JP6115395B2 - 有機エレクトロルミネッセンス素子、有機エレクトロルミネッセンス素子用金属錯体、並びに表示装置及び照明装置 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子、有機エレクトロルミネッセンス素子用金属錯体、並びに表示装置及び照明装置 Download PDF

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本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子、有機エレクトロルミネッセンス素子用金属錯体、並びに表示装置及び照明装置に関する。より詳しくは、発光効率を向上させ、初期駆動電圧を低減させるとともに、経時による発光特性の変化が少ない安定性の優れた有機エレクトロルミネッセンス素子、有機エレクトロルミネッセンス素子用金属錯体、並びに表示装置及び照明装置に関する。
有機材料のエレクトロルミネッセンス(electroluminescence:EL)を利用した有機EL素子(有機電界発光素子ともいう。)は、平面発光を可能とする新しい発光システムとして、既に実用化されている技術である。有機EL素子は、電子ディスプレイはもとより、最近では照明機器にも適用され、その発展が期待されている。
有機EL素子の発光方式としては、三重項励起状態から基底状態に戻る際に光を発する「リン光発光」と、一重項励起状態から基底状態に戻る際に光を発する「蛍光発光」との2通りがある。
有機EL素子に電界をかけると、陽極と陰極とからそれぞれ正孔と電子とが注入され、発光層において再結合し励起子を生じる。このとき、一重項励起子と三重項励起子とが25%:75%の割合で生成するため、三重項励起子を利用するリン光発光が、蛍光発光に比べ、理論的に高い内部量子効率が得られることが知られている。
しかしながら、リン光発光方式において、実際に高い量子効率を得るためには、中心金属にイリジウムや白金等の希少金属を用いた錯体を用いる必要があり、将来的に希少金属の埋蔵量や金属自体の値段が産業上大きな問題となることが懸念される。
一方で、蛍光発光方式においても、発光効率を向上させるために様々な開発がなされており、近年新しい動きが出てきた。
例えば、特許文献1には、二つの三重項励起子の衝突により一重項励起子が生成する現象(以下、Triplet−Triplet Annihilation:「TTA」と呼ぶ。また、Triplet−Triplet Fusion:「TTF」と呼ぶ場合もある。)に着目し、TTAを効率的に起こして蛍光発光素子の高効率化を図る技術が開示されている。この技術により、蛍光発光性材料の電力効率は、従来の蛍光発光性材料の2〜3倍まで向上しているが、TTAにおける理論的な一重項励起子生成効率は40%程度にとどまるため、依然としてリン光発光方式に比べ高発光効率化の問題を有している。
さらに近年では、安達らにより、熱活性化型遅延蛍光(「熱励起型遅延蛍光」ともいう。以下、Thermally Activated Delayed Fluorescence:以下、適宜TADFと略記する。)機構を利用した蛍光発光性化合物と、当該蛍光発光性化合物の有機EL素子への利用の可能性が報告されている(例えば、非特許文献1〜6及び特許文献2参照。)。
TADF機構は、図1に示すように、通常の蛍光発光性化合物に比べ、一重項励起エネルギー準位と三重項励起エネルギー準位との差(ΔEst)が小さい化合物(ΔEst(TADF)<ΔEst(F))を用いた場合に、三重項励起子から一重項励起子への逆項間交差が生じる現象を利用した発光機構である。すなわち、ΔEstが小さいことによって、電界励起により75%の確率で発生する三重項励起子が、本来なら発光に寄与できないところ、有機EL素子駆動時の熱エネルギー等により一重項励起状態に遷移し、その状態から基底状態へ輻射失活(「輻射遷移」又は「放射失活」ともいう。)し、蛍光発光を起こすものである。このTADF機構による遅延蛍光を利用すれば、蛍光発光においても、理論的には100%の内部量子効率が可能となると考えられている。
しかしながら、有機EL素子へのTADF機構の利用は、TADFを示す発光材料に由来する問題や、有機EL素子としての実用上の問題が多く残されており、いまだ実用化には遠い状況である。
国際公開第2012/133188号 特開2011−213643号公報
H.Uoyama et al.,Nature,2012,492,234−238 S.Y.Lee et al.,Applied Physics Letters,2012,101,093306−093309 Q.Zhang et al.,J.Am.Chem.Soc.,2012,134,14706−14709 T.Nakagawa et al.,Chem.Commun.,2012,48,9580−9582 A.Endo et al.,Adv.Mater.,2009,21,4802−4806 有機EL討論会 第10回例会予稿集,p11−12,2010
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、イリジウムや白金等の希少金属を用いることなく、発光効率を向上させ、初期駆動電圧を低減させるとともに、経時による発光特性の変化が少ない安定性の優れた有機エレクトロルミネッセンス素子、有機エレクトロルミネッセンス素子用金属錯体、並びに表示装置及び照明装置を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討した結果、特定の電子密度分布を示す金属錯体が、配位子単独で用いた場合よりも遅延蛍光発光を有効に活用でき、かつ有機EL素子の諸特性を向上させることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.基板上に、対となる電極と、金属錯体を含有する発光層を含む、少なくとも1層の有機機能層とを有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
前記金属錯体及び前記金属錯体の配位子それぞれについて、汎関数としてB3LYP及び基底関数として6−31G(d)又はSDDを用いた分子軌道計算によって構造最適化した際に得られるHOMOとLUMOとの電子密度分布が、いずれも実質的に分離しており、かつ、
前記金属錯体の中心金属が、亜鉛又は2族元素であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
2.前記金属錯体の配位子が、電子吸引性基と電子供与性基とを有することを特徴とする第1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
3.前記金属錯体が、下記一般式(1)で表される部分構造を有する化合物であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
Figure 0006115395
(一般式(1)中、EWGは電子吸引性基を表し、EDGは電子供与性基を表す。Arは、直接結合又は連結基を表す。Yは、炭素原子又は窒素原子を表す。Z及びZは、それぞれ独立に、芳香環又は非芳香族環を表す。Mは、亜鉛又は2族元素を表す。m及びnは、それぞれ独立に、1〜6の整数を表す。pは、0又は1を表す。)
4.前記金属錯体が、下記一般式(2)で表される部分構造を有する化合物であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
Figure 0006115395
(一般式(2)中、EWGは電子吸引性基を表し、EDGは電子供与性基を表す。Arは、直接結合又は連結基を表す。Yは、炭素原子又は窒素原子を表す。Z及びZは、それぞれ独立に、芳香環又は非芳香族環を表す。Mは、亜鉛又は2族元素を表す。m及びnは、それぞれ独立に、1〜6の整数を表す。pは、0又は1を表す。)
5.前記金属錯体が、下記一般式(3)で表される部分構造を有する化合物であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
Figure 0006115395
(一般式(3)中、EWGは電子吸引性基を表し、EDGは電子供与性基を表す。Arは、直接結合又は連結基を表す。Yは、炭素原子又は窒素原子を表す。Z及びZは、それぞれ独立に、芳香環又は非芳香族環を表す。Mは、亜鉛又は2族元素を表す。m及びnは、それぞれ独立に、1〜6の整数を表す。pは、0又は1を表す。)
6.前記金属錯体が、下記一般式(4)で表される部分構造を有する化合物であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
Figure 0006115395
(一般式(4)中、EWGは電子吸引性基を表し、EDGは電子供与性基を表す。Arは、直接結合又は連結基を表す。Yは、炭素原子又は窒素原子を表す。Z及びZは、それぞれ独立に、芳香環又は非芳香族環を表す。Mは、亜鉛又は2族元素を表す。m及びnは、それぞれ独立に、1〜6の整数を表す。pは、0又は1を表す。)
7.前記中心金属が、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム又はバリウムのいずれかであることを特徴とする第1項から第6項までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
8.前記金属錯体における最低励起一重項状態と最低三重項励起状態とのエネルギー差ΔEstが、配位子単独における最低励起一重項状態と最低三重項励起状態とのエネルギー差ΔEst以下であることを特徴とする第1項から第7項までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
9.有機エレクトロルミネッセンス素子に用いられる有機エレクトロルミネッセンス素子用金属錯体であって、
前記金属錯体及び前記金属錯体の配位子それぞれについて、汎関数としてB3LYP及び基底関数として6−31G(d)又はSDDを用いた分子軌道計算によって構造最適化した際に得られるHOMOとLUMOとの電子密度分布が、いずれも実質的に分離しており、
前記金属錯体の中心金属が、亜鉛又は2族元素であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子用金属錯体。
10.第1項から第8項までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えたことを特徴とする表示装置。
11.第1項から第8項までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えたことを特徴とする照明装置。
本発明の上記手段により、イリジウムや白金等の希少金属を用いることなく、発光効率を向上させ、初期駆動電圧を低減させるとともに、経時による発光特性の変化が少ない安定性の優れた有機エレクトロルミネッセンス素子、有機エレクトロルミネッセンス素子用金属錯体、並びに表示装置及び照明装置を提供することができる。
さらに、本発明では、イリジウムや白金といった希少金属を用いる必要がないため、将来的に希少金属の埋蔵量が枯渇した場合や金属自体の値段といった産業上大きな問題も回避することができるため、安価な有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することができる。
本発明の効果の発現機構・作用機構については明確になっていないが、以下のように推察している。
錯体を形成することにより、構造が剛直化し、励起状態での構造変化もある程度抑えられるため、金属錯体での最高被占軌道(Highest Occupied Molecular Orbital:HOMO)と最低空軌道(Lowest Unoccupied Molecular Orbital:LUMO)との分離が損なわれないものと考えられる。そのため、金属錯体におけるΔEstは、配位子が単独で存在する場合のΔEstよりも小さくなり、実質的なHOMOとLUMOとの分離度が錯体の方がよくなっている。
また、中心金属にd10系の亜鉛、又は2族元素を用いることで、励起状態における金属のd電子の遷移に伴う配位子場の変化に由来する構造変化も抑えられる。すなわち、錯体を形成した方がΔEstは小さくなり、HOMOとLUMOとの分離度もよくなる。
また、錯体を形成することによって、かさ高い構造になるため、ホスト化合物中にあっても、錯体間や錯体−ホスト化合物間のスタックが抑制され、素子劣化につながるエキサイマーを抑制し、発光効率等の向上にもつながると考えられる。
蛍光発光性化合物及びTADF化合物のエネルギーダイヤグラムを示す模式図 本発明の有機EL素子から構成される表示装置の一例を示す模式図 アクティブマトリクス方式による表示装置の模式図 画素の回路を示す概略図 パッシブマトリクス方式による表示装置の模式図 照明装置の概略図 照明装置の断面図 電子輸送層の層厚違いのM−plotの一例を示すグラフ 層厚と抵抗値との関係の一例を示すグラフ 有機EL素子の等価回路モデルの一例を示す模式図 各層の抵抗−電圧の関係における解析結果の一例を示すグラフ 劣化後の解析結果の一例を示すグラフ
本発明の有機EL素子は、基板上に、対となる電極と、金属錯体を含有する発光層を含む、少なくとも1層の有機機能層とを有し、金属錯体及び金属錯体の配位子それぞれについて、汎関数としてB3LYP及び基底関数として6−31G(d)又はSDDを用いた分子軌道計算によって構造最適化した際に得られるHOMOとLUMOとの電子密度分布が、いずれも実質的に分離しており、かつ、金属錯体の中心金属が、亜鉛又は2族元素であることを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項11までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、HOMOとLUMOとの電子密度分布をより分離させるという観点から、金属錯体が一般式(1)〜(4)のいずれかで表される部分構造を有する化合物であることが好ましい。
また、安定な金属錯体又は有機金属錯体(特に、カルベン錯体)の生成という観点から、金属錯体の中心金属が、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム又はバリウムのいずれかであることが好ましい。
また、錯形成によって遅延蛍光発光効率を向上させるという観点から、金属錯体における最低励起一重項状態と最低三重項励起状態とのエネルギー差ΔEstが、配位子単独における最低励起一重項状態と最低三重項励起状態とのエネルギー差ΔEst以下であることが好ましい。
本発明の有機EL素子は、表示装置及び照明装置に好適に具備され得る。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、数値範囲を表す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用している。
以下では、まず、本発明の技術思想と関連する、有機EL素子の発光方式及び発光材料について説明する。
≪有機EL素子の発光方式≫
有機EL素子の発光方式としては、三重項励起状態から基底状態に戻る際に光を発する「リン光発光」と、一重項励起状態から基底状態に戻る際に光を発する「蛍光発光」の2通りがある。
有機EL素子のような電界で励起する素子の場合には、三重項励起子が75%の確率で、一重項励起子が25%の確率で生成するため、リン光発光の方が蛍光発光に比べ発光効率を高くすることが可能で、低消費電力化を実現するには優れた方式である。
一方、蛍光発光においても、75%の確率で生成してしまう、通常では励起子のエネルギーが無輻射失活により熱にしかならない三重項励起子を、高密度で存在させることによって、二つの三重項励起子から一つの一重項励起子を発生させて発光効率を向上させるTTAを利用した方式が見つかっている。
さらに近年では、安達らの発見により一重項励起状態と三重項励起状態とのエネルギーギャップを小さくすることで、発光中のジュール熱及び/又は発光素子が置かれる環境温度により、エネルギー準位の低い三重項励起状態から一重項励起状態に逆項間交差が起こり、結果としてほぼ100%に近い蛍光発光を可能とするTADF機構と、それを可能にする蛍光発光性化合物が見出されている(例えば、「「照明に向けた燐光有機EL技術の開発と展開」応用物理 第80巻、第4号、2011年」参照。)。
≪リン光発光性化合物≫
上記のように、リン光発光方式は、発光効率的には蛍光発光よりも理論的には3倍有利であるが、三重項励起状態から一重項基底状態へのエネルギー失活(=リン光発光)は禁制遷移であり、また同様に一重項励起状態から三重項励起状態への項間交差も禁制遷移であるため、通常その速度定数は小さい。すなわち、遷移が起こりにくいため、励起子寿命はミリ秒から秒オーダーと長くなり、所望の発光を得ることは困難である。ただし、イリジウムや白金等の重金属を用いた錯体が発光する場合には、中心金属の重原子効果によって、前述の禁制遷移の速度定数が3桁以上増大し、配位子の選択によっては、100%のリン光量子収率を得ることも可能となる。
しかしながら、このような理想的な発光を得るためには、希少金属であるイリジウムやパラジウム、白金等の、いわゆる白金属と呼ばれる貴金属を用いる必要があり、また、大量に使用するということになるとその埋蔵量や金属自体の値段が産業上大きな問題となってくる。
≪蛍光発光性化合物≫
蛍光発光性化合物は、リン光発光性化合物のような重金属錯体である必要性は特になく、炭素、酸素、窒素、水素等の一般的な元素の組合せから構成される、いわゆる有機化合物が適用でき、更に、リンや硫黄、ケイ素等、その他の非金属元素を用いることも可能で、また、アルミニウムや亜鉛等の典型金属の錯体も活用できるなど、その多様性はほぼ無限といえる。
ただし、従来の蛍光発光性化合物では、上記のように励起子の25%しか発光に適用できないため、リン光発光のような高効率発光は望めない。
≪遅延蛍光発光性化合物≫
<励起三重項−三重項消滅(TTA)遅延蛍光発光性化合物>
蛍光発光性化合物の問題点を解決すべく登場したのが、遅延蛍光を利用した発光方式である。
三重項励起子同士の衝突を起源とするTTA方式は、下記のような一般式で記述できる。すなわち、従来、励起子のエネルギーが無輻射失活により熱にしか変換されなかった三重項励起子の一部が、発光に寄与し得る一重項励起子に逆項間交差できるメリットがあり、実際の有機EL素子においても、従来の蛍光発光素子の約2倍の外部取り出し量子効率を得ることができている。
+T→S+S
(式中、Tは三重項励起子、Sは一重項励起子、Sは基底状態分子を表す。)
しかしながら、上式からもわかるように、二つの三重項励起子から発光に利用できる一重項励起子は一つしか生成しないため、この方式で100%の内部量子効率を得ることは原理上できない。
<熱活性型遅延蛍光発光性化合物(TADF化合物)>
もう一つの高効率蛍光発光であるTADF方式は、TTA方式の問題点を解決できる方式である。
蛍光発光性化合物は、上記のように無限に分子設計できる利点を持っている。すなわち、分子設計された化合物の中で、特異的に三重項励起状態と一重項励起状態とのエネルギー準位差(以降、ΔEstと記載する。)が極めて近接する化合物が存在する(図1参照。)。
このような化合物は、分子内に重原子を持っていないにもかかわらず、ΔEstが小さいために通常では起こりえない三重項励起状態から一重項励起状態への逆項間交差が起こる。さらに、一重項励起状態から基底状態への失活(=蛍光発光)の速度定数が極めて大きいことから、三重項励起子それ自体が基底状態に熱的に失活(無輻射失活)するよりも、一重項励起状態経由で蛍光を発しながら基底状態に戻る方が速度論的に有利である。そのため、TADF方式では、理想的には100%の蛍光発光が可能となる。
<ΔEstに関する分子設計思想>
ΔEstを小さくするための分子設計について説明する。
ΔEstを小さくするためには、原理上、分子内のHOMOとLUMOとの空間的な重なりを小さくすることが最も効果的である。一般に、分子の電子軌道において、HOMOは電子供与性部位に、LUMOは電子吸引性部位に分布することが知られており、分子内に電子供与性を示す骨格と電子吸引性を示す骨格を導入することによって、HOMOとLUMOとが存在する位置を遠ざけることが可能となる。
例えば、前述の「照明に向けた燐光有機EL技術の開発と展開」においては、シアノ基やスルホニル基、トリアジン等の電子吸引性の骨格と、カルバゾールやジフェニルアミノ基等の電子供与性の骨格とを導入することで、LUMOとHOMOとをそれぞれ局在化させている。
また、化合物の基底状態と三重項励起状態との分子構造変化を小さくすることも効果的である。構造変化を小さくするための方法としては、例えば、化合物を剛直にすることなどが効果的である。ここで、剛直とは、例えば、分子内の環と環との結合における自由回転を抑制したり、またπ共役面の大きい縮合環を導入するなど、分子内において自由に動ける部位が少ないことを意味する。特に、発光に関与する部位を剛直にすることによって、励起状態における構造変化を小さくすることが可能である。
本発明では、錯形成することにより、剛直化し、また、中心金属由来の励起状態構造変化を抑える目的で、d電子の関与のないd10電子系の亜鉛、又は2族元素を用いている。
<TADF化合物が抱える一般的な問題>
TADF化合物は、その発光機構及び分子構造の面から種々の問題を抱えている。
以下に、一般的にTADF化合物が抱える問題の一部について記載する。
TADF化合物においては、ΔEstを小さくするためにHOMOとLUMOとの存在する部位をできるだけ離すことが必要であるが、このため、分子の電子状態はHOMO部位とLUMO部位とが分離したドナー/アクセプター型の分子内CT(分子内電荷移動状態)に近い状態となってしまう。
このような分子は、複数存在すると、一方の分子のドナー部分と他方の分子のアクセプター部分とが近接することにより安定化が図られる。そのような安定化状態は、2分子間での形成に限らず、3分子間若しくは5分子間であったりと、複数の分子間でも形成が可能であり、その結果、広い分布を持った種々の安定化状態が存在することになり、吸収スペクトル及び発光スペクトルの形状がブロードとなる。また、2分子を超える多分子集合体を形成しない場合であっても、二つの分子の相互作用する方向や角度等の違いによって様々な存在状態を取り得るため、基本的にはやはり吸収スペクトル及び発光スペクトルの形状はブロードになる。
発光スペクトルがブロードになることは、二つの大きな問題を発生する。
一つは、発光色の色純度が低くなってしまう問題である。照明用途に適用する場合にはそれほど大きな問題にはならないが、電子ディスプレイ用途に用いる場合には色再現域が小さくなり、また、純色の色再現性が低くなることから、実際に商品として適用するのは困難になる。
もう一つの問題は、発光スペクトルの短波長側の立ち上がり波長(「蛍光ゼロ−ゼロバンド」と呼ぶ。)が短波長化、すなわち高S化(励起一重項エネルギーの高エネルギー化)してしまうことである。
当然、蛍光ゼロ−ゼロバンドが短波長化すると、Sよりもエネルギーの低いTに由来するリン光ゼロ−ゼロバンドも短波長化(高T化)してしまう。そのため、ホストに用いる化合物は、ドーパントからの逆エネルギー移動を起こさないようにするために、高S化かつ高T化する必要が生じてくる。
これは非常に大きな問題である。基本的に、有機化合物からなるホスト化合物は、有機EL素子中で、カチオンラジカル状態、アニオンラジカル状態又は励起状態という、複数の活性かつ不安定な化学種の状態を取るが、それら化学種は分子内のπ共役系を拡大することで比較的安定に存在させることができる。しかしながら、高S化かつ高T化を達成するには、分子内のπ共役系を縮小するか若しくは断ち切ることが必要となり、安定性と両立させることが困難になって、結果的には、発光素子の寿命を短くしてしまうことになる。
また、重金属を含まないTADF化合物においては、三重項励起状態から基底状態に失活する遷移は禁制遷移であるため、三重項励起状態での存在時間(励起子寿命)は数百μ秒からミリ秒オーダーと極めて長い。そのため、仮にホスト化合物のTエネルギーが発光材料のそれよりも高いエネルギーレベルであったとしても、その存在時間の長さから発光材料の三重項励起状態からホスト化合物へと逆エネルギー移動を起こす確率が増大してしまう。その結果、本来意図するTADF化合物の三重項励起状態から一重項励起状態への逆項間交差が十分に起こらずに、ホスト化合物への好ましくない逆エネルギー移動が主流となって、十分な発光効率が得られないという不具合が生じてしまう。
上記のような問題を解決するためには、TADF化合物の発光スペクトル形状をシャープ化し、発光極大波長と発光スペクトルとの立ち上がり波長の差を小さくすることが必要となる。これは、基本的には一重項励起状態及び三重項励起状態の分子構造の変化を小さくすることにより達成することが可能である。
また、ホスト化合物への逆エネルギー移動を抑制するためには、TADF化合物の三重項励起状態の存在時間(励起子寿命)を短くすることが効果的である。それを実現するには、基底状態と三重項励起状態との分子構造変化を小さくすること、及び、禁制遷移である一重項−三重項間の禁制を解くのに好適な置換基や元素を導入することなどの対策を講じることで、問題点を解決することが可能である。
本発明は、上記のように励起状態の構造変化を抑えるために、錯形成によって構造変化を抑える目的で、単独でも遅延蛍光発光を示し得る配位子を有する金属錯体を用いている。また、該金属錯体のΔEstが配位子単独の場合より小さくなり、また、発光効率も向上する発光材料、及び三重項励起状態の存在時間が短い発光材料も設計思想として含むものである。
≪TADF化合物≫
本発明において、TADF化合物として用いられる金属錯体は、金属錯体及び金属錯体の配位子それぞれについて、汎関数としてB3LYP及び基底関数として6−31G(d)又はSDDを用いた分子軌道計算によって構造最適化した際に得られるHOMOとLUMOとの電子密度分布が、いずれも実質的に分離しており、金属錯体の中心金属が、亜鉛又は2族元素であることを特徴とする。金属錯体におけるHOMOとLUMOとの電子密度分布についての詳細は、後述する。
本発明の金属錯体としては、該金属錯体の配位子が、電子吸引性基(以下、EWGともいう。)と電子供与性基(以下、EDGともいう。)とを有することが好ましい。中でも、EWG及びEDGは、中心金属に直接結合している環に置換基として結合していることがより好ましいが、直接結合している環がEWG又はEDGとして機能してもよい。
本発明の金属錯体としては、下記一般式(1)〜(4)のいずれかで表される部分構造を有する化合物であることが好ましい。
Figure 0006115395
一般式(1)中、EWGは電子吸引性基を表し、EDGは電子供与性基を表す。Arは、直接結合又は連結基を表す。Yは、炭素原子又は窒素原子を表す。Z及びZは、それぞれ独立に、芳香環又は非芳香族環を表す。Mは、亜鉛又は2族元素を表す。m及びnは、それぞれ独立に、1〜6の整数を表す。pは、0又は1を表す。
Figure 0006115395
一般式(2)中、EWGは電子吸引性基を表し、EDGは電子供与性基を表す。Arは、直接結合又は連結基を表す。Yは、炭素原子又は窒素原子を表す。Z及びZは、それぞれ独立に、芳香環又は非芳香族環を表す。Mは、亜鉛又は2族元素を表す。m及びnは、それぞれ独立に、1〜6の整数を表す。pは、0又は1を表す。
Figure 0006115395
一般式(3)中、EWGは電子吸引性基を表し、EDGは電子供与性基を表す。Arは、直接結合又は連結基を表す。Yは、炭素原子又は窒素原子を表す。Z及びZは、それぞれ独立に、芳香環又は非芳香族環を表す。Mは、亜鉛又は2族元素を表す。m及びnは、それぞれ独立に、1〜6の整数を表す。pは、0又は1を表す。
Figure 0006115395
一般式(4)中、EWGは電子吸引性基を表し、EDGは電子供与性基を表す。Arは、直接結合又は連結基を表す。Yは、炭素原子又は窒素原子を表す。Z及びZは、それぞれ独立に、芳香環又は非芳香族環を表す。Mは、亜鉛又は2族元素を表す。m及びnは、それぞれ独立に、1〜6の整数を表す。pは、0又は1を表す。
一般式(1)〜(4)において、EWGで表される電子吸引性基としては、例えば、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、インドール環、インダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾイミダゾール環、キノリン環、イソキノリン環、キナゾリン環、キノキサリン環、イソインドール環、ナフチリジン環、フタラジン環、シアノ基等が挙げられる。
一般式(1)〜(4)において、EDGで表される電子供与性基としては、例えば、アルキル基、カルバゾール環、チエニル環、ピロール環等が挙げられる。
一般式(1)〜(4)において、Arは、ZとZとを連結する部位を表す。Arで表される連結部位としては、特に一般式(1)〜(4)の化合物の機能を阻害しない範囲であれば特に制限されず、好ましくは直接結合、芳香族炭化水素環、芳香族複素環又はこれらの組み合わせである。
Arで表される芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、ビフェニル、ナフタレン環、アズレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、トリフェニレン環、o−ターフェニル環、m−ターフェニル環、p−ターフェニル環、アセナフテン環、コロネン環、インデン環、フルオレン環、フルオラントレン環、ナフタセン環、ペンタセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピレン環、ピラントレン環、アンスラアントレン環、テトラリン環等が挙げられる。
Arで表される芳香族複素環としては、例えば、フラン環、ジベンゾフラン環、チオフェン環、ジベンゾチオフェン環、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、シンノリン環、キノリン環、イソキノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、カルバゾール環、カルボリン環、ジアザカルバゾール環(カルボリン環を構成する炭化水素環の炭素原子の一つが更に窒素原子で置換されている環)等が挙げられる。
一般式(1)〜(4)において、Z及びZで表される芳香環としては、前述のArで表される芳香族炭化水素環及び芳香族複素環と同様のものが挙げられる。
一般式(1)〜(4)において、Z及びZで表される非芳香族環としては、例えば、シクロペンチル環、シクロヘキシル環等が挙げられる。また、非芳香族複素環としては、例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル環等が挙げられる。
一般式(1)〜(4)において、Mは亜鉛又は2族元素(ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム)を表すが、中でも、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム又はバリウムのいずれかであることが好ましい。
以下に、本発明の金属錯体の具体例(例示化合物(F−1)〜(F−58))を示すが、これらに限定されるものではなく、例えば、本発明の金属錯体に配位する配位子は異なっていてもよい。具体的には、下記の例示化合物(F−57)で示されるように、例示化合物(F−1)で用いられている配位子と、例示化合物(F−42)で用いられている配位子とを組み合わせた金属錯体も好適に使用することができる。
なお、下記化合物中、中心金属Mは、亜鉛又は2族元素のいずれであってもよい。また、「Cz」は、カルバゾリル基を表す。
Figure 0006115395
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本発明に用いられる金属錯体の合成は、公知の方法を利用して行うことができる。
例えば、有機亜鉛錯体は、Negishi他,J.Org.Chem,1977,42,1821、Zhu他,J.Org.Chem,1991,56,1445、更には、特開平9−279134号公報、特開2001−213866号公報の実施例に記載の方法等を参考にすることができる。
以下に、本発明に係る蛍光発光性化合物、特にΔEstの小さい化合物に関する種々の測定方法について記載する。
≪電子密度分布≫
本発明の蛍光発光性化合物は、ΔEstを小さくするという観点から、分子内においてHOMOとLUMOとが実質的に分離している。これらHOMO及びLUMOの分布状態については、分子軌道計算により得られる構造最適化した際の電子密度分布から求めることができる。
本発明における蛍光発光性化合物の分子軌道計算による構造最適化及び電子密度分布の算出は、計算手法として、汎関数としてB3LYP、基底関数として6−31G(d)又はSDDを用いた分子軌道計算用ソフトウェアを用いて算出することができ、ソフトウェアに特に限定はなく、いずれを用いても同様に求めることができる。ここで、SDDを基底関数として用いるのは中心金属がSr又はBaの場合に限り、金属原子にSDDを適用し、それ以外の原子に関しては6−31G(d)を適用することで、算出することができる。本発明においては、分子軌道計算用ソフトウェアとして、米国Gaussian社製のGaussian09(Revision C.01,M.J.Frisch,et al,Gaussian,Inc.,2010.)を用いた。
また、「HOMOとLUMOとが実質的に分離している」とは、上記分子計算により算出されたHOMOの電子密度分布及びLUMOの電子密度分布の中心部位が離れており、より好ましくはHOMOの電子密度分布とLUMOの電子密度分布とがほぼ重なっていないことを意味する。
より具体的には、HOMOとLUMOとの分離状態については、前述の汎関数としてB3LYP、基底関数として6−31G(d)又はSDDを用いた構造最適化計算から、更に時間依存密度汎関数法(Time−Dependent DFT)による励起状態計算を実施してS、Tのエネルギー(それぞれE(S)、E(T))を求めて、ΔEst=E(S)−E(T)として算出し、評価することができる。算出されたΔEstが小さいほど、HOMOとLUMOとがより分離していることを示す。
本発明においては、前述と同様の計算手法を用いて算出されたΔEstが0.8eV以下であるとき、HOMOとLUMOとの電子密度分布が実質的に分離しているとする。また、ΔEstとしては、0.5eV以下であることが好ましく、より好ましくは0.2eV以下であり、更に好ましくは0.1eV以下である。
≪最低励起一重項エネルギーS
本発明における蛍光発光性化合物の最低励起一重項エネルギーSについては、通常の手法と同様にして算出されるもので定義される。すなわち、測定対象となる化合物を石英基板上に蒸着して試料を作製し、常温(300K)でこの試料の吸収スペクトル(縦軸:吸光度、横軸:波長とする。)を測定する。この吸収スペクトルの長波長側の立ち上がりに対して接線を引き、その接線と横軸との交点の波長値に基づいて、所定の換算式から算出される。
ただし、本発明において使用する蛍光発光性化合物の分子自体の凝集性が比較的高い場合には、薄膜の測定において凝集による誤差を生じる可能性がある。本発明における蛍光発光性化合物が、ストークスシフトが比較的小さいこと、更に励起状態と基底状態との構造変化が小さいことを考慮し、本発明における最低励起一重項エネルギーは、室温(約25℃)における発光材料の溶液状態の発光波長のピーク値を近似値として用いた。ここで、使用する溶媒は、発光材料の凝集状態に影響を与えない、すなわち溶媒効果の影響が小さい溶媒、例えば、シクロヘキサンやトルエン等の非極性溶媒等を用いることができる。
≪最低励起三重項エネルギーT
本発明における蛍光発光性化合物の最低励起三重項エネルギー(T)については、溶液若しくは薄膜のフォトルミネッセンス(PL)特性により算出した。例えば、薄膜における算出方法としては、希薄状態の発光材料の分散物を薄膜にした後に、ストリークカメラを用い、過渡PL特性を測定することで、蛍光成分とリン光成分との分離を行い、そのエネルギー差をΔEstとして最低励起一重項エネルギーから最低励起三重項エネルギーを求めることができる。
測定・評価にあたって、絶対PL量子収率の測定については、絶対PL量子収率測定装置C9920−02(浜松ホトニクス社製)を用いた。発光寿命は、ストリークカメラC4334(浜松ホトニクス社製)を用いて、サンプルをレーザー光で励起させながら測定した。
≪有機EL素子の構成層≫
本発明の有機EL素子における代表的な素子構成としては、以下の構成を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
(1)陽極/発光層/陰極
(2)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
(3)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
(4)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(5)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(6)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(7)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/(電子阻止層/)発光層/(正孔阻止層/)電子輸送層/電子注入層/陰極
上記の中でも、(7)の構成が好ましく用いられるが、これに限定されるものではない。
本発明に係る発光層は、単層又は複数層で構成されており、発光層が複数の場合は各発光層の間に非発光性の補助層を設けてもよい。
必要に応じて、発光層と陰極との間に正孔阻止層(正孔障壁層ともいう。)や電子注入層(陰極バッファー層ともいう。)を設けてもよく、また、発光層と陽極との間に電子阻止層(電子障壁層ともいう。)や正孔注入層(陽極バッファー層ともいう。)を設けてもよい。
電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する層であり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。また、複数層で構成されていてもよい。
正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する層であり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。また、複数層で構成されていてもよい。
上記の代表的な素子構成において、陽極と陰極とを除いた層を「有機機能層」ともいう。
≪タンデム構造≫
また、本発明の有機EL素子は、少なくとも1層の発光層を含む発光ユニットを複数積層した、いわゆるタンデム構造の素子であってもよい。
タンデム構造の代表的な素子構成としては、例えば、陽極/第1発光ユニット/中間層/第2発光ユニット/中間層/第3発光ユニット/陰極からなる構成を挙げることができる。
ここで、上記第1発光ユニット、第2発光ユニット及び第3発光ユニットは、全て同じであっても、異なっていてもよい。また、二つの発光ユニットが同じであり、残る一つが異なっていてもよい。
複数の発光ユニットは、直接積層されていても、中間層を介して積層されていてもよい。
発光ユニット内の好ましい構成としては、例えば、上記の代表的な素子構成で挙げた(1)〜(7)の構成から、陽極と陰極とを除いたもの等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
中間層は、一般的に、中間電極、中間導電層、電荷発生層、電子引抜層、接続層、中間絶縁層とも呼ばれ、陽極側の隣接層に電子を、陰極側の隣接層に正孔を供給する機能を持った層であれば、公知の材料構成を用いることができる。
中間層に用いられる材料としては、例えば、ITO(インジウム・スズ酸化物)、IZO(インジウム・亜鉛酸化物)、ZnO、TiN、ZrN、HfN、TiO、VO、CuI、InN、GaN、CuAlO、CuGaO、SrCu、LaB、RuO、Al等の導電性無機化合物層や、Au/Bi等の2層膜や、SnO/Ag/SnO、ZnO/Ag/ZnO、Bi/Au/Bi、TiO/TiN/TiO、TiO/ZrN/TiO等の多層膜、また、C60等のフラーレン類、オリゴチオフェン等の導電性有機物層、金属フタロシアニン類、無金属フタロシアニン類、金属ポルフィリン類、無金属ポルフィリン類等の導電性有機化合物層等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
タンデム型有機EL素子の具体例としては、例えば、米国特許第6337492号明細書、米国特許第7420203号明細書、米国特許第7473923号明細書、米国特許第6872472号明細書、米国特許第6107734号明細書、米国特許第6337492号明細書、国際公開第2005/009087号、特開2006−228712号公報、特開2006−24791号公報、特開2006−49393号公報、特開2006−49394号公報、特開2006−49396号公報、特開2011−96679号公報、特開2005−340187号公報、特許第4711424号公報、特許第3496681号公報、特許第3884564号公報、特許第4213169号公報、特開2010−192719号公報、特開2009−076929号公報、特開2008−078414号公報、特開2007−059848号公報、特開2003−272860号公報、特開2003−045676号公報、国際公開第2005/094130号等に記載の素子構成や構成材料等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
以下、本発明の有機EL素子を構成する各層について説明する。
≪発光層≫
本発明に係る発光層は、電極又は隣接層から注入されてくる電子及び正孔が再結合し、励起子を経由して発光する場を提供する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても、発光層と隣接層との界面であってもよい。本発明に係る発光層は、本発明で規定する要件を満たしていれば、その構成に特に制限はない。
発光層の層厚の総和は、特に制限はないが、形成する膜の均質性や、発光時に不必要な高電圧を印加するのを防止し、かつ、駆動電流に対する発光色の安定性向上の観点から、2nm〜5μmの範囲内に調整することが好ましく、より好ましくは2〜500nmの範囲内に調整され、更に好ましくは5〜200nmの範囲内に調整される。
また、本発明の個々の発光層の層厚としては、2nm〜1μmの範囲内に調整することが好ましく、より好ましくは2〜200nmの範囲内に調整され、更に好ましくは3〜150nmの範囲内に調整される。
本発明に係る発光層には、前述の蛍光発光性化合物を発光ドーパント(発光性ドーパント化合物、ドーパント化合物、単にドーパントともいう。)として含有し、更に後述するホスト化合物(マトリックス材料、発光ホスト化合物、単にホストともいう。)を含有することが好ましい。
(1)発光ドーパント
本発明に係る発光ドーパントについて説明する。
発光ドーパントとしては、蛍光発光性ドーパント(蛍光ドーパント、蛍光性化合物ともいう。)と、リン光発光性ドーパント(リン光ドーパント、リン光性化合物ともいう。)が好ましく用いられる。本発明においては、少なくとも1層の発光層が前述の蛍光発光性化合物を含有することが好ましい。
発光層中の発光ドーパントの濃度については、使用される特定のドーパント及びデバイスの必要条件に基づいて、任意に決定することができ、発光層の層厚方向に対し、均一な濃度で含有されていてもよく、また任意の濃度分布を有していてもよい。
また、本発明に係る発光ドーパントは、複数種を併用して用いてもよく、構造の異なるドーパント同士の組み合わせや、蛍光発光性ドーパントとリン光発光性ドーパントとを組み合わせて用いてもよい。これにより、任意の発光色を得ることができる。
本発明の有機EL素子や本発明に係る化合物の発光する色は、「新編色彩科学ハンドブック」(日本色彩学会編、東京大学出版会、1985)の108頁の図4.16において、分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタ(株)製)で測定した結果をCIE色度座標に当てはめたときの色で決定される。
本発明においては、1層又は複数層の発光層が、発光色の異なる複数の発光ドーパントを含有し、白色発光を示すことも好ましい。
白色を示す発光ドーパントの組み合わせについては特に限定はないが、例えば、青と橙や、青と緑と赤の組み合わせ等が挙げられる。
本発明の有機EL素子における白色とは、2度視野角正面輝度を前述の方法により測定した際に、1000cd/mでのCIE1931表色系における色度がx=0.39±0.09、y=0.38±0.08の領域内にあることが好ましい。
(1.1)蛍光発光性ドーパント
蛍光発光性ドーパント(以下、「蛍光ドーパント」ともいう。)としては、前述の蛍光発光性化合物を用いることが好ましい。
(1.2)リン光発光性ドーパント
リン光発光性ドーパント(以下、「リン光ドーパント」ともいう。)について説明する。
リン光ドーパントは、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、具体的には、室温(25℃)にてリン光発光する化合物であり、リン光量子収率が、25℃において0.01以上の化合物であると定義されるが、好ましいリン光量子収率は0.1以上である。
上記リン光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中でのリン光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、リン光ドーパントは、任意の溶媒のいずれかにおいて上記リン光量子収率(0.01以上)が達成されればよい。
リン光ドーパントは、有機EL素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることができる。本発明に使用できる公知のリン光ドーパントの具体例としては、以下の文献に記載されている化合物等が挙げられる。
Nature 395,151(1998)、Appl.Phys.Lett. 78,1622(2001)、Adv.Mater. 19,739(2007)、Chem.Mater. 17,3532(2005)、Adv.Mater. 17,1059(2005)、国際公開第2009/100991号、国際公開第2008/101842号、国際公開第2003/040257号、米国特許出願公開第2006/835469号明細書、米国特許出願公開第2006/0202194号明細書、米国特許出願公開第2007/0087321号明細書、米国特許出願公開第2005/0244673号明細書、Inorg.Chem. 40,1704(2001)、Chem.Mater. 16,2480(2004)、Adv.Mater. 16,2003(2004)、Angew.Chem.lnt.Ed.2006,45,7800、Appl.Phys.Lett. 86,153505(2005)、Chem.Lett. 34,592(2005)、Chem.Commun. 2906(2005)、Inorg.Chem. 42,1248(2003)、国際公開第2009/050290号、国際公開第2002/015645号、国際公開第2009/000673号、米国特許出願公開第2002/0034656号明細書、米国特許第7332232号明細書、米国特許出願公開第2009/0108737号明細書、米国特許出願公開第2009/0039776号明細書、米国特許第6921915号明細書、米国特許第6687266号明細書、米国特許出願公開第2007/0190359号明細書、米国特許出願公開第2006/0008670号明細書、米国特許出願公開第2009/0165846号明細書、米国特許出願公開第2008/0015355号明細書、米国特許第7250226号明細書、米国特許第7396598号明細書、米国特許出願公開第2006/0263635号明細書、米国特許出願公開第2003/0138657号明細書、米国特許出願公開第2003/0152802号明細書、米国特許第7090928号明細書、Angew.Chem.lnt.Ed. 47,1(2008)、Chem.Mater. 18,5119(2006)、Inorg.Chem. 46,4308(2007)、Organometallics 23,3745(2004)、Appl.Phys.Lett. 74,1361(1999)、国際公開第2002/002714号、国際公開第2006/009024号、国際公開第2006/056418号、国際公開第2005/019373号、国際公開第2005/123873号、国際公開第2005/123873号、国際公開第2007/004380号、国際公開第2006/082742号、米国特許出願公開第2006/0251923号明細書、米国特許出願公開第2005/0260441号明細書、米国特許第7393599号明細書、米国特許第7534505号明細書、米国特許第7445855号明細書、米国特許出願公開第2007/0190359号明細書、米国特許出願公開第2008/0297033号明細書、米国特許第7338722号明細書、米国特許出願公開第2002/0134984号明細書、米国特許第7279704号明細書、米国特許出願公開第2006/098120号明細書、米国特許出願公開第2006/103874号明細書、国際公開第2005/076380号、国際公開第2010/032663号、国際公開第2008/140115号、国際公開第2007/052431号、国際公開第2011/134013号、国際公開第2011−157339号、国際公開第2010−086089号、国際公開第2009/113646号、国際公開第2012/020327号、国際公開第2011/051404号、国際公開第2011/004639号、国際公開第2011/073149号、米国特許出願公開第2012/228583号明細書、米国特許出願公開第2012/212126号明細書、特開2012−069737号公報、特願2011−181303号、特開2009−114086号公報、特開2003−81988号公報、特開2002−302671号公報、特開2002−363552号公報等である。
中でも、好ましいリン光ドーパントとしては、Irを中心金属に有する有機金属錯体が挙げられる。さらに好ましくは、金属−炭素結合、金属−窒素結合、金属−酸素結合、金属−硫黄結合の少なくとも一つの配位様式を含む錯体が好ましい。
(2)ホスト化合物
ホスト化合物は、発光層において、主に電荷の注入及び輸送を担う化合物であり、有機EL素子においてそれ自体の発光は実質的に観測されない。
ホスト化合物は、発光層に含有される化合物のうちで、その層中での質量比が20%以上であることが好ましい。
ホスト化合物は、単独で用いてもよく、又は複数種併用して用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能となり、有機EL素子を高効率化することができる。
以下に、本発明において好ましく用いられるホスト化合物について述べる。
本発明における蛍光発光性化合物とともに用いられるホスト化合物としては特に制限はないが、逆エネルギー移動の観点から、本発明の蛍光発光性化合物の励起一重項エネルギーより大きな励起エネルギーをもつものが好ましく、更に本発明の蛍光発光性化合物の励起三重項エネルギーより大きな励起三重項エネルギーをもつものがより好ましい。
ホスト化合物は、発光層内において、キャリアの輸送及び励起子の生成を担う。そのため、カチオンラジカル状態、アニオンラジカル状態、及び励起状態の全ての活性種の状態において安定に存在でき、分解や付加反応などの化学変化を起こさないこと、更に、層中において通電経時でホスト分子がオングストロームレベルで移動しないことが好ましい。
また、特に併用する発光ドーパントがTADF発光を示す場合には、TADF化合物の三重項励起状態の存在時間が長いことから、ホスト化合物自体のTエネルギーが高いこと、更にホスト化合物同士が会合した状態で低T状態を作らないこと、TADF化合物とホスト化合物とがエキサイプレックスを形成しないこと、ホスト化合物が電界によりエレクトロマーを形成しないことなど、ホスト化合物が低T化しないような分子構造の適切な設計が必要となる。
このような要件を満たすためには、ホスト化合物自体が電子のホッピング移動性が高いこと、かつ、正孔のホッピング移動が高いこと、三重項励起状態となったときの構造変化が小さいことが必要である。このような要件を満たすホスト化合物の代表格としてカルバゾール骨格、アザカルバゾール骨格、ジベンゾフラン骨格、ジベンゾチオフェン骨格、アザジベンゾフラン骨格などの、高Tエネルギーを有し、かつ14π電子系の拡張π共役骨格を部分構造として有するものが好ましく挙げられる。さらに、これらの環がビアリール及び/又はマルチアリール構造をとった化合物などが代表例として挙げられる。ここでいう「アリール」とは、芳香族炭化水素環だけでなく芳香族複素環も含む。より好ましくは、カルバゾール骨格と、カルバゾール骨格とは異なる分子構造を持つ14π電子系の芳香族複素環化合物とが直接結合した化合物であり、更に14π電子系の芳香族複素環化合物を分子内に二つ以上持つカルバゾール誘導体が好ましい。
また、ホスト化合物としては、下記一般式(I)で表される化合物も好ましい。これは、下記一般式(I)で表される化合物が、縮環構造を有するためにπ電子雲が広がっており、キャリア輸送性が高く、高いガラス転移温度(Tg)を有するためである。さらに、一般に縮合芳香族環は三重項エネルギー(T)が小さい傾向があるが、一般式(I)で表される化合物は高いTを有しており、発光波長の短い(すなわちT及びSの大きい)発光材料に対しても好適に用いることができる。
Figure 0006115395
一般式(I)中、X101は、NR101、酸素原子、硫黄原子、CR102103又はSiR102103を表す。y〜yは、それぞれ独立に、CR104又は窒素原子を表す。R101〜R104は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、また互いに結合して環を形成してもよい。Ar101及びAr102は、それぞれ独立に、芳香環を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。n101及びn102は、それぞれ独立に、0〜4の整数を表すが、R101が水素原子の場合、n101は1〜4の整数を表す。
一般式(I)におけるR101〜R104は、それぞれ独立に、水素又は置換基を表すが、ここでいう置換基は、ホスト化合物の機能を阻害しない範囲で有してもよいものを指し、例えば、合成スキーム上置換基が導入されてしまう場合で、本発明の効果を奏する化合物は本発明に包含される旨を規定するものである。R101〜R104で各々表される置換基としては、例えば、直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、芳香族炭化水素環基(例えば、ベンゼン環、ビフェニル、ナフタレン環、アズレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、トリフェニレン環、o−ターフェニル環、m−ターフェニル環、p−ターフェニル環、アセナフテン環、コロネン環、インデン環、フルオレン環、フルオラントレン環、ナフタセン環、ペンタセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピレン環、ピラントレン環、アンスラアントレン環、テトラリン環等から導出される基)、芳香族複素環基(例えば、フラン環、ジベンゾフラン環、チオフェン環、ジベンゾチオフェン環、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、シンノリン環、キノリン環、イソキノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、カルバゾール環、カルボリン環、ジアザカルバゾール環等から導出される基)、非芳香族炭化水素環基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、非芳香族複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基又はヘテロアリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、チオール基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)、重水素原子等が挙げられる。
これらの置換基は、上記の置換基によって更に置換されていてもよい。また、これらの置換基は複数が互いに結合して環を形成していてもよい。
一般式(I)におけるy〜yとしては、好ましくは、y〜yのうちの少なくとも三つ、又はy〜yのうちの少なくとも三つがCR102で表され、より好ましくはy〜yが全てCR102である。このような骨格は、正孔輸送性又は電子輸送性に優れ、陽極・陰極から注入された正孔・電子を効率よく発光層内で再結合・発光させることができる。
中でも、LUMOのエネルギー準位が浅く、電子輸送性に優れる構造として、一般式(I)におけるX101が、NR101、酸素原子又は硫黄原子である化合物が好ましい。より好ましくは、X101及びy〜yとともに形成される縮合環が、カルバゾール環、アザカルバゾール環、ジベンゾフラン環又はアザジベンゾフラン環である。
さらに、ホスト化合物を剛直にすることが好ましいという目的から考え、X101がNR101の場合においては、R101は前述で挙げられた置換基のうち、π共役系骨格である芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基であることが好ましい。また、これらのR101は、更に前述のR101〜R104で表される置換基で置換されていてもよい。
一般式(I)において、Ar101及びAr102により表される芳香環としては、芳香族炭化水素環又は芳香族複素環が挙げられる。該芳香環は単環でも縮合環でもよく、更に未置換でも、前述のR101〜R104で表される置換基と同様の置換基を有してもよい。
一般式(I)において、Ar101及びAr102により表される芳香族炭化水素環としては、例えば、前述のR101〜R104で表される置換基の例として挙げられた芳香族炭化水素環基と同様の環が挙げられる。
一般式(I)において、Ar101及びAr102により表される芳香族複素環としては、例えば、前述のR101〜R104で表される置換基の例として挙げられた芳香族複素環基と同様の環が挙げられる。
一般式(I)で表されるホスト化合物が大きなTを有するという目的を考えた場合には、Ar101及びAr102で表される芳香環自身のTが高いことが好ましく、ベンゼン環(ベンゼン環が複数連結したポリフェニレン骨格(ビフェニル、テルフェニル、クォーターフェニル等)も含む)、フルオレン環、トリフェニレン環、カルバゾール環、アザカルバゾール環、ジベンゾフラン環、アザジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、ジベンゾチオフェン環、ピリジン環、ピラジン環、インドロインドール環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、イミダゾール環又はトリアジン環等が好ましい。より好ましくはベンゼン環、カルバゾール環、アザカルバゾール環、ジベンゾフラン環である。
Ar101及びAr102がカルバゾール環又はアザカルバゾール環の場合は、N位(又は9位ともいう。)又は3位で結合していることがより好ましい。
Ar101及びAr102がジベンゾフラン環の場合は、2位又は4位で結合していることがより好ましい。
また、上記の目的とは別に、有機EL素子を車内に積載して使用する用途などを考えた場合においては、社内の環境温度が高くなることが想定されるため、ホスト化合物のTgが高いことも好ましい。そこで、一般式(I)で表されるホスト化合物を高Tg化するという目的から、Ar101及びAr102により表される芳香環としては、各々3環以上の縮合環が好ましい一態様である。
3環以上が縮合した芳香族炭化水素縮合環としては、具体的には、ナフタセン環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、ヘキサセン環、フェナントレン環、ピレン環、ベンゾピレン環、ベンゾアズレン環、クリセン環、ベンゾクリセン環、アセナフテン環、アセナフチレン環、トリフェニレン環、コロネン環、ベンゾコロネン環、ヘキサベンゾコロネン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フルオランテン環、ペリレン環、ナフトペリレン環、ペンタベンゾペリレン環、ベンゾペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピラントレン環、コロネン環、ナフトコロネン環、オバレン環、アンスラアントレン環等が挙げられる。なお、これらの環は、更に上記の置換基を有していてもよい。
また、3環以上が縮合した芳香族複素環としては、具体的には、アクリジン環、ベンゾキノリン環、カルバゾール環、カルボリン環、フェナジン環、フェナントリジン環、フェナントロリン環、カルボリン環、サイクラジン環、キンドリン環、テペニジン環、キニンドリン環、トリフェノジチアジン環、トリフェノジオキサジン環、フェナントラジン環、アントラジン環、ペリミジン環、ジアザカルバゾール環(カルボリン環を構成する炭素原子の任意の一つが窒素原子で置き換わったものを表す)、フェナントロリン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、ナフトフラン環、ナフトチオフェン環、ベンゾジフラン環、ベンゾジチオフェン環、ナフトジフラン環、ナフトジチオフェン環、アントラフラン環、アントラジフラン環、アントラチオフェン環、アントラジチオフェン環、チアントレン環、フェノキサチイン環、チオファントレン環(ナフトチオフェン環)等が挙げられる。なお、これらの環は更に置換基を有していてもよい。
一般式(I)において、n101及びn102は、それぞれ独立に、0〜4の整数を表すが、0〜2の整数であることが好ましく、より好ましくはn101+n102が1〜3の整数である。また、R101が水素原子の場合にn101及びn102が同時に0であると、一般式(I)で表されるホスト化合物の分子量が小さく、低いTgしか達成できないため、R101が水素原子の場合にはn101は1〜4の整数を表す。
本発明においては、特に、ジベンゾフラン環とカルバゾール環とをともに有するホスト化合物が好ましい。
ホスト化合物としては、上記一般式(I)で表される化合物が、下記一般式(II)で表される化合物であることが好ましい。このような化合物は、特にキャリア輸送性に優れる傾向があるためである。
Figure 0006115395
一般式(II)中、X101、Ar101、Ar102及びn102は、上記一般式(I)におけるX101、Ar101、Ar102及びn102と同義である。
n102は、好ましくは0〜2の整数であり、より好ましくは0又は1である。
一般式(II)において、X101を含んで形成される縮合環は、Ar101及びAr102以外にも本発明のホスト化合物の機能を阻害しない範囲で更に置換基を有してもよい。
さらに、一般式(II)で表される化合物が、下記一般式(III−1)、(III−2)又は(III−3)で表されることが好ましい。
Figure 0006115395
一般式(III−1)〜(III−3)において、X101、Ar102及びn102は、上記一般式(II)におけるX101、Ar102及びn102と同義である。
一般式(III−1)〜(III−3)において、X101を含んで形成される縮合環、カルバゾール環及びベンゼン環は、本発明のホスト化合物の機能を阻害しない範囲で更に置換基を有してもよい。
以下に、ホスト化合物として、一般式(I)、(II)及び(III−1)〜(III−3)で表される化合物及びその他の構造からなる化合物例を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 0006115395
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本発明に用いられる好ましいホスト化合物は、昇華精製が可能な程度の分子量をもった低分子化合物であっても、繰り返し単位を有するポリマーであってもよい。
低分子化合物の場合、昇華精製が可能であるため精製が容易で、高純度の材料を得やすいという利点がある。分子量としては、昇華精製が可能な程度であれば特に制限はないが、好ましい分子量としては3000以下、より好ましくは2000以下である。
繰り返し単位を有するポリマー又はオリゴマーの場合は、ウェットプロセスで製膜しやすいという利点があり、また一般にポリマーはTgが高いため耐熱性の点でも好ましい。本発明においてホスト化合物として用いられるポリマーは、所望の素子性能が達成可能であれば特に制限はないが、好ましくは一般式(I)、(II)、(III−1)〜(III−3)の構造を主鎖若しくは側鎖に有するものが好ましい。分子量としては特に制限はないが、分子量5000以上が好ましく、若しくは繰り返し単位数が10以上のものが好ましい。
また、ホスト化合物は、正孔輸送能又は電子輸送能を有しつつ、かつ、発光の長波長化を防ぎ、更に、有機EL素子を高温駆動時や素子駆動中の発熱に対して安定して動作させる観点から、高いガラス転移温度(Tg)を有することが好ましい。好ましくはTgが90℃以上であり、より好ましくは120℃以上である。
ここで、ガラス転移点(Tg)とは、DSC(Differential Scanning Colorimetry:示差走査熱量法)を用いて、JIS K 7121に準拠した方法により求められる値である。
≪電子輸送層≫
本発明において電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する材料からなり、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよい。
本発明の電子輸送層の総層厚については特に制限はないが、通常は2nm〜5μmの範囲内であり、より好ましくは2〜500nmの範囲内であり、更に好ましくは5〜200nmの範囲内である。
また、有機EL素子においては発光層で生じた光を電極から取り出す際、発光層から直接取り出される光と、光を取り出す電極と対極に位置する電極によって反射されてから取り出される光とが干渉を起こすことが知られている。光が陰極で反射される場合は、電子輸送層の総層厚を数nm〜数μmの間で適宜調整することにより、この干渉効果を効率的に利用することが可能である。
一方で、電子輸送層の層厚を厚くすると電圧が上昇しやすくなるため、特に層厚が厚い場合においては、電子輸送層の電子移動度は1×10−5cm/Vs以上であることが好ましい。
電子輸送層に用いられる材料(以下、電子輸送材料という。)としては、電子の注入性又は輸送性、正孔の障壁性のいずれかを有していればよく、従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。
例えば、含窒素芳香族複素環誘導体(カルバゾール誘導体、アザカルバゾール誘導体(カルバゾール環を構成する炭素原子の一つ以上が窒素原子に置換されたもの)、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、ピリダジン誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、フェナントロリン誘導体、アザトリフェニレン誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ベンズオキサゾール誘導体、ベンズチアゾール誘導体等)、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、シロール誘導体、芳香族炭化水素環誘導体(ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、トリフェニレン等)等が挙げられる。
また、配位子にキノリノール骨格やジベンゾキノリノール骨格を有する金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることができる。
その他、メタルフリー若しくはメタルフタロシアニン、又はそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることができる。また、発光層の材料としても用いられるジスチリルピラジン誘導体も、電子輸送材料として用いることができるし、正孔注入層、正孔輸送層と同様にn型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
また、これらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
電子輸送層においては、電子輸送層にドープ材をゲスト材料としてドープして、n性の高い(電子リッチ)電子輸送層を形成してもよい。ドープ材としては、金属錯体やハロゲン化金属など金属化合物等のn型ドーパントが挙げられる。このような構成の電子輸送層の具体例としては、例えば、特開平4−297076号公報、同10−270172号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等の文献に記載されたものが挙げられる。
本発明の有機EL素子に用いられる、公知の好ましい電子輸送材料の具体例としては、以下の文献に記載の化合物等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
米国特許第6528187号明細書、米国特許第7230107号明細書、米国特許出願公開第2005/0025993号明細書、米国特許出願公開第2004/0036077号明細書、米国特許出願公開第2009/0115316号明細書、米国特許出願公開第2009/0101870号明細書、米国特許出願公開第2009/0179554号明細書、国際公開第2003/060956号、国際公開第2008/132085号、Appl.Phys.Lett. 75,4(1999)、Appl.Phys.Lett. 79,449(2001)、Appl.Phys.Lett. 81,162(2002)、Appl.Phys.Lett. 81,162(2002)、Appl.Phys.Lett. 79,156(2001)、米国特許第7964293号明細書、米国特許出願公開第2009/030202号明細書、国際公開第2004/080975号、国際公開第2004/063159号、国際公開第2005/085387号、国際公開第2006/067931号、国際公開第2007/086552号、国際公開第2008/114690号、国際公開第2009/069442号、国際公開第2009/066779号、国際公開第2009/054253号、国際公開第2011/086935号、国際公開第2010/150593号、国際公開第2010/047707号、欧州特許出願公開第2311826号明細書、特開2010−251675号公報、特開2009−209133号公報、特開2009−124114号公報、特開2008−277810号公報、特開2006−156445号公報、特開2005−340122号公報、特開2003−45662号公報、特開2003−31367号公報、特開2003−282270号公報、国際公開第2012/115034号等である。
本発明において、よりより好ましい電子輸送材料としては、少なくとも一つの窒素原子を含む芳香族複素環化合物が挙げられ、例えば、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、トリアジン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、アザジベンゾフラン誘導体、アザジベンゾチオフェン誘導体、カルバゾール誘導体、アザカルバゾール誘導体、ベンズイミダゾール誘導体等が挙げられる。
電子輸送材料は、単独で用いてもよく、また複数種を併用して用いてもよい。
≪正孔阻止層≫
正孔阻止層とは、広い意味では電子輸送層の機能を有する層であり、好ましくは電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が小さい材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
また、前述した電子輸送層の構成を必要に応じて、正孔阻止層として用いることができる。
本発明の有機EL素子に設ける正孔阻止層は、発光層の陰極側に隣接して設けられることが好ましい。
正孔阻止層の層厚としては、好ましくは3〜100nmの範囲内であり、更に好ましくは5〜30nmの範囲内である。
正孔阻止層に用いられる材料としては、前述の電子輸送層に用いられる材料が好ましく用いられ、また、前述のホスト化合物として用いられる材料も正孔阻止層に好ましく用いられる。
≪電子注入層≫
電子注入層(「陰極バッファー層」ともいう。)とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために陰極と発光層との間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されている。
本発明において、電子注入層は必要に応じて設け、上記のように陰極と発光層との間、又は陰極と電子輸送層との間に存在させてもよい。
電子注入層は、ごく薄い膜であることが好ましく、素材にもよるがその層厚は0.1〜5nmの範囲内が好ましい。また、構成材料が断続的に存在する不均一な膜であってもよい。
電子注入層は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、電子注入層に好ましく用いられる材料の具体例としては、ストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム等に代表されるアルカリ金属化合物、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム等に代表されるアルカリ土類金属化合物、酸化アルミニウムに代表される金属酸化物、リチウム8−ヒドロキシキノレート(Liq)等に代表される金属錯体等が挙げられる。また、前述の電子輸送材料を用いることも可能である。
また、上記の電子注入層に用いられる材料は単独で用いてもよく、複数種を併用して用いてもよい。
≪正孔輸送層≫
本発明において、正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する材料からなり、陽極より注入された正孔を発光層に伝達する機能を有していればよい。
本発明の正孔輸送層の総層厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μmの範囲内であり、より好ましくは2〜500nmの範囲内であり、更に好ましくは5〜200nmの範囲内である。
正孔輸送層に用いられる材料(以下、正孔輸送材料という)としては、正孔の注入性又は輸送性、電子の障壁性のいずれかを有していればよく、従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。
例えば、ポルフィリン誘導体、フタロシアニン誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、トリアリールアミン誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、イソインドール誘導体、アントラセンやナフタレン等のアセン系誘導体、フルオレン誘導体、フルオレノン誘導体や、ポリビニルカルバゾール、芳香族アミンを主鎖又は側鎖に導入した高分子材料又はオリゴマー、ポリシラン、導電性ポリマー又はオリゴマー(例えば、PEDOT:PSS、アニリン系共重合体、ポリアニリン、ポリチオフェン等)等が挙げられる。
トリアリールアミン誘導体としては、α−NPDに代表されるベンジジン型や、MTDATAに代表されるスターバースト型、トリアリールアミン連結コア部にフルオレンやアントラセンを有する化合物等が挙げられる。
また、特表2003−519432号公報や特開2006−135145号公報等に記載されているようなヘキサアザトリフェニレン誘導体も同様に正孔輸送材料として用いることができる。
さらに、不純物をドープしたp性の高い正孔輸送層を用いることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報の各公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
また、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.著文献(Applied Physics Letters 80(2002),p.139)に記載されているような、いわゆるp型正孔輸送材料やp型−Si、p型−SiC等の無機化合物を用いることもできる。さらに、Ir(ppy)に代表されるような中心金属にIrやPtを有するオルトメタル化有機金属錯体も好ましく用いられる。
正孔輸送材料としては、上記のものを使用することができるが、トリアリールアミン誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、アザトリフェニレン誘導体、有機金属錯体、芳香族アミンを主鎖又は側鎖に導入した高分子材料又はオリゴマー等が好ましく用いられる。
本発明の有機EL素子に用いられる、公知の好ましい正孔輸送材料の具体例としては、上記で挙げた文献の他、以下の文献に記載の化合物等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
例えば、Appl.Phys.Lett. 69,2160(1996)、J.Lumin. 72−74,985(1997)、Appl.Phys.Lett. 78,673(2001)、Appl.Phys.Lett. 90,183503(2007)、Appl.Phys.Lett. 90,183503(2007)、Appl.Phys.Lett. 51,913(1987)、Synth.Met. 87,171(1997)、Synth.Met. 91,209(1997)、Synth.Met. 111,421(2000)、SID Symposium Digest,37,923(2006)、J.Mater.Chem. 3,319(1993)、Adv.Mater. 6,677(1994)、Chem.Mater. 15,3148(2003)、米国特許出願公開第2003/0162053号明細書、米国特許出願公開第2002/0158242号明細書、米国特許出願公開第2006/0240279号明細書、米国特許出願公開第2008/0220265号明細書、米国特許第5061569号明細書、国際公開第2007/002683号、国際公開第2009/018009号、欧州特許出願公開第650955号明細書、米国特許出願公開第2008/0124572号明細書、米国特許出願公開第2007/0278938号明細書、米国特許出願公開第2008/0106190号明細書、米国特許出願公開第2008/0018221号明細書、国際公開第2012/115034号、特表2003−519432号公報、特開2006−135145号公報、米国特許出願公開2013/585981号明細書等である。
正孔輸送材料は単独で用いてもよく、また複数種を併用して用いてもよい。
《電子阻止層》
電子阻止層とは、広い意味では正孔輸送層の機能を有する層であり、好ましくは正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
また、前述した正孔輸送層の構成を必要に応じて、電子阻止層として用いることができる。
本発明の有機EL素子に設ける電子阻止層は、発光層の陽極側に隣接して設けられることが好ましい。
電子阻止層の層厚としては、好ましくは3〜100nmの範囲内であり、更に好ましくは5〜30nmの範囲内である。
電子阻止層に用いられる材料としては、前述の正孔輸送層に用いられる材料が好ましく用いられ、また、前述のホスト化合物として用いられる材料も電子阻止層に好ましく用いられる。
≪正孔注入層≫
正孔注入層(「陽極バッファー層」ともいう。)とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために陽極と発光層との間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されている。
本発明において、正孔注入層は必要に応じて設け、上記のように陽極と発光層又は陽極と正孔輸送層との間に存在させてもよい。
正孔注入層は、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、正孔注入層に用いられる材料としては、例えば前述の正孔輸送層に用いられる材料等が挙げられる。
中でも、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニン誘導体、特表2003−519432号公報や特開2006−135145号公報等に記載されているようなヘキサアザトリフェニレン誘導体、酸化バナジウムに代表される金属酸化物、アモルファスカーボン、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム錯体等に代表されるオルトメタル化錯体、トリアリールアミン誘導体等が好ましい。
前述の正孔注入層に用いられる材料は、単独で用いてもよく、また複数種を併用して用いてもよい。
《添加物》
前述した本発明における有機機能層は、更に他の添加物が含まれていてもよい。
添加物としては、例えば、臭素、ヨウ素及び塩素等のハロゲン元素やハロゲン化化合物、Pd、Ca、Na等のアルカリ金属やアルカリ土類金属、遷移金属の化合物や錯体、塩等が挙げられる。
添加物の含有量は、任意に決定することができるが、含有される層の全質量%に対して1000ppm以下であることが好ましく、より好ましくは500ppm以下であり、さらに好ましくは50ppm以下である。
ただし、電子や正孔の輸送性を向上させる目的や、励起子のエネルギー移動を有利にするための目的などによってはこの範囲内ではない。
≪有機機能層の形成方法≫
本発明に係る有機機能層(正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層等)の形成方法について説明する。
本発明に係る有機機能層の形成方法としては、特に制限はなく、従来公知の、例えば、真空蒸着法、湿式法(ウェットプロセスともいう。)等による形成方法を用いることができる。
湿式法としては、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、印刷法、ダイコート法、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法、カーテンコート法、LB法(ラングミュア−ブロジェット法)等があるが、均質な薄膜が得られやすく、かつ高生産性の点から、ダイコート法、ロールコート法、インクジェット法、スプレーコート法などのロール・ツー・ロール方式適性の高い方法が好ましい。
本発明に係る有機EL素子材料を溶解又は分散する液媒体としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル等の脂肪酸エステル類、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、トルエン、キシレン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素類、シクロヘキサン、デカリン、ドデカン等の脂肪族炭化水素類、DMF、DMSO等の有機溶媒を用いることができる。
また、分散方法としては、超音波、高剪断力分散やメディア分散等の分散方法により分散することができる。
さらに、層毎に異なる製膜法を適用してもよい。製膜に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度50〜450℃、真空度1×10−6〜1×10−2Pa、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−50〜300℃、層厚0.1nm〜5μm、好ましくは5〜200nmの範囲内で適宜選ぶことが望ましい。
本発明の有機機能層の形成は、1回の真空引きで一貫して正孔注入層から陰極まで作製するのが好ましいが、途中で取り出して異なる製膜法を施しても構わない。その際は作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
≪陽極≫
有機EL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上、好ましくは4.5V以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としては、Au等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(Indium Tin Oxide:ITO)、SnO、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。
陽極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度を余り必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。
あるいは、有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等の湿式製膜法を用いることもできる。
この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。
陽極の膜厚は材料にもよるが、通常10nm〜1μmの範囲内、好ましくは10〜200nmの範囲内で選ばれる。
≪陰極≫
陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第2金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。
陰極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μmの範囲内、好ましくは50〜200nmの範囲内で選ばれる。
なお、発光した光を透過させるため、有機EL素子の陽極又は陰極のいずれか一方が透明又は半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
また、陰極に上記金属を1〜20nmの膜厚で作製した後に、陽極の説明で挙げた導電性透明材料をその上に作製することで、透明又は半透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極と陰極との両方が透過性を有する素子を作製することができる。
≪支持基板≫
本発明の有機EL素子に用いることのできる支持基板(以下、基体、基板、基材、支持体等ともいう。)としては、ガラス、プラスチック等の種類には特に限定はなく、また透明であっても不透明であってもよい。支持基板側から光を取り出す場合には、支持基板は透明であることが好ましい。好ましく用いられる透明な支持基板としては、ガラス、石英、透明樹脂フィルムを挙げることができる。特に好ましい支持基板は、有機EL素子にフレキシブル性を与えることが可能な樹脂フィルムである。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリルあるいはポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)あるいはアペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等を挙げられる。
樹脂フィルムの表面には、無機物、有機物の被膜又はその両者のハイブリッド被膜が形成されていてもよく、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が0.01g/(m・24h)以下のガスバリアー性フィルムであることが好ましく、更には、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が1×10−3ml/(m・24h・atm)以下、及び水蒸気透過度が1×10−5g/(m・24h)以下の高ガスバリアー性フィルムであることが好ましい。
ガスバリアー膜を形成する材料としては、水分や酸素等の素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素等を用いることができる。さらに、該膜の脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
ガスバリアー膜の形成方法については特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができるが、特開2004−68143号公報に記載されているような大気圧プラズマ重合法によるものが特に好ましい。
不透明な支持基板としては、例えば、アルミ、ステンレス等の金属板、フィルムや不透明樹脂基板、セラミック製の基板等が挙げられる。
本発明の有機EL素子の発光の室温(25℃)における外部取り出し効率は、1%以上であることが好ましく、5%以上であるとより好ましい。
ここで、外部取り出し量子効率(%)=有機EL素子外部に発光した光子数/有機EL素子に流した電子数×100である。
また、カラーフィルター等の色相改良フィルター等を併用しても、有機EL素子からの発光色を、蛍光体を用いて多色へ変換する色変換フィルターを併用してもよい。
≪封止≫
本発明の有機EL素子の封止に用いられる封止手段としては、例えば、封止部材と、電極、支持基板とを接着剤で接着する方法を挙げることができる。封止部材としては、有機EL素子の表示領域を覆うように配置されていればよく、凹板状でも、平板状でもよい。また、透明性、電気絶縁性は特に限定されない。
具体的には、ガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等が挙げられる。ガラス板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。また、ポリマー板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を挙げることができる。金属板としては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブテン、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルからなる群から選ばれる1種以上の金属又は合金からなるものが挙げられる。
本発明においては、有機EL素子を薄膜化できるということからポリマーフィルム、金属フィルムを好ましく使用することができる。さらには、ポリマーフィルムはJIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が1×10−3ml/(m・24h・atm)以下、及びJIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度90±2%)が1×10−3g/(m・24h)以下のものであることが好ましい。
封止部材を凹状に加工するのは、サンドブラスト加工、化学エッチング加工等が使われる。
接着剤として具体的には、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型接着剤、2−シアノアクリル酸エステル等の湿気硬化型等の接着剤を挙げることができる。また、エポキシ系等の熱及び化学硬化型(2液混合)を挙げることができる。また、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンを挙げることができる。また、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を挙げることができる。
なお、有機EL素子が熱処理により劣化する場合があるので、室温(25℃)から80℃までに接着硬化できるものが好ましい。また、接着剤中に乾燥剤を分散させておいてもよい。
封止部分への接着剤の塗布は、市販のディスペンサーを使ってもよいし、スクリーン印刷のように印刷してもよい。
また、有機機能層を挟み、支持基板と対向する側の電極の外側に該電極と有機機能層を被覆し、支持基板と接する形で無機物、有機物の層を形成し封止膜とすることも好適にできる。この場合、該膜を形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素等を用いることができる。
さらに、該膜の脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることが好ましい。これらの膜の形成方法については特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。
封止部材と有機EL素子の表示領域との間隙には、気相及び液相では、窒素、アルゴン等の不活性気体やフッ化炭化水素、シリコンオイルのような不活性液体を注入することが好ましい。また、真空とすることも可能である。また、内部に吸湿性化合物を封入することもできる。
吸湿性化合物としては、例えば、金属酸化物(例えば、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等)、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸コバルト等)、金属ハロゲン化物(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、フッ化セシウム、フッ化タンタル、臭化セリウム、臭化マグネシウム、ヨウ化バリウム、ヨウ化マグネシウム等)、過塩素酸類(例えば、過塩素酸バリウム、過塩素酸マグネシウム等)等が挙げられ、硫酸塩、金属ハロゲン化物及び過塩素酸類においては無水塩が好適に用いられる。
≪保護膜、保護板≫
有機機能層を挟み、支持基板と対向する側の上記封止膜あるいは上記封止用フィルムの外側に、素子の機械的強度を高めるために、保護膜あるいは保護板を設けてもよい。特に、封止が封止膜により行われている場合には、その機械的強度は必ずしも高くないため、このような保護膜、保護板を設けることが好ましい。これに使用することができる材料としては、上記封止に用いたのと同様なガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等を用いることができるが、軽量かつ薄膜化ということからポリマーフィルムを用いることが好ましい。
≪光取り出し向上技術≫
有機EL素子は、空気よりも屈折率の高い(屈折率1.6〜2.1程度の範囲内)層の内部で発光し、発光層で発生した光のうち15〜20%程度の光しか取り出せないことが一般的に言われている。これは、臨界角以上の角度θで界面(透明基板と空気との界面)に入射する光は、全反射を起こし素子外部に取り出すことができないことや、透明電極又は発光層と透明基板との間で光が全反射を起こし、光が透明電極又は発光層を導波し、結果として、光が素子側面方向に逃げるためである。
この光の取り出しの効率を向上させる手法としては、例えば、透明基板表面に凹凸を形成し、透明基板と空気界面での全反射を防ぐ方法(例えば、米国特許第4774435号明細書)、基板に集光性を持たせることにより効率を向上させる方法(例えば、特開昭63−314795号公報)、素子の側面等に反射面を形成する方法(例えば、特開平1−220394号公報)、基板と発光体の間に中間の屈折率を持つ平坦層を導入し、反射防止膜を形成する方法(例えば、特開昭62−172691号公報)、基板と発光体との間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法(例えば、特開2001−202827号公報)、基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(基板と外界間を含む。)に回折格子を形成する方法(特開平11−283751号公報)などが挙げられる。
本発明においては、これらの方法を本発明の有機EL素子と組み合わせて用いることができるが、基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法、あるいは基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(基板と外界間を含む。)に回折格子を形成する方法を好適に用いることができる。
本発明は、これらの手段を組み合わせることにより、更に高輝度あるいは耐久性に優れた素子を得ることができる。
透明電極と透明基板との間に低屈折率の媒質を光の波長よりも長い厚さで形成すると、透明電極から出てきた光は、媒質の屈折率が低いほど、外部への取り出し効率が高くなる。
低屈折率層としては、例えば、エアロゲル、多孔質シリカ、フッ化マグネシウム、フッ素系ポリマーなどが挙げられる。透明基板の屈折率は一般に1.5〜1.7程度の範囲内であるので、低屈折率層は、屈折率がおよそ1.5以下であることが好ましい。さらには、1.35以下であることがより好ましい。
また、低屈折率媒質の厚さは、媒質中の波長の2倍以上となるのが望ましい。これは、低屈折率媒質の厚さが、光の波長程度になってエバネッセントで染み出した電磁波が基板内に入り込む膜厚になると、低屈折率層の効果が薄れるからである。
全反射を起こす界面又は、いずれかの媒質中に回折格子を導入する方法は、光取り出し効率の向上効果が高いという特徴がある。この方法は、回折格子が1次の回折や、2次の回折といった、いわゆるブラッグ回折により、光の向きを屈折とは異なる特定の向きに変えることができる性質を利用して、発光層から発生した光のうち、層間での全反射等により外に出ることができない光を、いずれかの層間若しくは、媒質中(透明基板内や透明電極内)に回折格子を導入することで光を回折させ、光を外に取り出そうとするものである。
導入する回折格子は、2次元的な周期屈折率を持っていることが望ましい。これは、発光層で発光する光はあらゆる方向にランダムに発生するので、ある方向にのみ周期的な屈折率分布を持っている一般的な1次元回折格子では、特定の方向に進む光しか回折されず、光の取り出し効率がさほど上がらない。
しかしながら、屈折率分布を2次元的な分布にすることにより、あらゆる方向に進む光が回折され、光の取り出し効率が上がる。
回折格子を導入する位置としては、いずれかの層間、若しくは媒質中(透明基板内や透明電極内)でもよいが、光が発生する場所である発光層の近傍が望ましい。このとき、回折格子の周期は、媒質中の光の波長の約1/2〜3倍程度の範囲内が好ましい。回折格子の配列は、正方形のラチス状、三角形のラチス状、ハニカムラチス状など、2次元的に配列が繰り返されることが好ましい。
≪集光シート≫
本発明の有機EL素子は、支持基板(基板)の光取出し側に、例えば、マイクロレンズアレイ上の構造を設けるように加工したり、あるいは、いわゆる集光シートと組み合わせることにより、特定方向、例えば、素子発光面に対し正面方向に集光することにより、特定方向上の輝度を高めることができる。
マイクロレンズアレイの例としては、基板の光取り出し側に一辺が30μmでその頂角が90度となるような四角錐を2次元に配列する。一辺は10〜100μmの範囲内が好ましい。これより小さくなると回折の効果が発生して色付き、大きすぎると厚さが厚くなり好ましくない。
集光シートとしては、例えば、液晶表示装置のLEDバックライトで実用化されているものを用いることが可能である。このようなシートとして、例えば、住友スリーエム社製輝度上昇フィルム(BEF)などを用いることができる。プリズムシートの形状としては、例えば、基材に頂角90度、ピッチ50μmの△状のストライプが形成されたものであってもよいし、頂角が丸みを帯びた形状、ピッチをランダムに変化させた形状、その他の形状であってもよい。
また、有機EL素子からの光放射角を制御するために光拡散板・フィルムを、集光シートと併用してもよい。例えば、(株)きもと製拡散フィルム(ライトアップ)などを用いることができる。
≪用途≫
本発明の有機EL素子は、表示デバイス、ディスプレイ、各種発光光源として用いることができる。
発光光源として、例えば、照明装置(家庭用照明、車内照明)、時計や液晶用バックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられ、これに限定するものではないが、特に液晶表示装置のバックライト、照明用光源としての用途に有効に用いることができる。
本発明の有機EL素子においては、必要に応じ、製膜時にメタルマスクやインクジェットプリンティング法等でパターニングを施してもよい。パターニングする場合は、電極のみをパターニングしてもよいし、電極と発光層とをパターニングしてもよいし、素子全層をパターニングしてもよく、素子の作製においては、従来公知の方法を用いることができる。
本発明の有機EL素子や本発明に係る化合物の発光する色は、「新編色彩科学ハンドブック」(日本色彩学会編、東京大学出版会、1985)の108頁の図4.16において、分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタ(株)製)で測定した結果をCIE色度座標に当てはめたときの色で決定される。
また、本発明の有機EL素子が白色素子の場合には、白色とは、2度視野角正面輝度を上記方法により測定した際に、1000cd/mでのCIE1931表色系における色度がX=0.33±0.07、Y=0.33±0.1の領域内にあることをいう。
≪表示装置≫
本発明の表示装置は、本発明の有機EL素子を具備したものである。本発明の表示装置は、単色でも多色でもよいが、ここでは多色表示装置について説明する。
多色表示装置の場合は、発光層形成時のみシャドーマスクを設け、一面に蒸着法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法又は印刷法等で膜を形成できる。
発光層のみパターニングを行う場合、その方法に限定はないが、好ましくは蒸着法、インクジェット法、スピンコート法及び印刷法である。
表示装置に具備される有機EL素子の構成は、必要に応じて、上記の有機EL素子の構成例の中から選択される。
また、有機EL素子の製造方法は、上記の本発明の有機EL素子の製造の一態様に示したとおりである。
このようにして得られた多色表示装置に直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として電圧2〜40V程度を印加すると発光が観測できる。また、逆の極性で電圧を印加しても電流は流れずに発光は全く生じない。さらに、交流電圧を印加する場合には、陽極が+、陰極が−の状態になったときのみ発光する。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
多色表示装置は、表示デバイス、ディスプレイ又は各種発光光源として用いることができる。表示デバイス又はディスプレイにおいて、青、赤及び緑発光の3種の有機EL素子を用いることによりフルカラーの表示が可能となる。
表示デバイス又はディスプレイとしては、テレビ、パソコン、モバイル機器、AV機器、文字放送表示及び自動車内の情報表示等が挙げられる。特に静止画像や動画像を再生する表示装置として使用してもよく、動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は単純マトリクス(パッシブマトリクス)方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでもよい。
発光光源としては、家庭用照明、車内照明、時計や液晶用のバックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
以下、本発明の有機EL素子を有する表示装置の一例を図面に基づいて説明する。
図2は、有機EL素子から構成される表示装置の一例を示した模式図である。有機EL素子の発光により画像情報の表示を行う、例えば、携帯電話等のディスプレイの模式図である。
ディスプレイ1は、複数の画素を有する表示部A、画像情報に基づいて表示部Aの画像走査を行う制御部B、表示部Aと制御部Bとを電気的に接続する配線部C等を有する。
制御部Bは、配線部Cを介して、表示部Aと電気的に接続され、複数の画素それぞれに外部からの画像情報に基づいて走査信号と画像データ信号を送り、走査信号により走査線ごとの画素が画像データ信号に応じて順次発光して画像走査を行って画像情報を表示部Aに表示する。
図3は、アクティブマトリクス方式による表示装置の模式図である。
表示部Aは、基板上に、複数の走査線5及びデータ線6を含む配線部Cと複数の画素3等とを有する。表示部Aの主要な部材の説明を以下に行う。
図3においては、画素3の発光した光が白矢印方向(下方向)へ取り出される場合を示している。
配線部の走査線5及び複数のデータ線6は、それぞれ導電材料からなり、走査線5とデータ線6は格子状に直交して、直交する位置で画素3に接続している(詳細は図示していない)。
画素3は、走査線5から走査信号が印加されると、データ線6から画像データ信号を受け取り、受け取った画像データに応じて発光する。
発光の色が赤領域の画素、緑領域の画素、青領域の画素を適宜同一基板上に並置することによって、フルカラー表示が可能となる。
次に、画素の発光プロセスを説明する。
図4は、画素の回路を示した概略図である。
画素は、有機EL素子10、スイッチングトランジスタ11、駆動トランジスタ12、コンデンサー13等を備えている。複数の画素に有機EL素子10として、赤色、緑色及び青色発光の有機EL素子を用い、これらを同一基板上に並置することでフルカラー表示を行うことができる。
図4において、制御部Bからデータ線6を介してスイッチングトランジスタ11のドレインに画像データ信号が印加される。そして、制御部Bから走査線5を介してスイッチングトランジスタ11のゲートに走査信号が印加されると、スイッチングトランジスタ11の駆動がオンし、ドレインに印加された画像データ信号がコンデンサー13と駆動トランジスタ12のゲートに伝達される。
画像データ信号の伝達により、コンデンサー13が画像データ信号の電位に応じて充電されるとともに、駆動トランジスタ12の駆動がオンする。駆動トランジスタ12は、ドレインが電源ライン7に接続され、ソースが有機EL素子10の電極に接続されており、ゲートに印加された画像データ信号の電位に応じて電源ライン7から有機EL素子10に電流が供給される。
制御部Bの順次走査により走査信号が次の走査線5に移ると、スイッチングトランジスタ11の駆動がオフする。しかし、スイッチングトランジスタ11の駆動がオフしてもコンデンサー13は充電された画像データ信号の電位を保持するので、駆動トランジスタ12の駆動はオン状態が保たれて、次の走査信号の印加が行われるまで有機EL素子10の発光が継続する。順次走査により次に走査信号が印加されたとき、走査信号に同期した次の画像データ信号の電位に応じて駆動トランジスタ12が駆動して有機EL素子10が発光する。
すなわち、有機EL素子10の発光は、複数の画素それぞれの有機EL素子10に対して、アクティブ素子であるスイッチングトランジスタ11と駆動トランジスタ12を設けて、複数の画素3それぞれの有機EL素子10の発光を行っている。このような発光方法をアクティブマトリクス方式と呼んでいる。
ここで、有機EL素子10の発光は、複数の階調電位を持つ多値の画像データ信号による複数の階調の発光でもよいし、2値の画像データ信号による所定の発光量のオン、オフでもよい。また、コンデンサー13の電位の保持は次の走査信号の印加まで継続して保持してもよいし、次の走査信号が印加される直前に放電させてもよい。
本発明においては、上述したアクティブマトリクス方式に限らず、走査信号が走査されたときのみデータ信号に応じて有機EL素子を発光させるパッシブマトリクス方式の発光駆動でもよい。
図5は、パッシブマトリクス方式による表示装置の模式図である。
図5において、複数の走査線5と複数の画像データ線6が画素3を挟んで対向して格子状に設けられている。
順次走査により走査線5の走査信号が印加されたとき、印加された走査線5に接続している画素3が画像データ信号に応じて発光する。
パッシブマトリクス方式では画素3にアクティブ素子がなく、製造コストの低減が計れる。
以上の表示装置に、本発明の有機EL素子を適用すれば、発光効率が向上した表示装置を得ることができる。
≪照明装置≫
本発明の照明装置について説明する。
本発明の照明装置は、上記有機EL素子を有する。本発明の有機EL素子は、共振器構造を持たせた有機EL素子として用いてもよい。このような共振器構造を有した有機EL素子の使用目的としては、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるが、これらに限定されない。また、レーザー発振をさせることにより上記用途に使用してもよい。
また、本発明の有機EL素子は、照明用や露光光源のような一種のランプとして使用してもよいし、画像を投影するタイプのプロジェクション装置や、静止画像や動画像を直接視認するタイプの表示装置(ディスプレイ)として使用してもよい。
動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は、パッシブマトリクス方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでもよい。又は、異なる発光色を有する本発明の有機EL素子を2種以上使用することにより、フルカラー表示装置を作製することが可能である。
また、本発明のTADF化合物及びリン光発光性金属錯体は、照明装置として、実質的に白色の発光を生じる有機EL素子に適用できる。複数の発光材料(TADF化合物及びリン光発光性金属錯体)により複数の発光色を同時に発光させて、混色することで白色発光を得ることができる。複数の発光色の組み合わせとしては、赤色、緑色及び青色の3原色の三つの発光極大波長を含有させたものでもよいし、青色と黄色、青緑と橙色等の補色の関係を利用した二つの発光極大波長を含有したものでもよい。
また、本発明の有機EL素子の形成方法は、発光層、正孔輸送層あるいは電子輸送層等の形成時のみマスクを設け、マスクにより塗り分ける等単純に配置するだけでよい。他層は共通であるのでマスク等のパターニングは不要であり、一面に蒸着法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法及び印刷法等で、例えば、電極膜を形成でき、生産性も向上する。
この方法によれば、複数色の発光素子をアレー状に並列配置した白色有機EL装置と異なり、素子自体が発光白色である。
≪本発明の照明装置の一態様≫
本発明の有機EL素子を具備した、本発明の照明装置の一態様について説明する。
本発明の有機EL素子の非発光面をガラスケースで覆い、厚さ300μmのガラス基板を封止用基板として用いて、周囲にシール材として、エポキシ系光硬化型接着剤(東亞合成社製ラックストラックLC0629B)を適用し、これを陰極上に重ねて透明支持基板と密着させ、ガラス基板側からUV光を照射して、硬化させて、封止し、図9及び図10に示すような照明装置を形成することができる。
図6は、照明装置の概略図を示し、本発明の有機EL素子101はガラスカバー102で覆われている(なお、ガラスカバーでの封止作業は、有機EL素子101を大気に接触させることなく、窒素雰囲気下のグローブボックス(純度99.999%以上の高純度窒素ガスの雰囲気下)で行った。)。
図7は、照明装置の断面図を示し、図7中、105は陰極、106は有機機能層、107は透明電極付きガラス基板を示す。なお、ガラスカバー102内には窒素ガス108が充填され、捕水剤109が設けられている。
以上の照明装置に、本発明の有機EL素子を適用すれば、発光効率が向上した照明装置を得ることができる。
≪インピーダンス分光測定よる薄膜抵抗値の測定例≫
インピーダンス分光(Impedance Spectroscopy:IS)法は、微小正弦波電圧信号を有機EL素子に印加し、その応答電流信号の振幅と位相からインピーダンスを算出し、印加電圧信号の周波数の関数として得られるインピーダンススペクトルから、有機EL素子の微妙な物性変化を解析できる手法である。有機EL素子を破壊することなく高感度の抵抗値(R)及び静電容量(C)を計測できることが特徴である。
印加電圧信号の周波数をパラメータとし、得られたインピーダンス(Z)を複素平面上に表示したものをCole−Coleプロットと呼ぶ。さらに、このインピーダンスから、基本的な伝達関数であるモジュラス(M)、アドミタンス(Y)、誘電率(ε)を得ることができる(『薄膜の評価ハンドブック』テクノシステム社刊423〜425ページ参照)。例えば、モジュラスは、次式により求められる。
M=jωZ
式中、jは虚数単位、ω=2πf(fは周波数)を表している。
これら四つの伝達関数から、解析目的に適した伝達関数を適宜選択することができるが、有機EL素子の評価においては、モジュラスを複素平面上にプロットしたMプロットが多く用いられている。
本発明においては、静電容量成分の逆数がわかるMプロット(M−plot)を採用した。このM−plotでは、ほぼ円弧部の直径はその対応する層の静電容量の逆数であるから、層厚に比例するので、層厚のズレも検出可能となる。
また、IS法の解析ではCole−Coleプロットの軌跡から有機EL素子の等価回路を推定し、その等価回路から計算したCole−Coleプロットの軌跡と測定データとを一致させ、等価回路を決定することが一般的である。
IS測定は、例えば、Solartron社製ソーラトロン1260型インピーダンスアナライザ及び1296型誘電率測定インターフェースを用い、直流電圧に30〜100mVrmsの交流(周波数範囲は0.1mHz〜10MHz)を重畳して行うことができる。
等価回路解析には、Scribner Associates社製のZViewを用いることができる。
有機EL素子(素子構成「ITO/HIL(正孔注入層)/HTL(正孔輸送層)/EML(発光層)/ETL(電子輸送層)/EIL(電子注入層)/Al」)に対してインピーダンス分光法を適用し、特定の層の抵抗値を求める手法を説明する。
例えば、電子輸送層(ETL)の抵抗値を計測する場合、ETLの厚さだけを変更した素子を作製し、それぞれのM−plotを比較することで、該プロットにより描き出される曲線のどの部分がETLに相当するかを確定することができる。
図8は電子輸送層の層厚違いのM−plotの一例である。層厚が各々30nm、45nm及び60nmの場合の例を示す。なお、縦軸は虚数部M”(1/nF)を、横軸は実数部M’(1/nF)をそれぞれ表している。
このプロットから求めた抵抗値(R)をETLの層厚に対してプロットしたのが図9である。ETLの層厚と抵抗値(Resistance)との関係が、ほぼ直線上に乗ることから、各層厚での抵抗値を決定することができる。
素子構成「ITO/HIL/HTL/EML/ETL/Al」の有機EL素子を等価回路モデル(図10)として各層を解析した結果が図11である。図11は、各層の抵抗−電圧の関係を示す一例である。
これに対し、同じ有機EL素子を長時間発光させて劣化させた後に、同じ条件で測定し、それらを重ね合わせたのが図12であり、電圧1Vにおけるそれぞれの値を表1にまとめた。図12は、劣化後の有機EL素子の解析結果を示す一例である。
Figure 0006115395
劣化後の有機EL素子においては、ETLのみが劣化により抵抗値が大きく上昇し、DC電圧1Vにおいて、約30倍の抵抗値になっていることがわかる。
以上の手法を用いることで、本発明の実施例に記載した通電前後での抵抗変化の計測が可能となる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量%」を表す。
[実施例1]
≪有機EL素子の作製≫
<有機EL素子101の作製>
50mm×50mm、厚さ0.7mmのガラス基板上に、陽極としてITO(インジウム・スズ酸化物)を150nmの厚さで製膜し、パターニングを行った後、このITO透明電極を付けた透明基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った後、この透明基板を市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定した。
真空蒸着装置内の蒸着用るつぼの各々に、各層の構成材料を、各々素子作製に最適の量を充填した。蒸着用るつぼは、モリブデン製又はタングステン製の抵抗加熱用材料で作製されたものを用いた。
真空度1×10−4Paまで減圧した後、銅フタロシアニンの入った蒸着用るつぼに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒でITO透明電極上に蒸着し、層厚10nmの正孔注入層を形成した。
次に、下記に示すα−NPDの入った蒸着用るつぼに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒でITO透明電極上に蒸着し、層厚30nmの正孔輸送層を形成した。
Figure 0006115395
次いで、ホスト化合物としてH−159と、下記に示す比較化合物C−1を、それぞれ95質量%、5質量%になるように、蒸着速度0.1nm/秒で共蒸着し、層厚40nmの発光層を形成した。
Figure 0006115395
その後、上記TPBiを蒸着速度0.1nm/秒で蒸着し、層厚40nmの電子輸送層を形成した。さらに、フッ化リチウムを膜厚0.8nmで形成した後に、アルミニウムを厚さ100nmで蒸着して陰極を形成した。
上記素子の非発光面側を、純度99.999%以上の高純度窒素ガスの雰囲気下で、缶状ガラスケースで覆い、電極取り出し配線を設置して、有機EL素子101を作製した。
<有機EL素子102及び103の作製>
有機EL素子101の作製において、金属錯体を表2に示すように変更した以外は同様にして、有機EL素子102及び103を作製した。
≪有機EL素子の評価≫
作製した各有機EL素子について、以下のようにして評価した。
(1)発光輝度(発光効率)の測定
作製した各有機EL素子について、室温(約25℃)で、2.5mA/cmの定電流条件下で発光させ、発光開始直後の発光輝度を、分光放射輝度計CS−2000(コニカミノルタ社製)を用いて測定した。
次いで、有機EL素子101の発光輝度を100とした相対発光輝度を求め、これを発光効率(外部量子効率)の尺度とした。表中、数値が大きいほど、発光効率に優れていることを表す。
結果を表2に示す。
(2)初期駆動電圧の測定
作製した各有機EL素子について、室温(約25℃)で、分光放射輝度計CS−2000(コニカミノルタ社製)を用いて、各サンプルの発光輝度を測定し、発光輝度1000cd/mにおける初期駆動電圧(V)を求めた。
結果を表2に示す。なお、各有機EL素子の初期駆動電圧は、有機EL素子101の初期駆動電圧を100とする相対値で示している。表中、数値が小さいほど、初期駆動電圧が低いことを表す。
(3)有機EL素子駆動前後の抵抗値の変化率
作製した各有機EL素子について、『薄膜の評価ハンドブック』(テクノシステム社刊423〜425ページ)に記載の測定方法を参考に、Solartron社製1260型インピーダンスアナライザ及び1296型誘電体インターフェースを使って、作製した有機EL素子の発光層のバイアス電圧1Vにおける抵抗値の測定を行った。
各有機EL素子を、室温(25℃)、2.5mA/cmの定電流条件下により1000時間駆動した後の駆動前後の発光層の抵抗値を各々測定し、測定結果を下記に示した計算式により計算し抵抗値の変化率を求めた。
駆動前後の抵抗値の変化率=|(駆動後の抵抗値/駆動前の抵抗値)−1|×100
値が0に近い方が駆動前後の変化率が小さいことを表す。
結果を表2に示す。なお、各有機EL素子の抵抗値の変化率は、有機EL素子101の抵抗値の変化率を100とする相対値で示している。
Figure 0006115395
(4)まとめ
表2から明らかなように、本発明の有機EL素子103は、比較例の有機EL素子101及び102と比較して、発光効率、初期駆動電圧及び抵抗値の変化率ともに優れていることがわかる。
[実施例2]
実施例1における有機EL素子101の作製において、電子輸送層の化合物を下記に示すBCPに変更し、金属錯体を表3に示すものに変更した以外は同様にして、有機EL素子201〜203を作製し、実施例1と同様の評価を行った。
Figure 0006115395
Figure 0006115395
結果を表3に示す。なお、各有機EL素子の発光効率等は、有機EL素子201の発光効率等を100とする相対値で示している。
Figure 0006115395
表3から明らかなように、本発明の有機EL素子203は、比較例の有機EL素子201及び202と比較して、発光効率、初期駆動電圧及び抵抗値の変化率ともに優れていることがわかる。
[実施例3]
実施例1における有機EL素子101の作製において、正孔輸送層の化合物を下記に示すTPDに変更し、金属錯体を表4に示すものに変更した以外は同様にして、有機EL素子301〜303を作製し、実施例1と同様の評価を行った。
Figure 0006115395
Figure 0006115395
結果を表4に示す。なお、各有機EL素子の発光効率等は、有機EL素子301の発光効率等を100とする相対値で示している。
Figure 0006115395
表4から明らかなように、本発明の有機EL素子303は、比較例の有機EL素子301及び302と比較して、発光効率、初期駆動電圧及び抵抗値の変化率ともに優れていることがわかる。
[実施例4]
実施例3における有機EL素子301の作製において、電子輸送層の化合物を上記BCPに変更し、金属錯体を表5に示すものに変更した以外は同様にして、有機EL素子401〜403を作製し、実施例1と同様の評価を行った。
Figure 0006115395
結果を表5に示す。なお、各有機EL素子の発光効率等は、有機EL素子401の発光効率等を100とする相対値で示している。
Figure 0006115395
表5から明らかなように、本発明の有機EL素子403は、比較例の有機EL素子401及び402と比較して、発光効率、初期駆動電圧及び抵抗値の変化率ともに優れていることがわかる。
以上の実施例1〜4から、金属錯体及び金属錯体の配位子それぞれについて、汎関数としてB3LYP及び基底関数として6−31G(d)又はSDDを用いた分子軌道計算によって構造最適化した際に得られるHOMOとLUMOとの電子密度分布が、いずれも実質的に分離しており、中心金属が、亜鉛又2族元素である金属錯体が、発光効率を向上させ、初期駆動電圧を低減させるとともに、経時による発光特性の変化が少ない安定性の優れた有機EL素子を提供するのに有用であることが確認できた。
[実施例5]
実施例1における有機EL素子101の作製において、ホスト化合物を下記に示すCBPに変更し、金属錯体を表6に示すものに変更した以外は同様にして、有機EL素子501〜503を作製し、実施例1と同様の評価を行った。
Figure 0006115395
結果を表6に示す。なお、各有機EL素子の発光効率等は、有機EL素子501の発光効率等を100とする相対値で示している。
Figure 0006115395
表6から明らかなように、有機EL素子502及び503は、有機EL素子501と比較して、発光効率、初期駆動電圧及び抵抗値の変化率ともに優れていることがわかる。
以上から、中心金属が亜鉛、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム又はバリウムのいずれかである金属錯体が、より発光効率、初期駆動電圧、経時安定性に優れた有機EL素子を提供するのに有用であることが確認できた。
1 ディスプレイ
3 画素
5 走査線
6 データ線
7 電源ライン
10 有機EL素子
11 スイッチングトランジスタ
12 駆動トランジスタ
13 コンデンサー
101 有機EL素子
102 ガラスカバー
105 陰極
106 有機機能層
107 透明電極付きガラス基板
108 窒素ガス
109 捕水剤
A 表示部
B 制御部
C 配線部

Claims (11)

  1. 基板上に、対となる電極と、金属錯体を含有する発光層を含む、少なくとも1層の有機機能層とを有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
    前記金属錯体及び前記金属錯体の配位子それぞれについて、汎関数としてB3LYP及び基底関数として6−31G(d)又はSDDを用いた分子軌道計算によって構造最適化した際に得られるHOMOとLUMOとの電子密度分布が、いずれも実質的に分離しており、かつ、
    前記金属錯体の中心金属が、亜鉛又は2族元素であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 前記金属錯体の配位子が、電子吸引性基と電子供与性基とを有することを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 前記金属錯体が、下記一般式(1)で表される部分構造を有する化合物であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 0006115395
    (一般式(1)中、EWGは電子吸引性基を表し、EDGは電子供与性基を表す。Arは、直接結合又は連結基を表す。Yは、炭素原子又は窒素原子を表す。Z及びZは、それぞれ独立に、芳香環又は非芳香族環を表す。Mは、亜鉛又は2族元素を表す。m及びnは、それぞれ独立に、1〜6の整数を表す。pは、0又は1を表す。)
  4. 前記金属錯体が、下記一般式(2)で表される部分構造を有する化合物であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 0006115395
    (一般式(2)中、EWGは電子吸引性基を表し、EDGは電子供与性基を表す。Arは、直接結合又は連結基を表す。Yは、炭素原子又は窒素原子を表す。Z及びZは、それぞれ独立に、芳香環又は非芳香族環を表す。Mは、亜鉛又は2族元素を表す。m及びnは、それぞれ独立に、1〜6の整数を表す。pは、0又は1を表す。)
  5. 前記金属錯体が、下記一般式(3)で表される部分構造を有する化合物であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 0006115395
    (一般式(3)中、EWGは電子吸引性基を表し、EDGは電子供与性基を表す。Arは、直接結合又は連結基を表す。Yは、炭素原子又は窒素原子を表す。Z及びZは、それぞれ独立に、芳香環又は非芳香族環を表す。Mは、亜鉛又は2族元素を表す。m及びnは、それぞれ独立に、1〜6の整数を表す。pは、0又は1を表す。)
  6. 前記金属錯体が、下記一般式(4)で表される部分構造を有する化合物であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 0006115395
    (一般式(4)中、EWGは電子吸引性基を表し、EDGは電子供与性基を表す。Arは、直接結合又は連結基を表す。Yは、炭素原子又は窒素原子を表す。Z及びZは、それぞれ独立に、芳香環又は非芳香族環を表す。Mは、亜鉛又は2族元素を表す。m及びnは、それぞれ独立に、1〜6の整数を表す。pは、0又は1を表す。)
  7. 前記中心金属が、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム又はバリウムのいずれかであることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  8. 前記金属錯体における最低励起一重項状態と最低三重項励起状態とのエネルギー差ΔEstが、配位子単独における最低励起一重項状態と最低三重項励起状態とのエネルギー差ΔEst以下であることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  9. 有機エレクトロルミネッセンス素子に用いられる有機エレクトロルミネッセンス素子用金属錯体であって、
    前記金属錯体及び前記金属錯体の配位子それぞれについて、汎関数としてB3LYP及び基底関数として6−31G(d)又はSDDを用いた分子軌道計算によって構造最適化した際に得られるHOMOとLUMOとの電子密度分布が、いずれも実質的に分離しており、
    前記金属錯体の中心金属が、亜鉛又は2族元素であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子用金属錯体。
  10. 請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えたことを特徴とする表示装置。
  11. 請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えたことを特徴とする照明装置。
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