JP6108005B2 - 液体噴射ヘッド、液体噴射装置、圧電素子、および液体噴射ヘッドの製造方法 - Google Patents
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Description
また、圧電素子の構成としては、下電極を圧電体層毎の個別電極とし、上電極を複数の個別電極に対して共通の共通電極とするものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
図1(a)(b)は、本発明の実施形態に係る液体噴射ヘッドに含まれる圧電素子3の要部を示す一部上面図、及び垂直断面図である。また、図2は、液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッド1を分解して示す分解斜視図である。そして、図3(a)〜(c)は記録ヘッド1の製造工程を説明するための断面図である。さらに、図4(a)〜(c)は記録ヘッド1の製造工程を説明するための断面図である。
そして、振動板16の圧電素子3が積層されない側には、流路形成基板10が固着されている。この流路形成基板10には、複数の圧力発生室12がその幅方向に並設されている。また、流路形成基板10の圧力発生室の長手方向外側の領域には連通路13が形成され、連通路13と圧力発生室12とが、圧力発生室12毎に設けられたインク供給路14を介して連通されている。
即ち、図1(b)に示すように、振動板16の直上には、白金(Pt)とイリジウム(Ir)とチタン(Ti)の少なくとも一つを含有する層を有する下電極20が積層されている。下電極20は、個別電極であり、本実施形態では4つの圧電素子毎に形成されている。無論、圧電素子を4つとすることは一例であり、これに限定されない。
Pb(Zr、Ti)Ox … (1)
(Pb、MA)(Zr、Ti)Ox … (2)
Pb(Zr、Ti、MB)Ox …(3)
(Pb、MA)(Zr、Ti、MB)Ox … (4)
ここで、MAはPbを除く1種類以上の金属元素であり、MBはZr、Ti及びPbを除く1種類以上の金属元素である。xは3が標準であるが、ペロブスカイト構造を取り得る範囲で3からずれてもよい。Aサイト元素とBサイト元素との比は1:1が標準であるが、ペロブスカイト構造を取り得る範囲で1:1からずれてもよい。
MB元素には、Nb(ニオブ)、Ta(タンタル)、等が含まれる。
保護膜80を有機保護膜とすれば、保護膜80を形成し易くすることができる。
図2〜図4を参照して、上述した圧電素子3及びこの圧電素子3を備える記録ヘッド(液体噴射ヘッド)1の製造方法を説明する。なお、ここでは、保護膜80としてポリイミド(有機保護膜)を使用した場合を例に説明を行う。
なお、圧電体層30を厚くするため、塗布工程と乾燥工程と脱脂工程と焼成工程の組合せを複数回行ってもよい。焼成工程を減らすために、塗布工程と乾燥工程と脱脂工程の組合せを複数回行った後に焼成工程を行ってもよい。さらに、これらの工程の組合せを複数回行ってもよい。図3(b)に示す例では、下電極膜20上に圧電体層30を形成した後に下電極20及び圧電体層30を各圧力発生室12に対向する領域にパターニングしている。
なお、圧力発生室12は、圧電素子3の形成前に形成されてもよい。
以上により、記録ヘッド1が製造される。
図5は、上述した記録ヘッド1を有する記録装置(液体噴射装置)200の外観を示している。記録ヘッド1を記録ヘッドユニット211,212に組み込むと、記録装置200を製造することができる。図5に示す記録装置200は、記録ヘッドユニット211,212のそれぞれに、記録ヘッド1が設けられ、外部インク供給手段であるインクカートリッジ221,222が着脱可能に設けられている。記録ヘッドユニット211,212を搭載したキャリッジ203は、装置本体204に取り付けられたキャリッジ軸205に沿って往復移動可能に設けられている。駆動モーター206の駆動力が図示しない複数の歯車及びタイミングベルト207を介してキャリッジ203に伝達されると、キャリッジ203がキャリッジ軸205に沿って移動する。図示しない給紙ローラー等により給紙される記録シート290は、プラテン208上に搬送され、インクカートリッジ221,222から供給され記録ヘッド1から吐出するインクにより印刷がなされる。
以下、実施例を示すが、本発明は以下の例により限定されるものではない。
[実施例1]
圧電素子における能動部端部(能動部と非能動部の境界付近)を覆うように、膜厚0.7μmのポリイミドから成る保護膜を有するインクジェット式記録ヘッドを実施例1とした。この、ポリイミドのヤング率Eは3.0GPaである。
[実施例2]
膜厚2.6μmのポリイミドから成る保護膜以外は、実施例1と同様のインクジェット式記録ヘッドを実施例2とした。
[実施例3]
膜厚3.0μmの接着剤から成る保護膜以外は、実施例1と同様のインクジェット式記録ヘッドを実施例3とした。また、接着剤のヤング率Eは3.0Gpaである。
以上により、能動部3aと非能動部3bとの境界を覆うよう保護膜80を形成することで、焼損が抑制されることが分かった。また、ヤング率Eと膜厚tとの積が2000(Pa・m)以上であれば焼損を低減でき、より好ましくは、ヤング率Eと膜厚tの積が7800(Pa・m)以上であれば焼損を発生させないことが分かった。
以下、第2の実施形態として、保護膜80を無機保護膜とする場合を説明する。図6(a)〜(c)は記録ヘッド1の製造工程を説明するための断面図である。そして、図7(a)〜(c)は記録ヘッド1の製造工程を説明するための断面図である。
以下、第2の実施形態に係る実施例を示すが、本発明は以下の例により限定されるものではない。
[実施例4]
圧電素子を構成する圧電体層の能動部端部(能動部と非能動部の境界付近)を覆うように、膜厚90nmのAl2O3から成る保護膜を有するインクジェット式記録ヘッドを実施例4とした。この、Al2O3のヤング率Eは200GPaである。
[実施例5]
膜厚45nmのAl2O3から成る保護膜以外は、実施例4と同様のインクジェット式記録ヘッドを実施例5とした。
第1の実施形態と第2の実施形態より、ヤング率Eと膜厚tの積が5000(Pa・m)以上とすれば、能動部の端部での焼損が抑制できる。
そのため、能動部と非能動部との境界に無機材料で形成された保護膜を形成することで、焼損が抑制されることが分かった。
本発明は、種々の変形例が考えられる。
上述した実施形態では圧力発生室毎に個別の圧電体を設けているが、複数の圧力発生室に共通の圧電体を設け圧力発生室毎に個別電極を設けることも可能である。
上述した実施形態では流路形成基板にリザーバの一部を形成しているが、流路形成基板とは別の部材にリザーバを形成することも可能である。
上述した実施形態では圧電素子の上側を圧電素子保持部で覆っているが、圧電素子の上側を大気に開放することも可能である。
上述した実施形態では振動板を隔てて圧電素子の反対側に圧力発生室を設けたが、圧電素子側に圧力発生室を設けることも可能である。例えば、固定した板間及び圧電素子間で囲まれた空間を形成すれば、この空間を圧力発生室とすることができる。
また、上述した実施形態及び変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術並びに上述した実施形態及び変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も実施可能である。本発明は、これらの構成等も含まれる。
Claims (11)
- 圧力発生室が形成された流路形成基板と、
前記圧力発生室の少なくとも一部を封止する弾性膜と、
前記弾性膜の前記圧力発生室とは反対側に形成された第1電極と、
前記第1電極の前記圧力発生室とは反対側に形成された圧電体層と、
前記圧電体層の前記圧力発生室とは反対側に形成された第2電極と、
前記第2電極と前記圧電体層との境界を覆う保護膜と、を有し、
前記弾性膜の厚さ方向に直交し前記圧力発生室から外側に向かう第1方向において、前記第2電極の端部は、前記圧力発生室の端部と前記圧電体層の端部との間に位置し、
前記第1方向において、前記保護膜における前記圧力発生室側の端部は、前記第2電極の端部と前記圧力発生室の端部との間に位置する
液体噴射ヘッド。 - 前記保護膜の膜厚は、1.6μm以上である
請求項1に記載の液体噴射ヘッド。 - 前記保護膜の膜厚は、1.7μm以上である
請求項1に記載の液体噴射ヘッド。 - 前記保護膜は、有機保護膜である、請求項1に記載の液体噴射ヘッド。
- 前記保護膜のヤング率と膜厚との積は、2000Pa・m以上である
請求項4の液体噴射ヘッド。 - 前記保護膜は、無機保護膜である、請求項1に記載の液体噴射ヘッド。
- 前記保護膜のヤング率と膜厚との積は、4500Pa・m以上である
請求項6の液体噴射ヘッド。 - 前記保護膜のヤング率と膜厚との積は、5000Pa・m以上である
請求項1の液体噴射ヘッド。 - 請求項1に記載の前記液体噴射ヘッドを備える、液体噴射装置。
- 空間に重なる第1電極と、
前記第1電極の前記空間とは反対側に形成された圧電体層と、
前記圧電体層の前記第1電極とは反対側に形成された第2電極と、
前記第2電極と前記圧電体層との境界を覆う保護膜と、を有し、
前記空間から外側に向かう第1方向において、前記第2電極の端部は、前記空間の端部と前記圧電体層の端部との間に位置し、
前記第1方向において、前記保護膜における前記空間側の端部は、前記第2電極の端部と前記空間の端部との間に位置する
圧電素子。 - 圧力発生室の少なくとも一部を封止する弾性膜を形成し、
前記弾性膜の前記圧力発生室とは反対側に第1電極を形成し、
前記第1電極の前記圧力発生室とは反対側に圧電体層を形成し、
前記弾性膜の厚さ方向に直交し前記圧力発生室から外側に向かう第1方向において、前記圧力発生室の端部と前記圧電体層の端部との間に端部が位置する第2電極を、前記圧電体層の前記圧力発生室とは反対側に形成し、
前記第2電極と前記圧電体層との境界を覆う保護膜を、前記第2電極の端部と前記圧力発生室の端部との間に前記圧力発生室側の端部が位置するように形成する
液体噴射ヘッドの製造方法。
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