以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
1.システムの概要
2.ハードウェア構成
2.1 情報処理装置
2.2 無線端末
2.3 通信装置
2.4 ゲートウェイ
3.機能
3.1 位置情報管理機能
3.2 アラート送信機能
4.動作例
4.1 情報処理装置の処理フロー
4.2 位置情報管理動作例
4.3 アラート送信動作例
(1.システムの概要)
図1、2を用いて、本発明の一実施形態における情報処理装置100を含むシステムの概要について説明する。本発明の一実施形態における情報処理装置100は、後述する位置情報管理サーバ102を通じて、ユーザの所持する無線端末120、122や、例えばカラー複合機のような管理対象物に付された無線端末124の位置情報の変化を監視する。そして、本情報処理装置100は、無線端末124が、管理対象物に対する所定の権限(管理対象物を移動させる権限又は管理対象物の持ち出し権限等)を有さないユーザの無線端末122とともに移動した場合や、単独で移動したことを検出した場合に、管理対象物の不正な移動がなされているものとして、管理者の無線端末等にアラートを送信する。また、本情報処理装置100は、管理対象物に付された無線端末124に対して、警報を再生するよう指示する。
図1について詳細に説明する。図1によって示される、ある空間内には、
(1)権限を有するユーザの無線端末120
(2)管理対象物に対する権限を有さないユーザの無線端末122
(3)(例えばカラー複合機01のような)管理対象物に付された無線端末124、及び
(4)本情報処理装置100の監視対象外である、外部のユーザの無線端末130
が含まれる。
ユーザの無線端末120、122は、スマートフォンやタブレットPCのような、いわゆるスマートデバイスであるか、または、ノートPCやPDA等の情報処理端末である(但し、これに限定されない)。これらの無線端末は、後述する、通信装置140−146から送信される測位信号を受信することができる。そして、取得した位置情報を、自らの識別情報とともに、PANのようなネットワーク180を通じて、社内LANのようなネットワーク190に接続された、位置情報管理サーバ102へと送信する。PANの構成については後述する。一方で、これらの無線端末は、無線LAN又は3G回線等を通じて、ネットワーク190に接続された、情報処理装置100と通信することが可能である。
一方、管理対象物に付された無線端末124も、無線端末120、122と同様の通信機能を有し、位置情報管理サーバ102及び情報処理装置100と通信することができる。ユーザの無線端末120、122と異なる点は、管理対象物が不正に持ち出されたと判定されたとき、情報処理装置100からの指示を受けて、警報を音又は光によって再生する再生装置を有する点である。また、ユーザの無線端末120、122 と異なり、入力装置又は表示装置のような、ユーザインターフェース装置を備えていなくてもよい。
なお、本情報処理装置100の監視対象外である、外部のユーザの無線端末130は、位置情報管理サーバ102及び情報処理装置100と通信するよう構成されていない。従って、外部のユーザの無線端末130の位置は、位置情報管理サーバ102及び情報処理装置100によって、取得されない。
本情報処理装置100は、位置情報管理サーバ102に収集された、無線端末120、122、124の位置情報を監視する。本情報処理装置100は、管理対象物が、権限を有するユーザによって移動させられた場合、すなわち、そのユーザの無線端末120の位置情報の変化と、管理対象物に付された無線端末124の位置情報の変化が、(実質的に)一致する場合には、不正でない移動がなされていると判定する。この変化の例を、図1(A)及び図2(A)によって表す。一方で、本情報処理装置100は、管理対象物が、権限を有さないユーザによって移動させられた場合、すなわち、
(1)無線端末124の位置情報の変化と、権限を有さないユーザの無線端末122の位置情報の変化が一致する場合(例えば、各無線端末の位置関係が、図2(A)から図2(B)に変化した場合)、又は
(2)無線端末124の位置情報の変化が、他の何れの無線端末とも一致しない場合
に、不正な移動がなされたものと判定する。そして、管理者の無線端末120に対して、アラートを送信することができる。また、本情報処理装置100は、管理対象物に付された無線端末124に対して、警報を生ずるよう指示することができる。
ここで、例えば、上記の(1)のケースにおいて、アラートを受信した、管理者の無線端末120には、図19に示されるような画面が表示され、管理対象物を移動させたユーザの情報が提示される。管理者は、そのユーザに移動を許可する旨の選択を行うことにより、当該情報が情報処理装置100に送信され、無線端末124の警報が解除される。
また、上記の(2)のケースにおいては、管理者の無線端末120は、図20に示されるようなアラートを受信する。さらに、管理対象物の無線端末124より一定の範囲に存在する無線端末に対して、アラートが送信される。このアラートを受け取った無線端末には、図21に示されるような画面が表示され、ユーザに対して、不正に移動されている管理対象物についての報告を促すことができる。
ここで、図1(B)を用いて、通信装置140−146と、PANによるネットワーク180について説明する。図1(B)は、図1(A)から、PANを構成する装置のみを抜き出して表したものである。
通信装置140−146は、空間の天井等に設置され、例えば、IMES(Indoor Messaging System)規格に従って構成される、測位信号を送出する。測位信号には、通信装置140−146の夫々の設置された位置を表す緯度、経度、フロア情報等が含まれる。また、通信装置140−146は、無線端末120、122、124から送信された位置情報を、ゲートウェイ160に中継する、中継機能を有する。例えば、ネットワーク180が、ZigBee(登録商標)によって構成される場合には、通信装置140−146は、ZigBeeルータ(他のZigBeeデバイス間のデータ中継機能を有するデバイス)として機能する。
一方、ゲートウェイ160は、ネットワーク180とネットワーク190とを相互に接続し、ネットワーク180側から送信されたデータを、ネットワーク190に中継する。例えば、ネットワーク180がZigBee(登録商標)による近距離無線通信ネットワークであり、ネットワーク190がIEEE802.3規格に基づくLANである場合には、それらの間での通信方式の変換を行う。また、ゲートウェイ160は、ネットワーク180の構成を管理する機能を有する。
図1(B)に示されるように、無線端末120、122、124は、ネットワーク180の末端に接続され、近距離無線通信にZigBee(登録商標)が用いられる場合には、ZigBeeエンドデバイス(後述するZigBeeルータ又はZigBeeコーディネータに接続された、データの中継機能を有さないデバイス)として機能する。一方、ネットワーク180を形成して管理するために必要なZigBeeコーディネータ機能(ZigBeeネットワーク内に一台のみ存在し、ネットワークの立ち上げや管理を行うデバイス)は、ゲートウェイ160によって提供される。
位置情報管理サーバ102は、ネットワーク180を介して、無線端末120、122、124から送信された位置情報を取得して、格納する。
以上の構成により、本発明の一実施形態における情報処理装置100は、管理者以外のユーザによる、管理対象物の不正な移動を検知し、管理者の無線端末にアラートを送信することができる。また、不正に移動されている管理対象物の無線端末に対して、警報を生ずるよう指示することができる。さらに、管理者は、無線端末に表示されたアラートを通じて、管理対象物を移動させているユーザに対して、その移動を許可するための権限を設定することができる。
(2.ハードウェア構成)
次に、図3、図4、図5、図6を用いて、本発明の一実施形態における情報処理装置100、無線端末120、122、124、通信装置140、ゲートウェイ160のハードウェア構成について説明する。
(2.1 情報処理装置)
図3は、本発明の一実施形態における情報処理装置100のハードウェア構成を表す。情報処理装置100は、CPU300、RAM302、ROM304、HDD306、通信部308、表示部310、入力部312及びバス314を有する。
CPU300は、情報処理装置100の動作制御を行うプログラムを実行する。RAM302は、CPU300のワークエリア等を構成する。ROM304は、情報処理装置100のシステムプログラム等を記憶する。HDD306は、OSやアプリケーションのプログラムや、データ等を保管する。HDD306は、例えば、半導体メモリ、磁気テープ、光学ディスク等を用いる、任意の記憶装置であってもよい。通信部308は、外部の装置と通信するための装置であり、例えば、IEEE802.3規格に基づくLANと接続するためのインターフェースを含む装置である。表示部310は、例えば液晶ディスプレイのように、情報処理装置100の操作画面や処理結果を、ユーザに対して提示する装置である。入力部312は、例えばキーボードや、マウスのように、ユーザからの入力を受け付ける装置である。バス314は、上記装置を電気的に接続する。
上記構成により、本発明の一実施形態における情報処理装置100は、位置情報管理サーバ102に収集された無線端末の位置情報を取得し、管理対象物の不正な移動を検知することができる。
なお、表示部310及び入力部312は、任意の構成要素である。
(2.2 無線端末)
図4は、本発明の一実施形態における無線端末120、122(以下、代表的に無線端末120について説明する)又は無線端末124のハードウェア構成を表す。図4(A)は、管理者又はユーザの無線端末120、122のハードウェア構成を表し、図4(B)は、管理対象物に付される無線端末124のハードウェア構成を表す。上述したように、通信機能に関して、無線端末120と無線端末124の機能を共通している。以下に、共通する点について説明する。
無線端末120、124は、それぞれ、CPU400、420、RAM402、422、ROM404、424、第一通信部406、426、第二通信部408、428、測位信号受信部410、430及びバス416、436を有する。
CPU400、420は、無線端末の動作制御を行うプログラムを実行する。RAM402、422は、CPUのワークエリア等を構成する。ROM404、424は、CPU400が実行するプログラムや、プログラムの実行に必要なデータを記憶する。第一通信部406、426は、外部の装置と通信するための装置であり、例えば、ZigBee(登録商標)のような、近距離無線通信方式に従って通信を行う装置である。第二通信部408、428は、外部の装置と通信するための装置であり、例えば、IEEE802.11規格に従う無線LANによる通信を行う装置である。測位信号受信部410、430は、通信装置140が送信する測位信号を受信するための装置であり、例えば、IMES規格により定義されたフレームフォーマットの測位信号を受信する。バス416、436は、各装置を電気的に接続する。
本発明の一実施形態における無線端末120は、さらに、表示部412及び入力部414を有する。
表示部412は、例えば液晶ディスプレイのように、無線端末120の操作画面や処理結果を、ユーザに対して表示する装置である。入力部414は、例えばキーボード又はタッチパネル等のように、ユーザからの入力を受け付ける装置である。
本発明の一実施形態における無線端末124は、さらに、音声出力部432及び発光部434を有する。
音声出力部432は、音による警報を生ずるための、例えばスピーカのような音声出力装置である。発光部434は、光による警報を生ずるための、例えばLEDランプのような発光装置である。
上記構成により、本発明の一実施形態における無線端末120、124は、通信装置140から送信された測位信号を用いて、位置情報を取得し、この位置情報を、位置情報管理サーバ102へと送信することができる。また、無線端末124は、情報処理装置100からの指示に基づいて、警報を発することができる。
なお、無線端末120、124は、例えば、第二通信部408として、例えば第三世代移動体通信システム(いわゆる、3G)のような、携帯電話通信網にアクセス可能な通信装置を備えていてもよい。あるいは、無線LANによる通信のための通信装置と、3Gによる通信のための通信装置との、両方を備えていてもよい。
(2.3 通信装置)
図5は、本発明の一実施形態における通信装置140−146(以下、代表的に通信装置140について説明する)のハードウェア構成例を表す。通信装置140は、CPU500、RAM502、ROM504、通信部506、測位信号送信部508及びバス510を有する。
CPU500は、通信装置140の動作制御を行うプログラムを実行する。RAM502は、CPU500のワークエリア等を構成する。ROM504は、CPU500が実行するプログラムや、プログラムの実行に必要なデータを記憶する。通信部506は、外部の装置と通信するための装置であり、例えば、ZigBee(登録商標)のような近距離無線通信方式に従って無線通信可能な装置である。測位信号送信部508は、無線端末120が現在位置を取得するために用いる測位信号を送信する装置であり、例えば、IMES規格により定義されたフレームフォーマットで測位信号を送信する。より具体的には、測位信号送信部508は、IMES規格によって定義されるフレーム構造を有するデータを用いて、1.5754GHzの搬送波を変調して信号を生成し、これをアンテナより送出する。バス510は、上記装置を電気的に接続する。
上記構成により、本発明の一実施形態における通信装置140は、無線端末120及び情報処理装置122が測位を行うために必要な、測位信号を送信することができる。また、無線端末120及び情報処理装置122と、ゲートウェイ160との間の通信を中継することができる。
(2.4 ゲートウェイ)
図6は、本発明の一実施形態におけるゲートウェイ160のハードウェア構成を表す。ゲートウェイ160は、CPU600、RAM602、ROM604、第一通信部606、第二通信部608及びバス610を有する。
CPU600は、ゲートウェイ160の動作制御を行うプログラムを実行する。RAM602は、CPU600のワークエリア等を構成する。ROM604は、CPU600が実行するプログラムや、プログラムの実行に必要なデータを記憶する。第一通信部606は、外部の装置と通信するための装置であり、例えば、ZigBee(登録商標)のような近距離無線通信方式に従って無線通信可能な装置である。第二通信部608は、外部の装置と通信するための装置であり、例えば、IEEE802.3規格に基づくLANと接続するためのインターフェースを含む装置である。バス610は、上記装置を電気的に接続する。
上記構成により、本発明の一実施形態におけるゲートウェイ160は、通信装置140、無線端末120及び情報処理装置122により構成される、近距離無線通信による、ネットワーク180を管理することができる。また、本ゲートウェイ160は、ネットワーク180と、ネットワーク190とを、相互に接続することができる。
(3.機能)
次に、図7を用いて、本発明の一実施形態における情報処理装置100、無線端末120、124、通信装置140、ゲートウェイ160及び位置情報管理サーバ102の機能ブロックの構成について説明する。図7には、これらの装置が備える様々な要素のうち、本実施形態の説明に特に関連する要素が示されている。また、図7において、各手段を結ぶ矢印は、各手段の間での主な情報の流れを表している。特に、破線の矢印は、異なる装置間での主な情報の流れを表している。以下では、上記構成によって提供される機能を、「位置情報管理機能」と、「アラート送信機能」に分けて説明する。
(3.1 位置情報管理機能)
まず、無線端末120、122、124の位置情報を、取得して管理する機能について説明する。本機能は、代表的に、無線端末120の位置情報を取得して管理する手順について説明する。上述したように、無線端末120の位置情報は、無線端末120が、通信装置から送信される測位信号を受信することによって、取得される。ここでは、測位信号が、IMES規格に従って構成される測位信号であるものとして説明する。無線端末120は、ネットワーク180を用いて、取得した位置情報を、位置情報管理サーバ102へと送信することができる。
本発明の一実施形態における通信装置140は、位置情報格納手段700と、測位信号送信手段702を有する(中継手段712については後述する)。
位置情報格納手段700は、通信装置140が設置される位置を表す位置情報を格納する。位置情報には、例えば、緯度、経度、フロアを表す情報が含まれる。位置情報は、通信装置ごとに、通信装置の設置者等によって予め設定される。設置済の通信装置の位置情報は、例えば、図9に示されるテーブルによって、通信装置を識別するための識別子ととともに、管理される。当該テーブルに記載された情報は、情報処理装置100に格納される。
測位信号送信手段702は、位置情報格納手段700に格納された位置情報を含む測位信号を生成して、無線端末120に送信する。測位信号は、IMES規格によって定義されるフレーム構造によって構成され得る。
本発明の一実施形態における無線端末120は、測位信号受信手段704、位置情報取得手段706、識別情報格納手段708及び位置情報送信手段710を有する。なお、これらの手段をまとめて、測位手段720aと呼ぶ。図7に示されるように、測位手段720aと同等の機能を有する測位手段720bが、無線端末124にも含まれる。
測位信号受信手段704は、通信装置140から送信された測位信号を受信する。測位信号受信手段704は、受信した測位信号を、位置情報取得手段706に渡す。
位置情報取得手段706は、測位信号受信手段704が受信した、IMES規格に従って構成される測位信号から、位置情報を取得する。位置情報には、緯度、経度、フロアの情報が含まれる。位置情報取得手段706は、取得した位置情報を、位置情報送信手段710に渡す。
識別情報格納手段708は、無線端末120の識別情報を格納する。識別情報には、例えば、無線端末120の有する固有のMACアドレスを用いることができる。
位置情報送信手段710は、位置情報取得手段706から受け取った位置情報と、識別情報格納手段708に格納される識別情報とを、通信装置140に送信する。ここで、これらの情報は、通信装置140(又は通信装置142−146)と、ゲートウェイ160とにより中継されて(ネットワーク180経由で)、位置情報管理サーバ102に伝送され得る。無線端末120は、複数設置された通信装置のうち、測位信号の送信元である通信装置140に対して、位置情報と識別情報とを送信することができる。通信装置140及びゲートウェイ160における、中継処理の詳細については、後述する。位置情報と識別情報は、無線端末120が、測位信号を通じて位置情報が取得するたびに、送信され得る。無線端末120による、位置情報の取得は、例えば、所定の時刻、一定間隔、又は、無線端末120に備えられた加速度センサ(図示されない)による加速度の変化の検出に応じて、行われ得る。
本発明の一実施形態における通信装置140は、さらに中継手段712を有する。
中継手段712は、無線端末120から、位置情報管理サーバ102宛に送信された位置情報と識別情報とを、他の通信装置及び/又はゲートウェイ160へと中継する。中継された情報は、当該通信装置に格納されたルーティング情報に基づいて、次のノード(通信装置又はゲートウェイ)へと伝送され得る。無線端末120から送信された位置情報及び識別情報は、ゲートウェイ160に伝送され、その後、位置情報管理サーバ102へと伝送される。中継手段712は、ネットワーク180がZigBee(登録商標)によって構成される場合には、ZigBeeルータの機能を提供することができる。
本発明の一実施形態におけるゲートウェイ160は、通信変換手段714を有し、ネットワーク180の構成を管理する。ゲートウェイ160は、ネットワーク180がZigBee(登録商標)によって構成される場合には、ZigBeeコーディネータとしての機能を提供することができる。
通信変換手段714は、ネットワーク180に属する通信装置140−146から受信したデータを、外部のネットワーク(例えば、図1のネットワーク190)に適合する形式に変換し、そのデータを、位置情報管理サーバ102へと送信する。
本発明の一実施形態における位置情報管理サーバ102は、位置情報受信手段716及び位置情報格納手段718を有する。
位置情報受信手段716は、無線端末120から送信された、識別情報と位置情報とを受信する。受信した識別情報と位置情報とは、位置情報格納手段718に渡される。
位置情報格納手段718は、位置情報受信手段716から受け取った位置情報を、位置情報受信手段716から同様に受け取った識別情報ごとに、異なるテーブルに格納する。図10(A)は、無線端末120の位置情報を順次格納する、位置情報管理テーブルの例を示している。なお、図10(B)は、無線端末122の位置情報の例を、図10(C)は、無線端末124の位置情報の例を示している。位置情報管理テーブルは、「日時」と、「緯度」と、「経度」と、「フロア」の項目を有する。「日時」は、無線端末120(又は情報処理装置122)から位置情報を受信した日時を格納する。あるいは、日時は、無線端末120が位置情報を取得した日時を格納してもよい。この場合には、日時を表す情報が、無線端末120から、別途取得され得る。「緯度」、「経度」及び「フロア」の情報は、無線端末120から受信した位置情報に含まれる情報である。このように、図10に例示される位置情報管理テーブルは、位置情報を送信した装置の識別情報ごとに設けられ、位置情報の一定期間内の履歴を格納することができる。図10は、二つの時点における位置情報を格納する例を表しており、これらの時点における位置情報の変化は、図1(A)及び図2(A)で示される、無線端末と管理対象物の位置情報の変化に対応している。一方、図11及び図12には、異なる時間帯の位置情報管理テーブルの異なる例を表している。図11においても、図10と同様に、二つの時点における位置情報を格納する例を表しており、これらの時点における位置情報の変化は、図2(A)及び図2(B)で示される、無線端末及び管理対象物の位置の変化に対応している。後述する実施例は、図10−12に示される、位置情報管理テーブルの例に基づいて、説明される。
以上の機能によって、本発明の一実施形態における情報処理装置100は、位置情報管理サーバ102を介して、管理者又はユーザの所持する無線端末120、122と、管理対象物に付された無線端末124の位置情報を取得することができる。また、各無線端末は、位置情報を、PANのようなネットワーク180を通じて繰り返し送信するため、アクセスポイント等を通じて位置情報を送信する場合に比べて、通信に係る消費電力を低く抑えることができる。
なお、上記の説明では、主に、無線端末120の位置情報を取得する手順について説明したが、無線端末124の位置情報についても、同様の手順に従って、取得される。この場合には、上述した測位手段720aと同様の機能を有する、無線端末124の測位手段720bが、通信装置の送信する測位信号から位置情報を取得し、この位置情報を通信装置に送信する。
(3.2 アラート送信機能)
次に、本発明の一実施形態における情報処理装置100が、ユーザの無線端末120、122に対してアラートを送信し、管理対象物に付された無線端末124に対して警報を発生させる機能について説明する。
本発明の一実施形態における情報処理装置100は、端末情報格納手段730、通信装置情報格納手段732、権限情報格納手段734、判定手段736、位置情報取得手段738、アラート送信手段740及び警報制御手段742を有する。
端末情報格納手段730は、本情報処理装置100が監視対象とする端末情報を格納する。端末情報は、例えば、図8に示される、端末情報管理テーブルを用いて、格納され得る。図8で例示される端末情報管理テーブルは、ユーザの無線端末を管理するテーブル(図8(A))と、管理対象物に付される無線端末を管理するテーブル(図8(B))に分類される。以下、両方のテーブルに共通して含まれる、各項目について説明する。
−端末ID:全ての無線端末に予め付された、無線端末を識別するためのIDである。
−名称:本情報処理装置100の管理者等により、無線端末の種類を容易に特定できるよう、予め設定された名前である。ユーザの無線端末に設定される名称は、例えば、「スマートフォン001」のような、無線端末を識別するための名前であってもよい。また、管理対象物に付された無線端末に設定される名称は、「カラー複合機01」のように、管理対象物の名前そのものであってもよい。
−識別情報:無線端末が固有に有する、例えばMACアドレスのような、識別情報が格納される。識別情報は、前述した、位置情報管理機能を通じて、各無線端末から位置情報と送信された識別情報と同一の情報である。各無線端末の有する識別情報は、既知であり、予め、当該テーブルに設定される。
また、図8(A)に示される、ユーザの無線端末の情報を格納する端末情報管理テーブルには、以下の情報が含まれる。
−ユーザ名:当該無線端末を使用するユーザのユーザ名(ID又はアカウント名を含む)を表す。ユーザ名は、無線端末の夫々に対して、予め設定されている。管理対象物が不正に移動された場合には、管理者であるユーザに対して、アラートが送信される。
−アラート送信先情報:本情報処理装置100によって管理対象物の不正な移動が検出された場合に、アラートを送信する宛先を表す情報である。管理対象物の管理者であるユーザに対しては、例えば、メールによってアラートが送信されるため、メールアドレスの情報が登録されている。なお、アラートを送信する形態は、これに限られない。SMSや、インスタントメッセージング等を含む、任意の送信手段が用いられてもよい。この場合には、送信手段に応じた、送信先情報(電話番号、アカウントID、IPアドレス等)が格納され得る。各無線端末のユーザのアラート送信先情報は、予め設定されているものとする。
一方、図8(B)に示される、管理対象物に付された無線端末の情報を格納する端末情報管理テーブルには、以下の情報が含まれる。
−接続情報:不正な移動が検出された管理対象物の無線端末に対して、警報を発するよう指示を行う際に使用する、その無線端末に対する接続情報である。無線端末は、ネットワークを通じて、本情報処理装置100からの指示を受信することにより、警報を発する。また、当該接続情報は、警報の発生を停止する指示を送信するためにも、使用される。各無線端末に対する接続情報は、予め設定されているものとする。
−アラート状態:管理対象物についての、不正な移動が検出されているか否かを示す情報である。「Y」である場合には、不正な移動が検出された状態であることを示す。すなわち、この場合には、管理対象物の管理者に対してアラートが送信されると共に、管理対象物の無線端末に対して、警報を発する指示が送信される。一方、管理対象物の管理者からの指示により、アラートが解除されると、「N」の情報が記録される。当該情報は、管理対象物の状態に応じて、動的に更新され得る。アラート状態の設定に関しては後述する。
通信装置情報格納手段732は、図1、2等に示されるような、空間内に設置された通信装置140−146の、設置位置情報を格納する。通信装置の設置位置情報は、例えば、図9に示される、通信装置情報格納テーブルを用いて、格納される。図9に示される、通信装置情報格納テーブルには、以下の項目が含まれる。
−通信装置ID:各通信装置に予め割り振られた、固有のIDである。
−緯度、経度、フロア:各通信装置の設置位置を表す。各通信装置は、この設置位置を表す位置情報を、測位信号に含めて、各無線端末に対して送信する。
通信装置情報格納テーブルは、例えば、通信装置が設置された段階で、既に生成されており、本情報処理装置100は、この情報を、任意に参照して使用することができる。
権限情報格納手段734は、図13に示されるような、権限管理テーブルを用いて、管理対象物の無線端末と、その管理対象物の管理者、又は、その管理対象物を移動させる権限を付与されたユーザを管理する。図13に示される、権限管理テーブルには、以下のような項目が含まれる。
−番号:権限の設定を管理するために付される通し番号を表す。
−管理対象端末ID:管理対象物に付された無線端末の端末IDを示す。端末IDは、端末情報格納手段730に格納された、図8(B)に示される、端末情報管理テーブルに含まれる端末IDと対応する。
−ユーザ名:管理対象物の管理者又は管理対象物を移動させる権限を付与されたユーザのユーザ名を表す。
−管理者フラグ:当該権限設定項目で示されたユーザが管理者であるかどうかを表すフラグである。「Y」である場合には、管理対象端末に対して当該ユーザが管理者であることを示し、「N」である場合には、管理対象端末に対して当該ユーザが管理者でないことを示す。管理者は、原則として、一つの管理対象端末IDに対して、一ユーザのみ設定されるようにしてもよい。この場合には、管理者によって事後的に設定された権限を有するユーザに対しては、「管理者フラグ」が「N」と設定されてもよい。
なお、図13(A)は、生成当初の権限管理テーブルを示しており、管理対象物に付された無線端末124(端末ID「3」)の管理者である、ユーザ名「user001」のみが、当該管理対象物を移動させる権限を有するユーザとして、登録されている。一方、図13(B)には、管理者からの指示により、ユーザ名「user002」に対しても、管理対象物を移動させる権限が付与された例が示されている(詳細については後述する)。
また、図14に示される、権限有効期限管理テーブルには、以下のような項目が含まれる。
−番号:権限の設定を管理するために付される通し番号を表す。図13の権限管理テーブルの番号と対応する。
−有効期限:図13の権限管理テーブルの番号で設定された権限の、有効期限を表す日時を格納する。例えば、図14(A)の番号「1」の項目は、図13(A)の番号「1」の項目で示される権限の有効期限が、「なし」であることを示している。一方、図14(B)の番号「2」の項目は、図13(B)の番号「2」の項目で示される権限の有効期限が、「2012/7/23 11:10:05」までであることを示している。権限の有効期限は、当該権限の設定時に、本情報処理装置100の構成により、自動的に設定され得る(詳細については後述する)。
判定手段736は、本情報処理装置100が監視対象とする端末、すなわち、端末情報格納手段730に格納された、ユーザ及び管理対象物に付された無線端末の位置情報を随時取得し、管理対象物が、権限を有するユーザによって、適切に移動されているかどうかを判定する。そして、判定手段736は、管理対象物が、権限を有さないユーザによって不正に移動されていると判定した場合には、後述する、アラート送信手段740を通じて、その管理者に対してアラートを送信する。これとともに、判定手段736は、後述する、警報制御手段742を通じて、管理対象物の無線端末に対して、警報を発生させる。以下、判定手段736の機能について、より詳しく説明する。
判定手段736は、後述する、位置情報取得手段738に、ユーザの無線端末の位置情報と、管理対象物に付された無線端末の位置情報を取得させる。このために、端末情報格納手段730に格納された、各無線端末の識別情報が、位置情報取得手段738に渡される。無線端末の位置情報は、上述した、位置情報管理サーバ102の、位置情報格納手段718に格納された、位置情報管理テーブルから取得される。取得される位置情報には、現在の位置情報のほかに、一定期間前の、過去の位置情報が含まれ得る。例えば、図10に示される位置情報管理テーブルの例において、各無線端末から、現在を表す「2012/7/23 10:00:05」(図2(A)に示される位置関係に対応)及び過去の一時点である「2012/7/23 10:00:00」(図1(A)に示される位置関係に対応)での位置情報が取得され得る。
判定手段736は、各無線端末の一定期間の位置情報を取得すると、管理対象物に付された無線端末のうち、位置情報が、その一定期間に変化した無線端末を特定する。例えば、図10(C)に示される無線端末124について、取得した二つの時点(「2012/7/23 10:00:05」及び「2012/7/23 10:00:00」)における位置情報が変化しているため、判定手段736は、この無線端末124(図8(B)より、端末ID「3」)を特定する。そして、判定手段736は、権限情報格納手段734の、図13に示される権限管理テーブルを参照し、その管理対象物を移動させる権限を有するユーザを特定する。例えば、図13(A)に示される権限管理テーブルより、権限を有するユーザとして、「user001」(管理者)が特定される。さらに、判定手段736は、図8に示される端末情報管理テーブルより、特定されたユーザの使用する無線端末を特定する。例えば、判定手段736は、図8(A)の端末情報管理テーブルより、「user001」によって使用される無線端末として、無線端末120を特定する。なお、管理対象物に付された無線端末のうち、その一定期間に変化のあった無線端末がない場合には、判定手段736は、特に処理を行わない。
判定手段736は、移動のなされた管理対象物の無線端末の位置情報の変化と、その管理対象物を移動させる権限を有するユーザの無線端末の位置情報の変化を比較する。そして、判定手段736は、これらの位置情報の変化が一致する場合には、当該管理対象物の移動は、適切なものであると判定する。例えば、判定手段736は、図10に示される位置情報管理テーブルから取得された、無線端末120と無線端末124の、二つの時点「2012/7/23 10:00:05」、「2012/7/23 10:00:00」における位置情報の変化を比較する。そして、判定手段736は、両者の位置情報の変化が一致すると、無線端末124の付された管理対象物の移動は、適切なものであると判定する。
一方、判定手段736は、管理対象物の無線端末の位置情報の変化が、その管理対象物を移動させる権限を有する、何れのユーザの無線端末の位置情報の変化とも一致していない場合には、管理対象物が不正に移動されたものと判定する。ここで、管理対象物に付された無線端末の位置情報の変化と一致する、権限を有さないユーザの無線端末が、特定されるか否かにより、以後、異なる処理が行われる。以下に、それぞれの場合についての説明を行う。
まず、管理対象物の無線端末の位置情報の変化と一致する無線端末が、本情報処理装置100の監視対象であって、かつ、管理対象物に対する権限を有さないユーザの、無線端末122である場合について説明する。
判定手段736は、管理対象物の無線端末の位置情報の変化が、その管理対象物を移動させる権限を有するユーザの無線端末の位置情報の変化と一致していないことを検出すると、他の残りのユーザの無線端末の位置情報の変化を参照する。そして、その位置情報の変化が、管理対象物の無線端末の位置情報の変化と一致する、他のユーザの無線端末を特定する。判定手段736は、このような無線端末を特定することにより、管理対象物が、権限を有さないユーザによって、不正に移動されたと判定する。例えば、図11に示された位置情報管理テーブルから、現在を表す「2012/7/23 10:10:05」(図2(B)に示される位置関係に対応)及び過去の時点である「2012/7/23 10:10:00」(図2(A)に示される位置関係に対応)での位置情報が取得されたとする。この場合には、図11(B)及び図11(C)に示されるように、管理対象物を移動させる権限を有さないユーザ「ユーザ002」の無線端末122の位置情報の変化が、無線端末124の位置情報の変化と一致する。そこで、判定手段736は、無線端末124のユーザ「user002」によって、管理対象物が不正に移動されたと判定する。この判定結果を受けて、判定手段736は、端末情報格納手段730の、図8(B)に示される端末情報管理テーブルの、該当する管理対象物のアラート状態を「Y」に書き換える。
判定手段736は、管理対象物が不正に移動されたと判定すると、後述する、警報制御手段742に、管理対象物に付された無線端末の接続情報を通知し、その無線端末に警報を生じさせるよう、警報制御手段742に指示する。管理対象物に付された無線端末の接続情報は、端末情報格納手段730の、図8(B)の端末情報管理テーブルから取得できる。例えば、上述した、図11に示される位置情報管理テーブルの例において、判定手段736は、管理対象物の無線端末124の接続情報「asset01.company.com」を警報制御手段742に渡し、無線端末124に警報を生じさせるよう警報制御手段742に指示する。
また、判定手段736は、後述する、アラート送信手段740に、管理対象物の管理者の送信先情報と、管理対象物の名称と、管理対象物を不正に移動させているユーザのユーザ名を通知し、その管理者に対して、アラートを送信させる。管理対象物の管理者は、権限情報格納手段734の、図13に示される権限管理テーブルを参照することによって、特定される。また、その管理者であるユーザに対してアラートを送信するために必要な送信先情報は、端末情報格納手段730の、図8(A)に示される端末情報管理サーブルのアラート送信先情報に記載されている。例えば、上述した、図11に示される位置情報管理テーブルの例では、管理対象物の管理者「user001」のアラート送信先「user001@company.com」に対し、管理対象物「カラー複合機01」が、ユーザ「user002」によって不正に移動された旨を表す、メール形式のアラート(以下、「アラートメール」と呼ぶ。)が送信される。アラートを受信した管理者の無線端末には、例えば、図19に示されるような画面が表示される。当該画面には、不正に移動されている管理対象物の名称と、不正に移動させているユーザ名が表示される。また、図19に示されるように、不正に管理対象物を移動させたユーザに対して、その管理対象物の移動の権限を設定するか否かを、管理者に選択させるための選択肢が表示される。ここで、アラートを受け取った管理者が、そのユーザによる管理対象物の移動の権限を設定するよう選択した場合には、その旨の情報が、本情報処理装置100に返送される。当該情報の返送は、メールの返送であってもよいし、予め定められた、HTTP通信等によるものであってもよい。返送される情報には、権限の設定対象となる管理対象物名及びユーザのユーザIDが含まれる。返送された情報は、権限情報格納手段734の、図13に示される権限管理テーブルに反映される。また、同時に、図14に示される権限有効期限管理テーブルに、有効期限の情報が格納される。有効期限には、管理対象物の移動がなされたものとして判定された時点の日時に、一定期間を加えた日時が、設定され得る。一定期間とは、例えば、10分、1時間、1日等であり、任意に定められ得る。図19に示されたアラートメールの例では、管理者が、「はい」を選択することにより、管理対象物名である「カラー複合機01」と、ユーザ名「user002」の情報が、本情報処理装置100に返送される。当該情報を受け取ると、権限情報格納手段734の、図13(A)に示される権限管理テーブルにおいて、以下のような設定を含む、新たな権限項目が追加される。
−番号:「2」
−管理対象端末ID:「3」(管理対象物「カラー複合機01」に付された無線端末の端末ID)
−ユーザ名:「user002」
上記の権限が設定された権限管理テーブルの例を、図13(B)に示す。また、図14(A)に示される権限有効期限管理テーブルに対しても、以下のような設定が追加される。
−番号:「2」(図13(B)で追加された権限項目の番号に対応する)
−有効期限:「2012/7/23 11:10:05」(管理対象物の移動がなされた日時に1時間を加えた日時)
管理者の無線端末120によって、ユーザに対する管理対象物への移動権限が設定されると、管理対象物に対するアラート状態が解除され、端末情報格納手段730の、図8に示された端末情報管理テーブルのアラート状態が、「N」に書き換えられる。本実施例では、図8(B)に示される、管理対象物「カラー複合機01」のアラート状態が解除される(「N」が設定される)。
アラート状態が解除されると、判定手段736は、後述する、警報制御手段742に、管理対象物に付された無線端末の接続情報を通知し、その無線端末に警報を停止させるよう、警報制御手段742に指示する。例えば、上述した、図12に示される位置情報管理テーブルの例において、判定手段736は、管理対象物の無線端末124の接続情報「asset01.company.com」を警報制御手段742に渡し、無線端末124に警報を停止するよう警報制御手段742に指示する。
次に、管理対象物とともに移動した無線端末が、本情報処理装置100の監視対象でない、外部のユーザによって使用される無線端末130である場合について説明する。
判定手段736は、管理対象物の無線端末の位置情報の変化が、その管理対象物を移動させる権限を有するユーザの無線端末の位置情報の変化と一致していないことを検出すると、他の残りのユーザの無線端末の位置情報の変化を参照する。そして、その位置情報の変化が、管理対象物の無線端末の位置情報の変化と一致する、他のユーザの無線端末を特定できなかった場合に、管理対象物が、外部のユーザによって不正に移動されたと判定する。例えば、図12に示された位置情報管理テーブルから、現在を表す「2012/7/24 10:10:05」及び過去の時点である「2012/7/24 10:10:00」での位置情報が取得されたとする。この場合には、図12(A)−(C)に示されるように、管理対象物に付された無線端末124の位置情報の変化と一致する、位置情報を有する無線端末は存在しない。したがって、判定手段736は、位置情報を取得することができない、外部のユーザによって、管理対象物が不正に移動されたと判定する。この判定結果を受けて、判定手段736は、端末情報格納手段730の、図8(B)に示される端末情報管理テーブルの、該当する管理対象物のアラート状態を「Y」に書き換える。
判定手段736は、管理対象物が不正に移動されたと判定すると、後述する、警報制御手段742に、管理対象物に付された無線端末の接続情報を通知し、その無線端末に警報を生じさせるよう、警報制御手段742に指示する。管理対象物に付された無線端末の接続情報は、端末情報格納手段730の、図8(B)の端末情報管理テーブルから取得できる。例えば、上述した、図12に示される位置情報管理テーブルの例において、判定手段736は、管理対象物の無線端末124の接続情報「asset01.company.com」を警報制御手段742に渡し、無線端末124に警報を生じさせるよう、警報制御手段742に指示する。
また、判定手段736は、後述する、アラート送信手段740に、管理対象物の管理者の送信先情報と、管理対象物の名称と、管理対象物に付された無線端末の現在位置(緯度、経度、フロア)を通知し、その管理者に対して、アラートを送信させる。管理者であるユーザは、権限情報格納手段734の、図13に示される権限管理テーブルを参照することによって、特定される。また、アラートを送信するために必要な送信先情報は、端末情報格納手段730に格納された、図8(A)に示される端末情報管理サーブルのアラート送信先情報に記載されている。例えば、上述した、図12に示される位置情報管理テーブルの例では、管理対象物の管理者「user001」のアラート送信先「user001@company.com」に対し、管理対象物「カラー複合機01」が不正に移動された旨を表す、アラートメールが送信される。アラートを受信した管理者の無線端末120上には、例えば、図20に示されるような画面が表示される。当該画面には、不正に移動されている管理対象物の名称が表示される。また、図20に示されるように、管理対象物の付された無線端末124の現在位置が、地図とともに表示される。地図は、予め、無線端末に格納されていてもよいし、外部のサーバから必要に応じて取得されてもよい。
さらに、判定手段736は、後述する、アラート送信手段740に、管理対象物の無線端末の現在位置から一定の範囲内に存在する無線端末のユーザ(管理者を除く)に対して、アラートを送信させる。このために、判定手段736は、管理対象物の無線端末から一定の範囲内に存在する無線端末(管理者の無線端末を除く)を特定する。一定の範囲とは、例えば、管理対象物の無線端末の現在の位置情報を基準として、南北方向及び東西方向に、一定の距離離れた位置の位置情報を含む、位置情報(但し、同一フロア内)が含まれる。一定の距離とは、例えば、南北方向に「±0.00005度」、東西方向に「±0.0005度」のように、定義され得る。図12に示される位置情報管理テーブルの例において、管理対象物に付された無線端末124の現在位置は、緯度が「35.66635」、経度が「139.76530」、フロアが「4」である。従って、一定の距離が、南北方向に「0.00005度」、東西方向に「0.00005度」と定義される場合には、判定手段736は、緯度が「35.66630」〜「35.66640」、経度が「139.76525」〜「139.76535」、フロアが「4」である位置情報を有する、無線端末を特定する。図12の例では、緯度が「35.66630」、経度が「139.76530」、フロアが「4」の位置情報を有する無線端末122が特定される。
一定範囲内の無線端末が特定されると、判定手段736は、後述する、アラート送信手段740に、特定された無線端末のユーザの送信先情報と、管理対象物の名称と、その管理対象物の管理者であるユーザ名と、管理対象物に付された無線端末の現在位置を通知し、アラートメールを送信させる。特定された無線端末のユーザの送信先情報は、端末情報格納手段730の、図8(A)に示される端末情報管理サーブルから取得できる。また、管理対象物の管理者は、権限情報格納手段734の、図13に示される権限管理テーブルを参照することによって、特定される。例えば、上述した、図12に示される位置情報管理テーブルの例では、管理対象物から一定範囲に存在する無線端末122のユーザ「user002」のアラート送信先「user002@company.com」に対し、管理対象物「カラー複合機01」が、不正に移動された旨を表す、アラートメールが送信される。アラートを受信した管理者の無線端末には、例えば、図21に示されるような画面が表示される。当該画面には、不正に移動されている管理対象物の名称と、当該管理対象物の管理者のユーザ名が表示される。また、図21に示されるように、管理対象物(の付された無線端末124)の現在位置が、地図とともに表示される。地図は、予め、無線端末に格納されていてもよいし、外部のサーバから必要に応じて取得されてもよい。
この後、例えば、不正に移動された管理対象物が、管理者又は権限を有するユーザの管理下に戻された場合には、管理者は、無線端末120上で表示される設定画面等を通じて、当該管理対象物のアラート状態を解除することができる。これによって、端末情報格納手段730の、図8(B)に示される端末情報管理テーブルにおける、アラート状態が、「N」に書き換えられる。本実施例では、図8(B)に示される、管理対象物「カラー複合機01」のアラート状態が解除される(「N」が設定される)。
アラート状態が解除されると、判定手段736は、後述する、警報制御手段742に、管理対象物に付された無線端末の接続情報を通知し、その無線端末に警報を停止させるよう、警報制御手段742に指示する。例えば、上述した、図12に示される位置情報管理テーブルの例において、判定手段736は、管理対象物の無線端末124の接続情報「asset01.company.com」を警報制御手段742に渡し、無線端末124に警報を停止するよう警報制御手段742に指示する。
位置情報取得手段738は、判定手段736から受け取った識別情報を有する無線端末の位置情報を、位置情報管理サーバ102の位置情報格納手段718から取得する。そして、位置情報取得手段738は、取得した位置情報を、判定手段730に渡す。このとき、渡される位置情報には、無線端末の、現在及び過去の位置情報が含まれ得る。
アラート送信手段740は、判定手段736からの指示を受けて、不正な移動がなされたと判定された管理対象物の管理者と、その管理対象物の現在位置から一定の範囲に存在する無線端末のユーザに対して、アラートを送信する。本実施例においては、メールによって送信される、アラートメールについて説明を行う。しかしながら、本発明は、この例に限られず、例えば、SMSや、インスタントメッセージング等により、アラートが送信されてもよい。なお、アラートは、図1に示される、ネットワーク190を介して、各無線端末へと送信され得る。
警報制御手段742は、判定手段736からの指示を受けて、管理対象物に付される無線端末に対して、警報の再生を開始又は停止するよう指示する。当該指示は、無線端末が解釈可能な、予め定められた命令を、ネットワークを通じて送信することによって、なされ得る。
本発明の一実施形態における無線端末120、122は、それぞれ、アラート受信手段750、アラート表示手段752及び権限設定手段754を有する。
アラート受信手段750は、情報処理装置100のアラート送信手段740から送信された、アラートを受信する。アラートは、例えば、メールによって送信される。受信されたアラートは、アラート表示手段752に渡される。
アラート表示手段752は、アラート受信手段750から渡されたアラートの内容を、当該無線端末の画面上に表示する。アラートの表示例は、図19−21に示される。
権限設定手段754は、情報処理装置100のアラート送信手段740から送信されたアラートが、図19に示されるように、不正に管理対象物を移動させたユーザに対する移動権限の設定についての選択肢を含む場合に、当該権限設定を、情報処理装置100に対して行う。アラートを受け取った管理者が、不正に管理対象物を移動させたユーザに対して権限を設定した場合には、その管理対象物名及び権限を設定したユーザのユーザ名が、情報処理装置100に返送される。当該情報の返送は、メールの返送によってなされてもよいし、予め定められた、HTTP通信等によってなされてもよい。返送された情報は、権限情報格納手段734の、図13に示される権限管理テーブルに反映される。また、同時に、図14に示される権限有効期限管理テーブルに、有効期限の情報が格納される。
また、本発明の一実施形態における無線端末124は、測位手段720b及び警報発生手段760を有する。ここで、測位手段720bは、上述したように、無線端末120の測位手段720aと同様の機能を有する。
警報発生手段760は、情報処理装置100の警報制御手段742からの指示を受けて、警報の再生の開始又は停止を行う。警報は、例えば、予め録音された音声の再生、又は予め定められたパターンの発光によって、報知される。
以上の機能によって、本発明の一実施形態における情報処理装置100は、権限を有さないユーザによって、管理対象物が不正に移動されたことを検出し、その旨を警告するアラートを、管理対象物の管理者に送信することができる。これによって、管理者は、いち早く、管理対象物の不正な移動を知ることができ、この移動を抑制するための行動をとることができるようになる。また、管理対象物を移動させているユーザが、適切なユーザである場合には、そのユーザに対して権限を容易に設定できる。さらに、本情報処理装置100によって補足できない外部のユーザによって、管理対象物が不正に移動された場合にも、その移動を検知し、その旨を警告するアラートを、管理対象物の管理者に送信することができる。このとき、管理対象物の近くにある無線端末に対しても、アラートを送信することにより、その無線端末のユーザに対して、管理対象物の不正な移動を停止するよう、働きかけることができる。
(4.動作例)
次に、図15を用いて、本発明の一実施形態における情報処理装置100の処理フローについて、具体例を用いて説明する。
ステップS1500において、情報処理装置100の処理が開始される。
ステップS1502において、位置情報取得手段738は、判定手段736から受け取った識別情報を有する無線端末の位置情報を、位置情報管理サーバ102の位置情報格納手段718から取得する。本実施例において、位置情報の取得対象となる無線端末は、端末情報格納手段730の、図8(A)(B)に示される端末情報管理テーブルに記載された、無線端末120、120、124である。また、本実施例において、位置情報格納手段718に格納される位置情報管理テーブルの例が、図10、11、12に示されている。これらの位置情報管理テーブルは、それぞれ、異なる時間帯における、無線端末120、122、124の位置情報の履歴を格納している。本実施例において、位置情報取得手段738は、各無線端末の現在の位置情報(位置情報管理テーブルにおける最新の位置情報)と、その直前の位置情報を取得するように構成されている。
ステップS1504において、判定手段736は、管理対象物に付された無線端末のうち、一定期間に、位置情報が変化した無線端末を特定する。本実施例において、例えば、管理対象物に付された無線端末124の位置情報が、図10(C)に示される位置情報管理テーブルに基づいて、取得される。そして、無線端末124について、取得された、二つの時点「2012/7/23 10:00:05」及び「2012/7/23 10:00:00」の位置情報が異なることから、無線端末124の位置情報は、変化したものと判定される。従って、判定手段736は、無線端末124を特定する。
ステップS1506において、ステップS1504で、判定手段736が、位置情報の変化した、管理対象物に付された無線端末を特定できた場合には、ステップS1508に進む。そうでない場合には、ステップS1530に進む。
ステップS1508において、判定手段736は、権限情報格納手段734の、図13に示される権限管理テーブルを参照し、その管理対象物を移動させる権限を有するユーザを特定する。例えば、図13(A)に示される権限管理テーブルより、権限を有するユーザのユーザ名として、「user001」(管理者)を取得する。そして、判定手段736は、図8に示される端末情報管理テーブルより、特定されたユーザの使用する無線端末を特定する。例えば、判定手段736は、図8(A)の端末情報管理テーブルより、「user001」の使用する無線端末は、識別情報が「012345abcdef01」である無線端末120であることを特定する。
ステップS1510において、判定手段736は、管理対象物の無線端末の位置情報の変化と、ステップS1508で特定された無線端末の位置情報の変化を比較する。例えば、図10(A)(C)に示される位置情報管理テーブルから取得された、無線端末120と無線端末124の、二つの時点「2012/7/23 10:00:05」、「2012/7/23 10:00:00」における位置情報の変化を比較する。
ステップS1512において、ステップS1510における比較の結果、位置情報の変化が一致する無線端末が存在する場合には、ステップS1514に進む。そうでない場合には、ステップS1520(図15(B))に進む。位置情報の変化が一致する無線端末が存在する場合には、当該管理対象物の移動は、適切なものであると判定される。例えば、図10に示される位置情報管理テーブルから取得された、無線端末120と無線端末124の位置情報の例では、判定手段736は、無線端末124の付された管理対象物の移動は、適切なものであると判定する。
ステップS1514において、当該処理は終了する。
ステップS1520において、判定手段736は、移動のなされた管理対象物の無線端末の位置情報の変化と、ステップS1508で特定されなかった、(管理対象物を移動する権限を有しない)他の無線端末の位置情報の変化とを比較する。以下では、図11及び図12に示される位置情報管理テーブルを用いて、管理対象物に付された無線端末124の位置情報の変化と、その管理者の無線端末120の位置情報の変化が一致しない例について説明する(ステップS1512において「N」と判定される)。図11及び図12の何れの場合においても、権限を有しないユーザの無線端末は、無線端末122である。従って、本ステップにおいて、判定手段736は、無線端末122の位置情報の変化と、無線端末124の位置情報の変化を比較する。
ステップS1522において、ステップS1520における比較の結果、位置情報の変化が一致する無線端末が特定された場合には、ステップS1524に進む。そうでない場合には、ステップS1540に進む。図11に示される位置情報管理テーブルの例においては、無線端末122と無線端末124の、二つの時点「2012/7/23 10:10:05」、「2012/7/23 10:10:00」における位置情報の変化が一致するため、ステップS1524に進む(このとき、管理対象物とともに移動する無線端末122が特定される)。一方、図12に示される位置情報管理テーブルの例においては、無線端末122と無線端末124の、二つの時点「2012/7/24 10:00:05」、「2012/7/24 10:00:00」における位置情報の変化は一致しない。また、他に、位置情報の変化が一致する無線端末は存在しないため、ステップS1540に進む。
ステップS1524において、判定手段736は、端末情報格納手段730の、図8(B)に示される端末情報管理テーブルの、該当する管理対象物のアラート状態を「Y」に書き換える。図11に示される位置情報管理テーブルの例においては、不正な移動がなされた無線端末124に対応する、「カラー複合機01」のアラート状態が「Y」に書き換えられる。
ステップS1526において、警報制御手段742は、管理対象物に付された無線端末に、警報を生ずるよう指示する。例えば、上述した、図11に示される位置情報管理テーブルの例において、警報制御手段742は、管理対象物の無線端末124の接続情報「asset01.company.com」を用いて、無線端末124に対し、ネットワークを介して、警報の再生を開始させる命令を送信する。これを受けた無線端末124は、警報の再生を開始する。
ステップS1528において、アラート送信手段740は、管理対象物の管理者に対して、アラートを送信する。例えば、上述した、図11に示される位置情報管理テーブルの例では、管理対象物の管理者「user001」のアラート送信先「user001@company.com」に対し、管理対象物「カラー複合機01」が、ステップS1522で特定された無線端末122のユーザ「user002」によって不正に移動された旨を表す、アラートメールが送信される。アラートメールで送信される内容の具体例は、図19に示される。
ステップS1530において、アラートを受信した管理者により、管理対象物を不正に移動させたユーザに対する、管理対象物を移動させる権限が設定された場合には、ステップS1532に進む。そうでない場合には、一定時間待機した後、再度、本ステップS1530を実行する。例えば、上述した、図11に示される位置情報管理テーブルの例において、無線端末124の管理者「user001」が、「user002」に対して管理対象物についての権限を設定する。管理者による権限の設定は、例えば図19に示される、アラートメール中に用意された選択肢に対する操作によって、設定され得る。
ステップS1532において、アラートを受信した管理者により、管理対象物を不正に移動させたユーザに対する権限が設定されると、管理対象物の無線端末におけるアラート状態が解除される。これを受けて、判定手段736は、端末情報格納手段730の、図8(B)に示される端末情報管理テーブルの、アラート状態の項目を、「N」に書き換える。図11に示される位置情報管理テーブルの例においては、不正な移動がなされた無線端末124に対応する、「カラー複合機01」のアラート状態が「N」に書き換えられる。
ステップS1534において、警報制御手段742は、管理対象物に付された無線端末124の警報を停止させる。そして、ステップS1514に進み、処理を終了する。
ステップS1540において、判定手段736は、端末情報格納手段730の、図8(B)に示される端末情報管理テーブルの、該当する管理対象物のアラート状態を「Y」に書き換える。図12に示される位置情報管理テーブルの例においては、不正な移動がなされた無線端末124に対応する、「カラー複合機01」のアラート状態が「Y」に書き換えられる。
ステップS1542において、警報制御手段742は、管理対象物に付された無線端末に、警報を生じさせる。例えば、上述した、図12に示される位置情報管理テーブルの例において、警報制御手段742は、管理対象物の無線端末124の接続情報「asset01.company.com」を用いて、無線端末124に対して、ネットワークを介して、警報の再生を開始させる命令を送信する。これを受けた無線端末124は、警報の再生を開始する。
ステップS1544において、アラート送信手段740は、管理対象物の管理者に対して、アラートを送信する。例えば、上述した、図11に示される位置情報管理テーブルの例では、管理対象物の管理者「user001」のアラート送信先「user001@company.com」に対し、管理対象物「カラー複合機01」が、何者かによって不正に移動された旨を表す、アラートメールが送信される。アラートメールの具体例は、図20に示される。
ステップS1546において、判定手段736は、管理対象物の無線端末124から一定の範囲内に存在する無線端末122を特定する。図12に示される位置情報管理テーブルの例において、一定の範囲が、管理対象物の現在位置(緯度「35.66635」、経度「139.76530」、フロア「4」)から、南北方向に「0.00005度」、東西方向に「0.00005度」の距離の範囲と定義された場合には、無線端末122(緯度「35.66630」、経度「139.76530」、フロア「4」)が、上記一定の範囲内に存在することとなる。
ステップS1548において、アラート送信手段740は、ステップS1546で特定された無線端末のユーザに対して、アラートを送信する。例えば、図21に示されるアラートメールが送信される。
ステップS1550において、管理者が、無線端末120上で表示される設定画面等を通じて、当該管理対象物のアラート状態を解除した場合(図8(B)に示される端末情報管理テーブルにおける、アラート状態が、「N」に書き換えられた場合)には、ステップS1552に進む。そうでない場合には、ステップS1546に戻り、再度、管理対象物に付された無線端末の現在位置から一定範囲に存在する無線端末のユーザに対して、アラートメールを送信する。
ステップS1552において、警報制御手段742は、管理対象物に付された無線端末124の警報を停止させる。そして、ステップS1514に進み、処理を終了する。
以上の機能によって、本発明の一実施形態における情報処理装置100は、権限を有さないユーザによって、管理対象物が不正に移動されたことを検出し、その旨を警告するアラートを、管理対象物の管理者に送信することができる。また、管理対象物を移動させているユーザが、適切なユーザである場合には、そのユーザに対して権限を容易に設定できる。さらに、本情報処理装置100の管理下にない外部のユーザによって、管理対象物が不正に移動された場合にも、その移動を検知し、その旨を警告するアラートを、管理対象物の管理者に送信することができる。
次に、図16−18を用いて、本発明の一実施形態における情報処理装置100を含むシステム全体の動作例について、具体例を用いて説明する。
まず、図16は、無線端末120が、位置情報管理サーバ102に、位置情報を送信する動作例を表している。図16で示される動作例は、図1において示される、無線端末120と通信装置140に着目して説明される。本実施例においては説明を省略するが、他の無線端末122、124も、それぞれ通信装置から位置情報を取得し、以下に示す手順と同様の手順に従って、位置情報を、位置情報管理サーバ102に送信する。図15で示される一連のステップ(特に、ステップS1610−S1622)は、以下のようなタイミングで、繰り返し実行される。
−一定時間おき
−外部の装置又はユーザから処理を実行するよう指示を受けたとき
−無線端末120(又は情報処理装置122)が、図示しない加速度センサ等により、加速度の変化(すなわち、装置の移動)を検知したとき
−その他、任意のタイミング
ステップS1600において、通信装置140(図9において、通信装置ID「C1」)の測位信号送信手段702は、以下のような位置情報を含む測位信号を、一定の領域に送信し続ける。
−緯度 「35.66635」
−経度 「139.76525」
−フロア「4」
ステップS1610において、無線端末120の測位信号受信手段704は、通信装置140の測位信号送信手段702から送信された測位信号を、受信する。
ステップS1612において、無線端末120の位置情報取得手段706は、受信した測位信号から、位置情報を取得する。位置情報は、例えば、IMES規格に従って定義された、測位信号を構成するフレーム内の所定の位置に含まれている。本実施例において、無線端末120が取得した位置情報は、以下の通りとなる。
−緯度 「35.66635」
−経度 「139.76525」
−フロア「4」
ステップS1614において、無線端末120の位置情報送信手段710は、識別情報格納手段708に格納された識別情報とともに、上記位置情報を、通信装置140に送信する。ここで、無線端末120の識別情報(MACアドレス)は、以下の通りであるものとする。
−識別情報 「012345abcdef01」
ステップS1616において、通信装置140の中継手段712は、無線端末120から受信した位置情報と識別情報とを、ゲートウェイ160に中継する。
ステップS1618において、ゲートウェイ160の通信変換手段714は、通信装置140の属するネットワーク180から送信された通信データを、LANのようなネットワーク190に適合する形式に変換する。
ステップS1620において、位置情報管理サーバ102の位置情報受信手段716は、通信装置140とゲートウェイ160とを介して、無線端末120の位置情報と識別情報とを受信する。
ステップS1622において、位置情報管理サーバ102の位置情報格納手段718は、受信した識別情報を用いて、無線端末120の位置情報を格納する。このとき、当該位置情報管理サーバ102が、無線端末120から位置情報を受信した日時が、ともに格納される。本実施例において、位置情報管理サーバ102は、無線端末120から受信した位置情報を、図10(A)に示された、位置情報管理テーブルに格納して管理する。本実施例では、以下の位置情報が、新たに格納される。
−日時 「2012/7/23 10:00:00」
−緯度 「35.66635」
−経度 「139.76525」
−フロア「4」
上記処理が繰り返し実行されることにより、位置情報管理サーバ102には、ユーザの無線端末及び管理対象物に付された無線端末の現在及び過去の位置情報を、取得して管理することができる。
次に、図17を用いて、無線端末124の付された管理対象物が、位置情報を取得可能な無線端末122のユーザ「user002」によって、不正に移動された場合の、本情報処理装置100等の動作例について説明する。ユーザ名が「user002」であるユーザが、管理対象物を移動させる様子は、図2(A)及び図2(B)によって示されている。この二つの時点において、位置情報管理サーバ102に格納された、各無線端末の位置情報が、図11に示されている。
ステップS1700において、位置情報取得手段738は、無線端末120、122、124の位置情報(図11(A)、(B)、(C)の位置情報管理テーブルに格納された位置情報)を取得する。
ステップS1702において、判定手段736は、管理対象物に付された無線端末のうち、現在の位置情報が、過去の位置情報から変化した無線端末として、無線端末124を特定する。
ステップS1704において、判定手段736は、権限情報格納手段734の、図13(A)に示される権限管理テーブルを参照し、無線端末124を移動させる権限を有するユーザのユーザ名として、「user001」(管理者)を取得する。そして、図8に示される端末情報管理テーブルより、「user001」の無線端末が、無線端末120であることを特定する。
ステップS1706において、判定手段736は、管理者(「user001」)の無線端末120の位置情報の変化(図11(A))と、管理対象物に付された無線端末124の位置情報の変化(図11(C))が、一致していないと判定する。
ステップS1708において、判定手段736は、管理対象物に対する権限を有さない、他のユーザの無線端末122の位置情報の変化(図11(B))と、管理対象物に付された無線端末124の位置情報の変化(図11(C))を比較し、両者が一致すると判定する。そして、管理対象物を不正に移動させるユーザが、無線端末122のユーザ「user002」であることを特定する。
ステップS1710において、判定手段736は、端末情報格納手段730の、図8(B)に示される端末情報管理テーブルの、無線端末124の付された管理対象物「カラー複合機01」のアラート状態を「Y」に書き換える。
ステップS1712において、警報制御手段742は、管理対象物の無線端末124の接続情報「asset01.company.com」を用いて、無線端末124に対し、ネットワークを介して、警報の再生を開始させるための命令を送信する。
ステップS1714において、無線端末124の警報発生手段760は、警報の再生を開始する。警報は、例えば、予め録音された音声の再生によって、発せられる。
ステップS1716において、アラート送信手段740は、管理対象物の管理者「user001」のアラート送信先「user001@company.com」に対し、管理対象物「カラー複合機01」が、ユーザ「user002」によって不正に移動された旨を表す、アラートメールを送信する。アラートメールで送信される内容の具体例は、図19に示される。
ステップS1718において、無線端末120のアラート表示手段752は、アラート受信手段750から渡されたアラートの内容を、当該無線端末の画面上に表示する。本実施例において、アラートは、メールにより、アラートメールとして送信される。図19に、無線端末120の画面上に表示されるアラートメールの例を示す。図19で示されるアラートメールには、不正に移動されている管理対象物の名称「カラー複合機01」や、不正に移動をさせているユーザのユーザ名「user002」が表示される。また、そのユーザに対して、当該管理対象物を移動させる権限を設定するかどうかの選択肢が含まれる。
ステップS1720において、無線端末120の権限設定手段754は、無線端末120のユーザによる、「user002」に対して権限を設定する選択を受けて、その情報を情報処理装置100に送信する。
ステップS1722において、無線端末120の権限設定手段754から送信された権限情報が、情報処理装置100の、権限情報格納手段734に格納される。ここでは、図13(B)及び図14(B)に示される、ユーザ「user002」に対する権限が、新たに格納される。
ステップS1724において、ステップS1720で、ユーザ名「user002」に対して権限が設定されたことを受けて、判定手段736は、アラート状態を解除する。すなわち、判定手段736は、端末情報格納手段730の、図8(B)に示される端末情報管理テーブルの、無線端末124の付された管理対象物「カラー複合機01」のアラート状態を、「N」に書き換える。
ステップS1726において、警報制御手段742は、ネットワークを通じて、無線端末124の警報を停止させる。
ステップS1728において、無線端末124の警報発生手段760は、警報を停止する。
以上の機能によって、本発明の一実施形態における情報処理装置100は、権限を有さないユーザによって、管理対象物が不正に移動されたことを検出し、その旨を警告するアラートを、管理対象物の管理者に送信することができる。これによって、管理者は、いち早く、管理対象物の不正な移動を知ることができ、この移動を抑制するための行動をとることができるようになる。また、管理対象物を移動させているユーザが、適切なユーザである場合には、そのユーザに対して権限を容易に設定できる。
次に、図18を用いて、管理対象物が、位置情報を取得できない、外部のユーザによって、不正に移動された場合の、本情報処理装置100等の動作例について説明する。本実施例における、位置情報管理サーバ102に格納された、各無線端末の位置情報は、図12に示されている。
ステップS1800において、位置情報取得手段738は、無線端末120、122、124の位置情報(図12(A)、(B)、(C)の位置情報管理テーブルに格納された位置情報)を取得する。
ステップS1802において、判定手段736は、管理対象物に付された無線端末のうち、現在の位置情報が、過去の位置情報から変化した無線端末として、無線端末124を特定する。
ステップS1804において、判定手段736は、権限情報格納手段734の、図13(A)に示される権限管理テーブルを参照し、無線端末124を移動させる権限を有するユーザのユーザ名として、「user001」(管理者)を取得する。そして、図8に示される端末情報管理テーブルより、「user001」の無線端末が、識別情報が「012345abcdef01」である無線端末120であることを特定する。
ステップS1806において、判定手段736は、管理者(「user001」)の無線端末120の位置情報の変化(図12(A))と、管理対象物に付された無線端末124の位置情報の変化(図12(C))が、一致していないと判定する。
ステップS1808において、判定手段736は、管理対象物に対する権限を有さない、他のユーザの無線端末122の位置情報の変化(図12(B))と、管理対象物に付された無線端末124の位置情報の変化(図12(C))を比較し、両者が一致しないと判定する。その結果、判定手段736は、管理対象物に付された無線端末の位置情報の変化と一致する他の無線端末がないと判定する。
ステップS1810において、判定手段736は、端末情報格納手段730の、図8(B)に示される端末情報管理テーブルの、無線端末124の付された管理対象物「カラー複合機01」のアラート状態を「Y」に書き換える。
ステップS1812において、警報制御手段742は、管理対象物の無線端末124の接続情報「asset01.company.com」を用いて、無線端末124に対し、ネットワークを介して、警報の再生を開始させるための命令を送信する。
ステップS1814において、無線端末124の警報発生手段760は、警報の再生を開始する。警報は、例えば、予め録音された音声の再生によって、発せられる。
ステップS1816において、アラート送信手段740は、管理対象物の管理者「user001」のアラート送信先「user001@company.com」に対し、管理対象物「カラー複合機01」が、何者かによって不正に移動された旨を表す、アラートメールを送信する。アラートメールで送信される内容の具体例は、図20に示される。
ステップS1818において、無線端末120のアラート表示手段752は、アラート受信手段750から渡されたアラートの内容を、当該無線端末の画面上に表示する。本実施例において、アラートは、メールにより、アラートメールとして送信される。図20に、無線端末120の画面上に表示されるアラートメールの例を示す。図20で示されるアラートメールには、不正に移動されている管理対象物の名称「カラー複合機01」や、その管理対象物の現在位置が、地図と共に表示される。
ステップS1820において、判定手段736は、管理対象物の無線端末124から一定の範囲内に存在する無線端末122を特定する。図12に示される位置情報管理テーブルの例において、一定の範囲が、管理対象物の現在位置(緯度「35.66635」、経度「139.76530」、フロア「4」)から、南北方向に「0.00005度」、東西方向に「0.00005度」の距離の範囲と定義された場合には、無線端末122(緯度「35.66630」、経度「139.76530」、フロア「4」)が、上記一定の範囲内に存在することとなる。
ステップS1822において、アラート送信手段740は、ステップS1546で特定された無線端末122のユーザ「user002」に対して、アラートを送信する。アラートの送信先「user002@company.com」は、図8(A)の端末情報管理テーブルにより取得される。
ステップS1824において、無線端末122のアラート表示手段752は、アラート受信手段750から渡されたアラートの内容を、当該無線端末の画面上に表示する。図21に、無線端末122の画面上に表示されるアラートメールの例を示す。図21で示されるアラートメールには、不正に移動されている管理対象物の名称「カラー複合機01」と、管理対象物の管理者のユーザ名とが表示される。また、その管理対象物の現在位置が、地図と共に表示される。
ステップS1826において、管理者の所定の操作に応じて、管理者の無線端末120は、情報処理装置100へ、アラート状態の解除の指示を送信する。
ステップS1828において、情報処理装置100の判定手段736は、管理対象物の管理者の無線端末120から、アラート状態の解除の指示を受け取ることにより、アラート状態を解除する。すなわち、判定手段736は、端末情報格納手段730の、図8(B)に示される端末情報管理テーブルの、無線端末124の付された管理対象物「カラー複合機01」のアラート状態を、「N」に書き換える。
ステップS1830において、警報制御手段742は、ネットワークを通じて、無線端末124の警報を停止させる。
ステップS1832において、無線端末124の警報発生手段760は、警報を停止する。
以上の機能によって、本発明の一実施形態における情報処理装置100は、本情報処理装置100の管理下にない外部のユーザによって、管理対象物が不正に移動された場合にも、その移動を検知し、その旨を警告するアラートを、管理対象物の管理者に送信することができる。