JP6108602B2 - 高周波焼入れ方法、並びに、半開放型の誘導加熱用コイル - Google Patents

高周波焼入れ方法、並びに、半開放型の誘導加熱用コイル Download PDF

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Description

本発明は、外形が球形や樽形の鉄鋼製品を誘導加熱によって熱処理する高周波焼入れ方法、並びに、外形が球形や樽形の鉄鋼製品を誘導加熱する際に用いられる半開放型の誘導加熱用コイルに関するものである。
鉄鋼製品(以下 ワークと称する)の全周面を誘導加熱する誘導加熱用コイルが、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1に開示された誘導加熱用コイルは、回転中のワークに近接して使用される。
特許文献1に開示されている誘導加熱用コイル90は、概ね図21に示す様な形状をしている。なお、図21では、誘導加熱用コイル90を優先して描写する都合上、ワーク95を二点鎖線で描写している。
誘導加熱用コイル90は、ワーク95の回転軸方向にのびる2つの直線部91a、91bを有している。そして誘導加熱用コイル90では、主としてこの直線部91a、91bを使用してワーク95に誘導電流を励起させる。即ち誘導加熱用コイル90では、回転軸方向にのびる直線部91a、91bが有効作用部である。
そのため誘導加熱用コイル90を使用してワーク95を加熱する際には、ワーク95を回転させなければならない。
即ち誘導加熱用コイル90の有効作用部は、回転軸方向にのびる直線部91a、91bであるから、ワーク95は、側面が線状に昇温される。即ちその誘導加熱用コイル90によって昇温されるのは、誘導加熱用コイル90の直線部91a、91bに対向する部位だけであるから、昇温部位は、ワーク95の側面であって、回転軸方向にのびる線である。
特許文献1に開示された誘導加熱用コイル90を使用する際には、ワーク95を回転させ、昇温部位を移動させてワーク95の側面の全周を満遍なく昇温させる。
特開2007−204814号公報
特許文献1に開示されているような誘導加熱用コイル90は、小径のワークを加熱する際には申し分の無い機能を有している。しかしながら、特許文献1に開示されているような誘導加熱用コイル90は、大径のワークを加熱するのには向かない。
すなわち、特許文献1に開示されているような誘導加熱用コイル90は、回転軸方向にのびる直線部91a、91bを利用してワーク95を昇温させるから、ワーク95の側面の全周を満遍無く昇温させるためには、ワーク95を一定以上の角速度で回転させる必要がある。すなわちワーク95の特定の部位は、ワーク95が一回転するごとに、直線部91a、91bが各一回ずつ近接して昇温する。そのためワーク95を満遍なく昇温させるためには、ワーク95を一定以上の角速度で回転させ、単位時間あたりの直線部91a、91bの近接回数を均一化させる必要がある。
ここで、小径のワークであるならば、一定以上の角速度で回転させることは容易である。即ち小径のワークであるならば、高い回転数(r.p.m.)で回転させることは容易である。
しかしながら、大径のワークを一定以上の角速度(高い回転数)で回転させると、ワークの周速が過度に大きくなってしまう。また大径のワークは、質量も大きい。さらに直径の大きさと質量の大きさが相まって、ワークの遠心力が過度に大きくなる。
そのため大径のワークを一定以上の角速度(高い回転数)で回転させるには、強い動力が必要な他、回転させる装置に高い剛性が必要である。また大径のワークを一定以上の角速度(高い回転数)で回転させるのは危険を伴う。
そのため特許文献1に開示されているような誘導加熱用コイル90は、大径のワークを加熱するのには向かないと言える。
また、図22(a)、(b)に示す様な、樽形のワーク98では、ワーク98の中央部98aの直径は、各端部98b、98cの直径よりも大きい。誘導加熱用コイル92の直線部92a、92bを、特許文献1に開示されている直線部91a、91bに習って、樽形のワーク98における一方の端部98bから他方の端部98cに至るまで近接対向させると、ワーク98の中央部98aと、各端部98b、98cに励起される誘導電流の大きさは同じになる。そのため、体積が大きい中央部98aは昇温しにくく、体積が小さい各端部98b、98cは昇温し易い。よって、誘導加熱用コイル92では、樽形のワーク98を一様に昇温させることができない。
そこで本発明は、外形が樽形で、中心に貫通孔が設けられたワークの外面と内面を均等に焼入れすることができる高周波焼入れ方法を提供すること、並びに、当該ワークを誘導加熱することができる半開放型の誘導加熱用コイルを提供することを目的としている。
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、中心部に軸方向に延びる孔又は凹部を有すると共に、軸方向の端部の肉厚が、軸方向の中央側に比べて薄いワークを誘導加熱によって焼入れする高周波焼入れ方法において、ワークの外周面と前記孔又は凹部の内周面の少なくともいずれか一方と、ワークの軸方向の端部における底部を散点的に支持した状態でワークを回転させ、ワークの外周面側に半開放型の誘導加熱用コイルを近接し、前記孔又は凹部内には、別の誘導加熱用コイルを配置して前記二つの誘導加熱コイルに同時に高周波電流を通電してワークの外周面と内周面とを同時に誘導加熱するものであり、前記半開放型の誘導加熱用コイルは、軸方向成分よりも周方向成分の方が多くてワークに沿って概ね周方向にのびる周方向ラインを複数有し、ワークに対して軸方向の端部側の周方向ラインの長さが、ワークに対して軸方向の中央側の周方向ラインの長さよりも短い、又は、端部側の隣接する周方向ライン同士の中心間隔よりも中央部側の隣接する周方向ライン同士の中心間隔の方が狭いものであることを特徴とする高周波焼入れ方法である。
請求項1に記載の発明では、ワークの外周面と前記孔又は凹部の内周面の少なくともいずれか一方と、ワークの軸方向の端部における底部を散点的に支持するので、ワークと支持部の接触面積が小さい。よって、誘導加熱されて昇温したワークの熱が、支持部を介して逃げにくい。すなわち、ワークの温度が低下しにくい。また、ワークの軸方向の端部における底部、及び前記孔又は凹部の内周面を散点的に支持するので、ワークの回転が安定する。
ワークの外周面側に半開放型の誘導加熱コイルを近接し、前記孔又は凹部内には、誘導加熱コイルを配置して前記二つの誘導加熱コイルに同時に高周波電流を通電してワークの外周面と内周面とを同時に誘導加熱するので、ワークの外周面と内周面とが同時に昇温する。そのため、ワーク表面において温度分布が生じにくい。
半開放型の誘導加熱コイルは、軸方向成分よりも周方向成分の方が多くてワークに沿って概ね周方向にのびる周方向ラインを複数有するので、ワークが回転すると、ワークの各部位は、周方向ラインに近接対向している間、誘導加熱される。
そして、ワークに対して軸方向の端部側の周方向ラインの長さが、ワークに対して軸方向の中央側の周方向ラインの長さよりも短い、又は、端部側の隣接する周方向ライン同士の中心間隔よりも中央部側の隣接する周方向ライン同士の中心間隔の方が狭いので、ワークの端部側は、中央部側と比較して加熱量が少ない。
ところが、ワークの軸方向の端部の肉厚は、軸方向の中央側に比べて薄い。すなわち、肉厚が薄い端部側の加熱量は少なく、肉厚が厚い中央部側の加熱量が多いので、ワークの端部側と中央部側は、同程度に昇温する。
そのため、ワークは、全体として略均一に昇温し、偏りなく良好に焼入れされる。
請求項2に記載の発明は、ワークの前記孔又は凹部の内周面を、付勢しつつ支持することを特徴とする請求項1に記載の高周波焼入れ方法である。
誘導加熱されたワークは、昇温して膨張する。すなわち、軸方向の孔又は凹部の径は拡大する。
そこで、請求項2に記載の発明では、ワークの孔又は凹部の内周面を、付勢しつつ支持するので、ワークの孔又は凹部の径が拡大しても、ワークの支持は安定している。
請求項3に記載の発明は、近接する周方向ラインには、高周波電流が同期して同方向に流れることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の高周波焼入れ方法である。
請求項3に記載の発明では、近接する周方向ラインには、高周波電流が同期して同方向に流れるので、各周方向ラインによってワークに励起される誘導電流が相殺されない。よって、ワークを良好に誘導加熱することができる。
請求項4に記載の発明は、前記二つの誘導加熱コイルに供給される電力と高周波電流の周波数が相違していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の高周波焼入れ方法である。
請求項4に記載の発明では、二つの誘導加熱コイルに供給される電力と高周波電流の周波数が相違しているので、両加熱コイルによってワークに励起される誘導電流同士が干渉し合うことがない。そのため、ワークは良好に誘導加熱される。
請求項5に記載の発明は、誘導加熱後、ワークを冷却液槽に浸漬して急冷することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の高周波焼入れ方法である。
請求項5に記載の発明では、誘導加熱後、ワークを冷却液槽に浸漬して急冷するので、大型のワークであっても、略均一に急冷することができる。そして、ワークの外周面と内周面を略均一に焼入れすることができる。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれかの高周波焼入れ方法を実施する半開放型の誘導加熱用コイルであって、前記半開放型の誘導加熱用コイルは、ワークに近接させてワークに誘導電流を励起させる誘導部を有し、回転軸を中心として回転するワークを誘導加熱してワークを熱処理するものであり、前記誘導部は、所定面積を囲む環状構造を形成する外部側環状部と、外部側環状部の内側に配置され所定面積を囲んで環状構造を形成する内部側環状部を有し、外部側環状部と内部側環状部とが電気的に直列接続された構造であり、外部側環状部と内部側環状部は、いずれもワークの回転軸に対して平行方向に沿った軸方向成分を有する軸方向ラインと回転方向に沿った周方向成分を有する周方向ラインによって構成されており、前記周方向ラインは、軸方向成分よりも周方向成分の方が多くワークに対して概ね周方向にのびており、前記軸方向ラインは、周方向成分よりも軸方向成分の方が多くワークに対して概ね軸方向にのびており、誘導加熱用コイルの中心線を前記回転軸の中心線に合致させて誘導加熱用コイルを正面視した際、外部側環状部には環状構造の一部を構成し外部側環状部の中心線の左側にある二列の周方向ラインによって左側に突出した外環左突出部があり、且つ外部側環状部には環状構造の一部を構成し外部側環状部の中心線の右側にある二列の周方向ラインによって右側に突出した外環右突出部があり、内部側環状部にも環状構造の一部を構成し内部側環状部の中心線の左側にある二列の周方向ラインによって左側に突出した内環左突出部があり、且つ内部側環状部には環状構造の一部を構成し内部側環状部の中心線の右側にある二列の周方向ラインによって右側に突出した内環右突出部があり、中心線の左側にある前記外環左突出部及び前記内環左突出部から成る左突出部の回転軸方向の位置と、中心線の右側にある前記外環右突出部及び前記内環右突出部から成る右突出部の回転軸方向の位置とがずれていることを特徴とする半開放型の誘導加熱用コイルである。
すなわち本発明は、高周波焼入れ方法を実施する半開放型の誘導加熱用コイルであって、前記半開放型の誘導加熱用コイルは、ワークに近接させてワークに誘導電流を励起させる誘導部を有し、回転軸を中心として回転するワークを誘導加熱してワークを熱処理するものであり、前記誘導部は、中間に所定面積を囲む環状構造を形成する外部側環状部と、外部側環状部の内側に配置され中間に所定面積を囲んで環状構造を形成する内部側環状部を有し、外部側環状部と内部側環状部とが電気的に直列接続された構造であり、外部側環状部と内部側環状部は、いずれもワークの回転軸に対して平行方向に沿った軸方向成分と回転方向に沿った周方向成分の少なくともいずれかを備えた複数のラインによって構成されており、前記ラインには、軸方向成分よりも周方向成分の方が多くワークに対して概ね周方向にのびる周方向ラインと、周方向成分よりも軸方向成分の方が多くワークに対して概ね軸方向にのびる軸方向ラインとがあり、誘導加熱用コイルの中心線を前記回転軸の中心線に合致させて誘導加熱用コイルを正面視した際、外部側環状部には環状構造の一部を構成し中心線の左側にある二列の周方向ラインによって左側に突出した外環左突出部があり、且つ外部側環状部には環状構造の一部を構成し外部側環状部の中心線の右側にある二列の周方向ラインによって右側に突出した外環右突出部があり、内部側環状部にも環状構造の一部を構成し中心線の左側にある二列の周方向ラインによって左側に突出した内環左突出部があり、且つ内部側環状部には環状構造の一部を構成し内部側環状部の中心線の右側にある二列の周方向ラインによって右側に突出した内環右突出部があり、中心線の左側にある前記外環左突出部及び前記内環左突出部から成る左突出部の回転軸方向の位置と、中心線の右側にある前記外環右突出部及び前記内環右突出部から成る右突出部の回転軸方向の位置とがずれている半開放型の誘導加熱用コイルである。
請求項6に記載の発明の半開放型の誘導加熱用コイルは、複数の周方向ラインを有しており、各周方向ラインは、ワークに対して概ね周方向にのび、それぞれワークの回転軸方向にずれて配置されている。よって、ワークにおける周方向ラインの対向領域に誘導電流を励起させることができる。そして、回転するワークの外周面の全周囲に渡って誘導電流を励起させることができる。そのため、ワークが比較的大径で、誘導加熱時のワーク回転速度が低速であっても、ワークの外周面を良好に誘導加熱することができる。
本発明の高周波焼入れ方法では、中心部に軸方向に延びる孔又は凹部を有すると共に、軸方向の端部の肉厚が、軸方向の中央側に比べて薄いワークの外周面と内周面とを良好に高周波焼入れすることができる。すなわち、ワークの端部側の加熱量が比較的少なく、中央部側の加熱量が比較的多くなり、ワーク全体として略均一に昇温し、ワークは略均一に誘導加熱され、高周波焼入れされる。
また、本発明の半開放型の誘導加熱用コイルは、周方向ラインがワークの回転軸回りの外周面の周方向に沿って配置され、ワークにおける周方向ラインの対向領域に誘導電流を励起させることができる。そのため、ワークが比較的大径で、誘導加熱時のワーク回転速度が低速であっても、ワークの外周面を良好に誘導加熱することができる。
誘導加熱装置の回路図である。 ワークの支持装置の斜視図である。 (a)は、図2の支持装置に設けられた載置部材に、ワークが載置されている状態を示す拡大断面図であり、(b)は、(a)において、昇温し膨張したワークの内周面に矯正部材が追従している状態を示す断面図である。 支持装置に載置されたワークに、内面用誘導加熱用コイルと外面用誘導加熱用コイルを近接配置した状態を示す斜視図である。 (a)は、湾曲する外面用誘導加熱用コイルを平面的に展開した状態の正面図であり、(b)は、湾曲した外面用誘導加熱用コイルの正面図である。 外面用誘導加熱用コイルの誘導部の、外部側環状部の正面図である。 外面用誘導加熱用コイルの誘導部の、内部側環状部の正面図である。 樽形のワークの斜視図である。 外面用誘導加熱用コイルの誘導部の上突出部の斜視図である。 上突出部の分解斜視図である。 外面用誘導加熱用コイルの誘導部の左突出部の斜視図である。 左突出部の分解斜視図である。 外面用誘導加熱用コイルの誘導部の右突出部の斜視図である。 右突出部の分解斜視図である。 外面用誘導加熱用コイルの誘導部の下突出部の斜視図である。 下突出部の分解斜視図である。 図8のワークの、中心角180度分の外面を、平面状に仮想的に展開して示した正面図である。 外面用誘導加熱用コイルの中心線を、ワークの回転軸の中心に合致させて、外面用誘導加熱用コイルを、ワークの回転軸を中心に回転させた場合を想定したとき、各周方向ラインの一方の端部の横断面が正面視される位置を示す仮想図である。 スケルトン化した外面用誘導加熱用コイルの斜視図である。 外面用誘導加熱用コイルと内面用誘導加熱用コイルを対向配置した、球面すべり軸受の縦断面図である。 従来の誘導加熱用コイルを円柱形のワークに近接対向させた状態を示す斜視図である。 (a)は、従来の誘導加熱用コイルに習って、樽形のワークに誘導加熱用コイルを近接対向させた状態を示す斜視図であり、(b)は、(a)のワークに誘導加熱用コイルを近接配置した状態の平面図である。
最初に、本実施形態で熱処理するワーク40について説明する。ワーク40は、図8に示す様に、樽形状の外周面40aを有している。ワーク40は、図8の回転軸41を中心とする回転体である。
ワーク40における、回転軸41がのびる方向の両端には、平坦な端部55a、55bが設けられている。また、ワーク40には、端部55a側から端部55b側へ、回転軸41がのびる方向に貫通する貫通孔56が設けられている。貫通孔56によって、ワーク40には内周面40bが形成されている。
次に、ワーク40を熱処理する為の装置について説明する。
ワーク40を熱処理する為の各装置は、ワーク40を支持した状態で回転させる支持装置65(図2)と、ワーク40を誘導加熱するための誘導加熱装置103(図1)に分けられる。
支持装置65は、前記した様にワーク40を支持した状態で回転させる装置であり、図2に示す様に回転駆動装置58と支持台88によって構成されている。
回転駆動装置58は、モータによって回転駆動される。
そして回転駆動装置58の上に支持台88が配置されている。支持台88の中心は、回転駆動装置58の回転中心と一致している。
図4は、支持台88に前記したワーク40が支持されている状態を図示している。
即ちワーク40は、ワーク40の端部55bが下に、端部55aが上になる姿勢で支持台88によって支持されている。
図2に示す様に、支持台88は、環状の上板66、下板67、複数の支柱68、複数の押圧部材69、複数の載置部材70を有している。
そして前記した各支柱68は、等間隔で配置されており、前記上板66の下面と下板67の上面が、それぞれ各支柱68の上端と下端に固定されている。すなわち、上板66と下板67が、各支柱68を介して固定されている。
上板66の上面71には、複数(図2に示す例では4つ)の載置部材70が等間隔に設けられている。本実施形態では、載置部材70は、上面71上であって、一定半径の円周上に配されている。また、各載置部材70よりもやや内周側であって、各載置部材70の両脇側にそれぞれ押圧部材69が配置されている。
まず、前者の載置部材70について説明する。図3(a)に示す様に、載置部材70は、固定部材72と支持部材73によって構成されている。
前者の固定部材72は、上板66の上面71上で起立する板状の部材である。固定部材72の下端は、上板66の上面71に対して一体固着されている。
後者の支持部材73は、セラミックス等の絶縁性を有する素材で構成された細長い四角柱状の部材である。支持部材73は、鉛直姿勢で固定部材72に対してねじ止めされている。そのため支持部材73は、上板66に対して一体的に固定されている。なお支持部材73の上端は、固定部材72の上端よりも上方へ突出している。
次に押圧部材69について説明する。押圧部材69は、図2に示す様に、上板66の上面71上の一定の円周上に並ぶものであり、前記した各載置部材70よりも上板66の中心寄りの位置であって、各載置部材70の両側に配置されている。
図3(a)に示す様に、押圧部材69は、固定部材74、支持部材75、当接部材76等を有している。固定部材74は、上板66の上面71上で起立する板状の部材である。固定部材74には、孔85a、85bが設けられている。固定部材74の下端は、上板66の上面71に対して一体固着されている。
支持部材75は、L字形状を呈する板状の部材である。支持部材75のL字の直線部分の一端が、固定部材74の側面74aに一体固着されており、支持部材75のL字の他端は、上方を向いている。すなわち、支持部材75は、鉛直方向にのびる起立片75aを有している。起立片75aと固定部材74は平行であり、間に間隙79が形成されている。起立片75aには、孔86a、86bが設けられている。孔86a、86bは、各々固定部材74の孔85a、85bと同芯である。
当接部材76は、セラミックス等の絶縁性を有する素材で構成された細長い四角柱状の部材であり、突出部76aを有している。突出部76aは、当接部材76の一端に形成されており、長手方向と直交する方向に突出している。また、当接部材76には、孔87a、87bが設けられている。
当接部材76は、2組のボルト77aとナット77bで、固定部材74及び支持部材75に固定されている。すなわち、当接部材76の孔87a、87bが、固定部材74の孔85a、85b、及び支持部材75の孔86a、86bと同芯となるように一致しており、これらの各孔をボルト77aが貫通し、ボルト77aとナット77bとが螺合している。当接部材76の幅は、間隙79の幅よりも小さい。また、ボルト77aにはばね78が装着されている。ばね78は、固定部材74の側面74aと、当接部材76の間であって、間隙79内に配置されている。ばね78は、固定部材74の側面74aと、当接部材76の間に縮設されている。すなわち、当接部材76は、常時、起立片75a側へ付勢されている。
前述したワーク40は、図4に示す様に、前記支持台88上に載置されている。
即ちワーク40の端部55b(下端)は、支持台88の上板66の上面71上に均等間隔に配された載置部材70の支持部材73上に載置されている。本実施形態では、載置部材70は、支持台88の円周上の4箇所に設けられている。すなわち、ワーク40は、4箇所に配された載置部材70によって支持されている。換言すると、ワーク40の下端55b(図3(a))が、複数の載置部材70によって、不連続に支持されている。
また、図3(a)に示す様に、ワーク40の内周面40bの下端近傍には、押圧部材69の当接部材76の突出部76aが当接している。当接部材76は、ワーク40の内周面40bを押圧した結果、ばね78の付勢力に抗して、自身が固定部材74側へ移動している。そして、当接部材76と起立片75aの間には隙間が生じている。
ワーク40は、4つの載置部材70によって、下端である端部55bが支持されており、さらに内周面40bが、押圧部材69によって押圧されている。すなわち、各載置部材70の両側に配置された各押圧部材69は、ワーク40の内周面40bを半径方向外側へ押圧している。そのため、支持台88によるワーク40の支持は、安定している。
図3(a)、図3(b)では、押圧部材69によってワーク40の内周面40bを半径方向外側へ押圧する例を示したが、図示しない別の押圧部材を設けて、ワーク40の外周面40aを半径方向内側へ押圧することによって、ワーク40を支持してもよい。
次に誘導加熱装置103について説明する。
図1に示す様に、誘導加熱装置103は、内面用誘導加熱装置101と外面用誘導加熱装置102とで構成されている。内面用誘導加熱装置101は、後述の様にワーク40の貫通孔56内に配置されて、ワーク40の内周面40bを誘導加熱するものである。
一方、外面用誘導加熱装置102は、ワーク40の外周面40aに近接配置されて、外周面40aを誘導加熱するものである。以下、誘導加熱装置103の構成を順に説明する。
図1に示す様に、内面用誘導加熱装置101は、高周波電源83aと、内面用誘導加熱用コイル61を有している。高周波電源83aは、交流電源80aと、高周波発振器81aと、トランス82aで構成されている。高周波電源83aは、交流電源80aの交流を、高周波発振器81aによって高周波化し、さらにトランス82aで変圧して、トランス82aの二次側に高周波電流を出力する機能を有する。
内面用誘導加熱用コイル61は、中空の銅合金等の良導体からなるリード62a、62bと、螺旋状の誘導部63とを有する。リード62aは、誘導部63の螺旋の中心付近を直線状に貫通し、誘導部63の一方の端部に接続されている。リード62bは、誘導部63の他方の端部に接続されている。そして、リード62a、62bは、図示しない接続端子を介して、トランス82aの二次側に接続されている。そのため、内面用誘導加熱用コイル61には、リード62a、62bを介して、高周波電源83aから高周波電流が供給される。また、内面用誘導加熱用コイル61には、図示しない冷却液供給源から冷却液が循環供給される。
内面用誘導加熱用コイル61は、図示しない駆動装置によって、ワーク40から離間した位置と、ワーク40の貫通孔56内の間を、ワーク40の回転軸41がのびる方向(図4で見て上下方向)に、往復移動することができる。また、内面用誘導加熱装置101は、図示しない制御装置によって、高周波電源83aのONとOFFとが切り替えられている。
次に誘導加熱装置103の外面用誘導加熱装置102について説明する。外面用誘導加熱装置102は、図1に示す様に、交流電源80bと、外面用誘導加熱用コイル1を有している。高周波電源83bの構造及び機能は、先に説明した高周波電源83aと同一であり、交流電源80bの交流を、高周波発振器81bによって高周波化し、さらにトランス82bで変圧して、トランス82bの二次側へ高周波電流を出力する機能を有するものである。
外面用誘導加熱用コイル1は、中空の銅合金等の良導体からなるリード2a、2bと誘導部3とを有する。誘導部3は、詳しくは後述するように、複数の導体が枝分かれせずに次々に接続されて構成されており、その両端にリード2a、2bが接続されている。リード2a、2bは、図示しない接続端子を介して、トランス82bの二次側に接続されている。そのため、外面用誘導加熱用コイル1は、リード2a、2bを介して、高周波電源83bから高周波電流が供給される。また、リード2a、2bと、誘導部3の内部には、図示しない冷却液供給源から冷却液が循環供給される。
外面用誘導加熱用コイル1は、図示しない駆動装置によって、ワーク40から離間した位置と、ワーク40の外周面40aに近接する位置の間を、回転軸41と直交する方向に往復移動することができる。また、外面用誘導加熱装置102は、図示しない制御装置によって、高周波電源83bのONとOFFとが切り替えられている。
内面用誘導加熱用コイル61と、外面用誘導加熱用コイル1とでは、供給される電力と高周波電流の周波数とが相違している。すなわち、内面用誘導加熱用コイル61には、高周波電源83aから、例えば、200〜450kw、5〜10kHzの高周波電流が供給され、外面用誘導加熱用コイル1には、高周波電源83bから、例えば、150〜450kw、4〜8kHzの高周波電流が供給される。
次に外面用誘導加熱用コイル1の誘導部3の形状について説明する。
誘導部3は、ワーク40の周方向(水平方向)に沿うラインと、ワーク40の上下方向に沿うラインによって構成されている。
ワーク40の周方向に沿うラインは、当然に湾曲している。また本実施形態で加熱するワーク40は、樽型であるから、ワーク40の上下方向に沿うラインについても湾曲している。そのため、本実施形態の外面用誘導加熱用コイル1の誘導部3は、直線のラインを持たず、全てのラインが湾曲している。
しかしながら、湾曲した状態のラインを図示することが困難であり、且つ各ラインの長さの関係を図示することは困難であるから、便宜上、図5(a)に展開図を示し、各部材の位置関係を説明する。
また各ラインの名称は、次の定義に従う。
(1)誘導部3は、二重の囲みがあって渦巻き形状となっており、その外側の囲いを「外部側環状」と称し、内側の囲いを「内部側環状」と称する。またこれらをそれぞれ「外環」、「内環」と略称する。また単に「外」、「内」と略称する場合もある。
(2)ワークに対して概ね周方向(水平方向)にのびるラインを「周方向ライン」と称し、ワークに対して概ね軸方向にのびるラインを「軸方向ライン」と称する。
(3)各囲みの展開図を概観したとき、左側に突出する部分を「左突出部」と称し、右側に突出する部分を「右突出部」と称する。
(4)各囲みの展開図を概観したとき、上側に突出する部分を「上突出部」と称し、下側に突出する部分を「下突出部」と称する。
(5)各囲みの中で、最も上側にある「周方向ライン」を「上周方向ライン」と称し、最も下側にある「周方向ライン」を「下周方向ライン」と称する。
(6)各囲みの中で、中間にある2本の「周方向ライン」を「中上周方向ライン」「中下周方向ライン」と称する。
(7)各囲みの中で、最も上側にある軸方向ラインを「上軸方向ライン」と称し、最も下側にある軸方向ラインを「下軸方向ライン」と称し、中間にある軸方向ラインを「中軸方向ライン」と称する。
図5(a)に示す様に、誘導部3は、二重の囲みがあって渦巻き形状となっている。前記した定義に従うと、誘導部3は、環状構造を形成する外部側環状部4と内部側環状部5とを有している。図5(a)に示す様に、外部側環状部4は、内部側環状部5の外側に配置されている。
外部側環状部4と内部側環状部5は、電気的に直列に接続されている。誘導部3は、外部側環状部4と内部側環状部5とが、図5(a)に示す様に接続されている。なお実際には、前記した様に全てのラインが湾曲しているから、図5(b)に示す様に、矢印A1方向と矢印A2方向に湾曲している。
誘導部3は、周方向成分と、周方向成分と直交する(交差する)方向の軸方向成分のうちの少なくともいずれかを有する複数の部材(ライン)が連結されて構成されている。周方向とは、図1、図4、図5(a)、図8において矢印A1で示す方向であり、回転するワーク40(図8)の外周面40aに対して回転方向に沿う方向である。軸方向成分とは、図1、図4、図8において矢印A2で示す方向であり、回転するワーク40(図8)の外周面40aに沿って、回転軸方向の一方の端部55a(図8)から他方の端部55b(図8)に向かう方向である。
前記した定義に従うと、誘導部3は、「周方向ライン」と「軸方向ライン」とが組み合わされたものであると言える。
本実施形態では、誘導部3を構成するラインは、中空形状である。誘導部3を構成するラインの断面形状の外形は、「周方向ライン」と「軸方向ライン」とで異なり、「周方向ライン」の断面形状は、図9に示す様に円形であり、「軸方向ライン」の断面形状は、図9に示す様に四角形である。
誘導部3は、「周方向ライン」を構成する中空で断面の外形が円形の部材と、「軸方向ライン」を構成する中空で断面の外形が四角形の部材を個別に成形し、これらを順次溶接して環状に繋いだものである。
図5(a)、図6、図7に示す様に、外部側環状部4と内部側環状部5は、いずれも上下と左右に突出している。前記した定義に従うと、図6に示す様に、外部側環状部4は、外側上突出部10、外側左突出部12(外環左突出部)、外側右突出部13(外環右突出部)、外側下突出部11を有している。
また内部側環状部5は、図7に示す様に、内側上突出部14、内側下突出部15、内側左突出部16(内環左突出部)、内側右突出部17(内環右突出部)を有している。
外部側環状部4と内部側環状部5は、類似した形状であるから、先に外部側環状部4の形状について説明する。前記した様に、外部側環状部4は、外側上突出部10、外側左突出部12、外側右突出部13、外側下突出部11を有している。
そして外側上突出部10は、図6に示す様に、外側左上軸方向ライン18と、外側右上軸方向ライン19と、外上周方向ライン20a、20bによって構成されている。
外上周方向ライン20a、20bを構成する部材(溶接する前の部材)は、前記した様に断面が円形であり、且つ中空である。外上周方向ライン20a、20bの方向は、ワーク40(図8)の外周面40aに対して、主に周方向に沿うように湾曲している。
外側左上軸方向ライン18を構成する部材(溶接する前の部材)は、断面が四角形の管状の部材である。図10に示す様に、外側左上軸方向ライン18を構成する部材は、前記した様に断面が四角形であり、且つ中空である。外側左上軸方向ライン18を構成する部材(溶接する前の部材)は、対向壁18cと、側壁18a、18bを有している。外側左上軸方向ライン18を構成する部材(溶接する前の部材)の側壁18aには、孔39aが設けられている。また、側壁18bには、孔39bが設けられている。孔39aは、外側左上軸方向ライン18を構成する部材の一方の端部付近に配置されており、孔39bは、他方の端部付近に配置されている。側壁18a、18bは、互いに対向しており、共に対向壁18cと直交して接続されている。対向壁18cは、図8に示すワーク40に対向する壁である。外側左上軸方向ライン18は、ワーク40の外周面40aに対して、主に矢印A2で示す軸方向に沿うように湾曲している。外側左上軸方向ライン18の両端部は閉塞されており、側壁18aの孔39aと、側壁18bの孔39bが、外側左上軸方向ライン18内の冷却液の出入口となっている。
外側右上軸方向ライン19を構成する部材(溶接する前の部材)は、外側左上軸方向ライン18と同様の構造を有する管状部材である。すなわち、外側右上軸方向ライン19は、ワーク40(図8)に対向する対向壁19cと、側壁19a、19bを有している。側壁19aには孔42aが設けてあり、側壁19bには孔42bが設けてある。外側右上軸方向ライン19は、外側左上軸方向ライン18よりもA2方向の長さが長い。
外上周方向ライン20aの一端は、リード2aの孔38a(図10)に接続されている。また、外上周方向ライン20aの他端は、外側左上軸方向ライン18の孔39a(図10)に接続されている。同様に、外上周方向ライン20bの一端は、リード2bの孔38b(図10)に接続されており、他端は、外側右上軸方向ライン19の孔42a(図10)に接続されている。リード2a、2bは近接しているが、接触はしていない。
外側左上軸方向ライン18を構成する部材(溶接する前の部材)の孔39b(図10)には、後述の外側左突出部12の外側左周方向ライン24aの一端が接続されている。また、外側右上軸方向ライン19の孔42bには、後述の右突出部9の外側右周方向ライン26aの一端が接続されている。
図6、図11に示す様に、外側左突出部12は、外側左周方向ライン24a、24bと、外側左軸方向ライン25とによって構成されている。
外側左周方向ライン24a、24bを構成する部材(溶接する前の部材)は、断面が円形で、ワーク40(図8)の外周面40aに対して、主に矢印A1(図6)で示す周方向に沿うことができるように湾曲した部位である。図6、図11に示す様に、上側の外側左周方向ライン24aの方が、下側の外側左周方向ライン24bよりも短い。
図12に示す様に、外側左軸方向ライン25を構成する部材(溶接する前の部材)は、断面が四角形の管状部材であり、対向壁25aと側壁25bを有する。対向壁25aは、ワーク40(図8)の外周面40aに対向する壁である。外側左軸方向ライン25を構成する部材(溶接する前の部材)は、ワーク40の外周面40aに対して、主に矢印A2(図6)で示す軸方向に沿って湾曲している。側壁25bは、対向壁25aと直交して連続する壁である。側壁25bの両端付近には、各々孔45a、45bが設けられている。外側左軸方向ライン25の両端は閉塞されており、孔45a、45bが、外側左軸方向ライン25内の冷却液の出入口となっている。
上側の外側左周方向ライン24aを構成する部材(溶接する前の部材)の一端は、孔45aと連通するように、外側左軸方向ライン25を構成する部材と接続されている。外側左周方向ライン24aの他端は、前述の外側左上軸方向ライン18の孔39bと連通するように、外側左上軸方向ライン18と接続されている。
下側の外側左周方向ライン24bを構成する部材(溶接する前の部材)の一端は、孔45bと連通するように、外側左軸方向ライン25を構成する部材と接続されている。外側左周方向ライン24bの他端は、後述の外側左下軸方向ライン21の孔46aと連通するように、外側左下軸方向ライン21と接続されている。
図6、図13に示す様に、外側右突出部13は、外側右周方向ライン26a、26bと、外側右軸方向ライン27とによって構成されている。
外側右周方向ライン26a、26bを構成する部材(溶接する前の部材)は、断面が円形で、ワーク40(図8)の外周面40aに対して、主に矢印A1(図6)で示す周方向に沿うことができるように湾曲した管状部材である。図6、図13に示す様に、上側の外側右周方向ライン26aの方が、下側の外側右周方向ライン26bよりも長い。
図14に示す様に、外側右軸方向ライン27を構成する部材(溶接する前の部材)は、断面が四角形の管状部材であり、対向壁27aと側壁27bを有する。対向壁27aは、ワーク40(図8)の外周面40aに対向する壁である。外側右軸方向ライン27を構成する部材は、ワーク40の外周面40aに対して、主に矢印A2(図6)で示す軸方向に沿って湾曲している。側壁27bは、対向壁27aと直交して連続する壁である。側壁27bの両端付近には、各々孔49a、49bが設けられている。外側右軸方向ライン27の両端は閉塞されており、孔49a、49bが、外側右軸方向ライン27内の冷却液の出入口となっている。
上側の外側右周方向ライン26aを構成する部材(溶接する前の部材)の一端は、孔49aと連通するように、外側右軸方向ライン27を構成する部材と接続されている。外側右周方向ライン26aの他端は、前述の外側右上軸方向ライン19の孔42bと連通するように、外側右上軸方向ライン19と接続されている。
下側の外側右周方向ライン26bを構成する部材(溶接する前の部材)の一端は、孔49bと連通するように、外側右軸方向ライン27を構成する部材と接続されている。外側右周方向ライン26bの他端は、後述の外側右下軸方向ライン22と接続されている。
図6、図15に示す様に、外側下突出部11は、外側左下軸方向ライン21、外側右下軸方向ライン22、外下周方向ライン23とによって構成されている。
図16に示す様に、外側左下軸方向ライン21を構成する部材(溶接する前の部材)は、断面が四角形の管状部材であり、対向壁21cと、側壁21a、21bを有している。側壁21aには、孔46aが設けられている。また、側壁21bには、孔46bが設けられている。孔46aは、外側左下軸方向ライン21を構成する部材の一方の端部付近に配置されており、孔46bは、他方の端部付近に配置されている。側壁21a、21bは、互いに対向しており、共に対向壁21cと直交して接続されている。対向壁21cは、ワーク40(図8)の外周面40aに対向する壁である。外側左下軸方向ライン21を構成する部材は、ワーク40の外周面40aに対して、主に矢印A2(図6)で示す軸方向に沿って湾曲している。外側左下軸方向ライン21の両端部は閉塞されており、側壁21aの孔46aと、側壁21bの孔46bが、外側左下軸方向ライン21内の冷却液の出入口となっている。
外側右下軸方向ライン22を構成する部材(溶接する前の部材)は、外側左下軸方向ライン21を構成する部材(溶接する前の部材)と同様の構造を有する管状部材である。すなわち、外側右下軸方向ライン22は、図16に示す様に、ワーク40(図8)に対向する対向壁22cと、側壁22a、22bを有する。側壁22aには、孔51aが設けてある。また、側壁22bには、孔51bが設けてある。孔51aは、外側右下軸方向ライン22の一方の端部付近に配置されており、孔51bは、他方の端部付近に配置されている。側壁22a、22bは、互いに対向しており、共に対向壁22cと直交して接続されている。外側右下軸方向ライン22の両端は閉塞されており、側壁22aの孔51aと、側壁22bの孔51bが、外側右下軸方向ライン22内の冷却液の出入口となっている。
外側左下軸方向ライン21は、外側右下軸方向ライン22よりも長い。
外下周方向ライン23を構成する部材(溶接する前の部材)は、断面が円形で、ワーク40(図8)の外周面40aに対して、主に矢印A1(図6)で示す周方向に沿うことができるように湾曲した管状部材である。外下周方向ライン23を構成する部材の一端は、外側右下軸方向ライン22を構成する部材(溶接する前の部材)の孔51aと連通するように、外側右下軸方向ライン22と接続されている。また、外下周方向ライン23を構成する部材の他端は、後述する内側左下軸方向ライン31を構成する部材(溶接する前の部材)の孔48bと連通するように、内側左下軸方向ライン31と接続されている。すなわち、外側左下軸方向ライン21と外下周方向ライン23は、接続されていない。
外部側環状部4は、以上説明した構成を備えている。次に内部側環状部5の構成について説明する。
図7に示す様に、内部側環状部5は、内側上突出部14、内側下突出部15、内側左突出部16、内側右突出部17とによって構成されている。
図7、図9に示す様に、内側上突出部14を構成する部材(溶接する前の部材)は、内側左上軸方向ライン28と、内側右上軸方向ライン29と、内上周方向ライン30を有する。
内上周方向ライン30を構成する部材(溶接する前の部材)は、断面が円形で、ワーク40(図8)の外周面40aに対して、主に矢印A1(図7)で示す周方向に沿うように湾曲した管状部材である。
内側左上軸方向ライン28を構成する部材(溶接する前の部材)は、断面が四角形の管状部材である。図10に示す様に、内側左上軸方向ライン28は、対向壁28cと、側壁28a、28bを有している。側壁28aには、孔43aが設けられている。また、側壁28bには、孔43bが設けられている。孔43aは、内側左上軸方向ライン28を構成する部材の一方の端部付近に配置されており、孔43bは、他方の端部付近に配置されている。側壁28a、28bは、互いに対向しており、共に対向壁28cと直交して接続されている。対向壁28cは、図8に示すワーク40に対向する壁である。内側左上軸方向ライン28は、ワーク40の外周面40aに対して、主に矢印A2(図7)で示す軸方向に沿うように湾曲している。内側左上軸方向ライン28の両端部は閉塞されており、側壁28aの孔43aと、側壁28bの孔43bが、内側左上軸方向ライン28内の冷却液の出入口となっている。
内側右上軸方向ライン29を構成する部材(溶接する前の部材)は、内側左上軸方向ライン28を構成する部材(溶接する前の部材)と同様の構造を有する管状部材である。すなわち、内側右上軸方向ライン29を構成する部材は、ワーク40(図8)に対向する対向壁29cと、側壁29a、29bを有している。側壁29aには孔44aが設けてあり、側壁29bには孔44bが設けてある。内側右上軸方向ライン29は、内側左上軸方向ライン28よりも長い。
内上周方向ライン30を構成する部材(溶接する前の部材)の一端は、内側左上軸方向ライン28を構成する部材(溶接する前の部材)の孔43a(図10)に接続されている。また、内上周方向ライン30の他端は、内側右上軸方向ライン29の孔44a(図10)に接続されている。
内側左上軸方向ライン28を構成する部材(溶接する前の部材)の孔43b(図10)には、後述の内側左周方向ライン34aを構成する部材(溶接する前の部材)の一端が接続されている。また、内側右上軸方向ライン29を構成する部材の孔44bには、後述の内側右周方向ライン36aを構成する部材の一端が接続されている。
図7、図11に示す様に、内側左突出部16は、内側左周方向ライン34a、34bと、内側左軸方向ライン35によって構成されている。
内側左周方向ライン34a、34bを構成する部材(溶接する前の部材)は、断面が円形で、ワーク40(図8)の外周面40aに対して、主に矢印A1(図7)で示す周方向に沿うことができるように湾曲した管状部材である。内側左周方向ライン34aは、内側左周方向ライン34bよりも上方に配置されている。上側の内側左周方向ライン34aの方が、下側の内側左周方向ライン34bよりも短い。
図12に示す様に、内側左軸方向ライン35を構成する部材(溶接する前の部材)は、断面が四角形の管状部材であり、対向壁35aと側壁35bを有する。対向壁35aは、ワーク40(図8)の外周面40aに対向する壁である。内側左軸方向ライン35は、ワーク40の外周面40aに対して、主に矢印A2(図7)で示す軸方向に沿って湾曲している。側壁35bは、対向壁35aと直交して連続する壁である。側壁35bの両端付近には、各々孔47a、47bが設けられている。内側左軸方向ライン35の両端は閉塞されており、孔47a、47bが、内側左軸方向ライン35内の冷却液の出入口となっている。
内側左周方向ライン34aを構成する部材(溶接する前の部材)の一端は、内側左軸方向ライン35を構成する部材の孔47aと連通するように、内側左軸方向ライン35と接続されている。内側左周方向ライン34aの他端は、前述の内側左上軸方向ライン28を構成する部材の孔43bと連通するように、内側左上軸方向ライン28と接続されている。
内側左周方向ライン34bを構成する部材(溶接する前の部材)の一端は、内側左軸方向ライン35を構成する部材(溶接する前の部材)の孔47bと連通するように、内側左軸方向ライン35と接続されている。内側左周方向ライン34bを構成する部材の他端は、後述の内側左下軸方向ライン31を構成する部材の孔48aと連通するように、内側左下軸方向ライン31と接続されている。
図6、図13に示す様に、内側右突出部17は、内側右周方向ライン36a、36bと、内側右軸方向ライン37によって構成されている。
内側右周方向ライン36a、36bを構成する部材(溶接する前の部材)は、断面が円形で、ワーク40(図8)の外周面40aに対して、主に矢印A1(図7)で示す周方向に沿うことができるように湾曲した管状部材である。上側の内側右周方向ライン36aの方が、下側の内側右周方向ライン36bよりも長い。
図14に示す様に、内側右軸方向ライン37を構成する部材(溶接する前の部材)は、断面が四角形の管状部材であり、対向壁37aと側壁37bを有する。対向壁37aは、ワーク40(図8)の外周面40aに対向する壁である。内側右軸方向ライン37は、ワーク40の外周面40aに対して、主に矢印A2(図7)で示す軸方向に沿って湾曲している。側壁37bは、対向壁37aと直交して連続する壁である。側壁37bの両端付近には、各々孔50a、50bが設けられている。内側右軸方向ライン37の両端は閉塞されており、孔50a、50bが、内側右軸方向ライン37内の冷却液の出入口となっている。
内側右周方向ライン36aを構成する部材(溶接する前の部材)の一端は、内側右軸方向ライン37を構成する部材(溶接する前の部材)の孔50aと連通するように、内側右軸方向ライン37と接続されている。内側右周方向ライン36aの他端は、前述の上突出部6の内側右上軸方向ライン29(図10)の孔44bと連通するように、内側右上軸方向ライン29と接続されている。
内側右周方向ライン36bを構成する部材(溶接する前の部材)の一端は、内側右軸方向ライン37を構成する部材(溶接する前の部材)の孔50bと連通するように、内側右軸方向ライン37と接続されている。内側右周方向ライン36bを構成する部材の他端は、後述の内側右下軸方向ライン32を構成する部材と接続されている。
図6、図15に示す様に、内側下突出部15は、内側左下軸方向ライン31、内側右下軸方向ライン32、内下周方向ライン33とによって構成されている。
図16に示す様に、内側左下軸方向ライン31を構成する部材(溶接する前の部材)は、断面が四角形の管状部材である。内側左下軸方向ライン31は、ワーク40(図8)に対向する対向壁31cと、側壁31a、31bを有する。また、内側左下軸方向ライン31は、略コの字形の迂回部53を有している。迂回部53によって、側壁31a、31bには、略コの字形の部位が形成されている。また、迂回部53によって、内側左下軸方向ライン31には、溝部54が形成されている。溝部54は、対向壁31cが窪むように形成されている。内側左下軸方向ライン31を構成する部材の側壁31aには孔48aが設けられており、側壁31bには孔48bが設けられている。孔48bは、側壁31bにおける端部であって、溝部54と隣接する位置に設けられている。内側左下軸方向ライン31の両端部は閉塞されており、側壁31aの孔48aと側壁31bの孔48bが、内側左下軸方向ライン31内の冷却液の出入口となっている。
図16に示す様に、内側右下軸方向ライン32を構成する部材(溶接する前の部材)は、断面が四角形の管状部材であり、対向壁32cと、側壁32a、32bを有する。対向壁32cは、ワーク40(図8)の外周面40aに対して、主に矢印A2(図7)で示す軸方向に沿うことができるように湾曲している。側壁32a、32bは、互いに対向しており、共に対向壁32cと直交して接続されている。側壁32aには孔52aが設けてある。また、側壁32bには孔52bが設けてある。孔52aは、内側右下軸方向ライン32の一方の端部に設けられている。孔52bは、内側右下軸方向ライン32の他方の端部に設けられている。内側左下軸方向ライン31は、内側右下軸方向ライン32よりも長い。
内下周方向ライン33を構成する部材(溶接する前の部材)は、断面が円形の管状部材である。また、内下周方向ライン33は、ワーク40(図8)の外周面40aに対して、主に矢印A1(図7)で示す周方向に沿って湾曲している。
内下周方向ライン33を構成する部材の一端は、内側左下軸方向ライン31の溝部54内に配置されると共に、外側左下軸方向ライン21を構成する部材の孔46bと連通するように、外側左下軸方向ライン21と接続されている。また、内下周方向ライン33を構成する部材の他端は、内側右下軸方向ライン32を構成する部材の孔52aと連通するように、内側右下軸方向ライン32と接続されている。内下周方向ライン33と内側左下軸方向ライン31(溝部54)は、接触していない。
外下周方向ライン23を構成する部材(溶接する前の部材)の一端は、内側左下軸方向ライン31を構成する部材の孔48bと連通するように、内側左下軸方向ライン31と接続されている。外下周方向ライン23を構成する部材の他端は、外側右下軸方向ライン22を構成する部材の孔51aと連通するように、外側右下軸方向ライン22と接続されている。
ここで、内下周方向ライン33は、内側左下軸方向ライン31の溝部54内を通過している。内側左下軸方向ライン31の溝部54と内下周方向ライン33は離間しており、接触していない。絶縁部材を介して、内下周方向ライン33を溝部54に配置するのが好ましい。すなわち、外側左下軸方向ライン21を構成する部材と内下周方向ライン33を構成する部材が接続され、さらに、内側左下軸方向ライン31を構成する部材と、外下周方向ライン23を構成する部材とが接続されることにより、外部側環状部4と内部側環状部5が、電気的に直列に接続されている。また、外部側環状部4と内部側環状部5(図5(a))は、冷却液通路も直列に接続されている。
内側右下軸方向ライン32を構成する部材(溶接する前の部材)は、ワーク40の外周面40aに対して、主に矢印A2(図7)で示す軸方向に沿って湾曲している。内側右下軸方向ライン32の両端部は閉塞されており、側壁32aの孔52aと、側壁32bの孔52bが、内側右下軸方向ライン32内の冷却液の出入口となっている。
以上、説明したように、外部側環状部4と内部側環状部5とが構成されている。また、外部側環状部4と内部側環状部5とが接続された結果、誘導部3は、図5(b)に示す様に、上突出部6、左突出部8、右突出部9、下突出部7を構成している。
上突出部6(図9)は、外部側環状部4の外側上突出部10と、内部側環状部5の内側上突出部14によって構成されている。
左突出部8(図11)は、外部側環状部4の外側左突出部12と、内部側環状部5の内側左突出部16によって構成されている。
右突出部9(図13)は、外部側環状部4の外側右突出部13と、内部側環状部5の内側右突出部17によって構成されている。
下突出部7(図15)は、外部側環状部4の外側下突出部11と、内部側環状部5の内側下突出部15によって構成されている。
図9に示す様に、上突出部6は、略コの字形の外側上突出部10の内側に、外側上突出部10よりも一回り小さい略コの字形の内側上突出部14が配置されている。そして、外側上突出部10と内側上突出部14は、共にワーク40(図8)の外周面40aに沿って配置可能に、軸方向(矢印A2方向)及び周方向(矢印A1方向)に湾曲している。
上突出部6のうち、外上周方向ライン20a、20b、及び内上周方向ライン30は、周方向成分が軸方向成分よりも大きく、主に周方向(矢印A1で示す方向)に湾曲している。また、上突出部6のうち、外側左上軸方向ライン18、内側左上軸方向ライン28、外側右上軸方向ライン19、内側右上軸方向ライン29は、周方向成分よりも軸方向成分の方が大きく、主に軸方向(矢印A2で示す方向)に湾曲している。
図11に示す様に、左突出部8は、略コの字形の外側左突出部12の内側に、外側左突出部12よりも一回り小さい略コの字形の内側左突出部16が配置されている。そして、外側左突出部12と内側左突出部16は、共にワーク40(図8)の外周面40aに沿って配置可能に、軸方向(矢印A2方向)及び周方向(矢印A1方向)に湾曲している。
左突出部8のうち、外側左周方向ライン24a、24b、及び内側左周方向ライン34a、34bは、周方向成分が軸方向成分よりも大きく、主に周方向に湾曲している。また、左突出部8のうち、外側左軸方向ライン25と内側左軸方向ライン35は、周方向成分よりも軸方向成分の方が大きく、主に軸方向に湾曲している。
図13に示す様に、右突出部9は、略コの字形の外側右突出部13の内側に、外側右突出部13よりも一回り小さい略コの字形の内側右突出部17が配置されている。そして、外側右突出部13と内側右突出部17は、共にワーク40(図8)の外周面40aに沿って配置可能に、軸方向(矢印A2方向)及び周方向(矢印A1方向)に湾曲している。
右突出部9のうち、外側右周方向ライン26a、26b、及び内側右周方向ライン36a、36bは、周方向成分が軸方向成分よりも大きく、主に周方向に湾曲している。また、右突出部9のうち、外側右軸方向ライン27と内側右軸方向ライン37は、周方向成分よりも軸方向成分の方が大きく、主に軸方向に湾曲している。
図15に示す様に、下突出部7は、略コの字形の外側下突出部11の内側に、内側下突出部15が配置されている。そして、外側下突出部11と内側下突出部15は、共にワーク40(図8)の外周面40aに沿って配置可能に、軸方向(矢印A2方向)及び周方向(矢印A1方向)に湾曲している。
下突出部7のうち、外下周方向ライン23と内下周方向ライン33は、周方向成分が軸方向成分よりも大きく、主に周方向に湾曲している。また、下突出部7のうち、外側左下軸方向ライン21、内側左下軸方向ライン31、外側右下軸方向ライン22、内側右下軸方向ライン32は、周方向成分よりも軸方向成分の方が大きく、主に軸方向に湾曲している。
図5(b)に示す様に、外面用誘導加熱用コイル1の形状は、中心線1aに対して、左右非対称となっている。すなわち、左突出部8と右突出部9の、外面用誘導加熱用コイル1の中心線1aがのびる方向の位置が相違している。
以上のような構成を有する外面用誘導加熱用コイル1の誘導部3が、図19に示す様に、ワーク40の外周面40aに近接対向配置される。すなわち、図示しない駆動装置を駆動し、外面用誘導加熱用コイル1の中心線1aを、ワーク40の回転軸41の中心と一致させる。その際、外面用誘導加熱用コイル1(誘導部3)は、ワーク40に対して、ワーク40の半径方向から接近させることができる。そのため、ワーク40に対して、外面用誘導加熱用コイル1(誘導部3)を容易に近接対向させることができる。また、内面用誘導加熱用コイル61は、図示しない駆動装置によって、ワーク40の回転軸41がのびる方向(上方)からワーク40に接近し、貫通孔56内に配置される。
そして、図示しない制御装置によって、図1に示す高周波電源83a、83bがONに設定され、内面用誘導加熱用コイル61、外面用誘導加熱用コイル1に各々高周波電流が供給され、ワーク40の外周面40aと内周面40bに高周波誘導電流が励起される。さらに、ワーク40は、回転駆動装置58によって支持台88と共に、回転軸41周りに回転駆動され、ワーク40の内周面40bが、内面用誘導加熱用コイル61によって誘導加熱されると共に、外周面40aが、外面用誘導加熱用コイル1によって誘導加熱される。
ワーク40が誘導加熱されると、ワーク40は昇温して膨張する。そのため、ワーク40の内周面40bは、図3(b)に示す様に、半径方向外側へ移動する。その際、ワーク40の端部55bは、支持部材73上を摺動する。そして、当接部材76は、ばね78の付勢力によって内周面40bに追従し、内周面40bを押圧し続ける。そのため、ワーク40は、膨張しても端部55bが支持部材73で支持されており、内周面40bが当接部材76で押圧されている。よって、支持台88によるワーク40の支持は、ワーク40の膨張時においても安定している。
誘導加熱時には、ワーク40は、支持台88と共に回転する。すなわち、支持台88は、図2に示す回転駆動装置58のターンテーブル58a上に載置されており、ターンテーブル58aが回転すると、支持台88と共にワーク40は回転する。
ここで、ワーク40の重さは、30kg以上であるため、ワーク40を高速回転させるのは非常に危険である。そこで、ターンテーブル58aを、比較的低速(例えば15〜30r.p.m.)で回転駆動する。そのため、ワーク40が一回転するのに時間が掛かる。このような低速回転するワーク40であっても、外面用誘導加熱用コイル1は、ワーク40の外周面40aを良好に誘導加熱することができる。以下、その理由を詳述する。
図17は、ワーク40の中心角180度分の外面を、平面状に仮想的に展開し、さらに誘導加熱用コイルの周方向ラインを重ねて描写した正面図である。図17に示す様に、外面用誘導加熱用コイル1は、上から順に、外上周方向ライン20a及び20b、内上周方向ライン30、外側左周方向ライン24a、内側左周方向ライン34a、外側右周方向ライン26a、内側右周方向ライン36a、内側左周方向ライン34b、外側左周方向ライン24b、内側右周方向ライン36b、外側右周方向ライン26b、内下周方向ライン33、外下周方向ライン23が配置されている。
図17に示す様に、ワーク40を、上から順にR1〜R12の各領域に分割する。各領域R1〜R12は、ワーク40をあたかも輪切りにした様な領域である。領域R1には、外上周方向ライン20a及び20bが近接対向し、領域R2には、内上周方向ライン30が近接対向している。外上周方向ライン20a及び20bと、内上周方向ライン30は、誘導部3の上突出部6に属しており、隣接して互いに平行に配置されている。そして、外上周方向ライン20a及び20b、内上周方向ライン30には、高周波電流が同期して同方向に流れる。そのため、外上周方向ライン20a及び20bを流れる高周波電流によって、領域R1に励起される高周波誘導電流と、内上周方向ライン30を流れる高周波電流によって領域R2に励起される高周波誘導電流は相殺されることがない。よって、領域R1、R2は、良好に誘導加熱されて昇温する。
領域R3、R4には、各々外側左周方向ライン24aと内側左周方向ライン34aが近接対向する。外側左周方向ライン24aと内側左周方向ライン34aは、誘導部3の左突出部8に属しており、隣接して互いに平行に配置されている。そして、外側左周方向ライン24aと内側左周方向ライン34aには、高周波電流が同期して同方向に流れる。よって、領域R3、R4も同様に良好に誘導加熱されて昇温する。
領域R5、R6には、各々外側右周方向ライン26a、内側右周方向ライン36aが近接対向する。外側右周方向ライン26aと内側右周方向ライン36aは、誘導部3の右突出部9に属しており、隣接して互いに平行に配置されている。そして、外側右周方向ライン26aと内側右周方向ライン36aには、高周波電流が同期して同方向に流れる。よって、領域R5、R6も同様に良好に誘導加熱されて昇温する。
次に、領域R7、R8には、各々内側左周方向ライン34b、外側左周方向ライン24bが近接対向する。内側左周方向ライン34bと外側左周方向ライン24bは、誘導部3の左突出部8に属しており、隣接して互いに平行に配置されている。そして、内側左周方向ライン34と外側左周方向ライン24bには、高周波電流が同期して同方向に流れる。よって、領域R7、R8も同様に良好に誘導加熱されて昇温する。
ここで、領域R4を誘導加熱する内側左周方向ライン34aと、領域R7を誘導加熱する内側左周方向ライン34bは、内側左軸方向ライン35で接続されており、高周波電流が同期して反対方向に流れる。しかし、内側左周方向ライン34aが近接対向する領域R4と、内側左周方向ライン34bが近接対向する領域R7は、間に領域R5、R6を挟んで離間している。そのため、領域R4及び領域R7に励起される高周波誘導電流同士は、互いに相殺されない。
領域R9、R10には、各々外側右周方向ライン26b、内側右周方向ライン36bが近接対向する。外側右周方向ライン26bと内側右周方向ライン36bは、誘導部3の右突出部9に属しており、両ラインには高周波電流が同期して同方向に流れる。よって、領域R9、R10は、良好に誘導加熱される。
ここで、領域R6を誘導加熱する内側右周方向ライン36aと、領域R9を誘導加熱する内側右周方向ライン36bは、内側右軸方向ライン37で接続されており、高周波電流が同期して反対方向に流れる。しかし、内側右周方向ライン36aが近接対向する領域R6と、内側右周方向ライン36bが近接対向する領域R9は、間に領域R7、R8を挟んで離間している。そのため、領域R6及び領域R9に励起される高周波誘導電流同士は、互いに相殺されない。
領域R11、R12には、各々内下周方向ライン33、外下周方向ライン23が近接対向する。内下周方向ライン33、外下周方向ライン23は、誘導部3の下突出部7に属しており、両ラインには、高周波電流が同期して同方向に流れる。よって、領域R11、R12は、良好に誘導加熱される。
ここで、領域R2を誘導加熱する内上周方向ライン30と、領域R11を誘導加熱する内下周方向ライン33には、高周波電流が同期して反対方向に流れる。しかし、両領域間には、領域R3〜R10があり、領域R2及び領域R11に励起される高周波電流同士が相殺されることはない。
領域R4に近接対向する内側左周方向ライン34aに流れる高周波電流と、領域R5に近接対向する外側右周方向ライン26a高周波電流は、同期して同方向に流れる。そのため、領域R4に励起される誘導電流と、領域R5に励起される誘導電流は、同期して同方向に流れる。そのため、両誘導電流が相殺される恐れはない。
ところが、領域R6に近接対向する内側右周方向ライン36aに流れる高周波電流と、領域R7に近接対向する内側左周方向ライン34bに流れる高周波電流は、同期して反対方向に流れる。そのため、隣接する領域R6、R7には、高周波誘導電流が同期して反対方向に励起される。しかし、内側右周方向ライン36aと内側左周方向ライン34bは、図7に示す様に、相当に離れている。すなわち、ワーク40の外周面40aにおける、内側右周方向ライン36aによって高周波誘導電流が励起される部位と、内側左周方向ライン34bによって高周波誘導電流が励起される部位は、距離L(図17)だけ離間している。よって、領域R6、R7に励起される高周波電流は、互いに相殺されず、両領域R6及び領域R7は、良好に誘導加熱される。
このように、ワーク40の外周面40aは、上部から下部に至るまで広範囲に渡って良好に誘導加熱される。
ところで、ワーク40は、樽形状を呈しており、中央部と端部とでは、加熱環境が相違している。すなわち、中央部に近い領域R6、R7付近の体積は、端部の領域R1又は領域R12付近の体積よりも大きい。そのため、ワーク40に対して、高周波誘導電流が、部位毎に差異なく均等に励起されたとしても、体積が比較的大きい中央部に近付くほど昇温しにくく、体積が比較的小さい領域R1、R2に近付くほど昇温し易い。
そこで、本実施形態では、各周方向ラインの長さを、ワーク40の中央部に対向するラインほど長くなるように設定している。すなわち、中央部に近い領域R5〜R8に近接対向するライン26a、36a、34b、24bの長さを最も長く設定し、ワーク40の端部に近い領域R1、R2、R11、R12に近接対向するライン20aとライン20bの和、ライン30、23、33の長さを最も短く設定する。また、ワーク40の中央部と端部の間の、領域R3、R4、R9、R10に近接対向するライン24a、34a、36b、26bの長さを、ライン26a、36a、34b、24bよりは短く、ライン20aとライン20bの和、30、23、33よりは長くなるように設定する。
よって、一度に高周波誘導電流が励起される周方向長さが、ワーク40の中央部に近付くほど長くなり、加熱量が多くなる。また、ワーク40の端部に近付くほど、加熱量は少なくなる。その結果、中央部(領域R6、R7等)から端部(領域R1、R12等)にかけて、ワーク40を均一に昇温させることができる。
中央部の径が、上部及び下部の径よりも大きい樽形のワーク40を熱処理する場合には、ワーク40の各領域R1〜R12の直径の大きさに応じて、外上周方向ライン20aと20bの和と、内上周方向ライン30と、外下周方向ライン23と、内下周方向ライン33の各長さを、外側左周方向ライン24a、24b(外環左突出部の2列の周方向ライン)、外側右周方向ライン26a、26b(外環右突出部の2列の周方向ライン)、内側左周方向ライン34a、34b(内環左突出部の2列の周方向ライン)、内側右周方向ライン36a、36b(内環右突出部の2列の周方向ライン)の合計を4〜8で除した長さよりも短くするのが好ましい。
ワーク40が、回転軸41を中心に回転したとき、各周方向ラインは、各々が対向する領域(R1〜R12)から逸脱することがない。具体的には、領域R6に近接対向する内側右周方向ライン36aは、領域R5や、領域R7に近接対向することはない。
視点を変えて説明すると、実際には、外面用誘導加熱用コイル1は停止しており、ワーク40を、回転軸41を中心に回転させるが、仮に、外面用誘導加熱用コイル1を、ワーク40の回転軸41を中心に回転させた場合を想定したとき、各周方向ラインの一方の端部の中心が通過する回転軌跡は、重ならない。すなわち、図18に示す様に、各周方向ラインの端部の横断面が正面視される位置が、いずれもずれている。
そして、図18に示す様に、各周方向ライン同士の軸方向A2の間隔(又は、隣接する周方向ライン同士の中心間隔)を、ワーク40の中央部に近付くほど狭く、端部にいくほど拡がるように設定する。ワーク40が一回転する間に、各領域R1〜R12の全周囲には、各周方向ラインが順次近接対向する。
ここで、外面用誘導加熱用コイル1の中心線1aを、ワーク40の回転軸41の中心に合致させて、外面用誘導加熱用コイル1を正面視した際、各周方向ラインの一方の端部の中心が略均等に配されており、隣接する各中心間の距離の標準偏差が、各周方向ラインの平均径の50パーセント以下となるようにすると、ワーク40が樽形状ではなく、中央部から端部に至るまで同じ直径のワークを良好に誘導加熱することができる。さらに、前記標準偏差が、各周方向ラインの平均径の30パーセント以下となるようにするのが、より好ましい。
また、各軸方向ラインも、ワーク40の外周面40aに近接対向しており、ワーク40の昇温に寄与する。ワーク40の外周面40a及び内周面40bの誘導加熱が完了すると、ワーク40から外面用誘導加熱用コイル1と内面用誘導加熱用コイル61が退避し、ワーク40は、図示しない昇降装置によって降下し、下方に配置された図示しない冷却液槽内に浸漬して急冷され、焼入れが完了する。なお、図示しない冷却液槽内に、冷却液を噴射する噴射ジャケットを配置し、冷却液槽内に貯留された冷却液にワーク40を浸漬させ、さらにワーク40の表面(外周面40a、内周面40b等)に冷却液を噴射供給すると、ワーク40は、さらに良好に冷却される。
次に、図20に示す様な、ワーク59を誘導加熱する場合について説明する。
ワーク59は、回転軸64を有する球面すべり軸受であり、外形が球形である。すなわち、ワーク59の外面59aは球面である。また、ワーク59は、回転軸64を貫通する貫通孔60を有している。貫通孔60によって、ワーク59には、内面59bが形成されている。ワーク59の上端には上端部84aが形成されており、下端には下端部84bが形成されている。上端部84a、下端部84bは、平面である。
ワーク59では、外面59aに加えて、内面59bも誘導加熱(焼入れ)する。ワーク59の端部である上端部84aと下端部84bは、肉厚が最も薄くヒートマス(熱容量)が小さい部位である。そのため、両端部84a、84bは、その他の部位よりも昇温し易い。そこで、ワーク59の表面が一様に昇温するように、外面用誘導加熱用コイル1と内面用誘導加熱用コイル61でワーク59の外面59aと内面59bを同時に誘導加熱する。具体的には、以下の通りである。
外面用誘導加熱用コイル1は、図18に示すワーク40の場合と同様に、ワーク59の外面59aに対して近接配置される。
球形のワーク59に貫通孔60が設けられた結果、ワーク59のヒートマスは、上端部84a及び下端部84bから中央部に近付くほど大きくなる。そのため、上端部84a及び下端部84bから中央部にかけて外面59aに沿って配置された各周方向ライン同士の中心間隔S1〜S8は、図20に示す様に、ヒートマスが比較的小さい上端部84a及び下端部84bに近付くほど広く、ヒートマスが比較的大きい中央部に近付くほど狭くなるように設定されている。すなわち、端部側の中心間隔S1、S8が最も大きく、中央部に近づくほど徐々に中心間隔が狭くなり、中央部の中心間隔S4、S5が最も小さい。
内面用誘導加熱用コイル61は、ワーク59の貫通孔60内に配置する。その際、ワーク59の上端部84aと、内面用誘導加熱用コイル61の螺旋の上部の間の距離h1が、ワーク59の上端部84aから下端部84bまでの距離Hの0〜15%(より好ましくは5〜10%)となるようにする。同様に、ワーク59の下端部84bと、内面用誘導加熱用コイル61の螺旋の下部の間の距離h2が、ワーク59の上端部84aから下端部84bまでの距離Hの0〜15%(より好ましくは5〜10%)となるようにする。
このように外面用誘導加熱用コイル1と内面用誘導加熱用コイル61を配置すると、ワーク59の外面59a、上端部84a、下端部84b、及び内面59bがほぼ均一に昇温する。外面用誘導加熱用コイル1と内面用誘導加熱用コイル61のいずれも上端部84a、下端部84bには近接対向しておらず、特に内面用誘導加熱用コイル61は、上端部84a、下端部84bまで距離h1及びh2だけ離れている。そのため、上端部84a、下端部84bは過熱状態にならず、良好に昇温する。よって、ワーク59における、外面59aと上端部84a、下端部84b、内面59bは、良好に昇温し、その後、図示しない冷却液槽に浸漬されて急冷され、焼入れされる。
外面用誘導加熱用コイル1と内面用誘導加熱用コイル61を使用してワーク59を誘導加熱すると、外面59a、端部84a、84b、内面59bは、同時にほぼ均一に昇温する。そしてワーク59全体を図示しない冷却液槽に浸漬させ、必要に応じて図示しない噴射ジャケットから冷却液を噴射供給することにより、外面59a、端部84a、84b、内面59bは、同時に焼入れされ、ほぼ均一な深さの焼入れパターンが連続して形成される。そのため、ワーク59の外面59a、端部84a、84b、内面59bは、耐摩耗性に優れている。
以上では、左突出部8の外側左軸方向ライン25と内側左軸方向ライン35は、軸方向にのみ湾曲している場合を説明したが、外側左軸方向ライン25と内側左軸方向ライン35は、軸方向に湾曲しながら、さらに左側へ突出するように湾曲していてもよい。同様に、右突出部9の外側右軸方向ライン27と内側右軸方向ライン37は、軸方向に湾曲すると共に、さらに右側へ突出するように湾曲していてもよい。
1 外面用誘導加熱用コイル
1a 誘導加熱用コイルの中心線
3 誘導部
4 外部側環状部
5 内部側環状部
10 外側上突出部
11 外側下突出部
12 外側左突出部
13 外側右突出部
14 内側上突出部
15 内側下突出部
16 内側左突出部
17 内側右突出部
18 外側左上軸方向ライン
19 外側右上軸方向ライン
20a、20b 外上周方向ライン
21 外側左下軸方向ライン
22 外側右下軸方向ライン
23 外下周方向ライン
24a、24b 外側左周方向ライン
25 外側左軸方向ライン
26a、26b 外側右周方向ライン
27 外側右軸方向ライン
28 内側左上軸方向ライン
29 内側右上軸方向ライン
30 内上周方向ライン
31 内側左下軸方向ライン
32 内側右下軸方向ライン
33 内下周方向ライン
34a、34b 内側左周方向ライン
35 内側左軸方向ライン
36a、36b 内側右周方向ライン
37 内側右軸方向ライン
40 ワーク
41 ワークの回転軸
A1 周方向成分
A2 軸方向成分

Claims (6)

  1. 中心部に軸方向に延びる孔又は凹部を有すると共に、軸方向の端部の肉厚が、軸方向の中央側に比べて薄いワークを誘導加熱によって焼入れする高周波焼入れ方法において、
    ワークの外周面と前記孔又は凹部の内周面の少なくともいずれか一方と、ワークの軸方向の端部における底部を散点的に支持した状態でワークを回転させ、
    ワークの外周面側に半開放型の誘導加熱用コイルを近接し、前記孔又は凹部内には、別の誘導加熱用コイルを配置して前記二つの誘導加熱コイルに同時に高周波電流を通電してワークの外周面と内周面とを同時に誘導加熱するものであり、
    前記半開放型の誘導加熱用コイルは、軸方向成分よりも周方向成分の方が多くてワークに沿って概ね周方向にのびる周方向ラインを複数有し、
    ワークに対して軸方向の端部側の周方向ラインの長さが、ワークに対して軸方向の中央側の周方向ラインの長さよりも短い、又は、端部側の隣接する周方向ライン同士の中心間隔よりも中央部側の隣接する周方向ライン同士の中心間隔の方が狭いものであることを特徴とする高周波焼入れ方法。
  2. ワークの前記孔又は凹部の内周面を、付勢しつつ支持することを特徴とする請求項1に記載の高周波焼入れ方法。
  3. 近接する周方向ラインには、高周波電流が同期して同方向に流れることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の高周波焼入れ方法。
  4. 前記二つの誘導加熱用コイルに供給される電力と高周波電流の周波数が相違していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の高周波焼入れ方法。
  5. 誘導加熱後、ワークを冷却液槽に浸漬して急冷することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の高周波焼入れ方法。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれかの高周波焼入れ方法を実施する半開放型の誘導加熱用コイルであって、
    前記半開放型の誘導加熱用コイルは、
    ワークに近接させてワークに誘導電流を励起させる誘導部を有し、回転軸を中心として回転するワークを誘導加熱してワークを熱処理するものであり、
    前記誘導部は、所定面積を囲む環状構造を形成する外部側環状部と、外部側環状部の内側に配置され所定面積を囲んで環状構造を形成する内部側環状部を有し、外部側環状部と内部側環状部とが電気的に直列接続された構造であり、
    外部側環状部と内部側環状部は、いずれもワークの回転軸に対して平行方向に沿った軸方向成分を有する軸方向ラインと回転方向に沿った周方向成分を有する周方向ラインによって構成されており、
    前記周方向ラインは、軸方向成分よりも周方向成分の方が多くワークに対して概ね周方向にのびており、
    前記軸方向ラインは、周方向成分よりも軸方向成分の方が多くワークに対して概ね軸方向にのびており、
    誘導加熱用コイルの中心線を前記回転軸の中心線に合致させて誘導加熱用コイルを正面視した際、外部側環状部には環状構造の一部を構成し外部側環状部の中心線の左側にある二列の周方向ラインによって左側に突出した外環左突出部があり、且つ外部側環状部には環状構造の一部を構成し外部側環状部の中心線の右側にある二列の周方向ラインによって右側に突出した外環右突出部があり、
    内部側環状部にも環状構造の一部を構成し内部側環状部の中心線の左側にある二列の周方向ラインによって左側に突出した内環左突出部があり、且つ内部側環状部には環状構造の一部を構成し内部側環状部の中心線の右側にある二列の周方向ラインによって右側に突出した内環右突出部があり、
    中心線の左側にある前記外環左突出部及び前記内環左突出部から成る左突出部の回転軸方向の位置と、中心線の右側にある前記外環右突出部及び前記内環右突出部から成る右突出部の回転軸方向の位置とがずれていることを特徴とする半開放型の誘導加熱用コイル。
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