JP6113277B2 - 酸素欠乏および気圧低下を原因とする高山病肺型の治療のための医薬組成物 - Google Patents

酸素欠乏および気圧低下を原因とする高山病肺型の治療のための医薬組成物 Download PDF

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Description

本発明は、酸素欠乏および気圧低下を原因とする高山病肺型の治療に関する。
高山病は、海抜2500mを超える標高以上でヒトおいて発症する可能性がある。2500メートルを超える標高では、酸素濃度および気圧は大きく低下する。急性高山病の脳型および肺型は区別される。つまり、急性高山病は、脳だけでなく肺でも起こる。高山病についての最初の詳細な臨床的記述は、1891年のモンブラン遠征中に為された。遠征隊の内で少なくとも4名が高山病に罹り、1名が4000mの標高で1891年9月2日に死亡した。この事例以降、高山病は個人の生命を脅かす病態であると認識されている。
治療が為されなければ、高山病肺型は、24時間以内に死亡に至る可能性があり、二次性肺塞栓症を経て死亡することが多い。
急性高山病の全ての型に関する最も有効な治療は、例えば患者をより低い標高へと迅速に降下させるか、または酸素ボンベまたは携帯用高圧チャンバーによる酸素の供給である。しかし、山岳地域では、迅速な降下は不可能であることが多い。酸素ボンベなどによる酸素喚気法は、上昇した肺動脈圧を確かに低下させるが、正常には戻らない。また、携帯用高圧チャンバーの場合には、ポジティブな効果は一過性に過ぎない。この治療に関する成功は、患者が身体的に活動を再開し始める際、高圧チャンバー退室直後に患者から消失する。
高山病のための薬物療法は、現在非常に制限されており、議論の的である:このために、重度の急性高山病、また特に高山病脳型においてデキサメタゾンが提案される。さらに、原発性肺動脈性高血圧症(ダナポイント分類1)の治療のために使用されるPDE−5阻害剤が、高地での酸素欠乏による二次性肺高血圧症(ダナポイント分類3)に適応されるかどうかについても議論されている。
また高山病のための自然療法(予防手段としても)の可能性も提唱されている(コカの葉のお茶;ヤクバター茶;有効成分としてイチョウを含有する製剤)。
しかし、高山病肺型の現行の薬物療法に対する可能性は依然として非常に制限されていることに注目すべきである。さらに、組織立った救援活動は、欧州の高山地域および一部の北米地域においてのみ利用できることが知られている。世界の遠隔地の高山帯や非常に高い標高地における緊急事態では、救助活動および医療行為(酸素ボンベまたは携帯用高圧チャンバーの使用による)はほぼ不可能である。それ故に、高山病の有効な薬物療法を提供することは緊急に必要であり、また高山病を発症するリスクが存在し得る登山者のための非常用キットの構成要素としても必要である。
EP 2 009 023 A1において、新規ペプチドが浮腫を治療するために提案されている。これらのペプチドは、その文献ではCalu−3細胞を用いる「TEER」(「経上皮電気抵抗」)試験により評価されているが、この試験は肺水腫における液体クリアランス(肺水腫液体クリアランス)のための確立された試験系ではない。Calu−3細胞は、実際には、ガス交換のために機能する肺表面のうちのおおよそ1%のみを占有する気管支細胞である。これに対して、肺胞細胞は、ガス交換のために機能する肺表面のうちの99%を占有する(Hollenhorst et al., J. Biomed. Biotechnol. 2011 (2011), doi:10.1155/2011/174306)。TEER試験とは異なり、ヒトの肺胞上皮細胞株A549は、肺胞上皮細胞のモデルとして認められた実験標準として確立されている(Lazrak et al., Am. J. Physiol. Lung Cell Mol. Physiol. 278 (2000), L848-57)。
それ故に、本発明の目的は、高山病肺型罹患患者の薬物療法のための可能性を明確に改善することであって、また該疾患を効率的に治療できるだけでなく、回避できるような手段も利用できるようにすることである。
従って、本発明は、高山病肺型の治療および予防のための、7〜20個、特に7〜17個の隣接するアミノ酸からなり、かつヘキサマーTXEXE(式中、X1、およびXは、いずれかの天然または非天然アミノ酸であってもよい)を含むペプチドに関するもので、前記ペプチドは、TNF受容体結合活性を有さず、かつ環化されている。
本発明により初めて、薬物療法を高山病肺型に利用することが可能となった。それ故に、本発明についての“希少疾病用医薬品認定”もまた、EMA(EMA/OD/144/12)およびUS−FDA(12-3829)双方にて直ぐに承認された。このことは、前記疾患を治療する実現性が緊急に必要であることを示しており、この必要性は本発明により達成される。
本発明により使用されるペプチドは、以前から(例えば、欧州特許EP 1 264 599 B1、US 2007/299003 A、WO94/18325 A1、WO00/09149 A1、WO2006/013183A1またはWO2008/148545 A1)ペプチド自体既に知られている。本発明の実験経過中に、驚くべきことにこれらのペプチドは高山病肺型を治療するために好適であり、故にこの結果、簡易かつ効率的な薬物療法形態を、この適応症に初めて利用することができることが認められた。
本発明により使用されるようになった自体既知のこれらペプチドは、TNF受容体結合活性を有さず(Hribar et al., Eur. J. ImMunol. 1999; Elia et al., AJRCCM 2003:実験の章を参照されたい)、かつ環化されている。これらのペプチドの好ましい改変体は、7〜17個の隣接するアミノ酸からなり、かつヘキサマーTPEGAE(配列番号:2)を含有する。
急性高山病は、常に亜急性低酸素症を伴って発症する。その後、低酸素血症および高炭酸血症により血管拡張へ、低炭酸血症により血管収縮へと至る。高地では、様々な影響が、低酸素血症および低炭酸血症により引き起こされる:肺では、血管収縮が主であり、脳では血管拡張が主である。
急性高山病の原因は、適応不全、主に個々に少なすぎる換気量(相対的な換気不足)の増加における適応不全という点にある。結果として、さらに著しい低酸素血症、肺動脈圧の上昇、頭蓋内圧の上昇、体液貯留および赤血球生成低減となる。
高山病肺型は、酸素欠乏および気圧低下が原因であり、生命を脅かす肺機能の変化であり、主に2500〜6000mの標高で起こる。全事例の3分の2が、海抜3000〜4500mで起こる。高山病肺型は、急性高山病では最も頻度の高い死因である。
高山病肺型は、特徴としておよそ2500mの閾値標高を超えた後に開始することが多い。
肺における過剰で不均一な低酸素性血管収縮は、急性浸潤による肺の過灌流域をもたらす。不均一な低酸素性血管収縮の結果として大きく上昇した肺高血圧は、基本的には肺周辺部でおこり、発症前に完全に健康なヒトにおいて大きく増強された低酸素性肺血管応答(HPVR)の表れである。肺動脈圧の上昇は、低酸素下では確かに生理的事象であるが、高山病肺型においては相当強く表れる。しかし、肺の毛細血管の透過性は、低酸素下において上昇しない。
これは、病毒の直接作用による一次形態または他の疾患の結果としておこる二次形態のいずれかにより生じ得るその他の急性肺疾患、例えば急性肺障害(ALI)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)または高透過性浮腫などとは明確に異なる。ALI、ARDSおよび高透過性浮腫における肺に対する最も頻度の高い障害は、細菌性およびウイルス性肺炎、肺挫傷、胃液誤嚥、吸入外傷、喫煙中毒、溺水、大量輸血、敗血症、多発性外傷、心肺バイパスまたは広範な火傷である。これらの肺疾患において、肺胞壁に随伴する損傷による炎症反応が中心にある。この状況が、炎症誘発性免疫過程および抗炎症性免疫過程に関する複雑な活性化を導き、肺胞上皮および血管内皮に対する炎症性の損傷を引き起こす。結果として、肺胞細胞およびサーファクタントの脱落、血漿タンパク質の流出による毛細血管漏出発症および間質性浮腫形成がおこる。炎症性変化は、通常、肺全体にわたり疎らで、かつ不均一に分散している。浸潤、間質性水腫および肺胞水腫は、最終的には無気肺ならびに動脈低酸素血症および肺高血圧症の臨床症状へと至らしめる。かかる炎症反応は、高山病においては病理的意義を有さない。
臨床学的に明白な高山病肺型の発症率は、3500mを超えると約15%であり、致死率は、非治療患者の44%である。
高山病の発症率は、VO2max、訓練状態、血圧、栄養、喫煙または年齢と相関しないが[前記全て中の喫煙および老齢が重要なリスクファクターである急性肺障害(ALI/ARDS)とは異なる]、ある一部分においては、確かに各自の低酸素換気応答(HVR)および登山地または登山速度と相関する。
また、高山病肺型の治療と、かたやALI/ARDSの治療との間にある相違は、本発明の承認の際に医薬品認可機関であるEMAおよびUS−FDにより承認審査基準として明示される“希少疾病用医薬品適応”としても認められた。この決定は、一方では、世界保健機関(WHO)の国際疾病分類(international diagnosis Classification System)(ICD)からだけでも既になされている:高山病肺型は、その中で第XIX章(損傷、中毒およびその他の外因の影響)、疾病群T66-T78(外因のその他不特定の影響)、疾病分類T70(気圧および水圧の影響)、下位分類T70.2(高地のその他不特定の影響)として分類されているが、ALI/ARDSは、全く異なる章(第X章(呼吸器系疾患)、疾病群J80-J84(主として間質に影響するその他の呼吸器疾患)、疾病分類J80(急性呼吸不全症候群[ARDS]))に分類されている。双方の臨床分野は相違する(高山病肺型については、環境、職業およびスポーツ医学;ALI/ARDSについては、麻酔および集中治療医学)。この原因は基本的に異なる。高山病肺型は、健康な登山者による3000mを超える標高への未順化での急激な登山または環境条件に対する個々の変化により、内在する病態または既に存在している病態がない健康な人に発症する。しかし、一方でALI/ARDSは、既往病態および内在する病態生理(この患者は、既に別の規定された病態に罹患している)の結果、例えば、局所または全身(例えば、敗血症の場合)の重度の感染または炎症、誤嚥(例えば胃液)、高温ガスまたは有毒ガスの吸入、多重輸血、溺水、肺挫傷、多発性外傷、火傷、脂肪塞栓症など;ならびに同様の病態生理の結果を原因とする。高山病肺型においては、不十分な換気応答および異常に強い血管収縮反応により、低酸素へと至り、その後肺圧の増加[(神経性)交換神経過剰活性も理由とする]から、内皮応力および毛細血管漏出が起こる;ALI/ARDSにおいては、肺胞損傷、タンパク質を多く含む体液の間質領域および肺胞領域への漏出、サイトカインの大量放出および好中球の移動により、肺内のガス交換が低下する。
しかし基本的に、高山病肺型とALI/ARDSは、これらの疾患における炎症過程が果たす役割の点でもまた異なる。炎症過程は、常にALI/ARDSに先行しておこる;これらの炎症過程は、病態生理において主要な役割を担っている。これに対して、炎症過程は、高山病肺型においては一切拘わりがないも同然である;炎症過程がもし存在したとしても、単なる二次的特性としてのみおこり、この疾患の病因ではない。すなわち、ALI/ARDSにおける内皮由来および好中球由来の炎症促進モジュレーターの分泌増加、好中球活性化およびサイトカイン放出による炎症応答、肺胞洗浄液体(BALF)中のサイトカインおよびタンパク質含量の増加、BALF中の好中球およびマクロフファージの存在ならびに急性の炎症を原因とする微小血管の肺透過性亢進は、明確な炎症兆候を提示するが、高山病肺型の初期段階においては、少なくともこれらは全く存在していない。BALF分析は、高山病肺型においては、好酸球または炎症促進モジュレーターの増加がないこと、ならびにサーファクタントタンパク質Aおよびクララ細胞のタンパク質において相違がないことを示す。
結局、高山病肺型およびALI/ARDSの診断は全く異なる:高山病肺型は、健康で環境に慣れていない登山者に起こり、高地到着後の2〜5日以内で発症する。ここで、この肺動脈圧は異常に上昇するが、楔入圧は正常圧を維持している。ALI/ARDSにおいては、言及したとおり、起因病態は常に存在している(例えば、敗血症)。楔入圧は、18mmHgであって、また一般的に左心房高圧についての臨床適応はない(肺動脈における圧力上昇がない);このPaO/FiO比は、安定状態において300(ALI)である。
すなわち、高山病肺型およびALI/ARDSは、互いに完全に相違する2つの疾患である(Peacock, Eur. Respir. J. 8 (1995), 1819-1821)。
好ましくは、本発明は、高山病肺型の治療のための、7〜20個、特に7〜17個の隣接するアミノ酸からなり、かつヘキサマーTPEGAE(配列番号:2)を含むペプチドに関するもので、前記ペプチドはTNFの各結合活性を有さず、環化されている。
本発明の特に好ましい実施態様は、高山病肺型の治療のための医薬を使用または各々製造するための、後記からなる群から選択される連続するアミノ酸の配列:
−QRETPEGAEAKPWY(配列番号:3)
−PKDTPEGAELKPWY(配列番号:4)
−CGQRETPEGAEAKPWYC(配列番号:1)、
−CGPKDTPEGAELKPWYC(配列番号:5)、
−CGQKETPEGAEAKPWYC(配列番号:6)、
−CGQRETPEGAEARPWYC(配列番号:7)、
−CGQRETPEGAEAKPC(配列番号:8)、
−CQRETPEGAEAKPWYC(配列番号:9)、
−CGQRETPEGAEAKFWYC(配列番号:10)、
−KSPGQRETPEGAEAKPWYE(配列番号:11)、
−KGQRETPEGAEAKPWYG(配列番号:12)、
−オルニチン−GQRETPEGAEAKPWYG(配列番号:13)、
−4−アミノ酪酸−GQRETPEGAEAKPWYD(配列番号:14)、
−β-アラニンGQRETPEGAEAKPWYE(配列番号:15)
ならびにその少なくとも7個のアミノ酸フラグメントを含んでなる、ヘキサマーTPEGAEを含む環状ペプチドに関する。
好ましくは、このペプチドは、アミノ酸配列CGQRETPEGAEAKPWYC(配列番号:1)を含有し、Cの残基を介して環化される。従って、特に好ましいこのペプチドは、以下のアミノ酸配列(配列番号:1)
(NH)Cys−Gly−Gln−Arg−Glu−Thr−Pro−Glu−Gly−Ala−Glu−Ala−Lys−Pro−Trp−Tyr−Cys(COOH)を有する。
本発明のペプチドの環化は、例えばNおよびC末端にある2つのCの残基間のジスルフィド架橋により直接環化するか、またはペプチドを双方のシステインを介して担体物質にカップリングさせるかのいずれかにより達成される。ここで、本発明のペプチドにおいて、システイン残基は、好ましくは分子の開始部分および終結部分で提供される。ペプチドの環化を実現するその他の官能基も使用して、例えば酸基をアミンまたはアルコールと共に使用して、アミド閉環またはエステル閉環させることができる(例えば、アミノ酸のアスパラギン酸およびグルタミン酸を、セリン、スレオニン、チロシン、アスパラギン、グルタミンまたはリジンと共に環化すること、好ましくは分子内で環化することができる)。ペプチドの環化は、好ましくはペプチドのCの残基間で(存在するならば)ジスルフィド架橋によりおこる。しかし、システイン残基または他の官能基はまた、本発明のペプチドのN末端またはC末端各々を結合する担体物質上、特に担体タンパク質上で提供されてもよく、これにより本発明のペプチドの環化を確実にする。
これに関して、もちろん本明細書において、「本発明の」ペプチドに対するあらゆる言及は、環状ペプチドに対する言及である。
本発明によれば、システイン残基を介する環化が特に好ましく、特に、本発明のペプチドのNおよびC末端上で、本発明のペプチドの開始部分および終結部分にて提供されるシステイン残基を介するか、または追加導入されるシステイン残基を介するか、および/または担体上のシステイン残基を介してカップリングされるシステイン残基を介する環化が好ましい。NおよびC末端にて、提供されるシステイン残基または追加導入されるシステイン残基を介する本発明のペプチドの分子内環化が特に好ましい。
従って、本発明のさらなる好ましいペプチドは、例えばCGQKETPEGAEAKPWYC(配列番号:6)、CGQRETPEGAEARPWYC(配列番号:7)、CGQRETPEGAEAKPC(配列番号:8)、CQRETPEGAEAKPWYC(配列番号:9)またはCGQRETPEGAEAKFWYC(配列番号:10)である。
本発明の好ましいペプチドのさらなる基は、配列X−GQRETPEGAEAKPWY−Xを有する環状ペプチドである(GQRETPEGAEAKPWYは、配列番号:18に対応する):式中、Xは、1〜4個のアミノ酸、特に1または3個のアミノ酸を表し、これらのアミノ酸は、天然または非天然アミノ酸であり、特にXはアミノ酸C、K、オルニチン、4−アミノ酪酸、β-アラニンまたは配列KSPを表す、そしてXは天然または非天然アミノ酸であってもよく、特にXはアミノ酸C、D、GまたはEである、ここでXはN末端アミノ酸であり、かつXはC末端アミノ酸である。この配列X−GQRETPEGAEAKPWY−Xの特に好ましい例は、環状ペプチドのKSPGQRETPEGAEAKPWYE、KGQRETPEGAEAKPWYG、オルニチン−GQRETPEGAEAKPWYG、4−アミノ酪酸−GQRETPEGAEAKPWYD、β-アラニンGQRETPEGAEAKPWYEである。
環状ペプチドのKSPGQRETPEGAEAKPWYEにおいて、アミノ酸は、C末端アミノ酸のグルタミン酸(E)からN末端アミノ酸のリジン(K)までペプチド結合されており、同時にN末端アミノ酸のリジン(K)は、リジン側鎖のイプシロンアミノ基の窒素とグルタミン酸側鎖基中のγ炭素との間のアミド結合によりC末端アミノ酸のグルタミン酸(E)と連結される。
環状ペプチドのKGQRETPEGAEAKPWYGにおいて、アミノ酸は、C末端アミノ酸のグリシン(G)からN末端アミノ酸のリジン(K)までペプチド結合されており、同時にN末端アミノ酸のリジン(K)は、リジン側鎖のイプシロンアミノ基の窒素およびグリシンのカルボキシル基の炭素との間のアミド結合によりC末端アミノ酸グリシン(G)と連結される。
環状ペプチドのオルニチン−GQRETPEGAEAKPWYGにおいて、アミノ酸は、C末端アミノ酸のグリシン(G)からN末端アミノ酸のオルニチン(Orn)までペプチド結合されており、同時にN末端アミノ酸のオルニチン(Orn)は、オルニチン側鎖のデルタアミノ基の窒素とグリシンのカルボキシル基の炭素との間のアミド結合によりC末端アミノ酸のグリシン(G)と連結される。
環状ペプチドの4−アミノ酪酸−GQRETPEGAEAKPWYDにおいて、アミノ酸は、C末端のアスパラギン酸(D)からN末端アミノ酸のグリシン(G)までペプチド結合されており、同時にC末端のアスパラギン酸(D)は、一方でN末端グリシンのアミノ基の窒素と4−アミノ酪酸のカルボキシル基の炭素C1との間のアミド結合により、さらに他方で4−アミノ酪酸のアミノ基の窒素とC末端アスパラギン酸側鎖のカルボキシル基の炭素との間のアミド結合により、N末端アミノ酸のグリシンと連結される。
環状ペプチドのβ-アラニンGQRETPEGAEAKPWYEにおいて、アミノ酸は、C末端グルタミン酸(E)からN末端アミノ酸のグリシン(G)までペプチド結合されており、同時にC末端グルタミン酸(E)は、一方でN末端のグリシンのアミノ基の窒素とβ−アラニンのカルボキシル基の炭素C1との間のアミド結合により、さらに他方でβ−アラニンのアミノ基の窒素とC末端グルタミン酸側鎖のカルボキシル基の炭素との間のアミド結合により、N末端アミノ酸のグリシンと連結される。
本発明のペプチドにおける環化は、言及したとおりにおこるだけなく、ペプチドを担体物質に結合させることによってもおこり得る。かかる環化担体物質として考慮すれば、医薬上使用可能な全ての確立された物質、例えばシステインのSH基との共有結合の一部となることができるもの(または、他の天然存在物またはペプチドの人工的に導入された化学反応基)であって、例えば、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、破傷風毒素などの前記確立された担体タンパク質が特に好適である。また、隣接する二官能価残基(例えば、アミン基またはアルコール基に隣接する酸基)は、担体上で提供され得る。これに関連して重要なことは、「環化」には、分子内閉環および担体への結合(ペプチドのNおよびC末端を担体に結合することによる結合ペプチドプロジェクト)の双方が含まれており、このような手法で環化された前記ペプチドは、環状立体構造を示し、その結果安定しているということである。
従って、本発明の特に好ましいペプチドの一群は、配列番号:1および5〜15を有する群である。
本発明のペプチドは、特に、アミロライド感受性上皮ナトリウムイオンチャンネル(ENaC)に対する活性化効果を有する。この特性は、実施例の章に示したように、Eatonら(Fed. Proc. 45 (1986), 2707)およびHamillら(Pflugers Arch. 391 (1981), 85-100)による方法を用いて有利に試験され得る。
好ましくは、本発明のペプチドは、医薬上許容し得る担体を含む医薬組成物中の高山病肺型の治療のために利用され得る。医薬組成物は、ヒトに投与するために好適な形態で好ましくは本発明において製造される。
用語「医薬組成物」は、上記に規定したペプチドならびに本発明のペプチドとさらなる有効成分との(生来適合性も有している、即ち、互いにネガティブに干渉しない)混合物を含むあらゆる組成物をいう;しかし、本発明のペプチドは、本明細書に記載した症状を阻止、改善または治癒させる唯一の有効成分として提供されることが好ましい。特に、用語「医薬組成物」は、上記したペプチドおよび医薬上許容し得る担体または賦形剤(双方の語は互換的に使用できる)を有する組成物をいう。当業者には既知の担体または賦形剤の好適な例は、水、生理食塩水、リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸塩、グリシン、グリシルグリシン、ヒスチジン、リジン、アルギニン、TRISおよびクエン酸ナトリウムまたはその混合物である。もちろん、リンガー溶液、デキストロース溶液または非還元糖の溶液も使用できる;したがって、マンニトール、トレハロース、サッカロース、ソルビトール、フルクトース、マルトース、ラクトースまたはデキストラン、ハンクス溶液、不揮発性油、オレイン酸エチル、生理食塩水中の5%デキストロース、浸透圧および化学安定性を改善する物質、緩衝液および保存剤もまた、かかる担体として好適である。その他の好適な担体は、組成物を受容する個体にとって有害である抗体の産生をそれ自体誘導しないあらゆる担体、例えば、タンパク質、多糖類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、重合アミノ酸およびアミノ酸共重合体を含む。本発明の医薬組成物の処方において、もちろん好適なガイドライン(例えば、欧州薬局方または米国薬局方)に従うべきである。ここに記載したような本発明の組成物中に提供されるペプチドは、これらの担体に直接共有結合することにより環化され得る。
本発明の医薬組成物は、当業者の知識の範囲内であらゆる好適な方法により(医薬として)投与され得る。特に、本発明に従って使用されるペプチドまたは本発明の組成物を各々肺に投与することが好ましい。好ましい投与経路は、吸入(エアゾールによる)のみならず、静脈内投与、点滴、経口投与またはその組合せである。吸入投与、非経口投与または経口投与の場合には、本発明の医薬は、上記に規定した医薬上許容し得る賦形剤を組み合わせた単位用量形態、例えば、溶液、懸濁液またはエマルジョンに処方される。しかし、投薬および投与様式はもちろん、特定の症例においては、個体によって変更できる。
ここで、各々必要な有効量が、投与を必要とする個体に投与される。「有効量」は、本明細書では、目的とする治療効果または予防効果を達成するために、即ち、例えば疾患のさらなる悪化を防止するか、または疾患を有効に治療するために十分に有効である量と理解されるべきである。一般的に、本明細書に記載した有効量は、平均的な患者から得られるが、組成物中の成分の実際の有効量は、投与形態および年齢、体重、患者の症状ならびに疾患の程度および進行を考慮して(例えば、好適な従来の薬理学的プロトコールにより)処方される。
従って、好ましくは、本発明の組成物中の医薬上許容し得る担体は、水(特に好ましくは:注射用蒸留水)、食塩、リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸塩、グリシン、グリシルグリシン、ヒスチジン、リジン、アルギニン、TRIS、クエン酸ナトリウム、リンガー溶液、デキストロース、マンニトール、トレハロース、サッカロース、ソルビトール、フルクトース、マルトース、ラクトースまたはデキストラン、ハンクス溶液、不揮発性油、オレイン酸エチル、浸透圧および化学安定性を改善する物質、保存剤、医薬上許容し得るタンパク質、多糖類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、重合アミノ酸およびアミノ酸共重合体から選択される。
本発明の医薬は、例えば本発明のペプチドが、1μg/kg〜10mg/kg、より好ましくは10μg/kg〜5mg/kg、最も好ましくは0.1〜2mg/kgの用量で提供されるように投与され得る。好ましくは、それはボーラス投与として提供される。しかし、連続吸入または点滴あるいは反復投与による投与もまた使用できる。
特に好ましい本発明の組成物は、ペプチドを1μg〜10g、好ましくは10μg〜1g、特に1mg〜100mgの量で含有する。
特に好ましい本発明の液体形態の組成物は、ペプチドを1μg〜10g、好ましくは10μg〜1g、特に1mg〜100mgの量で含有し、かつ0.5〜10mlの容量、特に1〜5ml容量にて存在する。
本発明の組成物は、好ましくは、粉末吸入器により乾燥形態で投与され得る。本発明に使用され得るかかる粉末吸入器の例は、米国特許第4.995.385号および同4.069.819号に記載されている;既に確立された製品は、SPINHALER(登録商標)、ROTAHALER(登録商標)、FLOWCAPS(登録商標)、INHALATOR(登録商標)、DISKHALER(登録商標)およびAEROLIZER(登録商標)である。
本発明の組成物はまた、好ましくは液体噴霧器によりエアゾールとして投与されることもできる。かかる液体噴霧器の例は、確立された製品、例えばAeroneb(登録商標)およびPari(登録商標)である。
好ましい実施態様によれば、本発明の組成物は、ペプチドが噴霧可能な粉末製剤または噴霧可能な液体製剤中に存在することを特徴する。
本発明は、以下の実施例および図面によりさらに詳細に説明されるが、当然この説明により本発明を制限するものではない。
図1:ラットにおける高山病肺型の程度を、生理食塩水または配列番号:1のペプチド各々の気管内投与4時間後に決定した。コントロール:正常な酸素および気圧値の条件下にあるコントロールラット。PBS:低酸素および低い気圧条件下で、生理食塩水を気管内投与したラット。配列番号:1のペプチド100μg:低酸素および低い気圧条件下で、配列番号:1のペプチド100μgを気管内投与したラット。配列番号:1のペプチド300μg:低酸素および低い気圧条件下で、配列番号:1のペプチド300μgを気管内投与したラット。配列番号:1のペプチド600μg:低酸素および低い気圧条件下で、配列番号:1のペプチド600μgを気管内投与したラット。
図2:ラットにおける肺液中のタンパク質含量を、生理食塩水または配列番号:1のペプチド各々を気管内投与4時間後に決定した。コントロール:正常な酸素および気圧値の条件下にあるコントロールラット。PBS:低酸素および低い気圧条件下で、生理食塩水を気管内投与したラット。配列番号:1のペプチド100μg:低酸素および低い気圧条件下で、配列番号:1のペプチド100μgを気管内投与したラット。配列番号:1のペプチド300μg:低酸素および低い気圧条件下で、配列番号:1のペプチド300μgを気管内投与したラット。配列番号:1のペプチド600μg:低酸素および低い気圧条件下で、配列番号:1のペプチド600μgを気管内投与したラット。
図3:生理食塩水または配列番号:1のペプチド各々を気管内投与した4時間後のラットにおける肺組織の組織学的所見。コントロール:正常な酸素および大気圧値の条件下のコントロールラット。PBS:低酸素および低い気圧条件下で、生理食塩水を気管内投与したラット。配列番号:1のペプチド100μg:低酸素および低い気圧条件下で、配列番号:1のペプチド100μgを気管内投与したラット。配列番号:1のペプチド300μg:低酸素および低い気圧条件下で、配列番号:1のペプチド300μgを気管内投与したラット。配列番号:1のペプチド600μg:低酸素および低い気圧条件下で、配列番号:1のペプチド600μgを気管内投与したラット。
図4:−100mVで固定したコントロール段階のホールセルパッチクランプ試験において、槽溶液への配列番号:1のペプチド(“AP301”)(240nM)の添加後およびアミロライド(100mM)の添加後における、A549細胞において内部に流れるNa流量の平均値。この値は平均値+/−SEである。
図5:ホールセル様式で端子を繋げたA549細胞におけるNa流量に対する、合成ペプチドQRETPEGAEAKPWY(配列番号:3、即ち浮腫の治療に好適なものとして先行技術に記載されているものであるが、この実験では環化されておらず、本発明の形態とは異なるものである)の作用。コントロールフェーズ中に−100mVの保持電位にて固定された細胞ならびに槽溶液にペプチドQRETPEGAEAKPWY(300nM)を添加した後の細胞の代表的な原記録値。
図6:ホールセル様式で端子を繋げたA549細胞におけるNa流量に対する、合成ペプチドTKPIELGPDEPKAV(配列番号:16、即ち浮腫の治療に好適なものとして先行技術に記載されているものであるが、本発明のペプチドとは異なり、環化されておらず、かつコア配列TXEXEまたはTPEGAE各々を含有しない)の作用。コントロールフェーズ中に−100mVの保持電位で固定された細胞ならびに槽溶液中にペプチドTKPIELGPDEPKAV(300nM)を添加した後の細胞の代表的な原記録値。
図7:ホールセル様式で端子を繋げたA549細胞におけるNa流量に対する、合成環状ペプチドCGTKPIELGPDEPKAVC(配列番号:17、即ち浮腫の治療に好適なものとして先行技術に記載されているものであるが、本発明のペプチドのペプチドとは異なり、コア配列TXEXEまたはTPEGAE各々を含有しない)の作用。コントロールフェーズ中に−100mVの保持電位で固定された細胞ならびに槽溶液中に環状ペプチドCGTKPIELGPDEPKAVC(300nM)を添加した後の細胞の代表的な原記録値。
図8:濃度関数としての環状ペプチドの配列番号:1および11〜15の活性。x軸上に対数スケールにて濃度が記載される;y軸上にはナトリウムイオン流量(%)が記載される。
実施例1:高山病肺型の治療のための本発明の配列番号:1を有するペプチドの使用
本実施例にて、高山病の実験ラットモデルにおいて、本発明の合成ペプチド(配列番号:1)を高山病肺型に罹患しているラットに投与することにより本発明の目的が達成されたことが示される。高地で生じるような、低酸素および低い気圧条件下での身体労作は、高山病肺型を発症させる2つの主要ファクターである。そのため、選択したラットモデルは、低酸素および低い気圧条件下で運動させ、高地への身体的に過激な登山を擬似体験させたラットである。ラットに事前順化をさせずに行なう。これは、例えば高地で高山病肺型に罹患する登山者に見られるシナリオに合致している。使用したモデルにおいて、このラットは、“高山病肺型の程度”に記載されているような高山病肺型として典型的な兆候、即ち肺液中のタンパク質濃度の増加および肺組織の組織学的所見を示す。さらに注目すべきは、このモデルにおける肺の損傷が、肺に対して損傷を与える内毒素、細菌または他の薬剤の投与により引き起こされないことである。肺の炎症激化は起こらない。また、特定のラット株をこの実験に使用しなかった。故に、このラットモデルは、高山病肺型を治療するための医薬を探査するために十分適している。
方法
実験用ラット(Sprague Dawley rats)に、低酸素および低い気圧条件下で48時間、外部刺激による運動を実施させた。ここでは、気圧を430Torr以下の値に低下させて、4500mを超える標高を模倣した。4500mを超える標高に対するラットの事前順化は行なわなかった。この期間中、ラットは、水および食餌を摂食するために4時間毎に15〜20分の休息をとることができた。4500mを超える模倣高度で48時間の運動後に、このラットに300μl/動物対象にて配列番号:1のペプチド(100μg、300μgおよび600μg)または300μl生理食塩水を気管内投与して治療した。その後4500mを超える模倣高度時の低酸素および低い気圧条件下で、ラットをさらに4時間経過させた。その後、肺を摘出して、高山病肺型の程度を決定し(図1)、肺液中のタンパク質含量を決定し(図2)、肺組織の組織学的所見を決定した(図3)。
結果
この研究は、低い気圧および低酸素濃度条件下に暴露された実験用ラットに、配列番号:1のペプチドを気管内投与することにより、高山病肺型の程度が低下した(図1)ということを示した。このことは、配列番号:1のペプチドの100μg/実験用ラットおよび600μg/実験用ラット、特に300μg/実験用ラットについて実証することができた。
この研究は、さらに低い気圧および低酸素濃度条件下に暴露された実験用ラットに、配列番号:1のペプチドを気管内投与することにより、肺液中のタンパク質濃度が低下した(図2)ことを示した。このことは、配列番号:1のペプチドの100μg/実験用ラットおよび600μg/実験用ラット、特に300μg/実験用ラットについて実証することができた。
組織学的試験から、生理食塩水で処置されたラットは、赤血球を伴い膨張した肺組織を示し、配列番号:1のペプチド投与後のラットは、低酸素および低い気圧条件下に暴露されなかったコントロールラットの正常肺組織に匹敵することが示された。
実施例2:ヒト全血における配列番号:1を有する本発明のペプチドの炎症促進特性に関するエクスビボ評価
配列番号:1のペプチドが、炎症促進マーカーであるインターロイキン−6(IL−6)を新鮮な全血から放出させるかどうかを[即ち、配列番号:1のペプチドがTNF−特異的炎症活性(即ち、TNF受容体結合活性)を示すかどうか]立証するために、本発明の配列番号:1のペプチドに関して、エクソビボの安全性薬理試験をヒト全血中で行なった。この試験において、新鮮な全血を使用した;これは、インビボでの炎症反応を評価するために認められた予測モデルである。
方法の要約
この試験の目的は、配列番号:1のペプチドの炎症促進シグナル伝達能を決定することであった。ここで、全血試料を使用して、炎症促進刺激に対する高感受性マーカーであるインターロイキン−6(IL−6)の分泌をELISAにより定量した。
Figure 0006113277
全血試料
全血(FB)試料を、24−ウェルプレートの窪みの中にFB(1ml)をピペット操作により入れた。各実験には、非刺激および刺激コントロール試料が含まれた。
可能であれば、試験すべき物質および刺激物質を、所定の試験において各ウェルにて常に同じ量で使用した。この量はウェル全容量の10%より少ない。非刺激コントロールはPBSを用いて行った。様々な処理のために容量調整および希釈は、PBSを用いて同じように行なった。
各ウェルの内容物を混合して、プレートを37℃および5%COで24時間インキュベートした。インキュベーションの後に、各ウェルの内容物を、新しいマイクロチューブ(1.5ml)に移して、8000〜9000xgにて15分間遠心分離した。各試料の上清を、各々2つの反応容器(1.5ml)に分割して、−20℃で使用時まで貯蔵した。
インターロイキン−6の分析
捕捉抗体として抗ヒトIL−6抗体、ビオチン化抗ヒトIL−6検出抗体、酵素試薬としてアビジンホースラディッシュペルオキシダーゼコンジュゲートおよび標準物として組換えIL−6を用いて、特異的ELISA(Human IL-6 ELISA-Set, BD Biosciences, カタログ番号555220)により、インターロイキン−6を定量した。450nmでの吸光度測定を、パッカード・フュージョン読み取り機(Packard Fusion reader)を用いて行なった。
データ分析
各プレートの結果を収集して、上記フュージョン読取機のデータ分析用ソフトウェアを用いて評価した。
試験結果の要約
この試験の目的は、配列番号:1のペプチドの炎症促進シグナル伝達能を決定することであった。全血試料を使用して、炎症促進刺激に対する高感受性マーカーであるIL−6の分泌を、ELISAにより定量した。
5名の正常対象の全血試料のいずれか1つを非刺激とし(ネガティブコントロール)、残りを高用量および低用量のLPSを用いて刺激し(ポジティブコントロール)、または9の片対数希釈にて10μg/ml〜1ng/mlのペプチドと共にインキュベートとした。結果を以下の表に示した:
Figure 0006113277
この結果は、試験したあらゆる濃度において、配列番号:1のペプチドは、いかなる検出可能な量のIL−6分泌をも誘導しなかったということを明示している。ポジティブコントロール(LPS)は、IL−6の分泌を強く誘導した。
考察
この実験を、配列番号:1のペプチドが炎症促進カスケードの誘導をもたらすかどうかを立証するために行なった。読取ったパラメーターは、5名の正常なドナー由来の全血試料中に誘導されたIL−6の分泌である。この結果は、配列番号:1のペプチドが、ドナー試料中にIL−6の検出可能なレベルを誘導しなかったことを明確に示した。従って、配列番号:1のペプチドは、選択したエクソビボモデルにおいて炎症促進応答を誘導しないこと、すなわちTNF受容体結合活性を有さないことを実証した。この試験は、TNF受容体結合活性がないという特徴を立証するために、本発明のペプチドのあらゆる改変体に適用され得る。
実施例3:本発明のペプチドを、本発明のペプチドの非環状形態(即ち、本発明ではない)、および浮腫の治療のために先行技術において提案されてきた他の合成ペプチドと比較した、A540細胞を用いるパッチクランプアッセイにおける生物活性の評価
要約:
この実施例において、本発明のペプチドの生物学的活性を、ナトリウム流量の誘導能に関して、その他の3つの合成ペプチドを用いて評価した。この比較用合成ペプチドは、浮腫の治療用ペプチドとして欧州特許出願EP 2 009 023 A1において提案されたものでもある。これらのペプチドについて、EP 2 009 023 A1ではこれらが組織中の過剰な体液貯留を阻害または減少させ得るということが考えられた。EP 2 009 023 A1においては、この特性は、TEER試験により試験された;本実施例においては、この生物学活性を、A549細胞を用いるホールセルパッチクランプ試験にて試験する。
この測定原理(ホールセルパッチクランプ試験)は、ヒトの肺における体液バランスを非常に正確に反映するものであって、それ故この問題について認められた試験系である。正常な成人のヒト肺における体液バランスは、肺上皮を介して流れるイオンの輸送機序に拠って変わり、肺胞液クリアランスにおけるNa輸送体の関与は幾つかの試験において確認されている。特にここでは、II型肺胞細胞のアミロライド感受性上皮ナトリウムイオンチャンネル(ENaC)を、肺胞液クリアランスの主要レギュレーターとして特定した。
アミロライド感受性上皮ナトリウムイオンチャンネル(ENaC)の活性を評価するため、ならびに生体化合物および合成化合物によるその活性化を決定するために、ホールセルパッチクランプ技術を、肺細胞の頂端膜を介するナトリウムイオンの移動を測定するために選択する実験方法として定め、肺胞液クリアランスを予測した。
したがって、本実施例において、本発明のペプチドの生物学的活性および3つの合成ペプチドQRETPEGAEAKPWY(配列番号:3、即ち浮腫の治療に好適なものとして先行技術に記載されているが、本発明の形態とは異なり、この実験では環化されていない)、TKPIELGPDEPKAV(配列番号:16、即ち浮腫の治療に好適なものとして先行技術に記載されているが、本発明のペプチドとは異なり、環化されておらず、かつコア配列TXEXEまたはTPEGAE各々を含有しない)およびCGTKPIELGPDEPKAVC(配列番号:17、即ち浮腫の治療に好適なものとして先行技術に記載されているが、本発明のペプチドとは異なり、コア配列TXEXEまたはTPEGAE各々を含有しない)の生物学的活性を、ヒトのII型肺胞細胞の継代細胞株であるA549細胞のホールセルパッチクランプ測定により決定した。
この試験では、上記ペプチドQRETPEGAEAKPWY、TKPIELGPDEPKAVおよびCGTKPIELGPDEPKAVCは、本発明により提供されるペプチドの一次配列と関連はあるが、いずれもナトリウム流量に対して何ら効果を示さなかったし、それ故にアミロライド感受性上皮ナトリウムイオンチャンネル(ENaC)を活性化する効果も無かったが、一方本発明のペプチドは、A549細胞を用いるホールセルパッチクランプ試験にて槽溶液に当該ペプチドを添加した場合に、コントロール値を超えるナトリウム流量の増加を誘導することを示した。このように、この3つの比較用ペプチドは、A549細胞を用いるホールセルパッチクランプ試験において、ポジティブコントロール(配列番号:1;CGQRETPEGAEAKPWYCを有する本発明のペプチド)と比較して、アミロライド感受性上皮ナトリウムイオンチャンネル(ENaC)に対する効果を示さなかったが、肺胞液クリアランスは、肺胞上皮細胞全体のこのナトリウムイオンの移動の結果によるものであるので、EP 2 009 023 A1に記載された直線および環状ペプチド双方の特に好ましい各改変体を本実施例(QRETPEGAEAKPWY、TKPIELGPDEPKAVおよびCGTKPIELGPDEPKAVCであり、これはEP 2 009 023 A1において配列番号:18、76および配列番号:2のペプチドとして示されるものである)において調べたけれども、先行技術に記載のこれらのペプチド(本発明のペプチドとは異なる)は、肺水腫を低減させることはできないということが結論づけられる。浮腫を解消する活性が、EP 2 009 023 A1における比較用ペプチドに起因するので、このことはそれだけにいっそう注目に値する。
このことは、一方で、本発明により提供される特徴、特に環化およびコア配列TXEXEまたはTPEGAEの各々は、本発明の重要な特徴であることを示している。他方で、本発明の試験は、これらのペプチド自体が先行技術において提案される浮腫の治療に適しているという仮定に関して科学的に確認されている疑義も証明する。科学分野の専門家に認められているホールセルパッチクランプ試験の試験系により行なった本発明の実施例は、EP 2 009 023 A1で使用される試験系(TEER試験)が明らかにこの活性を証明するのに適していないということを示している。
導入:
正常な成人のヒト肺における体液バランスは、肺上皮上のイオンの輸送機序に依存しており、肺胞液クリアランスにおけるNa輸送体の関与は十分確認されている。特に本明細書では、アミロライド感受性上皮Naチャンネル(ENaC)は、肺胞上皮上のNa取り込み過程の制限を示し、肺内での液体再吸収の重要な役割を担う。改良された肺胞液クリアランスは、肺水腫の場合において改善された予後と回復を直接的に導くため、このENaC活性の改善は、肺水腫治療のための有望な治療選択肢を提供する。
欧州特許出願EP 2 009 023 A1は、組織内の過剰な体液貯留を阻害または減少させる新規分子として、ペプチド、例えばQRETPEGAEAKPWY、TKPIELGPDEPKAVおよびCGTKPIELGPDEPKAVC(そこでは配列番号:18、配列番号:76および配列番号:2のペプチドとして記述される)を提案している。
特許出願EP 2 009 023 A1によれば、いわゆる経上皮電気抵抗(TEER)試験を、抗肺水腫有効成分の候補物質のスクリーニングに使用した。「TEER試験」は、肺水腫における液体クリアランスを予測するための確立された試験ではない(この試験は、関連文献には見出すことはできず、ヒトの肺におけるガス交換のためのモデルで使用される細胞(Calu−3細胞)に関して関連性もない)。本実施例では、本発明のペプチドに加えて−ペプチドQRETPEGAEAKPWY、TKPIELGPDEPKAVおよび(環化)CGTKPIELGPDEPKAVCを、ホールセルパッチクランプアッセイ(細胞膜上のイオンの移動を測定するため、特に肺胞上皮細胞の細胞膜上のナトリウム輸送を測定するための確立された方法)により試験した[Eaton et al., Fed. Proc. 45 (1986), 2707;Hamill et al., Pflugers Arch. 391 (1981)85-100]。本明細書では、ペプチドが、肺細胞においてアミロライド感受性上皮ナトリウム流量を活性化できるかどうかを試験した。
「TEER試験」は、EP 2 009 023 A1に記載されているたようにCalu−3細胞の細胞層を使用する。しかし、Calu−3細胞は気管支細胞である。気管支細胞は、ガス交換のためのヒト肺表面のうちのおおよそ1%に相当するものであり、それ故ガス交換のためのヒト肺表面のおおよそ99%を構成する肺胞上皮細胞についての適切なモデルとはいえない。本実施例では、ヒト肺胞上皮細胞株A549を使用した。その理由は、ヒト肺胞上皮細胞株A549は、一般的に認められた実験標準を規定し、また文献(Lazrak et al., Am. J. Physiol. Lung Cell. Mol. Physiol. 278(2000), 848-857)において肺胞上皮細胞のための選択モデルと見なされているためである。
実験方法
試験したペプチド
ペプチド「AP301」(本発明のペプチド):
環状−H−Cys−Gly−Gln−Arg−Glu−Thr−Pro−Glu−Gly−Ala−Glu−Ala−Lys−Pro−Trp−Tyr−Cys−OH(配列番号:1)。
合成ペプチドQRETPEGAEAKPWY:
H−Gln−Arg−Glu−Thr−Pro−Glu−Gly−Ala−Glu−Ala−Lys−Pro−Trp−Tyr−OH
(配列番号:3、即ち浮腫の治療に適したものとして先行技術に記載されているものであるが、本発明の形態とは異なり、この実験では環化されていないものである)。
合成ペプチドTKPIELGPDEPKAV:
H−Thr−Lys−Pro−Ile−Glu−Leu−Gly−Pro−Asp−Glu−Pro−Lys−Ala−Val−OH
(配列番号:16、即ち浮腫の治療に適したものとして先行技術に記載されているものであるが、本発明のペプチドとは異なり、環化されておらず、かつコア配列TXEXEまたはTPEGAE各々を含有していないものである)。
合成ペプチドCGTKPIELGPDEPKAVC:
環状−H−Cys−Gly−Thr−Lys−Pro−Ile−Glu−Leu−Gly−Pro−Asp−Glu−Pro−Lys−Ala−Val−Cys−OH(配列番号:17、即ち浮腫の治療に適したものとして先行技術に記載されているものであるが、本発明のペプチドとは異なり、コア配列TXEXEまたはTPEGAE各々を含有していないものである)。
ペプチド合成
本実施例における全てのペプチドを、2−クロロトリチルクロリド樹脂上でフルオレニルメチルオキシカルボニル/t−ブチル保護ストラテジーに従って固相ペプチド合成により製造した。ジイソプロピルカルボジイミドおよびN−ヒドロキシベンゾトリアゾールをカップリング試薬として使用した。全てのカップリング工程を、N−N−ジメチルホルムアミド中で行なった。保護されたアミノ酸を、C末端アミノ酸から開始して、ペプチド鎖に連続してカップリングさせた。フルオレニルメチルオキシカルボニルの脱保護を、N−N−ジメチルホルムアミド中20%ピペリジンで行なった。前記完了後で、部分的に保護されたペプチドを樹脂から分離する操作は、酢酸とジクロロメタンの1:1混合物中で行なった。
配列番号:1のペプチドの場合、樹脂から分離した後に、側鎖の脱保護を、95%のトリフルオロ酢酸、5%の水中で行ない、その後pH8.5でおおよそ100時間、酸素供給(1.2バールでO)により末端のシステイン残基を酸化して、直線状の原料ペプチドを環化した。
原料ペプチド生成物を、5%〜40%のアセトニトリルグラジエントを用いるRP−C18シリカゲルカラムでの逆相中圧液体クロマトグラフィー(RP−MPLC)により精製した。最後に、トリフルオロ酢酸の対イオンを、Lewatit MP64カラム(アセテート形態)上で、アセテートに置換した。水での最終洗浄工程後に、精製ペプチドを酢酸塩として凍結乾燥させて、白色からクリーム色の粉末として得た。ペプチド2の場合には、分子内のジスルフィド架橋が、Lewatitカラム上から分離する際に問題を引き起こしたため、環状ペプチドを、アセテート形態ではなくトリフルオロ酢酸形態で使用した。
ペプチドの特徴分析
ペプチドの分子量を、エレクトロスプレーイオン化質量スペクトル分析法またはMALDI−TOF−MSにより確認した;純度を、分析用高速液体クロマトグラフィーにより決定した。
このペプチドを−20℃で貯蔵した。
パッチクランプ法の手順
A549細胞を用いるホールセルパッチクランプ試験を、Hazemiら(J. Med. Chem. 53 (2010), 8021-8029)に記載のとおりに行なった。ペプチド溶液を、最終濃度が300nMとなるようにパッチクランプ試験における外部(槽)溶液に添加した。所定のペプチド添加後に流量増加が観察された場合にはこの流量が定常状態に達した後に、アミロライド溶液(100mMの終濃度)を、槽溶液に添加した(アミロライド感受性の流量をアミロライド非感受性の流量と区別するためである)。その後、アミロライド感受性の流量を、アミロライド添加後の流量値(アミロライド非感受性)をアミロライド添加前の定常状態の流量値から控除して算出した。各ペプチドについて、3つの実験を、異なるA549細胞(n=3)にて実施した。
結果
本発明のペプチド;配列番号:1(“AP301”);ポジティブコントロールペプチドは、それを240nMの最終濃度でA549細胞を用いるホールセルパッチクランプ試験の槽溶液へ添加した場合に、86pA±5pA(AP301の添加前)のコントロール値から1073±15pA(AP301の添加後)の最大値へと、能動的なNa流量を増加させた。アミロライドのその後の添加により、その流量が36pA±5pAに戻った。このことは、AP301により増加していたその流量がアミロライド感受性のNa流量であることを示した(図4)。
A549細胞を用いる別のホールセルパッチクランプ実験において、3つの合成比較用ペプチドQRETPEGAEAKPWY、TKPIELGPDEPKAVおよびCGTKPIELGPDEPKAVCを各々、300nMの最終濃度で槽溶液に添加した場合、その流量に対する効果を観察できなかった:この値はコントロール値の範囲を維持していた(図5〜7)。
結果考察
本実施例において、ポジティブコントロールとして本発明のペプチド(“AP301”)の能力は、A549細胞を用いるホールセルパッチクランプ試験におけるアミロライド感受性のNa流量の増加に示された。槽溶液へのAP301の添加により、86pA±5pA(AP301の添加前)のコントロール値から1073±15pA(AP301の添加後)の最大値までNa流量が増加した。その後のアミロライドの添加により、36pA±5pAへと戻った。この結果は、AP301により、アミロライド感受性のNa流量が50pAから1037pAへと上昇したこと、故に肺内で肺胞上皮細胞の頂端膜に並んでいるアミロライド感受性の上皮Naチャンネル(ENaC)に対するAP301の活性化効果が認められたことを示す(Tzotzos et al., Pulm. Pharmacol. Ther. 26 (2013), 356-363も参照されたい)。ENaCの活性化により、肺胞液から上皮層へのNa輸送が増加して、この結果肺胞液のクリアランスが支持され、かつ肺胞から上皮下の間質層へと水を流す浸透圧駆動力が増強される。肺に直接投与したAP301の観察された肺胞液クリアランス効果の根拠を形づくる機序は、恐らくこのことが理由であろう。
その他の3つの合成比較用ペプチドQRETPEGAEAKPWY、TKPIELGPDEPKAVおよびCGTKPIELGPDEPKAVCの各々を、A549細胞を用いるホールセルパッチクランプ試験の槽溶液に添加した場合に、Na流量に影響を及ぼす能力について同様に試験した。しかし、即時的に強い効果を示したAP301とは異なり、その他の3つのペプチドは、本発明のペプチドのAP301よりも適用濃度が多少高くても(3つのペプチドについては300nM、AP301については240nM)、これらの細胞においてNa流量に対する影響を示さなかった。
実施例4:本発明のペプチドによるアミロライド感受性のナトリウムイオンチャンネル(ENaC)の活性化
本発明の配列番号:1および11〜15のペプチドを、細胞を基にした試験において広範に特徴付けを行なった。これらの環状ペプチド配列番号:1および11〜15は、肺細胞内のアミロライド感受性ナトリウムイオンチャンネル(ENaC)を活性化する。この結果より、これらのペプチドおよび先に試験したAP301は本発明の効果において同等であるということが明らかにされる。
ペプチド配列
配列番号:1:CGQRETPEGAEAKPWYC:
ペプチドの環化は、末端システイン(C)が酸化されて、硫黄架橋の生成により達成された。
配列番号:11:KSPGQRETPEGAEAKPWYE:
環状ペプチド配列番号:11において、前記アミノ酸は、C末端アミノ酸のグルタミン酸(E)から、N末端アミノ酸のリジン(K)までペプチド結合されており、同時にN末端アミノ酸のリジン(K)は、リジン側鎖のイプシロンアミノ基の窒素とグルタミン酸側鎖基のγ炭素との間のアミド結合によりC末端アミノ酸のグルタミン酸(E)と連結される。
配列番号:12:KGQRETPEGAEAKPWYG:
環状ペプチドの配列番号:12において、前記アミノ酸は、C末端アミノ酸のグリシン(G)からN末端アミノ酸のリジン(K)までペプチド結合されており、同時にN末端アミノ酸のリジン(K)は、リジン側鎖のイプシロンアミノ基の窒素とグリシンのカルボキシル基の炭素との間のアミド結合によりC末端アミノ酸のグリシン(G)と連結される。
配列番号:13:オルニチン−GQRETPEGAEAKPWYG:
環状ペプチド配列番号:13において、前記アミノ酸は、C末端アミノ酸のグリシン(G)からN末端アミノ酸のオルニチン(Orn)までペプチド結合されており、同時にN末端アミノ酸のオルニチン(Orn)は、オルニチン側鎖のデルタアミノ基の窒素とグリシンのカルボキシル基の炭素との間のアミド結合によりC末端アミノ酸のグリシン(G)と連結される。
配列番号:14:4−アミノ酪酸−GQRETPEGAEAKPWYD:
環状ペプチド配列番号:14において、前記アミノ酸は、C末端のアスパラギン酸(D)から、N末端アミノ酸のグリシン(G)までペプチド結合されており、同時に一方でC末端アスパラギン酸(D)は、N末端グリシンのアミノ基の窒素と4−アミノ酪酸のカルボキシル基の炭素C1との間のアミド結合、さらに他方で4−アミノ酪酸のアミノ基の窒素とC末端のアスパラギン酸側鎖のカルボキシル基の炭素との間のアミド結合によりN末端アミノ酸のグリシンと連結される。
配列番号:15:β−アラニンGQRETPEGAEAKPWYE:
環状ペプチド配列番号:15において、前記アミノ酸は、C末端のグルタミン酸(E)から、N末端アミノ酸のグリシン(G)までペプチド結合されており、同時に一方でC末端グルタミン酸(E)は、N末端グリシンのアミノ基の窒素とβ−アラニンのカルボキシル基の炭素C1との間のアミド結合、さらに他方でβ−アラニンのアミノ基の窒素とC末端グルタミン酸側鎖のカルボキシル基の炭素との間のアミド結合によりN末端アミノ酸のグリシンと連結される。
配列番号:19:CGQREAPAGAAAKPWYC(本発明のものではない):
ペプチド配列番号:19の環化は、末端システイン(C)が酸化されて硫黄架橋の生成により達成された。
ペプチド合成
環状ペプチド配列番号:1、11〜15および19を、以下の工程:
アミノ酸を連続的にカップリングする工程;固相から選択的に分離する工程;精製および凍結乾燥、選択的環化の工程;保護基を分離する工程;精製および凍結乾燥の工程;分析試験の工程に従い、全自動化Fmoc固相合成により作成した。
環状ペプチド配列番号:1および11〜15(本発明のもの)および19(本発明のものではない)を、次いで逆相HPLCにより純度および質量について試験した。
環状ペプチド配列番号:1の純度は、96.3%,m/z(ESI)1924.2(M++1)であった。環状ペプチド配列番号:11の純度は、96.3%,m/z(ESI)1924.1(M++1)であった。環状ペプチド配列番号:12の純度は、98.8%,m/z(ESI)1888.2(M++1)であった。環状ペプチド配列番号:13の純度は、97.4%,m/z(ESI)1873.4(M++1)であった。環状ペプチド配列番号:14の純度は、99%,m/z(MALDI−TOF)1901.6(M++1)であった。環状タンパク質配列番号:15の純度は、99%,m/z(MALDI−TOF)1902.7(M++1)であった。環状ペプチド配列番号:19の純度は、95%,m/z(MALDI−TOF)1778.02(M++1)であった。
本発明の配列番号:1および11〜15のペプチドは、以下の共通する構造特性:
配列:X−GQRETPEGAEAKPWY−X
[式中、
は、1個のアミノ酸または1〜4個のアミノ酸、特に1または3個のアミノ酸を表し、前記アミノ酸は天然または非天然アミノ酸であり、
は、アミノ酸C、K、オルニチン、4−アミノ酪酸、β−アラニンまたは配列KSPを表し、
は、天然または非天然アミノ酸であってもよく、
は、アミノ酸C、D、GまたはEであってもよく、
は、N末端アミノ酸であり、
はC末端アミノ酸である]
を有する。
アミロライド感受性ナトリウムイオンチャンネル(ENaC)の電気生理学的試験
肉眼で見えるナトリウムイオン流量は、“パッチクランプ”技術の“ホールセル”形態を用いて、ヒト肺上皮細胞A549から得たものである(Hamill et al., Pflugers Arch. 391 (1981), 85-100)。“ホールセル”形態においてナトリウムイオン流量を誘導するために、以下の槽溶液および電極用溶液を使用した:
槽溶液:135mM メタンスルホン酸ナトリウム、10mM NaCl、2.7mM KCl、1.8mM CaCl、2mM MgCl、5.5mM グルコースおよび10mM HEPES(pH7.4)
電極用溶液:120mM メタンスルホン酸カリウム、15mM KCl、6mM NaCl、1mM MgATP、2mM Na3ATP、10mM HEPESおよび0.5mM EGTA(pH7.2)。
培養された細胞を載せたカバースリップを実験用槽容器(1ml)に移して、顕微鏡テーブル(Axiovert 100, 400 x 倍率)に固定し、この細胞を上記槽溶液により表面潅流した。次いで、この流量を、適切な細胞(カバースリップと密着した)から得た。このために、電解質溶液で満たされた微小電極(約1〜3μmの熱加工された規定開口部を有するガラス毛細管は3〜5MΩの電極チップの抵抗に相当する)を細胞上におき、膜を吸引して、漏出電流を最小とするために膜と電極の間に「ギガオームシール」を形成させた。この“ホールセル形態”にて、前記膜を電極チップの下で貫通させると、結果として細胞の全イオンチャンネルを通過する流量を測定できた。“ギガオームシール”を得た時点で、規定した膜保持電位を、前段階増幅器(CV-4 Headstage, Axon Instruments)および増幅器(Axopatch 1D, Axon Instr.)を介して電圧をかけて、イオンチャンネルを通過する流量を測定した。
パルスプロトコールは、5秒間の−100mVへの細胞膜の過分極、その後20mV段階ごとに+100mVまでの漸増的脱分極からなった。
このプロトコールを、環状タンパク質の添加前(コントロール)および後に行った。こうして得た流量の誘導を、PCLAMP 6.0 programmeにより収集および分析した。これに関して、アミロライド存在下で得た流量の誘導を、先に記録した流量から控除して、上皮ナトリウムチャンネルからのアミロライド感受性ナトリウム流量を決定することができた。
測定結果を表1にまとめた。個々のペプチドの活性を、EC50(nM)として示す。EC50は、最大活性(即ち、流量の最大増加、I)の50%効果濃度として示される。
Figure 0006113277
濃度関数として、環状ペプチド配列番号:1および11〜15のペプチドの活性を図8に示す。最大活性を100%で示した。
図示した試験は、本発明の配列番号:1および11〜15のペプチドが、生物学的に活性であることを示すが、本発明ではない配列番号:19のペプチドは活性ではないことを示す。環状ペプチド配列番号:1および11〜15と環状ペプチド配列番号:19との相違は、一般的ペプチド配列X−GQRETPEGAEAKPWY−Xのアミノ酸の中で、T(5番麺の位置)およびアミノ酸E(7番目の位置)およびアミノ酸E(10番目の位置)がアラニンに交換されているという点である。すなわち、TPEGAEの配列は必須である。XおよびXの構造は、活性に対しては重要な影響はない。
Figure 0006113277

Claims (13)

  1. 7〜20個の隣接するアミノ酸からなり、かつ環化されたペプチドを含み、該ペプチドがアミノ酸配列CGQRETPEGAEAKPWYCを含み、かつCの残基を介して環化されており、TNF受容体結合活性を有さない、肺型の高山病の治療用医薬。
  2. Cの残基間のジスルフィド架橋により環化されている、請求項1記載の医薬。
  3. 医薬上許容し得る担体を含む、ヒトへの投与に好適な、請求項1または2に記載の医薬。
  4. 前記医薬上許容し得る担体が、水もしくは注射用水、食塩、リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸塩、グリシン、グリシルグリシン、ヒスチジン、リジン、アルギニン、TRIS、クエン酸ナトリウム、リンガー溶液、デキストロース、マンニトール、トレハロース、サッカロース、ソルビトール、フルクトース、マルトース、ラクトースまたはデキストラン、ハンクス溶液、不揮発性油、オレイン酸エチル、浸透圧および化学安定性を改善する物質群、保存剤、医薬上許容し得るタンパク質、多糖類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、重合アミノ酸ならびにアミノ酸共重合体から選択される、請求項に記載の医薬。
  5. 前記ペプチドを、1μg〜10gの量で含む、請求項またはに記載の医薬。
  6. 前記ペプチドを10μg〜1gの量で含む、請求項またはに記載の医薬。
  7. 前記ペプチドを1mg〜100mgの量で含む、請求項またはに記載の医薬。
  8. 液体形態であり、および0.5〜10mlの容量で存在する、請求項のいずれか1項に記載の医薬。
  9. 前記容量が1〜5mlである、請求項に記載の医薬。
  10. 前記ペプチドが、噴霧可能な粉末製剤または噴霧可能な液体製剤中に存在する、請求項のいずれか1項に記載の医薬。
  11. 前記ペプチドが乾燥粉末形態である、請求項1または2に記載の医薬。
  12. 前記ペプチドが配列番号1に記載のアミノ酸配列CGQRETPEGAEAKPWYCからなり、かつ乾燥粉末形態である、請求項1または2に記載の医薬。
  13. 噴霧形態である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の医薬。
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