以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
〈第1の実施の形態〉
[第1の実施の形態に係る半導体装置の構造]
まず、第1の実施の形態に係る半導体装置の構造について説明する。図1は、第1の実施の形態に係る半導体装置を例示する断面図である。
図1を参照するに、半導体装置1は、基板10と、半導体素子20と、合金層30とを有する。
基板10は、基板本体11と、複数のパッド12とを有する。基板本体11の材料としては、例えば、シリコン、セラミックス、絶縁性樹脂等を用いることができる。基板本体11の厚さは、例えば、数mm程度とすることができる。基板本体11の上面や下面或いは基板本体11内には、配線層(図示せず)が形成されている。基板本体11の下面に外部接続端子が形成されてもよい。
パッド12は、基板本体11の上面に、例えば、縦横に配列されている。パッド12は、基板本体11に形成された配線層(図示せず)と電気的に接続されている。パッド12の平面形状は、例えば、直径が数10μm程度の円形状とすることができる。但し、パッド12の平面形状を楕円形状や矩形状、多角形状等としても構わない。パッド12のピッチは、例えば、50〜100μm程度とすることができる。
パッド12は、例えば、金属層12a及び金属層12bが積層された構造を有する。金属層12aの材料としては、例えば、チタン(Ti)等を用いることができる。金属層12aの厚さは、例えば、40〜60nm程度とすることができる。金属層12bの材料としては、例えば、パラジウム(Pd)等を用いることができる。金属層12bの厚さは、例えば、20〜40nm程度とすることができる。但し、パッド12は、必ずしも2層構造とする必要はなく、1層構造や3層以上の構造としてもよい。なお、パッド12は、本発明に係るパッド及び第2パッドの代表的な一例である。
半導体素子20は、半導体基板21と、複数のパッド22とを有する。半導体基板21は、例えば、シリコンやガリウム砒素等の半導体材料を主成分とする基板である。半導体基板21の厚さは、例えば、数10〜数100μm程度とすることができる。半導体基板21には、半導体集積回路(図示せず)が形成されている。
パッド22は、半導体基板21の回路形成面の基板10のパッド12と対向する位置に形成されている。パッド22は、半導体基板21に形成された半導体集積回路(図示せず)と電気的に接続されている。パッド22の平面形状は、例えば、直径が数10μm程度の円形状とすることができる。但し、パッド22の平面形状を楕円形状や矩形状、多角形状等としても構わない。パッド22のピッチは、例えば、50〜100μm程度とすることができる。パッド22の材料としては、例えば、アルミニウム(Al)や銅(Cu)等を用いることができる。パッド22の厚さは、例えば、50〜100nm程度とすることができる。パッド22は、複数層が積層された構造としてもよい。なお、パッド22は、本発明に係る第1パッドの代表的な一例である。
合金層30は、基板10のパッド12と半導体素子20のパッド22に挟持され、両者を接合(電気的に接続)している。合金層30の平面形状は、例えば、直径が数10μm程度の円形状とすることができる。但し、合金層30の平面形状を楕円形状や矩形状、多角形状等としても構わない。合金層30のピッチは、例えば、50〜100μm程度とすることができる。合金層30は、例えば、チタン(Ti)及び金(Au)を含有するアルミニウム・パラジウム合金(AlPd合金)の層とすることができる。合金層30の厚さは、例えば、数μm程度とすることができる。
[第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法]
次に、第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。図2〜図5は、第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を例示する図である。なお、本実施の形態では、シリコンウェハ等を用いて複数の半導体装置となる部分を作製後、個片化して各半導体装置とする工程の例を示すが、単品の半導体装置を作製する工程としてもよい。
まず、図2(a)に示す工程では、半導体基板21となる複数の領域にパッド22が形成された半導体ウェハ210を準備する。半導体ウェハ210としては、例えば、6インチ(約150mm)、8インチ(約200mm)、12インチ(約300mm)等のシリコンウェハを用いることができる。パッド22としては、例えば、アルミニウム(Al)や銅(Cu)等を用いることができる。パッド22は、例えば、縦横に配列されている。
シリコンウェハの厚さは、例えば、0.625mm(6インチの場合)、0.725mm(8インチの場合)、0.775mm(12インチの場合)等であるが、この工程又は後の工程で適宜薄型化することができる。なお、シリコンウェハに代えて、ガリウム砒素ウェハ等を用いても構わない。Cは、最終的に半導体ウェハ210を切断する位置(以降、切断位置Cとする)を示している。
次に、図2(b)に示す工程では、半導体ウェハ210の回路形成面上にパッド22を露出する開口部300xを備えたレジスト300を形成する。具体的には、まず、半導体ウェハ210の回路形成面上の全面にパッド22を被覆するレジスト300を形成する。レジスト300としては、例えば、感光性樹脂等を用いることができる。その後、レジスト300を露光及び現像してパッド22上のレジスト300を除去し、開口部300xを形成する。
次に、図2(c)に示す工程では、開口部300x内に露出したパッド22上、及び、レジスト300上に反応層31を形成する。なお、レジスト300の開口部300xの内壁面に反応層31が形成されてもよい。反応層31は、後工程でエネルギーを供給されることで発熱をともなう反応(発熱反応)を起こし合金化する層である。反応層31は、複数の金属層が積層された積層体が複数層積層されてなる層である、具体的には、図3(a)に示すように、反応層31は、第1金属層31a上に第2金属層31bが積層された積層体31cが複数層積層されてなる。
第1金属層31aの材料としては、例えば、アルミニウム(Al)を用いることができ、第2金属層31bの材料としては、例えば、パラジウム(Pd)を用いることができる。第1金属層31a及び第2金属層31bのそれぞれの厚さは、例えば、20〜60nm程度とすることができる。第1金属層31a及び第2金属層31bは、例えば、スパッタ法等により形成できる。
第1金属層31aを厚さ40nm程度のアルミニウム(Al)層とし、第2金属層31bを厚さ40nm程度のパラジウム(Pd)層とした場合には、積層体31cの積層数を25層程度(反応層31の総厚を2μm程度)とすることができる。これにより、反応層31を反応させた際に所定の発熱量(この場合には、1500℃程度)を得ることができる。
なお、第1金属層31a/第2金属層31bとして、アルミニウム(Al)/パラジウム(Pd)に代えて、アルミニウム(Al)/ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)/チタン(Ti)、ニッケル(Ni)/シリコン(Si)等を用いてもよい。これらの層は目的に応じて適宜選択できるが、少ない積層数で所定の発熱量を得られる点で、第1金属層31a/第2金属層31bをアルミニウム(Al)/パラジウム(Pd)とすることが好適である。
なお、第1金属層31a/第2金属層31bをパラジウム(Pd)/アルミニウム(Al)としても(積層する順番を変えても)同様の効果を奏する。すなわち、第1金属層31a及び第2金属層31bの何れか一方をアルミニウム、他方をパラジウムとすることが好適である。
次に、図3(b)に示す工程では、図2(c)に示すレジスト300を剥離する(リフトオフ法)。これにより、半導体ウェハ210に形成された複数のパッド22上に、反応層31が互いに電気的に独立した状態で形成される。例えば、パッド12が縦横に配列されていれば、反応層31も縦横に配列される。
次に、図3(c)に示す工程では、反応層31同士を電気的に接続する導電層であるシード層310を形成する。より詳しくは、パッド22の側面、反応層31の上面及び側面、半導体ウェハ210の回路形成面の全面(パッド22形成部を除く)を被覆するシード層310を形成する。シード層310としては、例えば、スパッタ法等によりチタン(Ti)層等を形成することができる。シード層310の厚さは、例えば、30nm程度とすることができる。シード層310として、チタン(Ti)層に代えて、銅(Cu)層やアルミニウム(Al)層等を用いても構わない。
次に、図4(a)に示す工程では、複数のパッド22と対応する位置に複数のパッド120が形成された基板110を準備する。そして、基板110を、パッド120とパッド22とがシード層310及び反応層31を介して接触するように、半導体ウェハ210と対向配置する。基板110の材料としては、例えば、シリコン、セラミックス、絶縁性樹脂等を用いることができる。基板110の厚さは、例えば、数mm程度とすることができる。
パッド120は、例えば、金属層12a、金属層12b、及び金属層12cが積層された構造を有する。金属層12aの材料としては、例えば、チタン(Ti)等を用いることができる。金属層12aの厚さは、例えば、40〜60nm程度とすることができる。金属層12bの材料としては、例えば、パラジウム(Pd)等を用いることができる。金属層12bの厚さは、例えば、20〜40nm程度とすることができる。金属層12cの材料としては、例えば、金(Au)等を用いることができる。金属層12cの厚さは、例えば、5〜20nm程度とすることができる。
次に、図4(b)に示す工程では、シード層310の例えば矢印の部分にエネルギーを供給する。エネルギーを供給する方法としては、例えば、電気パルスを印加してスパークさせる方法や、レーザ光を照射する方法等を用いることができる。シード層310にエネルギーを供給することにより、反応層31が発熱反応を起こし合金化し、図5(a)に示すように、合金層30が形成される。合金化する反応の際に、反応層31の近傍が局所的に1500℃程度に加熱される。
シード層310により電気的に接続された各反応層31は、連鎖的に反応し、全ての反応層31が合金層30となる。すなわち、シード層310にエネルギーを供給して1つの反応層31が発熱反応を起こし、エネルギーがシード層310を介して他の反応層31に伝搬して、他の反応層31が連鎖的に発熱反応を起こす。
なお、反応層31が合金化する際に、シード層310の一部(反応層31と金属層12cに挟まれていた部分)及び金属層12cが合金層30に取りこまれる。又、シード層310の他部が合金層30の周囲に残存する。これにより、パッド120は、金属層12a及び金属層12bが積層された構造のパッド12となる。又、例えば、反応層31がアルミニウム層とパラジウム層が積層された構造であり、シード層310がチタンであり、金属層12cが金である場合には、合金層30はチタン及び金を含有するアルミニウム・パラジウム合金(AlPd合金)の層となる。
次に、図5(b)に示す工程では、不要なシード層310(合金層30の周囲に残存するシード層310の他部)をエッチングして除去する。これにより、基板110のパッド12と半導体ウェハ210のパッド22が合金層30を介して接合(電気的に接続)された構造体が完成する。その後、図5(b)に示す構造体を切断位置Cで切断して個片化することにより、基板10のパッド12と半導体素子20のパッド22が合金層30を介して接合(電気的に接続)された半導体装置1(図1参照)が複数個作製される。
なお、図5(a)に示す工程の後、図5(a)に示す構造体を切断位置Cで切断して個片化し、個片化された構造体毎に不要なシード層310をエッチングして除去する工程としてもよい。このような工程にすると、エッチング液がシード層310の各部に到達し易く、シード層310を確実にエッチングできる点で好適である。
このように、第1の実施の形態では、接続したい複数の端子間(パッド間)に反応層31を互いに電気的に独立した状態で形成し、反応層31同士をシード層310で電気的に接続する。そして、シード層310にエネルギーを供給して、シード層310により電気的に接続された各反応層31を連鎖的に反応させ、各反応層31から合金層30を形成する。
これにより、複数の端子間(パッド間)を合金層30により略同時に接合することができる(端子間以外の部分は接合されない)。なお、従来の技術では、接合対象物とは別体に作られたフィルム状の反応性多層フォイルを用いるため、反応を起こしたい箇所(発熱させたい箇所)以外の箇所においても発熱反応が起こり、反応性多層フォイルから合金が形成される。従って、本実施の形態のように、複数の端子間(パッド間)を個別に(局所的に)、かつ、略同時に接続することはできなかった。
又、反応層31は、例えば、スパッタ法やリフトオフ法等を組み合わせて形成できるため、複数の端子(パッド)が狭ピッチ化した場合でも各端子(パッド)上に精度良く形成できる。又、発熱反応は反応層31の部分のみで起こるので、フィルム状の反応性多層フォイルを用いる場合に比べて、半導体素子20等に与える熱的な影響を大幅に低減できる。又、各端子(パッド)間が高融点の合金層30で接合されるため、例えば、はんだ等の低融点の金属等で接合された場合に比べて、接続信頼性(エレクトロマイグレーション耐性や機械的強度等)を向上できる。
又、フィルム状の反応性多層フォイルは、2種類の異なる金属層の積層体が数千層程度積層されているため(必要以上に積層されているため)高価であると共に、発熱量の制御が困難である。一方、本実施の形態では、必要な発熱量が得られるように、2種類の異なる金属層を必要な厚さで必要な層数のみ積層できるので、製造コストを低減できると共に、発熱量の制御が容易である。特に、2種類の異なる金属層として40nm程度の厚さのアルミニウム層とパラジウム層のペアを用いる場合には、25層程度の少ない積層数で所定の発熱量を得られるので、製造コストの低減に大きく貢献できる。
なお、半導体基板21の代わりに樹脂基板やセラミックス基板等を用いても、上記で説明した方法により、基板10のパッド12と樹脂基板やセラミックス基板等のパッドとを合金層30により接合できる。
〈第1の実施の形態の変形例〉
第1の実施の形態の変形例では、第1の実施の形態の図3(c)に示す工程において、シード層310とは形態の異なるシード層を形成する例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
図6は、第1の実施の形態の変形例に係るシード層を例示する平面図である。なお、図6において、便宜上、シード層320及び330を梨地模様で示している。
図6(a)は第1の例であり、図6(b)は第2の例である。図6(a)に示す第1の例では、導電層であるシード層320が反応層31上で交差するように格子状に形成されている。言い換えれば、半導体ウェハ210上に、交点の位置で各反応層31と電気的に接続されるように、格子状のシード層320が形成されている。つまり、第1の実施の形態の図3(c)に示す工程では、半導体ウェハ210の回路形成面上の全面を被覆するシード層310を形成したが、図6(a)のように、半導体ウェハ210の回路形成面上を部分的に被覆するシード層320を形成してもよい。但し、シード層320は必ず反応層31と導通するように形成する必要がある。
このように、半導体ウェハ210の回路形成面上を部分的に被覆するシード層320を形成することにより、シード層320を細く形成できるため、シード層320の電流密度を向上できる。その結果、シード層320に供給したエネルギーにより反応層31が反応を起こしやすくなるという効果を奏する。
なお、図6(b)に示す第2の例のように、反応層31上を通る部分が他の部分よりも細く形成されたシード層330を用いると、反応層31上を通る部分のシード層330の電流密度をいっそう向上できる。その結果、シード層330に供給したエネルギーにより反応層31がいっそう反応を起こしやすくなるという効果を奏する。
〈第2の実施の形態〉
第2の実施の形態では、半導体基板の所定領域を反応層を用いて局所的に加熱(アニール)する半導体装置の製造方法の例を示す。なお、第2の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
[第2の実施の形態に係る半導体装置の構造]
まず、第2の実施の形態に係る半導体装置の構造について説明する。図7は、第2の実施の形態に係る半導体装置を例示する断面図である。
図7を参照するに、半導体装置2は、半導体基板41と、不純物ドープ領域42と、絶縁膜43と、絶縁膜44と、貫通電極46と、合金層47と、配線層48と、配線層49と、シード層360と、シード層370とを有する。
半導体基板41の一方の側には、複数の不純物ドープ領域42が形成されている。半導体基板41は、例えば、シリコンである。不純物ドープ領域42は、例えば、半導体基板41にリン(n型ドーパント)やホウ素(p型ドーパント)等の不純物が添加された領域である。半導体基板41には、貫通孔41xが設けられている。半導体基板41の一方の面には絶縁膜43が形成されている。半導体基板41の他方の面及び貫通孔41xの内壁面には絶縁膜44が形成されている。内壁面に絶縁膜44が形成された貫通孔41x内には貫通電極46が形成されている。
貫通電極46の上端面は絶縁膜43から露出し、貫通電極46の下端面は絶縁膜44から露出している。貫通電極46の上端面には、シード層360及び配線層48が積層されている。貫通電極46の下端面には、シード層370及び配線層49が積層されている。絶縁膜43には、不純物ドープ領域42を露出する開口部43xが形成されている。合金層47は、絶縁膜43上に形成され、開口部43xを介して不純物ドープ領域42と電気的に接続されている。合金層47上には、配線層48が積層されている。
合金層47は、例えば、チタン(Ti)を含有するアルミニウム・パラジウム合金(AlPd合金)の層とすることができる。合金層47の厚さは、例えば、数μm程度とすることができる。配線層48は、例えば、金属層48a(例えば、銅等)、金属層48b(例えば、ニッケル等)、及び金属層48c(例えば、金等)を合金層47上又はシード層360上に順次積層した構造とすることができる。配線層49は、例えば、金属層49a(例えば、銅等)、金属層49b(例えば、ニッケル等)、及び金属層49c(例えば、金等)をシード層370上に順次積層した構造とすることができる。
[第2の実施の形態に係る半導体装置の製造方法]
次に、第2の実施の形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。図8〜図11は、第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を例示する図である。なお、本実施の形態では、シリコンウェハ等を用いて複数の半導体装置となる部分を作製後、個片化して各半導体装置とする工程の例を示すが、単品の半導体装置を作製する工程としてもよい。
まず、図8(a)に示す工程では、半導体基板41となる複数の領域を備えた半導体ウェハ410を準備し、半導体基板41となる各領域の一方の側に複数の不純物ドープ領域42(活性層)を形成する。そして、半導体ウェハ410の回路形成面上に絶縁膜43を形成する。
半導体ウェハ410としては、例えば、第1の実施の形態の半導体ウェハ210と同様のものを用いることができる。絶縁膜43としては、例えば、シリコン窒化膜(SiN膜)等を用いることができる。不純物ドープ領域42は、例えば、イオン注入法等によりリン(n型ドーパント)やホウ素(p型ドーパント)等の不純物を添加することにより形成できる。絶縁膜43は、例えば、スパッタ法等により形成できる。絶縁膜43の厚さは、例えば、1μm程度とすることができる。Cは、最終的に半導体ウェハ410を切断する位置(以降、切断位置Cとする)を示している。
次に、図8(b)に示す工程では、半導体ウェハ410に貫通孔41xを形成する。貫通孔41xは、例えば、RIE(Reactive Ion Etching)等により形成できる。貫通孔41xの平面形状は、例えば、直径が数10μm程度の円形状とすることができる。貫通孔41xのピッチは、例えば、50〜100μm程度とすることができる。
次に、図8(c)に示す工程では、貫通孔41xの内壁面及び半導体ウェハ410の裏面(回路形成面とは反対側の面)に絶縁膜44を形成する。絶縁膜44としては、例えば、熱酸化膜(SiO2膜)等を用いることができる。絶縁膜44は、半導体ウェハ410の表面近傍の温度を例えば1100℃程度とするウェット熱酸化法により熱酸化することで形成できる。絶縁膜44の厚さは、例えば、1μm程度とすることができる。
次に、図9(a)に示す工程では、絶縁膜43上に、不純物ドープ領域42を被覆する絶縁膜43の一部を露出する開口部340xを備えたレジスト340を形成する。具体的には、まず、絶縁膜43上の全面に感光性樹脂等からなるレジスト340を形成する。その後、レジスト340を露光及び現像して不純物ドープ領域42を被覆する絶縁膜43の一部を被覆するレジスト340を除去し、開口部340xを形成する。その後、レジスト340をマスクとして開口部340x内に露出する絶縁膜43をエッチングにより除去し、絶縁膜43に開口部43xを形成する。開口部43x内には、不純物ドープ領域42の一部が露出する。その後、レジスト340を除去する。
次に、図9(b)に示す工程では、絶縁膜43上に、開口部43x及びその周辺部の絶縁膜43を露出する開口部350xを備えたレジスト350を形成する。具体的には、まず、絶縁膜43上の全面に感光性樹脂等からなるレジスト350を形成する。その後、レジスト350を露光及び現像して開口部43x及びその周辺部の絶縁膜43を被覆するレジスト350を除去し、開口部350xを形成する。
次に、図9(c)に示す工程では、開口部43x内に露出した不純物ドープ領域42上、開口部350x内に露出した絶縁膜43上、及び、レジスト350上に反応層45を形成する。なお、レジスト350の開口部350xの内壁面に反応層45が形成されてもよい。反応層45の構造は、例えば、図3(a)に示した反応層31の構造と同様とすることができる。
次に、図10(a)に示す工程では、図9(c)に示すレジスト350を剥離する(リフトオフ法)。これにより、半導体ウェハ410の一方の側に形成された複数の不純物ドープ領域42上に、反応層45が互いに電気的に独立した状態で形成される。より詳しくは、開口部43x内に露出した不純物ドープ領域42上から開口部43xの周囲の絶縁膜43上に延在する反応層45が形成される。なお、反応層45は、不純物ドープ領域42と電気的に接続されている。
次に、図10(b)に示す工程では、貫通孔41x内に貫通電極46を形成する。貫通電極46は、例えば、貫通孔41x内に銅ペーストを充填することで形成できる。貫通電極46を無電解めっき法や電解めっき法等により形成してもよい。
次に、図10(c)に示す工程では、反応層45同士を電気的に接続する導電層であるシード層360を形成する。より詳しくは、反応層45の上面及び側面、貫通電極46の上端面、反応層45に被覆されていない絶縁膜43の上面を被覆するシード層360を形成する。又、貫通電極46の下端面、絶縁膜44の下面を被覆するシード層370を形成する。シード層360及び370の材料や形成方法等は、例えば、シード層310と同様とすることができる。
次に、図11(a)に示す工程では、反応層45の上面を被覆するシード層360上、及び、貫通電極46の上端面を被覆するシード層360上に配線層48を形成する。又、貫通電極46の下端面を被覆するシード層370上に配線層49を形成する。配線層48は、例えば、金属層48a(例えば、銅等)、金属層48b(例えば、ニッケル等)、及び金属層48c(例えば、金等)をシード層360上に順次積層した構造とすることができる。配線層49は、例えば、金属層49a(例えば、銅等)、金属層49b(例えば、ニッケル等)、及び金属層49c(例えば、金等)をシード層370上に順次積層した構造とすることができる。配線層48及び49は、例えば、セミアディティブ法により形成できる。この際、シード層360及び370は、電解めっきを行う際の給電層として使用できる。
配線層48及び49を形成後、シード層360の例えば矢印の部分に図4(b)に示す工程と同様にしてエネルギーを供給する。シード層360にエネルギーを供給することにより、反応層45が発熱反応を起こし合金化し、図11(b)に示すように、合金層47が形成される。合金化する反応の際に、反応層45の近傍が局所的に1500℃程度に加熱される。
シード層360により電気的に接続された各反応層45は、連鎖的に反応し、全ての反応層45が合金層47となる。すなわち、シード層360にエネルギーを供給して1つの反応層45が発熱反応を起こし、エネルギーがシード層360を介して他の反応層45に伝搬して、他の反応層45が連鎖的に発熱反応を起こす。反応層45が合金化の際に発生する熱により、複数の不純物ドープ領域42は略同時にアニールされて活性化される。
なお、反応層45が合金化する際に、シード層360の一部(反応層45と金属層48aに挟まれていた部分)が合金層47に取りこまれる。又、シード層360の他部が合金層47の周囲に残存する。例えば、反応層45がアルミニウム(Al)層とパラジウム(Pd)層が積層された構造であり、シード層360がチタン(Ti)である場合には、合金層47はチタン(Ti)を含有するアルミニウム・パラジウム合金(AlPd合金)の層となる。
次に、図11(c)に示す工程では、不要なシード層360及び370をエッチングして除去する。なお、配線層48に被覆された部分のシード層360、及び配線層49に被覆された部分のシード層370はエッチングされないため残存する。その後、図11(c)に示す構造体を切断位置Cで切断して個片化することにより、半導体装置2(図7参照)が複数個作製される。
なお、図11(b)に示す工程の後、図11(b)に示す構造体を切断位置Cで切断して個片化し、個片化された構造体毎に不要なシード層360及び370をエッチングして除去する工程としてもよい。
このように、第2の実施の形態では、複数の不純物ドープ領域42に反応層45を互いに電気的に独立した状態で形成し、反応層45同士をシード層360で電気的に接続する。そして、シード層360にエネルギーを供給して、シード層360により電気的に接続された各反応層45を連鎖的に反応させ、各反応層45から合金層47を形成する。このとき、反応層45が合金化の際に発生する熱により、複数の不純物ドープ領域42を略同時にアニールして活性化することができる。
なお、従来のアニールでは、例えば、ヒータを用いて対象物(半導体装置等)全体を加熱していた(ヒータアニール)。又、フラッシュランプを用いて対象物(半導体装置等)全体を加熱していた(フラッシュランプアニール)。又、対象物(半導体装置等)のアニールしたい箇所にレーザ光を照射して局所的に加熱していた(レーザアニール)。
ヒータアニールやフラッシュランプアニールでは、対象物(半導体装置等)全体を加熱するため、貫通電極や配線等の半導体基板等と熱膨張係数が異なる材料が形成されている場合は、熱膨張係数差により電極抜けや配線剥がれが発生する。又、レーザアニールは、局部的な加熱が可能ではあるが、高価な設備を必要とすること、及び対象箇所を個別に加熱するため時間がかかるという問題点があった。又、これら何れの方法についても、アニールによる活性化処理の後に貫通電極や配線を形成する場合は、活性化処理により形成された金属層の酸化膜除去が必要であったり、密着性が低下するといった不具合が生じるおそれがあった。
一方、本実施の形態では、反応層45を形成した箇所のみ局所的に加熱できるため、従来のヒータアニールやフラッシュランプアニールのように、貫通電極や配線等に不具合が生じない。又、複数の不純物ドープ領域42を略同時に反応させることにより、従来のレーザアニールに比べて活性化処理の高速化が可能となる。又、反応層45の反応により、不純物ドープ領域42に電気的に接続される合金層47が形成されるが、合金層47は耐熱性及びピール強度に優れているという特徴を有する。
〈第2の実施の形態の変形例〉
第2の実施の形態の変形例では、半導体基板の一方の側及び他方の側に不純物ドープ領域を形成した半導体装置にアニールを行う例を示す。なお、第2の実施の形態の変形例において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
図12は、第2の実施の形態の変形例に係る半導体装置を例示する断面図である。図12を参照するに、半導体装置3は、半導体基板41の他方の側に、不純物ドープ領域52及び合金層57が形成された点が第2の実施の形態に係る半導体装置2(図7参照)と相違する。なお、不純物ドープ領域52は、本発明に係る第2不純物ドープ領域の代表的な一例である。
絶縁膜44には、不純物ドープ領域52を露出する開口部44xが形成されている。合金層57は、絶縁膜44上に形成され、開口部44xを介して不純物ドープ領域52と電気的に接続されている。合金層57上には、配線層49が積層されている。不純物ドープ領域52及び合金層57の材料等は、例えば、不純物ドープ領域42及び合金層47の材料等と同様とすることができる。
半導体基板41の他方の側に不純物ドープ領域52が形成されている場合には、半導体基板41の他方の側もアニールを行い活性化する必要がある。半導体基板41の他方の側をアニールするには、第2の実施の形態と同様な工程により、半導体ウェハ410の他方の側に形成された複数の不純物ドープ領域52上に、反応層55を互いに電気的に独立した状態で形成する。より詳しくは、開口部44x内に露出した不純物ドープ領域52上から開口部44xの周囲の絶縁膜44上に延在する反応層55を形成する。なお、反応層55は、不純物ドープ領域52と電気的に接続される。
そして、反応層55同士を電気的に接続する第2導電層であるシード層370を形成する。より詳しくは、反応層55の下面及び側面、貫通電極46の下端面、反応層55に被覆されていない絶縁膜44の下面を被覆するシード層370を形成する。なお、反応層55は、本発明に係る第2反応層の代表的な一例である。
次に、図13に示すように、反応層45の上面を被覆するシード層360上、及び、貫通電極46の上端面を被覆するシード層360上に配線層48を形成する。又、反応層55の下面を被覆するシード層370上、及び、貫通電極46の下端面を被覆するシード層370上に配線層49を形成する。そして、シード層360及び370に図4(b)に示す工程と同様にしてエネルギーを供給する。反応層45が合金化の際に発生する熱により、複数の不純物ドープ領域42は略同時にアニールされて活性化される。又、反応層55が合金化の際に発生する熱により、複数の不純物ドープ領域52は略同時にアニールされて活性化される。更に、図11(c)と同様な工程を実行後、個片化することにより、半導体装置3(図12参照)が複数個作製される。
このように、半導体基板の両側に不純物ドープ領域を形成した半導体装置にアニールを行う場合にも、第2の実施の形態と同様の効果を奏する。
〈第3の実施の形態〉
第3の実施の形態では、基板と半導体装置の接続とアニールを略同時に行う例を示す。なお、第3の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
図14は、第3の実施の形態に係る半導体装置を例示する断面図である。図14を参照するに、半導体装置4は、基板10と、半導体装置2Aとを有し、基板10のパッド12と半導体装置2Aの合金層47は接合されている。半導体装置2Aは、合金層47上に配線層48が形成されていない点を除き図7に示す半導体装置2と同様の構造である。
図15及び図16は、第3の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を例示する図である。なお、本実施の形態では、シリコンウェハ等を用いて複数の半導体装置となる部分を作製後、個片化して各半導体装置とする工程の例を示すが、単品の半導体装置を作製する工程としてもよい。
まず、図15(a)に示す工程では、図8(a)〜図11(a)と同様な工程により、図11(a)と同様な構造体を作製する。但し、反応層45の上面を被覆するシード層360上には配線層48を形成しない。そして、図4(a)と同様な工程により、複数の反応層45と対応する位置に複数のパッド120が形成された基板110を、反応層45とパッド120とが導電層であるシード層360を介して接触するように、半導体ウェハ410と対向配置する。
次に、図15(b)に示す工程では、シード層360に図4(b)に示す工程と同様にしてエネルギーを供給する。シード層360にエネルギーを供給することにより、反応層45が発熱反応を起こし合金化し、図16(a)に示すように、合金層47が形成される。合金化する反応の際に、反応層45の近傍が局所的に1500℃程度に加熱される。
シード層360により電気的に接続された各反応層45は、連鎖的に反応し、全ての反応層45が合金層47となる。すなわち、シード層360にエネルギーを供給して1つの反応層45が発熱反応を起こし、エネルギーがシード層360を介して他の反応層45に伝搬して、他の反応層45が連鎖的に発熱反応を起こす。反応層45が合金化の際に発生する熱により、複数の不純物ドープ領域42は略同時にアニールされて活性化される。
なお、反応層45が合金化する際に、シード層360の一部(反応層45と金属層12cに挟まれていた部分)及び金属層12cが合金層47に取りこまれる。又、シード層360の他部が合金層47の周囲に残存する。これにより、パッド120は、金属層12a及び金属層12bが積層された構造のパッド12となる。又、例えば、反応層45がアルミニウム層とパラジウム層が積層された構造であり、シード層360がチタンであり、金属層12cが金である場合には、合金層47はチタン及び金を含有するアルミニウム・パラジウム合金の層となる。
このように、シード層360にエネルギーを供給して反応層45を合金化して合金層47を形成し、合金層47を介して複数の不純物ドープ領域42と複数のパッド12とを接合すると共に、複数の不純物ドープ領域42を活性化させることができる。
次に、図16(b)に示す工程では、不要なシード層360及び370をエッチングして除去する。これにより、基板110のパッド12と半導体ウェハ410の合金層47が接合された構造体が完成する。その後、図16(b)に示す構造体を切断位置Cで切断して個片化することにより、基板10のパッド12と半導体装置2Aの合金層47が接合された半導体装置4(図14参照)が複数個作製される。
なお、図16(a)に示す工程の後、図16(a)に示す構造体を切断位置Cで切断して個片化し、個片化された構造体毎に不要なシード層360及び370をエッチングして除去する工程としてもよい。このような工程にすると、エッチング液がシード層360及び370の各部に到達し易く、シード層360及び370を確実にエッチングできる点で好適である。
このように、第3の実施の形態では、第1及び第2の実施の形態における効果に加えて、更に以下の効果を奏する。すなわち、各不純物ドープ領域42をアニールして活性化すると略同時に、各不純物ドープ領域42と各パッド12とを合金層47により接合することができる。
以上、好ましい実施の形態及びその変形例について詳説したが、上述した実施の形態及びその変形例に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態及びその変形例に種々の変形及び置換を加えることができる。
例えば、シード層は基板側に形成してもよい。例えば、図4(a)に示すシード層310をパッド120を被覆するように基板110上に形成してもよい。この場合にも、図4(b)に示す工程で、シード層310が各反応層31と接するため、反応層31同士がシード層310により電気的に接続される。その後、シード層310にエネルギーを供給することにより、シード層310により電気的に接続された各反応層31が連鎖的に反応し、全ての反応層31が合金層30となる。
又、接続したい複数の端子間(パッド間)が狭ピッチでない場合には、フィルム状の反応性多層フォイルを入手し、入手したフィルム状の反応性多層フォイルを端子(パッド)の形状に加工し、各端子上に載置してもよい。例えば、パッド22間が狭ピッチでない場合には、図2(b)〜図3(b)に示す工程に代えて、入手した反応性多層フォイルを打ち抜き加工等によりパッド22の形状に加工し、各パッド22上に載置する工程としてもよい。或いは、入手したフィルム状の反応性多層フォイルを各パッド22上を含む半導体ウェハ210の回路形成面上に配置し、各パッド22上に配置した部分以外をエッチング等で除去する工程としてもよい。何れの場合も、図3(c)以降の工程は前述の通りとすることができる。