JP6110269B2 - シリンダヘッドの加工方法 - Google Patents
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Description
すなわち、請求項1に係るシリンダヘッドの加工方法は、燃焼室(40)に吸気を導入する吸気ポート(44)と、前記吸気ポート(44)の前記燃焼室(40)の側の開口(42)を開閉可能に設けられたバルブ(46)と、前記開口(42)に装着され、且つ、前記吸気を前記燃焼室(40)に流通させる流通孔(51)を形成する環状のバルブシート(50)と、を備え、前記バルブシート(50)の前記流通孔(51)には、吸気上流側から吸気下流側に亘って少なくとも二以上の環状の第一の加工面(52a〜52d)が形成され、且つ、前記二以上の環状の第一の加工面(52a〜52d)の間の境界部分(53a〜53c)のうち前記燃焼室(40)の中心軸(C3)寄りに臨む円弧状の範囲に第二の加工面(54)が形成されるシリンダヘッドの加工方法であって、加工刃(60)を前記バルブシート(50)の下端側から挿入し、前記バルブシート(50)に前記二以上の環状の第一の加工面(52a〜52d)を形成する加工を施した後、前記バルブシート(50)に前記二以上の環状の第一の加工面(52a〜52d)を形成する加工を施した後、前記加工刃(60)を前記燃焼室(40)の中心軸(C3)側にずらすことにより、同一の前記加工刃(60)を用いて前記第二の加工面(54)を形成する加工を施すことを特徴とする。
図1に示すエンジン(内燃機関)10は、水冷四ストロークDOHC四バルブ式の直列四気筒エンジンであり、自動二輪車等の鞍乗り型車両の原動機に用いられる。エンジン10において、クランク軸12の回転中心軸線(クランク軸線)C1は、左右方向(車体幅方向)に沿って延びる。クランクケース11の前部上方には、シリンダ13が起立する。クランクケース11の前部内には、クランク軸12が収容される。クランクケース11の後部内には、トランスミッション14が収容される。クランクケース11及びシリンダ13等の本体部品は、アルミ合金製である。シリンダ13内には、鉄製のシリンダスリーブ15が鋳込み等により一体的に鋳込まれる。シリンダ13の起立方向に沿う軸線(シリンダ軸線)C2は、鉛直方向に対して上部が前方に位置するように傾斜する。図中矢印F1はクランク軸12のエンジン運転時の回転方向(正転方向)を示す。
図1及び図2に示すように、吸気ポート44の燃焼室側開口である吸気弁口42は、吸気バルブ(バルブ)46によって開閉される。排気ポート45の燃焼室側開口である排気弁口43は、排気バルブ47によって開閉される。吸気ポート44のシリンダ外側開口には、吸気系部品であるインレットパイプ20等が接続される。排気ポート45のシリンダ外側開口には、排気系部品である不図示の排気管が接続される。
図2は、エンジン10のシリンダヘッド17の左側面図である。図3は、エンジン10の吸気ポート44におけるバルブシート50の内面形状を示す正面図である。図4は、バルブシート50の内面形状を示す左側面図である。図5は、図4の要部拡大図である。図6は、バルブシート50の第二の加工面54をバルブシート50の下端面50aに垂直な方向から見た下面図である。
尚、図2、図4及び図5において、矢印INは吸気の流入方向、矢印EXは排気の流出方向を示す。
以下の説明において、第一の加工面52a〜52dを環状面52a〜52d、第二の加工面54を非環状面54とそれぞれ称することがある。
尚、線C4は、言い換えると、非環状面54の燃焼室40の中心軸C3に最も近い部分を通り、且つ、非環状面54に沿って流入する吸気の流入方向に平行な線である。
具体的には、バルブシート50の下端面50aに垂直な方向から見て、流通孔51の中心Cpと非環状面54の周方向の一端とを結ぶ直線L1と、流通孔51の中心Cpと非環状面54の周方向の他端とを結ぶ直線L2と、のなす角度をθとする。尚、バルブシート50の外形形状は円柱状であり、流通孔51の中心Cpはバルブシート50の中心と一致する。
角度θは、30°以上180°未満に設定される。本実施形態において例えば角度θは90°程度である。角度θが30°未満となると、吸気バルブ46のステム46bにより遮られる範囲に重なり、得られる効果が限定的となる。一方、角度θが180°以上となると、加工範囲が広がることにより、加工工程が増えてコスト上昇を招くおそれがある。
非環状面54の燃焼室40の中心軸C3に最も近い部分を通り、且つ、流通孔51の中心軸C5を含む面に垂直な方向から見て、上側輪郭線54aが吸気下流側に凸となる曲線状であり、下側輪郭線54bが直線状である。
次に、図7及び図8を用いて、本実施形態に係るシリンダヘッド17の加工方法を説明する。図7はバルブシート50の内面形状の加工面を説明するための図である。図8はバルブシート50の内面形状の加工方法を説明するための図である。
尚、シミュレーションは、数値流体力学(Computational Fluid Dynamics : CFD)による数値解析手法で行った。
尚、図10(A)及び図11(A)はシリンダを吸気バルブのステムの長軸を含む面で切断したときの縦断面図、図10(B)及び図11(B)はシリンダをストローク(上死点と下死点との間の距離)の半分の位置で切断したときの横断面図である。
本実施例においては、流量係数は、バルブリフトが4mmまでは、バルブリフトの増加に比例して増加する。しかし、バルブリフトが4mmを超えると緩やかな傾きで増加するが、その増加量はバルブリフトが4mmから10mmまでの全範囲において比較例と比較して大きい。
表1におけるバルブリフトと流量係数の各々は、図12の本実施例に係るバルブリフトと流量係数にそれぞれ対応する。
本実施形態に係るシリンダヘッド17の加工方法は、加工刃60をバルブシート50の下端側から挿入し、バルブシート50に二以上の環状の第一の加工面52a〜52dを形成する加工を施した後、第二の加工面54を形成する加工を施すものである。
本実施形態によれば、燃焼室40の中心軸C3寄りに臨む円弧状の範囲を加工するだけで、バルブシート50の流通孔51のうち燃焼室40の中心軸C3寄りの部分の形状を滑らかにすることができる。よって、バルブシート50の内面形状を容易に加工することができ、且つ、燃焼室40の中心軸C3寄りで吸気の流入量を増加させることができる。
次に、本発明の第二実施形態について、図13を参照して説明する。
第二実施形態は、第一実施形態に対して、第二の加工面54が、加工が施されない曲面54’である点で特に異なる。図13において、第一実施形態と同一構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
本実施形態によれば、燃焼室40の中心軸C3寄りに臨む円弧状の範囲をバルブシート50がシリンダヘッド17に嵌装された素材の状態における流通孔51の内周面の一部がそのままバルブシート50の流通孔51として利用できるので、加工工程を削減しながらバルブシート50の流通孔51のうち燃焼室40の中心軸C3寄りの部分の形状を滑らかにすることができる。よって、バルブシート50の内面形状を容易に加工することができ、且つ、燃焼室40の中心軸C3寄りで吸気の流入量を増加させることができる。
そして、上記実施形態における構成は本発明の一例であり、実施形態の構成要素を周知の構成要素に置き換える等、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
40 燃焼室
42 吸気弁口(開口)
44 吸気ポート
46 吸気バルブ(バルブ)
50 バルブシート
50a バルブシートの下端面
51 流通孔
52a〜52d 環状面(第一の加工面)
53a〜53c 境界部分
54 非環状面(第二の加工面)
54’ 加工が施されない曲面
54a 第二の加工面の上側輪郭線
54b 第二の加工面の下側輪郭線
60 加工刃
C3 燃焼室の中心軸
C4 第二の加工面の燃焼室の中心軸に最も近い部分を通り、且つ、流通孔の中心軸を含む面と平行な線
C5 流通孔の中心軸
Dt 流通孔の中心軸と、流通孔の中心軸を挟んで燃焼室の中心とは反対側の端縁、との間の距離
Claims (1)
- 燃焼室(40)に吸気を導入する吸気ポート(44)と、
前記吸気ポート(44)の前記燃焼室(40)の側の開口(42)を開閉可能に設けられたバルブ(46)と、
前記開口(42)に装着され、且つ、前記吸気を前記燃焼室(40)に流通させる流通孔(51)を形成する環状のバルブシート(50)と、を備え、
前記バルブシート(50)の前記流通孔(51)には、吸気上流側から吸気下流側に亘って少なくとも二以上の環状の第一の加工面(52a〜52d)が形成され、且つ、前記二以上の環状の第一の加工面(52a〜52d)の間の境界部分(53a〜53c)のうち前記燃焼室(40)の中心軸(C3)寄りに臨む円弧状の範囲に第二の加工面(54)が形成されるシリンダヘッドの加工方法であって、
加工刃(60)を前記バルブシート(50)の下端側から挿入し、前記バルブシート(50)に前記二以上の環状の第一の加工面(52a〜52d)を形成する加工を施した後、前記バルブシート(50)に前記二以上の環状の第一の加工面(52a〜52d)を形
成する加工を施した後、前記加工刃(60)を前記燃焼室(40)の中心軸(C3)側に
ずらすことにより、同一の前記加工刃(60)を用いて前記第二の加工面(54)を形成
する加工を施すことを特徴とするシリンダヘッドの加工方法。
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