JP6101832B2 - 酸性水溶液の使用可否判断方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ガスタービン用部材の表面のコーティング層を剥離させる酸洗処理における酸性水溶液の使用可否判断方法に関するものである。
ガスタービンは、効率向上を目的として、運転温度が年々高くなっている。このような高温化に対応するために、例えばガスタービン翼や燃焼器などの高温状態に曝されるガスタービン用部材の表面には、遮熱を目的とするコーティング層(TBC:Thermal
Barrier Coating)が形成されている。
このようなコーティング層は、ガスタービン用部材の母材上に形成されて合金からなるアンダーコート層と、このアンダーコート層上に形成されてセラミックスからなるトップコート層とから構成されている。
ここで、運転後のガスタービン用部材の補修の際には、ガスタービン用部材の母材上に形成されたコーティング層を剥離させた後、改めて母材上にアンダーコート層とトップコート層とを形成することにより、コーティング層が再生される。
例えば、特許文献1及び特許文献2には、コーティング層を剥離させる方法として、アルカリ洗浄液、水、弱酸性洗浄液に順次浸漬させた後、加熱処理を施してから強酸性洗浄液(酸性水溶液)に浸漬させる方法が開示されている。
国際公開第2009/101690号公報 特開2012−62834号公報
ところで、特許文献1に示されたコーティング層の剥離方法においては、上述の強酸性洗浄液を浸漬させた酸洗剥離(酸洗処理)により、ガスタービン用部材の表面に形成されたコーティング層の除去が行われる。この強酸性洗浄液は、再利用(繰り返し使用)されるが、再利用を繰り返すと、コーティング層の溶解による溶解成分の上昇、及び強酸性洗浄液の溶液成分の低下などにより、洗浄性能が損なわれることがある。
このように強酸性洗浄液の洗浄性能が損なわれると、ガスタービン用部材の表面に形成されたコーティング層が部分的に溶け残り、コーティング層が残存する問題が生じる。
この発明は前述した事情に鑑みてなされたものであって、ガスタービン用部材の表面に形成されたコーティング層を除去する酸性水溶液(強酸性洗浄液)の使用可否について判断することが可能な酸性水溶液の使用可否判断方法を提供することを目的とする。
前述の課題を解決するために、本発明の酸性水溶液の使用可否判断方法は、ガスタービン用部材の表面のコーティング層を剥離させる酸洗処理における酸性水溶液の使用可否判断方法であって、前記酸洗処理後の前記酸性水溶液の溶液濃度を検出する第一検出工程と、前記溶液濃度が予め設定された第一閾値以下であるか否かを判断する第一判断工程と、前記第一判断工程後に、前記酸洗処理後の前記酸性水溶液における前記コーティング層に含まれる特定の金属濃度を検出する第二検出工程と、前記特定の金属濃度が予め設定された第二閾値以上であるか否かを判断し、前記特定の金属濃度が前記第二閾値以上である場合に、前記溶液濃度に関わらず、前記酸性水溶液を使用不可と判断する第二判断工程と、前記溶液濃度が前記第一閾値以下で且つ前記特定の金属濃度が前記第二閾値未満である場合に、新たに酸性水溶液の濃溶液を追加する濃溶液追加工程と、を備えることを特徴としている。
本発明の酸性水溶液の使用可否判断方法によれば、酸洗処理後の酸性水溶液の溶液濃度を検出し、溶液濃度が予め設定された第一閾値以下である場合に、新たに酸性水溶液の濃溶液を追加する濃溶液追加工程を備えているので、酸性水溶液の溶液濃度を、第一閾値を超えた状態に保持することができる。このように酸性水溶液の溶液濃度を、第一閾値を超えた状態に保持することにより、酸性水溶液の洗浄能力を一定以上に保つことができる。
ここで、酸性水溶液の濃溶液とは、前述の酸性水溶液よりも溶液濃度(酸濃度)が高い溶液のことである。
また、酸洗処理後の酸性水溶液における特定の金属濃度を検出し、特定の金属濃度が予め設定された第二閾値以上である場合に、酸性水溶液を使用不可と判断する判断工程を備えているので、酸性水溶液をさらに使用できるかどうかを判断することが可能である。特定の金属濃度が検出される場合には、コーティング層に含まれる成分が酸性水溶液中に溶出していることを意味しており、この特定の金属濃度が第二閾値以上である場合には、酸性水溶液の洗浄能力が低下する。ここで、特定の金属濃度とは、例えば、Co、Ni、Cr、Alなどの金属の濃度である。
上述のように、本発明の使用可否判断方法においては、酸性水溶液の溶液濃度を、第一閾値を超えた状態に保持するとともに、特定の金属濃度を検出することにより酸性水溶液を使用可能かどうか判断するので、酸性水溶液をさらに使用できるかどうかを確実に判断できる。
本発明の酸性水溶液の使用可否判断方法においては、前記酸性水溶液の液量が規定量を超えているかどうかを判定する液量判定工程を備え、前記液量判定工程において、液量が規定量以下と判定された場合に、前記第一検出工程、前記第一判断工程、前記第二検出工程、前記第二判断工程、及び前記濃溶液追加工程を実行すると共に、前記溶液濃度が予め設定された第一閾値を超え且つ前記特定の金属濃度が前記第二閾値未満である場合に、新たに酸性水溶液を追加する酸性水溶液追加工程を実行することが好ましい。
この場合、酸性水溶液の液量が規定量を超えているかどうかを判定するので、液量が規定量未満の場合には、酸性水溶液を追加したり酸性水溶液の濃溶液を追加したりすることにより、液量を規定量以上に保持することができる。また、この場合においても、特定の金属濃度を検出することにより酸性水溶液を使用可能かどうかを判断できる。
また、前記第一検出工程において、前記第一検出工程において、前記溶液濃度に代えて電気伝導率を検出し、前記濃溶液追加工程において、前記電気伝導率が予め設定された第一閾値以下で且つ前記特定の金属濃度が前記第二閾値未満である場合に、前記濃溶液を追加してもよい。
また、前記第一検出工程において、前記溶液濃度に代えて電気伝導率を検出し、前記濃溶液追加工程において、前記電気伝導率が予め設定された第一閾値以下で且つ前記特定の金属濃度が前記第二閾値未満であるある場合に、前記濃溶液を追加し、前記酸性水溶液追加工程において、前記電気伝導率が予め設定された第一閾値を超え且つ前記特定の金属濃度が前記第二閾値未満である場合に、新たに酸性水溶液を追加してもよい。
この場合、溶液濃度に代えて電気伝導率を検出する構成とされているので、より容易に第一検出工程を行うことができる。
また、前記第二検出工程において、前記特定の金属濃度に代えて比重を検出し、前記判断工程において、前記比重が予め設定された第二閾値以上である場合に、前記溶液濃度に関わらず、前記酸性水溶液を使用不可と判断してもよい。
この場合、特定の金属濃度に代えて比重を検出する構成とされているので、より容易に第二検出工程を行うことができる。さらに、第一検出工程において電気伝導率を検出し、第二検出工程において比重を検出する構成とした場合には、電気伝導率及び比重の検出は、小型な装置により短時間で検出できるので、より容易に酸性水溶液の使用可否判断方法を行うことができる。
前記酸性水溶液は、塩酸であることが好ましい。
この場合、適切な腐食防錆剤を添加することで、ガスタービン用部材を劣化させることなく、酸洗処理を実施することができる。
本発明によれば、ガスタービン用部材の表面に形成されたコーティング層を除去する酸性水溶液(強酸性洗浄液)の使用可否について判断することが可能な酸性水溶液の使用可否判断方法を提供することができる。
本発明の第一実施形態に係る酸性水溶液の使用可否判断方法のフロー図である。 図1におけるA工程のフロー図である。 図1におけるB工程のフロー図である。 酸性水溶液の使用回数とCo濃度、及び酸性水溶液の使用回数と塩酸濃度の関係を示す図である。 本発明の第二実施形態に係る酸性水溶液の使用可否判断方法のフロー図である。 図5におけるC工程のフロー図である。 図5におけるD工程のフロー図である。 酸性水溶液の使用回数と比重、及び酸性水溶液の使用回数と電気伝導率の関係を示す図である。
(第一実施形態)
以下に、本発明の実施の形態について添付した図面を参照して説明する。
まず、第一実施形態について図1から図4を参照して説明する。
本実施形態の酸性水溶液の使用可否判断方法は、例えばガスタービン用部材(ガスタービン動翼、ガスタービン静翼、燃焼器など)の表面に形成されたコーティング層を剥離させる酸洗処理において使用される酸性水溶液(強酸性洗浄液)の使用可否の判断方法である。
酸洗処理において使用される酸性水溶液としては、例えば塩酸やフッ酸などが用いられる。このような酸性水溶液は、上述したガスタービン用部材の酸洗処理において繰り返し使用される。繰り返し使用された酸性水溶液は、溶液濃度の低下やコーティング層の溶解による溶解成分の上昇により洗浄力が低下するため、酸性水溶液をさらに使用できるかどうかの判断が求められる。
本実施形態において、酸性水溶液は、塩酸とされている。この塩酸に適切な腐食防錆剤を添加することで、ガスタービン用部材が劣化することを防止できる。
ガスタービン用部材の表面に形成されたコーティング層は、例えばCo、Ni、Cr、Al、Yなどの元素を含んでいる。
図1から図3に、第一実施形態に係る酸性水溶液の使用可否判断方法のフロー図を示す。第一実施形態の酸性水溶液の使用可否判断方法は、例えば、液量検出工程S11と、液量判定工程S12と、塩酸濃度検出工程S13、S21と、塩酸濃度判定工程S14、S22と、Co濃度検出工程S15a、S15b、S23a、S23bと、判断工程S16a、S16b、S24a、S24bとを備えている。
以下に、第一実施形態に係る酸性水溶液の使用可否判断方法の詳細について説明する。
まず、酸性水溶液(塩酸)の液量を検出する(液量検出工程S11)。ここで、例えば酸洗剥離溶液槽の高さから液量を測定すれば良い。
次いで、酸性水溶液(塩酸)の液量が規定量を超えているかどうかを判定する(液量判定工程S12)。ここで、液量が規定量以下である場合には、A工程を行う。一方、液量が規定量を超えている場合には、B工程を行う。
(A工程)
次に、A工程について、図2を用いて説明する。
A工程では、まず、塩酸濃度を検出する(塩酸濃度検出工程S13)。例えば、JIS
K8180に準拠して中和滴定法によって塩酸濃度を検出することができる。
次いで、塩酸濃度が規定値(第一閾値)を超えているかどうかを判定する(塩酸濃度判定S14)。塩酸濃度が規定値を超えている場合には、Co濃度を検出するCo濃度検出工程S15aを行う。一方、塩酸濃度が規定値以下の場合には、Co濃度を検出するCo濃度検出工程S15bを行う。例えば、ICP発光分析法によってCo濃度を検出することができる。
そして、Co濃度検出工程S15aにおいて、Co濃度が基準値(第二閾値)未満の場合には、酸性水溶液の液量が規定量を超えるように酸性水溶液(塩酸)を追加(酸性水溶液追加工程S17a)し、再度、液量検出工程S11に戻る。一方、Co濃度検出工程S15aにおいて、Co濃度が基準値以上の場合には、酸性水溶液(塩酸)を使用不可と判断する(判断工程S16a)。このように、酸性水溶液が使用不可と判断された場合は、本実施形態に係る酸性水溶液の使用可否判断方法は終了する。
また、Co濃度検出工程S15bにおいて、Co濃度が基準値未満の場合には、酸性水溶液(塩酸)の濃溶液を追加(濃溶液追加工程S17b)し、再度塩酸濃度検出工程S13に戻る。一方、Co濃度検出工程S15bにおいて、Co濃度が基準値以上の場合には、酸性水溶液(塩酸)を使用不可と判断する(判断工程S16b)。
ここで、濃溶液とは、酸性水溶液よりも酸濃度が高い溶液のことを意味しており、本実施形態では、酸性水溶液として用いられる塩酸よりも、塩酸濃度が高い溶液のことを意味する。
(B工程)
次に、B工程について、図3を用いて説明する。
B工程では、A工程と同様に、まず塩酸濃度を検出する(塩酸濃度検出工程S21)。
次いで、塩酸濃度が規定値(第一閾値)を超えているかどうかを判定する(塩酸濃度判定S22)。塩酸濃度が規定値を超えている場合には、Co濃度を検出するCo濃度検出工程S23aを行う。一方、塩酸濃度が規定値以下の場合には、Co濃度を検出するCo濃度検出工程S23bを行う。
そして、Co濃度検出工程S23aにおいて、Co濃度が基準値(第二閾値)未満の場合には、酸性水溶液をさらに使用できると判断する。一方、Co濃度検出工程S23aにおいて、Co濃度が基準値以上の場合には、酸性水溶液を使用不可と判断する(判断工程S24a)。
また、Co濃度検出工程S23bにおいて、Co濃度が基準値未満の場合には、酸性水溶液の濃溶液を追加(濃溶液追加工程S25b)し、再度、塩酸濃度検出工程S21に戻る。一方、Co濃度検出工程S23bにおいて、Co濃度が基準値以上の場合には、酸性水溶液を使用不可と判断する(判断工程S24b)。
図4に、塩酸濃度検出工程S21及びCo濃度検出工程S23a、S23bにおいて検出された塩酸濃度とCo濃度について、酸性水溶液の使用回数とCo濃度、及び酸性水溶液の使用回数と塩酸濃度の関係として示す。図4においては、一点鎖線で塩酸濃度の規定値、及びCo濃度の基準値が示されている。図4では、塩酸濃度の規定値及びCo濃度の基準値を満たすn1回まで酸性水溶液が使用可能であり、n1回まではコーティング層を良好に酸洗することができるが、n1回を超えるとコーティング層が溶け残ることになる。
なお、塩酸濃度の規定値及びCo濃度の基準値は、ガスタービン用部材の大きさやコーティング層の厚さなどに応じて、予め任意に設定することができる。
以上のような構成とされた本発明の第一実施形態に係る酸性水溶液の使用可否判断方法によれば、酸洗処理後の酸性水溶液である塩酸の塩酸濃度を検出し、塩酸濃度が規定値未満である場合に、新たに塩酸の濃溶液を追加する濃溶液追加工程S17b、S25bを備えているので、酸性水溶液(塩酸)の溶液濃度(塩酸濃度)が規定値を超えた状態に保持することができる。このように酸性水溶液の溶液濃度が、規定値を超えた状態に保持することにより、酸性水溶液の洗浄能力を一定以上に保つことができる。
また、酸洗処理後の酸性水溶液におけるCo濃度を検出し、このCo濃度が基準値を超える場合に、酸性水溶液を使用不可と判断する判断工程S16a、S16b、S24a、S24bを備えているので、酸性水溶液をさらに使用できるかどうかを判断することが可能である。酸性水溶液中にCoが検出される場合には、コーティング層に含まれる成分が酸性水溶液中に溶出していることを意味しており、Co濃度が基準値を超える場合、酸性水溶液の洗浄能力が低下する。
上述のように、本実施形態の酸性水溶液の使用可否判断方法においては、酸性水溶液(塩酸)の溶液濃度(塩酸濃度)を規定値以上に保持するとともに、Co濃度を検出することにより酸性水溶液(塩酸)を使用可能かどうか判断するので、酸性水溶液をさらに使用できるかどうかを判断できる。
本実施形態においては、さらに、前記酸性水溶液の液量が規定量を超えているかどうかを判定する液量判定工程S12を備えているので、液量が規定量未満の場合には、酸性水溶液を追加し、液量を規定量以上に保持することができる。また、この液量判定工程S12の後に、Co濃度が基準値以上と判定された場合には、酸性水溶液を使用できないと判断することもできる。
なお、第一実施形態においては、Co濃度を検出する場合について説明したが、例えばコーティング層に含まれるNi、Cr、Alなどの特定の金属濃度について検出する構成とされても良い。
(第二実施形態)
次に、本発明の第二実施形態に係る酸性水溶液の使用可否判断方法について説明する。
第二実施形態は、酸性水溶液のCo濃度を検出することに代えて比重を検出し、酸性水溶液の塩酸濃度を検出することに代えて電気伝導率を検出すること以外は、第一実施形態と同様の構成である。
図5から図7に、第二実施形態に係る酸性水溶液の使用可否判断方法のフロー図を示す。第二実施形態の酸性水溶液の使用可否判断方法は、例えば、液量検出工程S111と、液量判定工程S112と、電気伝導率検出工程S113、S121と、電気伝導率判定工程S114、S122と、比重検出工程S115a、S115b、S123a、S123bと、判断工程S116a、S116b、S124a、S124bとを備えている。
以下に、第二実施形態に係る酸性水溶液の使用可否判断方法の詳細について説明する。
まず、酸性水溶液の液量を検出する(液量検出工程S111)。
次いで、液量が規定量を超えているかどうかを判定する(液量判定工程S112)。ここで、液量が規定量以下である場合には、C工程を行う。一方、液量が規定量を超えている場合には、D工程を行う。
(C工程)
次に、C工程について、図6を用いて説明する。
C工程では、まず、酸性水溶液の電気伝導率を検出する(電気伝導率検出工程S113)。例えば、白金黒電極法によって電気伝導率を検出することができる。
次いで、電気伝導率が規定値(第一閾値)を超えているかどうかを判定する(電気伝導率判定工程S114)。電気伝導率が規定値を超えている場合には、酸性水溶液の比重を検出する比重検出工程S115aを行う。一方、電気伝導率が規定値以下の場合には、酸性水溶液の比重を検出する比重検出工程S115bを行う。具体的には、例えば、重量法や浮標計によって比重を測定することができる。
そして、比重検出工程S115aにおいて、比重が基準値(第二閾値)未満の場合には、酸性水溶液の液量が規定量を超えるように酸性水溶液を追加(酸性水溶液追加工程S117a)し、再度、液量検出工程S111に戻る。一方、比重検出工程S115aにおいて、比重が基準値以上の場合には、酸性水溶液を使用不可と判断する(判断工程S116a)。このように、酸性水溶液が使用不可と判断された場合は、本実施形態に係る酸性水溶液の使用可否判断方法は終了する。
また、比重検出工程S115bにおいて、比重が基準値未満の場合には、酸性水溶液(塩酸)の濃溶液を追加(濃溶液追加工程S117b)し、再度、電気伝導率検出工程S113に戻る。一方、比重検出工程S115bにおいて、比重が基準値以上の場合には、酸性水溶液を使用不可と判断する(判断工程S116b)。
(D工程)
次に、D工程について、図7を用いて説明する。
D工程では、C工程と同様に、まず電気伝導率を検出する(電気伝導率検出工程S121)。
次いで、電気伝導率が規定値(第一閾値)を超えているかどうかを判定する(電気伝導率判定工程S122)。電気伝導率が規定値を超えている場合には、酸性水溶液の比重を検出する比重検出工程S123aを行う。一方、電気伝導率が規定値以下の場合には、酸性水溶液の比重を検出する比重検出工程S123bを行う。
そして、比重検出工程S123aにおいて、比重が基準値(第二閾値)未満の場合には、酸性水溶液をさらに使用できると判断する。一方、比重検出工程S123aにおいて、比重が基準値以上の場合には、酸性水溶液を使用不可と判断する(判断工程S124a)。
また、比重検出工程S123bにおいて、比重が基準値未満の場合には、酸性水溶液の濃溶液を追加し、再度、塩酸濃度検出工程S121に戻る。一方、比重検出工程S123bにおいて、比重が基準値以上の場合には、酸性水溶液を使用不可と判断する(判断工程S124b)。
図8に、電気伝導率検出工程S121及び比重検出工程S123a、S123bにおいて検出された電気伝導率と比重について、酸性水溶液の使用回数と電気伝導率、及び酸性水溶液の使用回数と比重の関係として示す。図8においては、一点鎖線で電気伝導率の規定値、及び比重の基準値が示されている。図8では、電気伝導率の規定値及び比重の基準値を満たすn2回まで酸性水溶液が使用可能であることがわかる。
なお、電気伝導率の規定値及び比重の基準値は、ガスタービン用部材の大きさやコーティング層の厚さなどに応じて、予め任意に設定することができる。
以上のような構成とされた第二実施形態に係る酸性水溶液の使用可否判断方法によれば、第一実施形態の酸性水溶液の使用可否判断方法と同様の効果を奏する。
さらに、第二実施形態においては、電気伝導率と比重を検出する構成とされており、電気伝導率及び比重は、小型な装置により短時間で検出できるので、より容易に酸性水溶液の使用可否判断方法を行うことができる。
以上、本発明の実施形態である、酸性水溶液の使用可否判断方法について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、この発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
なお、上記実施の形態では、第一実施形態においてCo濃度と塩酸濃度を検出し、第二実施形態において比重と電気伝導率を検出する場合について説明したが、Co濃度と電気伝導率、比重と塩酸濃度を検出する構成とされても良い。この場合にも、上記の実施形態と同様の効果を奏する。
上記実施の形態では、酸性水溶液の使用可否判断方法が、液量判定工程を備えるものとして説明したが、液量判定工程を備えていなくても良い。
上記実施の形態では、塩酸濃度又は電気伝導率を検出した後に、Co濃度(特定の金属濃度)又は比重を検出する場合について説明したが、Co濃度(特定の金属濃度)又は比重を検出した後に、塩酸濃度又は電気伝導率を検出する構成とされても良い。

Claims (6)

  1. ガスタービン用部材の表面のコーティング層を剥離させる酸洗処理における酸性水溶液の使用可否判断方法であって、
    前記酸洗処理後の前記酸性水溶液の溶液濃度を検出する第一検出工程と、
    前記溶液濃度が予め設定された第一閾値以下であるか否かを判断する第一判断工程と、
    前記第一判断工程後に、前記酸洗処理後の前記酸性水溶液における前記コーティング層に含まれる特定の金属濃度を検出する第二検出工程と、
    前記特定の金属濃度が予め設定された第二閾値以上であるか否かを判断し、前記特定の金属濃度が前記第二閾値以上である場合に、前記溶液濃度に関わらず、前記酸性水溶液を使用不可と判断する第二判断工程と、
    前記溶液濃度が前記第一閾値以下で且つ前記特定の金属濃度が前記第二閾値未満である場合に、新たに酸性水溶液の濃溶液を追加する濃溶液追加工程と、
    を備えることを特徴とする酸性水溶液の使用可否判断方法。
  2. 前記酸性水溶液の液量が規定量を超えているかどうかを判定する液量判定工程を備え、
    前記液量判定工程において、液量が規定量以下と判定された場合に、
    前記第一検出工程、前記第一判断工程、前記第二検出工程、前記第二判断工程、及び前記濃溶液追加工程を実行すると共に、
    前記溶液濃度が予め設定された第一閾値を超え且つ前記特定の金属濃度が前記第二閾値未満である場合に、新たに酸性水溶液を追加する酸性水溶液追加工程を実行する、
    とを特徴とする請求項1に記載の酸性水溶液の使用可否判断方法。
  3. 前記第一検出工程において、前記溶液濃度に代えて電気伝導率を検出し、
    前記濃溶液追加工程において、前記電気伝導率が予め設定された第一閾値以下で且つ前記特定の金属濃度が前記第二閾値未満である場合に、前記濃溶液を追加することを特徴とする請求項1に記載の酸性水溶液の使用可否判断方法。
  4. 前記第一検出工程において、前記溶液濃度に代えて電気伝導率を検出し、
    前記濃溶液追加工程において、前記電気伝導率が予め設定された第一閾値以下で且つ前記特定の金属濃度が前記第二閾値未満であるある場合に、前記濃溶液を追加し、
    前記酸性水溶液追加工程において、前記電気伝導率が予め設定された第一閾値を超え且つ前記特定の金属濃度が前記第二閾値未満である場合に、新たに酸性水溶液を追加することを特徴とする請求項2に記載の酸性水溶液の使用可否判断方法。
  5. 前記第二検出工程において、前記特定の金属濃度に代えて比重を検出し、
    前記第二判断工程において、前記比重が予め設定された第二閾値以上である場合に、前記溶液濃度に関わらず、前記酸性水溶液を使用不可と判断することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の酸性水溶液の使用可否判断方法。
  6. 前記酸性水溶液は、塩酸であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の酸性水溶液の使用可否判断方法。
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