JP6103889B2 - 避難用建築物 - Google Patents

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本発明は、プレキャストコンクリート造の避難用建築物に関するものである。
従来、プレキャストコンクリートを用いたこの種の避難用構造物として、最上階を避難所とするPC避難タワーが知られている(非特許文献1参照)。
このPC避難タワーは、地盤に設けたコンクリート基礎と、コンクリート基礎上に設けられ、6階建の階段室を構成する円形のタワー構造部と、タワー構造部の5階部分を囲うように設けた円形の防災倉庫と、タワー構造部の6階部分を囲うように設けた円形の避難所と、を備えている。タワー構造部は、直径4.2m、階高3mの6階建であり、直径4.2m、高さ1.5mのプレキャストコンクリート製の円形ボックスを12個積み上げて構成されている。タワー構造部の内部には、階段(螺旋階段)が設けられ、またタワー構造部の1階部分、5階部分および6階部分には、それぞれ開口部(出入口)が設けられている。避難者は、1階の開口部から階段を上って避難所に避難する。
ピーエス三菱「震災対応技術カタログ」第6頁 http://www.psmic.co.jp/bousai.pdf
ところで、この種の避難タワーでは、構造部に、耐震性は元より津波に対しても高い強度が要求される。特に、津波の水圧および流水圧を受ける構造部の下層部(下層階)は、上層部(上層階)に比して高い強度が求められる。
この点において、従来の避難タワー(タワー構造部)では、プレキャストの円形ボックスを複数個積上げた構造であるため、耐津波の強度を考慮して円形ボックスを厚肉に構成すると、上層部の荷重が増し(重心が高くなる)耐震性が損なわれる問題があった。すなわち、円形ボックスを単純に複数個積上げる従来の避難タワー(タワー構造部)では、上層部の強度に対し下層部の強度を高くし、地震の揺れおよび津波に対し適正な強度を持つ構造とすることができない問題があった。もっとも、タワー構造部内に鉄骨等の補強材を設けて、下層部の強度アップを図れば、かかる問題は解決する。しかし、このようにすると、コストおよび工期の点で、プレキャストコンクリート造のメリットを生かすことができない。
本発明は、鉄骨等の補強材を必要とすることなく、地震の揺れおよび津波に対し適正且つ十分な強度を持ったプレキャストコンクリート造の避難用建築物を提供することをその課題としている。
本発明の避難用建築物は、基礎部と、基礎部上に設置され、外壁を主構造部とするプレキャストコンクリート製の矩形の主構造体と、主構造体上に設置され、避難場所を構成する屋上部と、基礎部と屋上部とを連絡する複数の階段と、を備え、主構造体は、下層部を構成する下層構造体と、上層部を構成する上層構造体と、を有し、下層構造体は、それぞれがプレキャストコンクリート製の複数の部分壁体ボックスを積み上げて構成した部分構造体を、基礎部上において複数組並べて構成され、上層構造体は、プレキャストコンクリート製の複数の外壁ボックスを積み上げて構成されていることを特徴とする。
この構成によれば、部分構造体を複数組並べて構成した下層構造体は、実質上、内部に補強用の隔壁を設けた構造となり、外観は上層構造体と同様であっても高い強度を持たせることができる。すなわち、部分壁体ボックスを積み上げた下層構造体と外壁ボックスを積み上げた上層構造体とから成る主構造体において、プレキャストコンクリート造を踏襲しつつ、上層部の強度に対し下層部の強度を高く構成することができる。したがって、鉄骨等の補強材を必要とすることなく、地震の揺れおよび津波に対し適正且つ十分な強度を持たせることができる。なお、複数の部分構造体は、相互に同一の形状であっても良いし、異なる形状であってもよい。
この場合、複数組の部分構造体のうちの、少なくとも最大の部分構造体において、各部分壁体ボックスは、梁間方向の中間位置で突合せ接合された断面「コ」字状の一対の壁体ピースと、桁行方向の両端部の肉厚内を接合方向に貫通し、一対の壁体ピースを接合方向に緊結する一対の第1テンション手段と、を有していることが好ましい。
この構成によれば、各部分壁体ボックスを梁間方向で分割した2分割構造とすることができ、部分壁体ボックスを構成する各壁体ピースが桁行方向に長いものであっても、車輛による運搬性を損なうことがない。また、一対のテンション手段により、壁体ピース同士を接合方向に緊結するようにしているため、各部分壁体ボックスを高い強度をもって一体化することができる。
同様に、各外壁ボックスは、梁間方向の中間位置で突合せ接合された断面「コ」字状の一対の外壁ピースと、桁行方向の両端部の肉厚内を接合方向に貫通し、一対の外壁ピースを接合方向に緊結する一対の第2テンション手段と、を有していることが好ましい。
この場合も、各外壁ボックスを梁間方向で分割した2分割構造とすることができ、外壁ボックスを構成する各外壁ピースが桁行方向に長いものであっても、車輛による運搬性を損なうことがない。また、一対のテンション手段により、外壁ピース同士を接合方向に緊結するようにしているため、各外壁ボックスを高い強度をもって一体化することができる。
これらの場合、第1テンション手段および第2テンション手段は、それぞれ肉厚内を接合方向に貫通するPC鋼材と、PC鋼材の一方の端部に設けたアンカー部および他方の端部に設けたボルト止め用の緊結部と、を有していることが好ましい。
この構成によれば、PC鋼材により、一対の壁体ピースおよび一対の外壁ピースを、作業効率良く且つ強固に緊結することができる。これにより、現場において組み立てた2分割の部分壁体ボックスおよび外壁ボックスに、単体の分割の部分壁体ボックスおよび外壁ボックスと同等の強度を持たせることができる。なお、PC鋼材は、PC鋼棒の他、PC鋼線やPC鋼より線であってもよい。また、PC鋼材を2分割の連結構造とし、一対の壁体ピース(一対の外壁ピース)の一方において、PC鋼材およびアンカー部を予め埋め込んでおくようにしてもよい。
また、上層構造体および下層構造体は、それぞれの肉厚内を鉛直方向に貫通した複数の鉛直テンション手段により、鉛直方向に一体に緊結されていることが好ましい。
この構成によれば、複数の鉛直テンション手段により、上層構造体を構成する複数の外壁ボックスおよび下層構造体を構成する複数の部分壁体ブロックを鉛直方向に一体化し得るだけでなく、複数のプレキャストボックスに、プレストレス構造物的な強度を持たせることができる。したがって、主構造体に、現場打ちコンクリートの構造体と同等の強度を持たせることができる。なお、鉛直テンション手段として、PC鋼材(PC鋼棒、PC鋼線、PC鋼より線)を用いることが好ましい。
この場合、複数の鉛直テンション手段は、基礎部にアンカリングされ、上層構造体および下層構造体に加え屋上部を、一体に緊結していることが好ましい。
この構成によれば、複数の鉛直テンション手段により、基礎部、複数の独立構造体および屋上部を一体化することができ、建物全体として、現場打ちコンクリートにより構築した場合と同等の強度を持たせることができる。
一方、屋上部は、少なくとも梁間方向において主構造体より長い寸法に形成されていることが好ましい。
この構成によれば、主構造体の面積に比して、避難場所となる屋上部の面積を大きくすることができる。言い換えれば、避難場所となる屋上部の面積に比して、津波に対する受圧面積を小さくすることができる。
また、屋上部は、梁間方向の両端部で、最上位の外壁ボックスに支持されたプレキャストコンクリート製の複数枚のプレキャストパネルを有していることが好ましい。
この構成によれば、最低限の種別数で、複数のプレキャストパネルを構成することができ、屋上部を簡単に構築することができる。
さらに、複数の階段は、主構造体の外部に設けた外階段と、主構造体の内部に設けた内階段と、を有していることが好ましい。
この構成によれば、あらゆる方向から避難してくる多人数の被災者を、屋上部に円滑に導くことができる。
実施形態に係る避難用建築物の全体斜視図である。 実施形態に係る避難用建築物の正面視立面図(a)、左側面視立面図(b)、右側面視立面図(c)である。 実施形態に係る避難用建築物の1階平面図(a)、2階平面図(b)、屋上階平面図(c)である。 部分壁体ボックスの構造図であって、第1壁体ボックスの構造図(a)、第2壁体ボックスの構造図(b)である。 第1テンション手段(第2テンション手段)廻りの詳細図である。 外壁ボックスの構造図である。 2階スラブのパネル構成図(a)、および3階スラブのパネル構成図(b)である。 屋上部のパネル構成図である。 鉛直テンション手段廻りの詳細図である。
以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態に係る避難用建築物について説明する。この避難用建築物は、地震等による被災時の避難施設となるプレキャストコンクリート造の建築物であり、主として高台の無い海沿いの地域に設置されるものである。したがって、この避難用建築物は、耐震性は元より、想定される津波の高さを考慮すると共に、屋上部が避難場所となるように設計されている。なお、実施形態のものは、地上高:12.6m、屋上面積:65m2、収容人数:100人として、設計したものである。
図1の全体斜視図、図2の立面図および図3の平面図に示すように、避難用建築物1は、地盤Gに設けた基礎部2と、基礎部2上に設置され、外壁を主構造部とする矩形の主構造体3と、主構造体3上に設置され、避難場所を構成する屋上部4と、基礎部2と屋上部4とを連絡する外階段5および内階段6と、を備えている。主構造体3の1階部分には、出入口開口部7が設けられ(図2(c)参照)、また屋上部4には、外階段5の踊り場部分を除いて、フェンス8が設けられている。
この避難用建築物1は、3階建であり、1階部分の階高3500mm、2階部分の階高4000mm、3階部分の階高4300mmとしている。また、主構造体3の梁間方向の寸法が5000mmであるのに対し、屋上部4の梁間方向の寸法が7600mmとなっており、屋上部4は、梁間方向において主構造体3より長い寸法に形成されている。
基礎部2は、現場打ちコンクリートのべた基礎で構成されおり、軟弱地盤のための杭打ちを考慮して厚みを1000mmとしている。特に詳細は図示しないが、基礎部2は、根切りした地盤G上に、栗石(砕石)、捨てコンクリートおよび基礎コンクリートの順で打設されている。これにより、基礎部2を重く且つ軟弱地盤に耐え得る強固な構造とし、避難用建築物1の耐震性および耐津波性の向上を図っている。なお、基礎部2の直下に汚水タンクを埋設すると共に、基礎部2の上面にこれに連なるマンホールを設けておき、非常用トイレの処理施設を構成してもよい。
外階段5および内階段6は、スチールやステンレス等で構成され、相互の昇り口および降り口が、桁行方向において逆方向に位置するように配設されている。すなわち、あらゆる方向から避難してくる多人数の被災者を、屋上部4に円滑に導き得るようにしている。外階段5は、正面壁および一方の側面壁に添わせて設けられており、2階、3階および屋上に踊り場を設けた直進の階段で構成されている。なお、外階段5は、主構造体3に支持する構造であってもよいし、基礎部2上に立設した鋼材に支持する構造であってもよい。内階段6は、出入口開口部7の先方に位置し、桁行方向において、1階から2階に延びる1階階段部6aと、折り返して2階から3階に延びる2階階段部6bと、折り返して3階から屋上階に延びる3階階段部6cと、で構成されている。
主構造体3は、高さ方向の強度を考慮し、基礎部2上に3000mmの下層部を構成する下層構造体3Aと、その上の上層部を構成する上層構造体3Bと、で構成されている。また、下層構造体3Aおよび上層構造体3Bは、それぞれの肉厚内を鉛直方向に貫通した複数の鉛直テンション手段11により、基礎部2にアンカリングされた状態で、鉛直方向に一体に緊結されている。
下層構造体3Aには、1階フロアを構成する1階スラブ12が設けられ、また側壁部分には屋内外の出入口開口部7が形成されている。そして、出入口開口部7には、水密性を有するドア13が設けられている。また、基礎部2には、出入口開口部7に向かって上り傾斜のスロープ14が設けられている。一方、上層構造体3Bには、2階のフロアを構成する2階スラブ16と、3階のフロアを構成する3階スラブ17とが設けられている。なお、屋上スラブ18は、上層構造体3Bに上面に載置固定されている(詳細は、後述する)。
図2および図3(a)に示すように、下層構造体3Aは、出入口開口部7が形成された第1下層構造体21(部分構造体)と、1階階段部6aが配置された第2下層構造体22(部分構造体)と、を基礎部2上において桁行方向に突き合せて構成されている。第1下層構造体21と第2下層構造体22とは、梁間方向において同一寸法に形成され、桁行方向において第2下層構造体22が極端に長く形成されている。突き合せた状態の第1下層構造体21および第2下層構造体22は、その周壁部分が外壁として機能し、相互の突合せ壁部分が外壁を補強する隔壁として機能している。
また、第1下層構造体21と第2下層構造体22との突合せ壁部分には、出入口開口部7から1階階段部6aに進むための屋内開口部24がそれぞれ形成されている。これにより、出入口開口部7から主構造体3に入室した避難者は、最短距離で内階段6に到達できるようになっている。なお、1階スラブ12は、プレキャストのパネルを敷設して構成してもよいが、ドア13の下端との高さ調整を考慮し、上記のスロープ14と同様に、現場打ちコンクリート(土間コンクリート)を打設することが好ましい。
図2、図3(a)および図4(a)に示すように、第1下層構造体21は、プレキャストコンクリート製の2つの第1壁体ボックス26(部分壁体ボックス)を積み上げて構成されている。各第1壁体ボックス26は、5000mm×2500mm×1500Hの矩形に形成されている。第1壁体ボックス26の長辺側の2つの壁部分には、同形の深いU字状切欠き部27が形成されている。第1下層構造体21を構成すべく2つの第1壁体ボックス26は、このU字状切欠き部27を合わせるようにして積み上げられる。これにより、上下のU字状切欠き部27が一体化し、それぞれ出入口開口部7および屋内開口部24が構成される。
また、各第1壁体ボックス26の肉厚内には、上記複数の鉛直テンション手段11が縦通しで挿通する複数の縦貫通孔28が形成されている。詳細は後述するが、各縦貫通孔28は、第1壁体ボックス26の製造過程で埋め込んだシース管84(鋼管)で構成されている。すなわち、各第1壁体ボックス26には、複数の縦貫通孔28を構成する複数のシース管84が埋め込まれている(図9参照)。
同様に、図2、図3(a)および図4(b)に示すように、第2下層構造体22は、プレキャストコンクリート製の2つの第2壁体ボックス31(部分壁体ボックス)を積み上げて構成されている。各第2壁体ボックス31は、5000mm×7500mm×1500Hの矩形に形成されている。また、各第2壁体ボックス31は、2分割構造であり、梁間方向の中間位置で突合せ接合された断面「コ」字状の一対の壁体ピース32a,32bと、桁行方向の両端部の肉厚内を接合方向に貫通し、一対の壁体ピース32a,32bを接合方向に緊結する一対の第1テンション手段33と、を有している。この場合、外壁となる側に設けられる一方の第1テンション手段33は、3本のテンション部材34で構成され、隔壁となる側に設けられる他方の第1テンション手段33は、後述するL字状切欠き部35の関係で1本のテンション部材34で構成されている。
各壁体ピース32a,32bは、梁間方向の寸法が5000mm/2=2500mmに形成され、車輛による運搬に適した大きさとなっている。壁体ピース32a,32bの梁間方向に延びる壁部分は、一方が外壁となり他方が隔壁となる。1階階段部6a側となる一方の壁体ピース32aの隔壁となる部分には、深いU字状切欠き部35が形成されている。第2壁体ボックス31を構成すべく、一対の壁体ピース32a,32bは突合せ接合され、更に第2下層構造体22を構成すべく、2つの第2壁体ボックス31は、このU字状切欠き部35を合わせるようにして積み上げられる。これにより、上下のU字状切欠き部35が一体化し、屋内開口部24が構成される。
また、各壁体ピース32a,32bには、梁間方向に延びる2つの壁部分の肉厚内において、上記第1テンション手段33が横通しで挿通する複数の横貫通孔36が形成されている。この場合、外壁となる一方の壁部分には、均等ピッチで配置した3つの横貫通孔36(3本のテンション部材34に対応)が形成され、隔壁となる他方の壁部分には、1つの横貫通孔36(1本のテンション部材34に対応)が形成されている。
詳細は後述するが、実際のものは、一対の壁体ピース32a,32bの組立作業を考慮し、一方の壁体ピース32aでは、横貫通孔36に代えてテンション部材34を直接埋め込むようにし、他方の壁体ピース32bでは、上記のように横貫通孔36が形成されている。そして、この場合も、横貫通孔36は、壁体ピース32bに埋め込んだシース管44(鋼管)で構成されている。
一方、各第2壁体ボックス31(一対の壁体ピース32a,32b)には、その肉厚内において、上記複数の鉛直テンション手段11が縦通しで挿通する複数の縦貫通孔38が形成されている。この場合も、縦貫通孔38は、第2壁体ボックス31(一対の壁体ピース32a,32b)に埋め込んだシース管84(鋼管)で構成されている。そして、横貫通孔36と縦貫通孔38とが、肉厚内において内外方向に位置ズレするように、横貫通孔36は屋内側に寄った位置に、縦貫通孔38は屋外側に寄った位置にそれぞれ配設されている。
図4(b)および図5に示すように、各テンション部材34は、肉厚内を接合方向に貫通する横PC鋼棒41と、横PC鋼棒41の一方の端部に設けたアンカー部42および他方の端部に設けたボルト止め用の緊結部43と、を有している。また、上述のように、横PC鋼棒41(テンション部材34)が貫通する横貫通孔36,55は、シース管44で構成されている。
横PC鋼棒41は、その運搬や取回しを考慮し、両端部に雄ねじを形成した2本の単位PC鋼棒41aを、ジョイントカップラー41bで連結して構成されている。すなわち、実施形態では、単位PC鋼棒41aを3000mm前後の長さとしている。一方、アンカー部42は、矩形のアンカープレート42a(鋼板)と、アンカープレート42aに突き当てるように、単位PC鋼棒41aに螺合するPCナット42bとで構成されている。また、緊結部43は、上記と同様のアンカープレート43a、PCナット43bおよびグラウトワッシャー43c(孔付のワッシャー)で構成されている。
ところで、一対の壁体ピース32a,32bを突合せ接合する第2壁体ボックス31の組立ては、各壁体ピース32a,32bが重量物であるため、一方(壁体ピース32a)を、接合面を上にして立て、他方(壁体ピース32b)を、上方から吊り下げて(クレーン)接合する作業となる。この場合、立てる側の一方の壁体ピース32aには、予め単位PC鋼棒41aおよびアンカー部42を取り付けておく必要があるため、接合作業が煩雑なものとなる。そこで、実施形態のものは、一方の壁体ピース32aを製造する段階で、単位PC鋼棒41aおよびアンカー部42を埋め込むようにしている。ただし、この場合の単位PC鋼棒41aには、コンクリートに拘束されないようにアンボンド加工(コーティング)を施しておくことが好ましい。
これに対し、他方の壁体ピース32bには、グラウトワッシャー43c(アンカープレート43a)を投入し、PCナット43bを締結するための緊結穴45が形成されている。なお、接合する側の他方の壁体ピース32bにおける緊結部43のアンカープレート43aも、予め壁体ピース32bに埋め込んでおくことが好ましい。
また、横PC鋼棒41は、横貫通孔36であるシース管44に挿通され、PCナット43bによりテンションを付与される。そして、この状態で、横PC鋼棒41とシース管44との間隙には、充填グラウト46が注入されるようになっている。このため、壁体ピース32bには、シース管44(横貫通孔36)に連通する注入用のパイプ(図示省略)が埋め込まれている。
一方、一対の壁体ピース32a,32bの接合面には、パッキン47および目地グラウト48を介設するようにしている。具体的には、接合面の周側縁部にパッキン47を介設すると共に、横貫通孔36を囲むようにパッキン47を介設する。この場合、各パッキン47は、他方の壁体ピース32bを接合する前に、一方の壁体ピース32aの接合面に接着される。また、他方の壁体ピース32bを接合した後、上下の接合面とパッキン47とにより囲まれた空間に、目地グラウト48を充填する。なお、目地グラウト48の充填は、予め第2壁体ボックス31(一対の壁体ピース32a,32b)の複数箇所に注入用の切欠き部分を形成しておいて、この部分から注入を実施する。
図5に示すように、一方の壁体ピース32aに他方の壁体ピース32bを接合する作業では、地上において、単位PC鋼棒41aおよびアンカー部42を埋め込んだ一方の壁体ピース32aを、その接合面を上に向けて立てる。次に、この接合面に対し、各パッキン47を接着する。また、埋め込まれた各単位PC鋼棒41aの上端部に、ジョイントカップラー41bおよび他方の単位PC鋼棒41aを連結する。なお、連結する他方の単位PC鋼棒41aには、その上端部にジョイントカップラー41bを取り付けておく。すなわち、一方の壁体ピース32aの接合面の全域に、ジョイントカップラー41b付の複数の単位PC鋼棒41aが起立した状態とする。
次に、他方の壁体ピース32bを、その接合面を下にして吊り上げ(クレーン)、起立した複数の単位PC鋼棒41aの直上に位置させる。ここで、各単位PC鋼棒41aの上端部に設けたジョイントカップラー41bを緩め(上動させ)、その先端部を他方の壁体ピース32bの横貫通孔36(シース管44)に嵌め入れる。このようにして、複数の単位PC鋼棒41aを壁体ピース32bに係合し、これをガイドにして壁体ピース32bを下降させて、一方の壁体ピース32a上に載せ込む。ここで、ジョイントカップラー41bを外し、グラウトワッシャー43c(アンカープレート43a)を投入後、PCナット43bを所定のトルクでねじ込む。これを、第2壁体ボックス31の左右2箇所で行うことにより、一対の壁体ピース32a,32bが一体に緊結される。
続いて、両壁体ピース32a,32bの接合部分に目地グラウト48を注入すると共に、横PC鋼棒41とシース管44との間隙に充填グラウト46を注入する。充填グラウト46は、接合面側から注入され、グラウトワッシャー43cから溢れ出るようにする。最後に、壁体ピース32bの緊結穴45に、モルタル等で穴埋めを行う。このようにして、第2壁体ボックス31は、下層構造体3A(第2下層構造体22)を組み上げる前に、地上において組み立てておく。
次に、上層構造体3Bについて説明する。
図2、図3(b)および図6に示すように、上層構造体3Bは、プレキャストコンクリート製の複数(実施形態のものは、9つ)の外壁ボックス51を、鉛直方向に積み上げて構成されている。各外壁ボックス51は、5000mm×10000mm×1000Hの矩形に形成され、各辺が外壁を構成している。また、各外壁ボックス51は、第2壁体ボックス31と同様に2分割構造であり、梁間方向の中間位置で突合せ接合された断面「コ」字状の一対の外壁ピース52と、桁行方向の両端部の肉厚内を接合方向に貫通し、一対の外壁ピース52を接合方向に緊結する一対の第2テンション手段53と、を有している。そして、各第2テンション手段53は、3本のテンション部材54で構成されている。
各外壁ピース52は、上記の壁体ピース32a,32bと同様に、梁間方向の寸法が5000mm/2=2500mmに形成され、車輛による運搬に適した大きさとなっている。また、各外壁ピース52には、梁間方向に延びる2つの壁部分の肉厚内において、それぞれ上記第2テンション手段53が横通しで挿通する各3つの横貫通孔55(3本のテンション部材54に対応)が形成されている。一方、各外壁ボックス51(一対の外壁ピース52)には、その肉厚内において、上記複数の鉛直テンション手段11が縦通しで挿通する複数の縦貫通孔56が形成されている。
この場合も、第2壁体ボックス31と同様に、横貫通孔55は、外壁ピース52に埋め込んだシース管44(鋼管)で構成され、縦貫通孔56も、外壁ピース52に埋め込んだシース管84(鋼管)で構成されている。そして、横貫通孔55と縦貫通孔56とが内外方向に位置ズレするように、横貫通孔55は屋内側に寄った位置に、縦貫通孔56は屋外側に寄った位置にそれぞれ配設されている。
なお、上層構造体3Bのテンション部材54は、第2下層構造体22のテンション部材34と同一の構成であるため、ここでは説明を省略する。
図2に示すように、この上層構造体3Bでは、最下位の外壁ボックス51の上面が2階フロア(2階スラブ16の上面)となり、下から5つ目の外壁ボックス51の上面が3階フロア(3階スラブ17の上面)となる。また、最上位の外壁ボックス51の上面に屋上部4が載置されており、この外壁ボックス51の上面が屋上スラブ18の下面となる。このため、2階スラブ16は、上層構造体3Bの内側において最下位の外壁ボックス51により支持され、3階スラブ17は、上層構造体3Bの内側において下から5つ目の外壁ボックス51より支持される。
特に図示しないが、この支持形態は、外壁ボックス51の内側に突設した支持突起や、外壁ボックス51の内側に固定した支持金具によることが好ましい。この場合、支持突起は、後述する各階スラブパネル61をボルト止めするためのインサートを埋め込んで、外壁ボックス51に一体に形成される。また、支持金具は、各階スラブパネル61をボルト止めするためのナットを固着したものであり、外壁ボックス51に埋め込んだインサートにボルト止めする。なお、屋上スラブ18は、最上位の外壁ボックス51に載る形で支持されている。
図7(a)に示すように、2階スラブ16は、プレキャストコンクリート製の4枚の各階スラブパネル61(プレキャストパネル)で構成されており、その隅部には、1階階段部6aに連なる階段開口部62が形成されている。4枚の各階スラブパネル61は、同一の外形を有しており、階段開口部62用の深い開口溝64aを形成した第1各階パネル64と、階段開口部62用の浅い開口溝65aを形成した第2各階パネル65と、2枚の第3各階パネル66と、で構成されている。
図7(b)に示すように、3階スラブ17は、2階スラブ16と点対称の位置関係にあり、同一の形態を有している(説明省略)。
図2および図8に示すように、屋上部4は、四周縁部にパラペット71を有すると共に、パラペット71上に上記のフェンス8を有している。また、屋上部4は、梁間方向の両端部で、最上位の外壁ボックス51に支持されたプレキャストコンクリート製の複数枚(5枚)の屋上スラブパネル72(プレキャストパネル)を有している。複数枚(5枚)の屋上スラブパネル72は、屋上スラブ18を構成するものであり、その隅部に3階階段部6cに連なる屋上開口部73が形成されている。なお、図示では省略したが、屋上開口部73には、水密性を有する開閉扉が設けられている。
5枚の屋上スラブパネル72は、同一の外形を有しており、階段開口部62用の深い開口溝75aを形成した第1屋上パネル75と、階段開口部62用の浅い開口溝76aを形成した第2屋上パネル76と、2枚の第3屋上パネル77と、第1屋上パネル75と共に桁行方向の外端部に位置する第4屋上パネル78と、で構成されている。第1屋上パネル75および第4屋上パネル78には、その3辺にパラペット71の一部が一体に形成されている。また、第2屋上パネル76および第3屋上パネル77には、その2辺にパラペット71の一部が一体に形成されている。
一方、第1屋上パネル75、第2屋上パネル76、第3屋上パネル77および第4屋上パネル78には、外壁ボックス51に設けた上記複数の縦貫通孔56に連通する、鉛直テンション手段11用の段付きの緊結穴79が適宜形成されている。そして、これら複数枚の屋上スラブパネル72上には、最終的にウレタン防水等の防水処理が施される。また、特に図示しないが、ルーフドレンや雨水縦樋が設けられる。
上述のように、下層構造体3Aおよび上層構造体3Bは、複数の第1壁体ボックス26、複数の第2壁体ボックス31および複数の外壁ボックス51を積み上げて構成されているが、これらは、屋上部4(複数枚の屋上スラブパネル72)と共に上記の鉛直テンション手段11により、基礎部2に一体に固定されている。すなわち、主構造体3および屋上部4を構成すべく、第1壁体ボックス26、第2壁体ボックス31、外壁ボックス51および屋上スラブパネル72を、適宜積み上げると、これらに形成した複数の縦貫通孔28,38,56および緊結穴79がそれぞれ鉛直方向に連通する。これに、基礎部2にアンカリングした複数の鉛直テンション手段11を縦通しして、下層構造体3A、上層構造体3Bおよび屋上部4を一体に緊結するようにしている。
図9に示すように、各鉛直テンション手段11は、上記のテンション部材34と同様に、肉厚内を鉛直方向に貫通する縦PC鋼棒81と、縦PC鋼棒81の下端部に設けたアンカー部82と、縦PC鋼棒81の上端部に設けたボルト止め用の緊結部83と、を有している。また、上述のように、縦PC鋼棒81(鉛直テンション手段11)が貫通する縦貫通孔28,38,56は、シース管84で構成されている。
縦PC鋼棒81は、両端部に雄ねじを形成した計4本の単位PC鋼棒81aを、3個のジョイントカップラー81bで連結して構成されている。この場合も、単位PC鋼棒81aを3000mm前後の長さとしている。アンカー部82は、矩形のアンカープレート82a(鋼板)と、単位PC鋼棒81aに螺合するPCナット82bとで構成されている。また、緊結部83は、アンカープレート83a、PCナット83bおよびグラウトワッシャー83c(孔付のワッシャー)で構成されている。さらに、各ジョイントカップラー81bの位置には、ジョイントカップラー81bを覆うようにシース管84同士を連通する、複数のカップラーシース管85(シース管の継手)が設けられている。
なお、緊結穴79を有する屋上スラブパネル72には、予めアンカープレート83aおよびシース管84を埋め込んでおくことが好ましい。また、この場合も、縦PC鋼棒81と縦貫通孔28,38,56であるシース管84との間隙には、充填グラウト86が注入される。このため、最下位に位置する第1壁体ボックス26および第2壁体ボックス31には、その下端部にシース管84(縦貫通孔28,38)に連通する注入用のパイプ(図示省略)が埋め込まれている。また、各ブロック26,31,51の接合面には、上記と同様に、パッキン87および目地グラウト88を介設するようにしている。すなわち、上下の接合面とパッキン87とのより囲まれた空間には、目地グラウト88が注入される。
ここで、図2および図9を参照しながら、避難用建築物1の構築方法(建方)について説明する。
この構築方法では、先ず基礎部2を施工する。基礎部2の施工では、配筋した鉄筋等に、鉛直テンション手段11となる複数の単位PC鋼棒81aをそれぞれ所定の位置に支持した状態で、現場打ちコンクリート(基礎コンクリート)を打設する。この場合の各単位PC鋼棒81aには、下端部にPCナット82bを介してアンカープレート82aを装着すると共に、上端部にジョイントカップラー81bをねじ込んでおく。なお、アンカープレート82aは、基礎部2の上下中間位置にアンカリングされるように配置する。そして、打設した基礎コンクリートの養生を行った後、最下位となる第1壁体ボックス26および第2壁体ボックス31を設置する。
第1壁体ボックス26の設置では、先ずクレーン等により第1壁体ボックス26を吊り上げ、基礎部2上に起立した複数の単位PC鋼棒81aの直上に位置させる。ここで、各単位PC鋼棒81aに設けたジョイントカップラー81bを緩め(上動させ)、その先端部を第1壁体ボックス26の縦貫通孔28(シース管84)に嵌め入れる。このようにして、複数の単位PC鋼棒81aを第1壁体ボックス26に係合させる。次に、複数の単位PC鋼棒81aにガイドさせながら第1壁体ボックス26を下降させ、基礎部2の所定の隅出し位置に載置する。また、同様の手順で、第2壁体ボックス31を基礎部2の所定の隅出し位置に載置する。
このようにして、最下位の第1壁体ボックス26および第2壁体ボックス31を載置したら、次に第1および第2壁体ボックス26,31の上端面にパッキン87を接着する。この場合、パッキン87は、主構造体3において外壁となる部分にのみ設けるようにする。パッキン87を施工したら、次に2段目となる第1壁体ボックス26および第2壁体ボックス31を積み上げる。この場合も、第1壁体ボックス26を吊り上げ、複数の単位PC鋼棒81aの直上に位置させた後、ジョイントカップラー81bの先端部を第1壁体ボックス26の縦貫通孔28(シース管84)に係合させる。そして、複数の単位PC鋼棒81aにガイドさせながら第1壁体ボックス26を下降させ、下側の第1壁体ボックス26に載せ込む。
この載せ込みでは、パッキン87を適度に潰して、第1壁体ボックス26を吊った状態に維持し、この状態で目地グラウト88の注入を実施する。そして、目地グラウト88が硬化したところで、第1壁体ボックス26の吊った状態を解いて下側の第1壁体ボックス26に載せるようにする。これにより、第1壁体ボックス26は、水平姿勢を維持した状態で積み上げられてゆく。また、同様の手順で、第2壁体ボックス31を下側の第2壁体ボックス31に載せ込む。このようにして、2つの第1壁体ボックス26および2つの第2壁体ボックス31を積み上げると、これら第1および第2壁体ボックス26,31の上端面に、各単位PC鋼棒81aの先端部がジョイントカップラー81bと共に突出した状態となる。
次に、上記と同様に、第1および第2壁体ボックス26,31の上端面にパッキン87を接着する。また、突出したジョイントカップラー81bに、次の単位PC鋼棒81aを継ぎ足すと共にカップラーシース管85を装着する。この継ぎ足された単位PC鋼棒81aにも、その先端部にジョイントカップラー81bを取り付けておく。次に、2段目の第1壁体ボックス26および第2壁体ボックス31の上に、最下位の外壁ボックス51を積み上げる。この場合も、上記と同じ手順で、第1壁体ボックス26および第2壁体ボックス31の上に、目地グラウト88の注入を伴って、外壁ボックス51を載せ込む。
このようにして、最下位の外壁ボックス51を積み上げると、主構造体3の1階部分が完成するため、次に2階スラブ16を施工する。2階スラブ16の施工では、各階スラブパネル61を1枚ずつ吊り込んで、外壁ボックス51の内周面に載せボルト止めする。2階スラブ16を施工したら、上記の要領で2つ目および3つ目の外壁ボックス51を積み上げる。3つ目の外壁ボックス51を積み上げたら、次の単位PC鋼棒81aを継ぎ足すと共にカップラーシース管85を装着し、更に上記の要領で4つ目および5つ目の外壁ボックス51を積み上げる。ここで、主構造体3の2階部分が完成するため、次に上記の要領で3階スラブ17を施工する。6つ目の外壁ボックス51を積み上げたら、次の単位PC鋼棒81aを継ぎ足すと共にカップラーシース管85を装着し、更に7つ目、8つ目および9つ目(最上位)の外壁ボックス51を積み上げる。
最上位の外壁ボックス51を積み上げると、外壁ボックス51の上端面に、各単位PC鋼棒81aの先端部がジョイントカップラー81bと共に突出した状態となる。ここで、外壁ボックス51の上端面にパッキン87を設けた後、屋上スラブ18の施工に移行する。屋上スラブ18の施工では、屋上スラブパネル72を吊り上げ、ジョイントカップラー81bの先端部を屋上スラブパネル72の緊結穴79(シース管84)に係合させた後、目地グラウト88の注入を伴って、外壁ボックス51に載せ込む。屋上スラブパネル72を載せ込んだら、ジョイントカップラー81bを外し、緊結穴79にグラウトワッシャー83c(アンカープレート83a)を投入後、PCナット83bを所定のトルクでねじ込む。このようにして、全ての屋上スラブパネル72を設置する。
続いて、最下位の第1および第2壁体ボックス26,31の下端部から、シース管84と縦PC鋼棒81との間に充填グラウト86を注入する。そして、この充填グラウト86が、グラウトワッシャー83cから溢れ出たところで注入作業を完了する。全ての注入作業が完了したら、最後に、緊結穴79にモルタル等で穴埋めを行い、さらにウレタン防水を施工する。さらに、1階スラブ12(土間コンクリート)、スロープ14、ドア13を施工すると共に、外階段5、内階段6、フェンス8を施工する。
以上のように、本実施形態の避難用建築物1によれば、外壁ボックス51を積み上げて構成した上層構造体3Bに対し、下層構造体3Aは、第1壁体ボックス26を積み上げて構成した第1下層構造体21と、第2壁体ボックス31を積み上げて構成した第2下層構造体22と、を梁間方向に並べて構成されている。すなわち、外壁を主構造部としている上層構造体3Bに対し、下層構造体3Aは、実質的に外壁および隔壁を主構造部としている。したがって、外観は同一であっても、上層構造体3Bに比して下層構造体3Aに高い強度を持たせることができる。すなわち、プレキャストコンクリート造の主構造体3において、上層部の強度に対し下層部の強度を高く構成することができる。これにより、鉄骨等の補強材を必要とすることなく、地震の揺れおよび津波に対し適正且つ十分な強度を持たせることができる。
また、比較的大型となる第2壁体ボックス31および外壁ボックス51を2分割構造とし、現場において、それぞれ第1テンション手段33および第2テンション手段53により、緊結するようにしている。このため、これら第2壁体ボックス31および外壁ボックス51の車輛による運搬性を損なうことがなく、またこれら第2壁体ボックス31および外壁ボックス51の強度を損なうこともない。さらに、基礎部2にアンカリングした鉛直テンション手段11により、積み上げた第1壁体ボックス26、第2壁体ボックス31および外壁ボックス51を、一体に緊結するようにしている。このため、プレキャストコンクリート造の主構造体3に、鉄筋コンクリート造と同等の強度を持たせることができる。
なお、本実施形態では、下層構造体3Aを、第1下層構造体21および第2下層構造体22の2つの構造体で構成したが、これを3つ以上の構造体で構成してもよい。また、主構造体3を、構造体の数を異にする下層部、中層部、上層部の3段階としてもよい。
1 避難用建築物、2 基礎部、3 主構造体、3A 下層構造体、3B 上層構造体、4 屋上部、5 外階段、6 内階段、11 鉛直テンション手段、21 第1下層構造体、22 第2下層構造体、26 第1壁体ボックス、28 縦貫通孔、31 第2壁体ボックス、32a,32b 壁体ピース、33 第1テンション手段、34 テンション部材、36 横貫通孔、38 縦貫通孔、41 横PC鋼棒、42 アンカー部、43 緊結部、51 外壁ボックス、52 外壁ピース、53 第2テンション手段、54 テンション部材、55 横貫通孔、56 縦貫通孔、61 各階スラブパネル、72 屋上スラブパネル、79 貫通孔

Claims (9)

  1. 基礎部と、
    前記基礎部上に設置され、外壁を主構造部とするプレキャストコンクリート製の矩形の主構造体と、
    前記主構造体上に設置され、避難場所を構成する屋上部と、
    前記基礎部と前記屋上部とを連絡する複数の階段と、を備え、
    前記主構造体は、下層部を構成する下層構造体と、上層部を構成する上層構造体と、を有し、
    前記下層構造体は、それぞれがプレキャストコンクリート製の複数の部分壁体ボックスを積み上げて構成した部分構造体を、前記基礎部上において複数組並べて構成され、
    前記上層構造体は、プレキャストコンクリート製の複数の外壁ボックスを積み上げて構成されていることを特徴とする避難用建築物。
  2. 複数組の前記部分構造体のうちの、少なくとも最大の前記部分構造体において、
    前記各部分壁体ボックスは、梁間方向の中間位置で突合せ接合された断面「コ」字状の一対の壁体ピースと、
    桁行方向の両端部の肉厚内を接合方向に貫通し、一対の前記壁体ピースを接合方向に緊結する一対の第1テンション手段と、を有していることを特徴とする請求項1に記載の避難用建築物。
  3. 前記各外壁ボックスは、梁間方向の中間位置で突合せ接合された断面「コ」字状の一対の外壁ピースと、
    桁行方向の両端部の肉厚内を接合方向に貫通し、一対の前記外壁ピースを接合方向に緊結する一対の第2テンション手段と、を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の避難用建築物。
  4. 前記第1テンション手段および前記第2テンション手段は、それぞれ前記肉厚内を接合方向に貫通するPC鋼材と、前記PC鋼材の一方の端部に設けたアンカー部および他方の端部に設けたボルト止め用の緊結部と、を有していることを特徴とする請求項2または3に記載の避難用建築物。
  5. 前記上層構造体および前記下層構造体は、それぞれの肉厚内を鉛直方向に貫通した複数の鉛直テンション手段により、鉛直方向に一体に緊結されていることを特徴とする請求項1ないし4にいずれかに記載の避難用建築物。
  6. 前記複数の鉛直テンション手段は、前記基礎部にアンカリングされ、前記上層構造体および前記下層構造体に加え前記屋上部を、一体に緊結していることを特徴とする請求項5に記載の避難用建築物。
  7. 前記屋上部は、少なくとも梁間方向において前記主構造体より長い寸法に形成されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の避難用建築物。
  8. 前記屋上部は、梁間方向の両端部で、最上位の前記外壁ボックスに支持されたプレキャストコンクリート製の複数枚のプレキャストパネルを有していることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の避難用建築物。
  9. 前記複数の階段は、前記主構造体の外部に設けた外階段と、前記主構造体の内部に設けた内階段と、を有していることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の避難用建築物。
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