JP6121357B2 - 酸化膜付き異種soi基板の欠陥検出方法 - Google Patents

酸化膜付き異種soi基板の欠陥検出方法 Download PDF

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Description

本発明は、酸化膜付き異種SOI基板の欠陥検出方法に関する。
SOI(Silicon on Insulator)基板は、半導体素子において接合容量の低減やリーク電流の抑制、高周波特性などの観点からパワーデバイスや高周波デバイスなどの用途に用いられている。その中でも、SOQ(Silicon on Quartz)、SOG(Silicon on Glass)、SOS(Silicon on Sapphire)と呼ばれるような、ベース基板と半導体層の材料が異なる異種SOI基板は、ベース基板(石英、ガラス、サファイア)が有する絶縁性および透明性などの特性から、プロジェクタ、高周波デバイスなどへの応用が見込まれている。
SOI基板において、シリコン薄膜上の欠陥を減少させる手法として、一般に、シリコン薄膜の表面を熱処理により酸化させ、酸化膜に変質させた後に、酸化膜を除去する方法(犠牲酸化)が用いられる。
犠牲酸化における酸化膜の除去方法としては、選択的に酸化膜を除去することが可能なフッ酸含有液、例えば、一定の濃度のHF溶液にSOI基板を浸漬させ、酸化膜を除去することが主に用いられる(非特許文献1)。
SOIの科学、第5章第3節第1項、p.304−306、リアライズ社
SOI基板は、犠牲酸化等によりシリコン薄膜上の欠陥を減少させた後に、さらに熱処理してゲート絶縁膜を形成するといった、更なる熱処理を要し得る電子デバイス用途にも用いられる。再度の熱処理を要する場合に、シリコン薄膜上に欠陥が存在すると、その欠陥部を起点として熱処理によりさらに拡大または増加させることがあるため、欠陥を極力減少させておくことが重要である。
しかしながら、上述した従来の酸化膜除去方法では、シリコン薄膜の表面からベース基板に達する欠陥が存在する場合、欠陥からフッ酸含有液が浸透することにより、ベース基板からシリコン薄膜が部分的に剥離してしまう場合があった。
また、ベース基板と半導体層の材料が異なる異種SOI基板においては、ベース基板と半導体層の熱膨張係数の差に応じて半導体層に応力が掛かる。熱膨張係数は材料に依存するため、半導体層に用いられるシリコンより熱膨張係数が大きい基板をベース基板とした場合(例えば、SOS)には、熱処理工程でシリコン薄膜に引っ張り応力がかかり、シリコンより熱膨張係数が小さい基板をベース基板とした場合(例えば、SOQ)には、シリコン薄膜に圧縮応力がかかる。このため、異種SOI基板においては、シリコン薄膜に欠陥が存在する状態で熱処理をする場合、欠陥部に強い応力がかかることで、欠陥部を起点に欠陥サイズが著しく拡大し、熱処理後の欠陥が正確に測定できなくなるおそれがあった。
SOI基板の欠陥を検出する方法として、Wright欠陥検出法やSecco欠陥検出法、その改良法である四段Seccoエッチング法等が考案されている。しかしながら、これらの方法は、エッチャーによってシリコン薄膜上の微小欠陥を拡大して検出する破壊検査である。このため、異種SOI基板においては、エッチャーで拡大された欠陥に対して熱処理を施すと欠陥に応力がかかり、さらに欠陥が拡大するので、製造工程における全数検査には不適である。また、多くの場合、エッチャーにはRoHS規制物質の6価クロムが含まれるため、環境側面での問題点もあった。
本発明は、上記現状に鑑み、酸化膜付きの異種SOI基板において、欠陥を増加させることなく容易に検出することができる、酸化膜付きの異種SOI基板の欠陥検出方法を提供することを目的とする。
本発明によれば、ベース基板上に前記ベース基板と異なる材料の半導体薄膜を備えた異種SOI基板を酸素の存在下で熱処理し、前記半導体薄膜の表面および前記半導体薄膜の表面から内部に延びる欠陥に酸化膜を形成する工程と、前記酸化膜を形成した異種SOI基板を、エッチング速度の異なるフッ酸含有溶液を用いて、少なくとも2回エッチングする工程であり、該エッチングによって、前記半導体薄膜の表面の酸化膜を除去し、前記半導体薄膜の内部に有する前記酸化膜を除去しない、工程と、前記エッチングされた異種SOI基板を酸素の存在下で熱処理し、前記半導体薄膜のエッチングされた表面に酸化膜を形成する工程と、前記酸化膜を形成した異種SOI基板の半導体薄膜の表面の欠陥を、パターン欠陥検出装置で観察する工程とを少なくとも含む、酸化膜付き異種SOI基板の欠陥検出方法を提供することができる。
本発明の酸化膜付き異種SOI基板の欠陥検出方法によれば、検出装置により欠陥を観察する前に、異種SOI基板上の酸化膜をエッチング速度の異なるフッ酸含有液を用いて少なくとも2回エッチングして除去することで、さらに酸化膜(ゲート絶縁膜など)を形成する際に、熱応力に起因する欠陥の拡大を抑制することができる。具体的には、酸素の存在下で熱処理することにより、半導体薄膜の表面および半導体薄膜の表面から内部に延びる欠陥に酸化膜を形成した異種SOI基板を、エッチング速度の異なるフッ酸含有液を用いて少なくとも2回エッチングすることによって、半導体薄膜の表面の酸化膜のみ除去され、且つ、半導体薄膜の内部に有する酸化膜は除去されていない、つまり、半導体薄膜を侵食せずに、所望の厚さまで酸化膜を除去された異種SOI基板を得ることが可能となる。このため、エッチング後の半導体薄膜表面に、さらに酸化膜を形成するために熱処理を行っても、熱応力に起因する欠陥の拡大が生じない。よって、酸化膜付き異種SOI基板を製品として出荷する場合に、欠陥検査後のサンプルを処分することなく、製品として用いることが可能であり、また、製造工程における全数検査としても好適である。
実施例1、2、および比較例1における、1回目および2回目の熱処理後の酸化膜付き異種SOI基板の表面欠陥の増加倍率を比較した図である。 実施例3、4、および比較例2における、1回目および2回目の熱処理後の酸化膜付き異種SOI基板の表面欠陥の増加倍率を比較した図である。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明によれば、ベース基板上に前記ベース基板と異なる材料の半導体薄膜を備えた異種SOI基板を酸素の存在下で熱処理し、半導体薄膜の表面および前記半導体薄膜の表面から内部に延びる欠陥に酸化膜を形成する工程と、酸化膜を形成した異種SOI基板を、エッチング速度の異なるフッ酸含有溶液を用いて、少なくとも2回エッチングする工程であり、該エッチングによって、半導体薄膜の表面の酸化膜を除去し、半導体薄膜の内部に有する酸化膜を除去しない、工程と、エッチングされた異種SOI基板を酸素の存在下で熱処理し、半導体薄膜のエッチングされた表面に酸化膜を形成する工程と、酸化膜を形成した異種SOI基板の半導体薄膜の表面の欠陥を、パターン欠陥検出装置で観察する工程とを少なくとも含む、酸化膜付き異種SOI基板の欠陥検出方法を提供できる。
異種SOI基板は、ベース基板上に前記ベース基板と異なる材料の半導体薄膜を備える基板のことである。半導体基板には、単結晶シリコンが用いられる。ベース基板としては、アルミナ、AlN、SiC、ホウ珪酸ガラス、結晶ガラス、石英、およびサファイア等が挙げられる。
異種SOI基板は、市販のものを使用してもよいし、作製してもよい。作製方法としては、例えば、貼り合わせ面側に水素イオンを注入した半導体基板とベース基板とを貼り合わせた後に、概ね500℃以上の熱処理を施してイオン注入層を熱剥離させて、ベース基板上に半導体薄膜を転写して得るSmartCut法、および貼り合わせ面側に水素イオンを注入した半導体基板とベース基板とを貼り合わせる前に、これらの基板の貼り合わせ面をプラズマ処理して表面を活性化させた状態で両基板を貼り合わせ、低温(例えば、100〜300℃)で熱処理を施して接合強度を高めた後に、常温で機械的にイオン注入層を剥離させて、ベース基板上に半導体薄膜を転写して得るSiGen法等が挙げられるが、これらに特に限定するものではなく、これらの各工程を組み合わせてもよい。また、半導体基板とベース基板の少なくとも一方の貼り合わせる面に酸化膜を備えた状態で貼り合わせて、埋め込み酸化膜を有する異種SOI基板としてもよい。半導体薄膜の厚さは、用途に応じて選択することができるが、例えば5〜500nmとすることが好ましく、研磨やエッチング等によって調整することができる。
上記のようにして得られた異種SOI基板を酸素の存在下で熱処理し、半導体薄膜の表面に酸化膜を形成する。熱処理の雰囲気条件は、酸素の存在下(例えば大気中)とする以外は特に限定しない。例えば、形成する酸化膜の厚さを100nm未満とする場合、高純度の酸素ガス雰囲気下でドライ酸化としてもよいし、100nm以上とする場合、水素ガスおよび水蒸気ガス雰囲気下でウェット酸化としてもよい。熱処理の温度としては、700〜1200℃である。700℃より低いと、酸化速度が遅く、生産効率が悪い。1200℃より高いと、異種SOI基板が破損することがあるため好ましくない。形成される酸化膜の厚さは、好ましくは10〜500nmである。10nmより薄いと、犠牲酸化による欠陥除去効果が得られない場合がある。500nmより厚いと、後の工程で酸化膜を除去するのに時間がかかる、また、酸化前の半導体膜厚を厚くするためにイオン注入エネルギーを非常に大きくする必要があるので、非効率となる場合がある。この熱処理は、半導体薄膜の表面および半導体薄膜の表面から内部に延びる欠陥に酸化膜を形成するために行われる。
次に、半導体薄膜の表面に酸化膜を形成した異種SOI基板を、エッチング速度の異なるフッ酸含有溶液を用いて、少なくとも2回エッチングすることにより酸化膜を除去する。フッ酸含有溶液は、フッ化物イオン換算濃度(F)が0.1〜10質量%の溶液であり、フッ酸(HF)、または、バッファードフッ酸(HF+NHF)等により構成される。フッ化物イオン換算濃度(F)は、フッ酸を用いる場合はフッ酸のモル濃度から算出でき、バッファードフッ酸の場合はフッ酸とフッ化アンモニウムのモル濃度の合計から算出できる。フッ化物イオン換算濃度が0.1質量%よりも低いと、所望のエッチング速度が得られず非効率となる場合がある。10質量%よりも高いと、エッチング効果をコントロールすることが困難となる場合がある。フッ酸含有溶液の温度としては、10〜30℃が好ましい。10℃より低いと、所望のエッチング速度を得られず非効率となる場合がある。30℃より高いと、エッチング効果をコントロールすることが困難となる場合がある。
半導体薄膜上の酸化膜の除去は、少なくとも2回のエッチングで行われ、作業効率の点から2回が好ましい。1回のエッチングだと、過剰エッチング、または、エッチング不足となる。各エッチングは、エッチング速度の異なるフッ酸含有溶液を用いて行われ、この溶液に基板を浸漬させてもよいし、スプレー等で基板に吹きかけてもよい。エッチング速度は、フッ酸含有溶液の濃度、温度を上記の範囲で調整することで所望のエッチング速度を得られるものであり、つまり、エッチング速度の異なるフッ酸含有溶液は、濃度および/または温度の異なるフッ酸含有溶液のことである。少なくとも2回のエッチングを行うことによって、半導体薄膜の表面の酸化膜は除去されるが、半導体薄膜の内部に有する酸化膜については除去されない。このため、半導体薄膜の表面から内部に延びる欠陥を有する場合に、後の熱処理工程において、これらの欠陥から熱応力よる欠陥の拡大が生じることは極めて少なくなる。
エッチング工程における最後のエッチング以外のエッチング速度は、20nm/秒以下が好ましく、0.2nm/秒を超えて20nm/秒以下がより好ましい。20nm/秒より早いと、エッチング効果をコントロールすることが困難となる。また、エッチング工程における最後のエッチングのエッチング速度は、0.2nm/秒以下が好ましい。0.2nm/秒より早いと、最後の数nmの酸化膜を除去する際に過剰エッチングとなる場合がある。最後のエッチング前までに行うエッチング量は、除去する酸化膜の厚さに依存するが、最後のエッチングまでに酸化膜全体の80〜99%の酸化膜を除去するように設定することが、生産効率の点から好ましい。
例えば、200nmの酸化膜を除去するのに2回のエッチングを用いる場合、1回目のエッチングをフッ化物イオン換算濃度2.9質量%、温度20℃とし、0.72nm/秒のエッチング速度として、4.5分間処理することで、酸化膜全体の97.5%、つまり195nmの酸化膜を除去し、その後、2回目のエッチングをフッ化物イオン換算濃度0.3質量%、温度20℃とし、0.08nm/秒のエッチング速度として1分間処理することで、残りの2.5%である5nmの酸化膜を除去することができる。最後のエッチングのエッチング速度を0.2nm/秒以下とすることにより、過剰エッチングとせず、半導体薄膜表面に形成した犠牲酸化膜のみを除去することが可能である。
フッ酸含有溶液でのエッチングで酸化膜を除去した異種SOI基板は、例えば、純水を用いて洗浄を行った後、乾燥させてもよい。基板の乾燥は、従来と同様の条件および装置にて行うことができる。酸化膜除去後の異種SOI基板は、乾燥した状態で次の工程に持ち込まれる。
次に、酸化膜を除去した異種SOI基板を酸素の存在下で熱処理し、半導体薄膜のエッチングされた表面に酸化膜を形成する。熱処理は、酸素雰囲気下で行われ、酸素濃度を98〜99.9995質量%とすることが好ましい。熱処理の温度としては、700〜1200℃である。700℃より低いと、酸化速度が遅く、生産効率が悪い。1200℃より高いと、SOI基板が破損することがあるため好ましくない。酸化膜の厚さは、用途に応じて選択できるが、例えば5〜100nmの厚さとすることができる。
このようにして酸化膜を形成した異種SOI基板の半導体薄膜の表面の欠陥を、パターン欠陥検出装置で観察する。パターン欠陥検出装置としては、KLA社製のパターン欠陥検出装置を用いることができる。この装置は、直径0.5μm以上の欠陥について検出することが可能である。直径0.5μm以上の欠陥を検出することは、ユーザーニーズにも対応している。例えば電子デバイス用途として用いる場合には、酸化膜付き異種SOI基板の半導体薄膜の表面の直径0.5μm以上の欠陥は、7個/cm以下であることが望ましい。なお、この装置は、半導体薄膜面で反射された光を検出するため、酸化膜を付与していない異種SOI基板の欠陥についても評価することが可能である。
<実施例1>
サファイアをベース基板とし、貼り合わせ法により単結晶シリコン薄膜を転写した異種SOI基板を用意した。異種SOI基板の単結晶シリコン層は、研磨によって170nmの厚さとした。
得られた異種SOI基板を水蒸気雰囲気下で150分間、900℃の熱処理(1回目)を行い、単結晶シリコン薄膜の表面に200nmの酸化膜を形成した。
次に、酸化膜を備えた異種SOI基板を、エッチング速度の異なるフッ酸含有溶液を用いて2回エッチングし、酸化膜を除去した。2回のエッチングは、フッ酸含有溶液としてHF溶液(ダイキン社製、半導体用フッ化水素酸(50質量%))を超純水で希釈して異なる濃度としたものを用い、基板を浸漬させることにより行った。1回目のエッチングでは、フッ化物イオン換算濃度を2.9質量%、温度20℃として、酸化膜のエッチング速度を0.72nm/秒とし、4.5分間処理した。その後、2回目のエッチングでは、フッ化物イオン換算濃度を0.3質量%、温度20℃として、酸化膜のエッチング速度を0.08nm/秒とし、1分間処理した。これらの処理によって、単結晶シリコン薄膜の表面の酸化膜のみを除去し、単結晶シリコン薄膜の内部に有する酸化膜については除去しないようにした。
然る後に純水でリンスを行った後、スピン乾燥機を用いて1500rpmで2分間、基板を乾燥させた。次に、エッチングにより酸化膜の除去した異種SOI基板を、99.9995質量%の高純度酸素ガス雰囲気下で30分間、900℃の熱処理(2回目)を行い、単結晶シリコン薄膜の表面に10nmの酸化膜を形成した。
熱処理前の異種SOI基板、1回目の熱処理後の異種SOI基板、および2回目の熱処理後の異種SOI基板を、KLA社製のパターン欠陥検出装置を用いて、単結晶シリコン薄膜の表面の直径0.5μm以上の欠陥を測定した。測定した欠陥数から、以下の式を各々用いて、1回目および2回目の熱処理後の欠陥増加倍率を算出した。評価結果を表1、および図1に示す。
[熱処理後の欠陥増加倍率]
熱処理後(1回目)の欠陥増加倍率=(1回目の熱処理後の異種SOI基板の欠陥数)/(熱処理前の異種SOI基板の欠陥数)
熱処理後(2回目)の欠陥増加倍率=(2回目の熱処理後の異種SOI基板の欠陥数)/(1回目の熱処理後の異種SOI基板の欠陥数)
<実施例2>
1回目の熱処理後の酸化膜を備えた異種SOI基板を、エッチング速度の異なるフッ酸含有溶液を用いて2回エッチングし酸化膜を除去する際に、2回のエッチングともにフッ酸含有溶液としてBHF溶液(ダイキン社製、バッファードフッ酸BHF63)を超純水で希釈して異なる濃度としたものを用い、基板を浸漬させることにより行った。1回目のエッチングでは、フッ化物イオン換算濃度を1.7質量%、温度20℃として、酸化膜のエッチング速度を0.4nm/秒とし、8分間処理し、その後、2回目のエッチングでは、フッ化物イオン換算濃度を0.2質量%、温度20℃として、酸化膜のエッチング速度を0.03nm/秒とし、1分間処理して、単結晶シリコン薄膜の表面の酸化膜のみを除去し、単結晶シリコン薄膜の内部に有する酸化膜については除去しないようにした以外は、実施例1と同様にして行い、酸化膜付き異種SOI基板を得た。評価結果を表1、および図1に示す。
<比較例1>
1回目の熱処理後の酸化膜を備えた異種SOI基板を、フッ酸含有溶液の1回のエッチングで酸化膜を除去する際に、フッ酸含有溶液としてHF溶液(ダイキン社製、半導体用フッ化水素酸(50%))を超純水で希釈したものを用い、フッ化物イオン換算濃度を2.9質量%、温度20℃として、酸化膜のエッチング速度を0.72nm/秒とし、8分間処理し、1回目の熱処理で形成された酸化膜を完全に除去した以外は、実施例1と同様にして行い、酸化膜付き異種SOI基板を得た。評価結果を表1、および図1に示す。
Figure 0006121357
実施例1において、1回目の熱処理後の異種SOI基板の欠陥増加倍率は、1.3であるのに対し、2回目の熱処理後の異種SOI基板では1.1となり、欠陥の増加は見られなかった。また、2回目の熱処理前の、エッチング後の異種SOI基板の表面の酸化膜の有無を確認するために、簡易的な撥水性評価を実施した。具体的にはエッチング後の基板表面に水滴を乗せた際に水滴が球状の形状となる(撥水性)か否かを目視で確認した。これは、酸化膜が表面に残っていると親水性となる性質を利用したものである。結果、2回目の熱処理前の、エッチング後の異種SOI基板は、表面の酸化膜が除去されていることを目視により確認した。
実施例2において、1回目の熱処理後の異種SOI基板の欠陥増加倍率は、2.2であるのに対し、2回目の熱処理後の異種SOI基板では1.1となり、欠陥の増加は見られなかった。また、2回目の熱処理前の、エッチング後の異種SOI基板の表面は、撥水性となることを確認した。
一方、比較例1においては、1回目の熱処理後の異種SOI基板の欠陥増加倍率は、2.3であるのに対し、1回目の熱処理で形成された酸化膜を完全に除去した後の、2回目の熱処理後の異種SOI基板では32.1となり、欠陥の増加が顕著となることを確認した。
<実施例3>
ベース基板に石英を用いた以外は、実施例1と同様にして行い、酸化膜付き異種SOI基板を得た。評価結果を表2、および図2に示す。
<実施例4>
ベース基板に石英を用いた以外は、実施例2と同様にして行い、酸化膜付き異種SOI基板を得た。評価結果を表2、および図2に示す。
<比較例2>
ベース基板に石英を用いた以外は、比較例1と同様にして行い、酸化膜付き異種SOI基板を得た。評価結果を表2、および図2に示す。
Figure 0006121357
実施例3において、1回目の熱処理後の異種SOI基板の欠陥増加倍率は、1.2であるのに対し、2回目の熱処理後の異種SOI基板では0.8となり、欠陥の増加は見られなかった。また、2回目の熱処理前の、エッチング後の異種SOI基板の表面は、撥水性となることを確認した。
実施例4において、1回目の熱処理後の異種SOI基板の欠陥増加倍率は、1.5であるのに対し、2回目の熱処理後の異種SOI基板では1.4となり、欠陥の増加は見られなかった。また、2回目の熱処理前の、エッチング後の異種SOI基板の表面は、撥水性となることを確認した。
一方、比較例2においては、1回目の熱処理後の異種SOI基板の欠陥増加倍率は、0.9であるのに対し、1回目の熱処理で形成された酸化膜を完全に除去した後の、2回目の熱処理後の異種SOI基板では27.3となり、欠陥の増加が顕著となることを確認した。

Claims (5)

  1. ベース基板上に前記ベース基板と異なる材料の半導体薄膜を備えた異種SOI基板を酸素の存在下で熱処理し、前記半導体薄膜の表面および前記半導体薄膜の表面から内部に延びる欠陥に酸化膜を形成する工程と、
    前記酸化膜を形成した異種SOI基板を、エッチング速度の異なるフッ酸含有溶液を用いて、少なくとも2回エッチングする工程であり、該エッチングによって、前記半導体薄膜の表面の酸化膜を除去し、前記半導体薄膜の内部に有する前記酸化膜を除去しない、工程と、
    前記エッチングされた異種SOI基板を酸素の存在下で熱処理し、前記半導体薄膜のエッチングされた表面に酸化膜を形成する工程と、
    前記酸化膜を形成した異種SOI基板の半導体薄膜の表面の欠陥を、パターン欠陥検出装置で観察する工程とを少なくとも含む、
    酸化膜付き異種SOI基板の欠陥検出方法であって、
    前記少なくとも2回のエッチングのうちの最後のエッチング以外の前記エッチング速度が、0.2nm/秒を超えて20nm/秒以下であって、
    前記最後のエッチングの前記エッチング速度を0.2nm/秒以下とし、半導体薄膜表面に形成した犠牲酸化膜のみを除去する、
    酸化膜付き異種SOI基板の欠陥検出方法
  2. 前記エッチング速度の異なるフッ酸含有溶液が、濃度および/または温度の異なるフッ酸含有溶液である請求項に記載の酸化膜付き異種SOI基板の欠陥検出方法。
  3. 前記熱処理の温度が、700〜1200℃である請求項1又は2のいずれか1項に記載の酸化膜付き異種SOI基板の欠陥検出方法。
  4. 前記半導体薄膜が、単結晶シリコン薄膜である請求項1〜のいずれか1項に記載の酸化膜付き異種SOI基板の欠陥検出方法。
  5. 前記ベース基板が、石英基板、サファイア基板、AlN基板、SiC基板、ホウ珪酸ガラス基板、および結晶ガラス基板からなる群から選ばれる請求項1〜のいずれか1項に記載の酸化膜付き異種SOI基板の欠陥検出方法。
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