JP6100210B2 - 炭酸感の評価方法 - Google Patents

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Description

本発明は、炭酸飲料などの炭酸含有水溶液のヒトが感じる炭酸感の評価方法および炭酸感作用剤の評価方法に関する。
炭酸を含有する飲料は、炭酸水、炭酸飲料(コーラ、サイダー、トニックウォーター、果汁入り炭酸飲料など)、ビール、酎ハイ、ハイボール、スパークリングワインなど数多くある。例えば、炭酸飲料はその歴史も古く、世界中で長年にわたり愛飲され、日本の飲料市場においても茶飲料、コーヒー飲料とならんで重要な位置を占める飲料であり、夏の暑い時期や運動の後の汗をかいたときなどには、水分補給、糖分補給と共に、独特の清涼感を醸し出す、シュワシュワっとした喉ごしが非常に好まれている。
炭酸飲料は、他の清涼飲料にはない「炭酸感」あるいは「炭酸刺激感」(以後、炭酸感と呼ぶ)などと呼ばれる独特の感覚が特徴といえる。炭酸飲料では、炭酸ガスが加圧により水に溶解しているが、常圧に戻るときに溶け込んでいた二酸化炭素が水からガス状の炭酸ガスの気泡となって発生する。ヒトが感じる炭酸感はその気泡の発生時に舌の感覚細胞を圧覚または痛覚を刺激して、独特のシュワシュワっとした感覚を生じさせるというのがひとつの説であり飲料の味にも影響を与える感覚であるとも考えられている。一方で、溶存する二酸化炭素が味覚や体性感覚を刺激することで、我々が炭酸感と感じる感覚が誘起されるとする説もある。いずれにせよ、炭酸感は甘味や苦味のように感覚受容器やその作用機構の研究が進んでいる感覚に比べると、有効な科学的説明はおろか定義さえ明確ではないのが現状である。
また、炭酸飲料では、炭酸感が強いほど爽快感があり、嗜好性が高いとされ、ガス圧の強い飲料が求められる。しかしながら、果汁を含有する炭酸飲料については無菌充填技術がいまだ十分でないので、炭酸飲料を充填密封し、容器全体を65℃、10分以上の加熱殺菌する必要が生ずる。ところが、取り扱い、携帯に便利なPETボトルはスチール缶やアルミ缶ほどの耐圧性がないために、2気圧程度と充填時のガス圧をかなり低めに抑えなければならないという問題がある。さらに、PETボトルでは容器のガス透過性によるガス圧の低下、開栓後の炭酸ガスの急速な脱気により、いわゆる「気の抜けた」状態となり、炭酸飲料に必要な爽快で強烈な炭酸感が弱まるなどの問題がある。
これを解決する方法として、低炭酸の飲料に添加することにより、炭酸感を増強できる成分の探索が行われた(特許文献1〜3)。その際、炭酸飲料における炭酸感の増強効果や、炭酸ガスに由来すると考えられる炭酸飲料が持つ本来の炭酸感の評価は、ヒトが行う官能評価によって行われてきた。
しかしながら、官能評価は、総合的な評価には適しているが個人差、感覚疲労、体調変化などの主観的要素が評価に影響する欠点があり、再現性の点でも問題がある。その主観的な評価に客観性を与えた手法としてQDA法(定量的記述分析法)があるが、共通用語の選定やパネルの訓練などに時間を要するという欠点がある。
また、官能評価に代わる方法として、液体クロマトグラフをはじめとする種々のクロマトグラフや匂いセンサ、味センサなどの機器による評価も利用されたが、いずれも有効な方法とは言えず、炭酸飲料のみならず、炭酸を含有する飲料の炭酸感を評価する客観的評価法の確立が強く求められていた。
特開2010−68749号公報 特開2013−121323号公報 特許第4679132号
本発明が解決しようとする課題は、官能評価に基づく欠点を解決し、無侵襲、低拘束、短時間で効率的かつ客観的に飲食品の炭酸感あるいは炭酸感作用剤の効果を評価することができる方法を提供することである。
飲食品、特に飲料中の炭酸は、飲食品の味に影響を与えることは周知であるものの、炭酸が生体のどの部位にどのように働いて、どのようなシグナルが脳へと伝達され、統合されるのかなどの炭酸感の生理的メカニズムについては今のところ、ほとんど解明されておらず、ヒトが感じる炭酸感の客観的評価方法は全くなかった。
一方、食品中の香気成分の評価、甘味、酸味、塩味、苦味、うま味などの呈味評価、辛み物質または苦味物質による摂食意欲の変化の評価などについては細胞内の受容体を含めた生理的メカニズムに関する研究が進んでおり、これらの成分に対する客観的評価方法について本発明者らは、近赤外線分光法を用い、こめかみ付近のヘモグロビン濃度の変化量を計測する方法を検討し、種々の提案(特許第4557917号、特許第4673341号、特許第4814152号、特許第4966790号、特許第4974383号、特許第5225969号、特許第5339820号)を行っている。
そこで、炭酸感の生理的メカニズムは不明であるが、本発明者らが種々の呈味成分などに対して確立した、上記の評価法が応用できるのではと考え、試しに被験者に水を飲用させてから、炭酸含有水溶液を飲用させ、こめかみ部付近の信号強度の変化量を計測したところ、意外にもヒトが感じる炭酸感を評価できることを見出した。
さらに、炭酸以外の成分組成が同じで充填時のガス圧が異なる水溶液を連続して被験者に飲用させ、こめかみ部付近の信号強度の変化量を計測し、ガス圧−信号強度のグラフを作成し、被験者がさらに連続して飲用した被験炭酸含有水溶液のこめかみ部付近の信号強度の変化量の数値に対する該グラフ上のガス圧を求めることにより、被験炭酸含有水溶液の炭酸感を測定できることを見出し、本発明を完成させた。
かくして、本発明は、以下のものを提供する。
[1]炭酸感の評価方法であって、
(1)水または基準炭酸含有水溶液を飲用させ、生体光計測装置で被験者のこめかみ部付近の信号強度の変化を測定することを1回または数回行う工程、
(2)工程(1)の測定後、被験炭酸含有水溶液を飲用させ、生体光計測装置で被験者のこめかみ部付近の信号強度の変化を測定し、該信号強度の変化を指標として被験炭酸含有水溶液の炭酸感を評価する工程、
の各工程を含む、炭酸感の評価方法。
[2]炭酸感作用剤の評価方法であって、
(1)基準炭酸含有水溶液を飲用させ、生体光計測装置で被験者のこめかみ部付近の信号強度の変化を測定することを1回または数回行う工程、
(2)工程(1)の測定後、基準炭酸含有水溶液に炭酸感作用剤をさらに添加した被験炭酸含有水溶液を飲用させ、生体光計測装置で被験者のこめかみ部付近の信号強度の変化を測定し、該信号強度の変化を指標として被験炭酸含有水溶液の炭酸感を評価する工程、
の各工程を含む、炭酸感作用剤の効果の評価方法。
[3]炭酸感の評価方法であって、
(1)水を飲用させ、生体光計測装置で被験者のこめかみ部付近の信号強度を測定することを1回または数回行う工程、
(2)工程(1)の測定後、ガス圧を測定した第一の炭酸含有水溶液を飲用させ、生体光計測装置で被験者のこめかみ部付近の信号強度の変化を測定する工程、
(3)工程(2)の測定後、第一の炭酸含有水溶液より高いガス圧を有する、ガス圧を測定した第二の炭酸含有水溶液を飲用させ、生体光計測装置で被験者のこめかみ部付近の信号強度の変化を測定する工程、
(4)さらに所望に応じて、工程(3)の測定後、直前に飲用した炭酸含有水溶液より高いガス圧を有する、新たな炭酸含有水溶液を飲用し、生体光計測装置で被験者のこめかみ部付近の信号強度の変化を測定することを1回〜数回繰り返す工程、
(5)工程(4)までの測定後、被験炭酸含有水溶液を飲用させ、生体光計測装置で被験者のこめかみ部付近の信号強度の変化量を測定する工程、
(6)工程(2)〜(4)の各炭酸含有水溶液のガス圧の値、工程(2)〜(4)の各工程で得られた被験者のこめかみ部付近の各信号強度の変化量を用い、X軸をガス圧、Y軸を信号強度の変化量とするガス圧−信号強度の変化量グラフを作成する工程、
(7)工程(6)で作成したガス圧−信号強度の変化量グラフ上で、工程(5)で得られた信号強度の変化量に対応するガス圧を求める工程、
の各工程を含む、炭酸感の評価方法。

本発明によれば、ヒトが感じる炭酸感の簡便かつ有効な客観的評価方法を提供することができ、低炭酸の炭酸飲料の炭酸感増強のための炭酸感作用剤の探索や、消費者の嗜好性にあった炭酸飲料の開発の有効な手法として期待される。
図1はプローブ装着時のイメージ写真およびプローブ番号と該当する頭部計測位置の配置を示した図である。 図2は被験者が行う血流測定、アンケートなどの手順を示した説明図である(実施例1〜5)。 アンケートによる炭酸感の強さの官能評価(炭酸感スコア)の基準を示した図である。 水を飲用後、炭酸水(ガス圧2.0kg/cm)を飲用した場合の各52チャンネルの血流変化の図である。 水を飲用後、炭酸水(ガス圧2.0kg/cm)を飲用した場合の変化量の大きかったチャンネル(52CH、44CH、33CH)の血流変化の図である。 炭酸水(ガス圧2.0kg/cm)を飲用した場合の炭酸感の官能評価結果を示す図である。 炭酸水(ガス圧2.0kg/cm)を飲用後、炭酸水(ガス圧2.6kg/cm)を飲用した場合の各52チャンネルの血流変化の図である。 炭酸水(ガス圧2.0kg/cm)を飲用後、炭酸水(ガス圧2.6kg/cm)を飲用した場合の変化量の大きかったチャンネル(52CH、44CH、33CH)の血流変化の図である。 炭酸水(ガス圧2.0kg/cm)を飲用後、炭酸水(ガス圧2.6kg/cm)を飲用した場合のそれぞれの炭酸感の官能評価結果を示す図である。 炭酸飲料を飲用後、炭酸感作用剤であるユズノン添加炭酸飲料を飲用した場合の各52チャンネルの血流変化の図である。 左図は水の2回目および3回目の飲用の血流変化のグラフである。右図は水の飲用後、炭酸飲料および炭酸感作用剤であるユズノン添加炭酸飲料を続けて飲用した場合のそれぞれの血流変化のグラフである。 炭酸飲料(ガス圧2.0kg/cm)、炭酸飲料(ガス圧2.6kg/cm)およびユズノン添加炭酸飲料を飲用した場合の炭酸感の官能評価結果を示す図である。 炭酸飲料を飲用後、フレーバー添加炭酸飲料を飲用した場合の各52チャンネルの血流変化の図である。 左図は水の2回目および3回目の飲用の血流変化のグラフである。右図は水の飲用後、炭酸飲料およびユズノン含有炭酸感作用剤添加炭酸飲料を続けて飲用した場合のそれぞれの血流変化のグラフである。 炭酸飲料(ガス圧2.0kg/cm)、ユズノン添加炭酸飲料(ガス圧2.6kg/cm)およびユズノン含有炭酸感作用剤添加炭酸飲料を飲用した場合の炭酸感の官能評価結果を示す図である。 炭酸水(ガス圧1.0〜4.0kg/cm)を飲用した場合の被験者3名の血流変化の平均のグラフである(左こめかみ部:52CH、51CH、44CH)。 炭酸水(ガス圧1.0〜4.0kg/cm)を飲用した場合の被験者3名の血流変化の平均のグラフである(右こめかみ部:43CH、41CH、33CH)。 炭酸水(ガス圧1.0〜4.0kg/cm)を飲用した場合の被験者3名の血流変化の平均のグラフである(左こめかみ部、右こめかみ部および左右こめかみ部の平均)。 炭酸水(ガス圧1.0〜4.0kg/cm)を飲用した場合の炭酸感の官能評価結果を示す図である。
前述したように、本発明は、ヒトが感ずる炭酸感の評価方法であり、無侵襲的な測定手法である近赤外線分光法(NIRS)を用いて、こめかみ部付近の信号強度の変化量を計測することを特徴とする。以下、本発明を実施するための手順、およびその内容について詳しく説明する。
本発明における炭酸感を有する飲食品は、特に限定はないが、例えば、炭酸水、炭酸飲料(コーラ、サイダー、トニックウォーター、果汁入り炭酸飲料など)、ビール、酎ハイ、ハイボール、スパークリングワインなどの炭酸入りアルコール飲料、冷菓、キャンディー、ゼリー、グミ、錠菓、チューインガムなどを挙げることができる。
本発明で使用する生体光計測装置は、被験者の脳活動等を反映する頭部血流の信号強度の変化を測定する装置であり、本発明者らは、これまで香気の評価、甘味、酸味、塩味、苦味、うま味などの呈味評価、辛み物質または苦味物質による摂食意欲の変化の評価などに用いてきた。その原理は、例えば、被験者が呈味成分を含む試料溶液を飲用すると、試料溶液中の呈味成分が味覚受容体などに作用し、その信号が脳に伝達されて神経活動が起こり、この神経活動に伴って毛細血管の拡張、酸素化ヘモグロビンの増加、および脱酸素化ヘモグロビンの減少が起こる現象を利用して、このヘモグロビン濃度変化を生体光計測装置により測定し、信号強度の変化として表示するものである。
実際の測定では、生体光計測装置を用いて被験者の頭皮上から脳に近赤外光(約700〜約1500nm)を当てると、近赤外光は脳組織を通った後、反射して頭皮上に戻ってくるが、近赤外光は酸化型ヘモグロビンと還元型ヘモグロビンとで吸収特性が異なる為、この反射光の減衰度合いの経時的変化から酸化型と還元型各々のへモグロビン濃度の変化(血流の経時的変化)が分かる。本発明の評価方法では、ヒトが感ずる炭酸感を、酸化型ヘモグロビン量の変化信号(以後、血流変化と呼ぶ)として計測する。
本発明の評価方法で使用しうる生体光計測装置は、光子エネルギーが低く、人体に対して良く透過する近赤外光を利用して、光ファイバーを通じて頭皮上から照射し、頭皮・頭蓋骨を透過して大脳で反射してきた光を再び頭皮上で電気信号に変えて検出する装置である。この装置を用いて、血液中に含まれる色素タンパク質であるヘモグロビンに吸収された近赤外光の反射光強度を計測することにより、血流変化を計測することができる。本発明の評価方法では、生体光計測装置の中でも、特に光トポグラフィ装置、すなわち近赤外分光法を利用して大脳皮質の神経活動等を含む頭部の血流変化を反映するヘモグロビンの相対的変化量を多点で測定する。脳は、活動した部位で血流が増加することが知られていることから、光トポグラフィ装置を用いると、局所的な脳血流変化を多点で完全に同時計測することができることの他、こめかみ部では唾液腺活動に由来する血流変化が観察できる。
光トポグラフィ装置の基本構造は、近赤外半導体レーザから照射される光を光ファイバーに送る照射装置と、照射用ファイバーと検出用ファイバーを頭皮上の決められた位置に配置するための照射検出装置(プローブ)(図1)と、検出された光信号を処理し、演算・表示する計算部分からなる。頭皮から反射してきた光は検出用ファイバーからフォトダイオードに入り電気信号に変換され、その後、この電気信号はどの照射点から到達した光であるかが判別され、各計測点に対応した検出光強度データを基に、ヘモグロビンの濃度変化を演算し、トポグラフィ画像が生成される。本発明で使用する光トポグラフィ装置としては、例えば、日立ETG−4000型光トポグラフィ装置((株)日立メディコ製:52チャンネル)を例示することができる。日立ETG−4000型光トポグラフィ装置を使用した場合、血流変化は、52チャンネルの各チャンネルにおける応答をX軸を時間(秒)、Y軸を頭部における血流の応答強度とするグラフ(以後、血流変化のグラフと呼ぶ)として同時に測定され、記録され、グラフとして表示することができる。
上記の52チャンネルうち、こめかみ部付近の信号強度の変化の測定は、例えば、日立ETG−4000型光トポグラフィ装置を使用する場合、左側ではチャンネル40、41、51、52、右側ではチャンネル33、34、43、44の応答を記録することにより行うことができる。これらのチャンネルのいくつかの応答を炭酸感の指標として用いることができるが、最も大きな応答の得られたチャンネルの数値を用いて、炭酸感の評価を行うのが簡便、かつ、再現性の良い評価が可能であり、好ましい。あるいは、複数のチャンネルの応答の平均値を用いることもできる。
また、こめかみ部付近の信号強度の変化の測定はウェアラブル光トポグラフィWOT−S20(日立製作所)でも同様に計測することができる。
本発明では、被験者に水または基準炭酸含有水溶液を飲用させた後、被験炭酸含有水溶液を飲用させ、各チャンネルにおいて測定された血流変化の2つのグラフを同一座標軸上にプロットし、被験炭酸含有水溶液のグラフのピークの応答(最大値)から水または基準炭酸含有水溶液のグラフのピークの応答(最大値)を差し引いた値を血流変化量とする。実施例で説明するが、こめかみ部血流変化量と被験者の炭酸感の官能評価(炭酸感スコア)の値には相関がみられ、血流変化量が大きいものほど炭酸感が強いと評価することが可能である。
以上の方法により、請求項1に記載の生体光計測装置で被験者のこめかみ部付近の信号強度の変化を測定および炭酸感の評価方法を行うことができる。
次に、請求項2に記載の炭酸感の評価方法の手順(以下、手順Aと呼ぶ)は次の通りである。まず、水または基準炭酸含有水溶液を飲用させ、生体光計測装置で被験者のこめかみ部付近の信号強度の変化を測定することを1回または数回行う工程(1)を行った後、被験炭酸含有水溶液を飲用させ、生体光計測装置で被験者のこめかみ部付近の信号強度の変化を測定し、該信号強度の変化を指標として被験炭酸含有水溶液の炭酸感を評価する工程(2)を行う。
基準炭酸含有水溶液は工程(1)で被験者に提示され、飲用する炭酸含有水溶液のことを指す。これに対して、工程(1)に続いて工程(2)で被験者に提示され、飲用される炭酸含有水溶液を被験炭酸含有水溶液と呼ぶ。
工程(1)で水を飲用させ、工程(2)で被験炭酸含有水溶液を飲用させる場合は、ヒトが被験炭酸含有水溶液の炭酸感を感じることにより、生体光計測装置を用いた被験者のこめかみ部付近の信号強度に変化が表れるのでこの変化を指標として炭酸感を評価することができる。また、工程(1)で基準炭酸含有水溶液を飲用させる場合は、工程(1)の信号強度の変化と工程(2)の信号強度を比較し、[工程(1)の信号強度の変化<工程(2)の信号強度の変化]ならば、被験炭酸含有水溶液が基準炭酸含有水溶液に比べ、炭酸感が強いと被験者が感じたと評価する。また、[工程(1)の信号強度の変化>工程(2)の信号強度の変化]ならば、被験炭酸含有水溶液が基準炭酸含有水溶液に比べ、炭酸感が弱いと被験者が感じたと評価する。また、[工程(1)の信号強度の変化=工程(2)の信号強度の変化]ならば、被験炭酸含有水溶液と基準炭酸含有水溶液の炭酸感は同等であると被験者が感じたと評価する。その際、基準炭酸含有水溶液のガス圧(kg/cm2)がわかっていれば、そのガス圧を有する炭酸含有水溶液よりも炭酸感が強い、弱いまたは同等であると被験者が感じたことになり、基準炭酸含有水溶液のガス圧(以下、ガス圧相当値と呼ぶ)と比較した炭酸感の強さを表現することが可能である。
上記の手順で測定される被験者のこめかみ部付近の信号強度の変化についてさらに詳細に説明する。試料の飲食または試料溶液の飲用を行った場合、こめかみ部付近において、口に含んでから徐々に血流量が上昇し、約5秒から約30秒程度の間に血流量が最大値を示す。その後、徐々に血流量は下降し、口に含んでから約60秒でほぼ元のレベルとなる。そこで、口に含んでから約5秒から約30秒までの血流量の「最大値」から、口に含んだ瞬間から約15秒までの血流量の「最小値」を引いた値、すなわち血流量変化の「応答強度」を、こめかみ部付近の信号強度の変化とする。該信号強度の変化は、ヘモグロビン濃度の変化量に相当する。近赤外線分光法(NIRS)で得られる信号は、ヘモグロビン濃度と光路長の積であるため、ヘモグロビン濃度の絶対値として扱うことはできない。そこで、前記「最小値」をベースラインと仮定し、「最小値」から「最大値」までのヘモグロビン濃度の変化量を算出する。
請求項1〜4における測定全体の一連の手順の詳細は図2の通りである。まず、被験者を60秒間安静な状態においた後、コップに入れた水または基準炭酸含有水溶液を飲用させ、30秒間で生体光計測装置を用い、こめかみ部付近の信号強度の変化を測定し、さらに60秒間安静とする。この操作を1回または数回(通常は2回)行った後、被験炭酸含有水溶液を飲用させ、30秒間で生体光計測装置を用い、こめかみ部付近の信号強度の変化を測定し、さらに60秒間安静とする。引き続き、図3の官能評価アンケートに官能評価の結果を記入させる。これら一連の工程を1セットとし、同一被験者に3回〜数回繰り返し計測を行う。
次に、請求項3に記載の炭酸感作用剤の評価方法の手順(以下、手順Bと呼ぶ)について説明する。まず、基準炭酸含有水溶液を飲用させ、生体光計測装置で被験者のこめかみ部付近の信号強度の変化を測定することを1回または数回行う工程(1)を行った後、基準炭酸含有水溶液に炭酸感作用剤をさらに添加した被験炭酸含有水溶液を飲用させ、生体光計測装置で被験者のこめかみ部付近の信号強度の変化を測定し、該信号強度の変化を指標として被験炭酸含有水溶液の炭酸感を評価する工程(2)を行う。
以下、飲用する炭酸含有水溶液の提示方法、生体光計測装置を用いた被験者のこめかみ部付近の信号強度の変化の測定方法、工程(1)の信号強度の変化と工程(2)の信号強度の変化を比較して被験者が、炭酸感が強いと感じたことを評価する方法、応答強度の具体的な算出方法、複数の被験者で測定を行った場合の平均波形、平均波形に基づく信号強度の変化量の求め方などは手順Aと同様の手順に従って、行う。
なお、基準炭酸含有水溶液に対する炭酸感作用剤の添加効果の確認は、次のようにして行う。すなわち、基準炭酸含有水溶液を飲用させた工程(1)の信号強度の変化と、基準炭酸含有水溶液に炭酸感作用剤をさらに添加した被験炭酸含有水溶液を飲用させた工程(2)の信号強度を比較し、[工程(1)の信号強度の変化<工程(2)の信号強度の変化]ならば、炭酸感作用剤は基準炭酸含有水溶液の炭酸感を強くする効果(増強効果)があると評価できる。また、その際、工程(1)の信号強度の変化に対する工程(1)の信号強度の変化の比率は1より大きくなるが、その数値が大きいものほどその効果が大きいと評価できる。もし、この比率が1より小さい場合は、添加した炭酸感作用剤の効果は炭酸感を弱くさせる効果(減少効果)があると評価できる。
炭酸感はヒトによって好みが異なることから、商品設計上は増強効果も減少効果も利用しうると考える。
次に、請求項4に記載の炭酸感の評価方法の手順(以下、手順Cと呼ぶ)について説明する。この評価方法は簡単に言えば、ガス圧がわかっている複数の炭酸含有水溶液を被験者に飲用させ、こめかみ部付近の信号強度を測定することにより、ガス圧−信号強度の変化量グラフを作成し、該グラフ上で被験炭酸含有水溶液の信号強度の変化量の数値に対応するガス圧を求め、被験炭酸含有水溶液の炭酸感をガス圧相当値として表す方法である。
手順Cの具体的な手順は、まず、水を飲用させ、生体光計測装置で被験者のこめかみ部付近の信号強度を測定することを1回または数回行う工程(1)を行い、続いて、工程(1)の測定後、連続して、ガス圧を測定した第一の炭酸含有水溶液を飲用させ、生体光計測装置で被験者のこめかみ部付近の信号強度の変化を測定する工程(2)を行う。
さらに、工程(2)の測定後、第一の炭酸含有水溶液より高いガス圧を有する、ガス圧を測定した第二の炭酸含有水溶液を飲用させ、生体光計測装置で被験者のこめかみ部付近の信号強度の変化を測定する工程(3)を行う。
さらに所望に応じて、工程(3)の測定後、直前に飲用した炭酸含有水溶液より高いガス圧を有する、新たな炭酸含有水溶液を飲用し、生体光計測装置で被験者のこめかみ部付近の信号強度の変化を測定することを1回〜数回繰り返す工程(4)を行う。工程(4)までの測定後、被験炭酸含有水溶液を飲用させ、生体光計測装置で被験者のこめかみ部付近の信号強度の変化量を測定する工程(5)を行う。
次に、工程(2)〜(4)の各炭酸含有水溶液のガス圧の値、工程(2)〜(4)の各工程で得られた被験者のこめかみ部付近の各信号強度の変化量を用い、X軸をガス圧、Y軸を信号強度の変化量とするガス圧−信号強度の変化量グラフを作成する工程(6)を行い、工程(6)で作成したガス圧−信号強度の変化量グラフ上で、工程(5)で得られた信号強度の変化量に対応するガス圧(kg/cm)を求める(工程(7))。得られたガス圧は被験炭酸含有水溶液の炭酸感を表す数値である。
検討を行った結果、炭酸含有水溶液の提示は、ガス圧の低いものから高いものへとすることにより、再現性の高い評価が行える。理由は不明であるが、炭酸含有水溶液を飲用することにより、舌や口腔内の粘膜等が感覚的に麻痺することが原因の一つと考えられ、ガス圧の低いものから高いものへとすることにより、被験者への負担が少なくなり、炭酸感の評価がし易くなるものと推測される。
最後に請求項1〜4における被験者の人数および信号強度の数値的扱いについて説明する。一般に、ヒトの感ずる炭酸感は個人差があることが知られており、本発明の評価方法でもこめかみ部分の信号強度に個人差があることが判明している。そこで、被験者の人数は特に制限はなく、人数が多いほどこめかみ部分の信号強度の平均値の信頼度が高くなるが、実際には本発明の利便性を考慮すれば、例えば、2〜20人程度の被験者に対して測定を行い、得られた信号強度の平均値を用いることにより、評価を行うことができる。あるいは、用意した炭酸含有水溶液に対して大きな信号強度を示す被験者を2〜数名程度選抜し、本発明の炭酸感の評価方法を適用することにより、より感度が高く、信頼性のある評価が行うことができる。
以下に実施例を挙げ、本発明を更に詳細に説明する。
(実施例1)水→炭酸水(ガス圧2.0kg/cm)の順で飲用した場合
350ml入りアルミ缶にイオン交換水350gを充填し、缶内ガス圧力を2.0kg/cmに設定し、炭酸ガスを圧入し、缶シーマ(巻締め機)で密封した。これを80℃の温水中で缶中心部温度が70℃に達するまで加温した後、5分間70℃を維持し殺菌後、冷水で冷却し炭酸水(ガス圧2.0kg/cm)を調製した。また、これとは別に炭酸ガスを圧入しないイオン交換水350gをアルミ缶に充填し、同様の手順により加温、殺菌、冷却したものを用意した。これらの水および炭酸水の各試料を図2の手順にしたがい、被験者に摂食させ、こめかみ部付近の血流量を光トポグラフィ装置で測定すると共に、官能評価アンケートへの回答(図3)を行わせた。被験者、測定装置、官能評価アンケートおよび血流変化の測定結果を以下に示す。
[被験者]
2名(30代の男性2名)。
[測定方法]
調製した試料は冷蔵庫内にて4℃で冷蔵、飲用直前に開栓し、プラスチックカップに15ml程度注ぎ入れて、被験者に飲用させる試料とした。被験者による試料の飲用および評価の具体的手順は、すでに説明したとおり、図2に示す手順に従い行った。
[測定装置]
日立ETG−4000型光トポグラフィ装置((株)日立メディコ製:52チャンネル)
[官能評価アンケート]
炭酸感の官能評価による評価を被験者に対するアンケートにより行った。その際、炭酸感の強さについて最低を「無」、最高を「非常に強い」として、その間を「弱い」、「普通」、「強い」として13段階に分ける炭酸感スコアとして、被験者に記載させた。
[血流変化の測定結果]
予備的な実験により、こめかみ部血流変化の測定では、始めに複数回(2〜3回)水を飲用させると、各チャンネルの血流変化のグラフはほぼ一定の波形となり、続いて飲用させる被験炭酸含有水溶液の測定が安定して行えることが判明した。
そこで実施例1では水を2回飲用した後、炭酸水(ガス圧2.0kg/cm)を飲用した場合の被験者の平均血流変化(52チャンネルの測定結果)を図4に示す。また、その結果の中で変化の大きかったチャンネル(52CH、44CH、33CH)の被験者の平均血流変化を図5に示す。また、炭酸水(ガス圧2.0kg/cm)を飲用した場合の被験者の官能評価結果(以下、炭酸感スコアと呼ぶ)を図6に示す。
図5に示すように、チャンネル52、44、33では、炭酸水(ガス圧2.0kg/cm)を飲用した場合、水を飲用した場合に比べ、いずれも大きな応答が得られることが確認された。一方、炭酸水(ガス圧2.6kg/cm)を飲用した場合の被験者の炭酸感スコアは7.0(2名の平均値)であった。
以上の結果を検討した結果、得られたこめかみ部血流変化量と官能評価による炭酸感スコアとの間には十分な相関が見られ、本発明の評価方法で規定する血流変化量がヒトの炭酸感を評価するうえで、客観的な評価指標となりうることが確認された。
(実施例2)炭酸水(ガス圧2.0kg/cm)→炭酸水(ガス圧2.6kg/cm)の順で飲用した場合
実施例1と同様の手順に従い、炭酸水(ガス圧2.0kg/cm)及び炭酸水(ガス圧2.6kg/cm)を調製した。これらの炭酸水の各試料を図2の手順にしたがい、被験者に摂食させ、こめかみ部付近の血流量を光トポグラフィ装置で測定すると共に、官能評価アンケートへの回答(図3)を行わせた。
[被験者]
2名(30代の男性2名→実施例1の被験者と同じ)。
[測定方法、測定装置及び官能評価アンケート]
実施例1と同様の手順により行った。
[血流変化の測定結果]
炭酸水(ガス圧2.0kg/cm)を2回飲用した後、炭酸水(ガス圧2.6kg/cm)を飲用させた。被験者の平均血流変化(52チャンネルの測定結果)を図7に示す。また、その中で変化の大きかったチャンネル(52CH、44CH、33CH)の被験者2名の平均血流変化を図8に示す。また、被験者の炭酸感スコアを図9に示す。
図8に示すように、チャンネル52、44、33では、炭酸水(ガス圧2.6kg/cm)を飲用した場合、炭酸水(ガス圧2.0kg/cm)を飲用した場合に比べ、いずれも大きな応答が得られることが確認された。一方、図9に示すように、炭酸水(ガス圧2.6kg/cm)を飲用した場合の被験者の炭酸感スコアはそれぞれ、6.6、8.2(2名の平均値)であった。
実施例1と同様に、得られた血流変化量と官能評価による炭酸感スコアとの間には十分な相関が見られ、本発明の評価方法で規定する血流変化量がヒトの炭酸感を評価するうえで、客観的な評価指標となりうることが確認された。
(実施例3)炭酸飲料(ガス圧2.0kg/cm)→6,8,10−ウンデカトリエン−3−オン(ユズノン:長谷川香料(株)、登録商標)2ppt添加炭酸飲料(ガス圧2.0kg/cm)→炭酸飲料(ガス圧2.6kg/cm)の順で飲用した場合
350ml入りアルミ缶に果糖ぶどう糖液糖(Bx75°)13kg、結晶クエン酸0.14kg、クエン酸三ナトリウム0.04kgにイオン交換水を加えて100Lとした(炭酸飲料原液)を充填し、缶内ガス圧力を2.0kg/cmに設定し、炭酸ガスを圧入し、缶シーマ(巻締め機)で密封した。これを80℃の温水中で缶中心部温度が70℃に達するまで加温した後、5分間70℃で維持し殺菌後、冷水で冷却し炭酸飲料(ガス圧2.0kg/cm)を調製した。また、上記の炭酸飲料(ガス圧2.0kg/cm)に6,8,10−ウンデカトリエン−3−オン(ユズノン)を0.1g添加する(2ppt)以外は同様の手順に従い、ユズノン添加炭酸飲料(ユズノン2ppt、ガス圧2.0kg/cm)を調製した。
なお、6,8,10−ウンデカトリエン−3−オン(ユズノン)の調製は特許第5417066号の実施例1記載の製造方法に従って行った。
次に、缶内ガス圧力を2.6kg/cmに設定するほかは炭酸飲料(ガス圧2.0kg/cm)と同様の手順により加温、殺菌、冷却し、炭酸飲料(ガス圧2.6kg/cm)を調製した。これらの炭酸飲料(ガス圧2.0kg/cm)、ユズノン添加炭酸飲料(ユズノン2ppt、ガス圧2.0kg/cm)および炭酸飲料(ガス圧2.6kg/cm)の各試料を図2の手順にしたがい、被験者に摂食させ、こめかみ部付近の血流量を光トポグラフィ装置で測定すると共に、官能評価アンケートへの回答(図3)を行わせた。
[被験者]
3名(30代の男性2名)。
[測定方法、測定装置及び官能評価アンケート]
実施例1と同様の手順により行った。
[血流変化の測定結果]
炭酸飲料(ガス圧2.0kg/cm)を2回飲用した後、ユズノン添加炭酸飲料(ユズノン2ppt、ガス圧2.0kg/cm)を飲用した場合の被験者の平均血流変化(52チャンネルの測定結果)を図10に示す。また、左右こめかみ部として(52CH、51CH、44CH、43CH、41CH、33CH)の被験者の平均血流変化を図11に示す。また、炭酸水(ガス圧2.0kg/cm)を飲用した場合の被験者の官能評価結果(炭酸感スコア)を図12に示す。
図11に示すように、左右こめかみ部平均(52CH、51CH、44CH、43CH、41CH、33CH)では、ユズノン添加炭酸飲料を飲用した場合、炭酸水(ガス圧2.0kg/cm)に比べ、約10%程度の血流変化の上昇が見られた。
一方、被験者の官能評価結果である炭酸感スコアは、炭酸水(ガス圧2.0kg/cm)が5.0、ユズノン添加炭酸飲料が6.6、炭酸飲料(ガス圧2.6kg/cm)が6.3(2名の平均値)であった。ユズノン添加炭酸飲料はガス圧2.0kg/cmであるが、炭酸スコアの数値によれば、被験者は炭酸飲料(ガス圧2.6kg/cm)より炭酸感が高いと感じていることが確認された。また、ユズノン添加炭酸飲料を飲用した場合、上記の左右こめかみ部平均の値が炭酸水(ガス圧2.0kg/cm)に比べ高い値を示したという客観的事実は、ユズノンの炭酸感増強効果を裏付ける指標となりうることを示すものである。
以上の結果から、本発明の評価方法は基準炭酸含有水溶液に対する炭酸感作用剤の効果の評価方法としても、客観的な評価指標となりうることが確認された。
(実施例4)炭酸飲料(ガス圧2.0kg/cm)→ユズノン含有炭酸感作用剤0.02%添加炭酸飲料(ガス圧2.0kg/cm)の順で飲用した場合
実施例3と同様の手順に従い、炭酸飲料(ガス圧2.0kg/cm)を調製した。
また、実施例1のユズノンに代えて表1の組成を有するユズノン含有炭酸感作用剤(長谷川香料社製ユズ香料、YZ−109)を20g添加する(0.02%)以外は同様の手順に従い、YZ−109添加炭酸飲料(ガス圧2.0kg/cm)を調製した。
得られた炭酸飲料(ガス圧2.0kg/cm)およびYZ−109添加炭酸飲料(ガス圧2.0kg/cm)の各試料を図2の手順にしたがい、被験者に摂食させ、こめかみ部付近の血流量を光トポグラフィ装置で測定すると共に、官能評価アンケートへの回答(図3)を行わせた。
Figure 0006100210
[被験者]
3名(30代の男性3名)。
[測定方法、測定装置及び官能評価アンケート]
実施例1と同様の手順により行った。
[血流変化の測定結果]
炭酸飲料(ガス圧2.0kg/cm)を2回飲用した後、YZ−109添加炭酸飲料(ガス圧2.0kg/cm)を飲用した場合の被験者の平均血流変化(52チャンネルの測定結果)を図13に示す。また、左右こめかみ部として(52CH、51CH、44CH、43CH、41CH、33CH)の被験者の平均血流変化(52チャンネルの測定結果)を図14に示す。また、炭酸飲料(ガス圧2.0kg/cm)、YZ−109添加炭酸飲料(ガス圧2.0kg/cm)および実施例3のユズノン添加炭酸飲料を飲用した場合の被験者の官能評価結果(炭酸感スコア)を図15に示す。
図15に示すように、左右こめかみ部平均(52CH、51CH、44CH、43CH、41CH、33CH)では、YZ−109添加炭酸飲料を飲用した場合、炭酸飲料(ガス圧2.0kg/cm)に比べ、約10%前後の血流変化の上昇が見られた。
一方、被験者の官能評価結果である炭酸感スコアは、炭酸飲料(ガス圧2.0kg/cm)が4.8、ユズノン添加炭酸飲料が6.6、YZ−109添加炭酸飲料が6.6、(2名の平均値)であった。ユズノン含有炭酸感作用剤添加炭酸飲料の炭酸スコアはユズノン添加炭酸飲料と同じ6.6であり、実施例3の結果と合わせれば、被験者は官能的にガス圧2.6kg/cmより炭酸感が高いと感じていることが確認された。また、YZ−109添加炭酸飲料を飲用した場合、上記の左右こめかみ部平均の値が炭酸飲料(ガス圧2.0kg/cm)に比べ高い値を示したという客観的事実は、調合香料であるユズノン含有炭酸感作用剤(YZ−109)の炭酸感増強効果を裏付ける指標となりうることを示すものである。
以上の結果からも実施例3と同様、本発明の評価方法が基準炭酸含有水溶液に対する炭酸感作用剤の効果の評価方法としても、客観的な評価指標となりうることが確認された。
(実施例5)水→炭酸水(ガス圧1.0kg/cm)〜炭酸水(ガス圧4.0kg/cm)の順で飲用した場合
実施例1と同様の手順に従い、水及びガス圧を4段階(1.0、2.0、3.0、4.0kg/cm)に調整した炭酸水を調製した。これらの水および炭酸水の各試料を図2の手順にしたがい、被験者に摂食させ、こめかみ部付近の血流量を光トポグラフィ装置で測定すると共に、官能評価アンケートへの回答(図3)を行わせた。
[被験者]
3名(30代の男性3名)。
[測定方法、測定装置及び官能評価アンケート]
実施例1と同様の手順により行った。
ただし、飲用は、水→炭酸水(ガス圧1.0kg/cm)→炭酸水(ガス圧2.0kg/cm)→炭酸水(ガス圧3.0kg/cm)→炭酸水(ガス圧4.0kg/cm)の順に行った。
[血流変化の測定結果]
水を2回飲用した後、4段階の炭酸水(ガス圧1.0kg/cm)〜炭酸水(ガス圧3.0kg/cm)を飲用した場合の被験者の左こめかみ部として(52CH、51CH、41CH)の被験者の平均血流変化を図16に示す。同様に右こめかみ部として(43CH、44CH、33CH)の被験者の平均血流変化を図17に示す。さらに左こめかみ部平均(52CH、51CH、41CH)、右こめかみ部平均(43CH、44CH、33CH)および左右こめかみ部平均の被験者の平均血流変化を図18に示す。
水および炭酸水(ガス圧1.0kg/cm)〜炭酸水(ガス圧3.0kg/cm)を飲用した場合の被験者の官能評価結果をガス圧−炭酸感スコアのグラフとして図19に示す。
図19に示したようにガス圧が0、1、2、3、4kg/cmの範囲ではガス圧−炭酸感のグラフはほぼ直線となったが、ガス圧が3および4kg/cmと高くなるとやや飽和した状態であり、これ以上のガス圧の場合は官能的には区別できない可能性が示唆された。
これに対し、図16〜18に示したように左こめかみ部、右こめかみ部および左右こめかみ部平均のいずれの場合もガス圧が0〜4kg/cmの範囲で右肩上がりの増加傾向を示し、ガス圧−信号強度の変化のグラフはほぼ直線となった。すなわち、本発明の方法で測定される被験者の信号強度はガス圧の増加と良好な相関があり、ヒトが感ずる炭酸感の客観的指標として使用できることが確認された。
また、ガス圧−信号強度の変化のグラフはほぼ直線となること利用すれば、被験炭酸含有水溶液を飲用させ、得られる信号強度の変化に相当する上記直線上のガス圧を求め、該ガス圧を被験炭酸含有水溶液の炭酸感の指標として用いることができる。
以上のように、本発明の評価方法により、ヒトの炭酸感を測定したところ、官能評価と相関する結果が得られ、本発明の評価方法で規定する相対値がヒトの感じる炭酸感を評価するうえで、客観的な指標となりうることが確認された。また、本発明の評価方法を用いれば、炭酸飲料などの飲食品に添加するフレーバーが炭酸感増強効果を有するかどうかの評価を行うことが可能となり、低炭酸でありながら、好ましい炭酸感を有する飲料等の開発に極めて有用である。

Claims (3)

  1. 炭酸感の評価方法であって、
    (1)水または基準炭酸含有水溶液を飲用させ、生体光計測装置で被験者のこめかみ部付近の信号強度の変化を測定することを1回または数回行う工程、
    (2)工程(1)の測定後、被験炭酸含有水溶液を飲用させ、生体光計測装置で被験者のこめかみ部付近の信号強度の変化を測定し、該信号強度の変化を指標として被験炭酸含有水溶液の炭酸感を評価する工程の各工程を含むことを特徴とする、炭酸感の評価方法。
  2. 炭酸感作用剤の評価方法であって、
    (1)基準炭酸含有水溶液を飲用させ、生体光計測装置で被験者のこめかみ部付近の信号強度の変化を測定することを1回または数回行う工程、
    (2)工程(1)の測定後、基準炭酸含有水溶液に炭酸感作用剤をさらに添加した被験炭酸含有水溶液を飲用させ、生体光計測装置で被験者のこめかみ部付近の信号強度の変化を測定し、該信号強度の変化を指標として被験炭酸含有水溶液の炭酸感を評価する工程の各工程を含むことを特徴とする、炭酸感作用剤の効果の評価方法。
  3. 炭酸感の評価方法であって、
    (1)水を飲用させ、生体光計測装置で被験者のこめかみ部付近の信号強度を測定することを1回または数回行う工程、
    (2)工程(1)の測定後、ガス圧を測定した第一の炭酸含有水溶液を飲用させ、生体光計測装置で被験者のこめかみ部付近の信号強度の変化を測定する工程、
    (3)工程(2)の測定後、第一の炭酸含有水溶液より高いガス圧を有する、ガス圧を測定した第二の炭酸含有水溶液を飲用させ、生体光計測装置で被験者のこめかみ部付近の信号強度の変化を測定する工程、
    (4)さらに所望に応じて、工程(3)の測定後、直前に飲用した炭酸含有水溶液より高いガス圧を有する、新たな炭酸含有水溶液を飲用し、生体光計測装置で被験者のこめかみ部付近の信号強度の変化を測定することを1回〜数回繰り返す工程、
    (5)工程(4)までの測定後、被験炭酸含有水溶液を飲用させ、生体光計測装置で被験者のこめかみ部付近の信号強度の変化量を測定する工程、
    (6)工程(2)〜(4)の各炭酸含有水溶液のガス圧の値、工程(2)〜(4)の各工程で得られた被験者のこめかみ部付近の各信号強度の変化量を用い、X軸をガス圧、Y軸を信号強度の変化量とするガス圧−信号強度の変化量グラフを作成する工程、
    (7)工程(6)で作成したガス圧−信号強度の変化量グラフ上で、工程(5)で得られた信号強度の変化量に対応するガス圧を求める工程の各工程を含むことを特徴とする、炭酸感の評価方法。
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