JP6102480B2 - 研削盤および研削方法 - Google Patents

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Description

本発明は、研削盤および研削方法に関するものである。
研削盤は、例えば円筒状の被加工物の研削加工に用いられる。特許文献1には、被加工物に砥石車を押圧して、被加工物を撓ませながら研削加工を行う方法が開示されている。このような研削盤では、研削加工の開始時においては、先ず、保持されている被加工物が規定の撓み量となるように、被加工物に対して砥石車を所定の切込速度で移動させる。そして、被加工物が規定の撓み量となると、この撓み量に応じた研削抵抗によって被加工物が研削される。その後は、砥石車を研削工程に応じた切込速度で移動させることで、被加工物の規定の撓み量が維持された状態で研削加工が継続される。
特開2011−104675号公報
上記のように、研削加工の開始時においては、保持された被加工物が砥石車の押圧によって規定の撓み量となるまでの過渡状態がある。この過渡状態では、被加工物の撓み量が十分でないため研削抵抗が小さく、被加工物の1回転あたりの加工除去量が少ない。そのため、研削加工における過渡状態が長くなると、全体として研削加工に要する時間も長くなる。そこで、過渡状態における砥石車の切込速度を増速することが考えられる。しかし、砥石車の切込速度を単に増速したのでは、研削抵抗が被加工物の全周に亘って増大するため、研削抵抗が部分的に加工条件に対して過大となるおそれがある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、研削加工の開始時において被加工物を速やかに規定の撓み量として、加工時間の短縮を図ることができる研削盤および研削方法を提供することを目的とする。
(請求項1)本手段に係る研削盤は、被加工面が円筒状の外周面または内周面からなる被加工物を砥石車により撓ませながら研削を行う研削盤であって、一定の切込速度で相対移動する前記砥石車の押圧によって、前記被加工物が全周に亘り規定の撓み量となる定常状態に至るまでの状態を過渡状態とし、前記過渡状態において前記被加工物の回転位相における撓み状態を全周に亘って検出する撓み検出部と、前記被加工物の前記回転位相に前記砥石車が再度切り込む際の切込速度を、当該回転位相への前回の切り込みの際に検出された前記撓み状態と、前回の切り込みの際における見込みの前記撓み状態とが相違する場合に、前記定常状態の研削加工に用いられる切込速度よりも増速させる速度制御部とを備える。
(請求項2)前記研削盤は、前記被加工物に対する前記砥石車の接触を検知する接触検知センサをさらに備え、前記撓み検出部は、前記接触検知センサの検知結果に基づいて、前記被加工物の前記回転位相における撓みの有無を前記撓み状態として検出し、前記速度制御部は、前記被加工物に前記砥石車が再度切り込む際に、前回の切り込みの際に撓みが検出された前記被加工物の前記回転位相の範囲の切込速度に対して、撓みが検出されなかった前記被加工物の前記回転位相の範囲の切込速度を増速させる。
(請求項3)前記速度制御部は、前回の切り込みの際に撓みが検出されなかった前記被加工物の前記回転位相の範囲の切込速度を増速させた場合に、撓みが検出された前記被加工物の前記回転位相の範囲に前記砥石車が再度接触する前に増速させた分だけ切込速度を減速させる。
(請求項4)前記速度制御部は、前回の切り込みの際に撓みが検出されなかった前記被加工物の前記回転位相の範囲の周方向長さが長くなるに従って切込速度がより増速されるように、切込速度の増速の度合いを調整する。
(請求項5)前記研削盤は、前記被加工物の撓み量に応じて変動する研削抵抗を検知する研削抵抗検知センサをさらに備え、前記撓み検出部は、前記研削抵抗検知センサの検知結果に基づいて、前記被加工物の前記回転位相における撓み量を前記撓み状態として検出し、前記速度制御部は、前記被加工物の前記回転位相に前記砥石車が再度切り込む際の切込速度を、当該回転位相への前回の切り込みの際に検出された前記撓み量が小さいほど前記定常状態の研削加工に用いられる切込速度よりも増速させる。
(請求項6)前記速度制御部は、前記砥石車が最初に前記被加工物に接触してから少なくとも前記被加工物が1回転する時間以上に設定された所定時間の間だけ、前記砥石車の切込速度を前記定常状態の研削加工に用いられる切込速度よりも増速させ、前記撓み検出部は、切込速度が増速された前記所定時間の間に、前記被加工物に前記砥石車が再度切り込む際の前記速度制御部による制御に用いられる前記撓み状態を検出する。
(請求項7)前記撓み検出部は、前記速度制御部が切込速度を増速させている時間において、前記撓み状態を全周に亘って再度検出し、前記速度制御部は、検出された前記撓み状態が一定となるまで繰り返し切込速度を制御する。
(研削方法)本発明は、上記の研削盤の他に、研削方法としても把握することができる。
(請求項8)本手段に係る研削方法は、被加工面が円筒状の外周面または内周面からなる被加工物を砥石車により撓ませながら研削を行う研削方法であって、一定の切込速度で相対移動する前記砥石車の押圧によって、前記被加工物が全周に亘り規定の撓み量となる定常状態に至るまでの状態を過渡状態とし、前記過渡状態において前記被加工物の回転位相における撓み状態を全周に亘って検出する撓み検出処理と、前記被加工物の前記回転位相に前記砥石車が再度切り込む際の切込速度を、当該回転位相への前回の切り込みの際に検出された前記撓み状態と、前回の切り込みの際における見込みの前記撓み状態とが相違する場合に、前記定常状態の研削加工に用いられる切込速度よりも増速させる速度制御処理とを実行する。
(請求項1)研削盤は、速度制御部が被加工物の回転位相における撓み状態に応じた切込速度の制御を行う構成としている。これにより、研削加工の開始時の過渡状態において、被加工物の素材形状や研削盤による保持状態に対応して適正な切込速度に制御することができる。よって、過渡状態における研削抵抗が加工条件に対して過大となることを防止しつつ切込速度を増速して、被加工物を速やかに規定の撓み量にすることができる。従って、過渡状態を短くできるので、結果として加工時間の短縮を図ることができる。
(請求項2)速度制御部は、砥石車と被加工物の接触の有無、即ち撓みの有無を撓み状態として、検出された撓み状態と見込みの撓み状態が相違する場合に、砥石車が再度切り込む際の切込速度を増速させる構成としている。つまり、所定の回転位相に対する切込速度は、当該回転位相に対する前回以前の切り込みの際の砥石車と被加工物の接触の有無に基づいて制御される。これにより、接触のなかった回転位相の範囲については切込速度の増速がなされるので、過渡状態を確実に短くできる。また、砥石車と被加工物の接触の有無により切込速度の増速の要否を判断するため、速度制御部における制御処理が簡易となり、処理負荷を軽減することができる。
(請求項3)砥石車と接触し撓みのあった被加工物における回転位相の範囲については、砥石車が再度切り込むまでに増速された分だけ減速される。これにより、撓みが検出された回転位相の範囲においては、規定の撓み量となった時点で加工条件に応じた研削抵抗によって所定の加工除去量で研削される。よって、砥石車と接触し撓みが検出された回転位相の範囲で、切込速度に応じた研削抵抗が加工条件に対して過大となることを確実に防止することができる。
(請求項4)速度制御部は、前回の切り込みで砥石車と非接触であったため、撓みが検出されなかった被加工物の回転位相の範囲に対して増速する際に、当該範囲の周方向長さが長くなるに従って切込速度がより増速されるように、切込速度の増速の度合いを調整する。よって、増速された砥石車の切込速度が適宜設定され、切込速度の過不足を防止できる。これにより、速度制御部がより適切に速度制御を行うことができるので、加工条件の範囲内において過渡状態の短縮を図ることができる。
(請求項5)速度制御部は、過渡状態における研削抵抗、即ち撓み量を撓み状態として、検出された撓み状態と見込みの撓み状態が相違する場合に、砥石車が再度切り込む際の切込速度を増速させる構成としている。つまり、所定の回転位相に対する切込速度は、当該回転位相に対する前回以前の切り込みの際の研削抵抗に基づいて制御される。この研削抵抗は、研削抵抗検知センサにより例えば主軸台のサーボモータへ供給する電流値などに基づいて検知される。このように砥石車の速度制御を行うことで、前回以前の切り込みの際における撓み量の不足を、見込みの撓み量に対して不足する分だけ好適に補うことができる。よって、速度制御の精度を向上し、過渡状態を確実に短くできる。
(請求項6)砥石車の切込速度は、砥石車が被加工物に接触してから所定時間の間だけ、切込速度を定常状態の研削加工時よりも増速させる構成としている。これにより、被加工物の素材形状や研削盤による保持状態が良好であれば、被加工物の全周に亘って規定の撓み量となる定常状態へと速やかに移行することができる。一方で、本来であれば素材形状等の影響により過渡状態が長くなるような場合には、検出された撓み状態に基づいて、それ以降の回転中の切込速度が速度制御部により制御され、従来と比較して過渡状態を短縮できる。このように好適な切込速度まで増速することで、研削抵抗が加工条件に対して過大となることを防止しつつ、加工時間の短縮できる。
(請求項7)速度制御部は、切込速度を増速させている間に検出された撓み状態に基づいて、所定の回転位相に対して再度切り込む際の切込速度を制御する構成としている。これにより、検出された撓み状態が一定となるまで繰り返し切込速度が制御され、定常状態に移行する直前においても切込速度が加工条件に対して過大となることを確実に防止できるとともに、過渡状態を確実に短縮できる。
(請求項8)速度制御工程では、被加工物の回転位相における撓み状態に応じた切込速度の制御を行う構成としている。これにより、請求項1と研削盤に係る発明の効果と同様の効果を奏する。また、当該研削方法に係る発明については、研削盤に係る発明の他の特徴部分について同様に適用することができる。この場合の効果は、それぞれの特徴における効果と同様の効果となる。
第一実施形態:研削盤の平面図である。 研削盤の制御装置の機能ブロック図である。 経過時間に対する砥石台の位置、ワーク外径、研削抵抗Ft、および撓み量εを示すグラフである。 ワークの素材形状に対する切込速度、およびAEセンサの検出値を示すグラフである。 研削加工における切込速度の制御処理を示すフローチャートである。 ワークの回転位相に対する切込速度の関係を示すグラフである。 第二実施形態:経過時間に対する砥石台の位置および研削抵抗Ft、ワークの素材形状に対する切込速度を示すグラフである。
以下に、本発明に係る研削盤および研削方法を適用した実施形態について説明する。
<第一実施形態>
(研削盤の構成)
研削盤1の構成について、図1および図2を参照して説明する。研削盤1は、被加工物を砥石車43により撓ませながら研削を行う工作機械である。本実施形態において、研削盤1は、クランクシャフトを被加工物(以下、「ワークW」とも称する)として研削加工を行う場合を例示している。この研削盤1は、図1に示すように、ベッド10と、主軸台20と、心押台30と、砥石支持装置40と、定寸装置60と、制御装置70とから構成される。
ベッド10は、ほぼ矩形状からなり、床上に配置される。このベッド10の上面には、一対の砥石台用ガイドレール11a,11bが、Z軸方向(図1の左右方向)に延びるように、且つ相互に平行に形成されている。一対の砥石台用ガイドレール11a,11bは、砥石支持装置40を構成する砥石台トラバースベース41が摺動可能なレールである。さらに、ベッド10には、一対の砥石台用ガイドレール11a,11bの間に、砥石台トラバースベース41のZ軸方向の駆動に用いられる砥石台用Z軸ボールねじ11cと、この砥石台用Z軸ボールねじ11cを回転駆動するZ軸モータ11dが配置されている。
主軸台20は、主軸台本体21と、主軸22と、主軸モータ23と、主軸センタ24とを備えている。主軸台本体21は、ベッド10の上面のうちZ軸方向の一方側(図1の左下側)に固定されている。この主軸台本体21の内部には、主軸22が軸周り(図1のZ軸周り)に回転可能に挿通支持されている。この主軸22は、一方端に主軸モータ23が設けられ、この主軸モータ23により主軸台本体21に対して回転駆動される。この主軸モータ23には図示しないエンコーダが設けられ、エンコーダにより主軸モータ23の回転角が検出可能となっている。また、主軸22は、主軸モータ23とは反対側の他方端に、円筒状のワークWの軸方向一端を支持する主軸センタ24が取り付けられている。
心押台30は、心押台本体31と、心押センタ32とを備えている。心押台本体31は、ベッド10の上面のうち主軸台本体21とは反対側のZ軸方向の他方側(図1の右下側)に固定されている。この心押台本体31には、心押台本体31に対して回転不能に、ワークWの軸方向他端を支持する心押センタ32が取り付けられている。この心押センタ32は、その回転軸が主軸22の回転軸と同軸上に位置し、主軸センタ24に対向するように配置されている。このように、ワークWは、主軸センタ24および心押センタ32により、主軸軸周り(Z軸周り)に回転可能に保持されている。
砥石支持装置40は、砥石台トラバースベース41と、砥石台42と、砥石車43と、砥石回転用モータ44と、リニアスケール45と、AEセンサ46とを備えている。砥石台トラバースベース41は、矩形の平板状に形成されており、ベッド10の上面のうち、一対の砥石台用ガイドレール11a,11b上を摺動可能に配置されている。また、砥石台トラバースベース41は、砥石台用Z軸ボールねじ11cのナット部材に連結されており、Z軸モータ11dの駆動により一対の砥石台用ガイドレール11a,11bに沿って移動する。
この砥石台トラバースベース41の上面には、砥石台42が摺動可能な一対のX軸ガイドレール41a,41bが、X軸方向(図1の上下方向)に延びるように、且つ、相互に平行に形成されている。さらに、砥石台トラバースベース41には、一対のX軸ガイドレール41a,41bの間に、砥石台42のX軸方向の駆動に用いられるX軸ボールねじ41cと、このX軸ボールねじ41cを回転駆動するX軸モータ41dが配置されている。
砥石台42は、砥石台トラバースベース41の上面のうち、一対のX軸ガイドレール41a,41b上を摺動可能に配置されている。そして、砥石台42は、X軸ボールねじ41cのナット部材に連結されており、X軸モータ41dの駆動により一対のX軸ガイドレール41a,41bに沿って移動する。つまり、砥石台42は、ベッド10、主軸台20および心押台30に対して、X軸方向(プランジ送り方向)およびZ軸方向(トラバース送り方向)に相対移動可能となる。
また、砥石台42に形成されたZ軸方向に貫通する貫通孔に、砥石車回転部材が砥石中心軸周り(Z軸周り)に回転可能に支持されている。この砥石車回転軸部材の一方側(図1の左側)の端部に、円盤状の砥石車43が同軸的に取り付けられている。よって、砥石車43は、その回転軸が主軸22の回転軸に平行となるように設けられている。また、砥石台42の上面には、砥石回転用モータ44が固定されている。そして、砥石車回転軸部材の他方側(図1の右端)の端部と砥石回転用モータ44の回転軸とに無端ベルトが懸架されることで、砥石回転用モータ44の駆動により、砥石車43が砥石軸周りに回転する。
また、一対のX軸ガイドレール41a,41bの対向面の一方に、リニアスケール45がX軸方向に沿って設けられている。これにより、砥石台トラバースベース41に対する砥石台42のX軸方向位置が検出可能となっている。AEセンサ46は、砥石台42の内部に収容された接触検知センサである。このAEセンサ46は、接触検知の対象物であるワークWと砥石車43との接触によって発生するAE(Acoustic Emission)波を、砥石車回転部材を介して検出し、検出信号を制御装置70に出力する。
定寸装置60は、加工位置におけるワークWの外径を計測する装置である。この定寸装置60により計測されるワークWの外径は、制御装置70へ出力される。
制御装置70は、各モータを制御して、ワークWおよび砥石車43を回転させ、且つ、ワークWに対する砥石車43のZ軸方向およびX軸方向の相対的な位置を変更することにより、ワークWの外周面の研削加工を制御する。ここで、本発明の特徴部分は、砥石台42のX軸方向の移動に関する。そこで、以下では、制御装置70を構成する各部のうち、砥石台42のX軸方向の制御に関する部分のみについて説明する。この制御装置70は、図2に示すように、撓み検出部71と、モータ制御部72と、補正部73とを備える。
撓み検出部71は、過渡状態においてワークWの回転位相における撓み状態を全周に亘って検出する。ここで、「過渡状態」とは、ワークWに砥石車43が接近して最初に接触してから、定常状態に至るまでの状態をいう。「定常状態」とは、一定の切込速度で相対移動する砥石車43の押圧によって、ワークWが全周に亘り規定の撓み量εrとなった状態をいう。また、本実施形態において、上記の撓み状態は、ワークWの回転位相における撓みの有無としている。
ここで、研削加工の開始時において、ワークWの素材形状などに起因してワークWの撓み量が増減し、ワークWの回転位相によっては接触する範囲と、接触しない範囲とが生じることがある。そこで、撓み検出部71は、先ずAEセンサ46および主軸モータ23のエンコーダの検出信号をそれぞれ入力し、ワークWの回転位相おける砥石車43の接触の有無を検出する。そして、砥石車43が接触していないワークWの回転位相の範囲ではワークWの撓み量が0となることから、撓み検出部71は、当該接触の有無をもってワークWの回転位相における撓みの有無を撓み状態として検出する。
モータ制御部72は、NCデータを入力し、当該NCデータのうち砥石台42のX軸位置指令値に基づいて、X軸モータ41dを制御する。より具体的には、モータ制御部72は、後述する補正部73により補正されたNCデータのX軸位置指令値と、リニアスケールにより検出される砥石台42の現在のX軸位置を入力する。そして、モータ制御部72は、入力した指令値および現在位置に基づいて、X軸モータ41dへの電流値を変動させるなどして、当該X軸モータ41dの駆動を制御する。
補正部73は、撓み検出部71により検出されたワークWの撓み状態、および定寸装置60により測定されるワークWの研削部位の外径を入力する。そして、補正部73は、これらの情報に基づいてNCデータを補正すべきか否かを判定し、補正すべきと判定された場合にはNCデータを補正する。つまり、補正部73によりNCデータが補正された場合には、モータ制御部72は、補正されたNCデータに基づいてX軸モータ41dを制御することになる。結果として、ワークWに対する砥石車43の切込速度が制御されることになる。このように、上記のモータ制御部72および補正部73は、検出されたワークWの撓み状態に基づいて切込速度を制御するものであり、本発明の速度制御部に相当する。
(研削加工の概要)
研削盤1による研削加工の概要について、図3を参照して説明する。研削加工は、荒研削工程や仕上げ研削工程、スパークアウト工程などにより構成される。ここでは、研削加工がワークWを素材の状態から所定の外径Dfとなるまで研削する荒研削工程であるものとして説明する。上記の所定の外径Dfとは、荒研削工程における目標径であり、その後の仕上げ工程などにおいて除去される取り代を残した外径である。
先ず、制御装置70が主軸台20および心押台30により支持されたワークWに対して、砥石車43をX軸方向に前進させる。そして、ワークWに砥石車43が接触して研削加工が開始される(図3の時刻T1)。ここで、研削盤1は、上述したように、ワークWを砥石車43により撓ませながら研削加工を行う。つまり、研削加工では、ワークWに対して砥石車43をさらにX軸方向に移動させて、ワークWが規定の撓み量εrとなるまで撓み量εを増加させる(図3の時刻T1〜T2)。その後は、砥石車43を一定の切込速度で移動させることによって、ワークWを規定の撓み量εrに維持される(図3の時刻T2〜T3)。
そして、定寸装置60によりワークWが荒研削工程における目標の外径Dfに達したことが検出されると(図3の時刻T3)、砥石車43をワークWから離間させるように後退させて研削加工を終了する。ここで、時刻T2〜T3に示されるように、ワークWが全周に亘り規定の撓み量εrに維持された状態、即ち研削抵抗Ftが一定に維持されたが定常状態である。上記のワークWの規定の撓み量εrは、ワークWの外径や材質、各研削工程に要求される加工精度などを勘案して、研削条件などにより予め定められている。
また、図3の時刻T1〜T2に示されるように、ワークWに砥石車43が接近して最初に接触してから、定常状態に至るまでの状態が過渡状態である。詳細には、この過渡状態は、ワークWが砥石車43により押圧されて撓み量εが増加し、徐々に研削抵抗Ftが増加している状態であり、非定常状態とも称される。研削加工は、過渡状態および定常状態を含み、それぞれの状態にある時間の総和が研削加工に要する時間となる。
ところで、この過渡状態の初期では、ワークWに砥石車43が接触してから砥石車43をワークWに押し付けるように前進させているにも関わらず、ワークWの撓み量εが一周の間に増減することがある。これは、ワークWの素材形状や研削盤1によるワークWの保持状態によっては、ワークWの回転中心(主軸22の回転中心)からワークWの外周面までの距離が回転位相ごとに異なる場合があることが一因である。つまり、ワークWの加工面(本実施形態では外周面)に周方向の凹凸があり一定の真円度にない場合や、保持されたワークWの中心と主軸22の回転中心が一致していない場合などが考えられる。
このように、過渡状態においてワークWの撓み量εが定量的に増加しない場合には、通常の場合と比較すると過渡状態にある時間が延びることがある。これは、ワークWが全周に亘り規定の撓み量εrとなる定常状態に移行するためには、ワークWがある程度の真円度となる必要があり、且つ過渡状態においてワークWの撓み量εが減少する回転位相の範囲ついても規定の撓み量εrとなる必要があるためである。そのため、過渡状態では、例えばワークWに凹凸がある場合には、凹部よりも凸部での加工除去量を多くして真円度を高めつつ、凹部が規定の撓み量εrとなるように砥石車43を適宜押し込むように前進させる必要がある。
これに対して、過渡状態における砥石車43の切込速度を増速することが考えられる。しかし、砥石車43の切込速度を単に増速したのでは、研削抵抗FtがワークWの全周に亘って増大するため、上記の例であればワークWの凸部の研削抵抗Ftが部分的に加工条件に対して過大となるおそれがある。そこで、本発明の研削盤1による研削加工においては、ワークWの撓み状態に応じて砥石車43の切込速度を制御することで、加工条件の範囲内で速やかな整定を行い、過渡状態の短縮を図っている。
(研削加工における切込速度の制御)
次に、研削盤1による研削加工の制御について、図4〜図6を参照して説明する。図4の曲線Lsは、ワークWの初期の素材形状を展開して示している。ここでは、ワークWの外周面に一対の凹凸がある場合を例示している。これは、例えば円筒状のワークWの中心が主軸22の回転軸とずれた保持状態、すなわち芯ずれが生じている場合にも同様の素材形状となる。また、実際には、過渡状態においてもワークWと砥石車43の接触によりワークWの外形状は変形するが、ここでは便宜上、初期の素材形状のみを示している。
研削盤1による研削加工における切込速度の制御は、上述したように、検出したワークWの回転位相の撓み状態に基づく構成としている。具体的には、本実施形態において、撓み検出部71は、AEセンサ46の検知結果に基づいて、ワークWの回転位相における撓みの有無をワークWの撓み状態として検出するものとしている。ここで、研削加工の開始時において、砥石車43が最初にワークWに接触してからは砥石車43とワークWの接触状態の維持が見込まれるところ、ワークWの素材形状などに起因してワークWの撓み量が増減する場合には、ワークWの回転位相によっては接触する範囲と、接触しない範囲とが生じることがある。そこで、このような撓み状態の遷移に着目し、この接触の有無を切込速度の制御に利用すべく、ワークWの回転位相における撓みの有無を検出するものとしている。
先ず、ワークWに接近するように砥石車43のX軸方向への移動が開始されると、図5に示すように、AEセンサ46の検出信号によりワークWと砥石車43の接触の有無が判断される(S11)。ここでは、ワークWと砥石車43の接触が検出されない間は(S11:No)、この判断が繰り返される。ここで、砥石車43がワークWに接近する際の速度は、荒研削工程に用いられる切込速度V0に設定されている。
次に、図4の時刻T1において、ワークWの回転位相θ1に砥石車43が接触し、AEセンサ46により当該接触が検出されると(S11:Yes)、制御装置70は、速度制御処理および撓み状態検出処理を実行する(S12)。この速度制御処理として、速度制御部に相当する補正部73は、砥石車43が最初にワークWに接触してから少なくともワークWが1回転する時間以上に設定された所定時間の間だけ、砥石車43の切込速度を定常状態の研削加工に用いられる切込速度V0よりも増速させるように、NCデータを補正する。
具体的には、本実施形態においては、上記の「所定時間」をワークWが1回転する時間M1(図4を参照)とし、規定の撓み量εrを当該所定時間で除算した値を切込速度Vaに設定している(Va=εr/M1)。つまり、ワークWに砥石車43が接触してからワークWが1回転する間に、砥石車43が規定の撓み量εrだけ前進することになる。そうすると、ワークWの撓み量εrが定量的に増加する状態であれば、ワークWが1回転する間の加工除去量があるものの、ワークWを概ね規定の撓み量εrとすることができる。このように、速度制御部は、上記のような速度制御処理により、速やかな定常状態への移行を図っている。
一方で、本実施形態のようにワークWの外周面に凹凸がある場合には、ワークWの撓み量εが1回転の間に増減することになる。このとき、ワークWの回転位相によって砥石車43と接触する範囲と、接触しない範囲とが生じることがある。そこで、上記の撓み状態検出処理(S12)では、撓み検出部71は、切込速度が増速された所定時間の間(即ちワークWが1回転する時間M1)において、ワークWに砥石車43が再度切り込む際の速度制御部による制御に用いられる撓み状態を検出する。具体的には、撓み検出部71は、先ずAEセンサ46の検出信号と、主軸モータ23に設けられたエンコーダの検出信号を入力する。そして、撓み検出部71は、AEセンサ46の検知結果であるワークWに対する砥石車43の接触の有無を、エンコーダにより検出された主軸モータ23の回転角に対応するワークWの回転位相に関連付ける処理を行う。
この撓み状態検出処理により、図4に示すように、ワークWの回転位相の範囲(θ1〜θ2、θ3〜θ1)ではワークWの撓みがあり、それ以外のワークWの回転位相の範囲(θ2〜θ3)ではワークWの撓みがなかったとの撓み状態が検出される。続いて、ワークWが1回転する間に砥石車43と非接触の範囲があったか否かが判定される(S13)。ここでは、撓み検出部71により、ワークWの回転位相の範囲(θ2〜θ3)で非接触であったので(S13:Yes)、切込速度の設定(S14)に移行する。
切込速度の設定(S14)では、補正部73は、先ず、ワークWが砥石車43と接触してから1回転するまでの第1周目において、砥石車43と接触し撓みが検出された回転位相の範囲(θ1〜θ2、θ3〜θ1)の切込速度を、研削条件によって予め定められている荒研削工程に用いられる切込速度V0に設定する。続いて、補正部73は、第1周目において、撓みが検出された回転位相の範囲(θ1〜θ2、θ3〜θ1)の切込速度V0に対して、見込みの撓み状態と相違する回転位相の範囲、即ち砥石車43と接触せず撓みが検出されなかった回転位相の範囲(θ2〜θ3)の切込速度を増速させる。本実施形態においては、当該回転位相の範囲(θ2〜θ3)の周方向長さL1に応じて、切込速度の増速の度合いを調整する。ここでは、補正部73は、非接触であった周方向長さL1が閾値Ltよりも長いものと判定し(L1>Lt)、増速の度合いの最大として第1周目と同じ切込速度Vaに設定する。
続いて、制御装置70は、再び速度制御処理および撓み検出処理を実行する(S12)。第2周目の速度制御処理では、補正部73は、切込速度の設定(S14)において、回転位相の各範囲について設定された切込速度V0,VaとなるようにNCデータを補正する。より詳細には、補正部73は、図6に示すように、第2周目におけるワークWの回転位相θ2から増速が始まるようにNCデータを補正する。さらに、補正部73は、上記のように、前回の切込みの際(第1周目)に撓みが検出されなかったワークWの回転位相の範囲の切込速度を増速させた場合に、砥石車43と接触して撓みが検出されたワークWの回転位相の範囲(θ3〜θ1)に砥石車が再度接触する前に増速させた分(Va−V0)だけ切込速度を減速させる。つまり、補正部73は、図6に示すように、第2周目におけるワークWの回転位相θ3では減速が終了しているようにNCデータを補正する。
第2周目の撓み状態検出処理(S12)では、撓み検出部71は、速度制御部(モータ制御部72、補正部73)が切込速度を増速させている時間において、撓み状態を全周に亘って再度検出する。この撓み状態検出処理により、図4に示すように、ワークWの回転位相の範囲(θ21〜θ22)ではワークWの撓みがなかったとの撓み状態が検出される。また、それ以外のワークWの回転位相の範囲(θ1〜θ21、θ22〜θ1)では、ワークWは、砥石車43により押圧され撓んだ状態にあり、且つ撓み量に応じて研削され、真円度が向上する。そして、ワークWが1回転する間に砥石車43と非接触の範囲があったか否かが再び判定される(S13)。ここでは、撓み検出部71により、ワークWの回転位相の範囲(θ21〜θ22)が非接触であったので(S13:Yes)、切込速度を再度設定する(S14)。
切込速度の設定(S14)では、補正部73は、先ず、第2周目において、砥石車43と接触し撓みが検出された回転位相の範囲(θ1〜θ21、θ22〜θ1)の切込速度を、第1周目と同様に荒研削工程に用いられる切込速度V0に設定する。続いて、補正部73は、第2周目において、砥石車43と接触せず撓みが検出されなかった回転位相の範囲(θ21〜θ22)の切込速度を、第1周目と同様に当該回転位相の範囲(θ21〜θ22)の周方向長さL2が長くなるに従って切込速度が増速されるように、切込速度の増速の度合いを調整する。ここでは、補正部73は、非接触であった周方向長さL2が閾値Ltよりも短いものと判定し(L2<Lt)、増速の度合いを予め設定されている関数などから算出して、第1周目よりも低速の切込速度Vbに設定する(V0<Vb、Vb<Va)。
続いて、制御装置70は、第2周目と同様に、再び速度制御処理および撓み検出処理を実行する(S12)。つまり、第3周目の速度制御処理では、補正部73は、切込速度の設定(S14)において回転位相の各範囲について設定された切込速度V0,VbとなるようにNCデータを補正する。より詳細には、補正部73は、図6に示すように、第3周目におけるワークWの回転位相θ21から増速が始まるようにNCデータを補正する。さらに、補正部73は、上記のように、前回の切込みの際(第2周目)に撓みが検出されなかったワークWの回転位相の範囲の切込速度を増速させた場合に、砥石車43と接触したワークWの回転位相の範囲(θ22〜θ1)に砥石車が再度接触する前に増速させた分(Vb−V0)だけ切込速度を減速させる。つまり、補正部73は、図6に示すように、第3周目におけるワークWの回転位相θ22では減速が終了しているようにNCデータを補正する。
第3周目の撓み状態検出処理(S12)では、撓み検出部71は、第1,2周目と同様に、ワークWと砥石車43の接触の有無を撓み状態として検出する。この撓み状態検出処理により、図4に示すように、ワークWの全周に亘って撓みがあったとの撓み状態が検出される。よって、第3周目では、ワークWの外周面に多少の凹凸が残留していたとしても、砥石車43が全周に亘って接触し得る真円度まで向上したものといえる。そして、砥石車43のX軸方向の前進により、ワークWは、回転位相ごとの撓み量に応じて研削され、さらに真円度が向上する。
そして、ワークWが1回転する間に砥石車43と非接触の範囲があったか否かが再び判定される(S13)。ここでは、撓み検出部71により、ワークWの全周に亘って砥石車43と接触していたので(S13:No)、過渡状態における切込速度を増速させる処理を終了する。このように、制御装置70の速度制御部(モータ制御部72、補正部73)は、検出された撓み状態が見込みの撓み状態(本実施形態では、ワークWの全周に亘って砥石車43と接触した状態)となるまで繰り返し切込速度を制御する(S12〜S14)。また、制御装置70が継続して砥石車43を荒研削工程に用いられる切込速度V0で前進させることで、その後にワークWが規定の撓み量εrとなり、過渡状態から定常状態に移行し、ワークWが目標の外径Dfに達したことを定寸装置60により検出されるまで荒研削工程が実行される。
(本実施形態の構成による効果)
以上説明した第一実施形態に係る研削盤1の構成および研削方法によると、制御装置70の速度制御部(モータ制御部72、補正部73)がワークWの回転位相における撓み状態に応じた切込速度の制御を行う構成としている(S12〜S14)。これにより、研削加工の開始時の過渡状態において、ワークWの素材形状や研削盤1による保持状態に対応して適正な切込速度(V0,Va,Vb)に制御することができる。よって、過渡状態における研削抵抗が加工条件に対して過大となることを防止しつつ切込速度を増速して、ワークWを速やかに規定の撓み量εrにすることができる。従って、過渡状態を短くできるので、結果として加工時間の短縮を図ることができる。
また、制御装置70の速度制御部(モータ制御部72、補正部73)は、砥石車43とワークWの接触の有無、即ち撓みの有無を撓み状態として、検出された撓み状態と見込みの撓み状態が相違する場合に、砥石車43が再度切り込む際(第2周目以降)の切込速度を増速させる構成とした。つまり、所定の回転位相に対する切込速度は、当該回転位相に対する前回の切り込みの際の砥石車43とワークWの接触の有無に基づいて制御される。これにより、接触のなかった回転位相の範囲については切込速度の増速(V0からVaまたはVb)がなされるので、過渡状態を確実に短くできる。また、砥石車43とワークWの接触の有無により切込速度の増速の要否を判断するため、速度制御部における制御処理が簡易となり、処理負荷を軽減することができる。
本実施形態では、砥石車43と接触のあったワークWにおける回転位相の範囲(第1周目のθ3〜θ1、第2周目のθ22〜θ1)については、砥石車43が再度切り込むまでに増速された分だけ減速される(図6を参照)。これにより、砥石車43と接触し撓みが検出された回転位相の範囲においては、規定の撓み量εrとなった時点で加工条件に応じた研削抵抗によって所定の加工除去量で研削される。よって、砥石車43と接触し撓みが検出された回転位相の範囲で、切込速度に応じた研削抵抗が加工条件に対して過大となることを確実に防止することができる。
さらに、制御装置70の速度制御部(モータ制御部72、補正部73)は、前回の切り込みで砥石車43と非接触であったため、撓みが検出されなかったワークWの回転位相の範囲(第1周目のθ2〜θ3、第2周目のθ21〜θ22)に対して、次の周回において増速する際に、当該範囲の周方向長さL1,L2に応じて増速の度合いを調整するものとした(S14)。周方向長さL2は、その長さが長くなるに従って切込速度がより増速される構成とした。よって、増速された砥石車43の切込速度が適宜設定され、切込速度の過不足を防止できる。よって、速度制御部がより適切に速度制御を行うことができるので、加工条件の範囲内において過渡状態の短縮を図ることができる。
また、本実施形態において、第1周目における砥石車43の切込速度は、砥石車43がワークWに接触してから所定時間の間(ワークWが1回転する時間M1)だけ、切込速度を荒研削工程の定常状態で用いられる切込速度よりも増速させる構成とした。これにより、ワークWの素材形状や研削盤1による保持状態が良好であれば、ワークWの全周に亘って規定の撓み量εrとなる定常状態へと速やかに移行することができる。一方で、過渡状態において撓み量εが定量的に増加しないワークWの場合には、検出された撓み状態に基づいて、それ以降の回転中の切込速度が速度制御部により適宜増速されるように制御されるので、従来と比較して過渡状態を短縮できる。よって、研削抵抗が加工条件に対して過大となることを防止しつつ、加工時間の短縮できる。
また、制御装置70の速度制御部(モータ制御部72、補正部73)は、切込速度を増速させている間に検出された撓み状態(S12)に基づいて、所定の回転位相に対して再度切り込む際の切込速度を制御する構成とした(S12〜S14)。これにより、検出された撓み状態が一定となるまで繰り返し切込速度が制御され、定常状態に移行する直前においても切込速度が加工条件に対して過大となることを確実に防止できるとともに、過渡状態を確実に短縮できる。
<第二実施形態>
第二実施形態の研削盤および研削方法について、図7を参照して説明する。本実施形態の構成は、主として、第一実施形態と切込速度の設定処理が相違する。その他の共通する構成については、第一実施形態と実質的に同一であるため、詳細な説明を省略する。以下、相違点のみについて説明する。
研削盤1は、ワークWの撓み量εに応じて変動する研削抵抗を検知する研削抵抗検知センサ(図示しない)を備える。この研削抵抗検知センサとしては、例えば、砥石台42のX軸方向の移動を駆動するX軸モータ41dのモータ電流を検出するセンサが適用される。研削加工において研削抵抗が増加すると、砥石台42がワークWから受ける反力に応じて、切込速度を維持するためにX軸モータ41dに供給する電流が増加する。よって、この電流値を検出することで現在の研削抵抗を検知することが可能である。
また、本実施形態における制御装置70の撓み検出部71は、研削抵抗検知センサの検知結果に基づいて、ワークWの回転位相における撓み量εを撓み状態として検出する。ここで、ワークWを砥石車43により撓ませて研削加工を行う研削盤1では、ワークWの撓み量εの増加に伴って研削抵抗も増加する。そこで、撓み検出部71は、先ず研削抵抗検知センサの検知結果(研削抵抗の値)と、主軸モータ23に設けられたエンコーダの検出信号を入力する。そして、撓み検出部71は、ワークWの撓み量εをエンコーダにより検出された主軸モータ23の回転角に対応するワークWの回転位相に関連付ける処理を行う。
そして、制御装置70の速度制御部は、ワークWの回転位相に砥石車43が再度切り込む際の切込速度を、当該回転位相への前回の切り込みの際に検出された撓み状態(撓み量)と、前回の切り込みの際における見込みの撓み状態(撓み量)とが相違する場合に、定常状態の荒研削加工に用いられる切込速度V0よりも増速させる。ここで、見込みの撓み状態とは、当初の切込速度によりワークWを押圧した場合に、変動する両者の位置関係によって当該回転位相に生じているはずの撓み量に相当する。そして、速度制御部は、前回の切り込みの際に検出された撓み量が小さいほど、即ち当該回転位相における研削抵抗が小さいほど、切込速度をより増速させるように制御を行う。
具体的には、速度制御部は、第1周目において検知された研削抵抗の値に所定の係数を乗算して、研削抵抗の値を第2周目に指令する切込速度に変換する。つまり、図7に示すように、第2周目の切込速度を示す曲線Lc2は、第1周目の研削抵抗の値を示す曲線Ft1を上下反転した形状をなしている。よって、第2周目では、第1周目の研削抵抗の値が小さかった回転位相では第2周目での切込速度が高く(特に前半部分)、反対に第1周目の研削抵抗の値が大きかった回転位相では第2周目での切込速度が低くなっている(特に後半部分)。
また、第2周目以降においても同様に、撓み検出部71による撓み状態の検出を行うとともに、当該撓み状態に基づいて速度制御部による次周の切込速度の設定がなされる。これにより、第3周目の切込速度を示す曲線Lc3は、同様に、第2周目の研削抵抗の値を示す曲線Ft2を上下反転した形状をなしている。また、速度制御部がこのような処理を繰り返すことにより、研削抵抗がワークWの全周に亘り加工条件に合った値となると、切込速度も荒研削工程に用いられる切込速度V0に収束することになる。このように、速度制御部が前回の周回における研削抵抗の値に基づいて、ワークWの素材形状や保持状態に対応した切込速度に調整できるので、過渡状態から定常状態への速やかな移行を図ることができる。
(本実施形態の構成による効果)
以上説明した第二実施形態に係る研削盤1の構成および研削方法によると、制御装置70の速度制御部(モータ制御部72、補正部73)は、過渡状態における研削抵抗、即ち撓み量を撓み状態として、検出された撓み状態と見込みの撓み状態が相違する場合に、砥石車43が再度切り込む際の切込速度を増速させる構成とした。つまり、所定の回転位相に対する切込速度(Lc2,Lc3)は、当該回転位相に対する前回の切り込みの際(第1周目、および第2周目)の研削抵抗(Ft1,Ft2)に基づいて制御される。このように砥石車43の速度制御を行うことで、前回の切り込みの際における撓み量の不足を、見込みの撓み量に対して不足する分だけ好適に補うことができる。よって、速度制御の精度を向上し、過渡状態を確実に短くできる。
<第一、第二実施形態の変形態様>
撓み検出部71は、第一実施形態ではワークWの撓みの有無を撓み状態として検出し、第二実施形態ではワークWの撓み量を撓み状態として検出した。つまり、第一実施形態ではワークWに砥石車43が接触しているか否かに基づいて切込速度を制御し、第二実施形態では砥石車43が接触するワークWを押圧した際の撓み量に基づいて切込速度を制御する。これに対して、撓み検出部71は、ワークWの撓みの有無および撓み量の両方を撓み状態として検出してもよい。このような構成により、ワークWの素材形状や保持状態に対応した切込速度の制御が可能となり、さらに過渡状態の短縮を図ることができる。
また、第一、第二実施形態では、ワークWに砥石車43が接触してからワークWが1周するまでの期間において、荒研削工程に用いられる切込速度V0よりも増速するものとした。これに対して、第1周目の切込速度は、荒研削工程に用いられる切込速度V0に設定してもよい。これにより、荒研削工程と同様の加工条件におけるワークWの撓みの有無または撓み量を撓み状態として検出することができる。
その他に、ワークWに砥石車43が接触してから一定の期間における切込速度は、荒研削工程の切込速度V0よりも増速する場合においても、ワークWが1回転以上する間に規定の撓み量εrとなる切込速度Vcに設定してもよい(V0<Vc<Va)。これにより、ワークWが1回転するよりも長い検出時間をかけて、撓み検出部71が撓み状態を検出することができる。よって、過渡状態の短縮を図りつつ、撓み状態を高精度に検出できるので、切込速度をより好適に制御することができる。
1:研削盤、 43:砥石車、 46:AEセンサ(接触検知センサ)、 71:撓み検出部、 72:モータ制御部(速度制御部)、 73:補正部(速度制御部)、 W:ワーク(被加工物)

Claims (8)

  1. 円筒状の被加工物を砥石車により撓ませながら研削を行う研削盤であって、
    一定の切込速度で相対移動する前記砥石車の押圧によって、前記被加工物が全周に亘り規定の撓み量となる定常状態に至るまでの状態を過渡状態とし、
    前記過渡状態において前記被加工物の回転位相における撓み状態を全周に亘って検出する撓み検出部と、
    前記被加工物の前記回転位相に前記砥石車が再度切り込む際の切込速度を、当該回転位相への前回の切り込みの際に検出された前記撓み状態と、前回の切り込みの際における見込みの前記撓み状態とが相違する場合に、前記定常状態の研削加工に用いられる切込速度よりも増速させる速度制御部と、
    を備える研削盤。
  2. 前記研削盤は、前記被加工物に対する前記砥石車の接触を検知する接触検知センサをさらに備え、
    前記撓み検出部は、前記接触検知センサの検知結果に基づいて、前記被加工物の前記回転位相における撓みの有無を前記撓み状態として検出し、
    前記速度制御部は、前記被加工物に前記砥石車が再度切り込む際に、前回の切り込みの際に撓みが検出された前記被加工物の前記回転位相の範囲の切込速度に対して、撓みが検出されなかった前記被加工物の前記回転位相の範囲の切込速度を増速させる、請求項1の研削盤。
  3. 前記速度制御部は、前回の切り込みの際に撓みが検出されなかった前記被加工物の前記回転位相の範囲の切込速度を増速させた場合に、撓みが検出された前記被加工物の前記回転位相の範囲に前記砥石車が再度接触する前に増速させた分だけ切込速度を減速させる、請求項2の研削盤。
  4. 前記速度制御部は、前回の切り込みの際に撓みが検出されなかった前記被加工物の前記回転位相の範囲の周方向長さが長くなるに従って切込速度がより増速されるように、切込速度の増速の度合いを調整する、請求項2または3の研削盤。
  5. 前記研削盤は、前記被加工物の撓み量に応じて変動する研削抵抗を検知する研削抵抗検知センサをさらに備え、
    前記撓み検出部は、前記研削抵抗検知センサの検知結果に基づいて、前記被加工物の前記回転位相における撓み量を前記撓み状態として検出し、
    前記速度制御部は、前記被加工物の前記回転位相に前記砥石車が再度切り込む際の切込速度を、当該回転位相への前回の切り込みの際に検出された前記撓み量が小さいほど前記定常状態の研削加工に用いられる切込速度よりも増速させる、請求項1〜4の何れか一項の研削盤。
  6. 前記速度制御部は、前記砥石車が最初に前記被加工物に接触してから少なくとも前記被加工物が1回転する時間以上に設定された所定時間の間だけ、前記砥石車の切込速度を前記定常状態の研削加工に用いられる切込速度よりも増速させ、
    前記撓み検出部は、切込速度が増速された前記所定時間の間に、前記被加工物に前記砥石車が再度切り込む際の前記速度制御部による制御に用いられる前記撓み状態を検出する、請求項1〜5の何れか一項の研削盤。
  7. 前記撓み検出部は、前記速度制御部が切込速度を増速させている時間において、前記撓み状態を全周に亘って再度検出し、
    前記速度制御部は、検出された前記撓み状態が一定となるまで繰り返し切込速度を制御する、請求項1〜6の何れか一項の研削盤。
  8. 円筒状の被加工物を砥石車により撓ませながら研削を行う研削方法であって、
    一定の切込速度で相対移動する前記砥石車の押圧によって、前記被加工物が全周に亘り規定の撓み量となる定常状態に至るまでの状態を過渡状態とし、
    前記過渡状態において前記被加工物の回転位相における撓み状態を全周に亘って検出する撓み検出処理と、
    前記被加工物の前記回転位相に前記砥石車が再度切り込む際の切込速度を、当該回転位相への前回の切り込みの際に検出された前記撓み状態と、前回の切り込みの際における見込みの前記撓み状態とが相違する場合に、前記定常状態の研削加工に用いられる切込速度よりも増速させる速度制御処理と、
    を実行する研削方法。
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