本発明におけるフィルム状基板保持ユニットの調整用治具を説明する前に、先ず、図1に示すボンディング装置1について説明する。このボンディング装置1は、基板2の端部に設けられたフィルム状基板被圧着部2aにフィルム状基板3の縁部分に形成された外部接続用端子群3aを圧着する(ボンディングする)を装置であり、その圧着作業において用いられる後述のフィルム状基板保持ユニット26が、本発明のフィルム状基板保持ユニットの調整用治具による調整の対象となる。
図1において、ボンディング装置1は、基板2を保持する基板保持ステージ11、基板保持ステージ11の前後方向(図1の紙面左右方向。Y軸方向とする)の後方に設けられ、図示しないフィルム状基板供給部から供給されたフィルム状基板3が基板2に圧着される前に一時的に載置される中継ステージ12、基板保持ステージ11及び中継ステージ12の上方領域を水平面内方向に移動自在に設けられ、中継ステージ12に載置されたフィルム状基板3を吸着して基板保持ステージ11上の基板2に圧着する圧着ヘッド13、基板保持ステージ11と中継ステージ12の間の領域に設けられ、圧着ヘッド13によりフィルム状基板3を基板2に圧着する際に基板2の下面側を支持するバックアップステージ14及びバックアップステージ14の後方に隣接して設けられ、圧着ヘッド13が吸着したフィルム状基板3の外部接続用端子群3aの近傍に設けられた認識マーク(図示せず)や基板保持ステージ11上の基板2のフィルム状基板被圧着部2aに形成された認識マーク(図示せず)を下方から撮像するカメラ15を備えている。
図1において、基板保持ステージ11は基板保持ステージ移動機構11Mによって水平面内方向及び上下方向に移動され、中継ステージ12は中継ステージ移動機構12Mによって水平面内方向に移動される。圧着ヘッド13はヘッド移動機構13Mによって水平面内で移動されるヘッドベース21、ヘッドベース21に設けられた圧着ツール昇降機構22、圧着ツール昇降機構22によってヘッドベース21に対して昇降される圧着ツール23、圧着ツール23の背面(後面)側に取り付けられた取り付け部昇降シリンダ24、取り付け部昇降シリンダ24によって昇降される取り付け部25、取り付け部25に着脱自在に取り付けられるフィルム状基板保持ユニット26を有して成る。
圧着ツール23は圧着ツール昇降機構22のピストンロッド22aの下端に取り付けられて加熱用ヒータを内蔵したヒータブロック23aと、ツール本体23bと、ヒータブロック23aにツール本体23bを固定するツール本体保持部23cから成る。ツール本体23bはヒータブロック23aからの熱伝導により熱圧着を行うために必要な温度に加熱される。圧着ツール23は圧着ツール昇降機構22のピストンロッド22aの下方への突没動作によって昇降する。
図2、図3及び図4(a),(b)において、取り付け部25は、取り付け部昇降シリンダ24のピストンロッド24aの下端と結合された水平部31及び水平部31の後縁から垂直上方に延びて設けられた垂直部32を有して成る。垂直部32の背面32Rは垂直で平らに加工されている。垂直部32の左右方向(図1の紙面に直交する方向。X軸方向とする)の両端部には一対の位置合わせピン33が後方に延びて設けられている。
図3、図4(a),(b)及び図5において、フィルム状基板保持ユニット26は、取り付け部25の垂直部32の背面32R側に取り付けられるベース部41を有しており、ベース部41には、フィルム状基板3を吸着して保持するための吸着部を先端に備えた複数のアームとしての二種類のアーム(固定アーム42及び自在アーム43)が取り付けられている。ベース部41は平らに加工された前面51Fを有する当接部51と、当接部51の下端に連接して左右方向(X軸方向)に延びたアーム連結部52より構成されている。アーム連結部52の中央部には固定アーム42がY方向前方に延び、その前端部の下面側に固定吸着部54を備えている。また、アーム連結部52の両端部には自在アーム43が取り付けられている。フィルム状基板保持ユニット26は、取り付け部25の垂直部32の背面32Rに当接部51の前面51Fを密着させて取り付けられる。
ベース部41の当接部51の左右両端には一対の切欠き部55が設けられており、当接部51はこれら一対の切欠き部55を取り付け部25の垂直部32に設けられた前述の一対の位置合わせピン33を挿通させることによって取り付け部25の垂直部32に当接状態で位置決めされる。この状態では、取り付け部25の垂直部32の背面32R側に設けられた一対のねじ孔32aと当接部51を貫通して設けられた一対の貫通孔56が合致するので、貫通孔56を貫通させた取り付けボルト57のねじ部57Sをねじ孔32aに螺入させると、当接部51が(すなわちフィルム状基板保持ユニット26が)取り付け部25に固定されて取り付け状態となる(図4(a)→図4(b))。
図3、図5及び図6において、フィルム状基板保持ユニット26の自在アーム43は第1リンク61と第2リンク62から成る。第1リンク61は一端部が第1軸部材63によってベース部41のアーム連結部52の左右の端部に連結されており、第2リンク62は一端部が第2軸部材64によって第1リンク61の他端部に連結されている。第2リンク62の他端部の下面には可動吸着部65が設けられている。
各自在アーム43の第1リンク61は第1軸部材63によってベース部41に対して回動自在であり、第2リンク62は第2軸部材64によって第1リンク61に対して回動自在である。すなわち本実施の形態において、フィルム状基板保持ユニット26は、一端部がベース部41に設けられ、他端部にフィルム状基板3を吸着する可動吸着部65を有した複数の自在アーム43を備えており、各自在アーム43は、一端部が第1軸部材63によってベース部41に対して回動自在に装着され、一端部と他端部の間に設けられた関節部としての第2軸部材64において屈曲自在な構成となっている。
図7(a)は自在アーム43の部分(図6中に破線で示すD部分)の断面図であり、図7(b),(c)は図7(a)の矢視V−Vから見た断面図である。図6及び図7(a)において、第1軸部材63の上端のねじ部63Sにはナット63Nが螺合されており、作業者は、ナット63Nを緩めた状態でベース部41(アーム連結部52)に対する第1リンク61の姿勢を調整し、そのうえでナット63Nを締め付けることによってベース部41に第1リンク61を固定することができる。また、図6及び図6中に破線Eで示す部分の部分断面図である図8において、第2軸部材64の上端のねじ部64Sにはナット64Nが螺合されており、作業者は、ナット64Nを緩めた状態で第1リンク61に対する第2リンク62の姿勢を調整し、そのうえでナット64Nを締め付けることによって第1リンク61に第2リンク62を固定することができる。
図1において、ボンディング装置1の外部には真空源70が設けられており、この真空源70は管路71を介して圧着ツール23内に設けられた圧着ツール内管路(図示せず)及び取り付け部25の内部に設けられた取り付け部内管路(図示せず)に繋がっている。圧着ツール内管路はツール本体23bの下端に吸着開口23dを有し、取り付け部内管路は取り付け部25の垂直部32の背面32R側に開口する2つの吸引ポート32b(図3)を備えている。
図5及び図6において、フィルム状基板保持ユニット26のベース部41には、ベース部41が取り付け部25に取り付けられた状態で上記2つの吸引ポート32bと繋がる2つの開口41aが設けられている。真空源70から圧着ツール23の吸着開口23dに供給する真空圧の制御及び取り付け部25の2つの吸引ポート32bに供給する真空圧の制御は、管路71に介装された空圧制御部72(図1)によってなされる。
図6において、フィルム状基板保持ユニット26のベース部41には、一方の開口41aに繋がる第1のベース部内吸引路81aと他方の開口41aに繋がる第2のベース部内吸引路82aが設けられている。第1のベース部内吸引路81aは固定アーム42内を延びる固定アーム内吸引路81bに繋がっており、第2のベース部内吸引路82aは各自在アーム43内を延びる自在アーム内吸引路82bと繋がっている。そして、固定アーム42に設けられた固定吸着部54は固定アーム内吸引路81bと繋がっており、自在アーム43に設けられた可動吸着部65はその自在アーム43内を延びた自在アーム内吸引路82bと繋がっている。
このように、第1のベース部内吸引路81aと固定アーム内吸引路81bはベース部41に設けられた一方の開口41aを通じて取り付け部25に形成された一方の吸引ポート32bに繋がる内部吸引路(第1の内部吸引路81と称する)を形成しており、第2のベース部内吸引路82aと各自在アーム43の自在アーム内吸引路82bはベース部41に設けられた他方の開口41aを通じて取り付け部25に形成された他方の吸引ポート32bに繋がる内部吸引路(第2の内部吸引路82と称する)を形成している。
すなわち本実施の形態において、ベース部41は、取り付け部25に形成された吸引ポート32bに接続される開口41aを有し、ベース部41と自在アーム43に、開口41aから吸着部(固定吸着部54及び可動吸着部65)と連通する内部吸引路(第1の内部吸引路81及び第2の内部吸引路82)が設けられたものとなっている。
図6において、各自在アーム43内の自在アーム内吸引路82bは第1軸部材63内に設けられた第1軸部材内連通路83及び第2軸部材64内に設けられた第2軸部材内連通路84を含んでいる(図7(a)及び図8も参照)。第1軸部材内連通路83は、図7(a)に示すように、第1軸部材63内を軸方向に延びた軸方向通路83a、軸方向通路83aの下端と連通して軸方向と直交する方向に第1軸部材63を貫通して延びた下部貫通路83b、軸方向通路83aの上端と連通して軸方向と直交する方向に第1軸部材63を貫通して延びた上部貫通路83c及び上部貫通路83cの両端開口と連通して第1軸部材63の外表面に周回して形成された溝83dから成る。軸方向通路83aは第1軸部材63がベース部41に対する所定の回転位置に位置されることによって下部貫通路83bを介してベース部41のアーム連結部52内を延びた第2のベース部内吸引路82aと連通する一方、上部貫通路83c及び溝83dを通じて第1リンク61内を延びた自在アーム内吸引路82bと連通している(図7(a)及び図7(b))。
第2軸部材内連通路84は、図8に示すように、第2軸部材64内を軸方向に延びた軸方向通路84a、軸方向通路84aの上端と連通して軸方向と直交する方向に第2軸部材64を貫通して延びた上部貫通路84b、上部貫通路84bの両端開口と連通して第2軸部材64の外表面に周回して形成された上部溝84c、軸方向通路84aの下端と連通して軸方向と直交する方向に第2軸部材64を貫通して延びた下部貫通路84d及び下部貫通路84dの両端開口と連通して第2軸部材64の外表面に周回して形成された下部溝84eから成る。軸方向通路84aは上部貫通路84b及び上部溝84cを通じて第1リンク61内を延びた自在アーム内吸引路82bと連通する一方、下部貫通路84d及び下部溝84eを通じて第2リンク62内を延びた自在アーム内吸引路82bと連通している。
このように、ベース部41内に形成された第2のベース部内吸引路82aと第1リンク61内の自在アーム内吸引路82bは第1軸部材内連通路83によって接続され、第1リンク61内の自在アーム内吸引路82bと第2リンク62内の自在アーム内吸引路82bは第2軸部材内連通路84によって接続されるが、図7(c)に示すように、ベース部41に対する第1軸部材63の回転位置によっては、第2のベース部内吸引路82aと下部貫通路83bとが連通せず、したがって第2のベース部内吸引路82aと自在アーム内吸引路82bとは接続しない。このため、第1軸部材63をベース部41(詳細にはアーム連結部52)に対して所定の回転位置に位置させることによって、第2の内部吸引路82を遮断することが可能である。
作業者は、前述のようにしてベース部41に第1リンク61を固定し、第1リンク61に第2リンク62を固定することで、各自在アーム43の端部に設けられた可動吸着部65を一定の領域内で移動させて2つの可動吸着部65を所望の配置にすることができる。圧着ツール23の吸着開口23dはフィルム状基板3の上面のうち外部接続用端子群3aの直上の縁部分を吸着することになるので、固定吸着部54と可動吸着部65は、圧着ツール23の吸着開口23dが外部接続用端子群3aの直上の縁部分を吸着し、それ以外の部分(縁部分から延びる部分)を吸着したときにバランスよくフィルム状基板3を吸着保持できるような配置に設定される。
ここで、可動吸着部65によるフィルム状基板3の吸着を望まない自在アーム43については、前述のように、第1軸部材63をベース部41に対して所定の回転位置に位置させることによって、第2の内部吸引路82を遮断するようにする。また、固定吸着部54からの吸着を望まない場合には、前述の空圧制御部72から第1のベース部内吸引路81aを遮断するようにする。図9(a)及び図9(b)は、固定吸着部54と2つの可動吸着部65によってフィルム状基板3を吸着保持する場合の例を示しており、図9(c)は、固定吸着部54による吸着を行わずに2つの可動吸着部65によってフィルム状基板3を吸着保持する場合の例を示している。また、図9(d)は、固定吸着部54と一方の可動吸着部65によってフィルム状基板3を吸着保持する場合の例を示している。このように本実施の形態におけるフィルム状基板保持ユニット26では、可動吸着部65を任意の位置に移動させてフィルム状基板3の形状に応じた配置とすることができる。
作業者は、上記のようにして2つの可動吸着部65をフィルム状基板3の形状に応じた配置としたら、フィルム状基板保持ユニット26を取り付け部25に取り付ける。フィルム状基板保持ユニット26を取り付け部25に取り付けるときには、作業者は、前述のように、ベース部41の当接部51の左右両端部に設けられた一対の切欠き部55を取り付け部25の垂直部32の背面32Rから後方に延びて設けられた一対の位置合わせピン33を挿通させることによってフィルム状基板保持ユニット26の取り付け部25に対する位置決めを行うことができる。このとき一対の位置合わせピン33は、取り付け部25にフィルム状基板保持ユニット26のベース部41が取り付けられる際にベース部41を取り付け部25の側に案内するガイド部として機能するので、作業者はフィルム状基板保持ユニット26の取り付け部25への取り付けを大変容易に行うことができる。また、作業者は手探りでフィルム状基板保持ユニット26を取り付け部25に取り付けることもできるので、圧着ヘッド13の背面側に回り込むことなく、圧着ヘッド13の正面側から、フィルム状基板保持ユニット26の取り付け部25への取り付けを行うことが可能である。
このように本実施の形態において、フィルム状基板保持ユニット26は、フィルム状基板3の形状に応じた位置に配置された複数の吸着部(固定吸着部54及び可動吸着部65)を備え、圧着ヘッド13に着脱自在に取り付けられる構成となっている。圧着ヘッド13には取り付け部25が設けられており、フィルム状基板保持ユニット26は、取り付け部25に着脱自在に取り付けられるベース部41及びベース部41に設けられて先端に可動吸着部65を有した複数(ここでは2つ)の自在アーム43を備えたものとなっている。そして、取り付け部25は、ベース部41が取り付けられる際にベース部41を案内するガイド部としての一対の位置合わせピン33を備えたものとなっている。
基板保持ステージ11に保持された基板2に中継ステージ12上のフィルム状基板3を圧着する場合には、圧着ヘッド13は、中継ステージ12の上方へ移動して圧着ツール23の吸着開口23d及びフィルム状基板保持ユニット26の吸着部(固定吸着部54及び可動吸着部65)をフィルム状基板3の目標吸着位置に位置決めする(図10(a))。そしてフィルム状基板保持ユニット26は取り付け部昇降シリンダ24の作動により下降して(図10(b))、固定吸着部54及び可動吸着部65によりフィルム状基板3を吸着する(図10(b))。
フィルム状基板保持ユニット26はフィルム状基板3を吸着したら、取り付け部昇降シリンダ24の作動によって上昇し、ツール本体23bの下端にフィルム状基板3を接触させる。圧着ツール23は吸着開口23dにおいてフィルム状基板3の上面の外部接続用端子群3aの直上の縁部分を吸着する。これによりフィルム状基板3はフィルム状基板保持ユニット26及び圧着ツール23によって吸着保持される。次に、圧着ヘッド13は移動して、吸着したフィルム状基板3の下面の外部接続用端子群3aをカメラ15の上方に位置させる。次にカメラ15は外部接続用端子群3aの撮像を行う(図11(a))。そして、図示しない認識装置はカメラ15の撮像によって得られた画像データの画像認識を行って外部接続用端子群3aの位置を認識する。圧着ヘッド13は認識装置による認識結果に基づいて移動し、フィルム状基板3の外部接続用端子群3aを基板2のフィルム状基板被圧着部2aの上方に位置させる。そして、圧着ツール23は下降して(図11(b))、フィルム状基板3の外部接続用端子群3aを基板2のフィルム状基板被圧着部2aに押し付ける。これによりフィルム状基板3が基板2に圧着される(図11(b))。
このように本実施の形態におけるボンディング装置1は、圧着ツール23を備えた圧着ヘッド13と、圧着ヘッド13に着脱自在であって基板2に圧着する対象のフィルム状基板3(圧着対象のフィルム状基板3)を吸引保持する吸着部(固定吸着部54及び可動吸着部65)を備えたフィルム状基板保持ユニット26を備えている。このため、圧着対象のフィルム状基板3の形状が変わった場合には、圧着ヘッド13に変更後のフィルム状基板3の形状に対応したフィルム状基板保持ユニット26を取り付けるだけで簡単かつ迅速に対応することができる。
上述のフィルム状基板保持ユニット26は自在アーム43によってその可動吸着部65の位置をフィルム状基板3の形状に対応した位置に調整できるものであるが、フィルム状基板3の形状に対応した位置に可動吸着部65が位置するように作成された固定アーム42しか持たないフィルム状基板保持ユニット26を使用することもできる。
次に、図12〜図14を用いてフィルム状基板保持ユニット26の調整用治具(以下、調整用治具100と称する)について説明する。調整用治具100は、フィルム状基板保持ユニット26の可動側の吸着部である可動吸着部65の位置調整に用いるものである。調整用治具100は、矩形形状の基部101、基部101に設けられた支持部材102、支持部材102に設けられたユニット装着部103、基部101に取り付けられた平板状の基板セット部104、基板セット部104上に設けられた基準部材としてのスケール部材105及び基部101に設けられた2つの制限部材106を備えている。
支持部材102は基部101のy軸方向後方の中央端部から上方に延びた柱部102a及び柱部102aの上端からy軸方向前方に延びた水平部102bを有している。ユニット装着部103はxz平面内に広がった矩形平板上の部材から成り、支持部材102の水平部102bの前端に固定されている。基板セット部104は矩形平板状の部材で構成されており、基部101に対してy軸方向へスライドさせることによって基部101の上面に着脱自在に取り付けることができる。ユニット装着部103には、ボンディング装置1の圧着ヘッド13の垂直部32と同様に一対の位置合わせピン133や一対のねじ孔132aが設けられており、作業者は、フィルム状基板保持ユニット26を圧着ヘッド13に取り付ける要領で、ユニット装着部103に装着することができる(図13)。このようにユニット装着部103はフィルム状基板保持ユニット26を装着する部材であり、基部101はそのようなユニット装着部103を基部101に固定する部材となっている。
基板セット部104にはスケール部材105が固定されている。スケール部材105の向きは、基板セット部104が基部101に取り付けられた際にスケール部材105のエッジ105aがx軸と平行になるように調整されている(図13及び図11)。
図12及び図13に示すように、基板セット部104の中央部にはy軸方向に延びた基準線104aが描かれている。スケール部材105の上面には目盛が刻まれており、スケール部材105はそのセンターが基準線104aと一致するように基板セット部104に設けられている。
ここで、スケール部材105のエッジ105aと目盛は基板セット部104にセットされるフィルム状基板3の位置合わせ基準となっている。この位置合わせ基準は、ボンディング装置1におけるフィルム状基板保持ユニット26と圧着ツール23との相対的な位置関係を示している。すなわち、スケール部材105のエッジ105aと目盛は、ユニット装着部103に装着されたフィルム状基板保持ユニット26からみた圧着ツール23の位置を示す基準部となっている。従って、スケール部材105のエッジ105aと目盛に合わせてフィルム状基板3を基板セット部104にセットすれば、ユニット装着部103に装着されたフィルム状基板保持ユニット26とフィルム状基板3の相対的な位置関係をボンディング装置1における実際の相対的な位置関係で再現される。
このように本実施の形態における調整用治具100では、基板セット部104に設けられたスケール部材105のエッジ105aと目盛が、ユニット装着部103に装着されたフィルム状基板保持ユニット26からみて圧着ツール23の位置を示す基準部となっている。なお、基準部としては、スケール部材105に代えて、基板セット部104に設けた線(凹凸形状によって設けた線も含む)で代用してもよい。
2つの制限部材106は、フィルム状基板保持ユニット26をユニット装着部103に取り付けた状態で、フィルム状基板保持ユニット26を実際にボンディング装置1に取り付けた場合に左右の自在アーム43がボンディング装置1側の部材と干渉するおそれがある場合に、その左右の自在アーム43の移動範囲を制限する制限部として設けられている。
作業者が調整用治具100を用いてフィルム状基板保持ユニット26の可動吸着部65の位置調整をする場合には、先ず、基部101から基板セット部104を取り外した状態で、基板セット部104に圧着対象のフィルム状基板3をセットする。より詳細に説明すれば、作業者は、外部接続用端子群3aが形成されている被圧着部3bの先端をスケール部材105のエッジ105aに当接させてy軸方向の位置を合わせ、目盛を見ながら被圧着部3bのy軸方の位置を合わせてフィルム状基板3を基板セット部104にセットする(図13の矢印A)。そして、フィルム状基板3がセットされた基板セット部104を基部101に装着する(図13に示す矢印B)。次いで、作業者は、フィルム状基板保持ユニット26をユニット装着部103に装着し、上面にフィルム状基板3をセットした基板セット部104を基部101に取り付ける。これにより前準備が終了する。なお、フィルム状基板保持ユニット26をユニット装着部103に装着した後、フィルム状基板3をセットした基板セット部104を基部101に取り付けるようにしてもよい。
ここで、基板セット部104を基部101に固定した(或いは基板セット部104と基部101を一体にした)構成も考えられるが、この場合には基板セット部104の上方に支持部材102が(更にはフィルム状基板保持ユニット26が)位置していて作業がしにくい。よって、作業を容易にするうえでは、本実施の形態のように、基板セット部104が基部101に対して着脱自在に装着されるようになっていることが好ましい。更には、本実施の形態に示すように、基板セット部104が基部101に対してスライドにより装着できるようになっているのであれば、ユニット装着部103にフィルム状基板保持ユニット26が装着された状態でも基板セット部104を容易に基部101に取り付けることができる。なお、基板セット部104が基部101に対してスライド自在になっている場合であっても、基板セット部104が基部101に対して着脱自在でなければならないわけではなく、基板セット部104が基部101に対してスライド自在に装着されるようになっているだけでも上述の効果が十分に得られる。
作業者は、上記のようにして前準備が終了したら、左右の自在アーム43を動かして基板セット部104にセットしたフィルム状基板3に対する可動吸着部65の位置調整を行う(図9)。そして、その位置調整が終わったフィルム状基板保持ユニット26は、調整用治具100のユニット装着部103から取り外され、ボンディング装置1の垂直部32に装着される。
ここで、上記可動吸着部65の位置調整作業では、左右の自在アーム43の移動範囲は制限部材106によって制限される(図14)。このため、その後、可動吸着部65の位置調整が終了したフィルム状基板保持ユニット26をボンディング装置1に取り付けた場合に、左右の自在アーム43がボンディング装置1側の部材と干渉することはない。
以上説明したように、本実施の形態におけるフィルム状基板保持ユニット26の調整用治具100では、ボンディング装置1におけるフィルム状基板保持ユニット26とフィルム状基板3との相対位置関係を再現できるので、作業者は、フィルム状基板3の形状に合わせて可動吸着部65の位置調整を行うことができる。
また、調整用治具100には制限部としての制限部材106が設けられており、ボンディング装置1に装着したフィルム状基板保持ユニット26の可動部(左右の自在アーム43)がボンディング装置1側の部材と干渉しない範囲が予め調整用治具100上に規定されるので、可動吸着部65の位置調整をより正確に行うことができる。
なお、上述の実施の形態では、基板セット部104には圧着対象のフィルム状基板3がセットされるようになっていたが、フィルム状基板3の代わりにこのフィルム状基板3を模した模擬基板をセットするようにしてもよい。また、上述の実施の形態では、フィルム状基板保持ユニット26の位置調整の対象となる吸着部(可動吸着部65)は複数あったが、位置調整の対象となる吸着部が一つであるフィルム状基板保持ユニットについても本発明を適用することが可能である。