以下、本発明の実施例について説明する。
本発明の実施例1である電池システム(本発明の蓄電システムに相当する)について説明する。図1は、電池システムの構成を示す概略図である。図1に示す電池システムは、車両に搭載されている。
組電池(本発明の蓄電装置に相当する)10は、直列に接続された複数の単電池(本発明の蓄電素子に相当する)11を有する。単電池11としては、二次電池が用いられる。また、二次電池の代わりに、電気二重層キャパシタ(本発明の蓄電素子に相当する)を用いることができる。組電池10は、2つの電池グループ(本発明の蓄電グループに相当する)10A,10Bに分けられており、電池グループ10A,10Bは直列に接続されている。各電池グループ10A,10Bは、直列に接続された複数の単電池11によって構成されている。
組電池10(電池グループ10A)の正極端子には正極ラインPLが接続され、組電池10(電池グループ10B)の負極端子には負極ラインNLが接続されている。電池グループ10Aおよび電池グループ10Bの接続点P1には、中間ライン(本発明の第1中間ラインに相当する)CL1の一端が接続されている。中間ラインCL1には、システムメインリレーSMR−Cが設けられている。システムメインリレーSMR−Cは、コントローラ40からの制御信号を受けて、オンおよびオフの間で切り替わる。
正極ラインPLには、システムメインリレーSMR−Bが設けられている。システムメインリレーSMR−Bは、コントローラ40からの制御信号を受けて、オンおよびオフの間で切り替わる。負極ラインNLにはシステムメインリレーSMR−Gが設けられている。システムメインリレーSMR−Gは、コントローラ40からの制御信号を受けて、オンおよびオフの間で切り替わる。
システムメインリレーSMR−Gには、抵抗素子RおよびシステムメインリレーSMR−Pが並列に接続されている。抵抗素子RおよびシステムメインリレーSMR−Pは、直列に接続されている。システムメインリレーSMR−Pは、コントローラ40からの制御信号を受けて、オンおよびオフの間で切り替わる。なお、抵抗素子RおよびシステムメインリレーSMR−Pは、システムメインリレーSMR−Gではなく、システムメインリレーSMR−Bに対して並列に接続することもできる。
正極ラインPLおよび負極ラインNLには、コンデンサ(本発明のコンデンサ部に相当する)Cが接続されている。コンデンサCは、正極ラインPLおよび負極ラインNLの間における電圧値を平滑化するために用いられる。ここで、抵抗素子Rは、コンデンサCに突入電流が流れることを抑制するために用いられる。電圧センサ21は、コンデンサCの電圧値V_Cを検出し、検出結果をコントローラ40に出力する。
電圧センサ22は、電池グループ10Aの電圧値VB_Aを検出し、検出結果をコントローラ40に出力する。電圧センサ23は、電池グループ10Bの電圧値VB_Bを検出し、検出結果をコントローラ40に出力する。電圧センサ24は、組電池10の電圧値VB_Tを検出し、検出結果をコントローラ40に出力する。電圧値VB_A.VB_B,VB_Tは、例えば、組電池10の充放電を制御するときに用いられる。
正極ラインPLおよび負極ラインNLの間には、ダイオードD1,D2が直列に接続されている。具体的には、ダイオードD1のカソードは、システムメインリレーSMR−Bおよび昇圧回路31の間に位置する正極ラインPLに接続されている。言い換えれば、システムメインリレーSMR−Bは、正極ラインPL上において、組電池10の正極端子と、ダイオードD1のカソードおよび正極ラインPLの接続点P2との間に設けられている。
ダイオードD1のアノードは、ダイオードD2のカソードに接続されている。ダイオードD1,D2の接続点P3には、中間ラインCL1の他端が接続されている。ダイオードD2のアノードは、システムメインリレーSMR−Gおよび昇圧回路31の間に位置する負極ラインNLに接続されている。言い換えれば、システムメインリレーSMR−Gは、負極ラインNL上において、組電池10の負極端子と、ダイオードD2のアノードおよび負極ラインNLの接続点P4との間に設けられている。
これにより、ダイオードD1は、正極ラインPLおよび中間ラインCL1を介して、電池グループ10Aと並列に接続される。ここで、ダイオードD1のカソードは、電池グループ10Aの正極端子と接続され、ダイオードD1のアノードは、電池グループ10Aの負極端子と接続される。ダイオードD2は、中間ラインCL1および負極ラインNLを介して、電池グループ10Bと並列に接続されている。ここで、ダイオードD2のカソードは、電池グループ10Bの正極端子と接続され、ダイオードD2のアノードは、電池グループ10Bの負極端子と接続される。
組電池10は、正極ラインPLおよび負極ラインNLを介して、昇圧回路31に接続されている。昇圧回路31は、組電池10の出力電圧を昇圧し、昇圧後の電力をインバータ32に出力する。インバータ32は、昇圧回路31から出力された直流電力を交流電力に変換し、交流電力をモータ・ジェネレータ(MG)33に出力する。モータ・ジェネレータ33は、インバータ32から出力された交流電力を受けて、車両を走行させるための運動エネルギを生成する。
一方、モータ・ジェネレータ33は、車両の制動時に発生する運動エネルギを電気エネルギ(交流電力)に変換し、交流電力をインバータ32に出力する。インバータ32は、モータ・ジェネレータ33から出力された交流電力を直流電力に変換し、直流電力を昇圧回路31に出力する。昇圧回路31は、インバータ32の出力電圧を降圧し、降圧後の電力を組電池10に出力する。これにより、組電池10を充電することができる。本実施例では、昇圧回路31を用いているが、昇圧回路31を省略することもできる。
エアーコンディショナー(A/C)34は、正極ラインPLおよび負極ラインNLに接続されている。エアーコンディショナー34は、組電池10(電池グループ10A,10B)の放電電力を受けて動作する。また、DC/DCコンバータ35は、正極ラインPLおよび負極ラインNLに接続されている。DC/DCコンバータ35は、組電池10(電池グループ10A,10B)の出力電圧を降圧し、降圧後の電力を補機電池36や補機37に供給する。
図1に示す電池システムを起動状態(Ready-On)にするときの処理(一例)について説明する。コントローラ40は、まず、システムメインリレーSMR−B,SMR−Pをオフからオンに切り替える。これにより、組電池10の放電電流が抵抗素子Rを介してコンデンサCに流れることにより、コンデンサCが充電される。次に、コントローラ40は、システムメインリレーSMR−Gをオフからオンに切り替えるとともに、システムメインリレーSMR−Pをオンからオフに切り替える。
これにより、電池システムが起動状態となる。ここで、コントローラ40は、電池システムを起動状態とする前に、システムメインリレーSMR−Cをオフからオンに切り替える。システムメインリレーSMR−Cをオフからオンに切り替えるタイミングは、適宜決めることができる。電池システムが起動状態にあるときには、システムメインリレーSMR−C,SMR−B,SMR−Gがオンになる。一方、コントローラ40は、システムメインリレーSMR−C,SMR−B,SMR−Gをオンからオフに切り替えることにより、電池システムを停止状態(Ready-Off)にすることができる。
なお、電池システムを起動状態にするとき、まず、電池グループ10A,10Bの一方だけをコンデンサCと接続してコンデンサCを充電することができる。この後に、他方の電池グループを放電すれば、電池システムを起動状態にすることができる。
図1に示す構成では、システムメインリレーSMR−P,SMR−Cをオンにすることにより、電池グループ10Bだけを放電させてコンデンサCを充電することができる。この後に、電池グループ10Aを放電することにより、電池システムを起動状態にすることができる。なお、図1に示す構成において、電池グループ10Aだけを放電させてコンデンサCを充電するときには、コンデンサCに突入電流が流れることがある。このため、システムメインリレーSMR−B,SMR−Cの少なくとも一方に対して、抵抗素子RおよびシステムメインリレーSMR−Pを並列に接続することが好ましい。
なお、DC/DCコンバータ35として、双方向型のDC/DCコンバータ35を用いれば、補機電池36の放電電力によってコンデンサCを充電することもできる。具体的には、DC/DCコンバータ35は、補機電池36の出力電圧を昇圧し、昇圧後の電力をコンデンサCに出力することができる。システムメインリレーSMR−B,SMR−Gをオンにする前に、上述したようにコンデンサCを充電しておけば、抵抗素子Rを設けなくてもよい。すなわち、抵抗素子RおよびシステムメインリレーSMR−Pを省略することができる。
図2に示すように、単電池11は、発電要素11aおよび電流遮断器11bを有する。発電要素11aは充放電を行う要素であり、公知のように、正極板、負極板およびセパレータによって構成することができる。電流遮断器11bは、単電池11の内部における電流経路を遮断するために用いられる。電流遮断器11bが作動したときには、発電要素11aが充放電されない。
例えば、単電池11の内部でガスが発生し、単電池11の内圧が上昇したときに、電流遮断器11bを作動させることができる。この電流遮断器11bとしては、単電池11の内圧が上昇したときに変形する弁を用いることができる。弁を変形させることにより、発電要素11aの電流経路を機械的に遮断させることができる。このような電流遮断器11bの構成は公知であるため、詳細な説明は省略する。一方、発電要素11aに過大な電流が流れるときに、電流遮断器11bを作動させることができる。この電流遮断器11bとしては、例えば、ヒューズを用いることができる。
電流遮断器11bが作動したときには、電流遮断器11bの両端子に高電圧が印加されることがある。本実施例では、以下に説明するように、作動状態の電流遮断器11bに印加される電圧値を低下させることができる。
以下では、電池グループ10Aに含まれる単電池11(任意の1つ)の電流遮断器11bが作動したときについて説明する。ここで、電池グループ10Bに含まれる単電池11(任意の1つ)の電流遮断器11bが作動したときの挙動は、電池グループ10Aに含まれる単電池11の電流遮断器11bが作動したときの挙動と同様であるため、詳細な説明は省略する。
まず、図1に示す電池システムを起動状態にするときに、電流遮断器11bが作動している場合について説明する。
電池システムが起動状態となる前では、コンデンサCが放電されており、コンデンサCの電圧値V_Cは0[V]である。電池システムを起動状態にするときには、上述したように、システムメインリレーSMR−B,SMR−Pがオフからオンに切り替わる。電池グループ10Aに含まれる単電池11の電流遮断器11bが作動しているため、電池グループ10Aは放電されない。
ここで、システムメインリレーSMR−Cがオンになるため、電池グループ10Bの放電電流が、中間ラインCL1、ダイオードD1、正極ラインPL、コンデンサCおよび負極ラインNLの順に流れることにより、コンデンサCが充電される。これにより、コンデンサCの電圧値V_Cは、電池グループ10Bの電圧値VB_Bと等しくなる。ここで、電池グループ10Aの正極端子の電位(正極電位)は電圧値V_Cを示し、電池グループ10Aの負極端子の電位(負極電位)は電圧値VB_Bを示すため、電池グループ10Aの電圧値(正極電位および負極電位の差)VB_Aは0[V]となる。これにより、作動状態の電流遮断器11bには、電池グループ10Aの起電圧が印加される。
中間ラインCL1を省略すると、電流遮断器11bが作動したときに、組電池10の正極端子および負極端子における電位が等しくなり、組電池10の電圧値VB_Tが0[V]となる。このとき、作動状態の電流遮断器11bには、組電池10の起電圧が印加されてしまう。電池グループ10Aを構成する単電池11の数は、組電池10を構成する単電池11の数よりも少ないため、電池グループ10Aの起電圧は、組電池10の起電圧よりも低くなる。このため、本実施例によれば、中間ラインCL1を省略した構成に比べて、作動状態の電流遮断器11bに印加される電圧値を低下させることができる。
次に、モータ・ジェネレータ33、エアーコンディショナー34や補機37などの負荷(以下、単に負荷という)に電力を供給しているときに電流遮断器11bが作動した場合について説明する。電流遮断器11bが作動すると、上述した場合と同様に、電池グループ10Aが放電されず、電池グループ10Bだけが放電される。電流遮断器11bが作動する前では、コンデンサCの電圧値V_Cは、組電池10の電圧値VB_Tと等しい。電流遮断器11bが作動した後では、負荷の動作によって、コンデンサCが放電されて電圧値V_Cが低下する。また、電池グループ10Bが放電しているため、コンデンサCの電圧値V_Cは、電池グループ10Bの電圧値VB_Bと等しくなる。
これにより、電池グループ10Aの正極端子および負極端子における電位が等しくなり、電池グループ10Aの電圧値VB_Aが0[V]となる。したがって、作動状態の電流遮断器11bには、電池グループ10Aの起電圧が印加される。中間ラインCL1を省略した構成に比べて、作動状態の電流遮断器11bに印加される電圧値を低下させることができる。
次に、組電池10を充電しているときに電流遮断器11bが作動した場合について説明する。電流遮断器11bが作動すると、昇圧回路31からの充電電流を組電池10に流すことができなくなる。また、ダイオードD1のカソードが正極ラインPLに接続されているため、中間ラインCL1を介して電池グループ10Bを充電することもできない。
このとき、昇圧回路31からの充電電流がコンデンサCに流れることにより、コンデンサCの電圧値V_Cが上昇する。ここで、電池グループ10Aの負極端子の電位は電池グループ10Bの電圧値VB_Bとなり、電池グループ10Aの正極端子の電位は電圧値V_Cとなる。電池グループ10Aの起電圧を考慮すると、作動状態の電流遮断器11bには、電圧値VB_B,VB_Aの総和(すなわち、電圧値VB_T)と、電圧値V_Cとの差に相当する電圧値が印加される。
電池グループ10A,10Bは充電されないため、電圧値VB_A,VB_Bは変化しない。このため、コンデンサCの電圧値V_Cが上昇するほど、作動状態の電流遮断器11bに印加される電圧値が上昇してしまう。そこで、本実施例では、コンデンサCの電圧値V_Cを予め定めた上限電圧値V_ovl以下となるようにしている。これにより、電圧値V_Cは上限電圧値V_ovlよりも高くならない。このとき、作動状態の電流遮断器11bに印加される電圧値(最大値)は、上限電圧値V_ovlと、電圧値VB_A,VB_Bの総和(すなわち、電圧値VB_T)との差になる。
上限電圧値V_ovlを適宜設定すれば、作動状態の電流遮断器11bに印加される電圧値を、組電池10の電圧値VB_Tよりも低くすることができる。すなわち、上限電圧値V_ovlと、電圧値VB_A,VB_Bの総和(電圧値VB_T)との差に相当する電圧値が電圧値VB_Tよりも低ければ、上述したように、作動状態の電流遮断器11bに印加される電圧値を低下させることができる。
ここで、電圧値V_Cを上限電圧値V_ovl以下とするための処理について、図3に示すフローチャートを用いて説明する。図3に示す処理は、コントローラ40によって実行される。
ステップS101において、コントローラ40は、電圧センサ21を用いて、コンデンサCの電圧値V_Cを検出する。ステップS102において、コントローラ40は、ステップS101の処理で検出された電圧値V_Cが上限電圧値V_ovlよりも高いか否かを判別する。電圧値V_Cが上限電圧値V_ovl以下であるとき、コントローラ40は、図3に示す処理を終了する。
一方、電圧値V_Cが上限電圧値V_ovlよりも高いとき、コントローラ40は、ステップS103において、コンデンサCへの電力供給を停止させる。例えば、コントローラ40は、モータ・ジェネレータ33による発電を停止させることができる。これにより、コンデンサCに充電電流が流れることを防止できる。
上限電圧値V_ovlを低くするほど、電流遮断器11bが作動せずに、組電池10の充放電を行っているときにも、ステップS103の処理が行われてしまうことがある。この場合には、組電池10を充電することができるにも関わらず、組電池10を充電することができなくなってしまう。この点を考慮して、上限電圧値V_ovlを設定することができる。
本実施例では、ダイオードD1,D2を用いているが、ダイオードD1,D2の代わりにツェナーダイオードD1,D2を用いることができる。ここで、ダイオードD1,D2と同様に、ツェナーダイオードD1,D2を接続することができる。ツェナーダイオードD1,D2に印加される電圧値がツェナーダイオードD1,D2の降伏電圧値よりも高くなると、ツェナーダイオードD1,D2のカソードからアノードに電流が流れる。
例えば、電池グループ10Aに含まれる単電池11の電流遮断器11bが作動したとき、ツェナーダイオードD1および中間ラインCL1を介して、電池グループ10Bに充電電流を流すことができる。このときの電圧値V_Cは、ツェナーダイオードD1の降伏電圧値と等しくなる。このように、ツェナーダイオードD1,D2と並列に接続されたコンデンサCの電圧値V_Cは、ツェナーダイオードD1,D2の降伏電圧値よりも高くなることはない。
ツェナーダイオードD1,D2を用いることにより、コンデンサCの電圧値V_Cの上限電圧値をツェナーダイオードD1,D2の降伏電圧値に設定することができる。したがって、図3に示すステップS103の処理のように、コンデンサCへの電力供給を停止させなくても、コンデンサCの電圧値V_Cが上昇しすぎることを防止できる。
また、例えば、電池グループ10Aに含まれる電流遮断器11bが作動したとき、作動状態の電流遮断器11bに印加される電圧値は、電圧値VB_A,VB_Bの総和(すなわち、電圧値VB_T)とツェナーダイオードD1,D2の降伏電圧値との差以下になる。上述した上限電圧値V_ovlと同様に、ツェナーダイオードD1,D2の降伏電圧値を適宜設定することにより、作動状態の電流遮断器11bに印加される電圧値を、組電池10の電圧値VB_Tよりも低くすることができる。
本実施例では、電池グループ10AおよびダイオードD1を並列に接続する電流経路において、システムメインリレーSMR−B,SMR−Cを設けている。これにより、システムメインリレーSMR−B,SMR−Cの少なくとも一方をオフにすることにより、電池グループ10AおよびダイオードD1を並列に接続する電流経路を遮断することができる。
システムメインリレーSMR−B,SMR−Cがオンであるときにおいて、ダイオードD1の故障(短絡やリーク)が発生すると、ダイオードD1のカソードからアノードに電池グループ10Aの放電電流が流れ、電池グループ10Aが放電し続けてしまう。このとき、システムメインリレーSMR−B,SMR−Cの少なくとも一方をオフにすれば、電池グループ10Aの放電を停止させることができる。同様に、ダイオードD2の故障(短絡やリーク)が発生しているとき、システムメインリレーSMR−G,SMR−PやシステムメインリレーSMR−Cをオフにすることにより、電池グループ10Bが放電し続けてしまうことを防止できる。
一方、本実施例では、組電池10を2つの電池グループ10A,10Bに分けているが、組電池10を3つ以上の電池グループに分けることもできる。図4に示す構成では、組電池10をN個の電池グループ10−1〜10−Nに分けている。ここで、本実施例と同様に、直列に接続される2つの電池グループ10(例えば、電池グループ10−1,10−2)の接続点P1には、中間ラインCL1の一端が接続される。これにより、「N−1」個の中間ラインCL1が設けられる。これらの中間ラインCL1のそれぞれには、システムメインリレーSMR−Cが設けられる。
また、正極ラインPLおよび負極ラインNLの間では、N個のダイオードD1〜DNが直列に接続される。ダイオードD1のカソードは、正極ラインPLに接続され、ダイオードD1のアノードは、ダイオードD2のカソードに接続される。ダイオードD2のアノードには、他のダイオードのカソードが接続される。ダイオードDNのカソードは、他のダイオードのアノードに接続され、ダイオードDNのアノードは、負極ラインNLに接続される。ここで、直列に接続される2つのダイオード(例えば、ダイオードD1,D2)の接続点P3には、中間ラインCL1の他端が接続される。
電池グループの数を増やすほど、各電池グループの電圧値を低くでき、作動状態の電流遮断器11bに印加される電圧値を低下させることができる。例えば、電池グループ10−2に含まれる単電池11(任意の1つ)の電流遮断器11bが作動したとき、作動状態の電流遮断器11bには、電池グループ10−2の起電圧が印加される。
図1および図4に示す組電池10において、組電池10を構成する単電池11の数が等しいとき、電池グループ10−2を構成する単電池11の数を、各電池グループ10A,10Bを構成する単電池11の数よりも少なくすることができる。図1および図4に示す組電池10において、同一の単電池11を用いているとき、電池グループ10−2の電圧値は、各電池グループ10A,10Bの電圧値VB_A,VB_Bよりも低くなる。したがって、図4に示す構成によれば、図1に示す構成に比べて、作動状態の電流遮断器11bに印加される電圧値を低下することができる。
本発明の実施例2である電池システムについて説明する。本実施例において、実施例1で説明した構成要素と同じ構成要素についは同一の符号を用い、詳細な説明は省略する。本実施例は、実施例1で説明したダイオードD1,D2の故障を判別するものである。以下、実施例1と異なる点について説明する。
ダイオードD1,D2の故障を判別するときには、図5に示すように、電圧センサ21、電流センサ25,温度センサ26a,26b、ヒューズ27を用いることができる。電流センサ25は、中間ラインCL1に設けられており、中間ラインCL1上の電流値Icを検出し、検出結果をコントローラ40に出力する。
温度センサ26aは、ダイオードD1の温度T_d1を検出し、検出結果をコントローラ40に出力する。温度センサ26bは、ダイオードD2の温度T_d2を検出し、検出結果をコントローラ40に出力する。ヒューズ27は、中間ラインCL1に設けられており、電流値Icが閾値Ic_th以上となったときに溶断する。
ダイオードD1,D2の故障には、4種類の故障がある。具体的には、ダイオードD1,D2の断線、ダイオードD1,D2の短絡、ダイオードD1,D2の抵抗値の上昇、ダイオードD1,D2のリークがある。以下、これらの故障を判別する処理について説明する。
まず、ダイオードD1の断線(断線の可能性)を判別する処理について、図6に示すフローチャートを用いて説明する。図6に示す処理は、コントローラ40によって実行される。例えば、電池システムを起動状態から停止状態に切り替えるときに、図6に示す処理を行うことができる。ここで、図6に示す処理を開始するときには、システムメインリレーSMR−B,SMR−C,SMR−Gがオンであり、システムメインリレーSMR−Pがオフである。
ステップS201において、コントローラ40は、システムメインリレーSMR−Bをオンからオフに切り替える。システムメインリレーSMR−C,SMR−Gはオンのままであり、システムメインリレーSMR−Pはオフのままである。これにより、電池グループ10Bだけを放電することができる。ここで、システムメインリレーSMR−Bをオフにする前では、コンデンサCの電圧値V_Cが組電池10の電圧値VB_Tとなる。システムメインリレーSMR−Bをオフにすると、負荷の動作によってコンデンサCが放電される。電池グループ10Bだけを放電できるため、コンデンサCの電圧値V_Cは電池グループ10Bの電圧値VB_Bまで低下する。
ステップS202において、コントローラ40は、電圧センサ21を用いて、コンデンサCの電圧値V_Cを検出する。ステップS203において、コントローラ40は、ステップS202の処理で検出された電圧値V_Cが0[V]であるか否かを判別する。ここでは、電圧センサ21の検出誤差を考慮して、電圧値V_Cが略0[V]であるか否かを判別することもできる。具体的には、0[V]を基準とした電圧センサ21の検出誤差の範囲内に電圧値V_Cが含まれているか否かを判別することができる。
電圧値V_Cが0[V]であるとき、コントローラ40は、ステップS204において、ダイオードD1が断線している可能性があることを判別し、故障フラグを設定する。ダイオードD1が断線していると、電池グループ10Bの放電電流がコンデンサCに流れない。また、負荷の動作よって、コンデンサCが放電されるため、電圧値V_Cは0[V]となる。したがって、電圧値V_Cが0[V]であるときには、ダイオードD1が断線している可能性があることを判別できる。
一方、ダイオードD1が断線していないときには、上述したように、コンデンサCの電圧値V_Cが電池グループ10Bの電圧値VB_Bを示す。組電池10(電池グループ10A,10B)の充放電を制御する上では、電圧値VB_Bが0[V]とならないため、ステップS203の処理では、電圧値V_Cが0[V]とは異なることになり、コントローラ40は、ダイオードD1が断線していないことを判別し、図6に示す処理を終了する。
図6に示す処理では、ダイオードD1の断線を判別する処理について説明したが、ダイオードD2の断線(断線の可能性)を判別する処理についても同様に行うことができる。具体的には、図6に示すステップS201の処理において、システムメインリレーSMR−Gをオフにすればよい。そして、電圧値V_Cが0[V]となれば、ダイオードD2が断線している可能性があることを判別できる。
一方、電池システムを停止状態から起動状態に切り替えるときに、ダイオードD1の断線を判別することもできる。電池システムを起動状態にするために、コントローラ40がシステムメインリレーSMR−C,SMR−Pをオンにしたとき、ダイオードD1が断線していなければ、電池グループ10Bの放電電流がコンデンサCに流れる。これにより、コンデンサCの電圧値V_Cが電池グループ10Bの電圧値VB_Bとなる。ダイオードD1が断線していると、電池グループ10Bの放電電流がコンデンサCに流れないため、コンデンサCの電圧値V_Cは0[V]のままである。
したがって、コンデンサCの電圧値V_Cを検出すれば、この電圧値V_Cに基づいて、ダイオードD1が断線しているか否かを判別することができる。すなわち、電圧値V_Cが0[V]のままであれば、ダイオードD1が断線している可能性があることを判別できる。
なお、電池システムを起動状態にするとき、上述したダイオードD1の断線の判別と同様に、ダイオードD2の断線を判別することができる。ここで、ダイオードD2の断線を判別するためには、システムメインリレーSMR−B,SMR−Cの少なくとも一方にも、抵抗素子RおよびシステムメインリレーSMR−Pを並列に接続しておく必要がある。この場合において、電池システムを起動状態にするとき、例えば、コントローラ40は、システムメインリレーSMR−Cと、システムメインリレーSMR−Bと並列に接続されたシステムメインリレーSMR−Pとをオンにする。
これにより、ダイオードD2が断線していなければ、電池グループ10Aの放電電流をコンデンサCに流すことができる。ここで、システムメインリレーSMR−Bに対して、抵抗素子RおよびシステムメインリレーSMR−Pを並列に接続することにより、コンデンサCに突入電流が流れることを抑制できる。電圧値V_Cを検出し、電圧値V_Cが0[V]であれば、ダイオードD2が断線している可能性があることを判別できる。
上述した処理では、電圧値V_Cに基づいてダイオードD1,D2の断線を判別しているが、これに限るものではない。具体的には、電流センサ25によって検出された電流値Icに基づいて、ダイオードD1,D2の断線を判別することもできる。ダイオードD1,D2のいずれかが断線すると、上述したように、電池グループ10A,10Bのいずれかが放電されないため、中間ラインCL1には電流が流れなくなる。
したがって、電流センサ25によって検出された電流値Icが0[A]であるか否かを判別し、電流値Icが0[A]であるときには、ダイオードD1,D2が断線していることを判別できる。この判別においては、電流センサ25の検出誤差を考慮して、0[A]を基準とした検出誤差の範囲内に電流値Icが含まれているか否かを判別することができる。そして、電流値Icが検出誤差の範囲内に含まれていれば、ダイオードD1,D2が断線していることを判別できる。
次に、ダイオードD1の短絡を判別する処理について、図7に示すフローチャートを用いて説明する。図7に示す処理は、コントローラ40によって実行される。図7に示す処理を行うときには、上述したヒューズ27が用いられる。例えば、電池システムを起動状態から停止状態に切り替えるときに、図7に示す処理を行うことができる。ここで、図7に示す処理を開始するときには、システムメインリレーSMR−B,SMR−C,SMR−Gがオンであり、システムメインリレーSMR−Pがオフである。
ステップS301において、コントローラ40は、システムメインリレーSMR−Gをオフにする。システムメインリレーSMR−B,SMR−Cはオンのままであり、システムメインリレーSMR−Pはオフのままである。これにより、電池グループ10Bを放電できなくなる。ステップS302において、コントローラ40は、ステップS301の処理を終了してから所定時間が経過するまで待機する。所定時間が経過すると、コントローラ40は、ステップS303において、電流センサ25を用いて電流値Icを検出する。
ステップS304において、コントローラ40は、ステップS303の処理で検出された電流値Icが0[A]であるか否かを判別する。ここで、電流センサ25の検出誤差を考慮して、電流値Icが略0[A]であるか否かを判別してもよい。具体的には、0[A]を基準とした電流センサ25の検出誤差の範囲内に電流値Icが含まれているか否かを判別することができる。
電流値Icが0[A]であるとき、コントローラ40は、ステップS305において、ダイオードD1が短絡していることを判別し、故障フラグを設定する。電流値Icが0[A]ではないとき、コントローラ40は、ダイオードD1が短絡していないことを判別し、図7に示す処理を終了する。
ダイオードD1が短絡していると、電池グループ10Aの放電電流がダイオードD1を流れる。すなわち、正極ラインPL、ダイオードD1および中間ラインCL1によって構成される電流経路において、電池グループ10Aの放電電流が流れる。このときの電流によって、ヒューズ27を溶断させることができる。ステップS302の処理では、ヒューズ27が溶断されるまでの時間を確保している。
ヒューズ27が溶断すれば、電池グループ10Aの放電が停止し、中間ラインCL1に電流が流れなくなる。したがって、電流値Icが0[A]であるか否かを判別することにより、ダイオードD1が短絡しているか否かを判別できる。ここで、電池グループ10Aから負荷に電力を供給しないときにも、電流値Icが0[A]となってしまう。そこで、負荷に電力を供給するときにおいて、電流値Icが0[A]であることを判別することにより、ヒューズ27が溶断されているときと、負荷に電力が供給されていないときとを区別できる。
上述したように電流値Icを検出すれば、ダイオードD1の短絡が発生しているか否かを判別できるが、中間ラインCL1にヒューズ27を設けるだけで、ダイオードD1の短絡に伴う電池グループ10Aの放電を停止させることができる。すなわち、電池グループ10Aが放電し続けてしまうことを防止できる。
一方、上述した場合と同様に、ダイオードD2の短絡を判別することもできる。ダイオードD2が短絡していると、中間ラインCL1、ダイオードD2および負極ラインNLによって構成される電流経路において、電池グループ10Bの放電電流が流れる。このときの電流によって、ヒューズ27を溶断させることができる。ヒューズ27が溶断すれば、電池グループ10Bの放電が停止し、中間ラインCL1に電流が流れなくなる。
したがって、図7に示す処理と同様に、電流センサ25によって検出された電流値Icが0[A]であるか否かを判別することにより、ダイオードD2が短絡しているか否かを判別できる。ここで、ダイオードD2の短絡を判別するときには、図7に示すステップS301の処理において、システムメインリレーSMR−Bをオフにすればよい。
次に、ダイオードD1の抵抗値の上昇を判別する処理について、図8に示すフローチャートを用いて説明する。図8に示す処理は、コントローラ40によって実行される。例えば、電池システムを起動状態から停止状態に切り替えるときに、図8に示す処理を行うことができる。ここで、図8に示す処理を開始するときには、システムメインリレーSMR−B,SMR−C,SMR−Gがオンであり、システムメインリレーSMR−Pがオフである。
ステップS401において、コントローラ40は、システムメインリレーSMR−Bをオフにする。システムメインリレーSMR−C,SMR−Gはオンのままであり、システムメインリレーSMR−Pはオフのままである。これにより、電池グループ10Bだけを放電させることができる。ステップS402において、コントローラ40は、電圧センサ21を用いて電圧値V_C(電圧値V_C1という)を検出する。電池グループ10Bだけを放電させることができるため、電圧値V_Cは、電池グループ10Bの電圧値VB_Bを示す。
ステップS403において、コントローラ40は、負荷への通電を開始する。ここでは、負荷に通電したときの電流値を一定にしている。また、負荷は、上述したモータ・ジェネレータ33などに限られるものではなく、コンデンサCを放電させるためだけの放電回路も含まれる。コンデンサCが充電された後では、コンデンサCに蓄積された電荷を放出させる必要がある。このため、コンデンサCに放電回路を接続することがある。この放電回路にコンデンサCの放電電流を流すときであっても、図8に示す処理を行うことができる。
ステップS404において、コントローラ40は、電圧センサ21を用いて電圧値V_C(電圧値V_C2という)を検出する。ステップS405において、コントローラ40は、ステップS402,S404の処理で検出された電圧値V_C1,V_C2に基づいて、電圧差(本発明の低下量に相当する)ΔV_Cを算出する。具体的には、コントローラ40は、電圧値V_C1から電圧値V_C2を減算することにより、電圧差ΔV_Cを算出する。そして、コントローラ40は、ステップS405において、算出した電圧差ΔV_Cが所定差(本発明の所定量に相当する)ΔVth以上であるか否かを判別する。
電圧差ΔV_Cが所定差ΔVth以上であるとき、コントローラ40は、ステップS406において、ダイオードD1の抵抗値が上昇していることを判別し、故障フラグを設定する。ステップS403の処理によって負荷への通電を開始すると、ダイオードD1の抵抗値に応じた電圧降下が発生する。すなわち、電圧差ΔV_Cは、ダイオードD1の抵抗値に電流値を乗算した値となる。
上述したように、負荷に通電したときの電流値が一定であるとき、電圧差ΔV_Cは、ダイオードD1の抵抗値に依存する。すなわち、ダイオードD1の抵抗値が上昇するほど、電圧差ΔV_Cが大きくなる。そこで、図8に示す処理では、電圧差ΔV_Cが所定差ΔVth以上であるとき、ダイオードD1の抵抗値が上昇していることを判別している。ダイオードD1が故障していると判別するときのダイオードD1の抵抗値(所定値)Rthを予め定めておけば、この抵抗値Rthに基づいて、所定差ΔVthを特定することができる。すなわち、所定差ΔVthは、抵抗値Rthおよび負荷の電流値(固定値)を乗算した値となる。
図8に示す処理では、ダイオードD1の抵抗値の上昇を判別しているが、図8に示す処理と同様の処理を行うことにより、ダイオードD2の抵抗値の上昇を判別することができる。具体的には、図8に示すステップS401の処理において、コントローラ40は、システムメインリレーSMR−Gをオフにすればよい。
図8に示す処理では、負荷の電流値を一定としているが、負荷の電流値が変化するときには、図9に示す処理に基づいて、ダイオードD1の抵抗値の上昇を判別することができる。図9に示す処理は、コントローラ40によって実行される。例えば、電池システムを起動状態から停止状態に切り替えるときに、図9に示す処理を行うことができる。ここで、図9に示す処理を開始するときには、システムメインリレーSMR−B,SMR−C,SMR−Gがオンであり、システムメインリレーSMR−Pがオフである。
ステップS501,S502の処理は、図8に示すステップS401,S402の処理と同じである。ステップS503において、コントローラ40は、負荷への通電を開始する。ここで、負荷の電流値は一定ではない。ステップS504において、コントローラ40は、電流センサ25を用いて電流値Icを検出するとともに、電圧センサ21を用いて電圧値V_C(電圧値V_C2)を検出する。
ステップS505において、コントローラ40は、ステップS502,S504の検出結果(電圧値V_C1,V_C2および電流値Ic)に基づいて、ダイオードD1の抵抗値Rd1を算出する。具体的には、コントローラ40は、下記式(1)に基づいて抵抗値Rd1を算出することができる。
ステップS506において、コントローラ40は、ステップS505の処理で算出された抵抗値Rd1が所定値Rth以上であるか否かを判別する。所定値Rthは、ダイオードD1の抵抗値が上昇しているか否かを判別するための閾値であり、予め設定しておくことができる。抵抗値Rd1が所定値Rth以上であるとき、コントローラ40は、ステップS507において、ダイオードD1の抵抗値が上昇していることを判別し、故障フラグを設定する。抵抗値Rd1が所定値Rthよりも低いとき、コントローラ40は、ダイオードD1の抵抗値が上昇していないことを判別し、図9に示す処理を終了する。
ここで、負荷の電流値が一定であるときでも、図9に示す処理を行うことができる。また、ダイオードD2の抵抗値の上昇を判別するときにも、図9に示す処理と同様の処理を行うことができる。この場合には、図9に示すステップS501の処理において、コントローラ40は、システムメインリレーSMR−Gをオフにすればよい。
図9に示す処理では、電圧値V_Cに基づいて抵抗値Rd1を算出しているが、これに限るものではない。具体的には、電圧値V_C,VB_A,VB_Bに基づいて抵抗値Rd1を算出することもできる。このときの処理について、図10に示すフローチャートを用いて説明する。
例えば、電池システムを起動状態から停止状態に切り替えるときに、図10に示す処理を行うことができる。ここで、図10に示す処理を開始するときには、システムメインリレーSMR−B,SMR−C,SMR−Gがオンである。以下の説明では、ダイオードD1の抵抗値Rd1を算出しているが、同様の処理を行うことによって、ダイオードD2の抵抗値を算出することもできる。
ステップS601の処理は、図9に示すステップS501の処理と同じである。ステップS602において、コントローラ40は、コンデンサCを放電させる。コンデンサCの放電は、コンデンサCに接続された負荷に電流を流せばよい。すなわち、負荷への通電を行えばよい。ステップS603において、コントローラ40は、電圧センサ21,23を用いて電圧値V_C,VB_Bを検出するとともに、電流センサ25を用いて電流値Icを検出する。
ステップS604において、コントローラ40は、ステップS603の処理における検出結果(電圧値V_C,VB_Bおよび電流値Ic)に基づいて、ダイオードD1の抵抗値Rd1を算出する。ここで、ダイオードD1の抵抗値Rd1は、下記式(2)に基づいて算出することができる。
コンデンサCを放電しないときには、電圧値V_C,VB_Bが等しくなる。一方、コンデンサCを放電したときには、ダイオードD1の抵抗値Rd1に応じて、電圧値V_Cが低下する。このため、上記式(2)に基づいて、ダイオードD1の抵抗値Rd1を算出することができる。ステップS605,S606の処理は、図9に示すステップS506,S507の処理と同じである。
なお、ダイオードD1の抵抗値Rd1は、下記式(3)又は下記式(4)に基づいて算出することもできる。
上記式(3),(4)では、互いに異なる電流値Ic(Ic1,Ic2という)において、コンデンサCを放電している。ここでは、電流値Ic1および電流値Ic2の順で、コンデンサCを放電している。
上記式(3),(4)において、電圧差ΔVB_Bは、電流値Ic1でコンデンサCを放電したときの電圧値VB_Bと、電流値Ic2でコンデンサCを放電したときの電圧値VB_Bとの差である。電圧差ΔV_Cは、電流値Ic1でコンデンサCを放電したときの電圧値V_Cと、電流値Ic2でコンデンサCを放電したときの電圧値V_Cとの差である。
上記式(3)では、電流値Ic1,Ic2が0[A]よりも大きい。上記式(3)に示す電流差ΔIcは、電流値Ic1,Ic2の差である。上記式(4)では、電流値Ic1が0[A]よりも大きく、電流値Ic2が0[A]である。上記式(4)に示す電流値Icは、電流値Ic1である。
次に、ダイオードD1のリークを判別する処理について、図11に示すフローチャートを用いて説明する。図11に示す処理は、コントローラ40によって実行される。例えば、電池システムを起動状態から停止状態に切り替えるときに、図11に示す処理を行うことができる。ここで、図11に示す処理を開始するときには、システムメインリレーSMR−B,SMR−C,SMR−Gがオンであり、システムメインリレーSMR−Pがオフである。
ステップS701において、コントローラ40は、システムメインリレーSMR−Gをオフにする。システムメインリレーSMR−B,SMR−Cはオンのままであり、システムメインリレーSMR−Pはオフのままである。これにより、電池グループ10Aだけを放電させることができる。ステップS702において、コントローラ40は、温度センサ26aを用いて、ダイオードD1の温度T_d1を検出する。
ステップS703において、コントローラ40は、ステップS702の処理で検出された温度T_d1が所定温度Tth以上であるか否かを判別する。温度T_d1が所定温度Tth以上であるとき、コントローラ40は、ステップS704において、ダイオードD1のリークが発生していることを判別し、故障フラグを設定する。一方、温度T_d1が所定温度Tthよりも低いとき、コントローラ40は、ダイオードD1のリークが発生していないことを判別し、図11に示す処理を終了する。
ダイオードD1のリークが発生していないとき、電池グループ10Aの放電電流は、ダイオードD1に流れず、ダイオードD2を流れる。一方、ダイオードD1のリークが発生していると、電池グループ10Aの放電電流がダイオードD1を流れる。すなわち、正極ラインPL、ダイオードD1および中間ラインCL1によって構成された電流経路において、電池グループ10Aの放電電流が流れる。
これにより、ダイオードD1が発熱するため、温度T_d1が所定温度Tth以上であるか否かを判別することにより、ダイオードD1のリークが発生しているか否かを判別できる。所定温度Tthとしては、ダイオードD1のリークに伴う発熱量を考慮して、適宜設定することができる。
なお、ダイオードD2のリークを判別するときにも、図11に示す処理と同様の処理を行うことができる。具体的には、図11に示すステップS701の処理において、コントローラ40は、システムメインリレーSMR−Bをオフにする。そして、温度センサ26bによって検出されたダイオードD2の温度T_d2が所定温度Tth以上であるとき、コントローラ40は、ダイオードD2のリークが発生していることを判別できる。
一方、電流センサ25によって検出された電流値Icに基づいて、ダイオードD1,D2のリークを判別することもできる。この処理について、図12に示すフローチャートを用いて説明する。図12に示す処理は、コントローラ40によって実行される。例えば、電池システムを起動状態から停止状態に切り替えるときに、図12に示す処理を行うことができる。ここで、図12に示す処理を開始するときには、システムメインリレーSMR−B,SMR−C,SMR−Gがオンであり、システムメインリレーSMR−Pがオフである。
ステップS801の処理は、図11に示すステップS701の処理と同じである。ステップS802において、コントローラ40は、電流センサ25を用いて電流値Icを検出する。この電流値Icは、負荷に通電していないときの電流値である。ステップS803において、コントローラ40は、ステップS802の処理で検出された電流値Icが所定値Ith以上であるか否かを判別する。
電流値Icが所定値Ith以上であるとき、コントローラ40は、ステップS804において、ダイオードD1のリークが発生していることを判別し、故障フラグを設定する。一方、電流値Icが所定値Ithよりも小さいとき、コントローラ40は、ダイオードD1のリークが発生していないことを判別し、図12に示す処理を終了する。
コンデンサCを放電しないとき、言い換えれば、負荷に通電していないとき、コンデンサCの電圧値V_Cは電圧値VB_Aとなる。この状態において、ダイオードD1のリークが発生しているときの電流値Icは、ダイオードD1のリークが発生していないときの電流値Icよりも大きくなる。この点を考慮して所定値Ithを設定し、電流値Icが所定値Ith以上であるときには、ダイオードD1のリークが発生していることを判別できる。
なお、ダイオードD2のリークを判別するときには、図12に示す処理と同様の処理を行うことができる。具体的には、図12に示すステップS801の処理において、コントローラ40は、システムメインリレーSMR−Bをオフにすればよい。
ダイオードD1の故障(断線や抵抗値の上昇)を判別するときには、ダイオードD1を通電する電流経路において、電流を流すようにすればよい。具体的には、中間ラインCL1を用いて、電池グループ10Bの放電電流をダイオードD1に流すようにすればよい。同様に、ダイオードD2の故障(断線や抵抗値の上昇)を判別するときには、ダイオードD2を通電する電流経路において、電流を流すようにすればよい。具体的には、中間ラインCL1を用いて、電池グループ10Aの放電電流をダイオードD2に流すようにすればよい。
ダイオードD1,D2の故障(断線や抵抗値の上昇)を判別するときには、上述した点を考慮して、コントローラ40は、システムメインリレーSMR−B,SMR−C,SMR−G,SMR−Pのオン/オフを制御すればよい。図4に示す構成であっても、少なくとも1つのダイオードに電流が流れるように、システムメインリレーSMR−B,SMR−C,SMR−G,SMR−Pのオン/オフを制御すれば、ダイオードの故障(断線や抵抗値の上昇)を判別できる。図4に示す構成では、複数のダイオードに電流が流れることもあるが、複数のダイオードのいずれかにおいて、故障(断線や抵抗値の上昇)が発生していることを判別できる。
ダイオードD1の故障(短絡やリーク)を判別するときには、ダイオードD1と並列に接続された電池グループ10Aを放電できる状態にすればよい。同様に、ダイオードD2の故障(短絡やリーク)を判別するときには、ダイオードD2と並列に接続された電池グループ10Bを放電できる状態にすればよい。ダイオードD1,D2の故障(短絡やリーク)を判別するときには、上述した点を考慮して、コントローラ40は、システムメインリレーSMR−B,SMR−C,SMR−G,SMR−Pのオン/オフを制御すればよい。図4に示す構成であっても、各電池グループを放電できる状態にすれば、この電池グループと並列に接続されたダイオードの故障(短絡やリーク)を判別することができる。
上述した故障フラグが設定されているときには、警告を行うことができる。警告の手段としては、公知のように、ディスプレイへの表示や、音の出力を用いることができる。また、故障フラグが設定されているとき、コントローラ40は、組電池10の充放電を行わないようにすることもできる。例えば、コントローラ40は、電池システムを起動状態にしないようにすることができる。
本発明の実施例3である電池システムについて説明する。本実施例において、実施例1で説明した構成要素と同じ構成要素についは同一の符号を用い、詳細な説明は省略する。本実施例では、実施例1で説明したダイオードD1,D2の故障(断線)と、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Cの故障を判別するものである。以下、実施例1と異なる点について説明する。システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Cの故障には、オンのままとなる故障と、オフのままとなる故障とが含まれる。
本実施例の処理について、図13に示すフローチャートを用いて説明する。図13に示す処理は、コントローラ40によって実行される。図13に示す処理は、電池システムを起動状態から停止状態に切り替えるときに行われる。ここで、図13に示す処理を開始するとき、システムメインリレーSMR−B,SMR−C,SMR−Gがオンであり、システムメインリレーSMR−Pがオフである。
ステップS901において、コントローラ40は、システムメインリレーSMR−Gをオフにするための制御信号を出力する。システムメインリレーSMR−B,SMR−Cはオンのままであり、システムメインリレーSMR−Pはオフのままである。システムメインリレーSMR−Gがコントローラ40からの制御信号に応じて動作すれば、電池グループ10Aだけを放電することができる。ステップS902において、コントローラ40は、電圧センサ21,22,24を用いて、電圧値V_C,VB_A,VB_Tをそれぞれ検出する。
ステップS903において、コントローラ40は、ステップS902の処理で検出された電圧値V_Cが電圧値VB_Aと等しいか否かを判別する。ここで、電圧センサ21,22の検出誤差を考慮して、電圧値VB_Aを基準とした検出誤差の範囲内に電圧値V_Cが含まれているか否かを判別することもできる。電圧値V_C,VB_Aが異なるとき、コントローラ40は、ステップS904において、電圧値V_Cが0[V]であるか否かを判別する。ここで、電圧センサ21の検出誤差を考慮して、0[V]を基準とした検出誤差の範囲内に電圧値V_Cが含まれているか否かを判別することもできる。
電圧値V_Cが0[V]であるとき、コントローラ40は、ステップS905において、ダイオードD2の断線が発生しているか、システムメインリレーSMR−Cがオフの状態で故障していることを判別し、故障フラグを設定する。上述したように、電池グループ10Aを放電できるにもかかわらず、電圧値V_Cが0[V]であれば、電池グループ10AおよびコンデンサCの間の電流経路が遮断されていることが分かる。この電流経路には、ダイオードD2やシステムメインリレーSMR−Cが配置されているため、ダイオードD2又はシステムメインリレーSMR−Cの故障が発生している可能性があることを判別できる。
ステップS904の処理において、電圧値V_Cが0[V]ではないとき、コントローラ40は、ステップS906において、電圧値V_Cが電圧値VB_Tと等しいか否かを判別する。ここで、電圧センサ21,24の検出誤差を考慮して、電圧値VB_Tを基準とした検出誤差の範囲内に電圧値V_Cが含まれているか否かを判別することもできる。電圧値V_Cが電圧値VB_Tと等しいとき、コントローラ40は、ステップS907において、システムメインリレーSMR−Gがオンの状態で故障していることを判別する。
上述したように、電池グループ10Aだけを放電しているにもかかわらず、電圧値V_Cが電圧値VB_Tと等しいときには、システムメインリレーSMR−Gがオンのままであることを判別できる。ここで、システムメインリレーSMR−Gがオンであれば、電圧センサ24によって電圧値VB_Tが検出される。電圧値V_C,VB_Tが異なるとき、コントローラ40は、ステップS902の処理に戻る。ステップS903の処理において、電圧値V_Cが電圧値VB_Aと等しいとき、コントローラ40は、ステップS908において、システムメインリレーSMR−Bをオフにするための制御信号と、システムメインリレーSMR−Pをオンにするための制御信号とを出力する。システムメインリレーSMR−B,SMR−Pがコントローラ40からの制御信号に応じて動作すれば、電池グループ10Bだけを放電させることができる。
ステップS909において、コントローラ40は、電圧センサ21,23,24を用いて電圧値V_C,VB_B,VB_Tをそれぞれ検出する。ここで、電圧値V_C,VB_B,VB_Tを検出する前に、コントローラ40は、コンデンサCを放電させる。ステップS910において、コントローラ40は、ステップS909の処理における検出結果に基づいて、電圧値V_Cが電圧値VB_Bと等しいか否かを判別する。ここで、電圧センサ21,23の検出誤差を考慮して、電圧値VB_Bを基準とした検出誤差の範囲内に電圧値V_Cが含まれているか否かを判別することもできる。
電圧値V_C,VB_Bが異なるとき、コントローラ40は、ステップS911において、電圧値V_Cが0[V]であるか否かを判別する。ここで、電圧センサ21の検出誤差を考慮して、0[V]を基準とした検出誤差の範囲内に電圧値V_Cが含まれているか否かを判別することもできる。電圧値V_Cが0[V]であるとき、コントローラ40は、ステップS912において、ダイオードD1の断線が発生しているか、システムメインリレーSMR−Cがオフの状態で故障していることを判別し、故障フラグを設定する。
上述したように、電池グループ10Bを放電できるにもかかわらず、電圧値V_Cが0[V]であるときには、電池グループ10BおよびコンデンサCの間の電流経路が遮断されていることが分かる。この電流経路には、ダイオードD1およびシステムメインリレーSMR−Cが配置されているため、ダイオードD1又はシステムメインリレーSMR−Cの故障が発生している可能性があることを判別できる。
ステップS911の処理において、電圧値V_Cが0[V]ではないとき、コントローラ40は、ステップS913において、電圧値V_Cが電圧値VB_Tと等しいか否かを判別する。ここで、電圧センサ21,24の検出誤差を考慮して、電圧値VB_Tを基準とした検出誤差の範囲内に電圧値V_Cが含まれているか否かを判別することもできる。電圧値V_Cが電圧値VB_Tと等しいとき、コントローラ40は、ステップS914において、システムメインリレーSMR−Bがオンの状態で固着していることを判別し、故障フラグを設定する。
上述したように、電池グループ10Bだけを放電できるにもかかわらず、電圧値V_Cが電圧値VB_Tと等しいときには、組電池10が放電されていることを判別できる。すなわち、ステップS908の処理では、システムメインリレーSMR−P,SMR−Cがオンになっているため、システムメインリレーSMR−Bがオンになっていることを判別できる。ここで、システムメインリレーSMR−Bがオンであれば、電圧センサ24によって電圧値VB_Tが検出される。ステップS913の処理において、電圧値V_C,VB_Tが異なっているとき、コントローラ40は、ステップS909の処理に戻る。
ステップS910の処理において、電圧値V_C,VB_Bが等しいとき、コントローラ40は、ステップS915において、システムメインリレーSMR−Cをオフにするための制御信号を出力する。システムメインリレーSMR−Cがコントローラ40からの制御信号に応じて動作すれば、組電池10(各電池グループ10A,10B)が放電されない。
ステップS916において、コントローラ40は、電圧センサ21,23を用いて電圧値V_C,VB_Bをそれぞれ検出する。ステップS917において、コントローラ40は、ステップS916の処理で検出された電圧値V_Cが0[V]であるか否かを判別する。ここで、電圧センサ21の検出誤差を考慮して、0[V]を基準とした検出誤差の範囲内に電圧値V_Cが含まれているか否かを判別することもできる。
電圧値V_Cが0[V]ではないとき、コントローラ40は、ステップS918において、ステップS916の処理で検出された電圧値V_C,VB_Bが等しいか否かを判別する。ここで、電圧センサ21,23の検出誤差を考慮して、電圧値VB_Bを基準とした検出誤差の範囲内に電圧値V_Cが含まれているか否かを判別することもできる。電圧値V_C,VB_Bが異なっているとき、コントローラ40は、ステップS916の処理に戻る。
一方、電圧値V_C,VB_Bが等しいとき、コントローラ40は、ステップS919において、システムメインリレーSMR−Cがオンの状態で故障していることを判別し、故障フラグを設定する。上述したように、組電池10(各電池グループ10A,10B)を放電させることができないにもかかわらず、電圧値V_C,VB_Bが等しいときには、電池グループ10Bが放電されていることが分かる。ここで、ステップS915の処理を終了したときには、システムメインリレーSMR−Pだけがオンになっている。このため、システムメインリレーSMR−Cがオンになっており、電池グループ10Bが放電されていることが分かる。システムメインリレーSMR−Cがオンであれば、電圧センサ23によって電圧値VB_Bが検出される。
ステップS917の処理において、電圧値V_Cが0[V]であるとき、コントローラ40は、ステップS920において、システムメインリレーSMR−Pをオフにするための制御信号を出力する。システムメインリレーSMR−Pがコントローラ40からの制御信号に応じて動作すれば、すべてのシステムメインリレーSMR−B,SMR−C,SMR−G,SMR−Pがオフになり、電池システムが停止状態となる。
本実施例によれば、ダイオードD1,D2の故障(断線)の可能性があることを判別したり、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Cの故障(オンの状態での故障)を判別したりすることができる。システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Cがオンの状態で故障していると、組電池10(電池グループ10A,10B)が負荷に接続されたままとなり、組電池10の過放電や過充電が発生してしまう。そこで、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Cがオンの状態で故障していることを判別する必要がある。
一方、電池システムを停止状態から起動状態に切り替えるときに、システムメインリレーSMR−Pがオンの状態で故障しているか否かを判別することができる。例えば、コントローラ40は、システムメインリレーSMR−Bだけをオンにしたとき、電圧センサ21,24を用いて、電圧値V_C,VB_Tを検出する。そして、電圧値V_C,VB_Tが等しければ、コントローラ40は、システムメインリレーSMR−Pがオンの状態で故障していることを判別する。
また、コントローラ40は、システムメインリレーSMR−Cだけをオンにしたとき、電圧センサ21,23を用いて、電圧値V_C,VB_Bを検出する。そして、電圧値V_C,VB_Bが等しければ、コントローラ40は、システムメインリレーSMR−Pがオンの状態で故障していることを判別する。システムメインリレーSMR−Pが故障していることを判別したときには、コントローラ40は、故障フラグを設定する。
本発明の実施例4である電池システムについて、図14を用いて説明する。本実施例において、実施例1で説明した構成要素と同じ構成要素についは同一の符号を用い、詳細な説明は省略する。以下、実施例1と異なる点について説明する。図14では、図1に示す一部の構成(エアーコンディショナー34など)を省略している。
本実施例では、正極ラインPLおよび負極ラインNLの間において、2つのコンデンサC11,C12が直列に接続されている。コンデンサC11,C12は、実施例1で説明したコンデンサCと同様の機能を有する。すなわち、本実施例では、実施例1で説明したコンデンサ(本発明のコンデンサ部に相当する)Cを、2つのコンデンサC11,C12によって構成している。
コンデンサC11の一端は、接続点P5において、正極ラインPLに接続されている。ここで、接続点P2は、正極ラインPL上において、組電池10の正極端子および接続点P5の間に位置している。中間ライン(本発明の第2中間ラインに相当する)CL2の一端は、ダイオードD1,D2の接続点P3に接続され、中間ラインCL2の他端は、コンデンサC11,C12の接続点P6に接続されている。コンデンサC12の一端は、接続点P7において、負極ラインNLに接続されている。ここで、接続点P4は、負極ラインNL上において、組電池10の負極端子および接続点P7の間に位置している。
コンデンサC11は、正極ラインPLおよび中間ラインCL1,CL2を介して、電池グループ10AやダイオードD1と並列に接続されている。また、コンデンサC12は、負極ラインNLおよび中間ラインCL1,CL2を介して、電池グループ10BやダイオードD2と並列に接続されている。電圧センサ28aは、コンデンサC11の電圧値V_C11を検出し、検出結果をコントローラ40に出力する。電圧センサ28bは、コンデンサC12の電圧値V_C12を検出し、検出結果をコントローラ40に出力する。
本実施例においても、実施例1と同様に、作動状態の電流遮断器11bに印加される電圧値を低下させることができる。以下では、電池グループ10Aに含まれる単電池11(任意の1つ)の電流遮断器11bが作動したときについて説明する。なお、電池グループ10Bに含まれる単電池11(任意の1つ)の電流遮断器11bが作動したときの挙動は、電池グループ10Aに含まれる単電池11の電流遮断器11bが作動したときの挙動と同様であるため、詳細な説明は省略する。
まず、図14に示す電池システムを起動状態にする前に、電流遮断器11bが作動している場合について説明する。
電池システムを起動状態にする前では、コンデンサC11,C12が放電されており、コンデンサC11,C12の電圧値V_C11,V_C12が0[V]である。電池システムを起動状態にすると、電池グループ10Bだけが放電される。電池グループ10Bの放電電流は、ダイオードD1を介して、コンデンサC11,C12に流れる。これにより、電圧値V_C11,V_C12の総和が電圧値VB_Bとなる。このとき、電池グループ10Aの正極端子および負極端子における電位が等しくなり、電池グループ10Aの電圧値VB_Aが0[V]となるため、作動状態の電流遮断器11bには、電池グループ10Aの起電圧が印加される。したがって、実施例1と同様に、作動状態の電流遮断器11bに印加される電圧値を低下させることができる。
次に、負荷に電力を供給しているときに電流遮断器11bが作動した場合について説明する。
電流遮断器11bが作動することにより、電池グループ10Aは放電されず、電池グループ10Bだけが放電される。これにより、電池グループ10Bの放電電流がダイオードD1を介してコンデンサC11,C12に流れ、電圧値V_C11,V_C12の総和が電圧値VB_Bと等しくなる。このとき、電池グループ10Aの正極端子および負極端子における電位が等しくなり、電池グループ10Aの電圧値VB_Aが0[V]となるため、作動状態の電流遮断器11bには、電池グループ10Aの起電圧が印加する。これにより、実施例1と同様に、作動状態の電流遮断器11bに印加される電圧値を低下させることができる。
次に、組電池10を充電しているときに電流遮断器11bが作動した場合について説明する。
電流遮断器11bが作動すると、電池グループ10Aを充電することができなくなる。組電池10を充電するときの電流(充電電流)は、コンデンサC11,C12に流れることにより、コンデンサC11,C12が充電される。また、コンデンサC12には、中間ラインCL1,CL2を介して電池グループ10Bが並列に接続されているため、充電電流は、中間ラインCL1,CL2を介して電池グループ10Bにも流れ、電池グループ10Bが充電される。ここで、コンデンサC12および電池グループ10Bは並列に接続されているため、電圧値V_C12,VB_Bが等しくなる。
充電電流を電池グループ10BおよびコンデンサC12に流すことにより、充電電流がコンデンサC12だけに流れた場合に比べて、コンデンサC12の電圧値が上昇することを抑制できる。また、通常、電池グループ10Bの容量は、各コンデンサC11,C12の容量よりも大きい。したがって、充電電流が電池グループ10BおよびコンデンサC12に流れたときの電圧値VB_B,V_C12の上昇量は、充電電流がコンデンサC11に流れたときの電圧値V_C11の上昇量よりも小さくなる。これにより、電圧値V_C11,V_C12の総和(すなわち、電圧センサ21によって検出される電圧値V_C)が上昇することを抑制できる。このように電圧値V_Cの上昇を抑制すれば、負荷(昇圧回路31やインバータ32に含まれる電気素子)に印加される電圧値を低下させることができる。
一方、作動状態の電流遮断器11bには、電圧値VB_A,V_C11の差に相当する電圧値が印加される。上述したように、電池グループ10Aは充電されないため、電圧値VB_Aは変化しない。コンデンサC11には充電電流が流れるため、電圧値V_C11は上昇する。電圧値V_C11が上昇するほど、作動状態の電流遮断器11bに印加される電圧値が高くなってしまう。
ここで、実施例1(図3)と同様に、電圧センサ28aによって検出された電圧値V_C11が上限電圧値V_ovl1よりも高いとき、コントローラ40は、コンデンサC11への電力供給を停止することができる。これにより、電圧値V_C11を上限電圧値V_ovl1以下の電圧値に維持することができる。電圧値V_C11を上限電圧値V_ovl1以下の電圧値に維持すれば、作動状態の電流遮断器11bには、電圧値VB_Aおよび上限電圧値V_ovl1の差に相当する電圧値が印加される。これにより、電圧値V_C11が上限電圧値V_ovl1よりも高くなる場合に比べて、作動状態の電流遮断器11bに印加される電圧値を低下させることができる。
本実施例では、ダイオードD1,D2を用いているが、ダイオードD1,D2の代わりにツェナーダイオードD1,D2を用いることもできる。実施例1で説明したように、コンデンサC11の電圧値V_C11は、ツェナーダイオードD1の降伏電圧値以下となる。また、コンデンサC12の電圧値V_C12は、ツェナーダイオードD2の降伏電圧値以下となる。これにより、電圧値V_C11,V_C12が上昇しすぎることを防止でき、上述したように、作動状態の電流遮断器11bに印加される電圧値を低下させることができる。また、ツェナーダイオードD1,D2を用いることにより、コンデンサC11,C12への電力供給を停止させなくても、コンデンサC11,C12の充電を停止させることができる。
本実施例においても、実施例1と同様に、組電池10を3つ以上の電池グループ10−1〜10−Nに分けることができる。この場合には、図15に示すように、各電池グループ10−1〜10−Nおよび各ダイオードD1〜DNに対して、コンデンサC1〜CNを並列に接続することができる。
図15に示す構成では、システムメインリレーSMR−Gに対して、抵抗素子RおよびシステムメインリレーSMR−Pを並列に接続しているが、これに限るものではない。すなわち、システムメインリレーSMR−B,SMR−C,SMR−Gの少なくとも1つに対して、抵抗素子RおよびシステムメインリレーSMR−Pを並列に接続すればよい。ここで、実施例1で説明したように、コンデンサC1〜CNに突入電流が抑制することを考慮して、抵抗素子RおよびシステムメインリレーSMR−Pを設ける位置を決めることができる。
本実施例においても、実施例2と同様の処理を行うことにより、ダイオードD1,D2の故障(断線、短絡、抵抗値の上昇、リーク)を判別することができる。
本発明の実施例5である電池システムについて、図16を用いて説明する。本実施例において、実施例1で説明した構成要素と同じ構成要素についは同一の符号を用い、詳細な説明は省略する。以下、実施例1と異なる点について説明する。
本実施例においても、ダイオードD1,D2は、正極ラインPLおよび負極ラインNLの間において直列に接続されている。ここで、ダイオードD1のカソードは、組電池10およびシステムメインリレーSMR−Bの間に位置する正極ラインPLに接続されている。すなわち、ダイオードD1および正極ラインPLの接続点P2は、正極ラインPL上において、組電池10の正極端子およびシステムメインリレーSMR−Bの間に位置している。
ダイオードD1のアノードは、ダイオードD2のカソードと接続されており、ダイオードD1,D2の接続点P3には、中間ラインCL1の他端が接続されている。ダイオードD2のアノードは、組電池10およびシステムメインリレーSMR−Gの間に位置する負極ラインNLに接続されている。すなわち、ダイオードD2および負極ラインNLの接続点P4は、負極ラインNL上において、組電池10の負極端子およびシステムメインリレーSMR−Gの間に位置している。
中間ラインCL1には、実施例1で説明したシステムメインリレーSMR−Cが設けられていない。本実施例においても、実施例1と同様に、作動状態の電流遮断器11bに印加される電圧値を低下させることができる。また、図16に示すダイオードD1,D2の代わりに、ツェナーダイオードD1,D2を用いることができる。
中間ラインCL1には、ヒューズ(図5に示すヒューズ27)を設けることができる。これにより、例えば、ダイオードD1の故障(短絡又はリーク)が発生したときに、ヒューズを溶断させることができ、電池グループ10Aが放電し続けてしまうことを防止できる。また、ダイオードD2の故障(短絡又はリーク)が発生したときに、ヒューズを溶断させることができ、電池グループ10Bが放電し続けてしまうことを防止できる。
また、図17に示すように、組電池10を3つ以上の電池グループ10−1〜10−Nに分けることができる。ここで、各電池グループ10−1〜10−NにはダイオードD1〜DNが並列に接続されている。図17に示す各中間ラインCL1にもヒューズを設けることができる。
本実施例の変形例について、図18を用いて説明する。図18に示す構成では、図16に示す構成に対して、中間ラインCL2を追加するとともに、正極ラインPLおよび負極ラインNLの間でコンデンサC11,C12を直列に接続している。中間ラインCL2の一端は、ダイオードD1,D2の接続点P3に接続され、中間ラインCL2の他端は、コンデンサC11,C12の接続点P6に接続されている。中間ラインCL2にはシステムメインリレーSMR−Cが設けられている。なお、中間ラインCL2にシステムメインリレーSMR−Cを設けなくてもよい。各コンデンサC11,C12を各ダイオードD1,D2に並列に接続することにより、実施例4(図14に示す構成)と同様の効果を得ることができる。
また、図18に示す構成において、組電池10を3つ以上の電池グループに分けることもできる。この場合には、図15と同様に、各電池グループに対して、ダイオードおよびコンデンサを並列に接続すればよい。具体的には、図17と同様に、中間ラインCL1を用いることにより、各電池グループに対して各ダイオードを並列に接続することができる。また、図18と同様に、中間ラインCL2を用いることにより、各ダイオードに対して各コンデンサを並列に接続することができる。ここで、図18と同様に、中間ラインCL2には、システムメインリレーSMR−Cを設けることができる。
本発明の実施例6である電池システムについて、図19を用いて説明する。本実施例において、実施例1で説明した構成要素と同じ構成要素についは同一の符号を用い、詳細な説明は省略する。以下、実施例5と異なる点について説明する。
実施例5(図16〜図18)に示す電池システムでは、電流遮断器11bが作動していないとき、ダイオードD1,D2に電流が流れない。ダイオードD1,D2に電流が流れないと、実施例2で説明したように、ダイオードD1,D2の故障を判別することができない。そこで、本実施例では、各ダイオードD1,D2に電流を流すことができるようにしている。
図19において、正極ラインPLには、システムメインリレーSMR−B1,SMR−B2が設けられている。システムメインリレーSMR−B1,SMR−B2は、コントローラ40からの制御信号を受けて、オンおよびオフの間で切り替わる。システムメインリレーSMR−B2の一端は、組電池10の正極端子と接続され、システムメインリレーSMR−B2の他端は、システムメインリレーSMR−B1の一端と接続されている。システムメインリレーSMR−B2,SMR−B1の接続点には、ダイオードD1のカソードが接続されている。言い換えれば、ダイオードD1および正極ラインPLの接続点P2は、正極ラインPL上において、システムメインリレーSMR−B2,SMR−B1の間に位置している。
負極ラインNLには、システムメインリレーSMR−G1,SMR−G2が設けられている。システムメインリレーSMR−G1,SMR−G2は、コントローラ40からの制御信号を受けて、オンおよびオフの間で切り替わる。システムメインリレーSMR−G2の一端は、組電池10の負極端子と接続され、システムメインリレーSMR−G2の他端は、システムメインリレーSMR−G1の一端と接続されている。システムメインリレーSMR−G2,SMR−G1の接続点には、ダイオードD2のアノードが接続されている。言い換えれば、ダイオードD2および負極ラインNLの接続点P4は、負極ラインNL上において、システムメインリレーSMR−G2,SMR−G1の間に位置している。
図19に示す構成において、中間ラインCL1にヒューズ(図5に示すヒューズ27)を設けることができる。これにより、ダイオードD1,D2の故障(短絡又はリーク)が発生したときに、ヒューズを溶断させることができ、電池グループ10A,10Bが放電し続けてしまうことを防止できる。また、中間ラインCL1にシステムメインリレーSMR−Cを設けることもできる。
図19に示す構成によれば、システムメインリレーSMR−B1およびシステムメインリレーSMR−G1(又はシステムメインリレーSMR−P)がオンであるとき、システムメインリレーSMR−B2,SMR−G2のオンおよびオフを切り替えることにより、ダイオードD1,D2に電流を流すことができる。ここで、システムメインリレーSMR−B2をオフにして、システムメインリレーSMR−G2をオンにすれば、電池グループ10Bの放電電流をダイオードD1に流すことができる。また、システムメインリレーSMR−B2をオンにして、システムメインリレーSMR−G2をオフにすれば、電池グループ10Aの放電電流をダイオードD2に流すことができる。
各ダイオードD1,D2に電流を流すことができれば、実施例2で説明したように、各ダイオードD1,D2の故障を判別することができる。一方、図20に示すように、組電池10を3つ以上の電池グループ10−1〜10−Nに分けることもできる。ここで、各ダイオードD1〜DNは、各電池グループ10−1〜10−Nと並列に接続されている。また、各中間ラインCL1には、システムメインリレーSMR−Cが設けられている。
なお、任意の1つの中間ラインCL1には、システムメインリレーSMR−Cを設けなくてもよい。任意の1つの中間ラインCL1にシステムメインリレーSMR−Cを設けなくても、他のシステムメインリレーSMR−C,SMR−B2,SMR−G2のオン/オフを制御することにより、ダイオードD1〜DNに電池グループの放電電流を流すことができる。これにより、実施例2で説明したように、ダイオードD1〜DNの故障を判別することができる。
一方、図21に示す構成を用いることもできる。図21に示す構成では、図19に示す構成に対して、中間ラインCL2を追加するとともに、正極ラインPLおよび負極ラインNLの間でコンデンサC11,C12を直列に接続している。中間ラインCL2の一端は、ダイオードD1,D2の接続点P3に接続され、中間ラインCL2の他端は、コンデンサC11,C12の接続点P6に接続されている。各コンデンサC11,C12を各ダイオードD1,D2に並列に接続することにより、実施例4(図14に示す構成)と同様の効果を得ることができる。
また、図21に示す構成において、組電池10を3つ以上の電池グループに分けることもできる。この場合には、図15と同様に、各電池グループに対して、ダイオードおよびコンデンサを並列に接続すればよい。具体的には、図20と同様に、中間ラインCL1を用いることにより、各電池グループに対して各ダイオードを並列に接続することができる。また、図21と同様に、中間ラインCL2を用いることにより、各ダイオードに対して各コンデンサを並列に接続することができる。
本実施例においても、実施例2と同様の処理を行うことにより、ダイオードD1,D2の故障(断線、短絡、抵抗値の上昇、リーク)を判別することができる。ここで、図6(ステップS201)、図8(ステップS401)、図9(ステップS501)、図10(ステップS601)では、システムメインリレーSMR−Bの代わりに、システムメインリレーSMR−B2が用いられる。また、図7(ステップS301)、図11(ステップS701)、図12(ステップS801)では、システムメインリレーSMR−Gの代わりに、システムメインリレーSMR−G2が用いられる。