JP6111867B2 - 駆動力配分装置 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば自動車における入力軸からの駆動力を出力軸に伝達する駆動力配分装置に関する。
従来、例えば四輪駆動車に搭載され、一対の回転部材をクラッチによってトルク伝達可能に連結するようにした駆動力配分装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
特許文献1に記載された駆動力配分装置は、歯車機構を介して入力軸側に連結されるインナクラッチプレート、及び出力側に連結されるアウタクラッチプレートを有するクラッチと、インナクラッチプレート及びアウタクラッチプレートに押圧力を付与してこれらを摩擦係合させる油圧ピストンと、歯車機構、クラッチ及び油圧ピストンを収容するケースとを備え、入力軸からの駆動力をクラッチ及び歯車機構を介して出力軸に伝達する。ケースの底部には、歯車機構の回転部の一部が浸るように作動油を貯留する貯留部を有し、歯車機構の潤滑と冷却を行っている。
特開2009−269605号公報
しかし、従来の駆動力配分装置によると、歯車機構やクラッチ等の回転部が貯留部に貯留された作動油の粘性によって車両の走行時において所謂引き摺りトルク(撹拌抵抗)を常に発生させ、この引き摺りトルクが走行抵抗となって燃費の低下を招いていた。
したがって、本発明の目的は、作動油による回転部の引き摺りトルクを低減し、燃費の向上を図ることができる駆動力配分装置を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために、車両の駆動源からの駆動力によって回転する第1の回転部材と、前記第1の回転部材と同軸上で相対回転可能に配置された第2の回転部材と、軸方向の押圧力を受けて前記第1の回転部材と前記第2の回転部材との間で前記駆動力を伝達するクラッチと、作動油が供給されて前記クラッチに前記押圧力を付与するピストンと、電動機によって駆動され、前記ピストンに前記作動油を供給するポンプと、前記第1及び第2の回転部材、前記クラッチ、及び前記ピストンを収容するとともに、前記ポンプに供給する前記作動油を貯留する第1の貯留部を有するケースと、前記作動油を前記車両の走行に伴って回転する回転部に供給する吐出口と、前記ポンプと前記吐出口との間の管路に設けられ、前記作動油を蓄圧する第2の貯留部と、前記管路における前記第2の貯留部と前記吐出口との間に設けられた電磁開閉弁と、を備えた駆動力配分装置を提供する。
本発明によると、作動油による回転部の引き摺りトルクを低減し、燃費の向上を図ることができる。
本発明の第1の実施の形態に係る駆動力配分装置が適用された四輪駆動車の概略の構成を示す平面図。 第1の実施に形態に係る駆動力配分装置のケースの内部構造を示す断面図。 図2AのA−A線断面図。 第1の実施の形態に係るクラッチ及びクラッチの周辺の構成を示す要部断面図。 第1の実施の形態に係る油圧ユニットを含む油圧回路を示す図。 第1の実施の形態の変形例1に係る油圧ユニットを含む油圧回路を示す図。 第1の実施の形態の変形例2に係る油圧ユニットを含む油圧回路を示す図。 本発明の第2の実施の形態に係る駆動力配分装置が適用された四輪駆動車の概略の構成を示す平面図。 第2の実施の形態に係る油圧ユニットを含む油圧回路を示す図。 第2の実施の形態の変形例に係る油圧ユニットを含む油圧回路を示す図。 本発明の第3の実施の形態に係る駆動力配分装置が適用された四輪駆動車の概略の構成を示す平面図。 本発明の第4の実施の形態に係る駆動力配分装置が適用された四輪駆動車の概略の構成を示す平面図。 第4の実施の形態に係る油圧ユニットを含む油圧回路を示す図。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、各図中、実質的に同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る駆動力配分装置が適用された四輪駆動車の概略の構成を示す。この四輪駆動車200は、駆動力伝達系201、駆動源としてのエンジン202、トランスミッション203、主駆動輪としての前輪204L,204R、及び補助駆動輪としての後輪205L,205Rを備えている。なお、本実施の形態において、各符号における「L」及び「R」は、車両の前進方向に対する左側及び右側の意味で使用している。
駆動力伝達系201は、四輪駆動車200におけるトランスミッション203側から後輪205L,205R側に至る駆動力伝達経路に配置され、四輪駆動車200の車体(図示せず)に搭載されている。
また、駆動力伝達系201は、駆動力配分装置1、プロペラシャフト2、駆動力断続装置3、及びフロントディファレンシャル206を有し、四輪駆動車200の四輪駆動状態を二輪駆動状態に、また二輪駆動状態を四輪駆動状態にそれぞれ切替え可能に構成されている。駆動力配分装置1の詳細については、後述する。
フロントディファレンシャル206は、サイドギヤ209L,209R、一対のピニオンギヤ210、ギヤ支持部材211及びフロントデフケース212を有し、トランスミッション203と駆動力断続装置3との間に配置されている。フロントデフケース212は、ギヤ支持部材211、一対のピニオンギヤ210、及びサイドギヤ209L,209Rを収容する。サイドギヤ209Lは、前輪側のアクスルシャフト208Lに連結され、サイドギヤ209Rは、前輪側のアクスルシャフト208Rに連結されている。一対のピニオンギヤ210は、サイドギヤ209L,209Rにギヤ軸を直交させて噛合する。ギヤ支持部材211は、一対のピニオンギヤ210を回転可能に支持している。
エンジン202は、トランスミッション203及びフロントディファレンシャル206を介して前輪側のアクスルシャフト208L,208Rに駆動力を出力することにより前輪204L,204Rを駆動する。
また、エンジン202は、トランスミッション203、駆動力断続装置3、プロペラシャフト2、及び駆動力配分装置1を介して後輪側のアクスルシャフト213L,213Rに駆動力を出力することにより後輪205L,205Rを駆動する。
プロペラシャフト2は、駆動力配分装置1と駆動力断続装置3との間に配置されている。また、プロペラシャフト2は、エンジン202の駆動力をフロントデフケース212から受けて前輪204L,204R側から後輪205L,205R側に伝達する。
プロペラシャフト2の前輪側端部には、互いに噛合するドライブピニオン60及びリングギヤ61からなる前輪側の歯車機構6が配置されている。プロペラシャフト2の後輪側端部には、車両の走行に伴って回転する回転部の一例としての後輪側の歯車機構11が配置されている。
駆動力断続装置3は、フロントデフケース212に対して回転不能な第1のスプライン歯部30、リングギヤ61に対して回転不能な第2のスプライン歯部31、及び第1及び第2のスプライン歯部30,31それぞれにスプライン嵌合可能なスリーブ32を有するドグクラッチからなる。この駆動力断続装置3は、プロペラシャフト2とフロントデフケース212とを断続可能に連結する。
駆動力配分装置1は、プロペラシャフト2から駆動力が伝達される上記の歯車機構11と、歯車機構11によって伝達された駆動力を調整してアクスルシャフト213L,213Rに伝達する駆動力調整機構12A,12Bと、これらの駆動力調整機構12A,12B及び歯車機構11を収容するケース13と、ケース13に作動油を供給する油圧ユニット14とを有する。油圧ユニット14は、制御部としてのECU(Electronic Control Unit)10によって制御される。なお、以下の説明では、油圧ユニット14から供給された作動油が潤滑のために用いられる場合には、作動油を潤滑油として説明する場合がある。
歯車機構11は、ハイポイドギヤからなるドライブピニオン111aが形成された入力軸111と、ドライブピニオン111aに歯合するハイポイドギヤからなるリングギヤ112aが形成された出力軸112とを備える。歯車機構11は、入力軸111のドライブピニオン111aと出力軸112のリングギヤ112aとの噛み合いによって駆動力を伝達する。
図2Aは、駆動力配分装置1のケース13の内部構造の具体例を示す断面図である。図2Bは、図2AのA−A線断面図である。図3は、図2Aにおけるクラッチ及びその周辺部の構成を示す拡大図である。
駆動力配分装置1は、図2Aに示すように、前述した歯車機構11、駆動力調整機構12A,12B、及びケース13を有する。歯車機構11の入力軸111は、連結シャフト110によってプロペラシャフト2に連結されている。
ケース13は、歯車機構11の入力軸111及び出力軸112を収容するセンタケース130と、駆動力調整機構12A,12Bをそれぞれ収容するサイドケース131L,131Rとを備える。センタケース130は、車両における左側に配置されるサイドケース131Lと右側に配置されるサイドケース131Rとの間に配置されている。センタケース130及びサイドケース131L,131Rは、ボルト締めによって相互に固定されている。また、駆動力調整機構12A,12Bの後述する第1のインナシャフト121Aの一部は、センタケース130に収容されている。
センタケース130は、歯車機構11の入力軸111を円すいころ軸受113A,113Bを介して回転可能に保持する第1の保持部130aと、歯車機構11の出力軸112を円すいころ軸受113Cを介して回転可能に保持する第2の保持部130bと、駆動力調整機構12A,12Bの第1のインナシャフト121Aを玉軸受125Aを介して回転可能に保持する第3の保持部130cと、後述するピストン122を前後動可能に収容するシリンダーとしての収容部130dとを備える。収容部130dは、車幅方向におけるセンタケース130の両端部に設けられ、サイドケース131L,131R側に向かって開口している。
サイドケース131L,131Rは、駆動力調整機構12A,12Bを構成する後述するハウジング120、第1のインナシャフト121A、押圧部材123、及びクラッチ8を収容する収容部131aと、第2のインナシャフト121Bを玉軸受125Bを介して回転可能に保持する保持部131bとを備えている。サイドケース131L,131Rの外側の端部における保持部131bの内周面と第2のインナシャフト121Bの外周面との隙間は、シール部材127によって封止されている。
駆動力調整機構12A,12Bは、同一の構成を有しており、それぞれハウジング120と、第1及び第2のインナシャフト121A,121Bと、ピストン122と、押圧部材123と、クラッチ8とを備える。
ピストン122は、センタケース130の収容部130d内で油圧ユニット14から供給される作動油によって進退移動可能である。ピストン122は、図示しないリターンスプリングのバネ力が収容部130dの奥側に付与されている。ピストン122の外周面と内周面には、それぞれシール部材124A,124Bが設けられている。
クラッチ8は、図3に示すように、複数のインナクラッチプレート80及び複数のアウタクラッチプレート81を有する摩擦式のクラッチであり、第1の回転部材としての第1のインナシャフト121Aと第2の回転部材としてのハウジング120との間に配置されている。第1のインナシャフト121Aは、トランスミッション203、フロントデフケース212、駆動力断続装置3、歯車機構6、プロペラシャフト2、及び歯車機構11を介して伝達されるエンジン202からの駆動力によって回転する。ハウジング120は、第1のインナシャフト121Aと同軸上で、第1のインナシャフト121Aと相対回転可能に配置されている。
クラッチ8は、押圧部材123から軸方向の押圧力を受けて第1のインナシャフト121Aとハウジング120との間で駆動力を伝達する。複数のインナクラッチプレート80及び複数のアウタクラッチプレート81は、第1及び第2のインナシャフト121A,121Bの回転軸線Oに沿って交互に配置され、それぞれ環状の摩擦板によって形成されている。クラッチ8は、複数のインナクラッチプレート80及び複数のアウタクラッチプレート81のうち互いに隣り合う2つのクラッチプレートを摩擦係合させ、またその摩擦係合を解除してハウジング120とインナシャフト121Aとを断続可能に連結する。
複数のインナクラッチプレート80は、その内周部にストレートスプライン嵌合部80aを有し、ストレートスプライン嵌合部80aを第1のインナシャフト121Aのストレートスプライン嵌合部121aに嵌合させて第1のインナシャフト121Aに相対回転不能かつ相対移動可能に連結されている。また、複数のインナクラッチプレート80には、その円周方向に沿って並列し、かつ、回転軸線O両方向に開口する複数の油孔80bが設けられている。
複数のアウタクラッチプレート81は、その外周部にストレートスプライン嵌合部81aを有し、ストレートスプライン嵌合部81aをハウジング120のストレートスプライン嵌合部120aに嵌合させてハウジング120に相対回転不能かつ相対移動可能に連結されている。
クラッチ8は、ピストン122から押圧部材123を介して押付力を受けると、この押付方向への移動によって互いに隣り合うインナクラッチプレート80とアウタクラッチプレート81とが摩擦係合してトルク伝達可能な状態となる。
押付部材123は、円環状の板部材によって形成され、ハウジング120のストレートスプライン嵌合部120aに嵌合するストレートスプライン嵌合部123aを外周部に有する。また、押付部材123は、ストレートスプライン嵌合部123aをストレートスプライン嵌合部120aに嵌合させてハウジング120に相対回転不能かつ相対移動可能に連結され、かつピストン122に針状ころ軸受126Aを介して対向している。
ハウジング120は、押付部材123が嵌合するストレートスプライン嵌合部120aを有し、第2のインナシャフト121Bにスプライン嵌合して第2のインナシャフト121Bに相対回転不能に連結され、かつ、サイドケース131L,131Rに針状ころ軸受126Bを介して回転可能に支持されている。
第1のインナシャフト121Aは、軸部121bと、円筒部121cとを有し、軸部121bの端部がスプライン嵌合によって歯車機構11の出力軸112に相対回転不能に連結されている。円筒部121cの内周面と第2のインナシャフト121Bの外周面との間には、針状ころ軸受126Cが配置されている。
また、第1のインナシャフト121Aは、円筒部121cにクラッチ8の各インナクラッチプレート80のストレートスプライン嵌合部80aが嵌合するストレートスプライン嵌合部121aを有する。軸部121bには、その外周面に一方の開口を有する油流路121dが軸方向に沿って形成されている。油流路121dの他方の開口は、円筒部121cの内部空間における軸方向端面に形成されている。円筒部121cには、内周面からクラッチ8に向かって油流路121eが形成されている。これにより、油圧ユニット14から後述する潤滑用油流路130fを経由して供給された作動油が潤滑油として油流路121d,121eを介してクラッチ8等に供給される。
センタケース130は、油圧ユニット14から供給された作動油をピストン122に供給するための作動用油流路130eと、クラッチ8に作動油を潤滑油として供給するための潤滑用油流路130fと、ピストン122に供給した作動油を排出するための排出用油流路130gと、歯車機構11に潤滑油を供給する吐出口としてのノズル130h(図2Aに示す)とが設けられている。また、センタケース130の底部は、ポンプ141に供給する作動油を貯留する第1の貯留部の一例としてのオイルパン130iとなっている。ノズル130hからは、潤滑油が滴下や噴霧等によって吐出され、歯車機構11に供給される。
オイルパン130iに貯留される作動油の油面は、ポンプ141のポンプ作用によって後述するアキュムレータ145が満タンのとき、図2Bに示すように、歯車機構11のリングギヤ112aが浸らないレベルLとし、アキュムレータ145が空のときは、リングギヤ112aが浸るレベルLとする。すなわち、アキュムレータ145は、歯車機構11のリングギヤ112aよりもオイルパン130iにおける作動油の油面が低くなるように作動油を貯留することが可能な容量を有する。これにより、オイルパン130iに貯留される作動油の油面は、車両の走行中には、車両の速度に関わらず、リングギヤ112aが浸らないレベルLとなる。オイルパン130iに貯留された作動油は、吸引口141aから油圧ユニット14の後述するポンプ141によってピストン122等に供給される。
図4は、油圧ユニット14を含む油圧回路を示す。なお、同図はケース13等の図示を省略している。油圧ユニット14は、オイルパン130iに貯留された作動油を、電動機の一例としてのモータ140の駆動によって作動するポンプ141によって圧送する管路15aを有し、この管路15aから分岐して駆動力調整機構12A,12Bに至る管路15b,15c,15dと、管路15aから分岐してノズル130hに至る管路15eとを有する。より詳細には、管路15aが管路15b及び管路15eに分岐し、さらに管路15bが管路15c及び管路15dに分岐している。
また、油圧ユニット14は、管路15aに設けられた逆止弁142と、管路15c,15dにそれぞれ設けられた制御バルブ143A,143Bと、管路15eに設けられたオリフィス144Aと、オリフィス144Aよりも下流側で管路15eに設けられた第2の貯留部としてのアキュムレータ145と、アキュムレータ145よりも下流側で管路15eに設けられた制御バルブ143Cと、駆動力調整機構12A,12Bからオイルパン130i側に戻る管路15f,15gと、管路15f,15gにそれぞれ設けられたオリフィス144B,144Cとを有する。アキュムレータ145は、所定の量の作動油を所定の圧力で蓄圧するものである。制御バルブ143Cは、管路15eにおけるアキュムレータ145とノズル130hとの間に設けられた電磁開閉弁の一例である。
ポンプ141から駆動力調整機構12A,12B側に至る管路15c,15dに設けられた制御バルブ143A,143Bは、通電時に弁が開く常閉型のものを用いる。ノズル130hに至る管路15eに設けられた制御バルブ143Cは、通電停止時に弁が開く常開型のものを用いる。これにより、制御バルブ143Cへの通電停止時には、アキュムレータ145に蓄圧された作動油が歯車機構11に供給される。
制御バルブ143A,143B,143Cは、例えばソレノイド(電磁石)の磁力によってプランジャ(鉄片)を動かすことでバルブ(弁)が開弁又は閉弁するように構成され、供給される電流量に応じてバルブの開度が変化する制御バルブである。制御バルブ143A,143B,143Cには、ECU10(図1に示す)から電流が供給される。
(第1の実施の形態に係る油圧ユニット14の動作)
ECU10の制御によってモータ140が駆動され、ポンプ141が作動すると、オイルパン130iに貯留されていた作動油が汲み上げられ、油面が歯車機構11のリングギヤ112aよりも低くなる。ポンプ141によって汲み上げられた作動油は、管路15aを介して制御バルブ143A,143Bに圧送される。制御バルブ143A,143Bに圧送された作動油は、制御バルブ143A,143Bに対する開閉制御に応じて管路15c,15dを介して駆動力調整機構12A,12Bのそれぞれのピストン122に送られる。ピストン122は、作動油が供給されることによりクラッチ8に押圧力を付与する。
ECU10は、前輪204L,204Rの平均回転速度と後輪205L,205Rの平均回転速度との差である前後輪回転速度差や、運転者のアクセルペダルの操作による加速操作量等に基づいて、補助駆動輪である後輪205L,205Rに伝達すべき駆動力としての指令トルクを演算し、この指令トルクに応じた電流を制御バルブ143A,143Bに供給する。
ピストン122は、送られた作動油に応じた押圧力を押圧部材123に付与し、インナクラッチプレート80とアウタクラッチプレート81とを摩擦係合させる。これにより、エンジン202からの駆動力がプロペラシャフト2、歯車機構11、及び第1及び第2のインナシャフト121A,121Bを介してアクスルシャフト213L,213Rに伝達される。一方、アキュムレータ145には、ポンプ141からの作動油の圧送によって、作動油の圧力に応じた所定量の作動油が貯留される。
また、ノズル130hからは制御バルブ143Cのバルブ開度に応じた適量の潤滑油が歯車機構11に供給され、この潤滑油によって入力軸111のドライブピニオン111aと出力軸112のリングギヤ112aとの噛み合い部が潤滑される。また、例えば車両の停止時のように歯車機構11に潤滑油を供給する必要がない場合、ECU10は制御バルブ143Cを閉状態とし、ノズル130hからの潤滑油の供給を遮断する。
ここで、ECU10の故障等によってモータ140が駆動できなかった場合、常開型の制御バルブ143Cも通電されなくなり、制御バルブ143Cが開状態となる。また、制御バルブ143A,143Bは閉状態となる。そして、アキュムレータ145に貯留されていた作動油が管路15e及び開状態になった制御バルブ143Cを介してノズル130hから歯車機構11に供給される。これにより、歯車機構11における入力軸111のドライブピニオン111aと出力軸112のリングギヤ112aとの噛み合い部が潤滑される。また、アキュムレータ145に貯留されたすべての作動油が排出された後は、オイルパン130iに貯留される作動油の油面がレベルLとなり、リングギヤ112aの回転により作動油が巻き上げられ、ドライブピニオン111aにも作動油が供給される。
(第1の実施の形態の効果)
本実施の形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)作動油をオイルパン130iとアキュムレータ145に分散して貯留しているので、オイルパン130iに貯留される油量を少なくすることができ、これにより車両の走行時における歯車機構11のリングギヤ112aの引き摺りトルク(撹拌抵抗)を低減することができる。
(2)ECU10の故障等によりモータ140が回転しなくても、アキュムレータ145に貯留されている作動油を潤滑油として歯車機構11に供給し、歯車機構11の潤滑及び冷却を行うことができる。
(3)油圧ユニット14は、歯車機構11の潤滑機能とクラッチ8の押圧機能を兼ね備えているので、低コスト化を図ることができる。
(4)アキュムレータ145の前段部(上流側)にはオリフィス144Aが配置され、アキュムレータ145の後段部(下流側)に制御バルブ143Cが配置されているので、アキュムレータ145の圧力の要求性能を低くすることができる。すなわち、アキュムレータ145として小型軽量かつ低コストなものを用いることができる。
(第1の実施の形態の変形例1)
図5は、第1の実施の形態の変形例1に係る油圧ユニットを含む油圧回路を示す。上記第1の実施の形態では、アキュムレータ145を制御バルブ143A,143Bとは別系統の管路15eにおけるオリフィス144Aの後段部に設けたが、本変形例は、アキュムレータ145を制御バルブ143A,143Bの上流側の管路15aにおけるオリフィス144Aの前段に設けたものである。
本変形例によっても、ECU10の故障時に、アキュムレータ145に貯留された作動油(潤滑油)が歯車機構11に供給され、入力軸111のドライブピニオン111aと出力軸112のリングギヤ112aとの噛み合い部における焼き付き等の発生を回避することが可能となる。また、ノズル130hから吐出するオイルの勢いをオリフィス144Aで弱めることができる。また、ポンプ141の脈動をアキュムレータ145で抑制して駆動力調整機構12A,12Bに作動油を供給することが可能となる。またさらに、モータ140の始動時等においてポンプ141の吐出量が十分でない場合でも、アキュムレータ145から所定の圧力の作動油が供給されるので、駆動力調整機構12A,12Bの応答性を高めることができる。
(第1の実施の形態の変形例2)
図6は、第1の実施の形態の変形例2に係る油圧ユニットを含む油圧回路を示す。第1の実施の形態及びその変形例1では、ノズル130hに至る管路15eに制御バルブ143Cを設けたが、本変形例2は、制御バルブ143Cを省略し、さらに管路の構成等を変更したものである。
すなわち、本変形例2に係る油圧ユニット14は、オイルパン130iに貯留された作動油を、モータ140の駆動によって作動するポンプ141によって圧送する管路15aを有し、この管路15aが駆動力調整機構12Bに至る管路15c、及び駆動力調整機構12Aに至る管路15dに分岐する。また、本変形例2に係る油圧ユニット14は、管路15aに設けられた逆止弁142及びアキュムレータ145と、管路15c,15dにそれぞれ設けられた常閉型の制御バルブ143A,143Bと、駆動力調整機構12A,12Bから排出された作動油をノズル130h側に導く管路15i、15jと、管路15i,15jにそれぞれ設けられたオリフィス144B,144Cと、管路15i,15jの合流地点からノズル130hに至る管路15hとを備える。
また、本変形例2に係る油圧ユニット14は、管路15aから分岐して管路15i、15jの合流地点に接続された管路15eを有し、管路15eにオリフィス144Dを備える。本変形例では、第1の実施の形態及びその変形例1と異なり、管路15eには制御バルブ143Cが設けられておらず、オリフィス144Dを通過した作動油はそのまま(制御バルブを介することなく)、ノズル130hから吐出される。
なお、本変形例2のケース13は、ピストン122に供給した作動油をオイルパン130iに直接戻さず、収容部130dから管路15i,15jに供給する図略の流路が形成されているものとする。
(本変形例2に係る油圧ユニット14の動作)
駆動力配分装置1の電気系統が正常な場合には、第1の実施の形態と同様に、ECU10によって制御バルブ143A,143Bが動作し、制御バルブ143A,143Bに対する開閉制御に応じて管路15c,15dを介して駆動力調整機構12A,12Bのそれぞれのピストン122に作動油が送られる。駆動力調整機構12A,12Bから排出された作動油は、管路15i,15j,15hを介してノズル130hに導かれ、ノズル130hから吐出されて歯車機構11を潤滑する。
一方、ECU10の故障等によってモータ140が駆動できず、ポンプ141が作動しくなった場合、常閉型の制御バルブ143A,143Bも通電されなくなり、閉状態となる。これにより、クラッチ8が開放状態となり、後輪205L,205Rへの駆動力伝達が遮断される。また、アキュムレータ145は、貯留されている作動油を潤滑油として管路15a、15e、15hを経由してノズル130hから歯車機構11に供給し、歯車機構11の潤滑及び冷却を行う。
(第1の実施の形態の変形例2の効果)
本変形例2によれば、第1の実施の形態について説明した(1)〜(3)の効果と同様の効果が得られる。また、ポンプ141から圧送される作動油は、アキュムレータ145でその脈動が抑制されて駆動力調整機構12A,12Bに供給されるので、駆動力調整機構12A,12Bによって伝達される駆動力を精度よく調整することができ、駆動力調整機構12A,12Bの応答性を高めることも可能となる。また、2つの制御バルブ143A,143Bによって油圧ユニット14を構成することができるので、第1の実施の形態に係る油圧ユニット14に比較して制御バルブの数を削減することが可能となる。またさらに、ポンプ141が作動しないときでも、アキュムレータ145は、蓄圧していた作動油を歯車機構11に管路15eを介して供給するので、歯車機構11の潤滑及び冷却が行われる。なお、アキュムレータ145から供給される作動油によってオイルパン130iの油面がレベルLとなると、リングギヤ112aの回転により作動油が巻き上げられ、歯車機構11の潤滑及び冷却が継続して行われる。
[第2の実施の形態]
図7は、本発明の第2の実施の形態に係る駆動力配分装置が適用された四輪駆動車の概略の構成を示す。第1の実施の形態では、プロペラシャフト2から後輪205L,205Rに駆動力を伝達する伝達系として、歯車機構11及び一対の駆動力調整機構12A,12Bを用いたが、本実施の形態に係る駆動力伝達系201は、ドライブピニオン70及びリングギヤ71からなる歯車機構7、リヤディファレンシャル207、及び1つの駆動力調整機構12を用いて構成されている。駆動力調整機構12は、駆動力調整機構12A,12Bと同様の構成を有している。
リヤディファレンシャル207は、サイドギヤ214L,214R、一対のピニオンギヤ215、ギヤ支持部材216及びリヤデフケース217を有し、プロペラシャフト2と駆動力調整機構12との間に配置されている。サイドギヤ214Lは、駆動力調整機構12を介して後輪側のアクスルシャフト213Lに断続可能に連結される、サイドギヤ214Rは、後輪側のアクスルシャフト213Rに相対回転不能に連結される。一対のピニオンギヤ215は、サイドギヤ214L,214Rにギヤ軸を直交させて噛合する。ギヤ支持部材216は、一対のピニオンギヤ215を回転可能に支持する。リヤデフケース217は、ギヤ支持部材216,一対のピニオンギヤ215及びサイドギヤ214L,214Rを収容する。また、本実施の形態のケース13は、歯車機構7、リヤディファレンシャル207、及び駆動力調整機構12を収容する。
駆動力調整機構12は、サイドギヤ214Lと後輪側のアクスルシャフト213Lとを断続可能に連結する。すなわち、後輪側のアクスルシャフト213Lとプロペラシャフト2とは駆動力調整機構12を介在させて連結されている。駆動力調整機構12による駆動力伝達が遮断されると、サイドギヤ214Lからアクスルシャフト213Lに駆動力が伝達されず、このため一対のピニオンギヤ215が空転し、アクスルシャフト231Rにも駆動力が伝達されなくなる。また、駆動力調整機構12のクラッチ8(図2A,図3参照)のインナクラッチプレート80とアウタクラッチプレート81とが摩擦係合すると、サイドギヤ214Lからアクスルシャフト213Lに駆動力が伝達されると共に、サイドギヤ214Rからアクスルシャフト213Rにも駆動力が伝達される。
図8は、第2の実施の形態に係る油圧ユニットを含む油圧回路を示す。なお、同図はケース13等の図示を省略している。第1の実施の形態では、常閉型の制御バルブ143A,143Bと常開型の制御バルブ143Cを用いたが、本実施の形態では、常閉型の制御バルブ143Aと、常開型の制御バルブ143Cを用いて油圧ユニット14が構成されている。
すなわち、本実施の形態の油圧ユニット14は、オイルパン130iに貯留された作動油を、モータ140の駆動によって作動するポンプ141によって圧送する管路15aを有し、この管路15aから一方に分岐して駆動力調整機構12に至る管路15bと、管路15aから他方に分岐してノズル130hに至る管路15eとを有する。また、油圧ユニット14は、管路15aに設けられた逆止弁142ならびにアキュムレータ145と、管路15bに設けられた制御バルブ143Aと、管路15eに設けられたオリフィス144A及び制御バルブ143Cと、駆動力調整機構12からオイルパン130i側に戻る管路15fと、管路15fに設けられたオリフィス144Bとを備える。
(第2の実施の形態に係る油圧ユニット14の動作)
モータ140の駆動によってポンプ141が作動すると、オイルパン130iに貯留されていた作動油が管路15a,15bを介して制御バルブ143Aに圧送され、また管路15a,15eを介して制御バルブ143Cに圧送される。制御バルブ143Aに圧送された作動油は、制御バルブ143Aに対する開閉制御に応じて管路15bを介して駆動力調整機構12のピストン122(図2A,図3参照)に送られる。
ピストン122は、送られた作動油に応じた押圧力を押圧部材123に付与し、インナクラッチプレート80とアウタクラッチプレート81とを摩擦係合させる。これにより、エンジン202からの駆動力がプロペラシャフト2、歯車機構7、及び第1及び第2のインナシャフト121A,121Bを介してアクスルシャフト213L,213Rに伝達される。一方、アキュムレータ145には、ポンプ141からの作動油の圧力に応じた所定量の作動油が貯留される。
ここで、ECU10の故障等によってモータ140が駆動できなかった場合、制御バルブ143A,143Cにも通電されず、常開型の制御バルブ143Cは開状態となり、常閉型の制御バルブ143Aは閉状態となる。そして、アキュムレータ145に貯留されていた作動油が、開状態になった制御バルブ143C、及び管路15eを介してノズル130hに供給される。ノズル130hは、供給された作動油を潤滑油として歯車機構7のドライブピニオン70及びリングギヤ71の噛み合い部に供給する。
(第2の実施の形態の効果)
第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態について説明した(1)〜(3)の効果と同様の効果が得られる。また、ポンプ141の脈動をアキュムレータ145で抑制して駆動力調整機構12A,12Bに作動油を供給することが可能となる。またさらに、1つの駆動力調整機構12によって駆動力配分装置1が構成されるので、低コスト化及び小型軽量化を図ることが可能となる。
(第2の実施の形態の変形例)
図9は、第2の実施の形態の変形例に係る油圧ユニットを含む油圧回路を示す。第2の実施の形態では、アキュムレータ145を管路15aにおける逆止弁142の後段部に設けたが、本変形例に係る油圧ユニット14は、アキュムレータ145を制御バルブ143Aとは別の管路15eにおけるオリフィス144Aの後段部に設け、このオリフィス144Aに並列に逆止弁146を設けたものである。
すなわち、本変形例の油圧ユニット14は、オイルパン130iに貯留された作動油を、モータ140の駆動によって作動するポンプ141によって圧送される管路15aを有し、この管路15aから一方に分岐して駆動力調整機構12に至る管路15bと、管路15aから他方に分岐してノズル130hに至る管路15eとを有し、さらに管路15aに設けられた逆止弁142と、管路15bに設けられた常閉型の制御バルブ143Aと、管路15eに設けられ、互いに並列して設けられたオリフィス144A及び逆止弁146と、同じく管路15eに設けられたアキュムレータ145及び常開型の制御バルブ143Cと、駆動力調整機構12からオイルパン130i側に戻る管路15fと、管路15fに設けられたオリフィス144Bとを備える。逆止弁146は、アキュムレータ145に貯留された作動油を、オリフィス144Aを介さずに駆動力調整機構12を制御する制御バルブ143Aに圧送する。
本変形例によれば、第1の実施の形態について説明した(1)〜(4)の効果と同様の効果が得られると共に、ポンプ141及びアキュムレータ145の双方から同時に、ピストン122に作動油を供給することができ、クラッチ8にすばやく押圧力を付与することができる。すなわち、駆動力伝達機構12の応答性を向上できるという効果が得られる。
[第3の実施の形態]
図10は、本発明の第3の実施の形態に係る駆動力配分装置が適用された四輪駆動車の概略の構成を示す。第2の実施の形態では、駆動力調整機構12をリヤディファレンシャル207とアクスルシャフト213Lとの間に設けたが、本実施の形態は、駆動力調整機構12をプロペラシャフト2上に設けたものである。
第3の実施の形態に係る油圧ユニット14としては、駆動力調整機構12の配置位置が異なるだけであるので、第2の実施の形態及びその変形例について、図8及び図9を参照して説明した構成のものを採用することができ、第2の実施の形態と同様の作用及び効果を奏する。
[第4の実施の形態]
図11は、本発明の第4の実施の形態に係る駆動力配分装置が適用された四輪駆動車の概略の構成を示す。第1の実施の形態では、2輪駆動のときは前輪駆動となる構成であったが、本実施の形態では、2輪駆動のときは後輪駆動となる構成としたものである。すなわち、第1の実施の形態では、前輪204L,204Rが主駆動輪であり、後輪205L,205Rが補助駆動輪であったが、本実施の形態では、前輪204L,204Rが補助駆動輪であり、後輪205L,205Rが主駆動輪である。
本実施の形態の四輪駆動車200は、駆動力伝達系201、駆動源としてのエンジン202、トランスミッション203、一対の前輪204L,204R、及び一対の後輪205L,205Rを備えている。
駆動力伝達系201は、四輪駆動車200におけるトランスミッション203側から前輪204L,204R及び後輪205L,205Rに至る駆動力伝達経路にフロントディファレンシャル206及びリヤディファレンシャル207と共に配置され、かつ、四輪駆動車200の車体(図示せず)に搭載されている。
また、駆動力伝達系201は、駆動力配分装置1及びプロペラシャフト2を有し、四輪駆動車200の四輪駆動状態を二輪駆動状態に、また二輪駆動状態を四輪駆動状態にそれぞれ切り替え可能に構成されている。
フロントディファレンシャル206は、第1の実施の形態と同様に、前輪側のアクスルシャフト208L,208R上に配置されている。
エンジン202は、トランスミッション203、プロペラシャフト2、及びリヤディファレンシャル207を介して後輪側のアクスルシャフト213L,213Rに駆動力を出力することにより後輪205L,205Rを駆動する。また、エンジン202は、トランスミッション203、駆動力配分装置1、及びフロントディファレンシャル206を介して前輪側のアクスルシャフト204L,204Rに駆動力を出力することにより前輪204L,204Rをそれぞれ駆動する。本実施の形態では、駆動力配分装置1が、プロペラシャフト2と同軸上に配置されている。
フロントディファレンシャル206には、互いに噛合するドライブピニオン60及びリングギヤ61からなる前輪側の歯車機構6を介して駆動力が伝達される。プロペラシャフト2の後輪側端部には、ドライブピニオン70及びリングギヤ71からなる歯車機構7が配置されている。
駆動力配分装置1は、プロペラシャフト2を介して伝達された駆動力をフロントディファレンシャル206に伝達するための歯車機構9と、歯車機構9によって伝達された駆動力を調整してアクスルシャフト208L,208Rに伝達する駆動力調整機構12と、駆動力調整機構12及び歯車機構9を収容するケース13と、ケース13に作動油を供給する油圧ユニット14とを有する。歯車機構9は、前輪側の歯車機構6のドライブピニオン60に連結された第1のギヤ90と、駆動力調整機構12のハウジング120に連結された第2のギヤ91とを備えている。第1及び第2のギヤ90,91は、例えば平歯車からなる。
駆動力調整機構12は、第1の実施の形態について説明した駆動力調整機構12A,12Bと大略同様に構成されているが、本実施の形態に係る駆動力調整機構12は、円筒状の第2のインナシャフト121Bが第1のインナシャフト121Aの中心部を挿通し、さらに第2のインナシャフト121Bをプロペラシャフト2が挿通している。第2のインナシャフト121Bとプロペラシャフト2とは、例えばスプライン嵌合により相対回転不能に連結されている。
図12は、第4の実施の形態に係る油圧ユニットを含む油圧回路を示す。本実施の形態に係る油圧ユニット14は、ケース13のオイルパン130iに収容された作動油をモータ140の駆動によって管路15aに圧送するポンプ141と、管路15aに設けられた逆止弁142及びアキュムレータ145と、管路15aから分岐した管路15bに設けられた常閉形の制御バルブ143Aと、管路15aから分岐してノズル130hに至る管路15eと、管路15eに設けられたオリフィス144A及び常開型の制御バルブ143Cとを備える。
管路15aから制御バルブ143Cを経てノズル130hに供給された潤滑油としての作動油は、歯車機構9に供給され、第1のギヤ90と第2のギヤ91の噛み合い部を潤滑する。
(第4の実施の形態に係る油圧ユニット14の動作)
モータ140の駆動によってポンプ141が作動すると、オイルパン130iに貯留されていた作動油が管路15a,15bを介して制御バルブ143Aに圧送される。制御バルブ143Aに圧送された作動油は、制御バルブ143Aに対する開閉制御に応じて管路15bを介して駆動力調整機構12のピストン122に送られる。ピストン122は、送られた作動油に応じた押圧力を押圧部材123に付与し、インナクラッチプレート80とアウタクラッチプレート81とを摩擦係合させる。これにより、エンジン202からの駆動力がプロペラシャフト2、歯車機構9、及びフロントディファレンシャル206を介してアクスルシャフト208L,208Rに伝達される。一方、アキュムレータ145には、ポンプ141からの作動油の圧送によって一定量の作動油が貯留している。
ここで、ECU10の故障等によってモータ140が駆動できなかった場合、常開型の制御バルブ143Cも通電されなくなり開状態となる。すると、アキュムレータ145に貯留されていた作動油が管路15e、及び開状態になった制御バルブ143Cを介してノズル130hに供給される。ノズル130hは、供給された作動油を潤滑油として歯車機構9に吐出する。
(第4の実施の形態の効果)
第4の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様に、正常時においてはポンプ141から圧送された作動油が制御バルブ143Aを介して駆動力調整機構12に供給され、駆動力配分機能を発揮することができる。駆動力配分装置1のECU10が故障した場合は、アキュムレータ145に蓄圧された作動油が開状態となった制御バルブ143C及びノズル130hを経て歯車機構9に供給され、歯車機構9の潤滑及び冷却を行うことができる。
以上、本発明の駆動力配分装置を上記実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能であり、例えば次に示すような変形も可能である。
(1)上記実施の形態では、回転部として歯車機構を潤滑する場合について説明したが、クラッチ、軸受、あるいはチェーン等の駆動力の伝達に伴って回転する回転部を潤滑するように構成してもよい。
(2)上記実施の形態では、電磁開閉弁として制御バルブを用いた場合について説明したが、電磁開閉弁としては、通電による磁力によって開弁状態と閉弁状態とを切り替え可能なものであれば、様々な構成のものを用いることができる。
(3)上記実施の形態では、第2の貯留部としてアキュムレータを用いた場合について説明したが、これに限らず、第2の貯留部として例えばリザーバタンクを適用することも可能である。
1…駆動力配分装置、2…プロペラシャフト、3…駆動力断続装置、6,7…歯車機構、8…クラッチ、9,11…歯車機構、10…ECU、12,12A,12B…駆動力調整機構、13…ケース、14…油圧ユニット、15a〜15j…管路、30,31…スプライン歯部、32…スリーブ、60…ドライブピニオン、61…リングギヤ、70…ドライブピニオン、71…リングギヤ、80…インナクラッチプレート、80a…ストレートスプライン嵌合部、80b…油孔、81…アウタクラッチプレート、81a…ストレートスプライン嵌合部、90…第1のギヤ、91…第2のギヤ、110…連結シャフト、111…入力軸、111a…ドライブピニオン、112…出力軸、112a…リングギヤ、113A〜113C…円すいころ軸受、120…ハウジング、120a…ストレートスプライン嵌合部、121A…第1のインナシャフト、121B…第2のインナシャフト、121a…ストレートスプライン嵌合部、121b…軸部、121c…円筒部、121d,121e…油流路、122…ピストン、123…押圧部材、123a…ストレートスプライン嵌合部、124A,124B…シール部材、125A,125B…玉軸受、126A,126B…針状ころ軸受、126C…針状ころ軸受、127…シール部材、130…センタケース、130a〜130c…保持部、130d…収容部、130e…作動用油流路、130f…潤滑用油流路、130g…排出用油流路、130h…ノズル、130i…オイルパン、131L,131R…サイドケース、131a…収容部、131b…保持部、140…モータ、141…ポンプ、141a…吸引口、142…逆止弁、143A〜143C…制御バルブ、144A〜144D…オリフィス、145…アキュムレータ、146…逆止弁、200…四輪駆動車、201…駆動力伝達系、202…エンジン、203…トランスミッション、204L,204R…前輪、205L,205R…後輪、206…フロントディファレンシャル、207…リヤディファレンシャル、208L,208R…アクスルシャフト、209L,209R…サイドギヤ、210…ピニオンギヤ、211…ギヤ支持部材、212…フロントデフケース、213L,213R…アクスルシャフト、214L,214R…サイドギヤ、215…ピニオンギヤ、216…ギヤ支持部材、217…リヤデフケース、L、L…レベル、O…回転軸線

Claims (4)

  1. 車両の駆動源からの駆動力によって回転する第1の回転部材と、
    前記第1の回転部材と同軸上で相対回転可能に配置された第2の回転部材と、
    軸方向の押圧力を受けて前記第1の回転部材と前記第2の回転部材との間で前記駆動力を伝達するクラッチと、
    作動油が供給されて前記クラッチに前記押圧力を付与するピストンと、
    電動機によって駆動され、前記ピストンに前記作動油を供給するポンプと、
    前記第1及び第2の回転部材、前記クラッチ、及び前記ピストンを収容するとともに、前記ポンプに供給する前記作動油を貯留する第1の貯留部を有するケースと、
    前記作動油を前記車両の走行に伴って回転する回転部に供給する吐出口と、
    前記ポンプと前記吐出口との間の管路に設けられ、前記作動油を蓄圧する第2の貯留部と、
    前記管路における前記第2の貯留部と前記吐出口との間に設けられた電磁開閉弁と、
    を備えた駆動力配分装置。
  2. 前記回転部は、歯車の噛み合いによって駆動力を伝達する歯車機構であり、
    前記第2の貯留部は、前記歯車機構よりも前記第1の貯留部の油面が低くなるように前記作動油を貯留することが可能な容量を有する、
    請求項1に記載の駆動力配分装置。
  3. 前記第2の貯留部は、前記ポンプが作動しないとき、蓄圧していた前記作動油を前記回転部に供給する請求項1又は2に記載の駆動力配分装置。
  4. 前記電磁開閉弁は、通電停止時に前記第2の貯留部に蓄圧された前記作動油を前記回転部に供給する常開型である、
    請求項1乃至3の何れか1項に記載の駆動力配分装置。
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