JP6111113B2 - 回転速度検出装置付車輪用軸受装置 - Google Patents

回転速度検出装置付車輪用軸受装置 Download PDF

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Description

本発明は、自動車等の車輪を懸架装置に対して回転自在に支承する車輪用軸受装置、特に、車輪の回転速度を検出する回転速度検出装置が内蔵された回転速度検出装置付車輪用軸受装置に関するものである。
自動車の車輪を懸架装置に対して回転自在に支承すると共に、アンチロックブレーキシステム(ABS)を制御し、車輪の回転速度を検出する回転速度検出装置が内蔵された回転速度検出装置付車輪用軸受装置として、従来から種々の構造のものが知られている。この従来構造の一例として、図13に示すものが知られている。
この回転速度検出装置付車輪用軸受装置は、外周に懸架装置(図示せず)に取り付けられるための車体取付フランジ50bを一体に有し、内周に複列の外側転走面50a、50aが形成され、固定側部材となる外方部材50と、外周に複列の外側転走面50a、50aに対向する内側転走面51a、52aがそれぞれ形成され、回転側部材となる内方部材53と、両転走面50a、51aおよび50a、52a間に保持器54、54を介して転動自在に収容された複列のボール55、55と、外方部材50と内方部材53との間に形成される環状空間の開口部に装着されたシール56、57とを備えている。
内方部材53は、一端部に車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付フランジ58を一体に有し、外周に内側転走面51aと、この内側転走面51aから軸方向に延びる小径段部51bが形成されたハブ輪51と、このハブ輪51の小径段部51bに圧入され、外周に内側転走面52aが形成された内輪52とからなる。そして、内輪52の外径に固定され、円周方向に亙る特性を交互に、かつ等間隔に変化させた円環状のエンコーダ59と、外方部材50の内端開口部に固定された鋼板製のカバー60と、このカバー60に装着され、エンコーダ59と対向するセンサ(図示せず)が保持されたホルダ61とを備えている。
カバー60は、外方部材50の内端部に圧入された円筒部64と、この円筒部64の底部をなす底板部65とからなる有底円筒状に形成されている。そして、円筒部64の一部を径方向外方に重合して形成された鍔部66を外方部材50の端面に突き当てて、カバー60の軸方向の位置決めを図っている。
カバー60の底板部65には、図14に示すように、挿入孔67と貫通孔68が形成され、挿入孔67には、ホルダ61のうち、その先端部にセンサを保持した挿入部69が挿入されている。また、ホルダ61には取付孔70が形成された取付フランジ71が設けられ、貫通孔68部分で、取付孔70を挿通したボルト72を螺合させるためのナット73が底板部65の一部を塑性変形させることにより固定することで、溶接することなく低コストに固定する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2005−249180号公報
このような従来のカバー60では、ナット73をカバー60に圧入時に、貫通孔68部分で底板部65の一部を塑性変形させることにより固定されているため、カバー60の変形を防止し、回転速度検出を正確に行なえる構造を低コストで実現することができる特徴を備えている。然しながら、図15(a)に示すように、ナット73の突出部73aを貫通孔68の軸方向外方側開口に対向させた状態から、底板部65の軸方向外側面に、プレス加工機等により強く押し付け、その結果、突出部73aが、この底板部65の一部で貫通孔68の内周面部分を塑性変形させながらこの貫通孔68内に、(b)に示すように、この底板部65の軸方向外側面とナット73の本体部分の軸方向内端面とが当接するまで押し込まれ、突出部73aの先は半部が貫通孔68の内周面部分に食い込む。したがって、底板部65の貫通孔68の内周面あるいはその周囲をカバー60に圧入時に塑性変形させているため、センサを保持するホルダ61の取付面にバリや金属粉が発生し、ホルダ61の固定不具合を誘発する恐れがある。そのため、発生したバリや金属粉を取り除く除去工程が必要となる。これでは、製造工程が煩雑になり、作業工数が嵩んで製造コストが高騰するという課題があった。
また、カバー60の底板部65を塑性変形させてナット73を固定しているため、ナット73にボルト72を螺合させて締結する際に、ボルト72を傾けたり衝撃を加えて押し付けたりするとナット73の固着力が低下し、ナット73がボルト72と一緒に共回りして着脱作業が難しくなるだけでなく、車両走行中に振動等によってナット73が緩み、さらには、ナット73がカバー60から外れる恐れがある。
本発明は、このような従来の問題を鑑みてなされたもので、センサキャップの変形や回転速度センサの固定不具合を防止して検出精度を確保すると共に、ナットのセンサキャップへの固着力を高めて信頼性を向上させた回転速度検出装置付車輪用軸受装置を提供することを目的としている。
係る目的を達成すべく、本発明のうち請求項に記載の発明は、外周に車体に取り付けられるための車体取付フランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、この内方部材と前記外方部材の両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の転動体と、前記内輪に装着された磁気エンコーダと、この磁気エンコーダに所定の軸方向エアギャップを介して対峙する回転速度センサと、前記外方部材のインナー側の端部に嵌着され、前記回転速度センサが支持固定されるカップ状のセンサキャップと、を備え、このセンサキャップに形成された穿孔に前記回転速度センサを取り付けるナットが固定された回転速度検出装置付車輪用軸受装置において、前記固定ナットが大径部を備え、前記大径部の端面が前記センサキャップの底部のアウター側の側面に密着され、前記固定ナットの端部内径に面取り部が形成されると共に、前記センサキャップの穿孔に前記底部のアウター側の側面に突出する環状の係止部が形成され、この係止部に前記面取り部が嵌挿されて前記固定ナットと穿孔が芯合せされた状態でスポット溶接され、当該固定ナットが前記センサキャップの底部に一体に固定されている。
このように、内輪に装着された磁気エンコーダと、この磁気エンコーダに所定の軸方向エアギャップを介して対峙する回転速度センサと、外方部材のインナー側の端部に嵌着され、回転速度センサが支持固定されるカップ状のセンサキャップと、を備え、このセンサキャップに形成された穿孔に回転速度センサを取り付けるナットが固定された回転速度検出装置付車輪用軸受装置において、固定ナットが大径部を備え、大径部の端面がセンサキャップの底部のアウター側の側面に密着され、固定ナットの端部内径に面取り部が形成されると共に、センサキャップの穿孔に底部のアウター側の側面に突出する環状の係止部が形成され、この係止部に面取り部が嵌挿されて固定ナットと穿孔が芯合せされた状態でスポット溶接され、当該固定ナットがセンサキャップの底部に一体に固定されているので、熱影響を最小限に抑えてセンサキャップの変形や回転速度センサの固定不具合を防止して検出精度を確保すると共に、固定ナットのセンサキャップへの固着力を高めて信頼性を向上させた回転速度検出装置付車輪用軸受装置を提供することができる。
また、請求項に記載の発明のように、前記固定ナットの大径部の端部に小径円筒部が突設され、この小径円筒部が前記センサキャップの穿孔に嵌挿されていれば、センサキャップの穿孔と固定ナットとの芯ズレを防止することができる。
また、請求項に記載の発明のように、前記センサキャップの穿孔の近傍に少なくとも2個の舌片が対向配置され、前記固定ナットの大径部の平坦面に係合されていれば、僅かな塑性変形量で簡単な成形により固定ナットの強固な回り止めを行うことができ、センサキャップの変形を防止することができると共に、所望のボルト締結トルクを確保することができる。
また、請求項に記載の発明のように、前記センサキャップが鋼板から形成され、前記固定ナットを含む外表面にカチオン電着塗装からなる防錆皮膜が形成されていれば、外方部材への圧入時に防錆皮膜が容易に剥がれ落ちることなく、嵌合面の微小な凹凸を埋めて滑らかな表面を維持できると共に、センサキャップの嵌合部が長期間に亘って発錆するのを防止することができ、外方部材の嵌合部との間で良好な気密性が得られる。
また、請求項に記載の発明のように、前記センサキャップのアウター側に内側キャップが嵌着されと共に、この内側キャップが非磁性のオーステナイト系ステンレス鋼板からカップ状に形成され、前記外方部材のインナー側の端部内周に圧入される円筒状の嵌合部と、この嵌合部から径方向内方に延び、前記パルサリングに僅かな軸方向すきまを介して対峙する円板部とを備え、この円板部に前記回転速度センサが衝合または近接され、当該内側キャップを介して前記磁気エンコーダに対向配置されていれば、所望のエアギャップが得られ、煩雑なエアギャップ調整を省いて組立作業性の向上が図れると共に、回転速度センサの感知性能に悪影響を及ぼさず、軸受空間の密封性の向上を図ることができる。
発明に係る回転速度検出装置付車輪用軸受装置は、外周に車体に取り付けられるための車体取付フランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、この内方部材と前記外方部材の両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の転動体と、前記内輪に装着された磁気エンコーダと、この磁気エンコーダに所定の軸方向エアギャップを介して対峙する回転速度センサと、前記外方部材のインナー側の端部に嵌着され、前記回転速度センサが支持固定されるカップ状のセンサキャップと、を備え、このセンサキャップに形成された穿孔に前記回転速度センサを取り付けるナットが固定された回転速度検出装置付車輪用軸受装置において、前記固定ナットが大径部を備え、前記大径部の端面が前記センサキャップの底部のアウター側の側面に密着され、前記固定ナットの端部内径に面取り部が形成されると共に、前記センサキャップの穿孔に前記底部のアウター側の側面に突出する環状の係止部が形成され、この係止部に前記面取り部が嵌挿されて前記固定ナットと穿孔が芯合せされた状態でスポット溶接され、当該固定ナットが前記センサキャップの底部に一体に固定されているので、熱影響を最小限に抑えてセンサキャップの変形や回転速度センサの固定不具合を防止して検出精度を確保すると共に、固定ナットのセンサキャップへの固着力を高めて信頼性を向上させた回転速度検出装置付車輪用軸受装置を提供することができる。
本発明に係る回転速度検出装置付車輪用軸受装置の第1の実施形態を示す縦断面図である。 図1のシール部を示す要部拡大図である。 図1の検出部を示す要部拡大図である。 (a)〜(c)は、図1の固定ナットの固定方法を示す説明図である。 (a)〜(c)は、図1の固定ナットの固定方法の変形例を示す説明図である。 (a)〜(c)は、図1の固定ナットの他の固定方法を示す説明図である。 (a)〜(c)は、図6の固定ナットの固定方法の変形例を示す説明図である。 本発明に係る固定ナットの回り止め機構を示し、(a)は、固定ナットの嵌挿工程を示す説明図、(b)は、固定ナットの固定後を示す説明図である。 図8の固定ナットの回り止め機構の変形例を示し、(a)は、固定ナットの嵌挿工程を示す説明図、(b)は、固定ナットの固定後を示す説明図である。 図1のセンサキャップのドレーン部を示す要部拡大図である。 本発明に係る回転速度検出装置付車輪用軸受装置の第2の実施形態を示す縦断面である。 図11の検出部を示す要部拡大図である。 従来の車輪用軸受装置を示す縦断面図である。 図13のナットの固定部を示す要部拡大図である。 (a)、(b)はナットの固定方法を示す説明図である。
外周に車体に取り付けられるための車体取付フランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に前記複列の外側転走面の一方に対向する内側転走面と、この内側転走面から軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入され、外周に前記複列の外側転走面の他方に対向する内側転走面が形成された内輪からなる内方部材と、この内方部材と前記外方部材の両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の転動体と、前記外方部材と内方部材との間に形成される環状空間の両側開口部に装着されたシールと、これらのシールのうちインナー側のシールに一体に接合され、円周方向に特性を交互に、かつ等間隔に変化させた磁気エンコーダと、この磁気エンコーダに所定の軸方向エアギャップを介して対峙する回転速度センサと、前記外方部材のインナー側の端部に嵌着され、前記回転速度センサが支持固定されるカップ状のセンサキャップと、を備え、このセンサキャップが、前記底部に前記磁気エンコーダに対応する水平位置に前記回転速度センサが嵌挿される嵌挿孔と、この嵌挿孔の近傍に穿孔が形成されると共に、この穿孔に固定ナットが固定され、前記回転速度センサが、取付部材を介して前記固定ナットに取付ボルトを締結することによって固定される回転速度検出装置付車輪用軸受装置において、前記固定ナットが、外周に多角形状からなる大径部と、この大径部の端部に突設された小径円筒部を備え、前記大径部の端面が前記センサキャップの底部のアウター側の側面に密着する状態まで前記小径円筒部が前記穿孔に嵌挿され、前記小径円筒部の端部を塑性変形により拡径させて当該固定ナットが前記センサキャップの底部に一体に固定されると共に、前記センサキャップの穿孔の近傍に少なくとも2個の舌片が切り起こし加工によって対向配置され、前記固定ナットの大径部の平坦面に係合されている。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る回転速度検出装置付車輪用軸受装置の第1の実施形態を示す縦断面図、図2は、図1のシール部を示す要部拡大図、図3は、図1の検出部を示す要部拡大図、図4(a)〜(c)は、図1の固定ナットの固定方法を示す説明図、図5(a)〜(c)は、図1の固定ナットの固定方法の変形例を示す説明図、図6(a)〜(c)は、図1の固定ナットの他の固定方法を示す説明図、図7(a)〜(c)は、図6の固定ナットの固定方法の変形例を示す説明図、図8は、本発明に係る固定ナットの回り止め機構を示し、(a)は、固定ナットの嵌挿工程を示す説明図、(b)は、固定ナットの固定後を示す説明図、図9は、図8の固定ナットの回り止め機構の変形例を示し、(a)は、固定ナットの嵌挿工程を示す説明図、(b)は、固定ナットの固定後を示す説明図、図10は、図1のセンサキャップのドレーン部を示す要部拡大図である。なお、以下の説明では、車両に組み付けた状態で車両の外側寄りとなる側をアウター側(図1の左側)、中央寄り側をインナー側(図1の右側)という。
図1に示す車輪用軸受装置は従動輪側の第3世代と呼称され、内方部材1と外方部材2、および両部材1、2間に転動自在に収容された複列の転動体(ボール)3、3とを備えている。内方部材1は、ハブ輪4と、このハブ輪4に所定のシメシロを介して圧入された内輪5とからなる。
ハブ輪4は、アウター側の端部に車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付フランジ6を一体に有し、外周に一方(アウター側)の内側転走面4aと、この内側転走面4aから軸方向に延びる小径段部4bが形成されている。車輪取付フランジ6にはハブボルト6aが周方向等配に植設されている。
内輪5は、外周に他方(インナー側)の内側転走面5aが形成され、ハブ輪4の小径段部4bに圧入されて背面合せタイプの複列アンギュラ玉軸受を構成すると共に、小径段部4bの端部を塑性変形させて形成した加締部4cによって所定の軸受予圧が付与された状態で軸方向に固定されている。なお、内輪5および転動体3、3はSUJ2等の高炭素クロム鋼で形成され、ズブ焼入れによって芯部まで58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。
ハブ輪4はS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中高炭素鋼で形成され、内側転走面4aをはじめ、後述するシール8のシールランド部となる車輪取付フランジ6のインナー側の基部6bから小径段部4bに亙って高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。なお、加締部4cは鍛造加工後の表面硬さの生のままとされている。これにより、車輪取付フランジ6に負荷される回転曲げ荷重に対して充分な機械的強度を有し、内輪5の嵌合部となる小径段部4bの耐フレッティング性が向上すると共に、微小なクラック等の発生がなく加締部4cの塑性加工をスムーズに行うことができる。
外方部材2は、外周にナックルKに取り付けられるための車体取付フランジ2bを一体に有し、この車体取付フランジ2bのインナー側にナックルKに嵌合される円筒状のパイロット部2cが形成され、内周にハブ輪4の内側転走面4aに対向するアウター側の外側転走面2aと、内輪5の内側転走面5aに対向するインナー側の外側転走面2aが一体に形成されている。これら両転走面間に複列の転動体3、3が収容され、保持器7、7によって転動自在に保持されている。そして、外方部材2と内方部材1との間に形成される環状空間のアウター側の開口部にシール8、9が装着され、軸受内部に封入されたグリースの外部への漏洩と、外部から雨水やダスト等が軸受内部に侵入するのを防止している。なお、外方部材2のインナー側の開口部には後述するセンサキャップ18が装着されている。
外方部材2はS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中高炭素鋼で形成され、少なくとも複列の外側転走面2a、2aが高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。
アウター側のシール8は、図2に拡大して示すように、外方部材2のアウター側の端部内周に圧入された芯金10と、この芯金10に加硫接着によって一体に接合されたシール部材11とからなる一体型シールで構成されている。芯金10は、オーステナイト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS304系等)や冷間圧延鋼板(JIS規格のSPCC系等)等、防錆能を有する鋼板からプレス加工にて断面が略L字状に形成されている。
一方、シール部材11はNBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)等の合成ゴムからなり、径方向外方に傾斜して形成され、車輪取付フランジ6のインナー側の側面6cに所定の軸方向シメシロをもって摺接するサイドリップ11aと、断面が円弧状に形成された基部6bに所定の軸方向シメシロをもって摺接するダストリップ11bと、軸受内方側に傾斜して形成され、基部6bに所定の径方向シメシロを介して摺接するグリースリップ11cとを有している。そして、芯金10の外表面を覆うように、シール部材11が回り込んで接合され、所謂ハーフメタル構造をなしている。これにより、気密性を高めて軸受内部を保護することができる。
なお、シール部材11の材質としては、例示したNBR以外にも、例えば、耐熱性に優れたHNBR(水素化アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、EPDM(エチレンプロピレンゴム)等をはじめ、耐熱性、耐薬品性に優れたACM(ポリアクリルゴム)、FKM(フッ素ゴム)、あるいはシリコンゴム等を例示することができる。
インナー側のシール9は、図3に拡大して示すように、断面が略L字状に形成されて互いに対向配置された環状のシール板12とスリンガ13とからなる、所謂パックシールと呼称される複合型のシールを構成している。
環状のシール板12は、外方部材2のインナー側の端部内周に圧入された芯金14と、この芯金14に一体に加硫接着されたシール部材15とからなる。芯金14は、フェライト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS430系等)やオーステナイト系ステンレス鋼板、あるいは、防錆処理された冷間圧延鋼板からプレス加工にて断面が略L字状に形成され、外方部材2の端部内周に所定のシメシロを介して圧入される円筒状の嵌合部14aと、この嵌合部14aの端部から径方向内方に延びる内径部14bを有している。そして、芯金14の嵌合部14aの先端部が薄肉に形成されると共に、この先端部を覆うようにシール部材15が回り込んで接合されてハーフメタル構造をなしている。
一方、スリンガ13は、フェライト系ステンレス鋼板やオーステナイト系ステンレス鋼板、あるいは、防錆処理された冷間圧延鋼板からプレス加工にて断面が略L字状に形成され、内輪5の外径面5bに圧入される円筒部13aと、この円筒部13aから径方向外方に延びる立板部13bとからなる。なお、スリンガ13の立板部13bの外縁は、シール部材15と僅かな径方向すきまを介して対峙しラビリンスシール16を構成している。そして、スリンガ13の立板部13bのインナー側の側面に磁気エンコーダ17が加硫接着等で一体に接合されている。この磁気エンコーダ17は、ゴム等のエラストマにフェライト等の磁性体粉が混入され、周方向に交互に磁極N、Sが着磁されて車輪の回転速度検出用のロータリエンコーダを構成している。
シール部材15はNBR等の合成ゴムからなり、スリンガ13の立板部13bのアウター側の側面に所定の軸方向シメシロを介して摺接するサイドリップ15aと、このサイドリップ15aの内径側で二股状に形成され、スリンガ13の円筒部13aの外周面に所定の径方向シメシロを介して摺接するグリースリップ15cとダストリップ15bを有している。
なお、ここでは、転動体3、3にボールを使用した複列アンギュラ玉軸受で構成された車輪用軸受装置を例示したが、これに限らず、円錐ころを使用した複列円錐ころ軸受で構成されたものであっても良い。また、ハブ輪4の外周に直接内側転走面4aが形成された第3世代構造の車輪用軸受装置を例示したが、これに限らず、図示はしないが、ハブ輪の小径段部に一対の内輪が圧入固定された、所謂第2世代構造であっても良い。
ここで、外方部材2にセンサキャップ18が装着され、外方部材2のインナー側の開口部を閉塞している。このセンサキャップ18は防錆処理された冷間圧延鋼板からプレス加工によってカップ状に形成され、外方部材2のインナー側の端部内周に圧入される円筒状の嵌合部18aと、この嵌合部18aから径方向外方に重合して延び、外方部材2のインナー側の端面2dに密着する鍔部18bと、この鍔部18bから径方向内方に延び、外方部材2のインナー側の開口部を閉塞する底部18cとを備えている。
このセンサキャップ18の底部18cには磁気エンコーダ17に対応する水平位置に嵌挿孔19が形成され、この嵌挿孔19に回転速度センサ20が嵌挿される。本実施形態では、センサキャップ18が外方部材2の端面2dに密着する鍔部18bを備えているので、センサキャップ18の強度・剛性を高めて回転速度センサ20の位置決め精度を向上させることができると共に、嵌挿孔19が水平位置に形成され、この嵌挿孔19に回転速度センサ20が装着されているので、車輪からの横方向荷重により外方部材2と内方部材1が相対的に傾いた状態においても、回転速度センサ20と磁気エンコーダ17とのエアギャップ変動を抑制することができ、安定した検出精度を得ることができる。
回転速度センサ20は、ホール素子、磁気抵抗素子(MR素子)等、磁束の流れ方向に応じて特性を変化させる磁気検出素子およびこの磁気検出素子の出力波形を整える波形整形回路が組み込まれたIC等からなり、車輪の回転速度を検出してその回転数を制御する自動車のアンチロックブレーキシステムを構成している。
センサキャップ18には穿孔21が形成され、この穿孔21に固定ナット22が嵌挿されている。そして、センサキャップ18の嵌挿孔19に嵌挿された回転速度センサ20が、取付部材23を介してセンサキャップ18の底部18cに固定されている。ここでいう「嵌挿」とは、径方向すきまを持って挿入される状態と、軽圧入状態も含むものとする。なお、取付部材23は、取付ボルト24を固定ナット22に締結することによって固定される。
固定ナット22は、内周に雌ねじ22aが形成され、外周に多角形状(ここでは六角形状)からなる大径部22bと、この大径部22bの端部に突設された小径円筒部22cを備えている。そして、大径部22bがセンサキャップ18の底部18cのアウター側の側面に密着する状態まで固定ナット22の小径円筒部22cが穿孔21に嵌挿される。その後、小径円筒部22cの端部を塑性変形させることにより固定ナット22が底部18cに加締固定される。
次に、図4を用いて、固定ナット22の加締方法を説明する。
図4(a)に示すように、センサキャップ18の底部18cに形成される穿孔21の形状は、アウター側の側面に向って縮径するテーパ状に設定されている。一方、固定ナット22が台座25に回転不可に設置され、この固定ナット22の小径円筒部22cにセンサキャップ18の穿孔21が嵌挿される。
その後、図4(b)に示すように、先端が尖塔状に形成されたポンチ26を小径円筒部22cに嵌挿し、この小径円筒部22cを底部18cの側面からはみ出さないように塑性変形によって拡径させ、固定ナット22が底部18cに加締固定される(図4(c))。こうした全周で均一に塑性流動させる拡径加締を採用することにより、強固な固定が可能となると共に、センサキャップ18の変形や回転速度センサ20の固定不具合を防止して検出精度を確保すると共に、固定ナット22のセンサキャップ18への固着力を高めて信頼性を向上させた回転速度検出装置付車輪用軸受装置を提供することができる。
なお、固定ナット22の固定方法はこれに限らず、例えば、図5〜図7に示す方法も採用することができる。図5に示す方法は、前述した拡径加締方法で、図6および図7に示す方法は溶接による固定方法である。図5(a)に示すように、センサキャップ27の底部27aにアウター側に突出した円形の凹み部28がプレス加工によって形成され、この凹み部28に穿孔29が形状されている。一方、固定ナット22が台座25に回転不可に設置され、この固定ナット22の小径円筒部22cにセンサキャップ27の穿孔29が嵌挿される。
その後、図5(b)に示すように、先端が尖塔状に形成されたポンチ26を小径円筒部22cに嵌挿し、この小径円筒部22cを塑性変形によって拡径させ、固定ナット22が底部27aの凹み部28に加締固定される(図5(c))。こうした拡径加締を採用することにより、塑性変形した小径円筒部22cがこの凹み部28内に収容されて底部27aの側面からはみ出すのを防止することができ、センサキャップ27の変形や回転速度センサ20の固定不具合を防止して検出精度を確保することができる。
図6(a)に示すように、センサキャップ30の底部30aに穿孔31が形成され、台座25に設置された固定ナット22の小径円筒部22cにセンサキャップ30の穿孔31が嵌挿される。
その後、図6(b)に示すように、底部30aの近傍の複数箇所に電極32を押し付け、スポット溶接される(図6(c))。この電極32は、りん青銅板等の導電性金属からなり、底部30aに押し付けることにより、センサキャップ30の浮き上がりを防止している。こうした溶接を採用することにより、熱影響を最小限に抑えて強固な固定ができ、センサキャップ30の変形や回転速度センサ20の固定不具合を防止して検出精度を確保すると共に、固定ナット22のセンサキャップ30への固着力を高めて信頼性を向上させることができる。
図7(a)に示すように、センサキャップ33の底部33aに穿孔34が形成されるが、この穿孔34は底部33aのアウター側(図の下方側)の側面に突出する環状の係止部34aがバーリングによって形成されている。一方、台座25に設置される固定ナット35は、内周に雌ねじ35aが形成され、円筒部35bのインナー側(図の上方側)の内径端部に面取り部35cが形成されている。そして、この面取り部35cに穿孔34の係止部34aが嵌挿される。
その後、図7(b)に示すように、底部33aの近傍の複数箇所に電極32を押し付け、スポット溶接される(図7(c))。こうした溶接を採用することにより、センサキャップ33の変形や回転速度センサ20の固定不具合を防止して検出精度を確保すると共に、センサキャップ33の穿孔34と固定ナット35との芯ズレを防止し、固定ナット35のセンサキャップ33への固着力を高めて信頼性を向上させることができる。
次に、図8、図9を用いて本発明に係る固定ナットの回り止め機構について説明する。
図8(a)に示すように、センサキャップ18の底部18cに形成される穿孔21の近傍に複数の舌片36、ここでは、2つの舌片36、36が切り起こし加工によって対向配置されている。これらの舌片36、36は底部18cのアウター側の側面に突出して三角形状に形成されている。そして、図8(b)に示すように、固定ナット22の大径部22bの端面を底部18cに密着させ、大径部22bの平坦面が舌片36に係合される。このような回り止め機構を採用することにより、僅かな塑性変形量で簡単な成形により固定ナット22の強固な回り止めを行うことができ、センサキャップ18の変形を防止することができると共に、所望のボルト締結トルクを確保することができる。また、前述した固定ナット22の固着方法により、固定ナット22と穿孔21との芯ズレを防止することができるため、この舌片36を少なくとも2個で回り止めを効果的に行うことができるので、加工工数を低減させて低コスト化を図ることができる。
また、図9(a)に示すように、センサキャップ37の底部37aに形成される穿孔21の近傍に複数の舌片38を切り起こし加工によって対向配置しても良い。これらの舌片38、38は底部37aのアウター側の側面に突出して矩形状に形成されている。そして、図9(b)に示すように、固定ナット22の大径部22bの端面を底部37aに密着させ、大径部22bの平坦面が舌片38に係合される。なお、前述した固定ナットの固着方法のうちスポット溶接を行う場合(図6、図7)、このような回り止め機構を設けなくても良いが、溶接箇所やその大きさによってはこの種の回り止め機構を設けることにより、一段と耐久性が向上し、長期間に亘って信頼性を高めることができる。
さらに、前述したセンサキャップ18は、固定ナット22が接合された後にカチオン電着塗装によって、固定ナット22を含む外表面に防錆皮膜が形成されている。なお、カチオン電着塗装は、正電極に対して、製品側を負電極として通電するものであるが、負電極に対して、製品側を正電極として通電するアニオン型の電着塗装であっても良い。このアニオン型の電着塗装の場合、塗装色の安定性や焼付温度を低く設定できる特徴を備えているが、この種のセンサキャップ18においては、防錆力と密着力に優れた強力な塗装膜が形成できるエポキシ樹脂系等からなるカチオン電着塗装の方が好ましい。
本実施形態では、カチオン電着塗装の下地処理(前処理)としてリン酸亜鉛処理が施されている。このリン酸亜鉛処理により素材となる鋼材の表面が化学反応で粗面化されるため、塗料の食い付きが良くなって付着性が向上する。さらに、リン酸亜鉛処理の後にシーラー処理が施されていても良い。このシーラーは、一種の金属表面処理剤であり、例えば、30秒〜2分程度の短時間の浸漬、あるいは、スプレー処理を行うことにより、化成皮膜を形成することができる、所謂化成処理で、優れた塗膜密着性が確保できると共に、素材の保護皮膜が形成でき、強固な防錆機能と導電性を発揮することができる。換言すると、カチオン電着塗装の下地処理としてリン酸亜鉛処理が施されると共に、その上にシーラー処理が施されることによってリン酸亜鉛皮膜の微細な表面の平滑化により塗料電着時の空気の巻き込みを防止することができる。この空気の巻き込みがあると、塗膜にクレータ(凹凸等の不均一な表面)等の表面欠陥が生じることがあり好ましくない。
このように、本実施形態では、センサキャップ18にカチオン電着塗装からなる防錆皮膜が形成されると共に、カチオン電着塗装の下地処理としてリン酸亜鉛処理が施されているので、塗料の付着性が向上し、外方部材2への圧入時に防錆皮膜が容易に剥がれ落ちることなく、嵌合面の微小な凹凸を埋めて滑らかな表面を維持できると共に、センサキャップ18の円筒部18aが長期間に亘って発錆するのを防止することができ、外方部材2の嵌合面20bおよび端面2dとの間で良好な気密性が得られる。
また、本実施形態では、図10に示すように、センサキャップ18の底部18cの径方向外方側にドレーン39が形成されている。このドレーン39は、嵌合部18aと底部18bの路面に近い側の膨出部18dに形成されている。膨出部18dは、底部18cからインナー側に所定量だけ突出して形成されている。この膨出部18dは、ナックルKが外方部材2の端面2dと面一ではなく、インナー側に突出している場合に有効である。すなわち、センサキャップ18の膨出部18dにドレーン39を径方向に貫通して形成することにより、センサキャップ18内に外部から雨水等の異物が浸入したとしても、この膨出部18d部分に流動落下し、ナックルKに妨害されることなく容易に異物を外部に効果的に排出することができる。なお、ここで言う「略面一」とは、例えば、設計の狙い値であって実質的に段差がない状態、すなわち、加工誤差等によって生じる段差は当然許容されるべきものである。
図11は、本発明に係る回転速度検出装置付車輪用軸受装置の第2の実施形態を示す縦断面図、図12は、図11の検出部を示す要部拡大図である。なお、この第2の実施形態は、前述した第1の実施形態(図1)と基本的にはセンサキャップの軸受内方側に内側キャップが装着されている点が異なるだけで、その他同一部品同一部位あるいは同様の機能を有する部品や部位には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
この車輪用軸受装置は従動輪側の第3世代と呼称され、内方部材1と外方部材40、および両部材1、40間に転動自在に収容された複列の転動体3、3とを備えている。内方部材1は、ハブ輪4と、このハブ輪4に所定のシメシロを介して圧入された内輪5とからなる。
外方部材40は、外周にナックル(図示せず)に取り付けられるための車体取付フランジ2bを一体に有し、この車体取付フランジ2bのインナー側の端部外周に円筒状のパイロット部2cが形成され、内周にハブ輪4の内側転走面4aに対向するアウター側の外側転走面2aと、内輪5の内側転走面5aに対向するインナー側の外側転走面2aが一体に形成されている。そして、外方部材40と内方部材1との間に形成される環状空間のアウター側の開口部にシール8が装着されると共に、インナー側の開口部には後述する内側キャップ41が装着され、軸受内部に封入されたグリースの外部への漏洩と、外部から雨水やダスト等が軸受内部に侵入するのを防止している。
外方部材40はS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中高炭素鋼で形成され、少なくとも複列の外側転走面2a、2aが高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。
本実施形態では、内輪5の外径面5bにパルサリング42が圧入されている。このパルサリング42は、図12に拡大して示すように、円環状に形成された支持環43と、この支持環43に加硫接着等で一体に接合された磁気エンコーダ44とで構成されている。この磁気エンコーダ44は、ゴム等のエラストマにフェライト等の磁性体粉が混入され、周方向に交互に磁極N、Sが着磁されて車輪の回転速度検出用のロータリエンコーダを構成している。
支持環43は強磁性体の鋼板、例えば、フェライト系のステンレス鋼板や防錆処理された冷間圧延鋼板からプレス加工によって断面略L字状に形成され、内輪5の外径面5bに圧入される円筒部43aと、この円筒部43aから径方向外方に延びる立板部43bとを有している。そして、この立板部43bのインナー側の側面に磁気エンコーダ44が接合されている。
ここで、外方部材40に内側キャップ41が装着され、外方部材40のインナー側の開口部を閉塞している。この内側キャップ41は、軸受空間の密封性の向上を図ると共に、耐食性を有し、回転速度センサ20の感知性能に悪影響を及ぼさないように、非磁性体のオーステナイト系ステンレス鋼板からプレス加工によってカップ状に形成され、外方部材40のインナー側の端部内周に圧入される円筒状の嵌合部41aと、この嵌合部41aから縮径部41bを介して磁気エンコーダ44に僅かな軸方向すきまを介して対峙する円板部41cと、この円板部41cからアウター側に膨出する屈曲部41dを介して内方部材1のインナー側の端部を覆う底部41eを備えている。
内側キャップ41は、縮径部41bにNBR等の合成ゴムからなる弾性部材45が加硫接着によって一体に接合されている。この弾性部材45は、内側キャップ41の円板部41cの側面からインナー側に突出して回転速度センサ20に干渉しないように接合され、嵌合部41aの外径より径方向外方に突出する環状突起45aを備えている。そして、この環状突起45aが内側キャップ41の嵌合時に外方部材40の内側嵌合面20aに弾性変形して圧着され、嵌合部41aの気密性を高めている。
なお、内側キャップ41は、複列の外側転走面2a、2aと、センサキャップ18が圧入される嵌合面20bが総型砥石によって同時研削されている。これにより、各嵌合面20b、20aの真円度や同軸度等の精度が向上し、嵌合部の気密性が高くなると共に、同時研削によって加工工数を低減することができ、低コスト化を図ることができる。
回転速度センサ20は内側キャップ41の円板部41cに衝合または近接するまで挿入されているので、所望のエアギャップが得られ、煩雑なエアギャップ調整を省いて組立作業性の向上が図れると共に、内側キャップ41により軸受内部を密封することができ、密封性の向上を図った車輪用軸受装置を提供することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
本発明に係る車輪用軸受装置は、従動輪用で、転動体がボール、円錐ころ等、あらゆる構造の内輪回転タイプの車輪用軸受装置に適用することができる。
1 内方部材
2、40 外方部材
2a 外側転走面
2b 車体取付フランジ
2c パイロット部
2d 外方部材のインナー側の端面
3 転動体
4 ハブ輪
4a、5a 内側転走面
4b 小径段部
4c 加締部
5 内輪
5b 内輪の外径面
6 車輪取付フランジ
6a ハブボルト
6b 車輪取付フランジのインナー側の基部
6c 車輪取付フランジのインナー側の側面
7 保持器
8 アウター側のシール
9 インナー側のシール
10、14 芯金
11、15 シール部材
11a、15a サイドリップ
11b、15b ダストリップ
11c、15c グリースリップ
12 シール板
13 スリンガ
13a、18a、43a 円筒部
13b、43b 立板部
14a、41a 嵌合部
14b 内径部
16 ラビリンスシール
17、44 磁気エンコーダ
18、27、30、33、37 センサキャップ
18b 鍔部
18c、27a、30a、33a、37a、41e 底部
18d 膨出部
19 嵌挿孔
20 回転速度センサ
20a、20b 嵌合面
21、29、31、34 穿孔
22、35 固定ナット
22a、35a 雌ねじ
22b、35b 大径部
22c 小径円筒部
23 取付部材
24 取付ボルト
25 台座
26 ポンチ
28 凹み部
32 電極
34a 係止部
35c 面取り部
36、38 舌片
39 ドレーン
41 内側キャップ
41b 縮径部
41c 円板部
41d 屈曲部
42 パルサリング
43 支持環
45 弾性部材
45a 環状突起
50 外方部材
50a 外側転走面
50b 車体取付フランジ
51 ハブ輪
51a、52a 内側転走面
51b 小径段部
51c 加締部
52 内輪
53 内方部材
54 保持器
55 ボール
56、57 シール
58 車輪取付フランジ
59 エンコーダ
60 カバー
61 ホルダ
62 芯金
63 永久磁石
64 円筒部
65 底板部
66 鍔部
67 挿入孔
68 貫通孔
69 挿入部
70 取付孔
71 取付フランジ
72 ボルト
73 ナット
K ナックル

Claims (5)

  1. 外周に車体に取り付けられるための車体取付フランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、
    一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、
    この内方部材と前記外方部材の両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の転動体と、
    前記内輪に装着された磁気エンコーダと、
    この磁気エンコーダに所定の軸方向エアギャップを介して対峙する回転速度センサと、
    前記外方部材のインナー側の端部に嵌着され、前記回転速度センサが支持固定されるカップ状のセンサキャップと、を備え、
    このセンサキャップに形成された穿孔に前記回転速度センサを取り付けるナットが固定された回転速度検出装置付車輪用軸受装置において、
    前記固定ナットが大径部を備え、前記大径部の端面が前記センサキャップの底部のアウター側の側面に密着され、前記固定ナットの端部内径に面取り部が形成されると共に、前記センサキャップの穿孔に前記底部のアウター側の側面に突出する環状の係止部が形成され、この係止部に前記面取り部が嵌挿されて前記固定ナットと穿孔が芯合せされた状態でスポット溶接され、当該固定ナットが前記センサキャップの底部に一体に固定されていることを特徴とする回転速度検出装置付車輪用軸受装置。
  2. 前記固定ナットの大径部の端部に小径円筒部が突設され、この小径円筒部が前記センサキャップの穿孔に嵌挿されている請求項に記載の回転速度検出装置付車輪用軸受装置。
  3. 前記センサキャップの穿孔の近傍に少なくとも2個の舌片が対向配置され、前記固定ナットの大径部の平坦面に係合されている請求項1または2に記載の回転速度検出装置付車輪用軸受装置。
  4. 前記センサキャップが鋼板から形成され、前記固定ナットを含む外表面にカチオン電着塗装からなる防錆皮膜が形成されている請求項1乃至3いずれかに記載の回転速度検出装置付車輪用軸受装置。
  5. 前記センサキャップのアウター側に内側キャップが嵌着されと共に、この内側キャップが非磁性のオーステナイト系ステンレス鋼板からカップ状に形成され、前記外方部材のインナー側の端部内周に圧入される円筒状の嵌合部と、この嵌合部から径方向内方に延び、前記パルサリングに僅かな軸方向すきまを介して対峙する円板部とを備え、この円板部に前記回転速度センサが衝合または近接され、当該内側キャップを介して前記磁気エンコーダに対向配置されている請求項1乃至4いずれかに記載の回転速度検出装置付車輪用軸受装置。
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