JP6102711B2 - 電気泳動分離方法 - Google Patents

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Description

本発明はDNAやRNAなど、鎖長の異なる核酸フラグメント(単にフラグメントという。)を含む生体試料を電気泳動法により分離する方法に関するものである。
鎖長の異なるフラグメントを分離する場合、アガロースゲル電気泳動方法、アクリルアミドゲル電気泳動方法、キャピラリー電気泳動方法、マイクロチップ電気泳動方法などが用いられる。電気泳動法における各フラグメントの分離度は、分離媒体、分離長、泳動電圧などの泳動条件に依存する。
キャピラリー電気泳動方法やマイクロチップ電気泳動方法では、電気泳動後のフラグメントの検出方法として、インターカレータで電気泳動中にフラグメントの染色を行なってフラグメントを可視化又は光学検出装置により検出できるようにする方法がある。
インターカレータは試料を注入する前の分離媒体に予め混入しておく。分離媒体に混入するインターカレータとして蛍光色素を用いる場合、その濃度は適度な着色が得られるような標準濃度が設定されている。
特開2012−251821号公報
一般に、電気泳動法では、配列の異なる同じ鎖長のフラグメントを分離することは困難とされている。また、同じ鎖長でなくても、鎖長差が小さいほどフラグメントの分離は不十分になる。特に、マイクロチップ電気泳動方法のように泳動長の短い泳動流路を使用するものでは、その傾向はより顕著になる。
本発明は、電気泳動分離方法において、鎖長が同じか鎖長差の小さいフラグメント間での分離度を上げる方法を提供することを目的とするものである。
インターカレータを分離媒体にあらかじめ混入しておき、DNAやRNAなどの試料を電気泳動させる。インターカレータとしては、例えば蛍光色素を用いることができる。そのような蛍光色素として、エチジウムブロマイド、SYBR(登録商標)-Green、SYBR(登録商標)-Gold、SYBR(登録商標)-Safe、GelStar(登録商標)などを用いることができる。分離媒体としては、ゲルもしくはポリマーなどの組成物、又は泳動バッファなどを用いることができる。
蛍光色素をインターカレータとして使用する場合、分離媒体に対する蛍光色素の適正な濃度として標準濃度が設定されている。標準濃度は、十分な発色強度が得られ、かつコストの観点からなるべく低濃度ですますことができる濃度という観点から設定されている。具体的には分離媒体に対する容積比で10000倍希釈(分離媒体に対して1/10000の濃度)や5000倍希釈と定められており、標準濃度で使用することが推奨されている。
後で説明する図1の例からわかるように、蛍光色素濃度を標準濃度の5倍にしても発色強度は2倍にも増加していない。標準濃度の10倍にしても発色強度は5倍のものとほとんど変わりがない。しかし、蛍光色素濃度を標準濃度の5倍や10倍にすれば蛍光色素のコストが5倍や10倍になることは明らかである。一方、蛍光色素濃度を標準濃度より低濃度にすると、後で説明する図1の例からわかるように、発色強度が低下していく。したがって、蛍光色素をDNAやRNAなどの染色を目的として使用する限り、費用対効果の観点からみて、標準濃度以外の濃度で使用する理由はない。
蛍光色素の濃度を標準濃度より高くして例えば10倍にしたり、逆に低くして1/10にしたりすることは、上述のように、インターカレータ本来の目的からは理由のないことであるが、本発明者はあえて試みた。その結果、分離度に影響が現れることを見出した。例えば、蛍光色素濃度を標準濃度よりも高くした分離媒体を使用すると、フラグメントのサイズによっては分離度が向上したり、逆に低下したりする現象が見られた。また、蛍光色素濃度を標準濃度よりも低くした分離媒体を使用した場合もフラグメントのサイズによって分離度に違いが現れることが分かった。インターカレータとしての蛍光色素の濃度によって分離度が変化することはこれまで知られていないかった現象である。
本発明はそのような知見に基づいてなされたものである。
本発明の一実施形態の電気泳動分離方法は、以下のステップ(A)から(D)を含む。
(A)試料成分であるフラグメントに取り込まれるインターカレータを含む分離媒体を調製するステップであって、インターカレータの濃度をそのインターカレータの標準濃度とは異なる濃度にして分離媒体を調製するステッ
プ、
(B)ステップ(A)で調製された分離媒体を電気泳動分離のための流路に充填するステップ、
(C)ステップ(B)で分離媒体が充填された流路の一端側に鎖長の異なるフラグメントを含む試料を導入するステップ、及び
(D)その後、流路の両端間に泳動電圧を印加して試料を電気泳動させて分離するステップ。
好ましい形態では、ステップ(A)では、インターカレータの濃度を、標的とするフラグメント間の分離度が標準濃度での分離度よりも向上する濃度にして分離媒体を調製する。
他の実施形態では、ステップ(A)の前に試料を標準濃度のインターカレータを含むように調製された分離媒体を用いて電気泳動分離を行なうステップを含む。その場合、ステップ(A)は標準濃度での電気泳動分離の結果に基づいて標的とするフラグメントを定め、インターカレータの濃度を、そのように定めた標的とするフラグメント間の分離度が標準濃度での分離度よりも向上する濃度にして分離媒体を調製する。
本発明のさらに他の実施形態の電気泳動分離方法は、以下のステップ(a)から(d)を含む。
(a)試料成分であるフラグメントに取り込まれるインターカレータを含む分離媒体を調製するステップであって、インターカレータの濃度を異ならせた複数の分離媒体を調製するステップ、
(b)ステップ(a)で調製された複数の分離媒体を電気泳動分離のためのそれぞれの流路に充填するステップ、
(c)ステップ(b)で分離媒体が充填された各流路の一端側に鎖長の異なるフラグメントを含む試料をそれぞれ導入するステップ、及び
(d)その後、各流路の両端間に泳動電圧を印加して前記試料を電気泳動させて分離するステップ。
この実施形態で調製する複数の分離媒体は必ずしもインターカレータの標準濃度のものを含む必要はない。しかし、一般には標準濃度のインターカレータを含む分離媒体が使用されることが多いことから、そのような標準濃度のインターカレータを含む分離媒体を使用して得られた泳動パターンとの比較を容易にするためには、複数の分離媒体にはインターカレータの濃度をそのインターカレータの標準濃度としたものを含むことが好ましい。
さらに、他の実施形態は、インターカレータの濃度の異なる分離媒体を用いて得られた複数の電気泳動分離結果から、もっとも分離のよいデータ列を選択してその試料の電気泳動分離結果とする方法である。この実施形態では、インターカレータの濃度の異なる分離媒体を用いて得られた複数の電気泳動分離結果を、液晶表示装置などの表示装置に、図1の泳動パターン(左側)のように比較しやすいように並べて表示する。その際、移動時間に対応する横軸は低塩基対側と高塩基対側の内部標準を用いて規格化するのが好ましい。電気泳動分離結果に現れる検出ピークの位置はインターカレータの濃度によって変化しているので、各泳動パターンのピーク位置が一致するわけではないが、どの泳動パターンの分離が優れているかは容易に判断することができる。その後に同種の試料を測定するときは、最も分離の優れた電気泳動分離結果がえられたインターカレータ濃度を採用する。
電気泳動分離方法では電気泳動条件によって分離度を向上させることができるが、本発明は電気泳動条件を調整することに加えて、又は電気泳動条件はそのままにして、インターカレータとして使用する蛍光色素の濃度を標準濃度とは異なる濃度にすることにより、鎖長が同じか又は接近したフラグメント間の分離度を向上させるようにしたものである。
本発明は、インターカレータとして使用する蛍光色素の濃度を標準濃度とは異なる濃度にすることにより標的となるフラグメント間の分離度を向上させることができる。その結果、同一鎖長のフラグメントを分離することができるようになったり、配列に依存して各フラグメントの移動度を相対的に変更できるなどの効果を得ることができる。
分離媒体中の蛍光色素濃度を異ならせたときに得られる泳動パターン(左側の図)とゲルイメージ(右側の図)を示す図である。 680bpの長さをもつ塩基配列の異なる4種類のフラグメント混合物を異なる蛍光色素濃度の分離媒体を用いて電気泳動分離したときの泳動パターンを示す図である。 bpの範囲と蛍光色素の最適濃度の関係を示す図表である。 一実施形態を示すフローチャートである。 他の実施形態を示すフローチャートである。 本発明の電気泳動分離方法を実施する装置の一例としてのマイクロチップ電気泳動装置の要部を概略的に示す斜視図である。 同マイクロチップ電気泳動装置で使用されるマイクロチップの一例を示す図であり、(A)と(B)はマイクロチップを構成する透明板状部材を示す平面図、(C)はマイクロチップの正面図である。 同マイクロチップの具体的な一例を示す平面図である。 同マイクロチップ電気泳動装置において分離バッファ液を充填する際、及び洗浄液を排出する際の空気供給口とマイクロチップの接続状態を概略的に示す断面図である。
図1に、分離媒体に予め混入するインターカレータである蛍光色素としてGelStar(登録商標)を用い、その濃度を異ならせて電気泳動分離を行なった結果の泳動パターン(左側)と、そのゲルイメージ(右側)を示す。この結果を得た電気泳動は、後で説明する図5に示すマイクロチップ電気泳動装置を用いて行なった。
試料はIS-Printing(O157大腸菌判定キット)のスタンダードDNAである。分離媒体は泳動バッファ液であり、分離媒体に混入するインターカレータとしての蛍光色素濃度を1倍(1×)(推奨の標準濃度)、5倍(5×)及び10倍(10×)にして電気泳動分離を行なった。
横軸は移動時間を表わす指数であり、移動度に対応し、移動度はまた鎖長(塩基対数)に対応する。移動度のずれを補正するために151bpピークを低塩基対側の内部標準、987bpピークを高塩基対側の内部標準として、各蛍光色素濃度でのデータ間の移動度を補正して表示している。上側から蛍光色素濃度1倍(標準濃度)、5倍、10倍である。「bp」は鎖長の単位としての塩基対を表わす。
図1中の領域Aは801bp−861bpの鎖長領域を示している。蛍光色素濃度1倍では分離が不十分であった801bp−861bpの分離は、蛍光色素濃度を増加させることで改善している。領域Bは394bp−449bpの鎖長領域を示しており、この領域でも同様に蛍光色素濃度の増加により分離が改善されている。
その一方で、図1中の領域Cは331bp−358bpの鎖長領域であるが、この領域では蛍光色素濃度を10倍に増加させるとピークが近接化し、分離が悪化している。
以上から蛍光色素濃度を変更することで、各ピーク間の分離状態を変更できることがわかる。
蛍光色素の濃度を高くするほどDNAに取り込まれる蛍光色素が多くなる。このことは図1の3つの泳動パターンを比較すると、蛍光色素濃度が高いほどピーク高さが大きくなっていることから伺われる。ただし、蛍光色素濃度を10倍にしたからといってピーク高さが10倍になるわけではない。各ピークの時間軸を見ると、同じフラグメントの現れる時間が、蛍光色素濃度が高くなるほど遅くなっていることが分かる。これは、DNAはマイナス電荷をもち、蛍光色素がプラス電荷をもっているので、DNAに蛍光色素が取り込まれる量が多くなるほどDNAのマイナス電荷が中和されて弱くなり、そのため電気泳動路に印加される同じ大きさの泳動電圧に対して電気泳動による移動度が低下するためであると考えることができる。
分離度と蛍光色素濃度の関係は、図1から分かるように、DNAのサイズによって蛍光色素濃度を高くすると分離度が上がったり、逆に下がったりすることが見られる。その理由として、DNAのマイナス電荷と蛍光色素のプラス電荷による電気的中和の効果がまず挙げられる。他にもDNAに蛍光色素が取り込まれることによってフラグメントの質量数が変化することも考えられるが、明確な理由は明らかではない。いずれにしても、蛍光色素濃度を変えるとDNAやRNAのフラグメントのサイズによって分離度が変化することは事実である。この明細書では、具体的なデータとしてGelStar(登録商標)のみをとりあげているが、他の蛍光色素についても同様の現象がみられている。インターカレータとしての蛍光色素はGelStar(登録商標)に限定されない。
一般に同じ長さ又は近い長さをもつフラグメント間は電気泳動で分離しにくいのが一般的である。インターカレータとしての蛍光色素濃度を変えることによりその分離度を向上させることのできる証明として、さらに図2を示す。図2は、680bpの長さをもつ塩基配列の異なる4種類のフラグメント混合物をインターカレータの蛍光色素としてGelStar(登録商標)を用いて電気泳動分離した結果の泳動パターンである。
標準濃度の蛍光色素は、広い範囲の長さのフラグメントに対して良好な分離度を得るように設定されたものである。しかし、例えば、この例で取り上げた塩基配列の異なる4種類の680bpのフラグメント間を相互に分離することは難しい。大きなピークに別のピークが重なって肩状になり、複数種類のフラグメントが含まれていることが分かるのみである。蛍光色素濃度を標準濃度の1.5倍にするとさらに分離が悪くなり、単一のピークしか検出されなくなる。
蛍光色素濃度を標準濃度の0・75、0・5、0・25倍というように下げていくと、ピークが2つに分かれてくる。さらに0・1倍まで下げると、2つに分かれたピークの1つが肩状になって、3つのピークを示すところまで分離している。この例の場合は、680bpというサイズのフラグメントに対しては蛍光色素濃度を低濃度にするほど分離がよくなることが分かる。
DNAなどの試料の種類や蛍光色素の種類によってどの範囲のサイズのフラグメントであればどのような蛍光色素濃度が分離度に最適であるかは、それぞれ個別に測定をして、予め求めておく。図3は、一例として、DNA又はRNAのサイズ(bpで表わしたもの)の範囲と向上した分離度を得るための蛍光色素濃度との関係があらかじめ測定により求められた場合の実施例を示している。このような、bpの範囲と最適濃度の関係を、試料の種類と蛍光色素ごとに予めデータとして用意しておく。このデータはコンピュータに取り込んでおくのがよい。
第1の実施例は測定しようとする試料のフラグメントのうち、分離度を高めようとする標的サイズの範囲があらかじめ分かっている場合である。その試料のサイズの範囲に応じた最適濃度となるように、蛍光色素を混合した分離媒体を調整し、それを用いて電気泳動分離を行なう。
図4は第2の実施例であり、そのような試料の標的サイズの範囲があらかじめ分かっていない場合の1つの例である。まず、標準濃度の蛍光色素含むように分離媒体を調製し、それを用いて電気泳動分離を行なう。次に、その電気泳動分離の結果に基づいて分離度を高めようといる標的フラグメントのbpサイズの範囲を定める。そのbpサイズの範囲に基づいて、図3に示すようなデータから、それに適した濃度の蛍光色素を含む分離媒体を調製する。そのように調製した分離媒体を用いて、同じ試料を再度電気泳動分離する。その結果、標的となるbp範囲の分離度が高められた泳動分離結果を得ることができる。
図5は第3の実施例であり、標的サイズの範囲があらかじめ分かっていない場合の他の例である。インターカレータの濃度を異ならせた複数の分離媒体を調製する。その複数の分離媒体にはインターカレータの濃度をそのインターカレータの標準濃度としたものを含むことが好ましい。次に、調製された複数の分離媒体を電気泳動分離のためのそれぞれの流路に充填し、各流路の一端側に鎖長の異なるフラグメントを含む試料をそれぞれ導入して、全ての流路において、各流路の両端間に泳動電圧を印加して試料を電気泳動させて分離する。
この実施形態の場合、異なる分離媒体を充填した複数の流路での電気泳動分離は同時に行なってもよく、時間を異ならせて行ってもよい。電気泳動分離は同時に行なう場合、電気泳動装置によって各流路に同じ泳動電圧を印加できる構成になっておれば、各流路に同じ泳動電圧を印加すれば泳動パターンデータの比較が容易になる。
第2、第3の実施形態によれば、蛍光色素濃度の異なる分離媒体による複数の泳動パターンが得られる。それらの複数の泳動パターンを、液晶表示装置などの表示装置に、図1の泳動パターン(左側)のように並べて表示し、もっとも分離の優れている泳動パターンをその試料の泳動パターンとして採用する。
蛍光色素の一例として、GelStar(登録商標)を分離媒体のゲルに混入し、DNA又はRNAを電気泳動する場合のゲルの調製方法について説明する。開封前のチューブ入り蛍光色素保存試薬を室温に放置して完全に溶解し、チューブの底にスピンダウンする。ゲル溶液を55〜65℃まで冷やし、そのゲル溶液に蛍光色素保存試薬を希釈して混合する。蛍光色素の標準濃度はDNAの分離に対しては10000倍希釈、RNAの分離の場合は5000倍希釈と定められている。その標準濃度で混入したゲルのほかに、濃度を高めたものと低めたゲルをさらに用意する。調製したゲルは光が当たらないように遮蔽して保存するか、ただちに使用する。
蛍光色素を混入した分離媒体は、複数種類のものを予め用意できる場合は調製をして保管しておく。しかし、蛍光色素によっては流路に充填する直前に調製する方が好ましいものがある。その場合は、蛍光色素を混入した分離媒体を予め用意しておくのは適当でない。
図6に、本発明の電気泳動分離方法を実施する装置の一例としてのマイクロチップ電気泳動装置の要部を概略的に示す。マイクロチップ5−1〜5−4は保持部7に4個が保持されており、それぞれが繰り返して使用される。マイクロチップ5−1〜5−4は後で詳しく説明するように、それぞれ1試料を処理するための1つの電気泳動流路が形成されたものである。マイクロチップ5−1〜5−4は、分析操作中は保持部7に固定されている。
それらのマイクロチップ5−1〜5−4に分離媒体として分離バッファ液と試料を分注するために、分注部2は、吸引と吐出を行なうシリンジポンプ4と、分注ノズルを備えた分注プローブ8と、洗浄液保持部としての洗浄液用の容器10とを備えており、分注プローブ8と洗浄液用の容器10は三方電磁弁6を介してシリンジポンプ4に接続されている。分離バッファ液と試料はマイクロタイタプレート12上のウエルにそれぞれ収容されて、分注部2によりマイクロチップ5−1〜5−4に分注される。なお、分離バッファ液は専用の容器に収容してマイクロタイタプレート12の近くに配置してもよい。分離バッファ液はインターカレータとして所定濃度の蛍光色素が混入された調製されている。
分注プローブ8を洗浄するために洗浄部14が配置されており、洗浄部14には洗浄液が溢れている。
分注部2は、三方電磁弁6を分注プローブ8とシリンジポンプ4が接続される方向に接続して分離バッファ液又は試料を分注プローブ8に吸引し、分注プローブ8をマイクロチップ5−1〜5−4上へ移動させてシリンジポンプ4によりマイクロチップ5−1〜5−4のいずれかの電気泳動流路のリザーバに吐出する。分注プローブ8を洗浄する際は三方電磁弁6をシリンジポンプ4と洗浄液用の容器10を接続する方向に切り替え、シリンジポンプ4に洗浄液を吸引した後、分注プローブ8を洗浄部14の洗浄液に浸し、三方電磁弁6をシリンジポンプ4と分注プローブ8を接続する側に切り替えて分注プローブ8の内部から洗浄液を吐出することにより洗浄を行なう。
マイクロチップ5−1〜5−4の電気泳動流路を洗浄するときは、三方電磁弁6をシリンジポンプ4と洗浄液用の容器10を接続する方向に切り替え、シリンジポンプ4に洗浄液を吸引した後、分注プローブ8をマイクロチップ5−1〜5−4のリザーバへ移動させ、所定量の洗浄液をそのリザーバへ分注する。リザーバに分注された洗浄液は毛細管現象により電気泳動流路に入っていく。
マイクロチップ5−1〜5−4の電気泳動流路の一端のリザーバに分注された分離バッファ液を流路内に充填するために、4つのマイクロチップ5−1〜5−4について分離バッファ液充填・排出部16が共通に備えられている。分離バッファ液充填・排出部16は、電気泳動流路に洗浄液が入った状態で所定時間保持した後にその洗浄液を排出する際にも使用される。電気泳動流路に分離バッファ液を充填するときは、分離バッファ液充填・排出部16はマイクロチップ5−1〜5−4上へ移動し、マイクロチップ5−1〜5−4の電気泳動流路のリザーバ(分離バッファ液が分注されたリザーバ)上に空気供給口18を気密を保って押し付け、他のリザーバに吸引ノズル22を挿入し、空気供給口18から空気を吹き込んで分離バッファ液を電気泳動流路に押し込むとともに、他のリザーバから溢れた分離バッファ液をノズル22から吸引ポンプにより吸引して外部へ排出する。電気泳動流路の洗浄液を排出するときも同様であり、マイクロチップ5−1〜5−4の電気泳動流路の一端のリザーバ上に空気供給口18を気密を保って押し付け、他のリザーバに吸引ノズル22を挿入し、空気供給口18から空気を吹き込んで電気泳動流路の洗浄液を押し出すとともに、他のリザーバに出てきた洗浄液をノズル22から吸引ポンプにより吸引して外部へ排出する。
各マイクロチップ5−1〜5−4の電気泳動流路に独立して泳動用の電圧を印加するために、マイクロチップ5−1〜5−4ごとに独立した電気泳動用高圧電源26(26−1〜26−4)が設けられている。
マイクロチップ5−1〜5−4の分離流路55で電気泳動分離された試料成分を検出するための蛍光測定部31は、マイクロチップ5−1〜5−4ごとに設けられてそれぞれの電気泳動流路の一部に励起光を照射するLED(発光ダイオード)30−1〜30−4と、電気泳動流路を移動する試料成分がLED30−1〜30−4からの励起光により励起されて発生した蛍光を受光する光ファイバ32−1〜32−4と、それらの光ファイバ32−1〜32−4からの蛍光から励起光成分を除去し、蛍光成分のみを透過させるフィルタ34−1,34−2を介して蛍光を受光する光電子増倍管36とを備えている。ここではフィルタ34−1と34−2で異なる蛍光を透過させるものを使用しているので、マイクロチップ51−1,51−2と51−3,51−4で互いに異なる蛍光を検出することができる。しかし、4つのマイクロチップ51−1〜4で同じ蛍光を検出する場合には、1つのフィルタを共通に使用することができる。LED30−1〜30−4を互いに時間をずらして発光させることにより、1つの光電子増倍管36で4つのマイクロチップ5−1〜5−4からの蛍光を識別して検出することができる。なお、励起光の光源としては、LEDに限らずLD(レーザダイオード)を用いてもよい。
図7と図8はこの実施例におけるマイクロチップの一例を示したものである。本発明におけるマイクロチップは基板内に電気泳動流路が形成されたこのような電気泳動用の媒体を指しており、必ずしもサイズの小さいものに限定される意味ではない。
図7に示されるように、このマイクロチップ5は一対の透明基板(石英ガラスその他のガラス基板や樹脂基板)51,52からなる。一方の基板52の表面には(B)に示されるように、互いに交差する泳動用キャピラリー溝54,55が形成され、他方の基板51には(A)に示されるように、その溝54,55の端に対応する位置にリザーバ53が貫通穴として設けられている。両基板51,52は(C)に示されるように重ねられて接合されている。キャピラリー溝54,55は、試料の電気泳動分離用の分離流路55と、その分離流路に試料を導入するための試料導入流路54となっている。
マイクロチップ5は基本的には図7に示したものであるが、取扱いを容易にするために、図8に示されるように、電圧を印加するための電極端子を予めチップ上に形成したものを使用する。図8はそのマイクロチップ5の平面図を示したものである。4つのリザーバ53は流路54,55に電圧を印加するためのポートでもある。ポート#1と#2は試料導入流路54の両端に位置するポートであり、ポート#3と#4は分離流路55の両端に位置するポートである。各ポートに電圧を印加するために、このチップ5の表面に形成された電極パターン61〜64がそれぞれのポートからマイクロチップ5の側端部に延びて形成されており、電気泳動用高圧電源部26−1〜26−4に接続されるようになっている。
図9はバッファ充填・排出部16における空気供給口18とマイクロチップ5の接続状態を概略的に示したものである。空気供給口18の先端にはOリング20が設けられており、空気供給口18をマイクロチップ5の1つのリザーバ上に押し当てることにより、マイクロチップ5の電気泳動流路に対し、空気供給口18を機密を保って取り付け、空気供給口18から空気を加圧して流路内に送り出すことができる。他のリザーバにはノズル22が挿入され、流路から溢れ出した不用な分離バッファ液又は洗浄液を吸入して排出する。
このマイクロチップ電気泳動装置においてマイクロチップは移動せずに保持部7に固定された状態で繰り返し使用される。
マイクロチップの処理は制御部38が保持しているブログラムにより自動的に実行される。そのプログラムは、電気泳動分離による分析工程の他、洗浄工程など、一連の工程を処理する。分析工程は各マイクロチップについて繰り返し行われる。洗浄工程は各マイクロチップについて複数回の一連の分析工程の前に、分析工程1回ごとに、又は複数回の一連の分析工程の終了後に実行される。制御部38はこのマイクロチップ電気泳動装置の専用のコンピュータより、又はパーソナルコンピュータなどの外部のコンピュータにより実現される。
このマイクロチップ電気泳動装置の動作の詳細については特許文献1を参照されたい。
本発明の電気泳動分離方法を実施する装置は図6に示したものに限らず、キャピラリー電気泳動装置、その他の電気泳動装置であってもよい。
2 分注部
4 シリンジポンプ
5,5−1〜5−4 マイクロチップ
8 分注プローブ
16 分離バッファ液充填・排出部
22−1〜22−4 吸引ノズル
26(26−1〜26−4) 電気泳動用高圧電源部
38 制御部

Claims (3)

  1. 以下のステップ(a)から(e)を含む電気泳動分離方法。
    (a)試料成分であるフラグメントに取り込まれ、前記フラグメントの分離度に与える影響がその濃度によって変化するとともに、前記フラグメントの鎖長範囲によってその濃度が分離度に与える影響が異なる性質を有するインターカレータを含む分離媒体を調製するステップであって、前記インターカレータの濃度を異ならせた複数の分離媒体を調製するステップ、
    (b)前記ステップで調製された複数の分離媒体を電気泳動分離のためのそれぞれの流路に充填するステップ、
    (c)前記分離媒体が充填された前記各流路の一端側に鎖長の異なる複数のフラグメントを含む試料をそれぞれ導入するステップ
    d)その後、前記各流路の両端間に泳動電圧を印加して前記試料を電気泳動させ、前記試料の標的フラグメントの鎖長範囲の分離が最も優れている前記インターカレータの濃度条件をその試料に対する最適条件として特定するステップ、及び
    (e)その試料に対し前記最適条件により電気泳動分離を行なうステップ。
  2. 以下のステップ(a)から(d)を含む電気泳動分離方法。
    (a)試料成分であるフラグメントに取り込まれ、前記フラグメントの分離度に与える影響がその濃度によって変化するとともに、前記フラグメントの鎖長範囲によってその濃度が分離度に与える影響が異なる性質を有するインターカレータを含む分離媒体を調製するステップであって、前記インターカレータの濃度を異ならせた複数の分離媒体を調製するステップ、
    (b)前記ステップで調製された複数の分離媒体を電気泳動分離のためのそれぞれの流路に充填するステップ、
    (c)前記分離媒体が充填された前記各流路の一端側に鎖長の異なる複数のフラグメントを含む試料をそれぞれ導入するステップ、及び
    (d)その後、前記各流路の両端間に泳動電圧を印加して前記試料を電気泳動させ、得られた複数の電気泳動結果のうち前記試料の標的フラグメントの鎖長範囲の分離が最も優れている電気泳動結果をその試料の電気泳動結果とするステップ。
  3. インターカレータの濃度の異なる分離媒体を用いて得られた複数の電気泳動分離結果を並べて表示する請求項1又は2に記載の電気泳動分離方法。
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