JP6108540B2 - 耐滑靴底及びそれを備えた靴 - Google Patents

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Description

本発明は、安全靴等の靴底に用いられて、例えば、水、油等による滑りを抑えた耐滑靴底及びそれを備えた靴に関する。
従来、例えば、飲食店の厨房等では、床面に水や油等が付着して滑りやすくなっていることが多い。このため、このような場所で使用する作業靴としては、これら水や油等による滑りを防止した耐滑靴底、すなわち、耐滑性の高い耐滑靴底を用いたものが使用されている。
耐滑性を向上させるための構造としては、例えば、接地凸部を、V字形状の横断面及び矩形状の縦断面を有するものがある(例えば、特許文献1参照)。また、平滑な接地面と直角な角を備えた接地ブロックを配置した耐滑性靴底がある(例えば、特許文献2、3参照)。
しかしながら、上述した従来の耐滑性靴底は、靴の前後方向には高い耐滑性能を発揮でいるものの、左右方向に対しての耐滑性能は十分とはいえないという問題があった。すなわち、歩行動作時における前後方向への滑りは抑えることができるものの、左右に踏ん張った際に左右への滑りを十分に抑えることができないという問題があった。
特許第3959648号公報 特許第4721261号公報 特許第4975736号公報
本発明はこのような事情に鑑み、前後左右方向に優れた耐滑性を有する耐滑靴底及びそれを備えた靴を提供することを課題とする。
前記課題を解決する本発明の第1の態様は、靴の底面に接合される耐滑靴底であって、接地面が平滑であって該接地面に対して実質的に垂直面となる側面を有する接地ブロックを複数具備し、該接地ブロックの接地面の形状は短辺と長辺とを有する平行四辺形であり、複数の接地ブロックは、その短辺が前記靴の前後方向に延び、その長辺が前記靴の左右方向から所定角度だけ傾斜して且つ前後方向に所定ピッチで規則的に配置されてブロック列を形成するように配置され、複数のブロック列は、前後方向に伸びる直線状の溝を挟んで配置され、前記複数のブロック列のうち隣接するブロック列では、配置された接地ブロックの位置が前後方向にずれていることを特徴とする耐滑靴底にある。
かかる第1の態様では、複数の接地ブロックをその長辺が前記靴の左右方向から所定角度だけ傾斜して且つ前後方向に所定ピッチで規則的に配置してブロック列を形成し且つ複数のブロック列は、前後方向に伸びる直線状の溝を挟んで配置されているので、前後方向は勿論、左右方向への耐滑性能に優れた耐滑靴底となる。
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載の耐滑靴底において、前記接地ブロックの接地面は、前記短辺と前記長辺との比が1:2〜1:10であることを特徴とする耐滑靴底にある。
かかる第2の態様では、接地ブロックの接地面が所定の形状であるので、耐滑性能がより向上する。
本発明の第3の態様は、第1または2の態様に記載の耐滑靴底において、前記複数のブロック列のうち隣接するブロック列では、配置された接地ブロックの長辺の傾斜方向が逆になるように配置されていることを特徴とする耐滑靴底にある。
かかる第3の態様では、各方向、特に左方向と右方向への耐滑性能においてバランスがとれ、前後左右方向にバランスのとれた耐滑性能が得られる。
本発明の第4の態様は、第1〜3の何れかの態様に記載の耐滑靴底において、前記複数のブロック列のうち隣接するブロック列では、配置された接地ブロックの位置が前後方向に半ピッチずれていることを特徴とする耐滑靴底にある。
かかる第4の態様では、左右方向の耐滑性能がさらに向上する。
本発明の第5の態様は、第1〜4の何れかの態様に記載の耐滑靴底において、前記複数のブロック列のうち左右方向両外側のブロック列の各接地ブロックの間で且つ長辺の左右方向外側の周縁領域には、前記接地ブロックの接地面側とは反対側の一部を前後間で連続する厚肉部が周縁に沿って列状に配置されていることを特徴とする耐滑靴底にある。
かかる第5の態様では、靴底の周縁部において、接地ブロックが厚肉部により補強されるので、安定した履き心地感及び耐滑性能が得られる。
本発明の第6の態様は、第1〜5の何れかの態様に記載の耐滑靴底を備えたことを特徴とする靴にある。
かかる第6の態様では、前後左右方向に優れた耐滑性能を有する靴が実現できる。
以上説明したように、本発明では、接地面が矩形の複数の接地ブロックをその長辺が靴の左右方向から所定角度だけ傾斜して且つ前後方向に所定ピッチで規則的に配置してブロック列を形成するようにしたので、前後方向だけでなく左右方向に対しても優れた耐滑性を有する耐滑靴底及びそれを備えた靴を提供することができる。
本発明の実施形態1に係る耐滑靴底の底面図である。 図1のA−A′線断面図である。 図1のアウトソールのみのB−B′線断面図である。 図1のアウトソールのみのC−C′線断面図である。 接地ブロックの機能を説明する模式図である。 実施形態2に係る耐滑靴底の底面図である。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る耐滑靴底の底面図であり、図2は、図1のA−A′線断面図、図3は、アウトソールのみのB−B′線断面図、図4は、アウトソールのみのC−C′線断面図である。
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る耐滑靴底10は、靴のアッパー(図示を省略)の底面に接合されるミッドソール20と、このミッドソール20に接合されるアウトソール30との2層で構成されている。アウトソール30は、例えば、ポリウレタン、ゴム等の比較的硬度の高い材料で形成されている。一方、ミッドソール20は、アウトソール30よりも柔らかい材料で形成され、その材料は特に限定されないが、例えば、ゴム、エラストマ、プラスチック等が挙げられ、特に、これらの材料を発泡させたものがミッドソール20の材料として好適に用いられる。具体的には、例えば、発泡ポリウレタン、エチレンビニルアセテート(EVA)等が挙げられる。
アウトソール30は、ミッドソール20とは反対側に突出する複数の接地ブロック31を有する。アウトソール30の接地ブロック31以外の領域である最薄部の厚さは、靴底全体の剛性を確保できる程度に比較的薄く形成することが好ましく、少なくともミッドソール20の厚さよりも薄くすることが望ましい。例えば、本実施形態では、最薄部の厚さを1.5mm程度としている。
各接地ブロック31は、接地面32が矩形、本実施形態では、平行四辺形となるように形成されている。また、接地ブロック31は、その側面33が接地面32に対して実質的な垂直面となるように設けられている。
ここで、各接地ブロック31の縦横比、すなわち、短辺34と長辺35との比が1:2〜1:10の範囲にある。このような形状とすることにより、前後方向への耐滑性能を確実に確保するのに有効な形状となり、確実な耐滑性能を確保することができる。
また、各接地ブロック31は、長辺35が靴の左右方向から所定角度、例えば、20°〜60°、本実施形態では30°傾斜し、且つ短辺34が靴の前後方向に延びるように配置されている。
ここで、各接地ブロック31の短辺34は、前後方向に略平行に延びるのが好ましい。これは、接地ブロック31の接地面積を最大限にするためであり、また、後述する左右方向への耐滑性能を向上させるためである。この点から接地面32は平行四辺形とするのが有効である。しかしながら、必ずしも前後方向に平行である必要はなく、平行四辺形の場合でも短辺34が前後方向に平行に配置する必要はなく、長方形の接地面としてもよい。
各接地ブロック31は、接地面32と側面とで形成された略直角の角部の作用で主な耐滑性が発揮される。ここで、各接地ブロック31が傾斜して設けられているので、長辺35の角部では上述した前後方向への耐滑性に加えて、左右方向への耐滑性に寄与することができる。すなわち、接地ブロック31を傾斜して設けることにより、前後方向への耐滑性能は水平に設けた場合とほぼ同等な耐滑性能を確保したまま、左右方向への耐滑性能にも寄与することができる。
また、左右方向への耐滑性能には、各接地ブロック31の短辺34の角部が大きく寄与するが、短辺34が前後方向に略平行に配置されていることにより、その効果は最大となる。
このような接地ブロック31の接地面32やその角部での耐滑性能を発揮する効果は、接地ブロック31の高さがある程度ないと発揮されない。よって、接地ブロック31の高さは3〜7mm、好ましくは、4〜5mmとするのがよい。
また、接地ブロック31の接地面32やその角部での耐滑性能を有効に発揮させるためには、接地ブロック31の接地面32の面積、短辺34及び長辺35の寸法が大きく影響する。よって、接地ブロック31の短辺34の寸法は2〜5mm、好ましくは、3〜4mm、長辺35の寸法は12〜20mm、好ましくは、15〜17mmとするのがよい。さらに、接地ブロック31の前後間の隙間36の寸法は、接地ブロック31の短辺34の寸法と同等か少し小さくするのが好ましく、2〜5mm、好ましくは3〜4mmとするのがよい。また、接地ブロック31の左右間の間隔は2〜7mm、好ましくは、3〜4mmとするのがよい。
各ブロック31は、靴の前後方向に対しては、所定の隙間36を空けて所定ピッチで規則的に列状に配置されており、本実施形態では、靴の土踏まずより前の領域では5列のブロック列41〜45、土踏まず近傍の中部の領域では3列のブロック列41〜43、後部の領域では4列のブロック列41〜44が形成されている。そして、各ブロック列41〜45の間には、前後方向に直線状に延びる溝51〜54が形成されている。
ここで、本実施形態では、各ブロック列41〜45毎に、接地ブロック31の傾斜方向が異なるようになっている。すなわち、1番右側のブロック列41では、各接地ブロック31は左右方向から時計回りに所定角度だけ傾斜し、2番目のブロック列42では、左右方向から反時計回りに所定角度だけ傾斜しているように、各列毎に交互に傾斜方向が異なっている。
このように、接地ブロック31を長辺35を左右方向から所定角度だけ傾斜させて前後方向に所定の寸法の隙間36をあけて列状に配置することにより、接地ブロック31をできるだけ多く且つ有効に配置することができ、前後左右方向への耐滑性能を向上させることができる。また、各ブロック列41〜45毎に接地ブロック31の傾斜方向を逆にしているので、左方向、右方向への耐滑性能のバランスをとることができ、さらに有効な前後左右方向への耐滑性が得られる。
このような接地ブロック31を成形する金型部分は、接地ブロック31の成形部となる凹部を、複数個の金型片を組み合わせて構成した組み合わせ型(若しくは嵌合型)にするのが好ましい。当該組み合わせ型を用いるのは、接地ブロック31の接地面32と側面33との境界となる角を、丸みのない鋭い角に形成するためである。エンドミルによる切削や放電加工で形成した凹部では、僅かに角に丸みが生じてしまう可能性があるが、耐滑性能が得られる程度の角部を形成できれば、このような金型成形でもよい。
また、接地ブロック31の接地面32とは反対側の基端部の周囲にはテーパー部37が設けられている。かかるテーパー部37は、接地ブロック31を補強する効果を備えると共に、接地ブロック31の間に詰まったゴミをより容易に且つ完全に除去できるという効果を奏する。
また、接地ブロック31は前後方向、すなわち、短辺34方向への倒れに対して強度が十分でない場合には、適宜、接地ブロック31の間に隙間36に接地ブロック31の基端部同士を連結する補強部を設けてもよい。この場合、接地ブロック31の先端部での耐滑性能を低下させない程度に行う必要がある。
ここで、図3及び図4に示すように、本実施形態では、靴の周縁部に亘って、接地ブロック31の隙間36に厚肉部である補強部38を設けている。補強部38は、左右両側のブロック列41、45の接地ブロック31間の隙間36の外側部分、すなわち、長辺35方向の半分又はそれ以下の領域に設けられている。また、補強部38の高さは、接地ブロック31の高さの2/3以下、好ましくは1/2以下の高さとするのが好ましい。これは接地ブロック31の先端部での耐滑性能を確保と、補強部38による補強効果とを確保するためであり、本実施形態では、半分程度の高さとしている。さらに、補強部38の内側には高さが漸小するテーパー部38aが設けられている。これは角部にゴミがつまらないようにするためであり、ゴミを除去しやすいという効果を得ることができる。
このような補強部38を設けることにより、特に左右方向両外側で接地ブロック31の補強が行われるためか、左右方向の耐滑性をさらに向上させることができる。
本実施形態では、各ブロック列41〜45において、各接地ブロック31の前後方向の位置が、隣接するブロック列と半ピッチずれるように設置されている。すなわち、各ブロック列41〜45の接地ブロック31は、隣接するブロック列41〜45の接地ブロック31間の隙間36に対向するように配置されている。
このように隣接するブロック列41〜45において、接地ブロック31の位置を半ピッチずらすことにより、左右方向への耐滑性能をさらに向上させることができる。但し、必ずしも半ピッチずらさなくても、上述したように左右方向への耐滑性能は従来のものより確実に向上するので、必ずしも半ピッチずらす構成とする必要はない。
さらに、各ブロック列41〜45の間の溝51〜54は、前後方向に直線上に形成されているので、溝51〜54にゴミ等が溜まって固まっても、容易に剥離して除去することができるという効果を奏する。特に、短辺35が前後方向に平行になっていると、溝51〜54の幅が均一となるので、ゴミ取り易さの効果はさらに向上する。
ここで、本実施形態で説明したパターンで設けられた接地ブロック31の耐滑性能の効果を、図5に示す模式図を参照しながら、さらに詳細に説明する。
左右方向(例えば図5のF方向)に踏ん張る場合、接地ブロック31の前後方向に延びる短辺34(縦エッジ)と、斜め方向に延びる長辺35(斜めエッジ)とが、床面を捉えて左右方向への滑りを防止する。この時、斜めエッジよりも縦エッジの方が、滑り防止に大きく寄与するが、本発明に係る靴底では、左右方向に隣り合う各接地ブロック31が、接地ブロック31の接地ピッチの半分である半ピッチずつずらして配置されているため、前後方向のどの位置で屈曲させても、縦エッジが複数存在し、左右方向への滑りを防止できるようになっている。さらに詳しく説明すると、図5中のA線を中心として靴を屈曲、靴底を接地面に接地させた場合、A線から前後方向に離れた縦エッジ(例えばb1、c1、d1等)は湾曲して若干床面から離れた状態、または接地が不充分な状態となるが、A線上には2つの縦エッジa1、a2が存在するため、これらが中心となって左右方向への滑りを防止してくれる。この場合と同様に、B線を中心として靴を屈曲、靴底を接地面に接地させた場合でも、B線から前後方向に離れた縦エッジ(例えばa1、c1、d1等)は湾曲して若干床面から離れた状態、または接地が不充分な状態となるが、B線上には2つの縦エッジb1、b2が存在するため、これらが中心となって左右方向への滑りを防止してくれる。このように、本願発明に係る靴底は、どの位置で屈曲させても、縦エッジが存在しなくなるような状態が生じることなく、左右方向への滑りを常に防止できるようになっている。
(実施形態2)
図6には、実施形態2に係る耐滑靴底の底面図を示す。図6に示すように、本実施形態の耐滑靴底10Aは、実施形態1の周縁部に設けられた補強部38を設けない以外は実施形態1と同様であり、同一部分には同一符号を付して重複する説明は省略する。
かかる実施形態2の耐滑靴底10Aでは、補強部38に基づく効果が発揮されない以外は、実施形態1と同様な効果を奏することは明らかである。
(その他の実施形態)
以上説明した実施形態では、フラットソールタイプの靴底を例示したが、これに限定されず、踵のある靴底としてもよい。この場合、土踏まずの領域を除いて、または土踏まず部を含めて、踵とそれ以外の領域とにわけて、上述したように配置で接地ブロックを設ければよい。この場合、踵とそれ以外の領域とのそれぞれにブロック列が形成されることになり、この場合も本発明の範囲である。
また、上述した実施形態の耐滑靴底を、靴のアウターに接合すれば、あるいは靴のアウターと一体成形すれば、前後左右方向に優れた耐滑性能を有する靴が実現することも明らかである。
(実施形態3、4)
実施形態1、実施形態2の耐滑靴底を靴のアウターに接合して、実施形態3、4の耐滑靴を製造した。
(試験例)
実施形態3、実施形態4の耐滑靴(実施形態1、2の耐滑靴底)について、以下の通り、耐滑性試験を実施した。
実施形態1、2の耐滑靴底のスペックは以下の通りである。
ミッドソール20のゴム材質はEVA、硬度は59°(Asker C)である。
アウトソール30のゴム材質は天然ゴム、硬度は57°(JIS−A 20℃)である。
接地ブロックの長辺15mm、短辺4mm、高さ4mm、補強部の高さ1mmとした。
比較のため、比較例1として、特許第4721261号公報に開示の靴底を有する靴を用いた。
材質は、実施形態1と同様にし、ブロック意匠の寸法は、8.5mm×8.5mmで、高さ3.5mmとした。
比較例2として、特許第4975736号公報に開示の靴底を用いた。
材質は、実施形態1と同様にし、ブロックの接地面の寸法を6mm×16mmとし、高さを4.5mmとした。
(1)試験装置
試験機は試験床と試験体を保持する支持部とから成り、靴を試験床面に定められた鉛直力で押しつけ、定められた速度で滑らかに動かすことのできる構造とした。水平方向の力の検出のために、センサーを静止している側の靴支持部又は試験床面部に取り付ける。靴を人工足に履かせ、人工足が靴の内部で滑るのを防止した。
(2)試験体
試験体は、測定前に靴底を50%±5%のエタノール液で洗浄し、室温で自然乾燥させる。
(3)試験条件
試験場所の温度 23℃±2℃
試験場所の湿度 50%±20%RH
潤滑液 自動車用エンジンオイルSAE10W30(SAEJ300)
測定方向 靴の前方向、後方向、外方向、内方向へのすべりについて計測する。
足の接地角 0°(水平)
鉛直力 500N±30N
滑り速度 30cm/s±5cm/s
(4)試験方法
互いに接する試験体を試験床面に対して動かしてすベりを発生させ、そのときの摩擦面に働く鉛直力と水平力とを計測し、動摩擦係数を算定する。床面には少なくとも厚さ0.1mm(1ml/100cm2)の潤滑膜が形成されるように潤滑液をまく。試験中に潤滑液に靴底の摩耗材やほこり等の不純物を含んだ場合は潤滑液を交換する。潤滑液は試験体ごとに交換することが望ましい。試験体を人工足に履かせ、しっかりと固定する。
試験条件を整えた後、測定開始前に10回ほど予備テストを行う。測定前に試験床面上の潤滑液が一様に分布するようにする。試験体を試験床に押しつけてから水平に滑らせて、そのときの水平力と鉛直力との比から動摩擦係数を求める。この測定を5回行う。5回の測定のうち最大値と最小値とを除き、平均動摩擦係数を算定する。
このような動摩擦係数の測定を前方向、後方向、外方向(右足用であれば、右方向)、内方向(右足用であれば、左方向)それぞれについて行った。結果は表1に示す。
Figure 0006108540
表1に示すように、従来技術に係る比較例1、2では、左右方向の動摩擦係数は、前後方向に対して大きく低下しているが、実施形態1、2の耐滑靴底を有する実施形態3、4の靴は、左右方向に対する動摩擦係数が、前後方向に対する動摩擦係数の83%以上、特に、補強部を有する実施形態1の耐滑靴底を有する実施形態3では95%以上となり、前後方向だけでなく、左右方向へも優れた耐滑性能を発揮することがわかった。
10、10A 耐滑靴底
20 ミッドソール
30 アウトソール
31 接地ブロック
32 接地面
33 側面
34 短辺
35 長辺
36 隙間
37、38a テーパー部
38 補強部(厚肉部)
41〜45 ブロック列
51〜54 溝

Claims (6)

  1. 靴の底面に接合される耐滑靴底であって、接地面が平滑であって該接地面に対して実質的に垂直面となる側面を有する接地ブロックを複数具備し、該接地ブロックの接地面の形状は短辺と長辺とを有する平行四辺形であり、複数の接地ブロックは、その短辺が前記靴の前後方向に延び、その長辺が前記靴の左右方向から所定角度だけ傾斜して且つ前後方向に所定ピッチで規則的に配置されてブロック列を形成するように配置され、複数のブロック列は、前後方向に伸びる直線状の溝を挟んで配置され、前記複数のブロック列のうち隣接するブロック列では、配置された接地ブロックの位置が前後方向にずれていることを特徴とする耐滑靴底。
  2. 請求項1に記載の耐滑靴底において、前記接地ブロックの接地面は、前記短辺と前記長辺との比が1:2〜1:10であることを特徴とする耐滑靴底。
  3. 請求項1または2に記載の耐滑靴底において、前記複数のブロック列のうち隣接するブロック列では、配置された接地ブロックの長辺の傾斜方向が逆になるように配置されていることを特徴とする耐滑靴底。
  4. 請求項1〜3の何れか一項に記載の耐滑靴底において、前記複数のブロック列のうち隣接するブロック列では、配置された接地ブロックの位置が前後方向に半ピッチずれていることを特徴とする耐滑靴底。
  5. 請求項1〜4の何れか一項に記載の耐滑靴底において、前記複数のブロック列のうち左右方向両外側のブロック列の各接地ブロックの間で且つ長辺の左右方向外側の周縁領域には、前記接地ブロックの接地面側とは反対側の一部を前後間で連続する厚肉部が周縁に沿って列状に配置されていることを特徴とする耐滑靴底。
  6. 請求項1〜5の何れか一項に記載の耐滑靴底を備えたことを特徴とする靴。
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