JP6104638B2 - 熱源システム及びその制御方法 - Google Patents
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Description
ところで、運転中において熱源機の運転台数の増加が行われ、停止していた熱源機が起動された場合、その熱源機の能力が発揮されるまでに時間を要する。これにより、送水温度は、一時的に目標送水温度から離れた値をとることとなり、負荷側へ安定した冷温水供給ができなくなってしまう。
例えば、特許文献1には、冷凍機の冷温水出口温度の設定値をそれまでの設定値よりも下げ、送水温度の上昇を抑制する方法、冷凍機の増台又は減台時において、既に運転されている冷凍機の流量を、予定される流量より多くすることで、送水温度を目標温度に近づける方法が開示されている。
特許文献2には、ポンプの運転台数と冷凍機の運転台数が異なる場合に、熱源機出口温度の設定値を変更することで、送水温度が目標温度から乖離することを防止することが開示されている。
また、特許文献2に開示されている方法においても、冷凍機の出口温度が変更後の設定温度に達するまでは、送水温度が目標温度から乖離してしまうおそれがある。
上記「運転中の前記熱源機の冷温水出口設定温度の変更に応じて前記送水温度が変化した後に、」とは、例えば、前記熱源機の冷温水出口設定温度が前記補償温度に変更されてから一定期間が経過した後、または、前記送水温度または前記熱源機の冷温水出口温度が前記補償温度付近に設定された許容温度範囲内となった後のことを意味する。また、前記「一定期間」とは、経験上、前記送水温度または前記熱源機の冷温水出口温度が前記補償温度付近に設定された許容温度範囲内となるのに要する時間に基づいて設定される。
また、上記熱源システムにおいて、前記温度算出手段は、前記補償温度が、前記熱源機の能力に基づいて予め設定されている所定の温度下限値を下回る場合に、前記補償温度を前記温度下限値に設定することとしてもよい。
以下に、本発明の第1実施形態に係る熱源システム及びその制御方法について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る熱源システムの構成を概略的に示した図である。熱源システム1は、例えば、空調機や給湯機、工場設備等の外部負荷2に対して供給する熱媒(冷水)に対して冷熱を与える複数の熱源機10a、10b、10cを備えている。これら熱源機10a、10b,10cは、外部負荷2に対して並列に接続されている。また、図1では、3台の熱源機10a、10b、10cが設置されている場合について例示しているが、熱源機の設置台数については任意に決定できる。
上位制御装置20は、例えば、熱源システム全体を制御する制御装置であり、外部負荷2へ供給される冷温水の送水温度が、外部負荷2の要求によって決定される目標送水温度に一致するように、熱源機10a、10b,10cの冷温水出口設定温度を設定する送水温度制御を行う他、外部負荷2の要求負荷に基づく熱源機10a、10b、10cの運転台数制御、各ポンプ3a、3b、3cの回転数制御、サプライヘッダ5とリターンヘッダ4との間の差圧に基づくバイパス弁7の弁開度制御等を行う。
補助記憶装置は、コンピュータ読取可能な記録媒体であり、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等である。この補助記憶装置には、各種プログラムが格納されており、CPUが補助記憶装置から主記憶装置にプログラムを読み出し、実行することにより種々の処理を実現させる。
以下、図2を参照して送水温度補償処理について説明する。
具体的には、以下の(2)式を用いて補償温度Tset_uを算出する(ステップSA2)。
続いて、既運転熱源機の冷温水出口設定温度が補償温度に変更されてから一定期間が経過したか、或いは、送水温度または既運転熱源機の冷温水出口温度が補償温度Tset_u付近に設定された許容範囲内となったか否かを判定する(ステップSA12)。なお、ステップSA10において、減台対象の熱源機の設定温度をTset_uに変更しなかった場合には、ステップSA12において、既運転熱源機の冷温水出口設定温度が補償温度に変更されてから一定期間が経過したか、または、減台対象の熱源機以外の既運転熱源機の冷温水出口温度がTset_u付近に設定された許容範囲内となったか否かを判定する。
この結果、一定期間経過した場合、または、送水温度等が許容範囲内となった場合には、減台対象である熱源機及びその熱源機に対応する冷温水ポンプに対して運転停止指示を出力する(ステップSA13)。
これにより、例えば、増台の場合には、追加起動させる熱源機が起動してから能力を発揮するまでの期間において、その能力不足を既運転熱源機によって補うことが可能となる。また、減台の場合には、運転停止させる熱源機が能力を発揮しなくなった状態でも、既運転熱源機によって、その不足分を補うことが可能となる。
以下に、本発明の第2実施形態に係る熱源システム及びその制御方法について、図面を参照して説明する。
上述した第1実施形態に係る熱源システム及びその制御方法においては、増台または減台の対象である熱源機の能力不足を既運転熱源機によって補うことで送水温度が目標送水温度から乖離することを回避していた。しかしながら、例えば、補償温度Tset_uが既運転熱源機の運転可能な範囲を外れ、トリップなどを起こしてしまう可能性がある。
そこで、このような不都合を回避するために、例えば、熱源機の能力に応じた冷温水出口設定温度の許容範囲を予め設定しておき、この許容範囲を外れた補償温度が設定されないようにする。
同様に、熱媒の加熱を行う場合には、図2のステップSA2で算出された補償温度が予め登録されている冷温水出口設定温度の上限値を上回るか否かを判定し、上回る場合には、冷温水出口設定温度の上限値を補償温度として設定する。
以下に、本発明の第3実施形態に係る熱源システム及びその制御方法について、図面を参照して説明する。
上述した第2実施形態に係る熱源システム及びその制御方法においては、補償温度が冷温水出口設定温度の下限値を下回っていた場合、または、上限値を上回っていた場合に、それら下限値または上限値を補償温度として設定していた。
しかしながら、このような取り扱いでは、送水温度の上昇または低下を効果的に抑制することが難しい。そこで、本実施形態においては、既運転熱源機の能力を更に発揮させるために、既運転熱源機の流量を増加させることとしている。具体的には、既運転熱源機の設定流量を最大流量fi_maxに変更する。
図4及び図5は、本実施形態に係る送水温度補償処理について示したフローチャートである。
まず、増台または減台の要求が入力されると(図4のステップSB1において「YES」)、補償温度の算出が行われる(ステップSB2)。ここで、本実施形態では、既運転熱源機の設定流量を最大流量に変更するので、補償温度の演算もこれに基づいて行われる。具体的には、補償温度Tset_uは、以下の(3)式で算出される。
続いて、ステップSB6において、熱源機の冷温水出口設定温度が補償温度に変更されてから一定期間が経過したか、または、送水温度或いは既運転熱源機の冷温水出口温度が補償温度Tset_u付近に設定された許容範囲内となったか、かつ、流量が最大流量に到達したか否かを判定する。この結果、一定期間経過した場合、または、送水温度或いは既運転熱源機の冷温水出口温度が許容範囲内となった場合、かつ、流量が最大流量に到達した場合に(ステップSB6において「YES」)、増台対象である熱源機に対して起動指示を出力するとともに、その熱源機に流入する冷温水の流量を最小流量に設定する(ステップSB7、SB8)。
なお、この場合においても、上述した第1実施形態と同様に、ステップSB12において、減台対象の熱源機を除く既運転熱源機についての冷温水出口設定温度を変更することとしてもよく、また、この場合には、ステップSB14において、熱源機の冷温水出口設定温度が補償温度に変更されてから一定期間が経過したか、または、減台対象の熱源機を除く既運転熱源機の冷温水出口温度が補償温度Tset_u付近となったか否かを判定する。
このようにすることで、温度変更だけでは対応できなかった場合に限って、流量調整を行えばよいので、無駄な流量調整を省くことが可能となる。
以下に、本発明の第4実施形態に係る熱源システム及びその制御方法について、図面を参照して説明する。
上述した第1から第3実施形態に係る熱源システム及びその制御方法では、増減台の対象である熱源機による起動時または停止時の能力不足を、既運転熱源機の出力を上昇させることによって補うことで、運転台数変更時における送水温度の変動を抑制していた。
そこで、本実施形態に係る熱源システム及びその制御方法では、熱源機を増台させる場合において、既運転熱源機の能力が上限に達した場合には、以降の判定処理を省略して、速やかに増台対象である熱源機を起動させることとしている。
まず、増台要求が入力されると(ステップSC1)、補償温度Tset_uの演算が行われ(ステップSC2)、既運転熱源機の冷温水出口設定温度が目標送水温度Tsetから補償温度Tset_uに変更される(ステップSC3)。続いて、既運転熱源機の能力が上限に達しているか否かを判定する(ステップSC4)。ここで、能力が上限に達しているか否かは、例えば、圧縮機モータの電流が予め設定されている上限値に達しているか、熱源機負荷率が予め設定されている上限値に達しているか、熱源機ベーン開度が予め設定されている上限値に達しているか等によって判定することが可能である。また、これらの判定基準のいくつかを組み合わせて判定することとしてもよい。
そして、熱源機起動から一定期間が経過した場合、または、起動した熱源機の冷温水出口温度が目標送水温度Tset付近に設定された許容範囲内となった場合に(ステップSC7において「YES」)、既運転熱源機の冷温水出口設定温度を補償温度Tset_uから目標送水温度Tsetに変更し(ステップSC8)、送水温度補償処理を終了する。
以下に、本発明の第5実施形態に係る熱源システム及びその制御方法について、図面を参照して説明する。
上述した第1実施形態に係る熱源システム及びその制御方法では、補償温度を算出する際に、増減台の対象となる熱源機の冷温水出口温度として、冷温水の還水温度の測定値tave_rを用いていた。これは、増台または減台した直後においては熱源機の能力が発揮されないため、リターンヘッダ4から流入した還水温度の冷温水が、そのまま増台または減台対象の熱源機から出力されるとみなしていたからである。
例えば、運転台数が変更されることで送水温度が変化すると、これに伴い還水温度も変化することとなる。このような連鎖により、送水温度及び還水温度が徐々に上昇または下降し、元の値から発散してしまうおそれがある。
そこで、本実施形態では、還水温度の理論値を演算することとし、この理論値を増減台の対象となる熱源機の冷温水出口温度としてみなして、補償温度を演算することとしている。
上記(4)式から還水温度の理論値は、以下の(5)式で与えられる。
このように、補償温度の算出において、還水温度の理論値を増減台の対象となる熱源機の冷温水出口温度として用いることにより、当該熱源機の冷温水出口温度を実際の温度に近づけることが可能となる。これにより、補償温度の演算精度が向上し、熱源機の台数変更時における送水温度を目標送水温度により一層近づけることが可能となる。
(6)式において、熱源機の冷温水出口温度は、還水温度の理論値Tr_idlと還水温度の計測値tave_rとを按分した値を足し合わせた値とされている。具体的には、係数α(0≦α≦1)を還水温度の理論値Tr_idlに乗じた値と、(1−α)を還水温度の計測値tave_rに乗じた値とを加算した値を、増減台の対象となる熱源機の冷温水出口温度として用いている。(6)式において、αの値は、任意に設定できる値である。
以下に、本発明の第6実施形態に係る熱源システム及びその制御方法について、図面を参照して説明する。
上述した第5実施形態に係る熱源システム及びその制御方法では、還水温度の変化による、増減台の対象である熱源機の冷温水出口温度の変化を考慮して、補償温度を演算する場合について述べたが、上記補償温度の演算には、既運転熱源機の冷温水出口温度の変化が反映されていない。
以下に、本発明の第7実施形態に係る熱源システム及びその制御方法について、図面を参照して説明する。
上述した第5または第6実施形態に係る熱源システム及びその制御方法では、熱源機の運転台数が変更されることによって、還水温度が変化することを前提として補償温度を演算していた。
しかし、例えば、増台させる熱源機の流量を所定の変化レート以下で増加させれば、増台させる熱源機に起因する送水温度の変化を既運転熱源機の能力上昇により吸収することができる。これにより、送出温度を略目標送出温度とすることができ、還水温度が変化することを抑えることができる。
まず、図7に示すように、本実施形態に係る送水温度補償処理では、ステップSD7において、増台させる熱源機の冷温水設定流量を一定変化レートで最小流量まで上昇させることとしている。ここで、一定変化レートは、増台させる熱源機の冷温水設定流量がそのレートで変化した場合でも、既運転熱源機の能力発揮によって送水温度を目標送水温度に維持することのできる変化レート以下に設定されている。
なお、ステップSD1〜SD6及びステップSD8〜SD9は、図2におけるステップSA1〜ステップSA6及びステップSA8〜SA9にそれぞれ対応しているので、ここでの説明は省略する。
また、一定変化レートは、減台させる熱源機の冷温水出口設定温度がそのレートで変化した場合でも、既運転熱源機の能力上昇によって送水温度を目標送水温度に一致させることのできる変化レート以下に設定されている。
また、減台の場合には、その対象となる熱源機の冷温水出口設定温度の変化レートを既運転熱源機の追従可能な範囲内とするので、既運転熱源機の能力を上昇させることにより、送水温度を目標送水温度付近で維持することが可能となる。更に、減台対象の熱源機による能力を、減台前に一定量下げておくので、減台による系統への影響を抑えることが可能となる。
以下に、本発明の第8実施形態に係る熱源システム及びその制御方法について、図面を参照して説明する。
上述した第1実施形態では、増減台の対象である熱源機を起動または運転停止させた後に、既運転熱源機の冷温水出口設定温度を補償温度から目標送水温度に変更することとしている。このとき、ステップ的に温度を変更してしまうと、図9に示すように、既運転熱源機の冷温水出口温度が冷温水出口設定温度に対してオーバーシュートまたはアンダーシュートしてしまい、これにより送水温度補償終了後に送水温度が目標送水温度から乖離してしまうことが懸念される。
以下に、本発明の第9実施形態に係る熱源システム及びその制御方法について、図面を参照して説明する。
上述した第4実施形態では、既運転熱源機の能力が上限に達した場合に、速やかに増台対象である熱源機を起動させることとしたが、複数の既運転熱源機が存在する場合、一部の既運転熱源機のみの能力が上限に達しているが、他の既運転熱源機については能力が上限に達していない場合がある。このような状況が発生する要因として、各既運転熱源機の最大冷温水流量比が、定格冷温水流量比と異なっている場合が想定される。すなわち、最大冷温水流量比と定格冷温水流量比が一致している場合には、冷温水出口温度が同じであれば、全熱源機は同負荷率となる。しかし、最大冷温水流量比と定格冷温水流量比が一致していない場合には、同じ冷温水出口温度であっても、熱源機によって負荷率が異なり、能力上限に到達する熱源機とそうでない熱源機が発生することとなる。
図11に示すように、本実施形態に係る送水温度補償処理では、増台を行う場合には、ステップSE5において、能力が上限に達しており、かつ、冷温水出口温度が補償温度に達していない既運転熱源機があるか否かを判定する。なお、ステップSE1からSE4については、図1におけるステップSA1からSA4にそれぞれ対応しているので、ここでの説明を省略する。
なお、上記ステップSE5またはSE6において「NO」の場合には、後述するステップSE9に移行する。
この結果、この条件を満たしていない場合には(ステップSE9において「NO」)、ステップSE5に戻り、以降の処理を繰り返し行う。これにより、能力に余裕のある熱源機へ不足分の熱量を分配するために、能力上限に達していない他の既運転熱源機の冷温水出口設定温度をその都度更新する。
なお、上記ステップSE16またはSE17において「NO」の場合には、後述するステップSE20に移行する。
この結果、この条件を満たしていない場合には(ステップSE20において「NO」)、ステップSE16に戻り、以降の処理を繰り返し行う。これにより、能力に余裕のある熱源機へ不足分の熱量を分配するために、能力上限に達していない他の既運転熱源機の冷温水出口設定温度がその都度更新される。
以下に、本発明の第10実施形態に係る熱源システム及びその制御方法について、図面を参照して説明する。
上述した第1実施形態では、例えば、増台時において、増台対象である熱源機の冷温水出口温度を還水温度(冷温水入口温度)とみなして、補償温度を算出していた。しかしながら、増台対象の熱源機も、起動してから次第に熱源能力を発揮してくるため、その冷温水出口温度は徐々に冷温水入口温度(還水温度)と異なる値となる。
このため、増台した熱源機からは想定したのとは異なる熱量が送出されるため、送水温度を目標送水温度付近で維持することが困難となる。例えば、熱源システムが熱媒の冷却を行う場合、増台対象の熱源機において冷温水入口温度より低い温度が冷温水出口温度として送水されるため、送水温度が目標送水温度に対して、大きく低下してしまう恐れがある。
具体的には、増段対象の熱源機が増台し、該熱源機に対する冷温水ポンプ起動後は、還水温度ではなく、冷温水出口温度の計測値を用いて、補償温度を計算する。このときの補償温度の計算式を以下の(10)式に示す。なお、この補償温度は、増台時において、増台対象の熱源機が起動した後における、既運転熱源機(増台された熱源機を除く、運転継続熱源機)の冷温水出口設定温度として用いられる。
以下に、本発明の第11実施形態に係る熱源システム及びその制御方法について説明する。
上述した第1実施形態では、例えば、増台時において、増台対象である熱源機の冷温水出口温度を還水温度(冷温水入口温度)とみなして、補償温度を算出していた。しかしながら、停止中の熱源機が保有する冷温水は、冷温水ポンプが停止していることから還水温度とはならない場合がある。例えば、真夏などは、停止中の熱源機が保有する冷温水の温度が還水温度に比べて著しく高くなる可能性がある。このような場合、増台した熱源機から想定した温度とは異なる温度の冷温水が送出されることとなり、送水温度を目標送水温度付近で維持することが難しくなる。
例えば、補償温度は、以下の(12)式で算出される。
以下に、本発明の第12実施形態に係る熱源システム及びその制御方法について、図面を参照して説明する。
例えば、上述した第11実施形態では、停止中の熱源機が保有する冷温水の温度によっては、還水温度への影響が大きく、既運転熱源機の能力発揮が追従できずに、送水温度を目標温度付近で維持することが難しくなるおそれがある。
以下、本実施形態に係る送水温度補償処理の一例について図13及び図14を参照して説明する。
続いて、熱源機の冷温水出口設定温度が補償温度に変更されてから一定期間が経過したか、または、送水温度或いは既運転熱源機の冷温水出口温度が補償温度Tset_u付近に設定された許容範囲内となったか否かを判定する(ステップSF5)。この結果、一定期間経過した場合、または、送水温度或いは既運転熱源機の冷温水出口温度が許容範囲内となった場合に(ステップSF5において「YES」)、増台熱源機に対応する冷温水ポンプに起動指示を出力するとともに、その冷温水ポンプの周波数をポンプ最小流量に対応する周波数に設定する(ステップSF6、SF7)。
なお、ステップSF3において減台と判断した場合には、ステップSF15に進み、上述したいずれかの実施形態に係る減台のときの制御が行われる。
なお、増台熱源機における流量の段階設定は、上記のように2段階に限定されず、2段階以上、例えば、冷温水ポンプの最小流量から熱源機最小流量まで連続的に変更してもよい。
以下に、本発明の第13実施形態に係る熱源システム及びその制御方法について説明する。
図1に示したように、複数の熱源機10a、10b、10cが並列に接続される熱源システム1では、配管の施工上、各熱源機からの送水が送水温度に与える影響が異なる場合がある。例えば、サプライヘッダ5の付近に配置された熱源機と、バイパス配管6の付近に配置された熱源機とがある場合、サプライヘッダ5の付近に配置された熱源機からの送水の方が、バイパス配管6の付近に配置された熱源機からの送水よりも送水温度に対する影響が大きい場合がある。
例えば、上述した第1実施形態における補償温度の算出式である(3)式に重み付け係数を加えた式は、以下の(14)式のように表わされる。
本実施形態に係る熱源システム及びその制御方法によれば、各熱源機の送水が送水温度に与える影響を加味して補償温度を算出するので、補償温度の算出精度を高めることが可能となる。
2 外部負荷
3a、3b、3c 冷温水ポンプ
4 リターンヘッダ
5 サプライヘッダ
6 バイパス配管
7 バイパス弁
10a、10b、10c 熱源機
20 上位制御装置
Claims (23)
- 負荷に対して並列に接続される複数の熱源機と、各前記熱源機に対応して設けられた冷温水ポンプとを備え、前記負荷へ供給される冷温水の送水温度が負荷側の要求によって決定される目標送水温度に一致するように、前記熱源機の運転を制御する熱源システムであって、
前記熱源機の運転台数を変更する場合において、増減台の対象となる前記熱源機及び該熱源機に対応する前記冷温水ポンプを起動または停止させる前に、増減台の対象となる前記熱源機に所定の流量を設定した場合を想定し、そのときの前記送水温度が前記目標送水温度に一致するような、運転中の前記熱源機の冷温水出口温度を補償温度として算出する温度算出手段と、
運転中の前記熱源機の冷温水出口設定温度を前記補償温度に変更する温度設定手段と
を具備し、
運転中の前記熱源機の冷温水出口設定温度の変更に応じて前記送水温度が変化した後に、増減台の対象となる前記熱源機を起動または停止させるとともに、増減台の対象となる前記熱源機の設定流量を前記所定の流量に設定する熱源システム。 - 前記温度算出手段は、増減台の対象となる前記熱源機の冷温水出口温度、増減台の対象となる前記熱源機に流れる冷温水の流量、及び既に運転されており、かつ、増減台後においても運転が継続される熱源機における冷温水の流量を、パラメータとして含む演算式を用いて前記補償温度を算出する請求項1に記載の熱源システム。
- 熱源機を増台させる場合において、増台の対象となる前記熱源機が起動され、かつ、該熱源機の冷温水出口温度が前記目標送水温度付近に設定された許容温度範囲内であると判定した場合に、現在運転中の全ての前記熱源機の冷温水出口設定温度に前記目標送水温度を設定する請求項1または請求項2に記載の熱源システム。
- 熱源機を減台させる場合において、減台の対象となる前記熱源機が停止され、かつ、該熱源機が減台されてから一定期間が経過した場合、または、該熱源機に対応して設けられた送水手段が停止された場合に、現在運転中の全ての前記熱源機の冷温水出口設定温度に前記目標送水温度を設定する請求項1から請求項3のいずれかに記載の熱源システム。
- 前記温度算出手段は、前記補償温度が、前記熱源機の能力に基づいて予め設定されている所定の温度上限値を超える場合に、前記補償温度を前記温度上限値に設定する請求項1から請求項4のいずれかに記載の熱源システム。
- 前記温度算出手段は、前記補償温度が、前記熱源機の能力に基づいて予め設定されている所定の温度下限値を下回る場合に、前記補償温度を前記温度下限値に設定する請求項1から請求項4のいずれかに記載の熱源システム。
- 前記温度算出手段は、運転中の前記熱源機の流量を最大流量として前記補償温度を算出し、
運転中の前記熱源機の冷温水出口設定温度が前記補償温度に変更されるとともに、その設定流量が最大流量に変更される請求項2から請求項4のいずれかに記載の熱源システム。 - 前記温度算出手段は、前記補償温度が、前記熱源機の能力に基づいて予め設定されている所定の温度上下限範囲を外れる場合に、運転中の前記熱源機の流量に最大流量を用いて前記補償温度を再度算出し、
運転中の前記熱源機の冷温水出口設定温度が再計算した該補償温度に設定されるとともに、設定流量が最大流量に設定される請求項2から請求項4のいずれかに記載の熱源システム。 - 前記熱源機の増台時において、前記温度設定手段によって、少なくとも運転中の前記熱源機の冷温水出口設定温度に前記補償温度が設定された後において、運転中の前記熱源機の運転状態が能力上限値に達しているか否かを判定し、能力上限値に達している場合には、増台の対象である前記熱源機を直ちに起動させる請求項1から請求項8のいずれかに記載の熱源システム。
- 前記負荷からの還水温度を計測する温度計測手段を有し、
前記温度算出手段は、前記温度計測手段によって計測された前記還水温度を、増減台の対象となる前記熱源機の冷温水出口温度として用いて、前記補償温度を算出する請求項2から請求項9のいずれかに記載の熱源システム。 - 前記温度算出手段は、
熱源負荷と、当該システムから前記外部負荷へ送出する冷温水の熱量と、当該システムに流入する冷温水の熱量との関係から、前記還水温度の理論値を演算し、
該還水温度の理論値を、増減台の対象となる前記熱源機の冷温水出口温度として用いて、前記補償温度を算出する請求項2から請求項9のいずれかに記載の熱源システム。 - 前記負荷からの還水温度を計測する温度計測手段を有し、
前記温度算出手段は、
熱源負荷と、当該システムから前記外部負荷へ送出する冷温水の熱量と、当該システムに流入する冷温水の熱量との関係から、前記還水温度の理論値を演算し、
前記温度計測手段によって計測された前記還水温度の計測値および該還水温度の理論値の両方をパラメータとして用いて算出した還水温度を、増減台の対象となる前記熱源機の冷温水出口温度として用いて、前記補償温度を算出する請求項2から請求項9のいずれかに記載の熱源システム。 - 前記温度算出手段は、温度計測手段によって計測された還水温度の計測値から前記還水温度の理論値を減算した値に、ゼロ以上1以下の所定の係数を乗じた補正値を用いて、前記補償温度を算出する請求項12に記載の熱源システム。
- 増台の対象である前記熱源機の冷温水流量を増加させる場合に、その変化レートを運転中の前記熱源機の追従能力に基づいて設定された所定の変化レートよりも小さくする請求項1から請求項13のいずれかに記載の熱源システム。
- 熱源機の減台を行う場合において、減台対象の前記熱源機の冷温水出口設定温度を一定の変化レートで予め設定された所定の温度まで変化させて該熱源機の負荷を低下させ、その後、該熱源機に対して運転停止指示を出すとともに、運転中の熱源機の冷温水出口設定温度を目標送水温度に変更する請求項1から請求項14のいずれかに記載の熱源システム。
- 運転中の熱源機の冷温水出口設定温度を前記補償温度から目標送水温度に変更する際に、前記熱源機の冷温水出口設定温度に対して冷温水出口温度のオーバーシュートまたはアンダーシュートの生じない範囲内での変更レートに設定する請求項1から請求項15のいずれかに記載の熱源システム。
- 前記温度設定手段によって、少なくとも運転中の前記熱源機の冷温水出口設定温度に前記補償温度が設定された後において、運転中の一部の前記熱源機の運転状態が能力上限値に達しており、かつ、該熱源機の冷温水出口温度が該補償温度に達していない場合に、該熱源機の熱量不足分を、能力が上限値に達していない他の運転中の熱源機に分配するような補償温度を再計算し、能力が上限値に達していない他の運転中の熱源機の冷温水出口設定温度に再計算後の補償温度を設定する請求項1から請求項16のいずれかに記載の熱源システム。
- 増台対象の熱源機が起動された後において、前記温度算出手段は、該熱源機の冷温水出口温度、または、熱媒の冷却を行う場合においては該冷温水出口温度と還水温度とのうち低い方の温度、熱媒の加熱を行う場合においては該冷温水出口温度と還水温度とのうち高い方の温度を、前記増台対象の熱源機の冷温水出口温度として用いて、前記補償温度の算出を行う請求項2から請求項17のいずれかに記載の熱源システム。
- 前記熱源機の冷温水出口温度または冷温水入口温度を計測する温度計測手段を有し、
前記温度算出手段は、増減台の対象となる前記熱源機に対応して設けられた前記温度計測手段の計測値を、増減台の対象となる前記熱源機の冷温水出口温度として用いて、前記補償温度を算出する請求項2から請求項9および請求項14から請求項18のいずれかに記載の熱源システム。 - 増台の対象となる前記熱源機の前記所定の流量は、該熱源機に対応して設けられた前記冷温水ポンプの最小流量以上、かつ、該熱源機の仕様に基づいて決定される最小流量以下の範囲で設定される請求項1から請求項19のいずれかに記載の熱源システム。
- 減台の対象となる前記熱源機の前記所定の流量は、該熱源機の仕様に基づいて決定される最小流量である請求項1から請求項20のいずれかに記載の熱源システム。
- 前記温度算出手段は、前記熱源機毎に、それぞれの前記熱源機から送出される冷温水が前記送水温度に及ぼす影響に基づいて設定された重み付け値を有しており、該重み付け値を用いて前記補償温度を算出する請求項1から請求項21のいずれかに記載の熱源システム。
- 負荷に対して並列に接続される複数の熱源機と、各前記熱源機に対応して設けられた冷温水ポンプとを備え、前記負荷へ供給される冷温水の送水温度が負荷側の要求によって決定される目標送水温度に一致するように、前記熱源機の運転を制御する熱源システムの制御方法であって、
前記熱源機の運転台数を変更する場合において、増減台の対象となる前記熱源機及び該熱源機に対応する前記冷温水ポンプを起動または停止させる前に、増減台の対象となる前記熱源機に所定の流量を設定した場合を想定し、そのときの前記送水温度が前記目標送水温度に一致するような、運転中の前記熱源機の冷温水出口温度を補償温度として算出する工程と、
運転中の前記熱源機の冷温水出口設定温度を前記補償温度に変更する工程と
を含み、
運転中の前記熱源機の冷温水出口設定温度の変更に応じて前記送水温度が変化した後に、増減台の対象となる前記熱源機を起動または停止させるとともに、増減台の対象となる前記熱源機の設定流量を前記所定の流量に設定する熱源システムの制御方法。
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