JP2004263258A - 高炉の操業方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】微粉炭を150kg/t−pig 以上吹き込んで行う高炉の操業方法を提供する。
【解決手段】高炉羽口から吹き込む微粉炭量を150kg/t−pig 以上とした高微粉炭吹き込み高炉操業において、下記(1)、(2)式を満足するように、コークスのドラム強度(DI150/15)、送風空気量(Nair)および送風空気中への酸素富化量(NO2)のうちの1種または2種以上を制御することを特徴とする高炉の操業方法。
Vbosh/S≦1.4×DI150/15−80…(1)
Vbosh=Nair×0.79+2×Nair×0.21+2×NO2…(2)
ただし、Vbosh:高炉ボッシュ部におけるガス量(Nm3 /分)、S:高炉炉腹断面積(m2 )、DI150/15:コークスのドラム強度、Nair:送風空気量(Nm3 /分)、NO2:送風空気中への酸素富化量(Nm3 /分)を示す。
【選択図】 図1
【解決手段】高炉羽口から吹き込む微粉炭量を150kg/t−pig 以上とした高微粉炭吹き込み高炉操業において、下記(1)、(2)式を満足するように、コークスのドラム強度(DI150/15)、送風空気量(Nair)および送風空気中への酸素富化量(NO2)のうちの1種または2種以上を制御することを特徴とする高炉の操業方法。
Vbosh/S≦1.4×DI150/15−80…(1)
Vbosh=Nair×0.79+2×Nair×0.21+2×NO2…(2)
ただし、Vbosh:高炉ボッシュ部におけるガス量(Nm3 /分)、S:高炉炉腹断面積(m2 )、DI150/15:コークスのドラム強度、Nair:送風空気量(Nm3 /分)、NO2:送風空気中への酸素富化量(Nm3 /分)を示す。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、微粉炭を150kg/t−pig 以上吹き込んで行う高炉の操業方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
高炉で使用されるコークスは、国内ではその殆どが室式コークス炉で製造されているが、この室式コークス炉は建設に莫大な設備費が必要となる。現存する室式コークス炉は稼働期間が30年を超えるものが多く、設備寿命の点で稼働を停止せざるを得ないものが増加しつつある。また、コークスの使用量を最低限に抑えて、生産負荷を低減することによりコークス炉の寿命を延長することが指向されている。従って、今後の高炉操業の最大の課題としては、コークスの使用比率(コークス比)、特に塊コークスの使用比率を低減する技術の確立が求められている。
【0003】
上述のコークス比を低減するための一つの方針として、高炉羽口から吹き込む微粉炭の量を増大させる、所謂「高微粉炭比高炉操業」の採用が考えられ、それによってコークス比の低減が可能であるも、一方で、この「高微粉炭比高炉操業」を採用した時には、高炉炉内に装入した鉄鉱石類とコークスとの炉内存在比(以下、O/C比という)が従来よりも大きくなって、鉄鉱石類の層がコークス層に比べて厚くなり、高炉上部(シャフト部)での通気性の悪化、および軟化融着帯(シャフト部の下部より下方に鉄鉱石類が軟化、或いは溶融して形成される帯状層)の肥大化による高炉下部での通気性の悪化などが引き起こされることが知られている。
【0004】
特に、溶銑トン当たり150kg以上の微粉炭を吹き込むような高微粉炭吹き込み高炉操業においては、O/Cの増加による装入物層内の空隙率の低下、溶銑トン当たりの装入物と炉内ガスの熱容量比(熱流比)の低下による炉内ガス温度の上昇、それに伴う炉内ガス流速の増加という現象が顕在化し、炉内での通気抵抗および圧損の増加を招くことが知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したような問題が生じた場合には、送風圧力の著しい上昇や炉内で装入物が安定して降下せずに高炉上部に吹き上げられる吹き抜け現象が引き起こされ、その結果、高炉の安定操業が大きく阻害され、操業弾力性が著しく低下する。
【0006】
従って、高微粉炭吹き込み高炉操業下での安定操業を実現するには、炉内通気性を良好に保つことが極めて重要な要素となる。
【0007】
本発明は、高微粉炭吹き込み高炉操業において通気性を良好に保ち、安定した操業を可能とする高炉の操業方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、その要旨は、高炉羽口から吹き込む微粉炭量を150kg/t−pig 以上とした高微粉炭吹き込み高炉操業において、下記(1)、(2)式を満足するように、コークスのドラム強度(DI150/15)、送風空気量(Nair)および送風空気中への酸素富化量(NO2)のうちの1種または2種以上を制御することを特徴とする高炉の操業方法、である。
【0009】
Vbosh/S≦1.4×DI150/15−80…(1)
Vbosh=Nair×0.79+2×Nair×0.21+2×NO2…(2)
ただし、Vbosh:高炉ボッシュ部におけるガス量(Nm3 /分)、S:高炉炉腹断面積(m2 )、DI150/15:コークスのドラム強度、Nair:送風空気量(Nm3/分)、NO2:送風空気中への酸素富化量(Nm3 /分)を示す。
【0010】
更に、本発明は、上記発明において、更に下記(3)式で表される通気抵抗指数(K)を2.9以下としたことを特徴とする高炉の操業方法、である。
【0011】
K=Pb 2 −Pt 2 /Vbosh 1.7 …(3)
ただし、K:通気抵抗指数(―)、Pb:送風絶対圧力(g/cm2 )、Pt:炉頂絶対圧力(g/cm2 )で、Vbosh:高炉ボッシュ部におけるガス量(Nm3 /分)を示す。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、高炉羽口から吹き込む微粉炭量を150kg/t−pig 以上とした高微粉炭吹き込み高炉操業において、安定操業を行なうために、高炉内の通気性指標である、通気抵抗指数(K)を極力低下させることができる、最適な送風管理方法の検討を実験的に行った。そして、そのためには、下記(1)に示される、高炉に装入するコークスのドラム強度(DI150/15[%])と、高炉炉腹断面積(S[m2])に対する高炉ボッシュ部におけるガス量(Vbosh[Nm3 /分])の比(Vbosh/S[Nm /分])との関係式を満足させるように制御することで上記目的を達成できることがわかった。
【0013】
Vbosh/S≦1.4×DI150/15−80…(1)
また、高炉ボッシュ部におけるガス量(Vbosh)は下記の(2)式で定義され、送風空気中のN2量(Nair×0.79)と、送風空気中のO2および送風空気中に富化されたO2と微粉炭との燃焼反応(O2+2C→2CO)により生成するCO量(2×Nair×0.21+2×NO2)との総和として表される。
【0014】
Vbosh=Nair×0.79+2×Nair×0.21+2×NO2…(2)
ここで、Nair:送風空気量(Nm3 /分)、NO2:送風空気中への酸素富化量(Nm3 /分)を示す。
【0015】
以上の知見を踏まえ、本発明では、高炉羽口から吹き込む微粉炭量を150kg/t−pig 以上とした高微粉炭吹き込み高炉操業において、通気抵抗指数(K)を低下させるために、上記(1)の条件式を満足するように、高炉に装入するコークスのドラム強度(DI150/15)、送風空気量(Nair)および送風空気中への酸素富化量(NO2)のうちの1種または2種以上を制御することを特徴とする。
【0016】
なお、通常、コークスの冷間強度は、ドラム強度と称され、ドラム試験装置(例えば、「製銑ハンドブック」1979年、地人書館、328頁参照)用いて、粒径50mm以上の塊コークスを装入して粉化挙動を調べることで評価される。
【0017】
本発明では、粒径50mm以上の塊コークスを羽根付きドラムで150回転させた後、全体に対する粒径15mm以上のコークスの質量割合(%)をドラム強度(DI150/15)と定義する。
【0018】
装入コークスの冷間強度(ドラム強度:DI150/15)により高炉炉内での粉コークスの発生量および粒径低下の程度は左右し、炉内の通気性は変化する。
【0019】
図1に高炉羽口から微粉炭を150kg/溶銑トン以上吹き込んで行った高炉の実操業のデータに基づく装入コークスのドラム強度(DI150/15)および高炉炉腹断面積に対する高炉ボッシュ部におけるガス量比(Vbosh/S)と、炉内通気抵抗指数(K)との関係の一例を示した。
【0020】
ここで、炉内通気抵抗指数(K)とは、炉内通気性の指標であり、送風絶対圧力(Pb[g/cm2 ])、炉頂絶対圧力(Pt[g/cm2 ])、Vbosh[Nm3 /分])から以下の(3)式で求められる指数である。このK値が小さいほど炉内通気抵抗が低く高炉内の通気性は良好となり、安定的な操業が可能となる。
【0021】
K=Pb 2 −Pt 2 /Vbosh 1.7 …(3)
図1から分かるように、上記(1)の条件式を満たす範囲(Vbosh/S≦1.4×DI150/15−80))内で、炉内通気抵抗指数(K)は2.9以下となり、高炉内の通気性を良好に維持し安定操業が可能となる。一方、上記(1)の条件式を外れる範囲(Vbosh/S>1.4×DI150/15−80))では炉内通気抵抗指数(K)は2.9を超え、通気性が悪化し高炉の安定操業ができなくなる。
【0022】
高炉羽口から吹き込む微粉炭の吹き込み量を増大させた場合には、一般に次のような要因により高炉内での通気抵抗が増大する傾向があり、高炉安定操業が困難となる。
【0023】
1)通常操業時のコークスに対する微粉炭の置換率は1以下であるが、高炉羽口から吹き込む微粉炭の吹き込み量を増加させると上記置換率は上昇し、これに伴い一定の銑鉄を生産するために燃焼する微粉炭の割合が大きくなり、炉内ガス流量が増大する結果、炉内通気抵抗が増大することになる。
【0024】
2)微粉炭を吹き込む場合、通常燃料原単位を維持するために、炉頂から装入するコークス量を減少させるが、この場合、炉内鉄鉱石類とコークスの炉内存在比(O/C)が従来のそれよりも大きくなって、コークスに比べて相対的に粒径の小さい鉄鉱石類の層がコークスの層に比べ厚くなり、特に高炉上部(シャフト部)で通気性が悪化する。さらに、軟化融着帯の肥大化により炉下部での通気性の悪化等が引き起こされる。
【0025】
3)微粉炭の吹き込み量を増大させると、微粉炭の濃度が上がるためそれを燃焼させるための酸素と微粉炭との接触効率が低下して微粉炭の燃焼効率が低下する。このため、炉内で未燃炭(未燃チャー)が発生し、これとCO2ガスとの反応である、ソリューションロス反応(C+CO2→2CO)によって炉内のCO2ガスが消費される。その結果、炉内の装入コークスの粉化により生じたコークス粉の消費が阻害されるため、特に炉芯部にコークス粉が滞留・蓄積され、炉内通気抵抗が増大する。
【0026】
上記のような要因により炉内通気性が悪化した場合、本発明の実施形態として、上記(1)式におけるコークスのドラム強度(DI150/15)一定条件の下で、送風空気量(Nair)および/または送風空気中への酸素富化量(NO2)を低下させることにより、高炉ボッシュ部におけるガス量(Vbosh)を低下させる方法が採用できる。
【0027】
この方法では、高炉ボッシュ部におけるガス量(Vbosh)の低下により炉内通気性が改善させる効果は得られるものの、高炉内の還元材(コークス+微粉炭)比率が一定の高炉操業において溶銑生産量は時間当たりの酸素の供給量により決まるため、送風空気量(Nair)および/または送風空気中への酸素富化量(NO2)の低下により、溶銑生産量も低下することとなる。
【0028】
上記問題を解決する、つまり、高炉内の還元材(コークス+微粉炭)比率および溶銑生産量を一定に維持しつつ炉内通気性を改善する方法としては、送風空気量(Nair)を低減し、かつ送風空気中への酸素富化量(NO2)を増加させることにより酸素富化率(RO2)(RO2=NO2/(Nair×0.21+NO2))を増加させることにより、高炉ボッシュ部におけるガス量(Vbosh)を低下させる方法が採用できる。
【0029】
酸素富化率(RO2)(RO2=NO2/(Nair×0.21+NO2))の増加により、羽口から炉内に吹き込まれる微粉炭の燃焼効率が改善されてその未燃炭量が減少し、そのソリューションロス反応による炉内CO2 ガスの消費は低減しうる。この結果、炉内の装入コークスの粉化で発生したコークス粉はソリューションロス反応によって消費され易くなり、炉芯部でのコークス粉の滞留・蓄積量が減少し、よって、炉内通気抵抗が低下する。
【0030】
また、本発明の他の実施形態として、高炉炉腹断面積に対する高炉ボッシュ部におけるガス量比(Vbosh/S)を一定の下で、炉内装入コークスのドラム強度(DI150/15)を上げることにより、装入コークスから発生するコークス粉は低減し、そのコークス粉の炉芯部での滞留・蓄積量が減少し、炉内通気性は改善される。また、炉芯部での滞留・蓄積量の減少により、炉内における微粉炭の燃焼効率が改善されるために、微粉炭によるコークスの置換率が向上し、上述した還元材(コークス+微粉炭)比を低減でき、さらに、送風原単位が低減するため炉内ガス流量が減少し、炉内通気抵抗が低下することになる。
【0031】
本発明の適用により、高微粉炭吹き込み高炉操業において炉内通気性を低下させることが可能となるが、高微粉炭吹き込み高炉操業をより安定して行なうためには、炉内通気性の指標である、炉内通気抵抗指数(K)を2.9以下とすることがより好ましい。
【0032】
【実施例】
本発明による高炉用装入原料について、内容積:3273m3 、炉腹径:14mの実機高炉で、微粉炭吹き込み量を150kg/t−pig 以上として使用試験を実施した。この試験の結果を表1に示した。表1から分かるように、炉内に装入されるコークスの冷間強度(DI150/15)が84.2〜86.9%と高い場合であっても、Vbosh/S値が高めにある場合(比較例1〜3)には微粉炭吹き込み量を増大させると、通気抵抗指数(K)は、ほぼ2.9を上回り、出銑量は向上せず、しかもスリップ回数も頻発するという結果が得られた。一方、コークスの冷間強度(DI150/15)が84.5〜87.0%と高く、Vbosh/S値が低めに抑えた場合(本発明例1〜3)には、微粉炭吹き込み量を増大させても、炉内通気抵抗指数(K)が全体的に低下し、2.9以下という好ましい値に抑えることができ、更に、出銑量が約10%増加し、スリップ回転が激減するという結果が得られ、安定した安定操業が可能となった。
【0033】
【表1】
【0034】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば高炉内に微粉炭を150kg/t−pig 以上吹き込んで行う高微粉炭吹き込み高炉操業において、炉内通気抵抗を効果的に低減させ、還元材比の低減も可能となり、安定した高炉操業を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】装入コークスのドラム強度(DI150/15)および高炉炉腹断面積に対する高炉ボッシュ部におけるガス量(Vbosh/S)比と、通気抵抗指数(K)との関係を示す図。
【発明の属する技術分野】
本発明は、微粉炭を150kg/t−pig 以上吹き込んで行う高炉の操業方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
高炉で使用されるコークスは、国内ではその殆どが室式コークス炉で製造されているが、この室式コークス炉は建設に莫大な設備費が必要となる。現存する室式コークス炉は稼働期間が30年を超えるものが多く、設備寿命の点で稼働を停止せざるを得ないものが増加しつつある。また、コークスの使用量を最低限に抑えて、生産負荷を低減することによりコークス炉の寿命を延長することが指向されている。従って、今後の高炉操業の最大の課題としては、コークスの使用比率(コークス比)、特に塊コークスの使用比率を低減する技術の確立が求められている。
【0003】
上述のコークス比を低減するための一つの方針として、高炉羽口から吹き込む微粉炭の量を増大させる、所謂「高微粉炭比高炉操業」の採用が考えられ、それによってコークス比の低減が可能であるも、一方で、この「高微粉炭比高炉操業」を採用した時には、高炉炉内に装入した鉄鉱石類とコークスとの炉内存在比(以下、O/C比という)が従来よりも大きくなって、鉄鉱石類の層がコークス層に比べて厚くなり、高炉上部(シャフト部)での通気性の悪化、および軟化融着帯(シャフト部の下部より下方に鉄鉱石類が軟化、或いは溶融して形成される帯状層)の肥大化による高炉下部での通気性の悪化などが引き起こされることが知られている。
【0004】
特に、溶銑トン当たり150kg以上の微粉炭を吹き込むような高微粉炭吹き込み高炉操業においては、O/Cの増加による装入物層内の空隙率の低下、溶銑トン当たりの装入物と炉内ガスの熱容量比(熱流比)の低下による炉内ガス温度の上昇、それに伴う炉内ガス流速の増加という現象が顕在化し、炉内での通気抵抗および圧損の増加を招くことが知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したような問題が生じた場合には、送風圧力の著しい上昇や炉内で装入物が安定して降下せずに高炉上部に吹き上げられる吹き抜け現象が引き起こされ、その結果、高炉の安定操業が大きく阻害され、操業弾力性が著しく低下する。
【0006】
従って、高微粉炭吹き込み高炉操業下での安定操業を実現するには、炉内通気性を良好に保つことが極めて重要な要素となる。
【0007】
本発明は、高微粉炭吹き込み高炉操業において通気性を良好に保ち、安定した操業を可能とする高炉の操業方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、その要旨は、高炉羽口から吹き込む微粉炭量を150kg/t−pig 以上とした高微粉炭吹き込み高炉操業において、下記(1)、(2)式を満足するように、コークスのドラム強度(DI150/15)、送風空気量(Nair)および送風空気中への酸素富化量(NO2)のうちの1種または2種以上を制御することを特徴とする高炉の操業方法、である。
【0009】
Vbosh/S≦1.4×DI150/15−80…(1)
Vbosh=Nair×0.79+2×Nair×0.21+2×NO2…(2)
ただし、Vbosh:高炉ボッシュ部におけるガス量(Nm3 /分)、S:高炉炉腹断面積(m2 )、DI150/15:コークスのドラム強度、Nair:送風空気量(Nm3/分)、NO2:送風空気中への酸素富化量(Nm3 /分)を示す。
【0010】
更に、本発明は、上記発明において、更に下記(3)式で表される通気抵抗指数(K)を2.9以下としたことを特徴とする高炉の操業方法、である。
【0011】
K=Pb 2 −Pt 2 /Vbosh 1.7 …(3)
ただし、K:通気抵抗指数(―)、Pb:送風絶対圧力(g/cm2 )、Pt:炉頂絶対圧力(g/cm2 )で、Vbosh:高炉ボッシュ部におけるガス量(Nm3 /分)を示す。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、高炉羽口から吹き込む微粉炭量を150kg/t−pig 以上とした高微粉炭吹き込み高炉操業において、安定操業を行なうために、高炉内の通気性指標である、通気抵抗指数(K)を極力低下させることができる、最適な送風管理方法の検討を実験的に行った。そして、そのためには、下記(1)に示される、高炉に装入するコークスのドラム強度(DI150/15[%])と、高炉炉腹断面積(S[m2])に対する高炉ボッシュ部におけるガス量(Vbosh[Nm3 /分])の比(Vbosh/S[Nm /分])との関係式を満足させるように制御することで上記目的を達成できることがわかった。
【0013】
Vbosh/S≦1.4×DI150/15−80…(1)
また、高炉ボッシュ部におけるガス量(Vbosh)は下記の(2)式で定義され、送風空気中のN2量(Nair×0.79)と、送風空気中のO2および送風空気中に富化されたO2と微粉炭との燃焼反応(O2+2C→2CO)により生成するCO量(2×Nair×0.21+2×NO2)との総和として表される。
【0014】
Vbosh=Nair×0.79+2×Nair×0.21+2×NO2…(2)
ここで、Nair:送風空気量(Nm3 /分)、NO2:送風空気中への酸素富化量(Nm3 /分)を示す。
【0015】
以上の知見を踏まえ、本発明では、高炉羽口から吹き込む微粉炭量を150kg/t−pig 以上とした高微粉炭吹き込み高炉操業において、通気抵抗指数(K)を低下させるために、上記(1)の条件式を満足するように、高炉に装入するコークスのドラム強度(DI150/15)、送風空気量(Nair)および送風空気中への酸素富化量(NO2)のうちの1種または2種以上を制御することを特徴とする。
【0016】
なお、通常、コークスの冷間強度は、ドラム強度と称され、ドラム試験装置(例えば、「製銑ハンドブック」1979年、地人書館、328頁参照)用いて、粒径50mm以上の塊コークスを装入して粉化挙動を調べることで評価される。
【0017】
本発明では、粒径50mm以上の塊コークスを羽根付きドラムで150回転させた後、全体に対する粒径15mm以上のコークスの質量割合(%)をドラム強度(DI150/15)と定義する。
【0018】
装入コークスの冷間強度(ドラム強度:DI150/15)により高炉炉内での粉コークスの発生量および粒径低下の程度は左右し、炉内の通気性は変化する。
【0019】
図1に高炉羽口から微粉炭を150kg/溶銑トン以上吹き込んで行った高炉の実操業のデータに基づく装入コークスのドラム強度(DI150/15)および高炉炉腹断面積に対する高炉ボッシュ部におけるガス量比(Vbosh/S)と、炉内通気抵抗指数(K)との関係の一例を示した。
【0020】
ここで、炉内通気抵抗指数(K)とは、炉内通気性の指標であり、送風絶対圧力(Pb[g/cm2 ])、炉頂絶対圧力(Pt[g/cm2 ])、Vbosh[Nm3 /分])から以下の(3)式で求められる指数である。このK値が小さいほど炉内通気抵抗が低く高炉内の通気性は良好となり、安定的な操業が可能となる。
【0021】
K=Pb 2 −Pt 2 /Vbosh 1.7 …(3)
図1から分かるように、上記(1)の条件式を満たす範囲(Vbosh/S≦1.4×DI150/15−80))内で、炉内通気抵抗指数(K)は2.9以下となり、高炉内の通気性を良好に維持し安定操業が可能となる。一方、上記(1)の条件式を外れる範囲(Vbosh/S>1.4×DI150/15−80))では炉内通気抵抗指数(K)は2.9を超え、通気性が悪化し高炉の安定操業ができなくなる。
【0022】
高炉羽口から吹き込む微粉炭の吹き込み量を増大させた場合には、一般に次のような要因により高炉内での通気抵抗が増大する傾向があり、高炉安定操業が困難となる。
【0023】
1)通常操業時のコークスに対する微粉炭の置換率は1以下であるが、高炉羽口から吹き込む微粉炭の吹き込み量を増加させると上記置換率は上昇し、これに伴い一定の銑鉄を生産するために燃焼する微粉炭の割合が大きくなり、炉内ガス流量が増大する結果、炉内通気抵抗が増大することになる。
【0024】
2)微粉炭を吹き込む場合、通常燃料原単位を維持するために、炉頂から装入するコークス量を減少させるが、この場合、炉内鉄鉱石類とコークスの炉内存在比(O/C)が従来のそれよりも大きくなって、コークスに比べて相対的に粒径の小さい鉄鉱石類の層がコークスの層に比べ厚くなり、特に高炉上部(シャフト部)で通気性が悪化する。さらに、軟化融着帯の肥大化により炉下部での通気性の悪化等が引き起こされる。
【0025】
3)微粉炭の吹き込み量を増大させると、微粉炭の濃度が上がるためそれを燃焼させるための酸素と微粉炭との接触効率が低下して微粉炭の燃焼効率が低下する。このため、炉内で未燃炭(未燃チャー)が発生し、これとCO2ガスとの反応である、ソリューションロス反応(C+CO2→2CO)によって炉内のCO2ガスが消費される。その結果、炉内の装入コークスの粉化により生じたコークス粉の消費が阻害されるため、特に炉芯部にコークス粉が滞留・蓄積され、炉内通気抵抗が増大する。
【0026】
上記のような要因により炉内通気性が悪化した場合、本発明の実施形態として、上記(1)式におけるコークスのドラム強度(DI150/15)一定条件の下で、送風空気量(Nair)および/または送風空気中への酸素富化量(NO2)を低下させることにより、高炉ボッシュ部におけるガス量(Vbosh)を低下させる方法が採用できる。
【0027】
この方法では、高炉ボッシュ部におけるガス量(Vbosh)の低下により炉内通気性が改善させる効果は得られるものの、高炉内の還元材(コークス+微粉炭)比率が一定の高炉操業において溶銑生産量は時間当たりの酸素の供給量により決まるため、送風空気量(Nair)および/または送風空気中への酸素富化量(NO2)の低下により、溶銑生産量も低下することとなる。
【0028】
上記問題を解決する、つまり、高炉内の還元材(コークス+微粉炭)比率および溶銑生産量を一定に維持しつつ炉内通気性を改善する方法としては、送風空気量(Nair)を低減し、かつ送風空気中への酸素富化量(NO2)を増加させることにより酸素富化率(RO2)(RO2=NO2/(Nair×0.21+NO2))を増加させることにより、高炉ボッシュ部におけるガス量(Vbosh)を低下させる方法が採用できる。
【0029】
酸素富化率(RO2)(RO2=NO2/(Nair×0.21+NO2))の増加により、羽口から炉内に吹き込まれる微粉炭の燃焼効率が改善されてその未燃炭量が減少し、そのソリューションロス反応による炉内CO2 ガスの消費は低減しうる。この結果、炉内の装入コークスの粉化で発生したコークス粉はソリューションロス反応によって消費され易くなり、炉芯部でのコークス粉の滞留・蓄積量が減少し、よって、炉内通気抵抗が低下する。
【0030】
また、本発明の他の実施形態として、高炉炉腹断面積に対する高炉ボッシュ部におけるガス量比(Vbosh/S)を一定の下で、炉内装入コークスのドラム強度(DI150/15)を上げることにより、装入コークスから発生するコークス粉は低減し、そのコークス粉の炉芯部での滞留・蓄積量が減少し、炉内通気性は改善される。また、炉芯部での滞留・蓄積量の減少により、炉内における微粉炭の燃焼効率が改善されるために、微粉炭によるコークスの置換率が向上し、上述した還元材(コークス+微粉炭)比を低減でき、さらに、送風原単位が低減するため炉内ガス流量が減少し、炉内通気抵抗が低下することになる。
【0031】
本発明の適用により、高微粉炭吹き込み高炉操業において炉内通気性を低下させることが可能となるが、高微粉炭吹き込み高炉操業をより安定して行なうためには、炉内通気性の指標である、炉内通気抵抗指数(K)を2.9以下とすることがより好ましい。
【0032】
【実施例】
本発明による高炉用装入原料について、内容積:3273m3 、炉腹径:14mの実機高炉で、微粉炭吹き込み量を150kg/t−pig 以上として使用試験を実施した。この試験の結果を表1に示した。表1から分かるように、炉内に装入されるコークスの冷間強度(DI150/15)が84.2〜86.9%と高い場合であっても、Vbosh/S値が高めにある場合(比較例1〜3)には微粉炭吹き込み量を増大させると、通気抵抗指数(K)は、ほぼ2.9を上回り、出銑量は向上せず、しかもスリップ回数も頻発するという結果が得られた。一方、コークスの冷間強度(DI150/15)が84.5〜87.0%と高く、Vbosh/S値が低めに抑えた場合(本発明例1〜3)には、微粉炭吹き込み量を増大させても、炉内通気抵抗指数(K)が全体的に低下し、2.9以下という好ましい値に抑えることができ、更に、出銑量が約10%増加し、スリップ回転が激減するという結果が得られ、安定した安定操業が可能となった。
【0033】
【表1】
【0034】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば高炉内に微粉炭を150kg/t−pig 以上吹き込んで行う高微粉炭吹き込み高炉操業において、炉内通気抵抗を効果的に低減させ、還元材比の低減も可能となり、安定した高炉操業を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】装入コークスのドラム強度(DI150/15)および高炉炉腹断面積に対する高炉ボッシュ部におけるガス量(Vbosh/S)比と、通気抵抗指数(K)との関係を示す図。
Claims (2)
- 高炉羽口から吹き込む微粉炭量を150kg/t−pig 以上とした高微粉炭吹き込み高炉操業において、下記(1)、(2)式を満足するように、コークスのドラム強度(DI150/15)、送風空気量(Nair)および送風空気中への酸素富化量(NO2)のうちの1種または2種以上を制御することを特徴とする高炉の操業方法。
Vbosh/S≦1.4×DI150/15−80…(1)
Vbosh=Nair×0.79+2×Nair×0.21+2×NO2…(2)
ただし、Vbosh:高炉ボッシュ部におけるガス量(Nm3 /分)、S:高炉炉腹断面積(m2 )、DI150/15:コークスのドラム強度、Nair:送風空気量(Nm3 /分)、NO2:送風空気中への酸素富化量(Nm3 /分)を示す。 - 請求項1において、下記(3)式で表される炉内通気抵抗指数(K)を2.9以下としたことを特徴とする高炉の操業方法。
K=Pb 2 −Pt 2 /Vbosh 1.7 …(3)
ただし、K:通気抵抗指数(―)、Pb:送風絶対圧力(g/cm2 )、Pt:炉頂絶対圧力(g/cm2 )で、Vbosh:高炉ボッシュ部におけるガス量(Nm3 /分)を示す。
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