JP6126835B2 - ダンパーを使用せずに振動を低減するリンク機構 - Google Patents

ダンパーを使用せずに振動を低減するリンク機構 Download PDF

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Description

本発明は、ダンパーを使用せずに振動を低減するリンク機構に関する。
建築物の上層階にフィットネスやエアロビクスなどのスタジオを設置する場合には、スタジオ内での人間の運動動作により、スタジオ設置階で発生する水平振動が、構造物の水平方向の高次モードを励起し、スタジオの下階及び上階に振動障害を引き起こす可能性がある。
スタジオの下階及び上階において、人間の運動動作が原因の水平振動が生じる場合、その共振振動数は特定の値で定義できるものではなく、どの振動数で共振するか分からないため、一般に対策が困難である。
ここに、構造物の振動低減を目的としたリンク機構が提案されている(特許文献1)。
特許文献1は、振動を減衰させる減衰装置(ダンパー)を建築物の層間に設置する際に、リンク機構を介して設置することで、層間の変形を2〜3倍程度に増幅し、減衰装置に伝達させることができる。この結果、リンク機構を使用しない場合より、減衰装置を大きく作動させ高い減衰効果を得ることができる。
なお、リンク機構は機械分野において古くから用いられている機構であり、「てこの原理」を利用して、力を効率良く増幅・変換・伝達することができる。また、「リンク機構」という名称以外に「トグル機構」の名称で用いられる場合もある。
特開2002−4629号公報
しかし、特許文献1は、トグル機構を構造物の層間に設置し、層間の変形を増幅してダンパーに伝達させることで、通常より大きな制振効果を得ることを目的としたものである。このため、ダンパーの設置を必須とし、構造が複雑で施工費用が高額となる。
本発明は、上記事実に鑑み、ダンパーを使用せずに、構造体の振動を低減させるリンク機構を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明に係るダンパーを使用せずに振動を低減するリンク機構は、柱梁架構で上下階が構築された構造体の、上階の上部梁の第1柱梁仕口に一端がピン接合された第1リンク部材と、前記構造体の下階の下部梁であり、前記第1柱梁仕口を含む鉛直平面上の対角位置にある第2柱梁仕口に一端がピン接合された第2リンク部材と、前記鉛直平面上であり、前記上階の下部梁の第3柱梁仕口に一端がピン接合された第3リンク部材と、前記柱梁架構の内側の前記鉛直平面上で、前記第1リンク部材の他端、前記第2リンク部材の他端、及び前記第3リンク部材の他端がピン接合された連結部と、を有することを特徴としている。
請求項1に記載の発明によれば、3本のリンク部材で構成されるリンク機構において、リンク部材の一端が、柱梁架構で上下階が構築された構造体の上階の上部梁の第1柱梁仕口、第1柱梁仕口を含む鉛直平面上の対角位置にある第2柱梁仕口、第1柱梁仕口を含む鉛直平面上であり、上階の下部梁の第3柱梁仕口にそれぞれピン接合されている。また、3本のリンク部材の他端は、柱梁架構の内側の第1柱梁仕口を含む鉛直平面上の連結部で、いずれもピン接合されている。
これにより、3本の直状のリンク部材で、構造体を構成する構造部材の可動範囲が制約され、構造体の振動特性を強制的に変化させることができる。
この結果、例えば、上階の上部梁に水平荷重を加えた場合に、上階の下部梁(上階の床)の水平方向の振動(加速度伝達率)を低減させることができる。即ち、急激な床面の振動を緩やかな振動に変えることができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のダンパーを使用せずに振動を低減するリンク機構において、前記第3リンク部材は水平状態で前記連結部にピン接合されていることを特徴としている。
これにより、第3柱梁仕口に伝達された水平方向の力を、軸力としてより効果的に第3リンク部材に伝えることができ、リンク機構で、上階の梁(上階の床)の水平方向の加速度伝達率をより低減させることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のダンパーを使用せずに振動を低減するリンク機構において、前記連結部が前記下階の柱梁架構の内側に設けられていることを特徴としている。
これにより、第1柱梁仕口に加えられた水平方向の力を、第1リンク部材を介して、連結部で第2リンク部材と第3リンク部材に略均等に伝達させることができ、リンク機構で、上階の梁(上階の床)の水平方向の加速度伝達率を、より低減させることができる。
本発明は、上記構成としてあるので、ダンパーを使用せずに、構造体の振動を低減させるリンク機構を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係るリンク機構を構造体に組み込んだ基本構成を示す正面図である。 本発明の第1実施形態に係るリンク機構の基本構成を示す正面図である。 本発明の第1実施形態に係るリンク機構を構造体に組み込む手順を説明する概念図であり、(A)は構造体を、(B)はリンク機構を、(C)はリンク機構を構造体に組み込んだ状態を、(D)は水平外力が作用した場合の構造体の変形を示す概念図である。 (A)は構造体を、(B)〜(D)は構造体に剛性の異なる補強部材を取付けた状態を示す正面図である。 構造体に補強部材を取付けた場合の加速度伝達率特性を示す特性図である。 (A)は本発明の第1実施形態に係るリンク機構を備えた構造体、(B)はリンク機構や補強部材を備えていない構造体、(C)は補強部材を備えた構造体の加速度伝達率の解析モデルを示す正面図である。 (A)は図5の解析モデルの加速度伝達率の解析結果を示す特性図であり、(B)は変位伝達率の解析結果を示す特性図である。 (A)はリンク機構や補強部材を備えていない構造体の1次振動、(B)は2次振動、(C)は本発明の第1実施形態に係るリンク機構を備えた構造体の1次振動、(D)は2次振動による変形形状を示す正面図である。 (A)〜(E)はいずれも、本発明の第1実施形態に係るリンク機構の他の展開例を示す正面図である。 は本発明の第2実施形態に係るリンク機構を構造体に組み込んだ基本構成を示す正面図である。 (A)は図10の解析モデルの加速度伝達率の解析結果を示す特性図であり、(B)は変位伝達率の解析結果を示す特性図である。
(第1実施形態)
図1〜3に示すように、第1実施形態に係るリンク機構10は、柱梁架構で上下階が構築された構造体24に、下記要領で取り付けられている。
リンク機構10は、図2の正面図に示すように、接合部の間を直線状に結ぶ所定の長さを有し、座屈を生じない十分な剛性を備えた鋼製(例えばH形鋼)の3本の構造部材(リンク部材12、14、16)で構成されている。
リンク部材12は両端部にピン接合部12a、12bを備え、リンク部材14は両端部にピン接合部14a、14bを備え、リンク部材16は両端部にピン接合部16a、16bを備えている。リンク部材12、14、16の一方の端部のピン接合部12b、14b、16bは、連結部40でピン接合されている。なお、ピン接合部12b、14b、16bは、連結部40に重ねて表示されている。
これにより、連結部40を中心に自由に回転可能とされ、リンク部材12のピン接合部18aは円C1上を平面的に移動することができ、リンク部材14のピン接合部22aは円C2上を平面的に移動転することができ、リンク部材16のピン接合部20aは円C3上を平面的に移動することができる。
図3(A)に示すように、構造体24は、H形鋼製の下階柱36、38、上階柱32、34、下階下梁30、上階上部梁26、及び上階下部梁(下階上部梁)28で柱梁架構が構築されている。また、上階上部梁26と上階柱34との柱梁仕口S1にはピン接合受け部18Uが設けられ、上階下部梁28と上階柱34との柱梁仕口S2にはピン接合受け部20Uが設けられ、下階下部梁30と下階柱36との柱梁仕口S3にはピン接合受け部22Uが設けられている。
なお、構造体24は立体的な構造物であり、柱梁架構は、紙面と直交する方向に奥行が構築されている。リンク機構10は、構造体24の空間を横切らないように柱梁架構が構築された面と平行に、柱梁架構と近接して配置するのが望ましい。
次に、リンク機構10の構造体24への組込みについて説明する。
図3に組み込み手順を示している。即ち、図3(A)に記載した構造体24に、図3(B)に記載したリンク機構10を組込む。ここに、構造体24の上階の柱32、34と下階の柱36、38はほぼ同じ長さとされている。この結果、リンク部材12とリンク部材14は、ほぼ同じ長さとされている。また、リンク部材16は、上階の下部梁28のほぼ半分の長さとされている。
構造体24の3つの柱梁仕口S1、S2、S3のピン接合受け部18U、20U、22Uには、3本のリンク部材12、14、16の3つのピン接合部18a、20a、22aが、それぞれピン接合されている。これにより、図3(C)に示すリンク機構10を組込んだ構造体24となる(図1と同じ)。
図3(C)において、3本のリンク部材12、14、16は、それぞれの可動性を確保するため、構造体24の柱梁架構と互いに干渉しないよう取付けている。また、リンク部材12とリンク部材14は、上下階に跨って取付けている。即ち、構造体24へ接続する3か所のピン接合部18a、20a、22aのうち、2か所(ピン接合部18a、22a)は、構造体24の対角位置(例えば柱梁仕口S1、S3)に配置されている。残りの1箇所(ピン接合部20a)は、上階の下部梁28と柱34との柱梁仕口S2に取付けられている。なお、連結部40は、構造体24の内部、即ち、梁26と梁30、及び柱32、36と柱34、38で囲まれる空間の内部に配置されている。
上記構成とすることにより、詳細は後述するが、図3(D)に示すように、水平外力42を上階の柱梁仕口S1に加えたとき、通常であれば構造体24は、1次モードでは一方向にのみ変形するが(図8(A)参照)、リンク機構10による可動範囲の制約によって、一方向に変形することができず、中央の梁が変化する変形性状となる(図8(C)参照)。このとき、構造体24の変形性状は、3本のリンク部材12、14、16の長さによって変化する。
図1を用いて、具体的な構成を説明する。
構造体24の上階の上部梁26と上階の柱34との柱梁仕口S1には、ピン接合受け部18Uが設けられ(図3(A)参照)、ピン接合受け部18Uには、リンク部材12の上端側のピン接合部18aがピン接合されている。また、構造体24の下階の下部梁30と下階の柱36との柱梁仕口S3には、ピン接合受け部22Uが設けられ(図3(A)参照)、ピン接合受け部22Uには、リンク部材14の下端側のピン接合部22aがピン接合されている。柱梁仕口S1と柱梁仕口S3は同じ鉛直平面上に設けられ、かつ、構造体24の対角位置にある角部に設けられている。
また、柱梁仕口S1、S3を含む鉛直平面と同じ鉛直平面上であり、上階の下部梁28と上階の柱34との柱梁仕口S2には、ピン接合受け部20Uが設けられている(図3(A)参照)。ピン接合受け部20Uには、リンク部材16の一端に設けられたピン接合部20aがピン接合されている。また、柱梁仕口S1、S2、S3を含む鉛直平面と同じ鉛直平面上であり、上階の下部梁28の略中央部には、連結部40が設けられ、リンク部材12の他端に設けられたピン接合部12b、リンク部材14の他端に設けられたピン接合部14b、及びリンク部材16の他端に設けられたピン接合部16bが、連結部40で回転可能に連結されている。
これにより、ピン接合部18とピン接合部22を結ぶ直線上に、リンク部材12、リンク部材14、及び連結部40が配置され、リンク部材16は、水平状態で連結部40にピン接合される。なお、リンク機構10は、すべて構造体24を外部空間と仕切る構造部材の内部側に配置されている。
上記構成とすることにより、例えば、構造体24の柱梁仕口S1に水平外力42が作用したとき、3本のリンク部材12、14、16で、構造体24を構成する構造部材の可動範囲が制約され、構造体24の振動特性を強制的に変化させることができる(図3(D)参照)。
続いて、リンク機構10による構造体24の変形性状について説明する。
先ず、図4、5を用いて、リンク機構10を組込んでいない構造体24に、一般的な補強材(斜め材)を取り付けて補強した場合について説明する。
解析モデルを図4(A)〜(D)に示す。図4(A)は、リンク機構10を取り付けていない構造体24であり、図4(B)は、構造体24の上階の、上部梁26と上階の柱32との柱梁仕口S4、及び上階の下部梁28と上階の柱34との柱梁仕口S2の間、上階の、下部梁28と上階の柱32との柱梁仕口S5、及び下階の下部水平部材30と下階の柱30との柱梁仕口S6の間に、それぞれ斜め材44を取り付けた構成である。図4(C)は、図4(B)の構成における斜め材44より、剛性が高い斜め材46を取付けた構成であり、図4(D)は、図4(C)の構成における斜め材46より、剛性が高い斜め材48を取付けた構成である。
解析は、構造体24の上部(例えば、構造体24の上部に設けられた図示しない部屋)で、複数の人間が一斉に同じ運動を実施する(例えば、エアロビクスなど)という仮定の下、上階上部の柱梁仕口S1を、水平方向に加振した際の各構造体の振動特性を算出した。構造体24の加振方法は、パルス波を柱梁仕口S1に水平方向へ入力し、その時の柱梁仕口S2点(上階床面)の水平方向の加速度や変位を求めた。加速度については、柱梁仕口S1から柱梁仕口S1への加速度伝達率Gを周波数毎に算出した(G=柱梁仕口S2での検出加速度/柱梁仕口S1への入力加速度)。
加速度伝達率Gが小さい程、上階からの加速度の伝達が抑制され少ないと判断できる。
図5に解析結果を示す。ここに、図5の横軸は周波数(Hz)であり、縦軸は加速度伝達率G(Gal/N)である。
図5の4本の特性図において、細い実線で示す特性Aは、図4(A)の補強部材なしの場合の特性であり、太い実線で示す特性Bは、図4(B)に示す最も細い補強部材を使用した場合の特性であり、破線で示す特性Cは、図4(C)に示す中間の太さの補強部材を使用した場合の特性であり、一点鎖線で示す特性Dは、図4(D)に示す最も太い補強部材を使用した場合の特性である。
図5の解析結果から、図4(A)の補強部材なしに比べて、図4(B)〜(D)に記載の補強材を用いることで、加速度伝達率Gがピークを示す共振振動数が高くなる傾向が見られる。また、補強部材の剛性を高くする(斜め材を太くする)ほど、共振振動数が高くなっていく傾向が見られる。
しかし、解析した補強材の剛性の範囲内では、加速度伝達率Gのピーク値の差は約0.15〜0.6程度(1次ピークと2次のピークいずれも同じ傾向を示した)であり、剛性の違いによる加速度伝達率Gのピーク値の低減効果はほとんど見られない。つまり、単に補強部材の剛性を高めても、加速度伝達率Gのピーク値の低減は期待できないことが確認できた。
次に、図6に示すように、構造体24にリンク機構10を取付けた状態における解析を行い、リンク機構10による加速度伝達率Gの低減効果を確認した。
図6(A)には、図1で説明したリンク機構10を組込んだ構造体24の解析モデルを示し、図6(B)には、補強部材、及びリンク機構10を組込んでいない構造体24(図4(A)と同じ)を示し、図6(C)には、構造体24に最も太い補強部材48を用いた場合の構成(図4(D)と同じ)を示す。
解析方法は、上述した補強部材の解析の場合と同じであり説明は省略する。
図7(A)に加速度伝達率の解析結果を示す。ここに、図7(A)の横軸は周波数(Hz)であり、縦軸は加速度伝達率(Gal/N)である。また、図7(B)に変位伝達率の解析結果を示す。ここに、図7(B)の横軸は周波数(Hz)であり、縦軸は変位伝達率(cm/N)である。なお、変位については、柱梁仕口S1から柱梁仕口S1へ伝達される変位量を周波数毎に算出した(変位量=柱梁仕口S2での検出変位量/柱梁仕口S1での変位量)。
図7(A)、(B)のそれぞれの3本の特性図において、太い実線で示す特性Aは、図6(A)のリンク機構10を組込んだ場合の特性であり、細い実線で示す特性Bは、図6(B)の補強なしの場合の特性であり、一点鎖線で示す特性Cは、図6(C)の最も太い補強部材48を組込んだ場合の特性である。
図7(A)の解析結果から、リンク機構10を組み込んだ特性Aの加速度伝達率G(ピーク値は約0.012〜0.02Gal/N)は、特性Bの補強部材の無しの特性や、特性Cの補強部材48を取付けた場合の特性(ピーク値は約0.3Gal/N)に比べてピークが1/15程度にまで低下しており、リンク機構10を組み込むことによる有意な差が確認できた。即ち、リンク機構10は、柱梁仕口S1に伝達された水平方向の力を、より効果的にリンク部材16に伝えることができ、リンク機構10で、上階の下部梁28の水平方向の加速度伝達率をより低減させることができるといえる。
具体的には、リンク機構10を取付けていない構造体24では、柱梁仕口S1に水平外力42を加えた場合には、図8(B)に示すように、1次モードは柱梁仕口S1の位置の変位が大きく、柱梁仕口S2の位置の変位は小さい変形となる。一方、図8(B)に示すように、2次モードは、柱梁仕口S1の位置の変位が小さく、柱梁仕口S2の位置の変位が大きい変形となる。
これに対し、リンク機構10を取付けた構造体24では、柱梁仕口S1に、同じ水平外力42を加えた場合には、図8(C)に示すように、1次モードは柱梁仕口S1の位置の変位が小さく、柱梁仕口S2の位置の変位は大きい。一方、図8(D)に示すように、2次モードは、柱梁仕口S1の位置の変位が大きく、柱梁仕口S2の位置の変位A点が小さい。即ち、構造体24にリンク機構10を取付けることにより、変位量はリンク機構10を取付けない場合とほとんど同じであるが、加速度変位、即ち、急激な柱梁仕口S2の位置の変動(床面の振動)を緩やかな振動に変えることができる。
また、図7(B)の解析結果から、変位量のピーク値は、特性Aと特性Bはほぼ同じであるが、ピーク値の発生周波数が相違する。即ち、特性Bのピーク値の発生周波数は約5Hzであるが、特性Aのピーク値の発生周波数は約0.9Hzと低下している。即ち、リンク機構10を取付けることで、緩やかな変位となっているのが分かる。
なお、リンク機構10の3本のリンク部材の構造体24への配置は、図1に示す構成で説明した。しかし、これに限定されることはなく、例えば、図9(A)のリンク機構50に示すように、リンク部材16を、柱梁仕口S2と反対側へ移動させ、柱梁仕口S5に一端をピン接合させたリンク部材17としてもよい。
また、図9(B)のリンク機構51に示すように、柱梁仕口S1に一端をピン接合させたリンク部材12を、柱梁仕口S1と反対側の柱梁仕口S4に一端をピン接合させたリンク部材13とし、同時に、柱梁仕口S3に一端をピン接合させたリンク部材14を、柱梁仕口S3の反対側の柱梁仕口S6に一端をピン接合させたリンク部材15としても良い。
更に、図9(C)のリンク機構52に示すように、図9(B)の状態で、リンク部材17に代えて、柱梁仕口S2に一端をピン接合させたリンク部材16を用いてもよい。
また、図9(D)のリンク機構53に示すように、図1に示すリンク機構10に、リンク部材17を加え、4本のリンク部材12、14、16、17を十字状に配置してもよい。更に、図9(E)のリンク機構54に示すように、図9(B)に示すリンク機構51に、リンク部材16を加え、4本のリンク部材13、15、16、17を十字状に配置してもよい。いずれのリンク機構も、本実施形態で説明した作用、効果を得ることができる。
(第2実施形態)
図10の正面図に示すように、第2実施形態に係るリンク機構60は、連結部68が、上階の下部梁28の下側に設けられている点において、第1実施形態に係るリンク機構10と相違する。相違点を中心に説明する。
図10に示すように、リンク機構60は、一端のピン接合部70aが構造体24の柱梁仕口S1にピン接合されたリンク部材62、一端のピン接合部72aが構造体24の柱梁仕口S1にピン接合されたリンク部材66、一端のピン接合部74aが柱梁仕口S3にピン接合されたリンク部材64を有している。3本のリンク部材62、64、66の他端には、いずれもピン接合部70b、ピン接合部72b、ピン接合部74bが設けられ、それらが連結部68で重ねられてピン接合されている。
連結部68は、構造体24の内側に配置され、かつ上階の下部梁28の下方に位置している。即ち、リンク部材64、リンク部材66及び接合部68が直線状に配置されている。ここに、3本のリンク部材62、リンク部材64、リンク部材66は、いずれも鋼材(例えばH形鋼)で直状に形成されている。
これにより、上階の上部梁26の柱梁仕口S1に加えられた水平方向の力42を、リンク部材62を介して、連結部68でリンク部材64とリンク部材66に略均等に伝達させることができ、リンク機構60で、上階の下部梁(上階の床)28の水平方向の加速度伝達率Gを、低減させることができる。
第1実施形態と同じ解析方法で、図10に示す、リンク機構60を組み込んだ構造体24の、柱梁仕口S2における加速度伝達率Gを解析した。
図11(A)、図11(B)に解析結果を示す。ここに、図10(A)は加速度伝達率の解析結果であり、横軸は周波数(Hz)であり、縦軸は加速度伝達率(Gal/N)である。図11(B)は変位伝達率の解析結果であり、横軸は周波数(Hz)であり、縦軸は変位量(cm/N)である。
図11(A)、図11(B)の3本の特性のうち、太い実線で示す特性Aは、図10のリンク機構60を組込んだ場合の特性であり、細い実線で示す特性Bは、図6(B)の補強部材なしの場合の特性であり、一点鎖線で示す特性Cは、図6(C)の補強部材48を組込んだ場合の特性である。
図11(A)の解析結果から、リンク機構60を組み込んだ特性Aの加速度伝達率Gのピーク値(約0.002〜0.003Gal/N)は、特性Bの補強無しの場合や、特性Cの補強部材48を組み込んだ場合の特性のピーク値(約0.3Gal/N)に比べて、ピーク値が1/100程度にまで低下しており、リンク機構60を組み込むことにより、第1実施形態よりも有意な差が得られることが確認できた。
即ち、リンク機構60を組み込むことにより、第3柱梁仕口に伝達された水平方向の力を、より効果的にリンク部材16に伝えることができ、リンク機構60で、上階の下部梁28(上階の床)の水平方向の加速度伝達率Gを、より低減させることができる。即ち、急激な床面の振動を緩やかな振動に変えることができる。
また、図11(B)の解析結果から、変位量のピーク値は、特性Aと特性Bはほぼ同じであるが、ピーク値の発生周波数が相違する。即ち、特性Bのピーク値の発生周波数は約5Hzであるが、特性Aのピーク値は約0.5Hzと低下している。即ち、リンク機構10を取付けることで、緩やかな変位となっているのが分かる。
他の構成は、第6実施形態に係る制振装置50と同一であり説明は省略する。
10 リンク機構(ダンパーを使用せずに振動を低減するリンク機構)
12 リンク部材(第1リンク部材)
14 リンク部材(第2リンク部材)
16 リンク部材(第3リンク部材)
24 構造体
26 上階上部梁
28 上階下部梁(下階上部梁)
30 下階下部梁
40 連結部
S1 柱梁仕口(第1柱梁仕口)
S2 柱梁仕口(第3柱梁仕口)
S3 柱梁仕口(第2柱梁仕口)

Claims (3)

  1. 柱梁架構で上下階が構築された構造体の、上階の上部梁の第1柱梁仕口に一端がピン接合された第1リンク部材と、
    前記構造体の下階の下部梁であり、前記第1柱梁仕口を含む鉛直平面上の対角位置にある第2柱梁仕口に一端がピン接合された第2リンク部材と、
    前記鉛直平面上であり、前記上階の下部梁の第3柱梁仕口に一端がピン接合された第3リンク部材と、
    前記柱梁架構の内側の前記鉛直平面上で、前記第1リンク部材の他端、前記第2リンク部材の他端、及び前記第3リンク部材の他端がピン接合された連結部と、
    を有するダンパーを使用せずに振動を低減するリンク機構
  2. 前記第3リンク部材は水平状態で前記連結部にピン接合されている請求項1に記載のダンパーを使用せずに振動を低減するリンク機構
  3. 前記連結部が前記下階の柱梁架構の内側に設けられている請求項1に記載のダンパーを使用せずに振動を低減するリンク機構
JP2012278455A 2012-12-20 2012-12-20 ダンパーを使用せずに振動を低減するリンク機構 Active JP6126835B2 (ja)

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