JP6101055B2 - 熱交換器用アルミニウムフィン材の製造方法 - Google Patents

熱交換器用アルミニウムフィン材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、熱交換器用アルミニウムフィン材の製造方法に関する。
エアーコンディショナーでは、熱交換器を冷却側で使用する場合に水が凝集して水滴(結露水)となり、隣り合うフィン間に水のブリッジが形成される場合がある。このような現象が発生すると、空気の通路が狭くなって通風抵抗が大きくなり、熱交換効率が低下することになる。このため、熱交換器用フィンの表面に濡れ性(親水性)を付与する処理を施すことにより、速やかに結露水などの水滴を排出させる技術が知られている。
熱交換器用フィンの表面に親水性を付与する技術としては、アルミニウムフィン材表面を多孔性シリカ微粒子を含有する有機高分子樹脂溶液で表面処理する技術や、アクリル系樹脂などからなる有機高分子物質とSiO又はTiOを含む水性組成物を混合し塗布、乾燥することによって形成される被膜でアルミニウムフィン材を被覆する技術が知られている。
しかし、上述のようにシリカ等の無機酸化物粉末を含有させた組成物を塗布して被膜を形成する技術では、無機酸化物粉末粒子の硬度が高いために、アルミニウムの板材をフィン材に成形加工する際に金型が摩耗しやすいという欠点がある。
そこで、近年では、上述の無機酸化物粉末を使用することなく、親水性の高分子体を複数組み合わせた処理剤をアルミニウムフィン材の表面に塗布して親水性の被膜を形成する方法が広く行われている。この親水性の被膜は、ポリアクリル酸を含むアクリル樹脂やポリビニルアルコール等とともに、ポリエチレングリコールやポリエチレンオキサイド等のポリオキシエチレン鎖を含む化合物を含有する処理剤より形成される場合が多い(特許文献1〜3参照)。
ポリオキシエチレン鎖を含む化合物を含有することによって、塗膜の硬化反応を促進して密着性を向上できる作用があり、さらに焼付け後の被膜に潤滑性を与え、プレス加工時の金型への焼きつきの防止、金型摩耗の抑制や、金型内の材料送りをスムーズにする等の効果がある。
特開平8−200983号公報 特開平8−261688号公報 特開2004−331693号公報
表面の潤滑性付与には、ポリエチレングリコールやポリエチレンオキサイド等のポリオキシエチレン鎖を含む高分子化合物を、ポリアクリル酸を主成分としたアクリル樹脂、ポリビニルアルコールなどに混合させて被膜を形成する方法と、ポリアクリル酸を主成分としたアクリル樹脂、ポリビニルアルコールなどからなる被膜を形成後に、ポリエチレングリコールやポリエチレンオキサイド等のポリオキシエチレン鎖を主成分とする高分子化合物を含有する被膜をさらに形成する方法がある。
しかしながら、上述の処理剤を施した材料をプレス加工する場合において、摩擦係数が低くなりすぎるため、表面の滑り過ぎや金型への潤滑成分の転写によって金型内での材料送りが不安定になり、切断不良が生じるという問題がある。
本発明は、これらの問題を解決するためになされたものであり、親水性が高く、結露水の凝集を抑えることができるとともに、適度な潤滑性を有しアルミニウムフィン材のプレス加工時における加工不良及び切断不良を抑えることを目的とする。
本発明は以下に関するものである。
(1)アルミニウム又はアルミニウム合金からなる板材の表面に、ポリオキシエチレン鎖を主成分とし25℃の5%水溶液において50〜5500mPa・Sの粘度の高分子化合物と、アクリル樹脂とポリビニルアルコール系樹脂またはセルロース樹脂を含有する塗料を塗布し、焼付けを行った後に水洗浄することによって、ポリオキシエチレン鎖を主成分とする高分子化合物の残存量を0.01〜0.1g/m とした表面動摩擦係数0.1〜0.2の潤滑性を付与した親水性被膜を形成することを特徴とする熱交換器用アルミニウムフィン材の製造方法。
(2)(1)に記載の熱交換器用アルミニウムフィン材の製造方法において、前記高分子化合物としてポリエチレングリコールまたはポリエチレンオキサイドを用いることができる。
(3)(2)に記載の熱交換器用アルミニウムフィン材の製造方法において、前記塗料として、ポリエチレングリコールあるいはポリエチレンオキサイドを塗料中固形分100重量部に対し2〜40重量部含有している塗料を用いることができる。
(4)(1)〜(3)のいずれか一項に記載の熱交換器用アルミニウムフィン材の製造方法において、前記親水性被膜として、表面動摩擦係数0.11〜0.16、水接触角8〜16゜の親水性被膜を得ることができる。
(5)(1)〜(4)のいずれか一項に記載の熱交換器用アルミニウムフィン材の製造方法において、前記焼付けを、板到達温度120℃〜250℃において行うことができる。
本発明の熱交換器用アルミニウムフィン材は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる板材の表面にポリオキシエチレン鎖を主成分とする高分子化合物を0.01〜0.1g/m含有する親水性被膜が形成されている。これによって、表面の動摩擦係数0.1〜0.2の適度な潤滑性が付与され、プレス加工時の金型への焼きつきや金型の摩耗及び切断不良を抑制することができる。
本発明に係る熱交換器用アルミニウムフィン材の一例を示す斜視図である。 図1に示すアルミニウムフィン材の部分断面図である。 図1に示すアルミニウムフィン材を複数備えた熱交換器の一例を示す斜視図である。
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
図1は、本発明に係る熱交換器用アルミニウムフィン材の一例を示す斜視図、図2は同アルミニウムフィン材の部分断面図、図3は同アルミニウムフィン材を備えた熱交換器の一例を示す斜視図である。本実施形態のアルミニウムフィン材10は細長い短冊形状を有しており、銅製又はアルミニウム合金製の伝熱管30(図3参照)を通すカラー11が、長さ方向に単列、或いは複数列で等間隔に配されている。また、アルミニウムフィン材10の表面には、伝熱性能の向上を目的にスリット12が設けられている。
図1に示すアルミニウムフィン材10は、図2に示すように、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるフィン用の板材13の表面に、親水性被膜14が形成されてなるものである。
アルミニウム又はアルミニウム合金としては、特に限定されず、一般的に熱交換器用の基材に適用されている組成のアルミニウム材を適宜用いて良い。なお、例示するならばJIS規定A1050、A1200材等が挙げられる。
フィン用の板材13としては、燐酸クロメート処理などの表面処理を施したアルミニウム又はアルミニウム合金板などが好適に用いられる。板材13の形状は、特に限定されず、アルミニウムフィン材10が適用される熱交換器の形態に応じて適宜選択される。
親水性被膜14は、ポリオキシエチレン鎖を含む高分子化合物を含有する塗料を用いて形成されてなる。ポリオキシエチレン鎖を含む高分子化合物としては、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイドが挙げられる。
親水性被膜14形成用の塗料が、ポリオキシエチレン鎖を主成分とする高分子化合物を含有することにより、親水性被膜14形成時に、塗膜の焼付け反応(塗膜の硬化反応)を促進して、親水性被膜14の板材13への密着性を向上させることができる。
また、親水性被膜14形成用の塗料が、ポリオキシエチレン鎖を主成分とする高分子化合物を含有することにより、形成される親水性被膜14にポリオキシエチレン鎖を含む高分子化合物が残存することとなる。これによって、アルミニウムフィン材10の表面に潤滑性を与え、プレス加工時の金型への焼きつきの防止を図るとともに、材料の送りをスムーズにするなどの効果を奏することができる。
しかしながら、アルミニウムフィン材10のプレス加工において、上述の親水性被膜14の潤滑効果によってアルミニウムフィン材10の摩擦係数が低くなりすぎると、表面の滑り過ぎや金型への潤滑成分の転写によって金型内での材料送りが不安定になり、切断不良が生じる虞がある。
そこで、本発明においては、ポリオキシエチレン鎖を主成分とする高分子化合物を含有する塗料を塗布後、焼付けを行い、さらに水洗浄することにより、親水性被膜14のポリオキシエチレン鎖を主成分とする高分子化合物の含有量を0.01g/m以上0.1g/m以下とする。これにより、板表面の動摩擦係数が0.1以上0.2以下とすることができ、プレス加工時の金型への焼きつきの防止を図るとともに、潤滑性付与による材料の滑り過ぎを抑制し、切断不良を防ぐことができる。
本発明において、ポリオキシエチレン鎖を含む高分子化合物は、25℃の5%水溶液において粘度が50mPa・S以上5500mPa・S以下となるものを用いる。
25℃の5%水溶液において、粘度が50mPa・S未満のポリオキシエチレン鎖を含む高分子化合物を使用した場合には、焼付け後の水洗浄でポリオキシエチレン鎖を含む高分子化合物が過度に流れ落ちてしまい、親水性被膜14が含有するポリオキシエチレン鎖を主成分とする高分子化合物の量(含有量)が0.01g/mを下まわる。即ち、十分な潤滑性(動摩擦係数0.1以上)を得ることができなくなる。水洗浄の条件次第、即ち水洗浄時間を短くすることによって動摩擦係数を0.1以上とすることは可能であるが、25℃の5%水溶液において、粘度が50mPa・S未満のポリオキシエチレン鎖を含む高分子化合物を使用した場合には、塗料自体が柔らかいために金型へ転写し易く、プレス加工を連続して行った場合に切断不良を生じやすくなる。
25℃の5%水溶液において、粘度が50mPa・S以上とすることで、金型へ転写することを抑制することができ、潤滑性の悪化を低減できる。このため、金型への焼きつき等の加工不良を効果的に抑えることができ、良好なプレス加工性を得ることができる。
また25℃の5%水溶液において、粘度が5500mPa・Sを超える場合は、塗布時に糸引きが発生し塗布が困難となる。添加量を減らすことで塗布を可能とすることはできるが、粘度が高いために、水洗浄で落ちにくくなり、ポリオキシエチレン鎖を主成分とする高分子化合物の含有量が0.1g/mを超えてしまう。即ち、動摩擦係数を0.1以上とすることができず、表面が過度に滑り易いためにプレス加工時に切断不良が生じやすくなる。
ポリオキシエチレン鎖を含む高分子化合物の25℃の5%水溶液における粘度は、粘度平均分子量と相関関係を有する。即ち、粘度平均分子量が大きいものを用いると、粘度が高くなり、小さいものを用いると粘度が低くなる。したがって、ポリオキシエチレン鎖を含む高分子化合物は、25℃の5%水溶液において粘度が50mPa・S〜5500mPa・Sとなる適当な粘度平均分子量のものを選択する。
また、ポリオキシエチレン鎖を含む高分子化合物は、分子量の異なる2種以上を混合して用いても構わない。
親水性被膜14形成用の塗料としては、ポリオキシエチレン鎖を主成分とする高分子化合物を含有していれば特に制限されないが、ポリオキシエチレン鎖を主成分とする高分子化合物と、その他の親水性樹脂を含有してなることが好ましい。
親水性被膜14形成用の塗料において、塗料中全固形分100重量部に対して、ポリオキシエチレン鎖を主成分とする高分子化合物を10〜40重量部含有していることが好ましい。ポリオキシエチレン鎖を主成分とする高分子化合物の含有量を前記範囲とすることにより、焼付け時の塗膜の硬化反応を充分に促進して、形成される親水性被膜14の密着性を高めることができる。
親水性被膜14形成用の塗料に含有されていてもよいその他の親水性樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、エーテル基等の親水性官能基を有する樹脂が挙げられる(但し、ポリオキシエチレン鎖を主成分とする高分子化合物を除く)。
その他の親水性樹脂として具体的には、例えば、ポリオキシアルキレン鎖及び重合性二重結合を有するモノマーを必須成分として重合した高分子化合物、ポリアクリル酸を主成分としたアクリル樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、セルロース樹脂等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
親水性被膜14形成用の塗料が、その他の親水性樹脂としてポリアクリル酸を主成分としたアクリル樹脂を含有する場合、その含有量は特に制限されず適宜調整可能であるが、ポリオキシエチレン鎖を主成分とする高分子化合物の含有量が前記した好ましい範囲を満たすような含有量とすることが望ましい。
ポリアクリル酸を主成分としたアクリル樹脂としては、例えば、アクリル酸ホモポリマーのほかアクリル酸とメタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリルアミド、ポリアクリル酸系コポリマー、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリロニトリル、アクリルアミド共重合体など各種アクリルモノマーの共重合体等が挙げられ、これらを2種以上用いても構わない。
親水性被膜14形成用の塗料が、その他の親水性樹脂としてポリビニルアルコール系樹脂を含有する場合、塗料中全固形分100重量部に対して、ポリビニルアルコール系樹脂を0〜40重量部含有することが好ましい。
ポリビニルアルコール系樹脂は、1種用いても良いし、2種以上用いても構わない。
親水性被膜14形成用の塗料が、その他の親水性樹脂としてセルロース樹脂を含有する場合、塗料中全固形分100重量部に対して、セルロース樹脂を0〜40重量部含有することが好ましい。セルロース樹脂の含有量が40重量部を超えると、親水性被膜14の密着性が低下する場合がある。
セルロース樹脂としては、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース等が挙げられ、これらを2種以上用いても構わない。
上記のような組成でポリオキシエチレン鎖を主成分とする高分子化合物、及び、必要に応じて、その他の親水性樹脂を配合して混合することにより、ポリオキシエチレン鎖を主成分とする高分子化合物を含有する塗料を調製し、この塗料を板材13の表面に塗布装置を用いて塗布して塗膜を形成し、この塗膜を焼付け後、水洗浄することにより、ポリオキシエチレン鎖を主成分とする高分子化合物を0.01〜0.1g/m含有する親水性被膜14を得ることができる。なお、塗料は必要に応じて水、又は水を主成分とする溶媒を含有していてもよい。
塗料の塗布は通常ロールコーター等の塗布装置を用いて、適当な膜厚になるように塗布される。
親水性被膜14を形成する塗膜の厚さは、特に限定されないが、焼付け、水洗浄して得られる親水性被膜14の厚さが0.4μm以上3μm以下となるような塗膜とすることが望ましい。
親水性被膜14の厚さが厚くなると、アルミニウムフィン材10を熱交換器20に組み込んだとき、伝熱管30とフィンの板材13とが比較的厚い親水性被膜14を介して接続されることになり、伝熱抵抗が大きくなる可能性がある。したがって塗膜は、親水性被膜14の厚さが3μm以下となるように形成され、これによって、伝熱管30とアルミニウムフィン材10との間の伝熱抵抗が大きくなることを抑制できる。
また、親水性被膜14の厚さが薄過ぎると、親水性被膜14を設ける効果が十分に得られない場合がある。以上の観点から、親水性被膜14の厚さは、必要な親水性が得られる厚さ範囲の下限程度に設定するのが望ましく、具体的には0.4μm以上とすることが好ましい。
塗膜の焼付け工程は、通常の熱風式のオーブン等の加熱炉で120℃以上250℃以下の板到達温度で5秒以上保持することにより行うことができる。
板到達温度が、120℃未満であると、アルミニウムフィン材10の親水性が悪くなり、速やかに結露水などの水滴を排出させることできなくなる。さらに、板材13に対する親水性被膜14の密着性が悪化し、加えてアルミニウムフィン材10の表面の潤滑性が高くなりすぎるため、切断不良の原因となる虞がある。
板到達温度が、250℃を超えると、アルミニウムフィン材10の親水性が悪くなる。また、潤滑性が損なわれることなり、プレス工程における金型への焼きつきや、金型摩耗の原因となる。
ただし焼付けの温度と時間は、配合されている樹脂によって異なってくるため、上記範囲内において親水性、密着性などの特性を踏まえて適当に決定することが望ましい。
水洗浄の方法としては、常温の水又は加温した水(湯)を用いることができる。ここで、本発明の明細書及び特許請求の範囲において、「水洗浄」とは、液体状のHOを使用した洗浄を意味し、如何なる温度のHOも用いることができる。また、水洗浄に用いる水は、不純物や少量(例えば、1重量%以下)の界面活性剤が含まれていてもよく、pH10以下のアルカリ性水溶液であってもよい。
また、水洗浄の方法としては、高圧水を用いてスプレーで洗浄する方法、水洗槽(水槽)の中を潜らせること(浸漬)により洗浄する方法など、種々の方法を用いることができる。なお、水洗槽にアルミニウムフィン材10を浸漬し水洗浄を行う場合、水洗槽内の水にアルミニウムフィン材10の塗膜から除去された多量の物質が溶解した状態となるため、除去された物質がアルミニウムフィン材10の表面に再付着する虞がある。そこで、水洗浄中は、必要に応じて水洗槽内に新たな水を補給するなどの措置を行い、水質を保つことが望ましい。
水洗浄の方法、水温、時間などの条件は、洗浄するアルミニウムフィン材10の塗膜の組成、厚さなどにより、適宜調整すればよい。例えば、高圧水を用いてスプレーで洗浄する場合、水圧を0.1〜0.5MPaとし、水温は室温〜80℃で1〜10秒間洗浄することができる。また、水洗槽へ塗膜が形成されたアルミニウムフィン材10を浸漬することにより洗浄する場合は、水温は室温〜80℃で5〜60秒間の浸漬により洗浄を行うことができる。このような条件で水洗浄することにより、親水性被膜14のポリオキシエチレン鎖を主成分とする高分子化合物を0.01g/m以上0.1g/m以下とすることができる。
親水性被膜14のポリオキシエチレン鎖を主成分とする高分子化合物の含有量が0.01g/m未満である場合においては、プレス加工時に、アルミニウムフィン材10の潤滑性が不十分となり、加工不良や金型摩耗、プレス油の乾燥不良の問題が生じる。一方、親水性被膜14のポリオキシエチレン鎖を主成分とする高分子化合物の含有量が0.1g/mを超えると、アルミニウムフィン材10の潤滑性が大きくなり過ぎ、プレス加工時のスリット工程で切断不良が生じてしまう。また、金型の摩耗が促進され金型寿命が短くなる。加えて、滑り過ぎにより所定の形状を得ることができず、特にカラー11の穴位置にずれが生じる虞がある。カラー11の穴位置にずれが生じると、2つのカラーを接続するように挿入されるヘアピン形状の伝熱管(図示無)を挿入する際に、伝熱管の形状とカラー11の穴位置が一致しないため、挿入性が悪くなる。
以上により、本発明に係る熱交換器用アルミニウムフィン材10を得ることができる。
本発明のアルミニウムフィン材10は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる板材13の表面に、ポリオキシエチレン鎖を主成分とする高分子化合物を0.01〜0.1g/m含有する親水性被膜14が形成されていることによって、動摩擦係数を0.1〜0.2としている。これによって適度な潤滑性が付与され、プレス加工時の金型への焼きつきや金型の摩耗及び切断不良を抑制することができる。
また、前記親水性被膜14は、25℃の5%水溶液において粘度が50〜5500mPa・Sとなるポリオキシエチレン鎖を主成分とする高分子化合物を含有する塗料を塗布し、板到達温度120℃〜250℃において焼付けを行った後に水洗浄することによって形成することが可能である。
図3は、本発明のアルミニウムフィン材10を備えた熱交換器20を示す斜視図である。熱交換器20は、図1及び図2に示すアルミニウムフィン材10と、複数の伝熱管30とを備えたものである。アルミニウムフィン材10は、一定の等間隔で平行に並べられており、アルミニウムフィン材10の相互間に空気が流動するようになっている。伝熱管30は、アルミニウムフィン材10のカラー11を貫通しており、その内部を冷媒が流動するようになっている。
図3に示す熱交換器20は、図1及び図2に示すアルミニウムフィン材10を備えているので、アルミニウムフィン材10の表面(親水性被膜14の表面)に付着した水が容易に濡れ広がって流れ落ち、水滴が発生し難い。このため、アルミニウムフィン材10の隣合う壁面同士の間に、水のブリッジが形成されることが抑えられ、空気の通風抵抗を小さく抑えることができる。そのため、長期にわたって使用した場合でも熱交換能力が低下しにくいものとなる。
以上、本発明に係る熱交換器用アルミニウムフィン材及びその製造方法、並びに熱交換器の実施形態について説明したが、上記した熱交換器用アルミニウムフィン材及び熱交換器を構成する各部は一例であって、本発明の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができる。
また、以下に、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
「親水性被膜形成用塗料の調製」
表1記載の樹脂を、同表記載の重量部で配合し、混合することにより、親水性被膜形成用の塗料A〜Jを得た。塗料の調製は、予め各樹脂に水又は水を主成分とする溶媒を加えて固形分濃度10重量%の水溶液又は分散液を調製し、これらを配合、混合することにより行った。
塗料A〜Iは、樹脂1〜3を各重量度に応じて配合したものを1層(下層部)のみ形成する。また、塗料Jは、樹脂1〜3を各重量度に応じて配合した下層部とポリエチレングリコールからなる上層部を形成することとする。
なお、ポリエチレンオキサイド1〜5は、それぞれ粘度平均分子量が異なり、それにより、25℃の5%水溶液における粘度が異なる。
また、塗料G〜Iの樹脂1として使用されている、アクリル酸、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリロニトリル、アクリルアミド共重合体の混合物は、その重量配合比をアクリル酸、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリロニトリル、アクリルアミド共重合体の順に、20:5:5:2として混合したものである。
ポリエチレンオキサイド1〜5の粘度平均分子量は、ポリエチレンオキサイド1が280000〜400000、ポリエチレンオキサイド2が150000〜280000、ポリエチレンオキサイド3が400000〜600000、ポリエチレンオキサイド4が600000〜750000、ポリエチレンオキサイド5が750000〜1100000である。また、ポリエチレングリコールの粘度平均分子量は、20000である。
Figure 0006101055

「アルミニウムフィン材の作製」
(試料No.1〜20)
リン酸クロメート処理したJIS規定A1050のアルミニウム合金からなる板材上にバーコーターを用いて上述の塗料A〜Iのいずれかを塗布し、次にオーブンにて表2記載の板到達温度として30秒間焼付けを行い、塗膜を硬化させた。次に、表面に塗膜が形成された板材を、表2記載の水洗浄条件で浸漬洗浄することにより、板材の表面上に同表記載の残存量だけポリオキシエチレン鎖を主成分とする高分子化合物が残存し、同表記載の被膜厚を有する親水性被膜が形成された試料No.1〜20の実施例及び比較例のアルミニウムフィン材を作製した。
ただし、塗料Jを塗布する試料No.20(比較例)においては、下層部の塗料を塗布し焼付けを行ったのち、上層部の塗料を塗布して焼付けを行った。即ち下層部、上層部の何れにおいても水洗浄工程は行っていない。下層部及び上層部の被膜厚、焼付け工程の条件は、いずれも表2記載の条件である(被膜厚は、下層部0.6μm、上層部0.1μmの合計0.7μm)。また、表2に記載のポリオキシエチレン鎖を主成分とする高分子化合物の残存量は、下層部と上層部の合計値である。
なお、ポリオキシエチレン鎖を主成分とする高分子化合物の残存量は、各試料と同様の方法で作製したものを24時間流水によって水洗を行い、その前後の重量差に基づいて算出した。
Figure 0006101055
「評価」
上記で作製した試料No.1〜20の実施例及び比較例のアルミニウムフィン材について、動摩擦係数、親水性、スリット切断不良の抑制効果、及び金型への焼きつきの抑制効果の評価を行った。結果を表3に示す。なお、評価手法は以下の通りである。
(1)潤滑性(動摩擦係数)
バウデン式摩擦係数測定器(協和界面化学社製 トライボスターTS−501)を用いて(鋼球サイズφ9/32インチ、荷重200g)、摺動面にプレス油を塗布しない状態で1サイクル試験を行い、各アルミニウムフィン材表面の動摩擦係数を測定した。
なお、上述したように、動摩擦係数が0.1〜0.2であることが望ましい。
(2)親水性(水接触角)
各アルミニウムフィン材について、24時間流水によって水洗を行った後(前処理)に水接触角を測定し、親水性の評価を行った。
なお、アルミニウムフィン材としては、水接触角が20°以下であれば速やかに結露水などの水滴を排出させることが可能となり、望ましい。
(3)スリット切断不良の抑制効果
各アルミニウムフィン材について、プレス加工を20000ショットまで行い、スリット工程での切断不良の発生状況を調べた。この結果を、以下の基準に従い評価した。
○:スリットの切断不良なし。
×:スリットの切断不良あり。
(4)金型への焼きつきの抑制効果
各アルミニウムフィン材について、プレス加工を20000ショット後のプレス成形品のカラー内面を観察し金型への焼きつきを評価した。この結果を、以下の基準に従い評価した。
○:焼きつきが確認できなかった。
×:焼きつきが確認された。
Figure 0006101055
表3に示す結果から、本発明に係るアルミニウムフィン材の実施例(試料No.1〜13)は、いずれも良好な潤滑性、親水性、スリット切断不良の抑制効果並びに金型への焼きつきの抑制効果を有することが確認された。
これに対し、試料No.14〜17の比較例のアルミニウムフィン材は、動摩擦係数が0.2を超えており潤滑性が不十分であるために、プレス加工後の成形品のカラー内面に金型への焼きつきが観察された。一方、試料No.18〜20の比較例のアルミニウムフィン材は、動摩擦係数が小さ過ぎ(0.2未満)、滑り過ぎによって、プレス加工時のスリット工程で切断不良が生じた。
以上のように、比較例に対して実施例の優位性が確認され、本願発明の効果が確認された。
10…アルミニウムフィン材、11…カラー、12…スリット、13…板材、14…親水性被膜、20…熱交換器、30…伝熱管

Claims (5)

  1. アルミニウム又はアルミニウム合金からなる板材の表面に、ポリオキシエチレン鎖を主成分とし25℃の5%水溶液において50〜5500mPa・Sの粘度の高分子化合物と、アクリル樹脂とポリビニルアルコール系樹脂またはセルロース樹脂を含有する塗料を塗布し、焼付けを行った後に水洗浄することによって、ポリオキシエチレン鎖を主成分とする高分子化合物の残存量を0.01〜0.1g/mとした表面動摩擦係数0.1〜0.2の潤滑性を付与した親水性被膜を形成することを特徴とする熱交換器用アルミニウムフィン材の製造方法。
  2. 前記高分子化合物として、ポリエチレングリコールまたはポリエチレンオキサイドを用いることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器用アルミニウムフィン材の製造方法。
  3. 前記塗料として、ポリエチレングリコールあるいはポリエチレンオキサイドを塗料中固形分100重量部に対し2〜40重量部含有している塗料を用いることを特徴とする請求項2に記載の熱交換器用アルミニウムフィン材の製造方法。
  4. 前記親水性被膜として、表面動摩擦係数0.11〜0.16、水接触角8〜16゜の親水性被膜を得ることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の熱交換器用アルミニウムフィン材の製造方法。
  5. 前記焼付けを、板到達温度120℃〜250℃において行うことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の熱交換器用アルミニウムフィン材の製造方法。
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