JP6113425B2 - 焼却炉の空冷壁表面温度の制御方法および該制御方法を用いた焼却炉 - Google Patents
焼却炉の空冷壁表面温度の制御方法および該制御方法を用いた焼却炉 Download PDFInfo
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Description
(i)従来、空冷壁部に流す冷却空気量は、ごみ質の品位が高い場合、すなわち一次燃焼室ガス温度が高くなる場合に、空冷壁表面温度がクリンカの生成・付着を防止できる温度以下となるように決定し、ごみ質の変動にかかわらず、一定量・一定温度の冷却空気を空冷壁部に供給していた。しかし、この方法では、ごみ質の品位が低い場合、すなわち燃焼ガス温度が低く、クリンカ対策のための空冷壁部冷却を必要としない場合にも、空冷壁空気との熱交換により空冷壁表面温度が下がり、一次燃焼室温度が低下するため、ごみの自立燃焼の阻害や、ごみの燃焼速度の低下が生じ、大きな課題となっていた。
(ii)上記図6に示すような構成にあっても、ゴミの焼却効率を高めるために燃え切り位置を適当な位置に調節するために、クリンカ対策のための空冷壁部冷却を必要としない場合にも、冷却空気が空冷壁部に供給され、ごみの自立燃焼の阻害や、ごみの燃焼速度の低下の誘因となる可能性があった。また、燃焼帯での燃え切り位置の検出手段の開示はあるが、空冷壁表面温度を検出できる手段の開示はなく、クリンカ対策については十分対応することができないという課題があった。
(iii)さらに、燃焼ガス温度の低下は、ダイオキシン類発生抑制に有効である必要な燃焼ガス温度やガス滞留時問を確保することができなくなることから、燃焼ガス温度を上げるために、化石燃料等による追加的な助燃が必要となるとの課題があった。
燃焼室の周囲に空冷壁を備えた焼却炉において、導入される焼却ごみのごみ質が(1)高位の場合,(2)中位の場合および(3)低位の場合に対応して、
燃焼室内に供給される燃焼空気の供給量,温度および供給位置が設定され、最適条件で燃焼・焼却処理されるとともに、空冷壁の表面温度が高温にならないように該空冷壁の内部に冷却用空気が導入され、
前記空冷壁に供給される冷却用空気の導入量あるいはこれと同時に冷却用空気の温度が、ごみ質に対応して
(1)高位の場合あるいは低位の場合、冷却用空気の導入量がごみの発熱量を指標として制御され、
(2)中位の場合、冷却用空気の導入量あるいは導入される冷却用空気の加熱温度が、燃焼室のガス温度または空冷壁の表面温度あるいはこれらの組合せを指標として制御される、
ことを特徴とする。
焼却炉の運転条件は、通常燃焼室の最適燃焼条件を維持するために、導入される燃焼ごみのごみ質についても所定の範囲内に設定される。従って、空冷壁表面温度の調整操作も冷却用空気の導入量のみで十分対応することができる。しかしながら、多種の原料から形成される燃焼ごみにおいては、部分的に設定範囲を外れた品位の低いごみ質となる場合がある。こうした場合には、上記の設定範囲を超え、冷却用空気の停止のみで十分対応することが難しい可能性がある。本発明は、こうした条件にも対応可能なように、冷却用空気の導入量の制御・調整に代えて、あるいはこれと同時に、冷却用空気の温度を制御することによって、設定範囲を外れた品位の低いごみ質となる場合であっても、空冷壁のより適切な温度管理を行い、クリンカの生成・付着の防止を図るとともに、エネルギー使用量の削減、設備の簡略化を図ることができる。
焼却炉に導入される燃焼ごみのごみ質は、導入される燃焼ごみ自体を特定の検出手段で測定することは難しい。一方、ごみ質とごみの発熱量は、焼却炉に導入・排出されるエネルギーとして所定の相関関係があることから、ごみ質を、定量的にごみの発熱量として代表させること可能である。また、ごみの発熱量は、燃焼空気の供給量および燃焼空気の温度を所定値に設定すれば、焼却炉に付加されたボイラの蒸発量と所定の相関関係があることから、実測可能なボイラの蒸発量から導入されたごみの発熱量を演算することができる。具体的には、前記焼却炉にボイラが付加された構成において、前記ごみの発熱量として、燃焼空気の供給量,燃焼空気の温度および焼却炉に付加されたボイラの蒸発量の各値から下式1に基づき計算された値を用いることができる。
ごみの発熱量=A×(ボイラの蒸発量/ごみの導入量)+B ・・(式1)
なお、式中の係数AおよびBは、燃焼空気の供給量、燃焼空気の温度、ボイラ出口のガス温度、焼却損失の影響を受ける値で、焼却炉およびボイラ周りの熱収支を基に、焼却炉ごとに設定することができる。
本発明は、こうした関係を利用し、焼却炉の空冷壁表面温度の制御方法として、指標となるごみの発熱量をボイラの蒸発量,燃焼空気の供給量および燃焼空気の温度の値から分散的に演算することが好ましいことを見出したもので、従前把握することが困難であったごみ質の品位を定量的に捉えることが可能となった。つまり、簡易な演算処理によって得られたごみの発熱量を指標として、空冷壁のより適切な温度管理を行い、クリンカの生成・付着の防止を図るとともに、エネルギー使用量の削減、設備の簡略化を図ることが可能となった。
上記のように、冷却用空気の温度を制御することは、クリンカの生成・付着の防止を図るための有用な方法である。本発明は、こうした冷却用空気の加温を、別途加熱手段を設けるのではなく、焼却炉の空冷壁から供出された冷却用空気の温熱を利用して行なうものであり、空冷壁のより適切な温度管理を行い、クリンカの生成・付着の防止を図るとともに、さらにエネルギー使用量の削減、設備の簡略化を図ることができる。
こうした構成の焼却炉において、上記いずれかの制御方法を用いることによって、空冷壁のより適切な温度管理を行い、クリンカの生成・付着の防止を図るとともに、エネルギー使用量の削減、設備の簡略化を図ることができる。
空冷壁の表面温度を直接検出するには、高温の燃焼室に検出手段を配設することが必要となるともに、導入されたごみの影響の防止や指標とする代表値の設定あるいは耐久性等、所定の要件が課されることから、実機での設置は難しい場合が多い。本発明は、これに代えて、空冷壁から供出された冷却用空気の温度を検出することによって、空冷壁の表面温度を代表する温度として空冷壁のより適切な温度管理を行い、クリンカの生成・付着の防止を図るとともに、さらにエネルギー使用量の削減、設備の簡略化を図ることができる。また、冷却用空気の供出部の位置を任意に設定することによって、空冷壁の表面温度を代表する温度条件に設定することが可能である。
こうした構成によって、空冷壁から供出された冷却用空気の温熱を利用して空冷壁に導入される冷却用空気を加温し、空冷壁の適切な温度管理を行い、クリンカの生成・付着の防止を図るとともに、さらにエネルギー使用量の削減、設備の簡略化を図ることができる。
本装置の実施態様として、基本的な概略全体構成を、図1に示す。本装置は、焼却炉本体1の燃焼室2の周囲に空冷壁3を備え、空冷壁3に供給される冷却用空気の供給流路4および供出流路5を備える。供給流路4には、冷却用空気を給送する空冷用フアン6,冷却用空気の流量を調整する空冷用ダンパ7および空冷用流量計8が設けられる。なお、各要素の配置および順序は、その機能させ確保できれば、限定されないことはいうまでもなく、供給流路4ではなく、供出流路5に設けることも可能である。本装置において、焼却炉本体1に供給される焼却ごみの供給量およびごみ質に応じて、燃焼室2内に供給される燃焼空気の供給量,温度および供給位置が設定され、最適条件で燃焼・焼却処理される。空冷壁3は、燃焼室2の内周に設けられ、表面温度が高温にならないように空冷壁の内部に冷却用空気が導入される。燃焼によって発生する焼却灰や未燃分が、局所的な高温燃焼等により燃焼室2の内壁にクリンカとして溶融付着し、固化することを防止する。
次に、図1に係る本装置を用いた空冷壁表面温度の制御方法(以下「本制御方法」という)を、図2に基づいて詳述する。本制御方法は、本装置において、以下のように、導入される焼却ごみのごみ質が(1)高位の場合,(2)中位の場合および(3)低位の場合に対応して、該ごみの発熱量,燃焼室2のガス温度および空冷壁3の表面温度のうち、そのいずれかあるいはいくつかの組合せを指標として、空冷壁3に供給される冷却用空気の導入量が制御・調整される。空冷壁のより適切な温度管理を行うことができ、クリンカの生成・付着の防止を図るとともに、エネルギー使用量の削減、設備の簡略化を図ることができる。
焼却ごみの品位が高位の場合、具体的には、ごみ発熱量が例えば10,000KJ/Kg程度以上の場合、比較的高温条件で燃焼され、焼却処理される。そのため、燃焼室2内全体が高温条件となることから、空冷壁3の表面温度も高くなり、クリンカの生成原因をなる焼却灰や未燃分の発生が生じやすいことから、クリンカの生成・付着を防止するために、空冷壁3を適切に冷却する必要がある。従って、空冷壁3への冷却用空気の導入量は、従前と同様、略一定条件で、空冷壁3の表面温度の過熱を防止する制御が好適であることを見出した。具体的には、図1に例示する本装置の構成において、空冷ファン6の駆動/停止、あるいは空冷用ダンパ7を開/閉によって、空冷用流量計8が略一定範囲内の流量となるように制御することが好適である。空冷用ダンパ7を全開状態とし、空冷ファン6の最大負荷状態において最大流量によって最大冷却能力が機能する。図2に例示するように、ごみ質が高位Hにおいて、空冷壁3の表面温度が、冷却用空気を導入しない場合に最大となる領域c’よりも低い領域aに調整されることが好適である。
焼却ごみの品位が中位の場合、具体的には、ごみ発熱量が例えば7,000〜10,000KJ/Kg程度の場合、燃焼室2内部において、比較的高温条件で燃焼される部位と比較的低温条件で燃焼される部位が混在して、焼却処理される。空冷壁3の表面温度も、その影響を受けて、部分的(局部的)に高温となる部位と低温部位が発生するため、クリンカの生成・付着の防止のために、空冷壁3を適切に冷却すると同時に、冷却しすぎることにより燃焼を妨げないために、空冷壁3への冷却用空気の導入量を調整し、空冷壁3全体の表面温度を所定の範囲内になるように均一化する制御が好適であることを見出した。具体的には、図1に例示する本装置の構成において、空冷ファン6を駆動し、空冷用ダンパ7を調整して、あるいは空冷用ダンパ7を一定の開度とし、空冷ファン6を駆動/停止あるいはファン回転数を調整して、空冷用流量計8が所定の範囲内となるように制御することが好適である。図2に例示するように、ごみ質が中位Mにおいて、冷却用空気を導入して、空冷壁3の表面温度が略一定となる領域bに調整されることが好適である。
焼却ごみの品位が低位の場合、具体的には、ごみ発熱量が例えば7,000KJ/Kg程度以下の場合、燃焼室2内部において、比較的低温条件で燃焼され、焼却処理される。従って、クリンカの生成・付着が生じ難くなる。同時に、空冷壁3の表面温度も低下することから冷却用空気の導入は必要がなく、むしろ冷却用空気の導入は、既述のようなごみの自立燃焼の阻害やごみの燃焼速度の低下の誘因となる可能性があった。本装置においては、冷却用空気の導入停止、あるいは後述するような加温された冷却用空気の導入処理を行うことによって、空冷壁3全体の表面温度を所定の範囲内になるように制御が好適であることを見出した。具体的には、図1に例示する本装置の構成において、空冷ファン6を停止し、あるいは空冷用ダンパ7を閉状態にして、空冷用流量計8が所定の範囲内となるように制御することが好適である。図2に例示するように、ごみ質が低位Lにおいて、冷却用空気の導入を停止して、空冷壁3の表面温度が最大となる領域cに調整されることが好適である。
ごみの発熱量=A×(ボイラの蒸発量/ごみの導入量)+B ・・(式1)
なお、式中の係数AおよびBは、燃焼空気の供給量、燃焼空気の温度、ボイラ出口のガス温度、焼却損失(焼却炉での放熱および未燃による損失)等の影響を受ける値で、焼却炉およびボイラ周りの熱収支を基に、焼却炉ごとに設定することができる。また、ボイラを設けない水噴射炉においても、上式1中の「ボイラの蒸発量」を「水噴射量」および「焼却炉持出熱量」等に置き換えることによって、同様にごみの発熱量を得ることができる。
本装置においては、上記のような冷却用空気の導入量の制御・調整に代えて、あるいはこれと同時に、以下のように、導入される焼却ごみのごみ質に対応して空冷壁3に供給される冷却用空気の温度を制御・調整する制御方法を用いることができる。図3に基づいて詳述する。
図1に例示する本装置の構成において、空冷ファン6の駆動/停止、あるいは空冷用ダンパ7を開/閉によって、空冷用流量計8が略一定範囲内の流量となるように設定され、予め加熱することなく、常温あるいは常温に近い温度の冷却用空気を用いることが好適である。上記(1a)と同等の条件で制御される。図3に例示するように、ごみ質が高位Hにおいて、空冷壁3の表面温度が、冷却用空気を導入しない場合に最大となる領域c’よりも低い領域aに調整されることが好適である。
図1に例示する本装置の構成において、予め加温された冷却用空気を導入して空冷壁3の表面温度を制御する場合には、空冷ファン6を駆動し、空冷用流量計8が所定の範囲内となるように空冷用ダンパ7を一定の開度に設定し、あるいは上記(1b)と同一の導入量に設定し、導入される冷却用空気の加熱温度を調整して制御することができる。図3に例示するように、ごみ質が中位Mにおいて、冷却用空気の温度を調整して、空冷壁3の表面温度が略一定となる領域bに調整されることが好適である。
図1に例示する本装置の構成において、空冷壁3に導入される冷却用空気を加熱することによって、図3に例示するように、空冷壁3の表面温度を、上記(2b)と同様、所定の範囲内となるように制御することができる。冷却用空気を空冷壁3の表面温度を冷却するために導入するのではなく、加熱された冷却用空気を導入することによって、ごみの発熱量等の低下に伴う冷壁3の表面温度の低下を防止することができる。ごみ質が低位Lにおいて、冷却用空気が導入停止された状態での温度領域c’よりも高い、空冷壁3の表面温度が略一定となる領域cあるいはその中間の値に調整することができる。
本装置の他の実施態様に係る概略全体構成(第2構成例)を、図4に示す。第2構成例は、空冷壁3からの冷却用空気の供出流路5が分岐され、その他端が空冷壁3に供給される冷却用空気の供給流路4に接続される分岐流路9を有する。空冷壁3から供出された冷却用空気の一部が、該分岐流路9を介して循環されて(以下「循環空気」という)、新たに供給される冷却用空気(以下「供給空気」という)と混合される。混合された冷却用空気(以下「混合空気」という)は、流量調整されるとともに温度調整されて、空冷壁3に供給される。循環空気は、分岐流路9に設けられた循環空気用ダンパ10によって流量調整され、その温度は温度計11によって管理される。所定の温度を有する供給空気は、空冷用ダンパ7によって流量調整される。混合空気は、空冷用フアン6によって給送され、その流量は空冷用流量計8によって管理され、その温度は、供給空気と還流空気の混合比率から計算され管理される。空冷壁3から供出された冷却用空気の温熱を利用して空冷壁3に導入される冷却用空気を加温し、空冷壁3の適切な温度管理を行い、クリンカの生成・付着の防止を図るとともに、さらにエネルギー使用量の削減、設備の簡略化を図ることができる。
図4に例示する本装置の構成において、空冷ファン6の駆動/停止、あるいは空冷用ダンパ7を開/閉によって、空冷用流量計8が略一定範囲内の流量となるように制御することが好適である。このとき、循環空気用ダンパ10は閉状態とし、加温された循環空気の混合を排除する。図2あるいは3に例示するように、ごみ質が高位Hにおいて、空冷壁3の表面温度が、冷却用空気を導入しない場合に最大となる領域c’よりも低い領域aに調整されることが好適である。
図4に例示する本装置の構成において、空冷ファン6を駆動し、空冷用ダンパ7を調整して、あるいは空冷用ダンパ7を一定の開度とし、空冷ファン6を駆動/停止あるいはファン回転数を調整して、空冷用流量計8が所定の範囲内となるように制御することによって、上記(2a)と同様、図2,3に例示するように、ごみ質が中位Mにおいて、供給空気を冷却用空気として導入して、空冷壁3の表面温度が略一定となる領域bに調整されることができる。と同時に、循環空気用ダンパ10の開度を調整することによって、加熱された循環空気を所定量混合することができ、混合空気の加熱温度を調整することができる。これによって、上記(2b)と同様、空冷壁3への混合空気の導入量に設定し、導入される混合空気の加熱温度を調整して制御することができる。
図4に例示する本装置の構成において、混合空気中の還流空気の流量を調整することによって、図2あるいは図3に例示するように、空冷壁3の表面温度を、上記(2b)と同様、所定の範囲内となるように制御することができる。このとき、上記(3b)と同様、図3に例示するように、冷却用空気を空冷壁3の表面温度を冷却するために導入するのではなく、加熱された混合空気を導入することによって、ごみの発熱量等の低下に伴う冷壁3の表面温度の低下を防止することができる。ごみ質が低位Lにおいて、冷却用空気が導入停止された状態での温度領域c’よりも高い、空冷壁3の表面温度が略一定となる領域cあるいはその中間の値に調整することができる。
本装置が有する機能を、以下の2つの面からシミュレーションを行った。
(i)ごみの発熱量,燃焼室のガス温度および空冷壁の表面温度という3つの指標の相関
(ii)冷却用空気の導入量と温度を、一定条件とした場合と変動させた場合の対比
図1に例示する本装置を用いて、冷却用空気の導入量および温度を一定条件とした場合の、ごみの発熱量,燃焼室のガス温度および空冷壁の表面温度という3つの指標の相関を試算した。試算結果は、表1,図5の通り、ごみの発熱量に対して一次燃焼室ガス温度および空冷壁表面温度が、1次関数に近似する相関を有することが分かった。これによって、空冷壁の表面温度の低下を防止して、燃焼室のガス温度の低下を抑制できることが分かる。試算は、焼却炉の規模:80t/日・炉、冷却用空気の導入量:4,000m3N/h、温度:20℃の条件で行った。また、冷却用空気の導入量および温度の条件を変えた場合においても、ごみの発熱量に対して一次燃焼室ガス温度および空冷壁表面温度が同様に所定の関数に近似する相関を有することが分かった。
図1および3に例示する本装置を用い、冷却用空気の導入量および温度を一定とする従来技術による制御方法と、本制御方法によって冷却空気量・温度を変化させた場合について、ごみ低位発熱量が低い場合の空冷壁表面温度、一次燃焼室ガス温度を試算した結果を表2に示す。表2の通り、冷却用空気の導入量および温度を変化させることによって、空冷壁の表面温度の低下を防止して、燃焼室のガス温度の低下を抑制できることが分かる。なお、試算は、焼却炉の規模:80t/日・炉、ごみの発熱量:5,000kJ/kgの条件で行った。
2 燃焼室
3 空冷壁
4 冷却用空気の供給流路
5 冷却用空気の供出流路
6 空冷用フアン
7 空冷用ダンパ
8 空冷用流量計
9 分岐流路
10 循環空気用ダンパ
11 温度計
Claims (7)
- 燃焼室の周囲に空冷壁を備えた焼却炉において、導入される焼却ごみのごみ質が(1)高位の場合,(2)中位の場合および(3)低位の場合に対応して、
燃焼室内に供給される燃焼空気の供給量,温度および供給位置が設定され、最適条件で燃焼・焼却処理されるとともに、空冷壁の表面温度が高温にならないように該空冷壁の内部に冷却用空気が導入され、
前記空冷壁に供給される冷却用空気の導入量あるいはこれと同時に冷却用空気の温度が、ごみ質に対応して
(1)高位の場合あるいは低位の場合、冷却用空気の導入量がごみの発熱量を指標として制御され、
(2)中位の場合、冷却用空気の導入量あるいは導入される冷却用空気の加熱温度が、燃焼室のガス温度または空冷壁の表面温度あるいはこれらの組合せを指標として制御される、
ことを特徴とする焼却炉の空冷壁表面温度の制御方法。 - 前記ごみの発熱量として、燃焼空気の供給量,燃焼空気の温度および焼却炉に付加されたボイラの蒸発量の各値から分散制御システム(DCS)で簡易計算された値を用いることを特徴とする請求項1記載の焼却炉の空冷壁表面温度の制御方法。
- 前記焼却炉にボイラが付加された構成において、前記ごみの発熱量として、燃焼空気の供給量,燃焼空気の温度および焼却炉に付加されたボイラの蒸発量の各値から下式1に基づき計算された値を用いることを特徴とする請求項1または2記載の焼却炉の空冷壁表面温度の制御方法。
ごみの発熱量=A×(ボイラの蒸発量/ごみの導入量)+B ・・(式1)
なお、式中の係数AおよびBは、燃焼空気の供給量、燃焼空気の温度、ボイラ出口のガス温度、焼却損失の影響を受ける値で、焼却炉およびボイラ周りの熱収支を基に、焼却炉ごとに設定することができる。 - 前記空冷壁から供出された冷却用空気の一部が、前記空冷壁に供給される冷却用空気に混合され、混合された空気が、冷却用空気として前記空冷壁に供給されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の焼却炉の空冷壁表面温度の制御方法。
- 燃焼室の周囲に空冷壁を備え、請求項1〜4のいずれかに記載の制御方法を用いた焼却炉であって、
前記空冷壁に導入される冷却用空気の流量検出器および流量調整部と、前記ごみの発熱量を検出する手段,前記燃焼室のガス温度を検出する手段および前記空冷壁の表面温度を検出する手段のうち、そのいずれかあるいはいくつかを組合せた検出手段と、を備えることを特徴とする焼却炉。 - 前記空冷壁の表面温度を検出する手段として、該空冷壁から供出された冷却用空気の供出流路に設けられた温度検出器を用いることを特徴とする請求項5記載の焼却炉。
- 前記空冷壁からの冷却用空気の供出流路が分岐され、その分岐流路が前記空冷壁に供給される冷却用空気の供給流路に接続され、供出された冷却用空気の一部が混合された冷却用空気が、流量調整されるとともに温度調整されて、前記空冷壁に供給されることを特徴とする請求項5または6記載の焼却炉。
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