JP6290543B2 - 車輪用軸受装置 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車等の車輪を懸架装置に対して回転自在に支承する車輪用軸受装置、特に、車輪の回転速度を検出する回転速度センサが装着される車輪用軸受装置に関するものである。
自動車の車輪を懸架装置に対して回転自在に支承すると共に、アンチロックブレーキシステム(ABS)を制御し、車輪の回転速度を検出する回転速度検出装置が内蔵された車輪用軸受装置が一般的に知られている。従来、このような車輪用軸受装置は、転動体を介して転接する内方部材および外方部材の間にシール装置が設けられ、円周方向に磁極を交互に並べてなる磁気エンコーダを前記シール装置に一体化させると共に、磁気エンコーダと、この磁気エンコーダに対面配置され、車輪の回転に伴う磁気エンコーダの磁極変化を検出する回転速度センサとで回転速度検出装置が構成されている。
前記回転速度センサは、懸架装置を構成するナックルに車輪用軸受装置が装着された後、当該ナックルに装着されているものが一般的である。しかし、この回転速度センサと磁気エンコーダとのエアギャップの調整作業の煩雑さを解消すると共に、よりコンパクト化を狙って、最近では回転速度センサをも装着される車輪用軸受装置が提案されている。
このような車輪用軸受装置の一例として図12に示すような構造が知られている。この車輪用軸受装置は、内方部材51と外方部材52、および両部材51、52間に転動自在に収容された複列のボール53a、53b列とを備えている。内方部材51は、ハブ輪54と、このハブ輪54に所定のシメシロを介して圧入された内輪55とからなる。
ハブ輪54は、一端部に車輪取付フランジ(56)を一体に有し、外周に一方の内側転走面54aと、この内側転走面54aから軸方向に延びる軸状部54dを介して小径段部54bが形成されている。
内輪55は、外周に他方の内側転走面55aが形成され、ハブ輪54の小径段部54bに圧入されると共に、小径段部54bの端部を塑性変形させて形成した加締部54cによって軸方向に固定されている。
外方部材52は、外周に車体取付フランジ52cを一体に有し、内周にハブ輪54の内側転走面54aに対向する外側転走面52aと、内輪55の内側転走面55aに対向する外側転走面52bが一体に形成されている。そして、外方部材52と内方部材51との間に形成される環状空間の開口部にシール57とセンサキャップ58が装着され、軸受内部に封入されたグリースの外部への漏洩と、外部から雨水やダスト等が軸受内部に侵入するのを防止している。
車輪取付フランジ56側のボール53a列のピッチ円直径PCDoが反車輪取付フランジ56側のボール53b列のピッチ円直径PCDiよりも大径に設定されると共に、ボール53a列のボール径doがボール53b列のボール径diよりも小径(do<di)に設定されている。また、このピッチ円直径PCDo、PCDiと転動体径do、diの違いにより、ボール53a列のボール数Zoがボール53b列のボール数Ziよりも多く設定されている(Zo>Zi)。これにより、反車輪取付フランジ56側に比べ車輪取付フランジ56側部分の軸受剛性を増大させることができ、軸受の長寿命化を図ることができる。
図13に示すように、内輪55の外周にはパルサリング59が圧入されている。このパルサリング59は、円環状に形成された支持環60と、この支持環60の側面に加硫接着等で一体に接合された磁気エンコーダ61とで構成されている。
センサキャップ58は外方部材52のインナー側の端部に内嵌固定され、外方部材52の開口部を閉塞している。このセンサキャップ58は、オーステナイト系ステンレス鋼板をプレス成形してカップ状に形成され、外方部材52の端部内周に圧入される円筒状の嵌合部58aと、この嵌合部58aから縮径部58bを介して径方向内方に延び、内方部材51の端部を覆う底部58cとを備えている。
ここで、縮径部58bの外周にはNBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)等の合成ゴムからなる弾性部材62が加硫接着によって一体に接合されている。この弾性部材62は、センサキャップ58の底部58cの側面から内方側に突出して回転速度センサ63に干渉しないように接合され、嵌合部58aの外径より径方向外方に突出する環状突起62aを備えている。そして、この環状突起62aがセンサキャップ58の嵌合時に外方部材52の端部内周に弾性変形して圧着され、嵌合部58aの気密性を高めている。
また、センサキャップ58の底部58cの径方向略中心部に円形凹所64が形成され、この円形凹所64にナット65が圧入固定されている。そして、図示しない取付フランジを介して固定ボルトをナット65の雌ねじ65aに締結することにより、回転速度センサ63がセンサキャップ58に固定される。これにより、固定ボルトの締結時に、センサキャップ58に片寄ったトルクが発生せず、スムーズに回転速度センサ63を固定することができる。
また、センサキャップ58の底部58cの径方向外方部の磁気エンコーダ61に対応する位置に回転速度センサ63が衝合または近接するまで対向配置されている。そして、底部58cを介して磁気エンコーダ61の磁束の変化を回転速度センサ63によって検出し、車輪の回転速度を検出する。これにより、所望のエアギャップが得られ、煩雑なエアギャップ調整を省いて組立作業性の向上を図ることができると共に、検出部がセンサキャップ58によって閉塞されているので、感知性能に影響を及ぼすことなく密封性を確保した回転速度検出装置付き車輪用軸受装置を提供することができる(例えば、特許文献1参照。)。
特開2011−196425号公報
このような従来の車輪用軸受装置では、外方部材52の端部に装着されるセンサキャップ58に弾性部材62が一体に接合され、この弾性部材62が嵌合部58aの外径より径方向外方に突出する環状突起62aを備えているので、センサキャップ58の嵌合時に外方部材52の端部内周に環状突起62aが弾性変形して圧着され、嵌合部58aの気密性を高めることができるという特徴を有している。
然しながら、センサキャップ58の縮径部58bの外周に弾性部材62が接合され、この縮径部58bと磁気エンコーダ61が接合された支持環60が軸方向の同位置にあるため、センサキャップ58と磁気エンコーダ61が干渉する恐れがある。換言すると、磁気エンコーダ61との干渉を回避するため、センサキャップ58の外径を大きくするか、あるいは支持環60の外径を小さくする必要があり、設計自由度が規制されるといった課題があった。
また、センサキャップ58が非磁性材であっても縮径部58bの曲げ加工によって組成が変化して磁性を帯びることがあり、縮径部58bと磁気エンコーダ61が接近していることにより検出精度が低下する恐れがあった。
本発明は、嵌合部の気密性を確保しつつ、検出精度の向上を図ると共に、設計自由度を高めて信頼性の向上を図った車輪用軸受装置を提供することを目的とする。
係る目的を達成すべく、本発明のうち請求項1に記載の発明は、外周に車体に取り付けられるための車体取付フランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪とからなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、前記外方部材と内方部材のそれぞれの転走面間に転動自在に収容された複列の転動体と、前記外方部材と内方部材との間に形成される環状空間の開口部のうちアウター側の開口部に装着されたシールと、インナー側の開口部に装着されたキャップと、前記内輪に外嵌されたパルサリングと、を備え、前記キャップの外周に合成ゴムからなる弾性部材が加硫接着により一体に接合された車輪用軸受装置において、前記パルサリングは、前記内輪に圧入される円筒部と、この円筒部のインナー側の端部から径方向外方に延びる立板部とを有する支持環と、前記立板部のインナー側の側面に接合された磁気エンコーダと、を備え、前記外方部材のインナー側の端部内周が、前記キャップが圧入される内側嵌合面と、この内側嵌合面から段部を介して当該内側嵌合面よりも小径に形成された円筒状の小径面で構成され、前記キャップにおいて、前記外方部材の端部内周面に圧入される嵌合部の先端部がアウター側に位置するように圧入されると共に、前記嵌合部の先端部に縮径部が形成され、この縮径部の外周面から先端部に回り込むように前記弾性部材が接合されると共に、前記弾性部材が前記外方部材に弾性変形して圧着され、当該弾性部材前記支持環の前記立板部よりもアウター側に位置し、前記磁気エンコーダに対して軸方向に離れた位置に配設されている。
このように、外方部材のインナー側の開口部に装着されたキャップと、内輪に外嵌されたパルサリングと、を備え、キャップの外周に合成ゴムからなる弾性部材が加硫接着により一体に接合された車輪用軸受装置において、パルサリングは、内輪に圧入される円筒部と、この円筒部のインナー側の端部から径方向外方に延びる立板部とを有する支持環と、立板部のインナー側の側面に接合された磁気エンコーダと、を備え、外方部材のインナー側の端部内周が、キャップが圧入される内側嵌合面と、この内側嵌合面から段部を介して当該内側嵌合面よりも小径に形成された円筒状の小径面で構成され、キャップにおいて、外方部材の端部内周面に圧入される嵌合部の先端部がアウター側に位置するように圧入されると共に、嵌合部の先端部に縮径部が形成され、この縮径部の外周面から先端部に回り込むように弾性部材が接合されると共に、弾性部材が外方部材に弾性変形して圧着され、当該弾性部材前記支持環の前記立板部よりもアウター側に位置し、前記磁気エンコーダに対して軸方向に離れた位置に配設されているので、キャップとパルサリングが干渉するのを防止することができ、検出精度の向上を図ると共に、設計自由度を高めて信頼性の向上を図った車輪用軸受装置を提供することができる。
好ましくは、請求項2に記載の発明のように、前記縮径部が前記嵌合部の先端部に傾斜部を介して形成され、これら傾斜部と縮径部の外周面からこの縮径部の先端部に回り込むように前記弾性部材が接合されていれば、キャップとパルサリングが干渉するのを防止することができ、従来のように両者の干渉を回避するためにキャップの外径を大きくしたり、あるいはパルサリングの外径を小さくしたりする必要がなくなり、設計自由度を高めることができると共に、キャップの縮径部の曲げ加工によって組成が変化して磁性を帯びることがあっても、縮径部とパルサリングが離反していることにより、例えば、パルサリングとして磁気エンコーダを採用した場合でも検出精度が低下するといった不具合を防止することができる。
また、請求項3に記載の発明のように、前記縮径部が前記嵌合部の先端部に垂直に曲げられた屈曲部を介して形成され、この屈曲部と縮径部の外周面からこの縮径部の先端部に回り込むように前記弾性部材が接合されていれば、キャップ自体の強度・剛性アップができると共に、軸方向のコンパクト化ができる。
また、請求項4に記載の発明のように、前記弾性部材に径方向外方に突出するテーパ面を有する環状突起が形成されると共に、前記外方部材の段部がテーパ状に形成され、この段部に当該環状突起が弾性変形して圧着されていれば、環状突起が外方部材の段部に楔状に食い込んで圧着され、嵌合部の気密性を一層高めることができる。
また、請求項5に記載の発明のように、前記弾性部材が前記外方部材の内側嵌合部と段部とで形成される環状空間を充足するように圧着されていれば、弾性部材の密着度が高まり、嵌合部の気密性を一層高めることができる。
また、請求項6に記載の発明のように、前記外方部材の段部が径方向内方に垂直に延びて形成され、この段部に前記弾性部材が弾性変形して圧着されていれば、弾性部材が外方部材の内周面に圧着されるのではなく、垂直に延びる段部と軸方向に突き合わされるので、キャップ嵌合時の弾性部材の損傷を防止することができ、嵌合部の気密性を高めると共に、信頼性を高めることができる。
また、請求項に記載の発明のように、前記内側嵌合面の内径の公差最大値が前記小径面の内径よりも大径になるように設定されていれば、キャップの嵌合時、小径面に対して弾性部材が圧入嵌合とならず、内側嵌合面と接触して部分的に潰れて損傷したり、逆に内側嵌合面にスリット状の圧入傷が付いたりするのを防止し、製品品質の信頼性を高めることができる。
また、請求項に記載の発明のように、前記キャップのインナー側にセンサキャップが装着され、このセンサキャップが鋼板からプレス加工によりカップ状に形成され、前記外方部材の端部に圧入される円筒状の嵌合部と、この嵌合部から前記外方部材のインナー側の端面に密着する鍔部と、この鍔部から前記外方部材のインナー側の開口部を閉塞する底部とを備え、この底部の前記パルサリングに対応する水平位置に嵌挿孔が形成され、この嵌挿孔に回転速度センサが装着されていれば、剛性を高めて回転速度センサの位置決め精度を向上させることができると共に、車輪からの横方向荷重により外方部材と内方部材が相対的に傾いた状態においても、回転速度センサとパルサリングとのエアギャップ変動を抑制することができ、安定した検出精度を得ることができる。
本発明に係る車輪用軸受装置は、外周に車体に取り付けられるための車体取付フランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪とからなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、前記外方部材と内方部材のそれぞれの転走面間に転動自在に収容された複列の転動体と、前記外方部材と内方部材との間に形成される環状空間の開口部のうちアウター側の開口部に装着されたシールと、インナー側の開口部に装着されたキャップと、前記内輪に外嵌されたパルサリングと、を備え、前記キャップの外周に合成ゴムからなる弾性部材が加硫接着により一体に接合された車輪用軸受装置において、前記パルサリングは、前記内輪に圧入される円筒部と、この円筒部のインナー側の端部から径方向外方に延びる立板部とを有する支持環と、前記立板部のインナー側の側面に接合された磁気エンコーダと、を備え、前記外方部材のインナー側の端部内周が、前記キャップが圧入される内側嵌合面と、この内側嵌合面から段部を介して当該内側嵌合面よりも小径に形成された円筒状の小径面で構成され、前記キャップにおいて、前記外方部材の端部内周面に圧入される嵌合部の先端部がアウター側に位置するように圧入されると共に、前記嵌合部の先端部に縮径部が形成され、この縮径部の外周面から先端部に回り込むように前記弾性部材が接合されると共に、前記弾性部材が前記外方部材に弾性変形して圧着され、当該弾性部材前記支持環の前記立板部よりもアウター側に位置し、前記磁気エンコーダに対して軸方向に離れた位置に配設されているので、キャップとパルサリングが干渉するのを防止することができ、検出精度の向上を図ると共に、設計自由度を高めて信頼性の向上を図った車輪用軸受装置を提供することができる。
本発明に係る車輪用軸受装置の実施形態を示す縦断面図である。 図1の検出部を示す要部拡大図である。 図1のドレーン部を示す要部拡大図である。 図1のキャップの嵌合部を示す要部拡大図である。 図4のキャップの嵌合部の参考例を示す要部拡大図である。 図4のキャップの嵌合部の変形例を示す要部拡大図である。 図4のキャップの変形例を示す要部拡大図である。 図6のキャップの変形例を示す要部拡大図である。 図7のキャップの嵌合部の変形例を示す要部拡大図である。 本発明に係る車輪用軸受装置の参考例を示す要部拡大図である。 図10のキャップの嵌合部の部分拡大図である。 従来の車輪用軸受装置を示す縦断面図である。 図12のセンサキャップの嵌合部を示す要部拡大図である。
外周に車体に取り付けられるための車体取付フランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に前記複列の外側転走面の一方に対向する内側転走面と、この内側転走面から軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入され、前記複列の外側転走面の他方に対向する内側転走面が形成された内輪からなる内方部材と、前記外方部材と内方部材のそれぞれの転走面間に転動自在に収容された複列の転動体と、前記外方部材と内方部材との間に形成される環状空間の開口部のうちアウター側の開口部に装着されシールと、インナー側の開口部に装着されたキャップと、前記内輪に外嵌された磁気エンコーダと、を備え、前記キャップが、鋼板からプレス加工によりカップ状に形成され、前記外方部材の端部内周面に圧入される円筒状の嵌合部と、この嵌合部の端部から径方向内方に延び、前記磁気エンコーダに僅かな軸方向すきまを介して対峙する円板部と、前記内方部材のインナー側の端部を覆う底部を備え、前記キャップの外周に合成ゴムからなる弾性部材が加硫接着により一体に接合された車輪用軸受装置において、前記外方部材のインナー側の端部内周が、前記キャップが圧入される内側嵌合面と、この内側嵌合面から段部を介して当該内側嵌合面よりも小径に形成された円筒状の小径面で構成されると共に、前記キャップが、その嵌合部の先端部がアウター側に位置するように圧入され、前記嵌合部の先端部に傾斜部を介して縮径部が形成され、これら傾斜部と縮径部の外周面からこの縮径部の先端部に回り込むように前記弾性部材が接合され、前記外方部材の小径面に弾性変形して圧着され、当該弾性部材と前記磁気エンコーダが軸方向に離反した位置に配設されている。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る車輪用軸受装置の実施形態を示す縦断面図、図2は、図1の検出部を示す要部拡大図、図3は、図1のドレーン部を示す要部拡大図、図4は、図1のキャップの嵌合部を示す要部拡大図、図5は、図4のキャップの嵌合部の参考例を示す要部拡大図、図6は、図4のキャップの嵌合部の変形例を示す要部拡大図、図7は、図4のキャップの変形例を示す要部拡大図、図8は、図6のキャップの変形例を示す要部拡大図、図9は、図7のキャップの嵌合部の変形例を示す要部拡大図である。なお、以下の説明では、車両に組み付けた状態で車両の外側寄りとなる側をアウター側(図1の左側)、中央寄り側をインナー側(図1の右側)という。
この車輪用軸受装置は従動輪側の第3世代と呼称され、内方部材1と外方部材2、および両部材1、2間に転動自在に収容された複列の転動体(ボール)3、3とを備えている。内方部材1は、ハブ輪4と、このハブ輪4に所定のシメシロを介して圧入された内輪5とからなる。
ハブ輪4は、アウター側の端部に車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付フランジ6を一体に有し、外周に一方(アウター側)の内側転走面4aと、この内側転走面4aから軸方向に延びる小径段部4bが形成されている。車輪取付フランジ6にはハブボルト6aが周方向等配に植設されている。
内輪5は、外周に他方(インナー側)の内側転走面5aが形成され、ハブ輪4の小径段部4bに圧入されて背面合せタイプの複列アンギュラ玉軸受を構成すると共に、小径段部4bの端部を塑性変形させて形成した加締部4cによって内輪5が軸方向に固定されている。これにより、軽量・コンパクト化を図ることができる。なお、内輪5および転動体3、3はSUJ2等の高炭素クロム鋼で形成され、ズブ焼入れによって芯部まで58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。
ハブ輪4はS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中高炭素鋼で形成され、内側転走面4aをはじめ、後述するシール8のシールランド部となる車輪取付フランジ6のインナー側の基部6bから小径段部4bに亙って高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。なお、加締部4cは鍛造加工後の表面硬さの生のままとされている。これにより、車輪取付フランジ6に負荷される回転曲げ荷重に対して充分な機械的強度を有し、内輪5の嵌合部となる小径段部4bの耐フレッティング性が向上すると共に、微小なクラック等の発生がなく加締部4cの塑性加工をスムーズに行うことができる。
外方部材2は、外周にナックルに取り付けられるための車体取付フランジ2bを一体に有し、この車体取付フランジ2bのインナー側にナックル(図示せず)に嵌合される円筒状のパイロット部2cが形成され、内周に内方部材1の内側転走面4a、5aに対向する複列の外側転走面2a、2aが一体に形成されている。これら両転走面間に複列の転動体3、3が収容され、保持器7、7によって転動自在に保持されている。そして、外方部材2と内方部材1との間に形成される環状空間のアウター側の開口部にシール8が装着されると共に、インナー側の開口部には後述するキャップ14が装着され、軸受内部に封入されたグリースの外部への漏洩と、外部から雨水やダスト等が軸受内部に侵入するのを防止している。
外方部材2は、前述したハブ輪4と同様、S53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中高炭素鋼で形成され、少なくとも複列の外側転走面2a、2aが高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。
シール8は、外方部材2のアウター側の端部内周に圧入された芯金9と、この芯金9に加硫接着によって一体に接合されたシール部材10とからなる一体型シールで構成されている。芯金9は、オーステナイト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS304系等)や冷間圧延鋼板(JIS規格のSPCC系等)からプレス加工にて断面が略L字状に形成されている。
一方、シール部材10はNBR等の合成ゴムからなり、径方向外方に傾斜して延び、断面が円弧状に形成された基部6bの外周面に所定の軸方向シメシロを介して摺接するサイドリップ10aとダストリップ10bおよび径方向内方に傾斜して延び、基部6bの外周面に所定の径方向シメシロを介して摺接するグリースリップ10cを有している。そして、芯金9の外表面を覆うように、シール部材10が回り込んで接合され、所謂ハーフメタル構造をなしている。これにより、気密性を高めて軸受内部を保護することができる。
なお、シール部材10の材質としては、例示したNBR以外にも、例えば、耐熱性に優れたHNBR(水素化アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、EPDM(エチレンプロピレンゴム)等をはじめ、耐熱性、耐薬品性に優れたACM(ポリアクリルゴム)、FKM(フッ素ゴム)、あるいはシリコンゴム等を例示することができる。
なお、ここでは、転動体3、3にボールを使用した複列アンギュラ玉軸受で構成された車輪用軸受装置を例示したが、これに限らず、円錐ころを使用した複列円錐ころ軸受で構成されたものであっても良い。
本実施形態では、内輪5の外周にパルサリング11が圧入されている。このパルサリング11は、図2に拡大して示すように、円環状に形成された支持環12と、この支持環12の側面に加硫接着等で一体に接合された磁気エンコーダ13とで構成されている。この磁気エンコーダ13は、ゴム等のエラストマにフェライト等の磁性体粉が混入され、周方向に交互に磁極N、Sが着磁されて車輪の回転速度検出用のロータリエンコーダを構成している。
支持環12は強磁性体の鋼板、例えば、フェライト系のステンレス鋼板(JIS規格のSUS430系等)や防錆処理された冷間圧延鋼板からプレス加工によって断面略L字状に形成され、内輪5に圧入される円筒部12aと、この円筒部12aから径方向外方に延びる立板部12bとを有している。そして、この立板部12bのインナー側の側面に磁気エンコーダ13が接合されている。
ここで、外方部材2に装着されたキャップ14は、耐食性を有し、後述する回転速度センサ22の感知性能に悪影響を及ぼさないように、非磁性体のオーステナイト系ステンレス鋼板からプレス加工によってカップ状に形成され、外方部材2のインナー側の端部内周に圧入される円筒状の嵌合部14aと、この嵌合部14aの先端部に傾斜部14bを介して形成された縮径部14cと、嵌合部14aのインナー側の端部から径方向内方に延び、磁気エンコーダ13に僅かな軸方向すきまを介して対峙する円板部14dと、この円板部14dからアウター側に膨出する屈曲部14eを介して内方部材1のインナー側の端部を覆う底部14fを備えている。
キャップ14は、図4に拡大して示すように、嵌合部14aの先端部がアウター側に位置するように圧入されると共に、傾斜部14bと縮径部14cの外周面からこの縮径部14cの先端部に回り込むようにNBR等の合成ゴムからなる弾性部材15が加硫接着によって一体に接合されている。この弾性部材15には径方向外方に突出する環状突起15aが形成されている。
一方、外方部材2の端部内周には、キャップ14の嵌合部14aが圧入される内側嵌合面16と、この内側嵌合面16からアウター側にテーパ状の段部17を介して内側嵌合面16よりも小径の円筒状の小径面18が形成されている。そして、弾性部材15の環状突起15aがキャップ14の嵌合時に外方部材2の小径面18に弾性変形して圧着されている。
これにより、嵌合部14aの気密性を高めると共に、弾性部材15がキャップ14の圧入方向側(軸受内方側)の傾斜部14bと縮径部14cの外周面に接合され、磁気エンコーダ13と軸方向に離反した位置に配設されるため、キャップ14と磁気エンコーダ13が干渉するのを防止することができ、従来のように両者の干渉を回避するためにキャップ14の外径を大きくしたり、あるいは支持環12の外径を小さくしたりする必要がなくなり、設計自由度を高めることができる。さらに、キャップ14の縮径部14cの曲げ加工によって組成が変化して磁性を帯びることがあっても、縮径部14cと磁気エンコーダ13が離反していることにより検出精度が低下するといった不具合を防止することができる。
ここで、外方部材2の内側嵌合面16の内径Dsは小径面18の内径Drよりも大径に形成されるが、具体的には、内側嵌合面16の公差最大値(最小径)は小径面18の内径Drよりも大径になるように設定されている。これにより、内側嵌合面16が旋削加工によって内径寸法にバラツキがあってもDr≦Dsの関係を確保することができ、キャップ14の嵌合部14aと弾性部材15の圧入面が同一径ではなく径差ができるので、キャップ14の嵌合時に弾性部材15の環状突起15aが内側嵌合面16と接触して部分的に潰れて損傷したり、逆に内側嵌合面16にスリット状の圧入傷が付いたりするのを防止し、製品品質の信頼性を高めることができる。
本実施形態では、図2に示すように、キャップ14のインナー側に、さらにセンサキャップ19が装着されている。具体的には、外方部材2の開口部側(インナー側)に所定の段差を介して外側嵌合面20が形成され、センサキャップ19はこの外側嵌合面20に所定のシメシロを介して圧入されている。この外側嵌合面20は、複列の外側転走面2a、2aと、キャップ14が圧入される内側嵌合面16と総型砥石によって同時研削されている。これにより、キャップ14の圧入ストロークを最小限に抑えて組立作業性が向上すると共に、各嵌合面16、20の真円度や同軸度等の精度が向上し、各嵌合部の気密性が高くなる。また、同時研削によって加工工数を低減することができ、低コスト化を図ることができる。
センサキャップ19は防錆処理された冷間圧延鋼板からプレス加工によってカップ状に形成され、外方部材2のインナー側の端部内周に圧入される円筒状の嵌合部19aと、この嵌合部19aから径方向外方に重合して延び、外方部材2のインナー側の端面2dに密着する鍔部19bと、この鍔部19bから円筒部19cを介して外方部材2のインナー側の開口部を閉塞する底部19dとを備えている。このセンサキャップ19の底部19dには磁気エンコーダ13に対応する水平位置に嵌挿孔21が形成され、この嵌挿孔21に回転速度センサ22が嵌挿される。
このように、センサキャップ19が外方部材2の端面2dに密着する鍔部19bを備えているので、剛性を高めて回転速度センサの位置決め精度を向上させることができると共に、嵌挿孔21が水平位置に形成され、この嵌挿孔21に回転速度センサ22が装着されていれば、車輪からの横方向荷重により外方部材2と内方部材1が相対的に傾いた状態においても、回転速度センサ22と磁気エンコーダ13とのエアギャップ変動を抑制することができ、安定した検出精度を得ることができる。
また、外側キャップ19の中心部に形成された穿孔23に、底部19dの軸受内方側(アウター側)に固定ナット24が加締加工により固定されている。固定ナット24の固定方法は、これ以外にも、例えば、溶接、接着、圧入等であっても良い。そして、センサキャップ19の嵌挿孔21に嵌挿された回転速度センサ22が、取付部材25を介して取付ボルト26を固定ナット24に締結することによって固定されている。このように、取付ボルト26の締結により固定ナット24が底部19dの内側面に引き込まれるため、固定ナット24の加締だけで脱落を防止することができる。
回転速度センサ22は、ホール素子、磁気抵抗素子(MR素子)等、磁束の流れ方向に応じて特性を変化させる磁気検出素子およびこの磁気検出素子の出力波形を整える波形整形回路が組み込まれたIC等からなり、車輪の回転速度を検出してその回転数を制御する自動車のアンチロックブレーキシステムを構成している。そして、この回転速度センサ22がキャップ14の円板部14dに衝合または近接するまで挿入されている。これにより、所望のエアギャップが得られ、煩雑なエアギャップ調整を省いて組立作業性の向上が図れる。
センサキャップ19にはカチオン電着塗装によって防錆皮膜が形成されている。なお、カチオン電着塗装は、正電極に対して、製品側を負電極として通電するものであるが、負電極に対して、製品側を正電極として通電するアニオン型の電着塗装であっても良い。このアニオン型の電着塗装の場合、塗装色の安定性や焼付温度を低く設定できる特徴を備えているが、この種のセンサキャップ19においては、防錆力と密着力に優れた強力な塗装膜が形成できるエポキシ樹脂系等からなるカチオン電着塗装の方が好ましい。
このように、本実施形態では、センサキャップ19にカチオン電着塗装からなる防錆皮膜が形成されているので、センサキャップ19の嵌合部19aが長期間に亘って発錆するのを防止することができ、外方部材2の外側嵌合面20および端面2dとの間で良好な気密性が得られる。
また、本実施形態では、図3に示すように、センサキャップ19の底部19dの径方向外方側にドレーン27が形成されている。このドレーン27は、嵌合部19aと底部19dの路面に近い側の膨出部28に形成されている。膨出部28は、底部19dからインナー側に所定の寸法Lだけ突出して形成されている。この膨出部28は、ナックルKの端面が外方部材2の端面2dと面一ではなく、インナー側に突出している場合に有効である。すなわち、センサキャップ19の膨出部28にドレーン27を径方向に貫通して形成することにより、センサキャップ19内に外部から雨水等の異物が浸入したとしても、この膨出部28部分に流動落下し、ナックルに妨害されることなく容易に異物を外部に効果的に排出することができる。
また、図5は前述した実施形態(図4)の参考例である。ここでは、外方部材2’の端部内周が、キャップ14の嵌合部14aが圧入される内側嵌合面16で構成され、弾性部材15の環状突起15aがキャップ14の嵌合時に外方部材2’の内側嵌合面16に弾性変形して圧着される。この参考例は、キャップ14の嵌合時に弾性部材15の環状突起15aが内側嵌合面16と接触するものの、外方部材2’の端部内周の形状が簡素化でき、端部内周の加工が容易になって低コスト化が図れると共に、弾性部材15が接合された縮径部14cと磁気エンコーダ13が接合された支持環12が軸方向に離反した位置に配設されているため、前述した実施形態と同様、キャップ14と磁気エンコーダ13が干渉するのを防止することができると共に、キャップ14の縮径部14cの曲げ加工によって組成が変化して磁性を帯びることがあっても検出精度が低下することはない。
なお、弾性部材15の環状突起15aを内側嵌合面16ではなく、この内側嵌合面16よりも小径に形成された小径面18に圧着させても良い。これにより、キャップ14の嵌合時に弾性部材15の環状突起15aが内側嵌合面16と接触して部分的に潰れて損傷したり、逆に内側嵌合面16にスリット状の圧入傷が付いたりするのを防止することができる。
図6に前述(図4)したキャップ14の嵌合部の変形例を示す。このキャップ29は、耐食性を有し、回転速度センサ22の感知性能に悪影響を及ぼさないように、非磁性体のオーステナイト系ステンレス鋼板からプレス加工によってカップ状に形成され、外方部材2の内側嵌合面16に圧入される円筒状の嵌合部14aと、この嵌合部14aの先端部に傾斜部14bを介して形成された縮径部14cと、嵌合部14aのインナー側の端部から径方向内方に延び、磁気エンコーダ13に僅かな軸方向すきまを介して対峙する円板部14dを備えている。
キャップ29は、傾斜部14bと縮径部14cの外周面からこの縮径部14cの先端部に回り込むようにNBR等の合成ゴムからなる弾性部材30が加硫接着によって一体に接合されている。この弾性部材30には径方向外方に突出し、テーパ面を有する環状突起30aが形成されている。
一方、外方部材31の端部内周には、キャップ29の嵌合部14aが圧入される内側嵌合面16と、この内側嵌合面16からインナー側にテーパ状の段部32が形成されている。そして、弾性部材30の環状突起30aがキャップ29の嵌合時に外方部材31の段部32に弾性変形して圧着されている。本実施形態では、テーパ面を有する環状突起30aが外方部材31のテーパ状の段部32に楔状に食い込んで圧着されるので、嵌合部14aの気密性を一層高めることができる。
図7は、前述(図4)したキャップ14の変形例で、キャップ14の形状が一部異なる。このキャップ33は、非磁性体のオーステナイト系ステンレス鋼板からプレス加工によってカップ状に形成され、外方部材2の内側嵌合面16に圧入される円筒状の嵌合部14aと、この嵌合部14aの先端部に屈曲部33aを介して形成された縮径部14cと、嵌合部14aのインナー側の端部から径方向内方に延び、磁気エンコーダ13に僅かな軸方向すきまを介して対峙する円板部14dを備えている。
弾性部材15がキャップ33の嵌合時に外方部材2の小径面18に弾性変形して圧着されている。本実施形態では、キャップ33の屈曲部33aが垂直に曲げられて縮径部14cが形成されているので、キャップ33自体の強度・剛性アップができると共に、軸方向のコンパクト化ができる。
図8は、前述(図6)したキャッ29の変形例で、キャップ29と弾性部材30の形状が一部異なる。このキャップ33は、非磁性体のオーステナイト系ステンレス鋼板からプレス加工によってカップ状に形成され、外方部材2の内側嵌合面16に圧入される円筒状の嵌合部14aと、この嵌合部14aの先端部に屈曲部33aを介して形成された縮径部14cと、嵌合部14aのインナー側の端部から径方向内方に延び、磁気エンコーダ13に僅かな軸方向すきまを介して対峙する円板部14dを備えている。
キャップ33は、屈曲部33aと縮径部14cの外周面からこの縮径部14cの先端部に回り込むように弾性部材34が加硫接着によって一体に接合されている。この弾性部材34はNBR等の合成ゴムからなり、径方向外方に突出し、テーパ面を有する環状突起34aが形成されている。そして、弾性部材34がキャップ33の嵌合時に外方部材31の段部32に弾性変形して圧着されている。本実施形態では、キャップ33の屈曲部33aが垂直に曲げられて縮径部14cが形成されているので、キャップ33の強度・剛性アップができると共に、弾性部材34が外方部材31の内側嵌合部16とテーパ状の段部32とで形成される環状空間が充足されているため、弾性部材34の密着度が高まり、嵌合部14aの気密性を一層高めることができる。
図9は、前述(図7)したキャップ33の嵌合部の変形例で、外方部材2の端部内周の形状が一部異なる。外方部材35の端部内周には、キャップ33の嵌合部14aが圧入される内側嵌合面16と、この内側嵌合面16からインナー側に盗み部35aを介して垂直に延びる段部36が形成されている。そして、弾性部材15の環状突起15aがキャップ33の嵌合時に外方部材35の段部36に弾性変形して圧着されている。本実施形態では、弾性部材33の環状突起15aが外方部材35の内周面に圧着されるのではなく、垂直に延びる段部36と軸方向に突き合わされるので、弾性部材15の損傷を防止することができ、嵌合部14aの気密性を高めると共に、信頼性を高めることができる。
図10は、本発明に係る車輪用軸受装置の参考例を示す要部拡大図、図11は、図10のキャップの検出部を示す部分拡大図である。なお、この参考例は、前述した実施形態(図2)と基本的にはキャップ14とセンサキャップ19の形状と圧入形態が異なるだけで、その他同一部品同一部位あるいは同様の機能を有する部品や部位には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施形態では、外方部材37は、外周に車体取付フランジ2bを一体に有し、この車体取付フランジ2bのインナー側にナックル(図示せず)に嵌合される円筒状のパイロット部37aが形成されている。そして、外方部材37のインナー側の開口部を閉塞するキャップ38が内嵌されると共に、このさらにインナー側にセンサキャップ39が外嵌されている。
キャップ38は、耐食性を有し、回転速度センサ22の感知性能に悪影響を及ぼさないように、非磁性体のオーステナイト系ステンレス鋼板からプレス加工によってカップ状に形成され、外方部材37のインナー側の端部内周に圧入される円筒状の嵌合部38aと、この嵌合部38aのアウター側の端部から傾斜部38bを介して径方向内方に延び、磁気エンコーダ13に僅かな軸方向すきまを介して対峙する円板部38cを備え、外方部材37のインナー側の開口部を閉塞している。キャップ38には、傾斜部38bの外周面にNBR等の合成ゴムからなる弾性部材40が加硫接着によって一体に接合され、この弾性部材40に径方向外方に突出する環状突起40aが形成されている。
一方、センサキャップ39は防錆処理された冷間圧延鋼板からプレス加工によってカップ状に形成され、外方部材37のパイロット部37aのインナー側の端外周に圧入される円筒状の嵌合部39aと、この嵌合部39aから外方部材37のインナー側の端面2dに密着する鍔部39bと、この鍔部39bから円筒部39cを介して外方部材37のインナー側の開口部を閉塞する底部39dとを備えている。このセンサキャップ39の底部39dには磁気エンコーダ13に対応する水平位置に嵌挿孔21が形成され、この嵌挿孔21に回転速度センサ22が嵌挿される。
外方部材37の端部内周には、図11に拡大して示すように、キャップ38の嵌合部38aが圧入される円筒状の内側嵌合面41と、この内側嵌合面41からアウター側に段部42を介して内側嵌合面41よりも小径の円筒状の小径面43が形成されている。そして、弾性部材40の環状突起40aがキャップ38の嵌合時に外方部材37の内側嵌合面41に弾性変形して圧着されている。なお、弾性部材40の環状突起40aを内側嵌合面41ではなく小径面43に圧着させても良い。これにより、キャップ38の嵌合時に弾性部材40の環状突起40aが内側嵌合面41と接触して部分的に潰れて損傷したり、逆に内側嵌合面41にスリット状の圧入傷が付いたりするのを防止することができる。
参考例では、キャップ38の開口部がインナー側に向くように圧入されると共に、弾性部材40がキャップ38の圧入方向側の傾斜部38bの外周面に接合されているので、この傾斜部38bと磁気エンコーダ13が軸方向近傍に配置されていても、磁気エンコーダ13の側面と同一平面上にキャップ38の嵌合部38aが交叉することはなく、キャップ38と磁気エンコーダ13が干渉するのを防止することができる。したがって、従来のように両者の干渉を回避するためにキャップ38の外径を大きくしたり、支持環12の外径を小さくしたりする必要がなくなり、設計自由度を高めることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
本発明に係る車輪用軸受装置は、従動輪用で、転動体がボール、円錐ころ等、あらゆる構造の内輪回転タイプで、外方部材のインナー側の端部にキャップが装着された車輪用軸受装置に適用することができる。
1 内方部材
2、2’、31、35、37 外方部材
2a 外側転走面
2b 車体取付フランジ
2c、37a パイロット部
2d 外方部材のインナー側の端面
3 転動体
4 ハブ輪
4a、5a 内側転走面
4b 小径段部
4c 加締部
5 内輪
6 車輪取付フランジ
6a ハブボルト
6b 車輪取付フランジのインナー側の基部
7 保持器
8 シール
9 芯金
10 シール部材
10a サイドリップ
10b ダストリップ
10c グリースリップ
11 パルサリング
12 支持環
12a、19c、39c 円筒部
12b 立板部
13 磁気エンコーダ
14、29、38 キャップ
14a、19a、38a、39a 嵌合部
14b 傾斜部
14c 縮径部
14d、29b 円板部
14e 屈曲部
14f 底部
15、30、40 弾性部材
15a、30a、40a 環状突起
16 内側嵌合面
17、32、36 段部
18、43 小径面
19、39 センサキャップ
19b、39b 鍔部
19d、39d 底部
20 外側嵌合面
21 嵌挿孔
22 回転速度センサ
23 穿孔
24 固定ナット
25 取付部材
26 取付ボルト
27 ドレーン
28 膨出部
51 内方部材
52 外方部材
52a、52b 外側転走面
52c 車体取付フランジ
53a、53b ボール
54 ハブ輪
54a、55a 内側転走面
54b 小径段部
54c 加締部
54d 軸状部
55 内輪
56 車輪取付フランジ
57 シール
58 センサキャップ
58a 嵌合部
58b 縮径部
58c 底部
59 パルサリング
60 支持環
61 磁気エンコーダ
62 弾性部材
62a 環状突起
63 回転速度センサ
64 円形凹所
65 固定ナット
65a 雌ねじ
Ds 内側嵌合面の内径
Dr 小径面の内径
K ナックル
L 膨出部の底部からの突出量
PCDi 反車輪取付フランジ側のボール列のピッチ円直径
PCDo 車輪取付フランジ側のボール列のピッチ円直径
di 反車輪取付フランジ側のボール列のボール径
do 車輪取付フランジ側のボール列のボール径
Zi 反車輪取付フランジ側のボール列のボール数
Zo 車輪取付フランジ側のボール列のボール数

Claims (8)

  1. 外周に車体に取り付けられるための車体取付フランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、
    一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪とからなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、
    前記外方部材と内方部材のそれぞれの転走面間に転動自在に収容された複列の転動体と、
    前記外方部材と内方部材との間に形成される環状空間の開口部のうちアウター側の開口部に装着されたシールと、インナー側の開口部に装着されたキャップと、
    前記内輪に外嵌されたパルサリングと、を備え、
    前記キャップの外周に合成ゴムからなる弾性部材が加硫接着により一体に接合された車輪用軸受装置において、
    前記パルサリングは、前記内輪に圧入される円筒部と、この円筒部のインナー側の端部から径方向外方に延びる立板部とを有する支持環と、前記立板部のインナー側の側面に接合された磁気エンコーダと、を備え、
    前記外方部材のインナー側の端部内周が、前記キャップが圧入される内側嵌合面と、この内側嵌合面から段部を介して当該内側嵌合面よりも小径に形成された円筒状の小径面で構成され、
    前記キャップにおいて、前記外方部材の端部内周面に圧入される嵌合部の先端部がアウター側に位置するように圧入されると共に、前記嵌合部の先端部に縮径部が形成され、この縮径部の外周面から先端部に回り込むように前記弾性部材が接合されると共に、前記弾性部材が前記外方部材に弾性変形して圧着され、当該弾性部材前記支持環の前記立板部よりもアウター側に位置し、前記磁気エンコーダに対して軸方向に離れた位置に配設されていることを特徴とする車輪用軸受装置。
  2. 前記縮径部が前記嵌合部の先端部に傾斜部を介して形成され、これら傾斜部と縮径部の外周面からこの縮径部の先端部に回り込むように前記弾性部材が接合されている請求項1に記載の車輪用軸受装置。
  3. 前記縮径部が前記嵌合部の先端部に垂直に曲げられた屈曲部を介して形成され、この屈曲部と縮径部の外周面からこの縮径部の先端部に回り込むように前記弾性部材が接合されている請求項1に記載の車輪用軸受装置。
  4. 前記弾性部材に径方向外方に突出するテーパ面を有する環状突起が形成されると共に、前記外方部材の段部がテーパ状に形成され、この段部に当該環状突起が弾性変形して圧着されている請求項1に記載の車輪用軸受装置。
  5. 前記弾性部材が前記外方部材の内側嵌合部と段部とで形成される環状空間を充足するように圧着されている請求項4に記載の車輪用軸受装置。
  6. 前記外方部材の段部が径方向内方に垂直に延びて形成され、この段部に前記弾性部材が弾性変形して圧着されている請求項1に記載の車輪用軸受装置。
  7. 前記内側嵌合面の内径の公差最大値が前記小径面の内径よりも大径になるように設定されている請求項1に記載の車輪用軸受装置。
  8. 前記キャップのインナー側にセンサキャップが装着され、このセンサキャップが鋼板からプレス加工によりカップ状に形成され、前記外方部材の端部に圧入される円筒状の嵌合部と、この嵌合部から前記外方部材のインナー側の端面に密着する鍔部と、この鍔部から前記外方部材のインナー側の開口部を閉塞する底部とを備え、この底部の前記パルサリングに対応する水平位置に嵌挿孔が形成され、この嵌挿孔に回転速度センサが装着されている請求項1に記載の車輪用軸受装置。
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