JP6119416B2 - 高炉への装入物装入方法 - Google Patents
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Description
休風立ち上がりに限らず、定常操業時においても、前述のように、原料の品質悪化その他の原因で高炉の炉熱が低下することがあり、操業不安定状態からの早期に回復する高炉操業方法が望まれる。
安定操業時の融着帯1の形状は、炉内中心部にある融着層2の頂部の位置が、ある程度の高さの位置にあり、融着層2の頂部の幅は、炉周辺にある融着層2の幅より小さい。その結果、炉中心部の通気抵抗は、炉周辺部より小さく、炉中心部の炉内ガス流れが多くなる。そして、融着帯1の全体のプロフィルはスリムであり、個々の融着層2の幅が狭いので、全体としての通気抵抗は小さく、安定操業が可能となる。
炉内中心部にある融着層2の頂部の位置は低く、融着層2の幅が長くなっている。融着帯1の全体のプロフィルは、ずんぐり型になり、最下部の融着帯1で炉壁に接する部分(以下、融着帯の根と記す。)は、分厚く幅が長い。高炉の炉熱低下時は、融着帯1の上面軟化速度に対し、融着帯1の下面の鉱石の溶け落ち速度が遅く、融着帯1が肥大化してしまい、炉中間部、炉周辺部の炉内ガスの通気抵抗は増大する。
本発明の目的は、高炉操業の不安定化を未然に防止する高炉への装入物装入方法を提供することである。
高炉のシャフト中部の炉内圧力と炉口部の炉内圧力の差が、定常時に対し、1.5倍以上になったときに、高炉に装入する総コークス量の鉱石量に対する比率を定常時よりも高くし、かつ1チャージの総コークス量(Cc+C)に対し、前記コークス(Cc)の高炉中心部への装入比率を定常時よりも高くすることを特徴とする高炉への装入物装入方法。
ただし、高炉のシャフト中部の炉内圧力とは、羽口からストックラインまでの高さに対し羽口から48〜55%の部分の炉内圧力をいい、炉口部の炉内圧力とは、羽口からストックラインまでの高さに対し羽口から70〜80%の部分の炉内圧力をいう。
(2) 高炉のシャフト中部の炉内圧力と炉口部の炉内圧力の差が、定常時に対し、1.5倍以上になったときに、1チャージの総コークス量(Cc+C)に対する前記コークス(Cc)の高炉中心部への装入比率を定常時よりも5.1質量%以上、9.6質量%以下、高くしたチャージを5〜10チャージ行うことを特徴とする、(1)に記載の高炉への装入物装入方法。
本発明は、高炉のシャフト中部の炉内圧力と炉口部の炉内圧力の差により融着帯頂部の低下をキャッチし、差圧が所定値以上になったときに、高炉中心部に少量のコークス(ライトチャージ、以下、中心LCと記す。)を装入することで、高炉操業の不安定化を未然に防止することを特徴とする。
以下、(1)融着帯頂部の低下による高炉の不安定化、(2)高炉のシャフト中部と炉口部の炉内圧力の差による融着帯頂部低下のキャッチ及び(3)中心LCによる高炉操業の不安定化の未然防止について述べる。
前述のように、図1(A)は、高炉の安定操業時の融着帯1のプロフィルAであり、図1(C)は、高炉の不安定状態の融着帯1のプロフィルCである。図1(B)は、高炉の安定操業時に対し、融着帯1の頂部の位置が低下した融着帯プロフィルである。図1(A)から図1(C)に移行する際、まず、炉内中心ガスが抑制され、中心ガス量の減少により、中心部分の装入物の加熱が遅れ、融着帯頂部が低下する。融着帯1のプロフィルが図1(B)のようになっていることを早期にキャッチできれば、それに対応することにより、融着帯1がプロフィルCに移行することなく、高炉の安定操業が維持できると考えられる。
本発明者は、高炉の操業においての融着帯頂部の低下を早期にキャッチする方法を検討した。図2に炉内の圧力を測定する検出端位置を示す。羽口からストックライン(SL)の間隔に対する羽口からの割合で示している。その他の検出端としては、ステーブクーラのリブに埋め込まれたリブ温度計がある。また、スキンフロー温度は、炉口部のステーブクーラを貫通して設置してある温度計である。
ここで、高炉のシャフト中部の炉内圧力とは、羽口からストックラインまでの高さに対し羽口から48〜55%の部分の炉内圧力をいう。シャフト中部の炉内圧力と炉口部の炉内圧力の差の変動を察知する。この範囲の炉内圧力が、図1に示す融着帯の頂部の低下に敏感に変動するからである。
従来は、融着帯1がプロフィルCになり、高炉が不安定状態になった際は、鉱石層とコークス層の比(以下O/Cと記す。)を、例えば、O/C=5.0から、O/C=3.0程度まで大幅に下げ、更に回復までの長時間にわたり低O/Cを継続してプロフィルAへの回復を図ってきた。その結果、高炉熱バランスを失し、回復に長時間を要したことは、すでに述べたところである。これに対し、本発明は、融着帯頂部の低下の兆候が表れた際に対応するものであるから、O/Cの低下は小さくてもよい。
表1に5000m3クラスの大型炉における中心LCの一例を示す。表1において、中心C(以下Ccと記す。)は、中心に装入するコークス質量を示し、ベース条件でCc比率は、1チャージの総コークス量(Cc+C)に対し、8.3質量%である。これに対し、中心LC操業では、1チャージの総コークス量(Cc+C)に対し、17.9質量%×5ch+13.4質量%×5chを装入するケースである。本発明に係る中心LCは、1チャージのコークス量(Cc+C)に対し、5質量%〜20質量%の中心コークス比率(Cc比率)を1チャージ〜10チャージ、高炉中心部に装入する。
尚、表1で、ベース3ダンプとは、1チャージをCc、C、Oの3ダンプで装入する方式であり、Cc比率とはCc/(Cc+C)×100で計算される、塊CB中のCcの比率を指す。
中心LCによる高炉装入時の装入物堆積状況を1/3縮尺模型実験装置により調査した。
図3に5000m3級高炉を対象とした1/3縮尺模型実験装置を示す。サージホッパー11から装入コンベア12、炉頂ホッパー13、旋回シュート14、炉体シャフト部15までを対象としている。また、装置下部の切り出し装置16により炉内荷下がりを考慮し、装置下部からの送風によりガス流分布を考慮している。
表1に示す装入物の装入条件で、1/3縮尺模型実験装置により測定した装入物の層厚比を図6に示す。Loは、鉱石層の厚み、Lcは、コークス層の厚みを示す。中心LC装入時は、低層厚比の領域が中心から0.22位置までの範囲に拡大し、コークス単独層の領域が広がっている。中心から0.22〜0.50の範囲は、ベースに対して層厚比が上昇しており、Ccにより鉱石の流れ込みが堰止められた結果であると考えられる。0.55から壁際にかけては、中心LCが中心部へのコークス単独増加であるためベースと略同じ堆積形状、層厚比分布であった。
内容積が5000m3級の大型高炉において、本発明を実施した。図7及び図8に、中心LC装入時による高炉操業の不安定化を未然に防止する実施結果を示す。横軸は、時間の経過を示す。
羽口から25%と35%の位置のステーブクーラのリブに埋め込まれた温度計の温度である。スキンフロー温度は、炉口部のステーブクーラを貫通して設置してある温度計である。
また、K値とは、通気性を評価するものであり、下記式で算出した。
羽口からストックラインまでの高さに対し
K=(P12−P22)/G1.7
ただし、P1:送風圧力(MPa)
P2:高炉炉頂部の圧力(MPa)
G:高炉のボッシュガス量(Nm3/min)
時刻Tまでは、他の検出端情報は安定していたが、時刻Tにおいて、シャフト中部の圧力(P2)と炉口部の圧力(P3)の差が略150hPaから、1.6倍の略240hPaに振れた。この情報に基づき表1に示す中心LCのステップ1を実施した。ステップ1は、1チャージのCc比率8.3質量%でベース操業をしていたものから、Cc比率17.9質量%に増量したものを、5ch装入するものである。尚、シャフト中部と炉口部の圧力計は、炉体の円周方向に4か所に設置しているが、その1箇所のシャフト中部と炉口部の差圧が振れた場合でも、融着帯頂部低下の兆候があると判断し、中心LCを実施して、融着帯の低下の未然防止を行った。
その後、ステップ1の後にステップ2としてCc比率13.4質量%に増量したものを5ch装入し、段階的にベースレベルにもどした。
以上の中心LCのステップ1及びステップ2を実施することにより、時刻T+24時間後には、高炉内のガス流れを示す上記の検出端情報が安定し、高炉操業の不安定化を未然に防止することができた。
ここで、上部ゾンデηCO(%)分布とは、装入物表面の直上に沿って炉内にゾンデを挿入し、炉半径方向のガス利用率を測定したものであり、炉半径方向のガス分布を評価したものである。
Claims (2)
- 高炉中心部に装入するコークスバッチ(Cc)と中心部以外(炉中間部、炉周辺部)に装入するコークスバッチ(C)と、鉱石バッチ(O)を1チャージとして炉内に装入するベルレス高炉への装入物装入方法であって、
高炉のシャフト中部の炉内圧力と炉口部の炉内圧力の差が、定常時に対し、1.5倍以上になったときに、高炉に装入する総コークス量の鉱石量に対する比率を定常時よりも高くし、かつ1チャージの総コークス量(Cc+C)に対し、前記コークス(Cc)の高炉中心部への装入比率を定常時よりも高くすることを特徴とする高炉への装入物装入方法。
ただし、高炉のシャフト中部の炉内圧力とは、羽口からストックラインまでの高さに対し羽口から48〜55%の部分の炉内圧力をいい、炉口部の炉内圧力とは、羽口からストックラインまでの高さに対し羽口から70〜80%の部分の炉内圧力をいう。 - 高炉のシャフト中部の炉内圧力と炉口部の炉内圧力の差が、定常時に対し、1.5倍以上になったときに、1チャージの総コークス量(Cc+C)に対する前記コークス(Cc)の高炉中心部への装入比率を定常時よりも5.1質量%以上、9.6質量%以下、高くしたチャージを5〜10チャージ行うことを特徴とする、請求項1に記載の高炉への装入物装入方法。
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