JP4739920B2 - 炉熱変動の小さい高炉操業方法 - Google Patents

炉熱変動の小さい高炉操業方法 Download PDF

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Description

本発明は、装入物の降下領域を拡大し、炉熱変動を抑制する高炉操業方法に関するものである。
高炉操業においては、大型高炉を用い、高微粉炭比操業又は高出銑比操業を行うことが通常である。
しかし、高微粉炭比操業においては、レースウェイ内におけるコークス粉量の増大により、炉下部における通気性が悪化し、炉芯内へのガスの流入量が減少し、また、図1に示すように、レースウェイが、Rから、コークス粉の堆積を伴うR‘へ縮小・縦長化し、レースウェイ深度が低下することが予想される。
高炉内で上記現象が生じると、炉下部における降下領域が縮小して、融着帯の炉下部における滞留時間が短縮し、その結果、未溶解物がレースウェイ内に流入して、炉芯内の温度が低下(炉熱変動)する。
また、高出銑比操業においても、同様に、レースウェイ深度が低下(縮小・縦長化)して、炉下部における融着帯の滞留時間が短縮し、その結果、未溶解物がレースウェイ内に流入して、炉芯内の温度が低下(炉熱変動)する。
このように、高炉操業においては、羽口先端に形成されるレースウェイの深度は、重要な操業要因である。
通常、大型高炉の操業においては、下記式で示す炉床有効」断面積比率EAHを、羽口中心レベルにおい高温域レースウェイ空間が占める面積を示す指標として用いる。
図2は、高炉の内容積と炉床有効断面積比率EAHの関係を示す。図2に示すように、レースウェイ深度DRを1.2〜1.5mとした場合のEAH(LOT=0.4m[従来値(0.4〜0.55m)]で下式から計算)は、高炉内容積が増加するに伴い縮小する。即ち、高炉を大型化(高炉内容積の増加)すると、羽口レベルでの炉芯の占有面積比率(1−EAH)が増大する。
EAH=[π・(HD/2)2−π・{HD/2−(DR+LOT)}2]/π・(HD/2)2
D:炉床径(m)、DR:レースウェイ深度(m)、LOT:羽口突出し長さ
高炉が大型化し、炉芯の占有面積比率が増大すると、炉下部での装入物降下領域の縮小、融着帯の滞留時間の短縮による伝熱の不足、溶解能力の低下を招き、炉芯における還元が不活性になる可能性がある。
炉芯が不活性化するのを防止するためには、炉下部での装入物の降下領域を拡大して、装入物の伝熱時間を確保すると同時に、低温度の炉芯領域をできるだけ小さくすることが必要であるが、図2から明らかなように、レースウェイ深度を大きくすると、EAHが増大するので、上記不活性化防止策の一つとして、羽口風速を上昇してレースウェイ深度を拡大することが考えられる。
そして、羽口風速を上昇してレースウェイ深度を拡大する試みが、各社の高炉にて行われている(非特許文献1、特許文献1及び2、参照)。
非特許文献1では、降下領域拡大の対策として、羽口風速を上げてレースウェイ深度を深くする試みが提案されている。しかし、羽口風速の増加は、レースウェイ内のコークスの粉化を促進し、レースウェイ近傍のコークス充填層に粉が堆積するので、炉下部の通気性が悪化し、逆に、装入物の降下領域が狭くなる可能性がある。
特許文献1では、レースウェイ深度が設定値以下となるように羽口風速を制御する方法が提案され、また、特許文献2では、レースウェイ深度が設定値以下となるように羽口径を制御する方法が提案されているが、いずれの方法も、装入物の降下領域が狭くなる可能性を抱えている。
それ故、羽口風速を上げる又は制御する方法を採用する場合、同時に、コークスの品質、特に、強度を高める必要があるが、コークスの強度向上は、溶銑コスト上昇の原因となるので、上記方法は、実際には実行し難い方法である。
また、コークス粉の発生を抑制するためコークス強度を高め、レースウェイ形状を大きくした場合、レースウェイ形状の不安定性が増大して、未溶融物がレースウェイに流入して、炉下部における炉熱が低下する可能性がある。
特開昭62−1808号公報 特開昭62−1809号公報 CAMP−ISIJ、12(1999)、632
本発明は、上記従来技術における課題に鑑み、レースウェイ形状を大きくせずに、炉下部における装入物の降下領域を拡大し、炉熱変動や各種操業指標の円周バランスの乱れをできるだけ抑制する高炉操業方法を提供することを課題とする。
炉下部における降下領域を規定し、結果的に炉床有効断面積比率に影響を及ぼす炉芯の立ち上がり起点は、レースウェイの位置で決まる。
本発明者は、この点に着目し、羽口突出し長さを大きくすれば、レースウェイ深度を大きくすることなく、ほぼ同じ形状を維持しつつ、レースウェイの位置、即ち、炉下部における装入物の降下領域を規定する炉芯の立ち上がり起点を炉中心側へ移行することができ、その結果、上記降下領域を拡大することができるとの発想に至った。
羽口突出し長さは、従来、高炉の炉床径の大小に拠らず約0.4mとするのが通常であるが、本発明者は、上記発想の下で、羽口を通常の約0.4mを超えて突き出し、鋭意研究した。
その結果、本発明者は、図3に示すように、羽口を通常の約0.4m(図中L)を超えて突出せば(図中L0)、レースウェイ深度を大きくすることなく、ほぼ同じ形状を維持しつつ、レースウェイの位置を炉中心側へ移行することができ(図中Ro、参照)、炉下部における装入物の降下領域を拡大するとともに、レースウェイ内への未溶融物の流入を抑制して、炉下部における炉熱変動を小さく抑制できることを見出した。
上記知見は、基本的には、全数の羽口に適用することを前提としているが、少なくとも全羽口数の70%を超える羽口に上記知見を適用できれば、全数の羽口に適用した場合とほぼ同じ効果を発現できる。そして、上記の羽口突出し条件下では、羽口直上に形成される停滞層の立ち上がり角度が小さくなるため、融着帯根部の脱落などが少なくなり、朝顔部での降下挙動が安定することを見出した。
また、本発明者は、上記知見に基づく羽口突き出しは、高炉の炉芯肥大に起因して発生する送風支管風量、出銑量、溶銑温度、溶銑品質、炉床側壁レンガ温度の円周方向アンバランスを解消する対策としても効果的であることを見出した。
さらに、本発明者は、羽口を所定長さ突き出す際、突出し対象羽口を含む扇形断面(中心角θ)の面積を、局部炉床有効断面積LEAHとして、下記式で定義し、該LEAHが所定の値以上になるように羽口の突出し長さを設定すれば、より炉熱変動を小さく制御できることを見いだした。
LEAH=EAH・θ/360
なお、以上の知見については、後で詳述する。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、その要旨は以下のとおりである。
(1)高炉操業方法において、レースウェイ深度DRを大きくせずに、レースウェイ形状を維持し、全羽口数の70%を越える羽口の突出し長さLOT(m)を、0.4mを超え、羽口の強度上可能な範囲内の長さで、かつ下記式で示す炉床有効断面積比率EAHが0.50以上0.95以下の値になるように設定し、レースウェイ位置を炉中心側へ移行させることを特徴とする炉熱変動の小さい高炉操業方法。
EAH=[π・(H D /2) 2 −π・{H D /2−(D R +L OT )} 2 ]/{π・(H D /2) 2
ここで、H D :炉床径(m)、D R :レースウェイ深度(m)、L OT :羽口突出し長さ
)送風支管風量が平均値の90%未満の羽口の数が全羽口数の25%を超えた後の高炉の休風日に、前記突出し長さLOT(m)設定することを特徴とする前記(1)に記載の炉熱変動の小さい高炉操業方法。
)出銑量の出銑口間の差異が500t以上となった後の高炉の休風日に、前記突出し長さLOT(m)設定することを特徴とする前記(1)に記載の炉熱変動の小さい高炉操業方法。
)溶銑温度の出銑口間の差異が50℃以上となった後の高炉の休風日に、前記突出し長さLOT(m)設定することを特徴とする前記(1)に記載の炉熱変動の小さい高炉操業方法。
(5)溶銑中Si値の出銑口間の差異が0.50質量% 以上となった後の高炉の休風日に、前記突出し長さLOT(m)を設定することを特徴とする前記(1)に記載の炉熱変動の小さい高炉操業方法。
)1箇所以上の炉床側壁レンガ温度が、炉床側壁レンガ温度の平均値の10%を超えて上昇した後の高炉の休風日にレースウェイ深度D R を大きくせずに、レースウェイ形状を維持し、該温度上昇部位羽口の突出し長さLOT(m)を、0.4mを超え、羽口の強度上可能な範囲内の長さで、かつ下記式で示す局部炉床有効断面積比率LEAHが0.50以上の値になるように設定し、レースウェイ位置を炉中心側へ移行させることを特徴とする炉熱変動の小さい高炉操業方法。
LEAH=[π・(HD/2)2−π・{HD/2−(DR+LOT)}2]/π・(HD/2)2 ・θ/360
ここで、HD:炉床径(m)、DR:レースウェイ深度(m)、θ:突出し対象羽口を含む扇形断面の中心角(deg)
本発明によれば、レースウェイ形状を大きくせずに、炉下部における装入物の降下領域を拡大し、炉熱変動を小さく抑制できるので、高炉の生産性を高めることができる。
また、炉芯肥大に起因して発生する送風支管風量、出銑量、溶銑温度、溶銑品質、炉床側壁レンガ温度の円周方向アンバランスを解消して、炉熱変動を小さく抑制することができるので、高炉の生産性を高めることができる。
さらに、本発明によれば、炉内において、融着帯根部の脱落などが少なくなり、朝顔部での降下挙動を安定化することができる。
前記発想の蓋然性を確認するため、本発明者は、まず、融点120℃の擬似鉱石とコークスを炉頂から装入し、左右2本の羽口から180℃の熱風を吹き込む二次元温間模型実験を行った。その結果を図4及び図5に示す。
図4は、タイムラインと炉下部温度分布に及ぼす羽口突出し長さLOT((1):25mm(実炉換算値225mm)、(2):45mm(実炉換算値405mm[従来値])、(3):65mm(実炉換算値585mm))の影響を示す。
なお、図4において、横軸は、炉中心(C)から炉壁(W)方向への距離(mm)を示し、縦軸は、羽口から炉頂方向への高さレベルを示す。また、図4の下段の図(b)は、100〜160℃までの10℃間隔の等温線を示す。
また、図5は、朝顔下端における「降下幅/炉床径」に及ぼす羽口突出し長さLOTの影響を示す。
図4(1)及び図5に示すように、羽口突出し長さLOTが25mm(実炉換算値225mm)と、通常の45mm(実炉換算値405mm)より短い場合には、朝顔部での装入物の降下領域が縮小し、レースウェイ直上の朝顔部において、コークスアーチの形成と崩壊の繰り返し現象が観察され、レースウェイ形状は縦長となり、装入物は炉壁近傍をスリップしながら降下した。
一方、図4(3)及び図5に示すように、羽口突出し長さLOTが65mm(実炉換算値585mm)と、通常の45mm(実炉換算値405mm)より長い場合には、朝顔部での装入物の降下領域が拡大し、レースウェイ直上での装入物の降下がスムースであった。
そして、図6に示すように、羽口突出し長さLOTの増大に伴い、炉内圧力損失(ΔP)が低下した。これは、羽口突出し長さLOTの増大に伴い、朝顔部の装入物の降下領域が拡大したためである。
羽口突出し長さLOTが45mm(実炉換算値405mm)の場合において、羽口突出し長さLOTを変更せず、羽口径を縮小して羽口風速を上昇させて、レースウェイ深度を拡大することにより、羽口突出し長さLOTが65mm(実炉換算値585mm)の場合と同じ降下幅を確保した場合(図5中×印、参照)、図6に示すように、炉内圧力損失(ΔP)が大幅に上昇して(図中×印、参照)、ガス流れが変動し、装入物のスリップ、ドロップが多発した。
即ち、羽口突出し長さLOTを従来値(約0.4m)以上に増大することにより、朝顔部において、炉内圧力損失(ΔP)を小さくして、装入物の降下領域を拡大することができる。
以上の実験結果から得られ、本発明の基礎をなす知見について、図3に基づいて説明する。
羽口突出し長さが通常の長さ(約0.4m)の場合(図中L)、レースウェイRが形成され、装入物の降下領域の降下幅はWである。この場合において、羽口風速を上昇させ、レースウェイ深度を拡大して、レースウェイR’を形成すると、炉芯立ち上がり起点が炉中心側へ移動するので、降下幅WはW0まで拡大するが、一方、レースウェイ内部でのコークスの粉化が増大し、炉下部における通気性が悪化する。
そして、炉下部における通気性が悪化すると、レースウェイ形状が不安定となり、未溶融物がレースウェイ内へ流入して、炉下部において炉熱が大きく変動する。
これに対し、羽口突出し長さが通常の長さ(約0.4m)を超える場合(図中L0)においては、羽口突出し長さが通常の長さ(約0.4m)で、羽口風速を上昇させない場合に形成されるレースウェイRと同じ形状のレースウェイR0が形成され、炉芯立ち上がり起点が炉中心側へ移動するので、装入物の降下領域の降下幅はWからW0まで拡大し、炉床有効断面積EAHは向上する。
図7に、レースウェイ深度を1.2mに維持し、羽口突出し長さを増大した場合における炉床有効断面積EAHと高炉の内容積(m3)との関係を示す。また、図8に、炉床有効断面積EAHと羽口突出し長さLOT(m)との関係を示す。
図7及び図8から、羽口の突出し長さを、通常の長さ(約0.4m)を超える長さに設定することにより、炉床有効断面積EAHを0.50以上に維持できることが解る。
この場合に、羽口風速を上昇させていないので、レースウェイ内部でのコークスの粉化は少なく、炉下部における通気性が良好に維持され、レースウェイの形状は安定に維持され、かつ、装入物の降下領域が拡大されているので、未溶融物がレースウェイ内へ流入せず、炉下部における炉熱が安定する。
さらに、観察結果によれば、羽口直上に形成される停滞層の立ち上がり角度が小さくなるため、融着帯根部の脱落などが少なくなり、朝顔部での降下挙動が安定し、炉下部における炉熱の安定化に寄与する。
本発明は、上記知見に基づいて、羽口突出し長さを、通常の長さ(約0.4m)を超える長さとすることを特徴とする。ただし、羽口の強度には限度があるので、羽口突出し長さは、羽口の強度上可能な範囲内の長さとする。
本発明においては、必ずしも、全部の羽口について、突出し長さを、通常の長さ(約0.4m)を超える長さとする必要はない。
例えば、操業中、送風支管風量が平均値の90%未満の羽口の数が全羽口数の25%を超えた場合、炉熱変動が大きくなるので、設備点検及び修理のための定期的な高炉休風日に、これら羽口の突出し長さLOT(m)を、上記式で示す炉床有効断面積比率EAHが0.50以上の値になるように設定してもよい。この設定により、以後の操業において、炉熱変動を抑制することができる。
また、高炉操業中の炉熱変動は、(a)出銑量の出銑口間の差異、(b)溶銑温度の出銑口間の差異、又は、(c)溶銑中Si値の出銑口間の差異となって現れるので、これら操業指標を追跡して、羽口の突出し長さを変更するタイミングを見いだし、羽口の突出し長さを、所定のLOT(m)に変更してもよい。
追跡指標として出銑量を用いる場合には、出銑口間の差異が500t以上となった時に、羽口の突出し長さLOT(m)を、上記式で示すEAHが0.50以上の値になるように設定することが好ましい。
追跡指標として溶銑温度を用いる場合には、出銑口間の差異が50℃以上となった時に、羽口の突出し長さLOT(m)を、上記式で示すEAHが0.50以上の値になるように設定することが好ましい。
追跡指標として溶銑中Si値を用いる場合には、出銑口間の差異が0.50質量%以上となった時に、羽口の突出し長さLOT(m)を、上記式で示すEAHが0.50以上の値になるように設定することが好ましい。
また、高炉操業中の炉熱変動は、直接、(d)炉床側壁レンガ温度の上昇となって現れるので、該温度を追跡することにより、羽口の突出し長さを変更するタイミングを見いだし、羽口の突出し長さを変更する。
この場合、1箇所以上の炉床側壁レンガ温度が、炉床側壁レンガ温度の平均値の10%を超えて上昇した時に、温度上昇部位近傍の羽口の突出し長さLOT(m)を、0.4mを超え、羽口の強度上可能な範囲内の長さに設定し、レースウェイ位置を炉中心側へ移行させる。この設定・移行により、円周方向における炉熱変動を解消する。
当然のことながら、前記レースウェイ位置の移行に際しては、レースウェイ深度を大きくせずに、レースウェイ形状を維持することが好ましい。
また、温度上昇部位近傍の羽口の突出し長さLOT(m)を変更する場合、下記式で示す局部炉床有効断面積比率LEAHが0.50以上の値になるように設定することが、炉熱変動をより小さく抑制できる点で好ましい。
LEAH=EAH・θ/360
ここで、θは、突出し対象羽口を含む扇形断面の中心角(deg)である。
このように、本発明においては、各種の操業指標の変化に基づいて、羽口の突き出し長さを、従来長さの約400mmを超える所定の長さに設定し直すことにより、炉下部における炉熱変動を極力抑制し、高炉の生産性を高めることができる。
次に、本発明の実施例について説明するが、実施例の条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
(実施例1)
本発明を実際の高炉操業に適用した実施例について、以下に説明する。本発明を用いて5775m3の高炉にて、突出し長さの大きい長尺羽口の使用を開始した。具体的には、高炉の定期休風時に、数本の羽口について、従来の突き出し長さ535mmの羽口を突き出し長さ635mmの長尺羽口に取り替え、数ヶ月の期間で、全ての羽口を長尺羽口に取り替えた。
長尺羽口への取り替え開始以降、炉下部の圧力損失、炉下部の還元負荷を示す指標であるソリューションロスカーボン量SLCが低下し始めた。長尺羽口への取り替え前後の主要な操業指標を、表1に示す。
全羽口を長尺羽口に取り替えることにより、炉下部の圧力損失、ソリューションロスカーボン量SLC、朝顔レンガ温度が低下し、還元指標であるηCO、ηH2が上昇した。
上記現象は、炉下部における降下領域の拡大による融着帯滞留時間の確保により、還元状態が改善され、かつ、降下挙動が安定化した結果であると推定される。
Figure 0004739920
(実施例2)
次に、高炉の炉芯肥大に起因して発生する送風支管風量、出銑量、溶銑温度、溶銑品質、炉床側壁レンガ温度等の円周方向アンバランスを解消する対策として、本発明を実施した。
5775m3の高炉の操業において、送風支管風量が平均値の90%未満の羽口の数が全羽口数の25%超となった。そこで、高炉の休風日に、EAHが0.50以上の値になるように、長尺羽口に交換して羽口の突出し長さLOT(m)を設定した。その結果、休風以降の操業において、送風支管風量が平均値の90%未満の羽口が皆無になった。
5775m3の高炉の操業において、出銑量の出銑口間の差異が500t以上となった。そこで、高炉の休風日に、EAHが0.50以上の値になるように、長尺羽口に交換して羽口の突出し長さLOT(m)を設定した。その結果、休風以降の操業において、出銑量の出銑口間の差異が200t未満になった。
5775m3の高炉の操業において、溶銑温度の出銑口間の差異が50℃以上となった。そこで、高炉の休風日に、EAHが0.50以上の値になるように、長尺羽口に交換して羽口の突出し長さLOT(m)を設定した。その結果、休風以降の操業において、溶銑温度の出銑口間の差異が20℃未満となった。
5775m3の高炉の操業において、溶銑中Si値の出銑口間の差異が0.50質量%以上となった。そこで、高炉の休風日に、EAHが0.50以上の値になるように、長尺羽口に交換して羽口の突出し長さLOT(m)を設定した。その結果、休風以降の操業において、溶銑中Si値の出銑口間の差異が0.20質量%未満となった。
5775m3の高炉の操業において、1箇所以上の炉床側壁レンガ温度が、炉床側壁レンガ温度の平均値の10%超に上昇した。そこで、高炉の休風日に、当該羽口を含む扇形のLEAHが0.50以上の値になるように、長尺羽口に交換して当該羽口の突出し長さLOT(m)を設定した。その結果、休風以降の操業において、急上昇した1箇所以上の炉床側壁レンガ温度の上昇幅は、炉床側壁レンガ温度の平均値の3%未満に低下した。
前述したように、本発明によれば、レースウェイ形状を大きくせずに、炉下部における装入物の降下領域を拡大し、炉熱変動を小さく抑制できるので、高炉の生産性を高めることができる。
また、炉芯肥大に起因して発生する送風支管風量、出銑量、溶銑温度、溶銑品質、炉床側壁レンガ温度の円周方向アンバランスを解消して、炉熱変動を小さく抑制できるので、高炉の生産性を高めることができる。
さらに、本発明によれば、炉内において、羽口直上に形成される停滞層の立ち上がり角度が小さくなるため、融着帯根部の脱落などが少なくなり、朝顔部での降下挙動が安定し、炉下部における炉熱が安定化する。したがって、本発明は、鉄鋼産業において利用可能性の高いものである。
従来のレースウェイの形状と深度の変化を示す図である。 レースウェイ深度を大きくした時の炉床有効」断面積比率EAH(従来値[0.4m]で計算)と高炉内容積の関係を示す図である。 本発明によるレースウェイの位置、形状及び深度を、従来との対比で示す図である。 二次元温間模型実験の結果(タイムラインと炉下部温度分布に及ぼす羽口突出し長さの影響)を示す図である。(1)は、羽口突出長さ25mm(実炉換算値225mm)の場合を示し、(2)は、羽口突出長さ45mm(実炉換算値405mm[従来値])の場合を示し、(3)は、羽口突出長さ65mm(実炉換算値585mm)の場合を示す。 二次元温間模型実験の結果(朝顔下端における「降下幅/炉床径」に及ぼす羽口突出し長さの影響)を示す図である。 二次元温間模型実験の結果(炉内圧力損失に及ぼす羽口突出し長さの影響)を示す図である。 レースウェイ深度を1.2mに維持し、羽口突出し長さを増大した場合における炉床有効断面積EAHと高炉の内容積(m3)との関係を示す図である。 炉床有効断面積EAHと羽口突出し長さLOT(m)との関係を示す図である。
符号の説明
L 通常の羽口
0 本発明の羽口
R、R’ レースウェイ
Ro 本発明によるレースウェイ

Claims (6)

  1. 高炉操業方法において、レースウェイ深度DRを大きくせずに、レースウェイ形状を維持し、全羽口数の70%を越える羽口の突出し長さLOT(m)を、0.4mを超え、羽口の強度上可能な範囲内の長さで、かつ下記式で示す炉床有効断面積比率EAHが0.50以上0.95以下の値になるように設定し、レースウェイ位置を炉中心側へ移行させることを特徴とする炉熱変動の小さい高炉操業方法。
    EAH=[π・(HD/2)2−π・{HD/2−(DR+LOT)}2]/π・(HD/2)2
    ここで、HD:炉床径(m)、DR:レースウェイ深度(m)、L OT :羽口突出し長さ
  2. 送風支管風量が平均値の90%未満の羽口の数が全羽口数の25%を超えた後の高炉の休風日に、前記突出し長さLOT(m)を設定することを特徴とする請求項1に記載の炉熱変動の小さい高炉操業方法。
  3. 出銑量の出銑口間の差異が500t以上となった後の高炉の休風日に、前記突出し長さLOT(m)に設定することを特徴とする請求項1に記載の炉熱変動の小さい高炉操業方法。
  4. 溶銑温度の出銑口間の差異が50℃以上となった後の高炉の休風日に、前記突出し長さLOT(m)を設定することを特徴とする請求項1に記載の炉熱変動の小さい高炉操業方法。
  5. 溶銑中Si値の出銑口間の差異が0.50質量%以上となった後の高炉の休風日に、前記突出し長さLOT(m)を設定することを特徴とする請求項1に記載の炉熱変動の小さい高炉操業方法。
  6. 1箇所以上の炉床側壁レンガ温度が、炉床側壁レンガ温度の平均値の10%を超えて上昇した後の高炉の休風日に、レースウェイ深度DRを大きくせずに、レースウェイ形状を維持し、該温度上昇部位の羽口の突出し長さLOT(m)を、0.4mを超え、羽口の強度上可能な範囲内の長さで、かつ下記式で示す局部炉床有効断面積比率LEAHが0.50以上の値になるように設定し、レースウェイ位置を炉中心側へ移行させることを特徴とする炉熱変動の小さい高炉操業方法。
    LEAH=[π・(HD/2)2−π・{HD/2−(DR+LOT)}2]/π・(HD/2)2 ・θ/360
    ここで、HD:炉床径(m)、DR:レースウェイ深度(m)、θ:突出し対象羽口を含む扇形断面の中心角(deg)
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