく、十分な均熱性を有している。そのため、点灯時に発生する発光領域内の積層体の熱を外部に逃がすことができる。それ故に、点灯時における有機EL装置の面内の発光むらの発生を抑制できる。
なお、均熱シートの平均厚みが、5μm未満になると、均熱シートの高い熱伝導率による均熱機能を十分に発揮することができない。40μmより厚くなると、有機EL装置の薄いという利点を十分に発揮できない。
また、上記の構成によれば、均熱シートには、ガラス基板と対向する面(ガラス基板側の面)であって、かつ、均熱シートの周端部から内側(均熱シートの中央側)に5mm以内という周端部近傍の領域たる環状領域に接着材層を設けている。すなわち、均熱シートの周端部近傍に接着材層を設けているため、均熱シートが延びた状態で固定され、丸まったり、反ったりしにくい。
また、上記の構成によれば、接着材層は0.1mm以上5mm以下の幅となっており、十分な接着面積を確保している。そのため、接着材層の一部又は全部が、発光領域以外の領域である非発光領域に位置するガラス基板及び/又は第1電極層と、均熱シートとを面状に接着し、一体化強度を十分に確保できるため、水等の進入を防止することができる。それ故に、いわゆるダークスポットが発生しにくく、高信頼性の有機EL装置を提供できる。
請求項2に記載の発明は、前記均熱シートは、300Kにおける面内での線膨張率が18ppm/K以下であることを特徴とする請求項1に記載の有機EL装置である。
請求項3に記載の発明は、前記軟質樹脂層は、表面に粘着性加工が施されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機EL装置である。
請求項に記載の発明は、前記ガラス基板は、平均厚みが0.1mm以上2mm以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の有機EL装置である。
本発明の構成によれば、ガラス基板の平均厚みが0.1mm以上2mm以下であり、極めて薄い。そのため、上記したように特許文献1のような構造をそのまま採用すると、ガラス基板とアルミニウム箔の線膨張率の差によって、ガラス基板が撓み、所定の方向に反ってしまう場合がある。
ところが、本発明の構成によれば、このような薄いガラス基板を使用した場合であっても、ガラス基板が反ることを防止することができる。
請求項に記載の発明は、前記封止層と前記均熱シートとの間に軟質樹脂層が介在しており、当該軟質樹脂層の少なくとも一部は、少なくとも発光領域内の積層体上に位置し、当該軟質樹脂層は、平均厚みが2μm以上100μm以下であって、かつ、JIS K 6253に準じたショア硬さがA30以上A70以下である。
本発明の構成によれば、軟質樹脂層の平均厚みは2μm以上100μm以下であり、軟質樹脂層のJIS K 6253に準じたショア硬さはA30以上A70以下である。すなわち、軟質樹脂層は封止層が破損等した際の衝撃を緩和・吸収する緩衝層として機能する。そのため、積層体の一部が破損等しても封止層が積層体側に押し返されず、発光領域内の積層体が圧迫されない。
なお、軟質樹脂層の平均厚みが2μm未満の場合、厚みが薄すぎて、点灯時に生じる熱膨張や封止層の破損等による衝撃を十分吸収できない。そのため、例えば封止層が破損すると、軟質樹脂層を貫いて均熱シートを破損するおそれがある。100μmより厚くなると、厚みが厚すぎて、点灯時に発光領域内の積層体で生じる熱を均熱シートに逃がすことができず、熱が有機EL装置の内部にこもってしまう可能性がある。
また、軟質樹脂層のショア硬さがA70より大きい場合、軟質樹脂層の剛性が大きすぎて、点灯時に生じる熱膨張や封止層の破損等による衝撃を十分吸収できない。そのため、封止層が破損等すると、軟質樹脂層の剛性によって積層体側に押し返して積層体を圧迫するおそれがある。
なお、前記均熱シートと前記軟質樹脂層との間に、さらに、ガス吸着シートを備えるようにすることが好ましい。このようなガス吸着シートとしては、下地樹脂シート上に硫酸マグネシウム、酸化アルミニウム、塩化カルシウム、水素化カルシウム、酸化カルシウム、硫酸カルシウム、水素化カリウム、シリカゲル、硫酸銅、酸化マグネシウム、過塩素酸マグネシウム、モレキュラーシーブ等の公知の乾燥剤やゼオライト、珪藻土、ベントナイトなどの大きな表面積を有する公知の担体を設けたものを用いることができる。
請求項1乃至のいずれかに記載の有機EL装置において、前記均熱シートは、アルミニウム、銅、ステンレス、鉄、チタン、42アロイ、グラファイト、インバー、タンタル、ジルコニウム、タングステン、モリブデン、及びコバールの群から選ばれる少なくとも1種から形成されていることが好ましい(請求項)。
より好ましくは、アルミニウム、銅、ステンレス、グラファイト、タングステン、又はモリブデンであり、さらに好ましくは、アルミニウム、銅、又はステンレスである。
上記した発明は、前記封止層上に均熱シートを備えていてもよい
上記した発明は、前記均熱シートは、前記封止層と前記軟質樹脂層との間に介在していてもよい。
このような構成とすることで、均熱シートが接着されることなく封止層と接触しているため前記封止層の破損等の発生を効果的に防止しつつ、効果的に均熱が可能である。このような均熱シートとしては、部材厚方向に気体を流通可能な気体流通経路を複数有しているものであって、当該気体流通経路が、個々に独立しているものが好ましく、長期間点灯し続けることで封止層等から気体が発生するような場合であっても、均熱シートの浮き上がりが防止できるので、浮き上がりによる均熱作用の低下による発光ムラを防止することができる。
また、このような均熱シートの平均厚みは、前記均熱シートの平均厚みの1.2倍以上19倍以下と、前記均熱シートの平均厚みに比べて、かなり厚くすることが好ましく、均熱シートの熱伝導性を均熱シートの熱伝導性で補完することができ、点灯時に有機EL装置が局所的に高温となったとしても、全体に均熱し、外部に十分に放熱することができる。
本発明に関連する発明は、上記の有機EL装置の製造方法であって、少なくとも前記発光領域内の第2電極層上に封止層を形成する工程と、前記ガラス基板及び/又は前記第1電極層の表面に、発光領域の周囲を囲むように直接前記接着材層の原料を塗布する工程と、前記無機封止層上に前記均熱シートを載置する工程と、前記接着材層を硬化させるために加熱処理する工程を含む有機EL装置の製造方法である。
の製造方法によれば、熱硬化性樹脂製の接着材層の原料を加熱により硬化する工程を含んでいるが、上記したように本製造方法によって製造される有機EL装置は、ガラス基板が反ることを防止できるため、歩留まりがよく、初期不良によるダークスポットが発生しにくい。
本発明の有機EL装置によれば、点灯時及び製造時にガラス基板が反りにくい有機EL装置を提供できる。
本発明に関連する有機EL装置の製造方法によれば、歩留まりがよく、ダークスポットが発生しにくい。
本発明の第1実施形態に係る有機EL装置を裏面側から観察した斜視図である。 図1の有機EL装置において均熱シートを外した状態の斜視図である。 図1の有機EL装置の各領域の説明図であり、(a)は均熱シート側からみた平面図であり、(b)はガラス基板側からみた底面図である。 図1の有機EL装置のA−A断面図である。 均熱シートを図2とは異なる角度で示した斜視図である。 図1の有機EL装置の封止層積層工程までの製造方法の説明図であり、(a)〜(e)は各工程を表す。 図1の有機EL装置の軟質樹脂層を形成する工程の説明図であり、(a)〜(c)は各工程を表す。 図1の有機EL装置の硬質樹脂層を形成する工程の説明図であり、(d)〜(e)は各工程を表す。 図1の有機EL装置の均熱シートを形成する工程の説明図であり、(f)〜(g)は各工程を表す。 均熱シートと硬質樹脂層との位置関係図である。 本発明の第2実施形態に係る有機EL装置の概念的に示した斜視図である。 本発明の第2実施形態に係る有機EL装置の説明図であり、(a)は図11の有機EL装置の平面図であり、(b)は(a)のA−A断面図である。 本発明の第2実施形態に係る有機EL装置の説明図であり、(a)は図11の有機EL装置の平面図であり、(b)は(a)のB−B断面図である。 本発明の第2実施形態に係る有機EL装置の説明図であり、(a)は図11の有機EL装置の平面図であり、(b)は(a)のC−C断面図である。 本発明の第2実施形態に係る有機EL装置の説明図であり、(a)は図11の有機EL装置の平面図であり、(b)は(a)のD−D断面図である。 図11の有機EL装置の分解斜視図である。 図11の有機EL装置の各領域を表す説明図である。 図11のガラス基板及び有機EL素子を表す斜視図である。 図18のガラス基板及び有機EL素子を表す平面図である。 図11の有機EL装置の製造工程を表す説明図であって、硬質樹脂層の原料を塗布した際の説明図である。 図11の有機EL装置の製造工程を表す説明図であり、(a)は孤立部形成溝を形成した状態の平面図であり、(b)は(a)のA−A断面図である。 図11の有機EL装置の製造工程を表す説明図であり、(a)は機能層を成膜した状態の平面図であり、(b)は(a)のA−A断面図である。 図11の有機EL装置の製造工程を表す説明図であり、(a)は電極接続溝及び補助電極接続溝を形成した状態の平面図であり、(b)は(a)のA−A断面図である。 図11の有機EL装置の製造工程を表す説明図であり、(a)は第2電極層を成膜した状態の平面図であり、(b)は(a)のA−A断面図である。 図11の有機EL装置の製造工程を表す説明図であり、(a)は第1封止層接続溝及び孤立部形成溝を形成した状態の平面図であり、(b)は(a)のA−A断面図である。 図11の有機EL装置の製造工程を表す説明図であり、(a)は第1無機封止層を成膜した状態の平面図であり、(b)は(a)のA−A断面図である。 図11の有機EL装置の製造工程を表す説明図であり、(a)は第2無機封止層を成膜した状態の平面図であり、(b)は(a)のA−A断面図である。 図11の有機EL装置の製造工程を表す説明図であり、(a)は除去領域を形成した状態の平面図であり、(b)は(a)のA−A断面図である。 図11の有機EL装置の均熱シートを表す斜視図である 図20の防湿シート側の硬質樹脂層の原料を塗布する領域を表す説明図である。 試作した有機EL装置の説明図であり、(a)は反っていない状態の断面図であり、(b)は反った状態の断面図である。 試作した有機EL装置の説明図である。
本発明は、有機EL装置に係るものである。図1は、本発明の第1実施形態に係る有機EL装置1を示している。以下、上下左右の位置関係は、特に断りのない限り、図1の姿勢を基準に説明する。すなわち、有機EL装置1の点灯時における光取り出し側が下である。なお、下記に記載する物性は、特に断りの無い限り、標準状態での物性を表す。
本実施形態の有機EL装置1は、図4のように透光性を有したガラス基板2上に有機EL素子12(積層体)が積層されており、さらにその上に無機封止層7(封止層)と、軟質樹脂層8と、硬質樹脂層10(接着材層)と、均熱シート11とを備えている。有機EL素子12は、第1電極層3と、機能層5と、第2電極層6から形成されている。
有機EL装置1は、この均熱シート11をガラス基板2と近い線膨張率を有するものを使用することによって、ガラス基板2が反ることを防止する機能を有している。
このことを踏まえて、以下、有機EL装置1の詳細な構造について説明する。
有機EL装置1は、ガラス基板2を平面視した際に、図3のように点灯時において実際に発光する発光領域30と、実際に発光しない非発光領域33から形成されている。
発光領域30は、図3,図4のように第1電極層3と、機能層5と、第2電極層6が重畳した部位である。
非発光領域33は、発光領域30の周囲を囲むように設けられた領域である。また、非発光領域33は、外部電源と電気的に接続することによって、発光領域30内の有機EL素子12に給電可能な給電領域31,32を有している。
発光領域30は、図3のように長手方向l及び短手方向w(長手方向lに直交する方向)の中央に位置しており、その長手方向lの両外側に給電領域31,32が位置している。
また、本実施形態の有機EL装置1は、図4のように部分的に第1電極層3を除去した第1電極層分離溝15を有している。
第1電極層分離溝15は、図4のようにガラス基板2上に積層された第1電極層3を2つの領域に分離する溝であり、有機EL素子12を発光領域30と給電領域32に分離する溝である。
また、第1電極層分離溝15内には図4のように機能層5の一部が進入しており、機能層5は第1電極層分離溝15の底部でガラス基板2と直接接触している。すなわち、発光領域30内の第1電極層3と給電領域32内の第1電極層3を、絶縁性を有した機能層5によって電気的に切り離している。
また、給電領域32においては、第2電極層6が長手方向(長さ方向)に機能層5を超えてはみ出しており、給電領域32内の第1電極層3と第2電極層6の張出部位が直接接触している。
続いて、有機EL装置1の各層の構成について説明する。
上記したように、有機EL装置1は、図2,図4のようにガラス基板2上に、第1電極層3と機能層5と第2電極層6とがこの順に積層し、その上に、無機封止層7、軟質樹脂層8及び/又は硬質樹脂層10、均熱シート11が順に積層したものである。
ガラス基板2は、透光性及び絶縁性を有したものであり、具体的には、ソーダ石灰ガラスや、無アルカリガラスなどが採用できる。
ガラス基板2は、面状に広がりをもっている。具体的には、多角形又は円形をしており、四角形であることが好ましい。本実施形態では、長方形状のガラス基板を採用している。
ガラス基板2の平均厚みは、0.1mm以上2mm以下であることが好ましく、0.1mm以上1mm以下であることがより好ましい。
第1電極層3の素材は、透明であって、導電性を有していれば、特に限定されるものではなく、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、酸化錫(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)等の透明導電性酸化物などが採用される。機能層5内の発光層から発生した光を効果的に取り出せる点では、透明性が高いITOあるいはIZOが特に好ましい。本実施形態では、ITOを採用している。
機能層5は、第1電極層3と第2電極層6との間に設けられ、少なくとも一つの発光層を有している層である。機能層5は、主に有機化合物からなる複数の層から構成されている。この機能層5は、一般的な有機EL装置に用いられている低分子系色素材料や、共役系高分子材料などの公知のもので形成することができる。また、この機能層5は、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層などの複数の層からなる積層多層構造であってもよい。
第2電極層6の材料は、特に限定されるものではなく、例えば銀(Ag)やアルミニウム(Al)などの金属が挙げられる。本実施形態の第2電極層6は、Alで形成されている。また、これらの材料はスパッタ法又は真空蒸着法によって堆積されることが好ましい。
また、第2電極層6の電気伝導率及び熱伝導率は、第1電極層3よりも大きい。言い換えると、第2電極層6は、第1電極層3よりも電気伝導性及び熱伝導性が高い。
無機封止層7は、図4のように有機EL素子12側から乾式法によって形成される第1無機封止層50と、湿式法によって形成される第2無機封止層51がこの順に積層されて形成されている。
第1無機封止層50は、化学気相蒸着によって形成される層であり、さらに詳細にはシランガスやアンモニアガス等を原料としてプラズマCVD法で成膜される層である。第1無機封止層50は、後述するように有機EL装置1の製造工程において、水分含量が少ない雰囲気下で、有機EL素子12の形成工程に連続して成膜できるため、空気や水蒸気に晒さずに成膜でき、使用直後の初期ダークスポットの発生を低減することができる。
第1無機封止層50の素材は、酸素、炭素、窒素の中から選ばれた1種類以上の元素と、ケイ素元素とからなるシリコン合金により形成されている。Si−O、Si−N、Si−H、N−H等の結合を含む窒化珪素や酸化珪素、及び両者の中間固溶体である酸窒化珪素であることが特に好ましい。
第2無機封止層51は、液体状又はゲル状の原料を塗布した後、化学反応を介して成膜される層である。第2無機封止層51は、より詳細には、緻密性を有したシリカを素材としている。また、第2無機封止層51はポリシラザン誘導体を原料とするのが好ましい。ポリシラザン誘導体を用いてシリカ転化によって第2無機封止層51を成膜した場合、シリカ転化時に重量増加を生じ、体積収縮が小さい。また、シリカ膜転化時(固化時)に樹脂の耐え得る温度で十分にしかもクラックを生じ難くすることができる。
なお、ここでいうポリシラザン誘導体は、珪素−窒素結合を持つポリマーであり、Si−N、Si−H、N−H等からなるSiO2、Si34、及び両者の中間固溶体SiOxNy等のセラミック前駆体ポリマーである。また、このポリシラザン誘導体は、Siと結合する水素部分が一部アルキル基等で置換された誘導体も含む。
ポリシラザン誘導体の中でも特に側鎖が全て水素であるペルヒドロポリシラザンや、珪素と結合する水素部分が一部メチル基に置換された誘導体が好ましい。
また、このポリシラザン誘導体は、有機溶媒に溶解した溶液状態で塗布し使用することが好ましい。この溶解する有機溶媒としては、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒、脂肪族エーテル、脂環式エーテル等のエーテル類が使用できる。
第2無機封止層51は、第1無機封止層50とは異なる材料を封止層として積層したものであり、相互の欠陥を補完することによって、封止性能を高め、経時的な新たなダークスポットの発生を防止したり、発生したダークスポットの拡大化を抑制したりすることができる。
無機封止層7の平均厚みは、1μmから10μmであることが好ましく、2μmから5μmであることがより好ましい。
無機封止層7の一部を担う第1無機封止層50の厚みは、1μmから5μmであることが好ましく、1μmから2μmであることがより好ましい。
また、無機封止層7の一部を担う第2無機封止層51の厚みは、好ましくは1μmから5μmであることが好ましく、1μmから3μmであることがより好ましい。
軟質樹脂層8に目を移すと、軟質樹脂層8は、柔軟性を有し、所定の条件によって塑性変形又は弾性変形する層である。本実施形態では、軟質樹脂層8は、無機封止層7の圧縮応力などを受けた場合に、その応力にほとんど逆らわずに、塑性変形可能となっている。
JIS K 6253に準じた軟質樹脂層8のショア硬さは、ショア硬さがA30以上A70以下であり、A40以上A65以下であることが好ましく、A45以上A63以下であることがより好ましい。
軟質樹脂層8のショア硬さがA70より大きい場合、軟質樹脂層8の剛性が大きすぎて、膨らみや衝撃が十分吸収できない。また、均熱シート11として例えば剛性が低いものを採用する際に、軟質樹脂層8のショア硬さがA30より小さい場合には、軟質樹脂層8の剛性が小さすぎて均熱シート11の形状を維持できない。
軟質樹脂層8の曲げ弾性率は、3MPa以上30MPa以下であることが好ましく、3MPa以上25Pa以下であることがより好ましく、3.9MPa以上23MPa以下であることが特に好ましい。
軟質樹脂層8の具体的な材質としては、アクリルゴム(ACM)、エチレンプロピレンゴム(EPM,EPDM)、シリコーンゴム(Q)、ブチルゴム(IIR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、フッ素ゴム(FKM)、ニトリルゴム(NBR)、イソプレンゴム(IR)、ウレタンゴム(U)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、エピクロルヒドリンゴム(CO,ECO)、クロロプレンゴム(CR)等のゴム材料が使用できるが、一定の水蒸気バリア性を有し、安価に入手可能である点から、アクリルゴム系樹脂、エチレンプロピレンゴム系樹脂、シリコーンゴム系樹脂、及びブチルゴム系樹脂から選ばれる1種以上であることが好ましく、その中でもフィルムとして入手が容易な、ブチルゴム系樹脂がより好ましい。
また、本実施形態の軟質樹脂層8は、接着性を有しており、複数部材を互いに接着可能となっている。具体的には、本実施形態の軟質樹脂層8は、シート状又は板状の部材であり、表面に粘着性加工を施されている。
軟質樹脂層8の平均厚みは、2μm以上100μm以下であることが好ましく、5μm以上50μm以下であることがより好ましい。
軟質樹脂層8の平均厚みが2μmより薄くなると、無機封止層7の膨らみや衝撃が十分吸収できない。100μmより厚くなると、均熱シート11まで、熱が伝わらず、軟質樹脂層8内で熱がこもる場合がある。
硬質樹脂層10は、軟質樹脂層8よりも剛性が高く硬い材料となっている。具体的には、JIS K 6253に準じた硬質樹脂層10のショア硬さ(及び対応する曲げ弾性率の概算値)は、ショアA80以上、すなわち、ショアD30以上(25MPa以上)であることが好ましく、より高信頼性の有機EL装置とする観点からショアD55以上(250MPa以上)、ショアD95以下(6000MPa以下)とすることがより好ましく、ショアD80以上(1500MPa以上)、ショアD90以下(4000MPa以下)とすることがさらに好ましい。
また、本実施形態の硬質樹脂層10は、防水性及び接着性を有しており、複数部材を互いに接着可能となっている。具体的には、本実施形態の硬質樹脂層10は、溶液又はゲル状の流動体を固化して形成されるものである。
硬質樹脂層10の具体的な材質としては、熱硬化性樹脂が採用できる。なお、本実施形態では、熱硬化性樹脂の中でも、エポキシ樹脂を採用している。
均熱シート11は、均熱機能を有したシート状の部材である。
均熱シート11の平均厚みは、反りを抑える観点から、5μm以上40μm以下であり、8μm以上20μm以下であることが好ましい。
均熱シート11の平均厚みが5μm未満になると、薄すぎて、均熱機能や封止機能を十分に発揮できない場合がある。均熱シート11の平均厚みが40μmより大きくなると、厚みが厚すぎて、前記反り防止機能が十分に発揮できない場合がある。
均熱シート11は、温度300K(ケルビン)下における熱伝導率が10W/m・K以上であることが好ましく、50W/m・K以上であることがより好ましい。
均熱シート11の熱伝導率が10W/m・K以上と高いため、十分に均熱することができる。
また、均熱シート11は、温度300K下における面内での線膨張率が−2ppm/K以上25ppm/K以下であり、3ppm/K以上18ppm/K以下であることが好ましい。
具体的には、均熱シート11は、アルミニウム、銅、ステンレス、鉄、チタン、42アロイ、グラファイトなどが採用でき、その中でも、軽量であって高い熱伝導率を有するグラファイトで形成されていることが好ましく、用途によって使い分けることが好ましい。
均熱シート11の材料としてアルミニウムを使用する場合には、圧延アルミであることが封止性能の観点から好ましい。
ここで、均熱シート11として使用できる各材料の一般的な物性について付言すると、アルミニウム(線膨張率:23ppm/K、熱伝導率:220W/m・K)、銅(線膨張率:17ppm/K、熱伝導率:400W/m・K)、ステンレス(線膨張率:10〜17ppm/K、熱伝導率:13〜26W/m・K)、鉄(線膨張率:9ppm/K、熱伝導率:80W/m・K)、チタン(線膨張率:8.5ppm/K、熱伝導率:22W/m・K)、42アロイ(線膨張率:4.2ppm/K、熱伝導率:14.6W/m・K)、グラファイト(線膨張率:面内−1ppm/K、面厚27ppm/K、熱伝導率:面内1000W/m/K、面厚5W/m・K)である。
続いて、有機EL装置1の各部位の位置関係について説明する。
軟質樹脂層8は、図2,図4のように無機封止層7上であって、少なくとも、発光領域30(図3参照)の部材厚方向の投影面全面を覆うように積層されている。すなわち、軟質樹脂層8は、面状に広がりをもって、無機封止層7の大部分を覆っている。
有機EL装置1は、軟質樹脂層8の周囲を硬質樹脂層10が囲んでいる。
硬質樹脂層10は、均熱シート11が有機EL素子12側に近接しないように均熱シート11を支持している。すなわち、硬質樹脂層10は、図2,図4のように発光領域30を含む領域を囲むような壁を形成している。
均熱シート11の設置領域は、図2,図3,図4のように少なくとも軟質樹脂層8全体を覆っており、さらに、硬質樹脂層10の一部又は全部を覆っている。すなわち、均熱シート11は、図4のように、少なくとも発光領域30を覆っており、さらに発光領域30を跨がって給電領域31,32まで至っている。
そのため、均熱シート11の均熱機能によって発光領域30全体の熱を均等にすることができ、発光領域30内の有機EL素子12の輝度ムラを防止することができる。また、均熱シート11が給電領域31,32まで延在しているため、外部と、発光領域30内の有機EL素子12との距離を遠くすることができ、発光領域30内の有機EL素子12内への水等の進入を効果的に防止することができる。
ここで、均熱シート11と、硬質樹脂層10との接着部位について注目すると、図5のように均熱シート11は、平面視した際に、均熱シート11の周端部(均熱シート11の縁)から内側の5mm以内の環状領域38を有している。
硬質樹脂層10は、均熱シート11のガラス基板2側の面に設けられている。また、硬質樹脂層10は、環状領域38内を環状領域38全周に亘って設けられている。
硬質樹脂層10の幅W1(環状領域38の周方向に対して直交する方向の長さ)は、0.1mm以上5mm以下となっている。そのため、発光領域以外の領域である非発光領域33に位置するガラス基板2、第1電極層3、並びに、無機封止層7と十分な接着面積を有するため、十分な一体化強度を確保できる。
次に、本実施形態に係る有機EL装置1の製造方法について説明する。
有機EL装置1は、図示しない真空蒸着装置及びCVD装置によって成膜し、図示しないパターニング装置(本実施形態では、レーザースクライブ装置)を使用してパターニングを行い、製造される。
まず、有機EL素子12を積層する有機EL素子形成工程を行う。
具体的には、スパッタ法やCVD法によってガラス基板2の一部又は全部に第1電極層3を成膜する。
このとき、本実施形態では、ガラス基板2の長辺(長手方向に延伸する辺)の近傍には第1電極層3を積層していない。ここでいう「長辺近傍」とは、長辺からの距離が1mm以下のものを表し、500μm以下であることが好ましい。
また、形成される第1電極層3の平均厚さは、50nmから800nmであることが好ましく、100nmから400nmであることがより好ましい。
その後、第1電極層3が成膜された基板に対して、レーザースクライブ装置によって第1電極層分離溝15を形成する(図6(a))。
このとき、第1電極層分離溝15は、ガラス基板2の短辺に平行に形成されており、短手方向(幅方向)全体に亘っている。
第1電極層分離溝15は、図4のように有機EL装置1が形成された際に給電領域32と発光領域30との境界部位に形成されている。すなわち、第1電極層分離溝15は、有機EL装置1の長手方向において、第1電極層3を2つの領域に分割している。
次に、真空蒸着装置によって、この基板に電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層などを順次積層し、機能層5を成膜する(図6(a)から図6(b))。
このとき、機能層5は、発光領域30全体に積層されており、さらに、第1電極層分離溝15を超えて、給電領域32側に一部が至っている。すなわち、第1電極層分離溝15内に機能層5が積層され、第1電極層分離溝15内に機能層5が満たされている。
次に、真空蒸着装置によって、この基板に第2電極層6を成膜する(図6(b)から図6(c))。
このとき、第2電極層6は、機能層5上に積層されており、給電領域32(図4参照)においては、上記したように第2電極層6の一部が機能層5から張り出している。この張出部位は、給電領域32の第1電極層3上に積層されており、当該第1電極層3と直接接触している。
以上が、有機EL素子形成工程である。
続いて、無機封止層7を形成する無機封止層積層工程を行う。
具体的には、まず、この基板の一部をマスクで覆い、CVD装置によって、第1無機封止層50を成膜する(図6(c)から図6(d))。
このとき、第1無機封止層50は、少なくとも発光領域30内の第2電極層6上を覆っており、さらに、給電領域31,32の一部まで至っている。
また、本実施形態の第1無機封止層50は、長手方向及び短手方向において、第2電極層6の端部を超えて覆っている。具体的には、長手方向においては、給電領域31,32の第1電極層3上まで至っており、第1無機封止層50に接触している。短手方向においては、ガラス基板2の長辺近傍まで至っている。そのため、封止性をさらに向上させることができる。
その後、第1無機封止層50を成膜したCVD装置から取り出して、第1無機封止層50に第2無機封止層51の原料を塗布し、第2無機封止層51を形成し、無機封止層7が形成される(図6(d)から図6(e))。
このとき、第1無機封止層50上の全面を第2無機封止層51が覆っている。
このようにして、乾式法によって形成された第1無機封止層50上に湿式法によって形成された第2無機封止層51が積層されて無機封止層7が形成される。
上記した手順によって形成された無機封止層7に均熱シート11を接着する均熱シート接着工程を行う。
均熱シート接着工程では、無機封止層7に軟質樹脂層8及び硬質樹脂層10を形成して、均熱シート11を接着する。
まず、無機封止層7上に軟質樹脂層8を貼り合わせる(図7(a)から図7(b))。
このとき、軟質樹脂層8を形成するに当たって、軟質樹脂層8の両面に絶縁性のセパレーターが被覆したものを用いる。また、貼り合わせ時には、軟質樹脂層8の片面のセパレーターを剥離して、剥離面を無機封止層7上に貼り合わせる。
そして、この貼り合わせた状態では、軟質樹脂層8は少なくとも発光領域30全体を覆っている。軟質樹脂層8は、無機封止層7の周端部まで至っていない。すなわち、無機封止層7の周壁部には、軟質樹脂層8が被覆されておらず、無機封止層7の一部が露出している。
その後、前記剥離面の反対側の面のセパレーターを剥離する(図7(b)から図7(c))。
続いて、この基板に、硬質樹脂層10の原料をディスペンサー70によって塗布し(図8(d)から図8(e))、これら軟質樹脂層8及び硬質樹脂層10上に均熱シート11を載置し(図9(f))、所定の温度T1下において硬質樹脂層10の原料を乾燥/硬化させることによって硬質樹脂層10を成膜する(図9(g))。
このとき、硬質樹脂層10は、軟質樹脂層8の一部を覆っており、軟質樹脂層8と無機封止層7に跨がって塗布されて形成されている。発光領域30に位置する軟質樹脂層8の大部分は、硬質樹脂層10が覆われていない。すなわち、軟質樹脂層8が露出する硬質樹脂層10の開口が形成されている。当該開口の面積は、発光領域30の面積に比べて一回り大きくなっている。当該開口の面積は、軟質樹脂層8の形成面積の90パーセント以上99パーセント以下となっており、95パーセント以上98パーセント以下であることが好ましい。
また、均熱シート11側からみると、環状領域38(図5参照)内の全周に硬質樹脂層10が連続した状態で環を形成している。図10のように硬質樹脂層10の幅W2は、0.1mm以上5mm以下の幅となっている。
均熱シート11は、軟質樹脂層8及び硬質樹脂層10の上面全面を覆っており、軟質樹脂層8及び硬質樹脂層10の接着機能によって無機封止層7に一体化される。すなわち、軟質樹脂層8及び硬質樹脂層10は、非発光領域33内のガラス基板2及び第1電極層3と、均熱シート11を接着している。言い換えると、均熱シート11は、発光領域30内の有機EL素子12の全面を間接的に覆っている。
また、このときの所定の温度T1は、硬質樹脂層10が硬化する温度であり、摂氏60度以上摂氏100度以下となっている。
摂氏60度未満になると、十分に硬質樹脂層10内の水分が蒸発せず、内部に水分が残るおそれがある。また、硬質樹脂層10を硬化させるのに時間がかかり、製造効率が低下するおそれがある。摂氏100度より高くなると、温度が高すぎて、有機EL素子12に悪影響を及ぼすおそれがある。
このようにして均熱シート接着工程を終了し、有機EL装置1が完成する。
本発明の有機EL装置1によれば、無機封止層7によって、1次封止をし、さらに、その外側を均熱シート11及び硬質樹脂層10によって、2次封止しているため、発光領域30内の有機EL素子12に水等が進入しにくく、ダークスポットの発生や成長を防止することができる。
続いて、第2実施形態における有機EL装置100について説明する。なお、第1実施形態と同様のものは同じ符番を付して説明を省略する。
本実施形態の有機EL装置100は、図11,図16のように透光性を有したガラス基板2上に有機EL素子12(積層体)が積層されており、さらにその上に無機封止層7(封止層)によって有機EL素子12が一次封止されている。
さらに有機EL装置100は、図16のように無機封止層7上に均熱シート111と、軟質樹脂層8がこの順に載置されている。そして、有機EL装置100は、図12,図13,図14,図15のように、軟質樹脂層8上に防湿シート114が載置されており、軟質樹脂層8及び硬質樹脂層10によって一体化されている。すなわち、有機EL装置100の有機EL素子12は、硬質樹脂層10と防湿シート114によって2次封止されている。
有機EL素子12は、図12,図13,図14,図15のように、ガラス基板2側から第1電極層3、機能層5、第2電極層6が積層したものであり、無機封止層7は、ガラス基板2側から第1無機封止層50、第2無機封止層51が積層したものである。
有機EL装置100は、ガラス基板2の光取出面を平面視した際に、図17のように点灯時(駆動時)において、発光する発光領域130と、発光しない非発光領域131から形成されている。
発光領域130は、図12,図13,図14,図15のように、第1電極層3と、機能層5と、第2電極層6が重畳した領域である。
非発光領域131は、図17のように、発光領域130の周囲を囲むように設けられた領域である。非発光領域131と発光領域130は、面方向に連続している。
また、非発光領域131は、外部電源と電気的に接続することによって、発光領域130内の有機EL素子12に給電可能な給電領域132,133を有している。
給電領域132は、外部電源の正極と電気的に接続可能な領域であって、図12,図13,図14,図15のように、発光領域130内の第1電極層3と電気的に接続された領域である。すなわち、給電領域132は、有機EL装置100全体の正極を担う領域である。
給電領域133は、外部電源の負極と電気的に接続可能な領域であって、図12のように、発光領域130内の第2電極層6と電気的に接続された領域である。すなわち、給電領域133は、有機EL装置100全体の負極を担う領域である。給電領域133は、給電領域132と電気的に縁切りされている。
各領域の位置関係について説明すると、発光領域130は、図17のようにガラス基板2の幅方向w及び長さ方向l(幅方向wに直交する方向であって、厚み方向にも直交する方向)の中央に位置しており、非発光領域131は、発光領域130の全周に沿うように位置している。
給電領域133は、ガラス基板2の一又は複数の辺側から発光領域130に向けて張り出しており、給電領域132は、発光領域130の外側(ガラス基板2の端部側)であって、給電領域133以外の残りの非発光領域131に形成されている。
本実施形態では、給電領域133は、ガラス基板2の縦方向lに延びた一辺である縦辺の一部に沿って形成されており、他の非発光領域131に比べて発光領域130側(中央側)に向けて張り出している。
給電領域132は、発光領域130の外側(ガラス基板2の端部側)であって、前記縦辺の他の部位及び残りの辺に沿って形成されている。
本実施形態の有機EL装置100は、図12,図13,図14,図15のように、深さの異なる複数の溝によって、複数に区切られている。
具体的には、有機EL装置100は、図19に示される、部分的に第1電極層3を除去した孤立部形成溝140と、部分的に機能層5を除去した電極接続溝141及び補助電極接続溝142,143と、部分的に機能層5と第2電極層6の双方を除去した第1封止層接続溝144,145と、部分的に第1電極層3と機能層5と第2電極層6を除去した孤立部形成溝146,147とを有しており、これらの溝によって複数に区画されている。
各溝について説明すると、孤立部形成溝140は、図12,図21のようにガラス基板2上に積層された第1電極層3を分離する溝であり、内外方向(ガラス基板2の中央側から端部側に向かう方向)において、発光領域130と給電領域133を分離する溝である。また、孤立部形成溝140は、第1電極層3の一部を切り離して孤立部150の一辺を形成する溝でもある。
孤立部形成溝140内には、図12,図21,図22のように機能層5の一部が進入しており、機能層5は孤立部形成溝140の底部でガラス基板2と直接接触している。
電極接続溝141は、図12,図23,図24のように、給電領域133に位置する孤立部150と発光領域130に位置する第2電極層6を電気的に接続する溝である。
具体的には、電極接続溝141は、図12のように給電領域133に位置する溝であって、発光領域130から延びた第2電極層6の一部を孤立部150と直接接触させる溝である。
補助電極接続溝142,143は、図12,図24のように、非発光領域131内において第1電極層3と第2電極層6を電気的に接続する溝である。補助電極接続溝142,143は、発光領域130の外側を囲むように設けられている。
具体的には、補助電極接続溝142は、図12のように給電領域133に位置する溝であって、第1電極層3と第2電極層6を直接接続する溝である。すなわち、補助電極接続溝142は、図24のように第1電極層3と第2電極層6が直接接触して形成される電極補助部162を形成する。
補助電極接続溝142は、縦方向l(長さ方向)に延びた直線状の溝であり、ガラス基板2の縦辺と平行となっている。
補助電極接続溝143は、給電領域132(図17参照)に位置する溝であって、第1電極層3と第2電極層6を直接接続する溝である。すなわち、補助電極接続溝143は、図24のように第1電極層3と第2電極層6が直接接触して形成される電極補助部163を形成する。
電極補助部162,163は、図17,図19のように発光領域130を中心として環状に1列に並んでおり、発光領域130の全周の80パーセント以上100パーセント以下の領域を囲むように形成されていることが好ましく、発光領域130の全周の90パーセント以上100パーセント以下の領域を囲むように形成されていることがより好ましい。
補助電極接続溝143についてさらに詳説すると、補助電極接続溝143は、図23のように、縦方向l(長さ方向)に延びた補助電極縦溝152a,152b,152cと、横方向w(幅方向)に延びた補助電極横溝153a,153bから形成されている。
補助電極縦溝152a,152bと,補助電極縦溝152cは、発光領域130を基準として横方向wの両外側に位置している。
また、一方側(図23では右側)に位置する補助電極縦溝152a,152bは、補助電極接続溝142と同一直線上に並んでおり、補助電極縦溝152a,152bは、補助電極接続溝142を挟んで配されている。要するに、縦方向lにおいて、補助電極縦溝152a、補助電極接続溝142、補助電極縦溝152bは、それぞれ所定の間隔を空けてガラス基板2を縦断している。
他方側(図23では左側)に位置する補助電極縦溝152cは、ガラス基板2を縦断しており、ガラス基板2の縦辺と平行となっている。すなわち、補助電極縦溝152cは、補助電極縦溝152a,152b及び補助電極接続溝142に対して平行となっている。
補助電極横溝153a,153bは、発光領域130を基準として縦方向lの両外側に位置しており、ガラス基板2を横断している。また、補助電極横溝153a,153bは、それぞれガラス基板2の各横辺と平行となっており、発光領域130を挟んで互いに平行となっている。
第1封止層接続溝144,145は、図12,図25,図26のように、第1電極層3上の機能層5、第2電極層6を除去する溝であり、第1電極層3と第1無機封止層50を直接接続する溝である。
第1封止層接続溝144は、各辺に対応してそれぞれ配されており、縦方向及び横方向においてそれぞれ縦断又は横断している。また、第1封止層接続溝144は、各辺に対して平行に形成されている。
第1封止層接続溝145は、各辺に対応してそれぞれ配されており、縦方向及び横方向においてそれぞれ縦断又は横断している。第1封止層接続溝145は、一部を除いて各辺に対して平行に形成されている。
具体的には、第1封止層接続溝145は、図25のように縦方向l(長さ方向)に延びた第1封止縦溝164a,164b,164cと、横方向w(幅方向)に延びた第1封止横溝165a,165bから形成されている。
第1封止縦溝164a,164bと,第1封止縦溝164cは、発光領域130を基準として縦方向lの第1封止層接続溝144の両外側に位置している。同様に、第1封止横溝165aと第1封止横溝165bは、発光領域130を基準として横方向wの第1封止層接続溝144の両外側に位置している。
一方側(図25では右側)に位置する第1封止縦溝164a,164bは、孤立部形成溝146,147と交差して給電領域132と給電領域133を跨がって形成されており、給電領域133内で所定の間隔を空けて同一直線上に並んでいる。つまり、縦方向lにおいて、第1封止縦溝164a,164bは、所定の間隔を空けてガラス基板2を縦断している。
他方側(図25では左側)に位置する第1封止縦溝164cは、ガラス基板2を縦断しており、ガラス基板2の縦辺と平行となっている。すなわち、第1封止縦溝164cは、第1封止縦溝164a,164bに対して平行となっている。
孤立部形成溝146,147は、図12,図25,図26のように、ガラス基板2上の第1電極層3、機能層5及び第2電極層6を除去する溝であり、縦方向lにおいて、発光領域130と給電領域132及び発光領域130と給電領域133を分離している。
また、孤立部形成溝146,147は、ともに横方向wに延びており、孤立部形成溝146,147の一部は、図15のように第1電極層3の一部を切り離して孤立部150を形成している。孤立部形成溝146,147内には、第1無機封止層50の一部が進入しており、第1無機封止層50は孤立部形成溝146,147の底部でガラス基板2と直接接触している。
孤立部形成溝146は、図25のように第1封止層接続溝144及び第1封止縦溝164aと交差(直交)している。孤立部形成溝147は、第1封止層接続溝144及び第1封止縦溝164bと交差(直交)している。また、孤立部形成溝146,147は、中央側端部で、その一部が孤立部形成溝140と連続している。
ここで、各溝の位置関係について説明する。
まず横方向wに注目すると、図17,図19のように発光領域130を基準として孤立部形成溝140の外側に電極接続溝141が位置している。また、第1封止層接続溝144の両外側に第1封止層接続溝145が位置しており、第1封止層接続溝144と第1封止層接続溝145の間に補助電極接続溝142,143がそれぞれ位置している。すなわち、図18のように第1封止層接続溝144と第1封止層接続溝145によって切り離された補助電極部158を有している。また、図19のように、一方の補助電極部158内に補助電極接続溝142及び補助電極縦溝152a,152bが位置しており、他方の補助電極部158内に補助電極縦溝152cが位置している。
このように、有機EL装置100は、横方向wにおいて、中央側から一方の外側に向けて孤立部形成溝140、電極接続溝141、第1封止層接続溝144、補助電極接続溝142,143、第1封止層接続溝145の順に配列している。また、有機EL装置100は、中央側から他方の外側に向けて第1封止層接続溝144、補助電極接続溝143、第1封止層接続溝145の順に配列している。
一方、縦方向lに注目すると、図17,図19のようにガラス基板2の中央を基準として孤立部形成溝146,147の外側に第1封止層接続溝144,144が位置している。また、第1封止層接続溝144,144の外側に第1封止層接続溝145,145が位置しており、第1封止層接続溝144と第1封止層接続溝145の間に補助電極接続溝143がそれぞれ位置している。すなわち、図18のように第1封止層接続溝144と第1封止層接続溝145によって切り離された補助電極部159を有しており、図19のように補助電極部159内に補助電極横溝153a,153bが位置している。
このように、有機EL装置100は、縦方向lにおいて、中央側から一方の外側に向けて孤立部形成溝146、第1封止層接続溝144、補助電極接続溝143、第1封止層接続溝145の順に配列している。また、有機EL装置100は、中央側から他方の外側に向けて孤立部形成溝147、第1封止層接続溝144、補助電極接続溝143、第1封止層接続溝145の順に配列している。
続いて、有機EL装置100の各部位の位置関係について説明する。
均熱シート111は、図12,図16のように無機封止層7上に面状に広がりをもって載置されており、少なくとも発光領域130全体に位置している。すなわち、均熱シート111は、発光領域130内の有機EL素子12の部材厚方向の投影面上を覆っている。しかしながら、均熱シート111は、非発光領域131まで至っていない。
また、均熱シート111の気体流通孔125は、図12,図29のように発光領域130内にまんべんなく分布している。
軟質樹脂層8は、図12,図14のように均熱シート111の上面全体に面状に広がりをもって載置されており、均熱シート111と同様、少なくとも発光領域130全体に位置している。すなわち、軟質樹脂層8は、発光領域130内の有機EL素子12の部材厚方向の投影面上を覆っており、図16のように均熱シート111の気体流通孔125上を覆っている。しかしながら、均熱シート111は、非発光領域131まで至っていない。
硬質樹脂層10は、図12,図14のように、防湿シート114が発光領域130内の有機EL素子12に近接しないように支持している。すなわち、硬質樹脂層10は、発光領域130を含む領域を囲むような壁部を形成している。硬質樹脂層10は、非発光領域131から発光領域130に跨がって形成されている。
防湿シート114は、図11,図16のように少なくとも軟質樹脂層8全体及び硬質樹脂層10の一部又は全体に跨がって設置されている。すなわち、防湿シート114は、図12,図14のように、発光領域130及び非発光領域131の2つの領域に跨がって配されている。なお、本実施形態では、防湿シート114は、図20のように軟質樹脂層8及び硬質樹脂層10全体に設置されている。
防湿シート114が非発光領域131まで延在しているため、外部と、発光領域130内の有機EL素子12との距離を遠くすることができ、発光領域130内の有機EL素子12内への水等の進入を効果的に防止することができる。
ここで、防湿シート114と硬質樹脂層10との接着部位について注目すると、図30のように防湿シート114は、平面視した際に、防湿シート114の周端部(防湿シート114の縁)から内側の5mm以内の塗布領域160を有している。
硬質樹脂層10は、防湿シート114のガラス基板2側の面に設けられている。また、硬質樹脂層10は、塗布領域160内を全周に亘って設けられている。
硬質樹脂層10の幅W3(塗布領域160の周方向に対して直交する方向の長さ)は、0.1mm以上5mm以下となっている。そのため、非発光領域131に位置する第1電極層3、無機封止層7と十分な接着面積を有するため、十分な一体化強度を確保できる。
次に、本実施形態に係る有機EL装置100の製造方法について説明する。
有機EL装置100は、図示しない真空蒸着装置及びCVD装置によって成膜し、図示しないパターニング装置(本実施形態では、レーザースクライブ装置)を使用してパターニングを行い、製造される。
まず、有機EL素子12を積層する有機EL素子形成工程を行う。
具体的には、スパッタ法やCVD法によってガラス基板2の一部又は全部に第1電極層3を成膜し、この第1電極層3が成膜されたガラス基板2に対して、図21のようにレーザースクライブ装置によって孤立部形成溝140を形成する。
このとき、孤立部形成溝140は、図21のようにガラス基板2の縦辺に平行に形成されている。
孤立部形成溝140は、図12(b)のように有機EL装置100が形成された際に発光領域130と給電領域133の境界部位に形成されている。
次に、図22のように真空蒸着装置によって、この基板(第1電極層3が積層されたガラス基板2)に電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層などを順次積層し、機能層5を成膜する。
このとき、機能層5は、図22のようにガラス基板2全面に積層されており、孤立部形成溝140内に機能層5が積層され、孤立部形成溝140内に機能層5が充填されている。
その後、図23のように機能層5が成膜された基板に対して、レーザースクライブ装置によって電極接続溝141、補助電極接続溝142,143を形成する。
このとき、電極接続溝141は、図12(b)のように給電領域133に位置しており、縦辺に平行に形成されている。補助電極接続溝142,143は、図23のように各辺に対して平行に形成されており、補助電極接続溝142,143は内外方向において電極接続溝141の外側に位置している。
次に、図24のように真空蒸着装置によって、この基板(機能層5が積層されたガラス基板2)に第2電極層6を成膜する。
このとき、第2電極層6は、図24のように機能層5上に全面積層されている。電極接続溝141及び補助電極接続溝142,143内に第2電極層6が充填されている。すなわち、補助電極接続溝142,143において、電極補助部162,163が形成されている。
その後、第2電極層6が成膜された基板に対して、図25のようにレーザースクライブ装置によって第1封止層接続溝144,145及び孤立部形成溝146,147を形成する。
このとき、第1封止層接続溝144,145は、図25のように各辺に対して平行に形成されており、第1封止層接続溝145は内外方向において第1封止層接続溝144の外側に位置している。
孤立部形成溝146,147は、縦辺に対して直交方向に延びており、その端部が孤立部形成溝140と連続している。すなわち、孤立部形成溝140及び孤立部形成溝146,147によって第1電極層3が分離されており、孤立部150が形成されている。すなわち、面方向においては、第1電極層3の一部である孤立部150と他の第1電極層3は電気的に縁切りされている。
以上が、有機EL素子形成工程である。
続いて、無機封止層7を形成する無機封止層積層工程を行う。
具体的には、まず、図26のように、この基板(有機EL素子12が積層されたガラス基板2)の一部をマスクで覆い、CVD装置によって、第1無機封止層50を成膜する。
このとき、第1無機封止層50は、図2のように、少なくとも発光領域130内の第2電極層6上を覆っており、さらに第1封止層接続溝145を超えて外側まで被覆している。しかしながら、ガラス基板2の端部まで被覆していない。すなわち、図26のように第1無機封止層50から有機EL素子12が張り出した張出部151が形成されている。
また、図26のように、第1封止層接続溝144,145及び孤立部形成溝146,147内には、第1無機封止層50が充填されている。すなわち、発光領域130内の有機EL素子12が第1無機封止層50によって封止されている。
その後、第1無機封止層50を成膜した基板をCVD装置から取り出して、第1無機封止層50に第2無機封止層51の原料を塗布し、第2無機封止層51を形成し、図27のように無機封止層7が形成される。
このとき、図27のように第1無機封止層50上の全面を第2無機封止層51が覆っている。
このようにして、乾式法によって形成された第1無機封止層50上に湿式法によって形成された第2無機封止層51が積層されて無機封止層7が形成される。
その後、第2無機封止層51が成膜された基板に対して、再び真空雰囲気下に移動し、レーザースクライブ装置によって、第1無機封止層50から有機EL素子12が張り出した張出部151(図26参照)にあたる位置にレーザーを照射し、図28のように、第1電極層3より上の層を除去する。
このとき、図28のように、第1電極層3より上の層を除去された除去領域156は、第1封止層接続溝145よりも外側であって、かつガラス基板2の各辺に沿って形成されている。
すなわち、除去領域156は、発光領域130(図17参照)の周りを囲むように形成されており、給電領域132内の第1電極層3の一部と給電領域133内の第1電極層3(孤立部150)の一部が無機封止層7から露出し、給電部135,136を形成している。
そして、上記した手順によって得られた基板に、均熱シート111を載置し、接着する。その後、均熱シート111に対して、軟質樹脂層8を接着する。
このとき、均熱シート111は、図2のように少なくとも発光領域130内の無機封止層7上に載置されている。すなわち、均熱シート111は、発光領域130内の有機EL素子12の全面を間接的に覆っている。
軟質樹脂層8は、均熱シート111上であって、発光領域130内の有機EL素子12の部材厚方向の投影面上に位置している。
続いて、軟質樹脂層8を設置した基板に、硬質樹脂層10の原料をディスペンサーによって塗布し、硬質樹脂層10上に防湿シート114を載置し、所定の温度T1下において硬質樹脂層10の原料を乾燥/硬化させることによって硬質樹脂層10を形成する。
このとき、硬質樹脂層10は、図12のように、除去領域156内の第1電極層3と第2無機封止層51と軟質樹脂層8に跨がって形成されている。すなわち、除去領域156内の第1電極層3と第2無機封止層51と軟質樹脂層8は、図12のように硬質樹脂層10を介して、防湿シート114と直接接着されている。
また、硬質樹脂層10は、給電領域132,133内において、機能層5、第2電極層6、無機封止層7の端面を超えて覆っており、除去領域156内の第1電極層3と直接接触している。すなわち、硬質樹脂層10の一部と除去領域156の第1電極層3が直接接続した硬質樹脂接続部161を形成しており、この硬質樹脂接続部161は発光領域130の外側を連続して囲んでいる。
またこのとき、発光領域130に位置する軟質樹脂層8の一部は、硬質樹脂層10が覆われていない。すなわち、防湿シート114を剥がすと、図20のように軟質樹脂層8が露出する硬質樹脂層10の開口が形成されている。当該開口の面積は、発光領域130の面積に比べて一回り大きくなっている。当該開口の面積は、軟質樹脂層8の面積の90パーセント以上99パーセント以下となっており、95パーセント以上98パーセント以下であることが好ましい。
また、このときの所定の温度T1は、硬質樹脂層10が硬化する温度であり、摂氏60度以上摂氏100度以下となっている。
摂氏60度未満になると、十分に硬質樹脂層10内の水分が蒸発せず、内部に水分が残るおそれがある。また、硬質樹脂層10を硬化させるのに時間がかかり、製造効率が低下するおそれがある。摂氏100度より高くなると、温度が高すぎて、有機EL素子12に悪影響を及ぼすおそれがある。
その後、図11のように給電領域132内の第1電極層3の一部と給電領域133内の第1電極層3(孤立部150)の一部が露出した給電部135,136に導電性接着材115によって給電部材116,117を取り付ける。
このとき、使用する導電性接着材115は、接着機能と導電性を有したものであれば、特に限定されないが、例えば、異方性導電膜(AFC)や低温はんだなどが採用できる。
このようにして、有機EL装置100が完成する。
最後に、有機EL装置100の各層の構成について説明する。
有機EL装置100は、上記したようにガラス基板2の主面上に、第1電極層3と機能層5と第2電極層6とがこの順に積層し、その上から無機封止層7で封止したものである。さらに、無機封止層7上に均熱シート111、軟質樹脂層8が載置され、硬質樹脂層10によって固定されている。また、軟質樹脂層8上に均熱シート111が載置され硬質樹脂層10によって有機EL素子12が封止されている。
均熱シート111は、基本的には、第1実施形態の均熱シート11と同様であり、気体流通孔125を複数有している点で異なる。
気体流通孔125は、図29のように、均熱シート111の部材厚方向に貫通した貫通孔であり、開口形状が線状に延びた長方形状のスリットである。
気体流通孔125は、均熱シート111の面内にまんべんなく分布されている。
気体流通孔125の開口の長辺(最大外形寸法)は、1mm以上10mm以下であることが好ましく、2mm以上5mm以下であることがより好ましい。気体流通孔125の長辺が1mm未満になると、十分に気体を排出できない場合があり、気体流通孔125の長辺が10mmより大きくなると、異物が混入しやすい。
均熱シート111は、複数の気体流通孔125が縦横に所定の規則に従って分布されている。
具体的には、均熱シート111は、図29のように複数の気体流通孔125aが縦方向l(長手方向)に配列した縦流通群126と、複数の気体流通孔125bが横方向w(縦方向に対して直交する方向)に配列した横流通群127とを有している。
縦流通群126は、縦方向lに均熱シート111全体を横切るように各気体流通孔125a間に所定の間隔を空けて並んでおり、各気体流通孔125aの長辺は、同一直線上に並んでいる。すなわち、縦流通群126を形成する各気体流通孔125aは不連続であり個々に独立している。
隣接する気体流通孔125a間の間隔(最近接部位間の距離)は、0mmより大きく7mm以下であることが好ましく、3mm以上6mm以下であることがより好ましい。
横流通群127は、横方向wに均熱シート111全体を横切るように各気体流通孔125b間に所定の間隔を空けて並んでおり、各気体流通孔125bの長辺は、同一直線上に並んでいる。すなわち、横流通群127を形成する各気体流通孔125bは不連続であり個々に独立している。
隣接する気体流通孔125b間の間隔(最近接部位間の距離)は、0mmより大きく7mm以下であることが好ましく、3mm以上6mm以下であることがより好ましい。
このように縦流通群126を形成する気体流通孔125aと、横流通群127を形成する気体流通孔125bは、互いに交差する関係となっている。
また、縦流通群126内の隣接する2つの気体流通孔125a間の間隔内に横流通群127内の隣接する2つの気体流通孔125bを結んだ直線が通過する関係となっている。横流通群127内の隣接する2つの気体流通孔125b間の間隔内に縦流通群126内の隣接する2つの気体流通孔125aを結んだ直線が通過する関係となっている。
本実施形態では、縦流通群126内の隣接する2つの気体流通孔125a間の間隔内に横流通群127を形成する気体流通孔125bが位置しており、横流通群127内の隣接する2つの気体流通孔125b間の間隔内に縦流通群126を形成する気体流通孔125aが位置している。
横方向wに隣接する縦流通群126,126の間隔は、1mm以上10mm以下であることが好ましく、2mm以上5mm以下であることがより好ましい。
縦方向lに隣接する横流通群127,127の間隔は、1mm以上10mm以下であることが好ましく、2mm以上5mm以下であることがより好ましい。
防湿シート114は、防湿性を有したシート状の部材である。防湿シート114としては、防湿性を有していれば、特に限定されないが、例えば、アルミニウム薄膜であって、圧延工程により形成されたものなどが採用できる。
防湿シート114の平均厚みは、1μm以上15μm以下であることが好ましい。
上記した実施形態では、軟質樹脂層8を設けたが、本発明はこれに限定されるものではなく、軟質樹脂層8を設けなくてもよい。
上記した実施形態では、ガラス基板2として長方形状のガラス基板を用いた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく正方形状であってもよい。
上記した第2実施形態では、軟質樹脂層8上に防湿シート114が載置していたが、本発明はこれに限定されるものではなく、軟質樹脂層8と防湿シート114の間に気体を吸着可能な気体吸着シートが介在していてもよい。気体吸着シートとしては、第2無機封止層51から生じる気体を吸収できるものであれば、特に限定されないが、例えば、下地樹脂シート上に硫酸マグネシウム、酸化アルミニウム、塩化カルシウム、水素化カルシウム、酸化カルシウム、硫酸カルシウム、水素化カリウム、シリカゲル、硫酸銅、酸化マグネシウム、過塩素酸マグネシウム、モレキュラーシーブ等の公知の乾燥剤やゼオライト、珪藻土、ベントナイトなどの大きな表面積を有する公知の担体を設けたものを用いることができる。
上記した実施形態では、無機封止層7上に両面が粘着性を有した軟質樹脂層8によって貼り合わせたが、本発明はこれに限定されるものではなく、真空ラミレーターによって貼り合わせてもよい。
以下に、実施例をもって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
本発明の具体的な実施例及び実施例に対する比較例の有機EL装置の作製手順と、これらの評価結果を説明する。
〔実施例1〕
有機EL装置を形成するための基板としては、片面である一方の面の全面に第1電極層3としてITO(インジウム・錫酸化物、膜厚150nm)が積層されている無アルカリガラス(縦90mm×横90mm×厚さ0.7mm)を用いた。この基板にレーザースクライブ装置を用いて、第1電極層分離溝15を形成した。
次に、この基板を真空蒸着装置に移動させ、真空中で以下のように材料を成膜した。
第1電極層3上に、一方の面の全面に亘って、正孔注入層として4,4’−ビス[N−(2−ナフチル)−N−フェニルーアミノ]ビフェニル(以下、NPBともいう)と三酸化モリブデンの混合層を用い、真空蒸着法にて10nmの膜厚で成膜した。正孔注入層のNPBと三酸化モリブデンは共蒸着法にて膜厚比率で9:1となるように成膜した。
次いで、正孔輸送層としてNPBを、真空蒸着法により50nm(蒸着速度0.08nm/sec.〜0.12nm/sec.)の膜厚で成膜した。
次いで、発光層兼電子輸送層としてトリス(8−キノリノラート)アルミニウム(以下、Alq3と略す)を、真空蒸着法により、70nm(蒸着速度0.24nm/sec.〜0.28nm/sec.)の膜厚で成膜した。
次いで、電子注入層としてLiFを用い、真空蒸着法にて1nm(蒸着速度0.03nm/sec.〜0.05nm/sec.)の膜厚で成膜した。
この電子注入層上に機能層5の一部としてアルミニウム(Al)を真空蒸着法にて300nm(蒸着速度0.3nm/sec.〜0.5nm/sec.)の膜厚で成膜した。
このように機能層5を形成した。
続いて、第2電極層6としてAlを真空蒸着法にて150nm(蒸着速度0.3nm/sec.〜0.5nm/sec.)の膜厚で成膜した。
その後、プラズマCVD装置に移動させて、第1無機封止層50として2μmの窒化珪素膜を形成し、そして、この有機EL素子12を真空雰囲気から窒素雰囲気で満たされたグローブボックスに移動させて、ポリシラザン誘導体であるクラリアント社製アクアミカNL120A−05を固化時の膜厚が1μmとなるように塗布して固化し、第2無機封止層51を形成し、合計厚み3μmの無機封止層7を形成することで1次封止を行った。
その後、表面に接着剤が塗布された厚み25μmのブチルゴム系樹脂フィルム(ショアA60、曲げ弾性率25MPa)を第2無機封止層51上に貼り合わせて軟質樹脂層8を形成し、ディスペンサーで熱硬化型エポキシ樹脂(硬化後の硬さショアD87、曲げ弾性率2500MPa)を軟質樹脂層の縁に沿ってこれらの層の平均重なり幅が1mmとなるように塗布した。その後、均熱シート11を接着した。こうして2次封止を行って有機EL装置を作製し実施例1とした。なお、実施例1で使用した均熱シート11は、両面をPET(ポリエチレンテレフタレート)製のフィルムで被覆した42アロイ製のシート(線膨張率:4.2ppm/K、熱伝導率:14.6W/m・K)である。また、PETフィルムの平均厚みは、ともに25μmであり、42アロイシートの平均厚みは、20μmである。
〔実施例2〕
実施例1において、異なる均熱シート11を用いたこと以外は同様として有機EL装置を作製し実施例2とした。なお、実施例2で使用した均熱シート11は、両面をPET製のフィルムで被覆したアルミニウム製のシート(線膨張率:23ppm/K、熱伝導率:220W/m・K)である。また、PETフィルムの平均厚みは、ともに25μmであり、アルミニウムシートの平均厚みは、9μmである。
〔実施例3〕
実施例2において、均熱シート11の厚みを変更したこと以外は同様として有機EL装置を作製し実施例3とした。なお、実施例3で使用した均熱シート11は、両面をPET製のフィルムで被覆したアルミニウム製のシートである。また、PETフィルムの平均厚みは、ともに25μmであり、アルミニウムシートの平均厚みは、20μmである。
〔実施例4〕
実施例2において、均熱シート11の厚みを変更したこと以外は同様として有機EL装置を作製し実施例4とした。なお、実施例4で使用した均熱シート11は、両面をPET製のフィルムで被覆したアルミニウム製のシートである。また、PETフィルムの平均厚みは、ともに25μmであり、アルミニウムシートの平均厚みは、30μmである。
〔実施例5〕
実施例1において、異なる均熱シート11を用いたこと以外は同様として有機EL装置を作製し実施例5とした。なお、実施例5で使用した均熱シート11は、両面をPET製のフィルムで被覆したチタン製のシート(線膨張率:8.5ppm/K、熱伝導率:22W/m・K)である。また、PETフィルムの平均厚みは、ともに25μmであり、チタンシートの平均厚みは、20μmである。
〔実施例6〕
実施例1において、異なる均熱シート11を用いたこと以外は同様として有機EL装置を作製し実施例5とした。なお、実施例6で使用した均熱シート11は、両面をPET製のフィルムで被覆した銅製のシート(線膨張率:17ppm/K、熱伝導率:400W/m・K)である。また、PETフィルムの平均厚みは、ともに25μmであり、銅シートの平均厚みは、12μmである。
〔比較例1〕
実施例2において、均熱シート11の厚みを変更したこと以外は同様として有機EL装置を作製し比較例1とした。なお、比較例1で使用した均熱シート11は、両面をPET製のフィルムで被覆したアルミニウム製のシートである。また、PETフィルムの平均厚みは、ともに25μmであり、アルミニウムシートの平均厚みは、50μmである。
〔比較例2〕
比較例1において、無機封止層7と均熱シート11の接着に軟質樹脂層を用いず、全面を熱硬化型エポキシ樹脂で接着したこと以外は、同様として有機EL装置を作製し比較例2とした。当然、比較例2で使用した均熱シート11は、両面をPET製のフィルムで被覆したアルミニウム製のシートである。また、PETフィルムの平均厚みは、ともに25μmであり、アルミニウムシートの平均厚みは、50μmである。
〔比較例3〕
実施例2において、均熱シート11の厚みを変更したこと以外は同様として有機EL装置を作製し比較例3とした。なお、比較例3で使用した均熱シート11は、両面をPET製のフィルムで被覆したアルミニウム製のシートである。また、PETフィルムの平均厚みは、ともに25μmであり、アルミニウムシートの平均厚みは、100μmである。
〔比較例4〕
比較例2において、異なる均熱シート11を用いたこと以外は同様として有機EL装置を作製し比較例4とした。なお、比較例4で使用した均熱シート11は、両面をPET製のフィルムで被覆したステンレス(SUS)製のシート(線膨張率:10〜17ppm/K、熱伝導率:13〜26W/m・K)である。また、PETフィルムの平均厚みは、ともに25μmであり、SUSシートの平均厚みは、50μmである。
(反り検証試験)
定盤に封止面を上に設置し、パネル4隅を隙間ゲージにて反り量を測定した。反り検証試験の結果を表1に示す。
Figure 0006124623
比較例1〜4のいずれの有機EL装置においても、反り量が0.45mm以上と大きく反ったのに対して、実施例1〜6のいずれの有機EL装置においても、0.45mm未満に収まり、実施例1〜6の有機EL装置の中で最も反ったものでも、0.25mm以下に収まった。
(短絡検証試験)
摂氏60度、相対湿度85パーセント、1000cd/m2で点灯にて加速試験を行い、短絡による不点灯有無を検証した。短絡検証試験の結果を表2に示す。
Figure 0006124623
軟質樹脂層を使用しなかった比較例2の有機EL装置では、200時間で不点灯になったのに対し、軟質樹脂層を使用した有機EL装置では、1000時間まで不点灯にならなかった。
1,100 有機EL装置
2 ガラス基板(基材)
3 第1電極層
5 機能層(有機発光層)
6 第2電極層
7 無機封止層(封止層)
8 軟質樹脂層
10 硬質樹脂層(接着材層)
11,111 均熱シート
12 有機EL素子(積層体)
30,130 発光領域
33,131 非発光領域
38,160 環状領域

Claims (5)

  1. ガラス基板上に第1電極層と、有機発光層と、第2電極層を備えた積層体と、前記積層体の全部又は一部を封止する封止層を有する断面構造を備え、ガラス基板を平面視した際に点灯時に実際に発光する発光領域と、点灯時に発光しない非発光領域を有する有機EL装置において、
    前記封止層は、前記発光領域内の積層体上を覆っており、
    当該封止層上に5μm以上40μm以下の平均厚みを有した均熱シートを有し、
    当該均熱シートは、300Kにおける面内での線膨張率が−2ppm/K以上25ppm/K以下であって、かつ、熱伝導率が10W/m・K以上であり、
    前記封止層と前記均熱シートとの間に軟質樹脂層が介在しており、
    当該軟質樹脂層の少なくとも一部は、少なくとも発光領域内の積層体上に位置し、
    当該軟質樹脂層は、平均厚みが2μm以上100μm以下であって、かつ、JIS K 6253に準じたショア硬さがA30以上A70以下であることを特徴とする有機EL装置。
  2. 前記均熱シートは、300Kにおける面内での線膨張率が18ppm/K以下であることを特徴とする請求項1に記載の有機EL装置。
  3. 前記軟質樹脂層は、表面に粘着性加工が施されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機EL装置。
  4. 前記ガラス基板は、平均厚みが0.1mm以上2mm以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の有機EL装置。
  5. 前記均熱シートは、アルミニウム、銅、ステンレス、鉄、チタン、42アロイ、グラファイト、インバー、タンタル、ジルコニウム、タングステン、モリブデン、及びコバールの群から選ばれる少なくとも1種から形成されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の有機EL装置。
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