JP6112902B2 - アンテナ装置 - Google Patents

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本発明は、一次放射器および反射鏡で構成されるアンテナ装置に関する。
衛星搭載用アンテナとして、パラボラアンテナやフェーズドアレーアンテナが知られている。
近年では、パラボラアンテナと比較して、製造が容易で、かつ同様に高利得が期待でき、また、フェーズドアレーアンテナのような重いモジュールを用いずにビーム走査が可能なアンテナとして、リフレクトアレーアンテナが注目を集めている。
ここで、リフレクトアレーアンテナは、電波を放射する一次放射器と、その一次放射器から放射された電波を反射する反射鏡とから構成されているアンテナ装置である。
リフレクトアレーアンテナの反射鏡は、地導体板上に誘電体基板が重ねられ、その誘電体基板上に、導体パターンである反射素子が複数個配置された構成である。
反射鏡に並べられている反射素子には、設計周波数における一次放射器からの光路長が、所望方向に対して一定となるような反射位相を有する反射素子を、複数個配置することで、一次放射器から放射された電波のビームを、所望方向に向けることが可能となる。
従って、設計周波数以外の周波数では、光路長が所望方向に対して一定とはならないため、設計周波数以外の周波数では、放射特性が劣化する。
使用する周波数帯域内において、良好な放射特性を得ることは重要である。
なお、下記特許文献1では、リフレクトアレーの形状として、パラボラ形状を採用し、いずれの周波数においても、幾何学的に光路長が所望方向に対して一定とすることによって、使用する周波数帯域内において、良好な放射特性を得ることが述べられている。
また、下記非特許文献1では、リフレクトアレーの反射鏡において、一つの誘電体基板を用いて構築することが述べられている。
米国特許出願公開第2000/6031506号明細書
R.D.Javor,X.Wu,K.Chang,"Design and Performance of a Microstrip Reflectarray Antenna,"IEEE Trans. on Ant. and Propag.,Vol.43,No.9,1995.
前記特許文献1のリフレクトアレーアンテナでは、その形状がパラボラであり、複雑な形状を用いて、使用する周波数帯域内で良好な放射特性が得られる。
しかしながら、リフレクトアレー本来の平面で構成されたものではなく、平面で構成されることによる、製造容易のメリットがなくなる課題が生じる。
また、前記非特許文献1では、リフレクトアレーの反射鏡を構成する誘電体基板は、全ての反射素子に対して同一の誘電体基板を使用しており、誘電体基板による反射素子の反射位相の周波数特性は、リフレクトアレー全体を通じて同一である。
一次放射器から距離が離れた反射鏡面上の位置では、光路長による位相の周波数変化が大きくなり、従って、位相の周波数特性の勾配が急峻となる。
つまり、リフレクトアレー全体を通じて、反射位相の周波数特性の勾配が同一の反射素子を用いるため、設計周波数以外の周波数では、補正しきれない位相量が大きく生じてしまう課題がある。
一次放射器から反射鏡までの光路長による位相の周波数特性を説明する。
図11は、反射鏡面上の光路長による位相の一例を示したものである。
開口中心付近においては、設計周波数における光路長による位相101と、使用周波数帯域上端における光路長による位相102に差異は生じない。
しかし、開口端部に行くに従って、光路長による位相が周波数によって差異を生じる。
開口端部に行くに従って、光路長による位相の周波数特性の勾配が急峻になる。
リフレクトアレーでは、設計周波数において補償する位相量を決定し、反射素子を配置するため、設計周波数において光路長による位相は、補償可能である。
しかし、反射鏡全体で反射位相の周波数特性の勾配が同一の反射素子を用いるため、概ね開口端部では、設計周波数以外の周波数の場合では、補償すべき位相量と補償可能な位相量に大きな差が生じる。
つまり、概ね開口端部では、設計周波数以外の周波数の位相を補償しきれず、所望方向に対して光路長一定とならないために狭帯域な特性となる。
本発明は、平面に構成される反射鏡を対象として、設計周波数にそれ以外の周波数帯域を加えた使用する周波数帯域内で良好な放射特性が得られるアンテナ装置を提供することを目的とする。
本発明は、平面に構成され、一次放射器から放射された電波を反射する反射鏡を備えたアンテナ装置において、反射鏡は、地導体板上に誘電体基板が重ねられ、該誘電体基板上に導体パターンである反射素子が所定の間隔で複数個配置され、当該反射鏡の概ね中心部から端部に行くに従って、該反射素子の反射位相の周波数特性の勾配が異なるものを用い、当該反射鏡の概ね中心部には、反射位相の周波数特性の勾配が緩やかな特性を有する反射素子を配置し、当該反射鏡の概ね端部には、反射位相の周波数特性の勾配が急峻な特性を有する反射素子を配置することを特徴とする。
本発明によれば、反射鏡の概ね中心部から端部に行くに従って、反射素子の反射位相の周波数特性の勾配が異なるものを用いた。
よって、平面に構成される反射鏡を対象として、設計周波数にそれ以外の周波数帯域を加えた周波数帯域内で良好な放射特性が得られる効果がある。
本発明の実施の形態1によるアンテナ装置を示す構成図である。 使用する反射素子の反射位相の周波数特性の一例を示す特性図である。 本発明の実施の形態2によるアンテナ装置を示す構成図である。 低い誘電率の誘電体基板を用いて反射素子の寸法を変化した場合の反射位相特性を示す特性図である。 高い誘電率の誘電体基板を用いて反射素子の寸法を変化した場合の反射位相特性を示す特性図である。 反射鏡全体にわたって図4に示す反射位相特性とした放射特性を示す特性図である。 概ね開口中心では図4に示す反射位相特性、概ね開口端部では図5に示す反射位相特性の反射素子を配置した場合の放射特性を示す特性図である。 本発明の実施の形態3によるアンテナ装置を示す構成図である。 本発明の実施の形態4によるアンテナ装置を示す構成図である。 本発明の実施の形態5によるアンテナ装置を示す構成図である。 反射鏡面上の光路長による位相の一例を示す特性図である。
以下、本発明によるリフレクトアレーアンテナの構成を好適な実施の形態に基づいて、図面を参照しながら説明する。
なお、各図において、同一もしくは相当部分は、同一符号で示し、重複する説明は、省略する。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1によるアンテナ装置を示す構成図である。
図1において、アンテナ装置は、一次放射器1、平面に構成され、一次放射器1から放射された電波を反射する反射鏡2から構成される。
反射鏡2は、地導体板3上に誘電体基板4が重ねられ、誘電体基板4上に矩形導体パターンである反射素子5が、所定の間隔でN(Nは任意の自然数)個配置されたものから構成される。
本アンテナ装置においては、反射鏡2上の位置によって、反射素子5の反射位相の周波数特性の勾配が異なるものが用いられる。
反射鏡2の概ね開口中心7では、反射位相の周波数特性の勾配が緩やかな特性を有する反射素子5を配置し、概ね開口端部8では、反射位相の周波数特性の勾配が急峻な特性を有する反射素子5を配置する。
前述の通り、概ね開口中心7と、概ね開口端部8における補償すべき光路長による位相は、周波数によって異なる。
また、反射鏡2全体として、反射位相の周波数特性の勾配が同一のものを用いると、概ね開口端部7で、設計周波数以外の周波数の補償すべき位相が補償しきれない。
以上のことを鑑みて、反射鏡全体として、反射素子の反射位相の周波数特性の勾配が同一のものとしない。
本実施の形態1は、前述の通り、反射鏡2の概ね開口中心7では、反射位相の周波数特性の勾配が緩やかな特性を有する反射素子5を配置し、概ね開口端部8では、反射位相の周波数特性の勾配が急峻な特性を有する反射素子5を配置する。
このことにより、設計周波数以外の周波数の場合でも、補償しきれない光路長による位相量を低減し、使用する周波数帯域内で良好な放射特性を得る。
反射素子5の反射位相の周波数特性の勾配を変えるには、用いる反射素子5のQ値を変化させる、従って、反射素子5の帯域を変えることによって実現可能である。
図2に、使用する反射素子5の反射位相の周波数特性の一例を示す。
前述の通り、反射鏡2の概ね開口中心7では、反射位相の周波数特性の勾配が緩やかな特性9を有する反射素子5を配置し、概ね開口端部8では、反射位相の周波数特性の勾配が急峻な特性10を有する反射素子5を配置する。
なお、図2において、flは使用する周波数帯域下端、fcは使用する周波数帯域中心(設計周波数)、fhは使用する周波数帯域上端である。
このことにより、設計周波数以外の周波数の場合でも、補償しきれない光路長による位相量を低減し、使用する周波数帯域内で良好な放射特性を得る。
なお、前記説明では、反射位相の周波数特性の勾配の異なる2種類の反射素子5を用いたが、その限りではなく、反射位相の周波数特性の勾配の異なる3種類以上の反射素子5を用いても良いものとする。
以上のように、本実施の形態1によれば、反射鏡2の概ね中心部から端部に行くに従って、反射素子5の反射位相の周波数特性の勾配が急峻になるものを用いた。
よって、平面に構成される反射鏡2を対象として、設計周波数にそれ以外の周波数帯域を加えた使用する周波数帯域内で良好な放射特性が得られる。
実施の形態2.
図3は本発明の実施の形態2によるアンテナ装置を示す構成図である。
図3において、本アンテナ装置は、概ね開口中心11と、概ね開口端部12において、反射鏡2を構成する誘電体基板4の誘電率が異なることを特徴としている。
異なる誘電率の誘電体基板4を用いることにより、反射素子5のQ値が変わるため、反射位相の周波数特性の勾配は、それぞれの誘電体基板4において異なるものとなる。
使用する周波数帯域内で良好な放射特性を得るためには、概ね開口中心11の誘電体基板4の誘電率を低くし、概ね開口端部12の誘電体基板4の誘電率を高くする。
このことにより、光路長による位相の周波数特性の勾配に、反射素子5の反射位相の周波数特性の勾配の傾向を合わせ、各周波数における補償すべき位相と、反射素子5で実現可能な反射位相の差を低減する。
図4および図5は、反射素子5の寸法を変化させることで、反射位相を制御する方式を採用し、誘電体基板4の誘電率の異なる2種類の反射素子の反射位相特性と反射素子寸法の関係の一例を示したものである。
図4は低い誘電率、図5は高い誘電率の誘電体基板を用いて、帯域下端13、帯域中心14、帯域上端15の反射位相特性を示している。
誘電率が異なることによって、反射素子5の反射位相は、周波数によって大きく異なる。
図6は反射鏡全体にわたって図4に示す反射位相特性とした放射特性を示す。
図7は概ね開口中心11では図4に示す反射位相特性、概ね開口端部12では図5に示す反射位相特性の反射素子5を配置した場合の放射特性を一例として示す。
図6の帯域下端13、帯域中心14、帯域上端15のそれぞれの放射特性は、設計周波数である帯域中心14では、良好な放射特性を示すが、それ以外の帯域下端13および帯域上端15では、メインビームは広がり、メインビーム付近には、高いサイドローブが生じる。
一方、図7の本実施の形態2の放射特性では、設計周波数である帯域中心14は、良好な放射特性を示し、それ以外の帯域下端13および帯域上端15では、図6と比較して、サイドローブを大幅に低減でき、この結果、利得が向上することが言える。
なお、前記説明では、誘電率の異なる2種類の誘電体基板4を用いたが、その限りではなく、誘電率の異なる3種類以上の誘電体基板4を用いても良いものとする。
以上のように、本実施の形態2によれば、反射鏡2の概ね中心部から端部に行くに従って、誘電体基板4の誘電率が高くなるものを用いた。
よって、平面に構成される反射鏡2を対象として、設計周波数にそれ以外の周波数帯域を加えた使用する周波数帯域内で良好な放射特性が得られる。
実施の形態3.
図8は本発明の実施の形態3によるアンテナ装置を示す構成図である。
図8において、本アンテナ装置は、概ね開口中心16と、概ね開口端部17において、反射鏡2を構成する誘電体基板4の厚みが異なることを特徴としている。
異なる厚みの誘電体基板4を用いることにより、反射素子5のQ値が変わるため、反射素子5の反射位相の周波数特性の勾配は、それぞれの誘電体基板4において異なるものとなる。
使用する帯域内で良好な特性を得るためには、概ね開口中心16の誘電体基板4の厚みを厚くし、また、概ね開口端部17の誘電体基板4の厚みを薄くすることで、光路長による位相の周波数特性の勾配に反射素子5の反射位相の周波数特性の勾配の傾向を合わせ、設計周波数以外の使用周波数帯域内の周波数における補償すべき位相と、反射素子5で実現可能な反射位相の差を低減する。
なお、前記説明では、厚みの異なる2種類の誘電体基板4を用いたが、その限りではなく、厚みの異なる3種類以上の誘電体基板4を用いても良いものとする。
以上のように、本実施の形態3によれば、反射鏡2の概ね中心部から端部に行くに従って、誘電体基板4の厚みが薄くなるものを用いた。
よって、平面に構成される反射鏡2を対象として、設計周波数にそれ以外の周波数帯域を加えた使用する周波数帯域内で良好な放射特性が得られる。
実施の形態4.
図9は本発明の実施の形態4によるアンテナ装置を示す構成図である。
図9において、本アンテナ装置は、概ね開口中心18と、概ね開口端部19において、反射素子5の導体面積が異なることを特徴としている。
反射素子5の導体面積を違えさせることで、反射素子5のQ値が変わり、反射素子5の反射位相の周波数特性の勾配は、それぞれの反射素子5で異なるものとなる。
使用する周波数帯域内で良好な特性を得るためには、概ね開口中心18の反射素子5の導体20の面積を大きく、また、概ね開口端部19の反射素子5の導体21をリング状にすることで面積を小さくし、光路長による位相の周波数特性の勾配に反射素子5の反射位相の周波数特性の勾配の傾向を合わせ、各周波数における補償すべき位相と、反射素子5で実現可能な反射位相の差を低減する。
なお、前記説明では、導体面積の異なる2種類の反射素子5を用いたが、その限りではなく、導体面積の異なる3種類以上の反射素子5を用いても良いものとする。
以上のように、本実施の形態4によれば、反射鏡2の概ね中心部から端部に行くに従って、反射素子5の導体面積が小さくなるものを用いた。
よって、平面に構成される反射鏡2を対象として、設計周波数にそれ以外の周波数帯域を加えた使用する周波数帯域内で良好な放射特性が得られる。
実施の形態5.
図10は本発明の実施の形態5によるアンテナ装置を示す構成図である。
図10において、本アンテナ装置は、前記実施の形態4の反射鏡2における地導体板3上に、誘電体基板4に代えて、空気層23が重ねられ、スペーサ(支持体:図示せず)を、地導体板3と反射素子5との間に設けて、反射素子5が、所定の間隔で複数個配置されることを特徴としている。
このような構成においても、反射素子5の導体面積を違えさせることで、反射素子5のQ値が変わり、反射素子5の反射位相の周波数特性の勾配は、それぞれの反射素子5で異なるものとなる。
以上のように、本実施の形態5によれば、反射鏡2は、地導体板3上に空気層23が重ねられ、空気層23上に導体パターンである反射素子5が所定の間隔で複数個配置されているものを用いた。
よって、誘電体基板4の代わりに空気層23を設けることも可能であり、部材の自由度を持たせることができる。
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
1 一次放射器、2 反射鏡、3 地導体板、4 誘電体基板、5 反射素子、7,11,16,18 開口中心、8,12,17,19 開口端部、9,10 特性、13 帯域下端、14 帯域中心、15 帯域上端、20,21 導体、23 空気層。

Claims (5)

  1. 平面に構成され、一次放射器から放射された電波を反射する反射鏡を備えたアンテナ装置において、
    前記反射鏡は、
    地導体板上に誘電体基板が重ねられ、該誘電体基板上に導体パターンである反射素子が所定の間隔で複数個配置され、当該反射鏡の概ね中心部から端部に行くに従って、該反射素子の反射位相の周波数特性の勾配が異なるものを用い、当該反射鏡の概ね中心部には、反射位相の周波数特性の勾配が緩やかな特性を有する前記反射素子を配置し、当該反射鏡の概ね端部には、反射位相の周波数特性の勾配が急峻な特性を有する前記反射素子を配置することを特徴とするアンテナ装置。
  2. 平面に構成され、一次放射器から放射された電波を反射する反射鏡を備えたアンテナ装置において、
    前記反射鏡は、
    地導体板上に誘電体基板が重ねられ、該誘電体基板上に導体パターンである反射素子が所定の間隔で複数個配置され、当該反射鏡の概ね中心部から端部に行くに従って、該誘電体基板の誘電率が異なるものを用い、中心部から端部に行くに従って、前記反射素子の有する反射位相の周波数特性の勾配が次第に急峻となるように、前記誘電体基板の誘電率が高くなることを特徴とするアンテナ装置。
  3. 平面に構成され、一次放射器から放射された電波を反射する反射鏡を備えたアンテナ装置において、
    前記反射鏡は、
    地導体板上に誘電体基板が重ねられ、該誘電体基板上に導体パターンである反射素子が所定の間隔で複数個配置され、当該反射鏡の概ね中心部から端部に行くに従って、該誘電体基板の厚みの異なるものを用い、中心部から端部に行くに従って、前記反射素子の有する反射位相の周波数特性の勾配が次第に急峻となるように、前記誘電体基板の厚みが薄くなることを特徴とするアンテナ装置。
  4. 平面に構成され、一次放射器から放射された電波を反射する反射鏡を備えたアンテナ装置において、
    前記反射鏡は、
    地導体板上に誘電体基板が重ねられ、該誘電体基板上に導体パターンである反射素子が所定の間隔で複数個配置され、当該反射鏡の概ね中心部から端部に行くに従って、該反射素子の導体面積が異なり、中心部から端部に行くに従って、前記反射素子の導体面積が小さくなることを特徴とするアンテナ装置。
  5. 前記反射鏡は、
    地導体板上に空気層が重ねられ、該空気層上に導体パターンである反射素子が所定の間隔で複数個配置されていることを特徴とする請求項3または請求項4記載のアンテナ装置。
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