JP6103425B2 - センサーカード - Google Patents
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Description
図10は、従来のセンサーカードの概略上面図であり、図11は、図10に示したセンサーカードのZ−Z断面図である。
図面に示すように、従来のセンサーカードは、アッパーブロック30及びロアーブロック31を重ね合わせて成り、アッパーブロック30に毛細管流路32となる溝が形成されている。前記アッパーブロック30の流路32の上流端に相当する位置には検体を導入するための貫通孔33が形成されている。
前記流路32の途中には、流路32を通って供給される検体を電気化学的又は光学的に測定するための測定部が設けられている。
上記したように構成された従来のセンサーカードでは、貫通孔33は流路32の上流端に設けられ、貫通孔33の内壁下部の約前方半周部分が前記流路32に接続されており、貫通孔33の内壁下部の前記前方半周部分以外の部分(即ち、内壁後方部分)は、前記流路32に接続されていない。
しかし、上記した従来のセンサーカードには下記のような問題がある。
即ち、従来のセンサーカードは、上記したように、貫通孔33の内壁後方部分は流路32に接続されていないため、貫通孔33の後方部分に血液を点着した場合、血液が貫通孔33の後方部分に溜まって流路32に接触しないことがあり(図12参照)、その結果、血液が流路32に導入されないことがあるという問題がある。
上記した問題を解決することができるセンサーカードとして、特許文献1に記載の検体点着流路構造が提案されている。
図13は、特許文献1に記載の検体点着流路構造の概略上面図、図14は、図13のV−V断面図を各々示している。
この検体点着流路構造は、アッパーブロック41とロアーブロック42とを有し、ロアーブロック42には、毛細管キャビティ45、保持チャンバ46、流路48、測定チャンバ47、流路49及び大気開放孔50が形成されている。また、毛細管キャビティ45の上流端にはロアーブロック42の上面から上方に向かって突出する先端が半球形状の円柱状点着部43が形成されており、ロアーブロック42にアッパーブロック41を取り付けた時にアッパーブロック41に設けられたリブ付きの注入口44から前記点着部43が突出するように構成されている。
この従来の検体点着流路構造は、前記したように毛細管キャビティ45に繋がる点着部43がアッパーブロック41から突出し、かつ、点着部43の先端が半球形状に形成されているので、例えば、穿刺して出血させた指先を点着部43に点着すると、血液が半球状の点着部43を伝い流れて毛細管キャビティ45に至るため血液が毛細管キャビティ45に導入されないことがない。
しかし、この従来の検体点着流路構造は、センサーカードの製造時にロアーブロックとアッパーブロックとの重ね合わせに高い精度が要求されるという問題がある。具体的には、図15(a)に示すように、ロアーブロックとアッパーブロックとが正確に重ね合わせられ、点着部43の外周と注入口44の内周と間に均一な隙間が形成されると、その隙間が毛細管流路を形成し、点着部43に点着された血液が毛細管力で毛細管キャビティ45へ吸い込まれるが、図15(b)に示すようにロアーブロックとアッパーブロックとが重ね合わせがずれて、点着部43の外周が注入口44の内周に接触してしまうと、その接触部分が毛細管流路を塞いでしまうという問題が生じる。
前記点着部43と注入口44は非常に寸法が小さいためロアーブロックとアッパーブロックとの重ね合わせの僅かなずれにより上記した問題が生じてしまうので問題である。
本発明は、上記した従来の問題点を解決し、たとえ製造時にロアーブロックとアッパーブロックとの重ね合わせに僅かな誤差があっても、毛細管流路が塞がれることがないセンサーカードを提供することを目的としている。
前記突起部の高さが、アッパーブロックにおける貫通孔の上面から突出しないように寸法決めされているので、ロアーブロックとアッパーブロックとを重ね合わせた時に、突起部がアッパーブロックの上面から突出することがなく、検体を導入した後に、貫通孔を塞ぐようにシール部材を設けることが可能になる。
図1に示すように、アッパーブロックAには、その底面に流路1を構成するための溝が形成されている。この流路1は、毛細管現象により検体を導入し、導入した検体を一時的に溜める毛細管流路から成る検体溜部1aと、後述する基板上に設けられた検出部上を通過する測定部1bとから成り、流路1の下流端は廃液部8に接続されている。この廃液部8は、組立後にロアーブロックBに形成された廃液部15と繋がり全体で一つの廃液部を形成する。
また、アッパーブロックAの前記流路1の上流端には点着口を構成するための貫通孔2が形成されている。アッパーブロックAにおける前記貫通孔2の周囲には、二つの補助貫通孔3が設けられており、かつ、ロアーブロックBの前記補助貫通孔3に対応する位置には余剰検体を収容する収容部16が形成されている。
前記毛細管流路1aは、毛細管現象を生じさせることができる程度に浅く、具体的には、例えば1000μm以下に寸法決めされ、かつ、前記貫通孔2の全周を囲むように形成されている。
図1中、符号4はアッパーブロックAに設けられた空気供給通路を示しており、この空気供給通路4は、その下流端が前記流路1に接続され、その上流端がロアーブロックBに形成された空気供給通路10に接続されている。前記ロアーブロックBに形成された空気供給通路10は、ロアーブロックBに形成された空気袋収容凹部11に接続され、アッパーブロックAの空気袋収容凹部11に対向する部分には空気袋押圧用開口5が形成されている。
また、図1中、符号6はアッパーブロックAに設けられた校正液供給通路を示しており、この校正液供給通路6は、その下流端が前記流路1に接続され、その上流端がロアーブロックBに形成された校正液供給通路12に接続されている。前記ロアーブロックBに形成された校正液供給通路12は、ロアーブロックBに形成された校正液袋収容凹部13に接続され、アッパーブロックAの校正液袋収容凹部13に対向する部分には校正液袋押圧用開口7が形成されている。
また、ロアーブロックBにおける流路1の測定部1bに対応する位置には、基板Cを装着するための基板用凹部14が形成されている。
アッパーブロックAの上面における点着口2の周囲には、蓋部材20を閉めた時に前記シール部材23を受け入れるためのシール用凹部9が形成されている。
図6及び図8(a)に示すように、この突起部17の外形寸法は、ロアーブロックBにアッパーブロックAを重ね合わせた時に、突起部17が貫通孔2の内側に若干の隙間をもって収まるように決められている。また、突起部17の高さは、貫通孔2の深さ(アッパーブロックAの貫通孔2に対応する部分の厚み)と同じか、それより低くされ、ロアーブロックBにアッパーブロックAを重ね合わせた時に、突起部17がアッパーブロックAの上面(この実施例では、アッパーブロックAに形成されたシール用凹部9)から突出しないようにされている。
さらにまた、図9に示すように、突起部17の表面には、その頂点から少なくとも毛細管流路1aに相当する位置まで放射状に伸びる複数の細い溝17aが形成されている。限定するわけではないが、図示実施例では、この溝17aは、放射状に12本設けられており、好ましくは、その横幅は10〜300μm、深さ10〜300μmであり得る。
上記したように構成することで、ロアーブロックBにアッパーブロックAを重ね合わせた時に、貫通孔2の内周と突起部17の外周との間に形成された隙間が毛細管流路を形成し(図8(a))、突起部17に検体を点着すると、検体が毛細管力によって貫通孔2の内周と突起部17の外周との間に形成された隙間を介して毛細管流路から成る前記検体溜部1aに吸い込まれる。
また、製造時にロアーブロックBとアッパーブロックAとの重ね合わせが若干ずれると、図8(b)に示すように突起部17の外周が貫通孔2の内周に接触してしまうことがある。しかし、このような場合でも、突起部17に設けられた細い溝17aが毛細管流路として機能するので、接触部分において毛細管流路が完全に塞がれてしまうことがなく、突起部17に点着された検体を吸引する毛細管力が弱くなることはない。
上記したように構成されたアッパーブロックAとロアーブロックBとは、図3に示すように、それらの間に、空気袋(図示せず)、校正液袋(図示せず)、基板C及び両面接着テープDを挟んで重ねて結合され、センサーカードを形成する。
ここで、図1及び図6に示すように、アッパーブロックAにおいて、毛細管流路1aが、貫通孔2の全周を囲むように形成されているので、血液が突起部17のどの部分に点着されても、血液は突起部17の外面及び溝17aを介して毛細管流路1aに至り、確実に血液を流路1に導入することが可能になる。
血液を導入した後に、前記可撓性連結部21を中心に蓋部材20を180度回動させて、その係止部22をアッパーブロックA本体にスナップ係合させる。これにより、蓋部材20に設けられたシール部材23が点着口2を塞ぐ。
次いて、センサーカードは、図5に示す点線Yより下方部分が測定装置(図示せず)に挿入され、点線Yより上方部分が測定装置の外部に露出する。
不図示の測定装置には、適当な押圧部材が設けられており、センサーカードを挿入すると、始めに押圧部材が校正液袋を押圧して、その内部の校正液を校正液供給通路12及び6を介して流路1に送り、測定装置は該校正液を用いて基板Cの測定部(図示せず)の校正を行う。
校正が終了すると、測定装置(図示せず)の押圧部材(図示せず)が空気袋収容凹部11に収容された空気袋(図示せず)を押圧する。空気袋の中の空気は空気共通通路10及び4を介して流路1に送られ、前記検体溜部1aに溜まっていた血液が空気によって測定部1bに押し出される。
アッパーブロックA及びロアーブロックBにおける図5に示す点線Yより上方部分、即ち、点着口2が設けられている部分は、好ましくは、透明又は半透明である。このように点着口2が設けられている部分を透明又は半透明にすることにより、指又は耳朶にセンサーカードを近づけても、点着口2の位置及び血液の位置を、センサーカードを通して正確に把握することが可能になるので、点着口2を下にして指又は耳朶の上から近づけて点着を行うことも可能になる。また、突起部17に細い溝17aを複数設けているので、光の散乱によって突起部17の形状がくっきりと見え、血液に当てる時に、血液と突起部17との相対位置確認が容易になり、位置ズレによる血液点着不能の問題が解消される。この構成は、寝込んでいる患者が、出血させた指をセンサーカードへ点着することが困難であることから、医師や看護師等の病院スタッフがセンサーカードを持って患者から血液を点着する場合には特に有効である。
1 流路
1a 検体溜部(毛細管流路)
1b 測定部
2 貫通孔(点着口)
3 補助貫通孔
4 空気供給通路
5 空気袋押圧用開口
6 校正液供給通路
7 校正液袋押圧用開口
8 廃液部
9 シール用凹部
B ロアーブロック
10 空気供給通路
11 空気袋収容凹部
12 校正液供給通路
13 校正液袋用凹部
14 基板用凹部
15 廃液部
16 余剰検体収容部
17 突起部
17a 溝
20 蓋部材
21 可撓性連結部
22 係止部
23 シール部材
C 基板
D 両面テープ
30 アッパーブロック
31 ロアーブロック
32 毛細管流路
33 貫通孔
41 アッパーブロック
42 ロアーブロック
43 点着部
44 リブ付き注入口
45 毛細管キャビティ
46 保持チャンバ
47 測定チャンバ
48 流路
49 流路
50 大気開放孔
Claims (4)
- 検体を導入するための流路となる溝が下面に形成されたアッパーブロックを、ロアーブロックと重ね合わせて内部に流路を形成して成るセンサーカードであって、
前記流路の途中に、検体を光学的又は電気化学的に測定するための測定部が設けられ、
前記流路の少なくとも上流部分が、高さ1000μm以下に寸法決めされた毛細管流路から成る検体溜めで構成され、
前記アッパーブロックの前記検体溜めの上流端に相当する位置に検体を導入するための貫通孔が設けられ、
ロアーブロックの上面における前記アッパーブロックの貫通孔に対応する部分に上方に向けて突出する突起部が設けられ、
前記突起部の表面に、突起の頂点付近から、少なくとも前記毛細管流路まで伸びる細い溝が形成されており、
前記突起部の高さが、アッパーブロックにおける貫通孔の上面から突出しないように寸法決めされ、
前記アッパーブロックの上面における前記貫通孔の周囲に貫通孔を塞ぐためのシール部材を設けるための浅い凹部が形成されている
ことを特徴とするセンサーカード。 - 前記突起部の表面に掘られた溝がネット状である
ことを特徴とする請求項1の何れか一項に記載のセンサーカード。 - 前記溝の形状が横幅10〜300μm、深さ10〜300μmである
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のセンサーカード。 - 前記アッパーブロックの下面における貫通孔周囲に形成された毛細管流路を形成する凹部が、貫通孔の周囲全域に形成される
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のセンサーカード。
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