JP3666167B2 - 空調制御装置及びその装置を用いた空調制御方法 - Google Patents
空調制御装置及びその装置を用いた空調制御方法 Download PDFInfo
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各室内に設置された各空気調和機器つまり各空調機器を集中制御する空調制御装置、及びその装置を用いた空調制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の空調制御装置として、図6に示す構成のものが存在する。このものは、送水温度検知部Aと、還水温度検知部Bと、データメモリCと、中央演算処理部Dと、運転台数増減段部Eと、還水流量検知部F5とを備えている。
【0003】
送水温度検知部Aは、熱源機器F1及び送水ポンプF2を設けた送水部Fの複数から送水されるとともに複数の各配管部Gに送水する送水ヘッダF3にまとめられて、熱源機器F1によってつくられた冷水又は温水の送水温度を検知する。
【0004】
各空調機器Hが、送水ヘッダF3と接続した各配管部Gと接続した状態で各室内に設置され、冷水又は温水が送水されて、各空調機器Hでもって熱交換した各還水が、各空調機器Hからの各配管部Gと接続された還水ヘッダF4にまとめられる。還水温度検知部Bは、その還水ヘッダF4にまとめられた還水の還水温度を検知する。還水流量検知部F5は還水の還水流量を流量計でもって検知する。
【0005】
データメモリCは、送水温度、還水温度、及び還水流量をデジタル化した送水温度データ、還水温度データ、及び還水流量データをそれぞれ記憶する。中央演算処理部Dは、送水温度データ、還水温度データ、及び還水流量データに基づいて空調機器Hに負荷される負荷総熱量を演算し、その負荷総熱量及び運転中の熱源機器F1の総熱源容量を比較して、送水部Fの運転台数の増減段判定をする。運転台数増減段部Eは、中央演算処理部Dの増減段判定に基づいて送水部Fの運転台数を増減する。
【0006】
さらに詳しくは、熱源機器F1は冷凍機又は温水ボイラー等により、別の還水ヘッダF41が室内側から戻ってきた冷水又は温水をいったんまとめる還水ヘッダF4と接続して設けられ、再び各熱源機器F1に還水を分配する。
【0007】
また、必要でない水量をそのまま熱源機器F1側へ戻すよう、バイパス管G1は送水ヘッダF3と別の還水ヘッダF41との間に設けられ、さらにバイパス弁F6を設けて、冷水又は温水が各空調機器Hへ送水されるための圧力を確保する。
【0008】
熱源機器F1を設けた送水部Fを複数台設置し、室内に設置された各空調機器Hの熱負荷に応じて、送水部Fの運転台数を決定する空調制御方法を詳しく説明する。運転台数を決定するための指標である負荷総熱量は、熱源機器F1によってつくられて室内側へ送水される冷水又は温水の送水温度と、室内側を循環して熱交換されて熱源機器F1側へに戻ってきた還水の還水温度と、室内側を循環している水量つまり還水流量から演算によって求められる。
【0009】
ここで、各配管部Gの総容量、つまり配管内の総水量をVt[m3]とし、送水ポンプF2の1台当たりの単位時間送水量をVp[m3/min]、台数をN台とする。ピーク負荷時に熱源機器F1と送水ポンプF2をN台運転したときに、熱源機器F1から出た冷水又は温水が、室内側の各空調機器Hで熱交換され、熱源機器F1まで戻ってくるまでのピーク時平均循環時間Tm[min]は次式によって求められる。
【0010】
Tm=Vt/(N×Vp) (式1)
室内側における各配管部Gの管路は、一般的には多様な経路及び管径で構成されているので、循環時間はその経路及び管径によって変化するが、平均すれば式1で求められるTmとなる。
【0011】
また、送水ヘッダF3から各空調機器Hに至るまでの各配管部Gの容量と、各空調機器Hから一次還水ヘッダF4に至るまでの各配管部Gの容量とは、各配管部Gの経路により必ずしも等しくはないが、一般的に各配管部Gの送水管と還水管は同じ経路に敷設されることが多い。したがって、双方の各配管部Gの総容量は概ね等しく、どちらもVt/2であると考えて差し支えない。
【0012】
今、室内側の負荷総熱量がピーク時に比べて小さく、各空調機器Hの制御によって還水流量が制限されてVc[m3/min]であり、時間的変化が無い状態であるとする。このとき、部分負荷時平均循環時間Tcは次式によって求められる。
【0013】
Tc=Vt/Vc (式2)
Vcは当然ピーク時循環水量(N×Vp)より小さく、TcはTmより長くなる。室内側の負荷総熱量が熱源機器F1のk台分の能力では足りないときは、k台の運転からk+1台の運転に送水部Fの運転台数を増段する必要がある。しかし、熱源機器F1は起動時に即座に所定の熱源能力を出力できないため、室内側から戻ってきた還水をそのままの温度で、再び室内側へ供給することになり、還水温度として検出されるのはTc分後となる。
【0014】
この場合Vcは送水ポンプF2のk台分の送水量より大きく、k+1台分の送水量より小さいはずであるから、次式の範囲にある。
【0015】
k×Vp≦Vc≦(k+1)×Vp (式3)
また式1及び式2から
Vc=Vt/Tc=(Tm×N×Vp)/Tc (式4)
式3及び式4からTcは次式を満たさなければならない。
【0016】
k×Vp≦(Tm×N×Vp)/Tc≦(k+1)×Vp (式5)
Tcの範囲が式5から求められ、次式のようになる。
【0017】
Tm×N/(k+1)≦Tc≦Tm×N/k (式6)
式6から解るように、熱源機器F1の運転台数を変更したとき、供給する冷水又は温水の温度が変化し、その影響が室内側を循環して戻り側の温度、すなわち還水温度として検出されるまでの時間遅れが最も長くなるのは、熱源機器F1の運転台数を1台から2台に変更した場合である。
【0018】
冷房時、冷水の供給温度を7℃とし、その冷水と、空調機器Hでもって冷水の熱を熱交換した還水との温度差を5℃として空調を行い、送水部Fの運転台数は室内側の負荷総熱量が増大して、第1熱源機器Faの1台運転から第2熱源機器Fbを起動して2台に変更し、第2熱源機器Fbがまだ冷却能力を出力せず、室内側を循環した冷水も戻ってきていない状態とする。
【0019】
別の還水ヘッダF41から熱源機器F1に戻る熱源入口温度をt0、送水ポンプF2の水量をVp、既に運転を継続していた第1熱源機器Faの出口温度をT1=7℃、空調機器Hへ供給される冷水温度をt2及びその冷水の全水量をV1、バイパス管G1を通って送水ヘッダF3から別の還水ヘッダF41に戻る水温をt3及びその水量をV0、室内側を循環して返ってきた還水温度をt4及びその水量をV4(=V1)とすると、各温度には次式が成立する。
【0020】
t2=t3=(t0+T1)/2 (式7)
t0=(V0×t3+V1×t4)/(V0+V1) (式8)
1台運転から2台運転になった直後であるから、V1=V0=Vpとすると式8は、
t0=(t3+t4)/2 (式9)
となる。式9に式7のt3を代入してt0を求めると次式のようになる。
【0021】
t0=(t0+T1)/4+t4/2 (式10)
4×t0=t0+T1+2×t4 (式11)
したがって、t0=(T1+2×t4)/3 (式12)
T1は7℃であり、送水部Fを増段した直後で送水温度の変化はまだ還水温度に影響していないのでt4=12℃であるから、t0は式12から10.33℃に、t2は式7から8.67℃となる。
【0022】
負荷総熱量が、同じ時刻の送水温度及び還水温度の差、並びに同じ時刻の還水流量に基づいて、式6及び式12の関係から演算される。その演算された負荷総熱量と、実際に室内側に負荷される実負荷総熱量とを、時間経過とともに図7に示す。ここで、運転台数を変更してから実負荷総熱量に変化がないものとしてある。
【0023】
演算された負荷総熱量は、室内側の実負荷総熱量に変化がないとしているにも関わらず、2台運転に変更されてから大きく変化し、平均循環時間Tcの範囲で実負荷総熱量よりも小さくなっている。すなわち、運転台数を増段させたとき、起動された熱源機器F1が所定の熱源能力、つまり冷却、又は加熱能力を出力するまでには一定の時間を要するため、その間は供給する冷水又は温水の温度が所定の値を確保できなくなり、演算による負荷総熱量が減少し、見かけ上室内側の実負荷総熱量が減少したような結果となる。
【0024】
この様に、演算された負荷総熱量は送水部Fの運転台数を増加させた直後で、熱量の演算に同一時刻の送水温度、還水温度、及び還水流量を用いると、実負荷総熱量とかけ離れた熱量となってしまう。つまり、この負荷総熱量を根拠にした運転台数の増減段判定は困難となる。
【0025】
したがって、必要な運転台数を誤って判断しないよう、運転台数を変更してから熱源機器F1が所定の熱源能力を出力するまでの一定時間は、運転台数の増減段判定を行わないという制御方法で対処するか、熱源機器F1から出た冷水又は温水の一部をもう一度熱源機器F1に戻して、冷水又は温水の温度を一定に保つという制御を追加して対応していた。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来の空調制御装置では、送水部Fの運転台数を変更してから熱源機器F1が所定の熱源能力を出力するまでの一定時間は、運転台数変更の増減段判定を行わない、又は、冷水又は温水の一部を再度熱源機器F1に戻すという制御方法でもって空調制御できる。
【0027】
しかしながら、熱源機器F1の熱源容量が大きく、それに伴い所定の能力を出力するまでに長い時間を要する場合は、運転台数の増減段判定を行わない時間も長く設定せざるを得ず、その間に室内側の負荷が急激に変化した場合、特に負荷が急増した場合、必要運転台数に変更する増減段処理が遅れて室内の温度に影響する場合があった。また、冷水又は温水の送水温度を一定に保つという制御を追加する方法では、そのための設備費用が高くなるという問題があった。
【0028】
本発明は、上記事由に鑑みてなしたもので、その目的とするところは、室内の冷暖房温度つまり空調温度を、室内側の負荷に基づいて応答性よく制御できる空調制御装置及びその装置を用いた空調制御方法を提供することにある。
【0029】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するために、請求項1記載の空調制御装置は、熱源機器を設けた送水部の複数から送水されるとともに複数の各配管部に送水する送水ヘッダにまとめられた冷水又は温水の送水温度を、所定時間毎に検知する送水温度検知手段と、送水ヘッダからの冷水又は温水が各配管部と接続されて各室内に設置された各空調機器でもって熱交換されて、各空調機器からの各配管部と接続された還水ヘッダにまとめられた還水の還水温度を、所定時間毎に検知する還水温度検知手段と、還水の還水流量を所定時間毎に検知する還水流量検知手段と、送水温度、還水温度、及び還水流量をデジタル化した送水温度データ、還水温度データ、及び還水流量データのそれぞれを記憶するデータメモリと、還水流量データが現時刻から過去にさかのぼって積算された積算還水流量値を算出するとともに、その積算還水流量値から特定された特定送水温度データ及び特定還水流量データ並びに現時刻における還水温度データに基づいて空調機器に負荷される負荷総熱量を演算し、その負荷総熱量及び運転中の熱源機器の総熱源容量を比較して送水部の運転台数の増減段判定をする中央演算処理部と、中央演算処理部の増減段判定に基づいて送水部の運転台数を増減段する運転台数増減段手段とを備えた構成にしてある。
【0030】
請求項2記載の空調制御装置は、請求項1記載の空調制御装置において、前記各配管部の総容量が所定容量であって、前記特定送水温度データ及び前記特定還水流量データは、前記積算還水流量値が所定容量及び所定容量の約半分にそれぞれ対応する前記送水温度データ及び前記還水流量データとする構成にしてある。
【0031】
請求項3記載の空調制御装置は、請求項1又は2記載の空調制御装置において、前記送水ヘッダと前記還水ヘッダとを接続するバイパス弁の両端部の差圧を検出する差圧検出手段を設け、前記中央演算処理部は差圧が所定差圧以下で送水部の運転台数の増段判定をする構成にしてある。
【0032】
請求項4記載の空調制御方法は、請求項1記載の空調制御装置を用いた空調制御方法において、熱源機器を設けた送水部の複数から送水されるとともに複数の各配管部に送水する送水ヘッダにまとめられた冷水又は温水の送水温度を、送水温度検知手段が所定時間毎に検知し、送水ヘッダからの冷水又は温水が各配管部と接続されて各室内に設置された各空調機器でもって熱交換されて、各空調機器からの各配管部と接続された還水ヘッダにまとめられた還水の還水温度を、還水温度検知手段が所定時間毎に検知し、還水の還水流量を還水流量検知手段が所定時間毎に検知し、送水温度、還水温度、及び還水流量をデジタル化した送水温度データ、還水温度データ、及び還水流量データのそれぞれをデータメモリが記憶し、中央演算処理部が、還水流量データが現時刻から過去にさかのぼって積算された積算還水流量値を算出するとともに、その積算還水流量値から特定された特定送水温度データ及び特定還水流量データ並びに現時刻における還水温度データに基づいて空調機器に負荷される負荷総熱量を演算し、その負荷総熱量及び運転中の熱源機器の総熱源容量を比較して送水部の運転台数の増減段判定し、運転台数増減段手段が中央演算処理部の増減段判定に基づいて送水部の運転台数を増減段して空調制御する構成にしてある。
【0033】
【発明の実施の形態】
本発明の第1実施形態の空調制御装置及び空調制御方法を図1及び図2に基づいて以下に説明する。
【0034】
空調制御装置は、送水温度検知部1と、還水温度検知部2と、還水流量検知部3と、データメモリ4と、中央演算処理部5と、運転台数増減段部6、及び差圧検出部7とを備えている。先ず、空調制御装置によって制御されて被制御対象である空調制御設備について説明する。
【0035】
送水部8は、冷凍機又は温水ボイラー等からなる熱源機器81及び送水ポンプ82を設け、第1送水部8a、第2送水部8b、及び第3送水部8cの複数台で構成されて、各熱源機器81が所定の熱源能力を有して冷水又は温水を供給するとともに、各送水ポンプ82が送水する。
【0036】
送水ヘッダ9は、複数の各配管部91が接続されて、複数の送水部8から送水された冷水又は温水をまとめるとともに、各配管部91に送水する。空調機器10は複数台が設けられ、それぞれが各室内に設置され、送水ヘッダ9からの各配管部91と接続されて、送水された冷水又は温水を熱交換して各部屋を空調する。ここで、室内側における各配管部91を合計した総容量が所定容量に設定される。
【0037】
還水ヘッダ11は、各空調機器10からの各配管部91と接続されて、各空調機器10でもって熱交換されて室内から戻ってきた冷水又は温水、すなわち各還水をいったんまとめる。さらに、別の還水ヘッダ11aが還水ヘッダ11と接続して設けられ、再び還水を各送水部8に分配する。
【0038】
バイパス弁12は、バイパス管92が送水ヘッダ9と別の還水ヘッダ11aとの間にそれぞれと接続した状態で設けられ、そのバイパス管92に設けられて、必要でない水量をそのまま別の還水ヘッダ11aを介して熱源機器81側へ戻すとともに、冷水又は温水が各空調機器10へ送水されるための圧力を確保する。
【0039】
1は送水温度検知部で、サーミスタ等の温度検知素子により、送水温度検知手段を形成し、送水ヘッダ9に設けられて、送水部8の複数から送水されるとともに複数の各配管部91に送水する送水ヘッダ9にまとめられた冷水又は温水の送水温度を、所定の時間間隔で所定時間毎に検知する。
【0040】
2は還水温度検知部で、サーミスタ等の温度検知素子により、還水温度検知手段を形成し、還水ヘッダ11に設けられて、冷水又は温水が各空調機器10でもって熱交換されて還水ヘッダ11にまとめられた還水の還水温度を、所定の時間間隔で所定時間毎に検知する。
【0041】
3は還水流量検知部で、流量計により、還水流量検知手段を形成し、還水ヘッダ11と別の還水ヘッダ11aとの間に設けられて、室内側の循環水量を、すなわち還水ヘッダ11からの還水の還水流量を所定の時間間隔で所定時間毎に検知する。ここで検知される還水流量は、各配管部91がどこかで解放されていない限り、瞬間的に室内側の要求水量の影響を反映する。
【0042】
4はデータメモリで、随時書き込みできるRAMにより、送水温度検知部1で検知された送水温度、還水温度検知部2で検知された還水温度、及び還水流量検知部3で検知された還水流量を、A/Dコンバータ41でもってデジタル化された送水温度データ、還水温度データ、及び還水流量データのそれぞれを記憶する。
【0043】
5は中央演算処理部で、CPUにより、A/Dコンバータ41を介して送水温度検知部1、還水温度検知部2、及び還水流量検知部3のそれぞれと接続され、さらにデータメモリ4と接続される。
【0044】
データメモリ4に記憶された還水流量データを呼び出し、現時刻から過去にさかのぼってその還水流量データを積算して、積算還水流量値を算出する。その積算還水流量値が配管部91の所定容量に達したときに対応する送水温度データを特定送水温度データとして、また、配管部91の所定容量の約半分に達したときに対応する還水流量データを特定還水流量データとしてそれぞれ特定する。そして、その特定送水温度データ及び特定還水流量データ並びに現時刻における還水温度データに基づいて空調機器10に負荷される負荷総熱量を演算し、その負荷総熱量及び運転中の熱源機器81の総熱源容量を比較して、送水部8の運転台数の増減段判定をする。
【0045】
6は運転台数増減段部で、入出力ユニット及びマグネットスイッチ(図示せず)で構成され、中央演算処理部5の増減段判定に基づいて送水部8の運転台数を増減段する。
【0046】
7は差圧検出部で、差圧センサーにより、差圧検出手段を形成し、送水ヘッダ9と別の還水ヘッダ11aとを接続するバイパス弁12の両端部に設けられて、その両端部の差圧を検出して、その差圧を基にバイパス弁12の開度を調整することによって、室内側を循環するための冷水又は温水の必要圧力を確保する。
【0047】
この空調制御装置を用いた空調制御方法について、図2のフローチャートに基づいて詳述する。先ず、#1において、スタートすると空調制御装置が起動し、その空調制御装置に設けられたサンプリングタイマ(図示せず)が起動して、設定された所定の時間間隔毎、すなわち所定のサンプリング周期Si[min]毎にサンプリングパルスを発生し、予め設定された台数Nsの送水部8が運転される。
【0048】
次いで、#2において、送水温度検知部1が送水ヘッダ9にまとめられた冷水又は温水の送水温度を、還水温度検知部2が還水ヘッダ11にまとめられた還水の還水温度を、さらに還水流量検知部3が還水ヘッダ11からの還水の還水流量を、それぞれサンプリングパルス毎に、つまり所定時間毎に検知する。さらに、A/Dコンバータ41が検知された送水温度、還水温度、及び還水流量をデジタル化して、データメモリ4がそのデジタル化された送水温度データ、還水温度データ、及び還水流量データをそれぞれ記憶する。
【0049】
次いで、#3において、中央演算処理部5はデータメモリ4に記憶された還水流量データを呼び出し、現時刻から過去にさかのぼってその還水流量データを積算して、室内側循環水量の積算還水流量値を算出する。ここで、現時刻における還水温度は積算還水流量値が、配管部91の所定容量Vt/2[m3]に達する時間分前の室内側の負荷の影響を反映する。また、送水温度は積算還水流量値がVt/2[m3]に達する時間分後の室内側要求水量に反映される。
【0050】
そこで、積算還水流量値が一定時間毎にサンプリングしてきた還水流量データを、現在値から過去に向かって、還水流量の値にサンプリング周期Si[min]を乗じたものを加算することによって求められる。積算還水流量値が配管部91の所定容量Vt[m3]を越えたとき、積算還水流量値が所定容量Vt[m3]の半分に達する時点Hp1で、保持しておいた還水流量データを特定して特定還水流量データVhi[m3/min]とするとともに、同様にVt[m3/min]に達する時点Hp2で特定送水温度データTsi[℃]を特定する。
【0051】
次いで、#4において、その特定還水流量データVh及び特定送水温度データTs、並びに現時刻における還水温度データTr[℃]に基づいて、次式に従って、Hp1の時点での室内側の負荷総熱量を演算する。
【0052】
Q-rt=60×Vh×C×(ts−tr)
ここで、Cは水の容積比熱[kcal/m3/degree]であり、熱量の値は暖房時のように熱源側から室内側に熱が移動する方向を正の熱量としている。
【0053】
このようにして、空調機器10に負荷される負荷総熱量を演算し、その負荷総熱量及び運転中の熱源機器81の総熱源容量を比較して送水部8の運転台数の増減段判定をする。これらの一連の処理を一定間隔毎に順次行うことによって、運転台数を変更した直後で熱源機器81が所定の能力を出力していない間においても、現実に近い室内側熱負荷を演算する。
【0054】
次いで、#5において、運転台数増減段部6が中央演算処理部5の増減段判定に基づいて、送水部8の運転台数を増減段処理して、室内側の負荷の変動に追随した送水部8の運転台数の制御を実行する。#6において、システムが停止しないとき、特定還水流量データVh及び特定送水温度データTsi、並びに還水温度データTrの取り込み及び更新を行う。
【0055】
このようにして、その時点での熱量ではないものの、循環時間を考慮しないで演算した場合に比べて、より正確な室内側の負荷総熱量を演算して、熱源機器81が所定の能力を出力するまで、現時刻における室内側の熱負荷に対応して送水部8の運転台数を変更する。
【0056】
かかる第1実施形態の空調制御装置にあっては、上記したように、中央演算処理部5が現時刻から過去にさかのぼって積算された積算還水流量値から決定された特定送水温度データと特定還水流量データ、及び現時刻における還水温度データに基づいて室内側負荷総熱量を演算し、その室内側負荷総熱量と運転中の熱源機器81の総熱源容量とを比較して送水部8の運転台数の増減段判定し、運転台数増減段手段が中央演算処理部5の増減段判定に基づいて増減段処理するから、所定の熱源能力を出力するまでに長い時間を要する熱源機器81の運転台数を変更したとき、室内の冷暖房温度つまり空調温度を実負荷に応答性よく対応して空調制御することができる。
【0057】
また、配管部91の総容量が所定容量であれば、積算還水流量値が所定容量になったときの送水温度データを特定送水温度データとし、また、積算還水流量値が所定容量の約半分になったときの還水流量データを特定還水流量データとしたから、送水ヘッダ9から送水された時点での送水温度と、空調機器10の熱負荷が変更された直後の還水流量データとを正確に特定し、中央演算処理部5がその特定された両データに基づいて室内側負荷総熱量を正確に演算して、室内の空調温度をさらに応答性よく空調制御することができる。
【0058】
本発明の第2実施形態の空調制御装置及び空調制御方法を図3乃至図5に基づいて以下に説明する。なお、第2実施形態では第1実施形態と異なる機能及び異なる空調制御方法について述べることとし、第1実施形態と実質的に同一機能を有する部材については、同一符号を付して説明を省略する。
【0059】
差圧検出部7は、送水ヘッダ9と別の還水ヘッダ11aとを接続するバイパス弁12の両端部に設けられて、A/Dコンバータ41を介して中央演算処理部5と接続されて、両端部の差圧を検出する。中央演算処理部5は差圧検出部7で検知された差圧が所定差圧以下になったとき、送水部8の運転台数の増段判定をする。
【0060】
ここで、第1実施形態では、各配管部91の所定容量に比べて送水量が小さいとき、演算された負荷総熱量は相当長い時間にわたる過去のものである。従って、室内側の大きなエリアの空調を開始したとき等の急激な負荷増加時では、熱源機器81の追加運転が間に合わずに、室内を所定の温度に調節するのに長時間を要してしまう場合がある。第2実施形態ではこの点を改良したものである。
【0061】
空調制御方法について、図3及び図4のフローチャートに基づいて説明する。中央演算処理部5は、#4で述べた増減段判定の後、#7において、差圧検出部7で検知された差圧が所定差圧以下になったとき、送水部8の運転台数の増段判定をする。
【0062】
ここで、前述したように、差圧検出部7によって検知される圧力差を基に、バイパス弁12の開度を調整することによって、室内側を循環するための必要圧力を確保する。この場合、室内側の要求する循環水量が、送水ポンプ82の所定の送水能力を上回っている場合はバイパス弁12を全閉として、全水量を室内側に供給しても必要圧力が確保できず、それによって結果的に室内側循環水量が増加することになる。
【0063】
この様子を、熱源機器81が4台の場合を例にとってグラフに表したものを図5に示す。すなわち、熱源機器81を1台運転から2台運転に変更した直後に、更に室内側の熱負荷が増加して、要求水量が増加し、2台運転では必要水量と差圧が確保できなくなり、差圧検出部7で検知された差圧が所定差圧以下になる。
【0064】
このとき、室内側の配管部91の配管抵抗曲線は、図3における2台運転限界負荷時配管抵抗曲線91aから、更に3台運転限界負荷時配管抵抗曲線91bに近づく状態となる(図中破線で示す状態)。送水ポンプ82を2台運転したときの性能曲線82aに変化はないから、水量は2台運転限界流量を超えることになる。
【0065】
図4のサブフローチャートに示すように、#7aにおいて、差圧検出部7で検知された差圧が所定差圧以下になって、室内側循環水量がつまり還水流量が、ポンプ設計水量と設定偏差水量(概ねポンプ設計水量の15%)を加えた水量を上回っていれば、還水流量増大と判定する。
【0066】
#7bにおいて、熱源機器81を追加運転した直後は、該当熱源機器81が所定の能力を出力しないために送水温度が上昇し、その影響によって室内側要求水量も増加する。よって、前記特定還水流量データVhを選出した時点の送水温度をTaとして選出する。そのTaは現在の要求水量を発生させている水温を代表していると見做すことができる。
【0067】
#7cにおいて、保持している送水温度データのうち、Taを選出した時刻の前後一定時間内(概ね2分間)の送水温度を平均化する。
【0068】
#7dにおいて、送水温度の平均値が、予め設定した設定送水温度に対して設定偏差温度(概ね2℃)だけ冷房時は上回る、同様に暖房時は下回っている場合は、負荷の急増と判定しない。その他の場合に負荷の急増有りと判定し、#4で演算された負荷総熱量が現状運転台数の範囲内であっても、室内負荷急増と判定し増段判定をする。
【0069】
次いで、#8において、中央演算処理部5の増段判定に基づいて、運転台数増減段部6が熱源機器81の運転台数を1台追加する。このような空調制御方法によって、循環時間による時間遅れを待たずに、室内側の熱負荷が現在の運転台数による出力を上回っていることを瞬時に検知して、熱源機器81の運転台数を増段する。
【0070】
かかる第2実施形態の空調制御装置にあっては、上記したように、送水ヘッダ9と還水ヘッダ11とを接続するバイパス弁12の両端部の差圧を検出する差圧検出部7を設け、差圧が所定差圧以下になったとき中央演算処理部5が増段判定をするから、室内側負荷が急増したとき、差圧検出部7が所定差圧以下の差圧を時間遅れなく検知するので、たとえば夜間の部分運転から朝の全館運転に移行するときに、即座に運転台数を増段処理して、室内冷暖房の立上げ時に時間がかかりすぎることを防止できる。
【0071】
また、室内側循環水量が送水ポンプ82の設計水量の合計を上回り、かつ特定還水流量データVhを選出した時点前後での送水温度平均値が設定温度から一定温度以上の差がないとき、中央演算処理部5が室内負荷急増と判定し増段判定をするから、負荷の急増に対して正確にかつ即座に対応できる。
【0072】
【発明の効果】
請求項1記載のものは、中央演算処理部が現時刻から過去にさかのぼって積算された積算還水流量値から決定された特定送水温度データと特定還水流量データ、及び現時刻における還水温度データに基づいて室内側負荷総熱量を演算し、その室内側負荷総熱量と運転中の熱源機器の総熱源容量とを比較して送水部の運転台数の増減段判定し、運転台数増減段手段が中央演算処理部の増減段判定に基づいて増減段処理するから、所定の熱源能力を出力するまでに長い時間を要する熱源機器の運転台数を変更したとき、室内の冷暖房温度つまり空調温度を実負荷に応答性よく対応して空調制御することができる。
【0073】
請求項2記載のものは、請求項1記載のものの効果に加えて、配管部の総容量が所定容量であれば、積算還水流量値が所定容量になったときの送水温度データを特定送水温度データとし、また、積算還水流量値が所定容量の約半分になったときの還水流量データを特定還水流量データとしたから、送水ヘッダから送水された時点での送水温度と、空調機器の熱負荷が変更された直後の還水流量データとを正確に特定し、中央演算処理部5がその特定された両データに基づいて室内側負荷総熱量を正確に演算して、室内の空調温度をさらに応答性よく空調制御することができる。
【0074】
請求項3記載のものは、請求項1又は2記載のものの効果に加えて、送水ヘッダと還水ヘッダとを接続するバイパス弁の両端部の差圧を検出する差圧検出手段を設け、差圧が所定差圧以下になったとき中央演算処理部5が増段判定をするから、室内側負荷が急増したとき、差圧検出手段が所定差圧以下の差圧を時間遅れなく検知するので、たとえば夜間の部分運転から朝の全館運転に移行するときに、即座に運転台数を増段処理して、室内冷暖房の立上げ時に時間がかかりすぎることを防止できる。
【0075】
請求項4記載の空調制御方法は、請求項1記載の空調制御装置を用いれば、所定の熱源能力を出力するまでに長い時間を要する熱源機器の運転台数を変更したとき、室内の冷暖房温度つまり空調温度を実負荷に応答性よく対応して、容易に空調制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す構成図である。
【図2】同上のフローチャート図である。
【図3】本発明の第2実施形態を示すフローチャート図である。
【図4】同上のサブフローチャート図である。
【図5】同上の送水ポンプ性能曲線図及び配管部の配管抵抗曲線図である。
【図6】従来例を示す構成図である。
【図7】同上の送水部の運転台数が増段されたときの、送水温度、還水温度、及び演算された負荷総熱量の時間的経過図である。
【符号の説明】
1 送水温度検知部(送水温度検知手段)
2 還水温度検知部(還水温度検知手段)
3 還水流量検知部(還水流量検知手段)
4 データメモリ
5 中央演算処理部
6 運転台数増減段部(運転台数増減段手段)
7 差圧検出部(差圧検出手段)
8 送水部
81 熱源機器
9 送水ヘッダ
91 配管部
10 空調機器
11 還水ヘッダ
12 バイパス弁
【発明の属する技術分野】
本発明は、各室内に設置された各空気調和機器つまり各空調機器を集中制御する空調制御装置、及びその装置を用いた空調制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の空調制御装置として、図6に示す構成のものが存在する。このものは、送水温度検知部Aと、還水温度検知部Bと、データメモリCと、中央演算処理部Dと、運転台数増減段部Eと、還水流量検知部F5とを備えている。
【0003】
送水温度検知部Aは、熱源機器F1及び送水ポンプF2を設けた送水部Fの複数から送水されるとともに複数の各配管部Gに送水する送水ヘッダF3にまとめられて、熱源機器F1によってつくられた冷水又は温水の送水温度を検知する。
【0004】
各空調機器Hが、送水ヘッダF3と接続した各配管部Gと接続した状態で各室内に設置され、冷水又は温水が送水されて、各空調機器Hでもって熱交換した各還水が、各空調機器Hからの各配管部Gと接続された還水ヘッダF4にまとめられる。還水温度検知部Bは、その還水ヘッダF4にまとめられた還水の還水温度を検知する。還水流量検知部F5は還水の還水流量を流量計でもって検知する。
【0005】
データメモリCは、送水温度、還水温度、及び還水流量をデジタル化した送水温度データ、還水温度データ、及び還水流量データをそれぞれ記憶する。中央演算処理部Dは、送水温度データ、還水温度データ、及び還水流量データに基づいて空調機器Hに負荷される負荷総熱量を演算し、その負荷総熱量及び運転中の熱源機器F1の総熱源容量を比較して、送水部Fの運転台数の増減段判定をする。運転台数増減段部Eは、中央演算処理部Dの増減段判定に基づいて送水部Fの運転台数を増減する。
【0006】
さらに詳しくは、熱源機器F1は冷凍機又は温水ボイラー等により、別の還水ヘッダF41が室内側から戻ってきた冷水又は温水をいったんまとめる還水ヘッダF4と接続して設けられ、再び各熱源機器F1に還水を分配する。
【0007】
また、必要でない水量をそのまま熱源機器F1側へ戻すよう、バイパス管G1は送水ヘッダF3と別の還水ヘッダF41との間に設けられ、さらにバイパス弁F6を設けて、冷水又は温水が各空調機器Hへ送水されるための圧力を確保する。
【0008】
熱源機器F1を設けた送水部Fを複数台設置し、室内に設置された各空調機器Hの熱負荷に応じて、送水部Fの運転台数を決定する空調制御方法を詳しく説明する。運転台数を決定するための指標である負荷総熱量は、熱源機器F1によってつくられて室内側へ送水される冷水又は温水の送水温度と、室内側を循環して熱交換されて熱源機器F1側へに戻ってきた還水の還水温度と、室内側を循環している水量つまり還水流量から演算によって求められる。
【0009】
ここで、各配管部Gの総容量、つまり配管内の総水量をVt[m3]とし、送水ポンプF2の1台当たりの単位時間送水量をVp[m3/min]、台数をN台とする。ピーク負荷時に熱源機器F1と送水ポンプF2をN台運転したときに、熱源機器F1から出た冷水又は温水が、室内側の各空調機器Hで熱交換され、熱源機器F1まで戻ってくるまでのピーク時平均循環時間Tm[min]は次式によって求められる。
【0010】
Tm=Vt/(N×Vp) (式1)
室内側における各配管部Gの管路は、一般的には多様な経路及び管径で構成されているので、循環時間はその経路及び管径によって変化するが、平均すれば式1で求められるTmとなる。
【0011】
また、送水ヘッダF3から各空調機器Hに至るまでの各配管部Gの容量と、各空調機器Hから一次還水ヘッダF4に至るまでの各配管部Gの容量とは、各配管部Gの経路により必ずしも等しくはないが、一般的に各配管部Gの送水管と還水管は同じ経路に敷設されることが多い。したがって、双方の各配管部Gの総容量は概ね等しく、どちらもVt/2であると考えて差し支えない。
【0012】
今、室内側の負荷総熱量がピーク時に比べて小さく、各空調機器Hの制御によって還水流量が制限されてVc[m3/min]であり、時間的変化が無い状態であるとする。このとき、部分負荷時平均循環時間Tcは次式によって求められる。
【0013】
Tc=Vt/Vc (式2)
Vcは当然ピーク時循環水量(N×Vp)より小さく、TcはTmより長くなる。室内側の負荷総熱量が熱源機器F1のk台分の能力では足りないときは、k台の運転からk+1台の運転に送水部Fの運転台数を増段する必要がある。しかし、熱源機器F1は起動時に即座に所定の熱源能力を出力できないため、室内側から戻ってきた還水をそのままの温度で、再び室内側へ供給することになり、還水温度として検出されるのはTc分後となる。
【0014】
この場合Vcは送水ポンプF2のk台分の送水量より大きく、k+1台分の送水量より小さいはずであるから、次式の範囲にある。
【0015】
k×Vp≦Vc≦(k+1)×Vp (式3)
また式1及び式2から
Vc=Vt/Tc=(Tm×N×Vp)/Tc (式4)
式3及び式4からTcは次式を満たさなければならない。
【0016】
k×Vp≦(Tm×N×Vp)/Tc≦(k+1)×Vp (式5)
Tcの範囲が式5から求められ、次式のようになる。
【0017】
Tm×N/(k+1)≦Tc≦Tm×N/k (式6)
式6から解るように、熱源機器F1の運転台数を変更したとき、供給する冷水又は温水の温度が変化し、その影響が室内側を循環して戻り側の温度、すなわち還水温度として検出されるまでの時間遅れが最も長くなるのは、熱源機器F1の運転台数を1台から2台に変更した場合である。
【0018】
冷房時、冷水の供給温度を7℃とし、その冷水と、空調機器Hでもって冷水の熱を熱交換した還水との温度差を5℃として空調を行い、送水部Fの運転台数は室内側の負荷総熱量が増大して、第1熱源機器Faの1台運転から第2熱源機器Fbを起動して2台に変更し、第2熱源機器Fbがまだ冷却能力を出力せず、室内側を循環した冷水も戻ってきていない状態とする。
【0019】
別の還水ヘッダF41から熱源機器F1に戻る熱源入口温度をt0、送水ポンプF2の水量をVp、既に運転を継続していた第1熱源機器Faの出口温度をT1=7℃、空調機器Hへ供給される冷水温度をt2及びその冷水の全水量をV1、バイパス管G1を通って送水ヘッダF3から別の還水ヘッダF41に戻る水温をt3及びその水量をV0、室内側を循環して返ってきた還水温度をt4及びその水量をV4(=V1)とすると、各温度には次式が成立する。
【0020】
t2=t3=(t0+T1)/2 (式7)
t0=(V0×t3+V1×t4)/(V0+V1) (式8)
1台運転から2台運転になった直後であるから、V1=V0=Vpとすると式8は、
t0=(t3+t4)/2 (式9)
となる。式9に式7のt3を代入してt0を求めると次式のようになる。
【0021】
t0=(t0+T1)/4+t4/2 (式10)
4×t0=t0+T1+2×t4 (式11)
したがって、t0=(T1+2×t4)/3 (式12)
T1は7℃であり、送水部Fを増段した直後で送水温度の変化はまだ還水温度に影響していないのでt4=12℃であるから、t0は式12から10.33℃に、t2は式7から8.67℃となる。
【0022】
負荷総熱量が、同じ時刻の送水温度及び還水温度の差、並びに同じ時刻の還水流量に基づいて、式6及び式12の関係から演算される。その演算された負荷総熱量と、実際に室内側に負荷される実負荷総熱量とを、時間経過とともに図7に示す。ここで、運転台数を変更してから実負荷総熱量に変化がないものとしてある。
【0023】
演算された負荷総熱量は、室内側の実負荷総熱量に変化がないとしているにも関わらず、2台運転に変更されてから大きく変化し、平均循環時間Tcの範囲で実負荷総熱量よりも小さくなっている。すなわち、運転台数を増段させたとき、起動された熱源機器F1が所定の熱源能力、つまり冷却、又は加熱能力を出力するまでには一定の時間を要するため、その間は供給する冷水又は温水の温度が所定の値を確保できなくなり、演算による負荷総熱量が減少し、見かけ上室内側の実負荷総熱量が減少したような結果となる。
【0024】
この様に、演算された負荷総熱量は送水部Fの運転台数を増加させた直後で、熱量の演算に同一時刻の送水温度、還水温度、及び還水流量を用いると、実負荷総熱量とかけ離れた熱量となってしまう。つまり、この負荷総熱量を根拠にした運転台数の増減段判定は困難となる。
【0025】
したがって、必要な運転台数を誤って判断しないよう、運転台数を変更してから熱源機器F1が所定の熱源能力を出力するまでの一定時間は、運転台数の増減段判定を行わないという制御方法で対処するか、熱源機器F1から出た冷水又は温水の一部をもう一度熱源機器F1に戻して、冷水又は温水の温度を一定に保つという制御を追加して対応していた。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来の空調制御装置では、送水部Fの運転台数を変更してから熱源機器F1が所定の熱源能力を出力するまでの一定時間は、運転台数変更の増減段判定を行わない、又は、冷水又は温水の一部を再度熱源機器F1に戻すという制御方法でもって空調制御できる。
【0027】
しかしながら、熱源機器F1の熱源容量が大きく、それに伴い所定の能力を出力するまでに長い時間を要する場合は、運転台数の増減段判定を行わない時間も長く設定せざるを得ず、その間に室内側の負荷が急激に変化した場合、特に負荷が急増した場合、必要運転台数に変更する増減段処理が遅れて室内の温度に影響する場合があった。また、冷水又は温水の送水温度を一定に保つという制御を追加する方法では、そのための設備費用が高くなるという問題があった。
【0028】
本発明は、上記事由に鑑みてなしたもので、その目的とするところは、室内の冷暖房温度つまり空調温度を、室内側の負荷に基づいて応答性よく制御できる空調制御装置及びその装置を用いた空調制御方法を提供することにある。
【0029】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するために、請求項1記載の空調制御装置は、熱源機器を設けた送水部の複数から送水されるとともに複数の各配管部に送水する送水ヘッダにまとめられた冷水又は温水の送水温度を、所定時間毎に検知する送水温度検知手段と、送水ヘッダからの冷水又は温水が各配管部と接続されて各室内に設置された各空調機器でもって熱交換されて、各空調機器からの各配管部と接続された還水ヘッダにまとめられた還水の還水温度を、所定時間毎に検知する還水温度検知手段と、還水の還水流量を所定時間毎に検知する還水流量検知手段と、送水温度、還水温度、及び還水流量をデジタル化した送水温度データ、還水温度データ、及び還水流量データのそれぞれを記憶するデータメモリと、還水流量データが現時刻から過去にさかのぼって積算された積算還水流量値を算出するとともに、その積算還水流量値から特定された特定送水温度データ及び特定還水流量データ並びに現時刻における還水温度データに基づいて空調機器に負荷される負荷総熱量を演算し、その負荷総熱量及び運転中の熱源機器の総熱源容量を比較して送水部の運転台数の増減段判定をする中央演算処理部と、中央演算処理部の増減段判定に基づいて送水部の運転台数を増減段する運転台数増減段手段とを備えた構成にしてある。
【0030】
請求項2記載の空調制御装置は、請求項1記載の空調制御装置において、前記各配管部の総容量が所定容量であって、前記特定送水温度データ及び前記特定還水流量データは、前記積算還水流量値が所定容量及び所定容量の約半分にそれぞれ対応する前記送水温度データ及び前記還水流量データとする構成にしてある。
【0031】
請求項3記載の空調制御装置は、請求項1又は2記載の空調制御装置において、前記送水ヘッダと前記還水ヘッダとを接続するバイパス弁の両端部の差圧を検出する差圧検出手段を設け、前記中央演算処理部は差圧が所定差圧以下で送水部の運転台数の増段判定をする構成にしてある。
【0032】
請求項4記載の空調制御方法は、請求項1記載の空調制御装置を用いた空調制御方法において、熱源機器を設けた送水部の複数から送水されるとともに複数の各配管部に送水する送水ヘッダにまとめられた冷水又は温水の送水温度を、送水温度検知手段が所定時間毎に検知し、送水ヘッダからの冷水又は温水が各配管部と接続されて各室内に設置された各空調機器でもって熱交換されて、各空調機器からの各配管部と接続された還水ヘッダにまとめられた還水の還水温度を、還水温度検知手段が所定時間毎に検知し、還水の還水流量を還水流量検知手段が所定時間毎に検知し、送水温度、還水温度、及び還水流量をデジタル化した送水温度データ、還水温度データ、及び還水流量データのそれぞれをデータメモリが記憶し、中央演算処理部が、還水流量データが現時刻から過去にさかのぼって積算された積算還水流量値を算出するとともに、その積算還水流量値から特定された特定送水温度データ及び特定還水流量データ並びに現時刻における還水温度データに基づいて空調機器に負荷される負荷総熱量を演算し、その負荷総熱量及び運転中の熱源機器の総熱源容量を比較して送水部の運転台数の増減段判定し、運転台数増減段手段が中央演算処理部の増減段判定に基づいて送水部の運転台数を増減段して空調制御する構成にしてある。
【0033】
【発明の実施の形態】
本発明の第1実施形態の空調制御装置及び空調制御方法を図1及び図2に基づいて以下に説明する。
【0034】
空調制御装置は、送水温度検知部1と、還水温度検知部2と、還水流量検知部3と、データメモリ4と、中央演算処理部5と、運転台数増減段部6、及び差圧検出部7とを備えている。先ず、空調制御装置によって制御されて被制御対象である空調制御設備について説明する。
【0035】
送水部8は、冷凍機又は温水ボイラー等からなる熱源機器81及び送水ポンプ82を設け、第1送水部8a、第2送水部8b、及び第3送水部8cの複数台で構成されて、各熱源機器81が所定の熱源能力を有して冷水又は温水を供給するとともに、各送水ポンプ82が送水する。
【0036】
送水ヘッダ9は、複数の各配管部91が接続されて、複数の送水部8から送水された冷水又は温水をまとめるとともに、各配管部91に送水する。空調機器10は複数台が設けられ、それぞれが各室内に設置され、送水ヘッダ9からの各配管部91と接続されて、送水された冷水又は温水を熱交換して各部屋を空調する。ここで、室内側における各配管部91を合計した総容量が所定容量に設定される。
【0037】
還水ヘッダ11は、各空調機器10からの各配管部91と接続されて、各空調機器10でもって熱交換されて室内から戻ってきた冷水又は温水、すなわち各還水をいったんまとめる。さらに、別の還水ヘッダ11aが還水ヘッダ11と接続して設けられ、再び還水を各送水部8に分配する。
【0038】
バイパス弁12は、バイパス管92が送水ヘッダ9と別の還水ヘッダ11aとの間にそれぞれと接続した状態で設けられ、そのバイパス管92に設けられて、必要でない水量をそのまま別の還水ヘッダ11aを介して熱源機器81側へ戻すとともに、冷水又は温水が各空調機器10へ送水されるための圧力を確保する。
【0039】
1は送水温度検知部で、サーミスタ等の温度検知素子により、送水温度検知手段を形成し、送水ヘッダ9に設けられて、送水部8の複数から送水されるとともに複数の各配管部91に送水する送水ヘッダ9にまとめられた冷水又は温水の送水温度を、所定の時間間隔で所定時間毎に検知する。
【0040】
2は還水温度検知部で、サーミスタ等の温度検知素子により、還水温度検知手段を形成し、還水ヘッダ11に設けられて、冷水又は温水が各空調機器10でもって熱交換されて還水ヘッダ11にまとめられた還水の還水温度を、所定の時間間隔で所定時間毎に検知する。
【0041】
3は還水流量検知部で、流量計により、還水流量検知手段を形成し、還水ヘッダ11と別の還水ヘッダ11aとの間に設けられて、室内側の循環水量を、すなわち還水ヘッダ11からの還水の還水流量を所定の時間間隔で所定時間毎に検知する。ここで検知される還水流量は、各配管部91がどこかで解放されていない限り、瞬間的に室内側の要求水量の影響を反映する。
【0042】
4はデータメモリで、随時書き込みできるRAMにより、送水温度検知部1で検知された送水温度、還水温度検知部2で検知された還水温度、及び還水流量検知部3で検知された還水流量を、A/Dコンバータ41でもってデジタル化された送水温度データ、還水温度データ、及び還水流量データのそれぞれを記憶する。
【0043】
5は中央演算処理部で、CPUにより、A/Dコンバータ41を介して送水温度検知部1、還水温度検知部2、及び還水流量検知部3のそれぞれと接続され、さらにデータメモリ4と接続される。
【0044】
データメモリ4に記憶された還水流量データを呼び出し、現時刻から過去にさかのぼってその還水流量データを積算して、積算還水流量値を算出する。その積算還水流量値が配管部91の所定容量に達したときに対応する送水温度データを特定送水温度データとして、また、配管部91の所定容量の約半分に達したときに対応する還水流量データを特定還水流量データとしてそれぞれ特定する。そして、その特定送水温度データ及び特定還水流量データ並びに現時刻における還水温度データに基づいて空調機器10に負荷される負荷総熱量を演算し、その負荷総熱量及び運転中の熱源機器81の総熱源容量を比較して、送水部8の運転台数の増減段判定をする。
【0045】
6は運転台数増減段部で、入出力ユニット及びマグネットスイッチ(図示せず)で構成され、中央演算処理部5の増減段判定に基づいて送水部8の運転台数を増減段する。
【0046】
7は差圧検出部で、差圧センサーにより、差圧検出手段を形成し、送水ヘッダ9と別の還水ヘッダ11aとを接続するバイパス弁12の両端部に設けられて、その両端部の差圧を検出して、その差圧を基にバイパス弁12の開度を調整することによって、室内側を循環するための冷水又は温水の必要圧力を確保する。
【0047】
この空調制御装置を用いた空調制御方法について、図2のフローチャートに基づいて詳述する。先ず、#1において、スタートすると空調制御装置が起動し、その空調制御装置に設けられたサンプリングタイマ(図示せず)が起動して、設定された所定の時間間隔毎、すなわち所定のサンプリング周期Si[min]毎にサンプリングパルスを発生し、予め設定された台数Nsの送水部8が運転される。
【0048】
次いで、#2において、送水温度検知部1が送水ヘッダ9にまとめられた冷水又は温水の送水温度を、還水温度検知部2が還水ヘッダ11にまとめられた還水の還水温度を、さらに還水流量検知部3が還水ヘッダ11からの還水の還水流量を、それぞれサンプリングパルス毎に、つまり所定時間毎に検知する。さらに、A/Dコンバータ41が検知された送水温度、還水温度、及び還水流量をデジタル化して、データメモリ4がそのデジタル化された送水温度データ、還水温度データ、及び還水流量データをそれぞれ記憶する。
【0049】
次いで、#3において、中央演算処理部5はデータメモリ4に記憶された還水流量データを呼び出し、現時刻から過去にさかのぼってその還水流量データを積算して、室内側循環水量の積算還水流量値を算出する。ここで、現時刻における還水温度は積算還水流量値が、配管部91の所定容量Vt/2[m3]に達する時間分前の室内側の負荷の影響を反映する。また、送水温度は積算還水流量値がVt/2[m3]に達する時間分後の室内側要求水量に反映される。
【0050】
そこで、積算還水流量値が一定時間毎にサンプリングしてきた還水流量データを、現在値から過去に向かって、還水流量の値にサンプリング周期Si[min]を乗じたものを加算することによって求められる。積算還水流量値が配管部91の所定容量Vt[m3]を越えたとき、積算還水流量値が所定容量Vt[m3]の半分に達する時点Hp1で、保持しておいた還水流量データを特定して特定還水流量データVhi[m3/min]とするとともに、同様にVt[m3/min]に達する時点Hp2で特定送水温度データTsi[℃]を特定する。
【0051】
次いで、#4において、その特定還水流量データVh及び特定送水温度データTs、並びに現時刻における還水温度データTr[℃]に基づいて、次式に従って、Hp1の時点での室内側の負荷総熱量を演算する。
【0052】
Q-rt=60×Vh×C×(ts−tr)
ここで、Cは水の容積比熱[kcal/m3/degree]であり、熱量の値は暖房時のように熱源側から室内側に熱が移動する方向を正の熱量としている。
【0053】
このようにして、空調機器10に負荷される負荷総熱量を演算し、その負荷総熱量及び運転中の熱源機器81の総熱源容量を比較して送水部8の運転台数の増減段判定をする。これらの一連の処理を一定間隔毎に順次行うことによって、運転台数を変更した直後で熱源機器81が所定の能力を出力していない間においても、現実に近い室内側熱負荷を演算する。
【0054】
次いで、#5において、運転台数増減段部6が中央演算処理部5の増減段判定に基づいて、送水部8の運転台数を増減段処理して、室内側の負荷の変動に追随した送水部8の運転台数の制御を実行する。#6において、システムが停止しないとき、特定還水流量データVh及び特定送水温度データTsi、並びに還水温度データTrの取り込み及び更新を行う。
【0055】
このようにして、その時点での熱量ではないものの、循環時間を考慮しないで演算した場合に比べて、より正確な室内側の負荷総熱量を演算して、熱源機器81が所定の能力を出力するまで、現時刻における室内側の熱負荷に対応して送水部8の運転台数を変更する。
【0056】
かかる第1実施形態の空調制御装置にあっては、上記したように、中央演算処理部5が現時刻から過去にさかのぼって積算された積算還水流量値から決定された特定送水温度データと特定還水流量データ、及び現時刻における還水温度データに基づいて室内側負荷総熱量を演算し、その室内側負荷総熱量と運転中の熱源機器81の総熱源容量とを比較して送水部8の運転台数の増減段判定し、運転台数増減段手段が中央演算処理部5の増減段判定に基づいて増減段処理するから、所定の熱源能力を出力するまでに長い時間を要する熱源機器81の運転台数を変更したとき、室内の冷暖房温度つまり空調温度を実負荷に応答性よく対応して空調制御することができる。
【0057】
また、配管部91の総容量が所定容量であれば、積算還水流量値が所定容量になったときの送水温度データを特定送水温度データとし、また、積算還水流量値が所定容量の約半分になったときの還水流量データを特定還水流量データとしたから、送水ヘッダ9から送水された時点での送水温度と、空調機器10の熱負荷が変更された直後の還水流量データとを正確に特定し、中央演算処理部5がその特定された両データに基づいて室内側負荷総熱量を正確に演算して、室内の空調温度をさらに応答性よく空調制御することができる。
【0058】
本発明の第2実施形態の空調制御装置及び空調制御方法を図3乃至図5に基づいて以下に説明する。なお、第2実施形態では第1実施形態と異なる機能及び異なる空調制御方法について述べることとし、第1実施形態と実質的に同一機能を有する部材については、同一符号を付して説明を省略する。
【0059】
差圧検出部7は、送水ヘッダ9と別の還水ヘッダ11aとを接続するバイパス弁12の両端部に設けられて、A/Dコンバータ41を介して中央演算処理部5と接続されて、両端部の差圧を検出する。中央演算処理部5は差圧検出部7で検知された差圧が所定差圧以下になったとき、送水部8の運転台数の増段判定をする。
【0060】
ここで、第1実施形態では、各配管部91の所定容量に比べて送水量が小さいとき、演算された負荷総熱量は相当長い時間にわたる過去のものである。従って、室内側の大きなエリアの空調を開始したとき等の急激な負荷増加時では、熱源機器81の追加運転が間に合わずに、室内を所定の温度に調節するのに長時間を要してしまう場合がある。第2実施形態ではこの点を改良したものである。
【0061】
空調制御方法について、図3及び図4のフローチャートに基づいて説明する。中央演算処理部5は、#4で述べた増減段判定の後、#7において、差圧検出部7で検知された差圧が所定差圧以下になったとき、送水部8の運転台数の増段判定をする。
【0062】
ここで、前述したように、差圧検出部7によって検知される圧力差を基に、バイパス弁12の開度を調整することによって、室内側を循環するための必要圧力を確保する。この場合、室内側の要求する循環水量が、送水ポンプ82の所定の送水能力を上回っている場合はバイパス弁12を全閉として、全水量を室内側に供給しても必要圧力が確保できず、それによって結果的に室内側循環水量が増加することになる。
【0063】
この様子を、熱源機器81が4台の場合を例にとってグラフに表したものを図5に示す。すなわち、熱源機器81を1台運転から2台運転に変更した直後に、更に室内側の熱負荷が増加して、要求水量が増加し、2台運転では必要水量と差圧が確保できなくなり、差圧検出部7で検知された差圧が所定差圧以下になる。
【0064】
このとき、室内側の配管部91の配管抵抗曲線は、図3における2台運転限界負荷時配管抵抗曲線91aから、更に3台運転限界負荷時配管抵抗曲線91bに近づく状態となる(図中破線で示す状態)。送水ポンプ82を2台運転したときの性能曲線82aに変化はないから、水量は2台運転限界流量を超えることになる。
【0065】
図4のサブフローチャートに示すように、#7aにおいて、差圧検出部7で検知された差圧が所定差圧以下になって、室内側循環水量がつまり還水流量が、ポンプ設計水量と設定偏差水量(概ねポンプ設計水量の15%)を加えた水量を上回っていれば、還水流量増大と判定する。
【0066】
#7bにおいて、熱源機器81を追加運転した直後は、該当熱源機器81が所定の能力を出力しないために送水温度が上昇し、その影響によって室内側要求水量も増加する。よって、前記特定還水流量データVhを選出した時点の送水温度をTaとして選出する。そのTaは現在の要求水量を発生させている水温を代表していると見做すことができる。
【0067】
#7cにおいて、保持している送水温度データのうち、Taを選出した時刻の前後一定時間内(概ね2分間)の送水温度を平均化する。
【0068】
#7dにおいて、送水温度の平均値が、予め設定した設定送水温度に対して設定偏差温度(概ね2℃)だけ冷房時は上回る、同様に暖房時は下回っている場合は、負荷の急増と判定しない。その他の場合に負荷の急増有りと判定し、#4で演算された負荷総熱量が現状運転台数の範囲内であっても、室内負荷急増と判定し増段判定をする。
【0069】
次いで、#8において、中央演算処理部5の増段判定に基づいて、運転台数増減段部6が熱源機器81の運転台数を1台追加する。このような空調制御方法によって、循環時間による時間遅れを待たずに、室内側の熱負荷が現在の運転台数による出力を上回っていることを瞬時に検知して、熱源機器81の運転台数を増段する。
【0070】
かかる第2実施形態の空調制御装置にあっては、上記したように、送水ヘッダ9と還水ヘッダ11とを接続するバイパス弁12の両端部の差圧を検出する差圧検出部7を設け、差圧が所定差圧以下になったとき中央演算処理部5が増段判定をするから、室内側負荷が急増したとき、差圧検出部7が所定差圧以下の差圧を時間遅れなく検知するので、たとえば夜間の部分運転から朝の全館運転に移行するときに、即座に運転台数を増段処理して、室内冷暖房の立上げ時に時間がかかりすぎることを防止できる。
【0071】
また、室内側循環水量が送水ポンプ82の設計水量の合計を上回り、かつ特定還水流量データVhを選出した時点前後での送水温度平均値が設定温度から一定温度以上の差がないとき、中央演算処理部5が室内負荷急増と判定し増段判定をするから、負荷の急増に対して正確にかつ即座に対応できる。
【0072】
【発明の効果】
請求項1記載のものは、中央演算処理部が現時刻から過去にさかのぼって積算された積算還水流量値から決定された特定送水温度データと特定還水流量データ、及び現時刻における還水温度データに基づいて室内側負荷総熱量を演算し、その室内側負荷総熱量と運転中の熱源機器の総熱源容量とを比較して送水部の運転台数の増減段判定し、運転台数増減段手段が中央演算処理部の増減段判定に基づいて増減段処理するから、所定の熱源能力を出力するまでに長い時間を要する熱源機器の運転台数を変更したとき、室内の冷暖房温度つまり空調温度を実負荷に応答性よく対応して空調制御することができる。
【0073】
請求項2記載のものは、請求項1記載のものの効果に加えて、配管部の総容量が所定容量であれば、積算還水流量値が所定容量になったときの送水温度データを特定送水温度データとし、また、積算還水流量値が所定容量の約半分になったときの還水流量データを特定還水流量データとしたから、送水ヘッダから送水された時点での送水温度と、空調機器の熱負荷が変更された直後の還水流量データとを正確に特定し、中央演算処理部5がその特定された両データに基づいて室内側負荷総熱量を正確に演算して、室内の空調温度をさらに応答性よく空調制御することができる。
【0074】
請求項3記載のものは、請求項1又は2記載のものの効果に加えて、送水ヘッダと還水ヘッダとを接続するバイパス弁の両端部の差圧を検出する差圧検出手段を設け、差圧が所定差圧以下になったとき中央演算処理部5が増段判定をするから、室内側負荷が急増したとき、差圧検出手段が所定差圧以下の差圧を時間遅れなく検知するので、たとえば夜間の部分運転から朝の全館運転に移行するときに、即座に運転台数を増段処理して、室内冷暖房の立上げ時に時間がかかりすぎることを防止できる。
【0075】
請求項4記載の空調制御方法は、請求項1記載の空調制御装置を用いれば、所定の熱源能力を出力するまでに長い時間を要する熱源機器の運転台数を変更したとき、室内の冷暖房温度つまり空調温度を実負荷に応答性よく対応して、容易に空調制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す構成図である。
【図2】同上のフローチャート図である。
【図3】本発明の第2実施形態を示すフローチャート図である。
【図4】同上のサブフローチャート図である。
【図5】同上の送水ポンプ性能曲線図及び配管部の配管抵抗曲線図である。
【図6】従来例を示す構成図である。
【図7】同上の送水部の運転台数が増段されたときの、送水温度、還水温度、及び演算された負荷総熱量の時間的経過図である。
【符号の説明】
1 送水温度検知部(送水温度検知手段)
2 還水温度検知部(還水温度検知手段)
3 還水流量検知部(還水流量検知手段)
4 データメモリ
5 中央演算処理部
6 運転台数増減段部(運転台数増減段手段)
7 差圧検出部(差圧検出手段)
8 送水部
81 熱源機器
9 送水ヘッダ
91 配管部
10 空調機器
11 還水ヘッダ
12 バイパス弁
Claims (4)
- 熱源機器を設けた送水部の複数から送水されるとともに複数の各配管部に送水する送水ヘッダにまとめられた冷水又は温水の送水温度を、所定時間毎に検知する送水温度検知手段と、
送水ヘッダからの冷水又は温水が各配管部と接続されて各室内に設置された各空調機器でもって熱交換されて各空調機器からの各配管部と接続された還水ヘッダにまとめられた還水の還水温度を、所定時間毎に検知する還水温度検知手段と、
還水の還水流量を所定時間毎に検知する還水流量検知手段と、
送水温度、還水温度、及び還水流量をデジタル化した送水温度データ、還水温度データ、及び還水流量データのそれぞれを記憶するデータメモリと、
還水流量データが現時刻から過去にさかのぼって積算された積算還水流量値を算出するとともに、その積算還水流量値から特定された特定送水温度データ及び特定還水流量データ並びに現時刻における還水温度データに基づいて空調機器に負荷される負荷総熱量を演算し、その負荷総熱量及び運転中の熱源機器の総熱源容量を比較して送水部の運転台数の増減段判定をする中央演算処理部と、
中央演算処理部の増減段判定に基づいて送水部の運転台数を増減段する運転台数増減段手段と、を備えたことを特徴とする空調制御装置。 - 前記各配管部の総容量が所定容量であって、前記特定送水温度データ及び前記特定還水流量データは、前記積算還水流量値が所定容量及び所定容量の約半分にそれぞれ対応する前記送水温度データ及び前記還水流量データとすることを特徴とする請求項1記載の空調制御装置。
- 前記送水ヘッダと前記還水ヘッダとを接続するバイパス弁の両端部の差圧を検出する差圧検出手段を設け、前記中央演算処理部は差圧が所定差圧以下で送水部の運転台数の増段判定をするよう形成されたことを特徴とする請求項1又は2記載の空調制御装置。
- 請求項1記載の空調制御装置を用いた空調制御方法であって、熱源機器を設けた送水部の複数から送水されるとともに複数の各配管部に送水する送水ヘッダにまとめられた冷水又は温水の送水温度を、送水温度検知手段が所定時間毎に検知し、
送水ヘッダからの冷水又は温水が各配管部と接続されて各室内に設置された各空調機器でもっての熱を熱交換されて各空調機器からの各配管部と接続された還水ヘッダにまとめられた還水の還水温度を、還水温度検知手段が所定時間毎に検知し、
還水の還水流量を還水流量検知手段が所定時間毎に検知し、
送水温度、還水温度、及び還水流量をデジタル化した送水温度データ、還水温度データ、及び還水流量データのそれぞれをデータメモリが記憶し、
中央演算処理部が、還水流量データが現時刻から過去にさかのぼって積算された積算還水流量値を算出するとともに、その積算還水流量値から特定された特定送水温度データ及び特定還水流量データ並びに現時刻における還水温度データに基づいて空調機器に負荷される負荷総熱量を演算し、その負荷総熱量及び運転中の熱源機器の総熱源容量を比較して送水部の運転台数の増減段判定し、
運転台数増減段手段が中央演算処理部の増減段判定に基づいて送水部の運転台数を増減段して、空調制御することを特徴とする空調制御方法。
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