JP6123760B2 - 静電荷像現像用トナーの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真方式の画像形成に用いられる静電荷像現像用トナーの製造方法に関する。
電子写真方式の画像形成に用いられる静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」ともいう。)として、画像形成装置の省エネルギー化や高速化を図るために、より一層の低温定着性に優れたトナーが望まれている。このようなトナーとしては、例えば結着樹脂として結晶性樹脂を非晶性樹脂と併用することにより、結晶性樹脂のシャープメルト性によって、低温で定着することができるトナーが知られている。
結晶性樹脂としては、結晶性ポリエステル樹脂が一般的に用いられている。さらに、結晶性樹脂として、ポリエステル重合セグメントとウレタン重合セグメントとが結合されたウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂を用いたトナーによれば、結晶性樹脂のシャープメルト性と共に、熱定着時の高温領域における粘弾性の低下が抑制されるために、オフセット現象の発生が有効に抑止される。
しかしながら、このようなウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂を用いたトナーを、重合法によって製造する場合には、以下のような問題が生じる。すなわち、重合法によるトナーの製造においては、各種のトナー粒子の構成成分の微粒子を水系媒体中において凝集、融着させてトナー粒子を得るところ、例えば非晶性樹脂としてはビニル樹脂が一般的に用いられるが、ビニル樹脂とウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂とは互いに相溶し難いので、ビニル樹脂の微粒子とウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂の微粒子との微粒子界面における融着が促進され難い。その結果、得られるトナー粒子が機械的強度の低いものとなってしまう。
このような問題を解決するために、非晶性樹脂からなるトナー母粒子の表面に、ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂の粒子が積層されたトナー粒子からなるトナーが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら特許文献1に開示されたトナーにおいては、結晶性樹脂成分がトナー母粒子の表面に積層した状態とされてトナー粒子の表面に露出することとなるので、画像形成装置内における温度上昇などによりトナー粒子が熱融着を起こしやすいものとなるため、耐熱保管性が十分に得られない、という問題がある。また、熱定着時にトナー母粒子中の結晶性樹脂と非晶性樹脂との相溶によって定着性が低下することやドキュメントオフセットが発生するなどの問題もある。
特開2012−133161号公報
本発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであって、その目的は、優れた低温定着性が得られながら十分な耐熱保管性が得られ、かつ、優れた機械的強度を有する静電荷像現像用トナーの製造方法を提供することにある。
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法は、非晶性樹脂および結晶性樹脂よりなる結着樹脂、離型剤および着色剤を含有するトナー粒子よりなる静電荷像現像用トナーの製造方法であって、
水系媒体中において、結晶性樹脂を含有する微粒子および離型剤を含有する微粒子の共存下に、非晶性樹脂を形成するための単量体を添加し、重合を行うことにより、結晶性樹脂を含有する微粒子が非晶性樹脂によって被覆された被覆樹脂微粒子、離型剤を含有する微粒子が非晶性樹脂によって被覆された離型剤含有非晶性樹脂微粒子、および、非晶性樹脂を含有する微粒子を得る重合工程、
水系媒体中において、少なくとも、前記被覆樹脂微粒子、前記離型剤含有非晶性樹脂微粒子、前記非晶性樹脂を含有する微粒子、および、着色剤を含有する微粒子を、凝集剤の存在下において凝集、融着してトナー粒子を得る凝集・融着工程を有し、
前記重合工程における水系媒体に、臨界ミセル濃度の1〜5倍の濃度の界面活性剤が添加されていることを特徴とする。
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法においては、前記結晶性樹脂が、結晶性ポリエステル樹脂、および/または、結晶性ポリエステル重合セグメントとウレタン重合セグメントとが結合してなるウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂からなり、
当該結晶性樹脂の融点が50〜90℃であることが好ましい。
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法においては、前記結晶性樹脂がウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂を含有するとき、
当該ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂の分子末端および/または当該ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂を構成するウレタン重合セグメントに、カルボキシル基を有し、
当該ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂の酸価が、9〜20mgKOH/gであることが好ましい。
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法においては、前記非晶性樹脂を形成するための単量体として、カルボキシル基を含有するエチレン性不飽和単量体を用いることが好ましい。
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法においては、前記結晶性樹脂を含有する微粒子が、さらに離型剤を含有することが好ましい。

本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法においては、前記離型剤を含有する微粒子が、非晶性樹脂および前記離型剤を共に含有する微粒子であることが好ましい。
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法においては、前記離型剤を含有する微粒子を、水系媒体中において、非晶性樹脂を形成するための単量体および離型剤を混合乳化させた微粒子を重合させることによって得ることが好ましい。
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法によれば、結晶性樹脂を含有する微粒子が非晶性樹脂によって被覆された被覆樹脂微粒子と、非晶性樹脂を含有する微粒子とが融着されてトナー粒子が形成されるので、優れた低温定着性が得られながら十分な耐熱保管性が得られ、かつ、優れた機械的強度を有する静電荷像現像用トナーを確実に製造することができる。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明のトナーの製造方法は、非晶性樹脂および結晶性樹脂よりなる結着樹脂、離型剤および着色剤を含有するトナー粒子よりなるトナーを製造する方法であって、水系媒体中において、結晶性樹脂を含有する微粒子の存在下に、非晶性樹脂を形成するための単量体を添加し、重合を行うことにより、結晶性樹脂を含有する微粒子が非晶性樹脂によって被覆された被覆樹脂微粒子を得る重合工程と、水系媒体中において、少なくとも、非晶性樹脂を含有する微粒子、被覆樹脂微粒子、および、着色剤を含有する微粒子を、凝集剤の存在下において凝集、融着してトナー粒子を得る凝集・融着工程とを有する。
本発明のトナーの製造方法の具体的な一例としては、
(1)着色剤を水系媒体中に分散させ、着色剤微粒子分散液を調製する着色剤微粒子分散液調製工程
(2)結晶性樹脂を水系媒体中に分散させ、結晶性樹脂を含有する微粒子(以下、「結晶性樹脂微粒子」ともいう。)の分散液を調製する結晶性樹脂微粒子分散液調製工程
(3)水系媒体中において、結晶性樹脂微粒子の存在下に、非晶性樹脂を形成するための単量体を添加し、重合を行うことにより、結晶性樹脂微粒子が非晶性樹脂によって被覆された被覆樹脂微粒子を得る重合工程
(4)水系媒体中において、非晶性樹脂を含有する微粒子、被覆樹脂微粒子、および、着色剤を含有する微粒子を、凝集剤の存在下において凝集、融着させて凝集粒子を形成する凝集・融着工程
(5)凝集粒子を熱エネルギーにより熟成して形状調整を行い、トナー粒子分散液を作製する熟成工程
(6)トナー粒子分散液を冷却する冷却工程
(7)冷却したトナー粒子分散液より当該トナー粒子を固液分離し、トナー粒子表面より凝集剤、凝集停止剤、界面活性剤などを除去する濾過、洗浄工程
(8)洗浄処理されたトナー粒子を乾燥する乾燥工程
から構成され、必要に応じて
(9)乾燥処理されたトナー粒子に外添剤を添加する外添処理工程
を加えることができる。
本発明において、「水系媒体」とは、水50〜100質量%と、水溶性の有機溶媒0〜50質量%とからなる媒体をいう。水溶性の有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランを例示することができ、得られる樹脂を溶解しないアルコール系有機溶媒を使用することが好ましい。
(1)着色剤微粒子分散液調製工程
着色剤微粒子分散液は、着色剤を水系媒体中に分散することにより調製することができる。着色剤の分散処理は、着色剤が均一に分散されることから、水系媒体中において界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度(CMC)以上にした状態で行われることが好ましい。着色剤の分散処理に使用する分散機としては、公知の種々の分散機を用いることができる。
〔着色剤〕
着色剤としては、一般に知られている染料および顔料を用いることができる。
黒色のトナーを得るための着色剤としては、ファーネスブラック、チャンネルブラックなどのカーボンブラック、マグネタイト、フェライトなどの磁性体、染料、非磁性酸化鉄を含む無機顔料などの公知の種々のものを任意に使用することができる。
カラーのトナーを得るための着色剤としては、染料、有機顔料などの公知のものを任意に使用することができ、具体的には、有機顔料としては例えばC.I.ピグメントレッド5、同48:1、同48:2、同48:3、同53:1、同57:1、同81:4、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222、同238、同269、C.I.ピグメントイエロー14、同17、同74、同93、同94、同138、同155、同180、同185、C.I.ピグメントオレンジ31、同43、C.I.ピグメントブルー15:3、同60、同76などを挙げることができ、染料としては例えばC.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同68、同11、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同69、同70、同93、同95などを挙げることができる。
各色のトナーを得るための着色剤は、各色について、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
着色剤の含有割合は、結着樹脂100質量部に対して1〜20質量部であることが好ましく、より好ましくは4〜15質量部である。
〔界面活性剤〕
界面活性剤としては、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレン(n)アルキルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、アラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムベタインなどの両性界面活性剤などが挙げられ、また、フルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤やカチオン性界面活性剤も使用することができる。
この着色剤微粒子分散液調製工程において調製される着色剤微粒子分散液中の着色剤微粒子の分散径は、体積基準のメジアン径で10〜300nmとされることが好ましい。
この着色剤微粒子分散液中の着色剤微粒子の体積基準のメジアン径は、電気泳動光散乱光度計「ELS−800(大塚電子社製)」で測定されるものである。
(2)結晶性樹脂微粒子分散液調製工程
この工程においては、結晶性樹脂を水系媒体中に分散させることによって結晶性樹脂微粒子の分散液が調製される。
本発明においては、この結晶性樹脂微粒子が、結晶性樹脂および離型剤を共に含有する微粒子であってもよい。
この工程において、結晶性樹脂を水系媒体中に分散させる方法としては、結晶性樹脂を有機溶媒中に溶解または分散させて油相液を調製すると共に、界面活性剤を含有する水系媒体(水相)を用意し、油相液を水相中に添加し、機械的な剪断力、例えば高速撹拌、超音波照射などを行って乳化して油滴を形成した後、減圧などにより有機溶媒を除去する方法が挙げられる。この工程においては、結晶性樹脂が酸価を有するものである場合は、予め有機溶媒または水相に塩基化合物を溶解させておくことによって当該結晶性樹脂のカルボキシル基が中和され、これにより安定な乳化液を調製することができる。
また、上記の油相液に水相を添加するいわゆる転相乳化法を用いることもできる。転相乳化法を用いる場合には、カルボキシル基の中和に係る塩基化合物を、有機溶媒に溶解させて使用することが好ましい。
結晶性樹脂微粒子を結晶性樹脂および離型剤を共に含有する微粒子とする場合は、油相液を、有機溶媒中に結晶性樹脂および離型剤が共に溶解または分散されたものとして調製すればよい。この場合、有機溶媒にウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂を溶解させた後、離型剤を添加し、離型剤の融点以上の温度に保温した油相液を、これと同温度に保持した水相に添加することによって、乳化させることができる。
水相に溶解させることができる塩基化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどの無機アルカリ化合物を用いることができる。また、有機溶媒に溶解させることができる塩基化合物としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミンなどの有機アルカリ化合物を用いることができる。
水系媒体の使用量は、油相液100質量部に対して、50〜2,000質量部であることが好ましい。
水系媒体の使用量を上記の範囲とすることで、水系媒体中において油相液を所望の粒径に乳化分散させることができる。
使用される界面活性剤としては、例えば上述の界面活性剤と同様のものを挙げることができる。
油相液の調製に使用される有機溶媒としては、油滴の形成後の除去処理が容易である観点から、沸点が低く、かつ、水への溶解性が低いものが好ましく、具体的には、例えばメチルエチルケトン、メタルイソブチルケトン、酢酸エチル、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられ、これらの中でも、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチルを用いることが好ましい。これらは1種単独であるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
有機溶媒の使用量は、結晶性樹脂100質量部に対して、通常1〜300質量部、好ましくは1〜100質量部、さらに好ましくは25〜70質量部である。
この工程において得られる結晶性樹脂微粒子の平均粒径は、体積基準のメジアン径で例えば80〜300nmの範囲にあることが好ましく、より好ましくは90〜250nmである。
結晶性樹脂微粒子の平均粒径は、水系媒体における界面活性剤の濃度、および、カルボキシル基の中和度を制御することによって調整することができる。
なお、体積基準のメジアン径は、「UPA−150」(マイクロトラック社製)を用いて測定したものである。
〔結晶性樹脂〕
本発明において、結晶性樹脂とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な溶融ピークを有する樹脂をいう。明確な溶融ピークとは、具体的には、示差走査熱量測定によって得られたDSC曲線において、二回目の昇温過程における融解ピークの半値幅が15℃以内であるピークのことを意味する。
本発明に係る結着樹脂を構成する結晶性樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂、および/または、結晶性ポリエステル重合セグメントとウレタン重合セグメントとが結合してなるウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂であることが好ましい。
ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂は、ウレタン変性されていない結晶性ポリエステル樹脂と比較して、ウレタン結合の存在によって分子間相互作用が強く得られる。従って、結着樹脂を構成する結晶性樹脂がウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂であることによって、熱定着時に高温となった場合にも結着樹脂全体として十分な粘弾性が維持されるので、低温定着化を図ることができると共に形成された定着画像の光沢度が過度に高くなることが抑制される。また、この強い分子間相互作用のために、トナーの保管時および熱定着後の冷却された定着画像においてビニル樹脂からなる非晶性樹脂との相分離性が確保されて、十分な耐熱保管性および耐ドキュメントオフセット性が得られる。
以下、ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂について説明する。
〔ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂の融点〕
ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂の融点は、50〜90℃であることが好ましく、より好ましくは50〜85℃、さらに好ましくは55〜80℃である。
ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂の融点が上記の範囲にあることにより、十分な低温定着性および優れた耐熱保管性が確実に両立して得られる。
ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂の融点は、多価カルボン酸および多価アルコールの組成によって制御することができる。
ここに、ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂の融点は、ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂単独の示差走査熱量測定によって得られたDSC曲線において、二回目の昇温過程における融解ピークのピークトップ温度である。なお、当該DSC曲線において融解ピークが複数存在する場合は、最大の吸熱量を有する融解ピークのピークトップ温度を融点とする。
〔ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂の分子量〕
ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定される分子量分布から算出された重量平均分子量(Mw)は25,000〜65,000であることが好ましく、より好ましくは28,000〜60,000である。
GPCによる分子量測定は、以下のように行った。すなわち、装置「HLC−8220」(東ソー社製)およびカラム「TSKguardcolumn+TSKgelSuperHZM−M3連」(東ソー社製)を用い、カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を流速0.2ml/minで流し、測定試料(ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂)を室温において超音波分散機を用いて5分間処理を行う溶解条件で濃度1mg/mlになるようにテトラヒドロフランに溶解させ、次いで、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターで処理して試料溶液を得、この試料溶液10μLを上記のキャリア溶媒と共に装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて検出し、測定試料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を用いて測定した検量線を用いて算出する。検量線測定用の標準ポリスチレン試料としては、Pressure Chemical社製の分子量が6×102 、2.1×103 、4×103 、1.75×104 、5.1×104 、1.1×105 、3.9×105 、8.6×105 、2×106 、4.48×106 のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を測定し、検量線を作成した。また、検出器には屈折率検出器を用いた。
また、ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂を構成する結晶性ポリエステル重合セグメントのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定される分子量分布から算出された重量平均分子量(Mw)は6,000〜20,000であることが好ましく、より好ましくは6,500〜15,000である。
ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂を構成する結晶性ポリエステル重合セグメントの重量平均分子量(Mw)が6,000以上であることによって、十分な結晶性が得られ、これにより所期のシャープメルト性が得られる。一方、重量平均分子量(Mw)が20,000以下であることによって、ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂において分子内のウレタン結合の数が十分に確保されて十分な分子間相互作用が得られる。
結晶性ポリエステル重合セグメントのGPCによる分子量分布測定は、測定試料として結晶性ポリエステル重合セグメントを用いたことの他は上記と同様にして行われるものである。
また、ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂を構成するウレタン重合セグメントのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定される分子量分布から算出された重量平均分子量(Mw)は500〜50,000であることが好ましく、より好ましくは1,000〜10,000である。
ウレタン重合セグメントのGPCによる分子量分布測定は、測定試料としてウレタン重合セグメントを用いたことの他は上記と同様にして行われるものである。
本発明においては、ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂における結晶性ポリエステル重合セグメントの含有割合は50〜99.5質量%であることが好ましく、より好ましくは60〜96質量%、特に好ましくは60〜90質量%である。
結晶性ポリエステル重合セグメントの含有割合は、具体的には、ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂を合成するために用いられる樹脂材料の全質量、すなわち、結晶性ポリエステル重合セグメントとなる多価カルボン酸および多価アルコールと、ウレタン重合セグメントとなる多価アルコールおよび多価イソシアネートとを合計した全質量に対する、結晶性ポリエステル重合セグメントとなる多価カルボン酸および多価アルコールの質量の割合である。
結晶性ポリエステル重合セグメントの含有割合が50質量%以上であることによって、十分なシャープメルト性が得られ、従って、優れた低温定着性を得ることができる。一方、99.5質量%以下であることによって、熱定着時に高温となった場合にも結着樹脂全体として十分な粘弾性が維持されるので、形成された定着画像の光沢度が過度に高くなることが抑制されると共に十分な耐ドキュメントオフセット性が得られる。
〔ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂の酸価〕
ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂は、酸価を有するものであることが好ましい。
ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂の酸価は、9〜20mgKOH/gであることが好ましく、より好ましくは10〜18mgKOH/gである。
ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂の酸価が9mgKOH/g以上であることによって、水系媒体中において当該ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂を乳化分散させることができる。また、ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂の酸価が20mgKOH/g以下であることによって、調製される分散液におけるウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂の微粒子が過度に小さなものとなることを防止することができる。従って、ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂の酸価が上記の範囲にある場合には、カルボキシル基の中和度を例えば5〜100%の間で適宜選択することによって、調製される分散液におけるウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂の微粒子の平均粒径を適切な大きさのもの、具体的には80〜300nmのものとすることができる。
ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂の酸価は、JIS K 0070の酸価の測定方法に準拠して行われる。具体的には、アセトン:水=1:1の混合溶媒にウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂を溶解し、常法に従い、水酸化カリウムを用い中和滴定を行い、中和の終点に達するまでに用いられた水酸化カリウムの上記樹脂のグラムあたりの重量で示される。単位はmgKOH/gである。
ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂においては、カルボキシル基が当該ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂の分子末端および/または当該ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂を構成するウレタン重合セグメントに導入されていることにより、当該ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂が酸価を有するものとなる。
具体的には、ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂の分子末端にカルボキシル基が導入されたものとして構成する場合は、多価カルボン酸化合物を、ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂を形成すべき結晶性ポリエステル重合セグメントとウレタン重合セグメントとの結合体の分子末端の水酸基にエステル化反応させることにより、導入することができる。多価カルボン酸化合物としては、フマル酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、アジピン酸などの二価のカルボン酸;トリメリット酸、クエン酸などの三価のカルボン酸およびこれらの酸無水物などを用いることができる。多価カルボン酸化合物としては、三価のカルボン酸を用いることが好ましく、特に無水トリメリット酸を用いることが好ましい。エステル化反応は、触媒の存在下で行うことができる。触媒としては、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイド、p−トルエンスルホン酸などを用いることができる。
また、ウレタン重合セグメントにカルボキシル基が導入されたものとして構成する場合は、ウレタン重合セグメントを形成すべき多価アルコールとしてカルボキシル基を有するジオール化合物を用いてウレタン化反応を行うことにより、導入することができる。カルボキシル基を有するジオール化合物としては、ジメチロール酢酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ジヒドロキシコハク酸、酒石酸、グリセリン酸、ジヒドロキシ安息香酸などを用いることができる。
エステル化反応やウレタン化反応を行うときの反応溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒を用いることができる。また、ジオール化合物の溶解のために、N−メチルピロリドンなどを用いることも好ましい。反応溶媒は、副反応を防ぐために脱水精製したものであることが好ましい。
〔ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂の合成方法〕
ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂は、予め、結晶性ポリエステル重合セグメントとなる、両末端に水酸基を有するプレポリマー(後述の結晶性ポリエステルジオールなど)、および、末端にイソシアネート基を有するポリウレタンユニットを、それぞれ合成し、両者を混合して反応させる(合成反応A)ことによって、合成することができる。
また、ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂は、まず、結晶性ポリエステル重合セグメントとなる、両末端に水酸基を有するプレポリマー(後述の結晶性ポリエステルジオールなど)を合成し、次いで、当該プレポリマーの両末端の水酸基に多価イソシアネート化合物のみ、または、多価イソシアネート化合物および多価アルコールを反応させる(合成反応B)ことによってウレタン重合セグメントを形成することにより、合成することもできる。
上記の合成反応Aは、両末端に水酸基を有するプレポリマーおよび末端にイソシアネート基を有するポリウレタンユニットを共に溶解することができる溶媒中で行う。同様に、上記の合成反応Bは、両末端に水酸基を有するプレポリマーと多価イソシアネート化合物および多価アルコールを溶解することができる溶媒中で行う。このような反応溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒を挙げることができる。反応溶媒は、副反応を防ぐために脱水精製したものであることが好ましい。
また、上記の合成反応A,Bは、合成反応を促進するために加温下で行うことが好ましい。反応温度としては、溶媒の沸点によっても異なるが、50〜80℃とすることが好ましい。
〔結晶性ポリエステル重合セグメント〕
結晶性ポリエステル重合セグメントは、結晶性を有するポリエステル重合体からなるものであり、結晶性ポリエステルジオールからなることが好ましい。
結晶性ポリエステルジオールは、1分子中にカルボキシル基を2個以上含有する多価カルボン酸および1分子中に水酸基を2個以上含有する多価アルコールにより形成され、その両末端に水酸基を有する結晶性のものであって、具体的には示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な融解ピークを有するものをいう。
多価カルボン酸としては、脂肪族ジカルボン酸を用いることが好ましく、芳香族ジカルボン酸を併用してもよい。
多価カルボン酸としては、結晶性ポリエステル重合セグメントに優れた結晶性が得られるという観点から、好ましくはカルボキシル基を含めた主鎖の炭素数が4〜12、特に好ましくは主鎖の炭素数が6〜10である直鎖型の脂肪族ジカルボン酸を用いることが好ましい。
多価カルボン酸は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、n−ドデシルコハク酸などの飽和脂肪族ジカルボン酸およびこれらの無水物、あるいは炭素数1〜3のアルキルエステルなどが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
脂肪族ジカルボン酸以外の多価カルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸;トリメリット酸;ピロメリット酸などの3価以上の多価カルボン酸;およびこれらの無水物、あるいは炭素数1〜3のアルキルエステルなどが挙げられる。
結晶性ポリエステルジオールを形成するための多価カルボン酸としては、脂肪族カルボン酸の含有量が80構成モル%以上とされることが好ましく、より好ましくは90構成モル%以上である。多価カルボン酸における脂肪族カルボン酸の含有量が80構成モル%以上とされることにより、結晶性ポリエステルジオールの結晶性を確保することができて製造されるトナーに優れた低温定着性が得られる。
多価アルコールとしては、脂肪族ジオールを用いることが好ましく、必要に応じて脂肪族ジオール以外のジオールを併用してもよい。
多価アルコールとしては、結晶性ポリエステル重合セグメントに優れた結晶性が得られるという観点から、脂肪族ジオールの中でも、主鎖の炭素数が2〜15である直鎖型の脂肪族ジオールを用いることが好ましく、特に、主鎖の炭素数が2〜10である脂肪族ジオールを用いることが好ましい。
多価アルコールは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,15−ペンタデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオールなどを挙げることができる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
脂肪族ジオール以外の多価アルコールとしては、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトールなどの3価以上の多価アルコールを挙げることができる。
結晶性ポリエステルジオールを形成するための多価アルコールとしては、脂肪族ジオールの含有量が80構成モル%以上とされることが好ましく、より好ましくは90構成モル%以上である。多価アルコールにおける脂肪族ジオールの含有量が80構成モル%以上とされることにより、結晶性ポリエステルジオールの結晶性を確保することができて製造されるトナーに優れた低温定着性が得られる。
結晶性ポリエステルジオールの製造方法としては、特に制限はなく、上述の多価カルボン酸と多価アルコールとを触媒下で反応させる一般的なポリエステルの重合法を用いて製造することができ、例えば直接重縮合やエステル交換法を、モノマーの種類によって使い分けて製造することが好ましい。
結晶性ポリエステルジオールの製造に使用することのできる触媒としては、例えばチタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシドなどのチタン触媒や、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズオキシド、ジフェニルスズオキシドなどのスズ触媒などが挙げられる。
上記の多価カルボン酸と多価アルコールとの使用比率は、多価アルコールの水酸基[OH]と多価カルボン酸のカルボキシル基[COOH]との当量比[OH]/[COOH]が、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。
多価カルボン酸と多価アルコールとの使用比率が上記の範囲にあることにより、両末端に水酸基を有する結晶性ポリエステルジオールを得ることができる。
〔ウレタン重合セグメント〕
ウレタン重合セグメントは、多価アルコールと多価イソシアネートとから得られるものである。
ウレタン重合セグメントを形成するために用いることのできる多価アルコールとしては、上述と同様のものを用いることができる。
ウレタン重合セグメントを形成するための多価アルコールは、1種単独で、または2種以上を組み合せて使用することができる。
ウレタン重合セグメントを形成するために用いることのできる多価イソシアネートとしては、炭素数6〜20(ただしNCO基中の炭素は除く)の芳香族ジイソシアネート、炭素数2〜18の脂肪族ジイソシアネート、炭素数4〜15の脂環式ジイソシアネート、炭素数8〜15の芳香脂肪族ジイソシアネート、およびこれらのジイソシアネートの変性物などが挙げられる。
ウレタン重合セグメントを得るためのジイソシアネート成分としては、上記のジイソシアネートと共に3価以上のポリイソシアネートを用いてもよい。
ウレタン重合セグメントを形成するための多価イソシアネートは、1種単独で、または2種以上を組み合せて使用することができる。
芳香族ジイソシアネートとしては、1,3−および/または1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、2,4’−および/または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリアリルポリイソシアネート(PAPI)、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、m−およびp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネートなどが挙げられる。
脂肪族ジイソシアネートとしては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジシアナトヘキサノエートなどが挙げられる。
脂環式ジイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−および/または2,6−ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。
芳香脂肪族ジイソシアネートは、m−および/またはp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α、α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートが挙げられる。
ジイソシアネートの変性物としては、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレシイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基による変性物などが挙げられる。具体的には、ウレタン変性MDI、ウレタン変性TDI、カルボジイミド変性MDI、トリヒドロカルビルホスフェート変性MDIなどが挙げられ、これらは1種単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
〔離型剤〕
離型剤としては、特に限定されるものではなく、公知の種々のものを用いることができ、例えば、鉱物系ワックスとしてはモンタンワックス、石油系ワックスとしてはパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、合成ワックスとしてはフッシャートロプシュワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、合成エステルワックスとしては、脂肪酸とアルコールをエステル化反応で合成したものが挙げられる。合成エステルワックスの具体例としては、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸ステアリル、グリセリントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネートなどが挙げられる。
離型剤の含有割合は、結着樹脂100質量部に対して1〜30質量部であることが好ましく、より好ましくは5〜20質量部である。離型剤の含有割合が上記範囲内であることにより、十分な定着分離性が得られる。
離型剤をトナー粒子へ導入する方法としては、結晶性樹脂微粒子を、結晶性樹脂および離型剤を共に含有する微粒子とする方法(以下、これを「離型剤導入方法A」とする。)が挙げられているが、この方法に限定されず、以下の方法によっても導入することができる。
例えば、水系媒体中において離型剤よりなる微粒子の存在下に、非晶性樹脂を形成するための単量体を添加し、重合を行うことにより、離型剤微粒子が非晶性樹脂によって被覆された離型剤含有非晶性樹脂微粒子を得、これを後記に詳述する凝集・融着工程に供して、その他のトナー構成成分の微粒子と共に凝集、融着する方法(以下、これを「離型剤導入方法B」とする。)が挙げられる。この場合、後記に詳述する重合工程において、水系媒体中において、結晶性樹脂のみからなる微粒子および離型剤よりなる微粒子の共存下に、非晶性樹脂を形成するための単量体を添加し、重合を行うことにより、結晶性樹脂のみからなる微粒子が非晶性樹脂によって被覆された被覆樹脂微粒子、および、離型剤微粒子が非晶性樹脂によって被覆された離型剤含有非晶性樹脂微粒子を、同時に得ることができる。
また例えば、非晶性樹脂を形成するための単量体中に離型剤を溶解または加熱溶融させ、これを界面活性剤水溶液中に添加し、機械的撹拌などの機械的エネルギーや超音波エネルギーなどを付与して乳化させた後、重合させて離型剤および非晶性樹脂を含有する微粒子を得た後、さらに、非晶性樹脂を形成するための単量体を添加し、重合を行うことにより、離型剤および非晶性樹脂を含有する微粒子が非晶性樹脂によって被覆された離型剤含有非晶性樹脂微粒子を得、これを後記に詳述する凝集・融着工程に供して、その他のトナー構成成分の微粒子と共に凝集、融着する方法(以下、これを「離型剤導入方法C」とする。)が挙げられる。この場合、後記に詳述する重合工程において、水系媒体中において、結晶性樹脂のみからなる微粒子および離型剤および非晶性樹脂を含有する微粒子の共存下に、非晶性樹脂を形成するための単量体を添加し、重合を行うことにより、結晶性樹脂のみからなる微粒子が非晶性樹脂によって被覆された被覆樹脂微粒子、および、離型剤および非晶性樹脂を含有する微粒子が非晶性樹脂によって被覆された離型剤含有非晶性樹脂微粒子を、同時に得ることができる。
以上の離型剤導入方法A〜Cは、適宜に組み合わせて用いることができる。
離型剤の融点(TmW)は、60〜90℃であることが好ましい。
離型剤の融点は、測定試料として離型剤を用いたことの他は上記と同様にして行われるものである。
(3)重合工程
この工程においては、結晶性樹脂微粒子の分散液に、非晶性樹脂を形成するための単量体、必要に応じて水系媒体および界面活性剤を添加し、重合開始剤を作用させて重合を行うことにより、結晶性樹脂微粒子が非晶性樹脂によって被覆された被覆樹脂微粒子の分散液が調製される。
この重合工程において調製される分散液においては、結晶性樹脂微粒子が非晶性樹脂によって被覆された被覆樹脂微粒子が形成されると共に、非晶性樹脂のみよりなる新粒子(以下、「非晶性樹脂微粒子」ともいう。)が形成される。
〔界面活性剤の濃度〕
そして、本発明においては、重合の反応場となる水系媒体に対して、臨界ミセル濃度の1〜5倍の濃度の界面活性剤が添加されており、好ましくは1.5〜3倍である。
水系媒体における界面活性剤の濃度は、具体的には、結晶性樹脂微粒子の分散液などのこの工程に供される分散液に添加されている界面活性剤(A)、および、この工程において新たに添加される界面活性剤(B)の合計の水系媒体における濃度をいう。
水系媒体における界面活性剤の濃度が臨界ミセル濃度の1倍以上であることによって、十分な重合速度が得られると共に、重合によって生成された微粒子の水系媒体における安定性が高くなり、単量体の残渣の発生が抑制されて得られるトナーの臭気を極めて抑制することができる。また、水系媒体における界面活性剤の濃度が臨界ミセル濃度の5倍以下であることによって、水系媒体において形成されるミセルの数、すなわち反応場の数が適当な量に調整されて、生成される微粒子の平均粒径を適当な範囲に調整することができ、その結果、凝集時の凝集速度を制御することができて、粗大粒子の発生を抑制することができる。
この工程において新たに添加される界面活性剤としては、例えば上述の界面活性剤と同様のものを挙げることができる。
〔非晶性樹脂〕
非晶性樹脂とは、示差走査熱量測定(DSC)において、明確な吸熱ピークが認められないものをいう。
結着樹脂を構成する非晶性樹脂としては、エチレン性不飽和単量体(ビニル単量体)を用いて形成されたビニル樹脂であることが好ましく、具体的にはスチレンアクリル樹脂であることが好ましい。
以下、非晶性樹脂がビニル樹脂である場合について説明する。
ビニル樹脂を形成するためのエチレン性不飽和単量体としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、メトキシスチレン、メトキシアセトキシスチレンなどのスチレン類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリルアミド、イソプロピル(メタ)アクリルアミドなどのアクリルアミド類、イオン性解離基を含有するビニルモノマーなどを用いることができる。
イオン性解離基を含有するビニルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などのカルボキシル基含有ビニルモノマーおよびこれらのハーフアルキルエステル;スチレンスルホン酸、アクリルアミドプロピルスルホン酸などのスルホン酸基含有ビニルモノマー;リン酸2−(アクリロイルオキシ)エチル、リン酸2−(メタアクリロイルオキシ)エチルなどのリン酸基含有ビニルモノマーなどが挙げられる。
これらの中でも、スチレン類、(メタ)アクリレート類、カルボキシル基含有ビニルモノマーを用いることが好ましい。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
〔非晶性樹脂の分子量〕
非晶性樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定される分子量は、重量平均分子量(Mw)が10,000〜70,000であることが好ましい。
非晶性樹脂の分子量が上記の範囲にあることにより、十分な低温定着性および優れた耐熱保管性が確実に両立して得られる。
非晶性樹脂のGPCによる分子量測定は、測定試料として非晶性樹脂を用いたことの他は上記と同様にして行われるものである。
〔非晶性樹脂のガラス転移点〕
非晶性樹脂のガラス転移点(Tg)は、40〜80℃であることが好ましく、より好ましくは45〜70℃である。
非晶性樹脂のガラス転移点が40℃以上であることにより、トナーに十分な熱的強度が得られて十分な耐熱保管性が得られる。また、非晶性樹脂のガラス転移点が80℃以下であることにより、十分な低温定着性が確実に得られる。
非晶性樹脂のガラス転移点(Tg)は、測定試料として非晶性樹脂を用いて、ASTM(米国材料試験協会規格)D3418−82に規定された方法(DSC法)によって測定された値である。
この工程において添加される非晶性樹脂を形成するためのエチレン性不飽和単量体の量は、(結晶性樹脂の質量:エチレン性不飽和単量体の質量)が、95:5〜1:2の範囲となる量とされることが好ましい。
添加されるエチレン性不飽和単量体の量が上記の下限以上であることによって、耐熱保管性が確実に得られる。また、添加されるエチレン性不飽和単量体の量が上記の上限以下であることによって、トナー粒子中における結晶性樹脂の量が確保されて十分なシャープメルト性が得られて低温定着性を確実に得ることができる。
〔重合開始剤〕
重合開始剤としては、水溶性ラジカル重合開始剤または油溶性ラジカル重合開始剤を用いることができ、分解残基がアニオン性を示すものを用いることが好ましい。
水溶性ラジカル重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩;過酸化水素などの水溶性過酸化物;4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)酢酸塩などの水溶性アゾ化合物が挙げられる。また、過流酸カリウム、過流酸アンモニウム、過酸化水素などは、還元剤と組み合わせてレドックス開始剤として用いることができる。
油溶性ラジカル重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス(2−イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シアノバレロニトリル)などの油溶性アゾ化合物;クメンハイドロパーオキサイドなどの油溶性過酸化物が挙げられる。
〔連鎖移動剤〕
重合工程においては、ビニル樹脂の分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては特に限定されるものではなく、例えばアルキルメルカプタン、メルカプト脂肪酸エステルなどを挙げることができる。
この重合工程において調製される分散液における微粒子の平均粒径は、結晶性樹脂微粒子分散液調製工程において得られた結晶性樹脂微粒子の平均粒径と同等あるいは多少小さく体積基準のメジアン径で例えば50〜300nmの範囲にあることが好ましく、より好ましくは80〜250nmである。
体積基準のメジアン径は、「UPA−150」(マイクロトラック社製)を用いて測定したものである。
(4)凝集・融着工程
この工程は、上記の工程で形成した着色剤微粒子、被覆樹脂微粒子、非晶性樹脂微粒子、および必要に応じて離型剤含有非晶性樹脂微粒子を、水系媒体中で凝集、融着させるものである。
この工程によって生成された被覆樹脂微粒子、非晶性樹脂微粒子などの微粒子は、互いにその表面状態が近似しているために互いに高い親和性を有するものとなる。従って、凝集時に被覆樹脂微粒子および非晶性樹脂微粒子の間の凝集が安定して生じると共に、微粒子間の融着が強固に生じるため、生成されるトナー粒子を十分な機械的強度が付与されたものとすることができる。
着色剤微粒子、被覆樹脂微粒子、非晶性樹脂微粒子、および必要に応じて離型剤含有非晶性樹脂微粒子を凝集、融着する具体的な方法としては、各微粒子の分散液を撹拌混合し、水系媒体中に凝集剤を臨界凝集濃度以上となるよう添加し、次いで、非晶性樹脂を構成するビニル樹脂のガラス転移点以上であって、かつ、結晶性樹脂を構成するウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂の融点以上の温度に加熱することによって、微粒子の塩析を進行させると同時に融着を並行して進め、所望の粒子径まで成長したところで、凝集停止剤を添加して粒子成長を停止させ、さらに、必要に応じて粒子形状を制御するために加熱を継続して行う方法である。
この方法においては、凝集剤を添加した後に放置する時間をできるだけ短くして速やかにビニル樹脂のガラス転移点以上の温度に加熱することが好ましい。この理由は明確ではないが、塩析した後の放置時間によっては粒子の凝集状態が変動して粒径分布が不安定になったり、融着させた粒子の表面性が変動したりする問題が発生することが懸念されるためである。この昇温までの時間としては通常30分間以内であることが好ましく、10分間以内であることがより好ましい。また、昇温速度としては1℃/分以上であることが好ましい。昇温速度の上限は特に規定されるものではないが、急速な融着の進行による粗大粒子の発生を抑制する観点から、15℃/分以下とすることが好ましい。さらに、反応系がガラス転移点以上の温度に到達した後、当該反応系の温度を一定時間保持することにより、融着を継続させることが肝要である。これにより、トナー粒子の成長と、融着とを効果的に進行させることができ、最終的に得られるトナー粒子の耐久性を向上させることができる。
〔凝集剤〕
使用する凝集剤としては、特に限定されるものではないが、金属塩から選択されるものが好適に使用される。金属塩としては、例えばナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属の塩などの一価の金属塩;カルシウム、マグネシウム、マンガン、銅などの二価の金属塩;鉄、アルミニウムなどの三価の金属塩などが挙げられる。具体的な金属塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、塩化アルミニウム、硫酸マグネシウム、硫酸マンガンなどを挙げることができ、これらの中で、より少量で凝集を進めることができることから、二価の金属塩を用いることが特に好ましい。これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
この工程において、凝集を停止させるために凝集停止剤を用いてもよい。
凝集剤として二価の金属塩または三価の金属塩を用いた場合には、塩化ナトリウムなどの一価の金属塩を凝集停止剤として用いることができる。
また、凝集停止剤としては、エチレンジアミン四酢酸、イミノ二酢酸などの金属錯体を形成するキレート化合物を用いることができる。
また、凝集剤として一価の金属塩を用いた場合には、金属塩濃度を臨界凝集濃度以下とすること、または酸を加えて一価の金属イオンを反応系外に排出させることによって凝集を停止させることができる。
この工程において界面活性剤を使用する場合は、界面活性剤として、例えば上述の界面活性剤と同様のものを用いることができる。
(5)熟成工程
この工程は、具体的には、凝集粒子を含む系を加熱撹拌することにより、凝集粒子の形状を所望の平均円形度になるまで、加熱温度、撹拌速度、加熱時間を制御して調整し、所望の形状を有するトナー粒子を形成する工程である。この工程においては、熱エネルギー(加熱)によりトナー粒子の形状制御を行うことが好ましい。
(6)冷却工程〜(7)乾燥工程
冷却工程、濾過、洗浄工程および乾燥工程は、公知の種々の方法を採用して行うことができる。
(9)外添処理工程
この外添処理工程は、乾燥処理したトナー粒子に、必要に応じて外添剤を添加、混合する工程である。
外添剤の添加方法としては、乾燥されたトナー粒子に粉体状の外添剤を添加して混合する乾式法が挙げられ、混合装置としては、ヘンシェルミキサー、コーヒーミルなどの機械式の混合装置を用いることができる。
〔トナーの平均粒径〕
トナーの平均粒径は、例えば体積基準のメジアン径で3〜9μmであることが好ましく、更に好ましくは3〜8μmとされる。この平均粒径は、例えば後述する乳化凝集法を採用して製造する場合には、使用する凝集剤の濃度や有機溶媒の添加量、融着時間、重合体の組成などによって制御することができる。
体積基準のメジアン径が上記の範囲にあることにより、転写効率が高くなってハーフトーンの画質が向上し、細線やドットなどの画質が向上する。
トナー粒子の体積基準のメジアン径は「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用ソフト「Software V3.51」を搭載したコンピューターシステムを接続した測定装置を用いて測定・算出されるものである。具体的には、トナー0.02gを、界面活性剤溶液20mL(トナー粒子の分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加して馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー分散液を調製し、このトナー分散液を、サンプルスタンド内の「ISOTONII」(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が8%になるまでピペットにて注入する。ここで、この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。そして、測定装置において、測定粒子カウント数を25000個、アパーチャ径を50μmにし、測定範囲である1〜30μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率の大きい方から50%の粒子径が体積基準のメジアン径とされる。
〔トナー粒子の平均円形度〕
本発明に係るトナーは、このトナーを構成する個々のトナー粒子について、転写効率の向上の観点から、平均円形度が0.930〜1.000であることが好ましく、より好ましくは0.950〜0.995である。
本発明において、トナー粒子の平均円形度は、「FPIA−2100」(Sysmex社製)を用いて測定されるものである。
具体的には、試料(トナー粒子)を界面活性剤入り水溶液にてなじませ、超音波分散処理を1分間行って分散させた後、「FPIA−2100」(Sysmex社製)により、測定条件HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数3,000〜10,000個の適正濃度で撮影を行い、個々のトナー粒子について下記式(T)に従って円形度を算出し、各トナー粒子の円形度を加算し、全トナー粒子数で除することにより算出される。
式(T):円形度=(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
〔トナーの軟化点〕
トナーの軟化点は、当該トナーに低温定着性を得る観点から、80〜120℃であることが好ましく、より好ましくは90〜110℃である。
トナーの軟化点は、下記に示すフローテスターによって測定されるものである。
具体的には、まず、20℃、50%RHの環境下において、試料(トナー)1.1gをシャーレに入れ平らにならし、12時間以上放置した後、成型器「SSP−10A」(島津製作所社製)によって3820kg/cm2 の力で30秒間加圧し、直径1cmの円柱型の成型サンプルを作成し、次いで、この成型サンプルを、24℃、50%RHの環境下において、フローテスター「CFT−500D」(島津製作所社製)により、荷重196N(20kgf)、開始温度60℃、予熱時間300秒間、昇温速度6℃/分の条件で、円柱型ダイの穴(1mm径×1mm)より、直径1cmのピストンを用いて予熱終了時から押し出し、昇温法の溶融温度測定方法でオフセット値5mmの設定で測定したオフセット法温度Toffsetが、軟化点とされる。
〔外添剤〕
上記のトナー粒子は、そのままでトナーを構成することができるが、流動性、帯電性、クリーニング性などを改良するために、当該トナー粒子に、いわゆる後処理剤である流動化剤、クリーニング助剤などの外添剤を添加してトナーを構成してもよい。
後処理剤としては、例えば、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、酸化チタン微粒子などよりなる無機酸化物微粒子や、ステアリン酸アルミニウム微粒子、ステアリン酸亜鉛微粒子などの無機ステアリン酸化合物微粒子、あるいは、チタン酸ストロンチウム、チタン酸亜鉛などの無機チタン酸化合物微粒子などが挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これら無機微粒子はシランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイルなどによって、耐熱保管性の向上、環境安定性の向上のために、表面処理が行われていることが好ましい。
これらの種々の外添剤の添加量は、その合計が、トナー100質量部に対して0.05〜5質量部、好ましくは0.1〜3質量部とされる。また、外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。
以上のトナーの製造方法によれば、結晶性樹脂を含有する微粒子が非晶性樹脂によって被覆された被覆樹脂微粒子と、非晶性樹脂を含有する微粒子とが融着されてトナー粒子が形成されるので、優れた低温定着性が得られながら十分な耐熱保管性が得られ、かつ、優れた機械的強度を有する静電荷像現像用トナーを確実に製造することができる。
〔現像剤〕
上記のトナーは、磁性または非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。
キャリアとしては、例えば鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などの従来から公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、これらの中ではフェライト粒子を用いることが好ましい。また、キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂などの被覆剤で被覆したコートキャリアや、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散してなる樹脂分散型キャリアなどを用いてもよい。
キャリアとしては、体積平均粒径が15〜100μmのものが好ましく、25〜80μmのものがより好ましい。
〔画像形成装置〕
上記のトナーは、一般的な電子写真方式の画像形成方法に用いることができ、このような画像形成方法が行われる画像形成装置としては、例えば静電潜像担持体である感光体と、トナーと同極性のコロナ放電によって当該感光体の表面に一様な電位を与える帯電手段と、一様に帯電された感光体の表面上に画像データに基づいて像露光を行うことにより静電潜像を形成させる露光手段と、トナーを感光体の表面に搬送して前記静電潜像を顕像化してトナー像を形成する現像手段と、当該トナー像を必要に応じて中間転写体を介して転写材に転写する転写手段と、転写材上のトナー像を加熱定着させる定着手段を有するものを用いることができる。
また、上記のトナーは、定着温度(定着部材の表面温度)が100〜200℃とされる比較的低温のものにおいて好適に用いることができる。
以上、本発明の実施の形態について具体的に説明したが、本発明の実施形態は上記の例に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔結晶性ポリエステルジオール〔1〕の合成例〕
冷却管、撹拌機、減圧装置および窒素導入管を装着した反応容器に、ジオール成分:1,6−ヘキサンジオール430質量部、ジカルボン酸成分:セバシン酸691質量部、および、重合触媒としてテトラブトキシチタネート2質量部を入れ、180℃に昇温し、同温度で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、更に0.007〜0.026MPaの減圧下において水を留去しながら反応させ、酸価が0.1mgKOH/gになった時点で取出し、結晶性ポリエステルジオール〔1〕を得た。
結晶性ポリエステルジオール〔1〕の重量平均分子量(Mw)は8,000、融点は67℃であった。
〔結晶性ポリエステルジオール〔2〕〜〔4〕の合成例〕
上記の結晶性ポリエステルジオール〔1〕の合成例において、下記表1の処方に従ったこと以外は同様にして、結晶性ポリエステルジオール〔2〕〜〔4〕を得た。
Figure 0006123760
〔ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂〔1〕の合成例〕
撹拌装置、冷却管、窒素導入管および減圧装置を備えた反応容器に、脱水メチルエチルケトン500質量部、結晶性ポリエステルジオール〔1〕452質量部および2,2−ジメチロールプロピオン酸15質量部を加え、60℃で1時間撹拌を行って溶解させた。次いで、この溶液に、窒素気流下、ヘキサメチレンジイソシアネート33質量部を投入し、撹拌しながら内温を80℃に昇温し、12時間反応させた後、無水トリメリット酸13質量部および触媒としてテトラブトキシチタネート0.5質量部を加え、120℃で5時間反応を行った。その後、メチルエチルケトンを留去し、これにより、ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂〔1〕を得た。
ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂〔1〕の重量平均分子量(Mw)は35,000、数平均分子量(Mn)は21,000、酸価は13mgKOH/g、融点(Tm)は66℃であった。
〔ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂〔2〕〜〔4〕の合成例〕
上記のウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂〔1〕の合成例において、結晶性ポリエステルジオール〔1〕の代わりに、それぞれ結晶性ポリエステルジオール〔2〕〜〔4〕を用いたこと以外は同様にして、ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂〔2〕〜〔4〕を得た。
ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂〔2〕〜〔4〕の重量平均分子量(Mw)、融点(Tm)および酸価を表2に示す。
Figure 0006123760
〔ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液〔D1〕の調製例〕
ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂〔1〕100質量部をメチルエチルケトン400質量部に溶解させた。さらにトリエチルアミン1質量部を加えて中和を行い、これにより油相を調製した。
一方、純水400質量部にドデシル硫酸ナトリウム0.8質量部を溶解させて水相(界面活性剤水溶液)を得た。
上記の油相を撹拌しながら、この水相を滴下した。さらに、レーザー式粒度分布測定装置「LA−920」(堀場製作所社製)を用い粒径を測定しながら8000rpmで撹拌を行い、平均粒径が安定した時点で撹拌を止めた。その後、乳化液からメチルエチルケトンを減圧除去することにより、ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液〔D1〕を調製した。
ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液〔D1〕における微粒子の体積基準のメジアン径は210nm、固形分濃度は20%であった。
〔ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液〔D2〕〜〔D4〕の調製例〕
上記のウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液〔D1〕の調製例において、ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂〔1〕の代わりに、それぞれウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂〔2〕〜〔4〕を用いると共に、トリエチルアミンの添加量を、用いるウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂の酸価に対応するモル量としたこと以外は同様にして、ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液〔D2〕〜〔D4〕を得た。
〔結晶性ポリエステル樹脂〔5〕の合成例〕
冷却管、撹拌機、減圧装置および窒素導入管を装着した反応容器に、ジオール成分:1,4−ブタンジオール328質量部、ジカルボン酸成分:セバシン酸736質量部、および、テトラブトキシチタネート3.5質量部を入れ、180℃に昇温し、同温度で窒素気流下、生成する水を留去しながら5時間反応した後、さらに0.007MPa〜0.026MPaの減圧下において水を留去しながら反応させ、酸価が14mgKOH/gになった時点で取り出し、結晶性ポリエステル樹脂〔5〕を得た。
結晶性ポリエステル樹脂〔5〕の重量平均分子量(Mw)は15,000、融点は64℃、酸価は14mgKOH/gであった。
〔結晶性ポリエステル樹脂/離型剤複合微粒子分散液〔D5〕の調製例〕
結晶性ポリエステル樹脂〔5〕100質量部をメチルエチルケトン250質量部に溶解させた。さらにトリエチルアミン1.8質量部を加えて中和を行い、ここにペンタエリスリトールテトラベヘネート25質量部を加えて撹拌しながら85℃に加温して溶解させ、これにより油相を調製した。
一方、純水400質量部にドデシル硫酸ナトリウム1.8質量部を溶解させて水相(界面活性剤水溶液)を得た。
上記の油相を撹拌しながら、この水相を85℃に加温した状態で滴下した。さらに、レーザー式粒度分布測定装置「LA−920」(堀場製作所社製)を用い粒径を測定しながら6000rpmで撹拌を行い、平均粒径が安定した時点で撹拌を止めた。その後、乳化液からメチルエチルケトンを減圧除去することにより、結晶性ポリエステル樹脂/離型剤複合微粒子分散液〔D5〕を調製した。
結晶性ポリエステル樹脂/離型剤複合微粒子分散液〔D5〕における微粒子の体積基準のメジアン径は215nm、固形分濃度は22%であった。また、界面活性剤の濃度は臨界ミセル濃度(CMC)の1.9倍であった。
〔離型剤微粒子分散液〔W〕の調製例〕
離型剤:ペンタエリスリトールテトラベヘネート60質量部を90℃に保温して溶融した。これを、脱イオン水225質量部にドデシル硫酸ナトリウム15質量部を溶解した界面活性剤水溶液を90℃に加温したものに投入し、超音波照射を行った後、室温まで冷却することにより、離型剤微粒子分散液〔W〕を得た。
離型剤微粒子分散液〔W〕の平均粒径は180nm、固形分濃度は20%であった。また、界面活性剤の濃度は臨界ミセル濃度(CMC)の28.2倍であった。
〔被覆樹脂微粒子分散液〔DB1〕の調製例〕
撹拌装置、冷却管、温度計および窒素導入管を備えた反応容器に、ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液〔D1〕550質量部、離型剤微粒子分散液〔W〕100質量部、ドデシル硫酸ナトリウム2.5質量部および純水750質量部を加え、窒素気流下で撹拌しながら内温を80℃に昇温した。さらに過硫酸カリウム4.5質量部を純水50質量部に溶解させた重合開始剤水溶液を加え、スチレン140質量部、n−ブチルアクリレート50質量部、メタクリル酸10質量部およびn−オクチルメルカプタン1.37質量部を混合したモノマー溶液を1時間にわたって滴下した。滴下終了後、窒素気流下、80℃で5時間反応を行った後、内温を85℃に昇温して1時間反応を行い、その後、室温まで冷却し、濾過することにより被覆樹脂微粒子分散液〔DB1〕を得た。界面活性剤の濃度は、臨界ミセル濃度(CMC)の1.21倍であった。
被覆樹脂微粒子分散液〔DB1〕における微粒子の体積基準のメジアン径は220nm、重量平均分子量(Mw)は28,000、ガラス転移点(Tg)は45℃であった。
〔被覆樹脂微粒子分散液〔DB2〕〜〔DB4〕の調製例〕
上記の被覆樹脂微粒子分散液〔DB1〕の調製例において、ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液〔D1〕の代わりに、それぞれウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液〔D2〕〜〔D4〕を用いたこと以外は同様にして、被覆樹脂微粒子分散液〔DB2〕〜〔DB4〕を得た。
〔被覆樹脂微粒子分散液〔DB5〕の調製例〕
撹拌装置、冷却管、温度計および窒素導入管を備えた反応容器に、結晶性ポリエステル樹脂/離型剤複合微粒子分散液〔D5〕625質量部、ドデシル硫酸ナトリウム5.98質量部および純水900質量部を加え、窒素気流下で撹拌しながら内温を80℃に昇温した。さらに過硫酸カリウム4質量部を純水70質量部に溶解させた重合開始剤水溶液を加え、スチレン140質量部、n−ブチルアクリレート50質量部、メタクリル酸10質量部およびn−オクチルメルカプタン1.37質量部を混合したモノマー溶液を1時間にわたって滴下した。滴下終了後、窒素気流下、80℃で5時間反応を行った後、内温を85℃に昇温して1時間反応を行い、その後、室温まで冷却し、濾過することにより被覆樹脂微粒子分散液〔DB5〕を得た。界面活性剤の濃度は、臨界ミセル濃度(CMC)の2.5倍であった。
被覆樹脂微粒子分散液〔DB5〕における微粒子の体積基準のメジアン径は200nm、重量平均分子量(Mw)は28,000、ガラス転移点(Tg)は45℃であった。
〔スチレンアクリル樹脂微粒子分散液〔DX〕の調製例〕
スチレン136質量部、n−ブチルアクリレート52質量部、メタクリル酸12質量部およびペンタエリスリトールテトラベヘネート43質量部を85℃に加熱してモノマー溶液を調製した。純水502質量部にドデシル硫酸ナトリウム4.5質量部を溶解した水溶液を85℃に保温し、モノマー溶液を加えて「クレアミックス」(エム・テクニック社製)を用いて高速撹拌を行い、モノマー乳化液を調製した。
この乳化液を、撹拌装置、冷却管、温度計および窒素導入管を備えた反応容器に入れ、純水400質量部を加え、窒素気流下において80℃で撹拌した。さらに、n−オクチルメルカプタン1.4質量部を加えた後、過硫酸カリウム4質量部を純水70質量部に溶解した重合開始剤水溶液を加え、80℃で4時間反応を行った。その後、内温を85℃に昇温して1時間反応を行い、室温まで冷却し、濾過することにより、スチレンアクリル樹脂微粒子分散液〔DX〕を得た。
スチレンアクリル樹脂微粒子分散液〔DX〕におけるスチレンアクリル樹脂微粒子の体積基準のメジアン径は220nm、重量平均分子量(Mw)は28,000、ガラス転移点(Tg)は50℃であった。界面活性剤の濃度は臨界ミセル濃度(CMC)の1.96倍であった。
〔被覆樹脂粒子分散液〔DB6〕の調製例〕
スチレンアクリル樹脂微粒子分散液〔DX〕550質量部およびウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液〔D2〕200質量部を、撹拌装置、冷却管、温度計および窒素導入管を備えた反応容器に入れ、純水200質量部およびドデシル硫酸ナトリウム2.5質量部を加え窒素気流下において80℃で撹拌した。ここに、過硫酸カリウム2量部を純水35質量部に溶解した重合開始剤水溶液を加え、さらに、スチレン68質量部、n−ブチルアクリレート26質量部、メタクリル酸5質量部およびn−オクチルメルカプタン0.7質量部からなるモノマー溶液を1時間にわたって滴下し、80℃で4時間反応を行った。その後、内温を85℃に昇温して1時間反応を行い、室温まで冷却し、濾過することにより、被覆樹脂粒子分散液〔DB6〕を得た。界面活性剤の濃度は、臨界ミセル濃度(CMC)の1.87倍であった。
被覆樹脂微粒子分散液〔DB6〕における微粒子の体積基準のメジアン径は230nm、重量平均分子量(Mw)は28,700であった。
〔被覆樹脂粒子分散液〔DB7〕の調製例〕
上記の被覆樹脂微粒子分散液〔DB1〕の調製例において、ドデシル硫酸ナトリウムを添加しなかったこと以外は同様にして、被覆樹脂微粒子分散液〔DB7〕を得た。界面活性剤の濃度は、臨界ミセル濃度(CMC)の0.43倍であった。重合完了後に濾過を行うと残渣が確認された。これらは、ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂〔1〕であった。
被覆樹脂微粒子分散液〔DB7〕における微粒子の体積基準のメジアン径は240nm、重量平均分子量(Mw)は28,500であった。
〔被覆樹脂粒子分散液〔DB8〕の調製例〕
上記の被覆樹脂微粒子分散液〔DB1〕の調製例において、ドデシル硫酸ナトリウムの添加量を18質量部に変更したこと以外は同様にして、被覆樹脂微粒子分散液〔DB8〕を得た。界面活性剤の濃度は、臨界ミセル濃度(CMC)の5.56倍であった。濾過後の残渣は認められなかった。
被覆樹脂微粒子分散液〔DB8〕における微粒子の体積基準のメジアン径は160nm、重量平均分子量(Mw)は28,500であった。
〔着色剤微粒子分散液〔C〕の調製例〕
シアン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3)30質量部を、純水160質量部にドデシル硫酸ナトリウム10質量部を溶解した界面活性剤水溶液に添加し、「クレアミックス」(エム・テクニック社製)を用いて高速撹拌を行うことにより、シアン色の着色剤微粒子分散液〔C〕を得た。
着色剤微粒子分散液〔C〕の平均粒径は210nm、固形分濃度は15%であった。
〔実施例1:トナー〔1〕の製造例〕
冷却管、温度計および撹拌機を備えた反応容器に、被覆樹脂微粒子分散液〔DB1〕750質量部、着色剤微粒子分散液〔C〕45質量部、純水500質量部およびポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(有効成分:27%)6.2質量部を投入し、撹拌しながら1N−水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを10に調整した。
さらに、塩化マグネシウム・六水和物20質量部を純水20質量部に溶解した塩化マグネシウム水溶液を加えた後、撹拌しながら80℃まで昇温した。内温を80℃に維持して撹拌しながらサンプリングを行い、粒度分布測定装置「コールターカウンター3」(ベックマン・コールター社製)を用いて粒径を測定し、体積基準のメジアン径が5.8μmに到達した時点で塩化ナトリウム1.5質量部を純水7.5質量部に溶解した塩化ナトリウム水溶液を加え、粒径成長を停止した。さらにフロー式粒子像分析装置「FPIA−2100」(シスメックス社製)を用い、円形度を測定して平均円形度が0.96になった時点で室温まで冷却した。この分散液に対して、濾過および純水による洗浄を繰り返し行った後、乾燥し、これによりトナー粒子〔1〕を得た。
トナー粒子〔1〕の体積基準のメジアン径は5.83μm、平均円形度は0.962であった。
得られたトナー粒子〔1〕に対し、疎水性シリカ(数平均一次粒子径=10nm、疎水化度=60)1質量%を添加し、「ヘンシェルミキサー」(三井三池化工機社製)により混合し、その後、45μmの目開きの篩を用いて粗大粒子を除去することにより、トナー〔1〕を得た。
〔実施例2〜5、参考例1:トナー〔2〕〜〔6〕の製造例〕
上記のトナー〔1〕の製造例において、被覆樹脂微粒子分散液〔DB1〕の代わりに、それぞれ被覆樹脂微粒子分散液〔DB2〕〜〔DB6〕を用いたこと以外は同様にして、トナー粒子〔2〕〜〔6〕を得、トナー〔1〕の製造例と同様にして疎水性シリカを混合することにより、トナー〔2〕〜〔6〕を得た。
〔比較例1:トナー〔7〕の製造例〕
冷却管、温度計および撹拌機を備えた反応容器に、スチレンアクリル樹脂微粒子分散液〔DX〕375質量部、ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液〔D2〕375質量部、着色剤微粒子分散液〔C〕45質量部、純水500質量部およびポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(有効成分:27%)6.2質量部を投入し、撹拌しながら1N−水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを10に調整した。
さらに、塩化マグネシウム・六水和物20質量部を純水20質量部に溶解した塩化マグネシウム水溶液を加えた後、撹拌しながら80℃まで昇温した。内温を80℃に維持して撹拌しながらサンプリングを行い、粒度分布測定装置「コールターカウンター3」(ベックマン・コールター社製)を用いて粒径を測定し、体積基準のメジアン径が5.8μmに到達した時点で塩化ナトリウム1.5質量部を純水7.5質量部に溶解した塩化ナトリウム水溶液を加え、粒径成長を停止した。さらにフロー式粒子像分析装置「FPIA−2100」(シスメックス社製)を用い、円形度を測定して平均円形度が0.96になった時点で室温まで冷却した。この分散液に対して、濾過および純水による洗浄を繰り返し行った後、乾燥し、これによりトナー粒子〔7〕を得た。
トナー粒子〔7〕の体積基準のメジアン径は5.91μm、平均円形度は0.965であった。
得られたトナー粒子〔7〕に対し、疎水性シリカ(数平均一次粒子径=10nm、疎水化度=60)1質量%を添加し、「ヘンシェルミキサー」(三井三池化工機社製)により混合し、その後、45μmの目開きの篩を用いて粗大粒子を除去することにより、トナー〔7〕を得た。
〔比較例2,3:トナー〔8〕,〔9〕の製造例〕
上記のトナー〔1〕の製造例において、被覆樹脂微粒子分散液〔DB1〕の代わりに、それぞれ被覆樹脂微粒子分散液〔DB7〕,〔DB8〕を用いたこと以外は同様にして、トナー粒子〔8〕,〔9〕を得、トナー〔1〕の製造例と同様にして疎水性シリカを混合することにより、トナー〔8〕,〔9〕を得た。
トナー〔8〕の平均粒径は体積基準のメジアン径で6.74μm、平均円形度は0.948であった。
トナー〔9〕の平均粒径は体積基準のメジアン径で6.59μm、平均円形度は0.966であった。
〔現像剤の製造例1〜9〕
トナー〔1〕〜〔9〕の各々に対して、アクリル樹脂で被覆した体積平均粒径35μmのフェライトキャリアをトナー濃度が6質量%となるように添加して、Vブレンダーを用いて混合することにより、現像剤〔1〕〜〔9〕を製造した。
上記の現像剤〔1〕〜〔9〕について、以下の評価を行った。
(1)低温定着性
定着温度を変更することができるよう改造した「BiZHab」(コニカミノルタ社製)を用い、トナー付着量9g/m2 のベタ画像を、定着温度を180℃から5℃毎に100℃まで設定し420mm/secの線速でそれぞれ定着して出力した後、画像部分を谷折りにし画像が剥がれ折れ目に現れる幅が0.5mm以下となった定着温度のうちの最も低いものを最低定着温度(MFT)とした。
結果を表3に示す。この最低定着温度が140℃以下であれば本発明において合格と判断される。
(2)耐破砕性
容器に現像剤を入れ、ローターを用いて1時間撹拌した後、取り出し、キャリアとトナーとに分離する撹拌試験を行った。撹拌試験前後のトナーの粒度分布を「FPIA−2100」を用いて測定し、粒径が2μm以下であるトナー粒子(破砕トナー粒子)の量(個数%)を算出した。撹拌試験前後の破砕トナー粒子の量を比較することにより、耐破砕性を評価した。
結果を表3に示す。本発明においては、撹拌試験後の破砕トナーの量が5.0個数%以下である場合が合格と判断される。
Figure 0006123760

Claims (10)

  1. 非晶性樹脂および結晶性樹脂よりなる結着樹脂、離型剤および着色剤を含有するトナー粒子よりなる静電荷像現像用トナーの製造方法であって、
    水系媒体中において、結晶性樹脂を含有する微粒子および離型剤を含有する微粒子の共存下に、非晶性樹脂を形成するための単量体を添加し、重合を行うことにより、結晶性樹脂を含有する微粒子が非晶性樹脂によって被覆された被覆樹脂微粒子、離型剤を含有する微粒子が非晶性樹脂によって被覆された離型剤含有非晶性樹脂微粒子、および、非晶性樹脂を含有する微粒子を得る重合工程、
    水系媒体中において、少なくとも、前記被覆樹脂微粒子、前記離型剤含有非晶性樹脂微粒子、前記非晶性樹脂を含有する微粒子、および、着色剤を含有する微粒子を、凝集剤の存在下において凝集、融着してトナー粒子を得る凝集・融着工程を有し、
    前記重合工程における水系媒体に、臨界ミセル濃度の1〜5倍の濃度の界面活性剤が添加されていることを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
  2. 前記離型剤を含有する微粒子が、前記離型剤よりなる微粒子であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  3. 前記離型剤を含有する微粒子が、前記離型剤および非晶性樹脂を共に含有する微粒子であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  4. 前記離型剤を含有する微粒子を、水系媒体中において、離型剤および非晶性樹脂を形成するための単量体を混合乳化させた微粒子を重合させることによって得ることを特徴とする請求項3に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  5. 前記結晶性樹脂が、結晶性ポリエステル樹脂、および/または、結晶性ポリエステル重合セグメントとウレタン重合セグメントとが結合してなるウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂からなり、
    当該結晶性樹脂の融点が50〜90℃であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  6. 前記結晶性樹脂がウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂を含有するとき、
    当該ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂の分子末端および/または当該ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂を構成するウレタン重合セグメントに、カルボキシル基を有し、
    当該ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂の酸価が、9〜20mgKOH/gであることを特徴とする請求項5に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  7. 前記結晶性樹脂を含有する微粒子が、前記結晶性樹脂よりなる微粒子であることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  8. 前記結晶性樹脂を含有する微粒子が、さらに離型剤を含有することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  9. 前記非晶性樹脂を形成するための単量体として、カルボキシル基を含有するエチレン性不飽和単量体を用いることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  10. 前記非晶性樹脂を含有する微粒子が、前記非晶性樹脂よりなる微粒子であることを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
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