JP6100654B2 - 耐熱性粘着テープ用基材及びそれからなる耐熱性粘着テープ - Google Patents

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Description

本発明は、耐熱性、難燃性に優れ、人の手で容易に引き裂くことができる耐熱性粘着テープ用基材及びそれからなる耐熱性テープに関するものである。
粘着テープ用基材として、紙、布帛、不織布、プラスチックフィルム等が用いられている。特にプリント基板製造時のマスキングテープやその他の電子部品の固定用に用いられている耐熱性粘着テープは、200℃を超える温度の半田浴や焼成工程で剥離しない程度の耐熱接着性能が求められる。こうした耐熱性粘着テープ用基材としては、例えば、ポリイミドフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルムあるいは液晶ポリマーからなるフィルム等が用いられている。しかしながら、これらの耐熱性に優れた粘着テープ用基材は、一般的に粘着剤に対するアンカー性能が十分でなく、特に両面粘着テープにあっては十分な接着力を賦与することができないという問題があった。
上記問題点を解決するために、耐熱性粘着テープ用基材として全芳香族ポリエステル繊維からなる不織布を使用した耐熱性粘着テープが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、全芳香族ポリエステル繊維は、高強力、高弾性率繊維であり、人の手で引き裂くことは困難であり、これらに関する記述は特許文献1ではなされておらず、作業現場等で、鋏みなどの裁断用具を用いることなく、容易に引き裂いて貼付けることができる耐熱性粘着テープ用基材が望まれている。
特開2006−144141号公報
本発明が解決しようとする課題は、耐熱性、難燃性に優れ、高温雰囲気下でも変形しにくく、かつ、人の手で容易に引き裂くことができる耐熱性粘着テープ用基材及びそれからなる耐熱性粘着テープを提供することである。
上記課題を解決すべく、本願発明者は鋭意検討を重ねた結果、耐熱性に優れ、なおかつ特定の繊維直径を有する極細繊維を用い、見掛け密度、空隙径、乾燥熱収縮率、引き裂き強度がそれぞれ特定の範囲にある不織布を耐熱性粘着テープ用基材に用いたところ、これらの相乗効果により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、不織布からなる粘着テープ用基材であって、該不織布が連続する極細繊維で構成されており、該不織布および該極細繊維が下記要件を全て満足することを特徴とする耐熱性粘着テープ用基材である。
a)極細繊維の平均繊維直径が0.1〜5μm
b)極細繊維の融点もしくは熱分解温度が300℃以上
c)不織布の見掛け密度が0.05〜1.0g/cm
d)不織布の平均空隙径が0.5〜10μm、最大空隙径が20μm以下
e)不織布の200℃での乾熱収縮率が2%以下
f)JIS P8116 エルメンドルフ形引裂試験機法に準拠して測定した、不織布の少なくとも一方向における引き裂き強度が0.1〜10g/(g/m
本発明の耐熱性粘着テープ用基材からなる粘着テープは、耐熱性、難燃性に優れ、高温雰囲気下でも変形しにくく、かつ、人の手でも容易に引き裂くことができ、例えば、自動車や電子機器の製造工程において、鋏みなどの裁断用具を用いることなく、所望のサイズに容易に引き裂いて貼付けることができ、作業の簡便化を図ることができる。
本発明を以下の好適例により説明するが、これらに限定されるものではない。
本発明は、不織布からなる粘着テープ用基材であって、該不織布が連続する極細繊維で構成されており、該不織布および該極細繊維が下記要件を全て満足することを特徴とする。以下、各要件について詳述する。
a)極細繊維の平均繊維直径が0.1〜5μm
b)極細繊維の融点もしくは熱分解温度が300℃以上
c)不織布の見掛け密度が0.05〜1.0g/cm
d)不織布の平均空隙径が0.5〜10μm、最大空隙径が20μm以下
e)不織布の200℃での乾熱収縮率が2%以下
f)JIS P8116 エルメンドルフ形引裂試験機法に準拠して測定した、不織布の少なくとも一方向における引き裂き強度が0.1〜10g/(g/m
本発明の耐熱性粘着テープ用基材として使用される不織布は連続する極細繊維で構成され、該極細繊維の平均繊維直径が0.1〜5μmである。該不織布を構成する繊維は細い方が、その引き裂き強度は小さくなるが、平均繊維直径が0.1μmより小さくなると、不織布の引張強度が小さくなり、粘着テープの製造時に、不織布の層が破損し易くなる。一方、平均繊維直径が5μmより大きくなると、不織布の引き裂き強度は大きくなり、人の手で容易に引き裂くことができなくなる。平均繊維直径は、好ましくは0.2〜4μm、より好ましくは0.5〜3μmである。なお、本発明において、極細繊維の平均繊維直径は、電子顕微鏡写真で確認することのできる不織布を構成する極細繊維の平均繊維直径を意味し、具体的には100本の繊維直径を計測し、その平均値を算出することによって得られるものである。
本発明で使用される不織布を構成する極細繊維の融点または熱分解温度は300℃以上である。耐熱性粘着テープが使用される車輌のエンジンルーム内やコンデンサなどのリフロープロセス設備内などでは、その環境温度は150〜250℃にもなる高温であり、耐熱性粘着テープ用基材には、高い耐熱性が要求される。不織布を構成する極細繊維の融点または熱分解温度が300℃以上であれば、高温環境下でも、溶融劣化や膨張収縮による変形が極めて少なく、所定の能力を発揮することができるため、有用な耐熱性粘着テープ用基材となりえる。不織布を構成する極細繊維の融点または熱分解温度は、より好ましくは350℃以上、さらに好ましくは400℃以上である。なお、本発明における「融点または熱分解温度」とは、JIS K 7121、または、JIS K 7120に準じ、示差走査熱量測定により得られるDSC曲線の融解ピークの頂点の温度、もしくは、熱重量測定より得られるTG曲線にて、繊維試料の重量減少が始まる温度から求めることができる。
本発明で使用される不織布を構成する極細繊維は、具体的には、炭素繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維等の無機繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリアリレート繊維、ポリベンズオキサゾール(PBO)繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、全芳香族ポリエステル繊維、アクリル繊維、塩化ビニル繊維、ポリケトン繊維、セルロース繊維、パルプ繊維等の有機繊維等を挙げることができ、これらの一種を、又は二種以上を組み合わせて使用することができる。なかでも、メタ型アラミド繊維であるポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維や、パラ型アラミド繊維であるポリパラフェニレンテレフタラミドやコポリパラフェニレン・3,4’オキシジフェニレン・テレフタラミド等は、高強力で高い耐熱性を有するので好ましい。
本発明で使用される不織布の目付ならびに厚みは、特に限定されるものではないが、耐熱性粘着テープ用基材としての性能面から、目付は1g/m以上、厚みは1μm以上であることが好ましい。目付が1g/mより小さく、厚みが1μmより小さいと、不織布の物理的強度が小さく、不織布の層が破断したり、損傷したりしやすくなるため、好ましくない。
本発明で使用される不織布の見かけ密度は、0.04〜1.0g/cmである。見掛け密度が0.04g/cm未満であると、粘着剤を含浸させても、不織布内で所定の粘着剤量を保持することができないため好ましくない。また、外圧がかかった時に、厚みの変化が大きくなる傾向にあり、取扱い性が悪い。一方、見掛け密度が1.0g/cmを越えると、不織布の空隙が小さくなり、不織布の内部まで粘着剤が十分に浸透せず、接着力が小さくなる箇所が存在するようになってしまうため、好ましくない。また、所望の厚みを得るのに、繊維集積量を多くする必要があり、不経済である。見掛け密度は、好ましくは0.075〜0.75g/cm、より好ましくは0.1〜0.5g/cmである。
本発明で使用される不織布の平均空隙径は0.5〜10μm、最大空隙径は20μm以下である。平均空隙径が10μmを超えるか、または、最大空隙径が20μmを超えると、不織布に粘着剤を含浸させても、不織布内で所定の粘着剤量を保持することができず、一方、平均空隙径が0.5μm未満になると、不織布の空隙が小さくなり、不織布の内部まで粘着剤が十分に浸透せず、接着力が小さくなる箇所が存在するようになり、好ましくない。平均空隙径は、好ましくは0.75〜7.5μm、より好ましくは1〜5μm、最大空隙径は、好ましくは15μm以下、より好ましくは10μm以下である。
本発明で使用される不織布の200℃での乾熱収縮率は2%以下である。乾熱収縮率が2%より大きいと、高温で使用される環境下において、耐熱性粘着テープ用基材に収縮方向の力が働くことにより、粘着力が落ちて、張合わせた材料が剥がれ易くなってしまうため、好ましくない。不織布の200℃での乾熱収縮率は、好ましくは1.75%以下、より好ましくは1.5%以下である。
本発明で使用される不織布においては、JIS P8116 エルメンドルフ形引裂試験機法に準拠して測定した、該不織布の少なくとも一方向における引き裂き強度が0.1〜10g/(g/m)である。引き裂き強度が0.1g/(g/m)より小さいと耐熱性粘着テープの製造時に、巻取り工程などで、基材となる不織布が引き裂かれることが多くなってしまう。一方、引き裂き強度が10g/(g/m)より大きいと、例えば、平均的な握力を有する成人女性においては、手で引き裂くことが難しくなるため、好ましくない。不織布の少なくとも一方向における引き裂き強度は、好ましくは0.25〜7.5g/(g/m)、より好ましくは0.5〜5.0g/(g/m)である。
本発明の耐熱性粘着テープ用基材として使用される不織布の製造方法について、例えば有機繊維を用いる場合、そのポリマー溶液の紡糸によって得ることができる。その好適な製造方法としては、有機ポリマー溶液をバーストさせ細繊化する爆裂紡糸技術(WO02/052070記載)や、一般に溶融性ポリマーで行われているメルトブロー技術を改良し、効果的に細繊化する技術(US6013223)や、特開2005−200779号公報のエレクトロスピニング法などが挙げられる。その中でも、溶融性ポリマーで行われているメルトブロー技術を改良した、効果的に細繊化する技術(US6013223)が、本発明で用いる不織布を製造するのに好ましく、本製造方法によれば、ポリマー溶液を吐出させる紡糸装置のノズルの同心円上に設置された圧空吐出孔から圧空を吐出させて、ポリマー溶液を伸張し細化させるが、このノズルの孔径やポリマー溶液のノズルからの吐出量を変更することにより、構成する繊維の繊維径を前記の平均繊維直径に調整することができる。
また、本発明においては、US6013223の紡糸方法やエレクトロスピニング法のよる場合は、吐出したポリマー溶液を固化させ(特に前者の紡糸法では凝固液を吹き付けて固化させ)、固化して連続する極細繊維として捕集ベルト等の積層しながら不織布として捕集することによって、不織布を製造することができる。この際、前記のノズルからのポリマー溶液の吐出量や捕集ベルトの速度を調整することによって、捕集ベルトへの極細繊維の積層量をコントロールし、前記の不織布の厚みや目付とし、さらに前記の不織布の見掛け密度、平均空隙率、最大空隙径とすることができる。
また、本発明においては、特に極細繊維が有機繊維の場合は、その軟化温度よりも低い温度(好ましくは20℃以上低い温度、例えば上記方法で得られる芳香族ポリアミド繊維では、好ましくは250℃以下、より好ましくは130〜250℃、さらに好ましくは150〜220℃)で更にカレンダー処理を行うことが望ましい。これにより、前記引裂き強度をより得やすくなる。カレンダー処理の圧力は特に限定されないが、例えば線圧10〜300kg/cmとし、カレンダーロール間のクリアランスを調整することによって、より均一な厚みを有する不織布とすることができる。
本発明の耐熱性粘着テープ用基材は以上に説明した不織布からなるが、該基材は、単一素材による単層構造でもよいが、さらに取扱い性を向上させたり、厚みを増したりする目的で、2種以上の素材からなる多層構造であっても良い。該多層構造は、具体的には、2種以上の不織布(例えば、ポリマー素材や繊維直径等の異なる不織布)の組合せによる積層構造、前記不織布と、不織布以外の層、例えば、織物、編物、フィルム構造体、あるいはこれらの組合せとの積層構造であってもよい。
本発明の耐熱性粘着テープ用基材は、公知の方法により該基材に粘着剤を付与し、耐熱性粘着テープとすることができる。上記の耐熱性粘着テープ用基材に付与される粘着剤は、特に限定されるものではないが、アクリル系樹脂系接着剤、ウレタン樹脂系接着剤、エポキシ樹脂エマルジョン接着剤、酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤、シリコーン系接着剤、などの有機系接着剤でもよく、シリカ系接着剤などの無機系接着剤が挙げられる。
以下実施例により、本発明を具体的に説明する。しかしながら本発明はこれによって限定されるものではない。なお以下の実施例などの評価および特性値は、以下の測定法により求めた。
(1)繊維径(μm)
耐熱性粘着テープ用基材として使用される不織布を、走査型電子顕微鏡JSM6330F(JEOL社製)にて観察し、繊維100本を任意に選出して測長し、それらの平均繊維径を算出した。なお、観察は1000倍で行った。
(2)目付(g/m
JIS L 1906の単位面積当りの重量試験方法に準じて測定を行った。
(3)厚さ(mm)
小野測器デジタルリニアゲージDG−925(測定端子部の直径1cm)を用い、任意に選択した20箇所において厚さを測定し、平均値を求めた。
(4)見掛け密度(g/cm
(目付)/(厚み)から算出し、単位容積あたりの重量を求めた。
(5)空隙径(μm)
不織布の空隙径は、STM−F−316記載のバブルポイント法およびミーンフロー法により、平均空隙径、最大空隙径を求めた。単位はそれぞれμmである。
(6)融点もしくは熱分解温度(℃)
JIS K 7121、または、JIS K 7120に準じ、示差走査熱量測定により得られるDSC曲線の融解ピークの頂点の温度、もしくは、熱重量測定より得られるTG曲線にて、試料の重量減少が始まる温度から求めた。
(7)熱収縮率(%)
JIS L 1906に準じて、無緊張の状態で、200℃×15分熱処理後の不織布の乾熱収縮率を求めた。
(8)引き裂き強度(g/(g/m))
JIS P8116(引裂き強さ)に準じ、東洋精機製作所製のエルメンドルフ形引裂試験機を用い、試料サイズを幅70mm×引裂方向63mm、切込みを20mmとし、測定した。そうして得られた値を、試料の目付で割ったものを引き裂き強度とした。そして、成人女性の平均握力を有する5人の女性が、手で引き裂くことができた場合は○、手で引き裂くことができなかった場合は×とした。
(実施例1)
特公昭47−10863号公報記載の方法に準じた界面重合法により製造した固有粘度(IV)=1.35のポリメタフェニレンイソフタルアミド粉末(帝人製、1.38g/cm)20重量部を、0℃に冷却したジメチルアセトアミド(DMAc)80重量部中に投入し、スラリー状にした後、45℃まで昇温して溶解させ、ポリマー溶液を得た。上記のポリマー溶液を、ギアポンプを使ってUS6013223の紡糸装置に120g/minで供給し、紡糸温度35℃とし、10m/minで圧空を供給して紡糸を行った。ここで、US6013223の紡糸装置は、ポリマー溶液吐出ノズルが、100×5列の配列で500本が設置されており、吐出ノズルの孔径は0.2mmのものを使用した。凝固液として水を使用し、吐出後のポリマー溶液に、ノズル孔から下方向に40cmの位置で、スプレーノズルを用いて、9L/minの水量で吹き付け、ポリマー溶液を固化させて連続繊維を得た。また、紡糸装置の下方50cmに捕集ベルトを設置し、連続繊維を積層しながらベルトの搬送速度を3.0m/minとし、不織布を得た。得られた不織布を金属製カレンダーロールにて温度200℃、設定線圧50kg/cmで熱圧処理し、上下ロール間のクリアランスを設けることによって、任意に線圧を調整し、表1記載の繊維径、目付、厚みの耐熱性粘着テープ用基材となる不織布を得た。次いで、不織布の見掛け密度、空隙率、繊維の分解点、200℃での乾熱収縮率、および引き裂き強度を評価し、評価結果を表1にまとめた。
(実施例2)
ポリメタフェニレンイソフタルアミド粉末(帝人製、1.38g/cm)の重量を10重量部にしてポリマー溶液を得て、ポリマー溶液吐出ノズルのノズル孔径が0.1mmのものに変更した以外は、実施例1と同様にして耐熱性粘着テープ用基材となる不織布を得た。次いで、不織布の見掛け密度、空隙率、繊維の融点、200℃での乾熱収縮率、および引き裂き強度を評価し、評価結果を表1にまとめた。
(実施例3)
ポリマー溶液吐出ノズルのノズル孔径が0.4mmに変更した以外は、実施例1と同様にして耐熱性粘着テープ用基材となる不織布を得た。次いで、不織布の見掛け密度、空隙率、繊維の融点、200℃での乾熱収縮率、および引き裂き強度を評価し、評価結果を表1にまとめた。
(実施例4〜5)
実施例1において、厚み、見掛け密度が表1に示す耐熱性粘着テープ用基材となる不織布となるように、カレンダー加工の上下ロール間のクリアランス条件を変更して、不織布を作製し、繊維の融点、200℃での乾熱収縮率、および引き裂き強度を評価し、評価結果を表1にまとめた。
(比較例1)
特公昭47−10863号公報記載の方法に準じた界面重合法により製造した固有粘度(IV)=1.35のポリメタフェニレンイソフタルアミド粉末(帝人製、1.38g/cm)10重量部を、0℃に冷却したジメチルアセトアミド(DMAc)90重量部中に投入し、スラリー状にした後、45℃まで昇温して溶解させ、ポリマー溶液を得た。上記のポリマー溶液をノズルから吐出させ、電界紡糸法により印加電圧を20kVとし微細繊維を成形し、該ノズルから20cm下の搬送ネットでこれを回収し、不織布を得た。得られた不織布を金属製カレンダーロールにて温度200℃、設定線圧50kg/cmで熱圧処理し、上下ロール間のクリアランスを設けることによって、任意に線圧を調整し、表1記載の繊維径、目付、厚みの耐熱性粘着テープ用基材となる不織布を得た。次いで、不織布の見掛け密度、空隙率、繊維の分解点、200℃での乾熱収縮率、および引き裂き強度を評価し、評価結果を表1にまとめた。
(比較例2)
カレンダー加工の条件を、金属製カレンダーロールにて温度280℃、設定線圧50kg/cmで熱圧処理し、上下ロール間のクリアランスを設けることによって、任意に線圧を調整した以外は実施例3と同様にして、表1記載の耐熱性粘着テープ用基材となる不織布を得た。次いで、不織布の見掛け密度、空隙率、繊維の融点、200℃での乾熱収縮率、および引き裂き強度を評価し、評価結果を表1にまとめた。
(比較例3)
ポリメタフェニレンイソフタルアミド粉末(帝人製、1.38g/cm)の重量を12重量部にしてポリマー溶液を得て、ポリマー溶液吐出ノズルのノズル孔径が0.1mmのものに変更した以外は、実施例1と同様にして耐熱性粘着テープ用基材となる不織布を得た。次いで、不織布の見掛け密度、空隙率、繊維の融点、200℃での乾熱収縮率、および引き裂き強度を評価し、評価結果を表1にまとめた。
(比較例4)
ポリマー溶液吐出ノズルのノズル孔径が0.45mmに変更した以外は、実施例3と同様にして耐熱性粘着テープ用基材となる不織布を得た。次いで、不織布の見掛け密度、空隙率、繊維の融点、200℃での乾熱収縮率、および引き裂き強度を評価し、評価結果を表1にまとめた。
(比較例5)
表1記載の、繊維の構成、目付、厚み、見掛け密度、空隙径を有するポリエステル不織布(東洋紡製)を用意し、繊維の融点、200℃での乾熱収縮率、および引き裂き強度を評価し、評価結果を表1にまとめた。
(比較例6)
表1記載の、繊維の構成、目付、厚み、見掛け密度、空隙径を有するポリプロピレン不織布(トレミクロン、東レ製)を用意し、繊維の融点、200℃での乾熱収縮率、および引き裂き強度を評価し、評価結果を表1にまとめた。
Figure 0006100654
これらの結果から明らかなように、本発明の耐熱性粘着テープ用基材は、特定の繊維直径、平均見掛け密度、空隙径、乾燥熱収縮率を満たし、構成繊維の融点もしくは熱分解温度が所定の温度以上であることを満足する極細繊維不織布を使用することで、耐熱性、難燃性に優れ、高温雰囲気下でも収縮しにくく、かつ裁断用具を用いることなく、人の手でも容易に引き裂くことができる耐熱性粘着テープ用基材であることが認められた。
本発明の耐熱性粘着テープ用基材は、耐熱性、容易な引き裂き性を有しており、例えば、電気絶縁材、絶縁・耐熱などのテープ基材、樹脂含浸用基材、ハニカム構造材等に使用可能である。また、上記基材からなる本発明の耐熱性粘着テープは、同様に優れた耐熱性、引き裂き性を有し、従来、汎用的な用途のみならず、これまで使用できなかった耐熱性等が要求される用途にも幅広く適用可能であり、産業上の利用価値が極めて高いものである。

Claims (4)

  1. 不織布からなる粘着テープ用基材であって、該不織布が連続する極細繊維で構成されており、該不織布および該極細繊維が下記要件を全て満足することを特徴とする耐熱性粘着テープ用基材。
    a)極細繊維の平均繊維直径が0.1〜5μm
    b)極細繊維の融点もしくは熱分解温度が300℃以上
    c)不織布の見掛け密度が0.05〜1.0g/cm
    d)不織布の平均空隙径が0.5〜10μm、最大空隙径が20μm以下
    e)不織布の200℃での乾熱収縮率が2%以下
    f)JIS P8116 エルメンドルフ形引裂試験機法に準拠して測定した、不織布の少なくとも一方向における引き裂き強度が0.1〜10g/(g/m
  2. 極細繊維がポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維である請求項1記載の耐熱性粘着テープ用基材。
  3. 極細繊維がポリパラフェニレンテレフタラアミド繊維、またはコポリパラフェニレン3,4’−オキシジフェニレンテレフタラアミド繊維である請求項1記載の耐熱性粘着テープ用基材。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の耐熱性粘着テープ用基材を用いた耐熱性粘着テープ。
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