JP6110247B2 - 電解セルスタック装置および電解装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電解セルスタック装置および電解装置に関する。
従来、水素(H)を製造する技術として高温水蒸気電解法が提唱されている。この高温水蒸気電解法とは、高温の水蒸気(水)を電気分解することにより、水素と酸素(O)とを生成する技術であり、電解セル(SOEC)に水蒸気と電圧とを付与することで、水素を生成することができる(例えば、特許文献1参照)。
そして、1本の電解セルでは水素生成量が少ないため、水素生成量を増加させるため、複数の電解セルをスタック化する必要がある。また、スタック化したセルスタックに、水蒸気を含有するガスを導入する導入管、および生成した水素を含有するガスを導出する導出管を接続する必要がある。
特開2010−65271号公報
水蒸気を含有するガスをセルスタックに導入する導入管、および生成した水素を含有するガスをセルスタックから導出する導出管の一端部は電解装置内に固定され、その他端部がセルスタックに接続固定されていたため、高温に曝された導入管、導出管の熱膨張等により、導入管、導出管とセルスタックとの接続部に応力集中が生じ、クラック等が発生するおそれがあった。
本発明は、導入管、導出管とセルスタックとの接続部における応力集中を低減できる電解セルスタック装置および電解装置を提供することを目的とする。
本発明の電解セルスタック装置は、ガスタンクに上方に延びるように往路側セルおよび復路側セルを配列してなる複数のセルスタックユニットを、前記往路側セルと前記復路側セルとが交互に位置するように配列してなるセルスタックと、一方の前記セルスタックユニットの往路側セルの上端部と該一方のセルスタックユニットに隣接する他方の前記セルスタックユニットの復路側セルの上端部とを連結する連通部材と、前記セルスタックにおける前記セルスタックユニットの配列方向両端に位置する前記往路側セルおよび前記復路側セルの上端部にそれぞれ連結された、水蒸気を含有するガスを導入する導入管および水
素を含有するガスを導出する導出管とを具備し、前記導入管および前記導出管は、前記往路側セルおよび前記復路側セルの上端部に設けられた前記連通部材にそれぞれ連結されていることを特徴とする。
本発明の電解装置は、上記の電解セルスタック装置を、収納容器内に収納してなることを特徴とする。
本発明の電解セルスタック装置は、導入管、導出管がそれぞれ連結される往路側セル、復路側セルの上端部と、往路側セルの上端部と復路側セルの上端部とを連結する連通部材とが離間しているため、電解セルスタック装置が高温に曝され、電解装置内に固定された導入管、導出管が熱膨張したとしても、この熱膨張に伴い、導入管、導出管が連結された
往路側セル、復路側セルが変形し、導入管、導出管とセルスタックとの連結部における応力集中を低減できる。これにより、長期信頼性が向上した電解装置を提供できる。
電解セルの一例を示すもので、(a)は斜視図、(b)は(a)のa−aにおける横断面図、(c)は(a)の側面図である。 電解セルスタック装置を示すもので、(a)は縦断面図、(b)は隣接するセルスタックユニットのセル同士を、内面が曲面形状の連通部材で連結した状態を拡大して示す縦断面図である。 (a)はセルスタックの平面図、(b)は(a)のセルスタックに連通部材、導入管、導出管を設けた電解セルスタック装置を示す平面図である。 3個のセルスタックユニットのセル同士を連通部材で連通した状態を示す縦断面図である。 (a)はガスタンクに4個の電解セルを幅方向に所定間隔をおいて配置したものを2列設けてセルスタックユニットを形成し、このセルスタックユニットを3個並列したセルスタックの平面図、(b)は(a)のセルスタックに連通部材、導入管、導出管を設けた状態を示す平面図である。 円筒型の電解セルを用いた電解セルスタック装置を示す斜視図である。 (a)は9個のセルスタックユニットをS字状に配置し、セル同士を連通部材で直列に連結した電解セルスタック装置を示す斜視図、(b)は3個のセルスタックユニットのセルを直列に連結したものを3行に配置し、3行のセルスタックを並列接続した電解セルスタック装置を示す斜視図である。
図1は電解セルの一形態を示し、図2、3は電解セルを用いた電解セルスタック装置を示している。なお、図において、電解セルの各構成を省略したり、一部拡大等して示している。
電解セル1は、図1に示すように、中空平板状を有しており、断面が扁平状で、全体的に見て楕円柱状をした多孔質の導電性の支持体2を備えている。
支持体2の内部には、適当な間隔で複数の流通孔7が電解セル1の長さ方向Lに沿って一端から他端に貫通するように形成されており、電解セル1は、この支持体2上に各種の部材が設けられた構造を有している。なお、流通孔7は、電解セル1の横断面において円形状とすることがよい。
支持体2は、図1(b)に示されている形状から理解されるように、互いに平行な一対の平坦面nと、一対の平坦面nの両端をつなぐ側面(弧状部)mとで構成されている。平坦面nの両面は互いにほぼ平行に形成されており、平坦面nの一方の表面と両側の側面mを覆うように多孔質なカソード3(内側電極層)が設けられており、さらに、このカソード3を覆うように、緻密質な固体電解質層4が積層されている。また、固体電解質層4の上には、カソード3と対面するように、多孔質なアノード5(外側電極層)が積層されており、カソード3、固体電解層4およびアノード5が重なっている部分が、電解素子部となる。また、カソード3および固体電解質層4が積層されていない他方の平坦面nには、インターコネクタ6が積層されている。
図1(b)から明らかなように、固体電解質層4(およびカソード3)は、平坦面nの両端をつなぐ弧状の側面mを経由して他方の平坦面n側に延びており、インターコネクタ6の両端面がカソード3および固体電解質層4の両端面と当接している。なお、インターコネクタ6の両端部を、固体電解質層4の両端部上に積み重なるように配置することもで
きる。
なお、インターコネクタ6と支持体2との間には、インターコネクタ6と支持体2とを強固に接合するための密着層を設けることでき、また、固体電解質層4とアノード5との間には、固体電解質層4とアノード5との成分が反応して抵抗の高い反応生成物が生じることを抑制するための反応防止層を設けることができる。
ここで、電解セル1においては、支持体2内の流通孔7に水蒸気を含有するガスを流し、所定の作動温度まで加熱するとともに、カソード3とアノード5との間に所定の電圧を印加することにより、電解反応を生じることができる。なお、電圧は、支持体2上に積層されたインターコネクタ6を介して電解セル本体1に電流を流すことで印加される。
電解セル1は、例えば、支持体成形体2cの一方の表面と両側の側面mを覆うように、カソード3の成形体、固体電解質層4の成形体を積層し、支持体成形体の他方の表面にインターコネクタ6の成形体を積層し、焼成した後、固体電解質層4の表面にアノード5を積層し、焼成することにより、作製することができる。
以下に、電解セル1を構成する各構成について順に説明する。
支持体2は、流通孔7を流れる水蒸気を固体電解質層4まで透過させるために水蒸気を透過する透過性を有すること、インターコネクタ6を介して電流を流すために導電性であることが要求されることから、例えば、鉄族金属成分と特定の無機酸化物(例えば希土類元素酸化物)とにより形成されることが好ましい。
鉄族金属成分としては、鉄族金属単体、鉄族金属酸化物、鉄族金属の合金もしくは合金酸化物等が挙げられる。より詳細には、例えば、鉄族金属としてはFe、NiおよびCoを用いることができ、特には安価であることおよび燃料ガス中で安定であることから、鉄族成分/鉄族金属酸化物としてNiおよび/またはNiOを含有していることが好ましい。なお、Niおよび/またはNiOに加えてFeやCoを含有してもよい。なお、NiOは、電解反応により生じたHにより還元されて、一部もしくは全部がNiとして存在する。
また、希土類元素酸化物とは、支持体2の熱膨張係数を固体電解質層4の熱膨張係数に近づけるために使用されるものであり、Y、Lu、Yb、Tm、Er、Ho、Dy、Gd、Sm、Prからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含む希土類元素酸化物が、上記鉄族成分との組み合わせで使用することができる。このような希土類元素酸化物の具体例としては、Y、Lu、Yb、Tm、Er、Ho、Dy、Gd、Sm、Prを例示することができ、鉄族金属の酸化物との固溶、反応が殆どなく、また、熱膨張係数が固体電解質層4とほとんど同程度であり、かつ安価であるという点から、Y、Ybが好ましい。
ここで、支持体2の良好な導電率を維持し、かつ熱膨張係数を固体電解質層4と近似させるという点で、鉄族金属成分と希土類元素酸化物成分とが、焼成−還元後における体積比率で35:65〜65:35の体積比で存在することが好ましい。なお、鉄族金属成分としてNiを、希土類元素酸化物成分としてYを用いる場合には、Ni/(Ni+Y)が79〜93モル%となるように含有することが好ましい。なお、支持体2中には、要求される特性が損なわれない限りの範囲で、他の金属成分や酸化物成分を含有していてもよい。
また、支持体2は、ガス透過性を有していることが必要であるため、通常、開気孔率が
30%以上、特に35〜50%の範囲にあることが好ましい。また、支持体2の導電率は、50S/cm以上、より好ましくは300S/cm以上、特に好ましくは440S/cm以上とすることがよい。
なお、支持体2の平坦面nの長さ(支持体2の幅方向Wの長さ)は、通常、15〜35mm、側面mの長さ(弧の長さ)は、2〜8mmであり、支持体2の厚み(平坦面nの両面間の厚み)は1.5〜5mmであることが好ましい。
カソード3は、電極反応を生じさせるものであり、それ自体公知の多孔質の導電性セラミックスにより形成することが好ましい。例えば、希土類元素酸化物が固溶したZrOまたは希土類元素酸化物が固溶したCeOと、Niおよび/またはNiOとから形成することができる。なお、希土類元素としては、支持体2において例示した希土類元素を用いることができ、例えばYが固溶したZrO(YSZ)とNiおよび/またはNiOとから形成することができる。
カソード3中の希土類元素酸化物が固溶したZrOまたは希土類元素酸化物が固溶しているCeOの含量と、NiあるいはNiOの含量とは、焼成−還元後における体積比率で、35:65〜65:35の体積比で存在することが好ましい。さらに、このカソード3の開気孔率は、15%以上、特に20〜40%の範囲にあるのが好ましく、その厚みは、1〜30μmであるのが好ましい。例えば、カソード3の厚みがあまり薄いと、性能が低下するおそれがあり、またあまり厚いと、固体電解質層4とカソード3との間で熱膨張差による剥離等を生じるおそれがある。
また、図1(b)の例では、カソード3は、一方の平坦面n(図において左側に位置する平坦面n)から側面mを介して他方の平坦面n(図において右側に位置する平坦面n)にまで延びているが、アノード5に対面する位置に形成されていればよいため、例えばアノード5が設けられている側の平坦面nにのみカソード3が形成されていてもよい。すなわち、カソード3は平坦面nにのみ設けられ、固体電解質層4がカソード3上、両側面m上およびカソード3が形成されていない他方の平坦面n上に形成された構造をしたものであってもよい。
固体電解質層4は、3〜15モル%のY、Sc、Yb等の希土類元素酸化物を含有した部分安定化あるいは安定化ZrOからなる緻密質なセラミックスを用いるのが好ましい。また、希土類元素としては、安価であるという点からYが好ましい。さらに、固体電解質層4は、水蒸気の透過を防止するという点から、相対密度(アルキメデス法による)が93%以上、特に95%以上の緻密質であることが望ましく、かつその厚みが5〜50μmであることが好ましい。
上記したように、固体電解質層4と後述するアノード5の間に、固体電解質層4とアノード5との接合を強固とするとともに、固体電解質層4の成分とアノード5との成分とが反応して電気抵抗の高い反応生成物が生じることを抑制する目的で反応防止層を備えることもできる。
反応防止層としては、Ce(セリウム)と他の希土類元素とを含有する組成にて形成することができ、例えば、(CeO1−x(REO1.5、REはSm、Y、Yb、Gdの少なくとも1種であり、xは0<x≦0.3を満足する数、で表される組成を有していることが好ましい。さらには、電気抵抗を低減するという点から、REとしてSmやGdを用いることが好ましく、例えば10〜20モル%のSmO1.5またはGdO1.5が固溶したCeOからなることが好ましい。
また、固体電解質層4とアノード5とを強固に接合するとともに、固体電解質層4の成分とアノード5の成分とが反応して電気抵抗の高い反応生成物が生じることをさらに抑制する目的で、反応防止層を2層から形成することもできる。
アノード5としては、いわゆるABO型のペロブスカイト型酸化物からなる導電性セラミックスにより形成することが好ましい。かかるペロブスカイト型酸化物としては、遷移金属ペロブスカイト型酸化物、特にAサイトにSrとLaが共存するLaMnO系酸化物、LaFeO系酸化物、LaCoO系酸化物の少なくとも1種が好ましく、600〜1000℃程度の作動温度での電気伝導性が高いという点からLaCoO系酸化物が特に好ましい。なお、上記ペロブスカイト型酸化物においては、AサイトにSrとLaが存在し、Bサイトに、Co(コバルト)とともにFe(鉄)やMn(マンガン)が存在しても良い。
また、アノード5は、酸素ガスの透過性を有する必要があり、従って、アノード5を形成する導電性セラミックス(ペロブスカイト型酸化物)は、開気孔率が20%以上、特に30〜50%の範囲にあることが好ましい。さらに、アノード5の厚みは、電解セル1の導電性の観点から30〜100μmであることが好ましい。
また、支持体2のアノード5側と反対側の平坦面n上には、インターコネクタ6が積層されている。
インターコネクタ6としては、導電性セラミックスにより形成されることが好ましいが、水素を含むガスおよび酸素を含むガスと接触するため、耐還元性、耐酸化性を有していることが必要である。このため、耐還元性、耐酸化性を有する導電性セラミックスとしては、一般に、ランタンクロマイト系のペロブスカイト型酸化物(LaCrO系酸化物)を使用することが好ましい。さらには、特に支持体2と固体電解質層4との熱膨張係数を近づける目的から、BサイトにMgが存在するLaCrMgO系酸化物を用いることが好ましい。なおMgの量は、インターコネクタ6の熱膨張係数が、支持体2および固体電解質層4の熱膨張係数に近づくように、具体的には10〜12ppm/Kとなるように適宜調整することができる。
また、支持体2とインターコネクタ6との間には、上記したように、インターコネクタ6と支持体2との間の熱膨張係数差を軽減する等のための密着層を設けることもできる。
このような密着層としては、カソード3と類似した組成とすることができる。例えば、希土類元素酸化物、希土類元素酸化物が固溶したZrO、希土類元素が固溶したCeOのうち少なくとも1種と、Niおよび/またはNiOとから形成することができる。より具体的には、例えばYとNiおよび/またはNiOからなる組成や、Yが固溶したZrO(YSZ)とNiおよび/またはNiOからなる組成、Y、Sm、Gd等の酸化物が固溶したCeOとNiおよび/またはNiOからなる組成から形成することができる。なお、希土類元素酸化物が固溶したZrOまたは希土類元素酸化物が固溶しているCeOの含量と、NiあるいはNiOの含量とは、焼成−還元後における体積比率で、40:60〜60:40の体積比で存在することが好ましい。
そして、電解セル1に設けられた複数の流通孔7に水蒸気を含有するガスを供給することで、電解反応により水素が生成される。
具体的には、電解セル1を700〜1000℃に加熱し、かつ電圧を1.0〜1.5V(電解セル1本あたり)で印加することで、電解セル1に供給された水蒸気の一部もしくは全部が、カソード3とアノード5とにおいて下記の反応式で示す反応が生じ、水素と酸
素に分解される。
カソード:HO+2e → H+O2−
アノード:O → 1/2O+2e
図2、3は、本実施形態の電解セルスタック装置の一例を示すもので、図2(a)は電解セルスタック装置の縦断面図、図2(b)は内面が曲面形状の連通部材で2つのセルを連結した状態を示す縦断面図である。また、図3(a)は連通部材を設けていない電解セルスタック装置の平面図、図3(b)は(a)のセルスタックに連通部材等を設けた場合の平面図である。
図2、3に示す電解セルスタック装置においては、図2(a)に示すように、電解セル1の下端部をガラスシール材等の絶縁性接合材25でガスタンク31に固定し、電解セル1がガスタンク31から上方に延びるように配置され、セルスタックユニット30aが構成されている。セルスタックユニット30aは、ガスをガスタンク31内に導入する往路側セル1aと、ガスをガスタンク31から導出する復路側セル1bとを有しており、往路側セル1aと復路側セル1bとが交互に位置するようにセルスタックユニット30aが配列しているとともに、図3(a)に示すように、セルスタックユニット30aの配列方向yと直交する方向xに、往路側セル1aが複数所定間隔をおいて一列をなして配置され、復路側セル1bが複数所定間隔をおいて一列をなして配置されている。
すなわち、ガスタンク31には、複数の往路側セル1aが厚み方向に所定間隔をおいて配列して往路側セル列1a1が構成され、複数の復路側セル1bが厚み方向に所定間隔をおいて配列して復路側セル列1b1が構成され、往路側セル列1a1と復路側セル列1b1とは平行にガスタンク31に設けられている。
また、2つのセルスタックユニット30aが、往路側セル1aと復路側セル1bとが交互に位置するように、言い換えれば、往路側セル列1a1と復路側セル列1b1とが交互に位置するように、配置されてセルスタック30が構成され、一方のセルスタックユニット30aの往路側セル1a(往路側セル列1a1)の上端部と、この一方のセルスタックユニット30aに隣接する他方のセルスタックユニット30aの復路側セル1b(復路側セル列1b1)の上端部とが連通部材32により連結されている。
すなわち、2つのセルスタックユニット30aのガスタンク31は、それぞれの往路側セル列1a1と復路側セル列1b1とが交互にかつ平行になるように、所定間隔をおいて電解装置内部の底面(載置面)に配置されている。また、連通部材32には、一方のセルスタックユニット30aの往路側セル1a(往路側セル列1a1)の上端部と、他方のセルスタックユニット30aの復路側セル1b(復路側セル列1b1)の上端部とが挿入され、上記したようなガラスシール材等の絶縁性接合材で接合固定されている。
また、セルスタックユニット30aの配列方向yにおけるセルスタック30の両端に位置する往路側セル1a(往路側セル列1a1)には、セルスタック30に水蒸気を含有するガスを導入する導入管35が、連通部材36を介して連結され、復路側セル1b(復路側セル列1b1)の上端部には、セルスタック30から水素を含有するガスを導出する導出管37が連通部材38を介して連結されている。連通部材36、38に連結されていない側の導入管35、導出管37の端部は、電解装置内部の壁面に固定されている。
導入管35が連結される連通部材36、2つのセルスタックユニット30aを連結する連通部材32、導出管37が連結される連通部材38は、導入管35、導出管37の引出方向に所定間隔をおいて配置されている。
上記のような連結構造を有するため、水蒸気を含有するガスが、導入管35から、連通
部材36を介して、一方のセルスタックユニット30a(図2(a)の左側のセルスタックユニット30a)の往路側セル1aに流れ、ガスタンク31を介して復路側セル1bに流れる。そして、連通部材32を介して、他方のセルスタックユニット30b(図2(a)の右側のセルスタックユニット30a)の往路側セル1aに流れ、ガスタンク31を介して、復路側セル1b、連通部材38を介して導出管37から、水素を含有するガスが導出される。電解セル1内を水蒸気が流れる間に、その一部もしくは全部が電解反応を生じることで水素を生じ、生じた水素や反応を生じなかった水蒸気を含むガスが導出管37により回収される。
電解装置内の底面にガスタンク31が載置されて固定され、連通部材32、36、38はセル上端部に配置されており、使用場所に応じて名称を変えているが、同一形状、同一材料で形成されたものであっても良い。
なお、2つのセルスタックユニット30aの往路側セル列1a1、復路側セル列1b1は、それぞれ複数の往路側セル1a、複数の復路側セル1bが図示しない導電部材により電気的に直列に接続されて構成されている。さらに、2つのセルスタックユニット30aの往路側セル列1a1、復路側セル列1b1は両端部に端部導電部材41を有しており、この端部導電部材41を介して電気的に接続され、セルスタック30が構成されており、このセルスタック30の両端部には、セルスタック30(電解セル1)に電流を流すための引出部33を有する端部導電部材41が配置されている。上述の各部材を備えることで、電解セルスタック装置が構成されている。
以上のように構成された電解セルスタック装置では、導入管35および導出管37が連結される連通部材36および連通部材38と、往路側セル1aと復路側セル1bの上端部を連結する連通部材32とが離間しているため、電解セルスタック装置が高温に曝され、電解装置内に固定された導入管35および導出管37が熱膨張したとしても、この熱膨張に伴い往路側セル1aまたは復路側セル1bが少々変形し、連通部材36および連通部材38が連通部材32側に近づき、導入管35および導出管37の熱膨張を吸収し、導入管35および導出管37と、セルスタック30の連結部における応力集中を低減できる。
また、往路側セル1aと復路側セル1bが交互に複数直列に連結されているため、水蒸気を電気分解する性能が向上し、導出管37から回収される水素濃度を高くすることができる。これにより、電解セル1の長さを短くしても十分な水素を生成でき、電解セル1の長さを短くすることができ、これにより、電解セル1が高温時に変形したとしても、電解セル1に接続される連通部材32、連通部材36および連通部材38に作用する応力を低減できる。
なお、一方のセルスタックユニット30aの復路側セル1bの上端部から連通部材32に供給される水蒸気の供給圧が低い場合において、流通孔7より連通部材32の空間に排出されたガスが、復路側セル1bの流通孔7を逆流するおそれがある。
それゆえ、図2(b)に示すように、電解セル1の長さ方向Lに沿った断面視において、連通部材32の内面のうち、少なくとも電解セル1の延長線上に位置する部位が弧状面32aとされていることが好ましい。
それにより、復路側セル1bの流通孔7より連通部材32の空間に流れたガスは、連通部材32の弧状面32aに沿って流れ、復路側セル1bの下方より水蒸気を含有するガスが流通した流通孔7に逆流することを抑制できる。
図4は、3つのセルスタックユニット30aを、往路側セル列1a1と復路側セル列1
b1とが交互に位置するように所定間隔をおいて配置し、電解セル1を、2つの連通部材32、連通部材36および連通部材38で接続して構成されている。このような電解セルスタック装置であっても上記と同様の効果を得ることができる。
図5(a)はセルスタックを示すもので、ガスタンク31に4個の電解セル1を幅方向に所定間隔をおいて配置したものを2列設けてセルスタックユニット30aを形成し、このセルスタックユニット30aを3個並置して構成されている。そして、図5(b)に示すように、4個の往路側セル1aで構成された往路側セル列1a1、4個の復路側セル1bで構成された復路側セル列1b1を、2つの連通部材32、連通部材36および連通部材38で、往路側セル列1a1と復路側セル列1b1とを交互に接続して、電解セルスタック装置が構成されている。
また、3個のセルスタックユニット30aの6個の電解セル1は、図示しないが、導電部材により電気的に相互に接続され、また、図5の上下に配置された引出部33で挟まれ、電流を印加できるように構成されている。
このような電解セルスタック装置では、図5(b)において、ガスが、導入管35から連通部材36に導入され、下側のセルスタックユニット30aの往路側セル列1a1、復路側セル列1b1を流れ、連通部材32を介して、中央のセルスタックユニット30aの往路側セル列1a1、復路側セル列1b1を流れ、連通部材32を介して、上側のセルスタックユニット30aの往路側セル列1a1、復路側セル列1b1を流れ、連通部材38を介して導出管37から導出される。
このような電解セルスタック装置であっても上記と同様の効果を得ることができる。
図6は、円筒型の電解セルを用いた電解セルスタック装置を示すもので、3本の往路側セル1aからなる往路側セル列1a1と、3本の復路側セル1bからなる復路側セル列1b1とをガスタンク31に平行に設けた2つのセルスタックユニット30aを有している。そして、2つのセルスタックユニット30aのうち一方のセルスタックユニット30aの往路側セル列1a1と、他方のセルスタックユニット30aの復路側セル列1b1とが連通部材32で連結されている。さらに、一方のセルスタックユニット30aの往路側セル列1a1に連通部材36を介して導入管35が連結され、他方のセルスタックユニット30aの復路側セル列1b1に連通部材38を介して導出管37が連結されている。
このような電解セルスタック装置であっても上記と同様の効果を得ることができる。なお、円筒型の電解セルは、円筒型の支持管の外面に、カソード、固体電解質層、アノードを形成して構成されている。支持管はなく、カソードが支持体を兼ねる場合であっても良い。
図7(a)は、9個のセルスタックユニットをS字状に配置し、電解セル同士を連通部材で直列に連結した電解セルスタック装置を示している。すなわち、1本の往路側セル1aと、1本の復路側セル1bとをガスタンク31に設けた9つのセルスタックユニット30aを、3行3列に整列して構成されている。そして、隣接するセルスタックユニット30a間の往路側セル1aと復路側セル1bとが連通部材32で連結されるとともに、中央の行は、その両端に位置する往路側セル1a、復路側セル1bが、両端の行の一方または他方の端に位置する往路側セル1a、復路側セル1bに連通部材32で連結され、9つのセルスタックユニット30aがS字状に直列に連結されている。
また、9つのセルスタックユニット30aからなるセルスタックの両端に位置する往路側セル1a、復路側セル1bには、それぞれ連通部材36を介して導入管35、連通部材
38を介して導出管37が連結されている。
このような電解セルスタック装置であっても上記と同様の効果を得ることができるとともに、電解セルスタック装置をコンパクトとすることができ、電解セル1が密集して配置されるため放熱も抑制でき、電解性能を向上できる。
図7(b)は、3個のセルスタックユニットのセルを直列に連結したものを3行配置し、3行のセルスタックを並列接続した電解セルスタック装置を示している。すなわち、1本の往路側セル1aと、1本の復路側セル1bとをガスタンク31に設けた9つのセルスタックユニット30aを、3行3列に整列して構成されている。
そして、隣接するセルスタックユニット30a間の往路側セル1aと復路側セル1bとが連通部材32で連結されるとともに、3行の左端に位置する3個の往路側セル1aに連通部材36が連結され、この連通部材36に導入管35が連結されており、また、3行の右端に位置する3個の復路側セル1bに連通部材38が連結され、この連通部材38に導出管37が連結されており、直列に連結された3個のセルスタックユニットからなる列が、3行並列接続されている。
このような電解セルスタック装置であっても上記と同様の効果を得ることができるとともに、直列に連結された3個のセルスタックユニットからなる列が3行並列接続されているため、水蒸気供給量を増加でき、水素生成量を増加でき、さらに電解セルスタック装置をコンパクトとすることができ、電解セル1が密集して配置されるため放熱も抑制でき、電解性能を向上できる。
なお、図6、7では、円筒型の電解セルを用いてセルスタックユニットを構成したが、例えば、中空平板型の電解セルを用いてセルスタックユニットを構成しても良いことは勿論である。
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、改良等が可能である。
例えば、上記形態では、導電性の支持体の平坦面にカソードとアノードに固定電解質層を挟んで構成される電解素子部を1つ設けた、いわゆる縦縞型電解セルについて説明したが、絶縁性の支持体の平坦面に電解素子部を複数電気的に接続して設けた、いわゆる横縞型電解セルについて、本発明を適用することができる。
1:電解セル
1a:往路側セル
1a1:往路側セル列
1b:復路側セル
1b1:復路側セル列
2:支持体
3:カソード
4:固体電解質層
5:アノード
6:インターコネクタ
7:流通孔
30:セルスタック
30a:セルスタックユニット
31:ガスタンク
32,36、38:連通部材
35:導入管
37:導出管

Claims (3)

  1. ガスタンクに上方に延びるように往路側セルおよび復路側セルを配列してなる複数のセルスタックユニットを、前記往路側セルと前記復路側セルとが交互に位置するように配列してなるセルスタックと、
    一方の前記セルスタックユニットの往路側セルの上端部と該一方のセルスタックユニットに隣接する他方の前記セルスタックユニットの復路側セルの上端部とを連結する連通部材と、
    前記セルスタックにおける前記セルスタックユニットの配列方向両端に位置する前記往路側セルおよび前記復路側セルの上端部にそれぞれ連結された、水蒸気を含有するガスを導入する導入管および水素を含有するガスを導出する導出管とを具備し、
    前記導入管および前記導出管は、前記往路側セルおよび前記復路側セルの上端部に設けられた前記連通部材にそれぞれ連結されていることを特徴とする電解セルスタック装置。
  2. 前記セルスタックユニットは、複数の前記往路側セルおよび複数の前記復路側セルを有するとともに、前記複数の往路側セルおよび前記複数の復路側セルが、それぞれ前記セルスタックユニットの配列方向に対して直交する方向に配列していることを特徴とする請求項1に記載の電解セルスタック装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の電解セルスタック装置を、収納容器内に収納してなることを特徴とする電解装置。
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