以下、図面に基づいて、本発明に係るコンバインの実施形態を普通型コンバインに適用した場合について説明する。
〔全体構成〕
図1及び図2に示すように、普通型コンバインは、左右一対の操向不能な前走行装置としてのゴムタイヤ式の前車輪1と、左右一対の操向操作可能な後走行装置としてのゴムタイヤ式の後車輪2とを備えた走行機体3の前部に、作物を刈り取って後方に搬送する刈取搬送部4が刈取昇降シリンダ5により横向き支点P1周りで駆動昇降自在に支持されている。そして、走行機体3には、前部側に位置してキャビン6にて覆われた運転者が搭乗する運転部7、刈取搬送部4にて刈り取られた作物の脱穀処理を行う脱穀装置8、その脱穀装置8にて脱穀処理されて得られた穀粒を貯留する穀粒タンク9、駆動用のエンジン10、エンジン10に供給するための燃料を貯留する燃料タンク11等が備えられている。脱穀装置8の後方側下部には、脱穀装置8において脱穀処理が終了した後の茎稈(排ワラ)を細かく細断して機体外部に排出する排ワラ処理装置12が備えられている。
運転部7は、機体右側から運転者が乗り降りするようになっており、運転部7の右側に、乗り込み用の梯子7aと乗降ステップ7bとが備えられている。尚、この実施形態では、左右方向を定義するときは、機体進行方向視で左側又は右側として定める。従って、図面上の左右と異なる場合がある。
刈取搬送部4は、植立する作物を刈り取ったのち刈り取った作物を刈幅方向の中央部に寄せ集める刈取部13と、刈り取られて中央に寄せ集められた作物を機体後方の脱穀装置8に向けて搬送するフィーダ14とを備えて構成されている。
刈取部13は、作物の株元を切断して刈り取るバリカン型の刈刃15、刈り取った作物を刈幅方向の中央部に寄せ集める横送りオーガ16、刈取対象となる作物の穂先側を後方に向けて掻込む回転リール17等を備えて構成されている。フィーダ14は、角筒状のフィーダケース18内に、前後方向に亘って左右一対の無端回動チェーン19が巻回張設され、左右の無端回動チェーン19にわたって架設する状態で且つ周方向に沿って適宜間隔をあけて備える状態で搬送体20を備えており、搬送体20によって刈取部13から受け渡された作物を後方上方に向けて搬送するように構成されている。
燃料タンク11は、脱穀装置8の左側に位置する状態で備えられ、エンジン10は、脱穀装置8の右側に位置する状態で備えられている。又、脱穀装置8の機体左横側外方箇所すなわち走行機体3の左側外端部の上部側が、左上外装カバー21により覆われている。又、脱穀装置8の機体左横側外方箇所の下部側は、左下外装カバーを兼用する燃料タンク11により覆われている。
左上外装カバー21は、脱穀装置8から固定延設された前後一対の支持機構23A,23Bにより、機体前後向き軸芯X1周りで揺動自在に支持され、脱穀装置8の機体左横側外方箇所を覆う縦向きの作用姿勢と、上方外方に向けて揺動して脱穀装置8の機体左横側外方箇所を開放する横向きの開放姿勢とにわたり姿勢切り換え自在に構成されている。又、後部側の支持機構23Bには、左上外装カバー21を開放姿勢にて位置保持自在なガスダンパー24が備えられている。
又、図示はしないが、燃料タンク11は、機体後部側箇所において、上下軸芯周りで揺動自在に機体フレーム25に支持されており、前部側を上下軸芯周りで揺動させることで、脱穀装置8の下部の左側を開放させることができるようになっている。
図4及び図5に示すように、脱穀装置8は、左右両側が側壁8Aによって覆われ、上部が天板26によって覆われている。そして、図3に示すように、左右の側壁8Aと天板26により囲われた内部空間の上部側に、回転する扱胴27とその外周部に沿って設けられる受網38とを有し、刈取搬送部4により搬送されてくる刈取穀稈の扱き処理を実行する扱室29が形成されている。又、扱室29の下部に、扱室29から漏下してくる扱き処理物を穀粒とワラ屑等に選別する選別処理部30が備えられている。
〔扱室〕
脱穀装置8における左側の側壁8Aにおいて、扱室29の左側箇所を覆う上側部分が着脱可能な左側板31にて構成されている。この扱室29の左側板31が、外装カバー側の側板に対応する。
扱室29の左側板31について説明する。
図4及び図7に示すように、左側板31は、機体前後方向すなわち、扱胴27の回転軸芯方向に沿って2つに分割される構成となっている。2つの分割側板31Aは、夫々、下部に、脱穀フレーム32に設けられた被係止部33に係脱自在に係止する係止部34が備えられ、且つ、係止部34を被係止部33に係止させた状態で、上部が、脱穀フレーム32の被連結箇所に対して取外し可能に締結固定される構成となっている。
説明を加えると、図4〜図6に示すように、2つの分割側板31Aは、夫々、下端部にて折り曲げ形成された水平面部34aにおける前後方向に離間した2箇所において、下方に突出する状態で棒状の係止ピン34bが備えられている。又、脱穀フレーム32のうち脱穀装置8の上下中間部を前後方向に延びる角パイプ状の中間フレーム体37の上面33aに、係止ピン34bが上下方向に差し込み係合可能な位置決め用の貫通孔33bが形成されている。
つまり、分割側板31Aの下端部は、水平面部34aが中間フレーム体37の上面33aに接当係合し且つ係止ピン34bが貫通孔33bに差し込み係合されることにより、位置決めされた状態で載置支持される構成となっている。従って、水平面部34aと係止ピン34bにより係止部34が構成され、中間フレーム体37の上面33aと貫通孔33bにより被係止部33が構成されている。
又、分割側板31Aの上部側箇所における前後方向に離間した2箇所においてネジ挿通孔39が形成されている。一方、脱穀フレーム32のうち脱穀装置8の上部側箇所を前後方向に延びる角パイプ状の上部フレーム体40に、ネジ挿通孔39に対応する位置に被連結箇所としての断面L字形の連結用ブラケット41が連結されている。そして、蝶ボルト42を、分割側板31Aに形成されているネジ挿通孔39及び連結用ブラケット41に形成されている挿通孔43を通して、連結用ブラケット41の裏面に溶接固定されているナット44に締結することで、分割側板31Aの下部が取り外し可能に締結固定されている。
この構成では、2つの分割側板31Aは、夫々各別に、蝶ボルト42の締結を解除して、中間フレーム体37に対する係止ピン34bの差し込み係合を解除することにより、取り外すことができる。又、分割側板31Aの下端部の係止ピン34bを中間フレーム体37の貫通孔33bに差し込み係合させ、且つ、水平面部34aを中間フレーム体37の上面33aに載置支持させた状態で、蝶ボルト42の締結により上部側箇所を固定することで、容易に装着することができる。
2つの分割側板31A、すなわち、扱室29の左側板31を取り外すと、扱室29に対応する箇所に開口K1が形成され、この開口K1を通して受網38を外方に取り出すことができる。受網38の構成については後述する。
扱室29の左側板31には、図5〜図7に示すように、その内側に下方側ほど扱室29内方側に向けて位置する傾斜姿勢のガイド板45が備えられている。又、ガイド板45は、2つの分割側板31Aの夫々において、扱胴27の回転軸芯方向すなわち機体前後方向に沿う一端部から他端部に亘って幅広に設けられている。
このガイド板45は、受網38の扱胴27の回転方向上手側箇所、つまり、扱室29の左側端部から多量に漏下してくる扱き処理物を右側に向けて移動案内する。その結果、選別処理部30に対して極力均した状態で扱き処理物を供給することができる。
ガイド板45の下端部に、左側板31との間の隙間を塞ぐ底板46が備えられている。底板46は、左側板31に向かうほど下方側に位置する傾斜姿勢に構成されている。この底板46は、ガイド板45の下端部から一連に連なる状態で一体形成されており、底板46の下端部は左側板31に連結固定されている。
すなわち、一枚の板金材を略L字形に折り曲げて、ガイド板45と底板46とが一体的に形成されており、その板体の上端側箇所と下端側箇所とが夫々、左側板31に溶接にて連結固定されている。
ガイド板45の前後方向の両側端部に、左側板31との間の隙間を塞ぐ縦向きの遮蔽板47が備えられている。この遮蔽板47もガイド板45と同様に板金材にて構成され、ガイド板45の前後方向両側端部において、ガイド板45、底板46、及び、左側板31の夫々にスポット溶接にて連結される構成となっている。この遮蔽板47は、前後方向視で略三角形状に形成されるが、板金材を折り曲げて形成されることから、角部において少しだけ隙間が形成される。その結果、ガイド板45、底板46、遮蔽板47にて囲まれる空間の内部に、隙間を通して細かなワラ屑等が侵入することがある。そこで、図7に示すように、底板46に排塵用の開口46Aが形成されている。内部にワラ屑等が侵入してもこの開口46Aを通して下方に向けて排出させることができる。
〔扱胴〕
扱胴27について説明する。
図3及び図8(a)に示すように、扱胴27は、脱穀フレーム32に支持される前部側枠体48と後部側枠体49とわたって機体前後向き軸芯X2周りに回転自在に支持される扱胴軸50を備え、その扱胴軸50を中心に一体回転するように構成され、且つ、前端部を形成する掻込部51と、後部側を形成する扱き処理部52とを備えている。
掻込部51は、前細りの円錐台状に形成した胴部分53の外周面に掻き込み搬送用の2枚の螺旋羽根54を備えており、回転することでフィーダ14からの刈取穀稈の全体を後方に掻き入れるスクリュー搬送式に構成されている。そして、この螺旋羽根54には、稲等の摩耗するおそれが大きい作物を収穫するときに、摩耗防止板(図示せず)を取り付けるためのボルト挿通孔55が形成されている。
扱き処理部52は、円板状に形成され且つ扱胴軸50に一体回転自在に連結固定された複数の支持プレート56a,56b,56c、扱胴27の周方向に等間隔で分散配置して各支持プレート56a,56b,56cの夫々に連結された6本の支持杆57、各支持杆57の軸芯方向に並ぶ複数箇所から扱胴27外周側に突出するバー形の扱歯58を備えている。複数の支持プレート56a,56b,56cとしては、前部側支持プレート56a、3つの中間側支持プレート56b及び後部側支持プレート56cが備えられている。
図5,6,8に示すように、支持杆57は丸パイプ材にて構成されている。又、扱歯58は、丸棒材にて構成され、扱胴27の径方向に沿って支持杆57を貫通させた状態で溶接にて一体的に連結固定されている。又、6本の支持杆57には夫々、各支持プレート56a,56b,56cに対応する位置に連結用のブラケット59が溶接にて連結固定され、ブラケット59を各支持プレート56a,56b,56cにボルトで締結固定することにより、6本の支持杆57が連結されている。
支持杆57は、前後向きを入れ替えても取り付けることができるように構成されている。すなわち、各ブラケット59の各支持プレート56a,56b,56cに対するボルト締結を解除することで、支持杆57を取り外すことができ、又、前後向きを変更しても各ブラケット59と各支持プレート56a,56b,56cとのボルト締結が可能なように、ブラケット59と各支持プレート56a,56b,56cとの位置が設定されている。
説明を加えると、3つの中間側支持プレート56cのうちの前後中間に位置するものが、扱胴27の前後方向の中央に位置する状態で設けられ、その中央に位置する中間側支持プレート56bから前後両側の中間側支持プレート56bまでの間隔が夫々同じ間隔に設定されている。又、前側の中間側支持プレート56bから前部側支持プレート56aでの間隔と、後側の中間側支持プレート56bから後部側支持プレート56bまでの間隔も同じ間隔に設定されている。
そして、各支持杆57は、予め、周方向に隣り合うもの同士が互いに前後向きを異ならせた状態で取り付けられており、前後向きが異なると、軸芯方向に沿って扱歯58が半ピッチずつ位置がずれる構成となっており、処理物に対する扱き処理を効率よく行えるように構成されている。
各支持杆57は、扱歯58が扱胴27の回転方向下手側に向けて傾斜するように後退角を有する状態で各支持プレート56a,56b,56cに連結されている。そして、上述したような支持杆57の前後向きの入れ替え作業が行われた場合であっても、全ての扱歯58の後退角が正確に設定角(例えば、15度)になるように、ブラケット59を各支持プレート56a,56b,56cにボルト締結する取り付け作業時において、ブラケット59が適正な傾斜姿勢になるように位置規制することができるようになっている。
すなわち、図8(c)(d)に示すように、前部側支持プレート56a及び後部側支持プレート56bの夫々における、支持杆57が備えられる側の側面に、ブラケット59が設定角だけ後退傾斜した状態で、ブラケット59に接当して姿勢を規制する突起60が形成されている。この突起60は、プレス加工することによって板面から突出させるように形成したものである。ブラケット59が突起60に接当して姿勢を規制している状態でボルトを締め付けることで、ブラケット59に形成されたボルト挿通孔におけるガタに起因した傾斜姿勢の誤差が生じないようにしている。
前部側支持プレート56aと後部側支持プレート56bは、同じ構成のものを共用する構成としている。すなわち、前後向きを反転させても支持杆57を装着することができるように、ボルト挿通孔及び規制用突起60を左側用及び右側用の夫々が形成されており、前部用と後部用とを共用できる構成となっている。ちなみに、支持杆57の前後向きの入れ替え作業は、例えば、扱き処理が行われるに伴って、扱胴27の前部側に位置する扱歯58が後部側の扱歯58に比べて摩耗が激しい場合等において行われることがある。
このような構成の扱胴27では、扱き処理物を支持杆57同士の間から扱胴27の内部空間に入り込ませることにより、脱穀負荷の軽減を図りながら脱穀処理することができる。
〔受網〕
次に、受網38について説明する。
図3及び図4に示すように、受網38は、機体前後方向すなわち扱胴27の回転軸芯方向に沿って略均等に3分割された3つの分割受網38Aにて構成され、さらに、3つの分割受網38Aの夫々が、機体左右方向、すなわち、扱胴27の周方向に沿って、扱室29の左側板31から遠い奥側の分割受網38A1と近い側の分割受網38A2とに分割される構成となっている。すなわち、受網38は合計6個に分割される構成となっており、夫々の分割受網38Aを扱室29の左側板31に形成される開口K1を通して機体外方に取り外すことができるように構成されている。
図5に示すように、奥側の分割受網38A1が位置する箇所には、前後両側に扱胴27の周方向に沿う円弧状のガイドレール61が備えられ、そのガイドレール61に沿ってスライドさせて、奥側の分割受網38A1を取外したり、装着させたりすることができる。
奥側の分割受網38A1は、ガイドレール61により載置支持され、且つ、奥側の端部を脱穀フレーム32のうちの奥側の中間フレーム体37に近接する位置にまでスライドさせた状態で、開口側の端部が、扱胴27の回転軸芯方向に沿って設けられた支持枠体62に、ボルト締結により連結固定されている。
又、図5に示すように、奥側の分割受網38A1における開口側の端部と、開口側の分割受網38A2の一端部とを突き合わせた状態で、それらをボルトにより支持枠体62に共締め状態で締結して連結固定されている。そして、図9に示すように、開口側の分割受網38A2の他端部が、中間フレーム体37にボルト締結により連結固定されている。ボルトが挿通する箇所には、奥側の分割受網38A1にナットが溶接固定されており、作業者は開口K1を通して装置外方側からボルト締結作業を行うことができる。
従って、受網38は、ボルトの締結作業や締結解除作業により、開口K1を通して、装置外方に取り外したり、外部から扱室29内部に装着させることができる。受網38が6個に分割されているので、分割受網38Aは小型軽量であり、このような着脱作業を楽に行うことができる。
扱胴27の回転軸芯方向に沿って隣り合う3個の分割受網38Aは、前後方向の隙間が少ない状態で装着されており、例えば、塵埃が隙間に詰まる等により、分割受網38Aを取り出すとき、手作業で取り出し難い場合がある。そこで、図10に示すように、開口側の分割受網38A2の他端部における中間フレーム体37に対して下方から接当する箇所に、中間フレーム体37に対する締結が解除されたボルトBoを用いて、開口側の分割受網38A2を分離する方向に押し出すための押出し用ナット63が装着されている。
つまり、中間フレーム体37に対する締結が解除されたボルトBoを、押出し用ナット63に装着して挿通孔64を通して中間フレーム体37に押し付けるようにネジ込むと、相対的に開口側の分割受網38A2が中間フレーム体37から離間する方向に力が発生して、開口側の分割受網38A2を取り外すことができる。
〔天板〕
次に、天板26の内面側の構成について説明する。
図5及び図11に示すように、天板26の内面側における機体前端側には、扱胴27の回転に伴って扱胴27の回転方向に流動する処理物を機体後方側に案内する固定案内板65が位置固定状態で取り付けられている。そして、図11及び図12に示すように、固定案内板65よりも機体後方側箇所に、扱胴27の回転に伴って扱胴27の回転方向に流動する処理物を機体後方側に案内する複数の送塵弁66が、機体前後方向に沿って間隔をあけて並ぶ状態で且つ上下軸芯周りで回動自在に天板26に支持される状態で備えられている。
図12に示すように、複数の送塵弁66には、夫々、天板26を貫通するとともに、枢支ボス67により回動自在に支持される縦向きの支軸68が一体回動する状態で備えられ、支軸68は、枢支ボス67を相対回動可能に挿通して抜け止めされている。各送塵弁66は、揺動支点となる支軸68を中心にした同時揺動操作が可能になるように、それらの扱胴回転方向上手側の端部が1本の連係リンク69を介して連動連結されている。
天板26には、連係リンク69を収容する収容空間を確保するために、天板26での扱胴回転方向上手側となる左側の横外側に向けて張り出す張り出し部70が形成されている。張り出し部70は、縦板部分70a、底面部分70b、上面部分70cを備えて連係リンク69を収容するように形成されている。
図11に示すように、連係リンク69を機体前後方向にスライド自在に支持する複数(この実施形態では3つ)の案内部材71が、機体前後方向に適宜間隔をあけて天板26に取り付け固定されている。図12(b)に示すように、各案内部材71は、張り出し部70の上面部分70cと縦板部分70aとの夫々にボルトで締結固定されている。
各支軸68のうち、脱穀処理方向上手側から2番目に位置する支軸68には、この支軸68を介して送塵弁66と一体揺動する操作レバー72が、支軸68から左側方に向けて延出するように取り付けられている。天板26の左側部には、操作レバー72の遊端側を前後方向に揺動可能に受け止め支持する台座73が備えられている。台座73は、ノブ付きの固定ボルト74を備えている。そして、この固定ボルト74により、操作レバー72を8つの操作位置のうちの任意の操作位置に固定できるように構成されている。
操作レバー72を操作することで、複数の送塵弁66を夫々の支軸68を中心にして同時に揺動操作することができ、脱穀処理中の処理物の各送塵弁66による処理物移送方向下手側への送り量を調節することができる。
そして、天板26の内面側には、天板26と送塵弁66との間に位置する状態で補強板75が取り付けられている。この補強板75は、機体前後方向の前半部分にのみ備えられ、機体横幅方向の全幅又は略全幅にわたる状態で備えられている。しかも、補強板75は、固定案内板65よりも機体後方側箇所に位置する状態で、着脱自在に天板26に取り付けられている。
説明を加えると、補強板75は、張り出し部70に対応する位置を分割ラインとして左右に分割された左右一対の分割補強板75A,75Bにて構成されている。各分割補強板75A,75Bは、扱き処理物が接触しても摩耗し難いステンレス鋼の板状体からなり、天板26の内面に沿って位置する状態で備えられている。
左側の分割補強板75Aは、機体前部側の4つの送塵弁66における夫々の回動支持部76、機体前部側に位置する2個の案内部材71における左側(上面部分側)のボルト締結箇所、天板26の左側端部における脱穀フレーム32に対する前後2箇所のボルト締結箇所の夫々において、共締め固定される構成となっている。又、左側の分割補強板75Aの前端部はボルト締結により天板26に固定されている。
右側の分割補強板75Bは、2個の案内部材71における右側(縦面部分側)のボルト締結箇所、天板26の右側端部における脱穀フレーム32に対する前後2箇所のボルト締結箇所の夫々において、共締め固定される構成となっている。又、右側の分割補強板75Bの前端部はボルト締結により天板26に固定されている。
図12(b)に示すように、回動支持部76にて共締め固定される箇所では、締め付けが強過ぎて分割補強板75Aとの摩擦により送塵弁66が回動できなくなることを回避するために、分割補強板75Aよりも少し厚いシム77を介装して共締め固定されている。回動支持部76以外の締結箇所は、単に、ボルトにより共締め固定する構成であるから説明は省略する。
上述したように、補強板75はボルトの締結により固定されており、ボルトの締結を解除することで補強板75を取り外したり、再度、取り付けることができる。
天板26は、右側端部に設けられた回動支点部78を介して、機体前後向き軸芯X3周りで揺動自在に脱穀フレーム32に支持され、且つ、扱室29の上方を覆う使用姿勢と扱室29の上方を開放する開放姿勢とにわたり姿勢切り換え自在に構成されている。又、図示はしていないが、天板26の後端部には、天板26が開放姿勢に切り換えられている状態で位置保持自在な位置保持機構としてのガスダンパーが備えられている。
又、図5に示すように、天板26における右側端部と左側端部とは、略同じ形状となっており、回動支点部78を左右いずれの側にも取り付けることができるようになっている。その結果、図示はしないが、回動支点部78を天板26の左側端部に取り付けて、左側端部における前後軸芯周りで開放揺動自在な状態に変更することが可能となっている。
〔選別処理部〕
次に、選別処理部30について説明する。
図3に示すように、選別処理部30は、扱室29から漏下した処理物を受け止めて揺動運動によって篩い選別を行う揺動選別装置80、選別風を生成する唐箕81、穀粒(一番物)を回収する一番物回収部82、枝付き穀粒等の二番物を回収する二番物回収部83等を備えている。
一番物回収部82に回収された穀粒を脱穀装置8の右側外方に向けて横送り搬送する一番スクリュー84と、その一番スクリュー84によって右側外方に搬送された穀粒を上方に搬送する搬送部としてのスラットコンベア式の第1穀粒搬送装置85と、その第1穀粒搬送装置85の搬送終端部からさらも上方に搬送して穀粒タンク9に供給するスクリューコンベア式の第2穀粒搬送装置86(図1、図19参照)とが備えられている。
又、二番物回収部83にて回収された二番物を脱穀装置8の右側外方に向けて横送り搬送する二番スクリュー87と、その二番スクリュー87によって右側外方に搬送された二番物を揺動選別装置80上に戻す二番物還元装置88とが備えられている。
図1、図3及び図19に示すように、第1穀粒搬送装置85は、脱穀装置8の右側部において、一番スクリュー84に対応する位置から脱穀装置8の前部側の上部箇所に至るまで前方上方に向けて延びる斜め姿勢で設けられている。又、二番物還元装置88は、脱穀装置8の右側部において、二番スクリュー87に対応する位置から脱穀装置8の右側における前方上方に向けて延びる斜め姿勢で設けられている。つまり、第1穀粒搬送装置85と二番物還元装置88は、略平行な姿勢で前方上方に向けて延びる状態で配備されている。このように配備することで、両者が機体横幅方向に重複することなく、横幅方向の寸法をコンパクトにしながらも、穀粒や二番物を効率よく搬送することができる。
〔揺動選別装置〕
揺動選別装置80は、後部下方側に備えたクランク式の揺動駆動部89の作動で前後揺動する平面視で矩形枠状のシーブケース90を備え、そのシーブケース90内に、扱室29における処理物移送方向上手側から漏下した処理物を後方に移送するグレンパン91、そのグレンパン91にて移送される処理物及び扱室29における処理物移送方向下手側から漏下した処理物についての粗選別を行うチャフシーブ92、チャフシーブ92から漏下した処理物について精選別を行って穀粒(一番物)を下方の一番物回収部82に漏下させるグレンシーブ93、扱室29やチャフシーブ92から供給される排ワラ屑を後方に向けて揺動移送しながら穀粒を落下させる複数のストローラック94等を備えている。
揺動選別装置80を揺動駆動する揺動駆動部89について説明する。
揺動駆動部89は、横向き軸芯P2周りで回転する回転軸95と、回転軸95に対して偏芯する横向き軸芯を有し且つ回転軸95の軸芯周りで回動する偏芯揺動軸96と、一端が揺動選別装置80に連結されるとともに、他端が偏芯揺動軸96に対して相対回動自在に枢支連結されて、揺動選別装置80と偏芯揺動軸96とを連結する連結部97とを備えている。
すなわち、図15に示すように、脱穀装置8の左右両側の側壁8A夫々を挿通する状態で、横向きの同一軸芯P2周りで回転自在に左右一対の回転軸95が支持されている。又、左右両側の回転軸95にわたって一体的に架設連結される状態で、回転軸95に対して偏芯する横向き軸芯を有し且つ回転軸95の軸芯周りで回動する偏芯揺動軸96が設けられている。
そして、揺動選別装置80と偏芯揺動軸96とを連結する連結部97は、偏芯揺動軸96に対する枢支連結箇所にて偏芯揺動軸96を挟んで両側に分離される状態で、揺動選別装置80に一体的に連結された第1連結部材98と、偏芯揺動軸96を挟み込む状態で着脱自在に第1連結部材98に連結された第2連結部材99とを備えている。
説明を加えると、揺動選別装置80におけるシーブケース90の左右両側部から後下方に向けて一体的に支持ブラケット100が固定延設されている。そして、一対の支持ブラケット100に対する左右両側の連結部97において、夫々、第1連結部材98と第2連結部材99とが備えられている。
第1連結部材98は、前部側に3箇所をボルト締結することにより支持ブラケット100に連結固定される板状連結部98aが形成され、後部側には、偏芯揺動軸96に外装されたベアリング101が入り込む凹部98bと、その凹部98bの前後両側に位置してベアリング101を介して偏芯揺動軸96を挟んで第2連結部材99と連結するためのフランジ連結部98cとが形成されている。
第2連結部材99には、ベアリング101が入り込む凹部99aと、その凹部99aの前後両側に位置してベアリング101を介して偏芯揺動軸96を挟んで第1連結部材98と連結するためのフランジ連結部99bが形成されている。
偏芯揺動軸96を挟んで第1連結部材98及び第2連結部材99夫々のフランジ連結部98c,99b同士がボルト締結により固定されることにより、揺動選別装置80と偏芯揺動軸96とが連動連結される。伝動構造については後述するが、図15に示すように、左右両側の回転軸95のうち左側の回転軸95の側壁8Aの外方側箇所に入力プーリ102が備えられ、この入力プーリ102にエンジン10からの動力が伝達されて、回転軸95が駆動される。回転軸95が回転すると、偏芯揺動軸96が回転軸95の軸芯P2周りで回動して、第1連結部材98と第2連結部材99とが一体的に上下に往復移動して、揺動選別装置80を揺動駆動する。又、左右両側の回転軸95における左右側壁8Aの外方側箇所には、夫々、揺動選別装置80の駆動に伴う機体振動を抑制するためのバランスウエイトBWが備えられている。
次に、揺動選別装置80の前部側の支持構造について説明する。
図13及び図14に示すように、シーブケース90の前部側における左右両側箇所に、横軸芯周りで回動自在に支持される状態で転動ローラ103が備えられ、脱穀装置8の左右両側の側壁8Aには、転動ローラ103の浮き上がり並びに左右方向への位置ズレを防止しながら前後移動を許容する左右一対の移動案内部104が備えられている。
図14(a)(d)に示すように、移動案内部104は、転動ローラ103を後上がり傾斜状の案内経路に沿って前後移動を許容するように、転動ローラ103の下端部を受止めて荷重を支持しながら転動案内する下側案内面104aと、転動ローラ103の上方への浮き上がりを防止する上側案内面104bとを備えている。
揺動選別装置80は、揺動駆動部89による揺動運動と、移動案内部104による転動ローラ103の前後移動案内とにより、前後方向並びに上下方向に揺動することにより、扱き処理物を後方に揺動移送しながら篩い選別を行う。すなわち、穀粒は下方に漏下させ、細かな塵埃やワラ屑等は、選別風によって機体後方側に形成された開口としての排塵口105を通して後方に排出させる。排塵口105を通して排出されるワラ屑等は排ワラ処理装置12に供給され、さらに細かく細断処理されて機外に排出される。
排ワラ処理装置12は、支持構造については詳述しないが、機体横幅方向一端側の上下軸芯周りで後方に揺動自在に支持されており、この排ワラ処理装置12を揺動させることで、排塵口105の後方側を開放させることができるように構成されている。
揺動選別装置80は、第1連結部材98と第2連結部材99との連結を解除した状態で、脱穀装置8の機体後部側の開口としての排塵口105を通して抜き差しすることができる。
すなわち、図13及び図14に示すように、揺動選別装置80を抜き差し自在にスライド案内する左右一対のガイドレール106が、脱穀装置8の左右両側の側壁8Aの内面に機体前後方向に沿って延びる状態で備えられている。図14(c)に示すように、このガイドレール106は、脱穀装置8の側壁8Aに溶接固定される縦面部106aと、その縦面部106aの下端から機体横幅方向内側に向けて延びる水平面部106bとを備えて、機体前後方向視で略L字状に形成されている。揺動選別装置80は、ガイドレール106の水平面部に載置される状態でスライド移動自在に案内支持される。
図13及び図14(a)に示すように、左右両側の移動案内部104は、左右両側のガイドレール106の前端に連なる状態で位置しており、移動案内部104にて支持されている転動ローラ103をそのままガイドレール106に沿って移動させることができる。
揺動選別装置80は、左右両側の連結部97の夫々において、第1連結部材98と第2連結部材99との連結を解除した状態で、作業者が後部側を手で支えて、左右両側の転動ローラ103をガイドレール106の水平面部106bに載置させた状態で転動させながら機体前後方向にスライド移動させて、排塵口105から抜き差しすることができる。
図14(c)に示すように、左右一対のガイドレール106の左右外端位置同士の間隔L1が、左右両側の転動ローラ103の左右外端位置同士の間隔L2よりも幅広に形成されている。又、左右のガイドレール106の水平面部106bは、転動ローラ103の横幅より幅広に形成されている。
従って、揺動選別装置80が、ガイドレール106の水平面部106bに載置される状態でスライド移動させるときに、左右方向に余裕があり、揺動選別装置80が左右方向に少し傾いた姿勢になることがあっても、転動ローラ103がガイドレール106から外れて脱輪するおそれが少なく、スライド移動を良好に行い易いものとなる。
揺動選別装置80は、ガイドレール106上を移動するときは、揺動選別装置80はガイドレール106に対して左右方向に余裕がある。これに対して、移動案内部104は、転動ローラ103の浮き上がり並びに左右方向への位置ズレを防止しながら前後移動を許容するものであるから、左右方向に余裕がなく、転動ローラ103と移動案内部104との間の左右方向の間隔が少ない状態となる。
すなわち、左右一対の移動案内部104の左右外端位置同士の間隔は、左右両側の転動ローラ103の左右外端位置同士の間隔と略同じであって、左右一対のガイドレールの左右外端位置同士の間隔よりも狭い状態となる。
そこで、図14(b)に示すように、ガイドレール106と移動案内部104との接続箇所に、転動ローラ103を移動案内部104に向けて脱穀装置8内方側に向けて案内する傾斜案内部107が形成されている。このように傾斜案内部107を形成することで、ガイドレール106から移動案内部104に移動するときは、転動ローラ103は傾斜案内部107により脱穀装置8内方側に向けて案内されることにより、引っ掛かりや詰まり等のない状態でスムーズに移動することができる。
図13及び図15に示すように、第1連結部材98は、揺動選別装置80に対する連結箇所から後方下方側に向けて斜め姿勢で延設されており、第1連結部材98と第2連結部材99との分割面が、機体側面視で前部側が下側に位置し後部側が上側に位置する後上がり傾斜状態に形成されており、それらを連結するボルトは下方側から装着する。従って、第1連結部材98と第2連結部材99との連結箇所が、機体後方に向かう状態で形成されている。
シーブケース90に連結されている第1連結部材98には、前後両側のフランジ連結部98cの間にベアリング101が入り込む円弧状の凹部98bが形成されており、第2連結部材99が連結されていない状態で、この凹部98bにベアリング101を入り込ませた状態で偏芯揺動軸96に受止め支持させることができる。つまり、第1連結部材98は、第2連結部材99が連結されていない状態で、偏芯揺動軸96に係止して受止め支持可能に構成されている。
揺動選別装置80と偏芯揺動軸96との間の連結を解除したり、再度、連結させる場合には、第1連結部材98の凹部98bをベアリング101に対して斜め上方から載置して支持させることにより、揺動選別装置80の後部側の荷重を偏芯揺動軸96に支持させることができる。つまり、揺動選別装置80の後部側の荷重をそのまま作業者が支持しながら連結作業を行うような場合に比べて、作業負担を軽減させることができる。
このコンバインは、脱穀装置8が地面から高めの位置にあり、揺動選別装置80も装着状態では地面から高めの位置にある。その結果、揺動選別装置80を外方に取り外すときに、そのままの位置では作業が行い難いものとなるおそれがある。
そこで、図13に示すように、ガイドレール106は、揺動駆動部89よりも機体前部側に位置する前部側部分106Fが略水平姿勢に形成され、ガイドレール106の揺動駆動部89よりも機体後部側に位置する後部側部分106Rは、機体後部側ほど下方に位置する後下がり状に形成されている。つまり、ガイドレール106は、後端部が前端部よりも低い位置に設定されており、ガイドレール106の後部を低い位置にすることで取り出し作業を楽に行えるようにしている。
図3に示すように、揺動選別装置80のチャフシーブ92の上方側箇所に、受網用の支持枠体62に支持される状態で、チャフシーブ92の上方に載置されて移送される脱穀処理物の層厚を検出するポテンショメータ式の層厚センサS1が備えられている。この層厚センサS1にて検出される層厚が設定値以上になると、運転部に備えられた図示しない報知ランプにて報知するようになっている。
〔グレンシーブ〕
グレンシーブ93について説明する。
図16に示すように、グレンシーブ93は、穀粒を漏下させるための漏下孔が多数形成された矩形状のクリンプ網108と、そのクリンプ網108の周囲を保持する保持枠体109と、保持枠体109の左側端部に一体的に連結され且つシーブケース90に連結するための取付板110とを備えている。取付板110は、3箇所をボルト締結することにより、シーブケース90の左側の側面部90aに着脱自在に連結されている。
図16に示すように、脱穀装置8の左側の側壁8Aにおけるグレンシーブ93に対応する箇所には、開閉自在な蓋体111にて覆われた作業用開口112が形成されている。又、シーブケース90の左側の側面部90aにおけるグレンシーブ93に対応する箇所には、グレンシーブ93を出し入れ可能な出入用開口113が形成され、グレンシーブ93が装着されているときは、この出入用開口113は取付板110により閉塞される。
シーブケース90の左右両側の側面部にわたって、グレンシーブ93の前後両側部を受止め支持する側面視L字形の支持台114が架設されており、グレンシーブ93は、この前後の支持台114により受止め支持されている状態で、左右方向にスライド移動させることができる。
そして、作業用開口112を開放させている状態で、取付板110のシーブケース90に対する3つのボルトの締結を解除して、前後の支持台114により受止め支持させている状態でグレンシーブ93をスライド移動させて、出入用開口113を通して横側外方に抜き出すことができる。又、グレンシーブ93をシーブケース90の外方側から内方側にスライド移動させることにより、シーブケース90内の適正位置に装着することができる。
取付板110の外側面には、取り外したボルトBoを一時保持するための装着用のナット115が固定状態で備えられている。ナット115にネジ込み装着されているボルトBoは、グレンシーブ93のスライド操作の際に握り操作部として利用することができる。
グレンシーブ93がシーブケース90内の適正位置に移動したときに、グレンシーブ93の奥側端部の浮き上がりを抑制する前後一対の押さえ具116が備えられている。図17に示すように、この押さえ具116は、帯板状の板バネ材を折り曲げて形成されており、その長手方向一端部が、シーブケース90の右側の側面部90aに形成されたスリットCを通して差し込まれている。そして、長手方向他端側に形成された押圧部116aが下方に向けて押し作用するように、長手方向の途中部を1本のボルトBoで側面部90aに締結固定されている。
押圧部116aは、グレンシーブ93が適正位置に向けて移動するときに、グレンシーブ93の端部が接当して上方に持ち上げ案内されるように、中間部が下向きに突出する中凹み湾曲状に形成されている。
従って、グレンシーブ93を適正位置に移動させるに伴って、グレンシーブ93の奥側端部が押圧部116aにより押さえられて浮き上がりを抑制する状態となり、グレンシーブ93を横側外方に抜き出すときは、押圧部116aによる押圧力に抗してグレンシーブ93をそのまま引き出すことができる。
図17に示すように、前部側の支持台114の前部側には、チャフシーブ92の前端部から漏下したワラ屑の多い処理物を後方に移送する下部側グレンパン117が備えられている。又、前部側の支持台114の下部には、グレンシーブ93の漏下面積を変更調整自在なスライド調節板118が備えられている。このスライド調節板118は、前部側の支持台114の下部に一体的に固定された複数のボルトBoにより締結固定されるとともに、ボルト挿通孔が前後方向に長孔に形成されている。従って、前後方向に位置を調節してボルトBoを締め付けることで位置を変更することができる。前後位置を変更することで、グレンシーブ93の漏下面積を変更することができる。
図3に示すように、揺動選別装置80の下方側に唐箕から供給される選別風の風向きを、主にチャフシーブ92に向かう風路と、主にグレンシーブ93に向かう風路と、一番物回収部82に向かう風路とに振り分け案内する3つの風向案内体119が備えられている。
図17に示すように、下部側グレンパン117、及び、機体前部側にスライド移動した状態のスライド調節板118が、風向案内体119により選別風が供給されない領域に位置する状態で配備されている。その結果、下部側グレンパン117やスライド調節板118が選別風の流れを阻害することがなく、選別風が必要な箇所に効率よく供給される。
図3及び図18に示すように、二番物回収部83の上方に、側面視略L字形の流し板120が備えられている。この流し板120は、グレンシーブ93の後端部から排出された処理物のうち前部側に位置するものを一番物回収部82に流下案内するとともに、処理物のうち後部側に位置するものを二番物回収部83に流下案内する。
流し板120は、前後位置を変更自在にシーブケース90に連結されている。
すなわち、図18に示すように、前後方向視でチャンネル形に形成された連結ブラケット121が、シーブケース90に対して左右両側部をボルトで締結固定され、この連結ブラケット121に複数箇所をボルトで締め付ける状態で、流し板120が連結されている。
連結ブラケット121は、シーブケース90の左右両側部の夫々に前後2箇所をボルト連結にて固定されている。シーブケース90には、取付孔122が前後方向に等間隔をあけて3個形成されている。そこで、シーブケース90側の3個の取付孔122のうちの前部側2個を用いて連結ブラケット121を連結する状態と、3個の取付孔122のうちの後部側2個を用いて連結ブラケット121を連結する状態とにより、流し板120の前後位置を2位置に大きく切り換えることができる。
又、流し板120におけるボルト挿通孔123が前後方向に沿って長尺の長孔に形成されており、流し板120の連結ブラケット121に対する相対前後位置を変更調整することができ、流し板120の前後位置を微調節することができる。
流し板120の一番回収部側には、穀粒を一番物回収部82に向けて流下案内する帆布等の軟質材からなる案内体124がボルトで共締めされる状態で備えられている。この案内体124は、揺動選別装置80の揺動移動にかかわらず、一番物回収部82との間に隙間が生じることなく、穀粒を流下案内できるようにしたものである。
〔第1穀粒搬送装置〕
次に、第1穀粒搬送装置85について説明する。
図21に示すように、一番スクリュー84が、脱穀装置8の右側の側壁8Aに形成された開口を通して横側外方に延長突出する状態で設けられ、その一番スクリュー84の回転軸125を、第1穀粒搬送装置85における搬送方向一端側に位置する駆動軸と兼用する構成となっている。
図20に示すように、第1穀粒搬送装置85は、駆動軸としての一番スクリュー84の回転軸125と、搬送方向他端側に位置する従動軸126と、それらの各軸の軸芯方向中央部同士にわたって巻回張設された無端回動体としての1本の無端回動チェーン127と、その無端回動チェーン127に所定間隔をあけて取り付けられた平板状の複数の係止搬送体128と、それらの周囲を覆う搬送ケース129とを備えている。伝動系については、後述するが、図34に示すように、エンジン10からの動力は、一番スクリュー84の回転軸125における左側端部に備えられた入力プーリ130を介して伝達される。
第1穀粒搬送装置85の全体を支持する搬送ケース129は、図20に示すように、上下中間部箇所と上部側箇所の2箇所において、取付ブラケット290を介して脱穀装置8の側壁8Aに取り付け固定されている。そして、上下両側の取付ブラケット290は、同じ構成のものを兼用している。
図21(b)に示すように、一番スクリュー84の延長突出部を覆うとともに、脱穀装置8の側壁8Aと搬送ケース129とを接続する接続ケース部131は、搬送ケース129とは別体で形成されている。この接続ケース部131は、内側フランジ部131Aと、外側フランジ部131Bと、それらを接続する筒状部131Cとが一体的に連結されている。そして、内側フランジ部131Aが脱穀装置8の側壁8Aにボルト連結され、外側フランジ部131Bが搬送ケース129の側面にボルト連結されている。
図24に示すように、従動軸126の軸芯方向両側端部夫々に、無端回動チェーン127の張設方向に沿って延びる案内用の支持ロッド132と、その支持ロッド132を介して、無端回動チェーン127に張力を付与する張力付与機構133とが備えられている。
従動軸126を回動自在に支持する軸受部としてのベアリング134が、支持ロッド132に一体的に連結されるとともに、無端回動チェーン127の張設方向に沿ってスライド移動自在に搬送ケース129に支持され、張力付与機構133は、支持ロッド132を介して軸受部134(ベアリング)をスライド移動させることにより、無端回動チェーン127に張力を付与する。
説明を加えると、図24に示すように、従動軸126の軸芯方向両側端部夫々において、ベアリング134を保持するベアリング保持部135を備えた板状保持部材136が、搬送ケース129に連結固定されている前後一対の摺動案内部材137によって、無端回動チェーン127の張設方向に沿ってスライド自在に支持されている。
支持ロッド132は、六角形の頭部132aとネジ部132bとを有するボルトを用いて、板状保持部材136の上端部における水平面部136aの下から上向きに挿通して、頭部132aが水平面部136aよりも下側に位置し、ネジ部132bが水平面部136aよりも上方に突出する状態で設けられている。
又、支持ロッド132は、搬送ケース129に連結固定されたバネ受け用のブラケット138を挿通するとともに、ブラケット138よりも上部側において、支持ロッド132にコイルバネ139が外挿されている。そして、コイルバネ139の上部側を受止め支持するバネ受け具140が備えられ、さらに、そのバネ受け具140の上側に位置して受け止め支持する2個のナット141が支持ロッド132に螺合装着されている。
ナット141が螺合装着された状態では、コイルバネ139が、自由状態から圧縮されて、支持ロッド132を上方に向けて移動付勢する付勢力を発揮する状態で備えられる。又、コイルバネ139の外周側には筒状体142が備えられ、この筒状体142によりブラケット138とバネ受け具140との間の間隔を常に一定に維持して、コイルバネ139の付勢力を適正値に設定することができる。このようにして張力付与機構133が構成されている。
つまり、左右両側の張力付与機構133は、夫々、適切な値に調節された左右で略均等なコイルバネ139の付勢力により支持ロッド132を上方に向けて移動付勢する。従って、左右で略均等なコイルバネ139の付勢力により従動軸126が上方に向けて移動付勢されて、無端回動チェーン127に張力が付与される。
板状保持部材136の水平面部13aの形成箇所には、板状保持部材136の剛性を高めるとともに、支持ロッド132の頭部132aに作用して自由な回動を阻止する一対の補強リブ143が固定状態で備えられている。支持ロッド132の頭部132aは六角形状であり、一対の補強リブ143が六角形の対向する面に対して接当する状態で形成されている。そして、一対の補強リブ143の間に支持ロッド132の頭部132aを嵌め込むことにより、スパナとしての機能を備えて、支持ロッド132の回動を阻止することができる。その結果、支持ロッド132の回動に起因するコイルバネ139の付勢力の変化を防止できる。
左右一対の支持ロッド132の夫々に、搬送ケース129における無端回動チェーン127の張設方向に沿う従動軸126の端部よりもさらに張設方向外方側に延びる延長突出部132cが形成されている。そして、一対の支持ロッド132における延長突出部132cの夫々にわたって架設連結されて、一対の支持ロッド132同士を連結する連結部材144が備えられている。
すなわち、一対の支持ロッド132の夫々における受け止め支持用の2個のナット141よりも軸端側箇所にわたって、帯板材からなる連結部材144が架設連結され,連結部材144は、夫々の支持ロッド132にナット145で締め付け固定されている。
図23及び図24に示すように、従動軸126における搬送ケース129よりも右側外方に突出する端部に、伝達された動力を他の装置としての第2穀粒搬送装置86に伝達するための出力回転体としての出力プーリ146が備えられている。出力プーリ146からの動力は、伝動ベルト147を介して横向き入力軸148に伝達され、この横向き入力軸148からベベルギア機構149を介して、第2穀粒搬送装置86に伝達される。
図20及び図21(a)に示すように、第1穀粒搬送装置85は、無端回動チェーン127における駆動スプロケット150に対する巻回箇所よりも回動下手側箇所が回動上手側箇所よりも上側に位置し、回動下手側箇所が位置する部位に、処理物搬送経路Lが形成され、処理物搬送経路Lにおける無端回動チェーン127の内周側に沿って延びる状態で、処理物搬送経路Lの横幅方向の全幅にわたる底部案内板が、処理物搬送経路Lの略全長にわたって備えられている。すなわち、直線経路に沿って長く設けられる中間部の底部案内板151A、搬送上手側に位置する上手側の底部案内板151B、及び、搬送下手側に位置する下手側の底部搬送板151Cが備えられ、係止搬送体128によって押し移動される処理物を下側から受け止めて移送案内する。
無端回動チェーン127は、図20、図21(a)において右回りで回動駆動され、一番スクリュー84から搬送された穀粒を、右回り状態で無端回動チェーン127に取り付けられた係止搬送体128により掻き上げながら、回動下手側箇所における処理物搬送経路Lを通して順次搬送する。
そして、図21(a)(b)に示すように、上手側の底部案内板151Bにおける駆動スプロケット150側の端部が、回転軸125の外周部に沿って回り込んで覆うように延長形成されている。に、上手側の底部案内板151Bは、上部側箇所に一体的に連結されたL形の連結具152が、搬送ケース129の左右両側面にボルト締結により固定されて支持されている。又、駆動スプロケット150側の端部には、駆動スプロケット150を避けるための切欠き153が形成され、その切欠き153の両側部が回転軸125の外周部に沿って回り込んで覆うように延長形成されている。
図21(b)及び図24(b)に示すように、駆動スプロケット150における無端回動チェーン127が噛み合う噛み合い箇所に、無端回動チェーン127の巻回方向と直交する横幅方向に沿って膨出する膨出部155が形成されている。
膨出部155は、駆動スプロケット150のチェーン噛み合い箇所である係合突部156の横側部が、前後方向視で略円弧状に横幅方向外方に膨出する状態で形成されており、無端回動チェーン127の左右両側のチェーンリンク127aと係合突部156との間の横幅方向の隙間が小さくなる。このように形成することで、無端回動チェーン127との噛み合いが円滑に行えるようにしながら、駆動スプロケット150と無端回動チェーン127との間に穀粒が噛み込まれるおそれが少ないものとなる。
搬送ケース129には、内部の清掃や点検等のメンテナンス作業のために複数の開口が形成されており、夫々の開口は開閉自在なカバーにより覆われている。
図21に示すように、搬送ケース129の搬送始端部には、駆動スプロケット150の円弧状の外周部に沿って略半周にわたる大きな開口K2が形成されている。その開口K2を覆う底部カバー157は、側面視で円弧状の搬送ケース129に沿う略円弧状に形成され、その両側端部が夫々、周知構造のロック機構158により保持されている。
図22に示すように、搬送ケース129による処理物搬送経路Lの直線状の途中経路部分には、矩形状の開口K3が形成されている。この開口K3を覆う中間部カバー159は、上部側端部が、左右一対の切り込み159aにより内側部分159bとその両側に位置する外側部分159cとに分離され、内側部分149bが開口K3の上部側の縁部の内側に入り込み、外側部分159cが開口K3の上部側の縁部の外側に位置する状態で差し込み係合される。一方、下部側端部は、L字形に折り曲げた縦面部159dが形成され、この縦面部159dと搬送ケース129の外面に固定されたL字形のブラケット160とがノブ付きボルト161により締結されている。
搬送ケース129の搬送終端部には、従動スプロケット154の円弧状の外周部のうち後部側の領域に開口K4が形成されており、その開口K4を覆う上部カバー162は、上端側箇所が搬送ケース129に固定された係止部材163に係止保持され、下端側箇所が周知構造のロック機構158により保持されている。
図25に示すように、係止部材163は、板材を側面視で略L字形に折り曲げるとともに、その屈曲部分の一方の面に開口163aが形成されている。又、屈曲部分の他方の面における開口163aに対応する縁部の両側に切り込み163bが形成されている。上部カバー162の上端側箇所に、開口163aに入り込み係合する係止部162aが上向きに少し屈曲する状態で形成されている。そして、この係止部162aを開口163aに入り込ませて前記縁部に係止する状態で、下端側箇所をロック機構158により保持することにより、上部カバー162が固定状態で装着される。
搬送ケース129の搬送終端部から第2穀粒搬送装置86に向けて穀粒を送り出す中継用ケース164には横側面に開口K5が形成され、その開口K5を覆う中継部カバー165は、中間部カバー159と同様に、下部側端部が、左右一対の切り込み165aにより内側部分165bとその両側に位置する外側部分165cとに分離され、内側部分165bが開口K5の上部側の縁部の内側に入り込み、外側部分165cが開口K5の下部側の縁部の外側に位置する状態で差し込み係合される。一方、上部側端部は、L字形に折り曲げた縦面部165dが形成され、この縦面部165dと搬送ケース129の外面に固定されたL字形のブラケット166とがノブ付きボルト167により締結されている。
そして、メンテナンス作業のために、一番スクリュー84を脱穀装置8から取り外す場合には、燃料タンク11を開放姿勢に切り換えて、機体左側外方に抜き出すことができる。一番スクリュー84の左側端部は、図示はしないが、単に、ベアリングを介して脱穀装置8の側壁に支持される構成であり、ベアリング保持部を取り外すことで、容易に外すことができる。
一番スクリュー84の回転軸125の右側端部は、図21(b)に示すように、ベアリング168を介して搬送ケース129に支持されている。このベアリング168を保持するベアリング保持部168Aは、左右両側で同じ形状の浅絞り形状の保持部単位体をボルト締結した簡易な構造のものを用いている。又、ベアリング168に対する回転軸125の嵌合箇所は、嵌め合い交差がJSクラス(プラス、マイナス両方の交差を有するもの)に設定されており、ギアプーラ等の治具を用いて抜き外すことができる。
〔第2穀粒搬送装置〕
図19に示すように、第2穀粒搬送装置86は、脱穀装置8と運転部との間の隙間を通して第1穀粒搬送装置85の搬送終端部から左方向上方に向けて延びる斜め姿勢で設けられている。この第2穀粒搬送装置86は、穀粒を左側斜め上方に向けて搬送するスクリューコンベア式の搬送部169と、その搬送部169の搬送終端部に位置して穀粒を穀粒タンク9内に排出供給する排出部170とを備えている。
この第2穀粒搬送装置86において、搬送部169は、一体的に形成された円筒状の外装ケース171内に搬送スクリュー172を回転自在に備えて、搬送スクリュー172の回転作動に伴って穀粒を斜め上方に搬送する。又、排出部170は、外装ケース171に連なる状態で設けられた排出ケース173に排出用の開口を備えるとともに、排出ケース173の内部に、搬送スクリュー172と一体的に回転する回転羽根175を備えて、搬送した穀粒を回転羽根175により跳ね飛ばしながら穀粒タンク9内に排出供給する。
第2穀粒搬送装置86の搬送終端部には、搬送スクリュー172の回転速度を検出する回転速度センサS2が備えられ、この回転速度センサS2にて検出される回転速度が設定速度以下に低下すると、運転部7に備えられた図示しない報知ランプにて報知するようになっている。
〔二番物還元装置〕
次に、二番物還元装置88について説明する。
図27及び図28に示すように、二番物還元装置88は、二番物を二番スクリュー87に対応する位置から前部上方側の排出位置まで搬送するスクリューコンベア式の搬送部176と、二番スクリュー87により搬送された二番物を搬送部176に受け渡す供給部177と、搬送部176の搬送終端部に位置して二番物を脱穀装置8の揺動選別装置80上に排出供給する排出部178と、二番スクリュー87の動力を搬送部176に伝達する二番物搬送用の伝動機構179とを備えている。伝動系については、後述するが、図28に示すように、エンジン10からの動力は、二番スクリュー87の回転軸180における左側端部に備えられた入力プーリ181を介して伝達される。
搬送部176は、二つ割り構造の円筒状ケース182内に搬送スクリュー183が回転自在に備えられ、搬送スクリュー183の回転作動に伴って穀粒を斜め上方に搬送する。供給部177は、脱穀装置8の左側の側壁8Aに形成された開口を通して横側外方に延長突出する二番スクリュー87の回転軸180に取り付けられた回転羽根184と、この回転羽根184の外周部を覆うとともに、二番物を搬送部176に供給する供給用ケース185とが備えられている。
供給用ケース185は、回転羽根184の外周部に沿う側面視で略円弧状の第1ケース部分185Aと、回転羽根184により跳ね飛ばされる二番物を前部側斜め下方に向けて案内するとともに、搬送スクリュー183の搬送始端部を覆う第2ケース部分185Bとが、一体的に連なる状態で備えられている。
図示していないが、第2ケース部分185Bにおける二番物の跳ね飛ばし方向下手側箇所が、搬送スクリュー183の外周部に沿う円弧状に形成され、且つ、第2ケース部分185Bと搬送部176における円筒状ケース182とが滑らかに連なる状態で接続されて、搬送スクリュー183による送り作用を良好に発揮できるようにしている。
図27(a)に示すように、第2ケース部分185Bにおける搬送スクリュー183の送り方向に沿う幅が、側面視で第1ケース部分185Aの直径寸法と略同じ幅広に形成されている。その結果、回転羽根184から搬送部176への二番物の受け渡しを滞留の少ない状態で円滑に行うことができる。
図27(a)に示すように、第2ケース部分185Bにおける回転羽根184による二番物の跳ね飛ばし方向下手側箇所のうち下部側の箇所に、周方向に沿って約90度の範囲にわたってメンテナンス用の開口K6が形成されている。この箇所は、搬送される二番物の詰まりが発生するおそれが大きい箇所である。
メンテナンス用の開口K6を覆う下部カバー186は、図27(a)に示すように、第2ケース部分185Bに沿うように円弧状に形成されており、周方向の両側部に径方向に突出するフランジ部186aが形成されている。このフランジ部186aと、第2ケース部分185Bに備えられたフランジ部185B1を、蝶ボルト187にて締結することで、下部カバー186が供給用ケース185に固定状態で装着されている。蝶ボルト187を操作することにより、下部カバー186を容易に着脱させることができる。
図27(a)及び図29に示すように、排出部178は、搬送部176における円筒状ケース182に連なる状態で排出ケース188が備えられ、この排出ケース188における機体内方側箇所に排出用の開口189が形成され、排出ケース188の内部に、搬送スクリュー183と一体的に回転する回転羽根190が備えられている。
排出ケース188における排出用の開口189とは反対側(機体外方側)箇所には、メンテナンス用の開口K7が形成されている。その開口K7を覆う上部カバー191は、回転羽根190の回転を許容するように円弧状に形成され、前後両側をボルトで締結して装着されている。
図29に示すように、排出用の開口189には、回転羽根190により跳ね飛ばされる二番物を、揺動選別装置80の上方箇所のうち、できるだけ機体前部側に向けて排出させるための案内板192が備えられている。この案内板192は、一枚の帯板を円弧状に曲げたものであり、排出ケース188の内側では排出用の開口189の内壁面に沿わせて当て付ける状態で備えられ、途中部で内壁面にボルト締結するとともに、上部カバー191の取付用のボルトBoにて共締めする状態で固定されている。
次に、二番物搬送用の伝動機構179について説明する。
図27及び図28に示すように、二番スクリュー87の回転軸180における回転羽根184の装着位置よりも外方側が第1ケース部分185Aから外方に突出し、その外方突出部に一体回転自在に駆動スプロケット193が備えられている。又、第2ケース部分185Bにおける底面の下方側に、横向き伝動軸195と搬送スクリュー183とを連動連結するベベルギア機構を収納したギアケース196が備えられ、横向き伝動軸195がギアケース196から横側外方に突出する状態で備えられている。
横向き伝動軸195に取り付けられた従動スプロケット197と駆動スプロケット193とを連動連結する伝動チェーン198が備えられ、駆動スプロケット193、伝動チェーン198、従動スプロケット197等が、外付けのチェーンケース199に収納される状態で備えられている。
チェーンケース199における二番スクリュー87の回転軸180を支持する駆動側の軸支部は、ベアリング201を抜け止めする状態で回転軸180に外挿し、且つ、駆動スプロケット193をキー連結にて一体回転自在に装着した状態で,ボルトBoで回転軸180の軸端に締め付けて固定されている。そして、この駆動側の軸支部は、第1ケース部分185Aにおける取外し自在な横側壁203に対してボルト締結にて固定されている。横側壁203は、4箇所を蝶ボルト204で第1ケース部分185Aの側部に形成された開口205の周縁部に取外し自在に固定されている。
そして、チェーンケース199における横向き伝動軸195を支持する従動側の軸支部は、ベアリング206にて従動スプロケット197を内嵌支持するとともに、従動スプロケット197を横向き伝動軸195に対してスプライン嵌合させている。従って、チェーンケース199と第1ケース部分185Aとの連結を解除すると、従動側の軸支部は横向き伝動軸194から抜き外すことができる。
前記チェーンケース199内において張設される伝動チェーン198に対して張力を付与する張力付与手段としての板バネ207が設けられている。この板バネ207は、図27に示すように、中央部がケース内方側に突出するように湾曲状に形成され、両側端部がチェーンケース199に受止め支持されている。この板バネ207は、一端部に支持ピン208が固定状態で備えられ、他端はケース内面に接当する状態で備えられる。
チェーンケース199は2つ割り構造の分割ケース199a,199bがフランジ接続されている。そして、板バネ207の一端部に備えられた支持ピン208を、一方の分割ケース199aに形成された凹部209に差し込み、チェーンケース199をフランジ接続すると、支持ピン208がチェーンケース199により挟み込まれて、板バネ207が保持される。つまり、伝動チェーン198に対して張力を付与する姿勢が維持される。
二番スクリュー87の左側外方には、燃料タンク11の回動支持部が存在しており、メンテナンス作業のために、二番スクリュー87を脱穀装置8から取り外す場合には、機体右方に抜き外すようになっている。
二番スクリュー87を抜き外す場合には、先ず、二番スクリュー87の回転軸180における左側端部において、固定用のボルトを緩めて入力プーリ181を取り外す。そして、チェーンケース199における駆動側の軸支部において第1ケース部分185Aとの連結を解除する。つまり、4箇所の蝶ボルト204を取り外して、チェーンケース199の駆動側の軸支部が固定されている横側壁203を第1ケース部分185Aの周縁部から取り外す。そうすると、チェーンケース199における従動側の軸支部は横向き伝動軸194から抜き外すことができ、チェーンケース199と二番スクリュー87の回転軸180とを一体的に脱穀装置8の右側外方に抜き外すことができる。
又、二番物還元装置88の搬送終端部には、搬送スクリュー183の回転速度を検出する回転速度センサS3が備えられ、この回転速度センサS3にて検出される回転速度が設定速度以下に低下すると、運転部7に備えられた図示しない報知ランプにて報知するようになっている。
〔唐箕〕
次に、唐箕81について説明する。
図30(a)に示すように、唐箕81は、脱穀装置8の左右両側の側壁8Aにわたってそれらを貫通する状態で回転軸210が設けられ、その回転軸210の外周部に一体回転する状態で複数の回転羽根211が備えられている。つまり、回転軸210に相対回転自在に外嵌された筒部材212がネジ213により一体回転すべく固定され、その筒部材212に一体的に備えられた略円板状の回転体214に連結用板体215を介して複数の回転羽根211が夫々ボルト連結されている。従って、回転羽根211が破損したときは、破損した回転羽根211だけを取り外して交換することができ、回転軸210が破損したときは、筒部材212を取り外して回転軸210だけを交換することもできる。
図30(b)(c)に示すように、左右両側の側壁8Aの夫々に、選別風を吸い込むための吸気用開口216が形成されている。この吸気用開口216は、回転羽根211の外端部の円形の回転軌跡と略同じ大きさの開口である。唐箕81は、回転羽根211が回転するのに伴って、左右両側の吸気用開口216を通して外部から選別風を吸い込み、その吸い込んだ選別風を回転羽根211の回転軌跡の接線方向に向けて、すなわち、選別処理部30に向けて送風する。
そして、左右両側の吸気用開口216の開度を変更調整自在な開度調整機構としての左右一対の板状の開度調整板217が備えられている。
図31及び図32に示すように、各開度調整板217は、吸気用開口216に対向する状態で設けられ、且つ、側壁8Aのうち吸気用開口216に対して上側箇所と下側箇所とに亘るように設けられている。具体的には、吸気用開口216における機体前部側の領域を覆うように、側壁8Aにおける吸気用開口216の上側に位置する上側箇所218と、側壁8Aにおける吸気用開口216の下側に位置する下側箇所219とにわたるように上下に長尺に設けられている。
左右一対の開度調整板217は、機体横幅方向に沿って一連に連なる揺動支軸220により揺動自在に支持され、その揺動支軸220における機体横方向に沿う軸芯P3周りでの揺動により吸気用開口216の開度を調整することができる。
揺動支軸220は、脱穀装置8の前側箇所を機体横方向に沿って通過する状態で、且つ、脱穀装置8の前部側フレームとしての脱穀フレーム32の前面32aに支持される状態で備えられている。すなわち、揺動支軸220は、左右両側端部が左右の開度調整板217にボルト締結にて固定され、脱穀フレーム32の前面32aに備えられた左右一対の軸受け部材221により横軸芯P3周りで回動自在に支持されている。
図31(a)及び図32(a)に示すように、揺動支軸220とは異なる箇所、すなわち、開度調整板217における揺動途中部位であって且つ脱穀フレーム32の前面32aよりも前部側に位置する箇所において、左右一対の開度調整板217同士にわたって一体的に連結部材としての連動リンク222が架設連結されている。この連動リンク222により、左右一対の開度調整板217を連動させて開度を調整することができる。従って、この連動リンク222が一対の開度調整板217を連動させて開度を調整する連動機構に相当する。
図31に示すように、左側の側壁8Aに対応する位置に、開度調整板217による吸気用開口216の開度を保持する開度保持部としての蝶ボルト223が備えられている。開度調整板217における上下途中部に揺動軸芯に沿う円弧状の長孔224が形成され、脱穀フレーム32におけるこの長孔224に対応する箇所にネジ装着部225が形成され、長孔224を挿通する状態で蝶ボルト223が装着されている。蝶ボルト223を締め付けると、開度調整板217を位置固定することができ、蝶ボルト223を緩めると、手動操作にて長孔224の範囲内で開度調整板217を揺動させて開度を変更させることができる。
開度調整の際には、連動リンク222を介して右側の開度調整板217も揺動操作されるが、右側の開度調整板217にも左側の開度調整板217と同様な円弧状の長孔224が形成され、長孔224を挿通する状態で揺動範囲規制用のボルト226が備えられている。但し、このボルト226は締め付けずに、融通を持たせた状態となっている。
脱穀装置8のメンテナンス作業を行う場合に、燃料タンク11を上下揺動軸芯周りで揺動開放させた状態で機体左側外方から作業を行うことができ、唐箕81の風量調整も機体左側から行うことができる。
図31及び図32に示すように、脱穀装置8の側壁8Aと開度調整板217との間の隙間を閉塞する閉塞部材227が備えられている。閉塞部材227は、側壁8Aにおける吸気用開口216の上側に位置する上側箇所218と、側壁8Aにおける吸気用開口216の下側に位置する下側箇所219との夫々において、側壁8Aに取り付けられている。
閉塞部材227は、前後方向視でL字形に形成された板材にて構成され、側壁8Aに一体固定される状態で備えられている。そして、開度調整板217が揺動可能範囲な全範囲において、先端部が開度調整板217の内面側に近接する状態を維持することにより、開度調整板217と側壁8Aとの間の隙間から選別風が吸い込まれることがないようにしている。
機体横側外方に臨む外方側の側壁としての左側の側壁8Aに対応する位置に、開度調整板217の開度を変更するための操作部228が備えられている。具体的には、開度調整板の前部側の縦向き縁部を、略L字形に折り曲げて、揺動支軸220と連動リンク222とを連結する連結部を形成すると共に、その折り曲げ部が縁部の長手方向の全域にわたって設けられ、操作部228が形成されている。この操作部228を手で持って開度調整板217を揺動操作させることができる。尚、図31及び図32以外の図では、開度調整板217の記載は省略している。
図30に示すように、唐箕81の回転軸210は、吸気用開口216が形成される左右側壁8Aに支持させるために、吸気用開口216を前後方向に跨ぐ状態で架設支持された軸受けブラケット229により回転自在に支持されている。
左側の軸受けブラケット229は、機体左側から脱穀フレーム32に当て付けた状態でボルトで締結固定されている。右側の軸受けブラケット229は、吸気用開口216の前後両側部において脱穀フレーム32に固定されている前後の連結部材230に、機体左側から当て付けた状態でボルトで締結固定されている。右側の軸受けブラケット229の長手方向(前後方向)に沿う幅は、吸気用開口216の幅よりも少しだけ幅狭に形成されている。
エンジン10からの動力は、唐箕81の回転軸210における右側端部に備えられた入力プーリ231を介して伝達される。そして、後述するように、この回転軸210における左側端部に備えられた出力プーリ232を介して脱穀装置8の各部に動力が伝達される。図30における233は、出力用伝動ベルト234に作用するテンションプーリであり、回転軸210を揺動支軸に兼用したテンションアーム235にて支持されている。
メンテナンス作業のために、唐箕81を脱穀装置8から取り外す場合には、機体右方に抜き外すようになっている。すなわち、唐箕81を取り外すときは、左側の軸受けブラケット229の脱穀フレーム32に対するボルト締結を解除する。尚、このとき、テンションアーム235は予め取り外しておく。次に、回転軸210に備えられている入力プーリ231を取り外したのち、右側の軸受けブラケット229の前後の連結部材230に対するボルト締結を解除する。そうすると、唐箕81全体と左右両側の軸受けブラケット229とが一体的に連なった状態で、脱穀装置8の左側外方に抜き外すことができる。
〔シャッター部材〕
図3及び図33に示すように、揺動選別装置80の機体後部側上方における外部排出経路としての排塵口105を開閉自在なシャッター部材237が備えられている。又、受網38から漏下する脱穀処理物の量を検出する処理物量検出手段としての処理物量検出体238が備えられている。シャッター部材237は、処理物量検出体にて検出される脱穀処理物の量に応じて開度が変更調整される。具体的には、脱穀処理物の量が多いほど排塵口105を開放させる。
処理物量検出体238は、受網38の後端部に設けられ、揺動変位により扱室29から外部に排出される扱き処理後の排出物の量を検出する。すなわち、処理物量検出体238は、機体横方向に長い帯板状に形成されて脱穀装置8の横幅方向略全幅にわたって設けられている。そして、機体前部側の横向き軸芯P4周りで上下揺動自在に支持されて、上方側の基準姿勢に向けて上昇付勢され、且つ、扱室29から排出される排出物の重量にて上方付勢力に抗して下方に揺動変位自在に設けられている。
シャッター部材237は、揺動選別装置80の後端部上方に、受網38の支持枠62Aに対して、横向き軸芯P5周りで上下揺動自在に支持されている。又、このシャッター部材237は、処理物量検出体238と同様に、機体横方向に長い帯板状に形成されて脱穀装置8の横幅方向略全幅にわたって設けられている。
処理物量検出体238とシャッター部材237の支持構造について説明する。
図33に示すように、脱穀装置8の横幅方向に沿って適宜間隔をあけて分散配備される状態で、受網38の後部側の支持枠62Aに対して支持台62A1を介して、複数の枢支部材240が、ボルトの締結により取付固定されている。この枢支部材240は、板材の上下両側を円弧状に屈曲して枢支ボス部241が形成されている。
上側の枢支ボス部241には、処理物量検出体238に一体的に固定された枢支ピン242が差し込まれて、その枢支ピン242の軸芯P4周りで上下揺動自在に処理物量検出体238が支持されている。又、下側の枢支ボス部241には、シャッター部材237に一体的に固定された枢支ピン243が差し込まれて、その枢支ピン243の軸芯P5周りで上下揺動自在にシャッター部材237が支持されている。
そして、これら処理物量検出体238とシャッター部材237との配設箇所における脱穀装置8の横幅方向一端側箇所に、脱穀処理物の量が大であれば、シャッター部材237が開状態となり、脱穀処理物の量が小であれば、シャッター部材237が閉状態となるように、処理物量検出体238とシャッター部材237とを連動連係するリンク機構244が備えられている。
リンク機構244について説明する。
脱穀装置8の左側の側壁8Aの外方側に、横軸芯P6周りで揺動自在に略L字形の揺動部材245が備えられている。又、処理物量検出体238の揺動途中部に一体的に固定された筒部材246に第1連動操作体247が差し込み支持されている。この第1連動操作体247は、横方向に延び、揺動部材245の一端側の揺動端部に連動連係されている。
一方、シャッター部材237の揺動途中部に一体的に固定された筒部材248に第2連動操作体249が差し込み支持されている。この第2連動操作体249は、横方向に延び且つL字形に折り曲げて、揺動部材245の他端側の揺動端部に近い位置に連動連係されている。そして、揺動部材245の他端側の揺動端部に、シャッター部材237を閉じ状態に向けて付勢するように揺動部材245を揺動付勢する付勢手段としてのコイルバネ250が備えられている。又、側壁8Aには、第1連動操作体247の揺動移動範囲を規制する長孔251と、第2連動操作体249の揺動移動範囲を規制する長孔252とが形成されている。
この構成によれば、コイルバネ250の付勢力によって、シャッター部材237が下向き姿勢で排塵口105が閉じる閉じ状態となるように、且つ、処理物量検出体238が、上方側の基準姿勢に向けて上昇揺動するように揺動付勢される。それらの揺動限界は長孔251,252によって規制される。そして、扱室29から排出される排出物の重量が大きくなると、コイルバネ250の上方付勢力に抗して、処理物量検出体238が下方に揺動変位するとともに、それに伴って、シャッター部材237が開方向に揺動操作されることになる。しかも、排出物の重量が大きいほど、処理物量検出体238が大きく下方へ揺動し、シャッター部材237が大きく開放される。
〔伝動構造〕
次に、脱穀装置8に対する伝動構造について説明する。
図34に示すように、エンジン10の動力が、機体走行用の伝動機構253に対する走行用入力軸254に伝達されたのち、その走行用入力軸254からカウンター軸に兼用構成されている唐箕81の回転軸210の右側端部に備えられた入力プーリ231に伝達される。
そして、唐箕81の回転軸210に備えられた駆動回転体としての第1駆動プーリ255から中継軸256に備えられた従動回転体257に動力を伝達する中継伝動機構258と、従動回転体257から扱胴27、フィーダ14、処理物搬送機構としての一番スクリュー84と二番スクリュー87、及び、揺動駆動部89に動力を分配供給する分配伝動機構259とが備えられている。
中継伝動機構258について説明する。
図35に示すように、唐箕81の回転軸210よりも少し前部側寄りで且つ上方側の箇所に、側壁8Aから片持ち状に外方に突出する状態で中継軸256が固定状態で備えられている。この中継軸256は、基端側に側面視矩形状のフランジ部260が形成され、そのフランジ部260の四隅を脱穀装置8の側壁8Aにボルト締結により固定されている。フランジ部260から外方に向かうほど小径となる略円筒状の軸部261が一体形成され、この軸部261に従動回転体257が回転自在に支持されている。
唐箕81の回転軸210の左側端部に第1駆動プーリ255が備えられ、この第1駆動プーリ255から伝動ベルト262を介して従動回転体257に備えられた入力用回転体としての入力プーリ263に回転軸210からの動力が入力される。
次に、分配伝動機構259について説明する。
図35に示すように、従動回転体257は、入力プーリ263と、動力を分配供給するための複数の出力プーリ264,265,266とを一連に連なる状態で備えた多連式に構成され、且つ、入力プーリ263に対して回転軸芯方向両側に振り分けた状態で複数の出力プーリ264,265,266が備えられている。
複数の出力プーリは、扱胴27に動力を供給する扱胴用出力プーリ264、フィーダ14に動力を供給するフィーダ用出力プーリ265、及び、一番スクリュー84と二番スクリュー87、及び、揺動駆動部89に動力を供給する搬送用出力プーリ266が備えられている。そして、複数の出力プーリのうち、扱胴用出力プーリ264が入力プーリ263よりも機体外方側に位置している。又、フィーダ用出力プーリ265と搬送用出力プーリ266とが入力プーリ263よりも機体内方側に位置している。
扱胴用出力プーリ264が最も機体外方側に位置しており、この扱胴用出力プーリ264が、中継軸256に対して着脱自在に取り付けられている。又、フィーダ用出力プーリ265が、入力プーリ263に対して搬送用出力プーリ266よりも離間する状態、すなわち、最も機体内方側に位置する状態で備えられている。
そして、図35に示すように、扱胴用出力プーリ264から扱胴用伝動ベルト267を介して扱胴27に対する伝動用プーリ282に動力が伝達され、フィーダ用出力プーリ265からフィーダ用伝動ベルト268を介してフィーダ14に対する伝動用プーリ283に動力が伝達され、伝動用プーリ283からフィーダ14に伝達された動力は刈取部13にも伝達される。
搬送用出力プーリ266から搬送用伝動ベルト269を介して一番スクリュー84と二番スクリュー87とに動力が伝達される。その搬送用伝動ベルト269の伝動途中には、回転動力を反転させる反転用プーリ270が備えられ、その反転用プーリ270から揺動駆動用の伝動ベルト271を介して揺動駆動部89に動力が伝達される。
又、搬送用伝動ベルト269の上部側部分の伝動途中には、搬送用伝動ベルト269がグレンシーブ93の横側箇所を通過しないようにテンション輪273により下方に押し下げるようにしている。
又、唐箕81の回転軸210には、第1駆動プーリ255と一体的に、後処理用回転体としての第2駆動プーリ274が備えられ、この第2駆動プーリ274から排ワラ処理装置12に動力を伝達する後処理用伝動機構275が備えられている。
すなわち、第2駆動プーリ274から前部伝動ベルト276、中継軸277、後部伝動ベルト279を介して、排ワラ処理装置12の駆動軸280に備えられた小径の入力プーリ281に増速した動力が伝達される。このようにして、排ワラの細断処理のために高速の動力を伝達する。尚、排ワラ処理装置12の駆動軸280には、回転速度を検出する回転速度センサS4(図1参照)が備えられ、この回転速度センサS4にて検出される回転速度が設定速度以下に低下すると、運転部7に備えられた図示しない報知ランプにて報知するようになっている。
このコンバインは、刈取対象作物として、稲や麦の他、蕎麦、大豆、菜種や金時豆等を収穫可能である。但し、このような対象作物が異なる場合、扱胴の回転速度を変更させる必要がある。例えば、稲や麦の場合は高速、蕎麦や大豆の場合は中速、菜種や金時豆等の場合は低速で駆動する必要がある。
そして、このコンバインでは、標準として高速に設定されるが、扱胴の速度を変更するにあたり、扱胴用出力プーリ264と扱胴27に対する伝動用プーリ282とを取り外して付け替えることにより、低速での駆動を行えるように回転比率が設定されている。中速の場合には、径の異なるプーリを用いる必要がある。
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態においては、外装カバー側の側板31が、扱胴27の回転軸芯方向に沿って分割された2個の分割側板31Aにて構成されるものを示したが、外装カバー側の側板31が3個以上の分割側板に分割される構成でもよい。
(2)上記実施形態においては、ガイド板45の回転軸芯方向の両側端部に遮蔽板47が備えられるものを示したが、このような遮蔽板47を備えない構成としてもよい。
(3)上記実施形態においては、ガイド板45の下端部に、外装カバー側の側板31との間の隙間を塞ぐ底板46が備えられるものを示したが、このような底板46を備えない構成としてもよい。
(4)上記実施形態においては、ガイド板45が、複数の分割側板31Aの夫々において、扱胴27の回転軸芯方向に沿う一端部から他端部に亘って幅広に設けられるものを示したが、回転軸芯方向に沿う一部の箇所に幅狭に設けられるものでもよい。
(5)上記実施形態においては、底板46に排塵用の開口46Aが形成されるものを示したが、排塵用の開口46Aが形成されないものでもよい。
(6)上記実施形態においては、外装カバー側の側板31が、下部に脱穀フレーム32に設けられた被係止部33に係脱自在に係止する係止部34が備えられ、且つ、係止部34を被係止部33に係止させた状態で、上部を、脱穀フレーム32の被連結箇所に対して取り外し可能に締結固定する構成を示したが、この構成に代えて、外装カバー側の側板31が、上部に係止部34を備え、且つ、係止部34を被係止部33に係止させた状態で、下部を脱穀フレーム32の被連結箇所に対して取り外し可能に締結固定する構成としてもよい。
(7)上記実施形態においては、受網38が扱胴27の回転軸芯方向に沿って3分割される構成としたが、受網38が扱胴27の回転軸芯方向に沿って2分割される構成、又は、受網38が扱胴27の回転軸芯方向に沿って4個以上に分割される構成でもよい。
(8)上記実施形態においては、コンバインとして、車輪式の走行装置を備えた普通型コンバインを示したが、クローラ走行装置を備えた普通型コンバインであってもよく、自脱型コンバインにも適用できる。