JP6104837B2 - 石英ガラスルツボの製造方法 - Google Patents
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Description
図5(a)に示すように、一般にルツボ製造装置50は、回転機構55により軸周りに回転可能に設けられたルツボ成形型51と、その上方において成形型51の中心軸Cの周りに等間隔に配置された複数(例えば3本)の直棒状のカーボン電極52(52a,52b,52c)とを備える。
次いで、ルツボ成形型51の上方に位置するカーボン電極52が降下され、ルツボ成形型51内に挿入された後、3本の電極間でアーク放電が開始される。
このアーク放電による熱により成形体Pが溶融され、ルツボ成形型51内に石英ガラスルツボが形成される。
このような課題に対し、特許文献1では、カーボン電極52の本数を例えば6本に増加し、それら電極の先端部がルツボ中心軸Cを中心とする同心円上に位置するようにリング状に配置する構成が提案されている。
このように、カーボン電極52の数を増やすことにより、電極により形成されたリングの径が大きくなると共に隣り合う電極間の距離が縮まるため、安定したアーク放電を維持しつつ、成形体の胴部内周面に対し充分に加熱溶融することができる。
しかしながら、ルツボ成形体Pの底部領域P2を充分に加熱できないと、ルツボ底部におけるベーパライズの量が減少し、含まれていた不純物が濃縮するため表層の汚染量が多くなるという課題があった。
さらには、多数のカーボン電極の先端部が同心円上に位置するようにリング状に配置した場合、その中央に上下に貫通する大きな空間部ができ、前記のように中央部の熱量が低下する。そのため、加熱溶融中に炉内のパーティクルが前記空間部を通過した際、燃焼しきれずルツボ成形体Pの底部領域P2に付着し汚染するという課題があった。
また、前記第1電極グループは6本の電極からなり、前記第2電極グループは、前記第1電極グループから選択された3本の電極からなり、前記第2電極グループの3本の電極は、前記ルツボ成形型の中心軸と隣り合う2つの電極とのなす角が、前記ルツボ成形型の中心軸と他の隣り合う2つの電極とのなす角と同一となるように選択され、前記第3電極グループは、前記第1電極グループのうち、前記第2電極グループ以外の3本の電極からなり、前記第3電極グループ内において前記ルツボ成形型の中心軸と隣り合う2つの電極とのなす角が、前記ルツボ成形型の中心軸と他の隣り合う2つの電極とのなす角と同一になるように選択されることが好ましい。
また、前記ルツボ成形型の中心軸の周りに複数の電極からなる第1電極グループをリング状に配置すると共に、先端部をルツボ成形型内に挿入し、隣り合う電極同士によりアーク放電を行うステップにおいて、隣り合う前記電極同士における交流電流の位相差の絶対値が120°であることが好ましい。
また、前記第2電極グループと第3電極グループの各グループ内において、隣り合う電極同士によりアーク放電を行うステップにおいて、前記第1電極グループとして隣り合う前記電極同士における交流電流の位相差の絶対値が60°であることが好ましい。
したがって、ルツボ全体の内表面の汚染層をベーバライズさせ、汚染を除去することができる。
この石英ガラスルツボの製造装置1(以下、ルツボ製造装置1と呼ぶ)は、炉体11内において支持軸9に回転可能に設けられたルツボ成形型2と、このルツボ成形型2を、支持軸9を介して軸周りに回転させる回転駆動装置10とを備える。
また、図2(a)に示すように、6本の電極3の先端部3a1,3b1,3c1,3d1,3e1,3f1は、中心軸Cを中心とする同心円(一点鎖線で示す)上に位置するようリング状に等間隔に配置されている。即ち、先端部3a1,3b1,3c1,3d1,3e1,3f1が正六角形の頂点に配置された状態となされ、6本のカーボン電極3からなる第1電極グループG1を形成している。
隣り合う電極3同士は、通電された際の交流電流の位相が異なり、位相差の絶対値が120°に設定されている。これにより、隣り合う電極3同士でアーク放電が生じるようになされている。
具体的には、前記鉛直フレーム4a,4bは、装置全体を収容する炉体11の天井部11aから垂下され、前記水平フレーム4cは、ワイヤ12を介して前記鉛直フレーム4a,4bに沿って昇降移動するようになっている。また、前記ワイヤ12は、天井部11aに設けられたモータ駆動のワイヤ巻き取り装置13によって巻き取りと繰り出しがなされるように構成されている。
より具体的に説明すると、6本のカーボン電極3が昇降駆動部5によって下降すると、その傾斜状態を維持したまま、それぞれ電極軸に沿って下方にスライド移動するようになされている。そして、6本のカーボン電極3が最も下降すると、図2(b)に示すように、その先端部3a1,3b1,3c1,3d1,3e1,3f1は、図2(a)の状態よりも径の小さい同心円上に位置するように等間隔に配置される。即ち、電極先端部3a1,3b1,3c1,3d1,3e1,3f1が互いに、より近接した状態となされる。
一方、6本のカーボン電極3a,3b,3c,3d,3e,3fが最も低い位置にあるときには、電極先端部3a1,3b1,3c1,3d1,3e1,3f1は、図4に示すように、より低い位置(底部加熱位置と呼ぶ)に配置される。また、このとき、先端部3a1,3b1,3c1,3d1,3e1,3f1は、それぞれ中心軸Cに近づいて、互いの間隔がより近接した状態となされる(平面視で先端部の配置は図2(b)のようになる)。
より具体的には、図2(b)に示すように第2電極グループG2(カーボン電極3a,3b,3c)は、該グループ内において前記ルツボ成形型の中心軸Cと隣り合う2つの電極とのなす角θ1(第1電極グループG1内においては前記ルツボ成形型の中心軸Cと一の隣り合う2つの電極とのなす角)が、前記ルツボ成形型の中心軸Cと他の隣り合う2つの電極とのなす角θ2、θ3と同一となるように選択される。第3電極グループG3(カーボン電極3d,3e,3f)は、第2電極グループG2以外の複数の電極であり、該第3グループG3内において前記ルツボ成形型の中心軸Cと隣り合う2つの電極とのなす角θ4が、前記ルツボ成形型の中心軸Cと他の隣り合う2つの電極とのなす角θ5、θ6と同一となるように選択される。
前記ルツボ成形型2のカーボン型8内には石英原料粉が供給され、回転駆動装置10がルツボ成形型2を回転させることにより石英原料粉がカーボン型8の内周面に固められ、ルツボ成形体Pに成形されるようになっている。
先ず、図示しない原料粉供給装置から石英原料粉をルツボ成形型2に供給し、回転駆動装置10によりルツボ成形型2を回転させながら成形治具(図示せず)により石英原料粉をルツボ形状の成形体Pに成形する。
アーク放電開始から所定時間経過し、アークが安定すると、ワイヤ巻き取り装置13を作動させて水平フレーム4cを降下させ、アークが安定状態にある6本のカーボン電極3の先端部をルツボ成形型2内に挿入する。
ここで、第1の段階においては、第1の電極グループG1を構成する6本のカーボン電極3は、基本位置(即ち図2(a)、図3の状態)とされて、図2(a)に示すように先端部3a1,3b1,3c1,3d1,3e1,3f1が正六角形の頂点に配置される。6本のカーボン電極3においては、引き続き隣り合う電極間でアーク放電がなされ、成形体Pの胴部P1が高温雰囲気により溶融され、透明層を形成する。
即ち、図4に示すように6本のカーボン電極3の先端部3a1,3b1,3c1,3d1,3e1,3f1が、より下方の底部加熱位置に配置され、図2(b)に示すように、より近接した状態で中心軸Cの近傍に配置される。
そして、第1電極グループG1(6本のカーボン電極3)として隣り合う電極同士における位相差の絶対値が60°となるよう通電され、それにより、第2電極グループG2(カーボン電極3a,3b,3c)と第3電極グループG3(カーボン電極3d,3e,3f)の各グループ内において、隣り合う電極間でアーク放電がなされる。
このようにして、ルツボ成形体Pの胴部P1及び底部領域P2が溶融されると、ルツボ全体の表面の汚染層がベーバライズされ、汚染が除去された状態の石英ガラスルツボが製造される。
例えば、アーク放電により成形体Pの胴部P1に透明層を形成後、6本のカーボン電極3の配置を図2(a)、図3に示す基本位置としたまま、第2電極グループG2と第3電極グループG3の各グループ内において、隣り合う電極間でアーク放電させてもよい。
実施例1では、図1に示した石英ガラスルツボの製造装置を用い、第2電極グループG2(カーボン電極3a,3b,3c)と第3電極グループG3(カーボン電極3d,3e,3f)の各グループ内において、隣り合う電極間でアーク放電することによりルツボ底部を加熱溶融し、得られた石英ガラスルツボの底部中心における不純物濃度(wt・ppb)を測定した。
製造した石英ガラスルツボの直径は36インチ、測定したルツボ底部の領域は底部中心を含む直径180mmの領域とした。
比較例1では、6本のカーボン電極の先端部が図2(a)のように正六角形の頂点に位置するように配置し、その状態で隣り合う電極間でアーク放電してルツボ底部を加熱溶融し、得られた石英ガラスルツボの底部中心における不純物濃度(wt・ppb)を測定した。
製造した石英ガラスルツボの直径は36インチ、測定したルツボ底部の領域は底部中心を含む直径180mmの領域とした。
実施例1、及び比較例1の結果を表1に示す。
以上の実施例の結果より、本発明によれば、36インチのような大型の石英ガラスルツボであっても、ルツボ全体を充分に加熱することができ、特にルツボ底部の汚染量を低減できることを確認した。
2 ルツボ成形型
3 カーボン電極(電極)
4a 鉛直フレーム
4b 鉛直フレーム
4c 水平フレーム
5 昇降駆動部
7 保持体
8 カーボン型
9 回転軸
10 回転駆動装置
11 炉体
12 ワイヤ
13 ワイヤ巻き取り装置
C 中心軸
G1 第1電極グループ
G2 第2電極グループ
G3 第3電極グループ
P 成形体
θ1〜θ6 ルツボ成形型の中心軸と隣り合う2つの電極とのなす角
Claims (5)
- ルツボ成形型に石英粉を供給し、前記ルツボ成形型を軸周りに回転させて成形体を形成し、アーク放電によって前記成形体を溶融することにより石英ガラスルツボを形成する石英ガラスルツボの製造方法であって、
前記ルツボ成形型の中心軸の周りに複数の電極からなる第1電極グループをリング状に配置すると共に、先端部をルツボ成形型内に挿入し、隣り合う電極同士によりアーク放電を行うステップと、
前記第1電極グループから選択された複数の電極からなり、前記ルツボ成形型の中心軸と、前記選択された隣り合う2つの電極とのなす角が、前記ルツボ成形型の中心軸と、前記選択された他の隣り合う2つの電極とのなす角と同一となるように選択された第2電極グループと、
前記第1電極グループのうち、前記第2電極グループ以外の複数の電極からなり、前記複数の電極内において前記ルツボ成形型の中心軸と隣り合う2つの電極とのなす角が、前記ルツボ成形型の中心軸と他の隣り合う2つの電極とのなす角と同一となるように選択された第3電極グループとを形成し、
前記第2電極グループと第3電極グループの各グループ内において、隣り合う電極同士によりアーク放電を行うステップとを含むことを特徴とする石英ガラスルツボの製造方法。 - 前記ルツボ成形型の中心軸の周りに複数の電極からなる第1電極グループをリング状に配置すると共に、先端部をルツボ成形型内に挿入し、隣り合う電極同士によりアーク放電を行うステップの後、
前記第1電極グループを降下させると共に、それらの先端部をより前記ルツボ成形型の中心軸側に配置するステップを実施し、
前記第2電極グループと第3電極グループの各グループ内において、隣り合う電極同士によりアーク放電を行うステップを実施することを特徴とする請求項1に記載された石英ガラスルツボの製造方法。 - 前記第1電極グループは6本の電極からなり、
前記第2電極グループは、前記第1電極グループから選択された3本の電極からなり、
前記第2電極グループの3本の電極は、前記ルツボ成形型の中心軸と隣り合う2つの電極とのなす角が、前記ルツボ成形型の中心軸と他の隣り合う2つの電極とのなす角と同一となるように選択され、
前記第3電極グループは、前記第1電極グループのうち、前記第2電極グループ以外の3本の電極からなり、
前記第3電極グループ内において前記ルツボ成形型の中心軸と隣り合う2つの電極とのなす角が、前記ルツボ成形型の中心軸と他の隣り合う2つの電極とのなす角と同一になるように選択されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載された石英ガラスルツボの製造方法。 - 前記ルツボ成形型の中心軸の周りに複数の電極からなる第1電極グループをリング状に配置すると共に、先端部をルツボ成形型内に挿入し、隣り合う電極同士によりアーク放電を行うステップにおいて、
隣り合う前記電極同士における交流電流の位相差の絶対値が120°であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに形成された石英ガラスルツボの製造方法。 - 前記第2電極グループと第3電極グループの各グループ内において、隣り合う電極同士によりアーク放電を行うステップにおいて、
前記第1電極グループとして隣り合う前記電極同士における交流電流の位相差の絶対値が60°であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに形成された石英ガラスルツボの製造方法。
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